図1において、半導体記憶装置1は、メモリアレイCA、ビット線BL、ワード線WL、ソース線SLを備えている。メモリアレイCAには、複数のアンチヒューズメモリ(メモリセル)Mが行列状に配置されている。ビット線BLは、アンチヒューズメモリMの各行に対応してそれぞれ設けられ、ワード線WL及びソース線SLは、アンチヒューズメモリMの各列に対応してそれぞれ設けられている。すなわち、行方向に並ぶアンチヒューズメモリMにて一のビット線BLを共有しているとともに、列方向に並ぶアンチヒューズメモリMにて一のワード線WL及び一のソース線SLを共有している。
なお、以下では、個々のアンチヒューズメモリMを区別する場合には、i及びjを1、2、3・・・として、第i列第j行のものをアンチヒューズメモリMijとして説明する。また、ワード線WL、ソース線SLを特定の列のものに区別する場合には、第i列のものをワード線WLi、ソース線SLiとして説明する。ビット線BLについても同様に、特定の行のものに区別する場合には、第j行のものをビット線BLjとして説明する。
さらに、データの書き込み及び読み出しの対象となるアンチヒューズメモリMと、対象とならないアンチヒューズメモリMとを区別する場合には、前者を選択アンチヒューズメモリM、後者を非選択アンチヒューズメモリMと称して説明する。
アンチヒューズメモリMは、いずれも同一の構成であり、それぞれメモリキャパシタ10とMOSトランジスタ20とを有している。各ワード線WL及び各ソース線SLは、それぞれ対応する列の各アンチヒューズメモリMに接続されている。各ビット線BLは、対応する行の各アンチヒューズメモリMに接続されている。したがって、第i列第j行のアンチヒューズメモリMijは、ワード線WLi、ソース線SLi、ビット線BLjにそれぞれ接続されている。なお、後述するように、ビット線BLは、行方向に延在し、ワード線WL及びソース線SLは、列方向に延在しており、互いに直交している。
また、半導体記憶装置1は、列選択回路25、行選択回路26、センスアンプ27を備えている。ビット線BLは、行選択回路26及びセンスアンプ27にそれぞれ接続され、ワード線WL及びソース線SLは、それぞれ列選択回路25に接続されている。
アンチヒューズメモリMは、MOSトランジスタ20のゲート電極20aがワード線WLに、ソース領域20bがメモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aに、ドレイン領域20cがビット線BLにそれぞれ接続されている。また、メモリキャパシタ10の拡散領域10bがソース線SLに接続されている。アンチヒューズメモリMは、列選択回路25及び行選択回路26によって、接続されたビット線BL、ソース線SL及びワード線WLの電圧が制御されることで、データの書き込み、読み出しが行われる。
メモリキャパシタ10は、メモリゲート電極10a、拡散領域10b、メモリゲート絶縁膜10c(図2参照)を有しており、メモリゲート絶縁膜10cの絶縁破壊の有無により、1ビットのデータを不揮発的に保持する。すなわち、メモリキャパシタ10は、メモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊されておらずメモリゲート電極10aと拡散領域10bとの間が電気的に絶縁されている絶縁状態と、メモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊されてメモリゲート電極10aと拡散領域10bとが電気的に短絡した短絡状態が1ビットデータの「0」また「1」に対応する。なお、この例では、メモリゲート絶縁膜10cを絶縁破壊して短絡状態とすることを、アンチヒューズメモリMのデータの書き込みと称している。また、データ読み出しは、メモリキャパシタ10が絶縁状態であるか短絡状態であるかを検出することを意味する。
データの書き込み及び読み出しの際に、列選択回路25は、ワード線WL及びソース線SLに電圧を印加し、行選択回路26は、ビット線BLに電圧を印加する。ワード線WLに印加する電圧としては、書き込み時の第1選択列電圧及び第1非選択列電圧と、読み出し時の第2選択列電圧及び第2非選択列電圧とがある。また、ソース線SLに印加する電圧としては、書き込み時の第1ソース線電圧と、読み出し時の第2ソース線電圧とがある。ビット線BLに印加する電圧としては、書き込み時の第1選択行電圧及び第1非選択行電圧と、読み出し時の第2選択行電圧及び第2非選択行電圧とがある。これらの電圧の詳細については、後述する。
データの読み出しには、プリチャージ方式を採用している。センスアンプ27は、第2選択行電圧にまでプリチャージされたビット線BLの電位の変化に基づいて、アンチヒューズメモリMに書き込まれている1ビットのデータを取得する。例えば、センスアンプ27は、ビット線BLの電位が一定の時間内に所定の閾値電位よりも低下するか否かを検出する。なお、この例ではデータの読み出しではプリチャージ方式を用いているが、データの読み出しの方式は特に限定されない。
図2にアンチヒューズメモリMの断面構造の一例を示す。なお、行方向に隣接するアンチヒューズメモリM同士は、列方向に対して線対称な配置である。このため、アンチヒューズメモリMには、図2に示される配置とこれに線対称な配置とがある。アンチヒューズメモリMは、半導体基板S1上のP型のウエルS2に形成されている。P型のウエルS2には、絶縁材料で形成された素子分離膜ILによって行方向に分離された、第1活性領域31と第2活性領域32が設けられている。
第1活性領域31には、メモリキャパシタ10が形成されている。第1活性領域31には、素子分離膜ILと所定の間隔を空けて、N型のドーパントを高濃度ドープした拡散領域10bが形成されている。後述するように、拡散領域10bはソース線SLとして働く。素子分離膜ILと拡散領域10bとの間の第1活性領域31上には、メモリゲート絶縁膜10cが形成されている。メモリゲート絶縁膜10c、素子分離膜ILの各上面にまたがってメモリゲート電極10aが設けられている。メモリゲート電極10aの両側壁には、絶縁材料で形成されたサイドウォールSW1が設けられている。
第2活性領域32には、MOSトランジスタ20が形成されている。第2活性領域32には、素子分離膜ILに隣接するように、N型のドーパントを高濃度ドープしたソース領域20bが形成されている。また、第2活性領域32には、ソース領域20bと所定の間隔を空けて、N型のドーパントを高濃度ドープしたドレイン領域20cが形成されている。ソース領域20bとドレイン領域20cとの間の第2活性領域32上には、ゲート絶縁膜20dが形成され、このゲート絶縁膜20dの上にゲート電極20aが形成されている。後述するように、ゲート電極20aはワード線WLとして働く。ゲート電極20aの両側壁には、絶縁材料で形成されたサイドウォールSW2が設けられている。ゲート絶縁膜20dは、データの書き込みの際に絶縁破壊しないように、その厚みが第1選択列電圧に応じて決められ、メモリゲート絶縁膜10cのものよりも大きくされている。
MOSトランジスタ20のソース領域20bと、メモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aとにまたがって、コンタクトC1が設けられている。このコンタクトC1により、メモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aとMOSトランジスタ20のソース領域20bが接続されている。コンタクトC1によりメモリゲート電極10aとソース領域20bとを接続することに代えて、メモリゲート電極10a上とソース領域20b上にそれぞれコンタクトを設け、それぞれのコンタクトを配線で接続してもよい。
ドレイン領域20cには、コンタクトC2が設けられており、このコンタクトC2により、ゲート電極20aよりも上層のメタル配線層に設けたメタル配線からなるビット線BLに接続されている。この例では、コンタクトC2は、コンタクトC1と同層に形成されたコンタクトC2aと、このコンタクトC2aの上部に形成されたコンタクトC2bとからなる。コンタクトC2を一のコンタクトで形成してもよい。ビット線BLは、行方向に延設されている。メモリゲート電極10a、ゲート電極20a、コンタクトC1、コンタクトC2、ビット線BLは、層間絶縁膜により覆われている。メモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aと、MOSトランジスタ20のゲート電極20aは、同一工程で形成された、同じ配線層(同層)の配線である。
図3にアンチヒューズメモリMの平面レイアウトの一例を示す。複数のアンチヒューズメモリMが行列状に配置され、メモリアレイCAを構成する。行方向に隣接するアンチヒューズメモリMの各要素の配置は、上述のように列方向に対して線対称である。また、各行におけるアンチヒューズメモリMの各要素の配置は同じである。
ウエルS2には、列方向に延在した複数の第1活性領域31が形成されている。第1活性領域31は、N型のドーパントが高濃度でドープされ、ソース線SLを構成する。メモリアレイ端の第1活性領域31上にコンタクトC3が形成され、ソース線SLは、コンタクトC3、メタル配線(図示省略)等を介して列選択回路25に接続され、第1ソース線電圧、第2ソース線電圧が与えられる。ソース線SLは、列方向に延在し、行方向に隣接するアンチヒューズメモリMで共有される。
互いに隣接する第1活性領域31の間のウエルS2に、行方向に長い矩形状の複数の第2活性領域32が、所定の間隔を空けて列方向に配置されている。第2活性領域32は、行方向に隣接するアンチヒューズメモリMのものと一体化している。
メモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aは、行方向に長い矩形状に形成され、その一端が第1活性領域31内にまで延びている。他端は、第1活性領域31と第2活性領域32との間にあるが、第2活性領域32内まで延びていてもよい。コンタクトC1が、メモリゲート電極10aと第2活性領域32とにまたがって形成され、メモリゲート電極10aと第2活性領域32に設けられたMOSトランジスタ20のソース領域20bとが電気的に接続される。
列方向に配置されたアンチヒューズメモリMで共有される配線として、列方向に延在したワード線WLが列ごとに設けられている。各ワード線WLは、第2活性領域32を列方向に横断するように配置されている。ワード線WLの第2活性領域32上の部分がMOSトランジスタ20のゲート電極20aとなる。メモリアレイ端のワード線WL上にコンタクトC4が形成され、ワード線WLは、コンタクトC4、メタル配線(図示省略)等を介して列選択回路25に接続され、第1選択列電圧、第1非選択列電圧、第2選択列電圧、第2非選択列電圧が与えられる。
第2活性領域32の行方向の中央に、コンタクトC2が形成されている。コンタクトC2は、行方向に隣接するアンチヒューズメモリMで共有される。行方向に配置されたアンチヒューズメモリMで共有される配線としてビット線BLが行ごとに設けられている。各ビット線BLは、行方向に延在しており、ワード線WL及びソース線SLと直交している。ビット線BLは、コンタクトC2によって第2活性領域32に設けられたMOSトランジスタ20のドレイン領域20cと接続されている。ビット線BLは、行選択回路26に接続され、第1選択行電圧、第1非選択行電圧、第2選択行電圧、第2非選択行電圧が与えられる。
以下に、上記の構成のデータの書き込みと読み出しについて説明する。1つのアンチヒューズメモリMを選択して、そのアンチヒューズメモリMにデータを書き込む場合には、選択アンチヒューズメモリMに接続されている選択ワード線となるワード線WLに第1選択列電圧を印加し、その他の非選択ワード線となるワード線WLに第1非選択列電圧を印加する。また、選択アンチヒューズメモリMに接続されている選択ビット線となるビット線BLに第1選択行電圧を印加し、その他の非選択ビットとなるビット線BLに第1非選択行電圧を印加する。さらに、選択アンチヒューズメモリMに接続されている選択ソース線となるソース線SL及びその他の非選択ソース線となるソース線SLのいずれにも第1ソース線電圧を印加する。
第1選択列電圧は、第1選択行電圧をドレイン電圧として印加しているMOSトランジスタ20をオン状態にすることができるゲート電圧であり、MOSトランジスタ20の閾値電圧以上に設定されている。第1非選択列電圧は、MOSトランジスタ20をオフ状態にするゲート電圧である。
第1選択行電圧及び第1非選択行電圧は、MOSトランジスタ20のドレイン電圧として印加されるものである。第1選択行電圧は、この電圧がMOSトランジスタ20を介して印加されるメモリゲート電極10aと第1ソース線電圧が印加される拡散領域10bとの間に、メモリゲート絶縁膜10cを絶縁破壊する電圧差を生じさせる電圧として設定されている。この第1選択行電圧は、第1ソース線電圧よりも高く設定されている。
第1非選択行電圧は、メモリゲート絶縁膜10cの絶縁破壊の防止と、非選択アンチヒューズメモリMを介してビット線BLからソース線SLにリーク電流が流れることを阻止するために、第1ソース線電圧と同じに設定されている。
この例では、第1選択行電圧が5V、第1選択列電圧が6Vである。また、第1非選択列電圧及び第1非選択行電圧及び第1ソース線電圧がウエル電圧(電位)と同じ0Vである。
選択アンチヒューズメモリMでは、ワード線WLからの第1選択列電圧がゲート電極20aに印加され、ビット線BLからの第1選択行電圧がドレイン領域20cに印加される。これにより、MOSトランジスタ20がオン状態になり、ビット線BLの第1選択行電圧がMOSトランジスタ20を介してメモリゲート電極10aに印加される。また、メモリキャパシタ10の拡散領域10bにソース線SLから第1ソース線電圧が印加される。
このように選択アンチヒューズメモリMでは、メモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aに第1選択行電圧(=5V)が印加されるとともに、拡散領域10bに第1ソース線電圧(=0V)が印加されるため、メモリゲート電極10aの直下の第1活性領域31の表面にチャネル(図示せず)が形成されオン状態になり、チャネル電位がソース線SLの電位と同電位となる。これにより、選択アンチヒューズメモリMでは、チャネルとメモリゲート電極10aの電位差が5Vとなるため、メモリゲート電極10aの下部のメモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊される。このようにして、メモリゲート電極10aと拡散領域10bとがチャネルを介して低抵抗の導通状態となり、データが書き込まれた状態となる。
例えば、アンチヒューズメモリM11にデータを書き込む場合には、図4に示すように、ワード線WL1を第1選択列電圧(=6V)に、ワード線WL2、WL3・・・を第1非選択列電圧(=0V)にし、ビット線BL1を第1選択行電圧(=5V)に、ビット線BL2、BL3・・・を第1非選択行電圧(=0V)にする。
アンチヒューズメモリM11のMOSトランジスタ20のゲート電極20aにワード線WL1から6Vが印加され、ドレイン領域20cにビット線BL1から5Vが印加される。これにより、MOSトランジスタ20はオン状態となり、ドレイン領域20cに印加されている5VがMOSトランジスタ20のソース領域20bを介してメモリゲート電極10aに印加される。
アンチヒューズメモリM11は、そのメモリキャパシタ10の拡散領域10bがソース線SL1の第1ソース線電圧(=0V)とされている。これにより、アンチヒューズメモリM11では、上記のようにメモリゲート電極10aとこのメモリゲート電極10aの直下の第1活性領域31に形成されるチャネルとの間に、メモリゲート絶縁膜10cを絶縁破壊する5Vの電圧差が生じる。その結果、メモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊されて、メモリキャパシタ10が短絡状態となり、アンチヒューズメモリM11にデータが書き込まれる。
一方、非選択アンチヒューズメモリMでは、ワード線WLからゲート電極20aに第1非選択列電圧が印加されてMOSトランジスタ20がオフ状態となるか、ビット線BLからMOSトランジスタ20のドレイン領域20cに第1非選択列電圧が印加されるかのどちらかまたは両方になる。
前者の場合には、ビット線BLからの電圧がMOSトランジスタ20を介してメモリゲート電極10aに印加されず、後者の場合には、MOSトランジスタ20を介してメモリゲート電極10aに印加される第1非選択電圧がソース線SLから拡散領域10bに印加される第1ソース線電圧と同じになる。このため、いずれの場合でも、非選択アンチヒューズメモリMでは、メモリゲート電極10aとその直下の第1活性領域31との間にメモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊される電圧差が生じることはなく、メモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊されずに絶縁状態のままとなり、データが書き込まれない状態が維持される。また、非選択アンチヒューズメモリMを介してビット線BLからソース線SLにリーク電流が流れることが阻止される。
以下、(A)選択アンチヒューズメモリMと同じ行の非選択アンチヒューズメモリM、(B)選択アンチヒューズメモリMと同じ列の非選択アンチヒューズメモリM、(C)選択アンチヒューズメモリMと異なる行及び列の非選択アンチヒューズメモリM、について説明する。
(A)選択アンチヒューズメモリMと同じ行の非選択アンチヒューズメモリM、すなわちアンチヒューズメモリM11と同じビット線BL1に接続されているアンチヒューズメモリM21、M31・・・では、それらのMOSトランジスタ20のドレイン領域20cにビット線BL1から第1選択行電圧(=5V)が印加されるが、メモリゲート電極10aにはワード線WL2、WL3・・・から第1非選択列電圧(=0V)が印加される。これにより、アンチヒューズメモリM21、M31・・・のMOSトランジスタ20は、オフ状態になる。この結果、アンチヒューズメモリM21、M31・・・では、それらのメモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aと、第1ソース線電圧(=0V)が印加されている拡散領域10bとの間にメモリゲート絶縁膜10cが絶縁破壊される電圧差が生じることはない。したがって、アンチヒューズメモリM21、M31・・・にデータが書き込まれることはない。
アンチヒューズメモリM21、M31・・・の一部または全部は、データが既に書き込まれてメモリキャパシタ10が短絡状態になっている場合がある。上述のように、MOSトランジスタのゲート電極とドレイン領域とが接続された従来のアンチヒューズメモリで構成される従来の半導体記憶装置では、ワード線を共有する選択アンチヒューズメモリと同じ行の非選択アンチヒューズメモリのMOSトランジスタがオン状態となるため、短絡状態のメモリキャパシタを通してワード線からビット線にリーク電流が流れるという問題があった。この半導体記憶装置1でも、アンチヒューズメモリM21、M31・・・のMOSトランジスタ20がオン状態になってしまうと、ビット線BL1からMOSトランジスタ20、メモリキャパシタ10を通してソース線SL2、SL3・・・にリーク電流が流れてしまう。しかしながら、この半導体記憶装置1では、ビット線BLとワード線WLとに独立に電圧を印加することができ、アンチヒューズメモリM21、M31・・・のMOSトランジスタ20のゲート電極20aに第1非選択列電圧を印加してオフ状態としているため、そのようなリーク電流は発生しない。
ところで、選択アンチヒューズメモリMに対するデータの書き込み時に、メモリゲート電極10aと拡散領域10bとの間に過大な電圧差が生じたり、過大な電流が流れたりすると、メモリキャパシタ10の破壊の範囲がウエルS2の内部にまで及んでしまう場合がある。その場合には、メモリゲート電極10a、メモリゲート絶縁膜10c、ウエルS2表面を経由してソース線SLに流れる通常のリーク電流の経路に加えて、メモリゲート電極10aからメモリゲート絶縁膜10cを通してウエルS2に流れるリーク経路が形成される。ソース線SLに流れるリーク電流は、ソース線SLの電圧を調整することにより阻止することができるが、ウエルS2に流れるリーク電流は、ウエル電位を0Vとする必要があるため阻止することができない。
上述のように、従来の半導体記憶装置では、選択アンチヒューズメモリと同じ行の非選択アンチヒューズメモリのMOSトランジスタがオン状態となるため、ウエルに流れるリーク経路が存在する場合、短絡状態のメモリキャパシタを通してワード線からウエルにリーク電流が流れるという問題が発生する。このため、従来の半導体記憶装置では、メモリキャパシタにおける過剰な破壊を避け、適切な絶縁破壊がなされるように、データ書き込みのための印加電圧等の精密な調整及び制御が不可欠であった。
これに対して、この半導体記憶装置1では、ビット線BLとワード線WLとに独立に電圧を印加することができ、アンチヒューズメモリM21、M31・・・のMOSトランジスタ20のゲート電極20aに第1非選択列電圧を印加してオフ状態としているため、ウエルS2に流れるリーク経路が存在しても、そのリーク経路にリーク電流が流れることはない。このことは、データの書き込みの際にウエルS2へのリーク経路の形成を許容することを意味しており、第1選択列電圧、第1選択行電圧などのデータ書き込み条件を容易に決めることができるとともに、確実な絶縁破壊をするうえで有利である。
また、アンチヒューズメモリM21、M31・・・の一部または全部を通したソース線SL2、SL3・・・へのリーク電流が、上記のようにオフ状態のMOSトランジスタ20によって抑制されるため、ソース線SL2、SL3・・・に設定する電圧を0Vより高くしてリーク電流を抑制する必要がない。このため、ソース線SL2、SL3・・・に接続された非選択アンチヒューズメモリMであるアンチヒューズメモリM22、M32・・・、M23、M33・・・等の拡散領域10bの電位を上昇させることがないので、ソース線SL2、SL3・・・に接続された他のアンチヒューズメモリM22、M32・・・、M23、M33・・・等に誤書き込みがなされることを防止できる。
(B)選択アンチヒューズメモリMと同じ列の非選択アンチヒューズメモリM、すなわちアンチヒューズメモリM11と同じワード線WL1及びソース線SL1に接続されているアンチヒューズメモリM12、M13・・・では、それらのMOSトランジスタ20は、ゲート電極20aにワード線WL1から第1選択列電圧が印加されてオン状態になる。しかしながら、これらのアンチヒューズメモリM12、M13・・・では、MOSトランジスタ20のドレイン領域20cにビット線BL2、BL3・・・からの第1非選択行電圧(=0V)が印加されている。また、ソース線SL1からは第1ソース線電圧(=0V)がメモリキャパシタ10の拡散領域10bに印加されている。このため、MOSトランジスタ20を介して第1非選択行電圧が印加されるメモリゲート電極10aと、第1ソース線電圧が印加されている拡散領域10bとの間に、メモリゲート絶縁膜10cを絶縁破壊する電圧差が生じることはない。したがって、アンチヒューズメモリM12、M13・・・にデータが書き込まれることはない。また、ビット線BL2、BL3・・・とソース線SL1は、同じ電圧なので、メモリキャパシタ10が短絡状態になっているアンチヒューズメモリM12、M13・・・を通してソース線SL1とビット線BL2、BL3・・・との間にリーク電流は流れない。
なお、アンチヒューズメモリM12、M13・・・のMOSトランジスタ20のゲート絶縁膜20dには、メモリゲート絶縁膜10cを絶縁破壊する電圧以上の第1選択列電圧(=6V)が印加されるが、第1選択列電圧に応じてゲート絶縁膜20dをメモリゲート絶縁膜10cよりも厚くしてあるため、ゲート絶縁膜20dが絶縁破壊されることはない。
(C)選択アンチヒューズメモリMと異なる行及び列の非選択アンチヒューズメモリM、すなわち接続されているビット線BL、ワード線WL、ソース線SLのいずれもがアンチヒューズメモリM11とは異なるアンチヒューズメモリM22、M32・・・、M23、M33・・・等では、それらのMOSトランジスタ20のゲート電極20aにワード線WL2、WL3・・・からの第1非選択列電圧(=0V)が印加されている。このため、MOSトランジスタ20はオフ状態が維持されるので、上述のアンチヒューズメモリM21、M31・・・の場合と同様に、アンチヒューズメモリM22、M32・・・、M23、M33・・・等にデータが書き込まれることはない。
また、メモリキャパシタ10が短絡状態になっているアンチヒューズメモリM22、M32・・・、M23、M33・・・等を通してソース線SL2、SL3・・・とビット線BL2、BL3・・・との間にリーク電流が流れることもない。なお、アンチヒューズメモリM22、M32・・・、M23、M33・・・等が接続されたビット線BL2、BL3・・・には、第1非選択行電圧(=0V)が印加されているので、ビット線BL2、BL3・・・の電圧に起因してデータの書き込みが行われることもなく、リーク電流が流れることもない。
次に、データ読み出し動作について説明する。データを読み出す場合には、まず各ソース線SLに第2ソース線電圧をそれぞれ設定した状態にする。このように第2ソース線電圧を設定した状態で、選択アンチヒューズメモリMが接続されたビット線BLに第2選択行電圧を印加して、そのビット線BLを第2選択行電圧にまでプリチャージする。なお、他のビット線BLは第2非選択行電圧としてプリチャージを行わない。
プリチャージの完了後、そのビット線BLが行選択回路26から電気的に切り離された状態にされる。この後に、選択アンチヒューズメモリMが接続されたワード線WLに第2選択列電圧を、その他のワード線WLに第2非選択列電圧をそれぞれ設定する。そして、このときのビット線BLの電位の変化をセンスアンプ27で検出する。
第2選択列電圧は、MOSトランジスタ20をオン状態にするゲート電圧として決められており、MOSトランジスタ20の閾値電圧以上に設定されている。この例では、第2選択列電圧を第1選択列電圧よりも低く設定している。第2非選択行電圧は、MOSトランジスタ20をオフ状態にするゲート電圧である。第2非選択行電圧は、第2ソース線電圧と同じ電圧に設定されている。この例では、第2選択行電圧、第2選択列電圧が3V、第2非選択行電圧、第2非選択列電圧、第2ソース線電圧がウエル電圧と同じ0Vである。
例えば、アンチヒューズメモリM11のデータを読み出す場合は、図5に示すように、ソース線SL1、SL2、SL3・・・を第2ソース線電圧(=0V)にした状態で、ビット線BL1を第2選択行電圧(=3V)にまでプリチャージする。プリチャージの完了後、ワード線WL1を第2選択列電圧(=3V)に、その他のワード線WL2、WL3・・・を第2非選択列電圧(=0V)にする。
アンチヒューズメモリM11のMOSトランジスタ20は、そのゲート電極20aにワード線WL1から3Vが印加されることにより、オン状態となる。この結果、ビット線BL1の電圧がMOSトランジスタ20を介してメモリゲート電極10aに印加される。
アンチヒューズメモリM11にデータが書き込まれていなかった場合、すなわちメモリキャパシタ10が絶縁状態である場合では、メモリキャパシタ10からソース線SL1方向へ電流は流れない。そのため、ビット線BL1は、プリチャージされた3Vがそのまま保持される。一方、アンチヒューズメモリM11にデータが既に書き込まれていた場合、すなわちメモリキャパシタ10が短絡状態である場合では、ビット線BL1からMOSトランジスタ20、メモリキャパシタ10を通してソース線SL1方向に電流が流れ、ビット線の電位が降下する。
ビット線BL1に接続された他のアンチヒューズメモリM21、M31・・・では、それらのMOSトランジスタ20のメモリゲート電極10aにワード線WL2、WL3・・・から0Vが印加される。これにより、アンチヒューズメモリM21、M31・・・のMOSトランジスタ20は、オフ状態を維持する。したがって、アンチヒューズメモリM21、M31・・・を通してビット線BL1から電流が流れることはない。
上記のように選択アンチヒューズメモリMであるアンチヒューズメモリM11のメモリキャパシタ10が短絡状態であるか否かによって、ビット線BL1の電位が決まる。アンチヒューズメモリM11のメモリキャパシタ10が短絡状態であれば、ビット線BL1の電位は第2選択行電圧が印加された時点からの時間の経過とともに降下する。
上記のビット線BL1の電位の変化をセンスアンプ27で検出することで、アンチヒューズメモリM11が書き込まれているか否か、すなわちアンチヒューズメモリM11が保持している1ビットデータを判定することができる。
上述のように、選択アンチヒューズメモリMに対するデータの書き込み時に、メモリキャパシタ10の破壊の範囲がウエルS2の内部にまで及び、メモリゲート電極10aからメモリゲート絶縁膜10cを通してウエルS2に流れる電流のリーク経路が形成される場合がある。
従来の半導体記憶装置では、メモリキャパシタの拡散領域に接続されたビット線の電位をセンスアンプで検出して読み出しを行う。具体的には、メモリキャパシタが短絡状態であれば、ワード線に印加された電圧がMOSトランジスタ(整流素子)を通してメモリキャパシタのメモリゲート電極に印加され、メモリキャパシタに電流が流れ、ビット線の電位が上昇する。メモリキャパシタが絶縁状態であれば、ワード線に印加された電圧がMOSトランジスタ(整流素子)を通してメモリキャパシタのメモリゲート電極に印加されてもメモリキャパシタに電流が流れず、ビット線の電位は変化しない。
メモリキャパシタに、メモリゲート電極からメモリゲート絶縁膜を通してウエルに流れる電流のリーク経路が形成されると、電流はメモリゲート電極からウエルに流れ、メモリキャパシタの拡散領域には流れない。そうすると、従来の半導体記憶装置では、メモリキャパシタが短絡状態であっても、ビット線の電位が上昇せず、読み出しができなくなる。
これに対して、この半導体記憶装置1では、メモリキャパシタ10が短絡状態である場合、メモリゲート電極10aからメモリゲート絶縁膜10cを通してウエルS2に流れる電流のリーク経路が存在し、ビット線BL1からMOSトランジスタ20、メモリキャパシタ10を通してソース線SL1方向に電流が流れずにウエルS2に電流が流れたとしても、ビット線BL1の電位が降下する。したがって、選択アンチヒューズメモリMに対するデータの書き込み時に、メモリキャパシタ10の破壊の範囲がウエルS2の内部にまで及び、メモリゲート電極10aからメモリゲート絶縁膜10cを通してウエルS2に流れる電流のリーク経路が形成された場合でも、ビット線BL1の電位の変化をセンスアンプ27で検出することで、アンチヒューズメモリM11が書き込まれているか否かを判定することができる。
上記の例では、データの書き込み動作において、第1非選択行電圧をウエル電圧(=0V)と同じにしているが、ウエル電圧と第1選択行電圧との間の中間電圧としてもよい。例えば、第1ソース線電圧及びウエル電圧が0V、第1選択行電圧が6Vの場合に、第1非選択行電圧を3V程度とすることができる。このように、第1非選択行電圧を中間電圧とすることにより、ゲート絶縁膜20dに印加される電圧を小さくすることができる。すなわち、ワード線WLから第1選択列電圧が印加されるゲート電極20aと、ゲート電極20aの直下の第2活性領域32の表面に形成され、ドレイン領域20cを介してビット線BLから第1非選択行電圧(中間電圧)が印加されるチャネルとの電圧差を上記の例よりも小さくすることができる。このため、ゲート絶縁膜20dの厚みを小さくすることができ、例えばメモリゲート絶縁膜10cとゲート絶縁膜20dとを同じ厚みにすることができる。なお、このように第1非選択行電圧を中間電圧にする場合に、その中間電圧は、ウエル電圧との電圧差がメモリゲート絶縁膜10cを絶縁破壊する電圧よりも低くなるように設定される。
また、上記の例では、データの書き込み動作において、各ソース線SLに第1ソース線電圧として0Vをそれぞれ設定しているが、選択アンチヒューズメモリMに接続されていない各ソース線SLの電圧は、これに限定されない。例えば、選択アンチヒューズメモリMに接続されていない各ソース線SLの電圧を0Vよりも高く第1選択行電圧よりも低い中間電圧としてもよい。この場合、第1選択行電圧を5Vとして、選択アンチヒューズメモリMに接続されていない各ソース線SLの電圧を例えば3V程度にすることができる。この場合、例えばMOSトランジスタ20のオフ特性が不十分な場合であってビット線BLの第1選択列電圧の一部がメモリキャパシタ10のメモリゲート電極10aに印加される場合であっても、そのメモリゲート電極10aとソース線SLとの電圧差が小さくなるため、短絡状態のメモリキャパシタ10を通して流れるリーク電流を低減することができる。
上記のように選択アンチヒューズメモリMに接続されていない各ソース線SLの電圧を中間電圧に設定する場合、第1非選択列電圧を0Vよりも高く第1選択列電圧よりも低い電圧に設定し、第1選択列電圧が印加されているビット線BLからMOSトランジスタ20を通してメモリゲート電極10aに印加される電圧が中間電圧以下となるようにMOSトランジスタ20で電圧降下が生じるように第1非選択列電圧を設定してもよい。例えば、第1選択列電圧を6V、第1選択行電圧を5V、中間電圧を3Vとして、第1非選択列電圧を例えば3V以下に設定することができる。この場合は、従来の半導体記憶装置のように、選択アンチヒューズメモリMと同じ行の非選択アンチヒューズメモリMのMOSトランジスタ20がオン状態となるが、メモリゲート電極10aに印加される電圧とソース線SLの中間電圧との電圧差が小さいため、選択アンチヒューズメモリMと同じビット線BLに接続された非選択アンチヒューズメモリMにおけるリーク電流を抑制することができる。
さらに、データの読み出し動作において、第2選択列電圧と第2選択行電圧とを同じにしているが、これに限定されるものではなく、異なる電圧としてもよい。例えば、第2選択行電圧よりも第2選択列電圧を高くしてもよく、第2選択行電圧を3V、第2選択列電圧を5Vに設定することができる。第2選択列電圧を高く設定することによって、MOSトランジスタ20のオン電流を増加させ、メモリキャパシタ10が短絡状態にある場合のビット線BLの電圧の降下速度を大きくでき、データの読み出し動作を高速化することができる。
上述のように、半導体記憶装置1では、全てのソース線SLの電圧を0Vとしても、データの書き込み及び読み出しを行うことができる。そのため、図6に回路構成を示す半導体記憶装置1Aのように、メモリキャパシタ10の拡散領域10bをウエルS2と等電位となるようにした構成でもよい。この場合、例えば、メモリキャパシタ10の拡散領域10bに代えてP型のドーパントを高濃度ドープした拡散領域を形成すればよい。または、第1活性領域31に拡散領域を形成しなければよい。このような構成でのデータの書き込みでは、メモリゲート電極10aと第1活性領域31(ウエルS2)との間の電圧差によりメモリゲート絶縁膜10cを破壊し、読み出しでは、メモリゲート電極10aから絶縁破壊されたメモリゲート絶縁膜10cを通して第1活性領域31にビット線BL1からの電流を流す。このような半導体記憶装置1Aによれば、ソース線SLを廃止することができ、回路規模を小さくすることができる。
上記の例では、P型のウエル(第1活性領域)上にメモリゲート絶縁膜及びメモリゲート電極を積層したN型のメモリキャパシタと、P型のウエル(第2活性領域)上にゲート絶縁膜及びゲート電極を積層したN型のMOSトランジスタとでアンチヒューズメモリを構成しているが、本発明はこれに限定されず、アンチヒューズメモリをP型のメモリキャパシタとP型のMOSトランジスタとで構成してもよい。この場合、P型のメモリキャパシタは、N型のウエルに設けた第1活性領域上にメモリゲート絶縁膜及びメモリゲート電極を積層し、また第1活性領域にP型のドーパントを高濃度ドープして拡散領域を形成した構成とすればよい。このP型のメモリキャパシタの拡散領域についても、上記の例と同様に、P型のドーパントを高濃度ドープする他に、N型のドーパントを高濃度ドープした構成としても、また拡散領域を形成しない構成としてもよい。P型のMOSトランジスタは、N型のウエルにゲート絶縁膜及びゲート電極を積層し、P型のドーパントを高濃度ドープしたドレイン領域及びソース領域とすればよい。
また、上記の例では、複数のアンチヒューズメモリを複数行及び複数列の行列状に配置しているが、行数及び列数は1以上であればよく、例えば1行複数列の行列状、複数行1列の行列状としてもよい。