JP2021135379A - 画像形成方法及び画像形成システム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制しつつ、低温低湿環境におけるトナーの過剰帯電を抑制でき、長期に渡って良好な画像出力を可能とする画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。【解決手段】本発明の画像形成方法は、少なくとも像担持体、現像部及び転写部を備えた画像形成装置と、静電荷像現像用トナーを用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記像担持体の回転方向において前記現像部の下流側かつ前記転写部の上流側に、前記像担持体の表面のトナーキャリアを磁力と静電気力によって回収する回収機構を設け、前記静電荷像現像用トナーが、少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子表面に付着された無機微粒子と、を有し、かつ、前記無機微粒子の体積抵抗率が、1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成方法及び画像形成システムに関し、特に、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制しつつ、低温低湿環境におけるトナーの過剰帯電を抑制でき、長期に渡って良好な画像出力を可能とする画像形成方法及び画像形成システムに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置の性能が向上し、高速に高画質の印刷を実行することが可能になってきている。このような電子写真方式の画像形成装置のうち、従来から二成分現像方式の画像形成装置が知られている。二成分現像方式は、階調性などの点において優れているため、電子写真方式の画像形成装置に広く用いられている。
二成分現像方式では、現像部に収容されたトナー及びキャリアの二成分を含む現像剤を使用して現像する。トナーは、帯電した有色の微粒子であり、感光体上の静電潜像に付着し、現像する役割を担う。一方、キャリアは、磁性材料を含み、トナーを担持して現像部の現像ローラーの回転によりトナーを感光体へ搬送するとともに、トナーを帯電させる役割を担う微粒子である。キャリアが感光体に付着すると、画質低下の原因となりうる。そのため、現像部は、キャリアに磁界をかけてキャリアが現像部から感光体に移ることを抑制している。
ところが、印刷の高速化が進むにつれて現像ローラーの回転数が増加し、現像ローラー上のキャリアに働く遠心力が増大していることに加え、印刷の高画質化が進むにつれてキャリア粒径が小さくなってきている。その結果、従来に比べて、キャリアがより感光体に付着しやすくなってきている。
これに関連して、例えば、下記特許文献1には、感光体上に付着したキャリアを除去する技術が開示されている。特許文献1の技術では、感光体に対向する位置に設けられ、磁石を内蔵する外部キャリア除去部材(キャリア捕集部)に一定の直流バイアスを印加し、磁界及び電界の力により感光体上のキャリアを吸引して除去する。
しかしながら、特許文献1の技術では、回収ローラーは、キャリアを回収するための電界によって、感光体ドラム上の弱帯電/逆帯電トナーを回収してしまう。回収ローラーの表面にトナーが堆積して感光体ドラムと回収ローラーとの空隙が埋まると、トナーが感光体に再付着し、画像汚れの原因となる。したがって、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制し、画像汚れを未然に防ぐ必要がある。
特開平11−237788号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制しつつ、低温低湿環境におけるトナーの過剰帯電を抑制でき、長期に渡って良好な画像出力を可能とする画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、キャリアを回収するための回収機構を設け、かつ、体積抵抗率が特定範囲の無機微粒子をトナー母体粒子表面に付着させたトナーを用いることにより、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制でき、また、低温低湿環境におけるトナーの過剰帯電を抑制することができる画像形成方法等を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも像担持体、現像部及び転写部を備えた画像形成装置と、トナーを用いて画像を形成する画像形成方法であって、
前記像担持体の回転方向において前記現像部の下流側かつ前記転写部の上流側に、前記像担持体の表面のキャリアを磁力と静電気力によって回収する回収機構を設け、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子表面に付着された無機微粒子と、を有し、かつ、
前記無機微粒子の体積抵抗率が、1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内であることを特徴とする画像形成方法。
2.前記無機微粒子の平均粒径が、10〜50nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
3.前記無機微粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
4.前記無機微粒子が、アルミナ粒子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
5.前記トナー母体粒子表面に、さらに無機微粒子として、チタン酸ストロンチウム粒子を付着することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
6.前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均粒径が、40〜80nmの範囲内であることを特徴とする第5項に記載の画像形成方法。
7.前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることを特徴とする第5項又は第6項に記載の画像形成方法。
8.前記トナー母体粒子表面に、さらに無機微粒子として、チタン酸カルシウム粒子を付着することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
9.前記チタン酸カルシウム粒子の平均粒径が、40〜80nmの範囲内であることを特徴とする第8項に記載の画像形成方法。
10.前記チタン酸カルシウム粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることを特徴とする第8項又は第9項に記載の画像形成方法。
11.前記キャリアが、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子からなり、
前記キャリア粒子表面における前記芯材粒子の露出面積比率が、当該芯材粒子の表面積に対して、10.0〜18.0%の範囲内であることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
12.静電荷像現像用トナーと画像形成装置を備えた画像形成システムであって、
第1項から第11項までのいずれか一項に記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成システム。
本発明の上記手段により、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制しつつ、低温低湿環境におけるトナーの過剰帯電を抑制でき、長期に渡って良好な画像出力を可能とする画像形成方法及び画像形成システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の画像形成方法では、トナーがトナー母体粒子と無機微粒子とを有し、当該無機微粒子の体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内である。1×1012Ω・cm未満の無機微粒子を使用した場合は、弱帯電/逆帯電トナーが発生し、前記回収機構の表面にトナーが堆積して像担持体と回収機構の回収ローラーとの空隙が埋まると、トナーが像担持体に再付着し、画像汚れの原因となる。一方、1×1015Ω・cmより大きな無機微粒子を使用した場合は、低温低湿環境下の過剰帯電を抑制することができず画像濃度が確保できない問題が生じる。したがって、体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内の無機微粒子をトナー母体粒子の表面に付着させることで、弱帯電/逆帯電トナーの発生を抑制しつつ、低温低湿環境におけるトナーの過剰帯電を抑制でき、長期に渡って良好な画像を出力することができる。
本発明の画像形成装置の概略構成を示した図 回収機構の概略構成を示した図
本発明の画像形成方法は、少なくとも像担持体(以下、「感光体」ともいう。)、現像部及び転写部を備えた画像形成装置と、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記像担持体の回転方向において前記現像部の下流側かつ前記転写部の上流側に、前記像担持体の表面のトナーキャリア(以下、単に「キャリア」ともいう。)を磁力と静電気力によって回収する回収機構を設け、前記静電荷像現像用トナーが、少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子表面に付着された無機微粒子と、を有し、かつ、前記無機微粒子の体積抵抗率が、1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記無機微粒子の平均粒径が、10〜50nmの範囲内であることが、トナーからの前記無機微粒子の脱離を抑制することができ、トナーの抵抗を安定化させることができる。
前記無機微粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることが、低温低湿化の画像安定性とキャリア付着抑制の点で好ましい。
前記無機微粒子が、アルミナ粒子であることが、チタニア粒子よりも抵抗が高くかつシリカ粒子よりも抵抗が低く、弱帯電/逆帯電トナーの生成を抑制し、回収機構へのトナー蓄積を防ぐことができる点で好ましい。
前記トナー母体粒子表面に、さらに無機微粒子として、チタン酸ストロンチウム粒子を付着することが、前記無機粒子の脱離抑制の点で好ましい。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均粒径が、40〜80nmの範囲内であることが、トナーの抵抗を安定化させることができ、また、チタン酸ストロンチウム粒子がトナー表面から脱離しにくくなり、帯電量の安定性の点で好ましい。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることが、前記無機粒子の脱離抑制と帯電量の安定性の点で好ましい。
また、前記トナー母体粒子表面に、さらに無機微粒子として、チタン酸カルシウム粒子を付着することが、前記無機粒子の脱離抑制の点で好ましい。
前記チタン酸カルシウム粒子の平均粒径が、40〜80nmの範囲内であることが、トナーの抵抗を安定化させることができ、また、チタン酸カルシウム粒子がトナー表面から脱離しにくくなり、帯電量の安定性の点で好ましい。
前記チタン酸カルシウム粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることが、前記無機粒子の脱離抑制と帯電量の安定性の点で好ましい。
前記キャリアが、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子からなり、前記キャリア粒子表面における前記芯材粒子の露出面積比率が、当該芯材粒子の表面積に対して、10.0〜18.0%の範囲内であることが、キャリアの抵抗値が高くなりすぎず、初期及び連続印字後で高画質な画像を出力することができ、また、キャリアの像担持体への付着を抑制でき、連続印字における画質の劣化が抑制される点で好ましい。
本発明の画像形成システムは、静電荷像現像用トナーと画像形成装置を備え、前記画像形成方法に好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の画像形成方法の概要]
本発明の画像形成方法は、少なくとも像担持体、現像部及び転写部を備えた画像形成装置と、静電荷像現像用トナーを用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記像担持体の回転方向において前記現像部の下流側かつ前記転写部の上流側に、前記像担持体の表面のトナーキャリアを磁力と静電気力によって回収する回収機構を設け、前記静電荷像現像用トナーが、少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子表面に付着された無機微粒子と、を有し、かつ、前記無機微粒子の体積抵抗率を、1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内とすることを特徴とする。
<画像形成装置>
本発明の画像形成方法で用いられる画像形成装置には、シートに転写するトナー像を担持する像担持体と、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤により前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体が担持するトナー像を転写する転写部と、を備える。また、前記像担持体の回転方向において前記現像部の下流側かつ前記転写部の上流側に、回収機構を備える。
前記回収機構は、前記現像部から前記像担持体の表面に付着したキャリアを磁力と静電気力によって回収するための機構である。
このような画像形成装置についての詳細は後述する。
<無機微粒子の体積抵抗率>
本発明の画像形成方法において、使用するトナーのトナー母体粒子表面に付着させる無機微粒子の体積抵抗率は、1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内とする。より好ましくは、1×1012〜1×1014Ω・cmの範囲内である。
1×1012Ω・cm未満の無機微粒子を使用した場合には、弱帯電/逆帯電トナーが発生し、キャリア回収の表面にトナーが堆積して感光体ドラムと回収ローラーとの空隙が埋まると、トナーが感光体に再付着し、画像汚れの原因となる。一方、1×1015Ω・cmより大きな無機微粒子を使用した場合は、低温低湿環境下の過剰帯電を抑制することができず画像濃度が確保できない問題が生じる。
前記無機微粒子の体積抵抗率は、当該無機微粒子をペレットにして測定する。具体的には、まず無機微粒子を温度20℃、湿度50%RHの環境下に一晩放置したのちに、その環境下で無機微粒子を0.5〜1.0g計量し治具に充填して1tの圧力を20秒間加えることで厚さ2mm±0.1mmになるようにした成形ペレットを作製する。そのペレットを武田理研(株)製TR8611A型デジタル超絶縁抵抗/微少電流計により測定することにより、体積抵抗率を求めることができる。
<無機微粒子の平均粒径>
体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内にある前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、10〜50nmの範囲内であることが好ましく、8〜40nmの範囲内であることが特に好ましい。前記平均粒径が、10〜50nmの範囲内の比較的小さな無機微粒子を用いることで、トナーからの無機微粒子の脱離を抑制することができ、トナーの抵抗を安定化させることができる。
前記無機微粒子の平均粒径の測定方法は、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子社製)を用いて、3万倍に拡大したトナーのSEM写真を撮影し、当該SEM写真を観察して無機微粒子の一次粒子の粒径(フェレ径)を測定し、その合計値を個数で割って平均粒径を求める。粒径の測定は、SEM画像において粒子の総数が100〜200個程度となるような領域を選択して行う。
<無機微粒子の含有量>
体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内にある前記無機微粒子の含有量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることが好ましく、0.10〜0.45質量部の範囲内であることがより好ましい。
<アルミナ粒子>
体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内にある前記無機微粒子としては、アルミナ粒子であることが好ましい。アルミナ粒子は、チタニア粒子よりも抵抗が高く、シリカ粒子よりも抵抗が低い。
アルミナ粒子は、公知の方法により作製することができる。アルミナ粒子を作製する方法としては、バイヤー法が一般的であるが、高純度かつナノサイズのアルミナを得るために、加水分解法(住友化学製)、気相合成法(シーアイ化成製)、火炎加水分解法(日本アエロジル製)、水中火花放電法(岩谷化学製)等を挙げることができる。
(表面修飾方法)
アルミナ粒子の表面修飾剤としては、一般的なカップリング剤やシリコーンオイルや脂肪酸、脂肪酸金属塩などを用いることができるが、シラン化合物やシリコーンオイルが好ましい。
シラン化合物としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等が挙げられる。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。本発明に用いられる表面修飾剤は、特に好ましくは、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランが挙げられる。
シリコーンオイルの具体例としては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。また、側鎖、又は片末端や両末端や側鎖片末端や側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルを用いてもよい。変性基の種類としては、アルコキシ、カルボキシ、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル、アミノなどが挙げられるが特に限定されるものではない。また、例えば、アミノ/アルコキシ変性など数種の変性基を有するシリコーンオイルであってもよい。また、ジメチルシリコーンオイルとこれら変性シリコーンオイル、さらには他の表面修飾剤とを混合処理若しくは併用処理しても構わない。併用する処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、各種シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸等を例示することができる。
表面修飾方法としては、例えば、気相中で浮遊させられた粒子に対して処理剤又は処理剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法や処理剤を含有する溶液中に粒子を浸漬し、乾燥する湿式法や処理剤と粒子を混合機により混合する混合法などが挙げられる。
<チタン酸カルシウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子>
本発明の画像形成方法では、体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内にある前記無機微粒子以外に、さらに無機微粒子として、チタン酸カルシウム粒子やチタン酸ストロンチウム粒子(以下、チタン酸化合物の粒子ともいう。)を併用することが望ましい。
当該チタン酸化合物の粒子(チタン酸カルシウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子)の一次粒子の平均粒径は、40〜80nmの範囲内であることが好ましい。当該チタン酸化合物の粒子は比重が高く、体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内にある前記無機微粒子と混合時に衝突することにより、当該無機微粒子をトナーに埋め込む効果があり、当該無機微粒子の脱離を抑制することができ、トナーの抵抗を安定化させることができる。40nm以上であることにより、この効果が大きくなり、80nm以下であると、前記チタン酸化合物の粒子がトナー表面から脱離しにくくなり、帯電量の安定性が向上する。
前記チタン酸カルシウム粒子の平均粒径の測定方法は、形状(立方体状又は直方体状、不定形)によって測定方法が異なる。
立方体状又は直方体状のチタン酸カルシウム粒子の粒径は次の方法で測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日本電子(株)製の「JSM−7401F」)を用いて、倍率40000倍でトナー粒子表面の外添剤を観察する。外添剤の一次粒子の画像解析によって、粒子ごとの最長径及び最短径を測定し、その中間値を球相当径とする。そして、測定した100個の一次粒子の粒子径と個数を元に個数粒度分布を求める。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸カルシウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸カルシウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの粒径を、チタン酸カルシウム粒子の粒径とする。
不定形のチタン酸カルシウム粒子のピークトップ粒径は次の方法で測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率5000倍でトナーの画像撮影を行う。次いで、その視野でのエネルギー分散型X線分析(EDS分析)を行う。その際、カルシウムとチタンの元素分析を行い、チタン酸カルシウム粒子を確定する。チタン酸カルシウムを確定したSEM画像を、画像処理解析装置(例えば、「LUZEX AP」(ニレコ社製))にて2値化処理する。複数の写真の中で、チタン酸カルシウム100個についての水平方向フェレ径を算出し、当該水平方向フェレ径と個数を元に粒度分布を求める。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸カルシウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸カルシウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの水平方向フェレ径をチタン酸ストロンチウム粒子の粒径とする。ここで水平方向フェレ径とは、外添剤の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さとする。
なお、チタン酸カルシウムの数平均一次粒径が小径であり、凝集体としてトナー表面に存在する場合は、当該凝集体を形成する一次粒子の粒径を測定するものとする。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均粒径の測定方法は、形状(立方体状又は直方体状、不定形)によって測定方法が異なる。
立方体状又は直方体状のチタン酸ストロンチウム粒子の粒径は次の方法で測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日本電子(株)製の「JSM−7401F」)を用いて、倍率40000倍でトナー粒子表面の外添剤を観察する。外添剤の一次粒子の画像解析によって、粒子ごとの最長径及び最短径を測定し、その中間値を球相当径とする。そして、測定した100個の一次粒子の粒子径と個数を元に個数粒度分布を求める。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの粒径を、チタン酸ストロンチウム粒子の粒径とする。
不定形のチタン酸ストロンチウム粒子のピークトップ粒径は次の方法で測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率5000倍でトナーの画像撮影を行う。次いで、その視野でのエネルギー分散型X線分析(EDS分析)を行う。その際、ストロンチウムとチタンの元素分析を行い、チタン酸ストロンチウム粒子を確定する。チタン酸ストロンチウムを確定したSEM画像を、画像処理解析装置(例えば、「LUZEX AP」(ニレコ社製))にて2値化処理する。複数の写真の中で、チタン酸ストロンチウム100個についての水平方向フェレ径を算出し、当該水平方向フェレ径と個数を元に粒度分布を求める。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの水平方向フェレ径をチタン酸ストロンチウム粒子の粒径とする。ここで水平方向フェレ径とは、外添剤の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さとする。
なお、チタン酸ストロンチウムの数平均一次粒径が小径であり、凝集体としてトナー表面に存在する場合は、当該凝集体を形成する一次粒子の粒径を測定するものとする。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有量は、トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることが好ましく、0.10〜0.40質量部の範囲内であることがより好ましい。
また、前記チタン酸カルシウム粒子の含有量も、トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることが好ましく、0.10〜0.40質量部の範囲内であることがより好ましい。
本発明に使用可能なチタン酸カルシウム粒子は、公知の方法により作製することが可能である。
例えば、メタチタン酸と呼ばれる水和物の形態を有する酸化チタン(IV)化合物TiO・HOを経て作製する方法がある。この方法は、前記酸化チタン(IV)化合物を炭酸カルシウムの炭酸金属塩又は金属酸化物と反応させた後、焼成処理によりチタン酸カルシウムに代表されるチタン酸化合物を生成する方法である。なお、メタチタン酸等の酸化チタンの加水分解物は、鉱酸解膠品とも呼ばれ、酸化チタン粒子が分散した液の形態を有するものである。この酸化チタン加水分解物よりなる鉱酸解膠品に水溶性の炭酸金属塩や金属酸化物を添加し、その混合液を50℃以上にしてアルカリ水溶液を添加しながら反応することによりチタン酸化合物が作製される。
鉱酸解膠品の代表例の1つメタチタン酸は、亜硫酸SOの含有量が1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下で、塩酸によりpH0.8〜1.5に調整して解膠処理したものである。
作製に使用されるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液に代表される苛性アルカリ水溶液が好ましく使用される。
チタン酸化合物の製造工程では、酸化チタンの水和物や加水分解物と金属酸化物等の添加比率、反応時における酸化チタン水和物や加水分解物の濃度、アルカリ水溶液添加時の温度や添加速度等を調整して、チタン酸化合物の粒径を制御することができる。また、反応工程で炭酸化合物の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
アルカリ水溶液を添加する時の温度は、高いほど結晶性のものが得られるが、実用的には50〜101℃の範囲が適切である。
また、アルカリ水溶液の添加速度は得られるチタン酸化合物の粒子径に影響を与える傾向があり、添加速度が遅いほど粒子径の大きなチタン酸化合物が得られ、添加速度が速いほど粒子径の小さなものが形成される傾向がある。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001〜1.0当量/時、好ましくは0.005〜0.5当量/時で、所望の粒子径に応じて適宜調整することが可能である。アルカリ水溶液の添加速度は目的に応じて途中で変更することも可能である。
本発明に係るチタン酸カルシウム粒子は、表面が疎水化処理されていることが分散性の観点から好ましい。
疎水化処理剤としては、一般的なシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、各種シリコーンオイル、シリコーンオイルや脂肪酸、脂肪酸金属塩などを用いることができるが、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等が挙げられる。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。
本発明に使用可能なチタン酸ストロンチウム粒子は、形状によって以下の方法により製造することができる。
(立方体状及び/又は直方体状のチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法)
立方体状及び/又は直方体状のチタン酸ストロンチウム粒子は、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタンスラリーのpHを調整して得たチタニアゾル分散液に、ストロンチウムの水酸化物を添加して、反応温度まで加温することで合成することができる。含水酸化チタンスラリーはpH0.5以上1.0以下とすることで、良好な結晶化度及び粒径のチタニアゾルが得られる。また、チタニアゾル粒子に吸着しているイオンを除去する目的で、当該チタニアゾルの分散液に、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質を添加することが好ましい。このとき、アルカリ金属イオン等を含水酸化チタン表面に吸着させないために、スラリーはpH7以上にしないことが好ましい。また、反応温度は60℃以上100℃以下が好ましく、所望の粒度分布を得るためには、昇温速度を30℃/時間以下にすることが好ましく、反応時間は3時間以上7時間以下であることが好ましい。
製造方法の一例を示すと、硫酸チタニルから加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄する。次に、得られた含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、チタニアゾル分散液を得る。チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、含水酸化チタンを得る。含水酸化チタンにSr(OH)・8HOを加え、窒素ガス置換を行い、蒸留水を加える。窒素雰囲気中で当該スラリーを80℃まで昇温し、80℃で6時間反応を行う。反応後室温まで冷却し、洗浄をくり返し、その後、濾過、乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得る。このように焼成工程を経由しない製造方法(湿式法)にすることで、立方体状及び/又は直方体状のチタン酸ストロンチウムを得ることができる。
(不定形のチタン酸ストロンチウム粒子の製造方法)
不定形のチタン酸ストロンチウム粒子は、焼成工程を経由する焼成法によって得ることができる。例えば、炭酸ストロンチウムと酸化チタンをほぼ等モルとり、ボールミル等で混合した後、圧力成形し、1000〜1500℃の範囲内で焼成し、次いで、機械粉砕後、分級することで製造することができる。なお、形状、粒径等は、原料、原料組成、成形圧、焼成温度、粉砕及び分級を適宜変更することにより調整することができる。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の画像形成方法に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)は、トナー母体粒子と、トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを備えるトナー粒子を含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、少なくとも結着樹脂を含むものであり、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
<トナー母体粒子>
前記トナー母体粒子は、非晶性ポリエスエル樹脂を主成分とする結着樹脂を含有することが好ましい。
《結着樹脂》
トナー母体粒子を構成する結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましい。また、トナー母体粒子に含まれる非晶性樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂を単独で用いてもよく、他の非晶性樹脂と併用してもよい。非晶性樹脂の分子量は特に限定されない。
ここで、非晶性とは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning alorimetry)により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点(Tg)を有するが、融点すなわち昇温時の明確な吸熱ピークがないことをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内の吸熱ピークをいう。なお、「主成分」とは、トナー母体粒子が含有する結着樹脂の中で最も含有割合が高い樹脂であることを意味する。
(非晶性ポリエステル樹脂)
前記非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂全体に対して、50〜96質量%の範囲内であることが好ましく、60〜90質量%の範囲内であることがより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、例えば、5000〜100000であることが好ましく、5000〜50000であることがより好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が5000以上であると、トナーの耐熱保管性を向上させることができ、100000以下であると、低温定着性をより向上させることができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。具体的な非晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の非晶性ポリエステル樹脂を用いることができる。また、結着樹脂に含まれる非晶性ポリエステル樹脂は、1種を単独でもよく、2種以上が併用されていてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の具体的な製造方法は、特に限られるものではなく、公知のエステル化触媒を利用して、多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を製造することができる。
(多価カルボン酸)
非晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価アルコールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸類が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂の調製には、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸としては、芳香族カルボン酸を使用することが好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂の調製において、ジカルボン酸とともに、3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)とを併用することが好ましい。ジカルボン酸と3価以上のカルボン酸とを併用することにより、非晶性ポリエステル樹脂が、架橋構造や分岐構造を含むことが可能となる。このため、トナー粒子の良好な定着性を確保するができる。3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、11,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(多価アルコール)
非晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価カルボン酸としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールとしては、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂の調製において、ジオールとともに、3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用することが好ましい。ジオールと3価以上の多価アルコールジカルボン酸とを併用することにより、非晶性ポリエステル樹脂が、架橋構造や分岐構造を含むことが可能となる。このため、トナー粒子の良好な定着性を確保することができる。
(エステル化)
上述の多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整してもよい。例えば、ポリエステル樹脂にモノカルボン酸、及び/又は、モノアルコールを加えることで、重合末端のヒドロキシ基、及び/又は、カルボキシ基をエステル化することができる。
モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができる。また、モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノール等を挙げることができる。
(非晶性ビニル樹脂)
トナー母体粒子は、結着樹脂を構成する非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂とともに非晶性ビニル樹脂を含むことが好ましい。
非晶性ビニル樹脂は、結着樹脂全体に対して、0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、0.3〜5質量%の範囲内であることがさらに好ましい。結着樹脂が非晶性ビニル樹脂を0.1〜20質量%の範囲内で含むことにより、トナー粒子の表面が適度な硬さとなるため、外添剤のトナー粒子への埋没が生じにくく、画質が高くなりやすい。また、非晶性ビニル樹脂の含有量を20質量%以下とすることにより、トナー粒子の低温定着性の低下を抑制することができる。なお、非晶性ビニル樹脂は、非晶性ビニル樹脂そのものとして結着樹脂に含まれていてもよく、非晶性ビニル樹脂成分がハイブリッド化した複合樹脂として結着樹脂に含まれていてもよい。
結着樹脂に用いるビニル樹脂としては、ビニル化合物が重合したものであれば特に限定されない。ビニル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル」と「メタクリル酸エステル」との総称である。
上記のビニル樹脂の中でも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂脂が好ましい。以下、非晶性樹脂としてのスチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂(以下、「スチレン−(メタ)アクリル樹脂」とも称する)について説明する。
スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体との付加重合により形成される。ここでいうスチレン単量体は、CH2=CH−C6H5の構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものを含む。また、ここでいう(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH2=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、構造中に公知の側鎖や官能基を有するアクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等を含む。
スチレン−(メタ)アクリル樹脂を形成することが可能なスチレン単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。これらのスチレン単量体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、スチレン−(メタ)アクリル樹脂を形成することが可能な(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独でも又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、スチレン単量体に由来する構成単位を、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の全量に対して40〜90質量%含むことが好ましい。また、スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位を、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の全量に対して10〜60質量%含むことが好ましい。
さらに、スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体を含んで構成されていてもよい。スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシ基を有する化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。これら単量体は、単独でも又は2種以上を組み合わせても使用することができる。
スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体に由来する構成単位を、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の全量に対して0.5〜20質量%含むことが好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル樹脂の製造方法は、特に制限されない。例えば、過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、及び、アゾ化合物等の任意の重合開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、及び、分散重合法等公知の重合手法を適用することにより、スチレン−(メタ)アクリル樹脂を製造することができる。
また、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の分子量を調整するために、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤は特に限定されず、例えば、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等を用いることができる。
スチレン−(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜100000であることが好ましい。
(結晶性樹脂)
トナー母体粒子は、非晶性ポリエステル樹脂とともに、結晶性樹脂を含んでいてもよい。結晶性樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂と親和性の高い、結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。トナー母体粒子は、結着樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を含むことにより、柔軟性が向上し、外添剤を好適に固着しやすくなる。また、結晶性ポリエステル樹脂を含むことにより、トナー粒子の低温定着性が向上しやすい。
なお、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性樹脂の融点(Tm)は、トナー粒子の十分な高温保存性を得る観点から60℃以上であることが好ましい。また、結晶性樹脂の融点(Tm)は、トナー粒子の十分な低温定着性を得る観点から85℃以下であることが好ましい。
結晶性樹脂の融点(Tm)は、DSCにより測定することができる。具体的には、結晶性樹脂の試料0.5mgをアルミニウム製パン「KITNO.B0143013」に封入し、熱分析装置「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。加熱は、10℃/分の昇温速度で0℃から150℃まで昇温し、150℃を5分間保持する。冷却は、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱の際に得られる吸熱曲線において、吸熱ピークのピークトップの温度を、結晶性樹脂の融点(Tm)として測定する。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂全体に対して5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、7〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が5質量%以上であれば、十分な可塑効果が得られ、トナー粒子の低温定着性が向上しやすい。また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が20質量%以下であれば、トナー粒子の熱的安定性や物理的なストレスに対する安定性が向上しやすい。
結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000〜10000であることが好ましく、3000〜7000であることがより好ましい。この範囲内であれば、定着画像の強度不足が発生しにくく、現像剤の撹拌中での結晶性樹脂の粉砕を抑制できる。さらに、過度な可塑効果によるトナーのガラス転移温度Tgの低下や、トナーの熱的安定性の低下を抑制することができる。また、シャープメルト性が発現し、トナー粒子の低温定着が可能となる。
結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いて測定した分子量分布から求めることができる。
まず、試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃において超音波分散機を用いて15分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)、及び、カラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定して作成する。
結晶性ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸と、多価アルコールとの重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、上述の結晶性を示す樹脂を用いることができる。結晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価カルボン酸及び多価アルコールの例としては、以下が挙げられる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、3価以上のカルボン酸として、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、11,2,4−ナフタレントリカルボン酸等が挙げられる。さらに、これらカルボン酸化合物の無水物、及び、炭素数1〜3の低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂において、脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の含有量は、上記ジカルボン酸由来の構成単位に対して、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。上記範囲とすることにより、結晶性ポリエステルの結晶性を十分に確保することができる。
多価アルコールとは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール等が挙げられる。また、3価以上のアルコールとして、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂における上記ジオールと上記ジカルボン酸との割合は、ジオールのヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]において、2.0/1.0〜1.0/2.0であることが好ましく、1.5/1.0〜1.0/1.5であることがより好ましく、1.3/1.0〜1.0/1.3であることが特に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を維持する観点から、結晶性ポリエステル樹脂は、直鎖脂肪族モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましい。芳香族モノマーを用いた場合には、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなりやすい。また、分岐型の脂肪族モノマーを用いた場合には、結晶性が低くなりやすい。
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を使用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより製造することができる。結晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能な触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。結晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能な触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等の第2族元素を含む化合物、アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物が含まれる。具体的に、スズ化合物の例には、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、及び、これらの塩が含まれる。チタン化合物の例には、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネート等のチタンアルコキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート、及び、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート等のチタンキレートが含まれる。ゲルマニウム化合物の例には、二酸化ゲルマニウムが含まれ、アルミニウム化合物の例には、ポリ水酸化アルミニウム等の酸化物、アルミニウムアルコキシド、及び、トリブチルアルミネートが含まれる。
結晶性ポリエステル樹脂の重合温度は、150〜250℃であることが好ましい。また、重合時間は、0.5〜10時間であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
《着色剤》
着色剤は、トナー粒子の着色剤として公知の無機又は有機着色剤を使用できる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、磁性体、顔料及び染料が挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜9質量部の範囲内である。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
具体的には、イエロートナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185等が挙げられる。
マゼンタトナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222等が挙げられる。
シアントナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:3等が挙げられる。
ブラックトナーに含有される着色剤としては、例えばカーボンブラック、磁性体、チタンブラック等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。
磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金等が挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
《その他の外添剤》
トナー粒子は、トナー母体粒子の表面に付着する外添剤として、上記のアルミナ粒子、チタン酸カルシウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子以外に、公知の外添剤をさらに含んでもよい。
このような外添剤としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子の無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子等の無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物粒子等が挙げられる。
さらに、他の外添剤として、有機粒子を用いることができる。有機粒子としては、個数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体による有機粒子を使用することができる。
また、外添剤として滑材を用いることもできる。滑材は、クリーニング性や転写性をさらに向上させる目的で使用されるものであって、具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
トナー粒子は、上述のトナー母体粒子の他に、離型剤、荷電制御剤等の他の構成を含んでいてもよい。
《離型剤》
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系
ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。これらのワックスは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内とすることが好ましく、5〜20質量部の範囲内がより好ましい。また、トナー粒子中の離型剤の含有量は、3〜15質量%の範囲内であることが好ましい。離型剤の含有量が上記範囲内であることにより、十分な定着分離性が得られる。
また、離型剤の融点は、電子写真におけるトナーの低温定着性、及び、離型性の観点から、50〜95℃であることが好ましい。
《荷電制御剤》
荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩、及び、これらの金属錯体等の公知の化合物を用いることができる。荷電制御剤を用いることにより、帯電特性に優れたトナーを得ることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲内が好ましい。
<トナー粒子の粒径>
トナー粒子の大きさ(粒径)は、上述の低温定着性、及び、画像濃度等の各種効果が得られる範囲において適宜に決めることができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径(d50)は、3.0〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、3.5〜4.5μmの範囲内であることが好ましい。
トナー粒子の体積基準のメジアン径を3.0μm以上とすることにより、トナー粒子の流動性が良好となり、トナー粒子の排出性が向上する。さらに、帯電立ち上がり性が良好となり、初期、及び、連続印字後での高画質な画像を得ることができる。また、トナー粒子の体積基準のメジアン径を5.0μm以下とすることで、低温定着性が向上する。さらに、微細な潜像のトナードット再現性が向上し、初期、及び、連続印字後も粒状性に優れた高画質な画像が得られる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径(d50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(例えば、データ処理用ソフトSoftware V3.51)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
具体的には、測定試料(トナー)を、界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を行ってトナー粒子分散液を調製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。表示濃度を8%にすることで再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmとし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径(d50)として得る。
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
静電荷像現像用トナーの製造方法としては、例えば、乳化重合凝集法、乳化凝集法、及び、その他の公知の方法を挙げることができる。静電荷像現像用トナーの製造においては、乳化凝集法を用いることが好ましい。乳化凝集法を用いることにより、低い製造コストで安定的に小径化したトナー粒子を作製することができる。
乳化凝集法によるトナー母体粒子の製造は、まず、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液を形成する。そして、樹脂粒子分散液と、着色剤分散液、及び、ワックス等の離型剤を含む分散液とを混合し、所望のトナー母体粒子の径となるまで凝集させる。さらに。結着樹脂粒子を融着させることによって形状制御を行い、トナー粒子を製造する。
乳化重合凝集法によるトナー母体粒子の製造は、まず、乳化重合法によって製造された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう。)、分散液、及び、ワックス等の離型剤を含む分散液と混合する。そして、混合液中でトナー母体粒子が所望の粒径となるまで凝集させる。さらに、結着樹脂粒子を融着させることによって形状制御を行い、トナー母体粒子を製造する。
また、乳化重合凝集法を用いる場合には、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を製造することもできる。コア・シェル構造とは、トナー粒子からなるコア粒子と、コア粒子の表面を被覆するシェル層とを備える多層構造を意味する。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって確認することができる。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の製造は、まず、コア粒子用の結着樹脂粒子と着色剤の粒子とを凝集、会合、及び、融着させて、コア粒子を作製する。次に、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂粒子を添加し、コア粒子表面にシェル層用の結着樹脂粒子を凝集、融着させる。これにより、コア粒子表面にシェル層が被覆した、コア・シェル構造を有するトナー粒子母体粒子の分散液を得ることができる。
<外添処理>
トナー母体粒子に外添剤(前記した体積抵抗率が1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内の無機微粒子や、必要に応じて用いるその他の外添剤)を付着させる外添混合処理は、機械式混合装置を用いて行うことができる。
機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等を用いることができる。外添混合処理は、ヘンシェルミキサーのように、処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする、又は、撹拌羽根の回転周速を上げる等の制御を行うことが好ましい。
また、複数種類の外添剤を使用する場合には、トナー母体粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、又は、外添剤の種類に応じて複数回に分けて混合処理してもよい。
外添剤の混合処理では、上記機械式混合装置を用いて、混合強度、すなわち撹拌羽根の周速、混合時間、及び、混合温度等を制御することによって、外添剤の解砕度合いや付着強度を制御することができる。
[現像剤]
以下、静電荷像現像用トナーを用いた現像剤の具体的な実施の形態について説明する。
本発明に用いられる現像剤は、二成分現像剤である。二成分現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子とから構成される。なお、本発明において、キャリアは、キャリア粒子(「トナーキャリア粒子」ともいう。)の集合体をいう。
[二成分現像剤]
二成分現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子とを適量混合することによって製造することができる。トナー粒子とキャリア粒子との混合に用いられる混合装置の例としては、ナウターミキサー、Wコーン、及び、V型混合機が挙げられる。
二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%の範囲内であることが好ましい。
また、トナー粒子とキャリア粒子との混合比(質量比)は、特に限定されないが、帯電性、保存性の観点から、トナー粒子:キャリア粒子=1:100〜30:100が好ましく、3:100〜20:100がより好ましい。
<キャリア粒子>
キャリア粒子としては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、これら金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等、従来公知の材料からなる磁性粒子が含まれる。
キャリア粒子の例としては、磁性体からなる芯材粒子と、芯材粒子の表面を被覆する被覆材(被覆用樹脂)の層とを有する被覆型キャリア粒子、及び、樹脂中に磁性体の微粉末が分散された樹脂分散型のキャリア粒子が挙げられる。キャリア粒子は、像担持体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、被覆型キャリア粒子が好ましい。なお、被覆とはキャリア粒子を被覆用樹脂が一部被覆している状態も含む。
キャリア粒子の粒径及び形状は、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決定できる。例えば、キャリア粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径(d50)が20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。
キャリア粒子の体積平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(日本レーザー株式会社製)を用いて湿式で測定できる。また、キャリア粒子の体積平均粒径は、例えば、芯材粒子の製造条件による芯材粒子の粒径を制御する方法や、キャリア粒子の分級、キャリア粒子の分級品の混合等によって調整できる。
(芯材粒子)
芯材粒子は、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する磁性体である。磁性体は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。磁性体の例としては、鉄、ニッケル及びコバルト等の強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物、並びに、熱処理することにより強磁性を示す合金が挙げられる。
強磁性を示す金属、この金属を含む化合物の例としては、鉄と、下記式(a)で表されるフェライトと、下記式(b)で表されるマグネタイトとが挙げられる。式(a)及び式(b)において、Mは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiから選ばれる1種以上の1価又は2価の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
強磁性を示す合金の例には、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と、二酸化クロムとが含まれる。
芯材粒子としては、各種フェライトが好ましい。被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さい。よって、各種フェライトは、現像器内における撹拌の衝撃力をより小さくできる。
(被覆材)
被覆材としては、キャリア粒子において芯材粒子の被覆に利用される従来公知の樹脂を使用できる。被覆材は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
被覆材として使用される樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル等のポリビニル樹脂、及び、ポリビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やスチレン−アクリル酸共重合体等の共重合体樹脂、オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂及びその変性樹脂、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。変性樹脂の例としては、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性樹脂が挙げられる。
また、被覆材は、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点と、被覆層における芯材粒子との密着性を高める観点とから、シクロアルキル基を有する樹脂が好ましい。シクロアルキル基の例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及び、シクロデシル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、及び、シクロペンチル基が好ましい。さらに、被覆層と芯材粒子との密着性の観点から、シクロへキシル基がより好ましい。
シクロアルキル基を有する樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば10000〜800000が好ましく、100000〜750000がより好ましい。
樹脂におけるシクロアルキル基の含有量は、例えば10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。樹脂中のシクロアルキル基の含有量は、例えば、P−GC/MSや1H−NMR等の公知の機器分析法によって求めることができる。
(露出面積比率)
キャリア粒子表面における芯材粒子の露出面積比率(以下、単に露出面積比率ともいう)に特に限定はないが、芯材粒子の表面積に対して、10.0〜18.0%の範囲内であることが好ましい。露出面積比率が10.0%以上であると、キャリア粒子の抵抗値が高くなりすぎず、初期及び連続印字後で高画質な画像を出力することができる。露出面積比率が18.0%以下であると、キャリア粒子の像担持体(感光体)への付着を抑制でき、連続印字における画質の劣化が抑制される。
キャリア粒子表面における芯材粒子の露出部の測定は、XPS測定(X線光電子分光測定)により芯材粒子に対する被覆層の被覆率を下記の方法で測定し求められる。XPS測定装置としては、サーモフィッシャーサイエンティフィック製、K−Alphaを使用し、測定は、X線源としてAlモノクロマチックX線を用い、加速電圧を7kV、エミッション電流を6mVに設定して実施し、被覆層を構成する主たる元素(通常は炭素)と、芯材粒子を構成する主たる元素(通常は鉄)とについて測定する。
以下、芯材粒子が、酸化鉄系である場合を前提に説明する。ここで、炭素についてはC1sスペクトルを、鉄についてはFe2p3/2スペクトルを、酸素についてはO1sスペクトルを測定する。これらの各々の元素のスペクトルに基づいて、炭素、酸素、及び鉄の元素個数(それぞれ、「AC」、「AO」、及び「AFe」と表す)を求めて、得られた炭素、酸素、鉄の元素個数比率より下記式に基づいて、芯材粒子単体、及び、芯材粒子を被覆層で被覆した後(キャリア)の鉄量率を求め、続いて、下記式により被覆率を求める。
鉄量率(atomic%)=AFe/(AC+AO+AFe)×100
被覆率(%)=[1−(キャリアの鉄量率)/(芯材粒子単体の鉄量率)]×100
芯材粒子の露出面積比率(%)=100−被覆率(%)となる。
なお、芯材粒子として、酸化鉄系以外の材料を用いる場合には、酸素の他に芯材粒子を構成する金属元素のスペクトルを測定し、上述の式に準じて同様の計算を行えば被覆率が求められる。
[キャリア粒子の作製方法]
<芯材粒子の作製方法>
芯材粒子は、原料となるフェライト等を造粒、乾燥した後、加熱処理により焼成を行った後、解砕、分級する工程を経て作製することができる。焼成工程では、造粒乾燥した芯材粒子を容器に入れ、焼成炉に入れて焼成する。
<被覆層の形成>
被覆材によるキャリア粒子の被覆層の作製法としては、例えば、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。被覆層の作製法としては、乾式コート法を用いることが好ましい。
(湿式コート法)
湿式コート法としては、例えば、流動層式スプレーコート法、浸漬式コート法、及び、重合法が挙げられる。
流動層式スプレーコート法は、被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を、流動層を用いて芯材粒子の表面にスプレー塗布し、次に乾燥して被覆層を作製する方法である。
浸漬式コート法は、被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次に乾燥して被覆層を作製する方法である。
重合法は、反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次に熱等を加えて重合反応を行い、被覆層を作製する方法である。
(乾式コート法)
乾式コート法は、被覆しようとする芯材粒子の表面に樹脂粒子を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとする芯材粒子表面に被着した樹脂粒子を溶融、又は、軟化させて固着し、被覆層を作製する方法である。
乾式コート法では、キャリア芯材、樹脂及び低抵抗芯材粒子等を含む混合物を、非加熱下、又は、加熱下で機械的衝撃力を付与できる高速撹拌混合機を用いる。そして、高速撹拌して混合物に衝撃力を繰り返して付与し、芯材粒子の表面に溶解又は軟化させて固着したキャリアを作製する。コート条件として、加熱する場合には、80〜130℃の範囲内が好ましく、衝撃力を起こす風速としては、加熱中は10m/s以上が好ましく、冷却時にはキャリア粒子同士の凝集を抑制するため5m/s以下が好ましい。衝撃力を付与する時間としては、20〜60分が好ましい。
[画像形成装置]
以下、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成を、図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図1に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム(本発明でいう像担持体)413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー画像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー画像を重ね合わせた後、シートSに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に各色トナー画像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を出力する。
画像処理部30は、入力されたジョブの画像データ(入力画像データ)に対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、画像処理済みの入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415、回収機構416等を備える。なお、現像装置412は現像部、感光体ドラム413は像担持体として機能する。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が100mmのアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
感光体ドラム413を回転させるモーター(図示省略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(例えば、665mm/sec)で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、トナーとキャリアとを含む現像剤を用いる二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー画像を形成する。具体的には、現像装置412は、感光体ドラム413と現像領域を介して対向するように配置された現像スリーブ412aを備える。現像スリーブ412aは、径が例えば25mmであり、周速度665mm/secで回転する。
現像スリーブ412aには、直流電圧に、交流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。これによりトナーを摩擦帯電させ、キャリアにトナーを静電的に付着させる。現像バイアスは、例えば、直流電圧を200〜800V、交流電圧をVpp(peak to peak)が800V、周波数が10kHzの矩形波とすることができる。
また、現像スリーブ412aの内側には磁極を有する現像マグネットロールが配置され、現像マグネットロールが発生する磁界によって、現像スリーブ412aの外周面上に磁気ブラシが発生して、現像剤の層が現像スリーブ412aの外周面上に形成される。そして、現像スリーブ412aは、図中反時計回りに回転することにより、現像剤を磁界によって現像スリーブ412aの外周面に担持しながら、感光体ドラム413に最も接近する現像領域まで搬送する。現像領域において、トナーは、現像スリーブ412aから感光体ドラム413の表面に形成された静電潜像へ静電的に移行する。なお、キャリアとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどが使用できる。キャリア粒径としてはこれに限定されるものではないが、15〜100μmが好ましく、例えば33μmとすることができる。トナーは特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができる。例えば、バインダー樹脂中に、着色剤や必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用することができる。トナー粒径は、特に限定されるものではないが、3〜15μm程度が好ましく、例えば6μmとすることができる。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
回収機構416は、感光体ドラム413の回転方向において、現像装置412の下流側かつ、一次転写ローラー422と感光体ドラム413とで形成される一次転写ニップの上流側に配置され、現像装置412から感光体ドラム413に付着したキャリアが一次転写ニップに到達する前に、当該キャリアを回収する。回収機構416の構成についての詳細は、後述する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。なお、一次転写ローラー422は転写部として機能する。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー画像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423B(以下「バックアップローラー423B」と称する)に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421からシートSへトナー画像を転写するための二次転写ニップが形成される。
<回収機構>
次に、図2を参照し、回収機構416の構成について詳細に説明する。
回収機構416は、感光体ドラム413の表面に存在するキャリアを回収するための機構であり、図2に示すように、回収ローラー110と、キャリア回収室120と、排出スクリュー130と、電圧印加部(図示しない)と、等を備える。
なお、図中Xで示す方向を水平方向とし、図中Yで示す方向を鉛直方向とする。
回収ローラー110は、感光体ドラム413の軸と平行な軸を有し、感光体ドラム413に近接するように配置される。回収ローラー110は、厚さが例えば0.3mmであり、回転可能な非磁性の回収スリーブ110Aと、回収スリーブ110Aの内部に固定配置され、径が例えば25mmの回収マグネットロール110Bと、を備える。
なお、回収スリーブ110Aは、本発明における非磁性回転体として機能し、回収マグネットロール110Bは、本発明における磁石として機能する。
回収スリーブ110Aは、モーター(図示しない)によって図中Bの方向に回転駆動され、図中Cの方向に回転する感光体ドラム413と対向する位置において、その表面の進行方向が逆方向となるようにカウンター回転する。回収スリーブ110Aの画像形成時の周速度は特に限定されないが、例えば293mm/secとすることができる。また、回収スリーブ110Aと感光体ドラム413の表面との間には空隙が設けてある。
回収マグネットロール110Bには、磁界を発生させる複数の磁極(N1,N2,S1,S2,S3)が配置されている。なお、複数の磁極(N1,N2,S1,S2,S3)は、図2に示すように、N極とS極が交互となるように配置されている。なお、図中Mは、これらの磁極によって発生する回収ローラー110近傍の磁束分布を示す。なお、磁極N1,N2,S1の磁力は磁極S2及びS3の磁力よりも強くなるように構成されている。
また、回収ローラー110は電圧印加部に接続され、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧が印加されている。印加電圧の条件は特に限定されないが、例えば、直流電圧を0〜800V、交流電圧を最大電圧と最小電圧の差分、即ちVppが800〜2000V、周波数が500〜2000Hzの矩形波とすることができる。即ち、回収マグネットロール110Bに配置された磁極が発生させる磁力と、印加電圧によって生じる電界における静電気力によって、回収ローラー110の表面に回収されたキャリアcは、回収スリーブ110Aの外周面に付着する。回収スリーブ110Aに付着したキャリアは、回収スリーブ110Aの図中Bに示す方向の回転に伴って、回収ローラー110の表面上を搬送される。
回収ローラー110におけるキャリア搬送動作ついて詳細に説明する。
回収マグネットロール110Bは、感光体ドラム413に略対向するように磁極N1が有している。磁極N1は、回収マグネットロール110Bに配置された磁極の中で最も強い磁極であり、感光体ドラム413の表面からキャリアcを回収する回収極として機能する。即ち、磁極N1により発生する磁力によって、感光体ドラム413の表面のキャリアcが回収スリーブ110Aの表面に引き寄せられて回収される。回収極N1の磁束密度は特に限定されないが、例えば150mTとすることができる。
また、図2に示すように、回収ローラー110の中心と感光体ドラム413とを結んだ中心線L1を基準とする反時計回りの角度をθとすると、回収極N1を、そのピーク位置がθ1=0〜10°となる位置、即ち感光体ドラム413と回収ローラー110との最近接位置P1から少しずれた位置となるように配置される。これにより、感光体ドラム413に対してカウンター回転する回収スリーブ110Aに、キャリアが付着しやすくなる。
また、回収マグネットロール110Bには、磁極N1から回収スリーブ110Aの回転方向下流側に向けて、N極とS極が交互となるように、磁極S1、磁極N2の順に配置されている。これらの磁極は、回収スリーブ110Aの表面に沿ってキャリアcを搬送する搬送極として機能し、キャリアcはこれらの磁極により発生する磁力を受けて、回収スリーブ110Aの表面を転がりながら移動する。
また、回収スリーブ110Aの回転方向において磁極N2の下流には、磁極S2が配置されており、磁極S2は回収されたキャリアcを回収スリーブ110Aから剥離させる剥離極として機能する。即ち、キャリアcが図中P2で示す、磁極S2に当接する回収スリーブ110A上の領域(剥離極部P2)に到達すると、キャリアcはこれより下流側に移動することができないため、剥離極S2の磁気吸引力を受けて転がりながら剥離極部P2に滞留し、回収スリーブ110Aの回転により新たに剥離極部P2に到達したキャリアc
を巻き込みながら回収スリーブ110Aの表面を摺擦する。
剥離極S2は、図中L1を基準とした反時計回りの角度をθで表すと、そのピーク位置が、例えばθ2=200°の位置となるように配置される。なお、回収スリーブ110Aが、図中Yで示す鉛直方向において最も高くなる位置P3よりも、回収スリーブ110Aの回転方向上流側に配置されると、キャリア回収室120による剥離極S2から剥離したキャリアの回収効率が低下する。一方で、回収スリーブ110Aが図中Xで示す水平方向において最も突出する位置P4よりも、回収スリーブ110Aの回転方向下流側に配置されると、キャリアが剥離極S2から剥離しにくくなり、回収ローラー110の回転に伴い感光体ドラム413との最近接位置P1まで運ばれ、感光体ドラム413に再付着するおそれがある。したがって、剥離極S2は回収スリーブ110Aの回転方向において、P3の下流側かつP4の上流側の範囲に配置させることが好ましい。
なお、上述したように、剥離極S2の磁力は、回収極N1及び搬送極S1,N2の磁力よりも弱いものとし、これにより、剥離極部P2に滞留するキャリアが所定量を超えた場合に剥離しやすくなる。剥離極S2の磁束密度は上記条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば70mTとすることができる。
回収スリーブ110Aの回転方向において磁極S2の下流には、磁極S3が配置されている。磁極S3は封止極として機能し、剥離極S2との間で反発磁界を形成する。
なお、回収スリーブ110Aの回転方向において、剥離極S2の下流側かつ貯留極S3の上流側には、脱磁領域R1が形成されている。剥離極S2と封止極S3は同極性であるため反発磁界を形成するが、その間に脱磁領域R1が配置されることで、回収スリーブ110Aの回転方向において剥離極S2の下流側かつ封止極S3の上流側の領域には磁界が形成されず、磁力が働かないことになる。したがって、剥離極部P2から剥離したキャリアcは、再度回収スリーブ110Aに付着することなく、キャリア回収室120に落下する。
キャリア回収室120は、回収ローラー110の近傍に配置され、回収スリーブ110Aから落下したキャリアを回収する。
キャリア回収室120の内部には、螺旋形状のスクリュー部材である排出スクリュー130が配置され、キャリア回収室120に回収されたキャリアcは、排出スクリュー130によって図示しないキャリア回収箱へと排出され、廃棄される。
なお、本実施形態における回収マグネットロール110Bに配置された搬送極の数は一例であり、N極とS極が交互に並んだ構成であれば、上記した数に限定されない。
本発明の画像形成システムは、前記した静電荷像現像用トナーと、前記した画像形成装置を備えた画像形成システムであって、本発明の画像形成方法を用いることを特徴とする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製>
≪非晶性ポリエステル樹脂(A1)の作製≫
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物:40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物:60モル部
・テレフタル酸ジメチル:60モル部
・フマル酸ジメチル:15モル部
・ドデセニルコハク酸無水物:20モル部
・トリメリット酸無水物:5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマーのうちフマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物以外の単量体と、ジオクチル酸スズを上記モノマーの合計100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(A1)は、重量平均分子量が35000、数平均分子量が8000、ガラス転移温度(Tg)が56℃であった。
≪非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製≫
次いで、非晶性ポリエステル樹脂(A1)200質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、イソプロピルアルコール35質量部、10質量%アンモニア水溶液7.0質量部とをセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱撹拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後、減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(d50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、156nmであった。
<非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)の調製>
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)5.0質量部と、イオン交換水2500質量部とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を75℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウム(KPS)18.0質量部をイオン交換水342質量部に溶解させた溶液を添加し、液温を75℃とした。さらに、スチレン(St)903.0質量部、n−ブチルアクリレート(BA)282.0質量部及びアクリル酸(AA)12.0質量部、1,10−デカンジオールジアクリレート3.0質量部及びドデカンチオール8.1質量部からなる単量体混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、75℃において2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合させ、非晶性ビニル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ビニル樹脂(B1)粒子の分散液(b1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(d50)をマイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、160nmであった。非晶性ビニル樹脂(B1)は、ガラス転移温度(Tg)が52℃、重量平均分子量(Mw)が38000、数平均分子量(Mn)が15000であった。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製>
≪結晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製≫
・ドデカン二酸:50モル部
・1,6−ヘキサンジオール:50モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマーを入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次いで、チタンテトラブトキサイド(Ti(O−n−Bu))を上記モノマーの合計100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間撹拌し反応させた後、温度をさらに210℃まで
1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌し反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(C1)は、重量平均分子量が25000、数平均分子量が8500、融点が71.8℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製≫
次に、この結晶性ポリエステル樹脂(C1)200質量部と、メチルエチルケトン120質量部、イソプロピルアルコール30質量部をセパラブルフラスコに入れ、これを60℃で充分混合、溶解した後、10質量%アンモニア水溶液を8質量部滴下した。加熱温度を67℃に下げ、撹拌しながらイオン交換水送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(d50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、198nmであった。
<離型剤粒子分散液(W1)の調製>
・パラフィン系ワックス(日本精蝋製HNP0190、融解温度85℃):270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK):13.5質量部(有効成分60%、離型剤に対して3%)
・イオン交換水:21.6質量部
上記の材料を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量が20%になるように調整し、これを離型剤粒子分散液(W1)とした。離型剤粒子分散液(W1)中の粒子の体積平均粒径は215nmであった。
<着色剤粒子分散液の調製>
≪ブラック着色剤粒子分散液(1)の調製≫
・カーボンブラック
(キャボット社製、リーガル(登録商標)330):100質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンSC):15質量部
・イオン交換水:400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(ULTRA−TURRAX T50、IKA社製)により10分間予備分散した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行いブラック着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液にさらに、イオン交換水を添加して、固形分が15質量%となるように調整することによりブラック着色剤粒子分散液(1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(d50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
<トナー母体粒子(1)の作製>
≪凝集・融着工程及び熟成工程≫
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1):1008質量部
・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1):32質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1):160質量部
・離型剤粒子分散液(W1):160質量部
・ブラック着色剤粒子分散液(1):187質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液):40質量部
・イオン交換水:1500質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0%硝酸を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(ULTRA−TURRAX T50、IKA社製)にて3000rpmで分散しながら、濃度2%の硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液100質量部を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。その後、反応容器に撹拌器及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm、ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が3.9μmになったところで温度を保持し、あらかじめ混合しておいた
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1):400質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液):15質量部
の混合液を20分間かけて投入した。次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を8質量部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
≪冷却工程≫
その後、「FPIA−3000」を用い形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液(1)を得た。
≪濾過・洗浄工程及び乾燥工程≫
その後、トナー母体粒子分散液(1)を濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(1)を得た。得られたトナー母体粒子(1)は、体積基準のメジアン径は4.0μm、平均円形度は0.971であった。
<アルミナ粒子1の作製>
三塩化アルミニウム(AlCl)320kg/hを約200℃で蒸発装置中で蒸発させ、塩化物の蒸気を、窒素により、バーナーの混合チャンバー中に通過させる。ここで、気体流を水素100Nm/h及び空気450Nm/hと混合し、中央チューブ(直径7mm)を介して火炎へ供給する。結果、バーナー温度は280℃であり、チューブの排出速度は約35.8m/sである。水素0.05Nm/hをジャケットタイプの気体として外側チューブを介して供給する。気体は反応チャンバー中で燃焼し、下流の凝集ゾーンで約110℃まで冷却される。そこでは、アルミナの一次粒子の凝集が行われる。同時に生成される塩酸含有ガスから、得られた酸化アルミニウム粒子をフィルター又はサイクロン中で分離し、湿空気を有する粉末を約500〜700℃で処理することにより、接着性の塩化物を除去する。こうして個数平均粒径が30nmのアルミナ粒子1を得ることができた。
アルミナ粒子の粒径は、反応条件、例えば火炎温度、水素又は酸素の含有率、三塩化アルミニウムの品質、火炎中での滞留時間又は凝集ゾーンの長さによって変更することができる。
なお、アルミナ粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子社製)を用いて、3万倍に拡大したトナーのSEM写真を撮影し、当該SEM写真を観察して無機微粒子の一次粒子の粒径(フェレ径)を測定し、その合計値を個数で割って平均粒径を求めた。粒径の測定は、SEM画像において粒子の総数が100〜200個程度となるような領域を選択して行った。
≪表面処理≫
上記で得られたアルミナ粒子1を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、粉末を回転羽根で撹拌しながら、アルミナ粉体100gに対して疎水化処理剤イソブチルトリメトキシシラン20gをヘキサン60gで希釈させたものを添加し、200℃120分加熱撹拌後冷却水で冷却し、表面処理されたアルミナ粒子1を得た。
<アルミナ粒子2〜5の作製>
アルミナ粒子1の作製において火炎温度を変更して、下記表Iのような平均粒径となるようにしたこと以外はアルミナ粒子1を作製するのと同様にして、アルミナ粒子2〜5を作製し、また、各アルミナ粒子2〜5に同様にして表面処理を行った。
なお、アルミナ粒子1〜5の体積抵抗率について以下のようにして測定した。各アルミナ粒子を温度20℃、湿度50%RHの環境下に一晩放置したのちに、その環境下でアルミナ粒子を0.5〜1.0g計量し治具に充填して1tの圧力を20秒間加えることで厚さ2mm±0.1mmになるようにした成形ペレットを作製した。そのペレットを武田理研(株)製TR8611A型デジタル超絶縁抵抗/微少電流計により測定することにより、体積抵抗率を求めたところ、表Iに記載のとおりであった。
Figure 2021135379
<チタン酸カルシウム粒子A1の作製>
≪メタチタン酸分散液の調製≫
メタチタン酸分散液に、4.0モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によりpHを9.0に調整して脱硫処理を行った後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpHを5.5に調整して中和処理した。その後、メタチタン酸分散液をろ過、水洗処理して作製したメタチタン酸のケーキ物に水を加え、酸化チタンTiO換算で1.25モル/リットルに相当する分散液に調製した後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液でpH1.2に調整した。そして、分散液の温度を35℃に調整して、この温度下で1時間撹拌を行ってメタチタン酸分散液を解膠処理した。
≪チタン酸化合物1の反応工程≫
上記解膠処理を行ったメタチタン酸分散液より、酸化チタンTiO換算で0.156モルに相当するメタチタン酸を採取して反応容器に投入し、続いて、炭酸カルシウムCaCO水溶液を反応容器に投入した。このとき、酸化チタン濃度が0.156モル/リットルとなる様に反応系を調製した。また、炭酸カルシウムCaCOは、酸化チタンに対しモル比で1.15となるよう(CaCO/TiO=1.15/1.00)に添加した。
上記反応容器内に窒素ガスを供給して、20分間放置することにより反応容器内を窒素ガス雰囲気下にした後、メタチタン酸、炭酸カルシウム、からなる混合溶液を90℃に加温した。続いて、水酸化ナトリウム水溶液を10.5時間かけてpHが8.0になるまで添加し、その後、90℃で1時間撹拌を続けて反応を終了させた。
反応終了後、反応容器内を40℃まで冷却し、窒素雰囲気下で上澄み液を除去した後、純水2500質量部を反応容器内に投入してデカンテーションを繰り返し2回行った。デカンテーション実施後、反応系をヌッチェでろ過処理してケーキ物を形成し、得られたケーキ物を110℃に加熱して大気中で8時間の乾燥処理を行った。
得られたチタン酸カルシウムの乾燥物をアルミナ性るつぼに投入し、930℃で脱水するとともに焼成処理した。焼成処理後、チタン酸カルシウムを水中に投入し、サンドグラインダで湿式粉砕処理を行い分散液とした後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpHを2.0に調整して、過剰分の炭酸カルシウムを除去した。
≪疎水化処理≫
過剰分の炭酸カルシウムを除去処理した後、イソブチルトリメトキシシランの希釈液(イソブチルシラン10質量部/エタノール90質量部)を準備し疎水化処理を行った。窒素雰囲気化でヘンシェルミキサーにて、30分間撹拌することで疎水化処理をした。その際チタン酸カルシウム固形分100質量部に対してイソブチルトリメトキシシランを3.1質量部添加して、処理を行った。前記湿式の表面処理を行った後、4.0モル/リットル水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを6.5に調整して中和処理を行い、その後、ろ過、洗浄を行い、150℃で乾燥処理した。さらに、機械式粉砕装置を用いて60分間解砕処理を行ってチタン酸カルシウム粒子A1を作製した。
<チタン酸カルシウム粒子A2〜A5の作製>
水酸化ナトリウム水溶液をpH8.0になるまで滴下するときの時間を下記表IIのとおりに変更したこと以外はチタン酸カルシウム粒子A1と同様に作製することで、チタン酸カルシウム粒子A2〜A5を作製した。
なお、チタン酸カルシウム粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)製の「JSM−7401F」)を用いて、倍率5000倍でトナーの画像撮影を行った。次いで、その視野でのエネルギー分散型X線分析(EDS分析)を行った。その際、カルシウムとチタンの元素分析を行い、チタン酸カルシウム粒子を確定した。チタン酸カルシウムを確定したSEM画像を、画像処理解析装置(例えば、「LUZEX AP」(ニレコ社製))にて2値化処理した。複数の写真の中で、チタン酸カルシウム100個についての水平方向フェレ径を算出し、当該水平方向フェレ径と個数を元に粒度分布を求めた。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸カルシウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸カルシウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの水平方向フェレ径をチタン酸ストロンチウム粒子の粒径とした。
Figure 2021135379
<チタン酸ストロンチウム粒子A6の作製>
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン350gをボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を10kg/cmの圧力で成形して1200℃で7時間焼結した。これを、機械粉砕して、焼結工程を経由したピークトップ粒径R(平均粒径)が60nmのチタン酸ストロンチウムを得た。このチタン酸ストロンチウムをSEMにより形状を観察した結果、不定形な形状を有していた。
なお、不定形なチタン酸ストロンチウム粒子のピークトップ粒径Rは以下の方法で測定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率5000倍でチタン酸ストロンチウム微粒子の画像撮影を行った。得られたSEM画像を、画像処理解析装置(「LUZEX AP」(ニレコ社製))にて2値化処理した。複数の写真の中で、チタン酸ストロンチウム100個についての水平方向フェレ径を算出し、当該水平方向フェレ径と個数を元に粒度分布を求めた。当該分布に存在するピークのピークトップの水平方向フェレ径をチタン酸ストロンチウム粒子の粒径とした。ここで水平方向フェレ径とは、外添剤の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さとした。
<チタン酸ストロンチウム粒子A7の作製>
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0とし、脱硫処理を行った。その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。得られた洗浄済みケーキに水を加え、TiOとして1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0とし解膠処理を行い、メタチタン酸を得た。このメタチタン酸からTiOとして0.625molを採取し、3Lの反応容器に投入した。塩化ストロンチウム水溶液をSrO/TiOモル比で1.00/1.00となるよう0.719モル添加した後、TiO濃度0.313モル/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液296mLを14.0時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、当該沈殿を含むスラリーに塩酸を加えpH6.5に調整し、固形分に対して9重量%のイソブチルトリメトキシシランを添加して1時間撹拌保持を続けた。次いで、ろ過・洗浄を行い、得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥し、チタン酸ストロンチウム微粒子A7を得た。得られたチタン酸ストロンチウム微粒子A7のピークトップ粒径Rを前述した方法で算出したところ、80nmであった。
<チタン酸ストロンチウム粒子A8〜A10の作製>
チタン酸ストロンチウム粒子A7の作製において、水酸化ナトリウム滴下時間を変更し、下記表IIIに示すピークトップ粒径Rを有する、形状が不定形のチタン酸ストロンチウム粒子A8〜A10を作製した。
Figure 2021135379
<酸化チタン粒子の作製>
個数平均一次粒径30nmのアナターゼ型酸化チタンに対して、水系湿式中で、疎水化剤であるイソブチルトリメトキシシランにより表面処理を施し、疎水性酸化チタンを得た。得られた疎水性酸化チタンを酸化チタン粒子として使用した。
<シリカ粒子の作製>
個数平均一次粒径20nmのシリカに対して、疎水化剤であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)により表面処理を施し、疎水性シリカを得た。得られた疎水性シリカをシリカ粒子として使用した。
<キャリア粒子の作製>
≪芯材粒子1の作製≫
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式メディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、ロータリーキルンで仮焼成を行った。直径0.3cmのステンレスビーズを用いて乾式ボールミルで1時間粉砕したのち、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を固形分に対して0.8質量%添加し、さらに水、分散剤を添加し、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて25時間粉砕した。
次いで、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1050℃、20時間保持し、本焼成を行った。
その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材粒子1を得た。芯材粒子1の体積基準のメジアン径(d50)は28.0μmであった。
≪被覆用樹脂1の作製≫
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを「共重合比率(質量比)=50:50」で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、被覆用樹脂1を作製した。得られた被覆用樹脂1における重量平均分子量は50万であった。
≪キャリア粒子1の作製≫
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、芯材粒子として上記で準備した芯材粒子1を100質量部、及び被覆用樹脂1を4.5質量部を投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆材を被覆させた後、室温まで冷却して、キャリア粒子1を作製した。
<キャリア粒子2〜5の作製>
キャリア粒子1の作製において、被覆用樹脂1の添加量を下記表IVに示すとおりに変更した以外は同様にしてキャリア粒子2〜5を作製した。なお、作製した各キャリア粒子について、当該キャリア粒子における芯材粒子の露出面積比率を前記した方法で算出したところ下記表IVのとおりであった。
Figure 2021135379
<トナー粒子1の作製>
前記で作製したトナー母体粒子(1)100質量部に対し、下記表Vに記載のトナー粒子1に示すように各種微粒子を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子1を作製した。
<トナー粒子2〜29の作製>
トナー粒子1の作製において、下記表Vに記載の各種微粒子を添加した以外は、同様にしてトナー粒子2〜29を作製した。
Figure 2021135379
<二成分現像剤の作製>
前記で得られた各トナー粒子1〜29と、各キャリア粒子1〜5を、下記表VIに記載の組み合わせとし、2成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)が6.5質量%となるように1.5kg計量して、V型混合機に投入し30分間混合して、各二成分現像剤を作製した。
[評価]
評価装置として、市販のデジタルフルカラー複合機「bizhub PRO C1100」(コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)又はデジタルフルカラー複合機「bizhub PRO C1100」にキャリア回収機構を設置した装置で評価を行った。上記で作製した各現像剤をそれぞれ順次装填し、低温低湿環境下(温度10℃、湿度20%)で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を10万枚行った。そして、下記の評価を行った。
<帯電性能>
帯電性能は、ベタ画像濃度の変化(濃度追随性)で評価した。
ベタ画像濃度の変化は、上記印刷時の1枚、100枚、500枚、2000枚時におけるベタ画像の濃度を測定し、その濃度変化を測定した。なお、ベタ画像濃度の変化は、100枚目と2000枚目のベタ画像部の画像濃度(絶対濃度)を測定し、その2枚の濃度差が0.1以下を合格と判断した。また、画像濃度は、マクベス社製反射濃度計RD−918にて測定した。画像濃度は絶対濃度である。
<キャリア付着性能>
キャリア付着の性能評価は、上記印刷時の2000枚時においてベタ画像上のキャリア個数を目視でカウントし、0個を◎、2個以下を〇、3個以上を×として評価した。
<画像汚れ>
回収ローラーにトナーが堆積することによる画像汚れは、上記印刷時の100枚、500枚、2000枚時に何も印字しない画像を出力し、画像汚れ部の画像濃度を測定し、画像汚れが発生していない部分に対し、濃度差が0.1以下を合格と判断した。
Figure 2021135379
上記結果に示されるように、本発明の画像形成方法は比較例の画像形成方法に比べて、帯電性能、キャリア付着性能及び画像汚れの点で優れていることが認められる。
1 画像形成装置
40 画像形成部
412 現像装置(現像部)
413 感光体ドラム(像担持体)
416 回収機構
110 回収ローラー
110A 回収スリーブ(非磁性回転体)
110B 回収マグネットロール(磁石)
120 キャリア回収室
130 排出スクリュー
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー(転写部)

Claims (12)

  1. 少なくとも像担持体、現像部及び転写部を備えた画像形成装置と、静電荷像現像用トナーを用いて画像を形成する画像形成方法であって、
    前記像担持体の回転方向において前記現像部の下流側かつ前記転写部の上流側に、前記像担持体の表面のトナーキャリアを磁力と静電気力によって回収する回収機構を設け、
    前記静電荷像現像用トナーが、少なくとも結着樹脂を含むトナー母体粒子と、当該トナー母体粒子表面に付着された無機微粒子と、を有し、かつ、
    前記無機微粒子の体積抵抗率が、1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記無機微粒子の平均粒径が、10〜50nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記無機微粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記無機微粒子が、アルミナ粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記トナー母体粒子表面に、さらに無機微粒子として、チタン酸ストロンチウム粒子を付着することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均粒径が、40〜80nmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記トナー母体粒子表面に、さらに無機微粒子として、チタン酸カルシウム粒子を付着することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  9. 前記チタン酸カルシウム粒子の平均粒径が、40〜80nmの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記チタン酸カルシウム粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲内であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記トナーキャリアが、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子からなり、
    前記キャリア粒子表面における前記芯材粒子の露出面積比率が、当該芯材粒子の表面積に対して、10.0〜18.0%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  12. 静電荷像現像用トナーと画像形成装置を備えた画像形成システムであって、
    請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成システム。
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JP2019120846A (ja) * 2018-01-10 2019-07-22 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法

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