以下、図面を参照して、試薬庫及び自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
図1は、本実施形態に係る試薬庫が適用される自動分析装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す自動分析装置100は、分析装置70と、駆動装置80と、処理装置90とを備えている。
分析装置70は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(血液や尿などの生体試料)と、各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定して、標準データや被検データを生成する。分析装置70は、試料の分注、試薬の分注等を行う複数のユニットを備え、駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。処理装置90は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。
処理装置90は、入力装置50と、出力装置40と、処理回路30と、記憶回路60とを有する。
入力装置50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、被検試料の被検識別情報及び検査項目を設定するための入力等を行う。
出力装置40は、プリンタと、ディスプレイとを備えている。プリンタは、処理回路30で生成された検量データや分析データの印刷を行う。ディスプレイは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶パネルなどのモニタであり、処理回路30で生成された検量データや分析データの表示を行う。
記憶回路60は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
処理回路30は、システム全体を制御する。例えば、処理回路30は、図1に示すように、データ生成機能31及び分析制御機能32を実行する。分析制御機能32は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。データ生成機能31は、分析装置70で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する。
ここで、例えば、処理回路30の構成要素であるデータ生成機能31及び分析制御機能32が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路60に記録されている。処理回路30は、各プログラムを記憶回路60から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路30は、図1の処理回路30内に示された各機能を有することとなる。ここで、データ生成機能31は、データ生成部の一例である。分析制御機能32は、分析制御部の一例である。
なお、図1においては、単一の処理回路30にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路60に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路60にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
図2は、図1の自動分析装置100の分析装置70の構成の一例を示す斜視図である。
分析装置70は、複数の試料容器11を保持するサンプルディスク5を備えている。試料容器11は、各検査項目の標準試料や被検試料等の試料を収容する。
分析装置70は、更に、複数の試薬容器6と、複数の試薬容器6の各々を格納する試薬庫1と、複数の試薬容器7と、複数の試薬容器7の各々を格納する試薬庫2とを備えている。試薬容器6、7は、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬を収容する。試薬庫1は、各検査項目の試薬容器6を回動可能に保持するターンテーブルである試薬ラック1aを備えている。試薬庫2は、各検査項目の試薬容器7を回動可能に保持するターンテーブルである試薬ラック2aを備えている。
分析装置70は、更に、円周上に配置された複数の反応容器3と、複数の反応容器3の各々を回転移動可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
分析装置70は、更に、試料分注プローブ16と、試料分注アーム10と、試料分注ポンプユニット16aと、試料検出器16bと、洗浄槽16cとを備えている。試料分注プローブ16は、試料の分注を行う。具体的には、試料分注プローブ16は、サンプルディスク5に保持された試料容器11内の試料を検査項目毎に吸引して、当該検査項目の分析パラメータとして設定された量の試料を反応容器3内へ吐出する。試料分注アーム10は、試料分注プローブ16を回動及び上下移動可能に支持する。試料分注ポンプユニット16aは、試料分注プローブ16に試料の吸引及び吐出を行わせる。試料検出器16bは、サンプルディスク5に保持された試料容器11内の試料の液面に、当該液面の上方から下降した試料分注プローブ16の先端部が接触したときに、試料容器11内の試料を検出したと判定する。具体的には、試料検出器16bは、試料分注プローブ16と電気的に接続され、試料分注プローブ16の先端部が試料容器11内の試料と接触したときの静電容量の変化により、試料容器11内の試料の液面を検出する。試料容器11内の試料の液面が検出されると、試料分注ポンプユニット16aは、試料分注プローブ16に試料の吸引及び吐出を行わせる。洗浄槽16cは、試料分注プローブ16を試料の分注終了毎に洗浄する。
分析装置70は、更に、試薬分注プローブ14と、試薬分注アーム8と、試薬分注ポンプユニット14aと、試薬検出器14bと、洗浄槽14cと、撹拌子17と、撹拌アーム18と、洗浄槽17aとを備えている。試薬分注プローブ14は、試薬容器6内の試薬の分注を行う。具体的には、試薬分注プローブ14は、試薬ラック1aに保持された各検査項目の試薬容器6内の試薬を吸引して、当該検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を、試料が分注された反応容器3内に吐出する。試薬分注アーム8は、試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に支持する。試薬分注ポンプユニット14aは、試薬分注プローブ14に試薬の吸引及び吐出を行わせる。試薬検出器14bは、液面検知機能として、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の試薬の液面に、当該液面の上方から下降した試薬分注プローブ14の先端部が接触したときに、試薬容器6内の試薬を検出したと判定する。具体的には、試薬検出器14bは、試薬分注プローブ14と電気的に接続され、試薬分注プローブ14の先端部が試薬容器6内の試薬と接触したときの静電容量の変化により、試薬容器6内の試薬の液面を検出する。試薬容器6内の試薬の液面が検出されると、試薬分注ポンプユニット14aは、試薬分注プローブ14に試薬の吸引及び吐出を行わせる。洗浄槽14cは、試薬分注プローブ14を試薬の分注毎に洗浄する。撹拌子17は、反応容器3内に分注された試料と試薬との混合液を撹拌する。撹拌アーム18は、撹拌子17を回動及び上下移動可能に支持する。洗浄槽17aは、撹拌子17を混合液の撹拌毎に洗浄する。
分析装置70は、更に、試薬分注プローブ15と、試薬分注アーム9と、試薬分注ポンプユニット15aと、試薬検出器15bと、洗浄槽15cと、撹拌子19と、撹拌アーム20と、洗浄槽19aとを備えている。試薬分注プローブ15は、試薬容器7内の試薬の分注を行う。ここで、試薬分注プローブ15、試薬分注アーム9、試薬分注ポンプユニット15a、試薬検出器15b、洗浄槽15c、撹拌子19、撹拌アーム20、洗浄槽19aの機能は、それぞれ、試薬分注プローブ14、試薬分注アーム8、試薬分注ポンプユニット14a、試薬検出器14b、洗浄槽14c、撹拌子17、撹拌アーム18、洗浄槽17aの機能と同じであるため、説明を省略する。
分析装置70は、更に、測定部13と、反応容器洗浄ユニット12とを備えている。測定部13は、撹拌子17に撹拌された混合液を収容する反応容器3や、撹拌子19に撹拌された混合液を収容する反応容器3に、光を照射して混合液を測定する。具体的には、測定部13は、回転移動している測定位置の反応容器3に光を照射し、この照射により反応容器3内の試料及び試薬の混合液を透過した光を検出する。そして、測定部13は、検出した信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成して処理装置90の処理回路30に出力する。反応容器洗浄ユニット12は、測定部13による測定が終了した反応容器3内を洗浄する。
駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。
駆動装置80は、分析装置70のサンプルディスク5を駆動する機構を備え、各試料容器11を回動移動させる。また、駆動装置80は、試薬庫1の試薬ラック1aを駆動する機構を備え、各試薬容器6を回動移動させる。また、駆動装置80は、試薬庫2の試薬ラック2aを駆動する機構を備え、各試薬容器7を回動移動させる。また、駆動装置80は、反応ディスク4を駆動する機構を備え、各反応容器3を回転移動させる。
また、駆動装置80は、試料分注アーム10を回動及び上下移動させる機構を備え、試料分注プローブ16を試料容器11と反応容器3との間で移動させる。また、駆動装置80は、試料分注ポンプユニット16aを駆動する機構を備え、試料分注プローブ16に試料を分注させる。すなわち、試料分注プローブ16に試料容器11の試料を吸引させ、当該試料を反応容器3に吐出させる。
また、駆動装置80は、試薬分注アーム8、9を回動及び上下移動させる機構を備え、試薬分注プローブ14、15をそれぞれ試薬容器6、7と反応容器3との間で移動させる。また、駆動装置80は、試薬分注ポンプユニット14a、15aを駆動する機構を備え、試薬分注プローブ14、15に試薬を分注させる。すなわち、試薬分注プローブ14、15に試薬容器6、7の試薬を吸引させ、当該試薬を反応容器3に吐出させる。また、駆動装置80は、撹拌アーム18、20を駆動する機構を備え、撹拌子17、19を反応容器3内に移動させる。そして、駆動装置80は、撹拌子17、19を駆動する機構を備え、反応容器3内の試料及び試薬の撹拌を行わせる。
処理装置90の分析制御機能32は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。
以上、本実施形態に係る試薬庫が適用される自動分析装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係る試薬庫は、以下に説明するように、簡易な構造で、試薬庫内を均一に冷却する。
例えば、試薬庫内の温度を効率的に低く維持するために、試薬庫の内部では、冷却された空気が循環されるようになっている。しかし、自動分析装置100では、例えば容量やデザインが異なることにより形状が異なる試薬容器を試薬庫に設置する場合、試薬庫の内部で空気が効率よく循環されずに、試薬庫内が均一に冷却されない可能性がある。
そこで、本実施形態に係る試薬庫は、試薬容器を格納する試薬庫において、トレイと、冷却部と、ファンと、循環口とを備える。トレイには、試薬容器の設置部が設けられている。ファンは、冷却部により試薬庫の内部が冷却されるように、試薬庫の内部の空気を循環させる。循環口は、トレイに設けられ、空気の循環径路を形成する。トレイに試薬容器が設置される設置部に対応して、循環口の大きさ及び形状の少なくとも1つが異なる。
以下、図3〜図7を用いて、本実施形態に係る試薬庫200について説明する。本実施形態に係る試薬庫200は、図2に示す試薬庫1、2に相当する。
図3は、本実施形態に係る試薬庫200の構成の一例を示す断面図である。図4A、図4Bは、本実施形態に係る試薬庫200の回転テーブル220及びトレイ300の構成の一例を示す斜視図である。なお、図3は、図4A、図4BのX−X’矢視断面図である。図5は、回転テーブル220の構成の一例を示す側面図である。図6は、部分トレイ310の構成の一例を示す側面図である。図7は、部分トレイ320の構成の一例を示す側面図である。
図3に示すように、試薬庫200は、筐体210と、図示しない試薬カバーと、冷却素子230と、ファン240と、回転テーブル220と、トレイ300とを備える。
筐体210は、上端に開口部を有し、内部に回転テーブル220を収容可能に形成されている。
冷却素子230は、例えば、筐体210の底面に設けられている。冷却素子230は、駆動装置80により駆動されることにより、試薬庫200を冷却する。例えば、冷却素子230は、ペルチェ素子である。冷却素子230は、「冷却部」の一例である。
ファン240は、例えば、回転テーブル220の回転軸を囲むように設けられている。ファン240は、駆動装置80により駆動されることにより、冷却素子230により冷却されるように、試薬庫200内の空気を循環させる。
なお、図示が省略されているが、試薬庫200は、試薬カバーを備える。試薬カバーは、筐体210の開口を覆う蓋である。試薬カバーには、図示しない試薬吸引口が設けられている。試薬吸引口は、試薬カバーを貫通する孔であり、試薬分注プローブの回動軌道と、試薬容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。ここで、試薬分注プローブは、図2に示す試薬分注プローブ14、15に相当する。
次に、回転テーブル220の構成について説明する。
図3、図5に示すように、回転テーブル220は、支持部220a、底面部220b、及び、側面部220cを備える。
支持部220aの略中心には、回転軸220a1が設けられている。回転軸220a1は、駆動装置80により駆動され、回転テーブル220が回動及び停止を繰り返す。
底面部220bは、トレイ300が載置される台である。トレイ300には、複数の試薬容器が設置される。すなわち、底面部220bは、トレイ300上の複数の試薬容器を移動させるための台である。例えば、回転テーブル220が回動することにより、回転テーブル220に載置されたトレイ300上の複数の試薬容器のうちの1つの試薬容器が、試薬吸引口の直下の位置、すなわち、試薬吸引位置で停止されるようになる。
図3、図4A、図4B、図5に示すように、底面部220bには、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する切欠き220eが設けられている。例えば、図4A、図4Bに示すように、切欠き220eは、底面部220bにおいて、円周方向に、予め決められた間隔で形成されている。切欠き220eが形成される位置は、トレイ300に配列される試薬容器の位置に対応する。切欠き220eは、例えば、底面部220bの半径方向外側の端部に設けられ、略半円形状に形成されている。この形状により、切欠き220eと筐体210の内壁との間には、試薬庫200内の空気を循環させるための隙間が形成される。なお、切欠き220eの形状は、略半円形状に限定されず、通過する空気に偏りや乱れを生じさせない形状であれば、どの形状であっても構わない。
図3、図5に示すように、支持部220aと底面部220bとは径が異なり、支持部220aの径は、底面部220bの径よりも小さい。側面部220cは、支持部220aと底面部220bとを接続する面であり、支持部220aから下方へ向かって延設されている。
図3、図5に示すように、側面部220cには、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する貫通孔220dが設けられている。例えば、図5に示すように、貫通孔220dは、側面部220cにおいて、底面部220b側から上方向に楕円形状に形成され、円周方向に、予め決められた間隔で形成されている。貫通孔220dが形成される位置は、トレイ300に配列される試薬容器の位置に対応する。具体的には、回転軸220a1と切欠き220eとを結ぶ直線上に、貫通孔220dが設けられ、試薬容器が載置される。図4A、図4Bでは、トレイ300上の試薬容器が二重の円環状に載置される場合を例に示している。なお、試薬容器は、二重の円環状に載置されることに限定されず、一重、三重等の円環状に載置されても構わない。
次に、トレイ300の構成について説明する。
図3、図4A、図4Bに示すように、トレイ300は、回転テーブル220に対置される台であって、例えば容量やデザインが異なることにより形状が異なる試薬容器を設置する台である。例えば、トレイ300は、複数の部分トレイ310、320に分割される。本実施形態では、ラックの種類の数が2である場合を例として説明するが、この場合に限定されず、2以上であってもよい。
例えば、トレイ300は、3つの領域に分割されていて、3つの領域にそれぞれ3つの部分トレイが配置されるようになっている。図4A、図4Bでは、2つの部分トレイ310と1つの部分トレイ320とが配置されているパターンを図示している。また、このパターンに限定されず、1つの部分トレイ310と2つの部分トレイ320とが配置されてもよい。
図3、図4A、図4Bに示すように、複数の部分トレイ310、320には、それぞれ形状が異なる複数種類の試薬容器311、321が設置される。例えば、複数の部分トレイ310、320には、それぞれ高さが異なる試薬容器311、321が設置される。例えば、試薬容器311の高さは試薬容器321の高さよりも低いものとする。
次に、部分トレイ310、320の構成について説明する。まず、部分トレイ310の構成について説明する。
図3、図6に示すように、部分トレイ310は、側面部310a、底面部310b、及び、分離板310cを備える。
底面部310bは、試薬容器311が載置される台である。底面部310bには、複数の試薬容器311が設置される。すなわち、底面部310bは、複数の試薬容器311を移動させるための台である。
図3、図4A、図4B、図6に示すように、底面部310bには、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する切欠き310eが設けられている。例えば、図4A、図4Bに示すように、切欠き310eは、底面部310bにおいて、円周方向に、予め決められた間隔で形成されている。切欠き310eが形成される位置は、切欠き220eの位置に対応する。切欠き310eは、例えば、底面部310bの半径方向外側の端部に設けられ、略半円形状に形成されている。この形状により、切欠き310eと筐体210の内壁との間には、試薬庫200内の空気を循環させるための隙間が形成される。すなわち、切欠き310eは、切欠き220eに対応するように形成されることによって、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する。なお、切欠き310eの形状は、略半円形状に限定されないが、切欠き220eと同じ形状であることが好ましい。
図3、図4A、図4B、図6に示すように、側面部310aは、回転テーブル220の側面部220cを近接して覆うように、底面部310bに向かって延設されている。
図3、図4A、図4Bに示すように、側面部310aの上端には、回転テーブル220の支持部220aの一部を覆うことにより、部分トレイ310を回転テーブル220に取り付けるための突起部310a1が設けられている。部分トレイ310が回転テーブル220に取り付けられたとき、回転テーブル220の底面部220b上に部分トレイ310の底面部310bが設けられ、回転テーブル220の側面部220cは、部分トレイ310の側面部310aに隣接して設けられる。
図3、図6に示すように、側面部310aには、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する貫通孔310dが設けられている。例えば、図6に示すように、貫通孔310dは、側面部310aにおいて、底面部310b側から上方向に楕円形状に形成され、円周方向に、予め決められた間隔で形成されている。貫通孔310dが形成される位置は、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dの位置に対応する。すなわち、貫通孔310dは、貫通孔220dと連通するように形成されることによって、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する。貫通孔310dは、「循環口」の一例である。
貫通孔310dの形状は、部分トレイ310に配列される試薬容器311の形状に基づいている。図3、図6に示すように、例えば、貫通孔310dの高さ方向の幅は、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dの高さ方向の幅よりも低く、貫通孔310dの周方向の幅は、貫通孔220dの周方向の幅と同じであるものとする。貫通孔310dの大きさ及び形状の設定方法については後述する。
図3、図4A、図4B、図6に示すように、分離板310cは、例えば、側面部310aに固定されている。分離板310cには、部分トレイ310に載置される試薬容器311の開口部を試薬庫200の上面側へ突出させるための貫通孔が形成されている。試薬容器311の開口部は、試薬容器311から試薬が取り出される取出口である。貫通孔が形成される位置は、部分トレイ310に配列される試薬容器311の位置に対応する。分離板310cに形成される貫通孔の形状は、部分トレイ310に配列される試薬容器311の形状に対応する。例えば、図4A、図4Bに示すように、部分トレイ310に配列される試薬容器311の形状が円柱形状である場合、分離板310cに形成される貫通孔の形状は、円形状である。このように、部分トレイ310には、試薬容器311が分離板310cの貫通孔から挿入されて底面部310b上に配列される収納スペースが形成されている。部分トレイ310の収納スペースは、試薬容器311が設置される部分であり、「設置部」の一例である。例えば、部分トレイ310は、試薬容器311が設置される設置部と、貫通孔310dとが一体成型されたものである。
分離板310cは、試薬カバーと筐体210とにより形成される空間を分離するための部材である。図3、図6に示すように、試薬カバーと筐体210とにより形成される空間は、例えば、分離板310cより上方の空間である対流抑制層310c1と、分離板310cより下方の空間である対流層310c2とに分離される。分離板310cが側面部310aに固定される位置は、基準となる試薬容器311の高さに基づいて設定される。例えば、対流層310c2は、試薬容器311全体のうち、試薬を収容している本体部を含むように設定される。このように、分離板310cにより、対流層310c2において、試薬容器311の本体部に、冷却された空気が循環し、対流抑制層310c1においては、試薬容器311の開口部に空気が循環しない。すなわち、分離板310cは、試薬容器311の開口部への空気の流入を抑制する。分離板310cは、「対流抑制部」の一例である。
次に、部分トレイ320の構成について説明する。
図3、図7に示すように、部分トレイ320は、側面部320a、底面部320b、及び、分離板320cを備える。
底面部320bは、試薬容器321が載置される台である。底面部320bには、複数の試薬容器321が設置される。すなわち、底面部320bは、複数の試薬容器321を移動させるための台である。
図3、図4A、図4B、図7に示すように、底面部320bには、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する切欠き320eが設けられている。例えば、図4A、図4Bに示すように、切欠き320eは、底面部320bにおいて、円周方向に、予め決められた間隔で形成されている。切欠き320eが形成される位置は、切欠き220eの位置に対応する。切欠き320eは、例えば、底面部320bの半径方向外側の端部に設けられ、略半円形状に形成されている。この形状により、切欠き320eと筐体210の内壁との間には、試薬庫200内の空気を循環させるための隙間が形成される。すなわち、切欠き320eは、切欠き220eに対応するように形成されることによって、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する。なお、切欠き320eの形状は、略半円形状に限定されないが、切欠き220eと同じ形状であることが好ましい。
図3、図4A、図4B、図7に示すように、側面部320aは、回転テーブル220の側面部220cを近接して覆うように、底面部320bに向かって延設されている。
図3、図4A、図4Bに示すように、側面部320aの上端には、回転テーブル220の支持部220aの一部を覆うことにより、部分トレイ320を回転テーブル220に取り付けるための突起部320a1が設けられている。部分トレイ320が回転テーブル220に取り付けられたとき、回転テーブル220の底面部220b上に部分トレイ320の底面部320bが設けられ、回転テーブル220の側面部220cは、部分トレイ320の側面部320aに隣接して設けられる。
図3、図7に示すように、側面部320aには、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する貫通孔320dが設けられている。例えば、図7に示すように、貫通孔320dは、側面部320aにおいて、底面部320b側から上方向に楕円形状に形成され、円周方向に、予め決められた間隔で形成されている。貫通孔320dが形成される位置は、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dの位置に対応する。すなわち、貫通孔320dは、貫通孔220dと連通するように形成されることによって、試薬庫200内の空気の循環径路を形成する。貫通孔320dは、「循環口」の一例である。
貫通孔320dの形状は、部分トレイ320に配列される試薬容器321の形状に基づいている。図3、図7に示すように、例えば、貫通孔320dの高さ方向の幅は、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dの高さ方向の幅と同じであり、貫通孔320dの周方向の幅は、貫通孔220dの周方向の幅よりも狭いものとする。貫通孔320dの大きさ及び形状の設定方法については後述する。
図3、図4A、図4B、図7に示すように、分離板320cは、例えば、側面部320aに固定されている。分離板320cには、部分トレイ320に載置される試薬容器321の開口部を試薬庫200の上面側へ突出させるための貫通孔が形成されている。試薬容器321の開口部は、試薬容器321から試薬が取り出される取出口である。貫通孔が形成される位置は、部分トレイ320に配列される試薬容器321の位置に対応する。分離板320cに形成される貫通孔の形状は、部分トレイ320に配列される試薬容器321の形状に対応する。例えば、図4A、図4Bに示すように、部分トレイ320に配列される試薬容器321の形状が四角柱形状である場合、分離板320cに形成される貫通孔の形状は、四角形状である。このように、部分トレイ320には、試薬容器321が分離板320cの貫通孔から挿入されて底面部320b上に配列される収納スペースが形成されている。部分トレイ320の収納スペースは、試薬容器321が設置される部分であり、「設置部」の一例である。例えば、部分トレイ320は、試薬容器321が設置される設置部と、貫通孔320dとが一体成型されたものである。
分離板320cは、試薬カバーと筐体210とにより形成される空間を分離するための部材である。図3、図7に示すように、試薬カバーと筐体210とにより形成される空間は、例えば、分離板320cより上方の空間である対流抑制層320c1と、分離板320cより下方の空間である対流層320c2とに分離される。分離板320cが側面部320aに固定される位置は、基準となる試薬容器321の高さに基づいて設定される。例えば、対流層320c2は、試薬容器321全体のうち、試薬を収容している本体部を含むように設定される。このように、分離板320cにより、対流層320c2において、試薬容器321の本体部に、冷却された空気が循環し、対流抑制層320c1においては、試薬容器321の開口部に空気が循環しない。すなわち、分離板320cは、試薬容器321の開口部への空気の流入を抑制する。分離板320cは、「対流抑制部」の一例である。
次に、試薬庫200内で発生する対流について説明する。図8は、図3の試薬庫200内の空気の循環径路の一例を示す図である。
試薬容器311が設置された部分トレイ310に空気を循環させる場合では、まず、ファン240の回転により、回転テーブル220内の空気がファン240に吸引され、吸引された空気は、回転テーブル220の底面部220bと筐体210の底面部との間の空間に送り出される。次に、回転テーブル220の底面部220bと筐体210の底面部との間の空間に送り出された空気は、冷却素子230により冷却される。そして、当該空間に送り出された空気は、回転テーブル220の底面部220bに形成された切欠き220eと筐体210の内壁との間の隙間、及び、部分トレイ310の底面部310bに形成された切欠き310eと筐体210の内壁との間の隙間を経由して、部分トレイ310の分離板310cと底面部310bとの間の空間である対流層310c2に送り出される。ここで、対流層310c2に送り出された空気は、部分トレイ310の側面部310aに形成された貫通孔310d、及び、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dを経由して、回転テーブル220内に送り出される。一方、試薬カバーと分離板310cとの間の空間である対流抑制層310c1においては、分離板310cにより、対流層310c2からの空気の流入が抑制される。
同様に、試薬容器321が設置された部分トレイ320に空気を循環させる場合では、まず、ファン240の回転により、回転テーブル220内の空気がファン240に吸引され、吸引された空気は、回転テーブル220の底面部220bと筐体210の底面部との間の空間に送り出される。次に、回転テーブル220の底面部220bと筐体210の底面部との間の空間に送り出された空気は、冷却素子230により冷却される。そして、当該空間に送り出された空気は、回転テーブル220の底面部220bに形成された切欠き220eと筐体210の内壁との間の隙間、及び、部分トレイ320の底面部320bに形成された切欠き320eと筐体210の内壁との間の隙間を経由して、部分トレイ320の分離板320cと底面部320bとの間の空間である対流層320c2に送り出される。ここで、対流層320c2に送り出された空気は、部分トレイ320の側面部320aに形成された貫通孔320d、及び、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dを経由して、回転テーブル220内に送り出される。一方、試薬カバーと分離板320cとの間の空間である対流抑制層320c1においては、分離板320cにより、対流層320c2からの空気の流入が抑制される。
次に、貫通孔310d、320dの大きさ及び形状の設定方法について、検証結果を用いて説明する。
上述のように、部分トレイ310、320には、それぞれ、例えば容量やデザインが異なることにより高さが異なる試薬容器311、321が設置される。例えば、試薬容器311の高さは試薬容器321の高さよりも低い。このように、形状が異なる試薬容器311、321を試薬庫200に設置する場合でも、試薬庫200内で空気を効率よく循環させて、試薬庫200内を均一に冷却する必要がある。そこで、貫通孔310d、320dの大きさ及び形状の少なくとも1つを調整することで、試薬庫200内の体積流量比を全体的に均一にする最適化条件の検証が行われた。具体的には、体積流量比を最適化する条件として、各部分トレイ310、320への流量のばらつきを抑制できる条件の検証が行われた。
検証の結果、例えば、試薬容器間の隙間の面積の比率と、貫通孔の面積の比率とは、逆相関の関係にあることが確認された。具体的には、例えば、図4A、図4Bに示すように、部分トレイ310に搭載される試薬容器311間の隙間の面積をA1とし、部分トレイ320に搭載される試薬容器321間の隙間の面積をA2とした場合、面積A1と面積A2との比率は、1:Nであるものとする。Nは1より大きい正数である。この場合、例えば、部分トレイ310に形成された貫通孔310dの面積と、部分トレイ320に形成された貫通孔320dの面積との比率が、N:1であるとき、各部分トレイ310、320への流量のばらつきを抑制できることが確認された。
そこで、本実施形態では、各部分トレイ310、320への流量のばらつきを抑制するために、例えば、以下のように、貫通孔310d、320dの大きさ及び形状の少なくとも1つを調整した。
まず、本実施形態では、図7に示すように、部分トレイ320の貫通孔320dの高さ方向の幅を、回転テーブル220の側面部220cに形成された貫通孔220dの高さ方向の幅と同じ高さに設定した。また、本実施形態では、試薬容器311の高さは試薬容器321の高さよりも低いため、図6に示すように、部分トレイ310の貫通孔310dの高さ方向の幅を、回転テーブル220に形成された貫通孔220dの高さ方向の幅よりも低く設定した。また、本実施形態では、図6に示すように、貫通孔310dの周方向の幅を、貫通孔220dの周方向の幅と同じ幅に設定した。
ここで、本実施形態において、試薬容器311間の隙間の面積A1と試薬容器321間の隙間の面積A2との比率が1:Nである。この場合、本実施形態では、貫通孔310dの面積と貫通孔320dの面積との比率がN:1となるように、図7において、貫通孔320dの周方向の幅を、回転テーブル220に形成された貫通孔220dの周方向の幅よりも狭く設定した。これにより、各部分トレイ310、320への流量のばらつきを抑制できる。
以上の説明により、本実施形態に係る試薬庫200では、トレイ300には、試薬容器311、321の設置部が設けられている。ファン240は、冷却素子230により試薬庫200の内部が冷却されるように、試薬庫200の内部の空気を循環させる。トレイ300に設けられた循環口である貫通孔310d、320dは、空気の循環径路を形成する。トレイ300は、試薬容器311、321がそれぞれ設置される設置部に対応して、貫通孔310d、320dの大きさ及び形状の少なくとも1つが異なる。
具体的には、トレイ300は、複数の部分トレイ310、320に分割される。部分トレイ310の側面部310aには貫通孔310dが設けられ、部分トレイ320の側面部320aには貫通孔320dが設けられている。ここで、貫通孔310d、320dは、回転テーブル220の側面部220cに設けられた貫通孔220dと連通するように形成されることによって、空気の循環径路を形成する。また、部分トレイ310の底面部310bには切欠き310eが設けられ、部分トレイ320の底面部320bには切欠き320eが設けられている。ここで、切欠き310e、320eは、回転テーブル220の底面部220bに設けられた切欠き220eに対応するように形成されることによって、空気の循環径路を形成する。また、部分トレイ310、320は、それぞれ高さが異なる試薬容器311、321を設置し、試薬容器311、321の高さに応じて、貫通孔310d、320dの高さ方向の幅が異なる。ここで、貫通孔220dは、上記設置部によらず、同じ大きさである。
このように、本実施形態に係る試薬庫200は、上記構成により、形状が異なる試薬容器311、321を試薬庫200に設置する場合でも、試薬庫200の内部で空気を効率よく循環させて、試薬庫200内を均一に冷却することができる。
(その他の実施形態)
これまで実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
図9A〜図9Hは、変形例における貫通孔300dの一例を示す図である。貫通孔300dは、貫通孔310d、320dのいずれか一方の貫通孔である。
上述した実施形態では、貫通孔300dの大きさ及び形状の少なくとも1つを調整する例として、各部分トレイ310、320への流量のばらつきを抑制するために、貫通孔310dの高さ方向の幅を、回転テーブル220に形成された貫通孔220dの高さ方向の幅よりも低く設定する場合について説明した。また、貫通孔320dの周方向の幅を、回転テーブル220に形成された貫通孔220dの周方向の幅よりも狭く設定する場合について説明した。しかし、実施形態は、これに限定されるものではない。
例えば、図9Aに示すように、貫通孔300dの位置を、回転テーブル220に形成された貫通孔220dに対して周方向にずらしてもよい。また、図9Bに示すように、貫通孔300dの位置を、回転テーブル220に形成された貫通孔220dに対して軸方向にずらしてもよい。
例えば、図9Cに示すように、回転テーブル220に形成された楕円形状の貫通孔220dに対して、円形状の貫通孔300dを複数設けてもよい。また、図9Dに示すように、回転テーブル220に円形状の貫通孔220dが周方向及び軸方向に並べて形成されている場合、貫通孔220dに対して、円形状の貫通孔300dが交互に設けられてもよい。
また、図9Eに示すように、回転テーブル220に円形状の貫通孔220dが周方向及び軸方向に並べて形成されている場合、楕円形状の貫通孔300dが周方向及び軸方向の貫通孔220dに一部重なるように、楕円形状の貫通孔300dの位置を、貫通孔220dに対して周方向にずらしてもよい。
また、図9Fに示すように、回転テーブル220に形成された楕円形状の貫通孔220dに対して、円形状の貫通孔300dが複数設けている場合、楕円形状の貫通孔220dが周方向及び軸方向の貫通孔300dに一部重なるように、貫通孔300dの位置を、貫通孔220dに対して周方向にずらしてもよい。
例えば、図9G、図9Hに示すように、回転テーブル220に形成された貫通孔220dに対して、貫通孔300dを交差させてもよい。具体的には、図9Gに示すように、回転テーブル220に楕円形状の貫通孔220dが軸方向に並べて形成されている場合、貫通孔220dに対して貫通孔300dが交差するように、楕円形状の貫通孔300dが周方向に並べて形成される。図9Hに示すように、図9Gに示す貫通孔220d及び貫通孔300dを45度回転させた場合でも同様である。
図10は、変形例に係る試薬庫200内の空気の循環径路の一例を示す図である。試薬容器311間の隙間の面積A1と試薬容器321間の隙間の面積A2との比率が1:Nである場合、貫通孔310dの面積と貫通孔320dの面積との比率がN:1となるように、例えば、部分トレイ320の貫通孔320dとして、図9Eに示すような貫通孔300dが適用される。この場合でも、変形例に係る試薬庫200は、試薬庫200内で空気を効率よく循環させて、試薬庫200内を均一に冷却することができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、簡易な構造で、試薬庫内を均一に冷却することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。