JP2004084580A - 蓄熱システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド機構における内燃機関の暖機を行う蓄熱システムにおいて、暖機を目的として冷却水の循環を行う冷却循環装置を別途設置する必要がなく、そのため車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇に帰結しない蓄熱システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る蓄熱システムは、内燃機関1と補助動力源とを備えるハイブリッド機構と、内燃機関1の出力軸に連結され、内燃機関1から得られる機関出力によって内燃機関1内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置であるウォータポンプ8と、ウォータポンプ8によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器9と、を備え、内燃機関1の始動時に、内燃機関1の外部に設けられた駆動源により内燃機関1を駆動させることでウォータポンプ8を作動させることで冷却水を循環させ、内燃機関1の暖機を行う。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る蓄熱システムは、内燃機関1と補助動力源とを備えるハイブリッド機構と、内燃機関1の出力軸に連結され、内燃機関1から得られる機関出力によって内燃機関1内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置であるウォータポンプ8と、ウォータポンプ8によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器9と、を備え、内燃機関1の始動時に、内燃機関1の外部に設けられた駆動源により内燃機関1を駆動させることでウォータポンプ8を作動させることで冷却水を循環させ、内燃機関1の暖機を行う。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動力と補助動力源の動力とを利用して駆動されるハイブリッド車に搭載される内燃機関の暖機を行うための蓄熱システムに関する。
【従来の技術】
【0002】
近年、自動車等に搭載される内燃機関の燃料消費量、排気排出量、あるいは騒音の低減を目的として、内燃機関と電動機との二つの駆動源を具備し、内燃機関と電動機とを選択的に運転させて車両を駆動するハイブリット車の開発が進められている。
【0003】
上記したハイブリット車両としては、例えば、内燃機関と、内燃機関の動力で作動される発電機と、発電機により発電された電力を蓄えるバッテリと、発電機で発電された電力およびまたはバッテリに蓄積された電力によって作動する電動機と、電動機の回転軸と機械的に連結された車輪と、内燃機関の動力を発電機と電動機の回転軸とに分配する動力分割機構とを備えたものが提案されている。
【0004】
このように構成されたハイブリット車両では、発進時あるいは低速走行時のように車両負荷が低負荷領域にある場合は、内燃機関の運転が停止され、且つ、バッテリの電力が電動機に印加される。電動機は、バッテリからの電力によって回転軸を回転させる。
【0005】
この場合、電動機の回転軸は、電動機自体で発生する動力によって回転し、前記回転軸の回転トルクが車輪に伝達される。この結果、ハイブリット車両は、バッテリの電力によって作動する電動機の動力のみで走行することになる。
【0006】
前記ハイブリット車では、通常走行時のように車両負荷が中負荷領域にある場合は、内燃機関が運転され、動力分割機構が内燃機関の動力を発電機と電動機の回転軸とに分配する。発電機は、動力分割機構から分配された動力を利用して発電を行う。発電機によって発電された電力は、電動機に印加される。電動機は、発電機からの電力によって回転軸を回転させる。
【0007】
この場合、電動機の回転軸は、電動機自体で発生する動力と動力分割機構から分配された内燃機関の動力とを加算した動力によって回転し、前記回転軸の回転トルクが車輪に伝達される。この結果、ハイブリット車両は、内燃機関の動力を利用して発電された電力によって作動する電動機の動力と、内燃機関の動力とで走行することになる。
【0008】
前記ハイブリット車では、加速走行時のように車両負荷が高負荷領域にある場合は、内燃機関が運転され、動力分割機構が内燃機関の動力を発電機と電動機の回転軸とに分配する。発電機は、動力分割機構から分配された動力を利用して発電を行う。発電機によって発電された電力は、バッテリの電力とともに電動機に印加される。電動機は、発電機からの電力とバッテリからの電力とを加算した電力によって回転軸を回転させる。
【0009】
この場合、電動機の回転軸は、電動機自体で発生する動力と動力分割機構から分配された動力とを加算した動力によって回転し、前記回転軸の回転トルクが車輪に伝達される。この結果、ハイブリット車両は、内燃機関の動力を利用して発電された電力及びバッテリの電力によって作動する電動機の動力と、内燃機関の動力とで走行することになる。
【0010】
前記ハイブリット車では、車両が減速状態あるいは制動状態にある場合は、車輪の回転トルクが電動機の回転軸に伝達されることを利用して回生発電が行われる。すなわち、前記ハイブリット車では、車輪と電動機の回転軸とが機械的に連結されており、車両の減速時あるいは制動時に車輪の回転トルクが電動機の回転軸に伝達されるため、電動機を発電機として作用させることにより、車輪から電動機の回転軸に伝達される運動エネルギを電気エネルギに変換する、いわゆる回生発電を行うことが可能となる。前記電動機によって回生発電された電力は、バッテリに蓄積される。
【0011】
このようなハイブリット車によれば、電動機のみで車両を駆動させることによって内燃機関を効率的に運転させることが可能となり、燃料消費率の低減を図ることが可能となる。ところで、内燃機関の運転停止期間が長くなると、機関本体の温度が低下するため、内燃機関の再始動時に内燃機関を暖機運転させる必要が生じる。内燃機関を暖機運転させる場合は、燃焼の安定化や燃焼時に発生する熱量の増加などを目的として、燃料噴射量が通常よりも増量されるため、内燃機関を暖機運転させる頻度が増えると、燃料消費量が増加して、燃費が悪化するという問題があった。
【0012】
これに対し、従来では、特開2001−65384号公報に記載された「内燃機関の暖機促進装置」が提案されている。この公報に記載された内燃機関の暖機促進装置は、内燃機関と補助動力源とを選択的に運転させて車両を駆動するハイブリット機構と、断熱性を有する部材で形成され内燃機関内に形成された水路を循環する冷却水の一部を蓄える蓄熱容器と、内燃機関の始動時に前記蓄熱容器内の冷却水を内燃機関に循環させて内燃機関の暖機を促進する暖機促進手段と、ハイブリット機構によって内燃機関の運転が自動的に停止されるべきときに、蓄熱容器内の冷却水の温度が所定温度未満であると内燃機関の運転停止を禁止する運転停止禁止手段と、を備える。
【0013】
このように構成された内燃機関の暖機促進装置は、蓄熱容器内に蓄えられた冷却水を循環させることによって内燃機関の暖機を促進させるものである。更に、備える運転禁止手段によって、蓄熱容器内に蓄えられる冷却水の温度を一定以上に保つことで、内燃機関の暖機に適した冷却水の確保を図る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような内燃機関の暖機促進装置は、蓄熱容器内に蓄えた一定温度以上の冷却水を内燃機関に循環させることで、内燃機関の暖機を図るものであり、冷却水の循環に関する具体的な手段として、電動ウォータポンプが例示されている。この電動ウォータポンプは、冷却水を循環させて内燃機関の暖気を行うときに、電動ウォータポンプの駆動部に通電することによって作動し、冷却水の循環を行うものである。従って、内燃機関の暖機を目的とする冷却水の循環を主な駆動目的とする設備であり、暖機促進装置の一部として別途設置する必要がある。このような構成とした場合、電動ウォータポンプを更に設置することにより、車両搭載時の車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招くという問題がある。
【0015】
また、一般に内燃機関は、上記のような電動ウォータポンプではなく、内燃機関の出力軸から得られる機関出力を駆動源とするウォータポンプを備える。これは、内燃機関で発生した熱を、冷却水を媒介として放出させるために、ラジエータと内燃機関の間において冷却水を循環させるためのものである。しかし、このウォータポンプは先述のとおり、内燃機関の機関出力を駆動源としているため、内燃機関が停止しているときは作動しない。そのため、内燃機関が停止しているときにおいて、内燃機関を暖気するために冷却水を循環させるためには利用できない。
【0016】
そこで本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、ハイブリット車両のように内燃機関と補助動力源の少なくとも一方によって車両を駆動するハイブリッド機構における内燃機関の暖機を行う蓄熱システムにおいて、内燃機関の暖機を目的として冷却水の循環を行う電動ウォータポンプを別途設置する必要がなく、そのため車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない蓄熱システムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。即ち、本発明に係る蓄熱システムは、内燃機関と補助動力源を備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、前記内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、前記冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、前記内燃機関の始動時に、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、前記内燃機関の暖機を行うことを特徴とする。
【0018】
このように構成された蓄熱システムでは、内燃機関が停止しているときに、内燃機関を外部からの駆動源によって半ば強制的に駆動させることで、内燃機関に連結されている冷却水循環装置を作動させ、蓄熱容器に貯め込まれている冷却水を循環させる。その結果、内燃機関の暖機を行うことができる。
【0019】
つまり、内燃機関の出力軸に連結され、内燃機関から得られる機関出力によって内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置は、内燃機関が停止しているときは、駆動力である機関出力が発生していないために、冷却水を循環させることができない。そこで、内燃機関が停止しているときにおいて、内燃機関を内燃機関の外部に設けられた駆動源によって、半ば強制的に駆動させることによって、内燃機関に連結されている前記の冷却水循環装置を作動させ、冷却水の循環を行うものである。このとき、冷却水循環装置としては、内燃機関が燃料の燃焼によって自己駆動しているときに、内燃機関から発生する熱を、冷却水を媒介にして放出させるために、ラジエータと内燃機関との間において冷却水を循環させるウォータポンプが考えられる。
【0020】
このように構成することにより、内燃機関が停止しているときに内燃機関の外部における駆動源で、通常は内燃機関の冷却を行うために冷却水の循環を行う冷却水循環装置を駆動させ、内燃機関の暖機を図る。従って、既存の冷却水循環装置を内燃機関の暖機にも利用でき、別途、冷却水循環装置を設置する必要がなくなる。そのため、車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。
【0021】
ここで、内燃機関が停止しているときに内燃機関を駆動させるために、内燃機関の外部に設けられた駆動源として、ハイブリッド機構における補助動力源が考えられる。即ち、先述の蓄熱システムにおいて、更に電力を蓄積する蓄電池を備え、補助動力源は、前記蓄電池に蓄えられた電力によって駆動される電動機であって、前記冷却水循環手段は、前記電動機によって前記内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ、冷却水を循環させることを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、ハイブリッド機構における補助動力源である電動機で内燃機関を駆動することで、通常は内燃機関の冷却を行うために冷却水の循環を行う冷却水循環装置を作動させ、内燃機関の暖機を図る。従って、既存の冷却水循環装置を内燃機関の暖機にも利用でき、別途、冷却水循環装置を設置する必要がなくなる。そのため、車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。
【0023】
尚、内燃機関が停止しているときに内燃機関を駆動させるために、内燃機関の外部に設けられた駆動源としては、ハイブリッド機構における補助動力源だけではなく、車両内部に配設されるその他のアクチュエータを利用することも可能である。
【0024】
ここで、内燃機関が停止しているときに内燃機関の暖機を行うときだけではなく、次の内燃機関の暖機を行うために、内燃機関が停止しているときに冷却水を蓄熱容器へと回収するときにおいても、冷却水を循環させる必要がある。そこで、このような場合においても、先述の課題を解決するために本発明は以下のような手段を採用した。即ち、内燃機関と補助動力源を備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、前記内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、前記冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、前記内燃機関を停止したときに、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、前記冷却水循環水路の冷却水を前記蓄熱容器へ回収することを特徴とする。
【0025】
このように構成された蓄熱システムでは、内燃機関が停止しているときに、内燃機関を外部からの駆動源によって半ば強制的に駆動させることで、冷却水循環水路の冷却水を蓄熱容器へ回収する。その結果、次の内燃機関の暖機に使用する冷却水を蓄熱容器へ回収することができる。
【0026】
つまり、内燃機関の出力軸に連結され、内燃機関から得られる機関出力によって内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置は、内燃機関が停止しているときは、駆動力である機関出力が発生していないために、冷却水を循環させることができない。そこで、内燃機関が停止しているときにおいて、内燃機関を内燃機関の外部に設けられた駆動源によって、半ば強制的に駆動させることによって、内燃機関に連結されている前記の冷却水循環装置を作動させ、冷却水を循環させ、蓄熱容器へ回収するものである。また、冷却水循環装置、内燃機関の外部に設けられた駆動源については、先述と同様である。
【0027】
ここで、先述の蓄熱システムが、内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化触媒を備える場合、先述までのように内燃機関が停止しているときに、内燃機関の外部に設けられた駆動源によって内燃機関を駆動するときに発生する排気の、排気浄化触媒への流入を回避することができる。即ち、先述までの蓄熱システムにおいて、更に、前記内燃機関の排気管に該内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化触媒と、前記冷却水循環手段が作動することによって前記内燃機関が駆動されるときに、該内燃機関から排出される排気の前記排気浄化触媒への流入を回避する排気流入回避手段と、を備えることを特徴とする。
【0028】
このように構成された蓄熱システムでは、内燃機関が停止しているときに、内燃機関を外部からの駆動源によって半ば強制的に駆動させることで、内燃機関に連結されている冷却水循環装置を作動させることで、内燃機関の暖機および冷却水の蓄熱容器への回収を行うとともに、排気流入回避手段によって、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動されているときに、内燃機関から排出される排気が排気浄化触媒へ流入するのを回避する。
【0029】
つまり、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動されているときは、内燃機関においては燃料の燃焼が行われておらず、従って内燃機関から排出される排気に含有される酸素量もほぼ新気と等しいと考えられる。この排気を排気浄化触媒に供給すると、排気浄化触媒が酸素過多状態となり、排気浄化触媒の触媒機能が低下する。特に、排気浄化触媒が三元触媒であるときに酸素過多状態となると、排気中のNOxを浄化することができなくなる。そこで、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動されているときは、内燃機関から排出される排気が排気浄化触媒へ供給されるのを回避するものである
【0030】
このように構成することにより、既存の冷却水循環装置を内燃機関の暖機および冷却水の回収にも利用でき、別途、冷却水循環装置を設置する必要がなくなる。そのため、車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。一方で、内燃機関が外部からの駆動源によって駆動されているときに内燃機関からの排気を排気浄化触媒へと流入するのを回避することで、排気浄化触媒が酸素過多状態となり、触媒能力が低下することを防ぐことができる。
【0031】
ここで排気流入回避手段には、前記内燃機関の吸気管から排気管までに至る少なくとも一つの部位において、該部位における気体の通過を遮断することで排気の前記排気浄化触媒への流入を回避する手段が考えられる。つまり、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動するときは、吸気管から排気管に至る一連の吸気および排気の流れを遮断することによって、最終的に排気浄化触媒へ過多の酸素が供給されるのを防止するものである。
【0032】
更に、排気流入回避手段には、排気浄化触媒を迂回させて排気を排出することで排気の排気浄化触媒への流入を回避する手段も考えられる。つまり、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動するときは、内燃機関から排出される排気が排気浄化触媒を迂回することで、排気浄化触媒が排気に曝されることがなくなり、以って排気浄化触媒へ過多の酸素が供給されるのを防止するものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
<実施例1>
以下、本発明に係る蓄熱システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄熱システムを適用するハイブリッド車両に搭載されるハイブリッド機構の概略構成を示す図である。
図1に示すハイブリッド機構は、ガソリンエンジンである内燃機関1と、補助動力源としてのモータジェネレータ2及びモータジェネレータ3を備えている。
【0034】
内燃機関1のクランクシャフトは出力軸17に連結され、出力軸17は動力分割機構4に連結されている。動力分割機構4は、動力伝達軸19を介してモータジェネレータ2と連結されるとともに、動力伝達軸20を介してモータジェネレータ3とも連結されている。ここで、前記動力分割機構4は、例えば、ピニオンギヤを回転自在に支持するプラネタリキャリヤと、プラネタリキャリヤの外側に配置されたリングギヤと、プラネタリキャリヤの内側に配置されたサンギヤとを備えた遊星歯車(プラネタリギヤ)で構成され、プラネタリキャリヤの回転軸が前記出力軸17と連結され、リングギヤの回転軸が前記動力伝達軸20と連結され、サンギヤの回転軸が前記動力伝達軸19と連結されている。
【0035】
前記モータジェネレータ3に連結される動力伝達軸20には、減速機5が連結され、減速機5には、ドライブシャフト7を介して駆動輪6が連結されている。減速機5は、複数の歯車を組み合わせて構成され、動力伝達軸20の回転速度を減速して、内燃機関1、モータジェネレータ2及びモータジェネレータ3において発生したトルクをドライブシャフト7伝達する。
【0036】
前記モータジェネレータ2は、インバータ11と電気的に接続され、インバータ11は、更にバッテリ12と電気的に接続されている。モータジェネレータ2は、交流同期型の電動機で構成され、励磁電流が印加されるとトルクを発生するとともに、外部からトルクが加えられると、例えば前記内燃機関1から動力分割機構4を介して運動エネルギが入力されると、その運動エネルギを電気エネルギに変換することによって電力を発生させる。発生した電力はインバータ11を介してバッテリ12へ蓄積される。ここで、モータジェネレータ2は、内燃機関1の始動時にバッテリ12から電力が印加されることで駆動し、それに従い内燃機関1が駆動する。従って、内燃機関1のスタータモータとして作用する。バッテリ12は、複数のニッケル水素バッテリを直列に接続して構成されている。
【0037】
前記モータジェネレータ3は、前記モータジェネレータ2と並列してインバータ11と電気的に接続され、インバータ11は、バッテリ12と電気的に接続されている。モータジェネレータ3は、交流同期型の電動機で構成され、前記モータジェネレータ2で発電された電力およびまたはバッテリ12に蓄積されている電力が印加されると、印加される電力の大きさに応じたトルクを発生させ、動力伝達軸20を回転駆動させる。またモータジェネレータ3は、車両の減速時に発電機として作用し、駆動輪6からドライブシャフト7及び減速機5を介して動力伝達軸20に伝達される運動エネルギを電気エネルギに変換する、いわゆる回生発電を行う。
【0038】
前記インバータ11は、複数のパワートランジスタを組み合わせて構成される電力変換装置であり、モータジェネレータ2において発電された電力のバッテリ12への印加と、モータジェネレータ3において発電された電力のバッテリ12への印加と、モータジェネレータ2で発電された電力のモータジェネレータ3への印加と、バッテリ12に蓄電された電力のモータジェネレータ2への印加と、バッテリ12に蓄電された電力のモータジェネレータ3への印加とを選択的に切り換え、実行する。
【0039】
ここで、本実施の形態では、モータジェネレータ2およびモータジェネレータ3が交流同期型の電動機で構成されるため、インバータ11は、モータジェネレータ2およびモータジェネレータ3で発電された電力をバッテリ12へ印加する場合は発電された交流電圧を直流電圧に変換した後にバッテリ12へ印加し、バッテリ12の電力をモータジェネレータ2およびモータジェネレータ3へ印加する場合はバッテリ12の直流電圧を交流電圧に変換した後に印加する。
【0040】
ここで、上述のハイブリッド機構に含まれる内燃機関1の具体的な実施態様について、図面に基づいて説明する。図2は、前記内燃機関1およびその冷却水循環系の概略構成を示す図である。図2に示す内燃機関1は、4つの気筒を有する水冷式の4サイクル・ガソリンエンジンである。尚、図1に示すように内燃機関1と動力分割機構4とは、出力軸17を介して連結されているが、図2においては出力軸17の図示は省略されている。
【0041】
内燃機関1は、各気筒202の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁203を備えている。各燃料噴射弁203は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室204と接続されている。蓄圧室204は、燃料供給管205を介して燃料ポンプ206と連通している。この燃料ポンプ206は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ206の入力軸に取り付けられたポンププーリ206aが内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ201とベルト207を介して連結されている。このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ206の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ206は、クランクシャフトから該燃料ポンプ206の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0042】
前記燃料ポンプ206から吐出された燃料は、燃料供給管205を介して蓄圧室204へ供給され、蓄圧室204にて所定圧まで蓄圧されて各気筒202の燃料噴射弁203へ分配される。そして、燃料噴射弁203に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁203が開弁し、その結果、燃料噴射弁203から気筒202内へ燃料が噴射される。尚、本実施例における内燃機関1は、燃料が気筒内に直接噴射される直噴式内燃機関であるが、吸気ポートにおいて燃料が噴射されるポート噴射式内燃機関であってもよい。
【0043】
次に、内燃機関1には、吸気枝管208が接続されており、吸気枝管208の各枝管は、各気筒202の燃焼室と吸気ポート(図示省略)を介して連通している。前記吸気枝管208は吸気管209に接続されている。吸気管209には、該吸気管209内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ211が取り付けられている。前記吸気管209における吸気枝管208の直上流に位置する部位には、該吸気管209内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁213が設けられている。この吸気絞り弁213には、ステップモータ等で構成されて該吸気絞り弁213を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ214が取り付けられている。
【0044】
一方、内燃機関1には、排気枝管217が接続され、排気枝管217の各枝管が排気ポート(図示省略)を介して各気筒202の燃焼室と連通している。前記排気枝管217は排気管218と接続され、この排気管218は、下流にてマフラー(図示省略)に接続されている。
【0045】
前記排気管218の途中には、内燃機関1から排出される排気に含有される有害成分を浄化する排気浄化触媒220が設けられている。本実施例においては、この排気浄化触媒220に、排気の流れ方向に沿う貫通孔を複数有するよう格子状に形成されたコージェライトからなるセラミック担体と、セラミック担体の表面にコーティングされた触媒層とを備え、前記触媒層が多数の細孔を有する多孔質のアルミナ(Al2O3)の表面に白金−ロジウム(Pt−Rh)系あるいはパラジウム−ロジウム(Pd−Rh)系の貴金属触媒物質を担持させて形成された三元触媒が使用されている。この三元触媒は、流入する排気の空燃比が理論空燃比近傍にあるときに、排気中に含まれる炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を排気中の酸素(O2)と反応させて水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)へ酸化すると同時に、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を排気中の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)と反応させて水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)へ還元する。このような三元触媒によれば、排気中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化することが可能となり、それらの有害ガス成分が大気中に放出されることが防止される。
【0046】
ここで、上述のように、三元触媒は酸化反応と還元反応とを同時に進行させる触媒であるため、三元触媒の置かれる雰囲気の酸素濃度が触媒作用に大きな影響を及ぼす。即ち、三元触媒の置かれる雰囲気の酸素濃度が低すぎる場合は、酸素不足のため酸化反応を促進させることができず、一方で酸素濃度が高すぎる場合は、酸素過多状態となり還元反応を促進させることができない。従って、酸化反応と還元反応のバランスを考慮した酸素濃度の雰囲気に、三元触媒を配置する必要がある。
【0047】
ここで、排気浄化触媒220の直上流に位置する排気管218には、該排気管218内を流通する排気の温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ212が取り付けられている。また、排気浄化触媒220の上流には排気を導入する上流側導入管210aの一端が接続され、排気浄化触媒220の下流には下流側導入管210bの一端が接続される。上流側導入管210a及び下流側導入管210bの他端は差圧センサ210に接続されている。差圧センサ210は、上流側導入管210a及び下流側導入管210bから導入された排気の差圧に対応した電気信号を出力する。
前記した排気浄化触媒220の下流に位置する排気管218には、該排気管218内を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁215が設けられている。この排気絞り弁215には、ステップモータ等で構成されて該排気絞り弁215を開閉駆動する排気絞り用アクチュエータ216が取り付けられている。
【0048】
また、内燃機関1には、本発明に係る冷却水循環手段を構成する冷却水循環系を有する。以下に、本発明における冷却水循環系を図2に基づいて説明する。
【0049】
内燃機関1は、その出力軸18を介して、ウォータポンプ8と連結されている。ウォータポンプ8は内燃機関1から得られるトルクを駆動源として、冷却水を循環させる冷却水循環装置(ポンプ)である。ここで、ウォータポンプ8から内燃機関1へ冷却水路225aが延出している。図2においては図示されていないが、内燃機関1の内部においては、冷却水路225aから続く冷却水路が形成されており、冷却水路225bへと繋がる。この内燃機関1の内部における冷却水路は、そこを流れる冷却水と内燃機関とにおいて、熱エネルギの授受、例えば内燃機関1の有する熱エネルギを冷却水へ移行させることによる内燃機関1の冷却や、逆に冷却水の有する熱エネルギを内燃機関へ移行させることによる内燃機関の暖気等を実行すべく形成されている。
【0050】
更に、内燃機関1から延出した冷却水路225bは流路切替弁224に連結する。流路切替弁224からは、2本の流路225cおよび225eが延出している。ここで、流路切替弁224は225bから流れ込む冷却水を、冷却水路225c又は225eの何れかに流し込むべく流路を選択的に切り替える弁である。この流路切替弁224は、後述において説明するエンジンECU14からの指令により流路を切り替える。
【0051】
ここで、流路切替弁224から延出する冷却水路225cは、ラジエータ10へ連結する。ラジエータ10は、冷却水の放熱を行い、冷却水温度を低下させる装置である。ラジエータ10からは冷却水路225dが延出し、冷却水路225dはその途中でサーモスタッド221を介して、ウォータポンプ8へと連結する。ここで、サーモスタッド221は、冷却水の温度が所定の温度に満たない場合に、冷却水路225dにおける冷却水の流れを遮断する機能を有し、内燃機関1へ低温の冷却水が流れ内燃機関1が過多に冷却されるのを防止するための装置である。
一方で、流路切替弁224から延出する冷却水路225eは、蓄熱容器9に連結する。蓄熱容器9は、一定温度を有する冷却水を貯蔵するための容器であり、冷却水の保温のために容器周囲は断熱構造となっている。更に、蓄熱容器9から冷却水路225fが延出し、ウォータポンプ8へ連結する。
【0052】
また、内燃機関1の外壁において、該外壁温度を検出するための内燃機関外壁温度センサ222が設けられている。また、蓄熱容器9の冷却水排出口における冷却水の温度を検出するための蓄熱容器排水温センサ223が、蓄熱容器9の排出口に設けられている。更にウォータポンプ8によって内燃機関1に送り込まれ、内燃機関1と熱エネルギの授受を行った直後の冷却水の温度を検出するための循環冷却水温センサ226が、冷却水が内燃機関1から排出される部位に設けられている。
【0053】
このように構成される冷却水循環系においては、エンジンECU14からの指令によって、流路切替弁224が225bから流れ込む冷却水を、冷却水路225c又は冷却水路225eの何れかに導く。従って、内燃機関の冷却が必要な場合は、流路切替弁224によって形成される、冷却水路225a、内燃機関1内部に形成される冷却水路、冷却水路225b、冷却水路225c、冷却水路225dを含む冷却水路を冷却水が循環することになる。この冷却水路において、冷却水は、内燃機関1から熱エネルギを受け取り、ラジエータ10において自己の有する熱エネルギの放出を行う。
内燃機関の暖機が必要な場合は、流路切替弁224によって形成される、冷却水路225a、内燃機関1内部に形成される冷却水路、冷却水路225b、冷却水路225e、冷却水路225fを含む冷却水路を冷却水が循環することになる。この冷却水路において、蓄熱容器9に貯蔵されている冷却水は、自己の有する熱エネルギを内燃機関1に伝達し、内燃機関1の暖機を行う。
【0054】
上記のような構成のハイブリッド機構には、内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるエンジンECU14と、モータジェネレータ2およびモータジェネレータ3に対して電力を供給するインバータ11を制御するための電子制御ユニットであるモータECU15と、バッテリ12を制御するための電子制御ユニットであるバッテリECU16と、エンジンECU14、モータECU15およびバッテリECU16を含めたハイブリッド機構全体を総合的に制御するための電子制御ユニットであるハイブリッドECU13が併設されている。
【0055】
例えば、また、モータECU15は、ハイブリッドECU13から要求されるトルクをモータジェネレータが発揮すべく、インバータ11を制御する。また、バッテリECU16は、バッテリ12の充電状態の監視等を行う。バッテリECU16からの信号に基づいて、バッテリ12が低充電状態にあるとハイブリッドECU13が判断すると、ハイブリッドECU13からモータECU15に対して、モータジェネレータ2の駆動指令を出し、モータジェネレータ2において発電された電力がインバータ11を介してバッテリ12へ充電される。
【0056】
ここで、ハイブリッドECU13およびエンジンECU14については、図3に基づいて詳細な説明を行う。ハイブリッドECU13は、アクセルペダルの操作量に対応した電気信号を出力するアクセル開度センサ220からのアクセル開度信号、クランク軸のクランク角に対応した電気信号を出力するクランクポジションセンサ219からのクランク角信号、排気浄化触媒220における吸入口と排出口との間の差圧に対応した電気信号を出力する差圧センサ210からの差圧信号や排気温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ212からの電気信号等に基づいて、必要な内燃機関出力、モータジェネレータトルク等を算出し、エンジンECU14を初めとする各ECUへその要求値を伝達することで、ハイブリッド機構全体の制御を行う。また、内燃機関1の吸気量および排気量を制御する吸気絞りアクチュエータ214および排気絞りアクチュエータ216の制御を行う。
【0057】
またエンジンECU14は、内燃機関外壁温度に対応した電気信号を出力する内燃機関外壁温度センサ222からの温度信号、蓄熱容器から排出される冷却水の水温に対応した電気信号を出力する蓄熱容器排水温センサ223からの温度信号、内燃機関において熱エネルギの授受を行った直後の冷却水の水温に対応した電気信号を出力する循環冷却水温センサ226からの温度信号やハイブリッドECU13から要求された内燃機関出力指令等に基づいて、内燃機関の燃料噴射弁203の開度指令や冷却水の流路切替弁224の切替指令等を行う。
【0058】
ここで、ハイブリッドECU13およびエンジンECU14は、各々CPUと、ROMと、RAMと、A/Dコンバータ(A/D)と、を備えている。前記ROMは各種アプリケーションプログラム及び制御マップを記憶している。前記RAMは、各センサからの出力信号やCPUの演算結果等を格納する。前記CPUは、前記ROMに記憶されたアプリケーションプログラム等に従って動作する。
【0059】
ここで、上記のように構成されるハイブリッド機構について、該ハイブリッド機構を有する車両の運転状態におけるハイブリッド機構の動作を以下に説明する。先ず、車両が停止状態から発進する場合は、前記ハイブリッドECU13は、バッテリ12からモータジェネレータ3へ駆動電力を印加させるべくインバータ11を制御する。バッテリ12からモータジェネレータ3へ駆動電力が供給されると、モータジェネレータ3の動力伝達軸20が回転し、次いで動力伝達軸20の回転トルクが減速機5及びドライブシャフト7を介して駆動輪6へ伝達され、車両が発進する。
【0060】
尚、車両発進時において、バッテリ12の充電状態が所定の基準値を下回っている場合、エアコンディショナ用コンプレッサ等の補機類を作動させる必要が生じた場合、又は、内燃機関1もしくは排気浄化系を暖機する必要が生じた場合等は、ハイブリッドECU30は、内燃機関1を始動させるべくエンジンECU14へ機関始動要求信号を送信する。
【0061】
ここで、車両発進時において、バッテリ12の充電、補機類の作動、内燃機関1もしくは排気浄化系の暖機を図るべく内燃機関1が始動されると、ハイブリッドECU13は、バッテリ12からモータジェネレータ2へ励磁電流を印加すべくインバータ11を制御し、モータジェネレータ2を発電機として作動させる。この場合、内燃機関1から出力されるトルクによって出力軸17が回転する。出力軸17の回転トルクは、動力分割機構4のプラネタリキャリアへ伝達され、プラネタリキャリアからサンギヤとリングギヤとに分配される。
【0062】前記プラネタリキャリアから前記サンギヤに分配された回転トルクは、前記サンギヤに連結されたモータジェネレータ2に伝達される。前記モータジェネレータ2は、前記サンギヤから伝達された運動エネルギを電気エネルギへ変換することにより発電を行う。前記モータジェネレータ2で発電された電力は、インバータ11によってバッテリ12とモータジェネレータ3とへ分配される。前記プラネタリキャリアから前記リングギヤに分配された回転トルクは、前記リングギヤに連結された動力伝達軸20へ伝達される。この結果、動力伝達軸20は、モータジェネレータ3から出力されるトルクと前記リングギヤから伝達された回転トルクとを加算したトルクで回転することになる。この動力伝達軸20の回転トルクは、減速機5及びドライブシャフト7を介して駆動輪6へ伝達される。
【0063】
次に、車両が発進状態から通常走行状態へ移行した場合は、ハイブリッドECU13は、内燃機関1から出力されるトルクを所望の目標トルクとすべくエンジンECU14を制御するとともに、バッテリ12からモータジェネレータ3への駆動電力の供給を停止し、且つバッテリ12からモータジェネレータ2へ励磁電流を印加させるべくインバータ11を制御する。
【0064】
具体的には、ハイブリッドECU13は、アクセル開度センサ220の出力信号(アクセル開度)と図示しない車速センサの出力信号(車速)とから運転者が要求する駆動トルク(以下、要求駆動トルクと称する)を算出し、要求駆動トルクを満たす上で内燃機関1が出力すべきトルク(以下、要求機関トルクと称する)とモータジェネレータ3が出力すべきトルク(以下、要求モータトルクと称する)とを決定する。ハイブリッドECU13は、前記要求機関トルクをエンジンECU14へ送信するとともに、前記要求モータトルクに従ってインバータ11を制御する。その際、ハイブリッドECU13は、モータジェネレータ2に印加する励磁電流の大きさを調節することによってモータジェネレータ2の回転数を制御し、それによって内燃機関1の機関回転数を制御する。
【0065】
ここで、ハイブリッドECU13からエンジンECU14へ送信される要求機関トルクは、例えば、内燃機関1の吸入空気量と機関回転数とをパラメータとした値である。その場合、ハイブリッドECU13は、吸入空気量と機関回転数と機関トルクとの関係を示すマップを有し、このマップから所望の機関トルクに対応した吸入空気量と機関回転数とを特定し、特定した吸入空気量と機関回転数とを要求機関トルクとしてエンジンECU14へ送信する。ハイブリッドECU13からの要求機関トルクを受信したエンジンECU14は、前記要求機関トルクに従って、スロットル開度、燃料噴射量、燃料噴射時期、及び点火時期を決定し、燃料噴射弁及び点火栓等を制御する。
【0066】
尚、車両の通常走行時にバッテリ12の充電が必要になると、ハイブリッドECU13は、内燃機関1から出力されるトルクを増加させるべくエンジンECU14を制御するとともに、バッテリ12からモータジェネレータ2へ印加される励磁電流を増加させるべくインバータ11を制御し、要求駆動トルクを確保しつつ発電量を増加させる。
【0067】
次に、車両が加速状態にある場合は、ハイブリッドECU13は、前述した通常走行時と同様に要求駆動トルク、要求機関トルク、及び要求モータトルクを算出し、次いでエンジンECU14を介して内燃機関1を制御するとともに、インバータ11を介してモータジェネレータ3を制御する。
【0068】
尚、ハイブリッドECU13は、インバータ11を制御する際、モータジェネレータ2で発電された電力に加えて、バッテリ12の電力もモータジェネレータ3へ印加すべく制御を行い、モータジェネレータ3から出力されるトルクを増加させる。
【0069】
更に、車両が減速状態もしくは制動状態にある場合は、前記ハイブリッドECU13は、内燃機関1の運転を停止させるべく前記エンジンECU14へ機関停止要求信号を送信するとともに、モータジェネレータ2の作動及びモータジェネレータ3の作動を停止させるべくインバータ11を制御する。
【0070】
続いて、前記ハイブリッドECU13は、モータジェネレータ3を発電機として作用させ、駆動輪6からドライブシャフト7及び減速機5を介して動力伝達軸20へ伝達される運動エネルギを電気エネルギに変換する回生発電を行う。前記モータジェネレータ3で回生発電された電力は、インバータ11を介してバッテリ12に充電される。
【0071】
以上に述べた運転状態において、車両が停止している状態、もしくは車両がモータジェネレータのみで駆動されている状態から内燃機関1を始動させる場合、内燃機関温度が低いため、その暖機が必要であると考えられる。そこで本発明に係る冷却水循環手段によって内燃機関1の暖機および暖機に使用する冷却水の回収が行われる。以下にその制御についての本実施の形態を説明する。図4は内燃機関の暖機時に行われる蓄熱冷却水供給制御の流れを示すフローチャート図、図5および図6は内燃機関の暖機に使用する冷却水を回収するための蓄熱冷却水回収制御の流れを示すフローチャート図である。
【0072】
先ず、図4に示す蓄熱冷却水供給制御を説明する。エンジンECU14は、蓄熱冷却水供給制御を一定の時間毎に繰り返し実行する。本制御において、先ずS401において、エンジンECU14は、内燃機関1が始動を要求されているか否かを判断する。具体的には、ハイブリッド車両の運転状況等によってハイブリッドECU13からエンジンECU14に対して、機関始動要求信号が出されているかを判断する。
【0073】
S401において、内燃機関1に始動要求がなされていないと判断されるとS401からS409へと進み、本制御を終了する。一方、S401において、内燃機関1に始動要求がなされていると判断されると、S401からS402へと進む。S402においては、エンジンECU14が内燃機関外壁温度センサ222から内燃機関1の外壁温度を取得し、該外壁温度と所定の温度T1との比較を行う。所定の温度T1は、内燃機関1が暖機を要するか否かを判断するための基準温度である。従って、内燃機関1の外壁温度が所定の温度T1より高い場合は、内燃機関1は既に暖まっているため暖機は不要であると判断され、内燃機関1の外壁温度が所定の温度T1より低い場合は、内燃機関1の暖機は不十分であり暖機を行う必要があると判断される。従って、S402において、内燃機関1の外壁温度がT1以上であると判断されると、S409へ進み、本制御を終了する。一方、S402において、内燃機関1の外壁温度がT1に満たないと判断されると、S403へ進み、以後内燃機関1の暖機を行う。
【0074】
上述のS402においては、内燃機関1の外壁温度を、内燃機関1に暖機を要するか否かの判断基準としているが、内燃機関1の外壁温度に代わって、内燃機関1において熱エネルギの授受を行った直後に内燃機関1から排出される冷却水の温度をその判断基準としてもよい。即ち、循環冷却水温センサ226によって検出される冷却水温度は、内燃機関1において熱エネルギの授受を行った直後の冷却水温であるので、内燃機関1の暖機の程度に大きく影響されると考えられるからである。尚、この場合、内燃機関1が暖気を要するか否かを判断するための基準値であるT1は、上述の内燃機関1の外壁温度を用いる場合のT1とは異なるので、対応するT1を設定する必要がある。
【0075】
S403においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225eが連通することで、冷却水通路225a、225b、内燃機関1の内部に形成される冷却水路、225e、225fを含む冷却水の循環水路が形成される。S403の処理が終了すると、S404へ進む。
【0076】
S404においては、エンジンECU14からハイブリッドECU13に対して、吸気絞り弁213、排気絞り弁215のうち少なくとも一方を閉じるべく絞り弁閉弁信号が出される。ハイブリッドECU13は、この絞り弁閉弁信号に基づいて、吸気絞りアクチュエータ214および排気絞りアクチュエータ216の制御を行う。ここで、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215が閉弁されると、吸気管209から排気管218に至る一連の吸気および排気の流れを遮断することになり、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。尚、内燃機関1が、気筒202における吸気バルブ又は排気バルブの動作を制御できる動弁機構を備える場合、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215の閉弁に代わり、該吸気バルブ又は該排気バルブを直接閉弁することによっても、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。S404の処理が終了すると、S405へ進む。
【0077】
S405においては、ハイブリッド機構におけるモータジェネレータ2を駆動する。モータジェネレータ2を駆動することにより、モータジェネレータ2と連結されている内燃機関1を強制的に駆動させる。更に、内燃機関1が駆動されることで、内燃機関1の出力軸18と連結されているウォータポンプ8が駆動され、蓄熱容器9に貯蔵された冷却水の循環が行われ、内燃機関1が暖機される。S405の処理が終了すると、S406へ進む。
【0078】
S406においては、エンジンECU14が内燃機関外壁温度センサ222から、内燃機関1の外壁温度を取得し、該外壁温度と所定の温度T2との比較を行う。所定の温度T2は、内燃機関1の暖機が完了したか否かを判断するための基準温度である。本実施例では、所定の温度T2は、先述の所定の温度T1以下の値を設定する。内燃機関1の外壁温度が所定の温度T2より高い場合は、内燃機関1の暖機が完了したと判断され、内燃機関1の外壁温度が所定の温度T2以下の場合は、内燃機関1の暖機はまだ完了していないと判断される。従って、S406において、内燃機関1の外壁温度がT2より高いと判断されると、S407へ進む。一方、S406において、内燃機関1の外壁温度がT2以下と判断されると、S403以降の処理が再度行われる。尚、S402に場合と同様に、内燃機関1の外壁温度に代わって、循環冷却水温センサ226から得られる冷却水温度と所定の温度T2とを比較するようにしてもよい。
【0079】
S407においては、S405において駆動したモータジェネレータ2を停止する。モータジェネレータ2が停止することによって、ウォータポンプ8は停止し、内燃機関1の暖気が終了する。尚、モータジェネレータ2を停止させずに、内燃機関1の起動を行ってもよい。この場合は、ウォータポンプ8は内燃機関1に従って駆動し続けることになる。S407の処理が終了すると、S408へ進む。
【0080】
S408においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225cが連通することで、冷却水通路225a、225b、内燃機関1の内部に形成される冷却水路、225c、225dを含む冷却水の循環通路が形成される。S408の処理が終了すると、S409へ進み、本制御が終了する。
【0081】
本制御における一連の処理により、内燃機関1が始動する前に、内燃機関1が暖機の暖機が必要であると判断される場合は、モータジェネレータ2によって停止状態にある内燃機関1を強制的に駆動させることで、ウォータポンプ8を駆動させ、S403において形成された冷却水路に蓄熱容器9に貯蔵された冷却水を循環させることができる。この結果、内燃機関1の暖機を行うことができる。更に、内燃機関1において燃焼が行われる前に内燃機関1が駆動されることにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素を含む排気が供給されることになるが、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁し、吸気又は排気の流れを遮断することで、排気浄化触媒220への排気の流入を回避することができ、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を防止できる。この結果、排気浄化触媒220における触媒反応の低下を防止できる。
【0082】
次に、図5に示す蓄熱冷却水回収制御を説明する。エンジンECU14は、蓄熱冷却水回収制御を一定の時間毎に繰り返し実行する。本制御において、先ずS501において、エンジンECUは、内燃機関1が停止状態にあるか否かを判断する。具体的には、ハイブリッド車両の運転状況等によってハイブリッドECU13からエンジンECU14に対して、機関停止要求信号が出されているかを判断する。
【0083】
S501において、内燃機関1が停止状態にないと判断されるとS501からS510へと進み、本制御を終了する。一方、S501において、内燃機関1が停止状態にあると判断されると、S501からS502へと進む。S502においては、エンジンECU14が循環冷却水温センサ226から冷却水温度を取得し、該冷却水温度と所定の温度T3との比較を行う。所定の温度T3は、内燃機関1を循環している冷却水がある程度の熱エネルギを有しているか、即ち冷却水の温度が次の内燃機関1の暖機に使用できる程度に温まっているか否かを判断するための基準温度である。従って、冷却水温度が所定の温度T3より高い場合は、その冷却水は次の内燃機関1の暖機に使用できると判断され、冷却水温度が所定の温度T3以下の場合は、その冷却水は次の内燃機関1の暖機に使用できないと判断される。従って、S502において、冷却水温度がT3以下であると判断されると、S510へ進み、本制御を終了する。一方、S502において、冷却水温度がT3を越えると判断されると、S503へ進み、以後冷却水の蓄熱容器9への回収を行う。
【0084】
S503においては、冷却水回収タイマーを始動させる。冷却水回収タイマーの作動時間をtで表し、該タイマー始動時を0とする。冷却水回収タイマーが作動している間、冷却水の回収を行う。S503の処理が終了すると、S504へ進む。
【0085】
S504においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225eが連通することで、冷却水通路225a、225b、内燃機関1の内部に形成される冷却水路、225e、225fを含む冷却水の循環通路が形成される。S504の処理が終了すると、S505へ進む。
【0086】
S505においては、エンジンECU14からハイブリッドECU13に対して、吸気絞り弁213、排気絞り弁215のうち少なくとも一方を閉じるべく絞り弁閉弁信号が出される。ハイブリッドECU13は、この絞り弁閉弁信号に基づいて、吸気絞りアクチュエータ214および排気絞りアクチュエータ216の制御を行う。ここで、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215が閉弁されると、吸気管209から排気管218に至る一連の吸気および排気の流れを遮断することになり、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。尚、内燃機関1が、気筒202における吸気バルブ又は排気バルブの動作を制御できる動弁機構を備える場合、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215の閉弁に代わり、該吸気バルブ又は該排気バルブを直接閉弁することによっても、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。S505の処理が終了すると、S506へ進む。
【0087】
S506においては、ハイブリッド機構におけるモータジェネレータ2を駆動する。モータジェネレータ2を駆動することにより、モータジェネレータ2と連結されている内燃機関1を強制的に駆動させる。更に、内燃機関1が駆動されることで、内燃機関1の出力軸18と連結されているウォータポンプ8が駆動され、冷却水の循環が行われ、蓄熱容器9に冷却水が回収される。S506の処理が終了すると、S507へ進む。
【0088】
S507においては、冷却水回収タイマーの作動時間tが、所定の時間t1以内であるか否かを判断する。所定の時間t1は、冷却水回収タイマーが作動し冷却水を蓄熱容器9に回収するまでの総時間で、蓄熱容器9の容量等を考慮して決定される。該タイマーの作動時間tが所定の時間t1以上である場合は、冷却水の回収が完了したと判断され、タイマーの作動時間tが所定の時間t1未満である場合は、冷却水の回収はまだ完了していないと判断される。従って、S507において、該タイマーの作動時間tが所定の時間t1以上であると判断されると、S508へ進む。一方、S507において、該タイマーの作動時間tが所定の時間t1未満であると判断されると、S504以降の処理が再度行われる。
【0089】
S508においては、S506において駆動したモータジェネレータ2を停止する。モータジェネレータ2が停止することによって、ウォータポンプ8は停止し、冷却水の回収が終了する。S508の処理が終了すると、S509へ進む。
【0090】
S509においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225cが連通することで、冷却水通路225a、225b、225c、225dを含む冷却水の循環通路が形成される。S509の処理が終了すると、S510へ進み、本制御が終了する。
【0091】
本制御における一連の処理により、内燃機関1の停止に際して、冷却水の温度が所定の温度以上を越えると判断される場合は、モータジェネレータ2によって停止状態にある内燃機関1を強制的に駆動させることで、ウォータポンプ8を駆動させ、S504において形成された冷却水路によって冷却水を蓄熱容器9に貯蔵することができる。この結果、停止直後にある内燃機関1の有する熱エネルギによって暖められた冷却水を、次の内燃機関の暖機に使用することができる。更に、内燃機関1において燃焼が行われる前に内燃機関1が駆動されることにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素を含む排気が供給されることになるが、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁し、吸気又は排気の流れを遮断することで、排気浄化触媒220への排気の流入を回避することができ、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を防止できる。この結果、排気浄化触媒220における触媒反応の低下を防止できる。
【0092】
次に、本発明に係る蓄熱冷却水回収制御の別形態の実施例を図6に示す。尚、図6に示す実施例は図5に示す実施例の一部の処理が変更となっている。従って、図5における処理と共通する処理については、同じ参照番号を付すことにより、その説明を省略する。以下に、相違する処理について説明をする。
【0093】
図6に示す実施例においては、冷却水回収タイマーの作動時間に従って冷却水の回収を行うのではなく、蓄熱容器9に貯蔵される冷却水温度を検出し、その冷却水温度が一定の値を越えるまで冷却水の回収を継続させる。従って、図5のS503に示す冷却水回収タイマーを作動させる必要がない。
更に、図5に示すS507に代わり、S600が実行される。S600においては、蓄熱容器排水温センサ223から得られる蓄熱容器9からの排水(冷却水)の温度が所定の温度T4を越えているか否かを判断する。所定の温度T4は、冷却水の回収の終了を判断するための温度であり、内燃機関1の熱容量等を考慮して決定される。蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4を越える場合は、冷却水の回収が完了したと判断され、蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4以下である場合は、冷却水の回収はまだ完了していないと判断される。従って、S600において、蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4を越えると判断されると、S508へ進む。一方、S507において、蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4以下であると判断されると、S504以降の処理が再度行われる。
【0094】
本制御における一連の処理により、内燃機関1の停止に際して、冷却水の温度が所定の温度以上を越えると判断される場合は、モータジェネレータ2によって停止状態にある内燃機関1を強制的に駆動させることで、ウォータポンプ8を駆動させ、S504において形成された冷却水路によって冷却水を蓄熱容器9に貯蔵することができる。この結果、停止直後にある内燃機関1の有する熱エネルギによって暖められた冷却水を、次の内燃機関の暖機に使用することができる。また、蓄熱容器9に貯蔵される冷却水の温度を常に一定の温度以上に保つことが可能となる。更に、内燃機関1において燃焼が行われる前に内燃機関1が駆動されることにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素を含む排気が供給されることになるが、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁し、吸気又は排気の流れを遮断することで、排気浄化触媒220への排気の流入を回避することができ、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を防止できる。この結果、排気浄化触媒220における触媒反応の低下を防止できる。
【0095】
<第2の実施例>
図7は、図2における内燃機関1の排気系の態様を一部変更したものである。図2と図7とに共通する部位については、共通の参照番号を付してその説明を省略する。以下に、相違する部位について説明をする。
ここで図7において、排気浄化触媒220の上流側の排気管218に排気流路切替弁227が設けられており、更に排気迂回路228が該排気流路切替弁227から排気浄化触媒220の下流側の排気管218まで連通している。排気流路切替弁227は、内燃機関1から排出される排気の流路を切り替える弁である。
【0096】
このように構成される蓄熱システムにおいては、排気流路切替弁227によって、内燃機関1から排出される排気を、排気浄化触媒220もしくは排気迂回通路228の何れか一方に導入することができる。従って、本発明に係る内燃機関1の暖機の際に行われる蓄熱冷却水供給制御および冷却水の蓄熱容器9への回収に際に行われる蓄熱冷却水回収制御において、内燃機関1から排出される排気を排気流路切替弁227によって排気迂回通路228へ導入することにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素が供給されることを抑制することができる。具体的には、図4に示す蓄熱冷却水供給制御中の処理S404および図5、図6に示す蓄熱冷却水回収制御中の処理S505において、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁することにより排気浄化触媒220へ過多の酸素が供給されることを抑制する代わりに、排気流路切替弁227によって排気を排気迂回路228へと導入することにより排気浄化触媒220へ過多の酸素が供給されることを抑制する。
尚、蓄熱冷却水供給制御および蓄熱冷却水回収制御が行われる場合は、内燃機関1において燃料は供給されず、モータジェネレータ2によって内燃機関1が強制的に駆動されるため、排気迂回路228を経由して排気を排出しても有害物質が車外へ放出される虞はない。
【0097】
【発明の効果】
本発明に係る蓄熱システムは、内燃機関と補助動力源とを備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、該内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、該冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、該内燃機関の始動時に、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで該冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、該内燃機関の暖機を行い、又は該冷却水循環水路の冷却水を該蓄熱容器へ回収する。
【0098】
本発明によれば、内燃機関の暖気および冷却水の蓄熱容器への回収時において、内燃機関の冷却を行うために備えられている冷却水循環装置を内燃機関の外部に設けられた駆動源によって駆動することにより、冷却水を循環させる。従って、内燃機関の暖気および冷却水の蓄熱容器への回収を目的とした冷却水循環装置を別途備える必要がなく、そのため車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る蓄熱システムを構成するハイブリッド機構の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける内燃機関およびその冷却水循環系の概略構成概略構成を示す図である。
【図3】本実施の形態に係るハイブリッド機構における電子制御装置(ECU)に関し、特にハイブリッドECUおよびエンジンECUの内部構成を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける蓄熱冷却水の供給制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図5】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける蓄熱冷却水の回収制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図6】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける第2の蓄熱冷却水の回収制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図7】本実施の形態に係る第2の蓄熱システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2・・・・モータジェネレータ
3・・・・モータジェネレータ
8・・・・ウォータポンプ
9・・・・蓄熱容器
17・・・出力軸
18・・・出力軸
209・・吸気管
213・・吸気絞り弁
214・・吸気絞りアクチュエータ
215・・排気絞り弁
216・・排気絞りアクチュエータ
218・・排気管
220・・排気浄化触媒
224・・流路切替弁
227・・排気流路切替弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動力と補助動力源の動力とを利用して駆動されるハイブリッド車に搭載される内燃機関の暖機を行うための蓄熱システムに関する。
【従来の技術】
【0002】
近年、自動車等に搭載される内燃機関の燃料消費量、排気排出量、あるいは騒音の低減を目的として、内燃機関と電動機との二つの駆動源を具備し、内燃機関と電動機とを選択的に運転させて車両を駆動するハイブリット車の開発が進められている。
【0003】
上記したハイブリット車両としては、例えば、内燃機関と、内燃機関の動力で作動される発電機と、発電機により発電された電力を蓄えるバッテリと、発電機で発電された電力およびまたはバッテリに蓄積された電力によって作動する電動機と、電動機の回転軸と機械的に連結された車輪と、内燃機関の動力を発電機と電動機の回転軸とに分配する動力分割機構とを備えたものが提案されている。
【0004】
このように構成されたハイブリット車両では、発進時あるいは低速走行時のように車両負荷が低負荷領域にある場合は、内燃機関の運転が停止され、且つ、バッテリの電力が電動機に印加される。電動機は、バッテリからの電力によって回転軸を回転させる。
【0005】
この場合、電動機の回転軸は、電動機自体で発生する動力によって回転し、前記回転軸の回転トルクが車輪に伝達される。この結果、ハイブリット車両は、バッテリの電力によって作動する電動機の動力のみで走行することになる。
【0006】
前記ハイブリット車では、通常走行時のように車両負荷が中負荷領域にある場合は、内燃機関が運転され、動力分割機構が内燃機関の動力を発電機と電動機の回転軸とに分配する。発電機は、動力分割機構から分配された動力を利用して発電を行う。発電機によって発電された電力は、電動機に印加される。電動機は、発電機からの電力によって回転軸を回転させる。
【0007】
この場合、電動機の回転軸は、電動機自体で発生する動力と動力分割機構から分配された内燃機関の動力とを加算した動力によって回転し、前記回転軸の回転トルクが車輪に伝達される。この結果、ハイブリット車両は、内燃機関の動力を利用して発電された電力によって作動する電動機の動力と、内燃機関の動力とで走行することになる。
【0008】
前記ハイブリット車では、加速走行時のように車両負荷が高負荷領域にある場合は、内燃機関が運転され、動力分割機構が内燃機関の動力を発電機と電動機の回転軸とに分配する。発電機は、動力分割機構から分配された動力を利用して発電を行う。発電機によって発電された電力は、バッテリの電力とともに電動機に印加される。電動機は、発電機からの電力とバッテリからの電力とを加算した電力によって回転軸を回転させる。
【0009】
この場合、電動機の回転軸は、電動機自体で発生する動力と動力分割機構から分配された動力とを加算した動力によって回転し、前記回転軸の回転トルクが車輪に伝達される。この結果、ハイブリット車両は、内燃機関の動力を利用して発電された電力及びバッテリの電力によって作動する電動機の動力と、内燃機関の動力とで走行することになる。
【0010】
前記ハイブリット車では、車両が減速状態あるいは制動状態にある場合は、車輪の回転トルクが電動機の回転軸に伝達されることを利用して回生発電が行われる。すなわち、前記ハイブリット車では、車輪と電動機の回転軸とが機械的に連結されており、車両の減速時あるいは制動時に車輪の回転トルクが電動機の回転軸に伝達されるため、電動機を発電機として作用させることにより、車輪から電動機の回転軸に伝達される運動エネルギを電気エネルギに変換する、いわゆる回生発電を行うことが可能となる。前記電動機によって回生発電された電力は、バッテリに蓄積される。
【0011】
このようなハイブリット車によれば、電動機のみで車両を駆動させることによって内燃機関を効率的に運転させることが可能となり、燃料消費率の低減を図ることが可能となる。ところで、内燃機関の運転停止期間が長くなると、機関本体の温度が低下するため、内燃機関の再始動時に内燃機関を暖機運転させる必要が生じる。内燃機関を暖機運転させる場合は、燃焼の安定化や燃焼時に発生する熱量の増加などを目的として、燃料噴射量が通常よりも増量されるため、内燃機関を暖機運転させる頻度が増えると、燃料消費量が増加して、燃費が悪化するという問題があった。
【0012】
これに対し、従来では、特開2001−65384号公報に記載された「内燃機関の暖機促進装置」が提案されている。この公報に記載された内燃機関の暖機促進装置は、内燃機関と補助動力源とを選択的に運転させて車両を駆動するハイブリット機構と、断熱性を有する部材で形成され内燃機関内に形成された水路を循環する冷却水の一部を蓄える蓄熱容器と、内燃機関の始動時に前記蓄熱容器内の冷却水を内燃機関に循環させて内燃機関の暖機を促進する暖機促進手段と、ハイブリット機構によって内燃機関の運転が自動的に停止されるべきときに、蓄熱容器内の冷却水の温度が所定温度未満であると内燃機関の運転停止を禁止する運転停止禁止手段と、を備える。
【0013】
このように構成された内燃機関の暖機促進装置は、蓄熱容器内に蓄えられた冷却水を循環させることによって内燃機関の暖機を促進させるものである。更に、備える運転禁止手段によって、蓄熱容器内に蓄えられる冷却水の温度を一定以上に保つことで、内燃機関の暖機に適した冷却水の確保を図る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような内燃機関の暖機促進装置は、蓄熱容器内に蓄えた一定温度以上の冷却水を内燃機関に循環させることで、内燃機関の暖機を図るものであり、冷却水の循環に関する具体的な手段として、電動ウォータポンプが例示されている。この電動ウォータポンプは、冷却水を循環させて内燃機関の暖気を行うときに、電動ウォータポンプの駆動部に通電することによって作動し、冷却水の循環を行うものである。従って、内燃機関の暖機を目的とする冷却水の循環を主な駆動目的とする設備であり、暖機促進装置の一部として別途設置する必要がある。このような構成とした場合、電動ウォータポンプを更に設置することにより、車両搭載時の車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招くという問題がある。
【0015】
また、一般に内燃機関は、上記のような電動ウォータポンプではなく、内燃機関の出力軸から得られる機関出力を駆動源とするウォータポンプを備える。これは、内燃機関で発生した熱を、冷却水を媒介として放出させるために、ラジエータと内燃機関の間において冷却水を循環させるためのものである。しかし、このウォータポンプは先述のとおり、内燃機関の機関出力を駆動源としているため、内燃機関が停止しているときは作動しない。そのため、内燃機関が停止しているときにおいて、内燃機関を暖気するために冷却水を循環させるためには利用できない。
【0016】
そこで本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、ハイブリット車両のように内燃機関と補助動力源の少なくとも一方によって車両を駆動するハイブリッド機構における内燃機関の暖機を行う蓄熱システムにおいて、内燃機関の暖機を目的として冷却水の循環を行う電動ウォータポンプを別途設置する必要がなく、そのため車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない蓄熱システムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。即ち、本発明に係る蓄熱システムは、内燃機関と補助動力源を備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、前記内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、前記冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、前記内燃機関の始動時に、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、前記内燃機関の暖機を行うことを特徴とする。
【0018】
このように構成された蓄熱システムでは、内燃機関が停止しているときに、内燃機関を外部からの駆動源によって半ば強制的に駆動させることで、内燃機関に連結されている冷却水循環装置を作動させ、蓄熱容器に貯め込まれている冷却水を循環させる。その結果、内燃機関の暖機を行うことができる。
【0019】
つまり、内燃機関の出力軸に連結され、内燃機関から得られる機関出力によって内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置は、内燃機関が停止しているときは、駆動力である機関出力が発生していないために、冷却水を循環させることができない。そこで、内燃機関が停止しているときにおいて、内燃機関を内燃機関の外部に設けられた駆動源によって、半ば強制的に駆動させることによって、内燃機関に連結されている前記の冷却水循環装置を作動させ、冷却水の循環を行うものである。このとき、冷却水循環装置としては、内燃機関が燃料の燃焼によって自己駆動しているときに、内燃機関から発生する熱を、冷却水を媒介にして放出させるために、ラジエータと内燃機関との間において冷却水を循環させるウォータポンプが考えられる。
【0020】
このように構成することにより、内燃機関が停止しているときに内燃機関の外部における駆動源で、通常は内燃機関の冷却を行うために冷却水の循環を行う冷却水循環装置を駆動させ、内燃機関の暖機を図る。従って、既存の冷却水循環装置を内燃機関の暖機にも利用でき、別途、冷却水循環装置を設置する必要がなくなる。そのため、車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。
【0021】
ここで、内燃機関が停止しているときに内燃機関を駆動させるために、内燃機関の外部に設けられた駆動源として、ハイブリッド機構における補助動力源が考えられる。即ち、先述の蓄熱システムにおいて、更に電力を蓄積する蓄電池を備え、補助動力源は、前記蓄電池に蓄えられた電力によって駆動される電動機であって、前記冷却水循環手段は、前記電動機によって前記内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ、冷却水を循環させることを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、ハイブリッド機構における補助動力源である電動機で内燃機関を駆動することで、通常は内燃機関の冷却を行うために冷却水の循環を行う冷却水循環装置を作動させ、内燃機関の暖機を図る。従って、既存の冷却水循環装置を内燃機関の暖機にも利用でき、別途、冷却水循環装置を設置する必要がなくなる。そのため、車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。
【0023】
尚、内燃機関が停止しているときに内燃機関を駆動させるために、内燃機関の外部に設けられた駆動源としては、ハイブリッド機構における補助動力源だけではなく、車両内部に配設されるその他のアクチュエータを利用することも可能である。
【0024】
ここで、内燃機関が停止しているときに内燃機関の暖機を行うときだけではなく、次の内燃機関の暖機を行うために、内燃機関が停止しているときに冷却水を蓄熱容器へと回収するときにおいても、冷却水を循環させる必要がある。そこで、このような場合においても、先述の課題を解決するために本発明は以下のような手段を採用した。即ち、内燃機関と補助動力源を備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、前記内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、前記冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、前記内燃機関を停止したときに、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、前記冷却水循環水路の冷却水を前記蓄熱容器へ回収することを特徴とする。
【0025】
このように構成された蓄熱システムでは、内燃機関が停止しているときに、内燃機関を外部からの駆動源によって半ば強制的に駆動させることで、冷却水循環水路の冷却水を蓄熱容器へ回収する。その結果、次の内燃機関の暖機に使用する冷却水を蓄熱容器へ回収することができる。
【0026】
つまり、内燃機関の出力軸に連結され、内燃機関から得られる機関出力によって内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置は、内燃機関が停止しているときは、駆動力である機関出力が発生していないために、冷却水を循環させることができない。そこで、内燃機関が停止しているときにおいて、内燃機関を内燃機関の外部に設けられた駆動源によって、半ば強制的に駆動させることによって、内燃機関に連結されている前記の冷却水循環装置を作動させ、冷却水を循環させ、蓄熱容器へ回収するものである。また、冷却水循環装置、内燃機関の外部に設けられた駆動源については、先述と同様である。
【0027】
ここで、先述の蓄熱システムが、内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化触媒を備える場合、先述までのように内燃機関が停止しているときに、内燃機関の外部に設けられた駆動源によって内燃機関を駆動するときに発生する排気の、排気浄化触媒への流入を回避することができる。即ち、先述までの蓄熱システムにおいて、更に、前記内燃機関の排気管に該内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化触媒と、前記冷却水循環手段が作動することによって前記内燃機関が駆動されるときに、該内燃機関から排出される排気の前記排気浄化触媒への流入を回避する排気流入回避手段と、を備えることを特徴とする。
【0028】
このように構成された蓄熱システムでは、内燃機関が停止しているときに、内燃機関を外部からの駆動源によって半ば強制的に駆動させることで、内燃機関に連結されている冷却水循環装置を作動させることで、内燃機関の暖機および冷却水の蓄熱容器への回収を行うとともに、排気流入回避手段によって、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動されているときに、内燃機関から排出される排気が排気浄化触媒へ流入するのを回避する。
【0029】
つまり、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動されているときは、内燃機関においては燃料の燃焼が行われておらず、従って内燃機関から排出される排気に含有される酸素量もほぼ新気と等しいと考えられる。この排気を排気浄化触媒に供給すると、排気浄化触媒が酸素過多状態となり、排気浄化触媒の触媒機能が低下する。特に、排気浄化触媒が三元触媒であるときに酸素過多状態となると、排気中のNOxを浄化することができなくなる。そこで、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動されているときは、内燃機関から排出される排気が排気浄化触媒へ供給されるのを回避するものである
【0030】
このように構成することにより、既存の冷却水循環装置を内燃機関の暖機および冷却水の回収にも利用でき、別途、冷却水循環装置を設置する必要がなくなる。そのため、車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。一方で、内燃機関が外部からの駆動源によって駆動されているときに内燃機関からの排気を排気浄化触媒へと流入するのを回避することで、排気浄化触媒が酸素過多状態となり、触媒能力が低下することを防ぐことができる。
【0031】
ここで排気流入回避手段には、前記内燃機関の吸気管から排気管までに至る少なくとも一つの部位において、該部位における気体の通過を遮断することで排気の前記排気浄化触媒への流入を回避する手段が考えられる。つまり、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動するときは、吸気管から排気管に至る一連の吸気および排気の流れを遮断することによって、最終的に排気浄化触媒へ過多の酸素が供給されるのを防止するものである。
【0032】
更に、排気流入回避手段には、排気浄化触媒を迂回させて排気を排出することで排気の排気浄化触媒への流入を回避する手段も考えられる。つまり、内燃機関を外部からの駆動源によって駆動するときは、内燃機関から排出される排気が排気浄化触媒を迂回することで、排気浄化触媒が排気に曝されることがなくなり、以って排気浄化触媒へ過多の酸素が供給されるのを防止するものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
<実施例1>
以下、本発明に係る蓄熱システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄熱システムを適用するハイブリッド車両に搭載されるハイブリッド機構の概略構成を示す図である。
図1に示すハイブリッド機構は、ガソリンエンジンである内燃機関1と、補助動力源としてのモータジェネレータ2及びモータジェネレータ3を備えている。
【0034】
内燃機関1のクランクシャフトは出力軸17に連結され、出力軸17は動力分割機構4に連結されている。動力分割機構4は、動力伝達軸19を介してモータジェネレータ2と連結されるとともに、動力伝達軸20を介してモータジェネレータ3とも連結されている。ここで、前記動力分割機構4は、例えば、ピニオンギヤを回転自在に支持するプラネタリキャリヤと、プラネタリキャリヤの外側に配置されたリングギヤと、プラネタリキャリヤの内側に配置されたサンギヤとを備えた遊星歯車(プラネタリギヤ)で構成され、プラネタリキャリヤの回転軸が前記出力軸17と連結され、リングギヤの回転軸が前記動力伝達軸20と連結され、サンギヤの回転軸が前記動力伝達軸19と連結されている。
【0035】
前記モータジェネレータ3に連結される動力伝達軸20には、減速機5が連結され、減速機5には、ドライブシャフト7を介して駆動輪6が連結されている。減速機5は、複数の歯車を組み合わせて構成され、動力伝達軸20の回転速度を減速して、内燃機関1、モータジェネレータ2及びモータジェネレータ3において発生したトルクをドライブシャフト7伝達する。
【0036】
前記モータジェネレータ2は、インバータ11と電気的に接続され、インバータ11は、更にバッテリ12と電気的に接続されている。モータジェネレータ2は、交流同期型の電動機で構成され、励磁電流が印加されるとトルクを発生するとともに、外部からトルクが加えられると、例えば前記内燃機関1から動力分割機構4を介して運動エネルギが入力されると、その運動エネルギを電気エネルギに変換することによって電力を発生させる。発生した電力はインバータ11を介してバッテリ12へ蓄積される。ここで、モータジェネレータ2は、内燃機関1の始動時にバッテリ12から電力が印加されることで駆動し、それに従い内燃機関1が駆動する。従って、内燃機関1のスタータモータとして作用する。バッテリ12は、複数のニッケル水素バッテリを直列に接続して構成されている。
【0037】
前記モータジェネレータ3は、前記モータジェネレータ2と並列してインバータ11と電気的に接続され、インバータ11は、バッテリ12と電気的に接続されている。モータジェネレータ3は、交流同期型の電動機で構成され、前記モータジェネレータ2で発電された電力およびまたはバッテリ12に蓄積されている電力が印加されると、印加される電力の大きさに応じたトルクを発生させ、動力伝達軸20を回転駆動させる。またモータジェネレータ3は、車両の減速時に発電機として作用し、駆動輪6からドライブシャフト7及び減速機5を介して動力伝達軸20に伝達される運動エネルギを電気エネルギに変換する、いわゆる回生発電を行う。
【0038】
前記インバータ11は、複数のパワートランジスタを組み合わせて構成される電力変換装置であり、モータジェネレータ2において発電された電力のバッテリ12への印加と、モータジェネレータ3において発電された電力のバッテリ12への印加と、モータジェネレータ2で発電された電力のモータジェネレータ3への印加と、バッテリ12に蓄電された電力のモータジェネレータ2への印加と、バッテリ12に蓄電された電力のモータジェネレータ3への印加とを選択的に切り換え、実行する。
【0039】
ここで、本実施の形態では、モータジェネレータ2およびモータジェネレータ3が交流同期型の電動機で構成されるため、インバータ11は、モータジェネレータ2およびモータジェネレータ3で発電された電力をバッテリ12へ印加する場合は発電された交流電圧を直流電圧に変換した後にバッテリ12へ印加し、バッテリ12の電力をモータジェネレータ2およびモータジェネレータ3へ印加する場合はバッテリ12の直流電圧を交流電圧に変換した後に印加する。
【0040】
ここで、上述のハイブリッド機構に含まれる内燃機関1の具体的な実施態様について、図面に基づいて説明する。図2は、前記内燃機関1およびその冷却水循環系の概略構成を示す図である。図2に示す内燃機関1は、4つの気筒を有する水冷式の4サイクル・ガソリンエンジンである。尚、図1に示すように内燃機関1と動力分割機構4とは、出力軸17を介して連結されているが、図2においては出力軸17の図示は省略されている。
【0041】
内燃機関1は、各気筒202の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁203を備えている。各燃料噴射弁203は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室204と接続されている。蓄圧室204は、燃料供給管205を介して燃料ポンプ206と連通している。この燃料ポンプ206は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ206の入力軸に取り付けられたポンププーリ206aが内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ201とベルト207を介して連結されている。このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ206の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ206は、クランクシャフトから該燃料ポンプ206の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0042】
前記燃料ポンプ206から吐出された燃料は、燃料供給管205を介して蓄圧室204へ供給され、蓄圧室204にて所定圧まで蓄圧されて各気筒202の燃料噴射弁203へ分配される。そして、燃料噴射弁203に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁203が開弁し、その結果、燃料噴射弁203から気筒202内へ燃料が噴射される。尚、本実施例における内燃機関1は、燃料が気筒内に直接噴射される直噴式内燃機関であるが、吸気ポートにおいて燃料が噴射されるポート噴射式内燃機関であってもよい。
【0043】
次に、内燃機関1には、吸気枝管208が接続されており、吸気枝管208の各枝管は、各気筒202の燃焼室と吸気ポート(図示省略)を介して連通している。前記吸気枝管208は吸気管209に接続されている。吸気管209には、該吸気管209内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ211が取り付けられている。前記吸気管209における吸気枝管208の直上流に位置する部位には、該吸気管209内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁213が設けられている。この吸気絞り弁213には、ステップモータ等で構成されて該吸気絞り弁213を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ214が取り付けられている。
【0044】
一方、内燃機関1には、排気枝管217が接続され、排気枝管217の各枝管が排気ポート(図示省略)を介して各気筒202の燃焼室と連通している。前記排気枝管217は排気管218と接続され、この排気管218は、下流にてマフラー(図示省略)に接続されている。
【0045】
前記排気管218の途中には、内燃機関1から排出される排気に含有される有害成分を浄化する排気浄化触媒220が設けられている。本実施例においては、この排気浄化触媒220に、排気の流れ方向に沿う貫通孔を複数有するよう格子状に形成されたコージェライトからなるセラミック担体と、セラミック担体の表面にコーティングされた触媒層とを備え、前記触媒層が多数の細孔を有する多孔質のアルミナ(Al2O3)の表面に白金−ロジウム(Pt−Rh)系あるいはパラジウム−ロジウム(Pd−Rh)系の貴金属触媒物質を担持させて形成された三元触媒が使用されている。この三元触媒は、流入する排気の空燃比が理論空燃比近傍にあるときに、排気中に含まれる炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を排気中の酸素(O2)と反応させて水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)へ酸化すると同時に、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を排気中の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)と反応させて水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)へ還元する。このような三元触媒によれば、排気中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化することが可能となり、それらの有害ガス成分が大気中に放出されることが防止される。
【0046】
ここで、上述のように、三元触媒は酸化反応と還元反応とを同時に進行させる触媒であるため、三元触媒の置かれる雰囲気の酸素濃度が触媒作用に大きな影響を及ぼす。即ち、三元触媒の置かれる雰囲気の酸素濃度が低すぎる場合は、酸素不足のため酸化反応を促進させることができず、一方で酸素濃度が高すぎる場合は、酸素過多状態となり還元反応を促進させることができない。従って、酸化反応と還元反応のバランスを考慮した酸素濃度の雰囲気に、三元触媒を配置する必要がある。
【0047】
ここで、排気浄化触媒220の直上流に位置する排気管218には、該排気管218内を流通する排気の温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ212が取り付けられている。また、排気浄化触媒220の上流には排気を導入する上流側導入管210aの一端が接続され、排気浄化触媒220の下流には下流側導入管210bの一端が接続される。上流側導入管210a及び下流側導入管210bの他端は差圧センサ210に接続されている。差圧センサ210は、上流側導入管210a及び下流側導入管210bから導入された排気の差圧に対応した電気信号を出力する。
前記した排気浄化触媒220の下流に位置する排気管218には、該排気管218内を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁215が設けられている。この排気絞り弁215には、ステップモータ等で構成されて該排気絞り弁215を開閉駆動する排気絞り用アクチュエータ216が取り付けられている。
【0048】
また、内燃機関1には、本発明に係る冷却水循環手段を構成する冷却水循環系を有する。以下に、本発明における冷却水循環系を図2に基づいて説明する。
【0049】
内燃機関1は、その出力軸18を介して、ウォータポンプ8と連結されている。ウォータポンプ8は内燃機関1から得られるトルクを駆動源として、冷却水を循環させる冷却水循環装置(ポンプ)である。ここで、ウォータポンプ8から内燃機関1へ冷却水路225aが延出している。図2においては図示されていないが、内燃機関1の内部においては、冷却水路225aから続く冷却水路が形成されており、冷却水路225bへと繋がる。この内燃機関1の内部における冷却水路は、そこを流れる冷却水と内燃機関とにおいて、熱エネルギの授受、例えば内燃機関1の有する熱エネルギを冷却水へ移行させることによる内燃機関1の冷却や、逆に冷却水の有する熱エネルギを内燃機関へ移行させることによる内燃機関の暖気等を実行すべく形成されている。
【0050】
更に、内燃機関1から延出した冷却水路225bは流路切替弁224に連結する。流路切替弁224からは、2本の流路225cおよび225eが延出している。ここで、流路切替弁224は225bから流れ込む冷却水を、冷却水路225c又は225eの何れかに流し込むべく流路を選択的に切り替える弁である。この流路切替弁224は、後述において説明するエンジンECU14からの指令により流路を切り替える。
【0051】
ここで、流路切替弁224から延出する冷却水路225cは、ラジエータ10へ連結する。ラジエータ10は、冷却水の放熱を行い、冷却水温度を低下させる装置である。ラジエータ10からは冷却水路225dが延出し、冷却水路225dはその途中でサーモスタッド221を介して、ウォータポンプ8へと連結する。ここで、サーモスタッド221は、冷却水の温度が所定の温度に満たない場合に、冷却水路225dにおける冷却水の流れを遮断する機能を有し、内燃機関1へ低温の冷却水が流れ内燃機関1が過多に冷却されるのを防止するための装置である。
一方で、流路切替弁224から延出する冷却水路225eは、蓄熱容器9に連結する。蓄熱容器9は、一定温度を有する冷却水を貯蔵するための容器であり、冷却水の保温のために容器周囲は断熱構造となっている。更に、蓄熱容器9から冷却水路225fが延出し、ウォータポンプ8へ連結する。
【0052】
また、内燃機関1の外壁において、該外壁温度を検出するための内燃機関外壁温度センサ222が設けられている。また、蓄熱容器9の冷却水排出口における冷却水の温度を検出するための蓄熱容器排水温センサ223が、蓄熱容器9の排出口に設けられている。更にウォータポンプ8によって内燃機関1に送り込まれ、内燃機関1と熱エネルギの授受を行った直後の冷却水の温度を検出するための循環冷却水温センサ226が、冷却水が内燃機関1から排出される部位に設けられている。
【0053】
このように構成される冷却水循環系においては、エンジンECU14からの指令によって、流路切替弁224が225bから流れ込む冷却水を、冷却水路225c又は冷却水路225eの何れかに導く。従って、内燃機関の冷却が必要な場合は、流路切替弁224によって形成される、冷却水路225a、内燃機関1内部に形成される冷却水路、冷却水路225b、冷却水路225c、冷却水路225dを含む冷却水路を冷却水が循環することになる。この冷却水路において、冷却水は、内燃機関1から熱エネルギを受け取り、ラジエータ10において自己の有する熱エネルギの放出を行う。
内燃機関の暖機が必要な場合は、流路切替弁224によって形成される、冷却水路225a、内燃機関1内部に形成される冷却水路、冷却水路225b、冷却水路225e、冷却水路225fを含む冷却水路を冷却水が循環することになる。この冷却水路において、蓄熱容器9に貯蔵されている冷却水は、自己の有する熱エネルギを内燃機関1に伝達し、内燃機関1の暖機を行う。
【0054】
上記のような構成のハイブリッド機構には、内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるエンジンECU14と、モータジェネレータ2およびモータジェネレータ3に対して電力を供給するインバータ11を制御するための電子制御ユニットであるモータECU15と、バッテリ12を制御するための電子制御ユニットであるバッテリECU16と、エンジンECU14、モータECU15およびバッテリECU16を含めたハイブリッド機構全体を総合的に制御するための電子制御ユニットであるハイブリッドECU13が併設されている。
【0055】
例えば、また、モータECU15は、ハイブリッドECU13から要求されるトルクをモータジェネレータが発揮すべく、インバータ11を制御する。また、バッテリECU16は、バッテリ12の充電状態の監視等を行う。バッテリECU16からの信号に基づいて、バッテリ12が低充電状態にあるとハイブリッドECU13が判断すると、ハイブリッドECU13からモータECU15に対して、モータジェネレータ2の駆動指令を出し、モータジェネレータ2において発電された電力がインバータ11を介してバッテリ12へ充電される。
【0056】
ここで、ハイブリッドECU13およびエンジンECU14については、図3に基づいて詳細な説明を行う。ハイブリッドECU13は、アクセルペダルの操作量に対応した電気信号を出力するアクセル開度センサ220からのアクセル開度信号、クランク軸のクランク角に対応した電気信号を出力するクランクポジションセンサ219からのクランク角信号、排気浄化触媒220における吸入口と排出口との間の差圧に対応した電気信号を出力する差圧センサ210からの差圧信号や排気温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ212からの電気信号等に基づいて、必要な内燃機関出力、モータジェネレータトルク等を算出し、エンジンECU14を初めとする各ECUへその要求値を伝達することで、ハイブリッド機構全体の制御を行う。また、内燃機関1の吸気量および排気量を制御する吸気絞りアクチュエータ214および排気絞りアクチュエータ216の制御を行う。
【0057】
またエンジンECU14は、内燃機関外壁温度に対応した電気信号を出力する内燃機関外壁温度センサ222からの温度信号、蓄熱容器から排出される冷却水の水温に対応した電気信号を出力する蓄熱容器排水温センサ223からの温度信号、内燃機関において熱エネルギの授受を行った直後の冷却水の水温に対応した電気信号を出力する循環冷却水温センサ226からの温度信号やハイブリッドECU13から要求された内燃機関出力指令等に基づいて、内燃機関の燃料噴射弁203の開度指令や冷却水の流路切替弁224の切替指令等を行う。
【0058】
ここで、ハイブリッドECU13およびエンジンECU14は、各々CPUと、ROMと、RAMと、A/Dコンバータ(A/D)と、を備えている。前記ROMは各種アプリケーションプログラム及び制御マップを記憶している。前記RAMは、各センサからの出力信号やCPUの演算結果等を格納する。前記CPUは、前記ROMに記憶されたアプリケーションプログラム等に従って動作する。
【0059】
ここで、上記のように構成されるハイブリッド機構について、該ハイブリッド機構を有する車両の運転状態におけるハイブリッド機構の動作を以下に説明する。先ず、車両が停止状態から発進する場合は、前記ハイブリッドECU13は、バッテリ12からモータジェネレータ3へ駆動電力を印加させるべくインバータ11を制御する。バッテリ12からモータジェネレータ3へ駆動電力が供給されると、モータジェネレータ3の動力伝達軸20が回転し、次いで動力伝達軸20の回転トルクが減速機5及びドライブシャフト7を介して駆動輪6へ伝達され、車両が発進する。
【0060】
尚、車両発進時において、バッテリ12の充電状態が所定の基準値を下回っている場合、エアコンディショナ用コンプレッサ等の補機類を作動させる必要が生じた場合、又は、内燃機関1もしくは排気浄化系を暖機する必要が生じた場合等は、ハイブリッドECU30は、内燃機関1を始動させるべくエンジンECU14へ機関始動要求信号を送信する。
【0061】
ここで、車両発進時において、バッテリ12の充電、補機類の作動、内燃機関1もしくは排気浄化系の暖機を図るべく内燃機関1が始動されると、ハイブリッドECU13は、バッテリ12からモータジェネレータ2へ励磁電流を印加すべくインバータ11を制御し、モータジェネレータ2を発電機として作動させる。この場合、内燃機関1から出力されるトルクによって出力軸17が回転する。出力軸17の回転トルクは、動力分割機構4のプラネタリキャリアへ伝達され、プラネタリキャリアからサンギヤとリングギヤとに分配される。
【0062】前記プラネタリキャリアから前記サンギヤに分配された回転トルクは、前記サンギヤに連結されたモータジェネレータ2に伝達される。前記モータジェネレータ2は、前記サンギヤから伝達された運動エネルギを電気エネルギへ変換することにより発電を行う。前記モータジェネレータ2で発電された電力は、インバータ11によってバッテリ12とモータジェネレータ3とへ分配される。前記プラネタリキャリアから前記リングギヤに分配された回転トルクは、前記リングギヤに連結された動力伝達軸20へ伝達される。この結果、動力伝達軸20は、モータジェネレータ3から出力されるトルクと前記リングギヤから伝達された回転トルクとを加算したトルクで回転することになる。この動力伝達軸20の回転トルクは、減速機5及びドライブシャフト7を介して駆動輪6へ伝達される。
【0063】
次に、車両が発進状態から通常走行状態へ移行した場合は、ハイブリッドECU13は、内燃機関1から出力されるトルクを所望の目標トルクとすべくエンジンECU14を制御するとともに、バッテリ12からモータジェネレータ3への駆動電力の供給を停止し、且つバッテリ12からモータジェネレータ2へ励磁電流を印加させるべくインバータ11を制御する。
【0064】
具体的には、ハイブリッドECU13は、アクセル開度センサ220の出力信号(アクセル開度)と図示しない車速センサの出力信号(車速)とから運転者が要求する駆動トルク(以下、要求駆動トルクと称する)を算出し、要求駆動トルクを満たす上で内燃機関1が出力すべきトルク(以下、要求機関トルクと称する)とモータジェネレータ3が出力すべきトルク(以下、要求モータトルクと称する)とを決定する。ハイブリッドECU13は、前記要求機関トルクをエンジンECU14へ送信するとともに、前記要求モータトルクに従ってインバータ11を制御する。その際、ハイブリッドECU13は、モータジェネレータ2に印加する励磁電流の大きさを調節することによってモータジェネレータ2の回転数を制御し、それによって内燃機関1の機関回転数を制御する。
【0065】
ここで、ハイブリッドECU13からエンジンECU14へ送信される要求機関トルクは、例えば、内燃機関1の吸入空気量と機関回転数とをパラメータとした値である。その場合、ハイブリッドECU13は、吸入空気量と機関回転数と機関トルクとの関係を示すマップを有し、このマップから所望の機関トルクに対応した吸入空気量と機関回転数とを特定し、特定した吸入空気量と機関回転数とを要求機関トルクとしてエンジンECU14へ送信する。ハイブリッドECU13からの要求機関トルクを受信したエンジンECU14は、前記要求機関トルクに従って、スロットル開度、燃料噴射量、燃料噴射時期、及び点火時期を決定し、燃料噴射弁及び点火栓等を制御する。
【0066】
尚、車両の通常走行時にバッテリ12の充電が必要になると、ハイブリッドECU13は、内燃機関1から出力されるトルクを増加させるべくエンジンECU14を制御するとともに、バッテリ12からモータジェネレータ2へ印加される励磁電流を増加させるべくインバータ11を制御し、要求駆動トルクを確保しつつ発電量を増加させる。
【0067】
次に、車両が加速状態にある場合は、ハイブリッドECU13は、前述した通常走行時と同様に要求駆動トルク、要求機関トルク、及び要求モータトルクを算出し、次いでエンジンECU14を介して内燃機関1を制御するとともに、インバータ11を介してモータジェネレータ3を制御する。
【0068】
尚、ハイブリッドECU13は、インバータ11を制御する際、モータジェネレータ2で発電された電力に加えて、バッテリ12の電力もモータジェネレータ3へ印加すべく制御を行い、モータジェネレータ3から出力されるトルクを増加させる。
【0069】
更に、車両が減速状態もしくは制動状態にある場合は、前記ハイブリッドECU13は、内燃機関1の運転を停止させるべく前記エンジンECU14へ機関停止要求信号を送信するとともに、モータジェネレータ2の作動及びモータジェネレータ3の作動を停止させるべくインバータ11を制御する。
【0070】
続いて、前記ハイブリッドECU13は、モータジェネレータ3を発電機として作用させ、駆動輪6からドライブシャフト7及び減速機5を介して動力伝達軸20へ伝達される運動エネルギを電気エネルギに変換する回生発電を行う。前記モータジェネレータ3で回生発電された電力は、インバータ11を介してバッテリ12に充電される。
【0071】
以上に述べた運転状態において、車両が停止している状態、もしくは車両がモータジェネレータのみで駆動されている状態から内燃機関1を始動させる場合、内燃機関温度が低いため、その暖機が必要であると考えられる。そこで本発明に係る冷却水循環手段によって内燃機関1の暖機および暖機に使用する冷却水の回収が行われる。以下にその制御についての本実施の形態を説明する。図4は内燃機関の暖機時に行われる蓄熱冷却水供給制御の流れを示すフローチャート図、図5および図6は内燃機関の暖機に使用する冷却水を回収するための蓄熱冷却水回収制御の流れを示すフローチャート図である。
【0072】
先ず、図4に示す蓄熱冷却水供給制御を説明する。エンジンECU14は、蓄熱冷却水供給制御を一定の時間毎に繰り返し実行する。本制御において、先ずS401において、エンジンECU14は、内燃機関1が始動を要求されているか否かを判断する。具体的には、ハイブリッド車両の運転状況等によってハイブリッドECU13からエンジンECU14に対して、機関始動要求信号が出されているかを判断する。
【0073】
S401において、内燃機関1に始動要求がなされていないと判断されるとS401からS409へと進み、本制御を終了する。一方、S401において、内燃機関1に始動要求がなされていると判断されると、S401からS402へと進む。S402においては、エンジンECU14が内燃機関外壁温度センサ222から内燃機関1の外壁温度を取得し、該外壁温度と所定の温度T1との比較を行う。所定の温度T1は、内燃機関1が暖機を要するか否かを判断するための基準温度である。従って、内燃機関1の外壁温度が所定の温度T1より高い場合は、内燃機関1は既に暖まっているため暖機は不要であると判断され、内燃機関1の外壁温度が所定の温度T1より低い場合は、内燃機関1の暖機は不十分であり暖機を行う必要があると判断される。従って、S402において、内燃機関1の外壁温度がT1以上であると判断されると、S409へ進み、本制御を終了する。一方、S402において、内燃機関1の外壁温度がT1に満たないと判断されると、S403へ進み、以後内燃機関1の暖機を行う。
【0074】
上述のS402においては、内燃機関1の外壁温度を、内燃機関1に暖機を要するか否かの判断基準としているが、内燃機関1の外壁温度に代わって、内燃機関1において熱エネルギの授受を行った直後に内燃機関1から排出される冷却水の温度をその判断基準としてもよい。即ち、循環冷却水温センサ226によって検出される冷却水温度は、内燃機関1において熱エネルギの授受を行った直後の冷却水温であるので、内燃機関1の暖機の程度に大きく影響されると考えられるからである。尚、この場合、内燃機関1が暖気を要するか否かを判断するための基準値であるT1は、上述の内燃機関1の外壁温度を用いる場合のT1とは異なるので、対応するT1を設定する必要がある。
【0075】
S403においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225eが連通することで、冷却水通路225a、225b、内燃機関1の内部に形成される冷却水路、225e、225fを含む冷却水の循環水路が形成される。S403の処理が終了すると、S404へ進む。
【0076】
S404においては、エンジンECU14からハイブリッドECU13に対して、吸気絞り弁213、排気絞り弁215のうち少なくとも一方を閉じるべく絞り弁閉弁信号が出される。ハイブリッドECU13は、この絞り弁閉弁信号に基づいて、吸気絞りアクチュエータ214および排気絞りアクチュエータ216の制御を行う。ここで、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215が閉弁されると、吸気管209から排気管218に至る一連の吸気および排気の流れを遮断することになり、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。尚、内燃機関1が、気筒202における吸気バルブ又は排気バルブの動作を制御できる動弁機構を備える場合、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215の閉弁に代わり、該吸気バルブ又は該排気バルブを直接閉弁することによっても、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。S404の処理が終了すると、S405へ進む。
【0077】
S405においては、ハイブリッド機構におけるモータジェネレータ2を駆動する。モータジェネレータ2を駆動することにより、モータジェネレータ2と連結されている内燃機関1を強制的に駆動させる。更に、内燃機関1が駆動されることで、内燃機関1の出力軸18と連結されているウォータポンプ8が駆動され、蓄熱容器9に貯蔵された冷却水の循環が行われ、内燃機関1が暖機される。S405の処理が終了すると、S406へ進む。
【0078】
S406においては、エンジンECU14が内燃機関外壁温度センサ222から、内燃機関1の外壁温度を取得し、該外壁温度と所定の温度T2との比較を行う。所定の温度T2は、内燃機関1の暖機が完了したか否かを判断するための基準温度である。本実施例では、所定の温度T2は、先述の所定の温度T1以下の値を設定する。内燃機関1の外壁温度が所定の温度T2より高い場合は、内燃機関1の暖機が完了したと判断され、内燃機関1の外壁温度が所定の温度T2以下の場合は、内燃機関1の暖機はまだ完了していないと判断される。従って、S406において、内燃機関1の外壁温度がT2より高いと判断されると、S407へ進む。一方、S406において、内燃機関1の外壁温度がT2以下と判断されると、S403以降の処理が再度行われる。尚、S402に場合と同様に、内燃機関1の外壁温度に代わって、循環冷却水温センサ226から得られる冷却水温度と所定の温度T2とを比較するようにしてもよい。
【0079】
S407においては、S405において駆動したモータジェネレータ2を停止する。モータジェネレータ2が停止することによって、ウォータポンプ8は停止し、内燃機関1の暖気が終了する。尚、モータジェネレータ2を停止させずに、内燃機関1の起動を行ってもよい。この場合は、ウォータポンプ8は内燃機関1に従って駆動し続けることになる。S407の処理が終了すると、S408へ進む。
【0080】
S408においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225cが連通することで、冷却水通路225a、225b、内燃機関1の内部に形成される冷却水路、225c、225dを含む冷却水の循環通路が形成される。S408の処理が終了すると、S409へ進み、本制御が終了する。
【0081】
本制御における一連の処理により、内燃機関1が始動する前に、内燃機関1が暖機の暖機が必要であると判断される場合は、モータジェネレータ2によって停止状態にある内燃機関1を強制的に駆動させることで、ウォータポンプ8を駆動させ、S403において形成された冷却水路に蓄熱容器9に貯蔵された冷却水を循環させることができる。この結果、内燃機関1の暖機を行うことができる。更に、内燃機関1において燃焼が行われる前に内燃機関1が駆動されることにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素を含む排気が供給されることになるが、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁し、吸気又は排気の流れを遮断することで、排気浄化触媒220への排気の流入を回避することができ、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を防止できる。この結果、排気浄化触媒220における触媒反応の低下を防止できる。
【0082】
次に、図5に示す蓄熱冷却水回収制御を説明する。エンジンECU14は、蓄熱冷却水回収制御を一定の時間毎に繰り返し実行する。本制御において、先ずS501において、エンジンECUは、内燃機関1が停止状態にあるか否かを判断する。具体的には、ハイブリッド車両の運転状況等によってハイブリッドECU13からエンジンECU14に対して、機関停止要求信号が出されているかを判断する。
【0083】
S501において、内燃機関1が停止状態にないと判断されるとS501からS510へと進み、本制御を終了する。一方、S501において、内燃機関1が停止状態にあると判断されると、S501からS502へと進む。S502においては、エンジンECU14が循環冷却水温センサ226から冷却水温度を取得し、該冷却水温度と所定の温度T3との比較を行う。所定の温度T3は、内燃機関1を循環している冷却水がある程度の熱エネルギを有しているか、即ち冷却水の温度が次の内燃機関1の暖機に使用できる程度に温まっているか否かを判断するための基準温度である。従って、冷却水温度が所定の温度T3より高い場合は、その冷却水は次の内燃機関1の暖機に使用できると判断され、冷却水温度が所定の温度T3以下の場合は、その冷却水は次の内燃機関1の暖機に使用できないと判断される。従って、S502において、冷却水温度がT3以下であると判断されると、S510へ進み、本制御を終了する。一方、S502において、冷却水温度がT3を越えると判断されると、S503へ進み、以後冷却水の蓄熱容器9への回収を行う。
【0084】
S503においては、冷却水回収タイマーを始動させる。冷却水回収タイマーの作動時間をtで表し、該タイマー始動時を0とする。冷却水回収タイマーが作動している間、冷却水の回収を行う。S503の処理が終了すると、S504へ進む。
【0085】
S504においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225eが連通することで、冷却水通路225a、225b、内燃機関1の内部に形成される冷却水路、225e、225fを含む冷却水の循環通路が形成される。S504の処理が終了すると、S505へ進む。
【0086】
S505においては、エンジンECU14からハイブリッドECU13に対して、吸気絞り弁213、排気絞り弁215のうち少なくとも一方を閉じるべく絞り弁閉弁信号が出される。ハイブリッドECU13は、この絞り弁閉弁信号に基づいて、吸気絞りアクチュエータ214および排気絞りアクチュエータ216の制御を行う。ここで、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215が閉弁されると、吸気管209から排気管218に至る一連の吸気および排気の流れを遮断することになり、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。尚、内燃機関1が、気筒202における吸気バルブ又は排気バルブの動作を制御できる動弁機構を備える場合、吸気絞り弁213又は排気絞り弁215の閉弁に代わり、該吸気バルブ又は該排気バルブを直接閉弁することによっても、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を回避することができる。S505の処理が終了すると、S506へ進む。
【0087】
S506においては、ハイブリッド機構におけるモータジェネレータ2を駆動する。モータジェネレータ2を駆動することにより、モータジェネレータ2と連結されている内燃機関1を強制的に駆動させる。更に、内燃機関1が駆動されることで、内燃機関1の出力軸18と連結されているウォータポンプ8が駆動され、冷却水の循環が行われ、蓄熱容器9に冷却水が回収される。S506の処理が終了すると、S507へ進む。
【0088】
S507においては、冷却水回収タイマーの作動時間tが、所定の時間t1以内であるか否かを判断する。所定の時間t1は、冷却水回収タイマーが作動し冷却水を蓄熱容器9に回収するまでの総時間で、蓄熱容器9の容量等を考慮して決定される。該タイマーの作動時間tが所定の時間t1以上である場合は、冷却水の回収が完了したと判断され、タイマーの作動時間tが所定の時間t1未満である場合は、冷却水の回収はまだ完了していないと判断される。従って、S507において、該タイマーの作動時間tが所定の時間t1以上であると判断されると、S508へ進む。一方、S507において、該タイマーの作動時間tが所定の時間t1未満であると判断されると、S504以降の処理が再度行われる。
【0089】
S508においては、S506において駆動したモータジェネレータ2を停止する。モータジェネレータ2が停止することによって、ウォータポンプ8は停止し、冷却水の回収が終了する。S508の処理が終了すると、S509へ進む。
【0090】
S509においては、エンジンECU14から流路切替バルブ224へ、冷却水流路の切替信号が出される。これにより、冷却水流路225bと225cが連通することで、冷却水通路225a、225b、225c、225dを含む冷却水の循環通路が形成される。S509の処理が終了すると、S510へ進み、本制御が終了する。
【0091】
本制御における一連の処理により、内燃機関1の停止に際して、冷却水の温度が所定の温度以上を越えると判断される場合は、モータジェネレータ2によって停止状態にある内燃機関1を強制的に駆動させることで、ウォータポンプ8を駆動させ、S504において形成された冷却水路によって冷却水を蓄熱容器9に貯蔵することができる。この結果、停止直後にある内燃機関1の有する熱エネルギによって暖められた冷却水を、次の内燃機関の暖機に使用することができる。更に、内燃機関1において燃焼が行われる前に内燃機関1が駆動されることにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素を含む排気が供給されることになるが、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁し、吸気又は排気の流れを遮断することで、排気浄化触媒220への排気の流入を回避することができ、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を防止できる。この結果、排気浄化触媒220における触媒反応の低下を防止できる。
【0092】
次に、本発明に係る蓄熱冷却水回収制御の別形態の実施例を図6に示す。尚、図6に示す実施例は図5に示す実施例の一部の処理が変更となっている。従って、図5における処理と共通する処理については、同じ参照番号を付すことにより、その説明を省略する。以下に、相違する処理について説明をする。
【0093】
図6に示す実施例においては、冷却水回収タイマーの作動時間に従って冷却水の回収を行うのではなく、蓄熱容器9に貯蔵される冷却水温度を検出し、その冷却水温度が一定の値を越えるまで冷却水の回収を継続させる。従って、図5のS503に示す冷却水回収タイマーを作動させる必要がない。
更に、図5に示すS507に代わり、S600が実行される。S600においては、蓄熱容器排水温センサ223から得られる蓄熱容器9からの排水(冷却水)の温度が所定の温度T4を越えているか否かを判断する。所定の温度T4は、冷却水の回収の終了を判断するための温度であり、内燃機関1の熱容量等を考慮して決定される。蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4を越える場合は、冷却水の回収が完了したと判断され、蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4以下である場合は、冷却水の回収はまだ完了していないと判断される。従って、S600において、蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4を越えると判断されると、S508へ進む。一方、S507において、蓄熱容器9からの排水温度が所定の温度T4以下であると判断されると、S504以降の処理が再度行われる。
【0094】
本制御における一連の処理により、内燃機関1の停止に際して、冷却水の温度が所定の温度以上を越えると判断される場合は、モータジェネレータ2によって停止状態にある内燃機関1を強制的に駆動させることで、ウォータポンプ8を駆動させ、S504において形成された冷却水路によって冷却水を蓄熱容器9に貯蔵することができる。この結果、停止直後にある内燃機関1の有する熱エネルギによって暖められた冷却水を、次の内燃機関の暖機に使用することができる。また、蓄熱容器9に貯蔵される冷却水の温度を常に一定の温度以上に保つことが可能となる。更に、内燃機関1において燃焼が行われる前に内燃機関1が駆動されることにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素を含む排気が供給されることになるが、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁し、吸気又は排気の流れを遮断することで、排気浄化触媒220への排気の流入を回避することができ、排気浄化触媒220への過多の酸素の供給を防止できる。この結果、排気浄化触媒220における触媒反応の低下を防止できる。
【0095】
<第2の実施例>
図7は、図2における内燃機関1の排気系の態様を一部変更したものである。図2と図7とに共通する部位については、共通の参照番号を付してその説明を省略する。以下に、相違する部位について説明をする。
ここで図7において、排気浄化触媒220の上流側の排気管218に排気流路切替弁227が設けられており、更に排気迂回路228が該排気流路切替弁227から排気浄化触媒220の下流側の排気管218まで連通している。排気流路切替弁227は、内燃機関1から排出される排気の流路を切り替える弁である。
【0096】
このように構成される蓄熱システムにおいては、排気流路切替弁227によって、内燃機関1から排出される排気を、排気浄化触媒220もしくは排気迂回通路228の何れか一方に導入することができる。従って、本発明に係る内燃機関1の暖機の際に行われる蓄熱冷却水供給制御および冷却水の蓄熱容器9への回収に際に行われる蓄熱冷却水回収制御において、内燃機関1から排出される排気を排気流路切替弁227によって排気迂回通路228へ導入することにより、排気浄化触媒220へ過多の酸素が供給されることを抑制することができる。具体的には、図4に示す蓄熱冷却水供給制御中の処理S404および図5、図6に示す蓄熱冷却水回収制御中の処理S505において、吸気絞り弁213及び/又は排気絞り弁215を閉弁することにより排気浄化触媒220へ過多の酸素が供給されることを抑制する代わりに、排気流路切替弁227によって排気を排気迂回路228へと導入することにより排気浄化触媒220へ過多の酸素が供給されることを抑制する。
尚、蓄熱冷却水供給制御および蓄熱冷却水回収制御が行われる場合は、内燃機関1において燃料は供給されず、モータジェネレータ2によって内燃機関1が強制的に駆動されるため、排気迂回路228を経由して排気を排出しても有害物質が車外へ放出される虞はない。
【0097】
【発明の効果】
本発明に係る蓄熱システムは、内燃機関と補助動力源とを備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、該内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、該冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、該内燃機関の始動時に、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで該冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、該内燃機関の暖機を行い、又は該冷却水循環水路の冷却水を該蓄熱容器へ回収する。
【0098】
本発明によれば、内燃機関の暖気および冷却水の蓄熱容器への回収時において、内燃機関の冷却を行うために備えられている冷却水循環装置を内燃機関の外部に設けられた駆動源によって駆動することにより、冷却水を循環させる。従って、内燃機関の暖気および冷却水の蓄熱容器への回収を目的とした冷却水循環装置を別途備える必要がなく、そのため車両搭載時における車両重量の増加や、設備増加による車両製造コストの上昇等を招く虞がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る蓄熱システムを構成するハイブリッド機構の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける内燃機関およびその冷却水循環系の概略構成概略構成を示す図である。
【図3】本実施の形態に係るハイブリッド機構における電子制御装置(ECU)に関し、特にハイブリッドECUおよびエンジンECUの内部構成を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける蓄熱冷却水の供給制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図5】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける蓄熱冷却水の回収制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図6】本実施の形態に係る蓄熱システムにおける第2の蓄熱冷却水の回収制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図7】本実施の形態に係る第2の蓄熱システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2・・・・モータジェネレータ
3・・・・モータジェネレータ
8・・・・ウォータポンプ
9・・・・蓄熱容器
17・・・出力軸
18・・・出力軸
209・・吸気管
213・・吸気絞り弁
214・・吸気絞りアクチュエータ
215・・排気絞り弁
216・・排気絞りアクチュエータ
218・・排気管
220・・排気浄化触媒
224・・流路切替弁
227・・排気流路切替弁
Claims (6)
- 内燃機関と補助動力源とを備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、
前記内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、
前記冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、
前記内燃機関の始動時に、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、前記内燃機関の暖機を行うことを特徴とする蓄熱システム。 - 内燃機関と補助動力源とを備え、該内燃機関と該補助動力源の少なくとも何れか一を駆動源として駆動輪を駆動するハイブリッド機構と、
前記内燃機関の出力軸に連結され、該内燃機関から得られる機関出力によって該内燃機関内に形成された冷却水循環水路に冷却水を循環させる冷却水循環装置と、
前記冷却水循環装置によって循環させられる冷却水の少なくとも一部を蓄える蓄熱容器と、を備え、
前記内燃機関を停止したときに、該内燃機関の外部に設けられた駆動源により該内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させる冷却水循環手段によって、前記冷却水循環水路の冷却水を前記蓄熱容器へ回収することを特徴とする蓄熱システム。 - 前記ハイブリッド機構は、更に電力を蓄積する蓄電池を備え、
前記補助動力源は、前記蓄電池に蓄えられた電力によって駆動される電動機であって、
前記冷却水循環手段は、前記電動機によって前記内燃機関を駆動させることで前記冷却水循環装置を作動させ冷却水を循環させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓄熱システム。 - 前記内燃機関の排気管に該内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化触媒と、
前記冷却水循環手段が作動することによって前記内燃機関が駆動されるときに、該内燃機関から排出される排気の前記排気浄化触媒への流入を回避する排気流入回避手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の蓄熱システム。 - 前記排気流入回避手段は、前記内燃機関の吸気管から排気管までに至る少なくとも一つの部位において、該部位における気体の通過を遮断することで排気の前記排気浄化触媒への流入を回避することを特徴とする請求項4に記載の蓄熱システム。
- 前記排気流入回避手段は、前記排気浄化触媒を迂回させて排気を排出することで排気の該排気浄化触媒への流入を回避することを特徴とする請求項4に記載の蓄熱システム。
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-
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