JP2021133336A - 塗装物の製造方法および塗装板材 - Google Patents

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Abstract

【課題】二度塗り等の煩雑な工程を要することなく、一つの基材に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることが可能な、塗装物の製造方法を提供すること。【解決手段】(1)分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する膜形成工程と、(2)未硬化膜に、光源から光を照射して塗膜とする光照射工程と、を含む、塗装物の製造方法。この製造方法において、光照射工程は、未硬化膜に非一様に光を照射する第一光照射工程を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、塗装物の製造方法および塗装板材に関する。
最近、艶消し剤を含む樹脂組成物(塗料)を用いて、基材表面に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることにより、意匠性の高い塗装物(建材や化粧板など)を製造することが検討されている。
このような塗装物は、市場において、均一な光沢で塗装された塗装物と比較し高級感があると認識される傾向がある。すなわち、基材表面に高光沢部分と低光沢部分の両方が設けられた塗装物は、高い商品価値を有する傾向がある。
基材表面に高光沢部分と低光沢部分の両方が設けられた塗装物の一例として、特許文献1に記載の化粧材を挙げることができる。
特許文献1には、耐熱性基板に、少なくとも表面コート層と、部分的に設けられた表面印刷層とがこの順に積層された化粧材が記載されている。この化粧材において、表面コート層は、フッ素樹脂及び艶消し剤を含む樹脂組成物によって、厚みが5μm以上となるように形成されている。そして、表面コート層の表面のグロス値(入射光角60°)は10以下であり、かつ、表面印刷層の表面のグロス値(入射光角60°)は、表面コート層の表面のグロス値(入射光角60°)よりも10以上高い。
国際公開第2016/159036号
特許文献1においては、表面コート層と、表面印刷層の「二度塗り」により、高光沢部分と低光沢部分の両方が設けられた化粧材が製造されている。
しかし、「二度塗り」には、当然、二種の塗料(樹脂組成物)を準備する必要がある。また、二度塗りは作業の煩雑化につながる。つまり、二度塗りにより高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることは、製造のコストアップにつながる。
二度塗りとは別の、高光沢部分と低光沢部分の両方が設けられた塗装物を得る方法として、スプレーガンを用いて、艶消し剤を含む塗料を、基材に不均一に塗装することが考えらえる。しかし、スプレーガンを用いる場合、塗料の飛散防止のため専用ブースを設ける必要がある。また、スプレーガンを用いた塗装では、塗装条件を一定にすることが難しく、同一製品を大量に作ることが難しいという問題がある。つまり、スプレーガンを用いて高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることも、コスト面で問題がある。
一方、低コストの塗装方法としては、ロールコーターやフローコーターを用いた塗装が知られている。しかし、通常のロールコーターやフローコーターによる塗装では、一つの基材に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることは原理的に難しい。なぜならば、ロールコーターやフローコーターを用いた場合、基材の表面は基本的に均一に塗装されるためである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、二度塗り等の煩雑な工程を要することなく、一つの基材に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることが可能な、塗装物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
高光沢部分と低光沢部分とを有する塗膜を備える塗装物の製造方法であって、
分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する膜形成工程と、
前記未硬化膜に、光源から光を照射して塗膜とする光照射工程と、
を含み、
前記光照射工程は、前記未硬化膜に非一様に光を照射する第一光照射工程を含む、塗装物の製造方法
が提供される。
また、本発明によれば、
板材の表面の少なくとも一部に、重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を用いて形成された塗膜が設けられている塗装板材であって、
前記塗膜は高光沢部分と低光沢部分とを有し、前記高光沢部分の60°光沢の値と、前記低光沢部分の60°光沢の値の差は、5以上であり、
前記塗膜における前記高光沢部分の膜厚と、前記塗膜における前記低光沢部分の膜厚の差の絶対値が4μm以下である、塗装基材
が提供される。
本発明によれば、二度塗り等の煩雑な工程を要することなく、一つの基材に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることが可能な、塗装物の製造方法が提供される。
膜形成工程を説明するための模式図である。 第一実施形態の第一光照射工程において、未硬化膜に非一様に光を照射する方法を模式的に示す図である。 第一実施形態の第二光照射工程を模式的に示す図である。 第二実施形態の第一光照射工程を模式的に示す図である。 実施例における「第一遮蔽板」を説明するための図である。 実施例における「第二遮蔽板」を説明するための図である。 いくつかの実施例において、得られた塗装物(木質建材)の表面の、60°光沢値の変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X〜Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<塗装物の製造方法>
本実施形態の塗装物の製造方法は、
分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する膜形成工程と、
その未硬化膜に、光源から光を照射して塗膜とする光照射工程と、
を含む。
光照射工程は、未硬化膜に非一様に光を照射する第一光照射工程を含む。
本実施形態の塗装物の製造方法により、高光沢部分と低光沢部分とを有する塗膜を備える塗装物を製造することができる。このメカニズムについては以下のように説明することができる。念のため述べておくと、以下説明により本発明の範囲は限定されない。
本実施形態において用いられる塗料組成物は、分子量500以下という比較的低分子量で揮発しやすい重合性モノマーを含む。このような重合性モノマーを含む塗料組成物により未硬化膜を形成し、その未硬化膜に光を照射して硬化させた場合、光源からの熱および/または硬化反応による発熱により、重合性モノマーの一部が「揮発」する。そして、揮発した重合性モノマーの分だけ、艶消し剤が膜表面に露出しやすくなる。
よって、未硬化膜に「非一様」に光を照射する第一光照射工程により、露光量が多かった部分と少なかった部分とでは、膜表面における艶消し剤の露出の程度が異なることとなる。その結果、二度塗り等を行わずとも、一つの基材に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることができる。
ちなみに、例えば後掲の実施例においては、重合性モノマーの分子量が小さいほど光沢差が大きくなっている。このことから、モノマーの一部が「揮発」することにより光沢差が発現すると考えることは合理的である(分子量が小さい化合物ほど揮発しやすい傾向があるため)。
また、上記「重合性モノマーの揮発」による光沢差発現のメカニズムとは別に(または、そのメカニズムとともに)、以下のような光沢差発現メカニズムも考えられる。
未硬化膜に非一様に光が照射された場合、強い光が照射された場所は素早く硬化し、弱い光が照射された場所はゆっくりと硬化する。そのため、膜中で、艶消し剤の「沈降の程度」に差が生じて、塗膜表面に露出する艶消し剤の量に差が生じる。これにより光沢差が発現するとも考えられる。
念のため述べておくと、「高光沢領域」および「低光沢領域」のそれぞれは、通常、ある程度の「大きさ」「広がり」を持った領域である。各領域は、例えば、実施例で60°光沢の測定に用いた装置であるmicro−tri−gross(BYK社製)(測定スポットのサイズ:9mm×15mm)で測定したときに、高光沢/低光沢であることが測定できる程度の大きさを有する。別の言い方として、最終的な塗装物上の塗膜の重複しない2領域(9mm×15mmの大きさ)を測定して、60°光沢値に有意な差があれば、その塗膜は高光沢領域と低光沢領域を備えるといえる。
本実施形態の塗装物の製造方法により得られる、高光沢部分と低光沢部分とを有する塗膜を備える塗装物において、高光沢部分の60°光沢の値と、低光沢部分の60°光沢の値の差は、例えば5以上、好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜35%である。適度な大きさの光沢差があることで、塗装物の商品価値が一層高まる。
60°光沢の値は、例えば、micro−tri−gross(BYK社製)を用いて測定することができる。光沢の測定についてはJIS Z 8741も参照されたい。
以下、本実施形態の塗装物の製造方法のより具体的な形態を、第一実施形態及び第二実施形態として示す。
<第一実施形態>
第一実施形態の塗装物の製造方法は、
分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する膜形成工程と、
未硬化膜に、光源から光を照射して塗膜とする光照射工程と、
を含み、
光照射工程は、第一光照射工程と、第二光照射工程とを含む。
第一実施形態において、第一光照射工程は、未硬化膜に非一様に光を照射する工程である。第一光照射工程の直後において、未硬化膜の少なくとも一部は完全硬化していない部分硬化膜の状態にある。また、第二光照射工程は、部分硬化膜に光を照射してその全てを完全硬化させる工程である。
以下、上記の各工程について説明する。
(膜形成工程)
膜形成工程では、分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する。
塗料組成物の含有成分などの詳細については後述する。
基材の形状や材質は、塗料組成物を塗布することができるものである限り、特に限定されない。
工業的な生産性や、建材・化粧材などへの応用の観点から、基材は、好ましくは板材である。また、後述するロールコート、フローコート等の適用を考えた場合にも、基材は、板状であり、対向する一対のロールの間を通過させることができるものであることが好ましい。つまり、基材は、好ましくは典型的には正方形状または長方形状の板材である。
基材が板材である場合、板材自体の厚み(全体の厚み)は特に限定されない。例えば板材が木材を含む場合、板材の厚みは、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上である。板材自体の厚みは、工業的な生産性や応用用途の観点から、例えば20mm以下、より好ましくは12mm以下である。
基材の材質は任意のものであってよいが、基材は、好ましくは木材を含む。より好ましくは、基材は、木製の板材である。
基材が材質として木材を含む場合、基材は、例えば化粧合板である。化粧合板とは、通常、基材である合板の表面(少なくとも片面)に、表層材が貼りつけられた板状の材料である。表層材は、化粧板とも呼ばれる。木材製の表層材は、製造方法により突き板、挽き板などとも呼ばれる。また、表層材(化粧板)は、後述する紙や合成樹脂シートなどの場合もありうる。
別の例として、板材は、化粧合板ではない天然木材(無垢材)などでもよい。
基材が合板である場合、表層材の下の層(基材層)は、スライスされた木材であってもよいし、木粉と接着剤とを混合して成形した素材(中質繊維板とも呼ばれる)であってもよい。なお、中質繊維板を用いて製造された合板は一般にMDF合板と呼ばれる。これらは、建材、例えばフローリング材などによく用いられる。
表層材の木材としては、例えば、ウォールナット、チェリー、オーク、バーチ、ビーチ、メープル、アッシュ、チーク、シカモア、ファルカタ、松、杉、ヒノキ、ユーカリ、オニグルミなどを挙げることができる。
表層材の厚みは、通常0.1〜12mm、好ましくは0.2〜5mmである。
特に、表層材の厚みが比較的薄い化粧合板、具体的には表層材の厚みが0.15〜0.4mmの化粧合板は、通常は高級感に乏しい汎用品・普及品と位置づけられている。表層材の厚みが薄い結果、化粧合板の表面から深部までの木材自体の杢目の違い(導管、ヤニ、ツボ、入り皮等による色差)が少なく、色目の濃淡が乏しいためである。しかし、本実施形態の塗装物の製造方法によれば、表層材の厚みが薄くても、塗装により高級感のある光沢の濃淡をつけることができる。つまり、商品価値の高い化粧合板を製造することができる。
別の例として、基材は紙を含んでもよい。具体的には、基材が板材である場合、その板材の表面(表層材)は、紙であってもよい。
より具体的には、基材(板材)の表面は、いわゆるプリント紙(プリントシート、化粧板用紙、化粧シート用原紙などともいう)として知られているものや、オレフィン印刷シートなどであってもよい。プリント紙とは、例えば、木目などの印刷が施された紙のことであり、天然木やMDF合板に貼りつけて用いられることがある。
プリント紙には様々な種類があり、実質的に紙パルプのみからなるもの、原紙に樹脂が添加されたもの、抄造時または抄造後に樹脂を含浸させたもの、不透明度を高めるために酸化チタンや焼成クレー等が添加されたもの等、様々である。本実施形態においてはいずれも用いることができる。プリント紙の具体例としては、特開2003−027392号公報に記載のもの、特開2006−183218号公報に記載のもの、特開2014−159650号公報に記載のもの、特開2015−059292号公報に記載のもの等が挙げられるが、これらのみに限定されない。
高光沢部分と低光沢部分の「差」を大きくする観点からは、基材(板材)に対する塗料の浸透性は低いことが好ましい。塗料自体の浸透性にもよるが、特に基材(板材)の表面が紙である場合、塗料の過度な浸透を抑えるため、塗料が浸透しにくい紙を選択することが好ましい。塗料の浸透性が小さい紙としては、原紙に樹脂が添加された紙や、抄造時または抄造後に樹脂を含浸させた紙などが挙げられる。
基材の表面には、前処理がされていてもよい。
例えば、基材が合板または天然木材である場合、その表面はサンドペーパーで研磨されていてもよい。使用可能なサンドペーパーとしては、例えば320〜400番のサンドペーパーが挙げられる。
前処理としては、艶消し塗料ではない任意の塗料による下塗り層や中塗り層の形成を挙げることもできる。具体的には、公知または市販の任意の塗料を用いて、公知の方法により下塗り層や中塗り層を設けることができる。
念のため述べておくと、「前処理」は、膜形成工程を行う者とは異なる者が行ってもよい。つまり、一例として、すでに研磨されている基材や、すでに下塗り層や中塗り層が設けられた基材を購入して、その基材に膜形成工程やその後の工程を行ってもよい。
膜形成工程において、塗料組成物の塗布量は、例えば2〜220g/m、好ましくは4〜110g/mである。適度に多くの塗料組成物が塗布されることで、十分な光沢差を設けやすい。
塗料組成物の基材上への塗布は、任意の方法/装置により行うことができる。好ましくは、膜形成工程は、ロールコート、フローコート(カーテンコートとも呼ばれる)またはスプレーにより行われる。これら方法は、工業的に、基材上に均一な膜を形成しやすい。よって膜形成工程に好ましく適用される。
ロールコートによる膜形成工程を、図1を参照しつつ説明する。
図1では、送りロール11Aとコーティングロール11Bとが、基材1の厚さに対応して適当な間隔で離間して対向配置されている。この間隔は、基材1の厚みよりも0.50〜3.00mmほど小さいことが好ましい。このように間隔を調整することで、基材1を適度に押圧することができる。
コーティングロール11Bの周面には、ドクターロール11Cが付設されている。
これらロールは、それぞれ矢印で示されている方向に回転することができる。
送りロール11Aおよびドクターロール11Cは、通常、鉄製である。これらロールの表面は滑らかに研磨されていることが好ましい。
コーティングロール11Bは、通常、鉄芯の表面にゴムを巻いたものである。もちろん、ゴム以外の素材(例えばスポンジなど)であってもよい。また、送りロール11Aの表面をゴムとしてもよい。
互いに摺接するコーティングロール11Bとドクターロール11Cとの会合部には、分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物(塗料組成物12)が一時的に貯留されている。塗料組成物12は、適当な手段(図示せず)により適時供給される。
送りロール11A、コーティングロール11Bおよびドクターロール11Cを、図1中に示されている向きに回転させる。そして、基材1を、送りロール11Aとコーティングロール11Bとで挟持しながら、図1中の矢印の方向に(左から右に)移動させる。これにより、塗料組成物12が基材1の表面に塗布される。この際、送りロール11Aとコーティングロール11Bとの挟持力により、塗料組成物12は押圧された状態で基材1に塗装される。
ちなみに、ドクターロール11Cは、通常、基材1と直接接触することはない。
基材1の好ましい材質などについては、前述のとおりである。
(光照射工程:第一光照射工程)
第一光照射工程においては、膜形成工程で形成された未硬化膜に非一様に光を照射する。第一光照射工程の直後において、未硬化膜の少なくとも一部は完全硬化していない部分硬化膜(半硬化膜)の状態にある。換言すると、未硬化膜の少なくとも一部は、光照射されることで硬化は進んでいるが、ある程度の量の未反応の重合性モノマーが残存し、追加の光照射がされることでさらに硬化が進む状態にある。また、部分硬化膜(半硬化膜)は、通常、十分に硬化した膜に比べて、有機溶剤耐性が劣る。
前述のように、非一様な光照射により、艶消し剤の表面露出の程度が場所によって変わり、一つの基材表面に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることができると考えられる。
膜形成工程で形成された未硬化膜に非一様に光を照射する具体的方法は特に限定されないが、例えば図2Aおよび図2Bや図2Cで示されるような方法であることができる。
図2Aは、光源22と、未硬化膜が掲載された基材1との間に、遮蔽物21(一種のフォトマスクとも言える)を設けることにより、未硬化膜に非一様に光を照射する方法を模式的に示した図である。また、図2Bは、図2Aを断面Xで切断したときの断面図である。
図2Aおよび図2Bにおいて、光源22は、例えば棒状の紫外線が照射される高圧水銀灯である。もし遮蔽物21が無かった場合には、少なくとも基材1の幅方向には一様に光を照射することが可能である。
図2Aおよび図2Bにおいては、1のみの光源22が描かれているが、非一様な露光が可能な限り、複数の光源22が用いられてもよい。
適当な搬送手段(不図示)により基材1を矢印の方向に搬送しつつ、基材1の表面に対して、光源22からの光を照射する。基材1の表面には、遮蔽物21で遮られなかった光が到達する。つまり、遮蔽物21の存在により、基材1上の未硬化膜には非一様に露光される。そして、最終的には第二光照射工程を経ることで、遮蔽物21の形状(遮蔽部や開口部の形状、大きさなど)を反映した高光沢部分と低光沢部分を得ることができる。
最終的に一つの基材に高光沢部分と低光沢部分が設けられる限り、遮蔽物21の形状(遮蔽部や開口部の形状、大きさなど)は特に限定されない。遮蔽物21の形状は、得ようとする高光沢部分と低光沢部分の形状に応じて適宜設計すればよい。
最終的に一つの基材に高光沢部分と低光沢部分が設けられる限り、光源22と基材1の表面(未硬化膜)との距離L、遮蔽物21と基材1との距離Lなどは特に限定されない。ただし、これら距離を調整することで、光の回折効果によって光学像が適度に「ぼやけて」、高光沢部分と低光沢部分の間で、連続的な自然なグラデーションを得ることができる。このような観点から、Lは好ましくは2〜40cm、より好ましくは3〜30cmである。また、Lは好ましくは1〜20cm、より好ましくは2〜10cmである。
図2Cは、図2Aおよび図2Bとは異なる方法により、未硬化膜に非一様に光を照射する方法を模式的に示している。
図2Cにおいては、基材1に十分近い場所に、基材1に比べて十分に小さい光源22(点光源)が設置されている。適当な搬送手段(不図示)により基材1を矢印の方向に搬送しつつ、光源22からの光を基材1に当てることにより、未硬化膜は非一様に露光される。このような非一様な露光により、(最終的には)高光沢部分と低光沢部分が得られる。
点光源は、例えば、メタルハライドランプ、UV−LEDランプなどであることができる。
(光照射工程:第二光照射工程)
第二光照射工程においては、第一光照射工程で得られた部分硬化膜に光を照射してその全てを完全硬化させる。
第二光照射工程は、例えば、図3のように、光源22から直接(遮蔽物を介することなく)、基材1上の部分硬化膜に全面的に光を照射することで行うことができる。
光源22の具体的態様は、図2Aにおけるそれと同様である。図示していないが、第二光照射工程においては、複数(例えば2〜10個)の光源を用いて部分硬化膜に光を照射してもよい。こうすることで、部分硬化膜に全面的かつ一様に光を照射しやすい。また、工程の短時間化を図ることもできる。
(第一光照射工程および第二光照射工程に関する補足)
第一光照射工程と第二光照射工程、それぞれにおける露光量を調整することで、より好ましい意匠の塗装物を得ることができる。
具体的には、光照射工程全体において最も多く光が照射される部分の光照射量をDとしたとき、第一光照射工程において最も多く光が照射される部分の光照射量は、0.01D〜0.4Dであることが好ましく、0.02D〜0.35Dであることがより好ましく、0.03D〜0.3Dであることがより一層好ましい。
第一光照射工程において最も多く光が照射される部分の光照射量が0.01D以上であることにより、重合性モノマーの揮発が十分に起こり、艶消し剤が膜表面に十分に露出しやすくなると考えられる。
第一光照射工程において最も多く光が照射される部分の光照射量が0.4D以下であることにより、未硬化膜の最表面の硬化が適度に抑えられ、十分な量の重合性モノマーが揮発し、そして艶消し剤が膜表面に十分に露出しやすくなると考えられる。
別観点として、第一光照射工程後であって第二光照射工程の前に、光が照射された部位を、酢酸エチルで湿らせた布でラビング(1kg荷重で10往復)した場合、塗膜が溶解するか侵されることが好ましい。第一光照射工程において、ラビングにより塗膜が溶解するか侵される程度に硬化をとどめておくことで、高光沢部分と低光沢部分の光沢差をより大きくすることができる。
第一光照射工程および第二光照射工程トータルでの露光量は、例えば150〜800mJ/cm、好ましくは300〜600mJ/cmである。もちろん、この露光量は、用いられる塗料組成物の感度、膜厚等により適宜調整すればよい。第二光照射工程の後に塗膜(硬化膜)が得られていれば特に問題ない。
各工程の間の時間は、過度に長くならないことが好ましい。すなわち、膜形成工程において塗料組成物が基材に付与されはじめてから、光照射工程(第一光照射工程)において光が照射されはじめるまでの時間は、好ましくは60秒以下、より好ましくは1〜50秒、さらに好ましくは2〜40秒である。
また、第一光照射工程において光が照射されはじめてから、第二光照射工程において光が照射されはじめるまでの時間は、好ましくは180秒以下、より好ましくは2〜150秒、さらに好ましくは3〜120秒である。第一光照射工程と第二光照射工程との間に時間が空きすぎないことで、光が照射されていない部分からの重合性モノマーの揮発が抑えられる。このため、低光沢領域と高光沢領域の光沢の差をより大きくしやすい。
(塗料組成物について)
前述のように、第一実施形態では、分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物が用いられる。以下、この塗料組成物の含有成分などについて説明する。
・重合性モノマー
重合性モノマーは、分子量500以下のものを含む限り特に限定されない。重合性モノマーの分子量は、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは270以下である。分子量がより小さいモノマーを用いることで、低光沢領域と高光沢領域との光沢差を大きくしやすい。ちなみに、重合性モノマーの分子量は、通常70以上である。
低光沢領域と高光沢領域を設けることができる限り、重合性モノマーは、分子量500以下のモノマーに加え、分子量500超のモノマーを含んでもよい。低光沢領域と高光沢領域の光沢差と、塗膜の諸物性とのバランスの観点で、重合性モノマー全体中の好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%が分子量500以下のモノマーであることが好ましい。
分子量とは別観点として、重合性モノマーは、単官能モノマーおよび/または2官能モノマーを含むことが好ましい。重合性モノマーの官能基数があまり大きくないことにより、架橋よりも揮発のほうが適度に優先されて、その結果、低光沢領域と高光沢領域の光沢差をより大きくすることができると考えられる。
低光沢領域と高光沢領域の光沢差を特に大きくする観点からは、重合性モノマーは、単官能モノマーを含むことがより好ましい。
官能基数とは別観点として、重合性モノマーの沸点は、好ましくは400℃以下、より好ましくは300℃以下ある。沸点が300℃以下である重合性モノマーを用いることで、第一光照射工程の際に重合性モノマーが一層揮発しやすくなると考えられる。そして、低光沢領域と高光沢領域の光沢差をより大きくすることができると考えられる。
重合性モノマーの沸点は、通常70℃以上である。
沸点とは別観点として、重合性モノマーは、重合性基以外の極性官能基を有しないことが好ましい。より具体的には、重合性モノマーは、ヒドロキシ基やカルボキシ基等極性官能基を有しないことが好ましい。重合性基以外の極性官能基を有しない重合性モノマーを用いることで、第一光照射工程の際に重合性モノマーが一層揮発しやすくなると考えられる。
入手容易性や適度な重合性などから、重合性モノマーは、好ましくは(メタ)アクリレート系モノマーを含む。より好ましくは、重合性モノマーとしては、単官能または多官能の(メタ)アクリレート系モノマーを挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレート系モノマー(一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つのみ有する化合物)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、ダイアセトンアクリルアミド、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレートなどを挙げることができる。
多官能モノマー(一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を2つ以上、好ましくは2〜6個有する化合物)としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の2官能モノマーなどを挙げることができる。
また、多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
重合性モノマーは、ウレタン(メタ)アクリレートを含んでもよい。ウレタン(メタ)アクリレートは、単数または複数のウレタン結合と、単数または複数の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である。ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは複数の(メタ)アクリロイル基を有する(つまり、ウレタン(メタ)アクリレートは多官能であることが好ましい)。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・オルネクス社にて、商品名「EBECRYL」シリーズの名称で販売されているものを用いることができる。その他、新中村化学工業社、東亞合成株式会社などからも入手可能である。
塗料組成物は、重合性モノマーを一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
二種以上の重合性モノマーを併用することで、光照射したときの硬化性や、硬化後の塗膜の柔軟性などを適切に調整することもできる。併用の観点として、例えば、多官能モノマーと単官能モノマーとを併用することが考えられる。こうすることで、塗料中の炭素−炭素二重結合の濃度が適切に調整され、硬化後の塗膜の柔軟性を適切にできると考えられる。
別の観点として、ウレタン(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレートではない重合性モノマーとを併用することが考えられる。ウレタン(メタ)アクリレートはウレタン結合に由来する柔軟な骨格を有するため、他の重合性モノマーと併用することで、塗膜の柔軟性を適切に制御できると考えられる。
塗料組成物中の重合性モノマーの量は、所望の硬化性などに応じて適宜変更することができる。あくまで一例であるが、塗料組成物中の重合性モノマーの量は、揮発性有機溶剤以外の全成分中、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは20〜98質量%である。
・樹脂
塗料組成物は、樹脂を含んでもよい。樹脂は、塗膜の形成、塗膜の密着性向上等のために用いられる。樹脂は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。
樹脂がコポリマーである場合、その態様は、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれであってもよい。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、800〜50000であることが好ましく、900〜40000であることがより好ましい。この分子量範囲とすることで適度な粘度でほどよい塗布性を有する組成物を得やすくなる。また、塗膜としての性能(密着性や耐水性)を一層高めやすくなる。
数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で測定することができる。
塗料組成物中が樹脂を含む場合、その含有量は、塗料組成物中の不揮発成分の全量を基準として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。一方、塗料組成物が樹脂を含む場合、その含有量は、塗料組成物中の不揮発成分の全量を基準として、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。この量は、塗料の取扱性、塗工性などから適宜決定される。
・光重合開始剤
光重合開始剤は、光照射(典型的には紫外線照射)により活性物質を発生し、上記の重合性モノマーを重合させることが可能なものである限り、特に限定されない。
光重合開始剤として具体的には、公知の光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を挙げることができ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系のもの、アシルフォスフィンオキサイド系のもの、分子内水素引き抜き型のもの、オキシムエステル系のものなどを挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、IGM Resins B.V.社製のOMNIRAD(登録商標)シリーズを挙げることができる。その他、BASF ジャパン株式会社やCHANGZHOU JIURI NEW MATERIALS社などから市販されている光開始剤も用いることができる。
塗料組成物は、光重合開始剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
塗料組成物中の光重合開始剤の量は、所望の硬化性などに応じて適宜変更することができる。あくまで一例であるが、塗料組成物中の光重合開始剤の量は、揮発性有機溶剤以外の全成分中、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
・艶消し剤
艶消し剤は、塗膜表面において可視光を散乱させることが可能なものである限り特に限定されない。 艶消し剤としては、塗料の技術分野で艶消し剤として使用可能な任意の粒子を用いることができる。
艶消し剤は、有機粒子、無機粒子、金属粒子等の少なくともいずれかであることができる。艶消し剤には、各種処理剤による表面処理、被覆処理、分散剤による分散処理等がされていてもよいし、されていなくてもよい。
艶消し剤の形状は特に限定されないが、塗膜の均一性などを考慮すると、球状であることが好ましい。艶消し剤の平均粒子径は1.5〜20μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましい。この数値範囲内とすることで、艶消し剤が効果的に可視光を散乱または吸収し、艶消し効果を高めることができる。
平均粒子径は、典型的には動的光散乱法により測定することができる。具体的には、艶消し剤をメタノールにて希釈し、25℃で、Malvern Instruments Ltdの装置「ゼータサイザー」を用い、光強度分布よりキュムラント解析(ISO13321)を行い、得られたZ−Averageの値を平均粒子径とすることができる。
艶消し剤としては、無機系微粒子を好ましく用いることができる。
無機系微粒子としては、シリカ、ガラス、マイカ、ゼオライト、珪藻土、グラファイト、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの塩類、金属、金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、艶消し性能の観点では、シリカが好ましい。無機系粒子の市販品としては、例えば、富士シリシア化学株式会社製の「サイロホービック」シリーズや「サイリシア」シリーズ等が挙げられる。
艶消し剤としては、有機系微粒子を用いてもよい。有機系微粒子のうち、特に艶消し性能の観点では、例えばポリウレタン粒子、ポリエチレン粒子、ポリスチレン粒子、(メタ)アクリル系樹脂粒子、ポリカーボネート粒子、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド縮合物粒子、ベンゾグアナミン/メラミン/ホルムアルデヒド縮合物粒子、尿素系樹脂粒子、ワックス粒子などを挙げることができる。有機系微粒子の市販品としては、例えば、根上工業株式会社製の「アートパール」シリーズ等が挙げられる。
塗料組成物は、1または2以上の艶消し剤を含むことができる。
塗料組成物中の艶消し剤の量(複数種の艶消し剤を含む場合はその合計量)は、塗料組成物中の不揮発成分の全量を基準として、通常1〜50質量%、好ましくは2〜45質量%、より好ましくは3〜40質量%である。また、塗料組成物が樹脂を含む場合には、粒子の量は、樹脂100質量部に対して通常5〜150質量部、好ましくは10〜140質量部、より好ましくは20〜130質量部である。この数値範囲とすることで、粒子に期待される性能(艶消し)と、適切な粘度で、ほどよい塗布性を有する組成物を得やすくなる。
・分散剤
塗料組成物は、分散剤を含んでもよい。分散剤の使用は、艶消し剤を塗膜表面に露出させやすくなる点で好ましい。
分散剤としては、酸基を含有するもの、アミン構造を含有するもの、その他極性基を含有するものなどを挙げることができる。分散剤は、低分子型の分散剤であっても高分子型の分散剤であってもよい。
分散剤としては市販品を用いることができる。市販の分散剤としては、BYK社の「DISPERBYK」シリーズや「BYK」シリーズ、TEGO社の「DISPERS」シリーズ、Lubrizol社の「Solsperse」シリーズなどを挙げることができる。
塗料組成物が分散剤を含む場合、塗料組成物は分散剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上の分散剤を含んでもよい。
塗料組成物が分散剤を含む場合、その量は、塗料組成物中の不揮発成分(揮発性の有機溶剤以外の成分)全体を100質量%としたときに、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜8質量%である。
・その他成分
塗料組成物は、上記以外の任意の成分を含んでもよい。
一例として、塗料組成物は、艶消し剤とは別成分として、主として着色に寄与する粒子を含んでもよい。これにより、低光沢領域と高光沢領域を備え、かつ、着色された物品(塗装物)を得ることができる。着色に寄与する粒子としては、種々の顔料を挙げることができる。
別の例として、塗料組成物は、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、ワックス類、酸化防止剤、非反応性ポリマー、微粒子無機フィラー、シランカップリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗菌剤、溶剤(水および/または有機溶剤)等を含んでもよい。
・塗料組成物の製造方法
塗料組成物は、上述の成分を適切に混合することで製造することができる。成分の混合の順番や、混合の具体的方法などは特に限定されない。塗膜としたときに低光沢領域および/または高光沢領域が形成可能である限り、任意の方法により塗料組成物を製造することができる。
<第二実施形態>
第二実施形態の塗装物の製造方法は、
分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する膜形成工程と、
未硬化膜に、光源から光を照射して塗膜とする光照射工程と、
を含む。
第二実施形態において、光照射工程は、未硬化膜に非一様に光を照射する第一光照射工程を含む。ただし、第一実施形態と異なり、光照射工程は、必ずしも第二光照射工程を含まない。
第二実施形態において、膜形成工程は、第一実施形態と同様とすることができる。よって改めての説明は省略する。
第二実施形態の光照射工程においては、膜形成工程で形成された未硬化膜の、ある部分には比較的強い光を照射し、別の部分には比較的弱い光を照射することで、未硬化膜に非一様に光を照射する。
具体的なやり方としては、まず、図4に示されるような、光源22から発せられた光のすべてが通過する開口部21Cと光源22から発せられた光の一部のみが通過する半透過部21Dとを備えた遮蔽物21Bを準備する。そして、光源22と、未硬化膜が設けられた基材1との間にその遮蔽物21Bを設置することにより、未硬化膜に非一様に光を照射する。
適当な搬送手段(不図示)により基材1を矢印の方向に搬送しつつ、基材1の表面に対して、遮蔽物21Bを介して光源22からの光を照射する。このようにすることで、基材1の表面において開口部21Cに対応する部分には単位時間あたり比較的多くの光が照射され、比較的多くの重合性モノマーが揮発しつつ硬化する。一方、半透過部21Dに対応する部分には単位時間あたり比較的少ない光が照射され、重合性モノマーはあまり揮発せずに硬化する。半透過部21Dに対応する部分も完全硬化する程度の十分な量の光を照射することで、未硬化膜が全面的に完全硬化し、かつ、低光沢領域と高光沢領域が設けられた塗装物を得ることができる(このとき、少なくとも開口部21Cに対応する部分には、完全硬化に必要な光量よりも多くの光量の光が照射される)。
<塗装板材>
本実施形態の塗装板材は、その板材の表面の少なくとも一部に、重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を用いて形成された塗膜が設けられている。
上記塗膜は、高光沢部分と低光沢部分とを有する。高光沢部分の60°光沢の値と、低光沢部分の60°光沢の値の差は、5以上、好ましくは5〜40、より好ましくは10〜35であることができる。
上記塗膜における高光沢部分の膜厚と、上記塗膜における低光沢部分の膜厚の差の絶対値は、4μm以下である。
本実施形態の塗装板材は、好ましくは、上述の<塗装物の製造方法>に説明した方法により製造される。
本実施形態の塗装板材は、高光沢部分と低光沢部分とを有し、高光沢部分の60°光沢の値と、低光沢部分の60°光沢の値の差が5%以上であることにより、意匠性が良好である。ちなみに、高光沢部分の60°光沢の値は、好ましくは10〜70%、より好ましくは20〜70%であり、低光沢部分の60°光沢の値は、好ましくは1〜65%、より好ましくは5〜60%である。
本実施形態の塗装板材において「高光沢部分の膜厚と、低光沢部分の膜厚の差の絶対値は、4μm以下である」ことは、高光沢部分と低光沢部分が「二度塗り」により設けられたものではなく、「同じ塗料組成物(1種のみの塗料組成物)を用いて、一度塗りで」設けられたことを示すものといえる。
高光沢部分の膜厚と、低光沢部分の膜厚の差の絶対値は、好ましくは0〜4μm、より好ましくは0〜3μm、さらに好ましくは0〜2μmである。
ちなみに、「高光沢部分の膜厚と、低光沢部分の膜厚の差の絶対値は、4μm以下である」ことは、塗装板材の質感などの点でも好ましい。
本実施形態の塗装板材は、好ましくは、塗料組成物による直径20〜200μmのドット状の塗装模様を実質上有しない。このことは、高光沢部分および/または低光沢部分がスプレー塗装で設けられたものではないことを示すものといえる。
「ドット状の塗装模様」とは、真円状の模様だけでなく、拡大して観察したときに常識的に円または楕円とみなせる塗装模様全般のことを意味する。また、ドット模様の「直径」については、ドット模様が真円または円とみなせる場合にはその直径を、ドット模様が楕円とみなせる場合には(長径+短径)/2の値を直径とする。
直径20〜200μmのドット状の塗装模様を「実質上有しない」とは、塗装板材の塗装面における、直径20〜200μmのドット状の塗装模様の数(密度)が、典型的には30個/m以下であること、好ましくは10個/m以下であることを言う。
より好ましくは、本実施形態の塗装板材は、ドット状の塗装模様を有しない。
塗装板材における板材は、<塗装物の製造方法>に説明したとおり、材質としては木材または紙を含むことが好ましい。また、板材は、合板、または、表面にプリント紙が貼られた板材であることが好ましい。これらについては説明済みのため、改めての説明は省略する。
本実施形態の塗装板材において、好ましくは、高光沢部分および低光沢部分は、それぞれ帯状または筋状に存在している。このことは、高光沢部分および/または低光沢部分が、例えば図2A、図2Bまたは図4ように、基材が一定方向に「搬送」されながら光が照射されたことを示すものといえる。
また、帯状または筋状に存在している高光沢部分および低光沢部分は、好ましくは、板材の少なくとも一辺と平行に存在している。これも、基材が一定方向に「搬送」されながら光が照射されたことを示すものである。
本実施形態の塗装板材においては、好ましくは、高光沢部分と低光沢部分との間で、60°光沢の値が連続的に(グラデーション状に)変化している。これは、図2Aに関連して説明したように、光照射工程において、光の回折効果によって光学像が適度にぼやけるためと考えられる。
本実施形態の塗装板材は、好ましくは、固化した塗膜を削った痕を有しない。既に説明したように、本実施形態の塗装基材は非一様な露光などにより製造することができる。高光沢部分および/または低光沢部分を設けるに際して、塗膜を削ったり磨いたりすることは不要である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<基材の作成>
まず、基材合板として、長さ60cm×幅30cm×全厚1.2cmで、表層に厚さ0.25mmのオーク材の突板が表面に貼られたものを準備した。
この基材合板に、着色塗料(ナトコ社製、フローラNo.300:ウレタンディスパージョン型着色塗料)を、塗布量が33g/mになるようにロールコーターを用いて塗装した。その後、100℃の熱風で60秒間乾燥を行い、着色された基材合板を得た。
着色された基材合板に、表1に示される組成の紫外線硬化性塗料組成物(下塗り用)を、塗布量が44g/mになるように塗装した。これに紫外線(照射線量100mJ/cm、最大照射強度80mW/cm)を照射して、塗装した組成物を硬化させた。以上により下塗り層を設けた。
Figure 2021133336
その後、下塗り層が設けられた基材合板に、表2に示される組成の紫外線硬化性塗料組成物(中塗り用)を、塗布量が28g/mになるように塗装した。これに紫外線(照射線量100mJ/cm、最大照射強度80mW/cm)を照射して、塗装した組成物を硬化させた。このようにして中塗り層を設けた。
Figure 2021133336
その後、中塗り層が設けられた基材合板に、耐水ペーパー320番で研磨をかけた。
以上により、基材(艶消し剤を含む塗料組成物を塗布する対象となる基材)を得た。
<第一光照射工程を行うための装置(第一光照射装置)の構成>
第一光照射工程を行うための装置(第一光照射装置)として、大略、前述の図2Aのような装置を構成した。より具体的には以下のとおりである。
・光源
長さ60cm×直径2.5cmの高圧水銀ランプを、基材搬送コンベア面(図2Aには不図示)から高さ30cmの場所に、基材の進行方向に対し長手側が横向きになるように設置した。
・遮蔽物(遮蔽板)
アルミニウム板を用いて、図5に示されるような第一遮蔽板、および、図6に示されるような第二遮蔽板を作製した。遮蔽板は、基材搬送コンベア面(図2Aには不図示)から高さ5cmの場所に設置した。
<第二光照射工程を行うための装置(第二光照射装置)の構成>
第二光照射工程を行うための装置(第二光照射装置)として、大略、前述の図3のような装置を構成した。ただし、十分な光量で一様な露光を行うため、複数の光源を用いた。
具体的には、長さ60cm×直径2.5cmの高圧水銀ランプを、5本、60cm間隔で、基材搬送コンベア面(図3には不図示)から高さ20cmの場所に、基材の進行方向に対し長手側が横向きになるように設置した。
<第一光照射工程および第二光照射工程を連続的に行うための装置(第三光照射装置)の構成>
非一様な露光を行う第一光照射工程と、全面的な露光を行う第二光照射工程とを連続的に行うための装置(第三光照射装置)として、以下のような装置を構成した。
長さ60cm×直径2.5cmの高圧水銀ランプを、5本、基材の進行方向(基材搬送コンベアの搬送方向)に対し、長手側が横向きになるように設置した。
このうち、基材投入側から1番目の第一ランプは、基材搬送コンベア面から高さ30cmの場所に、基材進行方向に対し長手側が横向きになるように設置した。また、第一ランプと基材搬送コンベア面の間に、遮蔽板を設置した。遮蔽板の設置条件は、第一光照射装置と同様である。
基材投入側から2番目以降の第二〜第五ランプは、基材搬送コンベア面から高さ20cmの場所に、隣のランプとの水平距離が60cmとなるように設置した。
以下に説明する実施例および比較例では、基材の搬送速度を適切に調整するなどして、照射光量や照射強度を調整した。
<実施例1>
以下手順により、1種類の塗料組成物により、高光沢部分と低光沢部分が帯状または筋状に存在する塗装物(木質建材)を得た。
(1)上記で得られた基材(下塗り層および中塗り層を備える)に、後掲の表3に示される組成の塗料組成物を、ロールコーターを用いて、塗布量が11g/mになるように塗装して未硬化膜を形成した。
(2)未硬化膜を、第一光照射装置で硬化(完全硬化ではない)させた。具体的には、第一遮蔽板が設置してある第一光照射装置を用い、未硬化膜に、照射線量40mJ/cm、最大照射強度40mW/cmの条件で紫外線を照射した。これにより、未硬化膜の一部を硬化(完全硬化ではない)させて、部分硬化膜を得た。
(3)遮蔽板が無い第二光照射装置を用いて、上記部分硬化膜に対し、照射光量320mJ/cm、最大照射強度80mW/cmの条件で紫外線を照射した。これにより部分硬化膜を完全硬化させた。
<実施例2〜10、13、20、比較例1〜8>
後掲の表3、4または5に記載のように、塗料組成物の配合、遮蔽板および/または光照射条件を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、塗装物(木質建材)を得た。
<実施例11>
後掲の表4に記載の配合および遮蔽板で、第一光照射装置の基材搬送コンベア面からのランプの高さを30cmから20cmに変更し、最大照射強度を表に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法で木質建材を作成した。
<実施例12、実施例19>
後掲の表4に記載の配合および遮蔽板で、第一光照射装置の基材搬送コンベア面からのランプの高さを30cmから13cmに変更し、最大照射強度を表に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法で塗装物(木質建材)を得た。
<実施例14〜16>
後掲の表4に記載の配合、遮蔽板、照射条件で、光照射装置を第三UV硬化装置に変更して、塗装物(木質建材)を得た。
実施例15、16については、実施例14をベースに、第三光照射装置の第一ランプのコンベア面からの高さを、30cmからそれぞれ20cm、13cmに変更し、最大照射強度を表に記載の条件に変更して、塗装物(木質建材)を得た。
<実施例17>
基材を、「長さ60cm×幅30cm×全厚1.2cmで、表層に厚さ0.25mmの木目が印刷された印刷紙が表面に貼られたもの」に変えた以外は、実施例1と同様にして木質建材を作成した。
<実施例18>
第一光照射装置の高圧水銀ランプを、UV−LED(FireJet、365nm、照射口15cm、PHOSEON社製)に置き換え、基材搬送コンベア面からの高さを30cmから5cmに変更した。また、UV−LEDの照射口は基材進行方向に対し横向きで、30cm幅の基材の中心、基材の端から7.5cm内側に設置した。
この、光源を置き換えた第一光照射装置(UV−LED)を用いて、照射線量750mJ/cm(UV−A領域)で部分硬化させた以外は実施例1と同様にして、塗装物(木質建材)を得た。
ちなみに、各実施例で得られた塗装物(木質建材)の表面を拡大観察したが、塗料組成物による直径20〜200μmのドット状の塗装模様は確認されなかった。
後掲の表3、4および5に記載の原材料は以下のとおりである。
重合性モノマーの官能基数および分子量については、後掲の表に記載した。
(重合性モノマー、樹脂)
ACMO(アクリロイルモルフォリン):KJケミカル社製
THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート):共栄社化学株式会社製
エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート:共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートEC−A
フェノキシエチルアクリレート:共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートPO−A
4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート:TBCHA KJケミカル社製
HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート):日本触媒社製
ネオペンチルグリコールジアクレレート:日本化薬社製、KAYARAD NPGDA
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:ダイセル・オルネクス社製、HDDA
TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート):ダイセル・オルネクス社製
EBECRYL160S(トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート):ダイセル・オルネクス社製
AM−90G(メトキシポリエチレングリコール♯400アクリレート):新中村化学工業社製
KRM8200(ウレタンアクリレート):ダイセル・オルネクス社製、重量平均分子量1000(カタログ値)の樹脂
(艶消し剤)
シリカ(サイリシア436):富士シリシア社製
ウレタンビーズ(アートパールC−600透明):根上工業社製
アクリルビーズ(アートパールGR−800T):根上工業社製
(光重合開始剤)
OMNIRAD 754:IGM Resins B.V.社製、Blend of oxy−phenyl−acetic acid 2−[2−oxo−2−phenyl−acetoxy−ethoxy]−ethyl ester and oxy−phenyl−acetic acid 2−[2−hydroxy−ethoxy]−ethyl ester
OMNIRAD TPO H:IGM Resins B.V.社製、2,4,6−trimethylbenzoyl−diphenyl phosphine oxide
(分散剤)
BYK−2008:BYK社製
<評価>
(光沢の不均一性の測定)
実施例および比較例で得られた塗装物(木質建材)の表面の60°光沢を、基材端部から1cmずつ、第一光照射工程での搬送方向とは直角な方向に、全部で29点測定した。測定装置としてはmicro−tri−gross(BYK社製)を用いた。
後掲の各表には、全測定点中の60°光沢最大値と最小値を記載した。
上記の方法で測定した光沢値の最大値と最小値の差を算出した。そして、以下のような基準で、光沢差が大きいほどグラデーションが明確に視認でき好ましいと評価とした。
優:差が10以上(光沢グラデーションが明瞭に視認できる)
良:差が5以上10未満(光沢グラデーションが視認できる)
不良:差が5未満(光沢グラデーションが視認できない)
参考までに、実施例1、6、13および比較例1の測定結果を、横軸:基材端部からの距離(単位:cm)、縦軸:60°光沢、でプロットしたグラフを図7に示す。グラフより、実施例においては、遮蔽物(遮蔽板)の開口部の形状に対応して、光沢が「連続的」に変化する塗膜(硬化膜)が得られたことが視覚的に理解される。
(高光沢部分と低光沢部分の膜厚の測定)
上記「光沢の不均一性の測定」の測定点中の、最小光沢値を示した部分の断面と、最大光沢値を示した部分の断面を切り出し、それぞれの部分の膜厚を測定した。測定にはマイクロスコープVHX−S50(キーエンス社製)を用いてそれぞれ3ヶ所(注)で測定し、平均値を算出した。そして、最大光沢値を示した部分と最小光沢値を示した部分の平均膜厚の差を算出した。
(注:「光沢の不均一性の測定」の測定において用いた光沢計の測定スポットサイズは9mm×15mmの「広さ」を有するため、「最小光沢値を示した部分」および「最大光沢値を示した部分」を「1点」に特定することは難しい。よって、上記各断面において、幅15mmの「中心部分の3点」の膜厚を測定して、それらの平均値を採用した。)
(参考評価:第一光照射工程後の塗膜の表面状態)
第一光照射工程後であって第二光照射工程前の塗膜の、光が照射された部位を、酢酸エチルで湿らせた布でラビング(1kg荷重で10往復)した。そして、以下のように外観評価した。
○:塗膜が溶解し、充分に硬化していない。
△:塗膜が若干侵される。
×:塗膜に変化が無く、充分に硬化している
塗料組成物の組成、基材(合板の表層材)、光照射条件および評価結果をまとめて下表に示す。
塗料組成物の組成において、各成分の量の単位は質量部である。
Figure 2021133336
Figure 2021133336
Figure 2021133336
実施例1〜20に示されるように、分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物で形成した未硬化膜に、非一様に光を照射するなどの比較的簡便な方法により、高光沢部分と低光沢部分とを有する塗膜を備える塗装物を製造することができた。つまり、実施例1〜20では、二度塗り等の煩雑な工程を要することなく、一つの基材に高光沢部分と低光沢部分の両方を設けることができた。
一方、光照射の際に遮蔽板を用いずに一様に光照射した比較例1〜6、および、艶消し剤を含まない塗料組成物を用いた比較例7では、高光沢部分と低光沢部分の光沢差が十分にある塗装物を得ることはできなかった。
実施例をより詳細に分析すると、以下のことが言える。
・重合性モノマーとして、単官能のもの、分子量が小さいもの、沸点が小さいもの、等を用いるほうが、光沢差がより大きくなる傾向がある。これは、図7の実施例1、6に関するグラフでも示されている。また、実施例1〜5と実施例20との対比からもこのことは理解される。
・第一光照射工程後の塗膜の表面状態が「〇」の場合、光沢差(最大光沢値−最小光沢値)が大きくなる傾向がある。第一光照射工程における硬化の程度をほどほどにとどめておくことで、最終的な光沢差が大きくなることが示唆される。
1 基材
11A 送りロール
11B コーティングロール
11C ドクターロール
12 塗料組成物
21 遮蔽物
21B 遮蔽物
21C 開口部
21D 半透過部
22 光源
22B 点光源

Claims (19)

  1. 高光沢部分と低光沢部分とを有する塗膜を備える塗装物の製造方法であって、
    分子量500以下の重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を基材上に塗布して未硬化膜を形成する膜形成工程と、
    前記未硬化膜に、光源から光を照射して塗膜とする光照射工程と、
    を含み、
    前記光照射工程は、前記未硬化膜に非一様に光を照射する第一光照射工程を含む、塗装物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記第一光照射工程は、前記光源と前記未硬化膜との間に遮蔽物を設けることにより、前記未硬化膜に非一様に光を照射する工程を含む、塗装物の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記光照射工程が含む前記第一光照射工程の直後において、前記未硬化膜の少なくとも一部は完全硬化していない部分硬化膜の状態にあり、
    前記光照射工程は、前記部分硬化膜に光を照射してその全てを完全硬化させる第二光照射工程を含む、塗装物の製造方法。
  4. 請求項2または3に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記第二光照射工程は、前記部分硬化膜に全面的に光を照射する工程を含む、塗装物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記光照射工程全体において最も多く光が照射される部分の光照射量をDとしたとき、前記第一光照射工程において最も多く光が照射される部分の光照射量は、0.01D〜0.4Dである、塗装物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記膜形成工程は、ロールコート、フローコートまたはスプレーにより行われる、塗装物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記重合性モノマーは、(メタ)アクリレート系モノマーを含む、塗装物の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記重合性モノマーは、分子量300以下のモノマーを含む、塗装物の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記重合性モノマーは、単官能モノマーおよび/または2官能モノマーを含む、塗装物の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記基材が、板材である、塗装物の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記基材が、木材または紙を含む、塗装物の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗装物の製造方法であって、
    前記高光沢部分の60°光沢と、前記低光沢部分の60°光沢の差は、5以上である、塗装物の製造方法。
  13. 板材の表面の少なくとも一部に、重合性モノマー、光重合開始剤および艶消し剤を含む塗料組成物を用いて形成された塗膜が設けられている塗装板材であって、
    前記塗膜は高光沢部分と低光沢部分とを有し、前記高光沢部分の60°光沢の値と、前記低光沢部分の60°光沢の値の差は、5以上であり、
    前記塗膜における前記高光沢部分の膜厚と、前記塗膜における前記低光沢部分の膜厚の差の絶対値が4μm以下である、塗装板材。
  14. 請求項13に記載の塗装板材であって、
    前記高光沢部分と前記低光沢部分とは、同じ塗料組成物を用いて形成されている、塗装板材。
  15. 請求項13または14に記載の塗装板材であって、
    前記板材は、木材または紙を含む、塗装板材。
  16. 請求項13〜15のいずれか1項に記載の塗装板材であって、
    前記板材は、合板、または、表面にプリント紙が貼られた板材である、塗装板材。
  17. 請求項13〜16に記載の塗装板材であって、
    前記塗料組成物による、直径20〜200μmのドット状の塗装模様を実質上有しない、塗装板材。
  18. 請求項13〜17のいずれか1項に記載の塗装板材であって、
    前記高光沢部分および前記低光沢部分は、それぞれ、帯状または筋状に存在している、塗装板材。
  19. 請求項13〜18のいずれか1項に記載の塗装板材であって、
    前記高光沢部分と前記低光沢部分との間で、60°光沢の値が連続的に変化している、塗装板材。
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