JP2021127281A - 単結晶成長装置、単結晶成長方法および単結晶 - Google Patents

単結晶成長装置、単結晶成長方法および単結晶 Download PDF

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Abstract

【課題】テイル切れを生じることなくテイル部が短い単結晶の成長が可能な単結晶成長装置、このような単結晶の成長を可能にする単結晶成長方法、およびテイル部が短い単結晶を提供する。【解決手段】融液Lを収容するルツボ8を設置可能な単結晶成長炉1と、前記ルツボ8を加熱するヒータ10と、前記融液Lの温度を測定する温度センサ11,12と、を備える単結晶成長装置100において、前記温度センサ11,12による測定結果に基づいて前記ヒータ10に供給する電力と結晶の引上速度を制御し、単結晶近傍領域における前記融液Lの温度を所定の範囲に維持する制御部4をさらに備える。【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶成長装置、単結晶成長方法および単結晶に関するものである。
単結晶の成長装置および単結晶成長方法において、半導体シリコンウエーハの材料や、シリコン単結晶型太陽電池の材料ウエーハとなる材料単結晶の製造には、一般的にCZ法(チョクラルスキー法)が用いられてきた。
CZ法は、多結晶原料をルツボ内に充填し、ヒータに電力を供給してルツボを介した加熱溶融によって融液とした後、引き上げ軸に吊るした種結晶をこの融液中に浸し、これを回転させつつ上方に引き上げることで種結晶の下端に単結晶を成長させる方法である。
CZ法により得られる単結晶は、種結晶側からみて肩部と直胴部とテイル部とで構成される。これらの構成要素のうち、現実の製品に使用される部分は直胴部だけであり、単結晶の安定した成長に必須である他の部分、特にテイル部は製品製造時に直胴部から切り離されて廃棄されるため、コスト面からも可能な限り短いことが要求される。
しかしながら、単結晶の成長工程においては、単結晶成長炉の観察窓に設置されたセンサにより単結晶の形状を把握するため、テイル部形成工程において、このセンサの仰角を超えた急峻な絞り込みを行うと、テイル形状を観察しながらの結晶成長が不可能となり、単結晶が融液から切り離されるなどの事態により欠陥が生じる可能性が高まってしまう。
特に、使用するルツボの直径と結晶の直径との比率が大きい大口径比の単結晶を成長させると、単結晶成長炉の頂部近傍に設けられた観察窓からでは、直胴部底辺の陰に隠れるためにテイルの形状が一層把握できなくなる。このため、テイル形状を見ながら形状を制御することができなくなるため、結晶が融液から切り離されるなどの結晶欠陥が発生して結晶歩留まりが極端に低下するという問題が発生していた。
例えば、特許文献1には、テイル絞りを行うことなく直径が18インチの石英ルツボから直径154mmの単結晶を引き上げる方法が開示されている。その実施例1には、一定の引上速度を1.2 mm/分として単結晶を引き上げ、そのボディ部が所定の長さに達したところで、引上げた単結晶を5分間停止し、その後、引上軸の上昇速度を600 mm/分にして25mmだけその速度で引上げた単結晶を融液から切り離し、その切り離した単結晶を早送りで上昇させてプルチャンバから取り出した結果、得られた単結晶のボトム側は無転位であったことが示されている。
また、特許文献1の実施例2において、一定の引上速度を1.2mm/分として単結晶を引き上げ、そのボディ部が所定の長さに達したところで、引上速度を0.6mm/分に低速化して更に10分間だけ単結晶の引き上げを継続した後、引上げ軸の上昇速度を600 mm/分にして25mmだけその速度で、引き上げた単結晶9を融液から切り離し、その切り離した単結晶を早送りで上昇させてプルチャンバ2から取り出した結果、得られた単結晶のボトム側は無転位であったことが示されている。
しかしながら、単結晶を急激に融液から切り離すと、単結晶成長界面と融液との間には、高い粘性で単結晶側に融液が持ち上げられる力がかかっており、この状態から無理に単結晶を切り離すと、粘性で引っ張られていた融液が結晶から急に切り離された時の衝撃で溶融表面に波が生じ、ルツボの壁との間を波が行き来して定在波が生じる。波の波高の高いところは切り離された結晶に届き、その部分の結晶は規則性を持たず成長するため、欠陥発生の原因となる。また、単結晶側に残った融液が滴下し、溶融表面で跳ね、再び結晶に付着し固化する現象も生じるため、そこから結晶欠陥が発生する原因になっている。
また、ルツボに残された融液の量によってもテイルの制御条件は異なるため、一定形状の急峻なテイル形状を再現性良く得ることが難しかった。
単結晶のテイル部の成長工程では、ルツボ中の融液の残存量が減少するので、引き上げのタイミングの判断ミスを誘発することがある。また、丸底のルツボが使用される場合、そのR部は円筒部と比較して加熱源ヒータとの距離があるため、テイル部成長段階で融液と加熱源ヒータの距離が
急激に開くことになり、過冷却が進行し、その結果、ルツボの壁から結晶成長が発することがある。このルツボ壁からの結晶成長と成長中の単結晶が繋がれば、お互いに逆回転しているものが繋がることとなり、種結晶部のように細く折損しやすい部分で切断が生じ、単結晶の落下事故となる。この場合、溶融を保持しているルツボが破損し、溶融が炉内に漏れ、さらに水冷ジャケット構造の炉底盤を突き破れば、水とシリコンが瞬時に反応し、水素爆発に至る原因ともなる。
特開平9−208379 特開2008−120623
本発明は、テイル切れを生じることなくテイル部が短い単結晶の成長が可能な単結晶成長装置、このような単結晶の成長を可能にする単結晶成長方法、およびテイル部が短い単結晶を提供することを主な目的とする。
本発明の第1の側面によれば、シリコン(ケイ素)の融液を収容するルツボを設置可能な単結晶成長炉と、前記ルツボを加熱するヒータと、前記ルツボおよび前記融液の少なくともいずれかの温度を測定する温度センサと、前記温度センサによる測定結果に基づいて前記ヒータに供給される電力を制御して単結晶近傍領域における前記融液の温度を所定の範囲に維持すること、および単結晶の引上速度を制御することの少なくともいずれかにより、前記単結晶のテイル長さを前記単結晶の直胴部の直径よりも短くする制御部と、を備え、直胴部の直径よりも短いテイル部を有する単結晶を成長させる単結晶成長装置が提供される。
本発明の第2の側面によれば、単結晶成長炉を用いた単結晶の成長方法において、単結晶近傍領域の融液の温度を測定し、測定結果に基づいて前記単結晶近傍領域における融液の温度を所定の範囲に維持することにより、テイル長さが直胴部の直径よりも短い単結晶を取得することを特徴とする単結晶成長方法が提供される。
さらに、本発明の第3の側面によれば、肩部と直胴部とテイル部とを備え、前記テイル部の長さが前記直胴部の直径よりも短いことを特徴とする単結晶が提供される。
本発明によれば、テイル切れを生じることなくテイル部が短い単結晶の成長が可能な単結晶成長装置、このような単結晶の成長を可能にする単結晶成長方法、およびテイル部が短い単結晶が提供される。特に大口径結晶では、テイル部が成長結晶の陰に隠れ、観察窓から見えないため、テイル切れ事故が生じやすいため、上記効果が大きい。また、単結晶の口径が大きくなる程テイル切れ発生による結晶歩留まり低下の損失は大きくなるため、上記効果が大きい。
本発明の実施の一形態による単結晶成長装置の概略構成を示す模式図の一例である。 図1に示す単結晶成長装置により、ルツボ壁と融液の境界の温度を温度センサで監視する態様の一例を示す。 単結晶近傍領域を説明するための略示上面図の一例である。 単結晶の近傍領域の融液の温度データの一例を示す図である。 ルツボ壁からの結晶成長を捉えたセンサ出力信号をオシロスコープにより観察した信号について示した説明図の例である。 テイル部を持つことなく成長を終了させる直前の単結晶の一例の断面模式図である。 単結晶を融液から切り離した時に発生する溶融表面の定在波の模式図の一例である。 (a)および(b)は、定在波の影響を受けた単結晶のテイル部底面の状態を示す写真の例である。 ルツボ内の融液残量が少ない場合のテイル形状の一例を示す模式図である。 (a)および(b)は、本発明の実施の一形態による単結晶成長方法により得られた単結晶の最終引き上げ工程を示す略示断面図の例である。 本発明の実施の一形態による単結晶の一例を示す断面図の一例である。
以下、本発明の実施の形態のいくつかについて図面を参照しながら説明する。図面において同一の要素・部材には同一の参照符号を付し、その重複説明は適宜省略する。また、図中の各部材の形状・サイズは、説明を容易にするために適宜拡大・縮小・省略されているために現実の縮尺・比率とは合致していない場合がある。また、図面の説明においても、紙面の上下方向に即してそれぞれ「上」「下」の用語を便宜的に用いるために、重力加速度の方向と一致しない場合がある点に留意されたい。また、「略」および「実質的に」の用語は、測定誤差をも含む趣旨で使用される。
(A)単結晶成長装置
図1は、本発明の実施の一形態による単結晶成長装置の概略構成を示す模式図の一例である。同図に示す単結晶成長装置100は、ルツボ8を設置可能な単結晶成長炉1と、ヒータ10と、ヒータ電源5と、センサ42と、温度センサ11,12と、変換部21,22と、撮像カメラ32と、信号処理部62と、温度表示部3と、制御部4と、を備える。単結晶成長炉1の頂部近傍には観察窓WD10,WD20が設けられている。カメラ32は、例えば、CCDカメラの他にCMOSカメラを利用でき、観察窓WD20の近傍に設置され、観察窓WD20を介して炉内を撮像しての画像信号を出力する。カメラ32は信号処理部62に接続され、信号処理部62により画像信号が演算処理可能な形式の信号に変換される。温度センサ11,12は変換部21,22にそれぞれ接続される。図1において、内部構造を平易に示すため、単結晶成長炉1はその概略形状だけが破線で示されている。
制御部4は、変換部21,22、信号処理部62、温度表示部3およびヒータ電源5に接続され、ヒータ電源5は炉内温度センサ42によって制御部のPID制御機能によって、一定温度を保つようになっている。ここで、ヒータまたはその外側の保温筒の側面温度を一定に保たれるが、結晶成長の行われている近傍の液面温度について制御されていない。
そこで、制御部4は、変換部21,22から信号の入力を受けてこれを処理し、処理結果を温度表示部3に表示させるほか、処理結果に従ってカスケード接続した指令信号を生成してヒータ電源5に供給し、ヒータ10に供給される電力量により炉内の温度を調整する。制御部4はまた、図示しない昇降機構および回転機構に接続され、後に詳述する単結晶成長方法に従って制御信号を生成してこれらの機構に供給し、単結晶の引上速度を制御する。制御部4はまた、制御表示部Diに接続され、引上速度の制御結果をトレンドデータとして表示する。
制御部4には記憶装置MRが接続され、該記憶装置MRには、後述する実施形態の単結晶成長方法に使用するデータテーブルが格納される。本実施形態において、記憶装置MRは例えば記憶手段に対応する。この記憶手段は、テイル部成長の長さ(引上速度を積分して得られる、計算上の長さ)に対応させて、テイル部近傍の融液表面温度を所定の単位時間毎に記憶するものである。制御部4は、制御表示部Diとしてモニター画面を形成するタッチパネル(または制御用PC)に、成長中の単結晶の計算上の形状を示すと共に、テイル部の理想形状曲線を対比して表示し、理想形状曲線との差異を最小化するように結晶成長速度を制御する。
単結晶成長炉1の底部には垂直の方向に延設されるようにルツボ支持軸52が枢着され、このルツボ支持軸52により、ルツボ8が支持されるとともに、図示しない回転機構によるルツボ支持軸52の回転により、例えば矢印AR2の方向にルツボ8が回転する。同時にルツボ支持軸52は、図示しないルツボ昇降機構にも連結され、制御部4からの制御信号に従い、結晶成長に伴って融液面レベルが低下する分だけ当該ルツボ昇降機構がルツボ支持軸52を介してルツボ8を自動的に上昇させ、これにより、常に融液面の位置(高さ)が一定位置(高さ)に保たれる。
ヒータ10は、ルツボ8と単結晶成長炉1の内壁面との間に設置され、ヒータ電源5から電力を供給されて炉内の空間とルツボ8を介して融液Lを加熱する。
ヒータ電源5には、図示しない電力制御装置が含まれ、この電力制御装置により交流電源が、サイリスタやIGBTなどの整流素子を介して直流に変換される可変電源となっている。ヒータ電源5は、入力電圧信号を調整する機能を有し、例えば入力電圧信号0〜5Vで出力電力を0〜最大電力に調整する。制御部4は、この電力制御装置への入力信号に加減する信号として制御信号を繋ぎ込むことで、単結晶成長炉1のヒータ10に加える電力を設定値に調整することができる。単結晶成長炉1内の温度は、炉内温度センサ42により、設定温度を常に一定にすることができる。また、温度設定値を任意に増加減し、単結晶形状を制御することもできる。この設定値は、形状制御パラメータと対比しており、プロセス毎に設定されるか、形状センサから得られた形状値と理想形状値との差を補正する制御を行うことができる。
ルツボ8は、例えば石英(二酸化ケイ素)で形成され、シリコン融液Lを収容する。本実施形態において、ルツボ8は、その底面および側面を黒鉛ルツボで覆った一般的には半球型底の2重構造を有する。この黒鉛ルツボは、ヒータ10からの加熱による石英ルツボの変形を保護する目的を有する。ルツボ8を構成する石英ルツボは、本実施形態において、少なくともその内壁に溌液加工がなされることにより溌液性を有するコーティング層が内壁に形成された溌液ルツボである。
単結晶成長装置100の頂部からシードチャック6が吊下され、その先端に種結晶が取り付けられ、図示しない昇降機構により融液Lに浸(ディッピング)される。溶解後のシリコン溶融Lの温度は高く、この状態でシードを浸ければシードは溶け落ちてしまうため、事前に温度設定値を制御した後にシードを浸ける。
シードチャック6はまた、図示しない回転機構に連結されて、所定方向、例えばルツボの回転とは反対の矢印AR1の方向に種結晶を回転させながらディッピングし、引き続いてシードの温度を融液の直上で保持し、シードの温度を溶融温度に近づける。その後、シードを溶融に馴染ませる。そしてシードの稜線部が突起状に現れるタイミングでシード上昇を開始し単結晶シードを回転ながら成長させる。
シード内部には、融液にシードを浸けた時の温度差により、熱歪みが結晶内部で生じ、転移欠陥が発生するため、直径3〜6mm程度に一定直径に制御しながらシード工程を続け、転移欠陥を消滅させる。その後、肩(ショルダー部)と呼ばれるシードの直径から単結晶製品直径(直胴部)まで直径を太らせる工程を経て単結晶の直胴部を所定の長さ引き上げる。
本実施形態において、観察窓WD10の近傍には2つの温度センサ11,12が配設される。温度センサ11,12は、ルツボ8の内壁から単結晶の側面まで走査可能となるように取り付けられ、対象物からの光量の情報を変換部21,22にそれぞれ送る。変換部21,22は、各温度センサからの光量情報を電気信号に変換してそれぞれ温度表示部3へ供給して温度を表示させるほか、制御部4へも該電気信号を送る。
温度センサ11は、例えば特許請求の範囲に記載の第1温度センサに対応し、単結晶成長工程中の単結晶近傍の温度を測定する。特にテイル部成長工程において単結晶の近傍領域における融液の温度を正確に測定する。また、温度センサ12は、例えば特許請求の範囲に記載の第2温度センサに対応し、単結晶の全成長工程において、ルツボ8の内壁と融液Lとの境界の温度を測定し、その測定結果はルツボ内壁からの結晶成長を予測監視して成長を事前に抑止するために用いられ、さらに、結晶成長を検知した場合は結晶核を融解させるために用いられる。ここで結晶成長を検知すると図5で示すセンサ出力を得る。この時の温度レベルは事前に記憶されており、このような事態になる前に溶融温度の上昇を行い、図5のベースライン温度をこの温度域よりも高めに制御する。ちなみにスパイク状の信号が繰返し現れるのは、ルツボ回転に同期しているため、そのルツボの回転位置のどこで結晶成長が始まっているかも掌握できる。
上述した単結晶成長装置100を用いた単結晶の成長方法について、本発明に係る単結晶成長方法の実施の一形態として説明する。
(B)単結晶成長方法
(1)種結晶のディッピング
まず、結晶用原料としてのシリコン多結晶をルツボ8内に充填し、高真空にして炉内の脱ガスをした後、真空、ガス置換を繰り返し、
単結晶成長炉1内を例えば減圧状態のAr(アルゴン)雰囲気にした後、ヒータ10によりルツボ8を加熱して全ての結晶用原料を溶融して融液Lとする。溶融後は、ヒータ10のパワーを下げてさらにその融液レベル位置とフロー管の下端の間隔を調整する。次に結晶成長が可能な温度域に融液温度を設定する。
温度センサ11により融液Lの液面温度を測定しつつ、ヒータ10により温度を調整し、液面温度を結晶成長に適する温度、例えば1420℃、または、ヒータ外側の保温筒の外壁温度に相対する温度にまで下げ、シードチャック6を降下してカメラ32で観察しながら種結晶の下端を融液Lに浸漬(ディッピング)する。なお、このときの液面温度がデフォルトとなるよう温度センサ11の輻射率の校正を行った後温度センサ42の値も校正する。ここで校正とは、浸漬したシードが溶け落ちて切れるような高温でなく、逆にシードが太く成長するような低い温度でもなく、一定直径が保たれる温度状態をシリコンの溶融点温度である1420℃として設定するものである。この設定は、センサ位置、センサ角度、ルツボ位置などを変化させない限り再現性が保たれるので一度設定すれば繰返し使用でき、毎回構成する必要はない。
温度センサの一例としては放射温度計を挙げることができ、例えばジャパンセンサー株式会社のファイバ型放射温度計FTK−A700A−50L11を使用でき、また、パラメータの設定・校正には例えばパラメータ設定器PWC1を使用することができる。
(2)肩部工程および直胴部工程
続いて、シードチャック6およびルツボ8を所定の回転比で互いに逆方向に回転させながら、シードチャック6で種結晶を徐々に細く長く引き上げることにより、種結晶を無欠陥状態の単結晶に成長させる。引上速度の調整により、単結晶の直径を段階的に制御してネック部から肩部および直胴部を形成する。
本実施形態では、後述するテイル部の形成工程を含め、図2に示すように、単結晶の成長中を通じて、ルツボ8の内壁と融液Lとの境界に温度センサ12の照準を合わせて該境界の温度を監視することにより、ルツボ8の内壁からの結晶成長を抑止し、かつ、ルツボ8の内壁からの結晶成長を検知した場合に、昇温によりその結晶核を融解することにより、大口径の大型単結晶成長を実現する。具体的には、ルツボ8の内径の80%以上の直径を有する単結晶を取得することができる。本実施形態では、溌液加工により溌液性を有するコーティング層が内壁に形成された石英ルツボを用いるので、融液Lの表面がルツボ8と融液Lの接触部で凸面となり、ルツボ8の上方向ほど温度が下がるため、ルツボ壁からの結晶成長が発生した場合でも、常時監視していれば僅かな昇温によりその結晶核を溶解し、消滅させることができる。
単結晶の直径は、カメラ32で捉えた撮像画像の信号を信号処理部62で処理して制御部4に送り、制御部4が演算処理により算出し、制御表示部の中の温度表示部3により表示させる。
(3)テイル工程
所定の高さおよび直径の直胴部の成長が終了すると、再び径を細く絞った後に融液Lから切り離すテイル工程に移行する。この工程は、本実施形態の特徴部分の一つであり、融液温度および引上速度とテイル形状との相関関係を表すデータベースを予め準備して記憶装置MRに格納しておく。このデータベースを、例えばルックアップテーブルLT1として使用し、直胴部工程で直胴部底面の直径を測定し、テイル工程に移行する際に、該測定値に対応するデータをルックアップテーブルLT1から引き出し、所定の補正処理を含む形状演算を行い、該形状演算に従ってテイル部成長および全体単結晶の引上を実行する。これにより所望のテイル形状を形成すると共に、直胴部の直径よりも短いテイル長の単結晶を取得する。
本実施形態において、該ルックアップテーブルLT1には、形状不良や、テイルキレが生じた場合のデータなどは記憶されず、これらのデータは、別途設けた不具合解析用のルックアップテーブルLT2に記憶して不具合解析に役立てる。
温度管理には、図1に示す炉内温度センサ42を使用し、融液温度との相対値制御を行う。炉内温度センサ42は、ヒータ10の外側に配置された高純度炭素素材を用いた保温筒(図示せず)の外壁部の温度を監視し、PID制御などの自動制御方法でヒータ10に供給される電力を制御してプロセス基準温度設定値と炉内温度センサ42の出力信号による温度との差分を無くす制御が行われている。また、プロセス基準温度設定値は、結晶成長プロセスの温度勾配に合わせて制御されるが、図1に示す温度センサ11および12と炉内温度センサ42との関係は上述のルックアップテーブルLT1、LT2に記憶されており、所定の単位時間ごとに比較監視が行われている。図1に示す温度センサ11は、図1の模式図に示すように、単結晶近傍領域における融液Lの温度を測定する。これは、テイル作成において単結晶の直径を細くすると単結晶から熱が逃げる抜熱現象の低下が発生し、テイル切れが生じやすくなる一方、その抜熱量が融液Lからの吸熱量を上回ると、単結晶近傍領域の温度が下がり、テイル部が太くなり適切な結晶成長が不可能になってしまうからである。本実施形態において、テイル部成長のための適切な温度範囲は、1420℃±0.5℃であり、これよりも高温になるとテイルが切断される可能性が高くなり、一方、これよりも低温であるとテイルが太くなって絞りが効かなくなる不具合が生じる。
より具体的には、温度センサ12により取得された温度データから上述のルツボ壁と融液Lとの境界の温度勾配を算出し、この勾配が所定の値を下回ると、プロセス基準温度設定値に対し、制御部4の指令により、ヒータ電源5が出力電力量を増大し、これによりヒータ10が加熱温度を上昇させる。ここで、ルツボ の変形などによる微小な境界のズレが生じることもあり、信号にノイズとして変動を捉えることがあるが、ノイズ成分は、演算フィルタで除去すれば良い。
ここで、「単結晶近傍領域」について図3の略示上面図を参照して説明する。図3において、領域RVが単結晶7を周回する円環状の単結晶近傍領域の一例に該当する。単結晶近傍領域RVは、単結晶7からの抜熱量が融液からの吸熱量を上回ることがあるために監視を要する領域である。本実施形態において、単結晶近傍領域RVの内周は単結晶の側面から約3mm〜(RC−RB)/2だけ離隔している。ここで、RB/2は、単結晶の半径を意味する。一方、単結晶近傍領域RVの外周は、単結晶の側面とルツボ8の内壁との略中間に位置する。すなわち、ルツボ径をRCとし、単結晶の直胴部底面の直径をRBとすると、単結晶7の中心からほぼ(RC―RB)/4だけ離隔した位置に該当する。
図4は、温度センサ12により取得された温度データの一例を示すグラフである。横軸は温度センサの照準位置と、融液Lおよびルツボ内壁の接触部との位置関係を表し、縦軸は相対温度を示す。この相対温度は、温度センサ11と独立に設けたものであり、校正も独立に行ったものである。すなわち、ルツボ内壁と溶融Lの境界温度を監視していることをセンサのファインダーを通して観察し、センサの中心部に記された円形のインデックスの最中心部が上記境界上にあることを確認する。ズレが生じている場合には、図示しないが、制御部4を介して例えばパルスモータ駆動のX―Yテーブルを用い手動でセンサ位置を設定する。この位置で制御部4はセンサ出力値を連続的に監視し、センサ中心部の平均温度を把握する。把握した温度から温度センサ出力値が上昇するまたは下降する傾向を示す時は、制御部4により前記X―Yテーブルを駆動してセンサ中心部の温度が上記平均値になる位置にセンサ位置を追従させる。
また、ルツボ内壁と溶融Lとの境界は、ルツボの一部の形状の変化や溶融Lの中心ブレにより変動する場合があり、センサ12の中心温度監視は、該事象を考慮し位置制御を行う必要がある。図5は温度センサ12のアナログ信号をオシロスコープで観察したものであ
図4において、融液Lとルツボ内壁との接触部の温度センサの照準位置の中心部の高輝度位置が温度のピークを示すが、テイル形状の制御工程では、温度センサ11により図4と同様の曲線が得られ、図4に記載された融液外還部分が単結晶7に相当し、単結晶7よりも外側の位置で計測を行うので、図4の横軸の6から7に対応する温度曲線に相当する位置で測定及び制御監視を行う。
ここで、テイル部成長の監視工程を実行しない場合の問題点について改めて詳述する。
図6は、テイル部を持つことなく成長を終了させる単結晶77の単結晶成長の終了直前の一例を示す断面模式図である。同図において、表面張力による明確な融液上昇115が示されている。このような状況において、例えば単結晶77の引上速度を急激に速めると、融液L自身の表面張力でさらに上方向に融液Lが引っ張り上げられることになる。このように単結晶を急速に引き上げた上でさらに表面張力以上の引上げを行うと、単結晶77が溶融Lから切離れた瞬間、例えば図7に示すように、融液Lの振動が発生し、その波がルツボ88の壁面で反射して融液定在波117となり、切離れた単結晶77の底部に大きな波として部分的に接触することになる。この時の波の速度は、如何に単結晶引上速度を早めても、波の到達速度の方が早く、単結晶77のテイル部底面が波の波高部に接触してしまい意図しない模様が形成されてしまう。また、融液Lが切離れた際に単結晶77のテイル部底部から垂れ下がった溶液Lの雫が滴下し、融液Lに当接して液はねとなって再び単結晶77の底部に附着し、円錐形に固着してしまう場合がある。
図8(a)および(b)は、このように急激に単結晶77を切り離した後に、冷却後の底部に生じることがある痕跡の一例を示す写真の例である。同図に示す写真は、例えば特許文献1に開示の単結晶成長方法について行ったトレース実験の結果の一例であり、第1速度を10mm/分以上とし、引き続く第2速度を300mm/分以上として引上げて得られた単結晶の底面の状態の一例を示す。
より具体的には、図8(a)は、得られた単結晶を真横から見た時のテイル部底面の形状を撮影したものであり、単結晶が溶液から切離れた際にその底部から溶液の雫が垂れ下がって融液に滴下し、液はねとなって再びこの単結晶の底部に付着して円錐形に固着した様子が示されている。
また、図8(b)は、液はねにより多重の円錐形が形成されたテイル部底面の形状の一例を撮影したものである。同図の例では、底部に付着した液はねを中心に幾重にも亘って円錐形状が形成されていることが分かる。
このような事態を回避するため、本発明による単結晶成長方法の一実施形態では、テイル部成長における精緻な監視により、少なくとも従来よりも短い、特に、直胴部の直径よりも短いテイル部の成長を介して安全な単結晶引上を実現する。
ただし、このように短いテイル部を形成しようとすると、単結晶の中心側の側面は、既に成長した直胴部頂部の陰となって直径計測用のカメラ32の仰角の限界を上回るため、直径計測が不能となる。
そこで、本実施形態の単結晶成長方法では、主として、以下の2つの手段、すなわち、
(1)所望の固化率を設定し、設定された固化率に対応する単結晶引上速度を選択して単結晶引き上げを行うこと、
(2)単結晶の回転周期を上回る速度の温度の揺らぎを温度センサにより検知し、これをトリガとして結晶の引上速度を低減させること、
により、安全な単結晶引上を低コストで実現する。以下、順を追ってより具体的に説明する。
(1)固化率の設定・利用
所望の固化率を設定し、設定された固化率に対応する単結晶引上速度を選択して単結晶引き上げを行うことにより、成長中のテイル部の形状を逐次に確認する必要なく、所望の形状のテイル部を成長させることができる。
ここで、「固化率」とは、単結晶化した融液の重量(固化量)の、全融液量の重量に対する比をいう。単結晶化した重量の指標としては、単結晶巻き上げ機構(図示せず)に取り付けた重量センサ(ロードセル)で計測したもの、または、単結晶成長単位長さに直径の単位重量をかけ、種結晶終了後の単位重量を積算したものを用いれば良い。固化率は融液Lの温度と結晶の引上速度を積分した重量に依存するため、融液Lの温度を適切な温度範囲内に収めた上で引上速度を選択すれば、短いテイル部の単結晶を成長させることができる。
しかしながら、あまりに引上速度が速すぎると、テイル切れが生じて転位欠陥が発生し、単結晶の歩留まりを著しく低下させてしまう。例えば図9に示す単結晶107は、テイル部としては、完成しているが、直胴部直径よりも長いテイルの例である。
本実施形態では、カメラ32により、テイル部成長の初期における直胴部底面直径を計測し、該計測値に基づいて各引上速度に応じたテーパ角の円錐形状の演算を行い、その演算結果に応じて選択可能な範囲で最も急峻なテーパ角でのテイル成長が期待できる引上速度を選択する。予め多数の製造サンプルを取得し、直胴部底面直径の大きさごとにその時の単位固化量Sと引上速度Erを対応させたルックアップテーブルLT1を準備しておき、記憶装置MRへ格納する。
また、転位欠陥が発生したために製品にならなかったケースもサンプル取得してルックアップテーブルLT2中に含めておく。ここで、そのときの失敗サンプルの単位固化量を例えば限界固化量Scvとする。そして、テイル部成長工程に移行した際に、限界固化量Scvに対して任意の裕度を有する単位固化量Srを設定し、上記ルックアップテーブルLT1から、設定された単位固化量Srに対応する引上速度を選択し、これに従って単結晶の引き上げを実行する。
実際の引上においては、上述した抜熱、およびこれに対応したヒータ10の加熱による温度上昇と単結晶からの抜熱による吸熱で単結晶近傍領域RVの融液表面温度が変化するので、積分計算を用いてテイル形状の円錐台演算を行う。この演算結果を用いて、単結晶近傍領域RVの融液表面温度の変化に応じて引上速度の変更・調整を緻密に実行する。これにより、直胴部底面直径よりも短いテイル部成長を安全確実に実現することができる。
図10(a)および(b)は、本実施形態による単結晶成長方法により得られた単結晶の最終引き上げ工程を示す略示断面図の例である。まず、図10(a)に示すように、最終引き上げの段階では融液Lからの表面張力でテイル部の融液Lが引っ張られてわずかに融液上昇15が発生するが、テイル部の急峻な形状によりテイル部の底面に印加される表面張力が分散され、図10(b)に示すように、円滑に単結晶7を融液Lから引き上げることができる。本実施形態では、丸底のルツボ8を使用するため、融液Lがルツボ8の底部に集まってくるため、融液Lの残存量も少なくすることが出来る。
単結晶成長が終了すると、その成長工程における結晶近傍領域の表面温度データを記録しておき、次のバッチの単結晶成長工程にフィードバックする。このように、本実施形態においては、ルックアップテーブルLT1がバッチごとに更新され、極限までテイル形状を急峻にすることができる。
このルックアップテーブルLT1および単結晶成長レシピは、同一形式の単結晶炉にホストコンピュータを介してアップロード、ダウンロードすることにより、急峻なテイルの結晶成長の量産化が行える。
(2)放射光の揺らぎの検知
単結晶は、引上速度が速すぎて単結晶が切れると、成長中のテイル部から剥がれ落ち転位欠陥が発生する。この剥がれ落ちる直前には兆候が見られ、例えば剥がれ落ちの直前に放射光が揺らいで放射光の強度が激しく振動する。
これは、例えば図5に示したように、最終引き上げの段階では融液Lからの表面張力でテイル部の融液Lが引っ張られて融液Lが上昇し、上昇部分115で表面張力が不安定となり、結晶の回転周期よりも早い振動が発生するためである。
そこで、例えば温度センサ11により、放射光の揺らぎの有無を監視し、結晶の回転周期に対応した所定の閾値を上回る放射光の揺らぎが検知された場合に、単結晶の引上速度をそれまでの、例えば10分の1〜0に低減乃至停止すれば、不本意なテイル切れの事態を回避することができる。速度低減または引上停止を行った後は、温度揺らぎが収まるのを待って単結晶引上を再開し、引上速度を減速・停止前の速度に向けて徐々に加速していけばよい。これにより、テイル切れの事態を回避することができる。
これは、連続的に自動的に放射光を監視しているからこそ出来る制御である。
また、剥がれ落ちの直前に発生する振動により単結晶近傍領域からの放射光の強度が変化する。
そこで、例えば温度センサ11により、光の振動を監視し、テイル切れ寸前に発生する振動が発生するかどうかを検知する。振動が発生した場合には、単結晶の引上速度をそれまでの、例えば10分の1〜0に低減乃至停止する。その後は、振動がまるのを待って単結晶引上を再開すればよい。
(C)単結晶
図11は、本発明の実施の一形態による単結晶を示す略示断面図の一例である。同図に示す単結晶7は、上述した実施形態の単結晶成長方法により取得されたものであり、テイル部の高さhの値は直胴部の直径RBを大きく下回る値となっている。実用的には、単結晶7から肩部とテイル部とが除去されて直胴部が切り出され、さらにスライスされて半導体シリコンウエーハやシリコン単結晶型太陽電池の材料ウエーハとして使用される。本実施形態による単結晶によれば、除去される部分、特にテイル部の体積が小さいために、原材料歩留を改善することができ製品の製造コスト低減に寄与することができる。
(D)各実施形態による効果
本発明の実施の一形態による単結晶成長装置によれば、温度センサによる融液の温度測定結果に基づいて単結晶近傍領域における融液の温度を所定の範囲に維持する制御を備えるので、テイルの形状を観察することなく、急峻なテイルを形成することができ、直胴部の直径よりも短いテイル部を有する大口径の単結晶を安全かつ確実に成長させることができる。
また、本発明の実施の一形態による単結晶成長方法によれば、単結晶近傍領域における融液の温度を所定の範囲に維持するので、テイルの形状を観察することなく、急峻なテイルを形成することができ、直胴部の直径よりも短いテイル部を有する単結晶を安全かつ確実に成長させることができる。また、テイル形状観察ができない状況でのテイル形状制御ができるため、大口径ほど生じやすいテイル切れのよる歩留低下を避けることができる。
さらに、本発明の実施の一形態による単結晶によれば、テイル部の長さが前記直胴部の直径よりも短いので、半導体製品として利用可能な部分の占有率が高く、最終製品のコスト低減に寄与する単結晶が提供される。
(E)その他
以上、本発明の実施の形態のいくつかについて説明したが、本発明は上記形態にかぎるものでは決してなく、その技術的範囲内で種々の変更を加えて実現することができ、例えば、一つの実施例の特徴を別の実施例に組み込むことで、もう一つの実施例を得ることができる。当業者は、特許請求の範囲を逸脱することなく本発明の趣旨に沿って様々な変更、同等な置換、又は改良などを行うことができる。
1 単結晶成長炉
3 温度表示部
4 制御部
5 ヒータ電源
7 単結晶
8 ルツボ
10 ヒータ
11,12 温度センサ
21,22 変換部
32 カメラ(CCD/MOS)
42 炉内温度センサ
Di 制御表示部
LT1,LT2 ルックアップテーブル
ここで、「単結晶近傍領域」について図3の略示上面図を参照して説明する。図3において、領域RVが単結晶7を周回する円環状の単結晶近傍領域の一例に該当する。単結晶近傍領域RVは、単結晶7からの抜熱量が融液からの吸熱量を上回ることがあるために監視を要する領域である。本実施形態において、単結晶近傍領域RVの内周は単結晶の側面から約3mmけ離隔している。方、単結晶近傍領域RVの外周は、単結晶の側面とルツボ8の内壁との略中間に位置する。すなわち、ルツボ径をRCとし、単結晶の直胴部底面の直径をRBとすると、図3に示す例において単結晶近傍領域RVは、内周が単結晶7の中心からRB/2+約3mmだけ離隔した位置にあり、外周が単結晶7の中心からほぼ(RC/2−RB/2)/2だけ離隔した位置にある円環領域をなす。
ここで、「単結晶近傍領域」について図3の略示上面図を参照して説明する。図3において、領域RVが単結晶7を周回する円環状の単結晶近傍領域の一例に該当する。単結晶近傍領域RVは、単結晶7からの抜熱量が融液からの吸熱量を上回ることがあるために監視を要する領域である。本実施形態において、単結晶近傍領域RVの内周は単結晶の側面から約3mmだけ離隔している。一方、単結晶近傍領域RVの外周は、単結晶の側面とルツボ8の内壁との略中間に位置する。すなわち、ルツボ径をRCとし、単結晶の直胴部底面の直径をRBとすると、図3に示す例において単結晶近傍領域RVは、内周が単結晶7の中心からRB/2+約3mmだけ離隔した位置にあり、外周が単結晶7の側面からほぼ(RC/2−RB/2)/2だけ離隔した位置にある円環領域をなす。

Claims (16)

  1. シリコン(ケイ素)の融液を収容するルツボを設置可能な単結晶成長炉と、
    前記ルツボを加熱するヒータと、
    前記融液の温度を測定する温度センサと、
    前記温度センサによる測定結果に基づいて前記ヒータへの電力と単結晶の引上速度を制御して単結晶近傍領域における前記融液の温度を所定の範囲に維持する制御部と、
    を備え、直胴部の直径よりも短いテイル部を有する単結晶を成長させる単結晶成長装置。
  2. 前記単結晶近傍領域は、前記単結晶を周回する円環状の領域であって、該領域の内周は、前記単結晶の側面から約3mmから単結晶の半径分までの距離だけ離隔し、前記領域の外周は、前記単結晶の側面とルツボの内壁との略中間に位置することを特徴とする請求項1に記載の単結晶成長装置。
  3. 前記単結晶近傍領域における融液の温度および前記単結晶の引上速度と、テイル形状との相関関係を表すデータベースが格納された記憶手段をさらに備え、
    前記制御部は、前記データベースを参照した形状演算を介して前記テイル形状を制御することを特徴とする請求項2に記載の単結晶成長装置。
  4. 前記単結晶は、前記ルツボの内径の80%以上の直径を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の単結晶成長装置。
  5. 前記温度センサは、前記単結晶近傍領域における前記融液の温度を測定する第1温度センサと、ルツボと前記融液との境界の温度を測定する第2温度センサと、を含み、
    前記制御部は、前記第2温度センサの測定結果に基づいて前記ヒータの温度を制御し、ルツボ壁に結晶核が発生しない温度を維持し、前記ルツボ壁からの結晶成長を検知した場合に、昇温により前記ルツボ壁からの結晶成長を抑止し、または前記ルツボ壁から成長した結晶の核を溶解することにより、ルツボ内径の80%以上の大口径単結晶を成長させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の単結晶成長装置。
  6. 前記制御部は、前記第1温度センサが、結晶の回転周期よりも早い放射光の揺らぎを検知した場合、前記単結晶の引上速度を10分の1乃至0にまで減速することを特徴とする請求項5に記載の単結晶成長装置。
  7. 前記制御部は、前記第1温度センサが、テイル切れ直前に発生する放射光の振動を検知した場合、前記単結晶の引上速度を10分の1乃至0にまで減速することを特徴とする請求項5に記載の単結晶成長装置。
  8. 前記ルツボは、溌液性を有するシリカガラスが内壁に形成された石英ルツボを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の単結晶成長装置。
  9. 単結晶成長炉を用いた単結晶の成長方法において、単結晶近傍領域の融液の温度を測定し、測定結果に基づいて前記単結晶近傍領域における融液の温度を所定の範囲に維持することにより、テイル長さが直胴部の直径よりも短い単結晶を取得することを特徴とする単結晶成長方法。
  10. 前記単結晶近傍領域は、前記単結晶を周回する円環状の領域であって、該領域の内周は、前記単結晶の側面から約3mmから単結晶の半径分までの距離だけ離隔し、前記領域の外周は、前記単結晶の側面とルツボの内壁との略中間に位置することを特徴とする請求項9に記載の単結晶成長方法。
  11. 前記単結晶近傍領域における融液の温度および前記単結晶の引上速度と、テイル形状との相関関係を表すデータベースが予め準備され、
    前記データベースを参照した形状演算を介して前記テイル形状を制御することを特徴とする請求項9または10記載の単結晶成長方法。
  12. 前記データベースは、バッチごとに更新され、
    該バッチにより得られた、単結晶近傍領域の融液の温度の測定結果は、次のバッチにおけるテイル形状制御時に比較使用されることを特徴とする請求項11に記載の単結晶成長方法。
  13. 取得される単結晶は、ルツボの内径の80%以上の直径を有する大型結晶のテイルであることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の単結晶成長方法。
  14. 前記大型結晶は、前記ルツボと前記融液との境界の温度の測定結果に基づいて前記融液の温度および引上速度の少なくともいずれかを制御して前記ルツボの内壁からの結晶成長を抑止し、前記ルツボの内壁からの結晶成長が検知された場合に、昇温により前記ルツボの内壁からの結晶成長を抑止し、または前記ルツボの内壁から成長した結晶の核を融解することにより、取得されることを特徴とする請求項13に記載の単結晶成長方法。
  15. 前記ルツボは、溌液性を有するシリカガラスが内壁に形成された石英ルツボを含むことを特徴とする請求項13または14に記載の単結晶成長方法。
  16. 肩部と直胴部とテイル部とを備え、前記テイル部の長さが前記直胴部の直径よりも短いことを特徴とする単結晶。
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