JP2021134740A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリッド車両に搭載した内燃機関から排出される有害物質の量をより一層削減する。【解決手段】駆動輪に走行のための駆動力を供給できる走行用電動機と、走行用電動機に供給するべき電力を発電する発電機に発電のための駆動力を供給できる内燃機関とを具備するハイブリッド車両を制御する制御装置であって、停止していた内燃機関を始動した後、その排気通路に装着されている排気浄化用の触媒の温度が低い第一の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を少なく、かつ点火タイミングを遅角し、触媒の温度が第一の時期よりも高まった第二の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第一の時期よりも多く、かつ点火タイミングを第一の時期よりも進角し、触媒の温度が第二の時期よりも高まった第三の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第二の時期よりも多くするハイブリッド車両の制御装置を構成した。【選択図】図4

Description

本発明は、走行用の電動機及び内燃機関を搭載したハイブリッド車両を制御する制御装置に関する。
近時、電動機及び内燃機関の二種の動力源を備えるハイブリッド車両が一定の普及を見ている。シリーズ方式のハイブリッド車両(例えば、下記特許文献を参照)は、内燃機関により発電用モータジェネレータを駆動して発電を行い、発電した電力を蓄電装置、即ちリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等のバッテリ及び/またはキャパシタに蓄えるとともに、走行用モータジェネレータに供給する。そして、走行用モータジェネレータによって車両の駆動輪を回転させて走行する。
発電用モータジェネレータのみならず、走行用モータジェネレータもまた、回生制動により発電を行い、発電した電力を蓄電装置に蓄えることができる。蓄電装置の容量一杯まで既に電荷が蓄えられている場合には、回生制動により得られる電力を敢えて発電用モータジェネレータに供給し、これを電動機として作動させて内燃機関を回転駆動するモータリングを行うことで、余剰の電力を消費する。
ハイブリッド車両では、内燃機関が燃料を燃焼させて回転駆動力を発生させるファイアリングを行わなくとも、走行用モータジェネレータが出力する回転駆動力により車両を走行させることが可能である。故に、車両の運用中であっても、内燃機関の回転を停止している状態が継続することがある。
蓄電装置に蓄えている電荷の量が減少したときや、走行用モータジェネレータに対する要求出力が大きいときには、内燃機関を始動し、内燃機関が出力する回転駆動力を以て発電用モータジェネレータを駆動し、発電を実施して蓄電装置を充電、または走行用モータジェネレータに供給する電力を増強する。
シリーズ方式のハイブリッド車両にあって、発電用モータジェネレータは、停止した内燃機関を始動する準備として内燃機関をモータリング(または、クランキング)する役割を兼ねる。モータリング時には、蓄電装置から必要な電力の供給を受ける。
特開2019−131035号公報
ハイブリッド車両に搭載した内燃機関をファイアリングして発電を行う際には、効率の最もよい最適燃費点でこれを運転しようとする。だが、内燃機関の始動直後、即ち排気通路に装着された排気浄化用の触媒が低温であり活性化していない状態から最適燃費点で運転すると、内燃機関の気筒から排出される燃焼ガスの量が多く、それに含まれる有害物質を触媒において十分に浄化することができず、エミッションが悪化するおそれを招く。
そこで、内燃機関の始動直後の時期に、触媒を昇温させる暖機の時間を確保する予備運転を実施している。予備運転では、平常と比較して、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を低減し、触媒に流入する排気及び有害物質の量を減らしている。予備運転中の内燃機関の出力、即ちエンジン回転数及びエンジントルクは、最適燃費点よりも低くなる。
従来の予備運転では、エンジン回転数、エンジントルク及び点火タイミングが一定であった。それ故、予備運転の内容を改善することで、有害物質の排出量をより一層削減できる余地があると考えられる。
本発明では、駆動輪に走行のための駆動力を供給できる走行用電動機と、走行用電動機に供給するべき電力を発電する発電機に発電のための駆動力を供給できる内燃機関とを具備するハイブリッド車両を制御する制御装置であって、停止していた内燃機関を始動した後、その排気通路に装着されている排気浄化用の触媒の温度が低い第一の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を少なく、かつ点火タイミングを遅角し、触媒の温度が第一の時期よりも高まった第二の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第一の時期よりも多く、かつ点火タイミングを第一の時期よりも進角し、触媒の温度が第二の時期よりも高まった第三の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第二の時期よりも多くするハイブリッド車両の制御装置を構成した。
本発明によれば、ハイブリッド車両に搭載した内燃機関から排出される有害物質の量をより一層削減することが可能となる。
本発明の一実施形態におけるシリーズ方式のハイブリッド車両及び制御装置の概略構成を示す図。 同実施形態のハイブリッド車両に搭載される内燃機関の概要を示す図。 同実施形態の制御装置による内燃機関の始動直後の制御の模様を示すタイミング図。 内燃機関の燃料消費率とエンジン回転数、エンジントルク及びエンジン出力との関係を例示する図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態におけるハイブリッド車両の主要システムの概略構成を示している。このハイブリッド車両は、内燃機関1と、内燃機関1により駆動されて発電を行う発電用モータジェネレータ2と、発電用モータジェネレータ2が発電した電力を蓄える蓄電装置3と、発電用モータジェネレータ2及び/または蓄電装置3から電力の供給を受けて車両の駆動輪62を駆動する走行用モータジェネレータ4とを備えている。
本実施形態のハイブリッド車両は、内燃機関1を発電にのみ使用するシリーズハイブリッド方式の電気自動車であり、車両の駆動輪62には専ら走行用モータジェネレータ4から走行のための駆動力を供給する。内燃機関1と駆動輪62との間は機械的に切り離されており、元来両者の間で回転トルクの伝達がなされない。つまり、内燃機関1は、走行用モータジェネレータ4及び駆動輪62から完全に独立して回転し、また完全に独立して停止することが可能である。従って、イグニッションスイッチ(パワースイッチ、またはイグニッションキー)がONに操作されている車両の運用中、運転者がアクセルペダルを踏むことで車両が走行可能な状態にあっても、蓄電装置3が充分な電荷を蓄え、かつブレーキブースタ15が充分な負圧を蓄えている状況下では、燃料の燃焼を伴う内燃機関1の運転を実施しないことがある。
内燃機関1の回転軸であるクランクシャフトは、発電用モータジェネレータ2の回転軸と歯車機構を介して機械的に接続している。そして、内燃機関1が出力する回転トルクを発電用モータジェネレータ2に入力することで、発電用モータジェネレータ2が発電する。発電した電力は、蓄電装置3に充電し、及び/または、走行用モータジェネレータ4に供給する。また、発電用モータジェネレータ2は、自らが回転トルクを発生させて内燃機関1のクランクシャフトを回転駆動するモータリング用の電動機としても機能する。例えば、発電用モータジェネレータ2は、停止している内燃機関1を始動する準備としてのモータリング(クランキング)を実行する。
走行用モータジェネレータ4は、車両の走行のための駆動力を発生させ、その駆動力を減速機61を介して駆動輪62に入力する。また、走行用モータジェネレータ4は、駆動輪62に連れ回されて回転することで発電し、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収する。この回生制動により発電した電力は、蓄電装置3に充電する。
尤も、既に蓄電装置3の容量一杯まで電荷が蓄えられており、それ以上の充電が困難であるならば、走行用モータジェネレータ4が回生発電した電力を敢えて発電用モータジェネレータ2に供給し、発電用モータジェネレータ2を電動機として稼働させて内燃機関1を回転駆動する。これにより、車両の制動性能を維持しながら、余剰の電力を消尽する。また、このとき、内燃機関1の回転が保たれることから、内燃機関1の気筒11への燃料供給を一時的に停止する燃料カットを実行することができる。
発電機インバータ21は、発電用モータジェネレータ2が発電する交流電力を直流電力に変換する。そして、その直流電力を蓄電装置3または駆動機インバータ41に入力する。並びに、発電機インバータ21は、発電用モータジェネレータ2を電動機として作動させる際に、蓄電装置3及び/または駆動機インバータ41から供給される直流電力を交流電力に変換した上で発電用モータジェネレータ2に入力する。
駆動機インバータ41は、蓄電装置3及び/または発電機インバータ21から供給される直流電力を交流電力に変換した上で走行用モータジェネレータ4に入力する。並びに、駆動機インバータ41は、車両の回生制動を行うときに走行用モータジェネレータ4が発電する交流電力を直流電力に変換した上で蓄電装置3または発電機インバータ21に入力する。発電機インバータ21及び駆動機インバータ41は、PCU(Power Control Unit)の一部をなす。
蓄電装置3は、バッテリ及び/またはキャパシタ等である。バッテリは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等の、エネルギ密度の大きい高電圧の二次電池である。蓄電装置3は、発電用モータジェネレータ2及び走行用モータジェネレータ4の各々が発電する電力を充電して蓄える。並びに、蓄電装置3は、発電用モータジェネレータ2及び走行用モータジェネレータ4の各々を電動機として作動させるための電力を放電し、それらモータジェネレータ2、4に必要な電力を供給する。
図2に、本実施形態のハイブリッド車両に搭載される内燃機関1の概要を示している。内燃機関1は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒11(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示)を包有している。各気筒11の吸気ポート近傍には、吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ111を設けている。また、各気筒11の燃焼室の天井部に、点火プラグ112を取り付けてある。点火プラグ112は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路13は、外部から空気を取り入れて各気筒11の吸気ポートへと導く。吸気通路13上には、エアクリーナ131、電子スロットルバルブ132、サージタンク133、吸気マニホルド134を、上流からこの順序に配置している。エアクリーナ131は、吸気通路13における最上流の位置、即ち空気を取り入れる吸気口に所在する。吸気口は、冷たい空気を取り入れて内燃機関の充填効率を上げるために、車両の前方に開口している。
排気を排出するための排気通路14は、気筒11内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒11の排気ポートから外部へと導く。この排気通路14上には、排気マニホルド142及び排気浄化用の三元触媒141を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置12は、排気通路14と吸気通路13とを連通する外部EGR通路121と、EGR通路121上に設けたEGRクーラ122と、EGR通路121を開閉し当該EGR通路121を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ123とを要素とする。EGR通路121の入口は、排気通路14における触媒141の下流の所定箇所に接続している。EGR通路121の出口は、吸気通路13におけるスロットルバルブ132の下流の所定箇所、特に吸気マニホルド134に接続している。
内燃機関1、発電用モータジェネレータ2、蓄電装置3、インバータ21、41及び走行用モータジェネレータ4の制御を司る制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECU、即ち内燃機関1を制御するEFI(Electronic Fuel Injection)ECU01、発電用モータジェネレータ2及び発電機インバータ21を制御する発電機ECU02、蓄電装置3を制御するBMS(Battery Management System)ECU03、走行用モータジェネレータ4及び駆動機インバータ41を制御する駆動機ECU04等、並びに、それらの制御を統括する上位のコントローラであるHV(Hybrid Vehicle)ECUが、CAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものである。
ECU0に対しては、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関1のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、運転者によるアクセルペダルの踏込量をアクセル開度(いわば、運転者が車両に対して要求している駆動力)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路13(特に、サージタンク133)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、蓄電装置3に蓄えている電荷量(または、SOC(State Of Charge))を検出するセンサ、特にバッテリ3の端子電流及び/または端子電圧を検出するセンサから出力される信号f、外気温を検出する外気温センサから出力される外気温信号g、発電用モータジェネレータ2への印加電流及び/または印加電圧を検出するセンサから出力される信号h等が入力される。
ECU0は、各種センサを介してセンシングしている、運転者が操作するアクセル開度や、シフトポジション即ちシフトレバー(セレクタレバー)の位置、運転者が操作するスイッチのON/OFF、現在の車両の車速、路面の勾配、蓄電装置3が蓄えている電荷の量、ブレーキブースタ15が蓄えている負圧の大きさ、発電用モータジェネレータ2の発電電力等に応じて、走行用モータジェネレータ4が出力する回転トルク、内燃機関1が出力する回転トルク、発電用モータジェネレータ2が発電する電力または発電用モータジェネレータ2が出力する回転トルクを増減制御する。
原則として、蓄電装置3が現在充分な電荷を蓄えており、走行用モータジェネレータ4に対して要求される出力が小さいならば、内燃機関1への燃料の供給を遮断して内燃機関1を運転しない。翻って、蓄電装置3が蓄えている電荷の量が減少し、または走行用モータジェネレータ4に対して要求される出力が大きいならば、内燃機関1を始動し気筒11に燃料を供給してこれを燃焼させるファイアリングを実行し、内燃機関1の出力する回転トルクを以て発電機モータジェネレータ2を駆動し、発電を実施して蓄電装置3を充電、または走行用モータジェネレータ4に供給する電力を増強する。
内燃機関1の気筒11に燃料を供給して内燃機関1を運転しておらず、走行用モータジェネレータ4により駆動輪62を駆動して車両を走行させている最中に、内燃機関1を始動して発電用モータジェネレータ2による発電を実行しようとするためには、まず、発電用モータジェネレータ2を電動機として作動させ、これにより内燃機関1の始動のためのモータリングを行う。そして、内燃機関1のクランクシャフトが所定回数以上または所定角度以上回転し、内燃機関1の各気筒11の現在の行程またはピストンの位置を知得する気筒判別が完了した後、内燃機関1の各気筒の行程に合わせて適切なタイミングで燃料を噴射し、かつ適切なタイミングで燃料を着火燃焼させるファイアリングを開始する。内燃機関1のクランクシャフトの回転角度及び回転速度即ちエンジン回転数は、発電用モータジェネレータ2に付帯するレゾルバを介して(発電機ECU02において)検出することができ、内燃機関1に付帯するクランク角センサを介して(EFI ECU01において)検出することもできる。
モータリング及びファイアリングにより内燃機関1の回転が加速し、その回転数が始動判定値を超えたならば、内燃機関1が始動して自立的に回転する状態となった(換言すれば、発電用モータジェネレータ2の出力を低減させてもなおエンジン回転数が上昇傾向を維持できるようになった)と判定し、電動機として作動させている発電用モータジェネレータ2の出力を0まで低減させてモータリングを終了する。
内燃機関1の始動判定後は、内燃機関1により発電用モータジェネレータ2を回転駆動する。さらに、発電用モータジェネレータ2を発電機として作動させ、その発電電力を0から増大させる。
なお、ECU0の一部をなすEFI ECU01は、内燃機関1の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒11に吸入される空気量(いわば、エンジン負荷率)を推算する。そして、吸入空気量に見合った(目標空燃比を実現するために必要な)要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング(一度の燃焼に対する点火の回数を含む)、要求EGR率(または、EGRガス量)等といった内燃機関1の運転パラメータを決定する。このEFI ECU01は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを、出力インタフェースを介して点火プラグ112のイグナイタ、インジェクタ111、スロットルバルブ132、EGRバルブ123等に対して出力する。
その上で、本実施形態のECU0(または、EFI ECU01)は、内燃機関1を始動した直後の時期に、排気浄化用の触媒141を昇温させるための予備運転を実施する。
具体的には、図3に示すように、内燃機関1の始動が完了した時点t0から時点t1までの、触媒141の温度が最も低い第一の時期に、スロットルバルブ132の開度を最も縮小して気筒11に吸入される空気量を最も少なくし、かつインジェクタ11から噴射する燃料の量を最も少なくする。これにより、気筒11から排出され排気通路14を通じて触媒141に流入する排気及び有害物質の量をできる限り低減し、第一の時期におけるエミッションの悪化を抑制する。並びに、第一の時期に、点火プラグ12による火花点火のタイミングをより遅角することで、気筒11から排出され触媒141に流入する排気の温度を高め、以て触媒141の昇温を促す。第一の時期の終期の時点t1における触媒141の温度は、250℃ないし300℃程度まで上昇する。
次いで、時点t1から時点t2までの、触媒141の温度が第一の時期よりも高まった第二の時期には、スロットルバルブ132の開度を拡大操作して気筒11に吸入される空気量を第一の時期よりも多くし、かつインジェクタ11から噴射する燃料の量を第一の時期よりも多くする。同時に、点火プラグ12による火花点火のタイミングを第一の時期よりも進角する。これにより、第一の時期と比較して内燃機関1の出力を増大させながら熱機械変換効率を高める。また、気筒11から排出され触媒141に流入する排気の流量を増大させて、触媒141のさらなる昇温を促進する。第二の時期の終期の時点t2における触媒141の温度は、450℃ないし500℃程度まで上昇する。
しかして、時点t2以降の、触媒141の温度が第二の時期よりも高まった第三の時期には、スロットルバルブ132の開度を平常の大きさまで拡大して気筒11に吸入される空気量を第二の時期よりも多くし、かつインジェクタ11から噴射する燃料の量を第二の時期よりも多くして、第二の時期と比較して内燃機関1の出力をさらに増大させる。
本実施形態のECU0は、内燃機関1の始動後の触媒141の温度を既知の手法に則って推定する。例えば、まず、現在の内燃機関1の運転領域[エンジン回転数,スロットルバルブ開度]を基に、触媒141に流入する排気の温度の基本値を求める。ECU0のメモリには予め、内燃機関の運転領域と排気温度の基本値との関係を規定したマップデータ格納されている。ECU0は、現在の運転領域のパラメータをキーとして当該マップを検索し、排気温度の基本値を知得する。そして、排気温度の基本値を、現在の火花点火タイミング、混合気の空燃比、外気温及び車速等に応じて補正する。排気温度は、点火タイミングが遅角するほど上昇し、空燃比が理論空燃比から乖離するほど低下し、車速が高くなるほど(エンジンルームに吹き込む走行風の流量が増加して排気通路14がより空冷されることから)低下する。さらに、触媒141に流入した排気の持つ熱が触媒141に伝わり触媒141を昇温させるのに要する時間を加味して、触媒141の推定温度を算出する。
尤も、触媒141の温度を検出する温度センサが設置されているシステムでは、ECU0が当該温度センサの出力信号を参照して触媒141の温度を直接計測することが可能である。
ECU0は、現在の触媒141の推定温度または実測温度に基づき、現在の状況が上記の第一の時期、第二の時期及び第三の時期の何れに該当しているかを判断し、吸入空気量、燃料噴射量及び点火タイミングを制御する。ここに言う触媒141の温度は、触媒141の上流部の温度であってもよいし、触媒141の内部または下流部の温度であってもよい。
第一の時期と第二の時期との間の過渡期には、吸入空気量、燃料噴射量及び点火タイミングを徐変させることが好ましい。第二の時期と第三の時期との間においても、同様である。
加えて、第二の時期においては、触媒141の推定温度または実測温度が高くなるほど、吸入空気量及び燃料噴射量を増量したり、点火タイミングを進角化したりすることができる。
図4は、内燃機関1の燃料消費率即ち内燃機関1が単位量の機械エネルギを出力するために消費する燃料の量と、エンジン回転数、エンジントルク及びエンジン出力との関係を例示したものである。図4中、細い破線は、エンジン出力が一定となる等出力線を表している。エンジン回転数を横軸にとり、エンジントルクを縦軸にとると、エンジン回転数とエンジントルクとの積であるエンジン出力が一定となる等出力線は双曲線の形で描かれる。細い鎖線は、内燃機関1の燃料消費率が一定となるエンジン回転数及びエンジントルクの組である等燃料消費率線(燃料消費率の等高線)を表している。これら等出力線と等燃料消費率線とを組み合わせることで、ある要求出力を達成するときに最も燃料消費率がよくなる(小さくなる)エンジン回転数及びエンジントルクの組を、様々な出力についてプロットすることができる。それが、太い実線及び破線で表した最適燃費線である。
図4に示しているように、予備運転中である第一の時期における内燃機関1の出力P1即ちエンジン回転数及びエンジントルクは、第二の時期におけるそれP2よりも低い。同じく予備運転中である第二の時期における内燃機関1の出力P2即ちエンジン回転数及びエンジントルクは、第三の時期におけるそれP3よりも低い。第三の時期における内燃機関1の出力P3即ちエンジン回転数及びエンジントルクは、発電用モータジェネレータ2を駆動して発電するための平常の大きさである。第一の時期及び第二の時期における出力P1、P2は、内燃機関1の最適燃費線から乖離しているが、第三の時期における出力P3は、内燃機関1の最適燃費線上またはその近傍にある。第二の時期における出力P2は、第一の時期における出力P1と第三の時期における出力P3とを結ぶ直線上または曲線上にある。また、第三の時期における出力P3は、発電を行う発電用モータジェネレータ2の効率が最大となるか最大に近くなる回転数に対応している。
本実施形態では、駆動輪62に走行のための駆動力を供給できる走行用電動機4と、走行用電動機4に供給するべき電力を発電する発電機2に発電のための駆動力を供給できる内燃機関1とを具備するハイブリッド車両を制御する制御装置0であって、停止していた内燃機関1を始動した後、その排気通路14に装着されている排気浄化用の触媒141の温度が低い第一の時期に、気筒11に対する吸入空気量及び燃料噴射量を少なく、かつ点火タイミングを遅角し、触媒141の温度が第一の時期よりも高まった第二の時期に、気筒11に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第一の時期よりも多く、かつ点火タイミングを第一の時期よりも進角し、触媒141の温度が第二の時期よりも高まった第三の時期に、気筒11に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第二の時期よりも多くするハイブリッド車両の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、内燃機関1の始動直後の予備運転中の第一の時期及び第二の時期において、排出される有害物質の量を十分に抑制してエミッションを良化しながら、触媒141を効果的に昇温させてその活性化を早めることができる。また、エミッションを良化する目的のために、触媒141に使用する高価な貴金属の量を徒に増加させる必要がない。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的な構成や処理の内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、ハイブリッド車両に搭載した内燃機関の始動直後の時期の制御に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…内燃機関
11…気筒
111…インジェクタ
112…点火プラグ
14…排気通路
141…触媒
2…発電機(発電用モータジェネレータ)
3…蓄電装置
4…走行用電動機(走行用モータジェネレータ)
62…駆動輪

Claims (1)

  1. 駆動輪に走行のための駆動力を供給できる走行用電動機と、
    走行用電動機に供給するべき電力を発電する発電機に発電のための駆動力を供給できる内燃機関と
    を具備するハイブリッド車両を制御する制御装置であって、
    停止していた内燃機関を始動した後、その排気通路に装着されている排気浄化用の触媒の温度が低い第一の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を少なく、かつ点火タイミングを遅角し、
    触媒の温度が第一の時期よりも高まった第二の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第一の時期よりも多く、かつ点火タイミングを第一の時期よりも進角し、
    触媒の温度が第二の時期よりも高まった第三の時期に、気筒に対する吸入空気量及び燃料噴射量を第二の時期よりも多くするハイブリッド車両の制御装置。
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