以下、図面を参照して実施形態を説明する。以下の説明において、略または実質的に同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、必要に応じて説明を行う。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を概略的に示す図である。
本実施形態におけるエレベータシステムは、エレベータ制御装置11と、乗りかご12とを備える。
エレベータ制御装置11は、建物14の最上部の機械室などに設置され、エレベータ全体の制御を行う。なお、機械室を持たないマシンルームレスタイプのエレベータでは、エレベータ制御装置11が昇降路16内に設けられる。
乗りかご12は、エレベータ制御装置11の制御の下で、図示せぬ巻上機の駆動によりロープ15を介して昇降路16内を昇降動作する。この乗りかご12内には、カメラ13が設置されている。
カメラ13は、例えば乗りかご12内の天井面に設置され、乗りかご12の運転中にかご室内の状態を連続的に撮影する。なお、カメラ13の設置場所は天井面に限らず、かご内全体を撮影可能な場所であれば、どこでも良い。カメラ13は、図示せぬ伝送ケーブルを介してエレベータ制御装置11に接続されている。
一方、各階の乗場17a,17b,17c…には、乗場操作盤(HIB)18a,18b,18c…がそれぞれ設置されている。
乗場操作盤18a,18b,18c…は、利用者が乗場呼びを登録するためのボタンである。なお、「乗場呼び」とは、各階の乗場に設置された乗場操作盤の操作により登録される呼びの信号のことであり、登録階と行先方向の情報を含む。これに対し、「かご呼び」とは、乗りかご内に設けられた行先呼びボタンの操作により登録される呼びの信号のことであり、行先階の情報を含む。
乗場操作盤18a,18b,18cは、図示せぬ伝送ケーブルを介してエレベータ制御装置11に接続されている。
図2は乗りかご12の構成を示す図である。乗りかご12の正面にはかごドア21が設置されており、図示せぬドアモータの駆動により開閉動作する。かごドア21の近傍に、かご操作盤24や表示器25などが設置されている。かご操作盤24上には、各階に対応した複数の行先階ボタン22や戸開閉ボタン23a,23bなどを含む各種操作ボタンが配設されている。表示器25は、乗りかご12の現在位置や運転方向、行先階などの運転状態の他に、乗りかご12内の利用者に対する各種メッセージなどを表示する。
また、乗りかご12内には、図1に示したカメラ13と、乗りかご12内の利用者に音声で通知するためのアナウンス装置26が設置されている。
図3はエレベータ制御装置11の機能構成を示すブロック図である。なお、図3では、任意の階の乗場17に設置された乗場操作盤(HIB)18を示すが、実際には各階の乗場17a,17b,17c…に設置された乗場操作盤18a,18b,18c…が存在する。
エレベータ制御装置11には、乗客検出部31、行先階検出部32、記憶部33、占有率算出部34、通信部35が備えられている。
乗客検出部31は、乗りかご12内のカメラ13で撮影された画像(映像)をリアルタイムで解析処理する。乗客検出部31は、乗りかご12内のカメラ13で撮影された画像(映像)の解析結果に基づいて、乗りかご12内の乗客の乗降の乗降を検出する。
行先階検出部32は、乗りかご12に乗車した乗客ごと(図3のP1,P2…)に当該乗客の行先階登録を検出する。
乗客ごとの行先階登録の検出方法として、行先階検出部32は乗りかご12内に設けられたカメラ13、かご操作盤24を用いて検出する。カメラ13による撮影範囲には、かご操作盤24が含まれる。行先階検出部32はカメラ13により乗客P1とかご操作盤24の行先階ボタン22を撮影し、乗客P1がどの行先階ボタン22を押したかを検出することで、乗客P1の行先階を検出する。乗客P2についても同様とする。
また、乗客ごとの行先階登録の検出方法として、乗客P1がかご操作盤24の行先階ボタン22を押した時刻(t1)と、当該時刻(t1)に押された行先階ボタン22の階床に係る信号とから、乗客P1の行先階を検出してもよい。乗客P2についても同様であり、乗客P2が行先階ボタン22を押した時刻(t2)と、当該時刻(t2)に押された行先階ボタン22の階床に係る信号とから、乗客P2の行先階を検出する。
なお、図2では、かご操作盤24が乗りかご12内からかごドア21に向かって右側の正面側壁27aに1つ設けられているが、かご操作盤24の設置位置、設置数はこれに限定されない。例えば、左側の正面側壁27b,右側壁28a,左側壁28bに配置されていてもよい。右側壁28a,左側壁28bに配置されるかご操作盤24は、例えば、車いす利用者用である。また、乗りかご12内に複数のかご操作盤24が配置されていてもよい。
記憶部33は、制御プログラムなど、エレベータ制御装置11の処理に必要な各種データを記憶している。この記憶部33は、呼び管理テーブル33aと乗客テーブル33bと占有率テーブル33cを記憶している。
占有率算出部34は、乗客検出部31にて検出した乗客情報と、行先階検出部32にて検出した乗客ごとの行先階登録情報とを関連付けして、乗りかご12内の占有率を計算する。占有率算出部34は、占有率に基づいて、乗客テーブル33bと占有率テーブル33cを作成して、記憶部33に記憶することで、乗客テーブル33bと占有率テーブル33cを更新させる。
呼び管理テーブル33aは、利用者が乗場17で登録した乗場呼びの情報を管理する。図4(a)に呼び管理テーブル33aの一例を示す。乗場呼びは、登録階と行先方向の情報を有する。「登録階」は、利用者が乗場操作盤18を押下操作して乗場呼びを登録した階、つまり、利用者が乗りかご12に乗車する階のことであり、呼び登録階とも言う。「行先方向」は、乗客により乗りかご12が運行する方向である。詳しくは、乗場操作盤18は上方向ボタンと下方向ボタンを有し、上方向ボタンが押下された場合に上方向の情報が呼び管理テーブル33aに記憶され、下方向ボタンが押下された場合には下方向の情報が呼び管理テーブル33aに記憶される。
乗客テーブル33bは、乗客ごとに荷物の有無、乗りかご12に占める占有率、行先階の情報を管理する。図4(b)に乗客テーブル33bの一例を示す。乗客テーブル33bの項目には「乗客」「荷物」「占有率」「行先階」がある。
「乗客」は乗客検出部31にて検出された、乗りかご12内の乗客ごと(P1,P2…)の情報である。「荷物」は乗客検出部31にて乗客が所持している荷物の情報である。「占有率」は乗客ごとの乗りかご12に対する占有率であり、荷物を所持している場合は、荷物を含めた占有率の情報である。「行先階」は乗客ごとの行先階情報であり、行先階検出部32にて検出された行先階である。
図5は本実施形態における乗りかご12内の乗車状態を説明するための図である。図6は本実施形態における乗りかご12内の占有率を説明するための図である。図5および図6において、乗りかご12内には乗客がP1とP2の2名であり、乗客P1は荷物B1を所持している。荷物B1は例えば、台車などがあるが、これに限定されず、例えば、バックパックなどでもよい。図6は占有率について、乗りかご12について上からみた図である。かごドア21が戸閉しており、乗客の乗降が完了した状態となる。占有率は、乗客の乗降が完了したときの、乗りかご12の床面の面積に対する、乗客P1と荷物B1、および乗客P2による占有の面積の比率となる。
本実施形態において、図4〜図6では、乗客P1と乗客P2が1階にて乗車したとする。乗客P1は荷物B1を所持しているとする。乗客検出部31は乗客P1が荷物B1を所持して乗車し、乗客P2が乗車したことを検出する。乗客P1は乗りかご12に乗車すると、かご操作盤24から4階の行先階ボタン22を押して行先階登録をする。行先階検出部32は、乗客P1が4階の行先階ボタン22を押したことを検出する。同様に乗客P2は乗りかご12に乗車すると、かご操作盤24から6階の行先階ボタン22を押して行先階登録をする。行先階検出部32は、乗客P2が6階の行先階ボタン22を押したことを検出する。
占有率算出部34は乗客P1と荷物B1との乗りかご12の床面積に対する占有率を算出する。例えば、乗客P1と荷物B1との乗りかご12の床面積に対する占有率の合計は40%とする。
この場合、乗客テーブル33bにおいて、「乗客」に乗客P1が登録され、「荷物」に荷物B1が登録され、「占有率」に乗客P1と荷物B1との乗りかご12の床面積に対する占有率は40%が登録され、「行先階」に乗客P1の行先階は4階(4F)であることが登録される。「占有率」については、例えば、乗客P1の占有率が15%であり、荷物B1の占有率が25%である、というように分けて登録されていてもよい。
同様に乗客P2についても乗客テーブル33bに登録される。乗客テーブル33bにおいて、乗客P2は荷物を所持しておらず、乗客P2の乗りかご12の床面積に対する占有率は15%である。乗客P2の行先階は6階(6F)であることがテーブルに記憶されている。
占有率テーブル33cは、階床ごとの占有率情報と占有率情報に基づいた混雑情報とを管理する。図4(c)に占有率テーブル33cの一例を示す。乗りかご12が1階に位置しており、上昇運転をしている場合、乗りかご12内の占有率は乗客テーブル33bより、乗客P1と乗客P2との占有率の合計の55%となる。乗客P1の行先階は4階であり、乗客P2の行先階は6階であることから、乗りかご12が2階,3階を走行しているときの乗りかご12内には乗客P1と乗客P2が乗車していることになる。このため、占有率テーブル33cの「階床」が「2F」,「3F」の行の「占有率」は乗客P1と乗客P2の合計の占有率である55%となる。
乗客P1は4階で降車するため、乗りかご12が4階を出発し,5階を走行しているときの乗りかご12内には、乗客P2が乗車していることになる。このため、占有率テーブル33cの「階床」が「4F」,「5F」の行の「占有率」は乗客P2の占有率である15%となる。
乗客P2は6階で降車するため、乗りかご12が6階よりも上を走行しているときの乗りかご12内には、乗客はいないことになる。6階よりも上階、例えば10階で利用者が乗場呼びを行っている場合、乗りかご12は無人のまま、6階を出発し、10階に着床する。この場合、占有率テーブル33cの「階床」が「6F」および「6F」以上の行の「占有率」は0%となる。
占有率テーブル33cの「混雑度」は「占有率」に基づいて、乗りかご12の混雑度を「高」「中」「低」というように段階的に分けて登録している。混雑度は後述する、図7の乗場操作盤(HIB)18内に設けられた混雑度表示部19又は、図8の表示装置20の混雑度表示部19の個数に対応している。
占有率テーブル33cの「混雑度」は、混雑度表示部19の個数に応じてカテゴリーを分けてもよい。図7および図8の混雑度表示部19は191,192,193の3つあるため、占有率テーブル33cの「混雑度」につき「高」「中」「低」の3段階にカテゴリーを分けている。混雑度表示部19の個数がN個(Nは2以上の自然数)の場合、占有率テーブル33cの「混雑度」をN段階のカテゴリーとしてもよい。
混雑度は、例えば、
占有率が80%以上100%以下のとき:「高」
占有率が50%以上 80%未満のとき:「中」
占有率が 0%以上 50%未満のとき:「低」
と設定する。
占有率算出部34は乗客検出部31が検出した乗客情報と、行先階検出部32が検出した行先階情報とを関連付け、乗りかご12の床面の面積に対する乗客ごとの占有率を計算する。占有率算出部34は算出された占有率と行先階情報とに基づいて、乗客テーブル33bおよび占有率テーブル33cを作成し、記憶部33に格納する。
仮に10階で乗場呼びが発生している場合、4階で乗客P1が降車し、6階で乗客P2が降車した後、10階に乗りかご12が着床した時に、カメラ13が乗客の乗降判定を行い、乗客検出部31が乗客情報を検出し、行先階検出部32が乗客の行先階情報を検出する。占有率算出部34は、10階から乗車した乗客について、乗客情報と行先階情報とを関連付け、占有率を算出する。占有率算出部34は算出された占有率と行先階情報とに基づいて、乗客テーブル33bおよび占有率テーブル33cを作成し、記憶部33の各テーブルを更新する。
さらに、4階で乗客P1が降車した後、別の乗客P3が乗車した場合についても、乗客P3について、乗客P1,P2と同様に、カメラ13を用いて乗降判定を行い、乗客情報、行先階情報を取得する。占有率算出部34は、随時占有率を算出し、乗客テーブル33bおよび占有率テーブル33cを更新する。
通信部35は、乗場17に設けられた乗場操作盤18に対して、乗りかご12の混雑度の情報を送信する。混雑度の情報とは占有率テーブル33cの「混雑度」の情報である。
図7は本実施形態における各階床に設置された乗場操作盤18の図である。図7(a)は2階に設置された乗場操作盤(HIB)18を示している。図7(b)は3階に設置された乗場操作盤18を示している。図7(c)は4階以降に設置された乗場操作盤18を示している。各階床に設置された乗場操作盤18の構成は共通であるため、図7(a)を用いて詳述する。
乗場操作盤18は呼び登録ボタン181,182を有しており、上階へは呼び登録ボタン181を、下階へは呼び登録ボタン182を押下することで、乗場呼びがなされる。
乗場操作盤18は混雑度表示部19を有している。混雑度表示部19は、複数の点灯部を有している。図7では、混雑度表示部19は3個の点灯部(191,192,193)を有している。点灯部の個数は図4の占有率テーブル33cの混雑度のカテゴリー数に対応している。以下の例では、乗場操作盤18の点灯部は3個(191,192,193)であり、占有率テーブル33cの混雑度のカテゴリーは「高」「中」「低」の3段階とする。
乗場操作盤18は通信部35から混雑度の情報を取得する。混雑度の情報の取得方法は特に限定せず、エレベータ制御装置11からの有線による伝送ケーブルによる取得、無線通信による取得でもよい。通信部35は占有率算出部34が判定した「混雑度」(占有率テーブル33c参照)の情報を取得し、乗場操作盤に混雑度情報を送信する。送信される混雑度情報は「高」「中」「低」のいずれかの情報である。乗りかご12が1階から上昇運転をしているとき、通信部35は2階と3階の乗場操作盤18には混雑度「中」に対応した混雑度情報を送信し、4階以降の上階の乗場操作盤18には混雑度「低」に対応した混雑度情報を送信する。占有率テーブル33cの2F,3Fの混雑度は「中」であり、4Fよりも上階の混雑度は「低」であるためである。
乗場操作盤18は混雑度情報に応じて、混雑度に応じた点灯部(191〜193)を転倒させる。点灯部191は混雑度「高」に対応している。点灯部192は混雑度「中」に対応している。点灯部193は混雑度「低」に対応している。2階と3階の乗場操作盤18には通信部35から混雑度「中」の混雑度情報を取得しているため、混雑度「中」に対応した点灯部192を点灯させ、他の点灯部191,193は消灯している。4階以降の上階の乗場操作盤18には通信部35から混雑度「低」の混雑度情報を取得しているため、混雑度「低」に対応した点灯部193を点灯させ、他の点灯部191,192は消灯している。
点灯部(191〜193)は例えば、LEDライト等で構成され、混雑度「高」に対応する点灯部191は赤色、混雑度「中」に対応する点灯部192は黄色、混雑度「低」に対応する点灯部193は青色のLEDライトで構成されていてもよい。これにより、乗場17にいる乗客は、混雑度表示部19の点灯部の色により、着床時に予想される乗りかご12の混雑度を把握することができる。
図7の201は乗りかご12の運転方向の表示を示す。本実施形態では、乗りかご12が上昇運転をしているときを例に説明をしているため、運転方向の表示201は上向きの矢印としている。また、図7の202は乗りかご12の位置情報の表示を示す。乗りかご12が1階から2階へ向かっている場合、位置情報の表示202は「2」を示している。これらの表示方法は、図7に限定されない。また、各表示201,202は乗場操作盤18に無くてもよい。
図8は本実施形態の変形例として、各階床に設置された表示装置20の図である。変形例は表示装置20に混雑度情報を表示している。図8(a)は2階に設置された表示装置20を示している。図8(b)は3階に設置された表示装置20を示している。図8(c)は4階以降に設置された表示装置20を示している。図7の乗場操作盤18に配置されていた、混雑度表示部19,点灯部(191〜193),乗りかご12の運転方向の表示201,乗りかご12の位置情報の表示202について、図8では、表示装置20に配置されている。表示装置20は乗場ドア171の近傍に配置されていると乗客が混雑度情報を視認しやすく、好適である。図8において、表示装置20は乗場ドア171の上方に配置されている。
表示装置20は液晶モニタなどで構成され、点灯部(191〜193),乗りかご12の運転方向の表示201,乗りかご12の位置情報の表示202は画面表示されていてもよい。また、表示装置20は表示盤として構成され、点灯部(191〜193)はLEDライト、乗りかご12の運転方向の表示201,乗りかご12の位置情報の表示202はLED表記されていてもよい。
本実施形態は、乗場操作盤18の混雑度表示部19および乗場表示装置20の混雑度表示部19による混雑度情報についての表示手段を有することになる。
図8の点灯部(191〜193)は図7と同様に混雑度に応じて、点灯部191が赤色、点灯部192が黄色、点灯部193が青色と色分けをしていてもよい。
次に、第1の実施形態の動作について説明する。図9は第1の実施形態におけるエレベータ制御装置11の処理動作を示すフローチャートである。
乗りかご12は、乗場17の乗場操作盤18による乗場呼びにより、登録階へ走行する。乗場呼びには、登録階と行先方向の情報が含まれている。エレベータ制御装置11は、乗場呼びの情報を受信すると、この乗場呼びに含まれる登録階と行先方向を呼び管理テーブル33aに記憶する。図4に示すように、例えば利用者が2階の乗場で上方向の乗場呼びを登録すると、登録階:「2F」,行先方向:「上方向」が呼び管理テーブル33aに記憶される。
乗りかご12が着床すると(ステップS100のYES)、乗場17の乗場ドア171および乗りかご12のかごドア21が戸開する。この時、乗りかご12内の乗客が降車し、乗場17の乗客が乗車する。乗りかご12内のカメラ13は乗降判定を行い、乗客情報を取得する(ステップS101)。乗客情報の取得として、乗客の人数や、乗客ごとの荷物の所持の判定などである。
乗客はかご操作盤24より行先階登録を行う。本実施形態のエレベータシステムは乗客がかご操作盤24により登録した行先階について行先階情報を取得する(ステップS102)。行先階の取得は、カメラ13による、乗客が押したかご操作盤24の行先階ボタン22を撮影することで、取得する。また、乗客がかご操作盤24を操作した時間における、かご操作盤24から行先階検出部32へ送信された信号情報から取得してもよい。カメラ13により乗客情報を乗客検出部31が検出し、行先階情報を行先階検出部32が検出し、これらの情報を占有率算出部34が関連付けをする(ステップS103)。これにより、乗客テーブル33bが作成される。
占有率算出部34が乗場操作盤18(または表示装置20)の設置された階床ごとの占有率を計算する(ステップS104)。これにより、占有率テーブル33cが作成される。占有率算出部34は、乗客テーブル33b、占有率テーブル33cを記憶部33に記憶する。
通信部35より乗場操作盤18(または表示装置20)が設置された階床へ混雑度の情報を送信することで、各乗場操作盤18(または表示装置20)は混雑度の情報を表示させる。ステップS105)。
新たな行先階登録が起きた場合(ステップS106のYES)、実施形態のエレベータシステムは再度行先階情報の取得(ステップS102)を行う。即ち、エレベータシステムは、リアルタイムで乗りかご12内の占有率を計測し、乗場操作盤18(表示装置20)に随時混雑度情報を表示する。新たな行先階登録は、例えば、乗りかご12の走行中、階床間に乗りかご12がいる場合に、乗客がかご操作盤24により行先階登録をした場合などである。このように、本実施形態のエレベータシステムは、乗りかご12内の占有率について、走行中においても随時更新をする機能を有していてもよい。さらに、乗場17の各乗場操作盤18(または表示装置20)に随時混雑情報を更新して表示させることができる。
以上の実施形態により、乗りかご内の占有率を乗場の乗客に視覚的に表示させるエレベータシステムを提供することで、乗客は乗車するか否かを判断することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、複数の乗りかごを有するエレベータの群管理システムを想定している。
図10は第2の実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成を概略的に示す図であり、3台の乗りかごが群管理された構成が示されている。なお、乗りかごの台数は3台に限らず、2台でも良いし、3台以上であっても良い。
群管理制御装置41は、主制御装置として存在し、任意の乗場で登録された乗場呼びを各号機の乗りかごのいずれかに割り当てるための割当制御など、群管理システム全体の制御を行う。さらに、この群管理制御装置41は、本システムを実現するための機能として、図3に示したエレベータ制御装置11と同様の機能(乗客検出部31、行先階検出部32、記憶部33、占有率算出部34、通信部35)が備えられている。
号機制御装置42a,42b,42cは、群管理制御装置41の制御の下で、各号機に対応した乗りかご43a,43b,43cの運転を制御する。乗りかご43a,43b,43cには、それぞれに図2に示したカメラ13などが設けられている。
一方、各階の乗場44a,44b,44c…には、乗場操作盤45a,45b,45c…がそれぞれ設置されている。
乗場操作盤45a,45b,45c…は、利用者が乗場呼びを登録するためのボタンである。乗場操作盤45a,45b,45c…は、図示せぬ伝送ケーブルを介して群管理制御装置41に接続されている。
次に、第2の実施形態の動作について説明する。図11は第2の実施形態における各階床に設置された乗場操作盤(HIB)の図である。図12は第2の実施形態の変形例における各階床に設置された表示装置の図である。図10は第1の実施形態に係る乗場操作盤の図7に対応し、図12は第1の実施形態に係る表示装置の図8に対応している。
図11(a)は4階におけるA号機とB号機の乗場操作盤45の配置の図である。図10(b)は2階におけるA号機とB号機の乗場操作盤45の配置の図である。C号機については図面では省略しているが、C号機についてもA号機およびB号機と同様の構成を有している。乗場操作盤45が配置される階はこれらの階に限定はされず、全ての階に配置されていてもよい。
図11において、4階のA号機近傍に配置された乗場操作盤を45c1とし、B号機近傍に配置された乗場操作盤を45c2とする。2階のA号機近傍に配置された乗場操作盤を45a1とし、B号機近傍に配置された乗場操作盤を45a2とする。乗場操作盤45a1,45a2,45c1,45c2を総称して、乗場操作盤45と称する。乗場操作盤45の構成は第1の実施形態に係る乗場操作盤18と同様の構成を有している。そのため、符号については同一の符号とする。
図11では、A号機は1階から上昇運転しており、B号機は10階から下降運転している。このため、A号機の運転方向の表示201は上向きであり、位置情報の表示は「2」を示している。B号機の運転方向の表示201は下向きであり、位置情報の表示は「9」を示している。ただし、これらの表示方法は、図11に限定されない。また、各表示201,202は乗場操作盤45に無くてもよい。
第2の実施形態における各乗場操作盤45の混雑度表示部19は第1の実施形態と同様に複数の点灯部(191,192,193)を有している。以下の説明では点灯部は3個の点灯部として説明する。
A号機の状況、および乗場操作盤45a1,45c1の表示は、第1の実施形態の状況および、乗場操作盤18と同様の状態である。即ち、乗客P1,P2がA号機の乗りかご43aに搭乗している。乗客P1は荷物B1を所持しており、行先階は4階である。乗客P2は荷物を所持しておらず、行先階は6階である。この場合、図11(a)のA号機の混雑度表示部19および点灯部191〜193は図7(c)と同様の状態となる。乗りかご43aの占有率は15%となる。
B号機の乗場操作盤45a2,45c2はB号機について、占有率を予測した結果が表示される。図11(a)のB号機では、4階の乗場操作盤45c2の混雑度表示部19の点灯部192が点灯しているため、4階における混雑度は「中」であると、本実施形態のエレベータシステムは判定している。図11(b)のB号機では、2階の乗場操作盤45a2の混雑度表示部19の点灯部191が点灯しているため、2階における混雑度は「低」であると、本実施形態のエレベータシステムは判定している。
この場合、B号機では、乗りかご43bが9階または、10階と9階の階床間に位置しており、下降運転をしている。乗りかご43b内には4階または3階に行先階登録をした乗客が存在することになる。これは、乗りかご32bが4階から2階に移動すると混雑度が「中」から「低」となるため、乗客が4階または3階に行先階登録をしているためである。
乗客検出部31は各号機(A号機,B号機,C号機)ごとに各乗りかご43a〜43cに配置されたカメラ13により乗客の乗降の判定を行う。行先階検出部32は各号機(A号機,B号機,C号機)ごとに各乗りかご43a〜43cに配置されたカメラ13とかご操作盤24の登録に基づいて行先階を検出する。乗客検出部31と行先階検出部32とは、群管理制御装置41の代わりに各号機の制御装置42a〜42cに設けられていてもよい。この場合、各号機の乗客情報と行先階情報を群管理制御装置41に設けられた占有率算出部34に伝送する。
群管理制御装置41の占有率算出部34は各号機(A号機,B号機,C号機)ごとに図4の呼び管理テーブル33a、乗客テーブル33b、占有率テーブル33cを作成し、記憶部33に格納する。呼び管理テーブル33aは乗場17の乗場操作盤45による乗場呼びの情報を管理する。乗客テーブル33b、占有率テーブル33cは第1の実施形態と同様に乗客情報と行先階情報とを関連付けて作成する。テーブルの方式は図4と同様であり、号機ごとに各種テーブルが作成される。
これにより、乗場17にいる乗客は群管理制御のエレベータにつき、各号機について、運行方向(上昇運転か下降運転か)を把握し、さらに乗りかごの混雑度を視覚的に把握することができる。
(変形例)
図12(a)は4階におけるA号機とB号機の表示装置46の配置の図である。図12(b)は2階におけるA号機とB号機の表示装置46の配置の図である。C号機については図面では省略しているが、C号機についてもA号機およびB号機と同様の構成を有している。表示装置46が配置される階はこれらの階に限定はされず、全ての階に配置されていてもよい。
図12において、4階のA号機近傍に配置された表示装置を46c1とし、B号機近傍に配置された表示装置を46c2とする。2階のA号機近傍に配置された表示装置を46a1とし、B号機近傍に配置された表示装置を46a2とする。表示装置46a1,46a2,46c1,46c2を総称して、表示装置46と称する。表示装置46の構成は第1の実施形態に係る表示装置20と同様の構成を有している。そのため、符号については同一の符号とする。
図12では、図11と同様の状況を想定する。A号機は1階から上昇運転しており、B号機は10階から下降運転している。このため、A号機の運転方向の表示201は上向きであり、位置情報の表示は「2」を示している。B号機の運転方向の表示201は下向きであり、位置情報の表示は「9」を示している。ただし、これらの表示方法は、図12に限定されない。また、各表示201,202は表示装置46に無くてもよい。
この変形例においても、乗場17にいる乗客は群管理制御のエレベータにつき、各号機について、運行方向(上昇運転か下降運転か)を把握し、さらに乗りかごの混雑度を視覚的に把握することができる。
(第3の実施形態)
乗客によっては、乗りかご12内のかご操作盤24による行先階登録をしない場合がある。図13は第3の実施形態における乗りかご内の乗車状態を説明するための図である。乗りかご12には乗客P1,P2,P3が乗車しており、乗客P1はかご操作盤24により4階(4F)が登録されており、乗客P2はかご操作盤24により6階(6F)が登録されている。しかし、乗客P3はかご操作盤24による行先階登録をしていない。図13では(−)と表示している。
このような場合、一般的に乗客P3は4階または6階にて降車することが想定される。本実施形態のエレベータシステムは、乗りかご12が4階よりも下階に位置し、上昇運転している場合、乗客P3は6階まで乗車すると予測する。
また、乗りかご12が6階よりも上階に位置し、下降運転している場合、乗客P3は4階まで乗車すると予測する。
即ち、行先階登録をしていない乗客が存在する場合、本実施形態のエレベータシステムは乗りかご12の現在の位置から、最も遠い階の行先階登録の階床を暫定的に割り当てる。
ここで、乗りかご12が1階から上昇運転し、乗客P1,P2,P3が乗りかご12に存在する場合を想定する。乗客P1と乗客P2については、第1の実施形態と同様の状態とする。乗客P3はかご操作盤24による登録をしていない。
この場合、カメラ13は乗客P3について乗降判定を行い、乗客検出部31にて乗客情報を取得する。しかし、乗客P3はかご操作盤24にて行先階登録をしていないため、行先階検出部32は乗客P3について、行先階情報を取得することができない。占有率算出部34は、他の乗客P1,P2の内、乗りかご12の現在の位置から最も遠い行先階登録である6階を乗客P3に暫定的に割り当てる。
図14は第3の実施形態における各種テーブルの一例を示す図である。各種テーブルは第1の実施形態に係る各種テーブル(図4)と対応している。呼び管理テーブル33aは第1の実施形態と同じため、説明を省略する。
乗客テーブル33bは乗客P3について、行が追加されている。乗りかご12の現在の位置(1階または1階と2階の間)から最も遠い行先階登録はP2の6階であるため、占有率算出部34は乗客P3の行先階を「6F」として乗客テーブル33bを作成する。
占有率算出部34は、乗客P3の行先階を6階と想定したうえで、占有率テーブル33cを作成する。乗客P3の占有率を15%とした場合(乗客テーブル33b参照)、占有率テーブル33cは2Fから5Fまでの占有率について、第1の実施形態の占有率テーブル33cの占有率に乗客P3の占有率15%を加算した値を算出する。即ち、2F,3Fでは70%、4F,5Fでは30%となる。
仮に、乗客P3が4階で降車した場合、カメラ13が乗客P3の降車を判定する。これにより、乗客検出部31は乗客情報として、乗客P3を乗りかご12から削除する。占有率算出部34は、乗客検出部31から乗客情報P3の削除を取得して、乗客テーブル33b、占有率テーブル33cを更新する。この場合、5F,6Fの占有率は乗客P2のみが乗りかご12に存在するため、15%となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
上記課題を解決するため、実施形態のエレベータシステムは、乗りかご内に設けられたカメラにより乗客の乗降を判定する乗客検出手段と、前記乗りかご内のかご操作盤の行先階登録を検出する行先階検出手段と、前記乗客検出手段により検出された乗客情報と前記行先階検出手段により検出された行先階情報とを乗客ごとに関連付けて、階床ごとに占有率を算出する占有率算出手段と、を具備し、前記占有率算出手段は、前記乗客検出手段が検出した乗客が前記乗りかご内のかご操作盤による行先階登録をしていない場合に、他の乗客の行先階情報の内、前記乗りかごの現在の位置から最も遠い行先階の情報を、当該乗客の行先階情報として割り当てる。