以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る商品陳列装置1を示している。図1は右斜め前方から見下ろされた商品陳列装置1の斜視図であり、図2は左斜め後方から見下ろされた商品陳列装置1の斜視図であり、図3は右側壁部3が取り外された状態の商品陳列装置1の右側面図であり、図4は商品陳列装置1の左側面図である。なお、商品の購買者等は、例えば、図1において、商品陳列装置1の前後方向の前側にいる。各図において、左右の方向は商品陳列装置1の前方にいる購買者等から見たときの方向で示されている。
図1〜図4に示すように、商品陳列装置1は、左側壁部2と、右側壁部3と、前後方向に延びるベース部4と、ベース部4の前端側の部分に設けられる補助ベース部5と、ベース部4上に配置されるスライド部6と、スライド部6を移動させる駆動部7と、スライド部6の移動を停止させるスライドロック部8と、を含む。左側壁部2はベース部4の幅方向(左右方向)の一方の端面(左端面)に固定される。右側壁部3はベース部4の幅方向の他方の端面(右端面)に固定される。左側壁部2及び右側壁部3はそれぞれベース部4と同等の前後方向の長さを有して上方に延びている。
[ベース部]
図5、図6はそれぞれ図1、図2に対応した斜視図であり、図7はベース部4の斜視図である。図5及び図6では、左側壁部2及び右側壁部3が省略されている。
ベース部4は、左側壁部2と右側壁部3との間において前後方向に延びている。ベース部4及び補助ベース部5上に、複数の商品P(図3参照)が前後方向に一列に並んで載置された状態で陳列される。特に限定されるものではないが、本実施形態では、商品Pはフィルムで包装されたおにぎりであるものとする。なお、図の明瞭化のため、図3以外の図では、商品Pは図示を省略されている。
本実施形態では、ベース部4は、幅方向に伸縮自在に構成されている。図8はベース部4の幅方向の伸縮構造を説明するための斜視図であり、図9はベース部4の分解斜視図である。図7〜図9に示すように、ベース部4は、下から順に、下プレート41と、可動プレート群42,43,44と、中間プレート45と、スライドプレート46と、上プレート47と、を含む。可動プレート群42,43,44は、中央可動プレート42と、前可動プレート43と、後可動プレート44と、を含む。上プレート47は中央可動プレート42に固定され、スライドプレート46は前可動プレート43及び後可動プレート44に固定されている。左側壁部2は中央可動プレート42の左端面に固定され、右側壁部3は前可動プレート43の右端面及び後可動プレート44の右端面に固定される。中央可動プレート42と前可動プレート43との間には、第1ピニオンギア48が設けられ、中央可動プレート42と後可動プレート44との間には、第2ピニオンギア49が設けられる。
下プレート41における幅方向の中央には、前端側から順に、第1突起411、第1ピニオンギア48を回動自在に支持する第2突起412、第3突起413a,413b、第2ピニオンギア49を回動自在に支持する第4突起414、及び、第5突起415が設けられている。また、ベース部4における下プレート41以外の部材(42−47)は下プレート41の後端側に寄せて配置されており、補助ベース部5を取り付けるためのスペースが下プレート41の前端側の部分に確保されている。
中央可動プレート42は、下プレート41上の前後方向の概ね中央に配置されている。中央可動プレート42には、中央ガイド溝421a,421bが幅方向の中央から右側方に延びるように形成されると共に、第1ラックギア422が前端面及び後端面のそれぞれにおける幅方向の中央から右端まで形成されている。中央ガイド溝421a,421bに第3突起413a,413bが摺動自在に篏合する。前端面の第1ラックギア422に第1ピニオンギア48が噛合し、後端面の第1ラックギア422に第2ピニオンギア49が噛合する。
前可動プレート43は、中央可動プレート42の前方に配置されている。前可動プレート43には、前ガイド溝431が幅方向の中央から左側方に延びるように形成される共に、第1ピニオンギア48に噛合する第2ラックギア432が後端面における幅方向の中央から左端まで形成される。前ガイド溝431に第1突起411が摺動自在に篏合する。
後可動プレート44は、中央可動プレート42の後方に配置されている。後可動プレート44には、後ガイド溝441が幅方向の中央から左側方に延びるように形成される共に、第2ピニオンギア49に噛合する第3ラックギア442が前端面における幅方向の中央から左端まで形成される。後ガイド溝441に第5突起415が摺動自在に篏合する。
中間プレート45は、下プレート41に固定されている。中間プレート45と下プレート41との間に、可動プレート群42,43,44が位置している。中間プレート45には、上プレート47と中央可動プレート42との締結用のボルト(図示省略)の移動を許容する第1スリット451と、スライドプレート46と前可動プレート43との締結用のボルト(図示省略)の移動を許容する第2スリット452と、スライドプレート46と後可動プレート44との締結用のボルト(図示省略)の移動を許容する第3スリット453とが形成されている。第1スリット451は中間プレート45の左端面で開口し、第2スリット452及び第3スリット453は中間プレート45の右端面で開口している。
スライドプレート46には、上プレート47と中央可動プレート42との締結用のボルト(図示省略)の移動を許容する第4スリット461が形成されている。第4スリット461はスライドプレート46の左端面で開口している。
上プレート47は、スライドプレート46の上方に位置しており、スライド部6における商品Pの載置面を構成する。
ここで、例えば、左側壁部2が上プレート47及び中央可動プレート42と一緒に左側方に移動すると、第1ピニオンギア48及び第2ピニオンギア49が回転する。この回転により、前可動プレート43、後可動プレート44、スライドプレート46及び右側壁部3が右側方へ移動する。その結果、ベース部4が幅方向に伸長する。そして、逆方向の移動によって、ベース部4が幅方向に収縮する。このようにして、幅方向に伸縮自在なベース部4が構成されている。なお、商品陳列装置1の通常の使用状態において、可動プレート群42,43,44が幅方向に移動しないように固定されている。
[補助ベース部]
図10〜図12は、それぞれ補助ベース部5の動作を説明するための図である。図10は右側壁部3が取り外された状態の商品陳列装置1の部分斜視図であり、図11は図10に示すA方向から見た部分側面図であり、図12は図10に示すB方向から見た部分側面図であり、図10〜図12のそれぞれにおいて、(a)は、商品P(図示省略)が補助ベース部5に載置されているときの状態(載置姿勢の状態)を示し、(b)は、商品Pが補助ベース部5から取り除かれたときの状態(解放姿勢の状態)を示している。なお、図1〜図6では、載置姿勢の状態が示されている。
補助ベース部5は、ベース部4の前端側の部分に設けられ、商品Pが載置されているときの載置姿勢(図10(a)〜図12(a)参照)と商品Pが載置されていないときの解放姿勢(図10(b)〜図12(b)参照)との間で姿勢変化する部材である。複数の商品Pの大半は、ベース部4(つまり、上プレート47)上に載置されているが、後述するようにスライド部6の前方への移動によって、複数の商品Pのうちの最前列の商品Pが補助ベース部5上に押し出される(図3参照)。
本実施形態では、補助ベース部5の上面は、補助ベース部5が載置姿勢にあるときベース部4の上面(上プレート47の上面)と協働して平坦な面を形成し(図10(a)、図11(a)参照)、補助ベース部5が解放姿勢にあるとき前方に向かうほどベース部4から離れるように傾斜している(図10(b)、図11(b)参照)。つまり、補助ベース部5は、ベース部4の前端側の部分において、幅方向と平行な軸を中心として揺動可能に支持されたフラップとして機能する。本実施形態では、補助ベース部5とベース部4との間に、弾性部材9が配置されている。つまり、商品陳列装置1は弾性部材9を更に含む。弾性部材9は、例えば、圧縮コイルばねである。
具体的には、補助ベース部5は、下プレート41における前端側の部分の上方で、且つ、上プレート47の前方に位置している。補助ベース部5は、上プレート47の幅と同一の幅(同程度の幅を含む)を有した上面を有する補助ベース本体51と、補助ベース本体51の下方に配置されるばね受けプレート52とからなる。
補助ベース本体51は、上プレート47の前端部に形成された第1取付け部471に挿通されるシャフト(図示省略)を介して上プレート47に揺動可能に支持される。補助ベース本体51の右端面における後端部には円筒状の第6突起511が形成され、補助ベース本体51の右端面における前端部には円筒状の第7突起512が形成され、補助ベース本体51の左端面における前端部には円筒状の第8突起513(図12参照)が形成されている。第6突起511は右側壁部3に形成された篏合孔31(図1参照)に篏合し、第7突起512は右側壁部3に形成された第1長孔32(図1参照)に挿通され、第8突起513はスライドロック部8の後述する第1変換部83に連結される。
ばね受けプレート52は、補助ベース本体51と下プレート41との間に配置され、下プレート41の上面に形成された第2取付け部416(図11参照)に挿通される揺動シャフト(図示省略)を介して下プレート41に揺動可能に支持される。ばね受けプレート52と下プレート41との間に、圧縮コイルばねからなる弾性部材9が配置され、ばね受けプレート52の上面に補助ベース本体51の下面が当接している。したがって、弾性部材9は、補助ベース部5における解放姿勢から載置姿勢への姿勢変化によって弾性変形する。
上記のように構成された補助ベース部5は、補助ベース部5上に載置された商品P(最前列の一つの商品P)の重さによって解放姿勢(図10(b)〜図12(b)参照)から載置姿勢(図10(a)〜図12(a)参照)に姿勢変化し、補助ベース部5上に載置された商品Pが取り除かれると弾性部材9の復元力によって載置姿勢から解放姿勢に姿勢変化する。
[スライド部]
図13は、図6に示すC部の拡大斜視図であり、(a)は、商品P(図示省略)が補助ベース部5に載置されているときの状態(載置姿勢の状態)を示し、(b)は、商品Pが補助ベース部5から取り除かれたときの状態(解放姿勢の状態)を示している。
スライド部6は、ベース部4(つまり、上プレート47)上に配置される部材である。具体的には、スライド部6は、プッシャープレート61とプッシャー台62とを有する。
プッシャープレート61は、上プレート47上に載置される複数の商品Pのうちの最後列の商品Pに当接可能に設けられる部材である。プッシャープレート61は、上プレート47の幅と同程度の幅を有すると共に、正面視で矩形状の当接面611を有している。プッシャープレート61は、例えば、前方斜め上方を仰ぐように当接面611を傾斜させた状態で、プッシャー台62に固定される。また、当接面611は、後方に向かって凸の緩やかな円弧状断面を有して幅方向に延びている。
プッシャー台62は、上プレート47上に配置され、プッシャープレート61を支持する部材である。プッシャー台62は、プレート取付け部621と、プッシャーベース部622と、操作部623と、を有する。プッシャープレート61は、プレート取付け部621に取り付けられる。プッシャーベース部622は、プレート取付け部621の背面に固定される。操作部623は、例えば、プッシャーベース部622の背面における上端側において後方に突出しており、上方から見た平面視で概ね矩形状に形成される。オペレータ(店員等)は操作部623を把持してスライド部6を後方に移動させることができる。操作部623の左端部は、ベース部4の左端部よりも左側方に突出し、且つ、左側壁部2の上端面の上方に位置している(図1及び図2参照)。
スライド部6は、上プレート47上において前後方向に移動可能に左側壁部2に取り付けられる。具体的には、スライド部6は、図1〜図6に示す最後位置と図1及び図2に点線で示す(図の簡略化のためスライド部6におけるプッシャープレート61以外の要素は図示省略されている)最前位置の間を移動可能に取り付けられている。
詳しくは、スライド部6のプッシャー台62には、スライド移動用の第1篏合部624、第2篏合部625及び第3篏合部626が形成されている(図6及び図13参照)。第1篏合部624は、操作部623の下面における左端側の部分において下方に突出すると共に前後方向に延びる突条からなり、左側壁部2の上端面に形成された前後方向に延びる第1ガイド溝21a(図1、図2及び図10参照)に摺動自在に篏合する。第2篏合部625は、プッシャーベース部622の左側面における上端側の部分において左側方に突出すると共にT字状の断面を有して前後方向に延びており、左側壁部2の右側面における上端側の部分に形成された前後方向に延びる第2ガイド溝21b(図1〜図4及び図10〜図12参照)に摺動自在に篏合する。第3篏合部626は、プッシャーベース部622の左側面における下端側の部分において左側方に突出すると共に前後方向に延びる突条からなり、左側壁部2の右側面における下端側の部分に形成された前後方向に延びる第3ガイド溝21c(図1〜図3、図10及び図11参照)に摺動自在に篏合する。このような構造により、スライド部6は、各ガイド溝21a,21b,21cに沿って前後方向に移動可能に構成されている。
[駆動部]
駆動部7は、スライド部6を移動させるための機構である。本実施形態では、駆動部7は、定荷重ばね711の復元力を利用してスライド部6を前方に移動させるように構成されている。駆動部7は、定荷重ばね部(コンストンばね部)71(図5、図6及び図13参照)とギア付きのロータリーダンパー72(図6及び図13参照)とを有する。
定荷重ばね部71は、定荷重ばね711とドラム712とを有する。定荷重ばね711は、スライド部6を前方に移動させる駆動力を発生する駆動源である。定荷重ばね711は帯状に形成され、外力の作用していない状態において、定荷重ばね711の一端部側の大半の部分がドラム712の周囲に巻回されるように形成されている。定荷重ばね711の一端部はドラム712に固定され、定荷重ばね711の他端部711a(図5参照)は左側壁部2の前端側の所定部位に固定されている。ドラム712は、プッシャーベース部622に形成されたドラム収容部627内で回動自在に支持された状態で収容されて、スライド部6に固定されている。ドラム712に巻回された定荷重ばね711の一端部側の巻回部711bは、ドラム712と一緒にドラム収容部627に収容されている。
詳しくは、定荷重ばね711の他端部711a側の引き出された部分は、左側壁部2の右側面における第2ガイド溝21bと第3ガイド溝21cとの間の部分に形成された前後方向に延びるばねガイド溝22a(図1、図3、図10、図11参照)に沿って延びている。ばねガイド溝22aの前端部における底面部には、左側壁部2を貫通する底貫通孔22b(図2〜図4、図11、図12参照)が開口されている。左側壁部2の左側面における底貫通孔22bの開口位置よりも前方の部分には、ばねガイド溝22aの延長部分である延長ガイド溝22c(図2、図4及び図12参照)が形成されている。この延長ガイド溝22cに、定荷重ばね711の他端部711aが収容される。また、延長ガイド溝22cの底面には、定荷重ばね711の他端部711aに開口されたばね貫通孔711c(図5及び図12参照)に篏合する第9突起23(図4及び図12参照)が形成されている。つまり、定荷重ばね711の他端部711aは、第9突起23を介して補助ベース部5の近傍に固定されている。
定荷重ばね711は、ドラム712から引き出されて伸びた状態(つまり、スライド部6が図1及び図2に点線に示す最前位置よりも後方に移動した状態)において、スライド部6を前方に移動させる一定荷重の駆動力を発生させている。そして、定荷重ばね711は、ドラム712に巻回されて最も縮んだ状態(つまり、スライド部6が図1及び図2に点線に示す最前位置に位置した状態)において、スライド部6を前方に移動させる駆動力を発生させていない。
ギア付きのロータリーダンパー72は、スライド部6のプッシャーベース部622に形成されたダンパ―収容部628(図6及び図13参照)に収容される。ロータリーダンパー72のダンパーギア部721(図6及び図13参照)は、左側壁部2の右側面における第2ガイド溝21bの上方において第2ガイド溝21bと平行に延びる第4ラックギア24(図1、図3、図10及び図11参照)に噛合する。スライド部6が前後方向に移動すると、第4ラックギア24に噛合しているロータリーダンパー72のダンパーギア部721が回転することになる。ロータリーダンパー72は、一方向性のロータリーダンパーであり、スライド部6が後方に移動するときには制動トルクを発生せず、スライド部6が前方に移動するとき制動トルクを発生するように構成されている。したがって、オペレータはスライド部6を最前位置から後方に容易に移動させることができる。そして、スライド部6が最前位置から後方に移動すると、定荷重ばね711がドラム712から引き出され、元の状態に戻ろうとする定荷重ばね711の復元力がスライド部6に作用する。このため、オペレータがスライド部6(操作部623)から手を離すと、定荷重ばね711の復元力によりスライド部6が最前位置に戻ろうとする(前方に移動しようとする)。但し、この場合にはロータリーダンパー72が制動トルクを発生する。したがって、ロータリーダンパー72が制動トルクを発生しており、且つ、スライド部6の前方への移動がスライドロック部8により停止されていない状態では、スライド部6は最前位置に向かってゆっくりと移動する。
[スライドロック部]
スライドロック部8は、スライド部6の前方への移動を停止させるための機構であり、図5及び図6に示すように、ベース部4の側方(本実施形態では左側方)に配置されている。ここで、図10〜図13は、スライドロック部8の動作を説明するための図でもある。図10(a)〜図13(a)は、スライドロック部8がスライド部6の前方への移動を停止させたときの状態(停止状態)を示し、図10(b)〜図13(b)は、スライドロック部8がスライド部6の前方への移動の停止状態を解除したときの状態(停止解除状態)を示している。
スライドロック部8は、補助ベース部5が載置姿勢にあるとき、スライド部6の前方への移動を停止させ(図10(a)〜図13(a)参照)、補助ベース部5が解放姿勢にあるとき、スライド部6の前方への移動の停止状態を解除する(図10(b)〜図13(b)参照)ように構成された機構である。
本実施形態では、スライドロック部8は、ロックバー81と、スライドバー82と、変換機構8Aとを有する。
ロックバー81は、ベース部4の幅方向の一方(本実施形態では左側方)においてベース部4と平行に延びると共に補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動に連動して幅方向に進退可能にガイドされる部材である。具体的には、ロックバー81は、左側壁部2の右側面における第2ガイド溝21bとばねガイド溝22aとの間の部分に形成された前後方向に延びるバー収容溝25(図1、図3、図10、図11参照)内にスライドバー82と一緒に収容されている。図5及び図6に示すように、ロックバー81の右端面には、前後方向の全体に亘って第5ラックギア811が形成されている。第5ラックギア811の各歯部は、幅方向に延びる垂直歯面811aと垂直歯面811aより前方に位置し歯先から歯底に向かうほど前方の歯部に近づくように傾斜した傾斜歯面811bとを有している。また、ロックバー81の左端面における前後方向の前端部、中央部及び後端部には、第10突起812がそれぞれ設けられている。各第10突起812は、バー収容溝25の底面(溝の底の面)を貫通するロックバー篏合孔26(図2、図4、図12)に幅方向(左右方向)に摺動自在に篏合する。これにより、ロックバー81が左側壁部2に幅方向に進退可能にガイドされている。なお、ロックバー81の前後方向の移動は第10突起812によって阻止されている。
スライドバー82は、ロックバー81に沿って延びると共に補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動に連動して前後方向にスライド可能にガイドされる部材である。具体的には、スライドバー82は、バー収容溝25内に収容される。スライドバー82は、図5及び図6に示すように、ロックバー81より長いスライドバー本体821と、複数のガイドプレート822と、を有する。
スライドバー本体821は、前後方向に延びる薄板状の部材である。スライドバー本体821の上面は、ロックバー81の下面に対向している。ガイドプレート822は、スライドバー本体821の左端部から前後方向に所定の長さを有して上方に延びている。ガイドプレート822は、本実施形態では前後方向に離隔した二箇所に設けられている。ガイドプレート822は、バー収容溝25の底面に対向している。
スライドバー本体821の前端部には、第1変換部83との連結部823(図1、図3、図5、図6、図10及び図11参照)が設けられている。連結部823は、スライドバー本体821の前端部における右端部から前方に延長するように延びると共に、所定の厚みを有して上方に延びている。連結部823には、第2長孔824(図11参照)が開口されている。また、スライドバー本体821の前端部には、補強用プレート825(図5及び図6参照)が設けられている。また、スライドバー本体821の後端部に設けられた引張ばね第1取付け部826(図6及び図13参照)と、バー収容溝25の後端壁に設けられた引張ばね第2取付け部(図示省略)との間に、引張ばね(図示省略)が取り付けられる。
ガイドプレート822の左側面における前後方向の両端部には、左側方に突出した幅方向移動阻止用爪827(図4〜図6、図12及び図13)が形成されている。幅方向移動阻止用爪827は、バー収容溝25の底面に開口された前後方向に延びる第3長孔27の内壁の凸部に前後方向に摺動可能に係止される。また、ガイドプレート822の左側面における前後方向の中央部には、左側方に突出した第11突起828(図4、図6、図13参照)が形成されている。第11突起828は、バー収容溝25の底面に開口された第4長孔28(図2及び図4)に摺動自在に篏合する。第4長孔28は前後方向に長い長孔として形成されている。このような構造によって、スライドバー82が左側壁部2に前後方向にスライド可能にガイドされている。なお、スライドバー82の幅方向の移動は幅方向移動阻止用爪827によって阻止されている。
変換機構8Aは、補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動をロックバー81の幅方向の進退運動に変換する機構であり、第1変換部83(図1〜図6、図10〜図12参照)と第2変換部84(図3、図4、図6、図11〜後述の図14参照)とからなる。
第1変換部83は、補助ベース部5の近傍に回動可能に設けられ補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動をスライドバー82の前後方向の運動に変換する機構である。具体的には、第1変換部83は、L字状に屈曲して形成された板状のリンク部材からなり、補助ベース部5とスライドバー82との間を連結する。
図4及び図12に示すように、第1変換部83は、左側壁部2の左側面における補助ベース部5の左側方に位置する部分(詳しくは、延長ガイド溝22cの前方の部分)に形成された収容凹部29に収容されている。第1変換部83は、その厚み方向の一方の面が収容凹部29の底面(凹部の底の面)に対向している。この収容凹部29の底面には、第1変換部83を回動自在に支持する円柱状の第12突起291が幅方向(左右方向)に延びるように設けられている。収容凹部29は、左側壁部2の左側面に向かって見た平面視で概ねL字状に凹んだ収容空間を構成しており、第1変換部83の回動を許容するように形成されている。詳しくは、収容凹部29は、第12突起291の形成位置から前方に延びる部分と、第12突起291の形成位置から上方に延びる部分とに区分される。収容凹部29のうちの前方に延びた部分の底面には、補助ベース部5の第8突起513用の挿通孔29aが開口されている。第8突起513の先端部は、挿通孔29aを通って、収容凹部29の底面よりも左側方に突出している。また、収容凹部29のうちの上方に延びた部分の先端領域とバー収容溝25の前端領域は重なり合っている。この重なり合った領域S内で、第1変換部83におけるスライドバー82との連結部分(後述する第2アーム部832の先端部)とスライドバー82の連結部823(図5及び図6参照)とが互いに対向するように配置される。
第1変換部83は、図12に示すように、第1アーム部831と、第2アーム部832と、支点部833と、を有する。第1アーム部831は補助ベース部5との連結側の部分であり、第2アーム部832はスライドバー82との連結側の部分であり、支点部833は第1変換部83の回動中心となる部分である。第1アーム部831の先端部には、第5長孔834が開口されている。第5長孔834に、補助ベース部5の第8突起513が挿入される。また、第2アーム部832の先端部には、スライドバー82の連結部823の第2長孔824に挿入される第13突起835(図10及び図11参照)が設けられている。支点部833には、篏合孔836が開口されている。篏合孔836に、第12突起291が回動自在に篏合する。
ここで、補助ベース部5が載置姿勢(図10(a)〜図13(a)参照)から解放姿勢(図10(b)〜図13(b)参照)に姿勢変化すると、補助ベース部5の第8突起513に連結された第1アーム部831が第12突起291を中心軸として回動する。このとき、第2アーム部832の第13突起835は、スライドバー82の第2長孔824の内壁に接触した状態で、スライドバー82を後方に押す方向に移動する。その結果、スライドバー82が後方へ移動する。また、補助ベース部5が解放姿勢から載置姿勢に姿勢変化すると、第13突起835は、第2長孔824の内壁に接触した状態で、スライドバー82を前方に押す方向に移動する。その結果、スライドバー82が前方へ移動する。このようにして、第1変換部83は、補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動をスライドバー82の前後方向の運動に変換している。
図14は、スライドロック部8の動作を説明するための概念図であり、(a)は、スライドロック部8がスライド部6の前方への移動を停止させたときの状態(停止状態)の一例を示し、(b)は、スライドロック部8がスライド部6の前方への移動の停止状態を解除したときの状態(停止解除状態)の一例を示している。なお、図14では、スライドロック部8及び二点鎖線で示したスライド部6以外の要素については省略されている。
第2変換部84は、スライドバー82の前後方向の運動をロックバー81の幅方向(左右方向)の運動(進退運動)に変換する機構である。具体的には、第2変換部84は、変換用突起841(図3、図4、図11〜図14参照)と変換用溝842(図4、図6、図12〜図14参照)とからなる。
変換用突起841は、スライドバー82のスライドバー本体821の上面における前後方向の所定箇所に形成され、上方に向かって突出している。特に限定されるものではないが、変換用突起841は、スライドバー本体821の上面における前後方向に離隔した三箇所に設けられている。変換用突起841は、変換用溝842に摺動自在に篏合する。
変換用溝842は、ロックバー81の下面において変換用突起841に対応する箇所に形成された溝である。変換用溝842は、図14に示すように、ロックバー81の延伸方向(前後方向)と交差する方向に延びている。具体的には、変換用溝842は、ロックバー81の後端側から前端側に向かうほど第5ラックギア811に近づくように延びている。変換用溝842の前端はロックバー81内に位置しており、変換用溝842の後端はロックバー81の左側面(ロックバー81における第5ラックギア811の形成側と反対の面)で開口している。
ここで、スライドバー82が後方に移動すると(つまり、補助ベース部5が載置姿勢から解放姿勢に姿勢変化すると)、変換用突起841も、変換用溝842における前後方向のうちの後側の内壁842aに接触した状態で、後方に移動する。このとき、ロックバー81の前後方向の移動は第10突起812により阻止されている共に、変換用突起841から変換用溝842の後側の内壁842aに作用する力の幅方向についての分力はロックバー81をスライド部6から離す方向の力としてロックバー81に作用する。その結果、図14(a)に示すロックバー81は、スライド部6から離れる方向(図14では右側)に移動する(後退する)。また、スライドバー82が前方に移動すると、変換用突起841も、変換用溝842における前後方向のうちの前側の内壁842bに接触した状態で、前方に移動する。このとき、変換用突起841から変換用溝842の前側の内壁842bに作用する力の幅方向についての分力はロックバー81をスライド部6に近づける方向の力としてロックバー81に作用する。その結果、図14(b)に示すロックバー81は、スライド部6に近づく方向(図14では左側)に移動する(前進する)。このようにして、第2変換部84は、スライドバー82の前後方向の運動をロックバー81の幅方向(換言すると、前後方向に直交する左右方向)の運動に変換している。したがって、第1変換部83及び第2変換部84からなる変換機構8Aは、補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動をロックバー81の幅方向の進退運動に変換している。
本実施形態では、スライドロック部8は、ロックバー81が前進してスライド部6に当たることによってスライド部6の前方への移動を停止させ、ロックバー81が後退することによってスライド部6の前方への移動の停止状態を解除するように構成されている。
具体的には、図14に示すように、スライド部6のプッシャーベース部622の左側面に形成された爪収容部629には、ロックバー81の第5ラックギア811との噛合用の爪部63が取り付けられている。爪部63は、上下方向に延びて爪収容部629の内壁に固定される爪支持軸部64に回動可能に支持される。爪部63は、爪支持軸部64に接続される一端部を有すると共に前方に向かって延びる接続部631と、接続部631の他端部から左側方に向かって延びる先端部632とを有する。先端部632には、第5ラックギア811の傾斜歯面811bに当接する当接面632aが形成されている。爪部63には、巻きばね65が取り付けられている。巻きばね65は、爪部63の接続部631がロックバー81と平行な状態からロックバー81から離れる矢印D方向に回動し始めると、弾性変形するように取り付けられている。そして、ロックバー81がスライド部6から最も離れた後退端位置(図10(b)〜図14(b)に示された位置)からスライド部6に近づく方向に前進すると、爪部63の先端部632は第5ラックギア811における互いに隣接する二つの歯部の間に入り込み、図14(b)に示すように、これら二つの歯部のうちの前方の歯部の垂直歯面811aに当たる(噛合する)。この状態において、ロックバー81が後退しない限り、スライド部6の前方への移動は阻止される。
図15は、スライド部6の後方への移動時における状態の一例を説明するための図である。図14(a)に示す状態において、スライド部6がオペレータによって後方に移動するように操作されると、爪部63がスライド部6と一緒に後方に僅かに移動する。そして、図15に示すように、爪部63の先端部632の当接面632aが上記二つの歯部のうち後方の歯部の傾斜歯面811bに当たる。さらに、スライド部6が後方に移動すると、爪部63は、図15に破線で示すように、傾斜歯面811bに押圧されて、巻きばね65の復元力(付勢力)に抗してD方向に回動し、上記後方の歯部を乗り越える。これを繰り返すことにより、スライド部6はオペレータによって後方に移動するように操作される。
ここで、補助ベース部5が載置姿勢(図10(a)〜図12(a)参照)にあるとき、ロックバー81はスライド部6に最も近い前進端位置(図10(a)〜図14(a)に示された位置)に位置している。この状態で、ロックバー81(第5ラックギア811の歯部の垂直歯面811a)がスライド部6(爪部63の先端部632の当接面63a)に当たっているため、定荷重ばね711の復元力によるスライド部6の前方への移動は阻止される。一方、補助ベース部5が解放姿勢(図10(b)〜図12(b)参照)にあるとき、ロックバー81は後退端位置(図10(b)〜図14(b)に示された位置)に位置している。この状態で、ロックバー81はスライド部6の爪部63の前後方向の移動軌跡領域外に退避しているため、スライド部6の前方への移動の停止状態は解除される。したがって、スライドロック部8は、補助ベース部5が載置姿勢にあるとき、スライド部6の前方への移動を停止させ、補助ベース部5が解放姿勢にあるとき、スライド部6の前方への移動の停止状態を解除している。具体的には、スライドロック部8は、ロックバー81が前進してスライド部6に当たることによってスライド部6の前方への移動を停止させ、ロックバー81が後退することによってスライド部6の前方への移動の停止状態を解除している。
[商品陳列装置の動作]
商品陳列装置1の動作の一例を説明する。まず、オペレータが操作部623を把持してスライド部6を最前位置から最後位置まで移動させると共に、商品Pをスライド部6及び補助ベース部5上に一列に並べる。これにより、商品陳列装置1は、複数の商品Pを一列に並べて載置した状態で陳列する。このとき、補助ベース部5は載置姿勢にある。したがって、スライドロック部8はスライド部6の前方への移動を停止させている。
購買者等が補助ベース部5上の商品Pを取り除くと、補助ベース部5は載置姿勢から解放姿勢に姿勢変化する。このとき、ロックバー81は前進端位置から後退端位置まで後退し、スライド部6の前方への移動の停止状態を解除する。その結果、スライド部6は、定荷重ばね711の復元力により前方にゆっくりと移動すると共に、複数の商品Pの全体を前方に移動させる。この移動の際に、スライド部6は最後列の商品Pに当接して複数の商品Pの全体を前方に向かってゆっくりと押し出す。そして、最前列の商品Pが補助ベース部5の位置まで押し出されて、補助ベース部5上に載置される。このとき、補助ベース部5は解放姿勢から載置姿勢に姿勢変化している。この姿勢変化の際、ロックバー81は後退端位置から前進端位置までスライド部6の移動速度に応じた速度でゆっくりと前進端位置まで移動し、スライド部6の前方への移動を阻止する。このようにして、商品陳列装置1は、最前列の商品Pが取り除かれる度に、複数の商品Pを商品一個分の距離だけ前方に移動させることにより、商品Pの前出しを自動的に行っている。この前出しの動作以外において、商品Pに外力は加えられていない。
このようにして、商品Pを長時間押圧することなく、商品Pの前出しを自動的に行うことができる商品陳列装置1を提供することができる。
本実施形態では、ベース部4の幅方向の一方においてベース部4と平行に延びるロックバー81が前進してスライド部6に当たることによって、スライド部6の前方への移動が阻止(停止)されるように構成されている。これにより、スライド部6が上プレート47上の前後方向のどの位置に位置していても、ロックバー81によって、スライド部6の側方からスライド部6の移動を容易に阻止することができる。
本実施形態では、スライドロック部8は、変換機構8Aによって、補助ベース部5の姿勢変化に伴う運動をロックバー81の幅方向の進退運動に変換している。これにより、補助ベース部5の姿勢変化を検知するセンサーなどの電気的な要素を用いることなく、機械的な要素のみでスライド部6の前方への移動の停止とその停止状態の解除を行うことができる。
本実施形態では、駆動部7は、定荷重ばね711の復元力を利用してスライド部6を前方に移動させるように構成されている。これにより、スライド部6(換言すると商品P)をほぼ一定の速度で移動させることができると共に、電力などが必要とされないので、設置場所が制限されず、コスト面でも有利である。また、圧縮ばねからなる弾性部材9によって、補助ベース部5が載置姿勢から解放姿勢に電力を用いることなく姿勢変化する。
本実施形態では、補助ベース部5はベース部4の前端部において揺動可能なフラップとして機能しており、補助ベース部5の上面は、補助ベース部5が載置姿勢にあるときベース部4の上面と協働して平坦な面を形成している。これにより、最前列の商品Pが補助ベース部5上にスムーズに移動して載置される。
本実施形態では、ベース部4は、幅方向に伸縮自在に構成されている。これにより、商品Pの入れ替え等の際に、商品Pのサイズに合わせてベース部4の幅を調整することができる。
なお、駆動部7は、定荷重ばね711の復元力を利用してスライド部6を駆動しているが、これに限られるものではない。駆動部7は、スライド部6(操作部623)が操作されることによって発生するばね部材の復元力を利用してスライド部6を駆動するように構成されていればよく、必ずしも定荷重ばね711が用いられる必要はない。定荷重ばねに代えて不定荷重ばねが用いられてもよい。例えば、商品Pが少ない場合(つまり、操作部623をあまり移動させる必要がない場合)には小さな荷重を発生するように調整されたばね部材を用いることができる。但し、操作部623の操作性やスライド部6の安定した動作を考慮すると、操作部623やスライド部6の位置にかかわらず、一定の荷重が得られる定荷重ばねを用いる方が好ましい。また、駆動部7は、スライド部6を前方に移動させる駆動力を発生する駆動源としてばね部材(定荷重ばね711)を用いているが、これに限られるものではない。駆動部7は、ばね部材に代えて駆動源として電動モータを用いてもよい。この場合、スライドロック部8は、例えば、補助ベース部5が載置姿勢にあるときと解放姿勢にあるときを検知可能なセンサーと、このセンサーからの信号に基づいて上記電動モータの駆動を制御する制御部とを備えればよい。つまり、制御部は、上記センサーからの信号に基づいて、補助ベース部5が載置姿勢にあるとき、上記電動モータの駆動を停止させることによってスライド部6の前方への移動を停止させ、上記センサーからの信号に基づいて、補助ベース部5が解放姿勢にあるとき、上記電動モータの駆動させることによってスライド部6の前方への移動の停止状態を解除するように、構成されればよい。
また、補助ベース部5は揺動可能なフラップであるものとしたが、これに限られるものではなく、上下に昇降する昇降台であってもよい。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能であることはもちろんである。