JP2021130841A - ガラス材溶射装置 - Google Patents

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【課題】ガラス質の被溶射材を溶射するための溶射装置において、熱曝露の影響から溶射装置を保護し、さらに、溶射装置の連続稼働を実現することのできるガラス材溶射装置を提供する。【解決手段】加熱された金属母材に対してガラス質の被溶射材を溶射するガラス材溶射装置であって、当該ガラス材溶射装置は、供給された被溶射材を加熱し溶融する筒状の加熱ブロックと、溶融状態の被溶射材を加熱ブロック内から噴出する吐出口とを有する溶射ガン本体部と、加熱ブロックの外面部の少なくとも一部に当接する外部冷却部とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、ガラス材溶射装置に関し、特に、溶射対象及び加熱炉から伝導する熱の影響を緩和することができるガラス材溶射装置に関する。
金属等の母材表面に他の金属またはガラス質の被膜を形成する場合、溶射の手法が用いられる。母材に当該母材と異種の金属の皮膜を溶射により形成する場合、めっき(鍍金)よりも強固に金属は母材に被着して被膜を形成する。また、母材にガラス質を溶射により被着して被膜を形成する場合、ほうろう(琺瑯)よりも強固にガラス質は母材に被着して被膜を形成する。それゆえ、溶射は耐久性の求められる製品の用途に好適である。
溶射装置では、金属、ガラス、セラミックス等の被溶射材とキャリアガスが混合される。別途供給されるガスと高電流によりプラズマが発生して高熱となり、被溶射材は溶融される。そして、当該溶射装置から溶射対象の母材に向けて溶融した被溶射材が吐出される(特許文献1、2等参照)。前出の特許文献に記載の装置によると、内部の燃焼時に生じる熱から装置を保護するため、装置内部に冷却液として水(純水、イオン交換水)が流通、循環され装置内の温度上昇が抑制される。
ここで、母材に対して金属の被溶射材を溶射装置から吐出して溶射する場合、母材自体は加熱される。従って、母材に冷風が吹き付けられて風冷される場合もある。金属の溶射では、金属に由来する延展性により母材への被着は容易である。また、互いに金属同士であるため、冷却時の熱膨張率の差異があっても剥離、亀裂が生じる等の問題は非常に少ない。
これに対し、母材の金属と被溶射材のガラス質では互いの熱膨張係数(線膨張係数)が異なる。比熱の関係から母材の金属が速く冷却される。そのため、ガラス質の被溶射材との間で体積収縮の速さが異なる。金属の被溶射材と同様の溶射、すなわち前述の風冷しながらの溶射を行うと、溶射時、さらには冷却後、溶射により形成されたガラス質の被膜に亀裂が生じ、亀裂箇所から被膜の剥離が生じる。これは製造不良である。
そこで、ガラス質の被溶射材の溶射にあっては、溶射時の温度低下も調整する必要がある。このことから、母材自体が400℃以上に加熱され、ガラス質の被溶射材は高温状態の母材に対して溶射される。自明ながら、母材自体の加熱のため、溶射装置は母材の加熱炉、母材を直接加熱するガスバーナー、及び母材自体から熱曝露を受け、溶射装置の熱損傷のおそれが高まる。そのため、溶射装置の安全機構が作動して装置は停止する。こうなると、装置の連続稼働に支障を来たし、生産性を高めることができない。
特開平10−52660号公報 特開2009−214020号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、ガラス質の被溶射材を溶射するための溶射装置において、熱曝露の影響から溶射装置を保護し、さらに、溶射装置の連続稼働を実現することのできるガラス材溶射装置を提供する。
すなわち、第1のガラス材溶射装置は、加熱された金属母材に対してガラス質の被溶射材を溶射するガラス材溶射装置であって、当該ガラス材溶射装置は、供給された被溶射材を加熱し溶融する筒状の加熱ブロックと、溶融状態の被溶射材を加熱ブロック内から噴出する吐出口とを有する溶射ガン本体部と、加熱ブロックの外面部の少なくとも一部に当接する外部冷却部と、を備えたことを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、外部冷却部を保護する保護板部が加熱ブロックの外側に装着されることを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、保護板部に、さらに耐熱布が装着されていることを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、外部冷却部に冷却液を供給する冷却液供給部が備えられることを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、冷却液供給部が、加熱ブロックの内部及び外部冷却部に冷却液を供給することを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、溶射ガン本体部を支持するアーム部が備えられることを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、被溶射材が誘電体材料または非誘電体材料であることを特徴とする。
さらに、ガラス材溶射装置は、溶射ガン本体部の吐出口に挿入され吐出口を洗浄するブラシ部が備えられることを特徴とする。
溶射ロボットは、ガラス材溶射装置を多関節ロボットに接続したことを特徴とする。
本発明のガラス材溶射装置は、加熱された金属母材に対してガラス質の被溶射材を溶射するガラス材溶射装置であって、当該ガラス材溶射装置は、供給された被溶射材を加熱し溶融する筒状の加熱ブロックと、溶融状態の被溶射材を加熱ブロック内から噴出する吐出口とを有する溶射ガン本体部と、加熱ブロックの外面部の少なくとも一部に当接する外部冷却部とを備えているため、溶射装置の主要部分を熱曝露の影響から保護することができる。さらに、冷却性能が向上するため、溶射装置の連続稼働を実現することができる。
金属母材の加熱後の溶射時の様子を示す模式図である。 実施形態のガラス材溶射装置を実装した溶射ロボットの全体側面図である。 溶射ガン本体部の縦断面図である。 溶射ガン本体部の(a)側面図及び(b)正面図である。 (a)外部冷却部を装着した溶射ガン本体部の側面図、(b)外部冷却部の正面図、及び(c)外部冷却部を装着した溶射ガン本体部の正面図である。 (a)冷却配管部の他の例及び(b)冷却配管部のさらに他の例の側面図である。 冷却液の配管構成を示す模式図である。 ガラス材溶射装置を実装した溶射ロボットの全体斜視図である。 アーム部を示す全体斜視図である。 耐熱布を備えた状態を示す全体斜視図である。 溶射ガン本体部と洗浄ブラシによる洗浄を示す部分側面図である。 冷却液の循環を示す模式図である。
図1の模式図を用い、実施形態のガラス材溶射装置1の使用状況から説明する。ガラス材溶射装置1はガラス質の被溶射材Gを金属母材Wに溶射するための装置である。金属母材Wは公知の鋼材(SS400)、ステンレス鋼(SUSの各種)、その他各種の金属であり、特段限定されない。ガラス質の被溶射材Gは、一般的なソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、その他各種組成のガラス質である。特にガラス質の被溶射材Gは誘電体材料または非誘電体材料(絶縁体)である。実施形態の溶射及び溶射装置は、金属母材Wの表面に誘電体を形成することを目的としている。例えば、特開2013−216977号公報に開示の無声放電用電極を形成するためのガラス質溶射材料等が誘電体材料の一例である。むろん、被溶射材Gの種類、組成を変更することにより、金属母材Wの表面に絶縁体が形成される。
金属母材Wの金属とガラス質の溶射材料Gは、所定の範囲で熱膨張率(熱膨張係数、線膨張係数)を適合させる必要がある。背景技術にて説明したように、金属母材Wの金属と一般的なガラスの熱膨張率(熱膨張係数、線膨張係数)は通常一致しない。また、金属母材Wをそのままガラス質の被溶射材Gを溶射すると、金属母材の表面に点としてガラス質が溶着し、空気の巻き込みからガラス質の被膜中に気泡が生じ気孔率が上昇する。ガラス質は溶射時に溶融状態となり、その熱膨張により膨張し付着する。溶射フレームにより基材にもある程度熱が加わるものの高温とはならない。このため、基材の膨張はガラス溶融時の膨張と乖離があり、冷却時にガラス質が基材より大きく収縮する。従って、貫入が発生する。また、金属より低膨張率のガラス質の場合、冷却時に爪飛び(部分剥離)の現象が発現してガラス質の被膜の溶着の強度も伴わない。結果、溶射後の被溶射材により形成されるガラス質の被膜は容易に剥離する。
この点を解消するため、金属母材W自体が予めガラス溶融時の熱膨張に近い温度に加熱される。図1の加熱部Hの中に金属母材Wは搬入され400ないし1200℃に加熱される。加熱温度は、被溶射材Gの熱膨張係数、所望するガラス皮膜の性質に対応した成分の相違に基づく。加熱部Hは電気炉、ガス炉、ガスバーナーの直接の火炎等の適宜である。金属母材Wは加熱部Hから取り出され、ガラス材溶射装置1による溶射に供される。金属母材Wが加熱部Hから取り出される位置はガラス材溶射装置1による溶射に支障の無い程度の高さ位置である。そこで、金属母材Wは加熱温度を保持でき、金属母材Wと、当該金属母材Wに溶射により被着したガラス質の被溶射材Gの冷却速度は概ね揃えられる。結果、双方の冷却時の熱変形は減少して、ガラス質の被膜の歪み、割れ、剥離現象は生じにくくなる。
ここで、図1から理解されるように、ガラス材溶射装置1は加熱された金属母材Wからの輻射熱を受ける。さらに、ガラス材溶射装置1は、加熱部Hからの熱、ガスバーナーの火炎等も受ける。このように、ガラス質の被溶射材Gの溶射に対応するため、ガラス材溶射装置1は強く熱曝露される。すると、ガラス材溶射装置1は熱損傷を被る。また、溶射装置内部の冷却(水冷)のための装置は、溶射装置の構成上、また、溶射装置の駆動性確保から大きさに制約を受ける。このため、溶射装置の外部から受ける熱による装置温度の上昇を食い止めることができず装置は作動停止してしまう。このようなことから、最適な条件を維持しつつ金属母材Wにガラス質の被溶射材Gを溶射してガラス質の被膜を形成することは容易ではない。
図2以降の図面を用いながら実施形態のガラス材溶射装置1を説明する。図2はガラス材溶射装置1の側面を示している。ガラス材溶射装置1は溶射ガン本体部10と外部冷却部を備える。さらに、ガラス材溶射装置1の駆動性を確保するため、ガラス材溶射装置1は多関節ロボット70に接続されている。図示の形態では、ガラス材溶射装置1の溶射ガン本体部10はアーム部30を介して多関節ロボット70に接続されている。この理由として、溶射装置が直接ロボットに接続されると、ロボット本体にも熱暴露(輻射熱)の影響が及ぶ。そこで、ロボット稼働時の不具合発生への対策として、アーム部30が介在され、基材加熱の温度によりアーム部30の長さは適宜に選択される。多関節ロボット70にはサーボモータ等により回転駆動する関節部71,72,73,74,75が備えられる。また、多関節ロボット70は台座76を介して作業施設の床面に固定される。なお、台座76は加熱炉、溶射対象物の大きさ、形状、加熱方法等により必要ない場合もあり、適宜となる。多関節ロボット70の複数の関節部の回動により、ガラス材溶射装置1は自在に位置制御可能である。従って、複雑な形状の金属母材Wの表面への正確かつむらのない溶射が可能である。
図3はガラス材溶射装置1の溶射ガン本体部10の縦断面図である。溶射ガン本体部10は供給された被溶射材を加熱し溶融する筒状の加熱ブロック11と溶融状態の被溶射材を加熱ブロック11内から噴出する吐出口12とを有する。実施形態のガラス材溶射装置1の溶射ガン本体部10(図2参照)は、プラズマ溶射のための溶射ガンである。そこで、加熱ブロック11の内部に、円錐形状のアノード13(負極)と、このアノード13を保持するアノード保持部14が備えられる。また、加熱ブロック11の内部に、カソード15(正極)も備えられる。
ガラス質の被溶射材Gは溶射材供給部19を経由してカソード15に到達する。そこで、このアノード13とカソード15に通電されることにより、加熱ブロック11の内部において発熱が生じ、ガラス質の被溶射材Gは瞬時に溶融される。ガラス質の被溶射材Gは平均粒径として概ね0.01ないし1.5mmの粒径の粒状物である。そのため、溶融時に被溶射材Gは微小な液滴となる。溶融されたガラス質の被溶射材Gはガス供給部18を経由して供給されるガスの噴射力により吐出口12から溶射ガン本体部10(図2参照)の外部に吐出する。そして、被溶射材Gは金属母材Wの表面に面として、しかも空気の巻き込みが少なく被着する。
また、当該溶射ガン本体部10においては、冷却液は冷却液流入部16より加熱ブロック11の内部に流入し、冷却液はアノード保持部14の周囲を冷却後、冷却液流出部17から加熱ブロック11の外部に流出する。このように、加熱ブロック11の内部の温度上昇の著しい箇所が冷却され、電極をはじめとする加熱ブロック11の内部の構造材の熱損傷の影響が緩和される。実施形態の冷却液は水(純水またはイオン交換水)である。後述する図7の冷却液供給部80から冷却液となる水が供給され、再度冷却液供給部80に還流する。むろん、冷却効率から冷却液は水以外を用いることは可能である。
図4(a)はガラス材溶射装置1の溶射ガン本体部10の側面図であり、同(b)は吐出口12側の正面図である。溶射ガン本体部10の加熱ブロック11は固定部35を介してアーム部30に固定される。冷却液流入部16と冷却液流出部17の配管はコネクタカバー21によりまとめられている。その他、ガス供給部18及び溶射材供給部19の配管が示されている。
図5(a)は加熱ブロック11に加熱ブロック11の外面部20の少なくとも一部に当接する外部冷却部50を装着した状態の側面図であり、同(c)は吐出口12側の正面図である。図5(b)は外部冷却部50のみを示す正面図である。外部冷却部50は、主に正面視において逆U字状に折り曲げた金属製の保護板部51(外装板)と、保護板部51の内部の設けられた冷却配管部55を備える。さらに、図示の実施形態では、溶射材供給部19(図3、図4参照)の配管を保護する上部保護板部56と、吐出口12及び加熱ブロック11の下方を保護する正面保護板部57が保護板部51に一体化されている。
冷却配管部55は溶射ガン本体部10の加熱ブロック11の外面部20に絶縁を確保して当接する。図5(b)のとおり正面視において逆U字状の構成である。冷却液の水は冷却配管部55の流入部52から流入し、流出部53から冷却配管部55の外へ流出する。冷却配管部55の内部を冷却液である水が流通する。そこで、加熱ブロック11の外面部20を介して熱交換が行われ、加熱ブロック11は外部からも冷却される。溶射ガン本体部10はプラズマ発生のため通電されている。そのため、加熱ブロック11等に冷却配管部55が直接接触すると漏電による破損のおそれがある。そのため、冷却効率を維持しながらも絶縁のため絶縁テープが介在される。
実施形態の外部冷却部50の冷却配管部55の形状は図5にて開示の構成に限られず、加熱ブロック11の外面部20に絶縁して当接可能であれば適宜である。例えば、冷却液が流通する冷却配管部が複数設けられて加熱ブロック11の外面部20に絶縁して当接する(図示せず)。さらには、図6(a)の側面図のとおり、外部冷却部50aは螺旋状の冷却配管部55aとして形成される。また、図6(b)の側面図のとおり、外部冷却部50bは適度に押しつぶし偏平な袋状の冷却配管部55bの構造として形成される。これらの冷却配管部の構造により、加熱ブロック11の外面部20への密着面積は増やされる。
図7は冷却液供給部80を起点とした冷却液の流れと配管図である。溶射ガン本体部10の構成を含めて模式的に示している。冷却液供給部80は公知の水冷装置(チラー)である。冷却液供給部80から冷却液の水が加熱ブロック11の内部へ供給され、同冷却液供給部80に還流して冷却される。冷却液供給部80から溶射ガン本体部10へ接続される配管は第1冷却液配管81(往路配管)であり、溶射ガン本体部10から冷却液供給部80へ接続される還流側の配管は第2冷却液配管82(復路配管)である。溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)内部の冷却に用いられて温度上昇した冷却液(冷却水)は冷却液流出部17から流出して第2冷却液配管82(復路配管)を通じて冷却液供給部80に還流する。
第1冷却液配管81には圧力調整弁95、圧力センサ86、逆止弁91が接続されている。第1冷却液配管81は溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)の冷却液流入部16に接続される。また、第2冷却液配管82には温度センサ85、逆止弁92、圧力センサ87が接続されている。第2冷却液配管82は溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)の冷却液流出部17に接続される。
外部冷却部50の冷却配管部55(図5参照)への冷却液(実施形態では水)の供給に際しては、加熱ブロック11(図5参照)への冷却液の供給と経路を分けて別の冷却液供給部から冷却液を供給しても良い。実施形態のガラス材溶射装置1にあっては、冷却液供給部80を双方の共用としている。図7の配管図から理解されるように、第1冷却液配管81に分岐冷却液配管83が接続される。そして、分岐冷却液配管83は冷却配管部55(図5参照)の流入部52に接続される。加熱ブロック11の外面部20(図4、図5参照)の冷却に用いられて温度上昇した冷却液(冷却水)は、流出部53から冷却配管部55の外へ流出して流出配管部84から外部に廃棄される。なお、流出配管部84は第2冷却液配管82に接続され冷却液供給部80に還流させてもよい。分岐冷却液配管83には、圧力調整弁88、圧力センサ89、電磁弁90、逆止弁93が接続されている。流出配管部84には、逆止弁94が接続されている。
図8及び図9の斜視図から理解されるように、実施形態のガラス材溶射装置1の溶射ガン本体部10はアーム部30を介して多関節ロボット70に接続され、溶射ガン本体部10はアーム部30に支持されている。さらに、アーム部30と保護板部51は一体化され、冷却配管部55(図5参照)の熱曝露からの保護が図られている。また、多関節ロボット70の先端部の関節部71(図2参照)とアーム部30の接続箇所を保護する保護布31が装着される。関節部71の駆動性確保のため、保護布31には蛇腹部32も備えられている。保護布31と蛇腹部32は公知のガラス繊維等の耐熱性の織布により形成される。
溶射ガン本体部10及び外部冷却部50に接続される各種の配管類も熱曝露の影響を受けやすい。そのため、図10のとおり、溶射ガン本体部10及び外部冷却部50の後端側に耐熱布60が装着される。なお、耐熱布60は保護板部51から適度な間隔を置いて設置される。保護板部51自体も熱曝露されての耐熱布60も影響を受けるためである。耐熱布60により複数の配管類は束ねられ、同時に熱曝露の影響が緩和される。特に、溶射ガン本体部10及び外部冷却部50は、加熱部H(図1参照)に近づき熱損傷の影響を受けやすい。そのため、保護の必要性がある。耐熱布60は前出の保護布31同様に公知のガラス繊維等の耐熱性の織布により形成される。
図11の部分側面図から理解されるように、実施形態のガラス材溶射装置1(図2参照)には、溶射ガン本体部10の吐出口12に挿入され同吐出口及び吐出口の内部を洗浄するブラシ部102が備えられる。ブラシ部102は合成樹脂(ナイロン等)の繊維の回転ブラシから構成され、ブラシ用モータ101と接続される。そして、溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)の吐出口12に対して進退し、当該吐出口12内に付着して残留する被溶射材が掻き取られて洗浄される。または、ブラシ部102側が固定され、多関節ロボット70の操作により、溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)がブラシ部102側へ近接されて吐出口12及び吐出口12の内部が洗浄されるようにしても良い。
溶融状態の被溶射材は溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)の吐出口12から外部に噴出する。このとき、吐出口12の内部には、溶融された被溶射材が吐出口12の内壁面等に付着する。溶射回数の増加に伴い被溶射材の付着も多くなる。そうすると、溶射ガン本体部10におけるエネルギー(熱)効率が低下する。また、付着量が多くなると粗大な粒子となってキャリアガス及び供給されるガスに吹き飛ばされる。すると、基材の表面に粗大な粒子が付着して溶射表面は均一な面とならなくなる。さらには、被溶射材の供給部位が塞がれて供給に支障を来すおそれがある。そこで、適時吐出口12の内部は清浄に維持される必要がある。このことから、ブラシ部102が吐出口12の内部に挿入され、溶融付着した余分な被溶射材が掻き取られる。むろん、ブラシ部102の挿入は溶射材料の溶融、噴射を終えて加熱ブロック11が冷却した段階で行われる。
図12は、溶射ガン本体部10に供給する冷却液(冷却水)の循環時と洗浄時(メンテナンス時)の様子を示す模式図である。図示は加熱ブロック11(図3参照)の内部への冷却液の供給等を示す。むろん、これに前出の図7の配管等が組み合わせられる。ガラス材溶射装置1の作動時、冷却液供給部80(冷却用チラー)から供給される冷却液(冷却水)は第1冷却液配管81を通じて冷却液流入部16から溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)の内部に流入する。そして、温度上昇した冷却液(冷却水)は冷却液流出部17から流出して第2冷却液配管82(復路配管)を通じて冷却液供給部80に還流する。このとき、電磁弁111,112はともに開状態である。
続いて、冷却液(冷却水)の供給を停止するため、電磁弁111,112はともに閉状態となる。次に、電磁弁113,114がともに開状態となり調整エア(圧縮空気)が冷却液流入部16から溶射ガン本体部10(加熱ブロック11)の内部に流入する。そして、内部に残留する冷却液(冷却水)は調整エアにより押し出され排水配管105から外部に廃棄される。所定時間、調整エアの供給が行われた後、電磁弁113,114はともに閉状態となり、電磁弁111,112はともに開状態となる。そして、冷却液供給部80(冷却用チラー)から冷却液(冷却水)が供給され、圧力等が確認され、再びガラス材溶射装置1は作動する。
実施形態のガラス材溶射装置は、当該溶射装置の外部側も冷却可能であるため、熱曝露の影響から溶射装置を保護し、溶射装置の連続稼働を実現することができる。このため、ガラス材溶射装置における代替として有望である。
1 ガラス材溶射装置
10 溶射ガン本体部
11 加熱ブロック
12 吐出口
16 冷却液流入部
17 冷却液流出部
18 ガス供給部
19 溶射材供給部
20 外面部
30 アーム部
31 保護布
50,50a,50b 外部冷却部
51 保護板部
52 流入部
53 流出部
55,55a,55b 冷却配管部
60 耐熱布
70 多関節ロボット
71,72,73,74,75 関節部
76 台座
80 冷却液供給部
81 第1冷却液配管(往路配管)
82 第2冷却液配管(復路配管)
83 分岐冷却液配管
101 ブラシ用モータ
102 ブラシ部
G 被溶射材
H 加熱部
W 金属母材

Claims (9)

  1. 加熱された金属母材に対してガラス質の被溶射材を溶射するガラス材溶射装置であって、
    前記ガラス材溶射装置は、
    供給された被溶射材を加熱し溶融する筒状の加熱ブロックと、溶融状態の被溶射材を前記加熱ブロック内から噴出する吐出口とを有する溶射ガン本体部と、
    前記加熱ブロックの外面部の少なくとも一部に当接する外部冷却部と、を備えた
    ことを特徴とするガラス材溶射装置。
  2. 前記外部冷却部を保護する保護板部が前記加熱ブロックの外側に装着される請求項1に記載のガラス材溶射装置。
  3. 前記保護板部に、さらに耐熱布が装着されている請求項2に記載のガラス材溶射装置。
  4. 前記外部冷却部に冷却液を供給する冷却液供給部が備えられる請求項1に記載のガラス材溶射装置。
  5. 前記冷却液供給部が、前記加熱ブロックの内部及び前記外部冷却部に冷却液を供給する請求項4に記載のガラス材溶射装置。
  6. 前記溶射ガン本体部を支持するアーム部が備えられる請求項1に記載のガラス材溶射装置。
  7. 前記被溶射材が誘電体材料または非誘電体材料である請求項1に記載のガラス材溶射装置。
  8. 前記溶射ガン本体部の前記吐出口に挿入され前記吐出口を洗浄するブラシ部が備えられる請求項1に記載のガラス材溶射装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のガラス材溶射装置を多関節ロボットに接続したことを特徴とする溶射ロボット。
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