JP2021121026A - 膜構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に形成された導電膜と、導電膜上に形成された圧電膜と、を有する膜構造体において、圧電膜の圧電定数を増加させることができる膜構造体を提供する。【解決手段】膜構造体10は、基板11上に順次形成された導電膜13、膜14及び膜15を有する。導電膜13は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した白金を含む。膜14は、Pb(Zr1−xTix)O3で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した第1複合酸化物を含む。膜15は、Pb(Zr1−yTiy)O3で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した第2複合酸化物を含む。x及びyは、0<x<1、0≦y≦0.1、及び、y<xを満たす。【選択図】 図1

Description

本発明は、膜構造体及びその製造方法に関する。
基板と、基板上に形成された導電膜と、導電膜上に形成された圧電膜と、を有する膜構造体として、基板と、基板上に形成された白金を含む導電膜と、導電膜上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含む圧電膜と、を有する膜構造体が知られている。
国際公開第2016/009698号(特許文献1)には、強誘電体セラミックスにおいて、Pb(Zr1−ATi)O膜と、当該Pb(Zr1−ATi)O膜上に形成されたPb(Zr1−xTi)O膜と、を具備し、A及びxが、0≦A≦0.1及び0.1<x<1を満たす技術が開示されている。
国際公開第2016/009698号
PZTを含む圧電膜では、例えば分極方向に平行な方向、又は、分極方向と一定の角度を有する方向に沿った電界が印加される場合に、圧電定数が大きい。そのため、圧電膜の大部分が互いに同一の方向に配向していたとしても、圧電膜の一部がその方向と異なる方向に配向していた場合、圧電膜全体で分極方向が揃わないため、圧電膜の圧電定数を増加させることができず、圧電素子の特性が低下する。
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、基板上に形成された導電膜と、導電膜上に形成された圧電膜と、を有する膜構造体において、圧電膜の圧電定数を増加させることができる膜構造体を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一態様としての膜構造体は、(100)面よりなる主面を含むシリコン基板と、主面上に形成され、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウムを含む第1膜と、第1膜上に形成され、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した白金を含む第1導電膜と、を有する。また、当該膜構造体は、第1導電膜上に形成され、下記一般式(化1)で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した第1複合酸化物を含む第2膜と、第2膜上に形成され、下記一般式(化2)で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した第2複合酸化物を含む第3膜と、を有する。また、当該膜構造体は、第3膜上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛を含む第1圧電膜を有する。
Pb(Zr1−xTi)O・・・(化1)
Pb(Zr1−yTi)O・・・(化2)
x及びyは、下記式(数1)〜式(数3)を満たす。
0<x<1・・・(数1)
0≦y≦0.1・・・(数2)
y<x・・・(数3)
また、他の一態様として、第2膜及び第3膜のいずれの厚さも、第1圧電膜の厚さよりも薄くてもよい。
また、他の一態様として、第1圧電膜は、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したチタン酸ジルコン酸鉛を含んでもよい。
また、他の一態様として、θ−2θ法を用いたX線回折測定により測定された第1圧電膜の第1回折パターンにおいて、チタン酸ジルコン酸鉛の(001)面の回折ピークの強度に対する、チタン酸ジルコン酸鉛の(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークの強度の比も、4×10−5以下であってもよく、又は、(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークも観測されなくてもよい。
また、他の一態様として、ロッキングカーブ法を用いたX線回折測定により、第1回折パターンにおける(001)面の回折ピークについて測定されたロッキングカーブの半値全幅が、0.3〜0.6°であってもよい。
また、他の一態様として、第1圧電膜は、第3膜上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛よりなる第3複合酸化物を含む第2圧電膜と、第2圧電膜上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛よりなる第4複合酸化物を含む第3圧電膜と、を含み、第2圧電膜は、圧縮応力を有し、第3圧電膜は、引っ張り応力を有してもよい。
また、他の一態様として、第2圧電膜は、下記一般式(化3)で表される第3複合酸化物を含み、第3圧電膜は、下記一般式(化4)で表される第4複合酸化物を含んでもよい。
Pb(Zr1−aTi)O・・・(化3)
Pb(Zr1−bTi)O・・・(化4)
aは、0.1<a≦0.48を満たし、bは、0.1<b≦0.48を満たしてもよい。
また、他の一態様として、当該膜構造体は、第1圧電膜上に形成された第2導電膜を有し、第1導電膜と第2導電膜との間に1kHzの周波数を有する交流電圧を印加して測定された比誘電率が、300〜400であってもよい。
本発明の一態様としての膜構造体の製造方法は、(100)面よりなる主面を含むシリコン基板を用意する(a)工程と、主面上に、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウムを含む第1膜を形成する(b)工程と、を有する。また、当該膜構造体の製造方法は、第1膜上に、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した白金を含む第1導電膜を形成する(c)工程を有する。また、当該膜構造体の製造方法は、第1導電膜上に、下記一般式(化1)で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した第1複合酸化物を含む第2膜を形成する(d)工程と、第2膜上に、下記一般式(化2)で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した第2複合酸化物を含む第3膜を形成する(e)工程と、を有する。そして、当該膜構造体の製造方法は、第3膜上に、チタン酸ジルコン酸鉛を含む第1圧電膜を形成する(f)工程を有する。
Pb(Zr1−xTi)O・・・(化1)
Pb(Zr1−yTi)O・・・(化2)
x及びyは、下記式(数1)〜式(数3)を満たす。
0<x<1・・・(数1)
0≦y≦0.1・・・(数2)
y<x・・・(数3)
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、(c)工程の後、(d)工程の前に、第1導電膜を450〜600℃の温度で熱処理する(g)工程を有してもよい。
また、他の一態様として、(d)工程は、第1導電膜上に、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する第1溶液を塗布することにより、第1複合酸化物の第1前駆体を含む第4膜を形成する(d1)工程と、第4膜を熱処理することにより、第2膜を形成する(d2)工程と、を含んでもよい。そして、(e)工程は、第2膜上に、鉛及びジルコニウム、又は、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する第2溶液を塗布することにより、第2複合酸化物の第2前駆体を含む第5膜を形成する(e1)工程と、第5膜を熱処理することにより、第3膜を形成する(e2)工程と、を含んでもよい。
また、他の一態様として、第2膜及び第3膜のいずれの厚さも、第1圧電膜の厚さよりも薄くてもよい。
また、他の一態様として、(f)工程では、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したチタン酸ジルコン酸鉛を含む第1圧電膜を形成してもよい。
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、θ−2θ法を用いたX線回折測定により、第1圧電膜の第1回折パターンを測定する(h)工程を有してもよい。そして、(h)工程にて測定された第1回折パターンにおいて、チタン酸ジルコン酸鉛の(001)面の回折ピークの強度に対する、チタン酸ジルコン酸鉛の(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークの強度の比も、4×10−5以下であってもよく、又は、(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークも観測されなくてもよい。
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、ロッキングカーブ法を用いたX線回折測定により、(h)工程にて測定された第1回折パターンにおける(001)面の回折ピークについてのロッキングカーブを測定する(i)工程を有してもよい。そして、(i)工程にて測定されたロッキングカーブの半値全幅が、0.3〜0.6°であってもよい。
また、他の一態様として、(f)工程は、第3膜上に、チタン酸ジルコン酸鉛よりなる第3複合酸化物を含む第2圧電膜を形成する(j)工程と、第2圧電膜上に、チタン酸ジルコン酸鉛よりなる第4複合酸化物を含む第3圧電膜を形成する(k)工程と、を含んでもよい。そして、(j)工程では、圧縮応力を有する第2圧電膜を形成し、(k)工程では、引っ張り応力を有する第3圧電膜を形成してもよい。
また、他の一態様として、(j)工程では、下記一般式(化3)で表される第3複合酸化物を含む第2圧電膜を形成し、(k)工程では、下記一般式(化4)で表される第4複合酸化物を含む第3圧電膜を形成してもよい。
Pb(Zr1−aTi)O・・・(化3)
Pb(Zr1−bTi)O・・・(化4)
aは、0.1<a≦0.48を満たし、bは、0.1<b≦0.48を満たしてもよい。
また、他の一態様として、(j)工程では、スパッタリング法により第2圧電膜を形成してもよい。そして、(k)工程は、第2圧電膜上に、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する第3溶液を塗布することにより、第4複合酸化物の第3前駆体を含む第6膜を形成する(k1)工程と、第6膜を熱処理することにより、第3圧電膜を形成する(k2)工程と、を含んでもよい。
また、他の一態様として、当該膜構造体の製造方法は、第1圧電膜上に第2導電膜を形成する(l)工程と、第1導電膜と第2導電膜との間に1kHzの周波数を有する交流電圧を印加して比誘電率を測定する(m)工程と、を有し、(m)工程にて測定された比誘電率が、300〜400であってもよい。
本発明の一態様を適用することで、基板上に形成された導電膜と、導電膜上に形成された圧電膜と、を有する膜構造体において、圧電膜の圧電定数を増加させることができる。
実施の形態の膜構造体の断面図である。 実施の形態の膜構造体が上部電極としての導電膜を有する場合の、膜構造体の断面図である。 図2に示す膜構造体から基板及び配向膜を除去した場合の、膜構造体の断面図である。 ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が斜方晶の結晶構造を有する場合において、擬立方晶の単位格子と斜方晶の単位格子を模式的に示す図である。 実施の形態の膜構造体に含まれる2つの圧電膜の断面構造を模式的に示す図である。 実施の形態の膜構造体に含まれる圧電膜の分極の電界依存性を模式的に示すグラフである。 実施の形態の膜構造体に含まれる配向膜がエピタキシャル成長した状態を説明する図である。 実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。 実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。 実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。 実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。 実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。 実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。 実施の形態の変形例の膜構造体の断面図である。 PZO膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。 PZO膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。 PZT膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。 PZT膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。 PZT膜までが形成された膜構造体の逆格子マップの測定結果である。 PZT膜までが形成された膜構造体の逆格子マップの測定結果である。 PZTの逆格子マップのシミュレーションを行った結果である。 膜構造体の分極の電圧依存性を示すグラフである。 膜構造体の分極の電圧依存性を示すグラフである。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
(実施の形態)
<膜構造体>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の膜構造体について説明する。図1は、実施の形態の膜構造体の断面図である。図2は、実施の形態の膜構造体が上部電極としての導電膜を有する場合の、膜構造体の断面図である。図3は、図2に示す膜構造体から基板及び配向膜を除去した場合の、膜構造体の断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の膜構造体10は、基板11と、配向膜12と、導電膜13と、膜14と、膜15と、圧電膜16と、を有する。配向膜12は、基板11上に形成されている。導電膜13は、配向膜12上に形成されている。膜14は、導電膜13上に形成されている。膜15は、膜14上に形成されている。圧電膜16は、膜15上に形成されている。
なお、図2に示すように、本実施の形態の膜構造体10は、導電膜19を有してもよい。導電膜19は、圧電膜16上に形成されている。このとき、導電膜13は、下部電極としての導電膜であり、導電膜19は、上部電極としての導電膜である。また、図3に示すように、本実施の形態の膜構造体10は、基板11(図2参照)及び配向膜12(図2参照)を有さず、下部電極としての導電膜13と、膜14と、膜15と、圧電膜16と、上部電極としての導電膜19と、のみを有するものでもよい。
基板11は、シリコン(Si)単結晶よりなるシリコン基板である。シリコン基板としての基板11は、(100)面よりなる主面としての上面11aを含む。配向膜12は、上面11a上に形成され、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウムを含む。導電膜13は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した白金を含む。これにより、圧電膜16が、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を含む場合に、圧電膜16を基板11上で(100)配向させることができる。
ここで、配向膜12が(100)配向している、とは、立方晶の結晶構造を有する配向膜12の(100)面が、シリコン基板である基板11の、(100)面よりなる主面としての上面11aに沿っていることを意味し、好適には、シリコン基板である基板11の、(100)面よりなる上面11aに平行であることを意味する。また、配向膜12の(100)面が基板11の(100)面よりなる上面11aに平行であるとは、配向膜12の(100)面が基板11の上面11aに完全に平行な場合のみならず、基板11の上面11aに完全に平行な面と配向膜12の(100)面とのなす角度が20°以下であるような場合を含む。
あるいは、配向膜12として、単層膜よりなる配向膜12に代え、積層膜よりなる配向膜12が、基板11上に形成されていてもよい。
好適には、配向膜12は、基板11上にエピタキシャル成長し、導電膜13は、配向膜12上にエピタキシャル成長している。これにより、圧電膜16が、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を含む場合に、圧電膜16を導電膜13上にエピタキシャル成長させることができる。
ここで、基板11の主面としての上面11a内で互いに直交する2つの方向を、X軸方向及びY軸方向とし、上面11aに垂直な方向をZ軸方向としたとき、ある膜がエピタキシャル成長しているとは、その膜が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれの方向にも配向していることを意味する。
膜14は、下記一般式(化1)で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した複合酸化物を含む。
Pb(Zr1−xTi)O・・・(化1)
膜15は、下記一般式(化2)で表され、且つ、擬立方晶表示で(100)配向した複合酸化物を含む。
Pb(Zr1−yTi)O・・・(化2)
ここで、x及びyは、下記式(数1)〜式(数3)を満たす。
0<x<1・・・(数1)
0≦y≦0.1・・・(数2)
y<x・・・(数3)
このような場合、膜15上に形成される圧電膜16が正方晶の結晶構造を有するようにすることができる。そして、圧電膜16中における、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛の含有率を、圧電膜16中における、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したチタン酸ジルコン酸鉛の含有率に比べて極めて小さくすることができる。又は、圧電膜16中に、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛が含まれないようにすることができる。そのため、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々における分極方向を揃えることができるので、圧電膜16の圧電特性を向上させることができる。
好適には、xは、上記式(数1)に代え、下記式(数4)を満たしてもよい。
0<x≦0.48・・・(数4)
セラミックスの粉末において、xが、上記式(数1)に代え、上記式(数4)を満たす場合には、当該セラミックスの粉末は、菱面体晶の結晶構造を有しやすい。一方、膜14において、xが、上記式(数1)に代え、上記式(数4)を満たす場合には、膜14は、主として基板11からの拘束力等により、正方晶の結晶構造を有しやすくなる。これにより、膜14上に膜15を介して形成される圧電膜16中に、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛が確実に含まれないようにすることができる。
即ち、xが、上記式(数1)に代え、上記式(数4)を満たす場合、本来菱面体晶の結晶構造を有するべき膜14の結晶構造が、正方晶の結晶構造に変わる。これにより、膜14上に膜15を介して形成される圧電膜16の配向方向を、より確実に制御することができる。
膜14の厚さを、10〜50nmとすることができる。このような範囲の場合、膜14上に膜15を介して形成される圧電膜16中に、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛が更に確実に含まれないようにすることができる。
なお、以下では、yがy=0を満たすときのPb(Zr1−yTi)O即ちPbZrOを、PZOと称し、yが0<y≦0.1を満たすときのPb(Zr1−yTi)Oを、PZTと称する場合がある。
上記一般式(化1)又は(化2)で表示され、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、以下のような場合を意味する。
まず、3次元に配列された単位格子を含み、一般式ABOで表示されるペロブスカイト型構造の結晶格子において、単位格子が1個の原子A、1個の原子B及び3個の酸素原子を含む場合を考える。
このような場合、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、当該単位格子が、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向している場合を意味する。このとき、当該単位格子の1辺の長さを、格子定数aとし、当該単位格子の1つの角度を、格子定数αとし、α=90°とする。
一方、例えばペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が、菱面体晶の結晶構造を有する場合を考える。そして、菱面体晶の2つの格子定数のうち1辺の長さである格子定数aが擬立方晶の格子定数aに略等しく、菱面体晶の2つの格子定数のうち1つの角度である格子定数αが擬立方晶の格子定数αに略等しい場合を考える。なお、本願明細書では、数値V1と数値V2とが略等しい、とは、数値V1と数値V2との平均に対する、数値V1と数値V2との差の比が、5%程度以下であることを意味する。
このとき、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、菱面体晶表示で(100)配向していることを意味する。
或いは、例えばペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が、正方晶の結晶構造を有する場合を考える。そして、正方晶の2つの格子定数のうち1番目の格子定数aが擬立方晶の格子定数aに略等しく、正方晶の2つの格子定数のうち2番目の格子定数cが擬立方晶の格子定数aに略等しい場合を考える。
このとき、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、正方晶表示で(100)配向又は(001)配向していることを意味する。
具体的には、上記一般式(化1)で表されるジルコン酸鉛又はチタン酸ジルコン酸鉛よりなる複合酸化物が、菱面体晶の結晶構造を有する例を考える。そして、菱面体晶の2つの格子定数のうち1辺の長さである格子定数aが擬立方晶の格子定数aに略等しく、菱面体晶の2つの格子定数のうち1つの角度である格子定数αが擬立方晶の格子定数αに略等しい場合を考える。
このとき、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、菱面体晶表示で(100)配向していることを意味する。
或いは、上記一般式(化1)で表されるジルコン酸鉛又はチタン酸ジルコン酸鉛よりなる複合酸化物が、正方晶の結晶構造を有する場合を考える。そして、正方晶の2つの格子定数のうち1番目の格子定数aが擬立方晶の格子定数aに略等しく、正方晶の2つの格子定数のうち2番目の格子定数cが擬立方晶の格子定数aに略等しい場合を考える。
このとき、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、正方晶表示で(100)配向又は(001)配向していることを意味する。
図4は、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が斜方晶の結晶構造を有する場合において、擬立方晶の単位格子と斜方晶の単位格子を模式的に示す図である。
図4に示すように、上記一般式(化1)又は(化2)で表され、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が、斜方晶の結晶構造を有する例を考える。そして、斜方晶の3つの格子定数のうち1番目の格子定数ao1が擬立方晶の格子定数aに略等しく、斜方晶の3つの格子定数のうち2番目の格子定数bo1が擬立方晶の格子定数aの21/2倍に略等しく、斜方晶の格子定数のうち3番目の格子定数co1が格子定数aの21/2倍に略等しい例を考える。
このとき、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、斜方晶表示で(011)配向又は(100)配向していることを意味する。
或いは、図4に示す例とは別の例(図示は省略)として、上記一般式(化1)又は(化2)で表され、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物が、別の斜方晶の結晶構造を有する例を考える。そして、当該斜方晶の3つの格子定数のうち1番目の格子定数ao2が擬立方晶の格子定数aの21/2倍に略等しく、当該斜方晶の3つの格子定数のうち2番目の格子定数bo2が擬立方晶の格子定数aの23/2倍に略等しく、当該斜方晶の格子定数のうち3番目の格子定数co2が擬立方晶の格子定数aの2倍に略等しい例を考える。
このとき、擬立方晶表示で(100)配向しているとは、斜方晶表示で(120)配向又は(002)配向していることを意味する。
圧電膜16は、膜15上に形成され、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したチタン酸ジルコン酸鉛を含む。なお、圧電膜16は、正方晶の結晶構造を有している場合に(001)配向していなくてもよい。或いは、圧電膜16は、正方晶の結晶構造を有していなくてもよい。
本実施の形態では、θ−2θ法を用いたX線回折測定により測定された圧電膜16の回折パターンにおいて、チタン酸ジルコン酸鉛の(001)面の回折ピークの強度に対する、チタン酸ジルコン酸鉛の(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークの強度の比も、4×10−5以下であるか、又は、(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークも観測されない。
これにより、圧電膜16中における、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛の含有率を、圧電膜16中における、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したチタン酸ジルコン酸鉛の含有率に比べて極めて小さくすることができる。又は、圧電膜16中に、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛が含まれないようにすることができる。そのため、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々における分極方向を揃えることができるので、圧電膜16の圧電特性を向上させることができる。
これは、例えば、後述する図10を用いて説明するように、導電膜13を形成した後、導電膜13を熱処理することにより、導電膜13に含まれるPtの結晶性が向上したためと考えられる。或いは、例えば後述する図7を用いて説明するように、導電膜13に含まれるPtの格子定数に対する、膜14に含まれるPZTの格子定数の整合性がよいので、膜14の結晶性が向上し、膜14に含まれるPZTの格子定数に対する、膜15に含まれるPZO等の格子定数の整合性がよいので、膜15の結晶性が向上したためと考えられる。
好適には、回折パターンにおいて(00n)面(nは1以上の整数)の回折ピークが観測されたときに、角度2θを(00n)面(nは1以上の整数)の回折ピークが観測された角度に固定した状態で測定されたロッキングカーブの半値全幅が、0.3〜0.6°である。即ち、ロッキングカーブ法を用いたX線回折測定により、回折パターンにおける(001)面の回折ピークについて測定されたロッキングカーブの半値全幅が、0.3〜0.6°である。
これにより、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々の配向方向のばらつきを小さくすることができる。そのため、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々における分極軸の方向を更に揃えることができるので、圧電膜16の圧電特性を更に向上させることができる。
好適には、圧電膜16は、圧電膜17と、圧電膜18と、を含む。圧電膜17は、膜15上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛よりなる複合酸化物を含む。圧電膜18は、圧電膜17上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛よりなる複合酸化物を含む。圧電膜17は、圧縮応力を有し、圧電膜18は、引っ張り応力を有する。
圧電膜17が引っ張り応力を有し、圧電膜18が引っ張り応力を有する場合を考える。このような場合、膜構造体10は、基板11の上面11aを主面としたときに、下に凸の形状を有するように、反りやすい。そのため、例えば膜構造体10をフォトリソグラフィ技術を用いて加工する場合の形状精度が低下し、膜構造体10を加工して形成される圧電素子の特性が低下する。
また、圧電膜17が圧縮応力を有し、圧電膜18が圧縮応力を有する場合を考える。このような場合、膜構造体10は、基板11の上面11aを主面としたときに、上に凸の形状を有するように、反りやすい。そのため、例えば膜構造体10をフォトリソグラフィ技術を用いて加工する場合の形状精度が低下し、膜構造体10を加工して形成される圧電素子の特性が低下する。
一方、本実施の形態では、圧電膜17は、圧縮応力を有し、圧電膜18は、引っ張り応力を有する。これにより、圧電膜17及び圧電膜18のいずれも引っ張り応力を有する場合に比べて、膜構造体10が反る反り量を低減することができ、圧電膜17及び圧電膜18のいずれも圧縮応力を有する場合に比べて、膜構造体10が反る反り量を低減することができる。そのため、例えば膜構造体10をフォトリソグラフィ技術を用いて加工する場合の形状精度を向上させることができ、膜構造体10を加工して形成される圧電素子の特性を向上させることができる。
なお、圧電膜17が圧縮応力を有し、圧電膜18が引っ張り応力を有することは、例えば膜構造体10から圧電膜18及び圧電膜17を順次除去する際に、圧電膜18の除去の前後で基板11が下に凸側から上に凸側に変形し、圧電膜17の除去の前後で基板11が上に凸側から下に凸側に変形することにより、確認することができる。
好適には、圧電膜17は、下記一般式(化3)で表される複合酸化物を含む。
Pb(Zr1−aTi)O・・・(化3)
ここで、aは、0.1<a≦0.48を満たす。
また、好適には、圧電膜18は、下記一般式(化4)で表される複合酸化物を含む。
Pb(Zr1−bTi)O・・・(化4)
ここで、bは、0.1<b≦0.48を満たす。
セラミックスの粉末が上記一般式(化3)又は上記一般式(化4)で表される複合酸化物を含む場合には、菱面体晶の結晶構造を有する。一方、圧電膜17が上記一般式(化3)又は上記一般式(化4)で表される複合酸化物を含む場合には、主として基板11からの拘束力等により、正方晶の結晶構造を有しやすくなる。そのため、圧電膜17に含まれるチタン酸ジルコン酸鉛の分極軸を、略上面11aに垂直に配向させることができるので、圧電膜17の圧電特性を向上させることができる。また、圧電膜18に含まれるチタン酸ジルコン酸鉛の分極軸を、略上面11aに垂直に配向させることができるので、圧電膜18の圧電特性を向上させることができる。
即ち、aが、0.1<a≦0.48を満たすか、又は、bが、0.1<b≦0.48を満たす場合、本来菱面体晶の結晶構造を有するべき圧電膜17又は18の結晶構造が、正方晶の結晶構造に変わる。これにより、圧電膜17又は18に含まれるチタン酸ジルコン酸鉛の圧電応答性が向上するものと考えられる。
後述する図13を用いて説明するように、圧縮応力を有する圧電膜17を、例えばスパッタリング法により形成することができる。また、膜構造体の製造工程を説明する際に、図1を用いて説明するように、引っ張り応力を有する圧電膜18を、例えばゾルゲル法などの塗布法により形成することができる。
図5は、実施の形態の膜構造体に含まれる2つの圧電膜の断面構造を模式的に示す図である。図5は、図1に示す実施の形態の膜構造体10に含まれる基板11を劈開することによって形成された断面、即ち破断面を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)により観察した観察像のうち、圧電膜17及び圧電膜18を、模式的に示している。
図6は、実施の形態の膜構造体に含まれる圧電膜の分極の電界依存性を模式的に示すグラフである。図6は、図2に示す実施の形態の膜構造体10に含まれる下部電極(導電膜13)と上部電極(導電膜19)との間の電界を変化させたときの圧電膜16の分極の変化を示す分極電界ヒステリシス曲線を模式的に示すグラフである。
図5に示すように、圧電膜17をスパッタリング法により形成した場合、圧電膜17は、圧電膜17の下面から上面までそれぞれ一体的に形成された複数の結晶粒17aを含む。また、基板11の主面(図1の上面11a)内で互いに隣り合う2つの結晶粒17aの間には、空孔又は空隙が残りにくい。そのため、SEMで観察するための断面を、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)法により加工して圧電膜17に形成する場合には、当該断面が単一の断面に見えやすくなり、結晶粒17aが観察されにくくなる。
一方、圧電膜18を塗布法により形成した場合、圧電膜18は、圧電膜18の厚さ方向に互いに積層された層としての膜18aを複数含む。複数の層の各々としての膜18aは、1層の膜18aの下面から上面までそれぞれ一体的に形成された複数の結晶粒18bを含む。また、圧電膜18の厚さ方向で互いに隣り合う2つの膜18aの間には、空孔又は空隙が残ることがある。
図5に示すように、好適には、複数の結晶粒の各々は、自発分極を有する。この自発分極は、圧電膜17の厚さ方向に平行な分極成分P1を含み、複数の結晶粒の各々が有する自発分極に含まれる分極成分P1は、互いに同じ方向を向いている。
図5に示すように、本実施の形態では、圧電膜17に含まれる複数の結晶粒17aの各々が有する自発分極に含まれる分極成分P1は、互いに同じ方向を向いている。このような場合、図6に示すように、初期状態において、圧電膜17は、大きな自発分極を有する。そのため、電界が0の起点SPから電界を正側に増加させて再び0まで戻した後、電界を負側に減少させて再び0までの終点EPまで戻した場合の、圧電膜15の分極の電界依存性を示すヒステリシス曲線は、原点から離れた点を起点SPとした曲線を示す。したがって、本実施の形態の膜構造体10を圧電素子として使用する場合、使用前に、圧電膜17に分極処理を施す必要がない。
なお、膜14及び15のいずれの厚さも、圧電膜16の厚さよりも薄い。このような場合、膜14及び15のいずれの厚さに比べても、圧電膜として機能する圧電膜16の厚さをより厚くすることができるので、膜構造体10の圧電素子としての特性を向上させることができる。
図7は、実施の形態の膜構造体に含まれる配向膜がエピタキシャル成長した状態を説明する図である。なお、図7では、基板11、配向膜12、導電膜13、膜14及び15、並びに、圧電膜16の各層を、模式的に示している。なお、以下では、膜15がPZOである場合を例示して説明する。
基板11に含まれるSiの格子定数、配向膜12に含まれるZrOの格子定数、導電膜13に含まれるPtの格子定数、膜14に含まれるPZTの格子定数、膜15に含まれるPZOの格子定数、圧電膜16に含まれるPZTの格子定数を、表1に示す。
Figure 2021121026
表1に示すように、Siの格子定数は、0.543nmであり、ZrOの格子定数は、0.511nmであり、Siの格子定数に対するZrOの格子定数の不整合は5.9%と小さいため、Siの格子定数に対するZrOの格子定数の整合性がよい。そのため、図7に示すように、ZrOを含む配向膜12を、シリコン単結晶を含む基板11の(100)面よりなる主面上にエピタキシャル成長させることができる。従って、ZrOを含む配向膜12を、シリコン単結晶を含む基板11の(100)面上に、立方晶の結晶構造で(100)配向させることができ、配向膜12の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、ZrOの格子定数は、0.511nmであり、Ptの格子定数は、0.392nmであるものの、Ptが平面内で45°回転すると、対角線の長さは、0.554nmとなり、ZrOの格子定数に対する当該対角線の長さの不整合は8.4%と小さいため、ZrOの格子定数に対するPtの格子定数の整合性がよい。そのため、図7に示すように、Ptを含む導電膜13を、ZrOを含む配向膜12の(100)面上に、立方晶の結晶構造で(100)配向させることができ、導電膜13の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、Ptの格子定数は、0.392nmであり、PZTの格子定数は、0.411nmであり、Ptの格子定数に対するPZTの格子定数の不整合は4.8%と小さいため、Ptの格子定数に対するPZTの格子定数の整合性がよい。そのため、PZTを含む膜14を、Ptを含む導電膜13の(100)面上に、擬立方晶表示で(100)配向させることができ、膜14の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、PZTの格子定数は、0.411nmであり、PZOの格子定数は、0.412nmであり、PZTの格子定数に対するPZOの格子定数の不整合は0.2%と小さいため、PZTの格子定数に対するPZOの格子定数の整合性がよい。そのため、PZOを含む膜15を、PZTを含む膜14の(100)面上に、擬立方晶表示で(100)配向させることができ、膜15の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、PZOの格子定数は、0.412nmであり、PZTの格子定数は、0.411nmであり、PZOの格子定数に対するPZTの格子定数の不整合は0.2%と小さいため、PZOの格子定数に対するPZTの格子定数の整合性がよい。そのため、PZTを含む圧電膜16を、PZOを含む膜15の(100)面上に、正方晶の結晶構造で(001)配向させることができ、圧電膜16の結晶性を向上させることができる。
好適には、図2に示すように、膜構造体が導電膜19を有する場合、導電膜13と導電膜19との間に1kHzの周波数を有する交流電圧を印加して測定された比誘電率が、300〜400である。
これにより、膜構造体10を、例えば圧電効果を用いたセンサとして用いる場合に、検出感度を向上させることができる。或いは、膜構造体10を、例えば逆圧電効果を用いた超音波振動子として用いる場合に、発振回路を容易に設計することができる。
<膜構造体の製造方法>
次に、本実施の形態の膜構造体の製造方法を説明する。図8〜図13は、実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。
まず、図8に示すように、基板11を用意する(ステップS1)。ステップS1では、シリコン(Si)単結晶よりなるシリコン基板である基板11を用意する。また、好適には、シリコン単結晶よりなる基板11は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)面よりなる主面としての上面11aを有する。また、基板11がシリコン基板である場合、基板11の上面11a上には、SiO膜などの酸化膜が形成されていてもよい。
なお、基板11として、シリコン基板以外の各種の基板を用いることができ、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板、シリコン以外の各種の半導体単結晶よりなる基板、サファイアなど各種の酸化物単結晶よりなる基板、又は、表面にポリシリコン膜が形成されたガラス基板よりなる基板等を用いることができる。
図8に示すように、シリコン単結晶よりなる基板11の(100)面よりなる上面11a内で互いに直交する2つの方向を、X軸方向及びY軸方向とし、上面11aに垂直な方向をZ軸方向とする。
次に、図9に示すように、基板11上に、配向膜12を形成する(ステップS2)。以下では、ステップS2において、電子ビーム蒸着法を用いて配向膜12を形成する場合を例示して説明するが、例えばスパッタリング法など各種の方法を用いて形成することができる。
ステップS2では、まず、基板11を一定の真空雰囲気中に配置した状態で、基板11を例えば700℃に加熱する。
ステップS2では、次に、ジルコニウム(Zr)単結晶の蒸着材料を用いた電子ビーム蒸着法によりZrを蒸発させる。このとき、蒸発したZrが例えば700℃に加熱された基板11上で酸素と反応することにより、酸化ジルコニウム(ZrO)膜となって成膜される。そして、単層膜としてのZrO膜よりなる配向膜12が形成される。
配向膜12は、シリコン単結晶よりなる基板11の(100)面よりなる主面としての上面11a上に、エピタキシャル成長する。配向膜12は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウム(ZrO)を含む。即ち、シリコン単結晶よりなる基板11の、(100)面よりなる上面11a上に、(100)配向した酸化ジルコニウム(ZrO)を含む単層膜よりなる配向膜12が、形成される。
前述した図8を用いて説明したように、シリコン単結晶よりなる基板11の(100)面よりなる上面11a内で互いに直交する2つの方向を、X軸方向及びY軸方向とし、上面11aに垂直な方向をZ軸方向とする。このとき、ある膜がエピタキシャル成長するとは、その膜が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれの方向にも配向することを意味する。
配向膜12の膜厚は、2〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。このような膜厚を有することにより、エピタキシャル成長し、単結晶に極めて近い配向膜12を形成することができる。
次に、図10に示すように、導電膜13を形成する(ステップS3)。
このステップS3では、まず、配向膜12上にエピタキシャル成長した、下部電極の一部としての導電膜13を形成する。導電膜13は、金属よりなる。金属よりなる導電膜13として、例えば白金(Pt)を含む導電膜が用いられる。
導電膜13として、Ptを含む導電膜を形成する場合、配向膜12上に、450〜600℃の温度で、スパッタリング法により、エピタキシャル成長した導電膜13を、下部電極の一部として形成する。Ptを含む導電膜13は、配向膜12上にエピタキシャル成長する。また、導電膜13に含まれるPtは、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向する。
なお、金属よりなる導電膜13として、白金(Pt)を含む導電膜に代えて、例えばイリジウム(Ir)を含む導電膜を用いることもできる。
このステップS3では、次に、導電膜13を450〜600℃の温度で熱処理する。具体的には、導電膜13を450〜600℃の温度でスパッタリング法により形成した後、引き続いて450〜600℃の温度に10〜30分間保持して熱処理することが好ましい。
導電膜13を熱処理する温度が450℃未満の場合、温度が低すぎるため、導電膜13に含まれる白金の結晶性を向上させることができず、導電膜13上に膜14及び15を介して形成される圧電膜16の結晶性を向上させることができない。導電膜13を熱処理する温度が600℃を超える場合、温度が高すぎ、導電膜13に含まれる白金の結晶粒が成長するために、却って白金の結晶性を向上させることができず、導電膜13上に膜14及び15を介して形成される圧電膜16の結晶性を向上させることができない。一方、導電膜13を450〜600℃の温度で熱処理する場合、導電膜13に含まれる白金の結晶性を向上させることができ、導電膜13上に膜14及び15を介して形成される圧電膜16の結晶性を向上させることができる。
また、導電膜13を450〜600℃の温度で熱処理する場合、10〜30分間保持して熱処理することが好ましい。導電膜13を熱処理する時間が10分未満の場合、時間が短すぎ、導電膜13に含まれる白金の結晶性を向上させることができず、導電膜13上に膜14及び15を介して形成される圧電膜16の結晶性を向上させることができない。導電膜13を熱処理する時間が30分を超える場合、温度が高すぎ、導電膜13に含まれる白金の結晶粒が成長するために、却って白金の結晶性を向上させることができず、導電膜13上に膜14及び15を介して形成される圧電膜16の結晶性を向上させることができない。
次に、図11に示すように、膜14を形成する(ステップS4)。このステップS4では、上記一般式(化1)で表される複合酸化物(PZT)を含む膜14を、導電膜13上に、例えばゾルゲル法などの塗布法により形成する。以下では、ゾルゲル法により膜14を形成する方法について説明する。
ステップS4では、まず、導電膜13上に、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布することにより、上記一般式(化1)で表される複合酸化物(PZT)の前駆体を含む膜を形成する。なお、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布する工程を、複数回繰り返してもよく、これにより、互いに積層された複数の膜を含む膜を形成してもよい。
ステップS4では、次に、膜を熱処理して前駆体を酸化して結晶化することにより、上記一般式(化1)で表される複合酸化物を含む膜14を形成する。
次に、図12に示すように、膜15を形成する(ステップS5)。このステップS5では、上記一般式(化2)で表される複合酸化物(PZO)を含む膜15を、膜14上に、例えばゾルゲル法などの塗布法により形成する。以下では、ゾルゲル法により膜15を形成する方法について説明する。
ステップS5では、まず、膜14上に、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布することにより、上記一般式(化2)で表される複合酸化物(PZT)の前駆体を含む膜を形成する。なお、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布する工程を、複数回繰り返してもよく、これにより、互いに積層された複数の膜を含む膜を形成する。
ステップS5では、次に、膜を熱処理して前駆体を酸化して結晶化することにより、上記一般式(化2)で表される複合酸化物を含む膜15を形成する。
ここで、x及びyは、上記式(数1)〜式(数3)を満たす。このとき、膜14に含まれるPZTは、擬立方晶表示で(100)配向し、膜15に含まれるPZOは、擬立方晶表示で(100)配向する。そして、PZTを含む膜14は、導電膜13上にエピタキシャル成長し、PZOを含む膜15は、膜14上にエピタキシャル成長する。
なお、好適には、xは、上記式(数1)に代え、下記式(数4)を満たしてもよい。
ステップS4及びステップS5では、例えば、熱処理の際に溶液中の溶媒が蒸発することにより、又は、前駆体が酸化されて結晶化される際に膜が収縮することにより、膜14及び膜15は、引っ張り応力を有する。
次に、図13に示すように、圧電膜17を形成する(ステップS6)。このステップS6は、上記一般式(化3)で表される複合酸化物(PZT)を含む圧電膜17を、膜15上に、スパッタリング法により形成する。上記一般式(化3)で、aは、0.1<a≦0.48を満たす。このような場合、圧電膜17に含まれるPZTは、本来菱面体結晶の結晶構造を有する組成ではあるものの、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向する。そして、PZTを含む圧電膜17は、膜15上にエピタキシャル成長する。
例えば、圧電膜17をスパッタリング法により形成する際に、プラズマによって圧電膜17に含まれる複数の結晶粒17a(図5参照)の各々を分極させることができる。したがって、成膜された圧電膜17に含まれる複数の結晶粒17aの各々は、自発分極を有する。また、複数の結晶粒17aの各々が有する自発分極は、圧電膜17の厚さ方向に平行な分極成分を含む。そして、複数の結晶粒17aの各々が有する自発分極に含まれる分極成分は、互いに同じ方向を向いている。その結果、形成された圧電膜17は、分極処理をする前から、圧電膜17全体として、自発分極を有する。
即ち、ステップS6では、圧電膜17をスパッタリング法により形成する際に、プラズマによって圧電膜17を分極させることができる。その結果、図6を用いて説明したように、本実施の形態の膜構造体10を圧電素子として使用する場合、使用前に、圧電膜17に分極処理を施す必要がない。
また、ステップS6では、スパッタリング法により圧電膜17を形成する際に、例えば、圧電膜17内にスパッタ粒子及びアルゴン(Ar)ガスが入射されて圧電膜17が膨張することにより、圧電膜17は、圧縮応力を有する。
次に、図1に示すように、圧電膜18を形成する(ステップS7)。このステップS7では、上記一般式(化4)で表される複合酸化物(PZT)を含む圧電膜18を、圧電膜17上に、例えばゾルゲル法などの塗布法により形成する。以下では、ゾルゲル法により膜15を形成する方法について説明する。
ステップS7では、まず、圧電膜17上に、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布することにより、PZTの前駆体を含む膜を形成する。なお、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布する工程を、複数回繰り返してもよく、これにより、互いに積層された複数の膜を含む膜を形成する。
ステップS7では、次に、膜を熱処理して前駆体を酸化して結晶化することにより、PZTを含む圧電膜18を形成する。ここで、上記一般式(化4)において、bは、0.1<b≦0.48を満たす。このような場合、圧電膜18に含まれるPZTは、本来菱面体結晶の結晶構造を有する組成ではあるものの、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向する。そして、PZTを含む圧電膜18は、膜15上にエピタキシャル成長する。
正方晶の結晶構造を有するPZTが(001)配向している場合、[001]方向に平行な分極方向と、圧電膜16の厚さ方向に平行な電界方向とが互いに平行になるので、圧電特性が向上する。即ち、正方晶の結晶構造を有するPZTでは、[001]方向に沿った電界が印加される場合に、大きな圧電定数d33及びd31が得られる。そのため、圧電膜16の圧電定数を、更に大きくすることができる。
ステップS7では、例えば、熱処理の際に溶液中の溶媒が蒸発することにより、又は、前駆体が酸化されて結晶化される際に膜が収縮することにより、圧電膜18は、引っ張り応力を有する。
このようにして、圧電膜17及び18を含む圧電膜16が形成され、図1に示す膜構造体10が形成される。即ち、ステップS6及びステップS7は、膜15上にチタン酸ジルコン酸鉛を含む圧電膜16を形成する工程に含まれる。なお、前述したように、膜14及び15のいずれの厚さも、圧電膜16の厚さよりも薄い。
次に、θ−2θ法を用いたX線回折測定により、圧電膜16の回折パターンを測定する(ステップS8)。
好適には、ステップS8にて測定された回折パターンにおいて、チタン酸ジルコン酸鉛の(001)面の回折ピークの強度に対する、チタン酸ジルコン酸鉛の(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークの強度の比も、4×10−5以下であるか、又は、(110)面及び(101)面のいずれの回折ピークも観測されない。
このような場合、圧電膜16中における、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛の含有率を、圧電膜16中における、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したチタン酸ジルコン酸鉛の含有率に比べて極めて小さくすることができる。又は、圧電膜16中に、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したチタン酸ジルコン酸鉛が含まれないようにすることができる。そのため、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々における分極軸の方向を揃えることができるので、圧電膜16の圧電特性を向上させることができる。
次に、ロッキングカーブ法を用いたX線回折測定により、ステップS8にて測定された回折パターンにおける(00n)面(nは1以上の整数)の回折ピークについてのロッキングカーブを測定する(ステップS9)。
好適には、ステップS9にて測定されたロッキングカーブの半値全幅が、0.3〜0.6°である。
このような場合、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々の配向方向のばらつきを小さくすることができる。そのため、圧電膜16に含まれる複数の結晶粒の各々における分極軸の方向を更に揃えることができるので、圧電膜16の圧電特性を更に向上させることができる。
なお、圧電膜18を形成した後、圧電膜18上に、上部電極としての導電膜19(図2参照)を形成してもよい(ステップS10)。これにより、圧電膜18に厚さ方向に電界を印加することができる。
また、導電膜19を形成した後、導電膜13と導電膜19との間に1kHzの周波数を有する交流電圧を印加して比誘電率を測定してもよい(ステップS11)。
好適には、ステップS11にて測定された比誘電率が、300〜400である。このような場合、膜構造体10を、例えば圧電効果を用いたセンサとして用いる場合に、検出感度を向上させることができる。或いは、膜構造体10を、例えば逆圧電効果を用いた超音波振動子として用いる場合に、発振回路を容易に設計することができる。
<実施の形態の変形例>
実施の形態では、図1に示したように、圧電膜17及び18を含む圧電膜16が形成されていた。しかし、圧電膜16は、圧電膜17のみを含むものであってもよい。このような例を、実施の形態の変形例として説明する。
図14は、実施の形態の変形例の膜構造体の断面図である。
図14に示すように、本変形例の膜構造体10は、基板11と、配向膜12と、導電膜13と、膜14と、膜15と、圧電膜16と、を有する。配向膜12は、基板11上に形成されている。導電膜13は、配向膜12上に形成されている。膜14は、導電膜13上に形成されている。膜15は、膜14上に形成されている。圧電膜16は、膜15上に形成されている。圧電膜16は、圧電膜17を含む。
即ち、本変形例の膜構造体10は、圧電膜16が、圧電膜18(図1参照)を含まず、圧電膜17のみを含む点を除いて、実施の形態の膜構造体10と同様である。
圧電膜16が、圧縮応力を有する圧電膜17を含むが、引っ張り応力を有する圧電膜18(図1参照)を含まない場合、圧電膜16が、圧縮応力を有する圧電膜17及び引っ張り応力を有する圧電膜18(図1参照)のいずれも含む場合に比べ、膜構造体10が反る反り量が増加する。しかし、例えば圧電膜16の厚さが薄い場合には、膜構造体10が反る反り量を低減させることができる。そのため、圧電膜16が圧電膜17のみを含む場合でも、例えば膜構造体10をフォトリソグラフィ技術を用いて加工する場合の形状精度を向上させることができ、膜構造体10を加工して形成される圧電素子の特性を向上させることができる。
なお、本変形例の膜構造体10も、実施の形態の膜構造体10と同様に、導電膜19(図2参照)を有してもよい。
実施例
以下、実施例に基づいて本実施の形態を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例5)
以下では、実施の形態で図1を用いて説明した膜構造体10を、実施例1〜実施例7の膜構造体として形成した。実施例1〜実施例7の膜構造体は、導電膜13としての白金(Pt)膜形成後の熱処理温度及び熱処理時間を変更しながら形成したものである。一方、Pt膜形成後の熱処理温度及び熱処理時間を、実施例1〜実施例7におけるPt膜形成後の熱処理温度及び熱処理時間と異なる熱処理温度及び熱処理時間に変更しながら形成した膜構造体を、比較例1〜比較例5の膜構造体とした。
まず、図8に示したように、基板11として、(100)面よりなる主面としての上面11aを有し、6インチのシリコン単結晶よりなるウェハを用意した。
次に、図9に示したように、基板11上に、配向膜12として、酸化ジルコニウム(ZrO)膜を、電子ビーム蒸着法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : 電子ビーム蒸着装置
圧力 : 7.00×10−3Pa
蒸着源 : Zr+O
加速電圧/エミッション電流 : 7.5kV/1.80mA
厚さ : 24nm
成膜速度 : 0.005nm/s
酸素流量 : 7sccm
基板温度 : 500℃
次に、図10に示したように、配向膜12上に、導電膜13として、白金(Pt)膜を、スパッタリング法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : DCスパッタリング装置
圧力 : 1.20×10−1Pa
蒸着源 : Pt
電力 : 100W
厚さ : 150nm
成膜速度 : 0.14nm/s
Ar流量 : 16sccm
基板温度 : 450〜600℃
次に、Pt膜を熱処理した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : DCスパッタリング装置
基板温度(熱処理温度) : 450〜600℃
熱処理時間 : 10〜30分
ここで、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々におけるPt膜形成後の熱処理温度及び熱処理時間を、表2に示す。なお、Pt膜形成後の熱処理を行わないものを、比較例1としている。
Figure 2021121026
次に、図11に示したように、導電膜13上に、膜14として、Pb(Zr0.58Ti0.42)O膜(PZT膜)を、塗布法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
Pb、Zr、及びTiの有機金属化合物をPb:Zr:Ti=100+δ:58:42の組成比になるように混合し、エタノールと2−n−ブトキシエタノールの混合溶媒に、Pb(Zr0.58Ti0.42)Oとしての濃度が0.35mol/lになるように溶解させた原料溶液を調整した。ここでδは、後の熱処理プロセスにおいてPb酸化物が揮発することを加味した余剰Pb量であり、本実施例においてδ=20とした。そして、原料溶液には更に20gの重量の、K値(粘性特性値)が27〜33のポリピロリドンを溶解させた。
次に、調製した原料溶液のうち3mlの原料溶液を、6インチのウェハよりなる基板11上に滴下し、3000rpmで10秒間回転させ、基板11上に原料溶液を塗布することにより、前駆体を含む膜を形成した。そして、200℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置し、更に450℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置することにより、溶媒を蒸発させて膜を乾燥させた。その後、0.2MPaの酸素(O)雰囲気中、600〜700℃で60秒間熱処理して前駆体を酸化して結晶化させることにより、20nmの膜厚を有する膜14としてのPZT膜を形成した。
次に、図12に示したように、膜14上に、膜15として、PbZrO膜(PZO膜)を積層した積層膜を、塗布法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
Pb及びZrの有機金属化合物をPb:Zr=100+δ:100の組成比になるように混合し、エタノールと2−n−ブトキシエタノールの混合溶媒に、PbZrOとしての濃度が0.35mol/lになるように溶解させた原料溶液を調整した。δについては、δ=20とした。そして、原料溶液には更に20gの重量の、K値が27〜33のポリピロリドンを溶解させた。
次に、調製した原料溶液のうち3mlの原料溶液を、6インチのウェハよりなる基板11上に滴下し、3000rpmで10秒間回転させ、基板11上に原料溶液を塗布することにより、前駆体を含む膜を形成した。そして、200℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置し、更に450℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置することにより、溶媒を蒸発させて膜を乾燥させた。その後、0.2MPaの酸素(O)雰囲気中、650℃で60秒間熱処理して前駆体を酸化して結晶化させることにより、30nmの膜厚を有するPZO膜を形成した。
実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5について、PZO膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルを測定した。即ち、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5について、θ−2θ法によるX線回折測定を行った。X線回折測定は、株式会社リガク製全自動水平型多目的X線回折装置SmartLabを用いて行った。
図15及び図16は、PZO膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。図15及び図16のグラフの横軸は、角度2θを示し、図15及び図16のグラフの縦軸は、X線の強度を示す。図15は、実施例3についての結果を示し、図16は、比較例1についての結果を示す。
図15に示す例(実施例3)では、θ−2θスペクトルにおいて、擬立方晶表示でZrOの(200)面に相当するピーク、立方晶の結晶構造を有するPtの(200)面に相当するピーク、並びに、PZOの擬立方晶表示で(100)面及び(200)面に相当するピークが観測された。そのため、図15に示す例(実施例3)では、配向膜12が、擬立方晶表示で(100)配向したZrOを含み、導電膜13が、立方晶表示で(100)配向したPtを含み、膜15が、擬立方晶表示で(100)配向したPZOを含むことが分かった。
図16に示す例(比較例1)でも、θ−2θスペクトルにおいて、擬立方晶表示でZrOの(200)面に相当するピーク、立方晶の結晶構造を有するPtの(200)面に相当するピーク、並びに、PZOの擬立方晶表示で(100)面及び(200)面に相当するピークが観測された。しかし、図16に示す例(比較例1)では、図15に示す例(実施例3)と異なり、PZOの擬立方晶表示で(101)面に相当するピークが観測された。そのため、図16に示す例(比較例1)では、配向膜12が、擬立方晶表示で(100)配向したZrOを含み、導電膜13が、立方晶表示で(100)配向したPtを含み、膜15が、擬立方晶表示で(100)配向したPZOを含むものの、膜15が、擬立方晶表示で(110)配向したPZOも含むことが分かった。
即ち、図15に示す例(実施例3)では、膜15が、擬立方晶表示で(110)配向したPZOを含まないことが分かった。更に、図15に示す例(実施例3)では、導電膜13が、立方晶表示で(111)配向したPtを含まないことが分かった。
次に、図13に示したように、膜15上に、圧電膜17として、例えば2μmの膜厚を有するPb(Zr0.55Ti0.45)O膜(PZT膜)を、スパッタリング法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : RFマグネトロンスパッタリング装置
パワー : 2500W
ガス : Ar/O
圧力 : 0.14Pa
基板温度 : 475℃
成膜速度 : 0.63nm/s
次に、図1に示したように、圧電膜17上に、圧電膜18として、Pb(Zr0.55Ti0.45)O膜(PZT膜)を、塗布法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
Pb、Zr及びTiの有機金属化合物をPb:Zr:Ti=100+δ:55:45の組成比になるように混合し、エタノールと2−n−ブトキシエタノールの混合溶媒に、Pb(Zr0.55Ti0.45)Oとしての濃度が0.35mol/lになるように溶解させた原料溶液を調整した。δについては、δ=20とした。そして、原料溶液には更に20gの重量の、K値が27〜33のポリピロリドンを溶解させた。
次に、調製した原料溶液のうち3mlの原料溶液を、6インチのウェハよりなる基板11上に滴下し、3000rpmで10秒間回転させ、基板11上に原料溶液を塗布することにより、前駆体を含む膜を形成した。そして、200℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置し、更に450℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置することにより、溶媒を蒸発させて膜を乾燥させた。その後、0.2MPaの酸素(O)雰囲気中、600〜700℃で60秒間熱処理して前駆体を酸化して結晶化させることにより、30nmの膜厚を有する圧電膜18を形成した。
実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々について、圧電膜18としてのPZT膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルを測定した。即ち、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々について、θ−2θ法によるX線回折測定を行った。
図17及び図18の各々は、PZT膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。図17及び図18の各々のグラフの横軸は、角度2θを示し、図17及び図18の各々のグラフの縦軸は、X線の強度を示す。図17は、実施例3についての結果を示し、図18は、比較例1についての結果を示す。
図17に示す例(実施例3)では、θ−2θスペクトルにおいて、立方晶の結晶構造を有するPtの(200)面に相当するピーク、並びに、正方晶の結晶構造を有するPZTの(001)面及び(002)面に相当するピークが観測された。そのため、図17に示す例(実施例3)では、導電膜13が、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したPtを含み、圧電膜16が、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したPZTを含むことが分かった。
図18に示す例(比較例1)でも、θ−2θスペクトルにおいて、立方晶の結晶構造を有するPtの(200)面に相当するピーク、並びに、正方晶の結晶構造を有するPZTの(001)面及び(002)面に相当するピークが観測された。しかし、図18に示す例(比較例1)では、図17に示す例(実施例3)と異なり、正方晶の結晶構造を有するPZTの(110)面又は(101)面に相当するピークが観測された。そのため、図18に示す例(比較例1)では、導電膜13が、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したPtを含み、圧電膜16が、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したPZTを含むものの、圧電膜16が、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(110)配向又は(101)配向したPZTも含むことが分かった。
即ち、図17に示す例(実施例3)では、圧電膜16が、正方晶表示で(110)配向したPZTを含まないことが分かった。
θ−2θ法におけるPZT(110)/PZT(001)を測定した結果を、表2に示す。ここで、PZT(110)/PZT(001)は、正方晶の結晶構造を有するPZTの(001)面のピーク強度に対する、正方晶の結晶構造を有するPZTの(110)面又は(101)面のうち強い方のピーク強度の比を、意味する。なお、PZTの(110)面及び(101)面のいずれも観測されない場合には、PZT(110)面が観測される角度2θ(2θ≒31°)におけるバックグラウンドレベルを、PZTの(110)面又は(101)面のうち強い方のピーク強度と定義した。
表2に示すように、例えばPZT(110)面及び(101)面のいずれも観測されず、結晶性が良好である実施例1〜実施例7においては、PZT(110)/PZT(001)は、4×10−5以下であった。一方、例えばPZT(110)面又は(101)面が観測され、結晶性が良好ではない比較例1〜比較例5においては、PZT(110)/PZT(001)は、1×10−4以上であった。
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5の各々の膜構造体に対して、広域逆格子マップ測定を行った。広域逆格子マップの測定は、株式会社リガク製全自動水平型多目的X線回折装置SmartLabにハイブリッド型多次元ピクセル検出器HyPix-3000を取り付けて行った。
図19及び図20は、PZT膜までが形成された膜構造体の逆格子マップの測定結果である。図19は、実施例3についての結果を示し、図20は、比較例1についての結果を示す。図21は、PZTの逆格子マップのシミュレーション(計算)を行った結果である。図19及び図20を図21と比較することにより、圧電膜16がエピタキシャル成長、即ちX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向(図1参照)のいずれの方向にも配向しているか否かを評価することができる。
逆格子マップの測定では、まず、θ−2θ法によるスキャン(θ−2θスキャン)と同様のω−2θ法によるスキャン(ω−2θスキャン)を行って、角度ω、角度2θ及びX線の強度の3つの数値よりなる第1数値群を複数個取得する。逆格子マップの測定では、次に、複数の第1数値群の各々に含まれる3つの数値のうち、角度ω及び角度2θの2つの数値を下記数式(数4)に代入して逆格子空間座標qを求め、角度ω及び角度2θの2つの数値を下記数式(数5)に代入して逆格子空間座標qを求める。そして、各第1数値群を、逆格子空間座標q、逆格子空間座標q及びX線の強度の3つの数値よりなる第2数値群に変換する。逆格子マップの測定では、次に、複数の第2数値群の各々に含まれる3つの数値のうち、X線の強度を、逆格子空間座標qを横軸の座標とし、逆格子空間座標qを縦軸の座標とした平面上で、等高線表示する。
Figure 2021121026
Figure 2021121026
具体的には、角度2θを10〜120°の範囲で変化させ、角度ωを10〜90°の範囲で変化させてω−2θスキャンを行った。なお、ω−2θスキャンは、角度2θ及び角度ωの回転面が、基板11のSiの(110)面に平行である。
なお、株式会社リガク製全自動水平型多目的X線回折装置SmartLabを用いた広域逆格子マップの測定では、φ軸を面内回転軸としたときに0°及び45°の2つの角度φで測定している。また、前述したように、ω−2θスキャンにより得られた角度ω及び角度2θを上記数式(数4)及び(数5)に代入して逆格子空間座標q及び逆格子空間座標qを求めることにより逆格子マップを測定するのであるが、χ軸を煽り軸としたときに複数の角度χについて測定した逆格子マップを一面に重ねることにより、分極ドメインの異なる成分を測定することも可能である。
図19に示す逆格子マップの測定結果(実施例3)を図21に示す逆格子マップの計算結果と比較すると、図19に示す逆格子マッピングの測定結果は、図21に示す逆格子マップの計算結果と一致している。そのため、実施例3のPZT膜は、良好な単結晶膜であることが分かる。
一方、図20に示す逆格子マップの測定結果(比較例1)を図21に示す逆格子マップの計算結果と比較すると、図20に示す逆格子マップの測定結果も、図21に示す逆格子マップの計算結果と略一致しているものの、各点が、図19に示す逆格子マップの測定結果に比べて広がっている。そのため、比較例1のPZT膜は、実施例3のPZT膜に比べると結晶性が低いことが分かる。
また、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々の膜構造体について、θ−2θ法を用いたX線回折測定により測定された回折パターンにおいて(001)面の回折ピークが観測されたときに、角度2θを(001)面の回折ピークが観測された角度に固定した状態でロッキングカーブを測定した。実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々の膜構造体について、このロッキングカーブの測定で測定されたロッキングカーブの半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)を、表2に示す。
表2に示すように、例えばPZT(110)面及び(101)面のいずれも観測されず、結晶性が良好である実施例1〜実施例7においては、PZT(100)のロッキングカーブにおける半値全幅は、0.3〜0.6°であった。一方、例えばPZT(110)面又は(101)面が観測され、結晶性が良好ではない比較例1〜比較例5においては、PZT(100)のロッキングカーブにおける半値全幅は、1.0〜2.0°であった。
なお、θ−2θ法によるX線回折測定により測定された回折パターンにおける(001)面、(002)面、(003)面及び(004)面の各々の回折ピークについてのロッキングカーブの半値全幅は、逆格子マップの(001)面、(002)面、(003)面及び(004)面の各々に対応した逆格子点の半値全幅と同義である。
また、図19の逆格子マップの測定結果(実施例3)における各スポットの広がりが、図20の逆格子マップの測定結果(比較例1)における各スポットの広がりよりも小さい。これは、実施例1〜実施例7の各々の膜構造体におけるPZT(001)のロッキングカーブにおける半値全幅が、比較例1〜比較例5の各々の膜構造体におけるPZT(001)のロッキングカーブにおける半値全幅よりも小さいことと、整合している。
即ち、実施例1〜実施例7の各々の膜構造体におけるPZT(00n)(nは1以上の整数)のロッキングカーブにおける半値全幅は、比較例1〜比較例5の各々の膜構造体におけるPZT(00n)(nは1以上の整数)のロッキングカーブにおける半値全幅よりも小さい。
図19の逆格子マップにおけるPZTの(113)面(図21参照)の周辺領域において、正方晶の結晶構造を有するPZTの(113)面の逆格子点に相当するスポットが3つのスポットに分かれているが、これらの3つのスポットの各々の逆格子空間座標qが異なっている。そのため、圧電膜16のうち、これらの3つのスポットの各々で表された部分の間で、応力が緩和されていると考えられる。このようにPZTの(113)面の逆格子点が3つのスポットに分かれ、且つ、これらの3つのスポットの各々の逆格子空間座標qが異なっている現象は、実施例1〜実施例7の各々の膜構造体において観察された。
一方、図17のθ−2θスペクトルにおいて、正方晶の結晶構造を有するPZTの(001)面の高角側に、例えば正方晶の結晶構造を有するPZTの(100)面等と考えられるピークが観測されている。また、正方晶の結晶構造を有するPZTの(002)面の高角側に、例えば正方晶の結晶構造を有するPZTの(200)面等と考えられるピークが観測されている。従って、図19の逆格子マップから、圧電膜16のうち、これらの3つのスポットの各々で表された部分の間で、応力が緩和されていることが示唆されていることと合わせて考えると、例えば正方晶の結晶構造を有するPZTの(100)配向した部分が微量の含有率で存在し、当該部分が応力緩和層として機能しているものと考えられる。
次に、図2に示したように、圧電膜16上に、導電膜19として、白金(Pt)膜を、スパッタリング法により形成した。その後、導電膜13と導電膜19との間に電圧を印加して分極の電圧依存性を測定した。
図22及び図23の各々は、膜構造体の分極の電圧依存性を示すグラフである。図22及び図23の各々のグラフの横軸は、電圧を示し、図22及び図23の各々のグラフの縦軸は、分極を示す。図22は、実施例3についての結果を示し、図23は、比較例1についての結果を示す。なお、実施例3及び比較例1の各々の膜構造体に含まれる圧電膜16の厚さは互いに等しいため、図22及び図23の各々のグラフの横軸を電圧に代えて電界としたときも、同様に比較することが可能である。
図22に示す実施例3の分極の電圧依存性によれば、比誘電率εr、残留分極値Pr及び抗電圧Vcは、以下の通りであった。
εr=300
Pr=50μC/cm
Vc=23.2V@2.7μm
また、図23に示す比較例1の分極の電圧依存性によれば、比誘電率εr、残留分極値Pr及び抗電圧Vcは、以下の通りであった。
εr=500
Pr=20μC/cm
Vc=19.5V@2.7μm
同様にして、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々の膜構造体について、この分極の電圧依存性の測定で測定された比誘電率εrを、表2に示す。なお、上記比誘電率εrは、導電膜13と導電膜19との間に、1kHzの周波数を有する交流電圧を印加して測定された比誘電率である。
表2に示すように、例えばPZT(110)面及び(101)面のいずれも観測されず、結晶性が良好である実施例1〜実施例7においては、比誘電率εrは、300〜400であった。一方、例えばPZT(110)面又は(101)面が観測され、結晶性が良好ではない比較例1〜比較例5においては、比誘電率εrは、450〜500であった。
このように、実施例1〜実施例7の各々の膜構造体では、圧電膜16の比誘電率が従来のPZT膜に比べて低くなっている。これにより、実施例1〜実施例7の各々の膜構造体を、例えば圧電効果を用いたセンサとして用いる場合に、検出感度を向上させることができる。或いは、実施例1〜実施例7の各々の膜構造体を、例えば逆圧電効果を用いた超音波振動子として用いる場合に、発振回路を容易に設計することができる。
なお、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々の膜構造体に含まれる膜14については、xがx=0.42を満たすときのPb(Zr1−xTi)O膜即ちPb(Zr0.58Ti0.42)O膜に代え、xが0<x≦0.48を満たすときのPb(Zr1−xTi)O膜即ちPZT膜を形成した場合も、同様の結果が得られた。また、xが0.48<x<1を満たすときのPZT膜を形成した場合も、xが0<x≦0.48を満たすときのPZT膜に比べれば若干特性が下がる方向の差異はあるものの、略同様の結果が得られた。
また、実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例5の各々の膜構造体に含まれる膜15については、yがy=0を満たすときのPb(Zr1−yTi)O膜即ちPZO膜に代え、yが0<y≦0.1を満たすときのPb(Zr1−yTi)O膜即ちPZT膜を形成した場合も、同様の結果が得られた。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
10 膜構造体
11 基板
11a 上面
12 配向膜
13 導電膜
14、15 膜
16、17 圧電膜
17a 結晶粒
18 圧電膜
18a 膜
18b 結晶粒
19 導電膜
EP 終点
P1 分極
SP 起点

Claims (3)

  1. (a)(100)面よりなる主面を含むシリコン基板を用意する工程、
    (b)前記主面上に、(100)配向した酸化ジルコニウムを含む第1膜を形成する工程、
    (c)前記第1膜上に、(100)配向した白金を含む第1導電膜を形成する工程、
    (d)前記第1導電膜を450〜600℃の温度で熱処理する工程、
    を有する膜構造体の製造方法。
  2. (a)(100)面よりなる主面を含むシリコン基板の前記主面上に、(100)配向した酸化ジルコニウムを含む第1膜を形成する工程、
    (b)前記第1膜上に、(100)配向した白金を含む第1導電膜を形成する工程、
    (c)前記第1導電膜を450〜600℃の温度で熱処理する工程、
    を制御部に実行させて膜構造体と製造する製造装置。
  3. 請求項2に記載の各工程を制御部に実行させるためのプログラム。
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