JP2021131080A - 流体機械、及び、流体機械の組立方法 - Google Patents

流体機械、及び、流体機械の組立方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハウジングを構成する2つのハウジング部材間に調整シムが配置された流体機械において、調整シムによる調整を良好に維持しつつ、ハウジングの耐食性を確保する。【解決手段】スクロール流体機械1は、ハウジングを構成するフロントハウジング2及びセンタープレート3と、フロントハウジング2とセンタープレート3との間に配置されてその厚さによってフロントハウジング2に対するセンタープレート3の位置を調整する調整シム10と、ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構(固定スクロール6及び可動スクロール7)とを含む。フロントハウジング2の、調整シム10に当接する端面2aと、センタープレート3の、調整シム10に当接する面3aには、それぞれ、防錆油を貯留可能な凹部22,32が形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、圧縮機や膨張機などの流体機械及びその組立方法に関する。
従来の流体機械の一例として、特許文献1に記載された圧縮機が知られている。特許文献1に記載された圧縮機は、少なくとも2つに分割された金属部材から構成され、各金属部材が相互に接合して内部に空間を形成するハウジングと、ハウジングの材質に対して犠牲防食作用を備えた表面を有し、各金属部材の相互に接合する接合部に配置された高さ調整部材と、ハウジングの内部に収容された圧縮機構部と、を備えている。
特開2012−215126号公報
ところで、前述の高さ調整部材のような調整部材は、主に微小な調整を行うために使用されるものである。
しかしながら、この調整部材の表面が犠牲的に腐食すると、その腐食によって調整部材の厚さなどが変化し、その結果、前述の微小な調整が狂ってしまうおそれがある。
そこで、本発明は、ハウジングを構成する2つのハウジング部材間に調整シムが配置された流体機械において、調整シムによる調整を良好に維持しつつ、ハウジングの耐食性を確保することを目的とする。
本発明の第1態様によると、流体機械は、ハウジングを構成する第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材と、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって第1ハウジング部材に対する第2ハウジング部材の位置を調整する調整シムと、ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構と、を含む。第1ハウジング部材の、調整シムに当接する第1当接面と、第2ハウジング部材の、調整シムに当接する第2当接面との少なくとも一方に、防錆油を貯留可能な凹部が形成されている。
本発明の第2態様によると、流体機械の組立方法は、ハウジングを構成する第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材と、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって第1ハウジング部材に対する第2ハウジング部材の位置を調整する調整シムと、ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構と、を含む流体機械の組立方法である。第1ハウジング部材の、調整シムに当接する第1当接面と、第2ハウジング部材の、調整シムに当接する第2当接面との少なくとも一方には、防錆油を貯留可能な凹部が形成されている。流体機械の組立方法は、調整シムの表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、防錆油が塗布された調整シムを第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とで挟み込む組立工程と、を含む。組立工程では、前記挟み込みにより、前記凹部内に防錆油が供給される。
本発明の第3態様によると、流体機械の組立方法は、ハウジングを構成する第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材と、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって第1ハウジング部材に対する第2ハウジング部材の位置を調整する調整シムと、ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構と、を含む流体機械の組立方法である。第1ハウジング部材の、調整シムに当接する第1当接面と、第2ハウジング部材の、調整シムに当接する第2当接面との少なくとも一方には、防錆油を貯留可能な凹部が形成されている。第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との少なくとも一方には、前記凹部に防錆油を注入するための防錆油注入通路が形成されている。流体機械の組立方法は、調整シムを第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とで挟み込む組立工程と、組立工程の後に防錆油注入通路を介して前記凹部に防錆油を注入する防錆油注入工程と、を含む。
本発明によれば、ハウジング部材の、調整シムに当接する当接面には、防錆油を貯留可能な凹部が形成されている。ゆえに、外部からハウジング部材と調整シムとの間の微小な隙間に塩水等が浸入しても、その浸入が前記凹部で堰き止められ得るので、前記凹部よりハウジング内方での腐食の発生を抑制することができる。また、この防錆油については、前記凹部内のみならず、ハウジング部材と調整シムとの間の微小な隙間にも存在し得るので、ハウジング部材と調整シムとの合わせ面での腐食の発生が抑制され得る。従って、調整シムによる調整を良好に維持しつつ、ハウジングの耐食性を確保することができる。
本発明が適用された流体機械の第1実施形態であるスクロール流体機械の斜視図である。 前記第1実施形態のスクロール流体機械の分解斜視図である。 前記第1実施形態のスクロール流体機械に使用される調整シムの平面図である。 前記第1実施形態のスクロール流体機械の部分断面拡大図である。 本発明が適用された流体機械の第2実施形態であるスクロール流体機械の分解斜視図である。 前記第2実施形態のスクロール流体機械に使用される調整シムの平面図である。 前記第2実施形態のスクロール流体機械の部分断面拡大図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。尚、ここでは、流体機械がスクロール流体機械(スクロール圧縮機又はスクロール膨張機)である場合について説明する。但し、本発明は、スクロール流体機械以外の流体機械についても広く適用できるものである。
図1は、本発明が適用された流体機械の第1実施形態であるスクロール流体機械1の斜視図である。図2は、スクロール流体機械1の分解斜視図である。図3は、スクロール流体機械1に使用される調整シム10の平面図である。図4は、スクロール流体機械1の部分断面拡大図である。ここで、図1及び図2では、図示簡略化のため、シール部材8の図示を省略している。
本実施形態におけるスクロール流体機械1は、圧縮機(スクロール圧縮機)又は膨張機(スクロール膨張機)として構成され得る。スクロール流体機械1が圧縮機として構成された場合、スクロール流体機械1は、例えば、車両用空調装置の冷媒回路に組み込まれ、当該冷媒回路の低圧側から吸入した冷媒を圧縮して吐出するように構成され得る。また、スクロール流体機械1が膨張機として構成された場合、スクロール流体機械1は、例えば、車両用ランキンサイクル装置の冷媒回路に組み込まれ、当該冷媒回路から導入した冷媒を膨張させて動力を発生する(前記冷媒から動力を回収する)ように構成され得る。
スクロール流体機械1は、フロントハウジング2、センタープレート3及びリアハウジング4を有している。フロントハウジング2、センタープレート3及びリアハウジング4は、アルミニウム合金などの金属材料で形成されている。そして、フロントハウジング2、センタープレート3及びリアハウジング4が複数(ここでは6つ)のボルト5によって締結されてスクロール流体機械1のハウジングを構成している。
本実施形態において、フロントハウジング2のセンタープレート3側の端面2aには、複数(ここでは2つ)の位置決めピン21が圧入されている。センタープレート3には、複数の位置決めピン21に対応する複数(ここでは2つ)のピン孔31が形成されており、リアハウジング4には各位置決めピン21の先端部を収容可能な凹部(図示省略)が形成されている。これにより、少なくともセンタープレート3がフロントハウジング2に対して位置決めされる。
センタープレート3のフロントハウジング2側の面3aには、固定スクロール6が一体的に形成されている。従って、センタープレート3を固定スクロール6と呼ぶことも可能である。固定スクロール6は、一方の面がセンタープレート3に固定された円盤状の基板61と、基板61の他方の面に突出形成された渦巻部62と、を有している。固定スクロール6は、基板61の外周面がフロントハウジング2の内周面に嵌合されることによってフロントハウジング2内に収容される。
尚、図示は省略するが、基板61の外周面にはOリング等のシール部材を収容可能な溝が形成されている。この溝に装着されたOリング等のシール部材によって、基板61と一体的なセンタープレート3と、フロントハウジング2との間のシール性が確保され得る。
フロントハウジング2内には、可動スクロール7が収容されている。可動スクロール7は、固定スクロール6に対向するように配置されている。可動スクロール7は、図示省略の円盤状の基板と、固定スクロール6の渦巻部62に噛み合わされる渦巻部72とを有しており、固定スクロール6に対して旋回運動を行うように構成されている。また、可動スクロール7は、変換機構(図示省略)を介して回転主軸(図示省略)に連結されている。前記変換機構は、可動スクロール7の旋回運動と前記回転主軸の回転運動とを相互に変換可能な機構である。
スクロール流体機械1が圧縮機として構成された場合、外部装置によって前記回転主軸が回転駆動されて、前記回転主軸の回転が前記変換機構を介して可動スクロール7に伝達される。これにより、可動スクロール7が固定スクロール6に対して旋回運動を行う。可動スクロール7が旋回運動を行うと、固定スクロール6の渦巻部62と可動スクロール7の渦巻部72との間に形成される圧縮室に外部からの冷媒が吸入され、前記圧縮室が容積を減少させながら移動することで前記圧縮室に吸入された冷媒が圧縮される。そして、圧縮された冷媒がスクロール流体機械1から吐出される。この場合、固定スクロール6及び可動スクロール7は圧縮機構を構成する。
スクロール流体機械1が膨張機として構成された場合、固定スクロール6の渦巻部62と可動スクロール7の渦巻部72との間に形成される膨張室に外部からの冷媒が導入されて、前記膨張室に導入された冷媒が前記膨張室内で膨張する。これにより、可動スクロール7が固定スクロール6に対して旋回運動を行う。そして、可動スクロール7の旋回運動が前記変換機構を介して前記回転主軸に伝達されて前記回転主軸が回転し、前記回転主軸の回転が外部装置に伝達される。また、膨張後の冷媒がスクロール流体機械1から排出される。この場合、固定スクロール6及び可動スクロール7は膨張機構を構成する。
本実施形態において、フロントハウジング2とセンタープレート3との間には、冷間圧延鋼板(SPCC)などの金属板からなる調整シム10が配置されている。調整シム10は、主にフロントハウジング2に対するセンタープレート3の位置(スクロール流体機械1の軸方向(長手方向)における位置)を調整するために使用される。特に本実施形態において、調整シム10は、固定スクロール6と可動スクロール7との間の隙間、具体的には、固定スクロール6の渦巻部62の先端と可動スクロール7の前記基板との間の隙間、及び、可動スクロール7の渦巻部72の先端と固定スクロール6の基板61との間の隙間を調整するために使用される。
ここで、フロントハウジング2のセンタープレート3側の端面2aは、調整シム10の一方の表面10aに当接する当接面となる。また、センタープレート3のフロントハウジング2側の面3aは、調整シム10の他方の表面10bに当接する当接面となる。
調整シム10は、環状に形成されている。具体的には、調整シム10は、フロントハウジング2及びセンタープレート3の外形(すなわち、スクロール流体機械1の前記ハウジングの外形)とほぼ同じ形の外形を有すると共に、フロントハウジング2の内周面とほぼ同径の内孔11を有して形成されている。
調整シム10には、それぞれに複数(ここでは6つ)のボルト5のいずれかが挿通される複数(ここでは6つ)のボルト挿通孔12と、それぞれに複数(ここでは2つ)の位置決めピン21のいずれかが挿通される複数(ここでは2つ)のピン孔13と、が形成されている。従って、調整シム10は、フロントハウジング2に対して位置決めされた状態で固定され得る。
センタープレート3のリアハウジング4側の面3bとリアハウジング4のセンタープレート3側の端面との間には、例えば環状シート状のガスケット等のシール部材8が配置されている。シール部材8によって、センタープレート3とリアハウジング4との間のシール性が確保され得る。
フロントハウジング2のセンタープレート3側の端面2a(調整シム10の一方の表面10aに当接する当接面)には、防錆油を貯留可能な凹部22が形成されている。凹部22は、フロントハウジング2の周方向に延びる環状溝である。凹部22と、調整シム10の一方の表面10aとによって囲まれる空間内に防錆油を貯留(換言すれば保持)することができる。凹部22については、フロントハウジング2の外周縁より若干内側に形成されることが好ましい。
センタープレート3のフロントハウジング2側の面3a(調整シム10の他方の表面10bに当接する当接面)には、防錆油を貯留可能な凹部32が形成されている。凹部32は、センタープレート3の周方向に延びる環状溝である。凹部32と、調整シム10の他方の表面10bとによって囲まれる空間内に防錆油を貯留(換言すれば保持)することができる。凹部32については、センタープレート3の外周縁より若干内側に形成されることが好ましい。
本実施形態では、凹部22,32同士が調整シム10を挟んで相対するように配置されている。
次に、本実施形態におけるスクロール流体機械1の組立方法について説明する。
スクロール流体機械1の組立方法では、まず、調整シム10の表面10a,10bに防錆油を塗布する(防錆油塗布工程)。この工程では、調整シム10の表面10a,10bに防錆油を多めに塗布する。
次に、表面10a,10bに多めの防錆油が塗布された調整シム10をフロントハウジング2とセンタープレート3とで挟み込む(組立工程)。この組立工程では、調整シム10をフロントハウジング2とセンタープレート3とで挟み込むことで、調整シム10に塗布されている防錆油の一部が凹部22,32内に供給される(溜まる)。また、この組立工程では、固定スクロール6及び可動スクロール7を含む圧縮機構又は膨張機構がフロントハウジング2内に収容され得る。この後、シール部材8及びリアハウジング4を組み付けて複数のボルト5で締結することで、スクロール流体機械1の主な組立が完了する。
尚、以上では、凹部22,32の両方が形成されるものを説明したが、この他、凹部22,32のいずれか一方が形成されるものであってもよい。換言すれば、凹部22,32のいずれか一方が省略されてもよい。
本実施形態によれば、流体機械(例えばスクロール流体機械1)は、ハウジングを構成する第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)及び第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)と、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって第1ハウジング部材に対する第2ハウジング部材の位置を調整する調整シム10と、ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構(例えば固定スクロール6及び可動スクロール7)と、を含む。第1ハウジング部材の、調整シム10に当接する第1当接面(例えば端面2a)と、第2ハウジング部材の、調整シム10に当接する第2当接面(例えば面3a)との少なくとも一方に、防錆油を貯留可能な凹部22,32が形成されている。ゆえに、外部から第1,第2ハウジング部材と調整シム10との間の微小な隙間に塩水等が浸入しても、その浸入が凹部22,32で堰き止められ得るので、凹部22,32よりハウジング内方での腐食の発生を抑制することができる。また、この防錆油については、凹部内22,32のみならず、第1,第2ハウジング部材と調整シム10との間の微小な隙間にも存在し得るので、第1,第2ハウジング部材と調整シム10との合わせ面での腐食の発生が抑制され得る。従って、調整シム10による調整を良好に維持しつつ、ハウジングの耐食性を確保することができる。
また本実施形態によれば、前記第1当接面(例えば端面2a)と前記第2当接面(例えば面3a)との両方に凹部22,32が形成されている。これにより、調整シム10の一方の表面10a側と他方の表面10b側との両側で第1,第2ハウジング部材の腐食の発生を抑制することができる。
また本実施形態によれば、ハウジング内には、第1ハウジング部材又は第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)に固定された固定スクロール6と固定スクロール6に対して旋回運動を行う可動スクロール7とを含む圧縮機構又は膨張機構が収容されている。調整シム10は、固定スクロール6と可動スクロール7との隙間を調整するように構成されている。この隙間調整を良好に維持しつつ、ハウジングの耐食性を確保することができる。
また本実施形態によれば、流体機械(例えばスクロール流体機械1)の組立方法は、調整シム10の表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、防錆油が塗布された調整シム10を第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)と第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)とで挟み込む組立工程と、を含む。組立工程では、前記挟み込みにより、凹部22,32内に防錆油が供給される。これにより、凹部22,32内に防錆油を容易に充填することができる。
また本実施形態によれば、組立工程は、第1ハウジング部材又は第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)に固定された固定スクロール6と固定スクロール6に対して旋回運動を行う可動スクロール7とを含む圧縮機構又は膨張機構をハウジング内に収容することを含む。調整シム10は、固定スクロール6と可動スクロール7との隙間を調整するように構成されている。この隙間調整を良好に維持しつつ、ハウジングの耐食性を確保することができる。
図5は、本発明が適用された流体機械の第2実施形態であるスクロール流体機械1’の分解斜視図である。図6は、スクロール流体機械1’に使用される調整シム10の平面図である。図7は、スクロール流体機械1’の部分断面拡大図である。ここで、図5では、前述の図2と同様に、図示簡略化のため、シール部材8の図示を省略している。
前述の第1実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態では、センタープレート3に少なくとも1つ(ここでは3つ)の貫通孔33が形成されている。この貫通孔33は、本発明の「凹部に防錆油を注入するための防錆油注入通路」として機能し得るものであり、センタープレート3に貫通形成されている。貫通孔33は、スクロール流体機械1の軸方向(長手方向)に延びている。貫通孔33の一方の開口端33aは凹部32内に臨み、他方の開口端33bはセンタープレート3のリアハウジング4側の面3bに位置している。この開口端33bは、シール部材8によって閉塞され得る。
本実施形態では、調整シム10に少なくとも1つ(ここでは6つ)の貫通孔14が形成されている。貫通孔14の一方の開口端は、フロントハウジング2のセンタープレート3側の端面2a(調整シム10の一方の表面10aに当接する当接面)に相対する。貫通孔14の他方の開口端は、センタープレート3のフロントハウジング2側の面3a(調整シム10の他方の表面10bに当接する当接面)に相対する。特に本実施形態では、貫通孔14の一方の開口端が凹部22に相対し、貫通孔14の他方の開口端が凹部32に相対する。
次に、本実施形態におけるスクロール流体機械1’の組立方法について説明する。
スクロール流体機械1’の組立方法では、まず、調整シム10の表面10a,10bに防錆油を塗布する(防錆油塗布工程)。この工程における防錆油の塗布量については、前述の第1実施形態における防錆油塗布工程での防錆油の塗布量よりも少なくしてもよい。
次に、調整シム10の貫通孔14の一方の開口端をフロントハウジング2のセンタープレート3側の端面2aに相対させ、かつ、貫通孔14の他方の開口端をセンタープレート3のフロントハウジング2側の面3aに相対させた状態で、調整シム10をフロントハウジング2とセンタープレート3とで挟み込む(組立工程)。特に本実施形態において、組立工程では、調整シム10の貫通孔14の一方の開口端を凹部22に相対させ、かつ、貫通孔14の他方の開口端を凹部32に相対させた状態で、調整シム10をフロントハウジング2とセンタープレート3とで挟み込む。この組立工程では、固定スクロール6及び可動スクロール7を含む圧縮機構又は膨張機構がフロントハウジング2内に収容され得る。
次に、開口端33b側から貫通孔33に防錆油を注入することで、防錆油を貫通孔33を介して凹部32に注入する(防錆油注入工程)。開口端33b側から貫通孔33を介して凹部32に注入された防錆油は、調整シム10の貫通孔14を通って、更に凹部22内に供給され得る。このようにして、凹部22,32に防錆油が充填され得る。
この凹部22,32への防錆油の充填が完了した後、シール部材8でセンタープレート3の貫通孔33の他方の開口端33bを塞ぎつつ(防錆油注入通路閉塞工程)、シール部材8及びリアハウジング4を組み付けて複数のボルト5で締結することで、スクロール流体機械1’の主な組立が完了する。ここで、シール部材8は、本発明の「防錆油注入通路」の注入口を閉塞する閉塞部材として機能する。
尚、本実施形態において、前述の防錆油塗布工程を省略した上で、前述の防錆油注入工程にて、凹部32に注入された防錆油の一部を、センタープレート3のフロントハウジング2側の面3aと調整シム10の他方の表面10bとの間の微小な隙間に入り込ませると共に、凹部32から貫通孔14を通って凹部22側に供給される防錆油の一部を、フロントハウジング2のセンタープレート3側の端面2aと調整シム10の一方の表面10aとの間の微小な隙間に入り込ませてもよい。
また、本実施形態では、凹部22を省略し、凹部32のみの構成としてもよい。
特に本実施形態によれば、流体機械(例えばスクロール流体機械1’)のハウジングを構成する第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との少なくとも一方(例えばセンタープレート3)には凹部32に防錆油を注入するための防錆油注入通路(例えば貫通孔33)が形成されている。ゆえに、調整シム10をフロントハウジング2とセンタープレート3とで挟み込んで組み立てた後に、凹部32内に防錆油を確実に充填することができる。
また本実施形態によれば、調整シム10には貫通孔14が形成されている。この貫通孔14の一方の開口端が前記第1当接面(例えば端面2a)に相対し、貫通孔14の他方の開口端が前記第2当接面(例えば面3a)に相対する。特に本実施形態によれば、貫通孔14の一方の開口端が凹部22に相対し、貫通孔14の他方の開口端が凹部32に相対する。ゆえに、外部から防錆油注入通路(例えば貫通孔33)を介して凹部32に注入された防錆油を、調整シム10の貫通孔14を介して、凹部22内に供給することができる。
また本実施形態によれば、流体機械(例えばスクロール流体機械1’)は、防錆油注入通路(例えば貫通孔33)の注入口(例えば開口端33b)を閉塞する閉塞部材(例えばシール部材8)を更に含む。この閉塞部材は、流体機械(例えばスクロール流体機械1’)のハウジングを構成する第3ハウジング部材(例えばリアハウジング4)と、第1ハウジング部材又は第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)との間をシールするシール部材8である。ゆえに、第3ハウジング部材(例えばリアハウジング4)の組付時にシール部材8で防錆油注入通路(例えば貫通孔33)を閉塞することができる。
また本実施形態によれば、流体機械(例えばスクロール流体機械1’)の組立方法は、調整シム10を第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)と第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)とで挟み込む組立工程と、組立工程の後に防錆油注入通路(例えば貫通孔33)を介して凹部32に防錆油を注入する防錆油注入工程とを含む。ゆえに、組立工程を実施した後に、凹部32内に防錆油を確実に充填することができる。
また本実施形態によれば、調整シム10には貫通孔14が形成されている。組立工程では、貫通孔14の一方の開口端を前記第1当接面(例えば端面2a)に相対させ、かつ、貫通孔14の他方の開口端を前記第2当接面(例えば面3a)に相対させた状態で、調整シム10を第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)と第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)とで挟み込む。特に本実施形態によれば、組立工程では、貫通孔14の一方の開口端を凹部22に相対させ、かつ、貫通孔14の他方の開口端を凹部32に相対させた状態で、調整シム10を第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)と第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)とで挟み込む。ゆえに、外部から防錆油注入通路(例えば貫通孔33)を介して凹部32に注入された防錆油を、調整シム10の貫通孔14を介して、凹部22内に供給することができる。
また本実施形態によれば、流体機械(例えばスクロール流体機械1’)の組立方法は、組立工程に先立って、調整シム10の表面10a,10bに防錆油を塗布する防錆油塗布工程を更に含む。組立工程では、防錆油が塗布された調整シム10を第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)と第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)とで挟み込む。これにより、第1ハウジング部材(例えばフロントハウジング2)と調整シム10との間、及び、調整シム10と第2ハウジング部材(例えばセンタープレート3)との間の微小な隙間に防錆油を介在させることができる。
尚、本実施形態における、貫通孔14が形成された調整シム10を、前述の第1実施形態にて採用してもよいことは言うまでもない。
また、前述の第1実施形態、及び、本実施形態において、凹部22については、フロントハウジング2に防錆油貯留用として新設されたものであってもよく、又は、フロントハウジング2の既設の加工溝等を防錆油貯留用として活用してもよい。この点は、前述の凹部32についても同様である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形等が可能であることはもちろんである。
1,1’…スクロール流体機械、2…フロントハウジング、2a…端面、3…センタープレート、3a,3b…面、4…リアハウジング、5…ボルト、6…固定スクロール、7…可動スクロール、8…シール部材、10…調整シム、10a,10b…表面、11…内孔、12…ボルト挿通孔、13…ピン孔、14…貫通孔、21…位置決めピン、22…凹部、31…ピン孔、32…凹部、33…貫通孔、33a,33b…開口端、61…基板、62,72…渦巻部

Claims (8)

  1. ハウジングを構成する第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって前記第1ハウジング部材に対する前記第2ハウジング部材の位置を調整する調整シムと、前記ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構と、を含む流体機械であって、
    前記第1ハウジング部材の、前記調整シムに当接する第1当接面と、前記第2ハウジング部材の、前記調整シムに当接する第2当接面との少なくとも一方に、防錆油を貯留可能な凹部が形成されている、
    流体機械。
  2. 前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との少なくとも一方には前記凹部に防錆油を注入するための防錆油注入通路が形成されている、請求項1に記載の流体機械。
  3. 前記調整シムには貫通孔が形成されており、
    前記貫通孔の一方の開口端が前記第1当接面に相対し、前記貫通孔の他方の開口端が前記第2当接面に相対する、
    請求項1又は請求項2に記載の流体機械。
  4. 前記ハウジング内には、前記第1ハウジング部材又は前記第2ハウジング部材に固定された固定スクロールと前記固定スクロールに対して旋回運動を行う可動スクロールとを含む圧縮機構又は膨張機構が収容されており、
    前記調整シムは、前記固定スクロールと前記可動スクロールとの隙間を調整するように構成されている、
    請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の流体機械。
  5. ハウジングを構成する第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって前記第1ハウジング部材に対する前記第2ハウジング部材の位置を調整する調整シムと、前記ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構と、を含む流体機械の組立方法であって、
    前記第1ハウジング部材の、前記調整シムに当接する第1当接面と、前記第2ハウジング部材の、前記調整シムに当接する第2当接面との少なくとも一方には、防錆油を貯留可能な凹部が形成されており、
    前記組立方法は、
    前記調整シムの表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、
    防錆油が塗布された前記調整シムを前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とで挟み込む組立工程と、
    を含み、
    前記組立工程では、前記挟み込みにより、前記凹部内に防錆油が供給される、
    流体機械の組立方法。
  6. ハウジングを構成する第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との間に配置されてその厚さによって前記第1ハウジング部材に対する前記第2ハウジング部材の位置を調整する調整シムと、前記ハウジングに収容された圧縮機構又は膨張機構と、を含む流体機械の組立方法であって、
    前記第1ハウジング部材の、前記調整シムに当接する第1当接面と、前記第2ハウジング部材の、前記調整シムに当接する第2当接面との少なくとも一方には、防錆油を貯留可能な凹部が形成されており、
    前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との少なくとも一方には、前記凹部に防錆油を注入するための防錆油注入通路が形成されており、
    前記組立方法は、
    前記調整シムを前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とで挟み込む組立工程と、
    前記組立工程の後に前記防錆油注入通路を介して前記凹部に防錆油を注入する防錆油注入工程と、
    を含む、流体機械の組立方法。
  7. 前記調整シムには貫通孔が形成されており、
    前記組立工程では、前記貫通孔の一方の開口端を前記第1当接面に相対させ、かつ、前記貫通孔の他方の開口端を前記第2当接面に相対させた状態で、前記調整シムを前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とで挟み込む、
    請求項5又は請求項6に記載の流体機械の組立方法。
  8. 前記組立工程は、前記第1ハウジング部材又は前記第2ハウジング部材に固定された固定スクロールと前記固定スクロールに対して旋回運動を行う可動スクロールとを含む圧縮機構又は膨張機構を前記ハウジング内に収容することを含み、
    前記調整シムは、前記固定スクロールと前記可動スクロールとの隙間を調整するように構成されている、
    請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の流体機械の組立方法。
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