JP2021133290A - スクレーパ保持装置、および原料攪拌装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料の処理中に、回転する回転容器の内周面に追従してスクレーパを回動させることが可能なスクレーパ保持装置を提供する。【解決手段】スクレーパ保持装置60は、原料を内部に収容し、回転する回転容器1の内面に付着した原料を掻き取るスクレーパ12を保持する。スクレーパ保持装置60は、回転容器1の上部開口を塞ぐ蓋部材5に固定された固定部63と、固定部63に回動可能に支持された回転部65と、回転部65に固定されたレバー68と、レバー68に連結された付勢機構70と、を備える。スクレーパ12は、回転部65に連結されている。付勢機構70は、レバー68および回転部65を介して、スクレーパ12を回転容器1の内周面に所定の付勢力で付勢する。【選択図】図3

Description

本発明は、回転容器の内面に付着した原料を掻き取るスクレーパを保持するためのスクレーパ保持装置、および該スクレーパ保持装置を備えた原料撹拌装置に関する。
原料撹拌装置は、原料の造粒、コーティング、混合、混練、撹拌、および乾燥などの各種処理を行う装置であり、医薬品、化学薬品、食品、化粧品、ファインケミカル、鋳物、建築材料、塗料、およびダスト処理などの様々な産業分野で用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。この原料撹拌装置は、軸線周りに回転駆動される回転容器と、該回転容器の上部開口を開閉する蓋部材と、該蓋部材に連結され、回転する回転容器の内面に付着した原料を掻き取るスクレーパと、を備えている。回転容器は、一般に、有底円筒形状を有している。原料撹拌装置で処理される原料は、回転容器の上部開口から該回転容器に投入され、その後、回転容器の上部開口が蓋部材により閉じられる。そして、回転容器を所定の回転速度で回転させることにより、上記各種処理が行われる。
原料撹拌装置で各種処理を実行している間、原料が投入された回転容器は回転されるが、蓋部材、および蓋部材に連結されたスクレーパは回転させない。スクレーパは回転容器の内周面に近接しており、このスクレーパによって、処理中の回転容器の内周面に付着した原料が掻き取られる。
なお、本明細書では、原料撹拌装置の回転容器に投入される材料を総称して、「原料」と称する。原料は、粉体、およびスラッジなどの固体材料であってもよいし、水およびオイルなどの液体材料であってもよいし、固定材料と液体材料との混合物であってもよい。さらに、原料撹拌装置では、複数の材料のそれぞれが所定の時間間隔を開けて回転容器に投入されることがある。例えば、固体材料を回転容器に投入して、該回転容器を回転させてから所定の時間が経過した後に、回転容器に液体材料を投入することがある。この場合、原料は、固体材料と液体材料である。また、本明細書では、各種処理を行った後で、回転容器から取り出される物体を総称して、「製品」と称する。
特開2013−17923号公報 特開2016−2536号公報 特開2016−2563号公報
従来の原料撹拌装置では、回転容器の内周面の真円度、および回転容器の内周面に固着した異物とのスクレーパの衝突などの問題に起因してスクレーパを回転容器の内周面に密着させることができなかった。より具体的には、回転容器の内周面にスクレーパを密着させると、回転容器の内周面が完全な真円ではないことから、スクレーパが回転する回転容器の内周面に強く押し付けられてしまうことがあり、これにより、スクレーパが破損してしまうおそれがあった。さらに、回転容器の内周面に原料が固着していると、スクレーパが固着した原料に衝突して、破損してしまうおそれがあった。
このように、従来のスクレーパは、回転容器の内周面から僅かに離間させていたため、回転容器から製品を取り出す際に、回転容器の内周面に付着したままの原料が存在する。そのため、回転容器に投入した原料に対する製品の歩留まりが低下してしまう。特許文献3は、製品を取り出した後で撹拌容器の内部を清掃する方法を開示している。しかしながら、この方法は、原料の処理中に回転容器の内周面に付着した原料を掻き取ることができないため、製品の歩留まりの改善に用いることができない。
そこで、本発明は、原料の処理中に、回転する回転容器の内周面に追従してスクレーパを回動させることが可能なスクレーパ保持装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このようなスクレーパ保持装置を備えた原料撹拌装置を提供することを目的とする。
一態様では、原料を内部に収容し、回転する回転容器の内周面に付着した原料を掻き取るスクレーパを保持するためのスクレーパ保持装置であって、前記回転容器の上部開口を塞ぐ蓋部材に固定された固定部と、前記固定部に回動可能に支持された回転部と、前記回転部に固定されたレバーと、前記レバーに連結された付勢機構と、を備え、前記スクレーパは、前記回転部に連結されており、前記付勢機構は、前記レバーおよび前記回転部を介して、前記スクレーパを前記回転容器の内周面に所定の付勢力で付勢することを特徴とするスクレーパ保持装置が提供される。
一態様では、前記レバーは、長孔を有しており、前記付勢機構は、前記長孔に挿入されるピンと、前記ピンが連結される棒部材と、前記棒部材を支持する支持部材と、前記棒部材に前記所定の付勢力を付与する付勢部材と、を備える。
一態様では、前記付勢部材はコイルばねである。
一態様では、前記スクレーパ保持装置は、前記コイルばねの長さを調整するために前記棒部材に螺合された付勢力調整ナットをさらに備える。
一態様では、前記スクレーパ保持装置は、前記スクレーパが前記回転容器の内面に接触しないように前記棒部材の移動を阻止するストッパをさらに備える。
一態様では、前記付勢部材はエアシリンダまたはダンパーである。
一態様では、前記スクレーパは、前記回転部に挿入される先端を有するスクレーパ本体と、前記回転容器の内周面に接触するスクレーパチップと、を有しており、前記スクレーパ本体と前記スクレーパチップとは一体に成形されている。
一態様では、前記スクレーパ本体は、その内部に芯金を有する。
一態様では、原料を内部に収容し、回転する回転容器と、前記回転容器の上部開口を塞ぐ蓋部材と、前記回転容器の内周面に付着した原料を掻き落とすスクレーパと、上記スクレーパ保持装置と、を備えたことを特徴とする原料撹拌装置が提供される。
本発明によれば、スクレーパは、付勢機構がレバーに与える付勢力で回転する回転容器の内周面に接触しつつ、回転容器の内周面のうねりおよび付着物に応じて回動することができる。すなわち、回転する回転容器の内周面に追従してスクレーパを回動させることができる。
図1は、一実施形態に係る原料撹拌装置の正面図である。 図2は、図1に示す原料撹拌装置の側面図である。 図3は、一実施形態に係るスクレーパ保持装置を模式的に示す断面図である。 図4は、図3のA−A線断面図である。 図5は、図3に示すスクレーパ保持装置の概略上面図である。 図6(a)は、スクレーパと、スクレーパの回転中心を抽出して描いた模式図であり、図6(b)は、回転容器の内周面に固着した原料によって、スクレーパが回転中心まわりに回動した様子を示す模式図であり、図6(c)は、図6(b)に示される状態のときのスクレーパ保持装置の上面図である。 図7(a)は、図5に示すスクレーパ位置調整ナットを用いて、スクレーパを回転容器から離間させたときのスクレーパ保持装置の上面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す状態のときのスクレーパと、スクレーパの回転中心を抽出して描いた模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る原料撹拌装置の正面図である。図2は、図1に示す原料撹拌装置の側面図である。図1および図2に示すように、原料撹拌装置は、原料を収容して回転する回転容器(混合パン)1と、回転容器1を回転させるための第1駆動装置(モータ)2と、回転容器1内の原料を撹拌するロータユニット3と、ロータユニット3を回転させるための第2駆動装置(モータ)4とを備えている。
本実施形態では、駆動装置2,4は制御装置(図示せず)に接続されており、制御装置はこれら駆動装置2,4の回転速度および回転方向を自在に制御するように構成されている。このような構成により、回転容器1およびロータユニット3をそれぞれ所望の回転速度および回転方向で独立して回転させることができる。
回転容器1は、有底円筒形状を有しており、カバー9の内部に回転可能に配置されている。本実施形態では、カバー9の上部には、蓋部材5が設けられており、該蓋部材5によって、回転容器1の上端に形成された開口が塞がれる。図1に示すように、蓋部材5は、原料を回転容器1に供給するための供給口5aを有している。原料は、供給口5aから直接回転容器1内に供給されてもよいし、供給口5aにシュート、ノズル、またはホッパーなどの原料供給設備(図示せず)を連結し、該原料供給設備および供給口5aを介して、回転容器1に供給されてもよい。製品を製造するときは、原料が投入された回転容器1とロータユニット3を回転させる。
なお、図1および図2に示した実施形態では、蓋部材5が図示しない駆動機構(例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、または電動シリンダ)により回転容器1の回転軸と平行な方向に上昇することで、カバー9および回転容器1の上部開口が開かれるようになっている。図示はしないが、蓋部材5が旋回軸を支点として回動することにより、カバー9および回転容器1の上部開口が開閉されてもよい。蓋部材5を上昇させて、回転容器1の上部開口が開かれたときに、原料を上部開口から回転容器1に投入してもよい。この場合、上記供給口5aを省略してもよい。回転容器1から製品を取り出すときは、蓋部材5を上昇させて、回転容器1の上部開口を開いてもよい。
蓋部材5は、回転容器1の上部開口を塞ぐ限り、該上部開口を開閉しなくてもよい。この場合、回転容器1の底壁または側壁に製品を回転容器1から取り出すための排出口(図示せず)が形成されてもよい。排出口が回転容器1に設けられる場合、原料撹拌装置は、排出口を開閉可能な排出口ゲートを有していてもよい。製品を回転容器1から取り出すときは、排出口ゲートを移動させて排出口を開く。さらに、原料撹拌装置は、排出口に連結可能な吸い出しラインを備えていてもよい。この場合、製品は、排出口に連結された吸い出しラインを介して回転容器1から吸い出される。
図2に示すように、回転容器1内には、スクレーパ12が配置されている。スクレーパ12は、蓋部材5に後述するスクレーパ保持装置を介して保持されている。スクレーパ12は、回転容器1の内周面に接触可能に蓋部材5に保持される一方で、回転容器1およびロータユニット3が回転しても、蓋部材5およびスクレーパ12は回転しない。
このように、本実施形態では、回転する回転容器1内に、回転するロータユニット3および回転しないスクレーパ12を配置して、さらに回転容器1を図2に示されるように傾斜させている。このように回転容器1を傾斜させると、回転している回転容器1内の原料は、その自重により下方に移動しようとする。そして、下方に移動した原料は、傾斜しているロータユニット3の回転によって斜め方向に移動させられる。また、スクレーパ12が、回転容器1の内周面に付着した原料を掻き取るので、回転容器1内の原料は、同じところに留まることなく全体的に常に移動する。したがって、ロータユニット3およびスクレーパ12を内部に配置する回転容器1を傾斜させて、回転容器1とロータユニット3とを回転させると、原料の上下方向の動きと、斜め方向の動きとが混在するようになり、回転容器1内の原料は、三次元的に移動するようになる。その結果、原料が効率良く攪拌され、短時間で原料から製品を製造することができる。
上述したように、回転容器1に投入された原料に対する製品の歩留まりを向上させるためには、スクレーパ12を回転容器1の内周面に密着させることが重要である。一方で、スクレーパ12を回転容器1の内周面に密着させると、回転容器1の内周面の断面は完全な真円ではないため、スクレーパ12が回転する回転容器1の内周面に強く衝突することがある。さらに、原料の一部が回転容器1の内周面に大きな塊として固着している場合は、スクレーパ12が固着した原料に強く衝突することもある。スクレーパ12が回転する回転容器1の内周面、または固着した原料に衝突すると、スクレーパ12が破損するおそれがある。そこで、本実施形態に係る原料撹拌装置は、回転する回転容器1の内周面に追従してスクレーパ12を回動させることが可能なスクレーパ保持装置を備えている。
図3は、一実施形態に係るスクレーパ保持装置を模式的に示す断面図である。図3に示すスクレーパ保持装置60は、蓋部材5に固定される固定部63と、該固定部63に回動可能に支持される回転部65と、該回転部65に固定されるレバー68と、を備えている。
固定部63は、円筒形状を有しており、その下端に蓋部材5の上面にねじなどの固定具58によって固定されるフランジを有している。固定部63の上部開口にはカバー61が取り付けられており、回転部65は固定部63の下部開口から挿入されている。回転部65の外周面と固定部63の内周面の間には、摺動部材64が配置されている。回転部65は、摺動部材64を介して固定部65内で回動可能である。
摺動部材64は、摩擦係数が小さく、かつある程度の硬度を有する材料から構成されるのが好ましい。このような材料は、例えば、すべり軸受の摺動部材(例えば、回転軸に固定されるブッシュ)を形成する樹脂である。このような樹脂の例としては、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テフロン(登録商標)などが挙げられる。
スクレーパ12は、回転部65に挿入されるスクレーパ本体12aと、回転容器1の内周面に接触するスクレーパチップ12bと、を有している。図3に示す実施形態では、スクレーパ本体12aの先端が、回転部65の下面に形成された凹部65aに挿入されている。さらに、スクレーパ12は、スクレーパ本体12aの内部に芯金12cを有している。芯金12cによって、スクレーパ12の強度を増加させることができる。スクレーパ12が十分な強度を有していれば、芯金12cを省略してもよい。
本実施形態では、スクレーパ本体12aとスクレーパチップ12bは、一体に成形されている。このような構成により、スクレーパ本体12aとスクレーパチップ12bとの間に原料が詰まることが防止される。
回転部65は、その中央部に貫通孔65bを有しており、貫通孔65bは、回転部65の上面から下面の凹部65aまで延びている。凹部65aに挿入されるスクレーパ本体12aの先端の上面には、ねじ孔12dが形成されている。スクレーパ保持装置60は、スクレーパ12を回転部65に連結するためのボルト80を有している。このボルト80は、カバー61に形成された貫通孔、および回転部65の貫通孔65bに挿入され、この状態で、凹部65aに挿入されたスクレーパ本体12aのねじ孔12dに螺合される。ねじ孔12dに螺合されたボルト80のヘッドは、カバー61の上面に支持される。これにより、スクレーパ12は、回転部65に連結されるとともに、カバー61を介して固定部63に回転可能に支持される。
図示はしないが、スクレーパ12が回転部65に対して回転しないように、スクレーパ保持装置60は、回り止めを有しているのが好ましい。回り止めは、例えば、回転部65およびスクレーパ本体12aに挿入される回り止めピンである。一実施形態では、回り止めは、回転部65の凹部65aに形成されたキー溝と、スクレーパ本体12aの先端に形成され、該キー溝に係合するキーであってもよい。
図4は、図3のA−A線断面図である。図4に示すように、回転部65に固定されるレバー68は、固定部63の側壁に形成された窓63aを通って、該固定部63の外部まで延びている。窓63aは、固定部63の側壁を貫通しており、かつ固定部63の円周方向に沿って延びている。後述するように、レバー68は、窓63aの長手方向(すなわち、固定部63の円周方向)に沿って、かつ窓63a内で回動可能である。さらに、レバー68は、長孔68aを有している。長孔68aは、レバー68の上面から下面まで延びる貫通孔であり、レバー68の長手方向(回転部65の半径方向に対応する)に沿って延びている。
図5は、図3に示すスクレーパ保持装置の概略上面図である。図5に示すように、スクレーパ保持装置60は、レバー68に連結される付勢機構70をさらに備えている。付勢機構70は、レバー68、および該レバーが固定される回転部65を介して、スクレーパ12を回転容器1の内周面に所定の付勢力で付勢する機構である。
図5に示す付勢機構70は、レバー68に形成された長孔68aに挿入されるピン71(図4の2点鎖線参照)と、ピン71が連結される棒部材73と、棒部材73を支持する2枚の支持板(支持部材)75,75と、棒部材73に所定の付勢力を付与する付勢部材77と、を備えている。図5に示す実施形態では、ピン71は、棒部材73に設けられた支持フレーム69に固定されている。
図示した例では、付勢部材77は、コイルばねであり、以下では、付勢部材77を「コイルばね77」と称する。しかしながら、本実施形態において、付勢部材77は、支持板(支持部材)75,75に対する棒部材73の進退を許容しつつ、棒部材73に所定の付勢力を付与できる限り、コイルばねに限定されない。例えば、付勢部材77は、コイルばねとは異なる任意の弾性部材であってもよい。このような弾性部材の例は、板ばね、およびゴムなどの樹脂などが挙げられる。さらに、付勢部材77は、エアシリンダであってもよいし、ダンパーであってもよい。付勢部材77がエアシリンダである場合は、棒部材73は、エアシリンダに供給される流体の圧力に応じた付勢力で棒部材73を付勢する。付勢部材77がダンパーである場合は、棒部材73は、ダンパーの復元力に応じた付勢力で棒部材73を付勢する。
コイルばね77の一端は、一方の支持板75に接触しており、コイルばね77の他端は、棒部材73に設けられた板73aに接触している。棒部材73における板73aの位置は、付勢力調整ナット72によって固定されている。付勢力調整ナット72は、板73aと支持フレーム69との間で棒部材73に螺合し、棒部材73の長手方向における板73aの位置決めを行う部材である。コイルばね77は、縮められた状態で板73aと支持板75との間に配置されている。したがって、コイルばね77は、その復元力で板73aを付勢する。この復元力が、コイルばね77が棒部材73に与える付勢力に相当する。
棒部材73に螺合する付勢力調整ナット72を、コイルばね77が接触する支持板75に向かって移動させると、コイルばね77の長さが縮み(すなわち、板73aと支持板75との間の距離が減少し)、コイルばね77が棒部材73に与える付勢力が増加する。付勢力調整ナット72を、コイルばね77が接触する支持板75から遠ざけると、コイルばね77の長さが伸びて(すなわち、板73aと支持板75との間の距離が増加し)、コイルばね77が棒部材73に与える付勢力が減少する。すなわち、棒部材73に対する付勢力調整ナット72の位置を変更することによって、コイルばね77の付勢力を調整することができる。
本実施形態では、棒部材73は、2枚の支持板75,75を貫通して延びている。コイルばね77が接触する一方の支持板75を貫通して延びる棒部材73の先端には、スクレーパ位置調整ナット74が螺合されている。スクレーパ位置調整ナット74は、コイルばね77が接触する支持板75の面とは逆側の面に接触する。
棒部材73は、長孔68aに挿入されたピン71を介してレバー68に連結されているため、レバー68は、棒部材73に与えられた付勢力で押圧される。レバー68は、回転部65に固定されているため、回転部65は、レバー68に付与されたコイルばね77の付勢力で固定部63(図3参照)に対して回動しようとする。回転部65は、回転容器1の内周面に近接して配置されたスクレーパ12に連結されているので、スクレーパ12を、コイルばね77の付勢力に応じて回転容器1の内周面に押し付けることができる。
このような構成によれば、スクレーパ12は、回転する回転容器1の内周面のうねりに追従して回動することができる。より具体的には、回転する回転容器1の内周面がスクレーパ12に近づく方向にうねると、スクレーパ12が付勢機構70によって付与された付勢力に抗してスクレーパ12の回転中心まわりに回動する。その後、回転する回転容器1の内周面がスクレーパ12から離れる方向にうねると、スクレーパ12は、付勢機構70によって付与された付勢力によって回転容器1の内周面に密着したままスクレーパ12の回転中心まわりに回動する。
本実施形態では、スクレーパ12の回転中心は、回転部65の中心軸線上にあり、回転部65の中心軸線は、ボルト80の中心軸線に一致する(図3の符号「CP」参照)。
回転容器1の内周面に原料が固着している場合も同様に、スクレーパ12は、固着した原料の大きさに応じて回動することができる。図6(a)は、スクレーパ12と、スクレーパ12の回転中心CPを抽出して描いた模式図であり、図6(b)は、回転容器1の内周面に固着した原料によって、スクレーパ12が回転中心CPまわりに回動した様子を示す模式図であり、図6(c)は、図6(b)に示される状態のときのスクレーパ保持装置60の上面図である。
図6(a)に示すように、スクレーパ12は、コイルばね77によって与えられる所定の付勢力で回転容器1の内周面に押し付けられている。図6(a)に示した例では、スクレーパ位置調整ナット74は、支持板75から離間している。図6(b)に示すように、回転容器1の内周面に原料が固着している場合は、スクレーパ12が固着した原料に衝突する。しかしながら、スクレーパ12は、固着した原料の大きさに応じて回転中心CPまわりに回動する。この場合は、コイルばね77が縮み、調整ナット74が支持板75からさらに離間する(図6(c)参照)。なお、ピン71は、レバー68の回動に応じて長孔68a内を移動する。スクレーパ12が固着した原料を乗り越えると、スクレーパ12は、再度、回転容器1の内周面に密着する(図6(a)参照)ことができる。
図7(a)は、図5に示すスクレーパ位置調整ナット74を用いて、スクレーパ12を回転容器1から離間させたときのスクレーパ保持装置60の上面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す状態のときのスクレーパ12と、スクレーパ12の回転中心CPを抽出して描いた模式図である。
原料撹拌装置は、食品、医薬品などの異物の混入を嫌う製品の製造工程にも使用される。一方で、スクレーパ12を回転容器1の内周面に所定の付勢力で密着させると、スクレーパ12(のスクレーパチップ12b)が摩耗するおそれがある。スクレーパ12の摩耗粉は製品に対する異物になるため、原料撹拌装置のユーザーの中には、スクレーパ12を回転容器1の内周面に密着させたくないとの希望を有する者がいる。
このような希望を有するユーザーがいても、本実施形態に係るスクレーパ保持装置によれば、スクレーパ保持装置の部品数を増やすことなく、スクレーパ12を回転容器1の内周面から離間させることができる。以下では、図7(a)および図7(b)を参照して、スクレーパ12を回転容器の内周面から離間させる方法を説明する。
図7(a)に示すように、スクレーパ位置調整ナット74を支持板75に向かって締め付けていくと、コイルばね77が徐々に縮んでいき、その結果、棒部材73にピン71を介して連結されたレバー68が回転中心CPまわりに回動していく。さらにスクレーパ位置調整ナット74を締め付けていくと、レバー68を介して回転部65に連結されるスクレーパ12が回転容器1の内周面から離間する。この場合、スクレーパ位置調整ナット74は、スクレーパ12が回転容器1の内周面に接触しないように棒部材73の移動を阻止するストッパとして機能する。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
1 回転容器(混合パン)
2 第1駆動装置
3 ロータユニット
4 第2駆動装置
5 蓋部材
7 架台
9 カバー
10 駆動力伝達機構
12 スクレーパ
60 スクレーパ保持装置
61 カバー
63 固定部
64 摺動部材
65 回転部
68 レバー
68a 長孔
69 支持フレーム
70 付勢機構
71 ピン
72 付勢力調整ナット
73 棒部材
74 スクレーパ位置調整ナット
75 支持板(支持部材)
77 コイルばね(付勢部材)
80 ボルト

Claims (9)

  1. 原料を内部に収容し、回転する回転容器の内周面に付着した原料を掻き取るスクレーパを保持するためのスクレーパ保持装置であって、
    前記回転容器の上部開口を塞ぐ蓋部材に固定された固定部と、
    前記固定部に回動可能に支持された回転部と、
    前記回転部に固定されたレバーと、
    前記レバーに連結された付勢機構と、を備え、
    前記スクレーパは、前記回転部に連結されており、
    前記付勢機構は、前記レバーおよび前記回転部を介して、前記スクレーパを前記回転容器の内周面に所定の付勢力で付勢することを特徴とするスクレーパ保持装置。
  2. 前記レバーは、長孔を有しており、
    前記付勢機構は、
    前記長孔に挿入されるピンと、
    前記ピンが連結される棒部材と、
    前記棒部材を支持する支持部材と、
    前記棒部材に前記所定の付勢力を付与する付勢部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ保持装置。
  3. 前記付勢部材はコイルばねであることを特徴とする請求項2に記載のスクレーパ保持装置。
  4. 前記コイルばねの長さを調整するために前記棒部材に螺合された付勢力調整ナットをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載のスクレーパ保持装置。
  5. 前記スクレーパが前記回転容器の内面に接触しないように前記棒部材の移動を阻止するストッパをさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載のスクレーパ装置。
  6. 前記付勢部材はエアシリンダまたはダンパーであることを特徴とする請求項2に記載のスクレーパ保持装置。
  7. 前記スクレーパは、
    前記回転部に挿入される先端を有するスクレーパ本体と、
    前記回転容器の内周面に接触するスクレーパチップと、を有しており、
    前記スクレーパ本体と前記スクレーパチップとは一体に成形されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスクレーパ保持装置。
  8. 前記スクレーパ本体は、その内部に芯金を有することを特徴とする請求項7に記載のスクレーパ保持装置。
  9. 原料を内部に収容し、回転する回転容器と、
    前記回転容器の上部開口を塞ぐ蓋部材と、
    前記回転容器の内周面に付着した原料を掻き落とすスクレーパと、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスクレーパ保持装置と、を備えたことを特徴とする原料撹拌装置。
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