JP2021130903A - カーテンウォール用ブラケットおよび当該ブラケットを用いたブラケット連結方法 - Google Patents

カーテンウォール用ブラケットおよび当該ブラケットを用いたブラケット連結方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄骨梁の溶接側端部に連結される場合にも、鉄骨梁の溶接および当該溶接状態の検査の障害にならないカーテンウォール用ブラケット、および当該カーテンウォール用ブラケットを鉄骨梁の溶接側端部に連結させる方法を提供する。【解決手段】鉄骨梁3は、溶接側端部から後方に間隔をおいて設けられたブラケット係止部34を備える。ブラケット1は、カーテンウォール係止部を有するブラケット本体10と、ブラケット本体10を、カーテンウォールと係止される所定の係止位置と鉄骨梁の溶接作業箇所および溶接検査作業箇所を露出させる退避位置との間を回動自在にブラケット係止部に係止させる軸部材11と、を備える。ブラケット本体10は、鉄骨梁3と鉄骨柱4との溶接および溶接状態の検査の障害にならないよう、予め、退避位置まで回動させられる。【選択図】図1

Description

本発明は、カーテンウォール用ブラケットおよび当該カーテンウォール用ブラケットを鉄骨梁の溶接側端部に連結させる方法に関する。
従来、カーテンウォールとしてプレキャストコンクリート版(以下、「PC版」という)が建築物の外装として使用されている。また、PC版を鉄骨梁に連結させるためのツールとして、ブラケットが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
鉄骨梁は、鉄骨柱に予め設けられたブラケットを介してボルトによって鉄骨柱に連結されていた。しかしながら、コスト面などから近年では、鉄骨梁は、現場において、鉄骨柱に直接溶接されるか、鉄骨柱に設けられたダイアフラムに溶接される。そして、溶接が適切にされたか否かを確認するために、溶接箇所が検査される。溶接箇所の検査には、通常、目視検査や超音波検査が利用される。
図8〜図10に、従来の1次ブラケット1およびこの1次ブラケット1と2次ブラケット8とを用いてPC版6が鉄骨梁3に連結された状態を示す。図8および図9に示すように、鉄骨梁3は、H形鋼であって、上フランジ30と下フランジ31とウェブ32と、を備えている。鉄骨柱4は、角形鋼管であって鉄骨梁3との溶接箇所にダイアフラム41を備えている。1次ブラケット1は、ブラケット本体10を備え、ブラケット本体10には、PC版6と係止するための係止孔10bが設けられている。鉄骨梁3は、溶接によって鉄骨柱4に連結され、その溶接状態が検査される。1次ブラケット1は、溶接によって鉄骨梁3に連結される。図10に示すように、PC版6には、2次ブラケット8がボルト9aによって係止されており、この2次ブラケットがボルト9bによって1次ブラケット1に係止される。これにより、PC版6は、鉄骨梁3に連結される。
ところで、規模の大きな建物の建設の場合、カーテンウォール用ブラケットの規模も大きく、その重量は、50kg〜100kgにもなる。この場合、大型のブラケットを、現場で間配りしたり位置決めしたりすることは非常に手間がかかる。そこで、一般的に、この種のブラケットは、予め、工場において溶接などにより鉄骨梁に固定された状態で現場に搬入され、現場で間配りしたり位置決めしたりすることを避けてきた。
一方、図8および図9に示すように、1次ブラケット1は、鉄骨梁3の溶接側端部に連結される場合もある。この場合にも1次ブラケット1が予め鉄骨梁3に溶接されていると、鉄骨梁3を鉄骨柱4に溶接するスペースがないため、溶接することができなかった。また、1次ブラケット1が鉄骨梁3の端部よりも少し後方側に連結される場合においても、溶接後に溶接箇所を超音波検査することができなかった。このため、1次ブラケット1を鉄骨梁3の溶接側端部に連結する場合には、鉄骨梁3を現場に搬入する前に予め1次ブラケット1を鉄骨梁3に溶接することができなかった。しかも、規模の大きな建設の場合には、鉄骨梁3の溶接側端部に配置される1次ブラケット1の数も非常に多くなる。したがって、1次ブラケット1を鉄骨梁3とは別個に移動するためにクレーンが専有されたり、1次ブラケット1の間配りや位置決めに時間を浪費したりして、作業が滞るといった問題があった。
登実3001604号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、鉄骨梁の溶接側端部に連結される場合にも、鉄骨梁の溶接および当該溶接状態の検査の際に障害になることがないカーテンウォール用ブラケット、および当該カーテンウォール用ブラケットを鉄骨梁の溶接側端部に連結させる方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るカーテンウォール用ブラケットは、
鉄骨柱に溶接される鉄骨梁の溶接側端部において、鉄骨梁に連結されるカーテンウォール用ブラケットであって、
鉄骨梁は、溶接側端部から後方に間隔をおいて設けられたブラケット係止部を備え、
ブラケットは、
カーテンウォールとの係止に用いられるカーテンウォール係止部を有するとともに、鉄骨梁の端部に配置されるブラケット本体と、
ブラケット本体を、カーテンウォールと係止される所定の係止位置と、鉄骨梁の溶接作業箇所および溶接検査作業箇所を露出させる退避位置との間を回動自在に、ブラケット係止部に係止させる軸部材と、を備えることを特徴とする。
上記ブラケットは、好ましくは、
ブラケット係止部が、鉄骨梁の上面に立設され、鉄骨梁の長さ方向に延在し、鉄骨梁の幅方向に貫通する第1回動用孔が設けられており、
ブラケット本体が、カーテンウォール係止部よりも後側部分から後方に向かって延在するとともに、側面の後側に鉄骨梁の幅方向に貫通する第2回動用孔が設けられた回動部材を有する。
そして、第1および第2回動用孔が、同一軸線上に配置され、
軸部材が、第1および第2回動用孔を鉄骨梁の幅方向に貫通し、ブラケット本体を垂直方向に回動自在にブラケット係止部に係止させる。
上記ブラケットは、好ましくは、
ブラケット係止部が、鉄骨梁の幅方向に間隔をおいて鉄骨梁の長さ方向に平行に延在する1対の第1プレートからなり、
回動部材が、鉄骨梁の幅方向に間隔をおいて鉄骨梁の長さ方向に平行に延在する1対の第2プレートからなり、
軸部材が、第1および第2回動用孔を貫通し、ブラケット本体を垂直方向に回動自在にブラケット係止部に係止させる。
上記ブラケットは、好ましくは、
軸部材が、ボルトからなり、ナットによって第1および第2回動用孔に固定される。
上記ブラケットは、好ましくは、
ブラケット係止部が、鉄骨梁の上面に設けられた鉛直方向に延びる雌ねじ部を有し、
カーテンウォール係止部が、ブラケット本体を鉛直方向に貫通する係止孔を有し、
軸部材が、ボルトからなり、係止孔の後方端部を鉛直方向に貫通させられ、雌ねじ部と螺合され、ブラケット本体を水平方向に回動自在にブラケット係止部に係止させる。
上記ブラケットは、好ましくは、
ブラケット係止部が、鉄骨梁の上面に設けられたナットを有し、
カーテンウォール係止部が、ブラケット本体を鉛直方向に貫通するとともに、鉄骨梁の長さ方向に延びて開口している係止孔を有し、
軸部材が、ボルトからなり、係止孔の後方端部を鉛直方向に貫通させられ、ナットと螺合され、ブラケット本体を水平方向に回動自在にブラケット係止部に係止させる。
上記課題を解決するために本発明に係るブラケット連結方法は、
上記鉄骨柱と、上記いずれかのブラケットと、上記いずれかの鉄骨梁と、を準備し、
ブラケット本体を、カーテンウォールと係止させる所定の係止位置と、退避位置との間を、軸部材によって水平方向または垂直方向に回動自在にブラケット係止部に係止し、
鉄骨梁の溶接面を、ブラケット本体が係止された状態で、鉄骨梁と溶接される鉄骨柱の所定位置に対向させて配置し、
鉄骨梁を、ブラケット本体が溶接作業箇所が露出する退避位置まで軸部材を支点に回動させられた状態で、鉄骨柱に溶接し、
鉄骨梁が鉄骨柱に溶接された箇所の溶接状態を、ブラケット本体が溶接検査作業箇所が露出する退避位置まで回動させられた状態で、検査し、
ブラケット本体をカーテンウォールと係止させる所定の係止位置まで回動させ、
ブラケット本体を鉄骨梁に連結することを特徴とする。
本発明のカーテンウォール用ブラケットは、鉄骨梁の溶接側端部に連結される場合にも、鉄骨梁の溶接および当該溶接箇所の検査の障害になることを防止することができる。また、本発明のブラケット連結方法によれば、カーテンウォール用ブラケットが鉄骨梁の鉄骨柱への溶接および当該溶接状態の検査の障害になることを防止することができる。
Aは、本発明の第1の実施例に係る、カーテンウォールと係止される所定の係止位置に配置されているブラケットを示す上面図であり、Bは、図1AのB部拡大図である。 Aは、カーテンウォールと係止される所定の係止位置に配置されている図1のブラケットを示す側面図であり、Bは、図2AのB部拡大図である。 Aは、退避位置に配置されている図1のブラケットを示す側面図であり、Bは、図3AのB部拡大図である。 カーテンウォールと係止される所定の係止位置に配置されている図1のブラケットを示す斜視図である。 Aは、本発明の第2の実施例に係る、カーテンウォールと係止される所定の係止位置に配置されているブラケットを示す上面図であり、Bは、図5AのB部拡大図である。 Aは、カーテンウォールと係止される所定の係止位置に配置されている図5のブラケットを示す側面図であり、Bは、図6AのB部拡大図である。 Aは、退避位置に配置されている図5のブラケットを示す上面図であり、Bは、図7AのB部拡大図である。 従来の、PC版(カーテンウォール)と係止される所定の係止位置に配置されているブラケットを示す側面図である。 PC版(カーテンウォール)と係止される所定の係止位置に配置されている図8のブラケットを示す上面図である。 図8の鉄骨梁とPC版(カーテンウォール)との連結を示す側面図である。
本発明のカーテンウォール用ブラケットおよび当該ブラケットの連結方法に係る実施例について、図を参照しつつ説明する。本発明における建築対象は、例えば、高層ビルといった大型の建築物でもよい。図中において、両矢印Xは鉄骨梁の長さ方向を示し、両矢印Yは鉄骨梁の幅方向を示し、両矢印Zは上下方向を示す。また、本発明において、「前方」とは、鉄骨梁の長さ方向における鉄骨梁が鉄骨柱に溶接される側をいい、「後方」および「後」とは、その反対側をいい、「前後」とは、鉄骨梁の長さ方向をいう。
<第1の実施例>
まず、第1の実施例について図1〜図4を参照して説明する。図1および図2に示すように、第1の実施例に係るカーテンウォール用ブラケット(以下、単に「ブラケット」という)1は、鉄骨梁3の溶接側端部の、カーテンウォールと係止される所定の係止位置において、鉄骨梁3に連結される。なお、カーテンウォール(図示略)は、図1における鉄骨梁3のY方向上側面かつ鉄骨梁3の長さ方向に沿って配置される。カーテンウォールは、例えば、PC版でもよい。
<鉄骨柱>
図1および図2に示すように、鉄骨柱4は、鉄骨柱本体40と、上下1対のダイアフラム41と、シャープレート(ガゼットプレート)42と、を備える。
鉄骨柱本体40は、上下方向(図のZ方向)に延在する角形鋼管の柱であるが、単なる一例であって、鉄骨梁3が溶接される建築用の鉄骨柱であれば、断面形状は特に限定されない。
1対のダイアフラム41は、鋼鉄製の通しダイアフラムであって、鉄骨梁3の端面が溶接される鉄骨柱本体40の所定位置において、突き合わせ溶接により、鉄骨柱本体40にそれぞれ連結されている。本発明における「鉄骨柱」とは、鉄骨柱本体40に一体化されたダイアフラム41も含む概念である。ダイアフラム41は、通しダイアフラムであるが単なる一例であって、例えば、内ダイアフラムや外ダイアフラムでもよい。
シャープレート42は、1対のダイアフラム41の間において、鉄骨梁3が配置される位置に向かって立設されている。シャープレート42は、後で説明するように、鉄骨柱4に鉄骨梁3が溶接される前に鉄骨梁3に係止される。
<鉄骨梁>
鉄骨梁3は、H形鋼であり、上フランジ30、下フランジ31、ウェブ32およびスチフナ(リブ)33と、左右1対の第1プレート34と、を有する。第1プレート34が、本発明の「ブラケット係止部」に相当する。H形鋼は単なる一例であって、鉄骨柱4に連結される鉄骨梁3であれば、例えば、I形鋼でもよい。下フランジ31は、X方向に延在している。ウェブ32は、下フランジ31の幅方向中央において上フランジ30を支持するよう下フランジ31の長さ方向に立設されている。上フランジ30は、下フランジ31と平行に延在している。スチフナ33は、上フランジ30と下フランジ31との間において、ウェブ32に直交して立設されている。
図2〜図4に示すように、第1プレート34は、後方側が末広がり状に傾斜している1対のプレートから構成されており、上フランジ30の幅方向に間隔をおいて上フランジ30の上面に立設されるとともに、上フランジ30の長さ方向に平行に延在している。より具体的には、第1プレート34は、ブラケット本体10が上フランジ30の上面の所定位置に配置されるよう、上フランジ30の溶接面30aから上フランジ30の長さ方向に間隔をおいて配置されている。図4に示すように、1対の第1プレート34の側面の略中央には、1つの第1回動用孔34aがそれぞれ設けられている。また、1対の第1プレート34の側面の前側には、1つの第1固定用孔34bがそれぞれ設けられている。なお、第1プレート34の形状は、一例であって、例えば、矩形でもよい。
<ブラケット>
図1〜図4に示すように、ブラケット1は、ブラケット本体10と、軸部材11と、固定部材(図示略)と、を備える。
ブラケット本体10は、対向する前後の側板10c、10dと、前後の側板10c、10dとの間に設けられた対向する左右の側板10e、10fと、4枚の側板10c〜10fの上面を覆う1枚の天板10aと、後側の側板10dから後方に延在する左右1対の第2プレート10gを有する。第2プレート10gが、本発明の「回動部材」に相当する。
天板10aは、天板10aを鉛直方向に貫通するとともに、前後に延びて開口している係止孔10bを有する。天板10aが、本発明の「カーテンウォール係止部」に相当する。係止孔10bの中央部は、カーテンウォールの係止部材が挿入されるように、その他の部分よりも幅広に開口している。
1対の第2プレート10gは、下面から浮いた状態で、かつ、後方に向かって後側板10d後面にそれぞれ立設されている。1対の第2プレート10gの側面の後側には、1つの第2回動用孔10h(図示略)がそれぞれ設けられている。また、1対の第2プレート10gの側面の略中央には、1つの第2固定用孔10iがそれぞれ設けられている。
本実施例における軸部材11は、2本のボルトによって構成されている。軸部材11は、第1プレート34と第2プレート10gとが重ねられ、同一軸線上に配置された第1および第2回動用孔34a、10hを幅方向に貫通させられ、ナット13にそれぞれ係止される。これにより、軸部材11は、ブラケット本体10を、カーテンウォールと係止される所定の位置(以下、「カーテンウォール係止位置」という)と、鉄骨梁3の溶接作業箇所および溶接検査作業箇所を露出させる退避位置(以下、単に「退避位置」という)との間を垂直方向に回動自在に第1プレート34に係止させる。ボルトは、軸部材11の単なる一例であって、例えば、軸部材11は、同一軸線上に配置された第1および第2回動用孔34a、10hを貫通する1本の棒状部材であってもよい。
固定部材は、2本のボルト(図示略)によって構成されている。固定部材は、第1および第2プレート34、10gが重ねられ、同一軸線上に配置された第1および第2固定用孔34b、10iを鉄骨梁3の幅方向に貫通させられ、ナット(図示略)に係止される。ブラケット本体10は、固定部材および軸部材11が第1および第2プレート34、10gに係止されることにより、上フランジ30上において、カーテンウォール係止位置に精密に位置決めされるとともに固定される。これにより、ブラケット本体10が静止した状態で鉄骨梁3を現場に搬入することができる。
なお、ブラケット本体10は、自重が一定以上あれば、軸部材11によって第1プレート34に係止されることにより前後方向および左右方向の移動が規制され、自重により上下方向の移動が規制されるので、固定部材によって鉄骨梁3に固定されなくとも、現場に搬入することができる。
また、第1および第2回動用孔34a、10hと軸部材11との遊びは、ブラケット本体10を回動させるため、十分に設けられてもよい。一方、第1および第2固定用孔34b、10iと固定部材との遊びは、ブラケット本体10をカーテンウォール係止位置に位置決めおよび固定させるため、特に設けられなくてもよい。
<ブラケット連結方法>
次に、図1〜図4を参照しながら、本実施例に係るブラケット連結方法について説明する。なお、本実施例においては、ブラケット本体10の重量が一定以上あり自重によって上下方向の移動が規制されるものとする。
(1)ブラケット本体10は、鉄骨柱4が設置された現場に搬入される前に、予め、地上にて鉄骨梁3に係止される。具体的には、図4に示すように、ブラケット本体10は、同一軸線上に第1および第2回動用孔34a、10hが配置されるように上フランジ30上に配置される。そして、ブラケット本体10は、軸部材11によって、カーテンウォール係止位置と退避位置との間を垂直方向に回動自在に第1プレート34に係止される。これにより、ブラケット本体10は、カーテンウォール係止位置に位置決めされる。
(2)次いで、図1および図2に示すように、鉄骨梁3は、ブラケット本体10が係止された状態で、クレーンなどによって鉄骨柱4が設置された現場に搬入され、その溶接面30a、31aを鉄骨柱4の所定位置に対向して配置される。本実施例では、上下のダイアフラム41の所定位置に上フランジ30および下フランジ31の溶接面30a、31aが対向して配置される。そして、ウェブ32は、ボルトによって鉄骨柱4に設けられたシャープレート42に係止される。
(3)次いで、図3に示すように、ブラケット本体10は、上フランジ30上において、カーテンウォール係止位置から、退避位置まで回動させられる。
(4)次いで、鉄骨梁3は、ダイアフラム41に溶接によって連結され、その後、この溶接箇所の溶接状態が超音波検査される。なお、超音波による溶接状態の検査は単なる一例であって、溶接状態の検査は、これに限定されない。
(5)次いで、図1および図2に示すように、ブラケット本体10は、退避位置から、カーテンウォール係止位置まで回動させられ、カーテンウォール係止位置に復帰させられる。
(6)次いで、ブラケット本体10は、同一軸線上に第1および第2固定用孔34b、10iが配置された状態で第1プレート34に固定部材によって係止される。これにより、ブラケット本体10は、カーテンウォール係止位置に精密に位置決めされるとともに、固定される。
(7)次いで、ブラケット本体10は、その4つの側板10c〜10fを溶接によって上フランジ30に連結される。
以上のように、本実施例に係るブラケット1および当該ブラケット1を用いたブラケット連結方法によれば、ブラケット本体10は、鉄骨梁3の溶接側端部に連結される場合にも、鉄骨梁3の溶接および当該溶接箇所の検査の障害にならないので、予め鉄骨梁3に係止された状態で、鉄骨梁3とともに現場に搬入することができる。したがって、ブラケット1を現場において、間配りしたり位置決めしたりする必要がない。
なお、本実施例において、ブラケット本体10をカーテンウォール係止位置に配置して、鉄骨梁3を現場に搬入したが、ブラケット本体10を退避位置に配置して鉄骨梁3を現場に搬入してもよい。また、本実施例において、ブラケット本体10を固定部材によって固定せずに鉄骨梁3を現場に搬入したが、ブラケット本体10を固定部材によって固定した状態で鉄骨梁3を現場に搬入してもよい。この場合、鉄骨梁3を鉄骨柱4に溶接する前に、現場にて、固定部材をブラケット1から取り外してブラケット本体10の固定状態を解除し、ブラケット本体10を退避位置まで回動させることになる。
<第2の実施例>
次に、図5〜図7を参照しつつ、本発明のブラケット1およびブラケット連結方法に係る第2の実施例について説明する。なお、第1の実施例と同様の構成要素については、同一の参照符号を付し、その説明を省略することがある。
図5〜図7に示すように、第2の実施例に係るカーテンウォール用ブラケット(以下、単に「ブラケット」という)1は、第1の実施例と同様に、鉄骨梁3の溶接側端部に配置される。カーテンウォール(図示略)は、図5におけるY方向下側面かつ鉄骨梁3の長さ方向に沿って配置される。鉄骨柱4については、第1の実施例と同一の構成であるのでその説明を省略する。
<鉄骨梁>
図5および図6に示すように、鉄骨梁3は、上フランジ30、下フランジ31、ウェブ32およびスチフナ33を有する第1の実施例と同様のH形鋼である。鉄骨梁3は、本発明の「ブラケット係止部」として、ナット35を備えている。ナット35は、上フランジ30の溶接面30aから上フランジ30の長さ方向に間隔をおいて、ブラケット本体10が上フランジ30の上面の所定位置に配置されるよう、後で説明する係止孔10b2の後端の直下に配置されている。ナット35は、雌ねじ部が鉛直方向に延びるよう上フランジ30の上面に固定されている。
また、鉄骨梁3は、上フランジ30上において、後で説明するブラケット本体10の退避位置から上フランジ30の幅方向に間隔をおいて設けられたパラペットファスナ36と、パラペットファスナ36に設けられた補助ピース37と、補助ピース37に係止された緊結材38と、を有する。緊結材38は、例えば、鉄線でもよいが単なる一例であって、これに限定されない。
<ブラケット>
ブラケット1は、ブラケット本体10と、軸部材12と、を備える。
ブラケット本体10は、対向する前後の側板10c、10dと、前後の側板10c、10dの略中間に設けられた中板10jと、前後の側板10c、10dの間において設けられた側板10fと、前側の側板10cと中板10jとの間に設けられた側板10eと、4つの側板10c〜10fおよび中板10jを覆う天板10aと、を有する。
天板10aは、天板10aを鉛直方向に貫通するとともに、前後に延びて開口している2つの係止孔10b1、10b2を有する。2つの係止孔10b1、10b2は、前後に間隔をおいて設けられている。係止孔10b1、10b2の中央部は、カーテンウォールの係止部材が挿入されるように、その他の部分よりも幅広に開口している。
本実施例の軸部材12は、1本のボルトによって構成されている。ブラケット本体10は、カーテンウォール係止位置に配置される。軸部材12は、後方の係止孔10b2の後方端部を鉛直方向に貫通してナット35に螺合され、ブラケット本体10をカーテンウォール係止位置と退避位置との間を水平方向に回動自在にナット35に係止させる。これにより、ブラケット本体10は、軸部材12によって、上下方向および前方への移動が規制されることにより、カーテンウォール係止位置への簡易的な位置決めがなされる。
<ブラケット連結方法>
次に、図5〜図7を参照しながら、本実施例に係るブラケット連結方法について説明する。
(1)ブラケット本体10は、鉄骨柱4が設置された現場に搬入される前に、予め、地上にて軸部材12によって、カーテンウォール係止位置と退避位置との間を水平方向に回動自在にナット35に係止される。
(2)次いで、図7に示すように、ブラケット本体10は、退避位置まで水平方向に回動され、緊結材38によって、番線固定される。これにより、ブラケット本体10は、水平方向における回動が規制されるので、搬入時に不意に回転することを防止される。
(3)次いで、鉄骨梁3は、ブラケット本体10が係止された状態で、クレーンなどによって鉄骨柱4が設置された現場に搬入され、第1の実施例と同様の手法で、ボルトによって鉄骨柱4に設けられたシャープレート42に係止される。
(4)次いで、鉄骨梁3の溶接面30aおよび31aは、上下のダイアフラム41にそれぞれ溶接され、この溶接箇所の溶接状態が超音波検査される。
(5)次いで、図5および図6に示すように、ブラケット本体10に対する番線固定が解除され、ブラケット本体10は、退避位置からカーテンウォール係止位置まで水平方向に回動させられる。
(6)次いで、ブラケット本体10は、その側板10c〜10fを溶接によって上フランジ30に連結される。
以上のように、本実施例に係るブラケット1および当該ブラケット1を用いたブラケット連結方法によれば、ブラケット本体10は、鉄骨梁3の溶接側端部に連結される場合にも、鉄骨梁3の溶接および当該溶接箇所の検査の障害にならないので、予め鉄骨梁3に係止された状態で、鉄骨梁3とともに現場に搬入することができる。しかも、本実施例によれば、ブラケット本体10は、従来のブラケット本体10を流用することができる。
なお、本実施例において、搬入時におけるブラケット本体10の固定に番線固定を用いたが、ブラケット本体10の回動を規制する方法は、これに限定されない。例えば、ブラケット本体10の退避位置における係止孔10b1の直下に追加のナットを設け、係止孔10b1に挿入した追加のボルトを追加配置したナットに螺合させることにより、ブラケット本体10の回動を規制してもよい。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、以下のような変形例によって実施されてもよい。
(1)第1の実施例に係る回動部材は、例えば、1つの分厚いプレートやアームまたは3つ以上のプレートによって構成されてもよい。また、第1の実施例に係るブラケット係止部は、回動部材の回動を支持するものであれば、特に限定されない。
(2)第2の実施例におけるブラケット係止部として、ナット35に変えて、例えば、鉛直方向に延びる雌ねじ部を上フランジ30の上面に直接設けてもよい。当該雌ねじ部は、例えば、上フランジの上面を加工して穴状に設けてもよく、または上フランジに設けた突起物に設けてもよい。この場合、軸部材12は、当該雌ねじ部に螺合される。
1 ブラケット(1次ブラケット)
10 ブラケット本体
10a 天板(カーテンウォール係止部)
10b 係止孔
10c、10d、10e、10f 側板
10g 第2プレート(回動部材)
10i 第2固定用孔
10j 中板
11、12 軸部材
13 ナット
3 鉄骨梁
30 上フランジ
31 下フランジ
32 ウェブ
33 スチフナ(リブ)
34 第1プレート(ブラケット係止部)
34a 第1回動用孔
34b 第1固定用孔
35 ナット(ブラケット係止部)
36 パラペットファスナ
37 補助ピース
38 緊結材
4 鉄骨柱
40鉄骨柱本体
41 ダイアフラム
42 シャープレート(ガゼットプレート)
6 PC版(カーテンウォール)
8 ブラケット(2次ブラケット)
9a、9b ボルト

Claims (7)

  1. 鉄骨柱に溶接される鉄骨梁の溶接側端部において、前記鉄骨梁に連結されるカーテンウォール用ブラケットであって、
    前記鉄骨梁は、溶接側端部から後方に間隔をおいて設けられたブラケット係止部を備え、
    前記ブラケットは、
    前記カーテンウォールとの係止に用いられるカーテンウォール係止部を有するとともに、前記鉄骨梁の端部に配置されるブラケット本体と、
    前記ブラケット本体を、前記カーテンウォールと係止される所定の係止位置と、前記鉄骨梁の溶接作業箇所および溶接検査作業箇所を露出させる退避位置との間を回動自在に、前記ブラケット係止部に係止させる軸部材と、を備える
    ことを特徴とするブラケット。
  2. 前記ブラケット係止部は、前記鉄骨梁の上面に立設され、前記鉄骨梁の長さ方向に延在し、前記鉄骨梁の幅方向に貫通する第1回動用孔が設けられており、
    前記ブラケット本体は、前記カーテンウォール係止部よりも後側部分から後方に向かって延在するとともに、側面の後側に前記鉄骨梁の幅方向に貫通する第2回動用孔が設けられた回動部材を有し、
    前記第1および第2回動用孔は、同一軸線上に配置され、
    前記軸部材は、前記第1および第2回動用孔を前記鉄骨梁の幅方向に貫通し、前記ブラケット本体を垂直方向に回動自在に前記ブラケット係止部に係止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
  3. 前記ブラケット係止部は、前記鉄骨梁の幅方向に間隔をおいて前記鉄骨梁の長さ方向に平行に延在する1対の第1プレートからなり、
    前記回動部材は、前記鉄骨梁の幅方向に間隔をおいて前記鉄骨梁の長さ方向に平行に延在する1対の第2プレートからなり、
    前記軸部材は、前記第1および第2回動用孔を貫通し、前記ブラケット本体を垂直方向に回動自在に前記ブラケット係止部に係止させる
    ことを特徴とする請求項2に記載のブラケット。
  4. 前記軸部材は、ボルトからなり、ナットによって前記第1および前記第2回動用孔に固定される
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のブラケット。
  5. 前記ブラケット係止部は、前記鉄骨梁の上面に設けられた鉛直方向に延びる雌ねじ部を有し、
    前記カーテンウォール係止部は、前記ブラケット本体を鉛直方向に貫通する係止孔を有し、
    前記軸部材は、ボルトからなり、前記係止孔の後方端部を鉛直方向に貫通させられ、前記雌ねじ部と螺合され、前記ブラケット本体を水平方向に回動自在に前記ブラケット係止部に係止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
  6. 前記ブラケット係止部は、前記鉄骨梁の上面に設けられたナットを有し、
    前記カーテンウォール係止部は、前記ブラケット本体を鉛直方向に貫通するとともに、前記鉄骨梁の長さ方向に延びて開口している係止孔を有し、
    前記軸部材は、ボルトからなり、前記係止孔の後方端部を鉛直方向に貫通させられ、ナットと螺合され、前記ブラケット本体を水平方向に回動自在に前記ブラケット係止部に係止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
  7. 前記鉄骨柱と、請求項1〜6のいずれかに記載のブラケットと、請求項1〜6のいずれかに記載の鉄骨梁と、を準備し、
    前記ブラケット本体を、前記カーテンウォールと係止させる所定の係止位置と、前記退避位置との間を、前記軸部材によって水平方向または垂直方向に回動自在に前記ブラケット係止部に係止し、
    前記鉄骨梁の溶接面を、前記ブラケット本体が係止された状態で、前記鉄骨梁と溶接される前記鉄骨柱の所定位置に対向させて配置し、
    前記鉄骨梁を、前記ブラケット本体が前記溶接作業箇所が露出する退避位置まで前記軸部材を支点に回動させられた状態で、前記鉄骨柱に溶接し、
    前記鉄骨梁が前記鉄骨柱に溶接された箇所の溶接状態を、前記ブラケット本体が前記溶接検査作業箇所が露出する退避位置まで回動させられた状態で、検査し、
    前記ブラケット本体を前記カーテンウォールと係止させる所定の係止位置まで回動させ、
    前記ブラケット本体を前記鉄骨梁に連結する
    ことを特徴とするブラケット連結方法。
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