JP2021136455A - 音響装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】共鳴胴及びサウンドホールを有する対象楽器を共鳴させ音を放出するための音響装置において、対象楽器に対して容易に着脱できる音響装置を提供する。【解決手段】音響装置1は、振動発生器2と、支持体3と、係止部4と、筐体5と、振動発生器2及び支持体3を筐体5に対し音響装置1の対象楽器であるバイオリン100に対向する面に沿って移動可能に接続するためのジョイント6を有する。振動発生器2及び支持体3をバイオリン100に対向する面に沿って移動することで、振動発生器2のバイオリン100に対する位置を変更することができ、音響装置1をバイオリン100から容易に着脱することができる。【選択図】図8

Description

本発明は、共鳴胴を有する楽器を共鳴させる音響装置に関する。
従来、楽音や音声の楽曲データに基づく音響信号を空気振動に変換(音響電気機械変換)する装置としてスピーカー装置が知られている。一般に広く用いられているスピーカー装置は、音響信号を空気振動に変換するコーン状の振動板を有するスピーカーユニットと、エンクロージャーより構成されており、スピーカー装置から再生される音を原音に近づけるために従来から様々な工夫がなされてきた。
その一例として、楽器本来の持つ豊かな音響を再生するために、楽器にスピーカーユニットを設置した音響装置が知られている。たとえば特許文献1ではバイオリンの共鳴胴のサウンドホール(f字ホール、以後f字ホールと表示)に振動発生源としてスピーカーユニットを対向して装着し、共鳴胴をエンクロージャーとして用いた音響装置が開示されている。
特願2017−524064
特許文献1の図11及び段落0061、0062に示されるように、振動発生器またはバッフルボードは、バイオリンの共鳴胴を効果的に共鳴させるためにf字ホール全体を覆うようにf字ホールに対向させて配置する必要があり、弦やブリッジ(駒)に振動発生器が近接している。そのため音響装置をバイオリンに着脱する場合、弦やブリッジ、及び明示されていないが指板に接触し、非常に着脱しにくいという問題がある。
本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、バイオリン等の楽器に容易に着脱できる音響装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の一様態は、共鳴胴及びサウンドホールを有する対象楽器を共鳴させ音を放出するための音響装置であり、前記対象楽器の外側から前記サウンドホールに向けて配置され、音響駆動信号を音響振動に変換し、前記サウンドホールの前面に対向するように配置された振動板を有する振動発生器と、前記振動発生器を保持する支持体と、前記音響装置を前記対象楽器の前面であって所定の位置に保持するように当該対象楽器に直接係止、もしくは前記対象楽器を保持するスタンドに係止するための係止部と、前記係止部と前記支持体を保持する筐体と、前記支持体を前記筐体に対し当該音響装置の前記対象楽器に対向する面に沿って移動可能に接続するためのジョイントと、を有していることを特徴とする音響装置である。本発明によれば、共鳴胴及びサウンドホールを有する楽器に対して容易に着脱できる音響装置を提供することができる。
本発明の一様態は、前記音響装置が前記振動発生器と、前記支持体及び前記回転ジョイントを複数有することを特徴とする音響装置である。本発明によれば音響装置を対象楽器に対し容易に着脱することができる。
前記音響装置が、前記支持体及び前記回転ジョイントを複数(例えば2つ)有し、前記複数の支持体を同時に回転させようとした場合、前記複数の回転ジョイントの摩擦の違いにより、一つの支持体のみが大きく回転するという問題がある。
本発明の一様態は、前記複数の支持体がリンク機構により互いに接続されており、前記複数の支持体がリンク機構により互いに連動して移動することを特徴とする音響装置である。本発明によれば、複数の支持体及び振動発生器を互いに連動して移動することができるため、音響装置をより容易に着脱することができる。
本発明の一様態は、前記複数の支持体は、前記ジョイントにより前記筐体に対して回転可能であることを特徴とする音響装置である。本発明によれば、弦、指板、及びブリッジから振動発生器を回転により離間することができるため音響装置をより容易に着脱することができる。
本発明の一様態は、前記振動発生器が前記支持体に対して回転可能に接続されている事を特徴とする音響装置である。本発明によれば、対象楽器に対し音響装置をより容易に着脱することができる。
本発明の一様態は、前記複数の支持体は2つの支持体により構成され、一方の支持体の回転方向は、他方の支持体の回転方向と逆方向であることを特徴とする音響装置である。本発明によれば、2つの支持体及び振動発生器が互いに離間し、あるいは互いに近接する方向に回転するため、音響装置を容易に着脱することができる。
本発明の一様態は、前記リンク機構が、前記対象楽器の長手方向に移動可能なスライダーを含むことを特徴とする音響装置である。本発明によれば、スライダーにより2つの支持体及び振動発生器を同時に移動(回転)させることができるため、音響装置をより容易に着脱することができる。
本発明の一様態は、前記複数の支持体が2つの支持体により構成され、前記スライダーを前記2つの支持体から常に等距離の位置で移動させるガイドを有することを特徴とする音響装置である。本発明によれば、スライダーにより2つの支持体及び振動発生器は均等に互いに離間し、あるいは均等に互いに近接する方向に移動(回転)するため、音響装置をより容易に着脱することができる。
本実施形態に係る音響装置を対象楽器に設置した場合の側面図 本実施形態に係る音響装置を対象楽器に設置した場合の正面図 本実施形態に係る音響装置の詳細を示す側面図 本実施形態に係る音響装置の詳細を示す正面図 本実施形態に係る振動発生器の断面図 本実施形態に係る音響装置を対象楽器に設置した場合の背面図 本実施形態に係る遮蔽部材の変形例を示す側面図 本実施形態に係る支持体及び振動発生器を筐体に対し回転させた場合の正面図 本実施形態に係る振動発生器を支持体に対し回転させた場合の正面図 本実施形態に係る音響装置を対象楽器に設置した場合の振動発生器の断面図 本実施形態に係る支持体のリンク機構を示す正面図 本実施形態に係るリンク機構の変形例を示す正面図 本実施形態に係るリンク機構の変形例を示す正面図 本実施形態に係るリンク機構の変形例を示す断面図 本実施形態に係るジョイントの変形例の正面図 本実施形態に係るジョイントの変形例の断面図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
実施形態1
図1は、本実施形態に係る音響装置1をバイオリン(対象楽器)100に設置した場合の側面図、図2は正面図である。図1、図2に示すように、バイオリン100のブリッジ108を中心に、バイオリン100の幅方向をX方向、渦巻き101方向をY方向、共鳴胴105の厚み方向をZ方向と定める。また、X方向において、ブリッジ108の右方向を+Xとし、左方向を−Xとし、Y方向において、渦巻き101方向を+Yとし、テールピース(緒止め板)111方向を−Yとし、Z方向において、表板107方向を+Zとし、裏板109方向を−Zとする。なお、音が放出される+Z方向を聴取者方向とする。この定義は、図3以降も同様とする。
この音響装置1は、共鳴胴とサウンドホールを有する弦楽器の共鳴胴を共鳴させ音を放出するための装置で、対象楽器の一例としてバイオリン100を示す。図示しないが、バイオリンスタンドは適宜用いられる。なお音響装置1により共鳴、音が放出される対象楽器はバイオリンに限らず、たとえば、バイオリン属(ヴィオラ、チェロ、コントラバス)の他に、共鳴胴に2つもしくはそれ以上の複数のサウンドホールを有するギター、ウクレレ、マンドリン等、弦楽器であればいずれでもよく、また、これらの弦楽器がピックアップ等の音響電気機械変換装置を備えていてもよい。
図1、図2に示すように、バイオリン100は、渦巻き101、糸巻き102、指板103、ネック104、共鳴胴105、弦106、ブリッジ108、及びテールピース(緒止め板)111より構成されている。共鳴胴105は、表板107、裏板109、及び側板110より構成されている。表板107にはf字ホール112が形成されている。弦106は、糸巻き102、とブリッジ108及びテールピース111の間に張設されている。
図3は、本実施形態に係る音響装置1を詳細に説明するための側面図、図4は正面図である。音響装置1は、複数(2つ)の振動発生器2、複数の振動発生器2をそれぞれ保持する複数(2つ)の支持体3、音響装置1をバイオリン100のネック部104に係止する係止部4、係止部4と支持体3を保持する筐体5、支持体3を回転可能に接続するための回転ジョイント6、表板107に当接し振動発生器2及び振動板201と表板107との間隔を適切に保つスペーサー7、共鳴胴105と振動発生器2から放出される音の干渉により、必要以上に増強、減弱される周波数成分を抑制する遮蔽部材8、弦106に当接し、弦106の開放弦による不要振動を抑制する制振部材9、聴取者側(+Z方向)に向けて放出される音の高音域を補うためのトゥイーター400、及び音響信号を増幅するアンプ502から構成される。なお、振動発生器2及び支持体3は1つでも良くこれに限定されるものではない。
振動発生器2は、後に示す図5の振動板201の表面201aが、f字ホール112の前面に離間して対向するように配置される。振動発生器2の振動板201は、入力された音響信号に基づく音響駆動信号を音響振動(空気振動)に変換し音を放出する。振動発生器2は、振動板201から放出された音の一部を利用し、バイオリン100のf字ホール112から空気を介して音響振動を共鳴胴105の内部に伝達することにより共鳴胴105を共鳴させる。
図5には、本発明の振動発生器2として好適に用いられるダイナミック型スピーカーユニットの断面図を示す。ダイナミック型スピーカーユニットは、音響信号に基づく音響駆動信号を音響振動に変換するコーン状の振動板201と、全体を支えるフレーム202と、フレーム202の後面に取り付けられた磁気回路形成用のプレート203と、プレートの後面に取り付けられたマグネット204と、マグネット204の後面に取り付けられたヨーク205と、ヨーク205のポール部206と、プレート203とポール部206で形成される磁気空隙207に挿入されたボイスコイル208と、ボイスコイルボビン209と、ボイスコイルボビンの外周に備えられたダンパー210と、コーン状振動板201の外周部に接着されたリング状のエッジ211と、リング状のエッジ211の外周に接着されたリング状のガスケット212、及び、振動板201の内周部に取り付けられたセンターキャップ213等より構成される。また、図示しないが、ボイスコイル208には、音響駆動信号印可用のリード線が接続されている。なお、センターキャップ213が装着されている側(サウンドホールの前面に対向する側)の振動板の表面を201aとし、その裏面を201bとする。また、フレーム202には振動板201の動きを抑制しないように開口214が設けられており、前記開口を通して後方(+Z方向)にも音が放出される。
振動発生器2としては、前記ダイナミック型スピーカーユニットに限らず、マグネティック型、静電型、圧電型など、音響駆動信号を音響振動に変換できるものであればいずれでもよく、これに限定されるものではない。振動板に関しても、ドーム型、平面型など、コーン型に限定されるものではない。また、振動発生器2が、永久磁石を有するダイナミック型スピーカーユニット等である場合は磁束が漏れない防磁型が望ましい。
共鳴胴105、及び、振動発生器2の振動板201から聴取者側(+Z方向)に向けて放出される音は、振動発生器2の構成要素であるフレーム202、マグネット204やヨーク205、筐体5、及び遮蔽部材8等により、周波数が高いほど遮られやすい。そこで、図4に示すように、高音域の音を発するトゥイーター400の振動板の表面401aを、聴取者側(+Z方向)に向けて設置することにより、聴取者側に向けて放出される音の高音域を補うことができる。なお、トゥイーター400には図5と同じ構造のダイナミック型スピーカーユニットが好適に用いられ、トゥイーター400の振動板の表面401aは、図5の振動発生器2の振動板の表面201aに対応する。また、トゥイーター400は振動発生器2と同様に、音響駆動信号を音響振動に変換できるものであればいずれでもよく図5のダイナミック型スピーカーユニットに限定されるものではない。
図6は、本実施形態に係る音響装置1をバイオリン100に設置した場合の−Z方向から見た背面図である。遮蔽部材8は、振動発生器2の略外周を取り囲むようにフレーム202の上に配置される。遮蔽部材8が表板107に接触し表板107の振動を抑制すると楽器本来の共鳴を阻害してしまうため接触させない方が望ましいが、遮蔽部材8として表板107の振動を抑制しないように柔軟性の高い弾性体を用いる場合は、遮蔽部材8を表板107に当接させてもよい。この場合、共鳴胴105の共鳴音をf字ホール112から外部に放出するため、f字ホール112を密閉しないように遮蔽部材8の内周と、バイオリン100の外周との間に、隙間80を設けてもよい。
図7は、本実施形態に係る音響装置1をバイオリン100に設置した場合の遮蔽部材8の変形例を示す側面図である。図7では、振動発生器2の略外周を取り囲む遮蔽部材8の一部に隙間81を設けている。これにより、共鳴胴105の共鳴音をf字ホール112から外部に放出することができる。ただし、振動発生器2から放出される音と、共鳴胴105から放出される音のバランスは、共鳴状態や聴取者の好みに応じで適宜選択できるので、これに限定されるものではない。
遮蔽部材8の材質としては、例えば多孔質で内部損失の大きい軟質ウレタンフォームやEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン)ゴム発砲体が好適に用いられるが、音を遮蔽、吸収、減衰させ、表板107の振動を妨げない物であればいずれでもよく、これらに限定されるものではない。
スペーサー8の材質は剛体でもよいが、少なくとも表板107に当接する部分は表板107の振動を抑制しないように、ウレタンフォームやブチルゴム等の弾性体であることが望ましい。スペーサー8の設置場所は筐体5に限らず、振動発生器のフレーム202など、振動板201を含む振動発生器2と表板107の間隔を適切に保ち表板107の振動を抑制しない場所であればいずれでもよく、これに限定されるものではない。また、スペーサー8は音響装置1を対象楽器から取り外しテーブル等に置いた場合、音響装置1を略水平に保つ支柱としても機能する。
図3、図4において、筐体5には、入力される音響信号に応じて振動発生器2の振動板201を駆動する駆動回路が内蔵されており、音響信号の入力端子501、電源スイッチ511、ボリューム(音量調整器)512、音響信号を増幅するアンプ502及び図示しないが電源から構成される。使用者は電源スイッチ511で駆動回路の起動、停止を行うことができる。入力端子501に入力された音響信号はボリューム512で調整され、アンプ502で増幅された音響駆動信号が振動発生器2に出力される。入力端子501とアンプ502の間には、共鳴胴105から放出される音の周波数特性や位相特性を調整するためのトーンコントロール回路やイコライザーを設けても良い。
振動発生器2と、トゥイーター400から聴取者方向(+Z)に放出される音の位相が逆相の場合は、聴取者が違和感を感じることがある。そこで、振動発生器2と、トゥイーター400から放出される音の位相が同相となるように音響駆動信号を印可するのが望ましい。もっとも簡便にはトゥイーター400に接続する配線を逆相(トゥイーター400のプラス、マイナスの入力端子に、アンプ502の音響駆動信号のプラス、マイナスを逆に接続)となるように接続すればよいが、音響駆動信号の極性を反転させるスイッチ等の位相反転器を設けてもよく、スイッチ等の位相反転器に代えて任意に位相を調整できる位相調整器を設置してもよい。
音響信号はアナログ信号の他にデジタル信号として入力する場合は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信手段や、USBオーディオインターフェイスを有線接続手段として設けてもよい。一方、音響装置1の外部に駆動回路がある場合は、筐体5に内蔵される駆動回路を省略して外部駆動回路の音響駆動信号を直接振動発生器2に加えてもよい。
図8は、本実施形態に係る振動発生器2、及び振動発生器2の支持体3を筐体5に対し回転させた場合の正面図である。筐体5の左右に配置された2組の振動発生器2及び支持体3はそれぞれ回転ジョイント(回転対偶、軸体)6を介して筐体5に回転可能に接続されている。支持体3はレバー301を有する。レバー301は、支持体3と一体に形成され、支持体3に対して回転ジョイント6の位置から略直交方向に延びる。つまり、支持体3は全体として、レバー301を有するL字型もしくはV字型に形成される。バイオリン100の渦巻き101(+Y)方向、またはテールピース(緒止め板)111(−Y)方向に向かってレバー301に力を加えることで、回転ジョイント6を中心として筐体5に対して振動発生器2及び支持体3を一体に回転させることができる。つまり、バイオリン100に対して、振動発生器2及び支持体3を一体に回転させることができる。これにより、振動発生器2の位置を容易に微調整することができる。なお、バイオリン100に対する振動発生器2及び支持体3の移動は必ずしも回転移動である必要はない。水平方向や平行方向への直線状の移動や曲線状の移動、及びこれらを組み合わせた移動であってもよい。振動発生器2及び支持体3を、音響装置1のバイオリン100に対向する面に沿って移動可能である限り、移動の仕方は限定されない。
図1、図2に示されるように振動発生器2はf字ホール112に対向するように配置するため、振動発生器2は指板103、弦106、ブリッジ108と近接している。振動発生器2のサイズが大きい場合には、表板107と弦106の間の空間に振動発生器2の一部23が入り込むため、音響装置1は非常に着脱しにくい。
図8ではレバー301に渦巻き101(+Y)方向の上向きの力を加え、回転ジョイント6を中心として左右の振動発生器2及び支持体3を、互いに離れる方向に回転している。これにより、振動発生器2を指板103、弦106、及びブリッジ108から離間させることができ、音響装置1をバイオリン100から容易に着脱できる。逆にレバー301に−Y方向の下向きの力を加えた場合、回転ジョイント6を中心として左右の振動発生器2及び支持体3を、互いに接近する方向に回転でき、図2に示すように振動発生器2をバイオリンのf字ホール112に対向させて配置できる。
本実施形態によれば、振動発生器2、及び支持体3が筐体5に回転可能に接続されているため、音響装置1及びバイオリン100を容易に着脱することができる。バイオリン100に音響装置1を装着した場合は豊かな音響を再生することができ、取り外した後は装着前と変わらず楽器本来の演奏を楽しむことができる。
実施形態2
図9は、本実施形態に係る振動発生器2を支持体3に対し回転させた場合の正面図である。支持体3はリング状(円形)の係合部302を有し、係合部302は振動発生器2の磁気回路形成用のプレート203に回転可能に勘合している。これにより、支持体3に対して振動発生器2を回転させることができ、支持体3に対する振動発生器2の角度を調整することができる。左右の回転ジョイント6を結ぶ直線C1の中点を通る垂線C2(Y軸方向)に対し、左右の振動発生器21、22のフレームの対向する辺221、222を平行になるように回転させることで、振動発生器21、22を指板103、弦106、及びブリッジ108から離間させることができる。なお垂線C2はバイオリン100の幅方向(X方向)の中心に等しい。
図10は、図9において振動発生器2の一方をバイオリン100の渦巻き101(+Y)方向に見たA−A断面図である。係合部302とプレート203の間には摩擦を低下させるブッシュ(円筒部品)320を挿入することが望ましい。ブッシュ320にはポリエチレン(PE)やナイロン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリアセタール(POM)などの樹脂が好適に用いられる。また、ブッシュに変えて係合部302表面に潤滑剤を塗布しても良く、摩擦が小さく振動発生器2を容易に回転させることができ耐久性のある材料であればこれに限定されるものではない。
係合部302の形状はリング状に限らず多角形でも良く、一連ではなく複数の部品が螺子等で連結されていても良い。さらに、係合部302が勘合する対象はプレート203に限らずマグネット204など、振動発生器2を回転可能に保持できれば良く、これに限定されるものではない。
本実施形態によれば、振動発生器2を大きく動かすことなく音響装置1をバイオリン100に対し容易に着脱することができる。
実施形態3
図11は、本実施形態に係る2つの支持体3を連動させるリンク機構の正面図である。リンク機構は、回転ジョイント61、62と、アーム303と、回転ジョイント304、305と、リンク(節)331により構成されている。図11において左の支持体31は、二つの回転ジョイント61、62を結ぶ直線C1より糸巻き101(+Y)方向に延びるアーム303を有する。リンク331の一端はアーム303の一端と回転ジョイント304で回転可能に接続される。アーム303の他端は、回転ジョイント305により、右の支持体32と回転可能に接続されている。回転ジョイント305は、支持体32上であって、二つの回転ジョイント61、62を結ぶ直線C1より−Y方向の適切な位置に設けられている。
左の支持体31のレバー301を矢印M1のように糸巻き101(+Y)方向に押し上げると、回転ジョイント61を支点として支持体31は時計回りに回転する。このとき、アーム303及びリンク331は右の支持体32に近づくように時計回りに回転する。そして、回転ジョイント305により接続されている支持体32は、右の回転ジョイント62を支点として反時計回りに回転する。しかるに、支持体31及び32は点線で示されるように互いに離間する。逆にレバー301を−Y方向に押し下げると、支持体31及び32は互いに近接する方向に回転する。左右の支持体31及び32はリンク331で接続されているため、支持体31及び32の一方の回転は他方に逆回転として伝達される。これにより、左右の支持体31及び32は逆方向に回転する。つまり、一方の支持体31の回転方向は、他方の支持体32の回転方向と逆方向となる。また、適切な配置とすることでバイオリン100の幅方向(X方向)の中心を基準として左右の支持体31及び32は同一距離だけ離間もしくは近接させることもできる。以上説明したように、2つの支持体31及び32はリンク機構により互いに接続されており、リンク機構により互いに連動して移動する。
本実施形態によれば、左右の支持体31、32及び振動発生器21、22が同時に互いに離間する、または互いに近接するため、音響装置1をバイオリン100に対し容易に着脱することができる。
実施形態4
図12は、本実施形態に係るリンク機構の変形例の詳細図である。リンク機構は、回転ジョイント61、62と、回転ジョイント307、308、309、310と、第一のリンク332と、第二のリンク333と、第三のリンク334とにより構成されている。図12において左の支持体31と、第一のリンク332は回転ジョイント306により回転可能に接続されている。右の支持体32と、第二のリンク333は回転ジョイント310により回転可能に接続されている。第三のリンク334は略中央付近の適切な位置で回転ジョイント308により筐体5に回転可能に接続されている。リンク334の一端は回転ジョイント307によりリンク332と回転可能に接続され、他端は回転ジョイント309によりリンク333と回転可能に接続されている。
左の支持体31のレバー301を矢印M1のように糸巻き101(+Y)方向に押し上げると、回転ジョイント61を支点として支持体31及びリンク332は時計回りに回転する。このとき、リンク332と回転ジョイント307で接続されたリンク334は、回転ジョイント308を中心として時計回りに回転する。これにより、回転ジョイント309で接続されているリンク333、及び回転ジョイント308で接続されている支持体32は回転ジョイント62を中心として反時計回りに回転する。しかるに、支持体31、32及び振動発生器21、22は点線で示されるように互いに離間する。逆にレバー301を−Y方向に押し下げると支持体31、32及び振動発生器21、22は互いに近接する方向に回転する。左右の支持体31、32及び振動発生器21、22はリンク332、333、334、及び回転ジョイント306、307、308、309、310で接続されているため一方の回転は他方に逆回転として伝達される。
回転ジョイント306、307、308、310、は二つの回転ジョイント61、62を結ぶ直線C1よりテールピース111(−Y)方向に位置し、リンク332、333、334の長さ、及び回転ジョイント306、307、308、309、310との接続位置を適切に選ぶことで、支持体31及び32の回転角の絶対値を略同一にできる。一例として、回転ジョイント61と62の距離を44mm、回転ジョイント61と回転ジョイント306、及び回転ジョイント62と回転ジョイント310の距離を15mm、回転ジョイント308を回転ジョイント61と回転ジョイント62を結ぶ直線C1の中点から−Y方向に15mmの位置に配置する。また、リンク332の回転ジョイント306、307間の距離を32.32mm、リンク333の回転ジョイント309、310間の距離を29.22mmとし、リンク334の回転ジョイント308、309間の距離を10mm、回転ジョイント307、308間の距離を13.75mmとする。このとき、支持体31を時計回りに45°回転させると、支持体32は反時計回りにおよそ45°回転する。以上説明したように、2つの支持体31及び32はリンク機構により互いに接続されており、リンク機構により互いに連動して移動する。
本実施形態によれば、左右の支持体31、32及び振動発生器21,22が互いに同時におよそ均等に離間する、または互いにおよそ均等に近接するため、音響装置1をバイオリン100に対し、より容易に着脱することができる。
実施形態5
図13、図14は、本実施形態に係るリンク機構の変形例の詳細図である。図13は連結機構の正面図、図14は、図13のスライダー(線対偶)313の中心を通り糸巻き101(+Y)方向に見たB−B断面図である。リンク機構は、回転ジョイント61、62と、アーム311、312と、スライダー313と、ガイド314とにより構成されている。支持体31及び32はそれぞれアーム311、312を有している。アーム311、312は、回転ジョイント61、62の位置から、支持体31及び32に設けられたレバーとは逆方向に向けて、支持体31及び32の本体部と略直交方向に延びる。これにより、支持体31及び32は全体として、T字型に形成される。アーム311、312は、スライダー313に対して回転可能に接続されている。スライダー313は、筐体5の内部に設けられたレール状の直進ガイド314に保持されている。直進ガイド314は接着剤等により筐体5に接合されている。
スライダー313に勘合するアーム311、312の勘合部は、スライダー313との接触箇所が移動できるようにそれぞれアームの軸方向に延びる長孔315、316となっている。ガイド314は、バイオリン100の幅方向(X方向)の中心線上(Y方向)に延びる長孔317を有している。スライダー313がガイド314の長孔317に挿入されることにより、スライダー313は、糸巻き101(+Y)またはテールピース(−Y)方向、つまり対象楽器であるバイオリン100の長手方向にのみ移動する。つまり、スライダー313は、回転ジョイント61、62から常に等距離に位置する。つまり、ガイド314により、スライダー313は、2つの支持体31、32から常に等距離の位置で移動させられる。これにより、バイオリン100の中心線に対する支持体31の傾きと支持体32の傾きを常に一定に保つことができる。アーム311、312及び直進ガイド314の長孔と接触するスライダー313の接触箇所は、円筒状で線接触する。また、容易に外れないようにフランジ(鍔)318、319を有する。スライダー313の材質は金属や、摩擦抵抗が小さい樹脂が用いられるが、スライダー313の表面に潤滑剤を塗布しても良い。いずれの場合も摩擦が小さくスライダー313が容易に移動でき耐久性のある材料であればこれに限定されるものではない。
左の支持体31のレバーを矢印M1のように+Y方向に押し上げた場合、支持体61及びアーム311は回転ジョイント61を中心として時計回りに回転し、スライダー313を−Y方向に押し下げる。アーム312はスライダー313と接続されているためスライダー313と同じ位置まで押し下げられ、回転ジョイント62を中心として支持体32を反時計回りに回転させる。このとき、回転ジョイント61と62を結ぶ直線C1の中点を通る垂線C2に対して、左側(−X)の回転ジョイント61、支持体31及びアーム311と、右側(+X)の回転ジョイント62、支持体32及びアーム312は対称であるため、支持体31、32、及び振動発生器21,22は点線で示されるように互いに等しく(同一角度だけ)逆方向に回転する。以上説明したように、2つの支持体31及び32はスライダー313を含むリンク機構により互いに接続されており、リンク機構により互いに連動して移動する。
本実施形態によれば、左右の支持体31、32及び振動発生器21、22が互いに同時に均等に離間する、または互いに均等に近接するため、音響装置1をバイオリン100に対し、より容易に着脱することができる。
実施形態6
図15、図16は、本実施形態に係るジョイントの変形例である。図15は正面図、図16は、図15のスライダー(すべり対偶)345の中心を通りバイオリン100の幅方向(+X方向)に見たスライダー345近傍のC−C断面図である。音響装置1の左側の支持体31は操作レバー341を有し、振動発生器21を保持している。支持体31および振動発生器21は、スライダー345及び直進ガイド347により、筐体5に対して音響装置1の対象楽器に対向する面に沿って移動可能に接続されている。直進ガイド347は接着剤等により筐体5に接合されている。直進ガイド347には長孔343が設けられ、スライダー345がバイオリン100の幅方向(X方向)にのみ移動できるように挿入されている。直進ガイド347と接触するスライダー345の接触個所は平面で直進ガイド347と面接触する。スライダー345は直進ガイド347から容易に外れないようにフランジ(鍔)349、351を有する。
同様に音響装置1の右側の支持体32は操作レバー342を有し、振動発生器22を保持している。支持体32および振動発生器22は、スライダー(滑り対偶)346及び直進ガイド348により、筐体5に対し移動可能に接続されている。直進ガイド348は接着剤等により筐体5に接合されている。直進ガイド348には長孔344が設けられ、スライダー348がバイオリン100の幅方向(X方向)にのみ移動できるように挿入されている。スライダー346は図示しないが、スライダー345と同様にフランジ(鍔)を有する。
左の支持体31のレバー341を矢印M1方向(−X方向)にスライドさせると、支持体31および振動発生器21はスライダー345及び直進ガイド347により構成されるリンク機構により、点線で示されるように筐体5に対し左(−X方向)に移動し、バイオリン100の指板103、弦106やブリッジ108から離間する。同様に右の支持体32のレバー342を矢印M2方向(+X方向)にスライドさせると、支持体32および振動発生器22はスライダー346及び直進ガイド348により構成されるリンク機構により、点線で示されるように筐体5に対し右(+X方向)に移動し、バイオリン100の指板103、弦106やブリッジ108から離間する。
レバー341を矢印M1とは逆方向(+X方向)に、又はレバー342を矢印M2とは逆方向(―X方向)にスライドさせた場合、左右の支持体31、32および振動発生器21、22はバイオリン100の指板103、弦106およびブリッジ108に近接するため、f字ホール112に対向させることができる。
また、左右の支持体31、32は図示しないが、一方の移動が他方に逆方向の移動として伝達するリンク機構により連結されていても良い。なお、上記では支持体31および振動発生器21が筐体5に対し左右(X方向)に移動する例を示したが、スライダーの向きを変更することにより、支持体31および振動発生器21を筐体5に対し上下方向(Y方向)に移動する構成とすることも可能である。また、X方向やY方向とは異なる方向に移動する構成とすることやスライダー345(滑り対偶)に変えて、スライダー313(線対偶)と同様の直進ガイド347の長孔343と線接触する円筒状のスライダーとすることで、直進に加えて回転する構成とすることも可能である。
本実施形態によれば、左右の支持体31、32及び振動発生器21、22がバイオリン100の指板103、弦106およびブリッジ108に対し離間、または近接するため、音響装置1をバイオリン100に対し、より容易に着脱することができる。

Claims (8)

  1. 共鳴胴及びサウンドホールを有する対象楽器を共鳴させ音を放出するための音響装置であり、
    前記対象楽器の外側から前記サウンドホールに向けて配置され、音響駆動信号を音響振動に変換し、前記サウンドホールの前面に対向するように配置された振動板を有する振動発生器と、
    前記振動発生器を保持する支持体と、
    前記音響装置を前記対象楽器の前面であって所定の位置に保持するように当該対象楽器に直接係止、もしくは前記対象楽器を保持するスタンドに係止するための係止部と、
    前記係止部と前記支持体を保持する筐体と、
    前記支持体を前記筐体に対し当該音響装置の前記対象楽器に対向する面に沿って移動可能に接続するためのジョイントと、
    を有していることを特徴とする音響装置。
  2. 前記音響装置は、前記振動発生器及び前記支持体を複数有することを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
  3. 前記複数の支持体は、リンク機構により互いに接続されており、
    前記複数の支持体は、リンク機構により互いに連動して移動することを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
  4. 前記複数の支持体は、前記ジョイントにより前記筐体に対して回転可能であることを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
  5. 前記振動発生器は、前記支持体に対して回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
  6. 前記複数の支持体は2つの支持体により構成され、
    一方の支持体の回転方向は、他方の支持体の回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
  7. 前記リンク機構は、前記対象楽器の長手方向に移動可能なスライダーを含むことを特徴とする請求項3に記載の音響装置。
  8. 前記複数の支持体は2つの支持体により構成され、
    前記スライダーを前記2つの支持体から常に等距離の位置で移動させるガイドを有することを特徴とする請求項7に記載の音響装置。
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