JP2021134623A - 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排水弁水圧駆動部による排水弁の開弁を行いながら、排出される洗浄水の量を精密に設定することができる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供する。【解決手段】本発明の洗浄水タンク装置は、排水弁12と排水弁水圧駆動部14とを連結して排水弁を引き上げると共に、所定のタイミングで切断され、排水弁を降下させるクラッチ機構30と、第1の洗浄水量及び第2洗浄水量からなる複数の洗浄水量を選択可能な洗浄水量選択手段6と、フロート及びそのフロートの移動と連動して保持状態と被保持状態を切り替え可能な保持機構を備えたフロート装置26と、排水口10aが閉塞されるタイミングを制御するタイミング制御機構と、を有し、第2の洗浄水量が選択された場合において、貯水タンク内の水位が所定水位に低下するよりも前に保持機構を非保持状態に切り替えることにより、第2の洗浄水量を排出させる。【選択図】図2

Description

本発明は、洗浄水タンク装置に関し、特に、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置に関する。
特開2009−257061号公報(特許文献1)には、ロータンク装置が記載されている。このロータンク装置においては、排水弁を備えたロータンクの内部に、ピストンと水抜き部を有する水圧シリンダ装置が配置され、ピストンと排水弁が連結部により連結されている。また、ロータンク内の洗浄水を排出する際には、電磁弁を開弁することにより、水圧シリンダ装置に水を供給して、ピストンを押し上げる。ピストンは連結部により排水弁に接続されているため、ピストンの移動により排水弁が引き上げられて、排水弁が開弁され、ロータンク内の洗浄水が排出される。なお、水圧シリンダ装置に供給された水は、水抜き部から流出して、ロータンク内に流入する。
さらに、排水弁を閉弁させる場合には、電磁弁を閉弁させることにより、水圧シリンダ装置への水の供給を停止させる。これにより、押し上げられていたピストンが下降し、これに伴って排水弁は自重により閉弁位置に復帰する。この際、水圧シリンダ装置内の水は水抜き部から少しずつ流出するため、ピストンはゆっくりと下降し、排水弁も緩やかに閉弁位置に復帰する。また、特許文献1記載のロータンク装置においては、電磁弁を開弁させておく時間を調節することにより、排水弁が開弁されている時間を変化させ、大洗浄、小洗浄等の、洗浄水量の異なる洗浄を実現している。
特開2009−257061号公報
しかしながら、特許文献1記載のロータンク装置では、排出される洗浄水の量を精密に設定することが難しいという問題がある。即ち、特許文献1記載のロータンク装置においては、排水弁を閉弁させるために電磁弁を閉じた後、水圧シリンダ装置内の水は水抜き部から少しずつ流出するため、ピストンの下降は緩やかであり、排水弁の開弁時間を短く設定することは困難である。また、ピストンの下降速度は、水抜き部からの水の流出流量や、ピストンの摺動抵抗に依存するため、バラツキが生じる可能性があり、また、経時変化が発生する可能性がある。従って、特許文献1記載のロータンク装置において、排出される洗浄水の量を精密に設定することは困難である。
従って、本発明は、供給された水の水圧を利用して排水弁の開弁を行いながら、排出される洗浄水の量を精密に設定することができる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、排水口を開閉し、水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、供給された水道水の給水圧を利用して、排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、排水弁と排水弁水圧駆動部を連結して排水弁水圧駆動部の駆動力により排水弁を引き上げると共に、所定のタイミングで切断され、排水弁を降下させるクラッチ機構と、水洗便器を洗浄するための第1の洗浄水量と、この第1の洗浄水量とは異なる第2の洗浄水量を選択可能な洗浄水量選択手段と、貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロートと、このフロートの移動と連動して保持状態と非保持状態を切り替え可能な保持機構と、を備えたフロート装置と、排水弁が降下して、排水口が閉塞されるタイミングを制御するためのタイミング制御機構と、を有し、フロート装置の保持機構は、貯水タンク内の水位が所定水位に低下するまで、排水弁を保持することにより、第1の洗浄水量を排出させるように構成され、タイミング制御機構は、洗浄水量選択手段によって第2の洗浄水量が選択された場合において、貯水タンク内の水位が所定水位に低下するよりも前にフロート装置の保持機構を非保持状態に切り替え、又は貯水タンク内の水位が所定水位に低下した後も保持機構を保持状態に維持し、その後、非保持状態に切り替えることにより、第2の洗浄水量を排出させることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、排水弁と排水弁水圧駆動部とがクラッチ機構によって連結され、所定のタイミングで切断されるので、排水弁水圧駆動部の作動速度に関わらず排水弁を移動させることが可能になり、排水弁を閉弁させることができる。これにより、仮に、排水弁を降下させる際に排水弁水圧駆動部の作動速度にバラツキがあったとしても、バラツキに左右されずに排水弁を閉弁させるタイミングを制御することが可能になる。また、フロート装置の保持機構は、第1の洗浄水量が選択された場合には、貯水タンク内の水位が所定水位に低下するまで、排水弁を保持する。一方、第2の洗浄水量が選択された場合には、タイミング制御機構は、貯水タンク内の水位が所定水位に低下するよりも前に保持機構を非保持状態に切り替え、又は所定水位に低下した後も保持機構を保持状態に維持し、その後、非保持状態に切り替える。これにより、フロート装置を使用しながら、第1の洗浄水量が選択された場合とは異なるタイミングで排水口を閉塞させることができる。従って、本発明によれば、クラッチ機構及びフロート装置を使用しながら、第1、第2の洗浄水量を設定することができる。
本発明において、好ましくは、第2の洗浄水量は、第1の洗浄水量よりも少量であり、タイミング制御機構は、洗浄水量選択手段によって第2の洗浄水量が選択された場合において、貯水タンク内の水位が所定水位に低下するよりも前に、フロート装置の保持機構を非保持状態に切り替える。
このように構成された本発明によれば、洗浄水量選択手段によって第2の洗浄水量が選択された場合に、タイミング制御機構は、貯水タンクの水位低下に伴うフロートの移動により保持機構が非保持状態にされるよりも前に、保持機構を非保持状態にすることができる。これにより、貯水タンク内の水位の低下を待たずに、排水弁を降下させることができ、第1の洗浄水量よりも少量の第2の洗浄水量を設定することができる。また、仮に、故障によりタイミング制御機構が作動しない場合には、第1の洗浄水量の洗浄水が排出されるため、洗浄水が不足するのを回避することができる。
本発明において、好ましくは、タイミング制御機構は、クラッチ機構が切断された後、貯水タンク内の水位が所定水位に低下する前に、フロート装置の保持機構を非保持状態に切り替える。
このように構成された本発明によれば、洗浄水量選択手段によって第2の洗浄水量が選択された場合に、タイミング制御機構は、貯水タンク内の水位が所定水位に低下する前に、保持機構を非保持状態に切り替える。これにより、クラッチ機構が切断されることにより降下し始めた排水弁は、貯水タンク内の水位が所定水位まで低下する前に保持機構よりも下方に降下し、排水口を閉塞させる。この結果、フロート装置をより確実に動作させることができると共に、第1の洗浄水量よりも少ない第2の洗浄水量を設定することができる。
本発明において、好ましくは、さらに、タイミング制御機構への洗浄水の供給・停止を制御する制御弁を備え、タイミング制御機構は、制御弁を通って供給された洗浄水を利用して、フロート装置の保持機構を非保持状態に切り替える。
このように構成された本発明によれば、水道水を利用してフロート装置の保持機構を非保持状態に切り替えることができるので、貯水タンク内に保持機構を切り替えるための特別なアクチュエータ等を設けることなくコンパクトで簡素な構成により、排水弁を降下させるタイミングを制御することができる。
本発明において、好ましくは、制御弁は、排水弁水圧駆動部への洗浄水の供給・停止も制御するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、タイミング制御機構に洗浄水を供給する制御弁と、排水弁水圧駆動部に洗浄水を供給する制御弁とを、共通の構成とすることができるので、よりコンパクトで簡素な構成により、排水弁を降下させるタイミングを制御することができる。
本発明において、好ましくは、タイミング制御機構は、排水弁水圧駆動部の下流側に設けられ、排水弁水圧駆動部を通った洗浄水がタイミング制御機構に供給される。
このように構成された本発明によれば、タイミング制御機構は、排水弁水圧駆動部の下流側に設けられるので、制御弁から排水弁水圧駆動部に供給された洗浄水を利用してタイミング制御機構に洗浄水を供給することができる。これにより、タイミング制御機構と排水弁水圧駆動部に別々に洗浄水を供給した場合に比べ、これらを少量の洗浄水で作動させることができ、無駄になる洗浄水の量を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、制御弁は、洗浄水量選択手段によって選択された洗浄水量に応じて開弁される期間が変更され、これにより、タイミング制御機構がフロート装置の保持機構を非保持状態に切り替えるタイミングが変更される。
このように構成された本発明によれば、制御弁によってタイミング制御機構へ洗浄水が供給される期間を変更するという簡便な制御により、洗浄水量選択手段によって選択された洗浄水量に応じたタイミングで排水弁を降下させることができる。
本発明において、好ましくは、制御弁は、洗浄水量選択手段によって第2の洗浄水量が選択された場合には、第1の洗浄水量が選択された場合よりも長い期間開弁され、これにより、タイミング制御機構は、早期にフロート装置の保持機構を非保持状態に切り替える。
このように構成された本発明によれば、洗浄水量選択手段によって第2の洗浄水量が選択された場合に、制御弁によってタイミング制御機構へ洗浄水が供給される期間を、第1の洗浄水量が選択された場合に比べて長くするという簡便な制御により、排水弁を降下させるタイミングを制御することができる。
本発明において、好ましくは、制御弁は、クラッチ機構が切断された後、開弁され、これにより、タイミング制御機構に水道水が供給される。
このように構成された本発明によれば、制御弁は、クラッチ機構が切断された後、タイミング制御機構に洗浄水を供給する。これにより、タイミング制御機構は、クラッチ機構により排水弁が引き上げられる動作を阻害することなく、排水弁を降下させるタイミングを制御することができる。
また、本発明は、洗浄水量の異なる複数の洗浄モードを備えた水洗便器装置であって、水洗便器と、この水洗便器への洗浄水の供給を行う本発明の洗浄水タンク装置と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、排水弁水圧駆動部による排水弁の開弁を行いながら、排出される洗浄水の量を精密に設定することができる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられているクラッチ機構の構成及び作用を模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられている排水弁、及びフロート装置の部分を拡大して示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置に備えられている排水弁、及びフロート装置の部分を拡大して示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。 本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける作用を示す図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による水洗便器装置を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水洗便器装置1は、水洗便器である水洗便器本体2と、この水洗便器本体2の後部に載置された、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4から構成されている。水洗便器本体2は洗浄水タンク装置4から供給される洗浄水により洗浄される。本実施形態の水洗便器装置1は、使用後に、壁面に取り付けられたリモコン装置6を操作するか、便座に設けられた人感センサ8が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、水洗便器本体2のボウル部2aの洗浄が行われるように構成されている。本実施形態による洗浄水タンク装置4は、リモコン装置6又は人感センサ8からの指示信号に基づいて、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体2に排出し、この洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。
また、ボウル部2aを洗浄するための「大洗浄」又は「小洗浄」は、使用者がリモコン装置6の押しボタン6aを押すことにより実行される。従って、本実施形態において、リモコン装置6は、水洗便器本体2を洗浄するための第1の洗浄水量と、この第1の洗浄水量よりも少ない第2の洗浄水量を選択可能な洗浄水量選択手段として機能する。なお、本実施形態では人感センサ8は便座に設けられているが、本発明はこの形態に限るものではなく、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できる位置に設けられていればよく、例えば、水洗便器本体2や洗浄水タンク装置4に設けることもできる。また、人感センサ8は、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できるものであればよく、例えば、赤外線センサやマイクロ波センサを人感センサ8として使用することができる。また、リモコン装置6は、後述する第1制御弁16及び第2制御弁22の開閉を機械的に制御できるような構造を有する操作レバー装置、操作ボタン装置に変更されてもよい。
図2に示すように、洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク10と、この貯水タンク10に設けられた排水口10aを開閉するための排水弁12と、この排水弁12を駆動する排水弁水圧駆動部14と、を有する。また、洗浄水タンク装置4は、排水弁水圧駆動部14への給水を制御する第1制御弁16と、第1制御弁16に取り付けられた電磁弁18と、を内部に有する。さらに、洗浄水タンク装置4は、貯水タンク10に洗浄水を供給するための第2制御弁22と、第2制御弁22に取り付けられた電磁弁24と、を内部に有する。また、洗浄水タンク装置4はクラッチ機構30を有し、このクラッチ機構30は、排水弁12と排水弁水圧駆動部14を連結して、排水弁12を排水弁水圧駆動部14の駆動力により引き上げる。さらに、洗浄水タンク装置4は、クラッチ機構30が切断されることにより降下した排水弁12を所定の位置に保持するための、フロート装置26を有する。また、洗浄水タンク装置4は、排水弁12が降下して、排水口10aが閉塞されるタイミングを制御するためのタイミング制御機構として水溜め装置52を備える。
貯水タンク10は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体2へ排出するための排水口10aが形成されている。また、貯水タンク10内において、排水口10aの下流側にはオーバーフロー管10bが接続されている。このオーバーフロー管10bは、排水口10aの近傍から垂直に立ち上がり、貯水タンク10内に貯留されている洗浄水の満水水位WLよりも上方まで延びている。従って、オーバーフロー管10bの上端から流入した洗浄水は、排水口10aをバイパスして、水洗便器本体2へ直接流出する。
排水弁12は、排水口10aを開閉するように配置された弁体であり、排水弁12が上方に引き上げられることにより開弁され、貯水タンク10内の洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。また、排水弁12は、排水弁水圧駆動部14の駆動力により引き上げられ、所定の高さまで引き上げられると、クラッチ機構30が切断され、自重により降下する。排水弁12が降下する際、排水弁12はフロート装置26によって所定の位置に所定時間保持される。また、排水弁12の上方にはケーシング13が形成され、ケーシング13は下方側が開口された円筒形状に形成されている。ケーシング13は、排水弁水圧駆動部14及び水溜め装置52に洗浄水を吐出する吐出部54と接続され且つ固定されている。
排水弁水圧駆動部14は、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部14は、第1制御弁16から供給された洗浄水が流入するシリンダ14aと、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン14bと、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12を駆動するロッド32と、を有する。
さらに、シリンダ14aの内部にはスプリング14cが配置されており、ピストン14bを下方に向けて付勢している。また、ピストン14bにはパッキン14eが取り付けられ、シリンダ14aの内壁面とピストン14bの間の水密性が確保されている。さらに、ロッド32の下端にはクラッチ機構30が設けられており、このクラッチ機構30により、ロッド32と排水弁12の弁軸12aが連結・解除される。
シリンダ14aは円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン14bを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ14aの下端部には、駆動部給水路34aが接続されており、第1制御弁16から流出した洗浄水がシリンダ14a内に流入するようになっている。このため、シリンダ14a内のピストン14bは、シリンダ14aに流入した洗浄水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
一方、シリンダ14aの上部には流出孔が設けられ、駆動部排水路34bは、この流出孔を介してシリンダ14aの内部と連通している。従って、シリンダ14a下部に接続された駆動部給水路34aからシリンダ14a内に洗浄水が流入すると、ピストン14bは、第1の位置であるシリンダ14aの下部から上方へ押し上げられる。そして、ピストン14bが、流出孔よりも上方の第2の位置まで押し上げられると、シリンダ14aに流入した水は流出孔から駆動部排水路34bを通って流出する。即ち、駆動部給水路34aと駆動部排水路34bは、ピストン14bが第2の位置まで移動されると、シリンダ14aの内部を介して連通される。シリンダ14aから延びる駆動部排水路34bの先端部には水溜め装置52に洗浄水を吐出する吐出部54が形成されている。このように、駆動部排水路34bは、吐出部54まで延びる流路を形成している。
ロッド32は、ピストン14bの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、シリンダ14aの下方から突出するロッド32と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間には、隙間14dが設けられ、シリンダ14aに流入した洗浄水の一部は、この隙間14dから流出する。隙間14dから流出した水は、貯水タンク10内に流入する。なお、この隙間14dは比較的狭く、流路抵抗が大きいため、隙間14dから水が流出する状態であっても、駆動部給水路34aからシリンダ14aに流入する洗浄水によりシリンダ14a内の圧力が上昇し、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bが押し上げられる。
次に、第1制御弁16は、電磁弁18の作動に基づいて排水弁水圧駆動部14への洗浄水の供給・停止を制御する。また、排水弁水圧駆動部14の下流側には水溜め装置52が設けられ、排水弁水圧駆動部14を通った洗浄水が水溜め装置52に供給されるので、水溜め装置52への洗浄水の供給・停止も第1制御弁16によって制御される。即ち、第1制御弁16は、主弁体16aと、この主弁体16aによって開閉される主弁口16bと、主弁体16aを移動させるための圧力室16cと、この圧力室16c内の圧力を切り替えるパイロット弁16dと、を備えている。
主弁体16aは、第1制御弁16の主弁口16bを開閉するように構成され、主弁口16bが開弁されると、給水管38から供給された水道水が排水弁水圧駆動部14に流入する。圧力室16cは、第1制御弁16の筐体内に、主弁体16aに隣接して設けられている。この圧力室16cには、給水管38から供給された水道水の一部が流入し、内部の圧力が上昇するように構成されている。圧力室16c内の圧力が上昇すると、主弁体16aが主弁口16bに向けて移動され、主弁口16bが閉弁される。
パイロット弁16dは、圧力室16cに設けられたパイロット弁口(図示せず)を開閉するように構成されている。パイロット弁によってパイロット弁口(図示せず)が開弁されると圧力室16c内の水が流出して内部の圧力が低下する。圧力室16c内の圧力が低下すると主弁体16aが主弁口16bから離座し、第1制御弁16が開弁される。また、パイロット弁16dが閉弁されたとき、圧力室16c内の圧力が上昇し、第1制御弁16が閉弁される。
パイロット弁16dは、パイロット弁16dに取り付けられた電磁弁18により移動され、パイロット弁口(図示せず)を開閉する。電磁弁18はコントローラ40に電気的に接続され、コントローラ40からの指令信号に基づいてパイロット弁16dを移動させる。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ40が受信し、コントローラ40は電磁弁18に電気信号を送り、これを作動させる。
また、第1制御弁16と排水弁水圧駆動部14の間の駆動部給水路34aには、バキュームブレーカ36が設けられている。このバキュームブレーカ36により、第1制御弁16側が負圧になった場合には第1制御弁16側への水の逆流が防止される。
次に、第2制御弁22は、電磁弁24の作動に基づいて貯水タンク10への洗浄水の供給・停止を制御するように構成されている。この第2制御弁22は、第1制御弁16を介して給水管38に接続されているが、第1制御弁16の開閉に関わらず、給水管38から供給された水道水は常に第2制御弁22に流入するようになっている。また、第2制御弁22には、主弁体22a、圧力室22b、及びパイロット弁22cが備えられ、電磁弁24によりパイロット弁22cが開閉される。電磁弁24によりパイロット弁22cが開弁されると、第2制御弁22の主弁体22aが開弁され、給水管38から流入した水道水が貯水タンク10内又はオーバーフロー管10bに供給される。また、電磁弁24はコントローラ40に電気的に接続され、コントローラ40からの指令信号に基づいてパイロット弁22cを移動させる。具体的には、リモコン装置6の操作に基づいてコントローラ40は電磁弁24に電気信号を送り、これを作動させる。
一方、パイロット弁22cには、フロートスイッチ42が接続されている。フロートスイッチ42は、貯水タンク10内の水位に基づいてパイロット弁22cを制御し、パイロット弁口(図示せず)を開閉するように構成されている。即ち、フロートスイッチ42は、貯水タンク10内の水位が所定の水位に到達するとパイロット弁22cに信号を送り、パイロット弁口(図示せず)を閉弁させる。即ち、フロートスイッチ42は、貯水タンク10内の貯水水位を止水水位である所定の満水水位WLに設定するように構成されている。フロートスイッチ42は貯水タンク10内に配置されており、貯水タンク10の水位が満水水位WLまで上昇すると、第1制御弁16から排水弁水圧駆動部14への給水を停止させるように構成されている。なお、本実施形態においては、フロートスイッチ42の検出信号に基づいて電磁弁24を制御し、パイロット弁22cが開閉されているが、電磁弁24を省略することもできる。即ち、貯水タンク10内の水位に基づいて上下するフロートを使用して、パイロット弁22cが機械的に開閉されるように本発明を構成することもできる。
また、第2制御弁22から延びる給水路50には給水路分岐部50aが設けられている。給水路分岐部50aにおいて分岐した給水路50の一方は貯水タンク10内に水を流出させ、他方がオーバーフロー管10bの中に水を流出させるように構成されている。従って、第2制御弁22から供給された洗浄水の一部は、オーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2に排出され、残りは貯水タンク10内に貯留される。
また、給水路50には、バキュームブレーカ44が設けられている。このバキュームブレーカ44により、第2制御弁22側が負圧になった場合には、第2制御弁22側への水の逆流が防止される。
また、水道から供給された水は、貯水タンク10の外側に配置された止水栓38a、この止水栓38aの下流側の、貯水タンク10の中に配置された定流量弁38bを介して第1制御弁16及び第2制御弁22に夫々供給される。止水栓38aは、メンテナンス時等に洗浄水タンク装置4への水の供給を停止させるために設けられており、通常は開栓された状態で使用される。定流量弁38bは、水道から供給された水を、所定流量で第1制御弁16、第2制御弁22に流入させるために設けられており、水洗便器装置1の設置環境に関わらず一定流量の水が供給されるように構成されている。
コントローラ40は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいて後述する大洗浄モード及び小洗浄モードを実行するように接続された機器を制御する。コントローラ40は、リモコン装置6、人感センサ8、電磁弁18及び電磁弁24等と電気的に接続されている。
次に、図3を新たに参照して、クラッチ機構30の構成及び作用を説明する。
図3は、クラッチ機構30の構成を模式的に示すと共に、排水弁水圧駆動部14によって引き上げられた際の作動を示している。
まず、図3の(a)欄に示すように、クラッチ機構30は、排水弁水圧駆動部14から下方に延びるロッド32の下端に設けられ、ロッド32の下端と、排水弁12の弁軸12aの上端を連結・解除するように構成されている。クラッチ機構30は、ロッド32の下端に取り付けられた回転軸30aと、この回転軸30aによって支持された鈎部材30bと、弁軸12aの上端に設けられた係合爪30cと、を有する。このような構造により、クラッチ機構30は、所定のタイミング及び所定の引き上げ高さで切断され、排水弁12を降下させるようになっている。
回転軸30aは、ロッド32の下端に水平方向に向けて取り付けられ、鈎部材30bを回動可能に支持している。鈎部材30bは板状の部材であり、その中間部が回転軸30aによって回動可能に支持されている。また、鈎部材30bの下端は鈎状に折り曲げられ、鈎部が形成されている。排水弁12の弁軸12aの上端に設けられた係合爪30cは、直角三角形状の爪である。係合爪30cの底辺はほぼ水平に向けられ、側面は下方に向けて傾斜するように形成されている。
図3の(a)欄に示す状態では、排水弁12は排水口10aに着座しており、排水口10aは閉塞されている。また、この状態では、排水弁水圧駆動部14と排水弁12は連結されており、この連結状態においては、鈎部材30bの鈎部が係合爪30cの底辺と係合しており、排水弁12をロッド32によって引き上げることが可能である。
次に、図3の(b)欄に示すように、排水弁水圧駆動部14に洗浄水が供給されると、ピストン14bが上方へ移動し、これに伴い排水弁12がロッド32によって引き上げられる。さらに、図3の(c)欄に示すように、排水弁12が所定位置まで引き上げられると、鈎部材30bの上端が排水弁水圧駆動部14の底面に当接し、鈎部材30bは回転軸30aを中心に回動される。この回動により、鈎部材30bの下端の鈎部は、係合爪30cから外れる方向に移動され、鈎部材30bと係合爪30cの係合が解除される。鈎部材30bと係合爪30cの係合が解除されると、図3の(d)欄に示すように、排水弁12は、貯水タンク10内に貯留された洗浄水の中を、排水口10aに向けて降下する。(なお、後述するように、降下した排水弁12は、排水口10aに着座する前に、フロート装置26によって、一時的に所定の高さに保持される。)
さらに、図3の(e)欄に示すように、排水弁水圧駆動部14に供給されている洗浄水が停止されると、スプリング14cの付勢力により、ロッド32が降下する。ロッド32が降下すると、図3の(f)欄に示すように、ロッド32の下端に取り付けられた鈎部材30bの鈎部の先端が、係合爪30cに当接する。ロッド32が更に降下すると、図3の(g)欄に示すように、鈎部材30bの鈎部が係合爪30cの傾斜面によって押され、鈎部材30bが回動される。ロッド32が更に降下すると、図3の(h)欄に示すように、鈎部材30bの鈎部が係合爪30cを乗り越え、鈎部材30bは重力により元の位置まで回動され、鈎部材30bの鈎部と、係合爪30cが再び係合し、図3の(a)欄に示す状態に復帰する。
次に、図4を新たに参照して、フロート装置26の構成、及び作用を説明する。図4は、図2における排水弁12及びフロート装置26の部分を拡大して示した図である。図4の(a)欄には、排水弁12が閉弁された状態が示され、(b)欄には、排水弁12が開弁され、フロート装置26によって保持されている状態が示されている。
図4に示すように、フロート装置26は、貯水タンク10内の水位に応じて移動されるフロート26aと、このフロート26aを回動可能に支持する保持機構46と、を有する。
フロート26aは、中空の直方体状の部材であり、貯水タンク10内に貯留された洗浄水から浮力を受けるように構成されている。この浮力により、貯水タンク10内の水位が所定水位(概ねフロート26aの水位)以上である場合には、フロート26aは、図4の(a)欄の実線に示す状態になる。
保持機構46は、このフロート26aの移動と連動して保持状態と非保持状態の間で移動される。保持機構46は、保持状態に移動されると、排水弁12と係合して排水弁12を所定の高さに保持するように構成されている。保持機構46は、フロート26aを回動可能に支持する機構であり、支持軸46aと、この支持軸46aに支持されたアーム部材46b及び係合部材46cを有する。支持軸46aは、任意の部材(図示せず)により、貯水タンク10に対して固定された回転軸であり、アーム部材46b及び係合部材46cを回動可能に支持している。一方、排水弁12の弁軸12aの基端部には、係合部材46cと係合可能に形成された保持爪12bが形成されている。この保持爪12bは直角三角形状の突起であり、弁軸12aの基端部から係合部材46cに向けて延びており、その底辺は水平方向に向けられ、側面は下方に向けて傾斜するように延びている。
支持軸46aは、図4の紙面に直交する方向に延びる軸であり、任意の部材(図示せず)により、その両端部が貯水タンク10に対して固定され、中間部が弁軸12aから遠ざかるように湾曲して形成されている。また、アーム部材46bは、折れ曲がった梁状の部材であり、その下端部が2つに枝分かれするように構成されている。これらの枝分かれしたアーム部材46bの下端が、夫々、支持軸46aの両端部で回動可能に支持されている。このため、排水弁12が鉛直方向に移動された場合でも、支持軸46a及びアーム部材46bが、排水弁12の弁軸12aに設けられた保持爪12bと干渉することはない。
一方、アーム部材46bの上端部は、フロート26aの底面に固定されている。このため、フロート26aが浮力を受けている状態では、フロート26aは、図4の(a)欄の実線に示す状態に保持される。また、貯水タンク10内の水位が低下すると、フロート26a及びアーム部材46bは自重により、支持軸46aを中心に図4の(a)欄の想像線に示す状態まで回動される。なお、フロート26a及びアーム部材46bの回動は、図4の(a)欄の実線に示す保持機構46の保持状態から想像線に示す非保持状態までの間に制限されている。
さらに、係合部材46cは、支持軸46aに対して回動可能に取り付けられた部材であり、その基端部が支持軸46aの両端部において回動可能に支持されている。また、係合部材46cは、その先端部が、排水弁12の弁軸12aに向けて湾曲するように延びている。このため、図4の(a)欄の実線に示す位置へ回動された保持状態では、係合部材46cの先端部は、弁軸12aに設けられた保持爪12bと干渉する。これに対して、図4の(a)欄の想像線に示す位置へ回動された非保持状態では、係合部材46cの先端部と、保持爪12bとの干渉は発生しない。
また、係合部材46cは、支持軸46aを中心に、アーム部材46bと連動して回動されるように構成されている。即ち、フロート26a及びアーム部材46bが図4の(a)欄の実線に示す状態から、想像線に示す状態まで回動された場合には、アーム部材46bと連動して、係合部材46cも想像線に示す状態まで回動される。しかしながら、図4の(a)欄の実線に示す状態において、係合部材46cの先端が、排水弁12の保持爪12bによって上方に向けて押された場合には、係合部材46cのみが空回りして、回動することができる。即ち、係合部材46cの先端部が、保持爪12bによって上方に向けて押された場合には、フロート26a及びアーム部材46bが実線に示す位置を保持したまま、係合部材46cのみが図4の想像線に示す位置まで回動することができる。
一方、図4の(b)欄の実線に示すように、排水弁12が上方に引き上げられ、保持爪12bが係合部材46cよりも上方に位置する状態では、保持爪12bと係合部材46cが係合して、排水弁12の降下が阻止される。即ち、保持機構46を構成する係合部材46cが、排水弁12と係合して、排水弁12を所定の高さに保持する。従って、排水弁水圧駆動部14に接続されたロッド32(図3)によって排水弁12が引き上げられ、その後、クラッチ機構30が切り離されると、排水弁12は降下する。この降下の途中で、排水弁12の保持爪12bと、保持機構46の係合部材46cが係合し、排水弁12は所定の高さに保持される。
次いで、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、フロート26aの位置が下がり、フロート26a及びアーム部材46bは、図4の(b)欄の想像線に示す位置まで回動する。この回動に連動して、係合部材46cも図4の(b)欄の想像線に示す位置まで回動されるため、保持爪12bと係合部材46cの係合が解除される。これにより、排水弁12が降下し、排水口10aに着座して、排水口10aが閉塞される。
次に、図2、図4を参照して、本発明の第1実施形態によるタイミング制御機構である水溜め装置52について説明する。
水溜め装置52は、後述するように、リモコン装置6等によって第2の洗浄水量が選択された場合において、フロート装置26のフロート26aを押し下げ、貯水タンク10内の水位が所定水位に低下するよりも前に、フロート装置26の保持機構46を非保持状態に切り替えるように構成されている。これにより、排水弁12が降下して排水口10aが閉塞されるタイミングが、第1の洗浄水量が選択された場合よりも早くなり、第1の洗浄水量よりも少ない第2の洗浄水量の洗浄水を排水口10aから排出させることができる。
水溜め装置52は、供給された洗浄水を吐出する吐出部54と、吐出部54から吐出された洗浄水を溜める水溜め部56を備えている。水溜め装置52は、後述するようにリモコン装置6等によって第2の洗浄水量が選択された場合に、第1制御弁16から供給された洗浄水を利用して、フロート装置26の保持機構46を非保持状態に切り替える。より具体的には、第1制御弁16から供給された洗浄水の重量を利用し、フロート装置26のフロート26aを押し下げることで保持機構46を非保持状態に切り替える。これにより、排水弁12を降下させるタイミングを制御する。
吐出部54は、駆動部排水路34bの下端に形成され、下向きに延びている。吐出部54は、先細且つ下向きの吐出口を形成する。よって、洗浄水は、重力により下向きに加速され、さらに吐出口において流路が狭められているのでさらにその流速が加速される。吐出部54は、水溜め部56の内側且つ上端56aより低い高さに配置される。少なくとも吐出部54の下端の吐出口は水溜め部56の内側且つ上端56aより低い高さに配置される。
水溜め部56は、吐出部54の下方側に配置された中空の箱状の部材であり、上面が開口されている。これにより、吐出部54から吐出された洗浄水は水溜め部56に流入する。水溜め部56の容積は、シリンダ14aの容積より小さい。また、水溜め部56は、支持部材(図示せず)により、貯水タンク10内で鉛直方向に移動可能に支持されている。さらに、水溜め部56は、底面から鉛直方向下方に延びる伝達部であるロッド部材56dを備えている。ロッド部材56dは柱状に形成され、水溜め部56の底面に固定されている。また、水溜め部56は、フロート装置26の上方に配置されており、ロッド部材56dの下端は、フロート26aの上面26bと対向している。図4(a)に示すように、ロッド部材56dの下端は、水溜め部56が待機状態にあるとき(水溜め部56に洗浄水が溜められていない状態にあるとき)、フロート26aの上面上に支持されている。さらに、水溜め部56は、洗浄水を内部に溜めていない状態において貯水タンク10の止水水位(満水水位WL)より上方に位置する。
さらに、水溜め部56には、溜めた洗浄水を排出する排出孔56bが形成されている。排出孔56bは、水溜め部56の側壁56cの下部に形成され、平面視で排水弁12の弁軸12aと反対側に向けられた開口を形成する。排出孔56bは、比較的小さい径の小孔を形成している。よって、排出孔56bから水溜め部56の外側(貯水タンク10内)に排出される洗浄水の瞬間流量A1(図7参照)は、吐出部54から吐出される洗浄水の瞬間流量A2(図6参照)よりも小さい。
ロッド部材56dは、水溜め部56の重量をフロート26aに伝達するようになっている。洗浄開始前の待機状態においては、水溜め部56内には洗浄水が溜まっていないため、フロート26aに作用する浮力が水溜め部56の重量に打ち勝って、水溜め部56は図2に示すような上部位置に位置している。水溜め装置52は、水溜め部56に所定重量以上の洗浄水が溜まると、ロッド部材56dにより伝達される力がフロート26aを押し下げるように動作させる。このため、フロート26aの上面26bは、ロッド部材56dの下向きの力を受ける受力面として機能する。フロート26aが押し下げられるように移動されることにより、保持機構46は、貯水タンク10内の水位に関わらず、図4に実線で示す保持状態から図4に想像線で示す非保持状態に切り替えられ、排水弁12は保持機構46の係合部材46cとの係合が解除されて下降する。
ロッド部材56dが上面26bに作用する中心の接触点Pは、フロート26aの中心線Cに対し、支持軸46aから離間した側に位置している。このように、ロッド部材56dが、フロート26aの中心線Cに対し、支持軸46aから離間した側に作用するので、ロッド部材56dによって作用する、支持軸46aを中心とした力のモーメントを大きくできる。
次に、図2、図5乃至図10を新たに参照して、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4、及びそれを備えた水洗便器装置1の作用を説明する。
まず、図2に示す便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク10内の水位は所定の満水水位WLにあり、この状態では、第1制御弁16及び第2制御弁22は何れも閉弁されている。また、保持機構46は、図4の(a)欄に実線で示す保持状態にされている。次に、使用者がリモコン装置6(図1)の大洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、大洗浄モードを実行するための指示信号をコントローラ40(図2)に送信する。また、小洗浄ボタンが押されると、小洗浄モードを実行するための指示信号がコントローラ40に送信される。このように、本実施形態において、水洗便器装置1は、洗浄水量の異なる大洗浄モードと小洗浄モードの2つの洗浄モードを備え、リモコン装置6は、洗浄水量を選択する洗浄水量選択手段として機能する。水洗便器装置1は、洗浄水量の異なる複数の洗浄モードを備えている。
なお、本実施形態の水洗便器装置1においては、人感センサ8(図1)によって使用者の離座が検知された後、リモコン装置6の洗浄ボタンが押されることなく、所定時間経過した場合にも、便器洗浄の指示信号がコントローラ40に送信される。また、コントローラ40は、使用者が水洗便器装置1に着座してから離座するまでの時間が所定時間未満であった場合には、使用者が小便をしたと判断し、小洗浄モードを実行する。一方、着座してから離座するまでの時間が所定時間以上であった場合には、コントローラ40は、大洗浄モードを実行する。従って、この場合には、第1の洗浄水量で洗浄を行う大洗浄モードと、第1の洗浄水量よりも少ない第2の洗浄水量で洗浄を行う小洗浄モードは、コントローラ40によって選択されるので、コントローラ40は洗浄水量選択手段として機能する。
次に、図2、図5乃至図10を参照して、大洗浄モードの作用を説明する。
大洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ40は、第1制御弁16に備えられた電磁弁18(図2)を作動させ、電磁弁側のパイロット弁16dをパイロット弁口から離座させる。これにより、圧力室16c内の圧力が低下し、主弁体16aが主弁口16bから離座して、主弁口16bが開弁される。第1制御弁16が開弁されると、図5に示すように、給水管38から流入した洗浄水が、第1制御弁16を介して排水弁水圧駆動部14に供給される。これにより、排水弁水圧駆動部14のピストン14bが押し上げられ、ロッド32を介して排水弁12が引き上げられ、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから水洗便器本体2へ排出される。
排水弁12が引き上げられる際、排水弁12の弁軸12aに設けられた保持爪12bが保持機構46の係合部材46cを押し上げて回動させ、保持爪12bは係合部材46cを越える(図4の(a)欄→(b)欄)。
次に、図6に示すように、更に排水弁12が引き上げられると、クラッチ機構30が切断される。即ち、排水弁12が所定の高さに到達すると、クラッチ機構30の鈎部材30bの上端が、排水弁水圧駆動部14の底面に当たり、クラッチ機構30が切断される(図3の(b)欄→(c)欄)。
クラッチ機構30が切断されると、排水弁12は、自重により排水口10aに向けて降下し始める。ここで、排水弁12が開弁された直後は、貯水タンク10内の水位が高いため、保持機構46は、図4の(b)欄に実線で示す保持状態にされている。このため、降下してきた排水弁12の保持爪12bが、保持機構46の係合部材46cと係合し、排水弁12は保持機構46によって所定の高さに保持される。排水弁12が保持機構46によって保持されることにより、排水口10aは開弁状態に維持され、貯水タンク10内の洗浄水の水洗便器本体2への排出が維持される。このとき、パイロット弁16dは依然として開状態であり、給水管38から流入した洗浄水が、第1制御弁16を介して排水弁水圧駆動部14に供給される。ピストン14bが第2の位置まで上昇され、駆動部給水路34aと駆動部排水路34bとが、シリンダ14aの内部を介して連通されるので、洗浄水が吐出部54から水溜め部56に吐出される。
次いで、図7に示すように、貯水タンク10内の水位が低下すると、貯水タンク10内の水位を検出しているフロートスイッチ42がオフになる。フロートスイッチ42がオフになると、第2制御弁22に備えられたパイロット弁22cが開弁される。よって、第2制御弁22から給水路50を介して洗浄水が貯水タンク10内に供給される。一方、コントローラ40は第1制御弁16を開弁させた後、所定時間経過すると、電磁弁18を作動させ、電磁弁側のパイロット弁16dを閉弁させる。これにより、第1制御弁16の主弁体16aは、閉弁される。なお、コントローラ40は、大洗浄モードを実行する場合には、排水弁12が引き上げられ、クラッチ機構30が切断された後、短時間で第1制御弁16を閉弁させる。電磁弁側のパイロット弁16dが閉弁された後も、第2制御弁22の開弁状態は維持され、貯水タンク10への給水は継続される。
なお、本実施形態においては、フロートスイッチ42の検出信号に基づいてパイロット弁22cが開閉されているが、変形例として、フロートスイッチ42の代わりにボールタップにより機械的にパイロット弁22cが開閉されるように本発明を構成することもできる。この変形例においては、パイロット弁22cは貯水タンク10内の水位に応じて上下動するフロートに連動して開閉される。
第1制御弁16が閉弁されるので、排水弁水圧駆動部14及び水溜め装置52への洗浄水の供給が停止される。大洗浄モードが実行された場合、第1制御弁16が開弁された後、閉弁されるまでは、比較的短い時間であるので、水溜め部56内に貯留される洗浄水はフロート26aを押し下げるほどの重量を有していない。このため、大洗浄モードが実行された場合には、水溜め部56内に洗浄水が流入しても、これによりフロート26aが押し下げられ、保持機構46が非保持状態に切り替えられることはない。即ち、フロート26aは、図4の(a)欄の実線に示す状態に維持され、保持機構46は保持状態に維持される。また、水溜め部56内に貯留された洗浄水は、排出孔56bから徐々に排出される。
また、図8に示すように、貯水タンク10内の水位が、所定水位WL1まで低下すると、保持機構46に接続されたフロート26aの位置が低下する。これにより、保持機構46は、図4の(b)欄に想像線で示す非保持状態に切り替えられる。これにより、係合部材46cと排水弁12の保持爪12bとの間の係合が解除される。保持機構46が非保持状態に切り替えられることにより、排水弁12は保持機構46から離脱して再び下降し始める。
これにより、図9に示すように、排水弁12が排水口10aに着座し、排水口10aが閉塞される。このように、大洗浄モードが実行された場合には、貯水タンク10内の水位が、満水水位WLから所定水位WL1に低下するまで排水弁12が保持され、第1の洗浄水量が水洗便器本体2に排出される。
一方、フロートスイッチ42は依然としてオフ状態であるため、第2制御弁22の開弁状態が維持され、貯水タンク10への給水が継続される。給水路50を介して供給される洗浄水は、給水路分岐部50aへ至り、給水路分岐部50aにおいて分岐された洗浄水の一部がオーバーフロー管10bに流入し、残りが貯水タンク10内に貯留される。オーバーフロー管10bに流入した洗浄水は、水洗便器本体2に流入し、ボウル部2aのリフィルに使用される。排水弁12が閉弁された状態で、貯水タンク10内に洗浄水が流入することにより、貯水タンク10内の水位が上昇する。
図10に示すように、貯水タンク10内の水位が所定の満水水位WLまで上昇すると、フロートスイッチ42がオンになる。フロートスイッチ42がオンにされると、フロートスイッチ側のパイロット弁22cが閉弁される。これにより、パイロット弁22cが閉弁された状態となるので、圧力室22b内の圧力が上昇し、第2制御弁22の主弁体22aが閉弁され、給水が停止される。
第1制御弁16が閉弁され、排水弁水圧駆動部14への給水が停止された後、図10に示すように、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内の洗浄水が徐々に隙間14dから流出すると共に、ピストン14bがスプリング14cの付勢力により押し下げられ、これと共にロッド32が低下する。これにより、クラッチ機構30が接続され(図3の(e)欄〜(h)欄)、便器洗浄が開始される前の待機状態に復帰する。
次に、図2、図11乃至図15を参照して、小洗浄モードの作用を説明する。
図2に示すように、便器洗浄の待機状態は、大洗浄モードと同様である。
小洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ40は、第1制御弁16に備えられた電磁弁18を作動させ、第1制御弁16を開弁させる。一方、コントローラ40は、第2制御弁22を閉弁させたままとする。
第1制御弁16が開弁されると、図11に示すように、給水管38から流入した洗浄水が、第1制御弁16を介して排水弁水圧駆動部14に供給される。これにより、排水弁水圧駆動部14のピストン14bが押し上げられ、ロッド32を介して排水弁12が引き上げられ、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから水洗便器本体2へ排出される。なお、排水弁12が引き上げられる際、排水弁12の弁軸12aに設けられた保持爪12b(図4の(a)欄)が保持機構46の係合部材46cを押し上げて回動させ、保持爪12bは係合部材46cを越える。
次に、図12に示すように、更に排水弁12が引き上げられると、クラッチ機構30が切断される。即ち、排水弁12が所定の高さに到達すると、クラッチ機構30の鈎部材30bの上端が、排水弁水圧駆動部14の底面に当たり、クラッチ機構30が切断される(図3の(b)欄→(c)欄)。
クラッチ機構30が切断されると、排水弁12は、自重により排水口10aに向けて降下し始める。ここで、排水弁12が開弁された直後は、貯水タンク10内の水位が高いため、保持機構46は、図4の(b)欄に実線で示す保持状態にされている。このため、降下してきた排水弁12の保持爪12bが、保持機構46の係合部材46cと係合し、排水弁12は保持機構46によって所定の高さに保持される。排水弁12が保持機構46によって保持されることにより、排水口10aは開弁状態に維持され、貯水タンク10内の洗浄水の水洗便器本体2への排出が維持される。このとき、パイロット弁16dは依然として開状態であり、給水管38から流入した洗浄水が、第1制御弁16を介して排水弁水圧駆動部14に供給される。これにより、ピストン14bが第2の位置まで上昇され、駆動部給水路34aと駆動部排水路34bとが、シリンダ14aの内部を介して連通されるので、洗浄水が水溜め装置52に供給される。
次いで、貯水タンク10内の洗浄水が排出されることにより、図13に示すように、貯水タンク10内の水位が低下すると、貯水タンク10内の水位を検出しているフロートスイッチ42がオフになる。フロートスイッチ42がオフになると、第2制御弁22に備えられたパイロット弁22cが開弁される。これにより、第2制御弁22から給水路50を介して洗浄水が貯水タンク10内に供給される。一方、コントローラ40は小洗浄モードが選択された場合には、第1制御弁16のパイロット弁16dを開弁させたままとする。これにより、給水管38から供給された洗浄水は、第1制御弁16、排水弁水圧駆動部14を介して吐出部54から水溜め部56に吐出される。
吐出部54から吐出された洗浄水は、水溜め部56内に貯溜される。また、水溜め部56内の洗浄水は排出孔56bから水溜め部56の外側(貯水タンク10内)にわずかに排出される。一方、排出孔56bから排出される洗浄水の瞬間流量A1(図14参照)は、吐出部54から吐出される洗浄水の瞬間流量A2(図13参照)よりも小さい。よって、水溜め部56内に貯留される洗浄水の重量は増加する。水溜め部56内に貯留される洗浄水の重量がフロート26aの浮力に打ち勝つまで増加すると、水溜め部56のロッド部材56dがフロート26aの上面26bを押し下げて、フロート26aを押し下げる。フロート26aが押し下げられることにより、保持機構46は、図4に想像線で示す非保持状態に切り替えられる。保持機構46が非保持状態に切り替えられることにより、係合部材46cと排水弁12の保持爪12bとの間の係合が解除され、排水弁12は保持機構46から離脱して再び下降し始める。
これにより、図14に示すように、排水弁12が排水口10aに着座し、排水口10aが閉塞される。このように、小洗浄モードが実行された場合には、大洗浄モードが実行された場合に比べて第1制御弁16が開弁されている期間が長いため、水溜め部56内に貯留される洗浄水量が増加して、その重量によりフロート26aが押し下げられる。これにより、フロート装置26の保持機構46は、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1に低下するよりも前に、非保持状態に切り替えられる。即ち、大洗浄モードにおいては、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1まで低下すると、この水位低下によって保持機構46が非保持状態に切り替わる。これに対して、小洗浄モードにおいては、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1よりも高い水位WL2に低下した時点で、フロート26aが水溜め部56の重量により押し下げられ、保持機構46が非保持状態に切り替えられる。その結果、小洗浄モードにおいては、排水弁12は、満水水位WLから所定水位WL2に低下するまで保持機構46によって保持されることにより、第2の洗浄水量が水洗便器本体2に排出される。このため、小洗浄モードにおいて貯水タンク10から排出される第2の洗浄水量は、大洗浄モードにおいて排出される第1の洗浄水量よりも少なくなる。
排水口10aが閉塞された後、フロートスイッチ42は依然としてオフ状態であるため、第2制御弁22の開弁状態が維持され、貯水タンク10への給水が継続され、貯水タンク10内の水位が再び上昇する。
コントローラ40は、電磁弁18を開弁してから所定時間経過した時点で電磁弁18を閉弁する。所定時間は、例えば水溜め部56が降下するのに十分な洗浄水を水溜め部56に供給できる時間として設定される。よって、所定時間経過後に、第1制御弁16は閉弁される。吐出部54から水溜め部56への洗浄水の吐出も停止される。水溜め部56内に貯留した洗浄水は、排出孔56bから徐々に排出される。水溜め部56内の洗浄水が減少し、重量が軽くなることにより、水溜め部56はフロート26aに作用する浮力により押し上げられ、水溜め部56は再び待機状態の位置まで上昇される。水溜め部56内の洗浄水は、水溜め部56が空になるまで流出する。
図15に示すように、貯水タンク10内の水位が所定の満水水位WLまで上昇すると、フロートスイッチ42がオンになる。フロートスイッチ42がオンにされると、フロートスイッチ側のパイロット弁22cが閉弁される。これにより、パイロット弁22cが閉弁された状態となるので、圧力室22b内の圧力が上昇し、第2制御弁22の主弁体22aが閉弁され、給水が停止される。
第1制御弁16が閉弁され、排水弁水圧駆動部14への給水が停止された後、図15に示すように、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内の洗浄水が徐々に隙間14dから流出すると共に、ピストン14bがスプリング14cの付勢力により押し下げられ、これと共にロッド32が低下する。これにより、クラッチ機構30が接続され(図3の(e)欄〜(h)欄)、便器洗浄が開始される前の待機状態に復帰する。
上述した本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、排水弁12と排水弁水圧駆動部14とがクラッチ機構30によって連結され、所定のタイミングで切断されるので、排水弁水圧駆動部14の作動速度に関わらず排水弁12を移動させることが可能になり、排水弁12を閉弁させることができる。
また、フロート装置26の保持機構46は、大洗浄モードが選択された場合には、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1に低下するまで、排水弁12を保持する。一方、小洗浄モードが選択された場合には、タイミング制御機構である水溜め装置52は、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1に低下するよりも前に保持機構46を非保持状態に切り替える。これにより、フロート装置26を使用しながら、大洗浄モードが選択された場合とは異なるタイミングで排水口10aを閉塞させることができる。従って、本発明の第1実施形態によれば、クラッチ機構30及びフロート装置26を使用しながら、第1、第2の洗浄水量を設定することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、リモコン装置6によって第2の洗浄水量が選択された場合に、水溜め装置52は、貯水タンク10の水位低下に伴うフロート26aの移動により保持機構46が非保持状態にされるよりも前に、保持機構46を非保持状態にすることができる。これにより、貯水タンク10内の水位の低下を待たずに、排水弁12を降下させることができ、第1の洗浄水量よりも少量の第2の洗浄水量を設定することができる。また、仮に、故障により水溜め装置52が作動しない場合には、第1の洗浄水量の洗浄水が排出されるため、洗浄水が不足するのを回避することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、リモコン装置6によって第2の洗浄水量が選択された場合に、水溜め装置52は、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1に低下する前に、保持機構46を非保持状態に切り替える。これにより、クラッチ機構30が切断されることにより降下し始めた排水弁12は、貯水タンク10内の水位が所定水位WL1まで低下する前に保持機構46よりも下方に降下し、排水口10aを閉塞させる。この結果、フロート装置26を確実に動作させることができると共に、第1の洗浄水量よりも少ない第2の洗浄水量を設定することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、水道水を利用してフロート装置26の保持機構46を非保持状態に切り替えることができるので、貯水タンク10内に保持機構46を切り替えるための特別なアクチュエータ等を設けることなくコンパクトで簡素な構成により、排水弁12を降下させるタイミングを制御することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、水溜め装置52に洗浄水を供給する制御弁と、排水弁水圧駆動部14に洗浄水を供給する制御弁とを、共通の構成である第1制御弁16とすることができるので、よりコンパクトで簡素な構成により排水弁12を降下させるタイミングを制御することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、水溜め装置52は、排水弁水圧駆動部14の下流側に設けられるので、第1制御弁16から供給された洗浄水を利用して水溜め装置52に洗浄水を供給することができる。これにより、水溜め装置52と排水弁水圧駆動部14に別々に洗浄水を供給した場合に比べ、これらを少量の洗浄水で作動させることができ、無駄になる洗浄水を抑制することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1制御弁16によって水溜め装置52へ洗浄水が供給される期間を変更するという簡便な制御により、選択された洗浄水量に応じたタイミングで排水弁12を降下させることができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、リモコン装置6により第2の洗浄水量が選択された場合に、第1制御弁16によって水溜め装置52へ洗浄水が供給される期間を、第1の洗浄水量が選択された場合に比べて長くするという簡便な制御により、排水弁12を降下させるタイミングを制御することができる。
さらに、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4によれば、第1制御弁16は、クラッチ機構30が切断された後、水溜め装置52に洗浄水を供給する。これにより、水溜め装置52は、クラッチ機構30により排水弁12が引き上げられる動作を阻害することなく、排水弁12を降下させるタイミングを制御することができる。
以上、本発明の第1実施形態を説明したが、上述した第1実施形態に、種々の変更を加えることができる。例えば、上述した第1実施形態においては、水溜め部56は、ロッド部材56dを備えていたが、変形例として、ロッド部材56dに代えて、Zの文字を横に倒したような形状のシーソータイプの力伝達器具(シーソー形状の伝達部)を配置してもよい。力伝達器具の一端は、水溜め部56の底面に接続され、力伝達器具の他端は、フロート26aの上面26bの近傍に配置される。力伝達器具の中心に回転中心軸が設けられ、水溜め部56が下降して力伝達器具の一端が下降すると、シーソーのように、力伝達器具の他端は上昇する。さらに、水溜め部56の底面には付勢部材を設けておき、水溜め部56を上方に向けて付勢しておく。この構成では、水溜め部56内の洗浄水が少ないときは、水溜め部56及び力伝達器具の一端が上昇する一方、力伝達器具の他端が下降してフロート26aを押し下げる。逆に、水溜め部56内に貯留された洗浄水が多くなると、水溜め部56が下降して、力伝達器具の他端は上昇するため、フロート装置26は貯水タンク10内の水位に応じて保持状態と、非保持状態が切り替えられる。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、水溜め部56に洗浄水が流入する期間を長くして、水溜め部56を下降させ、貯水タンク10内の水位に応じてフロート装置26の保持状態と、非保持状態が切り替えられるようにする。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、水溜め部56に洗浄水が流入する期間を短くすることにより、水溜め部56を上昇させ、力伝達器具を介してフロート26aを下降させる。よって、第2の洗浄水量を排出できるような所定のタイミングでフロート26aを強制的に下降させることで、排水弁12を下降させ、小洗浄モードが達成される。
また、例えば、上述した第1実施形態においては、洗浄水タンク装置4のタイミング制御機構として、吐出部54から吐出された洗浄水を、フロート装置26を押し下げる水錘として機能させる水溜め装置52を備えていたが、タイミング制御機構の第2の変形例として、吐出部54から吐出された洗浄水の運動エネルギーによりフロート装置26を押し下げる構成にしてもよい。即ち、吐出部54をタイミング制御機構として本発明を構成することができる。この変形例において、吐出部54には、第1制御弁16とは別に設けられた制御弁を介して洗浄水を供給する。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、少なくとも貯水タンク10内の水位が所定水位WL1となってフロート装置26が水位に応じて下降するまで、吐出部54から洗浄水を吐出させず、フロート装置26を下降させないようにする。よって、排水弁12は、本来のフロート装置26の下降タイミングである所定水位WL1に応じたタイミングで下降され、大洗浄モードを実行することができる。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、所定のタイミングで吐出部54から洗浄水を吐出させ、フロート26aを強制的に下降させることで、フロート装置26の保持機構46を非保持状態に切り替える。よって、排水弁12は、所定水位WL2に応じたタイミングで下降され、小洗浄モードを実行することができる。
或いは、第2の変形例の変形として、フロート26aの上面20bの近傍に、上述した変形例のようなシーソータイプの力伝達器具を配置するように構成することも可能である。このような変形例において、吐出部54から力伝達器具に向けて洗浄水を噴射した場合には、力伝達器具はフロート26aに干渉せず、力を伝達しない。一方、力伝達器具への洗浄水の噴射を停止させると、力伝達器具がフロート26aを押し下げ、フロート装置26は、非保持状態に切り替えられる。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、少なくとも貯水タンク10内の水位が所定水位WL1となってフロート装置26が水位に応じて下降するまで、第1制御弁16を閉弁せずに吐出部54から洗浄水を吐出し続けることにより、力伝達器具を介してフロート装置26を下降させないようにする。よって、排水弁12は、本来のフロート装置26の下降タイミングである所定水位WL1に応じたタイミングで下降され、大洗浄モードが実行できる。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、第2の洗浄水量を排出できるような所定時間経過した時点で第1制御弁16を閉弁し、吐出部54からの吐出を停止させることにより、力伝達器具を介してフロート装置26を強制的に下降させることで、フロート装置26の保持機構46を非保持状態に切り替える。よって、排水弁12は、所定水位WL2に応じたタイミングで下降され、小洗浄モードが実行できる。
また、洗浄水タンク装置4のタイミング制御機構の第3の変形例として、洗浄水が流入する圧力室を備え、その圧力室内に流入した洗浄水の給水圧を受けることにより、フロート装置26に向けて移動するロッドを備えた水圧駆動装置を採用することもできる。即ち、圧力室にかかる給水圧によりロッドを移動させる水圧駆動装置をタイミング制御機構として本発明を構成することができる。この変形例においては、水圧駆動装置のロッドにより、フロート装置26のフロート26aが押し下げられるように構成する。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、少なくとも貯水タンク10内の水位が所定水位WL1となってフロート装置26が水位に応じて下降するまで、水圧駆動装置に洗浄水を供給せず、フロート装置26を下降させないようにする。よって、排水弁12は、本来のフロート装置26の下降タイミングである所定水位WL1に応じたタイミングで下降され、大洗浄モードが実行できる。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、所定のタイミングで水圧駆動装置に洗浄水を供給し、圧力室内に洗浄水を流入させる。圧力室内の給水圧が高まることでフロート26aに向けてロッドが移動され、フロート装置26を強制的に非保持状態に切り替える。これにより、排水弁12は、所定水位WL2に応じたタイミングで下降され、小洗浄モードが実行できる。
或いは、第3の変形例の変形として、圧力室内に流入された洗浄水の給水圧を受けたときロッドが上昇し、給水を停止させたときにロッドが下降するように水圧駆動装置を構成することもできる。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、少なくとも貯水タンク10内の水位が所定水位WL1となってフロート装置26が水位に応じて下降するまで、水圧駆動装置の圧力室へ洗浄水を供給し続ける。圧力室内の給水圧が高い状態に保たれることにより、ロッドがフロート装置26を下降させないようにする。よって、排水弁12は、本来のフロート装置26の下降タイミングである所定水位WL1に応じたタイミングで下降され、大洗浄モードが実行できる。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、第2の洗浄水量を排出できるような所定時間経過した時点で水圧駆動装置の圧力室への洗浄水の供給を停止させる。圧力室内の圧力が低下することで水圧駆動装置のロッドがフロート装置26に向けて移動される。これにより、フロート26aが強制的に下降され、フロート装置26の保持機構46が非保持状態に切り替えられる。よって、排水弁12は、所定水位WL2に応じたタイミングで下降され、小洗浄モードが実行できる。
また、洗浄水タンク装置4のタイミング制御機構の第4の変形例として、洗浄水が貯留される小タンクを設け、この小タンク内に第2のフロートを設けることもできる。小タンク内の第2のフロートの底面にロッドを接続し、このロッドによりフロート26aを押し下げる構成とする。即ち、小タンク内の水位が低下すると、第2のフロートと共にロッドが低下し、フロート26aを押し下げる構成をタイミング制御機構として本発明を構成することができる。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、少なくとも貯水タンク10内の水位が所定水位WL1となってフロート装置26が水位に応じて下降するまで、小タンクへ洗浄水を供給し続けることにより、小タンク内の水位の低下を防ぎ、小タンク内の第2のフロートが下降しないようにする。これにより、第2のフロートの底面に接続されたロッドによりフロート26aが下降されることはなく、排水弁12は、本来のフロート装置26の下降タイミングである所定水位WL1に応じたタイミングで下降され、大洗浄モードが実行できる。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、第2の洗浄水量を排出できるような所定時間経過した時点で小タンクへの洗浄水の供給を停止させる。小タンク内の水位が低下することで第2のフロートと共にロッドが下降し、フロート26aが強制的に下降され、フロート装置26の保持機構46が非保持状態に切り替えられる。これにより、排水弁12は、所定水位WL2に応じたタイミングで下降され、小洗浄モードが実行できる。
或いは、第4の変形例の変形として、小タンク内の第2のフロートの底面に、上述した変形例のようなシーソータイプの力伝達器具を接続するように構成することも可能である。この変形例においては、小タンク内の水位が上昇すると、第2のフロートも上昇し、これに接続された力伝達器具がフロート26aを押し下げる。
この変形例において、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、少なくとも貯水タンク10内の水位が所定水位WL1となってフロート装置26が水位に応じて下降するまで、小タンクに洗浄水を流入させず、フロート26aを下降させないようにする。よって、排水弁12は、本来のフロート装置26の下降タイミングである所定水位WL1に応じたタイミングで下降され、大洗浄モードが実行できる。
また、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、所定のタイミングで小タンクに洗浄水を流入させ、小タンク内の水位を上昇させる。小タンク内の水位上昇と共に第2のフロートが上昇し、力伝達器具を介してフロート26aが強制的に下降され、フロート装置26の保持機構46が非保持状態に切り替えられる。よって、排水弁12は、所定水位WL2に応じたタイミングで下降され、小洗浄モードが実行できる。
次に、図16乃至図27を参照して、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置について説明する。なお、図16乃至図27に示す本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104について、図1乃至図15に示す上述した本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4と同一部分については同一符号を付し、これらの説明については、省略する。
まず、図16乃至図26に示す本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104においては、リモコン装置6は、水洗便器本体2を洗浄するための第1の洗浄水量と、この第1の洗浄水量よりも多い第2の洗浄水量を選択可能な洗浄水量選択手段として機能する。そして、排水弁12が降下して、排水口10aが閉塞されるタイミングを制御するためのタイミング制御機構の構成が上述した第1実施形態による洗浄水タンク装置4の構造と異なっている。
図16に示すように、タイミング制御機構である小タンク装置152は、供給された洗浄水を吐出する吐出部154と、吐出部154から吐出された洗浄水を溜める小タンク156と、その小タンク156内の水位に応じて移動する第2のフロート装置158を備えている。すなわち、吐出部154の構造は、上述した第1実施形態の吐出部54の構造と共通する一方、小タンク156の構造と小タンク156内に第2のフロート装置158を配置した構造が、上述した第1実施形態の洗浄水タンク装置4と異なっている。
小タンク156は、貯水タンク10の止水水位(満水水位WL)よりも上方に固定されている。小タンク156は中空の箱状に形成され、上面が開口されていると共に、溜めた洗浄水を排出する排出孔156bが形成される。この排出孔156bは、比較的小さい径の小孔を形成している。よって、排出孔156bから小タンク156外(貯水タンク10内)に排出される洗浄水の瞬間流量は、吐出部154から吐出される洗浄水の瞬間流量よりも小さい。
また、小タンク156は、吐出部154の下方側に配置され、吐出部154から吐出された洗浄水が流入するように構成されている。また、小タンク156は、フロート装置26の上方に配置されている。
第2のフロート装置158は、小タンク156内の水位に応じて移動される第2のフロート158aと、この第2のフロート158aの底面に固定されたL字ロッド部材158bと、を備えている。
第2のフロート158aは、中空の直方体上の部材であり、小タンク156内に貯留された洗浄水の水位に連動して鉛直方向に移動するように構成されている。
L字ロッド部材158bは、その基端が第2のフロート158aの底面に固定され、小タンク156の排出孔156bを通過し鉛直下方に延びる部分と、小タンク156の外側で貯水タンク10内に配置されたフロート装置26に向けて折れ曲がる屈曲部と、フロート装置26のフロート26aの底面近傍に配置される先端部に向けて延びる部分とからなるL字状に形成されている。
図17(a)に示すように、小タンク156が待機状態にあるとき(小タンク156に洗浄水が溜められていない状態にあるとき)、L字ロッド部材158bの先端部は、フロート26aに当接しない位置に下降している。一方で図17(b)に示すように、小タンク156に所定量以上の洗浄水が溜められた状態では、L字ロッド部材158bの先端部は、フロート26aの下面に当接する位置まで上昇する。この場合、フロート装置26のフロート26aは、貯水タンク10内の水位が低い状態であっても、小タンク156内の水位に応じて引き上げられる。
小タンク装置152は、リモコン装置6等によって大洗浄が選択された場合において、排水弁12が降下して、排水口10aが閉塞されるタイミングが小洗浄が選択された場合よりも遅くなるように作用する。即ち、小タンク装置152は、貯水タンク10内の水位が所定水位よりも低下した後も、貯水タンク10内に配置されたフロート装置26の保持機構46を保持状態に維持するように構成されている。より具体的には、小タンク156内に配置された第2のフロート装置158の浮力を利用し、貯水タンク10内の水位が所定水位以下に低下した後も、第2のフロート装置158のL字ロッド部材158bにより、フロート装置26のフロート26aを降下させないようにすることで、保持機構46を保持状態に維持し続けることができる。これにより、排水弁12を降下させるタイミングを制御する。なお、本実施形態においては、小洗浄が選択された場合に排出される洗浄水量が第1の洗浄水量に該当し、大洗浄が選択された場合に排出される洗浄水量を第2の洗浄水量に該当する。
次に、図16乃至図26を参照して、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104、及びそれを備えた水洗便器装置100の作用を説明する。
まず、図16に示す便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク10内の水位は所定の満水水位WLにあり、この状態では第1制御弁16及び第2制御弁22はいずれも閉弁されている。また、保持機構46は、図17(a)欄に実線で示す保持状態にされている。次に、使用者がリモコン装置6の大洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、大洗浄モードを実行するための指示信号をコントローラ40に送信する。また、小洗浄ボタンが押されると、小洗浄モードを実行するための指示信号がコントローラ40に送信される。このように、本実施形態において、水洗便器装置1は、洗浄水量の異なる大洗浄モードと小洗浄モードの2つの洗浄モードを備え、リモコン装置6は、洗浄水量を選択する洗浄水量選択手段として機能する。水洗便器装置100は、洗浄水量の異なる複数の洗浄モードを備えている。
次に、図16乃至図22を参照して、第2実施形態による小洗浄モードの作用を説明する。
図16に示すように、便器洗浄の待機状態は、第1実施形態と同様である。
小洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ40は、第1制御弁16に備えられた電磁弁18を作動させ、第1制御弁16を開弁させる。一方、コントローラ40は、第2制御弁22を閉弁させたままとする。
第1制御弁16が開弁されると、図18に示すように、給水管38から流入した洗浄水が、第1制御弁16を介して排水弁水圧駆動部14に供給される。これにより、排水弁水圧駆動部14のピストン14bが押し上げられ、ロッド32を介して排水弁12が引き上げられ、貯水タンク10内の洗浄水が排水口10aから水洗便器本体2へ排出される。
次に、図19に示すように、更に排水弁12が引き上げられると、クラッチ機構30が切断される。クラッチ機構30が切断されると、排水弁12は、自重により排水口10aに向けて降下し始める。ここで、排水弁12が開弁された直後は、貯水タンク10内の水位が高いため、保持機構46は、図17の(b)欄に実線で示す保持状態にされている。このため、排水弁12は保持機構46によって所定の高さに保持される。排水弁12が保持機構46によって保持されることにより、排水口10aは開弁状態に維持され、貯水タンク10内の洗浄水の水洗便器本体2への排出が維持される。このとき、パイロット弁16dは依然として開状態であり、給水管38から流入した洗浄水が、第1制御弁16を介して排水弁水圧駆動部14に供給される。これにより、ピストン14bが第2の位置まで上昇され、駆動部給水路34aと駆動部排水路34bとが、シリンダ14aの内部を介して連通されるので、洗浄水が小タンク装置152に供給される。
次いで、図20に示すように、貯水タンク10内の水位が低下すると、貯水タンク10内の水位を検出しているフロートスイッチ42がオフになる。フロートスイッチ42がオフになると、第2制御弁22に備えられたパイロット弁22cが開弁される。これにより、第2制御弁22から給水路50を介して洗浄水が貯水タンク10内に供給される。一方、コントローラ40は小洗浄モードが選択された場合には、比較的短時間で電磁弁18を作動させ、第1制御弁16のパイロット弁16dを閉弁させる。第1制御弁16の主弁体16aは、パイロット弁16dが閉弁されることにより閉弁される。パイロット弁16dが閉弁された後も、第2制御弁22の開弁状態は維持され、貯水タンク10への給水は継続される。
第1制御弁16が閉弁されことにより、排水弁水圧駆動部14及び小タンク装置152への洗浄水の供給が停止される。小洗浄モードが実行された場合、第1制御弁16が開弁されてから閉弁されるまでは、比較的短い時間であるので、小タンク156内に流入する洗浄水は少量である。このため、小タンク156内に貯留される洗浄水の水位は、第2のフロート装置158のL字ロッド部材158bの先端部が、貯水タンク10内のフロート装置26のフロート26aの下面に当接するほど上昇しない。
そして、図20に示すように、貯水タンク10内の水位が、所定水位WL3まで低下すると、保持機構46に接続されたフロート26aの位置が低下する。これにより、保持機構46は、図17の(b)欄に想像線で示す非保持状態に切り替えられる。保持機構46が非保持状態に切り替えられることにより、排水弁12は保持機構46から離脱して再び下降し始める。
これにより、図21に示すように、排水弁12が排水口10aに着座し、排水口10aが閉塞される。このように、小洗浄モードが実行された場合には、貯水タンク10内の水位が、満水水位WLから所定水位WL3に低下するまで排水弁12が保持され、第1の洗浄水量が水洗便器本体2に排出される。
一方、フロートスイッチ42は依然としてオフ状態であるため、第2制御弁22の開弁状態が維持され、貯水タンク10への給水が継続される。給水路50を介して供給される洗浄水は、給水路分岐部50aへ至り、給水路分岐部50aにおいて分岐された洗浄水の一部がオーバーフロー管10bに流入し、残りが貯水タンク10内に貯留される。オーバーフロー管10bに流入した洗浄水は、水洗便器本体2に流入し、ボウル部2aのリフィルに使用される。排水弁12が閉弁された状態で、貯水タンク10内に洗浄水が流入することにより、貯水タンク10内の水位が上昇する。
図22に示すように、貯水タンク10内の水位が所定の満水水位WLまで上昇すると、フロートスイッチ42がオンになる。フロートスイッチ42がオンにされると、フロートスイッチ側のパイロット弁22cが閉弁される。これにより、パイロット弁22cが閉弁された状態となるので、圧力室22b内の圧力が上昇し、第2制御弁22の主弁体22aが閉弁され、給水が停止される。
第1制御弁16が閉弁され、排水弁水圧駆動部14への給水が停止された後、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内の洗浄水が徐々に隙間14dから流出すると共に、ピストン14bがスプリング14cの付勢力により押し下げられ、これと共にロッド32が低下する。これにより、クラッチ機構30が接続され、便器洗浄が開始される前の待機状態に復帰する。
次に、図16、図23乃至図26を参照して、本発明の第2実施形態の洗浄水タンク装置104による大洗浄モードの作用を説明する。
図16に示すように、便器洗浄の待機状態は、小洗浄モードと同様である。
大洗浄をすべき指示信号を受信すると、コントローラ40は、第1制御弁16に備えられた電磁弁18を作動させ、第1制御弁16を開弁させる。一方、コントローラ40は、第2制御弁22を閉弁させたままとする。
また、図23に示すように、クラッチ機構30が切断された後、排水弁12が保持機構46によって所定の高さに保持されるまでは、小洗浄モードと同様である。
次いで、図24に示すように、貯水タンク10内の水位が低下すると、貯水タンク10内の水位を検出しているフロートスイッチ42がオフになる。フロートスイッチ42がオフになると、第2制御弁22に備えられたパイロット弁22cが開弁される。よって、第2制御弁22から給水路50を介して洗浄水が貯水タンク10内に供給される。一方、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には第1制御弁16のパイロット弁16dを比較的長い時間開弁させたままとする。これにより、給水管38から流入した洗浄水は、第1制御弁16、排水弁水圧駆動部14を介して比較的長い時間、吐出部154から小タンク156に吐出される。
吐出部154から吐出された洗浄水は、小タンク156内に流入する。また、小タンク156内の洗浄水は排出孔156bから小タンク156の外(貯水タンク10内)に少しずつ排出される。即ち、排出孔156bから排出される洗浄水の瞬間流量A1は、吐出部154から吐出される洗浄水の瞬間流量A2よりも小さい。このため、小タンク156内に貯留される洗浄水の水位が上昇する。小タンク156内に貯留された洗浄水の水位上昇と共に、第2のフロート装置158の第2のフロート158aが上昇する。これにより、第2のフロート装置158のL字ロッド部材158bの先端部が、貯水タンク10内のフロート装置26のフロート26aの下面に当接する。フロート26aがL字ロッド部材158bにより下方から支持されることにより、保持機構46は、貯水タンク10内の水位が所定水位よりも低下した後も保持状態に維持される。
コントローラ40は、電磁弁18を開弁させた後、所定時間経過した時点で電磁弁18を閉弁する。この所定時間は、例えば第2の洗浄水量を排出できるように設定される。所定時間経過後に、第1制御弁16が閉弁され、吐出部154から小タンク156への洗浄水の吐出も停止される。小タンク156内に貯留された洗浄水は、排出孔156bから徐々に排出される。小タンク156に貯留された洗浄水の水位低下と共に、第2のフロート158aは再び待機状態の位置まで降下する。これにより、第2のフロート装置158のL字ロッド部材158bは、フロート26aの下面に当接しない位置まで下降する。これに伴い、フロート26aも降下し、保持機構46は非保持状態に切り替えられる。保持機構46が非保持状態に切り替えられると、排水弁12は保持機構46から離脱して再び下降し始める。
これにより、図25に示すように、排水弁12が排水口10aに着座し、排水口10aが閉塞される。排水口10aが閉塞された後、フロートスイッチ42は依然としてオフ状態であるため、第2制御弁22の開弁状態が維持され、貯水タンク10への給水が継続され、貯水タンク10内の水位が再び上昇する。
図26に示すように、貯水タンク10内の水位が所定の満水水位WLまで上昇すると、フロートスイッチ42がオンになる。フロートスイッチ42がオンにされると、フロートスイッチ側のパイロット弁22cが閉弁される。これにより、パイロット弁22cが閉弁された状態となるので、圧力室22b内の圧力が上昇し、第2制御弁22の主弁体22aが閉弁され、給水が停止される。
図25に示すように第1制御弁16が閉弁され、排水弁水圧駆動部14への給水が停止された後、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内の洗浄水が徐々に隙間14dから流出すると共に、ピストン14bがスプリング14cの付勢力により押し下げられ、これと共にロッド32が低下する。これにより、クラッチ機構30が接続され、便器洗浄が開始される前の待機状態に復帰する。
以上、本発明の第2実施形態を説明したが、上述した第2実施形態に、種々の変更を加えることができる。例えば、上述した第2実施形態においては、小タンク156内に配置された第2のフロート装置158のL字ロッド部材158bにより、フロート26aを降下しないように支持していた。これにより、貯水タンク10内の水位に関わらずフロート装置26の保持機構46が保持状態に維持されていた。これに対し、変形例として、フロート装置26のフロート26aを小タンク156内に配置し、この小タンク156内のフロート26aの動きに連動して、小タンク156の外に配置された保持機構46が作動するように本発明を構成することもできる。
この変形例においては、フロート装置26のフロート26aが、小タンク156内の水位に応じて移動され、保持機構46の保持状態と、非保持状態が切り替えられる。排水弁12は、保持機構46が保持状態にあるとき、所定の高さに保持される。また、この変形例において、小タンク156の底面は、貯水タンク10の止水水位(満水水位WL)より下方に配置され、小タンク156の下部には小穴を設けておく。これにより、小タンク156内に洗浄水が供給されない場合には、小タンク156内の水位は、貯水タンク10内の水位と等しくなる。これに対し、小タンク156内に洗浄水が供給されると、貯水タンク10内の水位に関わらず、小タンク156内の水位が上昇する。これに伴い、小タンク156内のフロート26aが上昇し、保持機構46は保持状態に切り替えられる。
本変形例において、コントローラ40は、小洗浄モードが選択された場合には、小タンク156内に少量の洗浄水のみが供給され、これにより、小タンク156内の水位は貯水タンク10の水位とほぼ同一となる。このため、洗浄開始後、貯水タンク10内の水位が所定水位WL3まで低下したとき、小タンク156内のフロート26aと連動して保持機構46が非保持状態に切り替えられ、排水弁12が降下する。よって、排水弁12は、本来のフロート26aの下降タイミングである所定水位WL3まで低下したタイミングで下降され、小洗浄モードが達成される。
また、コントローラ40は、大洗浄モードが選択された場合には、第2の洗浄水量を排出できるような所定時間経過するまで第1制御弁16を開弁させ、小タンク156内に洗浄水を供給し続ける。これにより、小タンク156内の水位は貯水タンク10内の水位よりも高くなり、貯水タンク10内の水位が所定水位WL3以下に低下した後も保持機構46は保持状態に維持される。次いで、第2の洗浄水量を排出できるような所定時間経過した時点で第1制御弁16を閉弁し、小タンク156内の水位を低下させる。これに伴い、フロート26aも低下するため、保持機構46は非保持状態に切り替えられる。これにより、排水弁12は、本来のフロート26aの下降タイミングである所定水位WL3よりも低下した後まで保持され、大洗浄モードが実行できる。
1 水洗便器装置
2 水洗便器本体
4 洗浄水タンク装置
10 貯水タンク
10a 排水口
12 排水弁
14 排水弁水圧駆動部
14a シリンダ
14b ピストン
16 第1制御弁
22 第2制御弁
26a フロート
30 クラッチ機構
32 ロッド
54 吐出部
56 水溜め部
56a 上端
56b 排出孔
56c 側壁
104 洗浄水タンク装置
156 小タンク
156b 排出孔
A1 瞬間流量
A2 瞬間流量
WL 満水水位
WL1 所定水位
WL2 所定水位
WL3 所定水位

Claims (10)

  1. 水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、
    上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、
    上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、
    供給された水道水の給水圧を利用して、上記排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、
    上記排水弁と上記排水弁水圧駆動部を連結して上記排水弁水圧駆動部の駆動力により上記排水弁を引き上げると共に、所定のタイミングで切断され、上記排水弁を降下させるクラッチ機構と、
    上記水洗便器を洗浄するための第1の洗浄水量と、この第1の洗浄水量とは異なる第2の洗浄水量を選択可能な洗浄水量選択手段と、
    上記貯水タンク内の水位に応じて移動されるフロートと、このフロートの移動と連動して上記排水弁の保持状態と非保持状態を切り替え可能な保持機構と、を備えたフロート装置と、
    上記排水弁が降下して、上記排水口が閉塞されるタイミングを制御するためのタイミング制御機構と、を有し、
    上記フロート装置の上記保持機構は、上記貯水タンク内の水位が所定水位に低下するまで、上記排水弁を保持することにより、上記第1の洗浄水量の水を排出させるように構成され、
    上記タイミング制御機構は、上記洗浄水量選択手段によって上記第2の洗浄水量が選択された場合において、上記貯水タンク内の水位が上記所定水位に低下するよりも前に上記フロート装置の上記保持機構を非保持状態に切り替え、又は上記貯水タンク内の水位が上記所定水位に低下した後も上記保持機構を保持状態に維持し、その後、非保持状態に切り替えることにより、上記第2の洗浄水量を排出させることを特徴とする洗浄水タンク装置。
  2. 上記第2の洗浄水量は、上記第1の洗浄水量よりも少量であり、上記タイミング制御機構は、上記洗浄水量選択手段によって上記第2の洗浄水量が選択された場合において、上記貯水タンク内の水位が上記所定水位に低下するよりも前に、上記フロート装置の上記保持機構を非保持状態に切り替える請求項1に記載の洗浄水タンク装置。
  3. 上記タイミング制御機構は、上記クラッチ機構が切断された後、上記貯水タンク内の水位が上記所定水位に低下する前に、上記フロート装置の上記保持機構を非保持状態に切り替える請求項2に記載の洗浄水タンク装置。
  4. さらに、上記タイミング制御機構への洗浄水の供給・停止を制御する制御弁を備え、上記タイミング制御機構は、上記制御弁を通って供給された水道水を利用して、上記フロート装置の上記保持機構を非保持状態に切り替える請求項2または3に記載の洗浄水タンク装置。
  5. 上記制御弁は、上記排水弁水圧駆動部への洗浄水の供給・停止も制御するように構成されている請求項4に記載の洗浄水タンク装置。
  6. 上記タイミング制御機構は、上記排水弁水圧駆動部の下流側に設けられ、上記排水弁水圧駆動部を通った洗浄水が上記タイミング制御機構に供給される請求項5に記載の洗浄水タンク装置。
  7. 上記制御弁は、上記洗浄水量選択手段によって選択された洗浄水量に応じて開弁される期間が変更され、これにより、上記タイミング制御機構が上記フロート装置の上記保持機構を非保持状態に切り替えるタイミングが変更される請求項4乃至6の何れか一項に記載の洗浄水タンク装置。
  8. 上記制御弁は、上記洗浄水量選択手段によって上記第2の洗浄水量が選択された場合には、上記第1の洗浄水量が選択された場合よりも長い期間開弁され、これにより、上記タイミング制御機構は、早期に上記フロート装置の上記保持機構を非保持状態に切り替える請求項7に記載の洗浄水タンク装置。
  9. 上記制御弁は、上記クラッチ機構が切断された後、開弁され、これにより、上記タイミング制御機構に水道水が供給される請求項4乃至8の何れか一項に記載の洗浄水タンク装置。
  10. 洗浄水量の異なる複数の洗浄モードを備えた水洗便器装置であって、
    水洗便器と、
    この水洗便器への洗浄水の供給を行う、請求項1乃至9の何れか一項に記載の洗浄水タンク装置と、
    を有することを特徴とする水洗便器装置。
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