JP2021131520A - 画像形成方法及び画像形成システム - Google Patents

画像形成方法及び画像形成システム Download PDF

Info

Publication number
JP2021131520A
JP2021131520A JP2020028130A JP2020028130A JP2021131520A JP 2021131520 A JP2021131520 A JP 2021131520A JP 2020028130 A JP2020028130 A JP 2020028130A JP 2020028130 A JP2020028130 A JP 2020028130A JP 2021131520 A JP2021131520 A JP 2021131520A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
particles
acid
toner
image forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020028130A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7443810B2 (ja
Inventor
知子 峯
Tomoko Mine
知子 峯
香織 松島
Kaori Matsushima
香織 松島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2020028130A priority Critical patent/JP7443810B2/ja
Publication of JP2021131520A publication Critical patent/JP2021131520A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7443810B2 publication Critical patent/JP7443810B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、低温低湿環境における静電荷像現像用トナーの過剰帯電を抑制し、細線再現性を向上させることのできる画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。【解決手段】本発明の画像形成方法及び画像形成システムは、静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法であって、前記電子写真感光体が感光層を有し、当該感光層が、電荷輸送物質として、特定な構造を有する化合物を含有し、かつ、前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法及び画像形成システムに関する。より詳しくは、低温低湿環境における静電荷像現像用トナーの過剰帯電を抑制し、細線再現性を向上させることのできる画像形成方法及び画像形成システムに関する。
近年商業印刷分野においても電子写真方式が広まっており、高画質な印刷物をよりスピーディーに提供することが可能なシステムが求められている。
このような電子写真システムにおいては、応答速度の速い電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)が使用される。
例えば特許文献1では、電荷輸送物質として特定構造のトリフェニルアミン系化合物を用いることで感光体の電荷輸送速度を向上させる発明が開示されている。
しかしながら、トリフェニルアミン系化合物のように比較的大きな共役系を有する分子は、電荷の移動速度は速いものの移動中に電荷が拡散しやすいため、感光体上での潜像形成において画像部の電位低下が十分ではない場合があった。
特に低温低湿環境においては静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の過剰帯電により現像性が低下しやすいため、細線再現性の悪化が顕著になる場合があった。
特開2019−61150号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低温低湿環境における静電荷像現像用トナーの過剰帯電を抑制し、細線再現性を向上させることのできる画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法であって、前記電子写真感光体が感光層を有し、当該感光層が、電荷輸送物質として、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有し、かつ、前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することによって、上記課題を解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法であって、
前記電子写真感光体が感光層を有し、
当該感光層が、電荷輸送物質として、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有し、かつ、
前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することを特徴とする画像形成方法。
Figure 2021131520
(一般式(1)中、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は、炭素数6〜30のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。p及びqは、各々独立に、0、1又は2を表す。)
2.前記チタン酸化合物粒子が、チタン以外の金属元素を更に含有することを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
3.前記チタン酸化合物粒子が、ランタン、スズ、ケイ素、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又はバリウムを更に含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
4.前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸カルシウム粒子、又はチタン酸バリウム粒子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
5.前記チタン酸化合物粒子が、ランタン元素を更に含有することを特徴とする第4項に記載の画像形成方法。
6.前記感光層が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を更に含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
Figure 2021131520
(一般式(2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)
7.前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として、1次粒子の個数平均径が5〜40nmの範囲内のシリカ粒子を含有し、かつ、
当該シリカ粒子の粒度分布の変動係数が20%以下であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
8.静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成システムであって
第1項から第7項までのいずれか一項に記載の画像形成方法を実施することを特徴とする画像形成システム。
本発明の上記手段により、高速でのプリントを可能にすると同時に、低温低湿環境における静電荷像現像用トナーの過剰帯電を抑制し、細線再現性を向上させることのできる画像形成方法及び画像形成システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
特定構造のトリフェニルアミン系化合物は、大きな共役系を有するため電荷輸送速度が速い。
このような化合物を感光層に電荷輸送物質として添加することで高速応答性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
しかしながら、共役系が大きいことから電荷が拡散しやすく、潜像形成において画像部分の電位低下が不十分となりやすい。特に低温低湿環境においては、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の現像性が低下しやすいために細線の再現性が悪化する場合がある。
ここで、チタン酸化合物は電気抵抗が低いため、トナーに蓄積した電荷はチタン酸化合物粒子を通じて放出されやすい。
したがって、前記トナーに外添剤として一次粒子の個数平均粒径を適切な範囲内としたチタン酸化合物粒子を含有させることで、低温低湿環境でもトナーの過剰な帯電が抑制され、細線の再現性を向上させることができる。
チタン酸化合物は、一次粒子の個数平均粒径を10〜80nmの範囲内と比較的小径にすることで、トナー表面に均一に分散しやすく、埋没・脱離しにくくなる。
したがって、トナーの過剰な帯電は長期にわたって抑制されやすくなる。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図 本発明の画像形成方法及び画像形成システムに用いられる電子写真画像形成装置の全体構成の一例を示す模式図
本発明の画像形成方法は、静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法であって、前記電子写真感光体が感光層を有し、当該感光層が、電荷輸送物質として、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有し、かつ、前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、前記チタン酸化合物粒子が、チタン以外の金属元素を更に含有することが、電気抵抗を下げる観点から好ましい。
具体的には、前記チタン酸化合物粒子が、ランタン、スズ、ケイ素、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又はバリウムを更に含有することが上記と同じ理由により好ましい。
さらに、前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸カルシウム粒子、又はチタン酸バリウム粒子であることが、製造上、粒径の大きさを制御しやすい観点から好ましい。
また、当該チタン酸化合物粒子が、ランタン元素を更に含有することが好ましい。
本発明の実施形態としては、前記感光層が、前記一般式(2)で表される構造を有する化合物を更に含有することが機械的強度の点で好ましい。
また、前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として、1次粒子の個数平均径が5〜40nmの範囲内のシリカ粒子を含有し、かつ、当該シリカ粒子の粒度分布の変動係数が20%以下であることがトナー表面への分散性を向上させる観点で好ましい。
本発明の画像形成方法は、現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成システムに好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の画像形成方法及び画像形成システムの概要]
本発明の画像形成方法及び画像形成システムは、静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法であって、前記電子写真感光体が感光層を有し、当該感光層が、電荷輸送物質として、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有し、かつ、前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することを特徴とする。
なお、本発明の画像形成システムは、本発明に係る電子写真感光体を備え前記各工程等の工程を実施できる画像形成装置において本発明に係る静電荷像現像用トナーを用いて画像を形成するシステムである。
以下において、本発明の画像形成方法及び画像形成システムの構成要素について順次説明する。
1.画像形成方法における工程
本発明の画像形成方法は、静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法である。
工程としては、下記の各種工程を含む形態であることが好ましい。各工程の詳細については後述する。
(a)電子写真感光体(「感光体」又は「像担持体」ともいう。)を帯電させる工程
(b)帯電された前記感光体を露光することによって静電潜像を形成させる工程
(c)前記静電潜像を静電荷像現像用トナーによって現像する工程
(d)現像されたトナー像を転写材に転写する工程
(e)転写材に転写されたトナー像を定着する工程
(f)前記トナー像を転写した後に前記感光体上をクリーニングブレードにてクリーニ ングする工程
2.電子写真感光体
本発明に係る電子写真感光体は、感光層を有し、当該感光層が、電荷輸送物質として、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
図1に、電子写真感光体の層構成の一例の概略部分断面図を示す。図1に示す電子写真感光体7は、導電性支持体4上に、下引層1、電荷発生層2及び電荷輸送層3がこの順序で積層された構造を有する。そして、電荷発生層2及び電荷輸送層3が感光層5を構成している。
なお、電子写真感光体7は、下引層1が設けられていない層構成であってもよい。また、電子写真感光体7は、電荷発生層2と電荷輸送層3との機能が一体化した単層型感光層であってもよい。
以下、電子写真感光体の各要素について説明する。なお、各要素の符号は、省略して説明する。
2.1.感光層
本発明に係る感光層は、電荷発生又は電荷輸送の機能を担う電荷発生層と電荷輸送層とを有する。
前記感光層は、電荷輸送物質として、特定構造のトリフェニルアミン系化合物である下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
前記感光層は、電荷輸送物質として特定構造のベンジジン系化合物である下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を更に含有することが、機械的強度の点で好ましい。
前記感光層は、単一層でも良く、機能ごとに層を分けても良い。
前記感光層が単一層(電荷発生/電荷輸送層)の場合は、例えば、電荷発生物質と電荷輸送物質と、必要に応じて、バインダー樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、後述する電荷発生層及び電荷輸送層で説明する物質と同様である。
そして、前記感光層が単一層の場合、電荷発生物質の含有量は、全固形分に対して0.1〜10質量%の範囲内がよく、好ましくは0.8〜5質量%の範囲内である。また、単層型感光層中、電荷輸送物質の含有量は、全固形分に対して5〜50質量%の範囲内がよい。
前記単一層の形成方法は、後述する電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
前記単一層の層厚は、例えば、5〜50μmの範囲内がよく、好ましくは10〜40μmの範囲内である。
2.1.1.電荷輸送層
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含む層である。
(電荷輸送物質)
本発明に係る感光層は、電荷輸送物質として、特定構造のトリフェニルアミン系化合物である前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
前記感光層は、電荷輸送物質として特定構造のベンジジン系化合物である前記一般式(2)で表される構造を有する化合物を更に含有することが、機械的強度の点で好ましい。
また、前記一般式(2)中のRC21〜RC23は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが、樹脂への溶解性の観点から好ましい。
〔トリフェニルアミン系電荷輸送物質〕
トリフェニルアミン系電荷輸送物質は、トリフェニルアミン構造に、ブタジエン構造「−CH=CH−CH=C=」を含む基が3つ連結した電荷輸送物質である。具体的には、トリフェニルアミン構造の3つフェノール骨格に、各々、ブタジエン構造「−CH=CH−CH=C=」を含む基が連結した電荷輸送物質である。
より具体的には、例えば、トリフェニルアミン系化合物としては、下記一般式(1)で示される電荷輸送物質が挙げられる。
Figure 2021131520
(一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は、炭素数6〜30のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。p及びqは、各々独立に、0、1又は2を表す。)
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すアルキル基としては、炭素数1〜20(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニ
ル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、イソウンデシル基、sec−ウンデシル基、tert−ウンデシル基、ネオウンデシル基、イソドデシル基、sec−ドデシル基、tert−ドデシル基、ネオドデシル基、イソトリデシル基、sec−トリデシル基、tert−トリデシル基、ネオトリデシル基、イソテトラデシル基、sec−テトラデシル基、tert−テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1−イソブチル−4−エチルオクチル基、イソペンタデシル基、sec−ペンタデシル基、tert−ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、tert−ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、1−メチルペンタデシル基、イソヘプタデシル基、sec−ヘプタデシル基、tert−ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル基、sec−オクタデシル基、tert−オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec−ノナデシル基、tert−ノナデシル基、ネオノナデシル基、1−メチルオクチル基、イソイコシル基、sec−イコシル基、tert−イコシル基、ネオイコシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すアルコキシ基としては、炭素数1〜20(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基、イソウンデシルオキシ基、sec−ウンデシルオキシ基、tert−ウンデシルオキシ基、ネオウンデシルオキシ基、イソドデシルオキシ基、sec−ドデシルオキシ基、tert−ドデシルオキシ基、ネオドデシルオキシ基、イソトリデシルオキシ基、sec−トリデシルオキシ基、tert−トリデシルオキシ基、ネオトリデシルオキシ基、イソテトラデシルオキシ基、sec−テトラデシルオキシ基、tert−テトラデシルオキシ基、ネオテトラデシルオキシ基、1−イソブチル−4−エチルオクチルオキシ基、イソペンタデシルオキシ基、sec−ペンタデシルオキシ基、tert−ペンタデシルオキシ基、ネオペンタデシルオキシ基、イソヘキサデシルオキシ基、sec−ヘキサデシルオキシ基、tert−ヘキサデシルオキシ基、ネオヘキサデシルオキシ基、1−メチルペンタデシルオキシ
基、イソヘプタデシルオキシ基、sec−ヘプタデシルオキシ基、tert−ヘプタデシルオキシ基、ネオヘプタデシルオキシ基、イソオクタデシルオキシ基、sec−オクタデシルオキシ基、tert−オクタデシルオキシ基、ネオオクタデシルオキシ基、イソノナデシルオキシ基、sec−ノナデシルオキシ基、tert−ノナデシルオキシ基、ネオノナデシルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、イソイコシルオキシ基、sec−イコシルオキシ基、tert−イコシルオキシ基、ネオイコシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すフェニル基としては、炭素数6〜30(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜16)のフェニル基が挙げられる。
なお、一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子及び基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基など)が挙げられる。
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRの隣接する二つの置換基同士(例えばR及びR同士、R及びR同士、R及びR同士)が連結した炭化水素環構造における、当該置換基同士を連結する基としては、単結合、2,2’−メチレン基、2,2’−エチレン基、2,2’−ビニレン基などが挙げられ、これらの中でも単結合、2,2’−メチレン基が好ましい。
ここで、炭化水素環構造として具体的には、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルカンポリエン構造等が挙げられる。
一般式(1)において、p及びqは、1であることが好ましい。
一般式(1)において、電荷輸送能の高い感光層(電荷輸送層)形成の点から、R、R、R、R、R、及びRが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、p及びqが1又は2を表することが好ましく、R、R、R、R、R、及びRが水素原子を表し、p及びqが1を表すことがより好ましい。
つまり、トリフェニルアミン系電荷輸送物質は、下記構造式(1A)で表される電荷輸送物質(例示化合物(CT1−3))であることがより好ましい。
Figure 2021131520
以下に、トリフェニルアミン系電荷輸送物質(CT1)の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。
Figure 2021131520
なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。また、置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示している。
・−CH:メチル基
・−OCH:メトキシ基
ここで、電荷輸送物質に占めるトリフェニルアミン系電荷輸送物質の割合は、10〜60質量%の範囲内が好ましく、30〜50質量%の範囲内がより好ましい。
〔ベンジジン系電荷輸送物質〕
ベンジジン系電荷輸送物質は、ベンジジン構造「N−Ph−Ph−N(ただし、Ph=フェニル基)」を有する電荷輸送物質である。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送物質としては、下記一般式(2)で表される電荷輸送物質が挙げられる。
Figure 2021131520
(一般式(2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)
一般式(2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアルキル基としては、炭素数1〜10(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec
−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアリール基としては、炭素数6〜10(好ましくは6〜9、より好ましくは6〜8)のアリール基が挙げられる。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
なお、一般式(2)において、RC21、RC22、及びRC23が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子及び基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基など)が挙げられる。
一般式(2)において、特に、電荷輸送能の高い感光層(電荷輸送層)形成の点から、RC21、RC22、及びRC23が、各々独立に、水素原子、又は、炭素数1〜10のアルキル基を表すことが好ましく、RC21、及びRC23が水素原子を表し、RC22が炭素数1〜10のアルキル基(特に、メチル基)を表すことがより好ましい。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送物質(CT2)は、下記構造式(2A)で示される電荷輸送物質(例示化合物(CT2−2))であることが特に好ましい。
Figure 2021131520
以下に、ベンジジン系電荷輸送物質の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。
Figure 2021131520
なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。また、置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示している。
・−CH:メチル基
・−C:エチル基
・−OCH:メトキシ基
・−OC:エトキシ基
ここで、電荷輸送物質に占めるベンジジン系電荷輸送物質の割合は、20〜80質量%の範囲内が好ましく、40〜70質量%の範囲内がより好ましい。
電荷輸送物質は、トリフェニルアミン系電荷輸送物質及びベンジジン系電荷輸送物質以外の他の電荷輸送物質を併用してもよい。
電荷輸送層中におけるバインダー樹脂と電荷輸送物質との質量比としては、例えば2:8〜8:2の範囲がよい。
電荷輸送物質の含有量としては、例えば、電荷輸送層全体に対して、20〜80質量%の範囲内が好ましく、40〜60質量%の範囲内がより好ましい。
なお、トリフェニルアミン系電荷輸送物質とベンジジン系電荷輸送物質との質量比(トリフェニルアミン系電荷輸送物質/ベンジジン系電荷輸送物質)は、高速な画像形成による画像濃度低下抑制の観点から、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜5/5がより好ましい。
(バインダー樹脂)
電荷輸送層に用いるバインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、バインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらのバインダー樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
バインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂が好ましく、下記一般式(PCA)で示される構造単位と、下記一般式(PCB)で示される構造単位と、を含むポリカーボネート樹脂がより好ましい。
Figure 2021131520
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、又は、炭素数6〜12のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアルキル基としては、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルが挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すアルキレン基としては、炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。
直鎖状のアルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基等が挙げられる。
分岐状のアルキレン基として具体的には、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基、イソウンデシレン基、sec−ウンデシレン基、tert−ウンデシレン基、ネオウンデシレン基、イソドデシレン基、sec−ドデシレン基、tert−ドデシレン基、ネオドデシレン基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すシクロアルキレン基としては、炭素数3〜12(好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基として具体的には、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が好ましい。
なお、一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、RP4、及びXP1が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば炭素数5〜7のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜4のアルコキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
一般式(PCA)において、RP1、及びRP2は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表すことが好ましく、RP1、及びRP2は、水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(PCB)において、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、XP1がアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表すことが好ましい。
BPポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、例示化合物中、pm及びpnは共重合比を示す。
Figure 2021131520
ここで、ポリカーボネート樹脂において、一般式(PCA)で示される構造単位の含有率(共重合比)は、ポリカーボネート樹脂を構成する全構造単位に対して5〜95モル%の範囲内がよく、感光層(電荷輸送層)の耐磨耗性を高める観点から、好ましくは5〜50モル%の範囲内、さらに好ましくは15〜30モル%の範囲内である。
具体的には、ポリカーボネート樹脂の上記例示化合物中、pm及びpnは共重合比(モル比)を示すが、pm:pn=95:5から5:95の範囲、50:50から5:95の範囲、更に好ましくは、15:85から30:70の範囲が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂を他のバインダー樹脂と併用する場合、他のバインダー樹脂の含有量は全バインダー樹脂に対して10質量%(好ましくは5質量%以下)であることがよい。
ここで、バインダー樹脂(特に、ポリカーボネート樹脂)の粘度平均分子量は、40,000〜80,000の範囲内が好ましく、塗布液の安定化の観点から、40,000〜60,000の範囲内が好ましい。
なお、バインダー樹脂(特に、ポリカーボネート樹脂)の粘度平均分子量の測定方法としては、次の方法により測定される値である。樹脂1gをメチレンクロライド100cmに均一溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計により、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕cの関係式(ただしcは濃度(g/cm)より極限粘度〔η〕(cm/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
バインダー樹脂の含有量は、例えば、電荷輸送層の全固形分に対して、10〜90質量%の範囲内が好ましく、30〜90質量%の範囲内がより好ましく、50〜90質量%の範囲内が更に好ましい。
(酸化防止剤)
本発明においては、感光層に酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤は、電荷輸送層(感光層)の内部又は表面に存在する酸化性物質に対して、光、熱、放電などの条件下で酸素の作用を防止又は抑制する性質を有する物質である。
酸化防止剤としては、ラジカル重合禁止剤、過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ジアリルアミン系酸化防止剤、ジアリルジアミン系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。過酸化物分解剤としては、有機硫黄系(例えばチオエーテル系)酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。
これの中でも、酸化防止剤としてはラジカル重合禁止剤がよく、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤としては、一分子中に、酸化防止作用を持つ異なる骨格を2つ以上有する酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール骨格とヒンダードアミン骨格とを有する酸化防止剤等)であってもよい。
これら酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の含有量は、電荷輸送層の全固形分に対して、0〜0.25質量部であり、0〜0.2質量部が好ましく、0〜0.15質量部がより好ましい。
なお、酸化防止剤の含有量が低ければ、高速な画像形成による画像濃度の低下が抑制され易く、酸化防止剤の含有量が高ければ、帯状画像欠陥が抑制され易くなる。そのため、これら考慮して、酸化防止剤の含有量を調整することがよい。
(その他添加剤)
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5〜50μmの範囲内、より好ましくは10〜30μmの範囲内に設定される。
(電荷輸送物質の分析)
一般式(1)又は(2)で表される化合物の分析は、感光層を有機溶媒(アセトン)で溶解させ、NMR、LC/MS測定により各成分の定性を行った。また、有機溶媒(アセトン)可溶分について逆相HPLC/コロナCAD測定により電荷輸送材料の組成比算出を行うことができる。
2.1.2.電荷発生層
電荷発生層は、例えば、電荷発生物質とバインダー樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着層であってもよい。
(電荷発生物質)
電荷発生物質としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生物質としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生物質としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450〜780nmの範囲内に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生物質を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやす
い電荷発生物質を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生物質として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生物質としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
これらの中でも、電荷発生物質としては、電荷発生効率の点で、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料であることが好ましく、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより好ましい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600〜900nmの範囲内の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲内の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から好ましい。
また、上記の810〜839nmの範囲内に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが好ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが好ましく、0.01〜0.15μmの範囲内であることがより好ましい。一方、BET比表面積が45m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましく、55〜120m/gの範囲内であることが特に好ましい。
平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、より好ましくは0.3μm以下である。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m/g以上であることが好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜に回折ピークを有するV型であることが好ましい。
電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(バインダー樹脂)
電荷発生層に用いるバインダー樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、バインダー樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらのバインダー樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生物質とバインダー樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
(その他の添加剤)
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
(電荷発生層の形成)
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生物質の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生物質として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生物質)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生物質の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1〜5.0μmの範囲内、より好ましくは0.2〜2.0μmの範囲内に設定される。
2.1.3.導電性支持体
導電性支持体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性支持体の表面は、電子写真感光体がレーザープリンタに使用される場合、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性支持体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性支持体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性支持体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。粗面化のための層としては、後述の下引層を用いることも可能である。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性支持体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性支持体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3〜15μmが好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性支持体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10〜11質量%の範囲、クロム酸が3〜5質量%の範囲、フッ酸が0.5〜2質量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5〜18質量%の範囲がよい。処理温度は例えば42〜48℃が好ましい。被膜の膜厚は、0.3〜15μmが好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90〜100℃の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90〜120℃の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
2.1.4.下引層
下引層は、例えば、無機粒子とバインダー樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10〜1011Ωcmの範囲内の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50〜2000nmの範囲内(好ましくは60〜1000nmの範囲内)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、バインダー樹脂に対して、10〜80質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%の範囲内である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面修飾剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面修飾剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面修飾剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5〜10質量%の範囲内が
好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面修飾剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面修飾剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01〜20質量%の範囲内がよく、好ましくは0.01〜10質量%の範囲内である。
下引層に用いるバインダー樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いるバインダー樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いるバインダー樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これらバインダー樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラ
クテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザー波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは0.5〜20μm以上、より好ましくは2〜15μmの範囲内に設定される。
2.1.5.中間層
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポ
リビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1〜3μmの範囲内に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
2.1.6.その他:保護層
本発明に係る電子写真感光体は、更に保護層を設けることも好ましい。保護層は、重合性化合物、金属酸化物粒子、必要に応じて重合開始剤、特定のラジカル捕捉剤、及び電荷輸送物質、樹脂微粒子等の他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この保護層形成用塗布液を電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物成分を重合させ、硬化されることにより保護層を形成することができる。
保護層の形成に用いられる溶媒としては、重合性化合物、金属酸化物微粒子、及び特定の電荷輸送物質を溶解又は分散させることができればいずれのものも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
保護層形成用塗布液は、円形スライドホッパー塗布装置を用いてスライドホッパー法にて塗布することが、保護層を極力溶解させないという観点から好ましく、例えば、特開2015−114454号公報など開示されている方法で塗布することができる。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、好ましくは5〜500mJ/cmの範囲内、より好ましくは5〜100mJ/cmの範囲内である。
ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、より好ましくは0.5〜4kWの範囲内であり、さらに好ましくは0.5〜3kWの範囲内である。
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
保護層の形成の工程においては、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
2.2.電子写真感光体の製造方法
本発明の感光体は、特に制限されないが、下記工程を有する製造方法で製造されることが好ましい。
工程(1):必要に応じて、導電性支持体の外周面に下引層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、下引層を形成する工程、
工程(2):導電性支持体の外周面に、又は工程(1)により導電性支持体上に形成された下引層の外周面に、電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程、
工程(3):下引層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程、
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布し、重合し、硬化させることにより保護層を形成する工程。
各層を形成するための塗布液中の各成分の濃度は、各層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
各層を形成するための塗布液において、導電性粒子や金属酸化物粒子等の粒子や電荷発生物質等の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
各層を形成するための塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
3.静電荷像現像用トナー
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも樹脂(以下、バインダー樹脂ともいう。)と着色剤とからなるトナー母体粒子と、外添剤とを含有する。本発明に係るトナー母体粒子は、バインダー樹脂及び着色剤のほか、必要に応じて離型剤、帯電制御剤、又は界面活性剤などの種々の内添剤を含有してもよい。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいい、トナー粒子とは、上述のトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。また、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」ともいう。
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することを特徴とする。
チタン酸化合物粒子の一次粒子の個数平均粒径が上記の範囲であることは、チタン酸化合物粒子の埋没や脱離を抑制する観点から好ましく、また電気抵抗を下げる観点からチタン以外の金属元素を含むことが好ましい。
チタン酸化合物粒子が、ランタン、スズ、ケイ素、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム、又はバリウムを更に含有することが電気抵抗を下げる観点からより好ましい。
前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸カルシウム粒子、又はチタン酸バリウム粒子であることが製造上、粒径の大きさを制御しやすい観点から
好ましい。
上記チタン酸化合物粒子が、ランタン元素を更に含有することが、製造しやすさ、電気抵抗低下の観点から好ましい。
また、ランタンを含有させることで粒子形状が直方体ではなくやや丸みを帯びた形状となるため、トナーへの埋没抑制、感光体劣化抑制の観点からも好ましい。
前記トナーが外添剤として、1次粒子の個数平均径が5〜40nmの範囲内のシリカ粒子を含有することが好ましい。
小径で粒度分布がシャープなシリカ粒子は、トナー表面への分散性が良い。
また、負帯電性が強いため、どちらかというと正帯電性であるチタン酸化合物粒子を静電的に引き付ける。
これらのことにより、チタン酸化合物のトナー粒子表面への分散性が一層向上する。
球形シリカ粒子は、ゾル・ゲル法によって製造された球形シリカ粒子であると、一般的な製造方法であるヒュームドシリカに比べて、粒度が揃う(粒度分布が狭い、すなわち単分散である)ため好ましい。したがって、前記シリカ粒子の粒度分布の変動係数が20%以下であることが好ましい。
以下において、外添剤等について詳細な説明をする。
3.1.外添剤
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有する。このような外添剤は、トナー母体粒子の表面に添加(外添)されるものであり、本発明に係る静電苛現像用トナーにおいては、無機微粒子を含む。さらに無機微粒子は、表面修飾剤で疎水化処理されたチタン酸化合物を含む。
(チタン酸化合物)
本発明で使用可能なチタン酸化合物としては、たとえば、酸化チタン(IV)と他の金属酸化物又は金属炭酸塩から生成される、いわゆるメタチタン酸塩と呼ばれる下記一般式で表される化合物がその代表的なものである。
一般式: MITiO又はMIITiO
(式中、MIは1価の金属原子、MIIは2価の金属原子を表すものである。)
本発明に使用可能なチタン酸化合物は、MIITiOで表される2価の金属原子と結合した構造のチタン酸化合物が好ましい。2価の金属原子と結合したチタン酸化合物の具体例としては、たとえば、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸マグネシウム(MgTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)等が挙げられる。これらの2価の金属原子と結合したチタン酸化合物の中でも、環境への影響等の視点及び帯電量を長期にわたり一定レベルに維持させるという視点から、チタン酸カルシウム(CaTiO)が好ましい。
本発明に使用可能なチタン酸化合物は、公知の方法により作製することが可能である。本発明に使用可能なチタン酸化合物の作製方法としては、たとえば、メタチタン酸と呼ばれる水和物の形態を有する酸化チタン(IV)化合物TiO・HOを経て作製する方法がある。
この方法は、前記酸化チタン(IV)化合物を炭酸カルシウム等の炭酸金属塩あるいは金属酸化物と反応させた後、焼成処理によりチタン酸カルシウムに代表されるチタン酸化合物を生成する方法である。なお、メタチタン酸等の酸化チタンの加水分解物は、鉱酸解膠品とも呼ばれ、酸化チタン粒子が分散した液の形態を有するものである。この酸化チタン加水分解物よりなる鉱酸解膠品に水溶性の炭酸金属塩や金属酸化物を添加し、その混合液を50℃以上にしてアルカリ水溶液を添加しながら反応することによりチタン酸化合物が作製される。
鉱酸解膠品の代表例の1つであるメタチタン酸は、亜硫酸SOの含有量が1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下で、塩酸によりpH0.8〜1.5に調整して解膠処理したものである。
チタン酸化合物の作製に使用されるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液に代表される苛性アルカリ水溶液が好ましい。また、酸化チタンの加水分解物と反応させる化合物としては、ストロンチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、ナトリウム等の硝酸化合物、炭酸化合物、塩化化合物等が挙げられる。
チタン酸化合物の製造工程では、酸化チタンの水和物や加水分解物と金属酸化物等の添加比率、反応時における酸化チタン水和物や加水分解物の濃度、アルカリ水溶液添加時の温度や添加速度等を調整して、チタン酸化合物の粒径を制御することができる。また、反応工程で炭酸化合物の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
アルカリ水溶液を添加する時の温度は、高いほど結晶性のものが得られるが、実用的には50〜101℃の範囲内が適切である。また、アルカリ水溶液の添加速度は得られるチタン酸化合物の粒子径に影響を与える傾向があり、添加速度が遅いほど粒子径の大きなチタン酸化合物が得られ、添加速度が速いほど粒子径の小さなものが形成される傾向がある。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込原料に対し0.001〜1.0当量/時、好ましくは0.005〜0.5当量/時で、所望の粒子径に応じて適宜調整することが可能である。アルカリ水溶液の添加速度は目的に応じて途中で変更することも可能である。
〔表面修飾剤〕
本発明において、外添剤粒子として使用するチタン酸化合物は、表面修飾剤としては、一般的なシランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸、及び脂肪酸金属塩などを用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等が挙げられる。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。
シリコーンオイルの具体例としては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。また、側鎖、又は片末端や両末端や側鎖片末端や側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルを用いても良い。変性基の種類としては、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル、アミノなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、例えば、アミノ/アルコキシ変性など数種の変性基を有するシリコーンオイルであっても良い。また、ジメチルシリコーンオイルとこれら変性シリコーンオイル、更には他の表面修飾剤とを混合処理若しくは併用処理しても構わない。
表面修飾剤としてはシランカップリング剤が好ましく、下記式(1)で表されるシランカップリング剤がより好ましい。
式(1): X−Si(OR)
(式中、Xは炭素数4〜12のアルキル基、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
上記式(1)で表されるシランカップリング剤は、炭素数4〜12のアルキル鎖を有するシランカップリング剤である。当該シランカップリング剤を用いると、シランカップリング剤の反応基によりチタン酸化合物表面の水酸基を減らすことが可能である。さらに疎水性のアルキル鎖をチタン酸化合物が持つようになるため、帯電量のリークを抑える効果がより発揮される。式(1)中のRの炭素数は、4以上であれば、チタン酸化合物のカーボン量を調整して帯電リークを抑える機能を持たせることができるようになり、また、炭素数が12以下であれば、長いアルキル鎖同士の絡み合いによる凝集を防止して、トナー表面に外添する際の分散性を高めることができる。Rのより好ましくは炭素数は4〜8である。
式(1)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、イソブチルトリメトキシシランや、オクチルトリメトキシシランが挙げられる。
〔表面修飾方法〕
表面修飾方法としては、例えば、気相中で浮遊させられた粒子に対して修飾剤又は修飾剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法、修飾剤を含有する溶液中に粒子を浸漬し、乾燥する湿式法、修飾剤と粒子を混合機により混合する混合法などが挙げられる。
(チタン酸化合物の一次粒子の個数平均径)
外添剤としてのチタン酸化合物の一次粒子の個数平均径は、トナー粒子に外添剤を外添(分散)させた後、外添剤の一次粒子100個を走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)にて40000倍で観察し、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径及び最短径を測定し、この中間値から球相当径として測定する。そして、測定した一次粒子径の100個の平均を数平均一次粒子径とする。
〔チタン酸化合物以外の無機微粒子や有機微粒子、滑材等〕
外添剤は、チタン酸化合物の使用による効果が損なわれない限り、上記のチタン酸化合物以外の無機微粒子や有機微粒子、滑材を含んでもよい。
チタン酸化合物微粒子以外の無機微粒子の例には、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子などが含まれる。当該無機微粒子は、必要に応じて公知のシランカップリング剤やシリコーンオイルなどの表面修飾剤によって疎水化処理されていてもよい。また、上記無機微粒子の大きさは、数平均一次粒径で20〜500nmの範囲内であることが好ましく、70〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
上記有機微粒子には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機微粒子を使用することができる。上記有機微粒子の大きさは、数平均一次粒子径で10〜2000nm程度であり、その粒子形状は、例えば球形である。
上記滑剤は、クリーニング性や転写性をさらに向上させる目的で使用される。上記滑剤の例には、高級脂肪酸の金属塩が挙げられ、より具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩;オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩;パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩;リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩;リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩;が含まれる。上記滑剤の大きさは、体積基準のメディアン径(体積平均粒径)で0.3〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
上記トナー粒子におけるチタン酸化合物微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して0.1〜10.0質量部の範囲内であることが好ましい。チタン酸化合物微粒子以外の外添剤を使用する場合には、外添剤の総量(即ち、チタン酸化合物微粒子と他の外添剤との合計量)が上記範囲内であることが好ましい。
外添剤は、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用してトナー母体粒子に添加することができる。
(チタン酸化合物の種類、チタン酸化合物に含まれる金属)
チタン酸化合物に含まれる金属は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子製)にエネルギー分散型X線分析装置(EDS)「JED−2300」(日本電子製)を組み込んだ装置を用いて求めることができる。
詳細には、トナー粒子表面の外添剤に対して元素マッピングを行い、チタニア元素が検出された外添剤粒子において、同時に検出される元素を求めることにより、特定することができる。
EDS条件は、加速電圧:20kV、照射電流:2.56nA、PHAモード:T3である。
(チタン酸化合物粒子の円形度の測定方法)
チタン酸化合物における円形度の測定は、100個のチタン酸化合物について走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)にて40000倍の写真を撮影し、この写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX(登録商標)AP」((株)ニレコ製)を用いて画像解析することにより行う。
解析された画像から円相当径周囲長及び周囲長を求めた上で、下記式(1)に従って各々のチタン酸化合物の円形度を求め、それらを平均して求める。
式(1):円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)1/2]/PM
上式において、Aはチタン酸化合物の投影面積、PMはチタン酸化合物の周囲長を表す。円形度は、1.0の場合は真球であり、数値が低いほど外周に凹凸があり、異形の度合いが高くなる。
(トナー粒子の粒径の測定方法)
一次粒子の個数平均粒径は、トナー粒子に外添剤を外添(分散)させた後、外添剤の一次粒子100個を走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)にて40000倍で観察し、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径及び最短径を測定し、この中間値から球相当径として測定する。そして、測定した一次粒子径の100個の平均を、一次粒子の個数平均粒子径とする。
粒度分布の変動係数は、上記で求めた一次粒子の個数平均粒子径から下記式にて算出する。
変動係数=((一次粒子の個数平均粒径の標準偏差)/(一次粒子の個数平均粒子径))×100(%)
なお、球形粒子の「球形」とは、球形化度が0.6以上であることをいう。より好ましくは球形化度が0.8以上である。本発明において、球形化度とは、Wadellの真の球形化度である。すなわち、球形化度は、下記式(A)で表されるものである。
式(A)球形化度=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積)
ここで、「実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積」は、下記方法から求めた個数平均粒径から算術計算により求めることができる。また、「実際の粒子の表面積」は、「粉体比表面積測定装置SS−100」(島津製作所製)を用いて求めたBET比表面積で代用することができる。
3.2.バインダー樹脂
本発明に係るトナー母体粒子は、非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含有することが好ましく、非晶性樹脂はポリエステル樹脂又はビニル樹脂であることがより好ましい。また、本発明に係るトナー母体粒子は、着色剤を含有し、さらに必要に応じて、離型剤(ワックス)及び荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
本発明では、バインダー樹脂全体に対して非晶性樹脂を50〜95質量%、結晶性樹脂を5〜30質量%の範囲内で含有することが好ましい。
<結晶性樹脂>
本発明において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性樹脂の融点Tmcは、十分な高温保存性を得る観点から60℃以上であることが好ましく、十分な低温定着性を得る観点から85℃以下であることが好ましい。
結晶性樹脂の融点Tmcは、DSCにより測定することができる。具体的には、結晶性樹脂の試料0.5mgをアルミニウム製パン「KITNO.B0143013」に封入し、熱分析装置「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、10℃/分の昇温速度で0℃から200℃まで昇温し、得られた吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を結晶性樹脂の融点(Tmc)として測定する。
トナー母体粒子に対する結晶性樹脂の含有量は、十分な低温定着性を得る観点から、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、7〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。
当該含有量が5質量%以上である場合、十分な可塑効果が得られ、低温定着性が十分となる。また、当該含有量が20質量以下である場合、トナーとしての熱的安定性や物理的なストレスに対する安定性が十分となる。
結晶性樹脂としては、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂及びポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの中でも十分な低温定着性及び光沢均一性を得ることができ、かつ、使い易さの観点から結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、結晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、2500〜5000の範囲内であることが好ましく、3000〜4500の範囲内であることがより好ましい。これらの範囲内とすることで、結晶性樹脂の溶液粘度を上述した好適範囲に調整することができる。また、定着画像の強度が不足することがなく、現像液撹拌中に結晶性樹脂が粉砕されたり、過度な可塑効果によりトナーのガラス転移温度Tgが低下して、トナーの熱的安定性が低下することもない。また、シャープメルト性が発現し、低温定着が可能となる。
上記Mn及び重量平均分子量Mwは、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
測定試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温においてロールミルを用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製した。GPC装置HLC−8320GPC EcoSEC(東ソー社製)及びカラムTSKgel guardcolumn SuperHZ−L + TSKgel SuperHZM−M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.35mL/minで流した。キャリア溶媒とともに、調製した試料液50μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出した。検量線は、分子量がそれぞれ6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成した。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。
多価カルボン酸の例には、ジカルボン酸が含まれる。このジカルボン酸は、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、芳香族ジカルボン酸をさらに含んでいてもよい。脂肪族ジカルボン酸は、直鎖型であることが、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、これらの低級アルキルエステル、及び、これらの酸無水物、が含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数6〜16の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、さらに炭素数10〜14の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4′−ビフェニルジカルボン酸が含まれる。中でも、入手容易性及び乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸又はt−ブチルイソフタル酸が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂における上記ジカルボン酸由来の構成単位に対する脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性を十分に確保する観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
多価アルコール成分の例には、ジオールが含まれる。ジオールは、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジオールであることが好ましく、それ以外のジオールをさらに含んでいてもよい。脂肪族ジオールは、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、直鎖型であることが好ましい。
脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール
及び1,20−エイコサンジオールが含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数が2〜120の脂肪族ジオールが好ましく、さらに炭素数が4〜10の脂肪族ジオールがより好ましい。
その他のジオールの例には、二重結合を有するジオール、及び、スルホン酸基を有するジオール、が含まれる。具体的には、二重結合を有するジオールの例には、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが含まれる。
結晶性ポリエステル樹脂におけるジオール由来の構成単位に対する脂肪族ジオール由来の構成単位の含有量は、トナーの低温定着性及び最終的に形成される画像の光沢性を高める観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂のモノマーにおける上記ジオールと上記ジカルボン酸との割合は、ジオールのヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]で2.0/1.0〜1.0/2.0の範囲内であることが好ましく、1.5/1.0〜1.0/1.5の範囲内であることがより好ましく、1.3/1.0〜1.0/1.3の範囲内であることが特に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及び、アミン化合物;が含まれる。
具体的には、スズ化合物の例には、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、及びこれらの塩が含まれる。チタン化合物の例には、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;及び、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレートが含まれる。ゲルマニウム化合物の例には、二酸化ゲルマニウムが含まれ、アルミニウム化合物の例には、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシド、及び、トリブチルアルミネート、が含まれる。
結晶性ポリエステル樹脂の重合温度は、150〜250℃の範囲内であることが好ましい。また、重合時間は、0.5〜10時間であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
本発明に係る結晶性樹脂は、1種でもよいが、2種以上であってもよい。
<非晶性樹脂>
本発明に係る非晶性樹脂は、上記の結晶性を有さない樹脂である。例えば、非晶性樹脂は、非晶性樹脂又はトナー粒子の示差走査熱量測定(DSC)を行ったときに、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。
なお、上記非晶性樹脂のTgは、20〜80℃の範囲内であることが好ましく、特に30〜65℃の範囲内であることが好ましい。
ガラス転移温度は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)に準じて測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー社製)などを用いることができる。具体的には、トナー3.0mgをアルミニウム製パンに封入して測定を行う。リファレンスとして空のアルミニウム製パンを使用する。昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温し、1分間200℃で等温保持する一回目の昇温過程、冷却速度10℃/minで200℃から0℃まで冷却し、1分間0℃で等温保持する冷却過程、及び昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する二回目の昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)において、0℃から200℃まで昇温する二回目の昇温過程によって得られたDSC曲線からガラス転移温度を求めることができる。
非晶性樹脂は、1種でもそれ以上でもよい。非晶性樹脂の例には、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂が含まれる。
本発明では、非晶性樹脂は、熱可塑性を制御しやすい観点から、ビニル樹脂をバインダー樹脂における主成分として含有することが好ましく、非晶性ポリエステル樹脂も含有することが好ましい。なお、本発明においては、主成分とは、バインダー樹脂中に当該樹脂を50質量%以上含有することをいう。
上記ビニル樹脂は、例えばビニル化合物の重合体であり、その例には、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂、及び、エチレン−酢酸ビニル樹脂が含まれる。中でも、熱定着時の可塑性の観点から、スチレン・アクリル酸エステル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。
スチレン・アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成される。スチレン単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有するスチレン誘導体を含む。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH(R)=CHCOOR(Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数が1〜24のアルキル基を表す)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、これらのエステルの構造中に公知の側鎖や官能基を有するアクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体を含む。
スチレン単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン及びp−n−ドデシルスチレンが含まれる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート及びフェニルアクリレートなどのアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−
ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;が含まれる。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とは、「アクリル酸エステル単量体」と「メタクリル酸エステル単量体」との総称であり、それらの一方又は両方を意味する。例えば、「(メタ)アクリル酸メチル」は、「アクリル酸メチル」及び「メタクリル酸メチル」の一方又は両方を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種でもそれ以上でもよい。例えば、スチレン単量体と2種以上のアクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること、スチレン単量体と2種以上のメタクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること、及び、スチレン単量体とアクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成すること、のいずれも可能である。
上記スチレン・アクリル樹脂の可塑性を制御する観点から、上記スチレン・アクリル樹脂におけるスチレン単量体に由来する構成単位の含有量は、40〜90質量%の範囲内であることが好ましい。また、上記非晶性樹脂における(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、10〜60質量%の範囲内であると好ましい。
上記スチレン・アクリル樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構成単位をさらに含有していてもよい。他の単量体は、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物であることが好ましい。
上記非晶性樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構成単位をさらに含有していてもよい。他の単量体は、多価アルコール由来のヒドロキシ基(−OH)又は多価カルボン酸由来のカルボキシ基(−COOH)とエステル結合する化合物であることが好ましい。すなわち、非晶性樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して付加重合可能であり、かつ、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(両性化合物)がさらに重合してなる重合体であることが好ましい。
上記化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等などのカルボキシ基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する化合物;が含まれる。
上記スチレン・アクリル樹脂における上記両性化合物に由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが、トナー帯電量制御の観点から好ましい。
上記スチレン・アクリル樹脂は、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法によって合成することができる。油溶性の重合開始剤の例には、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤、及び、過酸化物系重合開始剤、が含まれる。
上記アゾ系又はジアゾ系重合開始剤の例には、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シ クロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルが含まれる。
過酸化物系重合開始剤の例には、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及びトリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンが含まれる。
また、乳化重合法でスチレン・アクリル樹脂の樹脂粒子を合成する場合には、重合開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤の例には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸とその塩、及び、過酸化水素、が含まれる。
上記スチレン・アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、非晶性樹脂の可塑性を制御しやすい観点から、5000〜150000の範囲内であることが好ましく、10000〜70000の範囲内であることがより好ましい。
(非晶性ポリエステル樹脂)
非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。また、非晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体は、結晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体とは異なるため、例えば、NMR等の分析によって結晶性ポリエステル樹脂と区別することができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。具体的な非晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の非晶性ポリエステル樹脂が用いられ得る。
非晶性ポリエステル樹脂の具体的な製造方法は、特に限られるものではなく、公知のエステル化触媒を利用して、多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を製造することができる。
製造の際に使用可能な触媒、重縮合(エステル化)の温度、重縮合(エステル化)の時間は特に限定されるものではなく、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様である。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、例えば、5000〜100000の範囲内であることが好ましく、5000〜50000の範囲内であることがより好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が5000以上であると、トナーの耐熱保管性を向上させることができ、100000以下であると、低温定着性をより向上させることができる。上記重量平均分子量(Mw)は、上記した方法により測定することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価カルボン酸及び多価アルコールの例としては、特に制限されないが、以下が挙げられる。
《多価カルボン酸》
多価カルボン酸としては、不飽和脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸、及び これらの誘導体を用いることが好ましい。非晶性の樹脂を形成することができれば、飽和脂肪族多価カルボン酸を併用しても良い。
上記不飽和脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸、炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸、アコニット酸等の不飽和脂肪族トリカルボン酸;4−ペンテン−1,2,3,4−テトラカルボン酸等の不飽和脂肪族テトラカルボン酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。
上記芳香族多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−フェニレン二酢酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ヘミメリット酸等の芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸;メリト酸等の芳香族ヘキサカルボン酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。
上記多価カルボン酸は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
《多価アルコール》
多価アルコールとしては、結晶性ポリエステル樹脂との相溶性制御の観点から、不飽和脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール及びこれらの誘導体を用いることが好ましい。非晶性の樹脂を得ることができれば、飽和脂肪族多価アルコールを併用しても良い。
上記不飽和脂肪族多価アルコールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオール、9−オクタデセン−7,12−ジオール等の不飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。また、これらの誘導体を用いることもできる。
上記芳香族多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類、これらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等のビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、1,3,5−ベンゼントリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。また、これらの誘導体を用いることもできる。これらの中でも、特に熱特性を適正化しやすいという観点から、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールA化合物を用いることが好ましい。
また、3価以上の多価アルコールの炭素数は特に制限されないが、熱特性を適正化させやすいことから、炭素数3〜20の範囲内であることが好ましい。
上記多価アルコールは、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
非晶性ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル重合セグメントと、スチレン由来の構成単位を有するビニル重合セグメントと、が化学的に結合したハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂であっても良い。
なお、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂中の各セグメントの構成成分及び含有割合は、例えば、NMR測定、メチル化反応Py−GC/MS測定により特定することができる。
非晶性ポリエステル重合セグメントは、非晶性ポリエステル樹脂と同様の多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂に由来する部分であって、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークが認められない重合セグメントをいう。
上記多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、6−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などのジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸などが挙げられる。これら多価カルボン酸は、単独でも又は2種以上混合しても用いることができる。これらの中でも、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸や、イソフタル酸やテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、トリメリット酸を用いることが好ましい。
また、多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどが挙げられる。これら多価アルコール成分は、単独でも又は2種以上混合しても用いることができる。これらの中でも、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコールが好ましい。
ビニル重合セグメントとしては、スチレン由来の構成単位を含むものであれば特に制限されないが、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル重合セグメント(スチレン・アクリル重合セグメント)が好ましい。
スチレン・アクリル重合セグメントは、少なくとも、スチレン単量体と、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、を付加重合させて形成されるものである。スチレン・アクリル重合セグメントの形成が可能な単量体の具体例としては、上記スチレン・アクリル樹脂で説明した単量体と同様のものが挙げられるため、ここでは説明を省略する。
ビニル重合セグメント中のスチレン由来の構成単位の含有率は、ビニル重合セグメントの全量に対し、40〜95質量%の範囲内であると好ましい。また、ビニル重合セグメント中の(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、ビニル重合セグメントの全量に対し、5〜60質量%の範囲内が好ましい。
さらに、ビニル重合セグメントは、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体の他、上記非晶性ポリエステル重合セグメントに化学的に結合するための化合物が付加重合されてなると好ましい。具体的には、上記結晶性ポリエステル重合セグメントに含まれる、多価アルコール成分由来のヒドロキシ基[−OH]又は多価カルボン酸成分由来のカルボキシ基[−COOH]とエステル結合する化合物を用いると好ましい。したがって、ビニル重合セグメントは、スチレン及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して付加重合可能であり、かつ、カルボキシ基[−COOH]又はヒドロキシ基[−OH]を有する化合物をさらに重合してなると好ましい。
このような化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシ基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。
ビニル重合セグメント中の上記化合物に由来する構成単位の含有率は、ビニル重合セグメントの全量に対し、0.5〜20質量%の範囲内が好ましい。
スチレン・アクリル重合セグメントの形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。重合開始剤の具体例は、上記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の項で説明したものと同様である。
ビニル重合セグメントの含有量は、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂中2〜25質量%の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
(1)ビニル重合セグメントをあらかじめ重合しておき、当該ビニル重合セグメントの存在下で非晶性ポリエステル重合セグメントを形成する重合反応を行ってハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)非晶性ポリエステル重合セグメント及びビニル重合セグメントをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(3)非晶性ポリエステル重合セグメントをあらかじめ重合しておき、当該非晶性ポリエステル重合セグメントの存在下でビニル重合セグメントを形成する重合反応を行ってハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
3.3.着色剤
本発明に係る着色剤は、1種でもそれ以上でもよい。典型的な着色剤の例には、マゼンタ、イエロー、シアン及びブラックの各色用の着色剤が含まれる。
マゼンタ用の着色剤の例には、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同185、同188、同202、同206、同207、同209、同222、同238及び同269が含まれる。
イエロー用の着色剤の例には、C.I.ピグメントオレンジ31、同38、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同155、同162、同180及び同185が含まれる。
シアン用の着色剤の例には、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66及びC.I.ピグメントグリーン7が含まれる。
ブラック用の着色剤の例には、カーボンブラック及び磁性体粒子が含まれる。カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びランプブラックが含まれる。磁性体粒子の磁性体の例には、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属;これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物;二酸化クロム;及び、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金;が含まれる。熱処理により強磁性を示す合金の例には、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズなどのホイスラー合金が含まれる。
上記トナー母体粒子中における上記着色剤の含有量は、適宜に、そして独立して決めることができ、例えば画像の色再現性を確保する観点から、1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、2〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、着色剤の粒子の大きさは、体積平均粒径で、例えば10〜1000nmの範囲内であることが好ましく、50〜500nmの範囲内であることがより好ましく、80〜300nmの範囲内であることがさらに好ましい。
当該体積平均粒径は、カタログ値であってもよく、また、例えば着色剤の体積平均粒径(体積基準のメディアン径)は、「UPA−150」(マイクロトラック・ベル株式会社製)によって測定することができる。
3.4.その他材料
<離型剤>
本発明に用いられる離型剤には、公知のものを使用することができる。
離型剤は1種でもそれ以上でもよい。離型剤の例には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;及び、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックス;が含まれる。
上記離型剤は、ビニル系樹脂と相溶化しやすい。このため、上記離型剤の可塑効果により、上記トナーのシャープメルト性を高め、十分な低温定着性を得ることができる。上記離型剤は、十分な低温定着性を得る観点から、エステル系ワックス(エステル系化合物)であることが好ましく、さらに耐熱性及び低温定着性を両立させる観点から、直鎖状エス テル系ワックス(直鎖状エステル系化合物)であることがより好ましい。
上記離型剤の融点は、十分な高温保存性を得る観点から、60℃以上であることが好ましく、65℃以上であることがより好ましい。また、上記離型剤の融点は、十分なトナーの低温定着性を得る観点から、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナーにおける離型剤の含有量は、1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、5〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明のトナーは、本実施の形態に係る効果を奏する範囲において、前述の結晶性樹脂、非晶性樹脂及び離型剤以外の他の成分をさらに含有していてもよい。例えば、上記トナー母体粒子が含有していてもよい上記他の成分の例には、着色剤及び荷電制御剤が含まれる。
<荷電制御剤>
本発明に用いられる荷電制御剤には公知のものを利用することができ、その例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、及び、サリチル酸金属塩、が含まれる。
本発明のトナーにおける荷電制御剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部の範囲内であり、好ましくは0.5〜5質量%の範囲内である。
また、荷電制御剤の粒子の大きさは、数平均一次粒径で例えば10〜1000nmの範囲内であり、好ましくは50〜500nmの範囲内であり、より好ましくは80〜300nmの範囲内である。
3.5.トナー粒子の製造方法
本発明に係るトナー粒子の製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性の観点から、乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子の分散液と混合し、所望のトナー粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂の粒子間の融着を行うことにより形状制御を行うことで、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
<トナー母体粒子の平均円形度>
低温定着性を向上させるという観点から、トナー母体粒子の平均円形度は0.920〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.925〜0.975の範囲内であることがより好ましい。
ここで、上記平均円形度は「FPIA−3000」(Malvern Panalytical社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−3000」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行う。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
<トナー母体粒子の粒径>
トナー母体粒子の粒径について、体積基準のメディアン径(D50)が3〜10μmであると好ましい。体積基準のメディアン径を上記範囲とすることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できるとともに、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。また、トナー流動性も確保できる。
ここで、トナー母体粒子の体積基準のメディアン径(D50)は、例えば、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
トナー母体粒子の体積基準のメディアン径は、後述のトナーの製造時の凝集・融着工程における凝集剤の濃度や溶剤の添加量、又は融着時間、さらには樹脂成分の組成等によって制御することができる。
<外添剤の添加工程>
この工程は、トナー母体粒子に対して外添剤を添加する場合に行う工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、サンプルミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。外添剤添加時の回転翼の周速としては、30〜35mm/秒であることが好ましい。
また、外添剤の混合時間は、12〜15分であることが好ましく、外添剤添加時の温度としては、25〜35度であることが好ましい。
3.6.現像剤
本発明に係るトナーは、磁性又は非磁性の1成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。トナーを2成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積平均粒径としては20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定することができる。
2成分現像剤は、上記のキャリアとトナーとを、混合装置を用いて混合することにより作製することができる。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合器等が挙げられる。
2成分現像剤を作製する際のトナーの配合量は、キャリアとトナーとの合計100質量%に対して、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
4.画像形成システム
本発明の画像形成システムは、前述の本発明に係る前記静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成システムである。すなわち、前記本発明に係る電子写真感光体を備え前記各工程等の工程を実施できる画像形成装置において本発明に係る前記静電荷像現像用トナーを用いて画像を形成するシステムである。
4.1.電子写真画像形成方法
本発明の画像形成方法は、少なくとも潜像形成工程、現像工程、中間転写工程、転写工程を有する画像形成方法であって、前述の本発明に係る静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を用いることを特徴とする。 なお、より具体的方法については、下記画像形成装置の説明において述べる。
<記録媒体>
本発明の画像形成方法に用いられる記録媒体(記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、又は、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、又はそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
4.2.画像形成装置
本発明の画像形成方法は、従来公知の電子写真方式の画像形成装置において、本発明に係る前記静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を用いることで行うことができる。
画像形成装置としては、感光体、当該感光体に静電潜像を形成する手段、当該静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する手段、形成されたトナー像を用紙に転写する手段、転写されたトナー像を用紙上に定着する手段等を有する。
図2は、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図2示す画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン又は黒のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、これらの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにおいて形成された各色のトナー像を用紙P上に転写する中間転写ユニット7と、用紙Pに対してトナー像を定着させる定着手段24とを備える画像形成装置本体100Aを有する。また、当該画像形成装置本体100Aの上部に、原稿を光学的に走査して画像情報をデジタルデータ(原稿画像データ)として読み取るための原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット10M、10C、10Bkは、各々、イエロートナーに代えて、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーによってトナー像を形成するものであり、基本的には画像形成ユニット10Yと同様の構成を有するものである。したがって、以下、画像形成ユニット10Yを例に取って説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体であるドラム状の感光体1Yの周囲に、当該感光体1Yの表面に一様な電位を与える帯電手段2Y、一様に帯電された感光体1Y上に露光用画像データ信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する露光手段3Y、トナーを感光体1Y上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段4Y、一次転写後に感光体1Y上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段6Yが配置されてなり、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。
帯電手段2Yとしては、コロナ放電型の帯電器が用いられている。
露光手段3Yとしては、露光光源として発光ダイオードを用いた、例えば感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光ダイオードからなる発光素子が配列されたLED部と結像素子とから構成される光照射装置や、露光光源として半導体レーザーを用いた、レーザー光学系のレーザー照射装置等よりなる。図1に示す画像形成装置100においては、レーザー照射装置が設けられている。
露光手段3Yにおいては、発振波長が350〜850nmの半導体レーザー又は発光ダイオードを、露光光源として用いた装置からなることが望ましい。このような露光光源を、書き込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込んで用い、感光体1Y上にデジタル露光を行うことにより、600〜2400dpi、又はそれ以上の高解像度の電子写真画像を得ることができる。
露光手段3Yにおける露光方法としては、半導体レーザーを用いた走査光学系であっても良く、LEDによる固体型であっても良い。
中間転写ユニット7は、複数の支持ローラー71〜74により張架され、循環移動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70と、それぞれ画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkによって形成されたトナー像を中間転写体70に転写するための一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkによって中間転写体70上に転写されたトナー像を用紙P上に転写する二次転写ローラー5bと、中間転写体70上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段6bとを有する。
中間転写ユニット7における一次転写ローラー5Bkは、画像形成処理中の常時、感光体1Bkに当接されており、他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cは、カラー画像を形成する場合にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接される。
また、二次転写ローラー5bは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われるときにのみ、中間転写体70に当接される。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラー241、この加熱ローラー241に定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラー242等を備えて構成されている。
以上のような画像形成装置100においては、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面が帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより帯電される。そして、露光手段3Y、3M、3C、3Bkが、原稿画像読み取り装置SCによって得られた原稿画像データに各種の画像処理等が施されて得られた各色の露光用画像データ信号に従って動作される。具体的には、当該露光用画像データ信号に対応して変調されたレーザー光が露光光源から出力され、このレーザー光によって当該感光体1Y、1M、1C、1Bkが走査露光される。これにより、原稿画像読み取り装置SCにより読み取られた原稿に対応したイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応した静電潜像が各感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成される。
次いで、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成された静電潜像が、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより各色のトナーで現像されることにより各色のトナー像が形成される。そして、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより各色のトナー像が中間転写体70上に逐次転写されて重ね合わされて合成され、カラートナー像が形成される。
さらに、カラートナー像の形成に同期して、給紙カセット20内に収容された用紙Pが、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D及びレジストローラー23を経て、二次転写ローラー5bに搬送される。そして、当該用紙P上に、二次転写ローラー5bによって中間転写体70上に転写されたカラートナー像が一括して転写される。
用紙P上に転写されたカラートナー像は、定着手段24により加熱及び加圧が施されることで定着され、可視画像(トナー層)が形成される。その後、可視画像が形成された用紙Pが、排紙ローラー25によって排出口26から機外に排出されて排紙トレイ27上に載置される。
また、両面印刷を行う場合には、定着手段24から搬送された1面目に画像が形成された用紙Pを切換ゲート31から反転搬送経路32内に搬送し、用紙Pの表裏を反転した上で中間ローラー22D近傍に再給紙し、用紙Pの2面目に画像形成を行う。
各色のトナー像を中間転写体70に転写させた後の感光体1Y、1M、1C、1Bkは、それぞれクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkにより当該感光体1Y、1M、1C、1Bkに残留したトナーが除去された後に、次の各色のトナー像の形成に供される。
一方、二次転写ローラー5bにより用紙P上にカラートナー像を転写し、用紙Pが曲率分離された後の中間転写体70は、クリーニング手段6bにより当該中間転写体70上に残留したトナーが除去された後に、次のトナー像の中間転写に供される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限
り「質量部」又は「質量%」を表す。
[感光体1の作製]
A.導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を準備した。
B.下引層の作製
下記成分を下記分量で混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行い、下引層用の塗布液を調製した。
当該塗布液を浸漬塗布法によって導電性支持体の表面に塗布し、110℃で20分間乾燥し、層厚2μmの下引層を導電性支持体上に形成した。
なお、ポリアミド樹脂としてX1010(ダイセルデグサ株式会社)を使用した。
また、酸化チタン粒子としてSMT500SAS(テイカ株式会社)を使用した。
ポリアミド樹脂 10質量部
酸化チタン粒子 11質量部
エタノール 200質量部
C.電荷発生層の作製
下記成分を下記分量で混合し、循環式超音波ホモジナイザー(RUS−600TCVP;株式会社日本精機製作所)を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/時間で0.5時間分散することにより、電荷発生層用の塗布液を調製した。
当該塗布液を浸漬塗布法によって下引層の表面に塗布し、乾燥させて、層厚0.3μmの電荷発生層を下引層上に形成した。
なお、電荷発生物質は、Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン及び(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶を使用した。
また、ポリビニルブチラール樹脂としてエスレックBL−1(積水化学工業株式会社、「エスレック」は、同社の登録商標)を使用した。また、混合液として、3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V)を使用した。
電荷発生物質 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂 12質量部
混合液 400質量部
D.電荷輸送層の作製
下記成分を下記分量で混合した電荷輸送層用の塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層の表面に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、層厚27μmの電荷輸送層を電荷輸送層上に形成した。
なお、ポリカーボネート樹脂としてZ300(三菱ガス化学株式会社)を使用した。また、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASF社、「IRGANOX」は同社の登録商標)を使用した。
下記構造式(1)で表される電荷輸送物質 24質量部
下記構造式(2)で表される電荷輸送物質 36質量部
ポリカーボネート樹脂 100質量部
酸化防止剤 4質量部
Figure 2021131520
Figure 2021131520
[感光体2及び3の作製]
上記感光体1の作製において、電荷輸送層に添加する電荷輸送物質を表Iのとおりに変更した以外は同様にして感光体2及び3を作製した。
Figure 2021131520
<チタン酸化合物粒子の作製>
(1)チタン酸ストロンチウム粒子1の作製
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0(測定温度25℃)とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8(測定温度25℃)まで中和し、ろ過水洗を行った。
洗浄済みケーキに水を加えTiOとして1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0とし解膠処理を行った。
このメタチタン酸をTiOとして0.625モル採取し、3Lの反応容器に投入した。当該反応容器内に、塩化ストロンチウム水溶液及び塩化ランタン水溶液をSr2+:La3+:Ti4+のモル比が1.00:0.18:1.00(表IIにおいてSrO/LaO/TiO=1.00/0.18/1.00と表現する。)
、となるように合計0.719モル添加した後、TiO濃度0.313モル/Lに調整した。
次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、5N水酸化ナトリウム水溶液296mLを10時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0(測定温度25℃)となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。
得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、当該沈殿を含むスラリーに塩酸を加えpH6.5(測定温度25℃)に調整し、固形分に対して9質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加して1時間撹拌保持を続けた。
次いで、ろ過・洗浄を行い、得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥し、ランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子(1)を得た。
電子顕微鏡を用いて算出した一次粒子の個数平均粒径は30nmであった。また、円形度は0.85であった。
(2)チタン酸ストロンチウム粒子2〜6の作製
チタン酸ストロンチウム粒子1の作製方法において、塩化ストロンチウム水溶液及び塩化ランタン水溶液を添加する際のモル比[Sr+:La+:Ti+]と、5N水酸化ナトリウム水溶液296mLの添加時間を、表IIに示すように変更し、チタン酸ストロンチウム粒子2〜6を作製した。
Figure 2021131520
(3)チタン酸カルシウム粒子の作製
チタン酸ストロンチウム粒子1の作製において、塩化ストロンチウム水溶液の代わりに塩化カルシウム水溶液を用いた以外はチタン酸ストロンチウム微粒子1の作製と同様に作製し、チタン酸カルシウム微粒子を得た。
得られた微粒子を電子顕微鏡で観察すると、一次粒子の個数平均粒径は32nmであった。また、円形度は0.85であった。
(4)チタン酸バリウム粒子の作製
チタン酸ストロンチウム粒子1の作製において、塩化ストロンチウム水溶液の代わりに塩化バリウム水溶液を用いた以外はチタン酸ストロンチウム微粒子1の作製と同様に作製し、チタン酸バリウム粒子を得た。
得られた微粒子を電子顕微鏡で観察すると、一次粒子の個数平均粒径は33nmであった。また、円形度は0.86であった。
<球形シリカ粒子の作製>
(1)シリカ粒子1の作製
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルの反応器に、エタノール945質量部及びテトラエトキシトキシシラン405質量部を加えて撹拌し、35℃に調整した。
次に28%アンモニア水82質量部を溶解させた水溶液135質量部を29分かけて添加して混合した。さらに滴下後1時間撹拌を継続し加水分解を行い、シリカ粒子の懸濁液を得た。
この水性懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン4.8質量部を滴下して、シリカ粒子表面を疎水化処理した。
こうして得られた分散液を80℃に加熱し、エタノールを留去した。
得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン130質量部を添加し60℃に加熱し9時間反応させ、シリカ粒子をトリメチルシリル化した。
その後溶媒を減圧下で留去してシリカ粒子1を作製した。
上記の方法により得られたシリカ粒子1について、個数平均一次粒径及び変動係数を測定したところ、一次粒子の個数平均粒径が10nm、変動係数が18.1%であった。
(2)シリカ粒子2〜4の作製
シリカ粒子1の作製において、表IIIのように28%アンモニア水の量及び添加時間を変化させてシリカ粒子2〜4を作製した。シリカ粒子2〜4の個数平均粒径及び変動係数は表IVの通りであった。
Figure 2021131520
Figure 2021131520
[トナー粒子1の作製]
<スチレン−アクリル(StAc)樹脂粒子分散液の作製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム(C1021(OCHCHSONa)よりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を入れた。
さらに、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた。
次に、スチレン532質量部、n−ブチルアクリル酸200質量部、メタクリル酸68質量部及びn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。
滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、スチレン−アクリル樹脂粒子の分散液を調製した。
分散液中のスチレン−アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、16500であった。
(第2段重合)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリル酸62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部及びn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる重合性単量体溶液を入れた。
さらに、離型剤としてパラフィンワックスHNP−0190(日本製蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって、単量体溶液を調製した。
別の容器に、第1段重合において用いたアニオン系界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を入れ、内温が98℃となるよう加熱した。
この界面活性剤水溶液に、第1段重合により得られたスチレン−アクリル樹脂粒子の分散液32.8質量部(固形分換算)を添加し、さらにパラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した。
循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(エムテクニック社製)を用い、8時間かけて混合分散することにより、粒子径340nmの乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、スチレン−アクリル樹脂粒子の分散液を調製した。
分散液中のスチレン−アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、23000であった。
(第3段重合)
第2段重合において得られたスチレン−アクリル樹脂粒子の分散液に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。
この分散液に、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリル酸154.1質量部及びn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、スチレン−アクリル樹脂粒子の分散液を得た。
分散液中のスチレン−アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、26800であった。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の作製>
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー及び精留塔を備えた反応容器に、多価カルボン酸単量体として、テレフタル酸139.5質量部及びイソフタル酸15.5質量部を、多価アルコール単量体として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物(分子量460)290.4質量部及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物(分子量404)60.2質量部を入れた。
反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてオクチル酸スズを3.21質量部投入した。
生成される水を留去しながら、反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、240℃に維持した状態で脱水縮合反応を6時間継続して行い、非晶性ポリエステル樹脂を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂は、ピーク分子量(Mp)が12000、重量平均分子量(Mw)が15000であった。
撹拌動力を与えるアンカー翼を備えた反応容器に、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを添加した。
さらに、ハンマーミルで粗粉砕した上記非晶性ポリエステル樹脂を徐々に添加して撹拌し、完全に溶解させて油相となるポリエステル樹脂溶液を得た。
撹拌した油相に希アンモニア水溶液を数量滴下し、次いでこの油相をイオン交換水に滴下して転相乳化させた後、エバポレータで減圧しながら溶剤の除去を行った。
反応系には非晶性ポリエステル樹脂粒子が分散しており、その分散液にイオン交換水を追加して固形分を20質量%に調整して、非晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液を調製した。
分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメディアン径を粒度分布測定器「Nanotrack Wave(マイクロトラックベル社製)を用いて測定したところ、216nmであった。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール118質量部、テトラデカン二酸271質量部、及び重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.8質量部を10回に分割して入れ、235℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。
次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下にて1時間反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂を合成した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、90℃で加熱撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、その分散液にイオン交換水を追加して固形分を20質量%に調整して、体積基準のメディアン径が200nmである結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液を作製した。
<着色剤粒子分散液の作製>
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、C.I.ピグメントブルー15:3(東洋インキ(株)製)420質量部を徐々に添加した。
次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、着色剤粒子分散液を調製した。
<トナー母粒子の作製>
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、スチレンアクリル樹脂粒子分散液を固形分換算で270質量部、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を固形分換算で30質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10(測定温度25℃)に調整した。
その後、着色剤分散液を固形分換算で40質量部投入した。
次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が4.9μmになった時点で、非晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液を固形分換算で30質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させた。
さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.962になった時点で30℃に冷却し、トナー母粒子の分散液を調製した。
上記工程を経て作製したトナー母粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、トナー母粒子のウェットケーキを形成した。
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で、ろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことによりシアン色のトナー母粒子を作製した。
<外添剤処理工程>
上記のようにして作製したトナー母粒子と、チタン酸ストロンチウム1と、シリカ粒子1と、疎水性シリカ粒子(HМDS処理、疎水化度72%、一次粒子の個数平均粒子径20nm)とを混合し、外添処理を行った。
トナー全量に対するチタン酸化合物の含有率が0.5質量%、シリカ粒子1の含有率が0.5質量%、疎水性シリカの含有量が2.0質量%となるように、ヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業(株)製)に添加した。
次いで、羽根先端周速が40m/sとなるように回転数を設定して、15分間撹拌することで、外添処理を行い、トナー1を作製した。
また、外添処理時の温度は、39〜41℃の範囲内となるように設定した。
具体的には、上記ヘンシェルミキサー内部の温度が、41℃になった場合には、当該ヘンシェルミキサーの外浴に冷却水を5L/分の流量で流し、39℃になった場合には、当該ヘンシェルミキサーの外浴に冷却水を1L/分の流量で流すことで、当該ヘンシェルミキサー内部の温度制御を実施した。
[トナー粒子2〜17の作製]
前記トナー粒子1の作製において、チタン酸化合物粒子、球形シリカ粒子を表Vに記載した通りに変更することで、トナー粒子2〜17を作製した。
Figure 2021131520
[キャリアの作製]
<芯材粒子1の作製>
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式メディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、ロータリーキルンで仮焼成を行った。
直径0.3cmのステンレスビーズを用いて乾式ボールミルで1時間粉砕したのち、バインダーとしてPVAを固形分に対して0.8質量%添加し、さらに水、分散剤を添加し、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて25時間粉砕した。
次いで、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1050℃、20時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材粒子1を得た。芯材粒子1の体積平均粒径は28.0μmであった。
<被覆用樹脂1の作製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー100質量部、ドデカンチオール1質量部を混合して溶解したものを、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンSC)0.5質量部をイオン交換水400質量部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。
窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し樹脂分散液を得た。
その後、樹脂分散液をスプレードライで乾燥することで、被覆用樹脂1を得た。被覆用樹脂1の重量平均分子量は350000であった。
<キャリア粒子1の作製>
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、芯材粒子として上記で準備した芯材粒子1を100質量部、及び被覆用樹脂1を4.5質量部投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆材を被覆させた後、室温まで冷却して、キャリア粒子1を作製した。
<現像剤の作製>
上記のようにして作製したトナー粒子1及びキャリア粒子1を、トナー濃度が9質量%となるようにして混合し、現像剤1を作製した。混合機はV型混合機(株式会社徳寿工作所製)を用い、25℃で30分間混合した。
<現像剤2〜17の作製>
トナー粒子1の作製において、トナー粒子1のかわりにトナー粒子2〜17を用いること以外は同様にして、現像剤2〜17を作製した。
[評価]
画像形成装置AccurioPressC3070(コニカミノルタ社製)のシアン位置に作製した現像剤及び感光体を表VIの組み合わせで実装し、評価を行った。
まず、温度10℃、湿度15%RHの環境下で初期の細線再現性、及び感光層層厚の測定を行った。
次いで、印字率5%のA4画像を中性紙に横送りで100万枚両面連続出力する耐刷試験を実施した。
上記耐刷試験後に、細線再現性、及び感光層層厚の測定を行った。
細線再現性及び感光体の減耗量は、下記の評価基準により評価し、◎、○、△を合格とした。
(細線再現性)
A4中性紙全面にドット径30μmの2dot幅の格子画像を印字した。印字画像の状態を観察し以下の評価を行った。
◎:格子画像が均一な幅で、鮮明にトナー画像として再現されている(合格)
○:格子画像の幅が均一でない部分もあるが、格子は全部再現されている(合格)
△:僅かに格子画像の欠損が発生している箇所がある(合格)
×:明らかに格子画像の欠損が発生している(不合格)
(感光体の減耗量)
上記評価で100万の画出しを行い、初期層厚と100万枚後の層厚で評価した。
感光層の層厚は均一層厚部分(感光体の両端は層厚が不均一になりやすいので、少なくとの両端3cmは除く)をランダムに10か所測定し、その平均値を感光層の層厚とする。
膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光層膜厚の差を膜厚減耗量とする。
◎:減耗量が1μm未満(合格)
○:減耗量が1μm以上2μm未満(合格)
△:減耗量が2μm以上3μm未満(合格)
×:減耗量が3μm以上(不合格)
Figure 2021131520
表VIに示した結果から、本発明に係る感光体及び現像剤(トナー)を用いた実施例は、比較例に比べ、総合的に評価性能が優れていることが分かる。
1 下引層
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 導電性支持体
5 感光層
7 電子写真感光体
1Y、1M、1C、1K 電子写真感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電手段
3Y、3M、3C、3K 露光手段
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラー(一次転写手段)
5b 二次転写ローラー(二次転写手段)
6Y、6M、6C、6K、6b クリーニング手段
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 中間転写体ユニット
71〜74 ローラー
77 無端ベルト状中間転写体
80 筐体
82R、82L 支持レール
100 画像形成装置
241 加熱ローラー
242 加圧ローラー

Claims (8)

  1. 静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成方法であって、
    前記電子写真感光体が感光層を有し、
    当該感光層が、電荷輸送物質として、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有し、かつ、
    前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として一次粒子の個数平均粒径が10〜80nmの範囲内のチタン酸化合物粒子を含有することを特徴とする画像形成方法。
    Figure 2021131520
    (一般式(1)中、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は、炭素数6〜30のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。p及びqは、各々独立に、0、1又は2を表す。)
  2. 前記チタン酸化合物粒子が、チタン以外の金属元素を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記チタン酸化合物粒子が、ランタン、スズ、ケイ素、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又はバリウムを更に含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸カルシウム粒子、又はチタン酸バリウム粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記チタン酸化合物粒子が、ランタン元素を更に含有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 前記感光層が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を更に含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
    Figure 2021131520
    (一般式(2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)
  7. 前記静電荷像現像用トナーが、外添剤として、1次粒子の個数平均径が5〜40nmの範囲内のシリカ粒子を含有し、かつ、
    当該シリカ粒子の粒度分布の変動係数が20%以下であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  8. 静電荷像現像用トナーと電子写真感光体を使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を有する画像形成システムであって
    請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の画像形成方法を実施することを特徴とする画像形成システム。
JP2020028130A 2020-02-21 2020-02-21 画像形成方法及び画像形成システム Active JP7443810B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020028130A JP7443810B2 (ja) 2020-02-21 2020-02-21 画像形成方法及び画像形成システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020028130A JP7443810B2 (ja) 2020-02-21 2020-02-21 画像形成方法及び画像形成システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021131520A true JP2021131520A (ja) 2021-09-09
JP7443810B2 JP7443810B2 (ja) 2024-03-06

Family

ID=77551072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020028130A Active JP7443810B2 (ja) 2020-02-21 2020-02-21 画像形成方法及び画像形成システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7443810B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11415904B2 (en) * 2020-04-13 2022-08-16 Konica Minolta, Inc. Image forming method and image forming system

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6485135B2 (ja) 2015-03-11 2019-03-20 富士ゼロックス株式会社 画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2016186547A (ja) 2015-03-27 2016-10-27 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP7003765B2 (ja) 2018-03-20 2022-01-21 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP7069992B2 (ja) 2018-04-09 2022-05-18 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11415904B2 (en) * 2020-04-13 2022-08-16 Konica Minolta, Inc. Image forming method and image forming system

Also Published As

Publication number Publication date
JP7443810B2 (ja) 2024-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10324391B2 (en) Toner and image formation method
JP5299616B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置
US7892717B2 (en) Toner for electrostatic image development, electrostatic image developer and image forming method using the same
KR101230562B1 (ko) 전자 사진용 토너 및 그 제조 방법, 전자 사진용 현상제, 토너 카트리지, 프로세스 카트리지, 화상 형성 장치
JP2007121404A (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法
BR102013023982B1 (pt) toner para formar imagem eletrostática, revelador, cartucho de processo, e aparelho de formação de imagem
KR101708593B1 (ko) 토너, 현상제, 화상 형성 장치 및 화상 형성 방법
US10585368B2 (en) Electrostatic image developing toner and image forming method
JP2008170627A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2008015244A (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法
JP3797168B2 (ja) 画像形成方法
JP2006330278A (ja) 静電荷像現像用トナー、その製造方法、これを用いた静電荷像現像用及び画像形成方法
JP7443810B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成システム
JP4517982B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電潜像現像剤、画像形成方法
US20220057724A1 (en) Image forming method and image forming system
US11415904B2 (en) Image forming method and image forming system
US10795305B1 (en) Image forming apparatus and process cartridge
JP2021051173A (ja) 静電荷像現像用トナー及び電子写真画像形成方法
JP5423920B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置
JP7200769B2 (ja) 電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
US11112733B2 (en) Image forming apparatus and process cartridge including a toner satisfying relations
JP7347049B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP6874377B2 (ja) 画像形成装置
JP2022112543A (ja) 電子写真感光体及び画像形成方法
JP2021135439A (ja) 画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200221

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7443810

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150