JP2021130582A - 気相成長装置及びiii族窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 得られる単結晶の膜厚分布のバラつきを抑制させつつ、原料ガスの反応効率を改善し、高い結晶成長速度を達成することが可能な気相成長装置を提供する。【解決手段】 複数の原料ガスを反応させることにより基板上に単結晶を成長させる気相成長装置であって、第一の原料ガス供給ノズルの開口部は、該第一の原料ガスを前記反応域に供給する2つ以上の第一の原料ガス供給口、該第一の原料ガス供給口を取り囲んで配設され、各々の原料ガス供給口を隔離する隔壁、及び該隔壁を取り囲んで配設され、該第一の原料ガスに対して不活性なガスを供給するバリアガス供給口を有し、該開口部における、前記支持台の基板支持面と平行方向の最大幅が、前記支持台の基板支持面の垂直方向における最大幅よりも大きく、該前記第一の原料ガス供給口の断面積の合計S1に対する、前記バリアガス供給口の断面積S2の比S2/S1が3〜9である気相成長装置を提供する。【選択図】 図3

Description

本発明は、複数の原料ガスの反応によりベース基板上に単結晶を成長させる気相成長装置及び該気相成長装置を用いたIII族窒化物単結晶の製造方法に関する。
現在、単結晶シリコンをはじめとした多くの単結晶材料が工業製品に利用されており、特にエレクトロニクス分野においての利用範囲は、センサー、LED、レーザー、パワーデバイス、通信デバイス等多岐に渡っている。一般に単結晶の製造方法は気相法、液相法、固相法の3つに分類され、物質や目的に応じて適切な方法が選択される。例えば、シリコン等の比較的低融点の材料の単結晶は液相法である融液法により作製される。また近年、発光素子材料や高周波電子デバイスとして注目されている窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウムといったIII族窒化物のような、常圧で融点をもたない等の理由により融液法を適用しにくい材料の単結晶は、気相法である昇華(PVT:Physical Vapor Transport)法やハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法等の方法により作製されている。
PVT法による単結晶の製造は、固体の原料を高温で昇華させた後に低温のベース基板上に再析出させることで行われ、高い成長速度で結晶を成長できるメリットがある。一方で、原料が固体であることから十分に高純度な原料が得にくく、製造した単結晶中に原料に起因する不純物が混入しやすいデメリットがある。一方、HVPE法による単結晶の製造は、目的とする結晶の成分元素をそれぞれ含んだ複数の原料ガスを供給してベース基板上で反応させ、ベース基板上に結晶を成長させることで行われる。HVPE法は、結晶成長速度に関してはPVT法に劣る場合が多いものの、原料が気体であるため十分に高純度な原料が得やすく、PVT法では避けられない原料起因の不純物の混入を低減しやすいメリットがある。特に、発光素子材料として用いる単結晶では発光波長に対する透過率が重要な物性の一つであるが、前記原料起因の不純物は透過率の低下の要因となるため、HVPE法により製造された高純度の単結晶は発光素子材料として好適である。
ここで、HVPE法のような複数の原料ガスを用いる単結晶の気相成長法では、結晶成長面での反応以外に副反応として気中で原料ガスが反応することによる、核形成反応が起こる場合が多い。そのため、複数の原料ガスが結晶成長させる領域(反応域)から離れて供給されてしまう場合、すなわち、該反応域よりも上流で各原料ガスが混合されてしまうと、前記核形成反応による原料ガスの消費のみならず、前記核形成反応により生成する粒子状結晶の結晶成長面への付着により結晶成長の方位ズレ等が引き起こされる虞がある。したがって、複数の原料ガスを用いる単結晶の気相成長法により効率良く且つ良好な単結晶を得るためには、反応域の近傍へ配設した複数の原料ガス供給口から各原料ガスをそれぞれ別々に供給し、反応域内で各原料ガスを混合することが望ましい。
一方で、反応域の近傍へ配設した複数の原料ガス供給口から各原料ガスをそれぞれ別々に供給する場合、各原料ガスが結晶成長面に到達するまでに十分拡散しにくく、結晶成長面上での原料ガス濃度が不均一になりやすいことがあるため、成長した単結晶の膜厚分布にバラつきが生じやすいという課題がある。前記膜厚分布のバラつきは、基板の大口径化に伴いより顕著になる傾向があり、特に直径1インチ(約25mm)以上の口径を有する基板においては、該基板の研削や研磨といった、結晶成長後の加工時の取代が増加することによる生産性の低下や、結晶品質の悪化の要因となるため、さらなる改善が望まれているのが現状である。
前記膜厚分布のバラつきを低減する方法としては、結晶成長時の成長面内での各原料ガスの濃度を均一にする以外に、成長面内での最低原料濃度以上の濃度で反応速度律速となるように系内温度を下げる方法が考えられる。しかし、一般的に反応速度律速の条件では結晶成長時に原子配列が乱れやすく、結晶品質が悪化する虞がある。そのため、良好な結晶品質を維持しながら膜厚のバラつきを低減する方法としては、結晶成長面内での原料ガス濃度を均一にする方法が好ましい。また、基板を回転させながら結晶成長させることで結晶の膜厚分布を均一化する方法が知られているが、結晶成長中、結晶成長面内に極端に原料ガス組成が異なる箇所が発生する場合や、原料ガス濃度が低く成長速度が遅い箇所が発生する場合がある。このような現象は、結晶成長を通じて発生するものではなく、結晶成長の一部の時間において発生するため、基板を回転させながら結晶成長を行うことによって膜厚分布が均一な単結晶が得られたとしても、該結晶内で不純物濃度や結晶欠陥密度の偏りが生じる虞がある。
特開2013−222902号公報 特開2015−191956号公報
これまでに、結晶成長面内での原料ガス濃度を制御することにより膜厚のバラつきを低減する方法は種々提案されており、例えば、クラウンと呼ばれる基板周端部における異常成長の抑制のため、ベース基板の外周部周囲に窒化物を含む多結晶体を配置し、該多結晶体にIII族窒化物を析出させることで基板外周部の過飽和度を下げる方法(特許文献1参照)が知られている。この方法によると、基板外周部の過飽和度は下がり、クラウンの成長は抑制できるものの、外周部以外に発生した異常成長部の過飽和度を選択的に低下させるわけではないため、クラウン以外の外周部付近の成長速度も低下してしまう傾向があり、基板全面での膜厚均一性という観点ではなお課題が残っている。さらに、周囲の多結晶体に原料ガスが吸収されるため、原料ガスの反応効率の点でもなお改善の余地があった。
上記の課題に対して本願発明者らは、HVPE法によりIII族窒化物を成長する結晶成長装置において原料ガスとして用いるIII族ハロゲン化物ガスの供給口を取り囲むように、水素や窒素等を供給するバリアガスの供給口を配設し、さらに基板支持台の最大幅に対するIII族ハロゲン化物ガスの供給口の最大幅の比を規定した装置を提案している(特許文献2参照)。該結晶成長装置で結晶成長を行うことで結晶成長面内での原料ガス濃度を制御し、成長膜厚の均一性が向上することが示されている。
しかしながら、上記特許文献2記載の装置で成長を行った場合、基板中心部の結晶成長速度を従来の装置と同様にした場合には、基板外周部の成長速度の向上効果が認められるものの、基板中心部と外周部との成長速度にはなおバラツキが生じており、一方、基板中心部と外周部の成長速度を均一にするためには、基板中心部の成長速度を大きく低下させる必要があり、単結晶基板を量産する点でなお改善の余地があった。
すなわち本発明の目的は、複数の原料ガスの反応によりベース基板上に単結晶を成長させる気相成長法において、得られる単結晶の膜厚分布のバラつきを抑制させつつ、原料ガスの反応効率を改善し、高い結晶成長速度を達成することが可能な気相成長装置を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。前述したように膜厚分布のバラつきが基板の大口径化に伴い顕在化する主な理由は、結晶成長面の面積が拡大することにより原料ガスの拡散がより不十分になるためであると考えられる。すなわち、原料ガスの拡散が不十分であると、結晶成長面内における原料ガスの流れに直交する方向での外周側で特に成長速度が低下し、膜厚バラつきの要因となる。そこで本発明者らは、図1にて側面概略図が示される既存の結晶成長装置において、III族源ガス供給ノズルの開口部151について、基板支持面に対する平行方向(以下、基板支持面に対する平行方向を、「平行方向」と称す)の最大幅を、前記III族源ガス供給ノズルにおける前記バリアガス供給口の内径と外径との差を一定に保ったまま大きくしてゆき、結晶成長面内での結晶成長速度分布へ与える影響を調査した。
図1の気相成長装置では、原料ガスは各供給ノズル(V族源ガス供給ノズル140及びIII族源ガス供給ノズル150)より、反応域101に供給され、未反応の原料ガスは排出口160にて排出されるため、支持台121に設置したベース基板122の結晶成長面に対して原料ガスは平行方向に供給される。このような気相成長装置を用いてベース基板上に結晶成長を行う場合、III族源ガス供給ノズルの平行方向における最大幅を、前記III族源ガス供給ノズルにおける前記バリアガス供給口の内径と外径との差を一定に保ったまま大きくすると、結晶成長面に対して平行方向であり、且つ原料ガスの流れに対して直交する方向(すなわち、図1における手前から奥への方向)における基板中心と基板外周の成長速度の均一性については改善するものの、結晶成長面に対して平行方向であり、且つ原料ガスの流れと平行な方向に対しては、結晶成長面内で結晶成長速度が最高となる位置(以下、「成長速度ピーク位置」とも言う)がベース基板に対して原料ガス供給口に近い側、すなわち原料ガスの流れにおける上流方向へシフトするという知見を得た。
通常、前記成長速度ピーク位置が原料ガスの流れにおける上流側に寄りすぎた場合、前述した気中での核形成反応が起きやすくなる等の虞があるため、バリアガスやその他のキャリアガスの供給量を増加させる等により、前記成長速度ピーク位置が下流方向へシフトするように調整する。そこで、前記III族源ガス供給ノズルの平行方向における最大幅を、前記III族源ガス供給ノズルにおける前記バリアガス供給口の内径と外径との差を一定に保ったまま大きくしつつ、前記成長速度ピーク位置がシフトしないようにバリアガスの供給量により調整して結晶成長を行ったところ、結晶成長面内での膜厚均一性は向上したものの、成長速度が低下することが判明した。
上記の結果から、これまでの膜厚分布の改善方法において膜厚均一性と反応効率がトレードオフの関係になっていた理由は、バリアガスの流速が膜厚均一性に影響する一方でバリアガスの供給量が反応効率に影響しているためであると推定し、前記III族源ガス供給ノズルにおけるバリアガスの供給口の形状等について鋭意検討を行った。その結果、前記III族源ガス供給ノズルの開口部における前記III族源ガスの供給口の断面積に対する前記バリアガスの供給口の断面積比を一定の範囲内に調整することで、バリアガスの供給量を変えずに前記成長速度ピーク位置のシフトを制御することが可能であることを見出した。その結果、結晶成長面内での膜厚均一性を維持しつつ、原料ガスの反応効率を改善し、高い結晶成長速度が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、第一の本発明は、複数の原料ガスを反応させることにより基板上に単結晶を成長させる気相成長装置であって、該気相成長装置は、基板上に単結晶を成長させる反応域を有する反応器と、前記反応域に配設され、基板を支持する支持台と、第一の原料ガスを前記反応域へ供給する第一の原料ガス供給ノズルと、第二の原料ガスを前記反応域へ供給する第二の原料ガス供給ノズルとを有し、前記第一の原料ガス供給ノズルは、前記第一の原料ガスを、該第一の原料ガス供給ノズルの開口部より前記支持台の側上方から前記支持台の上方へ向けて吹き出すように配設されており、前記第一の原料ガス供給ノズルの開口部は、該第一の原料ガスを前記反応域に供給する2つ以上の第一の原料ガス供給口、該第一の原料ガス供給口を取り囲んで配設され、各々の原料ガス供給口を隔離する隔壁、及び該隔壁を取り囲んで配設され、該第一の原料ガスに対して不活性なガスを供給するバリアガス供給口を有し、前記第一の原料ガス供給ノズルの開口部における、前記支持台の基板支持面と平行方向の最大幅が、前記支持台の基板支持面の垂直方向における最大幅よりも大きく、さらに、該前記第一の原料ガス供給口の断面積の合計Sに対する、前記バリアガス供給口の断面積Sの比S/Sが3〜9である気相成長装置である。
上記本発明の気相成長装置は、以下の態様が好適に採り得る。
1)前記バリアガス供給口において、前記支持台の基板支持面の垂直方向における、前記支持台側のバリアガス供給口の平均幅が、該隔壁を介して相対するバリアガス供給口の平均幅よりも小さいこと。
2)前記第一の原料ガス供給口の前記支持台の支持面に対して平行方向における最大幅Lと、基板の最大径Lの比L/Lが、0.4〜1.8であること。
3)前記第一の原料ガスがIII族源ガスであり、前記第二の原料ガスが窒素源ガスであり、前記単結晶がIII族窒化物単結晶であること。
また、第二の本発明は、上記第一の本発明の気相成長装置の前記反応域に前記第一の原料ガスとしてIII族源ガスを供給し、前記第二の原料ガスとして窒素源ガスを供給することにより、支持台に設置された基板上で前記窒素源ガスとIII族源ガスとを反応させる工程を有することを特徴とするIII族窒化物単結晶の製造方法である。
上記本発明のIII族窒化物単結晶の製造方法は、以下の態様が好適に採り得る。
i)前記III族源ガスが、ハロゲン化アルミニウムガスであり、前記窒素源ガスがアンモニアガスであり、前記III族窒化物単結晶が窒化アルミニウム単結晶であること。
本発明の気相成長装置によれば、結晶成長面上での原料ガス濃度の低下を抑制しつつ原料ガスを結晶成長面上に均一に供給することが可能になる。従って、本発明の気相成長装置を用いることで、支持台に設置した基板における結晶成長面上の結晶成長速度のばらつきを抑制し、均一な膜厚分布をもつ単結晶を原料ガスの反応効率が良く、且つ高い結晶成長速度で製造することができる。このため、本発明の気相成長装置は特にIII族窒化物単結晶の量産製造に適している。
一般的な気相成長装置の構成を示す側面概略図である。 一般的な気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルの開口部の一例を示す概略図である。 本発明の気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルの開口部の一例を示す概略図である。 本発明の気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルの開口部の他の一例を示す概略図である。 本発明の気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルの開口部の他の一例を示す概略図である。 本発明の気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルの開口部の他の一例を示す概略図である。
本発明の気相成長装置は、複数の原料ガスを反応させることにより基板上に単結晶を成長させる気相成長装置であって、第一の原料ガスを前記反応域へ供給する第一の原料ガス供給ノズルの開口部が、該第一の原料ガスを前記反応域に供給する2つ以上の第一の原料ガス供給口と、該第一の原料ガスに対して不活性なガスを供給するバリアガス供給口を有しており、前記第一の原料ガス供給ノズルの開口部における、前記支持台の基板支持面と平行方向の最大幅が、前記支持台の基板支持面の垂直方向における最大幅よりも大きく、さらに、該前記第一の原料ガス供給口の断面積の合計Sに対する、前記バリアガス供給口の断面積Sの比S/Sが3〜9であることが特徴である。なお、本発明において、数値A及びBについて「A〜B」は、別途規定されない限り「A以上B以下」を意味する。
このように本発明の気相成長装置を用いることで、均一な膜厚分布をもつ単結晶を高い結晶成長速度で製造することができる理由について詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推測している。すなわち、前記のとおり、一般的な気相成長装置では、第一の原料ガス供給ノズルの開口部において、第一の原料ガス供給口の断面積に対するバリアガス供給口の断面積の比(以下、該断面積の比を、「バリアガス供給口断面積比」と称す)は一定ではない。図2は、一般的な気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルの開口部200の断面図である。該第一の原料ガス供給ノズルは、第一の原料ガスを供給する第一の原料ガス供給口210と各々の第一の原料ガス供給口を隔離する隔壁220、及びバリアガス供給口230から構成されている。例えば図2に記載の第一の原料ガス供給ノズルにおいて、各々の第一の原料ガス供給口210間の距離dのみを大きくしていくと、前記バリアガス供給口断面積比は大きくなっていく。バリアガスは、第一の原料ガスを包むように供給されており、基板成長面に到達するまでに第一の原料ガスが第二の原料ガスと接触することを防ぐ効果を奏する(以下、当該効果を「バリア効果」とも言う)。前記バリアガス供給口断面積比が大きくなると、前記バリアガス供給口230より流出するバリアガスの流速が前記第一の原料ガス供給口210より流出する第一の原料ガスの流速に対して相対的に遅くなるため、バリアガスによる第一の原料ガスのバリア効果が弱まり、各原料が上流側で混合されて成長速度ピーク位置は上流側にシフトする。このような場合、結晶成長面よりも上流側における気相核形成反応による原料の消費が発生しやすくなり、反応効率が低下する虞がある。
また、前記バリアガスやその他のキャリアガスの供給量を増加させる等により前記成長速度ピーク位置を調整することで、前記結晶成長面よりも上流側での気相核形成反応を抑制することができるが、前記バリアガスやその他のキャリアガスの供給量の増加は、原料ガス以外のガスの分圧を上昇させるため原料ガス濃度を低下させてしまい、反応効率が低下する。従って、図1に示されるような気相成長装置において、第一の原料ガス供給ノズルの開口部の構造を図2における上記dのみを大きくするような変更のように変更する場合、バリアガス供給口230の断面積比を調整せずに第一の原料ガス供給口210の平行方向での最大幅を拡大することになり、膜厚分布のバラツキに対して改善効果が認められるものの原料ガスの反応効率の低下が生じ、結晶成長速度が低下するものと推測される。
一方、本発明の気相成長装置では、前記第一の原料ガス供給口210およびバリアガス供給口230の上記平行方向における幅を拡大する場合、上記バリアガス供給口断面積比を所定の範囲に調整する。具体的には、前記隔壁220の基板支持面に対する垂直方向(以下、基板支持面に対する垂直方向を、「垂直方向」と称す)における外径を大きくするか、前記バリアガス供給口230の垂直方向における外径を小さくするか、またはその両方により、バリアガス供給口230の断面積を前記バリアガス供給口断面積比が望ましい範囲の値となるように調整する。このようにすることにより、バリアガスの供給量を増加させることなくバリアガスの流速を上昇させることが可能になり、その結果、十分なバリア効果を得ることができるため、膜厚分布の改善に伴う原料ガス濃度の低下がなく、反応効率の改善と結晶成長速度のばらつきの抑制を両立させることが可能であるものと推測される。ベース基板の結晶成長面上の結晶成長速度のばらつきは、結晶成長面積が広いほど、また結晶成長膜厚が大きいほど顕著に見られるものであり、本発明の気相成長装置は、ベース基板の口径が大きく、また成長させる膜厚が大きい場合により効果的であるものと推測される。以下、本発明の気相成長装置について詳述する。
(第一の原料ガス供給ノズル)
本発明の気相成長装置における第一の原料ガス供給ノズルは、図3の概略図で示される開口部断面を有するものが例示される。図3の第一の原料ガス供給ノズルは、第一の原料ガス供給ノズルの開口部200は長方形の形状となっており、長手方向が、支持台の基板支持面と平行方向に配置されている。従って該第一の原料ガス供給ノズルの短手方向zは、上記基板支持面に対して垂直方向となる。ここで、図3の開口部断面を有する第一の原料ガス供給ノズルを気相成長装置に設置する際には、図3の下方側に基板支持台が配設される。また、第一の原料ガス供給ノズルにおける基板支持面と平行方向の最大幅yとは、第一の原料ガス供給ノズルの長手方向の該供給ノズルの一端から他端までの長さであり、基板支持面の垂直方向における最大幅zとは、第一の原料ガス供給ノズルの短手方向における長手方向の該供給ノズルの一端から他端までの長さである。また、図3の第一の原料ガス供給ノズルでは第一の原料ガス供給口210が左右2つあり、これらの供給口は隔壁220により仕切られている。また第一の原料ガス供給口210の外周を囲むように隔壁220が設けられており、該隔壁の外周を囲む様にバリアガス供給口230が配置されている。ここで、原料ガス供給口の断面積の合計Sとは、図3における2つの第一の原料ガス供給口の各供給口の断面積であるSおよびSの総和となる、また、バリアガス供給口230の断面積Sは、上記隔壁を取り囲んで配設されるバリアガス供給口230の断面積である。
本発明の気相成長装置において、上記第一の原料ガス供給ノズルの開口部が、該第一の原料ガスを前記反応域に供給する2つ以上の第一の原料ガス供給口210と、該第一の原料ガスに対して不活性なガスを供給するバリアガス供給口230を有しており、前記第一の原料ガス供給ノズルの開口部における、前記支持台の基板支持面と第一の原料ガス供給ノズル方向の最大幅が、前記支持台の基板支持面の垂直方向における最大幅よりも大きく、さらに、該前記第一の原料ガス供給口の断面積の合計Sに対する、前記バリアガス供給口の断面積Sの比、S/S(すなわち、上記バリアガス供給口断面積比)が3〜9であることが特徴である。特に上記バリアガス供給口断面積比は3〜8であることがより好ましい。前記バリアガス供給口断面積比を小さくすることで供給されるバリアガスの線速度が上昇し、バリア効果の強化が見込めるが、上記バリアガス供給口断面積比が3を下回ると、一方でバリアガスのガス流幅が小さくなるため、上記バリア効果が低下する傾向にある。ただし、前記バリアガス供給口230の平行方向における幅のみを変える場合は、ガス流幅が変わらないため、この限りではない。すなわち、バリアガス供給口断面積比が3を下回っていても、前記バリアガス供給口230の平行方向における幅を拡大することでバリアガス供給口断面積比が大きくなった場合、バリアガスのガス流幅は変わらずに線速度が低下するため、上記バリア効果は低下する。本発明の気相成長装置では、第一の原料ガス供給ノズルの開口部をこのような構成とすることにより、従来トレードオフの関係にあったバリアガスによるバリア効果と原料ガス濃度とを両立することが出来るため、反応効率の悪化なく膜厚分布を改善することが可能となっているものと推測される。
本発明の気相成長装置においては、上記バリアガス供給口断面積比が所定の範囲にあれば良く、第一の原料ガス供給口210及び、バリアガス供給口230の断面形状は特に制限されず、円形、楕円形、矩形等、供給する基板の寸法に応じて自由に形状を選択することが可能である。
また、バリアガスによるバリア効果を効率良く利用する観点から、前記支持台の基板支持面の垂直方向における、前記支持台側のバリアガス供給口の平均幅zが、前記支持台と上記隔壁を介して相対するバリアガス供給口の平均幅zよりも小さいことが好ましい。また、前記バリアガス供給口230の平行方向における幅は、バリアガスのバリア効果により原料ガスの供給範囲を制御する観点から、前記バリアガス供給口230の平行方向における両サイドの平均幅の合算(y+y)に対する、垂直方向における両サイドの平均幅の合算(z+z)の比が0.5〜6.0となるような範囲であることが好ましい。前記バリアガス供給口230の平行方向における各サイドの平均幅は、結晶成長面上に原料ガスを均一に供給する観点から、各サイドで同等であることが好ましい。 第一の原料ガス供給口210は、複数の供給口を設けることで、結晶成長面上での原料濃度が局所的に高濃度となることの抑制が可能となる。図3では供給口は二つであるが、図4に示すように三つ以上設けることももちろん可能である。各原料ガス供給口210の断面積は、それぞれ同等としても問題ないが、実使用時において原料ガスの供給が不足しやすいと予測される側の断面積を相対的に大きくすることが好ましい。例えば、結晶成長面の外周側において原料ガスが不足しやすい場合、図5に示すように、中心側の原料ガス供給口の断面積よりも両端側の原料ガス供給口の断面積を相対的に大きくすることが好ましい。或いは、図6に示すように、第一の原料ガス供給口210における、前記支持台の基板支持面の垂直方向の幅と基板支持面の平行方向の幅を変えても良い。
また、第一の原料ガスを基板成長面に対して均一な濃度で供給する観点から、前記第一の原料ガス供給口210の前記支持台の支持面に対して平行方向における最大幅Lと、基板の最大幅Lの比L/Lが、0.4〜1.8であることが好ましく、0.5〜1.4であることがより好ましい。
また、第一の原料ガス供給ノズル150を構成する材料としては、耐熱ガラス、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、またインコネル等の耐腐食性合金等を例示でき、中でも、石英ガラスを好ましく用いることができる。
(気相成長装置)
本発明の気相成長装置では、第一の原料ガス供給ノズルの構造以外は、図1に示す一般的な気相成長装置と同様の構造を採用できる。気相成長装置100は、単結晶を成長させる基板(ベース基板)122を保持する支持台121を有し、単結晶を成長させる成長部反応域101を有する反応器110と、第一の原料ガスを前記反応域へ供給する、第一の原料ガス供給ノズル150と、第二の原料ガス供給ノズル140、成長部反応域101に供給された原料ガス等を排出する排出口160で構成される。第一の原料ガス供給ノズル150と、第二の原料ガス供給ノズル140は、反応器110における同一の面(貫通面とも言う)111に対して、反応器外部より反応器内部へ貫通して配置される。
支持台121に保持される基板122上に供給される第一の原料ガス及び第二の原料ガスのガス流の乱流を抑制させる点、成長部反応域101を経た原料ガス等の排出を効率的に行う点から、排出口160は、支持台121に対し、第一の原料ガス供給ノズル150及び、第二の原料ガス供給ノズル140の反対側、すなわち支持台121の下流側に設けることが好ましい。
上記支持台121は、単結晶の成長時に該支持台121に保持された基板122を回転させるための機構(図1では非表示)を備えていても良く、また支持台121を加熱し該支持台121からの伝熱により基板122を加熱するための加熱手段131を有しても良い。該加熱手段131として具体的には、高周波コイルによる加熱手段、抵抗式ヒータ等、公知の加熱手段が挙げられる。また、前記反応器110を加熱し反応器110内の成長部反応域101を加熱する外部加熱手段132を設けることもできる。
反応器110は、成長部反応域101を内部に有することから、石英、アルミナ、サファイア、耐熱ガラス、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の耐熱性かつ耐酸性の非金属材料で構成されることが好ましい。反応器110の外周に外チャンバ(不図示)を設けてもよい。外チャンバは、反応器110と同様の材質で構成してもよいが、外チャンバは成長部反応域101に直接には接していないので、一般的な金属材料、たとえばステンレス鋼等で構成することも可能である。
上記のとおり、加熱手段131に高周波加熱を用いる場合には、反応器110は石英、アルミナ、サファイア、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の絶縁体を使用することが好ましい。また特に、支持台121や基板122周辺の部材のように加熱手段131と近く高温となる部材は、反応中に成長部内を流通する原料ガス等による腐食が起こりやすいため、使用する原料ガス等に対する腐食耐性が高い材質を使用することが好ましく、例えば原料ガスに塩化アルミニウムを使用する場合には窒化ホウ素、窒化ケイ素が好ましい。
また、第二の原料ガス供給ノズル140を構成する材料としては、耐熱ガラス、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、またインコネル等の耐腐食性合金等を例示でき、中でも、石英ガラスを好ましく用いることができる。さらに、第二の原料ガス供給ノズル140の供給口の断面形状は特に制限されるものではなく、円形、楕円形、矩形等、供給する基板の寸法に応じて自由に形状を選択することが可能である。
上記、本発明の気相成長装置は、均一な膜厚分布をもつ単結晶を製造することが困難なIII族窒化物単結晶の成長に用いることが特に好適である。III族窒化物単結晶の成長に用いる場合、III族源ガスとしてIII族ハロゲン化物ガス(例えば塩化アルミニウムガスや塩化ガリウムガス等)やIII族有機金属化合物ガス(例えばトリメチルアルミニウムガスやトリメチルガリウムガス等)やIII族金属ガス(例えばアルミニウムガスやガリウムガス等)を用い、窒素源ガスとしてアンモニアガスやアルキルアミンガス(例えばトリメチルアミンガスやトリエチルアミンガス等)やヒドラジンガス(例えばモノメチルヒドラジンガスやジメチルヒドラジンガス等)等を用い、気相成長法によってIII族窒化物単結晶を成長させることができる。かかる場合、均一な膜厚分布をもつ単結晶を製造するという観点から、単結晶成長条件において、より拡散速度が高い原料ガスを窒素源ガスとして供給することが好ましく、かかる理由から、III族源ガスの供給量に対する窒素源ガスの供給量の物質量換算での比が1.0以上である場合、拡散係数の大きいアンモニアガス等の窒素源ガスを用いることが好ましい。ここで、拡散速度とはフィックの第一法則を示す関係式J=−D・dC/dxにおいてJに相当し、拡散係数とは、上記式においてDで表される係数である。なお、上記式においてJは流束(拡散速度に相当する)、Cは濃度、xは位置(dC/dxはxの微小変化に対してのC変化量であり濃度勾配)である。
本発明の気相成長装置を用いて、例えば第一の原料ガス供給ノズル150より供給される第一の原料ガスとしてIII族ハロゲン化物ガス(例えば塩化アルミニウムガスや塩化ガリウムガス等)を用い、第二の原料ガス供給ノズル140より供給される第二の原料ガスとしてアンモニアガスを用いて、HVPE法によってIII族窒化物単結晶を成長させることができる。
さらに成長部反応域101には、III族源ガスや窒素源ガスの他に、ハロゲン化水素ガス及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガス(以下単に「ハロゲン系ガス」とも言う。)を供給する手段を有していても良い。ハロゲン系ガスの供給手段としては、ハロゲン系ガス供給ノズル(不図示)を設置し該ノズルより供給しても良い。又は、第一の原料ガス供給ノズル150と第二の原料ガス供給ノズル140の片方もしくは両方のノズルにおいて、それらのガス供給口から他方の端部である原料ガス供給ノズルの貫通面111までの任意の位置に、前記ハロゲン化水素ガス及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガス(以下、III族源ガスに追加するハロゲン系ガスを「III族追加ハロゲン系ガス」、窒素源ガスに追加するハロゲン系ガスを「窒素源追加ハロゲン系ガス」ということがある。)を供給するための追加ハロゲン系ガス供給ノズルを設置し、前記原料ガス供給ノズルの内の片方もしくは両方のノズル内で各原料ガスと該追加ハロゲン系ガスとが合流する構造となっていてもよい。
成長部反応域101を通過したガスは排出口160から反応器110の外部に排出される。以下、III族ハロゲン化物ガスを用いたHVPE法の場合について説明する。
III族源ガスであるIII族ハロゲン化物ガスは、第一の原料ガス供給ノズル150又は第二の原料ガス供給ノズル140の内のIII族源ガスを流通させる方のノズル(III族源ガス供給ノズル)の上流側に設けた原料部(不図示)で発生させることができる。例えば、原料部反応器(不図示)に配置したIII族金属にハロゲン系ガス(例えば塩化水素ガスや塩素ガス等)を供給することによりIII族ハロゲン化物ガス(例えば塩化アルミニウムガスや塩化ガリウムガス等)が生成する。この生成反応を進行させるため、原料部反応器(不図示)は反応に適した温度((例えば塩化アルミニウムガスの発生においては通常150〜1000℃程度、好ましくは300〜660℃程度、より好ましくは300〜600℃程度であり、塩化ガリウムガスの発生においては通常300〜1000℃程度等である。)に加熱される。また、原料部反応器(不図示)には、III族ハロゲン化物の固体を配置し、これを加熱して昇華させることでIII族ハロゲン化物ガスを発生することもできる。
III族ハロゲン化物ガス(III族源ガス)は、前記III族源ガス供給ノズルによって反応器110内の成長部反応域101に導かれる。第一の原料ガス供給ノズルのガス供給口151は、第一の原料ガスを支持台121の側上方から支持台121の上方へ向けて吹き出すように配設されており、第二の原料ガス供給ノズルのガス供給口141は、第一の原料ガス供給ノズルのガス供給口151の上方から支持台121の上方へ向けて第二の原料ガスを吹き出すように配設されている。
第一の原料ガス供給ノズル150、及び第二の原料ガス供給ノズル140、或いは、追加ハロゲン系ガスを供給するための追加ハロゲン系ガス供給ノズル(不図示)を構成する材料としては、耐熱ガラス、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、またインコネル等の耐腐食性合金等を例示でき、中でも、石英ガラスを好ましく用いることができる。
かかる場合において、窒素源ガスの方がIII族源ガスよりも拡散係数が大きく、III族源ガスの供給量に対する窒素源ガスの供給量の物質量換算での比が1.0以上である場合、III族源ガスよりも窒素源ガスの方が拡散速度が高いため、ガス拡散による原料供給効果を高めるという観点から、窒素源ガスを第二の原料ガス供給ノズル140より供給し、III族源ガスを第一の原料ガス供給ノズル150より供給することが好ましい。
第一の原料ガス供給ノズル150と第二の原料ガス供給ノズル140とよりそれぞれ供給されたIII族源ガスと窒素源ガスとが、成長部における成長部反応域101において反応することにより、支持台121上に設置された基板122上にIII族窒化物単結晶が成長する。この反応を進行させるため、基板122は反応に適した温度(例えば窒化アルミニウム単結晶の成長においては通常1000〜1700℃程度、好ましくは1200〜1700℃程度、より好ましくは1350〜1650℃程度であり、窒化ガリウム単結晶の成長においては通常800〜1100℃程度等である。)に加熱される。基板の加熱手段としては支持台121を加熱することにより、該支持台121からの伝熱により基板122を加熱する加熱手段131を用いてもよく、反応器110の外部に外部加熱手段132を設置して、反応器110全体を加熱する手段を用いてもよい。加熱手段131及び外部加熱手段132は各々単独で用いてもよく、併用してもよい。
また例えばHVPE法によって混晶を成長させる場合においては、原料部反応器(不図示)に複数種類のIII族金属原料を配置してハロゲン化物ガスを供給することによりIII族ハロゲン化物の混合ガスを発生させる形態の原料部を採用し、該混合ガスを前記III族源ガス供給ノズルを通じて成長部反応域101に導入することも可能である。一方で、III族金属原料を配置しない形態の原料部とすること、すなわち、ハロゲン化物ガスとIII族金属との反応を行うことなく、別途III族ハロゲン化物の混合ガスを生成し、該混合ガスを加熱装置により所望の温度(例えば150〜1000℃等。)まで昇温して、III族源ガスとして供給する形態の原料部を採用することも可能である。
バリアガスとしては、例えば、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム等のバリアガスとして一般的な不活性ガスを特に制限なく用いることができる。バリアガスは、III族源ガスと窒素源ガスとが成長部反応域101において混合する位置を制御することを可能にする他、意図しない位置における窒素源ガスとIII族源ガスとの混合や反応を未然に防止することを可能にするので、ノズルへの析出物を大幅に低減することを可能にする。
また、気相成長装置100は、押し出しガスを供給する構造を有していてもよい。すなわち、III族源ガス、窒素源ガス、及びバリアガスが、排出口160が設けられた側へ、反応器110内で逆流することなく一様に流通するように、押し出しガスを反応器110内に導入する、押し出しガス導入口(不図示)が設けられていてもよい。押し出しガスとしては、例えば水素、窒素、アルゴン、ヘリウム等の一般的な不活性ガスを用いることができる。さらに、III族源ガス、窒素源ガス、及びバリアガスが、排出口160が設けられた側へ、反応器110内で逆流することなく一様に流通するように、反応器110内部を減圧排気する機構(不図示)を排出部に設けることにより、反応器110内部のガス流の逆流を抑制してもよい。反応器110内部の圧力は、結晶成長に悪影響を与えない範囲において選択される。反応器110内部の圧力は通常0.1〜1.5atmであり、一般的には0.2atm〜大気圧である。
第一の原料ガス供給ノズル150、及び第二の原料ガス供給ノズル140の供給口の断面形状は特に制限されるものではなく、円形、楕円形、矩形等、供給する基板の寸法に応じて自由に形状を選択することが可能である。
(III族窒化物単結晶の製造方法)
本発明の第2の態様に係るIII族窒化物単結晶の製造方法は、上記本発明の第1の態様に係る気相成長装置の成長部反応域にIII族源ガス及び窒素源ガスを供給することにより、該III族源ガスと該窒素源ガスとを反応させる工程(以下において単に工程(a)ということがある。)を有する。工程(a)において、III族源ガスと窒素源ガスとの反応により、基板上にIII族窒化物単結晶が成長する。
以下においては、本発明の第1の態様に係る気相成長装置として、一般的な気相成長装置100(図1)と同様の基本構造を有し、第一の原料ガス供給ノズルとして図3に示す構造の開口部を有するノズルを採用した形態の気相成長装置を例に挙げて説明する。
前記気相成長装置を用いたIII族窒化物単結晶の製造において、第二の原料ガス供給ノズル140より供給する第二の原料ガスとしては、用いるIII族源ガス又は窒素源ガスの内の、単結晶成長条件において、より拡散速度の高い方の原料ガスを選択し、第一の原料ガス供給ノズル150より供給する第一の原料ガスとしては、他方の原料ガスを選択することが、ガス拡散による原料供給効果を高めるという観点から好ましい。かかる理由から、III族源ガスの供給量に対する窒素源ガスの供給量の物質量換算での比が少なくとも1.0以上である原料供給条件においては、より拡散係数の大きい窒素源ガスを前記第二の原料ガスとして供給することが好ましく、III族源ガスを前記第一の原料ガスとして供給することが好ましい。
III族源ガスとしては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ガリウム等のハロゲン化ガリウム、塩化インジウム等のハロゲン化インジウム、等のIII族ハロゲン化物ガスや、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム等のIII族有機金属化合物ガスを特に制限なく採用可能である。また、窒素源ガスとしては、窒素を含有する反応性ガスを特に制限なく採用可能であるが、コストと取扱の容易性の点で、アンモニアガスを好ましく用いることができる。混晶を製造する場合には、複数のIII族源ガスを含有する混合ガスを使用する。HVPE法を採用する場合、上記の通り、III族源ガス供給ノズルの上流側に設けた原料部(不図示)の原料部反応器(不図示)にIII族金属原料を配置し、加熱装置(不図示)によって該原料部反応器を加熱(例えば塩化アルミニウムガスを発生させる場合には通常150〜1000℃程度、好ましくは300〜660℃程度、より好ましくは300〜600℃程度であり、塩化ガリウムガスを発生させる場合には通常300〜1000℃程度等である。)しながら該原料部反応器にハロゲン系ガス(例えば塩化水素ガスや塩素ガス等。)を供給することにより該原料部反応器において生成するIII族ハロゲン化物ガスを、前記III族源ガス供給ノズルを通じて成長部反応域101内に導入することができる。
バリアガスとしては、不活性である(すなわち、III族源ガス及び窒素源ガスと反応しない)点、及び、拡散しにくくバリア効果が高い点で、窒素ガス若しくはアルゴンガス、又はこれらの混合ガスを好ましく用いることができる。ただしバリアガスの効果を調整するために、窒素ガス若しくはアルゴンガス又はこれらの混合ガスに、水素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス等の、不活性な低分子量ガスを混合してもよい。バリアガスの供給量は、供給口から結晶成長面までの距離等にも依るため、特に制限されるものではないが、例えば50〜10000sccmとすることができ、好ましくは例えば100〜5000sccmとすることができる。
ハロゲン系ガスは、ハロゲン系ガス供給ノズル(不図示)から反応器110或いは成長部反応域101に供給することができる。また、前記ハロゲン系ガスは、第一の原料ガス供給ノズルのガス供給口151と第二の原料ガス供給ノズルのガス供給口141の片方もしくは両方から、それぞれのノズルに流通させる原料ガスとともに成長部反応域101に供給してもよい。前記ハロゲン系ガスとしては、塩化水素ガス、塩素ガス等を用いることができるが、原料部反応器(不図示)に供給するハロゲン系ガスと同一のガスであることが好ましい。
原料部反応器(不図示)で生成したIII族ハロゲン化物ガスにハロゲン系ガスを合流させることにより、III族ハロゲン化物ガスとハロゲン系ガスとのガス組成比を任意の組成比に制御することができる。ただし、III族源ガスとしてハロゲン化ガリウムガスを使用して窒化ガリウム単結晶を製造する場合には、III族追加ハロゲン系ガスとハロゲン化ガリウムガスとの同時の供給量の比率((III族追加ハロゲン系ガス中のハロゲン原子の物質量)/(ハロゲン化ガリウムガス中のハロゲン原子の物質量))は、好ましくは0.01〜10であり、より好ましくは0.05〜1である。また、III族源ガスとしてハロゲン化アルミニウムを用いて窒化アルミニウム単結晶を成長する場合には、III族追加ハロゲン系ガスとハロゲン化アルミニウムガスとの同時の供給量の比率((III族追加ハロゲン系ガス中のハロゲン原子の物質量)/(ハロゲン化アルミニウムガス中のハロゲン原子の物質量))は、好ましくは0.1〜1000、より好ましくは0.5〜100である。上記の比率の算出も、気相成長装置においてガスの供給量の制御に一般的に使用される質量流量(単位時間当たり与えられた面を通過する物質の質量)に基づいて行うことができる。III族追加ハロゲン系ガスとIII族源ガスとを共存させることにより、例えば塩化アルミニウムガスや塩化ガリウムガスの不均化反応によるIII族金属の析出を抑制することができる。
他方、原料部反応器(不図示)にIII族金属原料を配置する形態の原料部に代えて、別途生成させたIII族源ガス(HVPE法の場合にはIII族ハロゲン化物ガス、MOCVD法の場合にはIII族有機金属化合物ガス)を供給し、これを加熱装置(不図示)により所望の温度(例えば室温〜200℃)まで昇温する形態のIII族源ガス供給部を採用することも可能である。
これらのIII族源ガスやIII族追加ハロゲン系ガスは、キャリアガスによって希釈した状態で供給してもよい。キャリアガスとしては、水素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス、若しくはアルゴンガス、又はこれらの混合ガスを特に制限なく用いることができ、水素ガスを含むキャリアガスを用いることが好ましい。III族源ガスをキャリアガスで希釈された状態で供給する場合には、III族源ガスの濃度は、III族源ガスと該III族源ガスを希釈するキャリアガスとの合計量を基準(100体積%)として、例えば0.0001〜100体積%とすることができる。III族源ガスの供給量は、例えば0.005〜500sccmとすることができる。なおIII族源ガスは、ハロゲン系ガスの基板122上への供給を開始した後に、成長部反応域101(基板122上)に供給することが好ましい。
成長部反応域101に供給する窒素源ガスは、キャリアガスによって希釈した状態で供給してもよい。キャリアガスとしては、水素ガス、窒素ガス、ヘリウムガス、若しくはアルゴンガス、又はこれらの混合ガスを特に制限なく用いることができ、水素ガスを含むキャリアガスを用いることが好ましい。
窒素源ガスの濃度は、窒素源ガスと該窒素源ガスを希釈するキャリアガスとの合計量を基準(100体積%)として、例えば0.0001〜100体積%とすることができる。
また、窒素源ガスの供給量は、例えば0.01〜2000sccmとすることができる。窒素源ガスを基板122上に供給する順番は、特に制限されるものではないが、III族源ガスが成長部反応域101(基板122上)に供給される前に窒素源ガスを該成長部反応域101(基板122上)に供給することが好ましい。
ハロゲン系ガスの成長部反応域101への供給は、III族源ガスが成長部反応域101に供給される前に開始することが好ましい。より詳しくは、III族源ガスが基板122上に供給される前にハロゲン系ガスの基板122上への供給を開始することが好ましい。つまり、III族源ガスと窒素源ガスとが基板122上に供給されて両者が反応する前に、ハロゲン系ガスの基板122上への供給を開始することが好ましい。III族源ガスを基板122上に供給する前にハロゲン系ガスの基板122上への供給を開始することにより、同一の上記気相成長装置100を用いて工程(a)を繰り返して行うことにより複数のIII族窒化物単結晶を製造する工程(工程(b))を含む形態のIII族窒化物単結晶の製造方法において、製造されるIII族窒化物単結晶の品質のばらつきを低減し、安定して良好な品質のIII族窒化物単結晶を製造することが可能になる。
III族源ガスが基板122上に供給される前にハロゲン系ガスの基板122上への供給を開始する場合、ハロゲン系ガスがノズルの吹き出し口を出てから基板122上に供給されるまでの時間は、ハロゲン系ガスが供給されるノズルの吹き出し口部分から基板122へ到達するまでの反応器101内の体積をハロゲン系ガスの供給流量(又は、ハロゲン系ガスが例えばキャリアガス等の他のガスと同時に供給される場合には、該他のガスとハロゲン系ガスとの合計の供給流量。)(cm/分)で除して求めることができる。また、ハロゲン系ガスの導入を開始してからハロゲン系ガスがノズルの吹き出し口に到達するまでの時間は、ハロゲン系ガスが導入されるノズルの導入口から吹き出し口に至るまでのハロゲン系ガスの移動経路を構成する配管内の総容積をハロゲン系ガスの供給流量(又は、ハロゲン系ガスと例えばキャリアガス等の他のガスとが同一の配管に同時に流通される場合には、該他のガスとハロゲン系ガスとの合計の供給流量。)で除して求めることができる。ハロゲン系ガスの反応器110内への導入を開始した後、この方法で算出した時間が経過した後にIII族源ガスの供給を開始することにより、III族源ガスが基板122上に供給される前に確実にハロゲン系ガスを基板122上に供給できる。
III族源ガスを金属アルミニウムや有機金属ガスと原料生成用ハロゲン系ガスとの反応により得る場合には、金属アルミニウムや有機金属ガスと原料生成用ハロゲン系ガスとの反応を、意図的に未反応のガスが残留するように反応率を制御することにより、III族源ガスとハロゲン系ガスとの混合ガスを生成して、該混合ガスを成長部反応域101に供給することも可能である。
III族窒化物単結晶を析出させる基板122の材質としては、例えばサファイア、シリコン、シリコンカーバイド、酸化亜鉛、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、ヒ化ガリウム、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタニウム等を特に制限なく採用できる。また、ベース基板の厚みも特に制限されるものではなく、例えば100〜2000μmとすることができる。また、基板122を構成する結晶の面方位も特に制限されるものではなく、例えば+c面、−c面、m面、a面、r面等とすることができる。
前記工程(a)において、上記の通り、III族源ガスと窒素源ガスとから選択した第一の原料ガスを第一の原料供給ノズル150を通じて成長部反応域101に導入しながら、上記の通り、III族源ガスと窒素源ガスとから選択した第二の原料ガスを第二の原料ガス供給ノズル140を通じて成長部反応域101に導入し、加熱された基板122上にIII族窒化物単結晶を成長させる。このとき、上記のように、ハロゲン系ガスが基板122上に供給された後に、III族源ガスの供給を開始して、III族源ガスと窒素源ガスとを反応させて結晶成長を開始することが好ましい。
結晶成長時の基板122の加熱温度は、結晶成長を行うIII族窒化物単結晶の種類、或いは原料として用いるIII族源ガス及び窒素源ガスの種類に応じて適宜決定すれば良い。例えば、HVPE法により窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には1000〜1700℃、特に好ましくは1200〜1650℃であり、MOCVD法により窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には好ましくは1000〜1600℃である。本発明のIII族窒化物単結晶の製造方法におけるIII族窒化物単結晶の成長は、HVPE法を用いる場合(すなわちIII族源ガスとしてIII族ハロゲン化物ガスを用いる場合。)には、通常、大気圧付近の圧力下(すなわち、反応器110内部、第一の原料ガス供給ノズル150内部、及び第二の原料ガス供給ノズル140内部の圧力が、0.1〜1.5atmとなる条件下。窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には好ましくは0.2atm〜大気圧となる条件下。)で行われ、MOCVD法を用いる場合(すなわちIII族源ガスとしてIII族有機金属化合物ガスを用いる場合)には通常100Pa〜大気圧の圧力下で行われる。
HVPE法を用いる場合、III族源ガス(III族ハロゲン化物ガス)の供給量は、供給分圧(供給される全ガス(キャリアガス、III族源ガス、窒素源ガス、ハロゲン系ガス、バリアガス、押し出しガス)の標準状態における体積の合計に対するIII族源ガスの標準状態における体積の割合。)に換算して通常1〜1000Paである。MOCVD法を用いる場合、III族源ガス(III族有機金属化合物ガス)の供給量は、供給分圧換算で通常0.1〜100Paである。窒素源ガスの供給量は特に制限されるものではないが、一般的には、供給する上記III族源ガスの0.5〜1000倍であり、好ましくは1〜200倍である。
成長時間は所望の成長膜厚が達成されるように適宜調節される。一定時間結晶成長を行った後、III族源ガス及び窒素源ガスの供給を停止することにより結晶成長を終了する。その後、基板122を室温まで降温する。以上の操作により、基板122にIII族窒化物単結晶を成長させることができる。
本発明の気相成長装置及びIII族窒化物単結晶の製造方法は、特に制限されるものではないが、基板122上に膜厚20μm以上のIII族窒化物単結晶、とりわけ窒化アルミニウム単結晶を成長させる場合に好ましく採用でき、基板122上に膜厚100μm以上のIII族窒化物単結晶、とりわけ窒化アルミニウム単結晶を成長させる場合に特に好ましく用いることができ、基板122上に面積(結晶成長面の面積)が400mm以上のIII族窒化物単結晶、とりわけ窒化アルミニウム単結晶を成長させる場合に好ましく採用でき、基板122上に面積(結晶成長面の面積)が1000mm以上のIII族窒化物単結晶、とりわけ窒化アルミニウム単結晶を成長させる場合に特に好ましく用いることができる。III族窒化物単結晶、とりわけ窒化アルミニウム単結晶の厚みの上限は、特に制限されるものではないが、例えば5000μm以下とすることができる。また、III族窒化物単結晶、とりわけ窒化アルミニウム単結晶の面積の上限は、特に制限されるものではないが、例えば10000mm以下とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、単結晶層の膜厚、成長速度、及び反応収率の測定は、以下の方法により行った。
(単結晶層の膜厚の測定方法)
単結晶層の膜厚は、単結晶成長後の基板を切断して露出させた単結晶層断面を日本電子製電界放射型走査電子顕微鏡JSM−7800F Primeを使用して5000倍の倍率で撮影し、ソフトウェアに内蔵されたスケールにより測定した。
(単結晶層の膜厚分布)
単結晶層の膜厚分布は、上記単結晶層の膜厚の測定方法により、成長後の基板を原料のガスの流れに対して直交する方向に短冊状に4mm間隔で切断した各断片について、それぞれの膜厚を切断方向に4mm間隔で測定し、得られた数値から下記式により算出した。
膜厚分布=((最大膜厚−最小膜厚)/2)/平均膜厚
なお、上記式における最大膜厚は全測定点の最大値であり、最小膜厚は全測定点の最小値であり、平均膜厚は全測定点の平均値である。
(単結晶層の成長速度)
単結晶層の成長速度は、上記単結晶層の膜厚分布の測定で得られた各測定点での膜厚の数値および成長時間から、各測定点における1時間当たりの成長速度を算出した。また、成長速度ピーク位置は、上記短冊状に4mm間隔で切断した各断片における全測定点の平均値が最大となる断片の位置として算出した。なお、成長速度ピーク位置におけるゼロ点は基板中心であり、原料ガスの流れにおける下流側が正方向である。
(反応収率)
反応収率は、上記単結晶層の成長速度の算出方法により算出した全測定点での平均値に基板の面積と窒化アルミニウムの理論密度である3.26g/cmを乗じた後、窒化アルミニウムの1molあたりの質量である41gで除することで成長した単結晶のmol数を算出し、次いでIII族源ガスの1時間当たりの供給mol数で除することにより算出した。
実施例1
窒化アルミニウム単結晶を成長した実施例であり、図1に示す気相成長装置100を使用した。第一の原料ガス供給ノズルの開口部の形状は、図3において、
バリアガス断面積比:S/(S+S)=S/S=4.5、
バリアガス上/下幅比:z/z=1.9、
III族源ガス供給口の基板支持面と平行方向における最大幅:L=34mm、
である形状とした。
(気相成長装置の空焼)
成長部の部材や気相成長装置内部に吸着した水分を除去するために空焼を行った。空焼では、気相成長装置内の各ガス供給ノズルからキャリアガスを供給しながら高周波加熱コイルに電力を印加して支持台(サセプタ)を1500℃まで加熱し、成長部部材を前記サセプタからの輻射熱により加熱した。最高温度に達した状態で30分間保持した後、室温まで冷却した。
(単結晶層の成長)
冷却後、単結晶層を成長するベース基板をサセプタ上に設置した。ベース基板には直径50.8mmのa面サファイア単結晶を使用した。次いで、気相成長装置内の各原料ガス供給ノズルからキャリアガスを流通し、バリアガス供給ノズルからはバリアガスを3000sccm流通した状態で、サセプタ及び基板温度を1500℃に加熱した。到達後に、塩化アルミニウムガスと塩化水素ガスとの混合ガスを、塩化アルミニウムガスを12sccm、塩化水素ガスを108sccmの流量で第一の原料ガス供給ノズル150を通じてベース基板上に供給した。さらに、第二の原料ガス供給ノズル140を通してアンモニアガスを80sccmの流量で供給して、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層の成長を開始した。5分経過後、塩化アルミニウムガス、塩化水素ガス、アンモニアガスの供給を停止し、室温まで冷却した。
冷却後、窒化アルミニウム単結晶を成長した積層体を気相成長装置内より取り出した。得られた窒化アルミニウム単結晶の膜厚分布および収率を算出しところ、φ48mm範囲での膜厚分布は±17%、収率は19%であった。
実施例2〜6、比較例1〜5
図3の開口部断面を有し、S/S、L、をそれぞれ表1のとおりとした第一の原料ガス供給ノズルを用いた以外は実施例1と同様に単結晶層の成長を行った。得られた単結晶での各測定結果を表2に示す。
Figure 2021130582
Figure 2021130582
100 気相成長装置
101 成長部反応域
110 反応器
111 貫通面
121 支持台
122 基板(ベース基板)
123 ベース基板の上流側端部
131 加熱手段
132 外部加熱手段
150 第一の原料ガス供給ノズル
151 第一の原料ガス供給ノズルのガス供給口
140 第二の原料ガス供給ノズル
141 第二の原料ガス供給ノズルのガス供給口
160 排出口
200 第一の原料ガス供給ノズルの開口部
210 第一の原料ガス供給口
220 隔壁
230 バリアガス供給口

Claims (6)

  1. 複数の原料ガスを反応させることにより基板上に単結晶を成長させる気相成長装置であって、
    該気相成長装置は、
    基板上に単結晶を成長させる反応域を有する反応器と、
    前記反応域に配設され、基板を支持する支持台と、
    第一の原料ガスを前記反応域へ供給する第一の原料ガス供給ノズルと、
    第二の原料ガスを前記反応域へ供給する第二の原料ガス供給ノズルとを有し、
    前記第一の原料ガス供給ノズルは、前記第一の原料ガスを、該第一の原料ガス供給ノズルの開口部より前記支持台の側上方から前記支持台の上方へ向けて吹き出すように配設されており、
    前記第一の原料ガス供給ノズルの開口部は、該第一の原料ガスを前記反応域に供給する2つ以上の第一の原料ガス供給口、該第一の原料ガス供給口を取り囲んで配設され、各々の原料ガス供給口を隔離する隔壁、及び該隔壁を取り囲んで配設され、該第一の原料ガスに対して不活性なガスを供給するバリアガス供給口を有し、
    前記第一の原料ガス供給ノズルの開口部における、前記支持台の基板支持面と平行方向の最大幅が、前記支持台の基板支持面の垂直方向における最大幅よりも大きく、
    さらに、該前記第一の原料ガス供給口の断面積の合計Sに対する、前記バリアガス供給口の断面積Sの比S/Sが3〜9である気相成長装置。
  2. 前記バリアガス供給口において、前記支持台の基板支持面の垂直方向における、前記支持台側のバリアガス供給口の平均幅が、該隔壁を介して相対するバリアガス供給口の平均幅よりも小さい請求項1記載の気相成長装置。
  3. 前記第一の原料ガス供給口の前記支持台の支持面に対して平行方向における最大幅Lと、基板の最大径Lの比L/Lが、0.4〜1.8である請求項1又は2に記載の気相成長装置。
  4. 前記第一の原料ガスがIII族源ガスであり、前記第二の原料ガスが窒素源ガスであり、前記単結晶がIII族窒化物単結晶である請求項1から3のいずれか一項に記載の気相成長装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の気相成長装置の前記反応域に前記第一の原料ガスとしてIII族源ガスを供給し、前記第二の原料ガスとして窒素源ガスを供給することにより、支持台に設置された基板上で前記III族源ガスと窒素源ガスとを反応させる工程を有することを特徴とするIII族窒化物単結晶の製造方法。
  6. 前記III族源ガスが、ハロゲン化アルミニウムガスであり、前記窒素源ガスがアンモニアガスであり、III族窒化物単結晶が窒化アルミニウム単結晶である請求項5に記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
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