JP2021133639A - 複合成形品およびその製造方法 - Google Patents

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佳之 本田
貞紀 熊澤
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貞紀 熊澤
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【課題】溶着性、生産性および成形品外観に優れる複合成形品およびその製造方法を提供する。【解決手段】繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化基材1と、樹脂組成物からなる成形品2とが、少なくとも一部で接合した複合成形品であって、前記繊維強化基材と前記成形品の接合部の断面を観察する場合において、前記繊維強化基材と、前記樹脂組成物に由来する球晶を含む層との間に境界層が存在し、前記境界層中央部の断面積1μm2に占める球晶の存在割合が5%以下であることを特徴とする複合成形品。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化基材と樹脂組成物とを有する複合成形品およびその製造方法に関する。
近年、熱可塑性樹脂と機械特性に優れる部材とを複合化させる、いわゆる異種材接合技術が注目されている。複合化される部材としては、金属材をはじめとする無機材料や、繊維基材に樹脂を含侵させた繊維強化基材などが検討されている。この技術を適用することで、各部材間での機能分担が可能となり、軽量化や高機能化などのメリットが得られる。一方、複合成形品の品質的課題として材料間の溶着性があり、その溶着性を向上させる技術として、例えば特許文献1では、異種材表面に親水性膜を形成させ、該親水性膜と熱可塑性樹脂との間にトランスクリスタル層を形成させる方法が開示されている。
特許第6007137号公報
しかしながら、前記特許文献1の複合成形品は、トランスクリスタル形成に親水膜形成処理が必要であり、また、トランスクリスタル層の適正な厚みが記載されていないため、成形条件によって溶着性や生産性が低下してしまう。本発明は、これら従来技術の課題に鑑み、溶着性、生産性および成形品外観に優れる複合成形品およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
[1]繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化基材と、樹脂組成物からなる成形品とが、少なくとも一部で接合した複合成形品であって、前記繊維強化基材と前記成形品の接合部の断面を観察する場合において、前記繊維基材と、前記樹脂組成物に由来する球晶を含む層との間に境界層が存在し、前記境界層中央部の断面積1μmに占める球晶の存在割合が5%以下であることを特徴とする複合成形品。
[2]前記球晶を含まない前記境界層の厚みが2〜55μmであることを特徴とする[1]に記載の複合成形品。
[3]Fedorsの式から算出される前記熱可塑性樹脂と前記樹脂組成物との溶解度パラメータ(SP値)の差が2.1((cal/cm1/2)以内であることを特徴とする[1]または[2]に記載の複合成形品。
[4]前記熱可塑性樹脂および前記樹脂組成物の主成分がポリアミド樹脂であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の複合成形品。
[5前記樹脂組成物に充填材を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の複合成形品。
[6]前記境界層にトランスクリスタルが含まれていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の複合成形品。
[7]前記繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化基材を金型に配置した後、樹脂組成物を射出成形する製造方法であって、繊維強化基材上に射出された樹脂組成物の温度が前記熱可塑性樹脂の融点以上となる溶融時間が0.12〜0.90secであることを特徴とする複合成形品の製造方法。
本発明により、溶着性、生産性および成形品外観に優れる複合成形品を提供することができる。
溶着強度評価の試験片形状を示す図である。 複合成形品を強化繊維の配向方向と直交する方向に切削した断面を示す図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態の複合成形品は、繊維強化基材と、樹脂組成物からなる成形品とを有する。
繊維強化基材は、繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させてなるものである。繊維基材の形態としては、連続した強化繊維が配列したシート状物、不連続な強化繊維が分散したマット状物などが挙げられる。連続した強化繊維とは、繊維強化基材中で強化繊維が途切れのないものをいう。シート状物の形態および配列としては、例えば、一方向に引き揃えられたもの、織物(クロス)、編み物、組み紐、トウ等が挙げられる。また、マット状物は、不連続な強化繊維を溶液中に分散させた後、シート状に製造する湿式法や、カーディング装置やエアレイド装置を用いた乾式法などの任意の方法により得ることができる。これらの中でも、特定方向の剛性を効率よく高められる点から、連続した強化繊維を一方向に配列したシート状物が好ましい。
繊維基材に用いられる強化繊維の種類としては特に限定されず、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、無機繊維が例示される。これらを2種以上用いてもよい。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石油タールや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、ビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とするセルロース系炭素繊維、炭化水素などを原料とする気相成長系炭素繊維、これらの黒鉛化繊維などが挙げられる。これら炭素繊維のうち、強度と弾性率のバランスに優れる点で、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。
金属繊維としては、例えば、鉄、金、銀、銅、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属からなる繊維が挙げられる。
有機繊維としては、例えば、アラミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂などの有機材料からなる繊維が挙げられる。アラミド繊維としては、例えば、強度や弾性率に優れるパラ系アラミド繊維と、難燃性、長期耐熱性に優れるメタ系アラミド繊維が挙げられる。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維などが挙げられ、メタ系アラミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維などが挙げられる。アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維に比べて弾性率の高いパラ系アラミド繊維が好ましく用いられる。
無機繊維としては、例えば、ガラス、バサルト、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機材料からなる繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス繊維(電気用)、Cガラス繊維(耐食用)、Sガラス繊維、Tガラス繊維(高強度、高弾性率)などが挙げられる。バサルト繊維は、鉱物である玄武岩を繊維化した物で、耐熱性の非常に高い繊維である。玄武岩は、一般的に、鉄の化合物であるFeOまたはFeOを9〜25重量%、チタンの化合物であるTiOまたはTiOを1〜6重量%含有するが、溶融状態でこれらの成分を増量して繊維化することも可能である。
本発明の実施形態の繊維強化基材は、補強材としての役目を期待されることが多いため、高い機械特性を発現することが望ましく、高い機械特性を発現するためには、強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
繊維強化基材において、繊維基材に用いられる強化繊維は、通常、多数本の単繊維を束ねた強化繊維束を1本または複数本並べて構成される。好ましくは平均直径5〜10μmである単繊維を1,000〜50,000本束ねて構成される強化繊維束を、1本または複数本並べたときの強化繊維の総フィラメント数(単繊維の本数)は、1,000〜2,000,000本が好ましい。生産性と分散性や取り扱い性とのバランスを考慮して、強化繊維の総フィラメント数は、1,000〜1,000,000本がより好ましく、1,000〜600,000本がさらに好ましく、1,000〜300,000本が特に好ましい。
本発明に係る繊維強化基材において、シート状物またはマット状物の繊維基材に含浸させる熱可塑性樹脂は、後述する要件を満たすことで、主成分が異なる樹脂組成物からなる成形品と良好に溶着させることができるものである。
熱可塑性樹脂の種類は、強化繊維基材を構成できるものであれば特に限定されないが、機械特性、軽量性に優れることから、ポリアミド系樹脂、ポリアリーレンサルファイド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げることができる。中でもナイロン6が特に好ましい。
ポリアリーレンサルファイド系樹脂の代表例としては、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略す場合もある)、ポリフェニレンサルファイドスルホン、ポリフェニレンサルファイドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリフェニレンサルファイドが特に好ましく使用される。
また、ポリオレフィン系樹脂の代表例としては、ポリプロピレン系樹脂が挙げられ、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、またはプロピレンとエチレンもしくは炭素数が4〜20のα−オレフィンとの共重合体である。また、ポリオレフィン系樹脂として、炭素数が4〜20のα−オレフィン系樹脂が挙げられ、炭素数が4〜20のα−オレフィンとしては、1 −ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらの中ではエチレンまたは炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、またブロック共重合体を形成してもよい。
発明の実施形態における成形品は、樹脂組成物からなるものである。
樹脂組成物は少なくとも熱可塑性樹脂を含有する。機械特性や成形性に合わせ、種々の熱可塑性樹脂を選択することができる。
本発明において、前記熱可塑性樹脂および前記樹脂組成物の溶解度パラメータ(SP値)δの差は、成形品との溶着性向上の観点から、2.1((cal/cm1/2)以内であることが好ましい態様である。好ましくは1.6以内であり、より好ましくは0.9以内であり、更に好ましくは0.5以内であり、最も好ましくは前記熱可塑性樹脂と前記樹脂組成物が同種である。溶解度パラメータの差が大きすぎると、樹脂同士が混ざりにくくなり、境界層形成が困難となるため、溶着性が低下してしまう。
ここで、Fedors法で求められるSP値の具体的な計算方法は、Polym.Eng.Sci.,14,147(1974)に記載があるように、下記式(1)から、溶解度パラメータδが算出される。
式(1):δ=(ΣΔe1/2/(ΣΔv1/2
ここで、Δe、Δvは各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)、及びモル体積(cm/mol)である。
また、共重合体のSP値は以下の式(2)により算出される。
式(2):δco=1/(W1/δ1+W2/δ2+・・・+Wn/δn)
ここで、δcoは共重合体のSP値、δ1、δ2・・・δnは共重合体を構成する各モノマーのFedors法により算出されるSP値、W1、W2・・・Wnは共重合体を構成する各モノマーの重量分率である。
成形サイクル、特に冷却時間の短縮には、成形品の高温時剛性向上および金型への接触面積低減が重要である。従って、生産性向上の観点から樹脂組成物には充填材を含むことが好ましい。充填材としては有機充填材、無機充填材のいずれを用いてもよく、繊維状充填材、非繊維状充填材のいずれを用いてもよい。
繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系またはピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化珪素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカー、窒化珪素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材が挙げられる。繊維状充填材としては、ガラス繊維が特に好ましい。
ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものであれば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により被膜あるいは集束されていてもよい。さらに、ガラス繊維の断面は、円形、扁平状のひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型、矩形またはこれらの類似品など限定されるものではない。成形品の特有の反りを低減する観点から、ガラス繊維の断面は長径/短径の比が1.5以上の扁平状の繊維が好ましく、2以上のものがさらに好ましく、10以下のものが好ましく、6以下のものがさらに好ましい。長径/短径の比が1.5未満では断面を扁平状にした効果が少ない。
非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母の膨潤性雲母に代表される膨潤性層状珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素、燐酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。上記の膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていてもよく、有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。また、これら充填材を2種以上含有してもよい。
なお、非繊維状の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)などにより処理されていてもよく、この場合、成形品の機械特性や表面外観をより向上させることができる。例えば、常法に従って予め充填材をカップリング剤により表面処理し、ついでポリアミド樹脂と溶融混練する方法が好ましく用いられるが、予め充填材の表面処理を行わずに、充填材とポリアミド樹脂を溶融混練する際に、カップリング剤を添加するインテグラブルブレンド法を用いてもよい。カップリング剤の処理量は、充填材100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。一方、カップリング剤の処理量は、充填材100重量部に対して10重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましい。
本発明の実施形態における樹脂組成物において、充填材の含有量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して10〜250重量部が好ましい。充填材の含有量が10重量部以上であれば、成形品の生産性をより向上させることができる。充填材の含有量は、20重量部以上がより好ましく、30重量部以上がさらに好ましい。一方、充填材の含有量が250重量部以下であれば、溶着性を保持しつつ、成形品の生産性が向上する。充填材の含有量は、150重量部以下がより好ましく、100重量部以下がさらに好ましい。
本発明の実施形態における樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、主成分以外の樹脂や目的に応じて各種添加剤を含有することが可能である。この際、上記充填材量の好ましい範囲は主成分以外の樹脂や各種添加剤を含めた組成物に対する割合とする。
主成分以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これら樹脂を配合する場合、その含有量は、主成分の特徴を十分に活かすため、主成分100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
また、各種添加剤の具体例としては、銅化合物以外の熱安定剤、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物などの可塑剤、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を含有する場合、その含有量は、ポリアミド樹脂の特徴を十分に活かすため、主成分100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
銅化合物以外の熱安定剤としては、フェノール系化合物、硫黄系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。銅化合物以外の熱安定剤としては、これらを2種以上用いてもよい。
フェノール系化合物としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられ、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが好ましく用いられる。
硫黄系化合物としては、有機チオ酸系化合物、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、チオウレア系化合物等が挙げられる。これら硫黄系化合物の中でも、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物および有機チオ酸系化合物が好ましい。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系化合物は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、熱安定剤として好適に使用することができる。チオエーテル系化合物としては、具体的には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)がより好ましい。硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
アミン系化合物としては、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、フェニルナフチルアミン骨格を有する化合物およびジナフチルアミン骨格を有する化合物が好ましく、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、フェニルナフチルアミン骨格を有する化合物がさらに好ましい。これらアミン系化合物の中でも4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンおよびN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましく、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンが特に好ましい。
硫黄系化合物またはアミン系化合物の組み合わせとしては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)と4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンの組み合わせがより好ましい。
本発明の実施形態における樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はないが、溶融状態での製造や溶液状態での製造等が使用でき、反応性向上の点から、溶融状態での製造が好ましく使用できる。溶融状態での製造については、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等が使用できるが、生産性の点から、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好ましい。押出機による溶融混練については、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上使用できるが、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく、二軸押出機を用いた溶融混練による方法が最も好ましい。
熱可塑性樹脂を含浸した繊維強化基材において、連続した繊維基材への熱可塑性樹脂の含浸方法としては、例えば、フィルム状の熱可塑性樹脂を溶融し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させるフィルム法、繊維状の熱可塑性樹脂と強化繊維束とを混紡した後、繊維状の熱可塑性樹脂を溶融し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させるコミングル法、粉末状の熱可塑性樹脂を強化繊維束における繊維の隙間に分散させた後、粉末状の熱可塑性樹脂を溶融し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる粉末法、溶融した熱可塑性樹脂中に強化繊維束を浸し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる引き抜き法が挙げられる。様々な厚み、繊維体積含有率など多品種の繊維強化基材を作製できることから、引き抜き法が好ましい。
本発明の実施形態における繊維強化基材の厚さは、0.1〜1.5mmが好ましい。厚さが0.1mm以上であれば、繊維強化基材の強度を向上させることができる。0.2mm以上がより好ましい。一方、厚さが1.5mm以下であれば、強化繊維に熱可塑性樹脂をより含浸させやすい。1mm以下がより好ましく、0.7mm以下がさらに好ましく、0.6mm以下がさらに好ましい。
また、本発明の実施形態の繊維強化基材は、繊維強化基材全体100体積%中、強化繊維を10体積%以上70体積%以下含有することが好ましい。強化繊維を10体積%以上含有することにより、繊維強化基材を用いて得られる成形品の強度を向上させることができる。20体積%以上がより好ましく、30体積%以上がさらに好ましい。一方、強化繊維を70体積%以下含有することにより、強化繊維に樹脂組成物をより含浸させやすい。65体積%以下がより好ましく、60体積%以下がさらに好ましい。
また、繊維強化基材は、その用法や目的に応じて、所望の含浸性を選択することができる。例えば、より含浸性を高めたプリプレグや、半含浸のセミプレグ、含浸性の低いファブリックなどが挙げられる。一般的に、含浸性の高い繊維強化基材ほど、機械特性に優れるため好ましい。
本発明を構成する成形品は、前述の樹脂組成物を、熱可塑性樹脂に用いられる任意の成形方法により成形することにより得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられる。生産性や複雑形状の成形品を容易に成形できる観点から、射出成形が好ましい。また、成形品の形状としては、例えば、シート、フィルム、繊維などが挙げられ、特に限定されない。
本発明に係る複合成形品は、繊維強化基材および成形品を有し、繊維強化基材および成形品を接合一体化することにより得ることができる。繊維強化基材および成形品を接合一体化する方法としては、例えば、レーザー溶着、振動溶着、超音波溶着、射出溶着などの種々の溶着工法や、接着剤による接着などが挙げられる。その中でも、射出溶着が特に好ましい。射出溶着は、予め金型内に配置した繊維強化基材中の熱可塑性樹脂を、射出成形した樹脂組成物の熱により溶融させた後、再固化する過程で繊維強化基材および成形品を接合する方法であり、複合成形品の生産性を向上させることができる。
繊維強化基材と成形品との接合部断面を観察する方法としては、種々の方法を取ることができ、切片化ののち、偏光顕微鏡、位相差顕微鏡、透過型電子顕微鏡などを用いることで高分子の結晶構造を観察することができる。また、適切なプラズマ照射強度により接合断面をエッチングすることで、切片化を要せず結晶構造を観察することも可能である。
上記観察方法で接合部を観察すると、繊維強化基材と成形品との間に、繊維強化基材中の熱可塑性樹脂由来の球晶や成形品由来の球晶と異なる結晶形を有する層が認められることが重要である。この層を境界層とする。境界層は繊維強化基材と成形品との接着剤としての役割を果たしており、不純物となる球晶が存在しない方がより強固に働く。従って、境界層中央部の1μmに占める球晶の存在割合が5%以下であることが溶着性の観点で重要である。3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましく、0%が最も好ましい。
境界層の厚みは2〜55μmが好ましい。小さすぎると、繊維強化基材と成形品との間の応力差を緩和できず溶着性が低くなる。また、大きすぎると、境界層自体が凝集破壊してしまい、溶着性が低くなる。3〜40μmがより好ましく、4〜35μmが更に好ましい。
溶着性向上には、境界層中にトランスクリスタルを含むことが好ましい。トランスクリスタルが存在することにより境界層が補強され、繊維強化基材と成形品との結びつきがより強固になる。
射出溶着の際には、溶融時間が0.12〜0.90secとなる条件が重要である。溶融時間が短すぎると、境界層中の球晶の存在割合が高くなり、かつ境界層厚みが薄くなるため溶着強度が十分ではなく、長すぎると繊維基材のよれに伴う外観不良や成形サイクルの長大化につながる。0.15〜0.60secがより好ましく、0.20〜0.50secが更に好ましく、0.30〜0.45secが最も好ましい。
本発明の実施形態の複合成形品は、その優れた特性を活かし、航空機部品、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。本発明の実施形態の複合成形品は、とりわけ、溶着性、剛性、寸法安定性が要求される、航空機用部品、自動車ボディー部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、自動車内装部品、自動車外装部品や、自動車電装部品、電気・電子部品用途に特に好ましく用いられる。具体的には、本発明の実施形態の複合成形品は、ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機関連部品、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジなどの自動車ボディー部品、クーリングファン、ラジエータータンクのトップおよびベース、シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、廃ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの自動車外装部品、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、電気・電子部品としては、例えば、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、抵抗器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、スイッチ、ナイフスイッチ、他極ロッド、モーターケース、テレビハウジング、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、ICやLED対応ハウジング、コンデンサー座板、ヒューズホルダー、各種ギヤー、各種ケース、キャビネットなどの電気部品、コネクター、SMT対応のコネクタ、カードコネクタ、ジャック、コイル、コイルボビン、センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレー、リレーケース、リフレクター、小型スイッチ、電源部品、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップシャーシ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、SiパワーモジュールやSiCパワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などの電子部品などに好ましく用いられる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、下記実施例は本発明を何ら制約するものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することは、本発明の技術範囲である。本発明特性評価は下記の方法に従って行った。
[溶解度パラメータ(SP値)δの差]
熱可塑性樹脂および樹脂組成物について、式(1)および式(2)を用い、SP値δおよびδcoを算出し、両者の差の絶対値を算出した。
[溶融時間]
図1に示したような形状の試験片を作製できる金型に適切な大きさに切削した繊維強化基材を配置し、その上にK型熱電対(理化工業(株)製ST−50B)を配置した。表に示す樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機((株)日本製鋼所製J110AD−110H)を用いて、表に示すシリンダー温度、金型温度の条件で射出成形し、溶融した樹脂組成物の温度プロファイルを測定した。このプロファイルから、樹脂組成物の温度が熱可塑性樹脂の融点よりも高い領域の時間を溶融時間として評価した。樹脂組成物の温度が低く、溶融時間が非常に短い場合は冷却曲線を指数近似し、補外法により溶融時間を算出した。
[境界層中の球晶存在割合]
表に示す樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機((株)日本製鋼所製J110AD−110H)を用いて、表に示すシリンダー温度、金型温度の条件で、図1に示したような形状の試験片を作製できる金型に、適切な大きさに切削した表に示す繊維強化基材を配置し、射出溶着により、繊維強化基材の両端と成形品が接合された複合成形品を得た。繊維強化基材と成形品との接合部を、繊維強化基材中における強化繊維の配向方向と直交する断面方向に切片化し、透過型電子顕微鏡により観察を行った。樹脂組成物中のベース樹脂および成形品中の熱可塑性樹脂に由来する球晶が認められたが、その間に球晶が存在しない、あるいはその存在割合が非常に小さい境界層が認められた。この境界層中央部の1μmに占める球晶の存在割合を評価した。
[境界層厚み]
上記[境界層中の球晶存在割合]で得られた複合成形品の繊維強化基材と成形品との接合部を、繊維強化基材中の強化繊維と直交するように切削し、断面を出した。その表面に適切な強度でプラズマを照射し、走査型電子顕微鏡で観察すると、樹脂組成物中のベース樹脂および成形品中の熱可塑性樹脂に由来する球晶が認められるが、その間に球晶が存在しない、あるいは存在割合が非常に小さい境界層が認められた。この厚みを5点平均化したものを境界層厚みとして評価した。
[溶着強度]
表に示す樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機((株)日本製鋼所製J110AD−110H)を用いて、表に示すシリンダー温度、金型温度の条件で、図1に示したような形状の試験片を作製できる金型に適切な大きさに切削した表に示す繊維強化基材を配置し、射出溶着により、繊維強化基材の両端と成形品が接合された複合成形品を得た。この複合成形品は、全体としてISO Type−A規格の形状であった。溶着性を評価する片側の溶着面の面積を40mmとし、引張速度を1mm/分にすること以外はISO527−1、−2に従い、引張試験を行った。3回測定を行い、破断までの最大荷重の平均値を溶着力として評価した。なお、溶着力が低く、成形時や評価前に剥離したものについては0を記載した。
[成形品外観]
表に示す樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機((株)日本製鋼所製J110AD−110H)を用いて、表に示すシリンダー温度、金型温度の条件で、150mm長×50mm幅×3mm厚の平板金型の両面に適切な大きさに切削した表に示す繊維強化基材を配置し、射出溶着により、成形品の両側に繊維強化基材を有するサンドイッチ構造の複合成形品を得た。前記繊維強化基材は、強化繊維の配向方向が複合成形品の長手方向と略並行となるように配置した。この複合成形品について、固定側表面の強化繊維の乱れを外観性として次の基準により評価した。
〇:乱れが発生しなかった。
△:面全体に対して繊維が乱れた面積の占める割合が0%より大きく、20%未満。
×:面全体に対して繊維が乱れた面積の占める割合が20%以上。
[成形サイクル]
表に示す樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機((株)日本製鋼所製J110AD−110H)を用いて、表に示すシリンダー温度、金型温度の条件で、150mm長×50mm幅×3mm厚の平板金型の両面に適切な大きさに切削した表に示す繊維強化基材を固定側のみに配置し、射出溶着により、成形品の片側に繊維強化基材を有する複合成形品を得た。成形時の充填時間、保圧時間、冷却時間、取出し時間を合わせた時間を成形サイクル時間と定義し、次の基準により生産性を評価した。
〇:成形サイクル時間が25秒以上35秒未満
△:成形サイクル時間が35秒以上45秒未満
×:成形サイクル時間が45秒以上
(実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例4)
繊維強化基材は以下の方法で製造した。強化繊維束が巻かれたボビンを16本準備し、それぞれボビンから連続的に糸道ガイドを通じて強化繊維束を送り出した。連続的に送り出された強化繊維束に、含浸ダイ内において、熱可塑性樹脂を充填したフィーダーから定量供給された熱可塑性樹脂を含浸させた。強化繊維には、炭素繊維束(東レ(株)製“トレカ”(登録商標)T700S−12K)を用い、熱可塑性樹脂には表1、表2に記載のものを用いた。含浸ダイ内で熱可塑性樹脂を含浸した強化繊維を、引取ロールを用いて含浸ダイのノズルから連続的に引き抜いた。引き抜かれた強化繊維は、冷却ロールを通過して熱可塑性樹脂が冷却固化され、繊維強化基材として巻取機に巻き取られた。得られた繊維強化基材の厚さは0.3mmであり、強化繊維の配向方向は一方向に配列していた。また、繊維強化基材中の強化繊維の含有量は50体積%であった。
次に、樹脂組成物を以下の方法で製造した。表1、表2に記載のベース樹脂(主成分)を、Werner−Pfleidere社製2軸押出機ZSK57の第1の供給口から供給し、第2の供給口から充填材としてナイロン用ガラス繊維を表1、表2に記載の含有量となるように供給し、バレル温度を融点+25℃、吐出量60kg/hr、スクリュー回転数200rpmで溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。
上記、繊維強化基材および樹脂組成物を用いて、表1、表2に記載の成形条件にて複合成形品を作製し、各種特性を評価した。
(実施例11)
ガラス繊維にポリプロピレン用ガラス繊維を用いること、シリンダー温度210℃、金型温度80℃で成形すること以外は、実施例1と同様の方法で複合成形品を作製し、各種特性を評価した。
(比較例5)
ガラス繊維にポリフェニレンサルファイド用ガラス繊維を用いること、シリンダー温度310℃、金型温度80℃で成形すること以外は、実施例1と同様の方法で複合成形品を作製し、各種特性を評価した。
(比較例6)
樹脂組成物にガラス繊維を用いないこと以外は実施例2と同様の方法で複合成形品を作製し、各種特性を評価した。
(強化繊維)
炭素繊維:東レ(株)製“トレカ”(登録商標)T700S−12K
(充填材)
ポリアミド用ガラス繊維:日本電気硝子(株)製T−275、円形断面、断面直径13μm、表面処理シラン系カップリング剤、繊維長3mm
ポリプロピレン用ガラス繊維:日本電気硝子(株)T−480、円形断面、断面直径13μm、表面処理シラン系カップリング剤、繊維長3mm
ポリフェニレンサルファイド用ガラス繊維:日本電気硝子(株)T−717、円形断面、断面直径13μm、表面処理シラン系カップリング剤、繊維長3mm
(ベース樹脂)
PA6:東レ(株)製ポリアミド樹脂CM1001、ηr=2.35
PA66:東レ(株)製ポリアミド樹脂E3000F、ηr=2.48
PA610:東レ(株)製ポリアミド樹脂CM2001、ηr=2.70
PA12:EMS製Grilamid L 20、中粘度グレード
PBT:東レ製(株)製ポリブチレンテレフタレート樹脂1100S、MFR34(温度250℃、荷重1kg)
PPS:東レ(株)製ポリフェニレンサルファイドL2120
各実施例および比較例の評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2021133639
Figure 2021133639
1 繊維強化基材
2 成形品
3 溶着面
4 境界層
5 繊維基材

Claims (7)

  1. 繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化基材と、樹脂組成物からなる成形品とが、少なくとも一部で接合した複合成形品であって、前記繊維強化基材と前記成形品の接合部の断面を観察する場合において、前記繊維強化基材と、前記樹脂組成物に由来する球晶を含む層との間に境界層が存在し、前記境界層中央部の断面積1μmに占める球晶の存在割合が5%以下であることを特徴とする複合成形品。
  2. 前記境界層の厚みが、2〜55μmであることを特徴とする請求項1に記載の複合成形品。
  3. Fedorsの式から算出される前記熱可塑性樹脂と前記樹脂組成物との溶解度パラメータ(SP値)の差が2.1((cal/cm1/2)以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合成形品。
  4. 前記熱可塑性樹脂および前記樹脂組成物の主成分がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合成形品。
  5. 前記樹脂組成物に充填材を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合成形品。
  6. 前記境界層にトランスクリスタルが含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合成形品。
  7. 繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化基材を金型に配置した後、樹脂組成物を射出成形する複合成形品の製造方法であって、繊維強化基材上に射出された樹脂組成物の温度が前記熱可塑性樹脂の融点以上となる溶融時間が0.12〜0.90secであることを特徴とする複合成形品の製造方法。
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