JP2021122309A - 香炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】幻想的で、落ち着いた揺らぎのある層流状態の薫煙を出すことができる香炉を提供する。【課題解決手段】本願発明の香炉は、所定の高さを有し、内部に上下方向に延びる煙滞留空間、外周部に上下方向に所定の間隔を置いて上記煙滞留空間を外部に連通させる水平な複数本のスリットが設けられた香炉本体と、該香炉本体の上部に着脱可能に設けられ、上記煙滞留空間を覆う蓋体とからなり、上記煙滞留空間内に所定の香材を収納して燃焼させ、同燃焼により発生する煙を上記水平な複数本のスリットを通して層流化することにより、上記蓋体の上方に層流状態で揺らぐ幻想的な煙を生ぜしめるようにした。【選択図】 図16
Description
本願発明は、香材からの煙を層流化し、揺らぎを伴いながら香炉全体を包み込むような状態で緩やかに立ち昇らせることができるようにした香炉の構造に関するものである。
固体状の香料を加熱し、香気成分を発散させる目的で使用される器が、一般に香炉と呼ばれるものである。用途は必ずしも仏具には限られないが、我が国では仏具として認識されることが多い。仏具としての香炉は、灯明(燭台)、花瓶(花立て)と共に、三具足(および五具足)の一つとされている。
これまでの香炉(容器)は、一般に上面又は側面に大きく開口した筒、椀、箱、皿よりなっており、床や机との接触を避ける目的で、脚部を備えている。中には穴の空いた蓋を有するものもある。火気を使用する関係で、陶磁器や金属、石材などで作られているものが多い。薫香に用いる火気としては、炭火や線香火が用いられるが、炭火の場合には高熱になるので灰の中に埋めて使用される。
また、香炉には、煙と香りの両方を利用するもの、煙を好まず香りを中心とするものなど、用途に応じた種々の形態のものがある(従来の香炉の一例として、たとえば特許文献1を参照)。
以上のように、香炉には種々の形態のものがあり、広い意味での香炉の構成やデザイン、大きさなどは比較的自由である。また、香を焚くという行為自体が本来趣味性の高いものであり、今日では個人の嗜好に応じた新しい形態のものが求められている。また、芸事や宗教儀式では、香炉は一種の舞台装置であり、荘厳で美的価値、芸術性の高いものであることも求められている。
しかし、現在市場に提供されている香炉は、一般に金属製、陶器製の伝統的な構成のものが殆どであり、格別これと言って斬新な構成のものは見当たらない。特に薫料及び火気を兼用し、煙と香りの両方を楽しむ線香等の香材を用いた香炉の場合、殆どのものが線香等の煙をそのまま空気中に立ち昇らせるようにしたものにすぎない。
このような従来の構成の場合、香りはともかく、線香等からの煙が開口部から単に一筋の煙となって立ち昇り、やがて空気中に消えて行くだけであり、香炉からの煙の出し方、香炉から出す煙の量や形態、香炉から出された煙の空中における立ち昇らせ方などの、煙自体の特性、態様を考慮した香炉のデザイン(構成、形態の設計)が全くなされていない。
したがって、上述のような個人の嗜好に応じた新しい香炉構造の実現、また、芸事や宗教儀式で求められている、美的価値に富み、芸術性が高い舞台装置としての香炉構造の実現には至っていない。
この出願の発明は、このような課題を解決するためになされたもので、香材からの煙を層流化し、揺らぎを伴いながら香炉全体を包み込むような状態で緩やかに立ち昇らせることができるようにすることによって、上述のような要求に応じられるようにした、機能的にも、外観的にも斬新な新たな構成の香炉を提供することを目的とするものである。
この出願の発明は、上述のような課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明の課題解決手段
請求項1の発明の課題解決手段は、所定の高さを有し、内部に上下方向に延びる煙滞留空間、外周部に上下方向に所定の間隔を置いて上記煙滞留空間を外部に連通させる水平な複数本のスリットが設けられた香炉本体と、該香炉本体の上部に着脱可能に設けられ、上記煙滞留空間を覆う蓋体とからなり、上記煙滞留空間内に所定の香材を収納して燃焼させ、同燃焼により発生する煙を上記水平な複数本のスリットを通して層流化することにより、上記蓋体の上方に層流状態で揺らぐ煙を生ぜしめるようにしたことを特徴としている。
請求項1の発明の課題解決手段は、所定の高さを有し、内部に上下方向に延びる煙滞留空間、外周部に上下方向に所定の間隔を置いて上記煙滞留空間を外部に連通させる水平な複数本のスリットが設けられた香炉本体と、該香炉本体の上部に着脱可能に設けられ、上記煙滞留空間を覆う蓋体とからなり、上記煙滞留空間内に所定の香材を収納して燃焼させ、同燃焼により発生する煙を上記水平な複数本のスリットを通して層流化することにより、上記蓋体の上方に層流状態で揺らぐ煙を生ぜしめるようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、まず香炉本体内の煙滞留空間内に収納された所定の香材が燃焼することにより、所定量の煙(香気を伴う薫煙)が発生する。そして、それにより、香炉本体内の煙滞留空間内の上方側から下方側に速やかに煙が滞留し、充満して行く。そして、そのようにして煙が一定量溜ると、当該香炉本体の外周部にあって上下方向に所定の間隔を置いて設けられていて、煙滞留空間を外部に連通させる水平な複数本のスリットを介して外部に煙が所定の幅を持った層流状態で排出されるようになる。ここで排出される煙の量は、下方側のスリットよりも上方側のスリットの方が多いが、下方側のスリットからも所定量の煙が排出される。
この層流状態で所定の幅を有する煙は、各スリットの出口から出て直交方向上方に上昇して行くが、各スリットの出口上縁部下流部分で後流状態となり、一部流れの剥離を伴ない、それによる相対的な負圧の作用で香炉本体の外周面(側壁面)に沿って立ち昇って行く層流となる。しかも、これら各スリットからの層流は、下方から上方に向かうに従って相互に合流し、蓋体上端部分では最も煙粒子密度の高い煙色の濃い層流となるが、同蓋体上端縁部分で再び境界層が剥離し、香炉本体及び蓋体の両側又は周囲からの層流はそれによる負圧で上記蓋体上面の内側に収束され、やや乱れた層流となって(乱流成分を伴う後流状態の層流となって)閉面(盲面)である蓋体の上面部全体から上方に収束しながら立ち昇って行くことになる。
この何の開口もない蓋体の上面部全体から上方に収束しながら立ち昇って行く層流状態の煙は、上述のように香炉本体及び蓋体の両側又は周囲のスリットからの煙が合流したものであり、煙の粒子密度が高く煙色も濃い滝のような帯状の層流となっている。そして、この層流には、上記のように蓋体上端縁部分で発生した剥離による乱流成分が含まれている。したがって、蓋体上面部全体から上方に立ち昇って行く層流状態の煙は、幅が広くて比較的断面積も大きく、煙色も濃い明瞭な煙の集合体でありながらも、緩やかな揺らぎを生じながら、ゆっくりと上方に高く立ち昇って行く幽玄的、幻想的なものとなる。
しかも、このような層流状態の煙が、室内における空気の流れや対流によって、右へ、左へ大きく泳ぐことになる。そのため、非常にダイナミックな煙排出機能を伴う香炉を実現することができる。
その結果、このような香炉構造によれば、個人の嗜好に応じた新しい香炉構造や、また、芸事や宗教儀式で求められている、美的価値に富み、芸術性が高い舞台装置としての香炉構造を容易に実現することができる。
また、同香炉構成によれば、不規則さと規則正しさが調和した1/fの煙の揺らぎを実現することができる。揺らぎには、いくつかの種類があるが、規則的な中にも不規則性が混在しており、人間が最も心地良く感じることができる揺らぎが1/fの揺らぎである(fは周波数)。
上記のように緩やかに立ち昇る煙の揺れは、予測できない空間的あるいは時間的な変化や動きであり、正に1/fの揺らぎに該当する。この1/fの煙の揺らぎは、精神状態を安定させるセラピー効果も高い。
なお、以上の構成において、上記香炉本体と上記蓋体との間には、たとえば相互に吸着するマグネットが設けられ、それらマグネットを介して上記蓋体が上記香炉本体に対して着脱可能に取り付けられる。
この場合、上記煙滞留空間内への香材の収納は、上記煙滞留空間内の上部でも下部でも何れでも良い。
(2)請求項2の発明の課題解決手段
請求項2の発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段において、上記香材が線香であり、同線香は上記蓋体の裏面部に下方に向けて取り付けられるようになっていると共に、上記香炉本体の下部には着脱可能な台座が設けられており、同台座の上面側には、上記線香に対応する灰受け溝が設けられていることを特徴としている。
請求項2の発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段において、上記香材が線香であり、同線香は上記蓋体の裏面部に下方に向けて取り付けられるようになっていると共に、上記香炉本体の下部には着脱可能な台座が設けられており、同台座の上面側には、上記線香に対応する灰受け溝が設けられていることを特徴としている。
このような構成によると、香炉本体上部の蓋体裏面部に所望の構成の線香取り付け部を設けることにより、香炉本体の煙滞留空間内において、香材である線香を上方から下方に向けて収納することができ、線香の燃焼速度を早くして多くの煙を出すようにすることができる。
一方、そのように設置された線香の燃焼後の灰が、自動的に下方の灰受け溝内に落下して収納されるようになる。そして、一定量の灰が溜ると、台座を取り外して容易に廃棄することができる。そのため、メンテナンスが容易になる。
なお、この場合、上記香炉本体の底部と上記台座上部との間には、たとえば相互に吸着するマグネットなどが設けられ、それらを介して上記台座が上記香炉本体下部に着脱可能に取り付けられる。
この場合、線香を上記蓋体の裏面部に下方に向けて取り付けるに際しては、上記蓋体の裏面部に線香挿入孔を形成して線香の一端を挿入固定する構成、また上記蓋体の裏面部に線香クリップを設けてクリップする構成などの各種の方法が採用される。
(3)請求項3の発明の課題解決手段
請求項3の発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段において、上記香炉本体外周部の水平な複数本のスリットの上部には、同スリットから出る線香の煙を水平方向外方にガイドする煙ガイド片が設けられていることを特徴としている。
(3)請求項3の発明の課題解決手段
請求項3の発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段において、上記香炉本体外周部の水平な複数本のスリットの上部には、同スリットから出る線香の煙を水平方向外方にガイドする煙ガイド片が設けられていることを特徴としている。
このような構成によると、香炉本体外周部の水平な複数本のスリットから出て、香炉本体の外周面に沿って香炉本体上方に立ち昇ろうとする層流状態の煙が、同スリット上部の煙ガイド片により所定の距離水平方向外方にガイドされ、水平方向外方への広がりを持って緩やかに香炉本体上方に上昇するようになる。
その結果、そのようなガイド片が無い場合に比べて、香炉本体上方に上昇する煙の蓋体上部での剥離による収束作用がやや低減され、ボリューム感のある帯状の煙を実現することができる。
(4)請求項4の発明の課題解決手段
請求項4の発明の課題解決手段は、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段において、唐木材を用い、該唐木材の木肌を活かして構成されていることを特徴としている。
(4)請求項4の発明の課題解決手段
請求項4の発明の課題解決手段は、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段において、唐木材を用い、該唐木材の木肌を活かして構成されていることを特徴としている。
このような構成によると、使用する各種唐木材による木肌を活かした所望の形態の香炉を構成することができ、外観的に非常に斬新な香炉を実現することができる。しかも、木材として、非常に硬度が高く、不燃性の高い唐木材を用いているので、火災の危険が無く、木目を含めた木肌も非常に美しい。
木肌部分は、木目構造又は切り裂き構造などの種々の形態に形成することができ、そのように構成した場合、より斬新なデザインのものとなり、より工芸性、芸術性の高い香炉を実現することができる。
以上の結果、この出願の発明によると、香炉自体の外観を従来にない斬新な構造、デザインの香炉に形成することができることはもちろん、複数本の水平なスリットにより層流化されて排出される幅の広い滝のような煙を、緩やかな揺らぎを伴いながら香炉全体を包み込む状態で緩やかに立ち昇らせることができ、煙自体で幽玄的な雰囲気を醸し出すことができる。
したがって、個人の嗜好に応じた新しい香炉構造の実現、また、芸事や宗教儀式で求められている、美的価値に富み、芸術性が高い舞台装置としての香炉構造の実現に適したものとなる。
以下、この出願の発明に係る香炉を実施するための形態について、詳細に説明する。
この実施の形態における香炉は、線香等の香材を収納する香炉本体部分が、たとえば唐木材等の、美しい木目模様を有し、かつ硬度が高くて燃えにくい材質の木材により形成されていると共に、当該香炉本体外周部の上下方向に所定の間隔を置いて多数本の水平なスリットを有し、それら各スリット部分から層流状態で排出される煙を香炉本体の側壁面に沿わせて香炉本体の上端面部分に集め、同香炉本体の上端面部分から香炉本体の上方に向けて、適切な揺らぎを伴った状態で、ダイナミックに立ち昇らせるようにしたことを特徴としている。
そして、同香炉は、素材の選択や全体の構成、外観のデザインの仕方によって、仏具としての香炉はもちろん、香道用具としての香炉、セラピー用具としての香炉、さらには香炉機能を持った彫刻的なオブジェなどとしても利用することができるようになっている。
添付の図1〜図20は、この出願の発明の実施の形態に係る香炉の全体および各部の構成、並びに実際の使用状態を示している。
これらの図中、符号1はこの出願の発明の実施の形態に係る香炉全体を示しており、該香炉1は、大きく分けて、上下方向に長い直方体構造の香炉本体2と、該香炉本体2を着脱可能に支持している直方体構造の台座3と、上記香炉本体2の上部に着脱可能に載置されている直方体構造の蓋体4とから構成されている。
香炉本体1は、上下方向に所定の長さを有する前後に薄い直方体構造をなし、たとえば図5、図10、図11、図12に示すように、中央部には所定の内径の煙滞留空間(円筒形状の孔)21が設けられている。この煙滞留空間21は、上端側から下端側まで同径状態で貫通している。
他方、符号22,22・・、22,22・・は、同香炉本体2の幅の広い前後両面の左右両端間全体に亘って設けられた水平な多数本のスリットであり、香炉本体2の前後対向面方向に水平に所定の深さ切り込むことによって、上記所定の内径の円筒形状の煙滞留空間21の前後所定円弧角範囲で相互に連通する連通口を形成する形で、上下方向に所定の間隔を保って多段構造に設けられている(特に図19の構成を参照)。この多数本の水平なスリット22,22・・、22,22・・の上下隙間寸法は、少なくとも上記煙滞留空間21内の煙を緩やかに排出できる程度の寸法で十分である。
香炉本体2の上端面部分には、上記煙滞留空間21の上端側開口部を挟んで、それぞれ所定の高さの蓋体取り付け部23,23が設けられている(図5、図11〜図13を参照)。この蓋体取り付け部23,23の前後方向の幅は、上記煙滞留空間21の内径(直径)よりも小さく形成され、それにより蓋体4の取り付け状態において、蓋体4と香炉本体2の上端面との間に上記同様の水平なスリット22,22を形成するようになっている。この蓋体取り付け部23,23の中央部には、たとえばネオジム磁石よりなるマグネット24,24が埋設されており、このマグネット24,24を利用して、次に述べるように蓋体4が着脱可能な状態に取り付けられるようになっている。
蓋体4は、たとえば図6および図7に示すように、上記香炉本体2の上端面の外径寸法(水平断面寸法)に対応し、所定の厚さを有する直方体構造のものよりなり、中央部裏面側には所定の深さの線香挿入孔41、中央部表面側には線香挿入孔41よりも内経の小さい線香突き落とし孔41aが同軸に設けられている。線香挿入孔41は、たとえば図15のように線香10の上端部(図16の使用状態で上端部となる)10bが挿入され、それによって線香10が蓋体4の裏面部に固定される。線香突き落とし孔41aは、図15のように挿入固定された線香10が図20のように上端部10b側まで燃え尽きた時に、新たな線香10を挿入できるように挿入されている上端部10bの燃え残り部分を細いピン部材で押し出すためのものである。
また、蓋体4の裏面側左右両端部には、上記香炉本体2上端面部の蓋体取り付け部23,23のマグネット24,24に対応するマグネット42,42が埋設されており、それら各マグネット24,24、42,42の相互の吸着作用によって、上記香炉本体2上端面部の蓋体取り付け部23,23部分に蓋体4が適切に位置決めされた状態で取り付けられる。マグネット42,42もマグネット24,24と同様のネオジム磁石よりなっている。ネオジム磁石は、非常に磁気的な吸引力が強く、マグネット42,42は、マグネット24,24と吸着面の形状及び寸法を同じにして置きさえすれば、同軸状態で正確に吸着固定され、全体が相互に正確に位置決めされた、図1〜図4のような状態で吸着固定される。そして、このような蓋体4の取り付け状態において、同蓋体4と香炉本体2の上端面との間に上記スリット22,22を形成する。
また、蓋体4の裏面側左右両端部には、上記香炉本体2上端面部の蓋体取り付け部23,23のマグネット24,24に対応するマグネット42,42が埋設されており、それら各マグネット24,24、42,42の相互の吸着作用によって、上記香炉本体2上端面部の蓋体取り付け部23,23部分に蓋体4が適切に位置決めされた状態で取り付けられる。マグネット42,42もマグネット24,24と同様のネオジム磁石よりなっている。ネオジム磁石は、非常に磁気的な吸引力が強く、マグネット42,42は、マグネット24,24と吸着面の形状及び寸法を同じにして置きさえすれば、同軸状態で正確に吸着固定され、全体が相互に正確に位置決めされた、図1〜図4のような状態で吸着固定される。そして、このような蓋体4の取り付け状態において、同蓋体4と香炉本体2の上端面との間に上記スリット22,22を形成する。
台座3は、たとえば図8及び図9に示すように、上記香炉本体2の下端面の外径寸法(水平断面寸法)に対応し、所定の厚さを有する直方体構造のものよりなり、中央部上面側には上記煙滞留空間21の内径と同様の内径を有する所定の深さの灰受け溝31が同軸状態で設けられている。また、その左右両端側には、上記香炉本体下端面(台座3への取り付け面)のマグネット25,25に対応するマグネット32,32が埋設されており、それら各マグネット25,25、32,32の相互の吸着作用によって、上記香炉本体2の下端面が台座3の上面に適切に位置決めされた状態で取り付けられる。これにより、同香炉本体2の台座3への取り付け状態では、その内側の上記煙滞留空間21の下端が灰受け溝31に同軸状態で連結される(図1〜図4の状態を参照)。この図1〜図4の状態が、台座3の上部に香炉本体2が取り付けられ、さらに香炉本体2の上部に蓋体4が取り付けられた組み付け完了状態の香炉構成である。この状態で、線香(香材)10が収納されたのが図16である。
次に、実際に同香炉1内に線香(香材)10を収納し、香炉本体2のスリット22,22・・、22,22・・から煙を排出させる使用方法について説明する。
香炉1内への線香10の収納に際しては、先ず図5に示すように、図1〜図4の状態にある香炉1から、香炉本体2上端側の蓋体4をマグネット24,24、42,42相互の吸着力に逆らって取り外し、たとえば図7のような線香挿入孔41を有する裏面側を上にした状態にする。
そして、この状態において、同線香挿入孔41内に、たとえば図15のように線香10の一端を挿入し、容易に外れない状態に固定する。
次に、このように蓋体4の裏面側に線香10を立てた状態で下端(先端)10a部分にマッチ等で火を付け、その後、蓋体4の裏面側を下方に向け、線香10をその下端(先端)10a側から香炉本体2の煙滞留空間21内に挿入し、図16に示すようになった状態で、マグネット24,24、42,42により蓋体4を確実に固定する。
この場合、線香10の長さは、同図16に示すように、多段構造のスリット22,22・・、22,22・・を備えた香炉本体2の高さに応じた十分な長さを有するものが選ばれており、ほぼ最下段のスリット22、22位置まで届くようになっている。
このようにして、香炉1内にセットされた長尺の線香10は、通常の線香とは逆に、下から上に燃焼して行くので、種類が同じで、太さが同じ線香の場合でも、通常の線香の場合よりも燃焼速度が速くなる。その結果、下方側に線香を立てて燃焼させる場合に比べて、単位時間内に発生する煙の量が多くなり、上記煙滞留空間21内に溜る煙の量も多くなる。
そして、上記煙滞留空間21内の煙は、緩やかに下方側から上方側に集まり、一定量以上の煙が溜ると、やがて上方部のスリット22,22・・、22,22・・との所定円弧角の連通口21a,21a部分(図16で見えているスリット22,22・・の内端部分および図19参照)から左右幅方向に帯状に広がりながら層流状態で外部に出て行き、スリット22,22・・、22,22・・の外端部分から香炉本体2〜蓋体4の上方に緩やかに昇って行く。この状態は、上記煙滞留空間21内の煙の滞留量が増えてくると、やがて中央部から下段のスリット22,22・・、22,22・・からも煙が同様にして排出されるようになり、たとえば図17、図18、図21の画像図に示されるように、最後には香炉1の全体が煙に包まれるようになる。
このような多層、多段構造のスリットでの下方から上方に相互に重なり合う層流状態での煙の排出は、煙排出口が単なる一部の開放空間で、しかも閉状態に近い煙の滞留空間21が無い一般の香炉では全く想定することができず、深い幽玄さを感じさせる、彷彿たる揺らぎを伴った豊かな上昇煙を実現することができる。
しかも、この実施の形態の場合、上記台座3、香炉本体2、蓋体4の全てが、不燃性で、熱や煙の影響があっても、木目や色が変化せず、外観的に装飾的なオブジェを感じさせる唐木材により形成されている。したがって、たとえば図21の画像図に示すような、自然木を利用した木彫り彫刻的な香炉をも形成することができる。したがって、そのような構成を採用すると、より幽玄さを、より美しく表現することができる。
ところで、以上のようにして香炉1内に収納した線香10は、たとえば図20に示すように、やがて挿入した上端10b側蓋体4の線香挿入孔41部分付近まで燃焼して燃え尽きるが、この燃焼によって落下する灰10cは、下方の台座3の中央部に設けられている煙滞留孔21と同径で、所定の深さの灰受け溝31内に集められる。この灰受け溝31の容積は、相当の本数の線香10の灰を収納できる容積に形成されているので、余裕を持って使用することができる。
また、一定量の灰が溜れば、上記台座3部分から香炉本体2を取り外して、灰受け溝31内の灰10cを捨て、再び香炉本体2を取り付けて使用すれば良い。この場合、たとえば上記図20に示すように、線香10の上端10bが蓋体4裏面側の線香挿入口41部分に燃え残る可能性があるが、蓋体4の中央部上面側には、このような燃え残った線香を上方からピン部材を挿入して下方に突き落とすことができる線香突き落とし孔41aが設けられているので、同線香突き落とし孔41aを利用して確実に排除し、灰受け溝31内に集めることができる。したがって、支障なく新たな線香10を線香挿入孔41に挿入固定することができる。
<この出願の発明の実施の形態に係る香炉の煙排出作用について>
この出願の発明の実施の形態の香炉では、たとえば図21の画像図に示すように、線香10等の香材(薫料)を収納する台座3及び蓋体4を含めた香炉本体2部分が、唐木材等の、美しい木目模様を有し、かつ硬度が高くて燃えにくい材質の木材により形成されていると共に、当該香炉本体2外周部の上下方向に所定の間隔を置いて多数本の水平なスリット22,22・・、22,22・・を有し、それら各スリット22,22・・、22,22・・部分から層流状態で排出される煙を香炉本体2の側壁面に沿わせて香炉本体2上部の蓋体4上端面部分に集め、同香炉本体2の上端面部分から香炉本体2の上方に向けて、適切な揺らぎ(乃至うねり)を伴った状態で、幽玄的、かつダイナミックに迫力のある状態で立ち昇らせるようにしたことを特徴としている。
この出願の発明の実施の形態の香炉では、たとえば図21の画像図に示すように、線香10等の香材(薫料)を収納する台座3及び蓋体4を含めた香炉本体2部分が、唐木材等の、美しい木目模様を有し、かつ硬度が高くて燃えにくい材質の木材により形成されていると共に、当該香炉本体2外周部の上下方向に所定の間隔を置いて多数本の水平なスリット22,22・・、22,22・・を有し、それら各スリット22,22・・、22,22・・部分から層流状態で排出される煙を香炉本体2の側壁面に沿わせて香炉本体2上部の蓋体4上端面部分に集め、同香炉本体2の上端面部分から香炉本体2の上方に向けて、適切な揺らぎ(乃至うねり)を伴った状態で、幽玄的、かつダイナミックに迫力のある状態で立ち昇らせるようにしたことを特徴としている。
そこで、このような顕著な作用を実現することができる本願発明の実施の形態の香炉の構成と作用について、添付の図17〜図19の説明図および図21の画像図を参照して、さらに詳細に説明しておく。図21の画像図に示す香炉1は、基本的に上述の図1〜図16の構成に対応して製作した試作品であるが、側面(図3に対応)の一方側を唐木の切り裂き構造面に構成して、より工芸品風に仕上げている。しかし、その他の構成は、上述の図1〜図16の構成のものと全く同様である。
すなわち、以上のような香炉構造によると、まず香炉本体2内の煙滞留空間21内にあって蓋体4の裏面部から下方に延びる線香10がその下端10a側から上端10b側に燃焼して行くことにより、燃焼速度が速く、単位時間内に発生する煙の量が、上から下に燃焼させる通常の燃焼方法に比べて遥かに多くなる。そして、それにより、香炉本体2の煙滞留空間21内の上方側から下方側に速やかに煙(所定の香気を伴う薫煙)が滞留し、充満して行く。そして、煙滞留空間21内に煙が一定量溜ると、香炉本体2の外周部前後両面側にあって上下方向に所定の間隔を置いて多段構造に設けられていて、上記断面円形(円筒型)の煙滞留空間21を外部に連通させる水平な複数本のスリット22,22・・、22,22・・を介して外部に煙S1、S1・・、S1,S1は・・が所定の幅を持った層流状態で排出されるようになる。ここで排出される煙S1、S1・・、S1,S1は・・の量は、下方側のスリットより上方側のスリットの方が多いが、下方側のスリットからも所定量の煙が排出される。
この層流状態で所定の幅を有する煙S1、S1・・、S1,S1は・・、図19のようにして形成される。すなわち、この実施の形態の場合、上記香炉本体2中央の煙滞留空間21は断面円形(円筒型)であり、この断面円形(円筒型)の煙滞留空間21に対して、その前後両面側から水平方向に対向するように多数のスリット22,22・・、22,22・・が切り込まれており、同スリット22,22・・、22,22・・が断面円形(円筒型)の煙滞留空間21と所定の円弧角(例えば100度)部分で交錯することにより、符号21a,21aで示す所定左右幅の連通口が形成されている。
なお、符号2a,2aは、上記煙滞留空間21もスリット22,22・・もない香炉本体2の内実部(香炉本体壁)であり、中央の煙滞留空間21の左右両側に位置して、前後両側のスリット22,22・・、22,22・・を仕切っている。この香炉本体2の内実部(香炉本体壁)2a,2aの前後幅は、上記煙滞留空間21の円弧角で見ると、上記連通口21a,21aの開口幅(100度)より小さい80度程度に形成されている。
そして、断面円形(円筒型)の煙滞留空間21内に滞留(充満)した煙は、図19中の矢印に示すように、上記連通口21a,21aを介して前後両側のスリット22,22・・、22,22・・側に出てゆくが、スリット22,22・・、22,22・・の左右幅は連通口21a,21aの左右幅よりも遥かに大きい。そのため、上記連通口21a,21aを出た煙は、図示のごとく、左右に大きく拡散され、スリット22,22・・、22,22・・部分の全体を圧力(粒子密度)が均一な層流に整流されながら、出口側に流れてゆく(拡散作用と整流作用による煙の層流化)。このとき、連通口21a,21aの左右両側部分では、境界層の剥離により後流(圧力低下と乱流)が生じて内実部2a、2a面側に引き付けられるので、よりスリット内左右への拡散が生じやすくなる。
その後、同煙は各スリット22,22・・、22,22・・の出口から出て直交方向上方に上昇して行くが(図17および図18中の矢印を参照)、各スリット22,22・・、22,22・・の出口上縁部下流部分では後流状態となり、一部流れの剥離を伴ない(図18中の符号C1、C1・・で示すカルマン渦を参照)、それによる相対的な負圧の作用(スリット22,22・・、22,22・・の出口上縁部下流部分で剥離による後流が発生すると、左右に広く帯状に層流化された煙S1、S1・・、S1,S1・・の外側より内側の圧力が低下する)で香炉本体2の外周面(側壁面)側に引き付けられ、同香炉本体2の外周面(側壁面)に沿って立ち昇って行く層流となる。
すなわち、この状態では、上記スリット22,22・・、22,22・・の出口上縁部下流部分で発生する剥離による後流C1、C1・・、C1、C1・・が、層流状態で上昇する煙S1、S1・・、S1,S1を外方に飛散(拡散)させることなく、香炉本体2の側壁面に沿って上昇させる吸引作用を果たすと共に、香炉本体2の側壁面がそのガイド面の作用を果たす。したがって、より層流化が促進される。
そして、その結果、上記各スリット22,22・・、22,22・・からの層流状態の煙S1,S1・・、S1,S1・・は、下方から上方に向かうに従って相互に効率良く合流し、蓋体4の上端部分では最も煙粒子密度の高い煙色の濃い層流状態の煙S2となるが、同蓋体4の上端縁内側部分で再び境界層が剥離し、後流C2を発生させる(図18を参照)。その結果、蓋体4の上部面部分の領域の圧力P2は、外周囲の空気の圧力P1よりも低くなり、常時内向きの乱流が生じた状態となる(図18の状態を参照)。この後流C2発生による相対的な負圧P2、および同負圧P2領域における乱流成分により、蓋体4の上部面には何ら煙排出用の開口がない閉面(盲面)であるにも関わらず、あたかも同蓋体4の上部面から多量の煙が発生しているような状態を呈し、実際にもそのように見えるようになる(図20の画像図面中における煙S2〜S3を参照)。
そして、同蓋体4の上部面から上昇する上記香炉本体2及び蓋体4の両側又は周囲からの層流S2は、蓋体4の上部面から上昇するにつれて、上記後流状態発生による負圧P2(P2<P1)で内側に収束され(断面積縮小)、さらに煙の密度を高め、やや乱れた層流となって(所定量の乱流成分を伴う層流となって)蓋体4の上方に緩やかな揺らぎを伴いながら立ち昇って行くことになる。
この何の開口もない蓋体4の上面部全体から上方に収束(左右方向の幅が広く、前後方向に扁平な帯状に収束)しながら立ち昇って行く層流状態の煙S3は、上述のように香炉本体2及び蓋体4の両側又は周囲のスリット22,22・・、22,22・・からの煙が効率良く合流したものであり、煙の粒子密度が高く煙色も濃い滝のような層流となっている。そして、この層流S3には、上記のように蓋体4の上端縁部分で発生した剥離による所定量の乱流成分が含まれている。したがって、同蓋体4の上面部全体から上方に立ち昇って行く層流状態の煙S3は、左右方向の幅が広くて、前後方向に偏平な(しかし、断面積も比較的大きい)、煙色も濃い明瞭な煙の集合体でありながらも、緩やかな揺らぎ(乃至うねり)を生じながら、ゆっくりと上方に高く立ち昇って行く幽玄的、かつ幻想的なものとなる。
しかも、このような層流状態の煙S3が、室内における空気の流れや対流によって、右へ、左へ大きく泳ぐことになる。そのため、非常にダイナミックで、迫力のある煙排出機能を伴う香炉を実現することができる。
その結果、このような香炉構造によれば、個人の嗜好に応じた新しい香炉構造や、また、芸事や宗教儀式で求められている、美的価値に富み、芸術性が高い舞台装置としての香炉構造を容易に実現することができる。
さらに、そのような煙S3部分に、所望の色のLEDライトを照射するようにすると、変幻自在なオーロラを見るような美しい煙のアートを実現することも可能となる。
また、同香炉構造によれば、不規則さと規則正しさが調和した1/fの煙の揺らぎを実現することができる。揺らぎには、いくつかの種類があるが、規則的な中にも不規則性が混在しており、人間が最も心地良く感じることができる揺らぎが1/fの揺らぎである(fは周波数)。
上記のように緩やかに立ち昇る煙の揺れは、予測できない空間的あるいは時間的な変化や動きであり、正に1/fの揺らぎに該当する。この1/fの煙の揺らぎは、香気成分の効果と共に、精神状態を安定させるセラピー効果が高い。したがって、以上の構成の香炉の場合、1/f揺らぎによる癒し機能を持ったセラピー製品としても有効に構成することができる。
また、以上の構成の場合、香炉本体2の前後外周部の下端から上端までの間に、所定の間隔で多数のスリット22,22・・、22,22・・が設けられており、これら多数のスリット22,22・・、22,22・・の隙間を介して、香炉本体2内部の煙滞留孔21内の線香10の消耗状態を監視することができるようになっており、それら多数のスリット22,22・・、22,22・・が、いわば線香10の燃焼状態(消耗又は消失)を示す物差しの目盛として機能する。したがって、香材としての線香10の交換も無駄なく確実に、適切なタイミングで行うことができる。
また、同構成は、周囲をほの暗くした時などには、一つの芸術的な装飾灯にも変貌する。
上記のように、この実施の形態における上記香炉本体2の煙滞留空間21およびスリット22,22・・、22,22・・部分は、線香10から発生した煙を所定時間内溜めて、十分な量で、動きの安定したものとし、さらに、それを拡散整流して、有効な左右幅の層流に形成する基礎的な煙加工部としての機能を果たしている。香炉1の上部および上方に生じさせる帯状の煙の量や形体も基本的にはここで決まる。そのため、煙滞留空間21の容積やスリット22,22・・、22,22・・の設置数、隙間寸法、煙滞留空間21のスリット22,22・・、22,22・・との連通口21a,21aの開口幅や上下寸法は、それらのことを考慮して適切に決定されている。
また、同構成の場合、上記煙滞留空間21は、開口径(上下左右共に)の小さい連通口21a,21a、隙間寸法の小さいスリット22,22・・、22,22・・を介して2段階的に外部に開放されているだけであり、実質的には密閉されているに等しく、殆ど外部環境(外乱)の影響を受けない。受けるのはスリット22,22・・、22,22・・を出た後だけであり、しかもスリット22,22・・、22,22・・を出た後の場合も、以上に述べたような作用で、安定した層流状態に維持される。したがって、エアコンや人の多い環境でも比較的安定した煙の発生が可能である。
なお、以上の構成では、香材である線香10を蓋体4の裏面部側に設けた線香挿入孔41に挿入して、線香10を上方側から下方側に向けて収納するようにしたが、線香10は台座3の灰受け溝31側に設けるようにしても基本的な作用は変わらない。その場合にも、線香10の種類や特性、太さを選ぶことにより、必要にして十分な量の煙を発生させることが可能である。
また、使用する香材は、必ずしも線香10に限られるものではなく、各種の形態の香料、薫料を使用することができる。
なお、以上のように蓋体4の裏面部に下方に向けて線香10を取り付ける取り付け構造としては、上述のような線香挿入孔41を設ける構成以外に、たとえばピンチ構造のお香クリップを設けてクリップできるようにしても良い。このようにすると、上述した線香挿入孔41や線香突き落とし孔41aが不要になり、蓋体4の構造がシンプルになるし、汚れなくて済む。燃え残りも生じないので、線香10の交換も容易である。
また、以上の構成では、香炉本体2、台座3、蓋体4の全体を前後方向に偏平な直方体構造のもので構成したが、これら全体を円筒体構造に形成することも可能であり、その場合にも全く同様の作用効果を実現することができる。
<変形例1>
次に、図22は、上記実施の形態の変形例1に係る香炉1の構成を示す上述の図1と同様の状態における斜視図である。
次に、図22は、上記実施の形態の変形例1に係る香炉1の構成を示す上述の図1と同様の状態における斜視図である。
この変形例1の構成では、上記実施の形態の香炉1の下端側、台座3の下部に転倒防止用の前後左右に幅の広い台板5を設けたことを特徴とするものである。
上記実施の形態の香炉1は、不燃性の唐木等で形成されているとは言っても多くのスリット22,22・・、22,22・・があるし、比較的上下方向の高さが高い。また、香炉本体2の内部には、煙滞留空間21があり、火気である線香10が収納されている。
したがって、より転倒し難い構造のものであることが好ましい。この変形例1では、そのために台座3の下部に転倒防止用の前後左右両方向に幅の広い台板5を設けたものである。このような構成を採用すると、香炉1の安定性、安全性が確実に向上する。
<変形例2>
次に、図23は、上記実施の形態の変形例2に係る香炉1の構成を示す上述の図1と同様の状態における斜視図、図24は、同上述の図3と同様の側面図である。
次に、図23は、上記実施の形態の変形例2に係る香炉1の構成を示す上述の図1と同様の状態における斜視図、図24は、同上述の図3と同様の側面図である。
この変形例2の香炉1の構成では、上記実施の形態の香炉1における各スリット22,22・・、22,22・・の直上端側に水平方向に所定寸法突出した庇(ひさし)構造の煙ガイド片26,26・・、26.26・・を設け、各スリット22,22・・、22,22・・から排出される煙を、それぞれ少し水平方向外方にガイドした上で、実施の形態同様に蓋体4の上方に収束させるようにしたことを特徴とするものである。
このような構成を採用すると、揺らぎながら香炉1を取り囲むように立ち昇る煙が周囲に広がりやすくなり、より広い範囲で揺らぎながら上昇することから、上昇する煙のボリューム感を向上させることができる。
この場合、上述した実施の形態のものと異なり、スリット22,22・・、22,22・・を出た層流状態の煙(S1、S1・・、S1,S1・・/図示省略)が、そのまま香炉本体2の側壁面に沿って上昇するのではなく、煙ガイド片26,26・・、26.26・・によって、一旦水平方向外方に広げられた後に上昇するが、煙ガイド片26,26・・、26.26・・部分でやはり同様の境界層の剥離を生じ、略香炉本体2の側壁面側に沿う形で上昇するので(2段階的にはなるが)、上述した実施の形態とほぼ同様の作用効果を実現することができる。
<変形例3>
次に、図25は、上記実施の形態の変形例3に係る香炉1の構成を示す上述の図1と同様の状態における斜視図である。
次に、図25は、上記実施の形態の変形例3に係る香炉1の構成を示す上述の図1と同様の状態における斜視図である。
この変形例3の構成では、上記実施の形態の香炉1の左右両端側にも、中央の煙滞留孔21に連通する同様の形状のスリット27,27・・、27,27・・を設けて、香炉本体2の左右両面側でも前後両面側と同様の多層構造の揺らぎを伴った煙を排出させるようにしたことを特徴とするものである。
このような構成を採用すると、香炉1の前後両面側及び左右両面側において、多層構造の揺らぎを伴った煙を排出させることができるようになり、より幽玄的で立体感のある揺らぎのある煙を実現することができる。
1は香炉、2は香炉本体、3は台座、4は蓋体、5は台板、21は煙滞留空間、21aは連通口、22はスリット、31は灰受け溝、41は線香挿入孔である。
Claims (4)
- 所定の高さを有し、内部に上下方向に延びる煙滞留空間、外周部に上下方向に所定の間隔を置いて上記煙滞留空間を外部に連通させる水平な複数本のスリットが設けられた香炉本体と、該香炉本体の上部に着脱可能に設けられ、上記煙滞留空間を覆う蓋体とからなり、上記煙滞留空間内に所定の香材を収納して燃焼させ、同燃焼により発生する煙を上記水平な複数本のスリットを通して層流化することにより、上記蓋体の上方に層流状態で揺らぐ煙を生ぜしめるようにしたことを特徴とする香炉。
- 上記香材が線香であり、同線香は上記蓋体の裏面部に下方に向けて取り付けられるようになっていると共に、上記香炉本体の下部には着脱可能な台座が設けられており、同台座の上面側には、上記線香に対応する灰受け溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の香炉。
- 上記香炉本体外周部の水平な複数本のスリットの上部には、同スリットから出る線香の煙を水平方向外方にガイドする煙ガイド片が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の香炉。
- 唐木材を用い、該唐木材の木肌を生かして構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の香炉。
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