JP3225908U - 香炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の伝統様式に拘らない、煙の出方が斬新で、工芸品性にも優れた新たなタイプの香炉を提供する。【解決手段】香炉は、下部に香材(線香5)を収納する香材収納部、上部に香材からの煙を滞留させる煙滞留空間31を備えた匡体3と、匡体の煙滞留空間を挟んで対向する縦壁部34に設けられた刳り抜き孔33とからなり、匡体縦壁部の刳り抜き孔から香材の煙を流出させるようにし、匡体縦壁部の刳り抜き孔がデザイン化された所定の装飾模様を構成し、刳り抜き孔を介して層流化された煙滞留空間からの煙を匡体の縦壁部に沿って上昇させ、匡体の上端部で合流一体化させた上で匡体の上方に立ち昇らせるようにした。【選択図】図9
Description
本願考案は、香材からの煙を装飾模用としてデザイン化された刳り抜き孔を介して流出させ、香炉上部から緩やかに立ち昇らせることができるようにした香炉の構造に関するものである。
固体状の香料を加熱し、香気成分を発散させる目的で使用される器が、一般に香炉と呼ばれるものである。用途は必ずしも仏具には限られないが、我が国では仏具として認識されることが多い。仏具としての香炉は、灯明(燭台)、花瓶(花立て)と共に、三具足(および五具足)の一つとされている。
これまでの香炉(容器)は、一般に上面又は側面に大きく開口した筒、椀、箱、皿よりなっており、床や机との接触を避ける目的で、脚部を備えている。中には穴の空いた蓋を有するものもある。火気を使用する関係で、陶磁器や金属、石材などで作られているものが多い。薫香に用いる火気としては、炭火や線香火が用いられるが、炭火の場合には高熱になるので灰の中に埋めて使用される。
また、香炉には、煙と香りの両方を利用するもの、煙を好まず香りを中心とするものなど、用途に応じた種々の形態のものがある(従来の一般的な香炉の一例として、特許文献1の構成を参照)。
以上のように、香炉には種々の形態のものがあり、広い意味での香炉の構成やデザイン、大きさなどは比較的自由である。また、香を焚くという行為自体が本来趣味性の高いものであり、今日では個人の嗜好に応じた新しい形態のものが求められている。また、芸事や宗教儀式では、香炉は一種の舞台装置であり、美的価値、芸術性の高いものであることも求められている。
しかし、現在市場に提供されている香炉は、一般に金属製、陶器製の伝統的な構成のものが殆どであり、格別これと言って斬新な構成のものは見当たらない。特に香料及び火気を兼用し、煙と香りの両方を楽しむ線香を用いた香炉の場合、殆どのものが線香の煙をそのまま空気中に立ち昇らせるようにしたものにすぎない。
このような従来の構成の場合、香りはともかく、線香からの煙が開口部から単に一筋の煙となって立ち昇り、やがて空気中に消えて行くだけであり、香炉からの煙の出し方、香炉から出す煙の量、香炉から出された煙の空中における立ち昇らせ方などの、煙自体の特性、態様を考慮した香炉のデザイン(構成、形態の設計)が全くなされていない。
また、唐木材など木目や木肌(削成肌を含む)の美しい木材を使った、工芸品、美術品的な構成の香炉も見当たらない。
したがって、上述のような個人の嗜好に応じた新しい香炉構造の実現、また、芸事や宗教儀式で求められている、美的価値に富み、芸術性が高い舞台装置としての香炉構造の実現には至っていない。
この出願の考案は、このような課題を解決するためになされたもので、線香等の香材からの煙を装飾模用としてデザイン化された刳り抜き孔を介して流出させ、香炉上部から緩やかに立ち昇らせることができるようにすることによって、上述のような要求に応じられるようにした新たな構成の香炉を提供することを目的とするものである。
この出願は、上述のような課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の考案の課題解決手段
請求項1の考案の課題解決手段は、下部に香材を収納する香材収納部、上部に香材からの煙を滞留させる煙滞留空間を備えた匡体と、該匡体の上記煙滞留空間を挟んで対向する縦壁部に設けられた刳り抜き孔とからなり、該匡体縦壁部の刳り抜き孔から香材の煙を流出させるようにしてなる香炉であって、上記匡体縦壁部の刳り抜き孔がデザイン化された所定の装飾模様を構成しており、同所定の装飾模様を構成する刳り抜き孔を介して層流化された上記煙滞留空間からの煙を上記匡体の縦壁部に沿って上昇させ、上記匡体の上端部で合流一体化させた上で上記匡体の上方に立ち昇らせるようにしたことを特徴としている。
請求項1の考案の課題解決手段は、下部に香材を収納する香材収納部、上部に香材からの煙を滞留させる煙滞留空間を備えた匡体と、該匡体の上記煙滞留空間を挟んで対向する縦壁部に設けられた刳り抜き孔とからなり、該匡体縦壁部の刳り抜き孔から香材の煙を流出させるようにしてなる香炉であって、上記匡体縦壁部の刳り抜き孔がデザイン化された所定の装飾模様を構成しており、同所定の装飾模様を構成する刳り抜き孔を介して層流化された上記煙滞留空間からの煙を上記匡体の縦壁部に沿って上昇させ、上記匡体の上端部で合流一体化させた上で上記匡体の上方に立ち昇らせるようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、匡体内上部の煙滞留空間内に滞留している香気成分を含んだ香材からの煙が、煙滞留空間を挟んで対向する匡体縦壁部の刳り抜き孔を介して匡体外に流出し、同刳り抜き孔を介して流出する段階でそれぞれ層流化され、刳り抜き孔の形状に応じた滑らかな2組の帯状の流れとなる。
そして、同滑らかな2組の帯状の流れは、それぞれ刳り抜き孔を出る時に上部匡体縦壁面側で後流渦を生じ、同上部匡体縦壁面に沿う形で匡体の上端部に昇って行き、やがて匡体の上端部側で相互に合流する。しかし、これら合流する2組の帯状の流れは、当該合流時に匡体上端部外周縁で再び匡体上端部内側への後流渦を生じ、それによる圧力の低下によって匡体上端部内側へ収束するようになり、匡体上端部で発生する乱流成分を含んだ状態で所定の揺らぎを伴いながら匡体上方に緩やかに立ち昇って行くようになる。そして、同状態では、恰も閉面状態の匡体上端部面から煙が立ち昇っているように見えるようになる。
しかも、以上の構成では、匡体縦壁部の刳り抜き孔がデザイン化された所定の装飾模様を構成しており、同所定の装飾模様を構成する刳り抜き孔を介して香気成分を含んだ煙が流出するようになっている。したがって、層流化されて流出する帯状の煙も、単に水平なスリットから流出する場合とは異なり、位置によって流出量や層の厚さが異なり、複雑な濃淡状態を呈するようになる。その結果、それら2組の帯状の煙が合流した匡体上方の煙にも同様の濃淡変化が生じる。その結果、より複雑で、変化のある、幻想的な煙を実現することができる。
また、そのような機能を果たす匡体縦壁部の刳り抜き孔が、デザイン化された所定の装飾模様を形成しており、匡体自体に美しく、味のある美感を生ぜしめることができる。この装飾模様は、合流前で、刳り抜き孔を出る状態での帯状の煙の色は全体に薄いこともあり、煙により隠されることもない。したがって、以上の構成の香炉構造では、使用状態においても装飾模様の装飾機能が有効に維持される。
(2)請求項2の考案の課題解決手段
請求項2の考案の課題解決手段は、上記請求項1の考案の課題解決手段において、香材収納部を備えた匡体部と、煙滞留空間を備えた匡体部とがそれぞれ独立した匡体よりなり、相互に着脱可能に結合一体化されるようになっていることを特徴としている。
請求項2の考案の課題解決手段は、上記請求項1の考案の課題解決手段において、香材収納部を備えた匡体部と、煙滞留空間を備えた匡体部とがそれぞれ独立した匡体よりなり、相互に着脱可能に結合一体化されるようになっていることを特徴としている。
このようにすると、香材収納部を備えた匡体部、煙滞留空間を備えた匡体部それぞれの形成、加工、清掃が容易となり、また線香等の香材の収納、交換が容易となる。
着脱可能に結合する結合手段としては、ネオジム磁石等のマグネットが使用される。
(3)請求項3の考案の課題解決手段
請求項3の考案の課題解決手段は、上記請求項1又は2の考案の課題解決手段において、匡体が木目および木肌を生かした唐木材により構成されていることを特徴としている。
請求項3の考案の課題解決手段は、上記請求項1又は2の考案の課題解決手段において、匡体が木目および木肌を生かした唐木材により構成されていることを特徴としている。
このような構成によると、上述した匡体縦壁部の刳り抜き孔して、デザイン化された所定の装飾模様を形成しやすくなり、また、同装飾模様を花鳥風月をあしらった風雅なもの、水墨画風のものなど、木目や木肌との組み合わせで、和風の清楚で美しいデザインの香炉を実現することができるようになる。
以上の結果、この出願の考案によると、匡体部の外観を含めて、従来にない斬新な煙の排出構造、排出デザインの香炉を提供することが可能となる。
以下、この出願の考案に係る香炉を実施するための形態について、詳細に説明する。
この実施の形態における香炉は、線香等の香材を収納する香炉が、たとえば唐木材等の木目や木肌が美しく、しかも硬度が高くて、燃えにくい材質の木材により形成されていると共に、当該香炉の前後両縦壁部分に所定の装飾模様を形成する刳り抜き孔(打ち抜き孔)を設け、同刳り抜き孔から当該香炉の前後両縦壁面に沿って煙を上昇させ、最終的に当該香炉の上端面部分から上方に幻想的な状態で立ち昇らせるようにしたことを特徴としている。
そして、同香炉は、素材の選定や構成の仕方、外観のデザインによって、仏具としての香炉はもちろん、香道用具としての香炉、セラピー用具としての香炉、さらには香炉機能を持った彫刻的なオブジェとしても構成することができるようにしている。
添付の図1〜図11は、この出願の考案の実施の形態に係る香炉の全体および各部の構成、並びに使用状態、試作品の構成を示している。
これらの図中、符号1はこの出願の考案の実施の形態に係る香炉全体を示しており、該香炉1は、その匡体部の構造を大きく分けて、内側に所定の深さの線香収納溝21を有する香炉本体(匡体下部)2と、内側に所定の深さの煙滞留空間31を有し、上記香炉本体2の上部に着脱可能な状態で結合一体化される蓋体(匡体上部)3と、上記香炉本体2の線香収納溝21底部に設置された線香パッド4とから構成されている。
香炉本体2は、左右に長く、前後に短い、偏平な直方体構造をなし、上記のように内側に所定の深さの線香収納溝21を設けている。線香収納溝21の左右の長さは、香炉本体2自体の長さよりも所定寸法短かく形成され、左右両端側に所定の左右幅のフラット面部(内実部)23,23を残している。そして、これら各フラット面部23,23部分には、所定の直径の円柱体構造のマグネット(ネオジム磁石)22,22が埋め込まれている。線香収納溝21の深さは、底部に線香パッド4を設置して、その上部に香材である線香5(図8参照)を置くのに最適な深さに形成されている。
線香パッド4は、所定の厚さの例えば繊維体構造の不燃材よりなり、図8のように寝かして置かれた線香5がパッド面側に熱を奪われることなく、かつパッド面側でも十分な空気(酸素)を得ることができるようになっている。これにより、図8の状態の線香5は、空間中に立てられた状態と同様な安定した燃焼状態を得ることができる。
このように、香炉本体2は、上述した蓋体3を載置して支持する蓋体支持部材であると同時に、香材である線香5を収納して支持する線香台となっている。その意味で、この実施の形態では、同部分を指して香炉本体と称している。ただし、全体の大きさで言うと、煙滞留空間31を形成する関係から、後述する蓋体3の方が大きく形成されている。
一方、蓋体3も、左右に長く、前後に短かい、偏平な直方体構造に形成され、下端側の開口面形状、断面形状としては、上記香炉本体2上端側の開口面形状、断面形状に対応している。そして、その下端側開口面の左右両端側は、香炉本体2の線香収納溝21の開口面の場合と同様に所定左右幅のフラット面部(内実部)36,36に形成され、香炉本体2と同じ寸法関係で対応する同様の構成のマグネット(ネオジム磁石)32、32が埋め込まれている。そして、同マグネット(ネオジム磁石)32、32が、上記香炉本体2開口面のマグネット(ネオジム磁石)22、22と吸着することによって、当該蓋体3が上記香炉本体2に対して、図1、図2、図6、図7のように一体に結合される。そして、この結合状態では、香炉本体2と蓋体3は、相互の開口面同士で気密性良く緊密に当接一体化するとともに、相互の木目が一米の唐木の木目部として連続するように構成されている。したがって、前面および後面共に、蓋体3および香炉本体2相互の接面部F,Fの隙間は実質的に目では認識できないような状態となり、当該香炉1は、完全に1枚物の厚手の板材(唐木材)でできているように見える構成となっている(たとえば、図11の試作品の正面側画像図を参照)。
しかし、この蓋体3の場合、上記の香炉本体2と違って、上下方向の高さが高く、内側の煙滞留空間31も下方側から上方側に相当に深いものとなっている(たとえば図5〜図7の構成を参照)。この煙滞留空間31の下端側開口面の形状および寸法は、上記香炉本体2の線香収納溝21の上端側開口面の形状および寸法と完全に一致しており、たとえば図1、図2、図6、図7のように、相互に対向する状態で結合一体化された時には、香炉本体2の線香収納溝21と蓋体3の煙滞留空間31とが相互に連通し、上下方向に所定の高さ寸法を有する密閉された単一の閉空間を形成するようになっている。そして、この閉空間の下部側に線香パッド4および線香5が位置することになる。したがって、この状態において、線香パッド4上の線香5が燃焼すると、線香5からの煙(所定の香気成分を含んだ煙)が蓋体3の上方に深い煙滞留空間31内に充満するようになる。
一方、蓋体3は、その上端面35部分が凹凸状態の隆起のある木肌面構造に形成(デザイン)されていると共に、前後両面側の縦壁部34,34には、装飾模様を構成する、左側から右側に略全体に亘って長く伸びる木の枝をデザインしたスリット構造の刳り抜き孔(打ち抜き孔)33,33が設けられている。本実施の形態の場合、このスリット構造の刳り抜き孔33,33よりなる木の枝(幹)の先端側(右側)部分には鶯が止まっており、同鶯部分も同様に刳り抜かれ、大きめのスリット構造の刳り抜き孔を形成している。また、幹の一部からは小枝も伸びている。この木の枝をデザインした刳り抜き孔33,33は、前面側のものと後面側のものでは、左右の位置が真逆になっており、図1(前面側)および図2(後面側)に示すように、前後両面を逆にしても全く同じスリット形状になるように構成されている。これらの刳り抜き孔33,33は、上述のようにして蓋体3内側の煙滞留空間31内に充満した線香5からの煙(薫煙および香気)を蓋体3の上方に向けて排出する排出溝に形成されている。
すなわち、この実施の形態の香炉1では、上記香炉本体2上に上記蓋体3が被冠一体化された図1および図2の状態において、香炉本体2の線香収納溝21内の線香5が燃焼すると、蓋体3内の煙滞留空間31に一定量の煙が溜るまでは、前後両面側のスリット構造の刳り抜き孔(以下、単に刳り抜き孔という)33,33から外部に煙が出ないが、一定量以上溜って下部付近まで充満するようになると、同刳り抜き孔33,33から次第に煙が流れ出るようになる。
すなわち、同状態では、線香5に対して刳り抜き孔33,33および煙滞留空間31を介して酸素が供給されることにより、線香5が燃焼すると共に、線香5の燃焼による熱によって線香5から出る煙(炭素の微粒子を含む未燃気体)および周囲の空気が加熱され、膨張して上方に昇って行き、煙滞留空間31内に対流を生じさせる。線香5からの煙は、この対流と加熱による内部空気圧の上昇によって、比較的スムーズに刳り抜き孔33,33から外側に流出する。
この刳り抜き孔33,33から外側に流出する煙S1、S1には言うまでもなく流体としての粘性があり、また刳り抜き孔33,33を形成している蓋体3の前後両面側の縦壁部34,34部分には所定の板厚があり、しかも同縦壁部34,34部分は蓋体3の上端面(天面)35部分外周まで真っ直ぐに延びている。したがって、刳り抜き孔33,33から流出する煙S1,S1は、刳り抜き孔33,33を通過し、蓋体3の縦壁部34,34上方に上昇しようとする時に、同縦壁部34,34(の刳り抜き孔33,33上壁面およびそれに連続する縦壁面)との間で生じる粘性摩擦により境界層の剥離が生じて、縦壁面側に図9に示すような後流渦を発生させ、同部分の圧力P1が大気圧P2よりも低くなる。
そのため、刳り抜き孔33,33から流出し、上昇する煙S1,S1は、大気圧P1によって刳り抜き孔33,33の出口部分から縦壁部34,34側に押し付けられるようになり、縦壁部34,34の外周面に沿って層流状態のままスムーズに上昇して行くようになる。つまり、この実施の形態の構成では、縦壁部34,34の刳り抜き孔33,33およびその直後の縦壁面が、上記滞留空間31から流出する煙S1、S1・・を安定した層流状態に整流する整流作用を果たす。
そして、同層流状態となった煙滞留空間31内からの煙S1,S1は、やがて蓋体3の上端面(天面)35の外周縁部分に到達する。そして、この蓋体3の上端面(天面)35の外周縁部分に到達した層流状態の煙S1,S1は、同蓋体3の上端面(天面)35の外周縁部分で再び境界層の剥離を生じ、蓋体3の上端面(天面)35側(中央側)に図9に示すような多数の後流渦を発生させる。そして、このように多数の後流渦が発生すると、同蓋体3の上端面(天面)35部分の圧力P2が周囲の大気圧P1よりも低くなり、同部分から若干の乱流成分を伴って上方に昇って行く蓋体3前後両面側からの煙S1,S1は、前後両面側から大気圧P1、P1によって挟みつけられ、やがて前後方向の厚みが薄い帯状体の煙(蓋体3の前後両面側からの層流状態の煙が一体に収束された煙の集合体)S3に変形され、揺らぎやすい状態になって上昇するようになる。
このように層流状態となった煙滞留空間31内からの煙S1,S1は、蓋体3の上端面(天面)35の外周縁部分に到達し、同蓋体3の上端面(天面)35部分に図9に示すような後流渦を発生させる状態で合流し、煙の量、微粒子量を多くした色も濃い煙の収束体となって上方に昇って行くようになるが、同状態では蓋体3の上端面(天面)35中央部分の後流渦が、あたかも閉面である蓋体3の上端面(天面)35部分から多くの煙を発生させているように見えるようになる。これも幻想的なイメージを抱かせる原因となる。
この前後方向の厚みが薄く、蓋体3の上端面35の左右両端間に亘る帯状の煙は、基本的には、上記蓋体3の前後両面側の刳り抜き孔33,33の層流形成作用(整流作用)により構成されるが、上記蓋体3の前後両面側の刳り抜き孔33,33は、図10(および図11)に示すように、木の枝に鶯が止まった形状の刳り抜き孔により形成されており、蓋体3の左右両端間に亘って伸びている。しかも、同刳り抜き孔は、木の枝の各部の上下方向の高さや形状が異なり、太い幹部分から小枝が伸びている部分もあり、幹の部分や鶯の部分では刳り抜かれた孔部の径も大きくなっている。そのため、層流状態であると言っても刳り抜き孔33,33部分から流出する煙S1,S1・・の流出位置や流出量は一定ではなく、図9のように、蓋体3の上端面(天面)35部分から上方に揺らぎながら昇って行く収束された帯状の煙S2〜S3は、図10のように正面(又は背面)から見た場合、それら形状、寸法、上下位置などが異なる各領域a〜iにおける空気への溶け込み方、煙の濃淡、揺らぎ具合がそれぞれの領域で微妙に異なり、全体として左右方向に長い、幅の広い帯状の煙S3であると言っても、全体として複雑に変化する幻想的なものとなる。特に、この実施の形態の場合、上記木の枝をデザインした刳り抜き孔33,33は、前面側のものと後面側のものでは、左右の位置が真逆になっていることから、合流後の帯状の煙S2〜S3は一層複雑に変化することになる。その結果、より幻想的に構成することができる。
また、この場合、刳り抜き孔33,33部分から流出する層流状態の煙S1,S1・・、S1,S1・・は、いまだ前後両面側のものが合流されていないために層厚が薄く、煙の色も薄い。したがって、木の枝に鶯が止まった水墨画風の絵形状の刳り抜き孔により形成されている刳り抜き孔33,33部分は、殆ど煙の存在を感じることなく鑑賞することができ、刳り抜き孔33,33部分の芸術性、デザイン性を損なうこともない。したがって、刳り抜き孔33,33の刳り抜き孔形状(装飾模様)は、決して図示のものに限られるものではなく、任意の形状のものを採用することができる。
同刳り抜き孔形状(装飾模様)を、たとえば花鳥風月をあしらった風雅なもの、水墨画風のものとすると、木目や木肌との組み合わせで、和風の清楚で美しいデザインの香炉を実現することができる(図11の試作品の画像を参照)。
特に、この実施の形態の場合、上記香炉本体2および蓋体3は、たとえば不燃性で、熱や煙の影響があっても、木目や色が変化せず、外観的にも和のオブジェを感じさせる唐木材により形成されている。したがって、従来の伝統的な香炉では想定できない、それ自体としても美術品、工芸品的な美しさのある香炉を実現することができる。
また、以上の構成の場合、上記線香収納溝21内の線香パッド4は、たとえば金網構造の線香台、または陶器製の線香台に変更することもできる。
1は香炉、2は香炉本体、3は蓋体、4は線香パッド、5は線香、21は線香収納溝、22はマグネット、31は煙滞留空間、32はマグネット、33はスリット、34は前後縦壁部、35は上端面である。
Claims (3)
- 下部に香材を収納する香材収納部、上部に香材からの煙を滞留させる煙滞留空間を備えた匡体と、該匡体の上記煙滞留空間を挟んで対向する縦壁部に設けられた刳り抜き孔とからなり、該匡体縦壁部の刳り抜き孔から香材の煙を流出させるようにしてなる香炉であって、上記匡体縦壁部の刳り抜き孔がデザイン化された所定の装飾模様を構成しており、同所定の装飾模様を構成する刳り抜き孔を介して層流化された上記煙滞留空間からの煙を上記匡体の縦壁部に沿って上昇させ、上記匡体の上端部で合流一体化させた上で上記匡体の上方に立ち昇らせるようにしたことを特徴とする香炉。
- 香材収納部を備えた匡体部と、煙滞留空間を備えた匡体部とがそれぞれ独立した匡体よりなり、相互に着脱可能に結合一体化されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の香炉。
- 匡体が木目および木肌を生かした唐木材により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の香炉。
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