JP2021120576A - 車両の制御装置 - Google Patents

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純也 水野
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Abstract

【課題】油圧制御する発進クラッチに対して、常に一定の油圧挙動を実現し、制御性能を向上させる。【解決手段】駆動トルクを出力するエンジンと、前記エンジンの出力側に配置され、油圧制御されて伝達トルク容量を連続的に増減し、前記駆動トルクを駆動輪側へ伝達するまたは前記駆動トルクの伝達を遮断する発進クラッチと、前記発進クラッチの動作を制御するコントローラとを備え、前記発進クラッチをフィードバック制御して係合させる車両の制御装置において、前記発進クラッチを前記油圧制御によって試行的に作動させてその試行的な作動における前記油圧制御の応答性を評価し、前記応答性が所定の基準応答性よりも高いと判定した場合は、前記フィードバック制御のゲインを小さくし(ステップS7,S9)、前記応答性が前記基準応答性よりも低いと判定した場合は、前記ゲインを大きくする(ステップS8,S9)。【選択図】図7

Description

この発明は、油圧で作動する発進クラッチを備えた車両の制御装置に関し、特に、発進クラッチをフィードバック制御して動作させる車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、摩擦クラッチ、摩擦クラッチの摩擦部材を押圧する油圧ピストン、油圧ピストンに油圧を作用させる油圧室、油圧室に作動油を供給する油圧ポンプ、および、油圧ポンプを駆動する電動モータを備えたクラッチ装置に関する発明が記載されている。この特許文献1に記載されたクラッチ装置では、油圧ポンプの吐出圧の目標値と実値との偏差に基づく補正値によって、電動モータをフィードバック制御する。そして、作動油の温度によらず油圧ポンプの吐出圧を速やかに目標値に近づけることを目的として、作動油の温度を推定し、推定した作動油の温度に応じてフィードバック制御のゲインを変化させる。具体的には、作動油の温度が高くなるほど、すなわち、作動油の粘性が低くなるほど、フィードバック制御のゲインを小さくする。
特開2017−26137号公報
上記のように、特許文献1に記載されたクラッチ装置は、作動油の温度を考慮して油圧の発生源をフィードバック制御するので、作動油の温度が変化する場合、すなわち、作動油の粘性が変化する場合であっても、所望する吐出圧で速やかに作動油を供給することができ、摩擦クラッチを適切に作動させることができる。しかしながら、上記の特許文献1に記載されたクラッチ装置では、作動油の温度変化に対応して摩擦クラッチの所定の制御性能は確保できるものの、作動油の温度以外の要因がフィードバック制御に及ぼす影響については考慮されていない。摩擦クラッチや、摩擦クラッチを作動させる油圧系統には、例えば、製造時の個体差や経時変化、あるいは、センサ類の器差などに起因して、個体間のばらつきが不可避的に発生する。そのような個体間のばらつきが、制御応答性が低くなる方向にばらつくと、フィードバック制御の際の追従性が低下してしまう。反対に、制御応答性が高くなる方向にばらつくと、フィードバック制御の際にオーバーシュートやハンチングを起こしやすくなり、制御が不安定になってしまう。
このように、摩擦クラッチおよび油圧系統などの個体差や経時変化等に起因して油圧制御の応答性がばらつく場合であっても、常に一定の油圧挙動を実現し、クラッチの制御性能を向上させるためには、未だ、改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、油圧制御で動作させるクラッチを搭載する車両において、常に一定の油圧挙動を実現し、クラッチの制御性能を向上させることが可能な車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動トルクを出力するエンジン(内燃機関)と、前記駆動トルクが伝達されて駆動力を発生する駆動輪と、前記エンジンの出力側に配置され、油圧制御されて伝達トルク容量を連続的に増減し、前記駆動トルクを前記駆動輪側へ伝達するまたは前記駆動トルクの前記駆動輪側への伝達を遮断する発進クラッチと、前記発進クラッチの動作を制御するコントローラと、を備え、前記発進クラッチをフィードバック制御して係合させる車両の制御装置において、前記コントローラは、前記発進クラッチを前記油圧制御によって試行的に作動させるとともに、その試行的な作動における前記油圧制御の応答性を評価し、前記応答性が所定の基準応答性よりも高いと判定した場合は、前記フィードバック制御のゲインを小さくし、前記応答性が前記基準応答性よりも低いと判定した場合は、前記ゲインを大きくすることを特徴とするものである。
なお、この発明における前記車両は、前記発進クラッチと前記駆動輪との間に配置され、前記発進クラッチと前記駆動輪との間でトルクを伝達するとともに、前記トルクの伝達を遮断するニュートラル(ニュートラルレンジ、パーキングレンジ)を設定可能な自動変速機を備えていてもよく、その場合、この発明における前記コントローラは、前記自動変速機で前記ニュートラルを設定した状態で、前記発進クラッチを前記油圧制御によって試行的に係合させるとともに、その試行的な係合における前記油圧制御の応答性を評価するように構成してもよい。
また、この発明における前記車両は、前記発進クラッチと前記駆動輪との間に配置され、前記発進クラッチと前記駆動輪との間でトルクの伝達を選択的に遮断することが可能な係合機構を備えていてもよく、その場合、この発明における前記コントローラは、前記係合機構で前記発進クラッチと前記駆動輪との間のトルクの伝達を遮断した状態で、前記発進クラッチを前記油圧制御によって試行的に係合させるとともに、その試行的な係合における前記油圧制御の応答性を評価するように構成してもよい。
また、この発明における前記コントローラは、前記発進クラッチを前記油圧制御によって試行的に前記発進クラッチが係合しない範囲で作動させるとともに、その試行的な作動における前記油圧制御の応答性を評価するように構成してもよい。
更に、この発明における前記コントローラは、上記のように前記発進クラッチが係合しない範囲で試行的に作動させた際の前記油圧制御の応答性を評価した場合、その直後に実行する前記フィードバック制御に限って、前記応答性の評価結果を反映させるように構成してもよい。
この発明の車両の制御装置では、油圧制御で作動する発進クラッチを、試行的に、作動させる。例えば、発進クラッチと駆動輪との間のトルク伝達を遮断した状態で、発進クラッチを試行的に係合する。あるいは、発進クラッチが係合しない範囲で、言い換えると、発進クラッチがトルクを伝達しない範囲で、発進クラッチを試行的に作動させる。それとともに、その試行的な作動もしくは係合のために実行される油圧制御の応答性を評価する。例えば、油圧制御の実圧が指示圧に到達するまでの応答時間を計測することによって応答性を評価できる。発進クラッチは、上記のように、試行的に、作動もしくは係合されることにより、係合状態に向けて動作するものの、駆動輪側に対してはトルクを伝達しない。そのため、車両の駆動力あるいは車両挙動に影響することなく、油圧制御の応答性を評価することができる。そして、この発明の車両の制御装置では、油圧制御の応答性の評価結果を反映させて発進クラッチのフィードバック制御を実行する。油圧制御の応答性が高いと判定した場合は、フィードバック制御のゲインを小さくする。反対に、油圧制御の応答性が低いと判定した場合は、フィードバック制御のゲインを大きくする。そのため、油圧制御の応答性にばらつきが見られる場合であっても、そのばらつきの影響を排除して、常に一定の油圧挙動で発進クラッチを制御することができる。したがって、この発明の車両の制御装置によれば、例えば、発進クラッチおよび油圧系統などの個体差や経時変化等に起因して油圧制御の応答性がばらつく場合であっても、常に一定の油圧挙動を実現し、発進クラッチの制御性能を向上させることができる。
この発明で制御の対象とする車両のギヤトレーンおよび制御系統の一例を示す図である。 一般的なフィードバック制御における目標値(目標圧)および実際値(実圧)を説明するためのタイムチャートである。 一般的なフィードバック制御における指示値(指示圧)およびゲインを説明するためのタイムチャートである。 この発明で制御の対象とする発進クラッチおよび発進クラッチに関連する油圧系統における個体差やばらつきの要因を説明するための図である。 この発明の車両の制御装置の課題を説明するための図であって、従来のフィードバック制御においてゲインが過大となってオーバーシュートが発生してしまう例を示すタイムチャートである。 この発明の車両の制御装置の課題を説明するための図であって、従来のフィードバック制御においてゲインが過小となって追従性が低下してしまう例を示すタイムチャートである。 この発明の車両の制御装置によって実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 図7のフローチャートに示す制御を実行する際に、発進クラッチに対する油圧制御における指示圧および実圧ならびに応答時間を示すタイムチャートであって、矩形波状の指示圧、および、油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高いケースを説明するための図である。 図7のフローチャートに示す制御を実行する際に、発進クラッチに対する油圧制御における指示圧および実圧ならびに応答時間を示すタイムチャートであって、矩形波状の指示圧、および、油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低いケースを説明するための図である。 図7のフローチャートに示す制御で用いる「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップのイメージを示す図である。 図7のフローチャートに示す制御で用いる「応答遅れ(油圧応答特性)-ゲイン」マップのイメージを示す図である。 図7のフローチャートに示す制御で用いる「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップのイメージを示す図であって、油温の検出誤差によって油圧応答特性の算出精度が低下してしまう事象を説明するための図である。 発進クラッチに対する油圧制御における指示圧および実圧ならびに応答時間を示すタイムチャートであって、油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高いケースで、油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを算出する制御を説明するための図である。 発進クラッチに対する油圧制御における指示圧および実圧ならびに応答時間を示すタイムチャートであって、油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低いケースで、油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを算出する制御を説明するための図である。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態で制御対象にする車両は、エンジン(内燃機関)を駆動力源とする車両である。また、この発明の実施形態で制御対象にする車両は、駆動力源と駆動輪との間に、発進クラッチを備えている。発進クラッチは、油圧制御によって作動し、駆動力源と駆動輪との間の動力伝達経路でトルク伝達率(伝達トルク容量)を連続的に変化させる。また、発進クラッチは、フィードバック制御されて係合するように構成されている。図1に、この発明の実施形態で制御対象にする車両の構成(駆動系統および制御系統)の一例を示してある。
図1に示す車両Veは、駆動力源として、エンジン(ENG)1、ならびに、第1モータ(MG1)2、および、第2モータ(MG2)3を備えている。また、車両Veは、その他の主要な構成要素として、駆動輪(後輪)4、駆動輪(前輪)5、発進クラッチ6、自動変速機(AT)7、検出部8、および、コントローラ(ECU)9を備えている。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量または噴射量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。ディーゼルエンジンであれば、燃料の噴射量、燃料の噴射時期、あるいは、EGRシステムにおけるスロットルバルブの開度などが電気的に制御される。
第1モータ2は、電気エネルギを機械的エネルギ(または回転エネルギ)に変換する、もしくは、機械的エネルギ(または回転エネルギ)を電気エネルギに変換する。第1モータ2は、エンジン1と同軸上に配置され、後述する自動変速機7およびトランスファ12を介して、駆動輪4,5に動力伝達可能に連結されている。第1モータ2は、エンジン1が出力するトルクを受けて駆動されることにより電力を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、第1モータ2は、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第1モータ2には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ(図示せず)が接続されている。したがって、第1モータ2を発電機として機能させ、その際に発生する電力をバッテリに蓄えることができる。また、バッテリに蓄えられている電力を第1モータ2に供給し、第1モータ2を原動機として機能させて駆動トルクを出力することもできる。
第2モータ3は、電気エネルギを機械的エネルギ(または回転エネルギ)に変換する、もしくは、機械的エネルギ(または回転エネルギ)を電気エネルギに変換する。第2モータ3は、減速ギヤ10、および、例えば遊星歯車機構を用いた変速機構11などを介して、駆動輪(前輪)5に動力伝達可能に連結されている。第2モータ3は、第2モータ3は、外部からトルクを受けて駆動されることによって電力を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、第2モータ3は、上記の第1モータ2と同様に、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第2モータ3には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ(図示せず)が接続されている。したがって、バッテリに蓄えられている電力を第2モータ3に供給し、第2モータ3を原動機として機能させて駆動トルクを出力することができる。また、駆動輪(前輪)5から伝達されるトルクによって第2モータ3を発電機として機能させて、その際に発生する回生電力をバッテリに蓄えることもできる。さらに、第1モータ2および第2モータ3は、インバータを介して、互いに電力の授受が可能なように接続されている。そのため、例えば、第1モータ2で発生した電力を、直接、第2モータ3に供給し、第2モータ3で駆動トルクを出力することも可能である。
駆動輪(後輪)4は、駆動力源が出力する駆動トルクが伝達されることにより、車両Veの駆動力を発生する。図1に示す例では、駆動輪(後輪)4は、発進クラッチ6、自動変速機7、トランスファ12、リヤプロペラシャフト13、リヤデファレンシャルギヤ14、および、リヤドライブシャフト15を介して、エンジン1、および、第1モータ2に連結されている。また、駆動輪(後輪)4は、減速ギヤ10、変速機構11、トランスファ12、リヤプロペラシャフト13、リヤデファレンシャルギヤ14、および、リヤドライブシャフト15を介して、第2モータ3に連結されている。
駆動輪(前輪)5は、駆動力源が出力する駆動トルクが伝達されることにより、車両Veの駆動力を発生する。すなわち、図1に示す例では、車両Veは、駆動トルクを前輪5および後輪4の両方に伝達して駆動力を発生させる四輪駆動車あるいは全輪駆動車である。したがって、駆動輪(前輪)5は、発進クラッチ6、自動変速機7、トランスファ12、フロントプロペラシャフト16、フロントデファレンシャルギヤ17、および、フロントドライブシャフト18を介して、エンジン1、および、第1モータ2に連結されている。また、駆動輪(前輪)5は、減速ギヤ10、変速機構11、トランスファ12、フロントプロペラシャフト16、フロントデファレンシャルギヤ17、および、フロントドライブシャフト18を介して、駆動力源(すなわち、第2モータ3)に連結されている。
上記のトランスファ12は、駆動力源の出力トルクを駆動輪(後輪)4側と駆動輪(前輪)5側とに分配する機構であり、自動変速機7の出力側(図1の右側)に配置されている。トランスファ12における駆動輪(後輪)4側の出力部材(図示せず)に、リヤプロペラシャフト13が連結され、駆動輪(前輪)5側の出力部材(図示せず)に、フロントプロペラシャフト16が連結されている。トランスファ12は、例えば、チェーンやベルトを使用した巻き掛け伝動機構、あるいは、歯車機構によって構成することができる。また、トランスファ12は、駆動輪(前輪)5と駆動輪(後輪)4との差動回転を可能にする差動機構や、その差動回転を摩擦クラッチなどによって制限する差動制限機構を備えていてもよい。また、トランスファ12は、上記のような差動制限機構を備えた差動機構からなるフルタイム四輪駆動機構、または、駆動輪(前輪)5側へのトルクの伝達を選択的に遮断するパートタイム四輪駆動機構などによって構成することができる。更に、トランスファ12は、駆動輪(前輪)5側へ伝達するトルクと、駆動輪(後輪)4側へ伝達するトルクとの配分を任意に設定することが可能な電子制御式の四輪駆動機構によって構成してもよい。
発進クラッチ6は、油圧制御によって作動し、少なくとも係合動作がフィードバック制御される。発進クラッチ6は、エンジン1と駆動輪4,5との間の動力伝達経路で、選択的に動力の伝達および遮断を行う。発進クラッチ6を解放することにより、エンジン1および第1モータ2が、車両Veの駆動系統から切り離される。発進クラッチ6を係合することにより、エンジン1および第1モータ2が車両Veの駆動系統に連結される。また、発進クラッチ6は、エンジン1と駆動輪4,5との間の動力伝達経路で、トルク伝達率(あるいは、伝達トルク容量)を連続的に変化させることが可能なように構成されている。具体的には、発進クラッチ6は、スリップ係合(または、半係合)が可能な摩擦クラッチによって構成される。発進クラッチ6は、完全解放の状態でトルク伝達率が0%になり、完全係合の状態でトルク伝達率が100%になる。要は、発進クラッチ6は、エンジン1の出力側に配置され、油圧制御されて伝達トルク容量を連続的に増減し、エンジン1が出力する駆動トルクを駆動輪4,5側へ伝達する、または、エンジン1が出力する駆動トルクの駆動輪4,5側への伝達を遮断する。したがって、エンジン1の出力トルク(エンジントルク)を駆動輪4,5に伝達する際に、発進クラッチ6の係合状態を制御して、発進クラッチ6のトルク伝達率を連続的に変化させることにより、スムーズな動力伝達を行うことができる。あるいは、エンジントルクによるスムーズな発進を行うことができる。
なお、図1に示す例では、車両Veは、上記のようにエンジン1と第1モータ2とが動力伝達可能に連結されている。したがって、上記の発進クラッチ6を用いずに、エンジン1のエンジントルクによる発進あるいはスムーズな動力伝達を行うことも可能である。例えば、エンジントルクを駆動輪4,5に伝達する際に、第1モータ2でエンジントルクを増減するように制御することにより、発進クラッチ6を用いずに、車両Ve発進させること、あるいは、スムーズな動力伝達を行うことができる。ただし、極低車速(例えば、時速1kmから時速3km程度)でエンジントルクによって定常走行するような場合では、エンジン1のアイドル回転数と車輪速との差回転が生じる。そのような場合には、発進クラッチ6を用いて差回転を吸収することにより、よりスムーズな動力伝達を行うことができる。
自動変速機7は、発進クラッチ6と駆動輪4,5との間に配置されている。具体的には、自動変速機7は、エンジン1および第1モータ2と同軸上で、第1モータ2の出力側(図1の右側)に配置されている。自動変速機7は、エンジン1および第1モータ2から入力されるトルクを駆動輪(後輪)4側に伝達する。自動変速機7は、入力軸7aの回転数(入力回転数)に対する出力軸7bの回転数(出力回転数)の比率を適宜に変更できる機構であって、例えば、有段式の自動制御が可能な変速機によって構成される。自動変速機7は、内部に設けられた、すなわち、入力軸7aと出力軸7bとの間に設けられた複数の係合機構19を有している。それら複数の係合機構19の係合および解放の状態を組み合わせて制御することにより、所定の変速段を設定し、入力軸7aと出力軸7bとの間でトルクを伝達する。また、入力軸7aと出力軸7bとの間のトルクの伝達を遮断するニュートラル(例えば、ニュートラルレンジ、および、パーキングレンジ)を設定することが可能なように構成されている。
検出部8は、車両Veを制御する際に必要な各種のデータや情報を取得するための機器あるいは装置であり、例えば、電源部、マイクロコンピュータ、センサ、および、入出力インターフェース等を含む。特に、この発明の実施形態における検出部8は、駆動力源(エンジン1、第1モータ2、第2モータ3)、発進クラッチ6、および、自動変速機7内の係合機構19をそれぞれ制御するためのデータを検出する。具体的には、検出部8は、車速を検出する車速センサ(または、車輪速センサ)8a、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ8b、第1モータ2および第2モータ3の回転数をそれぞれ検出するモータ回転数センサ(または、レゾルバ)8c、自動変速機7の入力軸7aの回転数を検出する入力回転数センサ8d、自動変速機7の出力軸7bの回転数を検出する出力回転数センサ8e、発進クラッチ6および自動変速機7で用いるオイルの温度を検出する油温センサ8f、ならびに、発進クラッチ6のアクチュエータ(図示せず)および自動変速機7内の各係合機構19のアクチュエータ(図示せず)に供給される油圧をそれぞれ検出する油圧センサ8gなどの各種センサを有している。そして、検出部8は、後述するコントローラ9と電気的に接続されており、上記のような各種センサや機器・装置等の検出値または算出値に応じた電気信号を検出データとしてコントローラ9に出力する。
コントローラ9は、例えば、マイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置であり、特に、この発明の実施形態におけるコントローラ9は、主に、エンジン1、第1モータ2、第2モータ3、発進クラッチ6、および、自動変速機7内の係合機構19の動作をそれぞれ制御する。コントローラ9には、上記の検出部8で検出または算出された各種データが入力される。コントローラ9は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。そして、コントローラ9は、その演算結果を制御指令信号として出力し、上記のような、エンジン1、第1モータ2、第2モータ3、発進クラッチ6、および、自動変速機7内の係合機構19の動作等をそれぞれ制御するように構成されている。なお、図1では一つのコントローラ9が設けられた例を示しているが、コントローラ9は、制御する装置や機器毎に、あるいは制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
なお、この発明の実施形態における車両Veの構成(ギヤトレーン)は、上記の図1に示す例に限定されない。例えば、トランスファ12を用いずに、駆動輪(前輪)5を第2モータ3のみで駆動する構成であってもよい。あるいは、駆動力源として、エンジン1および第2モータ3を搭載し、第1モータ2を搭載しない構成であってもよい。その場合も、トランスファ12を用いずに、駆動輪(後輪)4をエンジン1のみで駆動し、駆動輪(前輪)5を第2モータ3のみで駆動する構成であってもよい。あるいは、駆動輪(後輪)4をエンジン1、第1モータ2,および、第2モータ3で駆動し、駆動輪(前輪)5をエンジン1、および、第1モータ2で駆動する構成であってもよい。あるいは、駆動輪(後輪)4を第2モータ3のみで駆動し、駆動輪(前輪)5をエンジン1のみで駆動する構成であってもよい。あるいは、駆動力源として、エンジン1のみを搭載したエンジン車両であってもよい。その場合も、エンジン1で駆動輪(後輪)4および駆動輪(前輪)5の両方を駆動する四輪駆動車であってもよい。あるいは、エンジン1で駆動輪(後輪)4のみを駆動する構成、または、エンジン1で駆動輪(前輪)5のみを駆動する構成であってもよい。
前述したように、この発明の実施形態における車両Veの発進クラッチ6は、油圧制御によって作動し、その係合動作がフィードバック制御される。一般に、フィードバック制御では、ゲイン(感度)が調整されて、目標値に対して実値が適切に追従するように制御される。発進クラッチ6に対しては、当初、発進クラッチ6の標準品、あるいは、設計値もしくは理論値等を基に標準的なゲインが設定され、フィードバック制御が実行される。例えば、図2のタイムチャートに示すように、発進クラッチ6を係合するための油圧制御では、油圧制御の実圧をフィードバック制御する際の目標圧が設定される。図2に示すように、発進クラッチ6の油圧制御においては、目標圧に対して不可避的に実圧の応答遅れが生じる。そのため、実際のフィードバック制御では、図3のタイムチャートに示すように、目標圧に対する実圧の乖離分を考慮して、所期の目標圧に対して所定量(図2でハッチングを付けた部分)を上乗せした指示圧が設定される。この場合の指示圧の反映度合いを決定するのがフィードバック制御のゲインである。ゲインが大きくなると実圧の追従性の感度が高くなる。したがって、フィードバック制御のゲインが過小であると、実圧の応答遅れの改善効果が薄れてしまう。反対に、フィードバック制御のゲインが過大になると、オーバーシュートや制御のハンチングを誘発してしまう。そのようなオーバーシュートや制御のハンチングを回避するために、通常、標準的あるいは平均的な発進クラッチ6に対して、フィードバック制御のゲインが過大にならないように(抑制気味に)設定される。
ところで、発進クラッチ6や、発進クラッチ6を作動させる油圧系統には、製造時の個体差や経時変化、あるいは、センサ類の器差などに起因して、油圧制御の応答性にばらつきが不可避的に発生する。例えば、図4に示すように、発進クラッチ6には、クッションプレート6aの個体差、摩擦材6bの個体差、バッキングプレート6cの個体差、リターンスプリング6dの個体差、クラッチカバー6eの個体差、および、Oリング6fの個体差などが存在し、それに起因して、不可避的に油圧制御の応答性がばらついてしまう。また、発進クラッチ6に関連する油圧系統においても、例えば、リニアソレノイドバルブ20の個体差や応答性のばらつき、オリフィス21の個体差、ダンパ22の個体差、および、オイル(作動油)23の個体差などが存在し、それに起因して、不可避的に油圧制御の応答性がばらついてしまう。
発進クラッチ6の油圧応答性がばらつくと、発進クラッチ6の係合動作をフィードバック制御する際に、結局、オーバーシュートや制御のハンチングが生じてしまう。あるいは、十分な制御応答性を得られなくなってしまう。上記のように、標準的あるいは平均的な発進クラッチ6を基準にしてフィードバック制御のゲインを抑制気味に設定する場合に、例えば、油圧応答性が低い方向にばらついた発進クラッチ6に対して同様のゲインを設定すると、フィードバック制御のゲインが実質的に過大になり、図5のタイムチャートに示すように、オーバーシュートが発生してしまい、フィードバック制御が不安定になってしまう。逆に、油圧応答性が高い方向にばらついた発進クラッチ6に対して同様のゲインを設定すると、フィードバック制御のゲインが実質的に過小になり、図6のタイムチャートに示すように、フィードバック制御の追従性が低下してしまう。
上記のような、発進クラッチ6の個体差や経時変化等に起因して油圧制御の応答性がばらついてしまうといった従来技術の課題に対して、この発明の実施形態における車両の制御装置は、常に一定の油圧挙動を実現し、クラッチの制御性能を向上させるために、例えば、以下の図7のフローチャートで示す制御を実行するように構成されている。
図7のフローチャートに示す制御は、発進クラッチ6の動作が車両Veの挙動に影響しない状況で実行される。例えば、自動変速機7で、入力軸7aと出力軸7bとの間のトルク伝達を遮断したニュートラル(ニュートラルレンジ、または、パーキングレンジ)が設定された状況で実行される。例えば、ステップS1では、自動変速機7で、ニュートラルを設定した状態であるか否かが判断される。
なお、車両Veが、自動変速機7を搭載しておらず、代わりに、発進クラッチ6と駆動輪4,5との間に配置され、発進クラッチ6と駆動輪4,5との間でトルクの伝達を選択的に遮断することが可能な係合機構(図示せず)を備えている場合は、その係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルクの伝達を遮断した状態であるか否かが判断される。
自動変速機7でニュートラルを設定した状態ではない、または、係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルクの伝達を遮断した状態ではないことにより、このステップS1で否定的に判断された場合は、以降のステップの制御を実行することなく、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。それに対して、自動変速機7でニュートラルを設定した状態である、または、係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルクの伝達を遮断した状態であることにより、ステップS1で肯定的に判断された場合には、ステップS2へ進む。
ステップS2では、発進クラッチ6および自動変速機7(もしくは、係合機構)で用いるオイルの現時点の温度(AT油温)が検出されて取得される。なお、発進クラッチ6および自動変速機7で用いるオイルの温度(AT油温)に替えて、例えば、外気温やエンジン1の冷却水温など、後述する油圧制御における油圧応答特性に影響を及ぼす他の温度、もしくは、温度以外の他の物理量を検出して用いてもよい。
ステップS3では、発進クラッチ6に対して、矩形波(または、方形波)の油圧指示が与えられ、それに応じて発進クラッチ6が係合させられる。具体的には、図8および図9のタイムチャートに示すような矩形波のパルス信号で、一時的に発進クラッチ6を係合させた後に当初の状態に戻す油圧指示(指示圧)が出力される。図8および図9に示すように、この場合の指示圧は、発進クラッチ6のクラッチパック圧(すなわち、発進クラッチ7の係合開始位置に相当するクラッチ油圧、クラッチタッチ点油圧)よりも高い油圧に設定されている。したがって、発進クラッチ6は、この場合の矩形波の油圧指示によってトルク伝達状態になるまで係合する。但し、この場合は、自動変速機7がニュートラルになっている(もしくは、係合機構がトルク伝達を遮断した状態になっている)。そのため、発進クラッチ6は試行的に作動して係合する状態となり、その発進クラッチ6がトルク伝達状態になっても、車両Veの駆動力あるいは車両挙動には影響しない。
なお、後述するように、この図7のフローチャートに示す制御では、発進クラッチ6を油圧制御によって試行的に作動させ、その試行的な作動における油圧制御の応答性を評価する。具体的には、油圧制御の指示圧に対する実圧の応答時間を算出して応答性を評価する。そのため、このステップS3では、上記のように油圧指示を矩形波のパルス信号で出力することにより、指示圧に対する実圧の応答時間の算出を容易にする。また、後述するように、油圧応答特性やフィードバック制御のゲインを求めるために時定数を用いる場合、その時定数の演算を容易に行うことができる。
ステップS4では、実圧の応答が想定よりも速いか否かが判断される。すなわち、上記のステップS3で、発進クラッチ6が矩形波の油圧指示を出力する油圧制御によって試行的に作動させられ、その試行的な作動における油圧制御の応答性が評価される。具体的には、図8および図9に示すように、矩形波の指示圧に対する実圧の応答時間が、想定した基準の応答時間よりも速いか否かが判断される。図8のタイムチャートは、時刻t1から時刻t2までの応答時間T1が、想定した基準の応答時間よりも速いケース、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高いケースを示している。一方、図9のタイムチャートは、時刻t3から時刻t4までの応答時間T2が、想定した基準の応答時間よりも遅いケース、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低いケースを示している。
指示圧に対する実圧の応答が想定よりも速くないこと、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高くないことにより、このステップS4で否定的に判断された場合は、ステップS5へ進む。
ステップS5では、実圧の応答が想定よりも遅いか否かが判断される。すなわち、上記のステップS3で、発進クラッチ6が矩形波の油圧指示を出力する油圧制御によって試行的に作動させられ、その試行的な作動における油圧制御の応答性が評価される。具体的には、図8および図9に示すように、矩形波の指示圧に対する実圧の応答時間が、想定した基準の応答時間よりも遅いか否かが判断される。
実圧の応答が想定よりも遅くないこと、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低くないことにより、このステップS5で否定的に判断された場合は、ステップS6へ進む。
ステップS6では、基準のマップを用いて油圧制御の応答遅れが算出され、「応答遅れ-ゲイン」マップからフィードバック制御のゲインが選定される。要するに、この場合は、指示圧に対する実圧の応答が想定よりも速くなく、かつ、指示圧に対する実圧の応答が想定よりも遅くないケースであり、想定した標準的な、あるいは、基準となる応答性が得られている状態である。したがって、このステップS6では、基準のマップを、そのまま(補正することなく)用いて、発進クラッチ6の油圧制御における応答遅れが算出される。具体的には、図10に示すような「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップから、前述のステップS2で取得したAT油温に対応する応答遅れ(油圧応答特性)が求められる。この「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップは、発進クラッチ6および自動変速機7で用いるオイルの温度を引数として、発進クラッチ6の油圧制御において基準となる応答遅れ(油圧応答特性)を定めてある。後述する「油圧制御の応答性が基準応答性よりも高いと判定した」ケース、および、「油圧制御の応答性が基準応答性よりも低いと判定した」ケースでは、この基準の「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップを大小の方向にそれぞれ補正したマップから、それぞれのケースにおける応答遅れ(油圧応答特性)が求められる。なお、このステップS6の制御では、例えば、指示圧に対する実圧の応答の関係を示す伝達関数の時定数を、応答遅れ(油圧応答特性)として用いてもよい。
そして、上記のような「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップから求めた油圧応答特性に基づいて、発進クラッチ6に対するフィードバック制御におけるゲインが設定される。具体的には、図11に示すような「応答遅れ(油圧応答特性)-ゲイン」マップから、油圧応答特性に対応するフィードバック制御のゲインが求められる。この「応答遅れ(油圧応答特性)-ゲイン」マップは、発進クラッチ6の油圧制御における油圧応答特性を引数として、フィードバック制御のゲインを定めてある。このステップS6で、フィードバック制御のゲインが設定されると、その後、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
一方、指示圧に対する実圧の応答が想定よりも速いこと、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高いことにより、前述のステップS4で肯定的に判断された場合には、ステップS7へ進む。
ステップS7では、「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップにおける応答遅れ(油圧応答特性、時定数)の値が小さくなる方向に補正される。この場合は、発進クラッチ6の個体差等によって、油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高くなっており、このままの状態で発進クラッチ6のフィードバック制御を実行すると、オーバーシュート等を引き起こし、制御が不安定になってしまう可能性がある。そのため、このステップS7では、フィードバック制御のゲインを引き下げるために、応答遅れ(油圧応答特性、時定数)を小さくする方向に補正する。その結果、油圧制御の応答性が適正な値になる。
また、指示圧に対する実圧の応答が想定よりも遅いこと、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低いことにより、前述のステップS5で肯定的に判断された場合には、ステップS8へ進む。
ステップS8では、「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップにおける応答遅れ(油圧応答特性、時定数)の値が大きくなる方向に補正される。この場合は、発進クラッチ6の個体差等によって、油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低くなっており、このままの状態で発進クラッチ6のフィードバック制御を実行すると、追従性が低く、発進クラッチ6の制御性能が低下してしまう可能性がある。そのため、このステップS8では、フィードバック制御のゲインを引き上げるために、応答遅れ(油圧応答特性、時定数)を大きくする方向に補正する。その結果、油圧制御の応答性が適正な値になる。
そして、ステップS9では、上記のステップS7またはステップS8で補正されたマップを用いて、油圧制御の応答遅れ(油圧応答特性、時定数)が算出される。また、「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップから求めた応答遅れ(油圧応答特性、時定数)に基づいて、発進クラッチ6に対するフィードバック制御におけるゲインが設定される。具体的には、図10に示すように、応答遅れ(油圧応答特性、時定数)の値が、大きくなる方向、または、小さくなる方向に補正された「AT油温-応答遅れ(油圧応答特性)」マップから、前述のステップS2で取得したAT油温に対応する応答遅れ(油圧応答特性)が求められる。また、図11に示すような「応答遅れ(油圧応答特性)-ゲイン」マップから、応答遅れ(油圧応答特性)に対応するフィードバック制御のゲインが求められる。このステップS9で、フィードバック制御のゲインが設定されると、その後、この図7のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
上記の図7のフローチャートで示した制御は、自動変速機7でニュートラルを設定した状態、または、係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルクの伝達を遮断した状態で実行され、発進クラッチ6および自動変速機7(もしくは、係合機構)のオイルの温度(AT油温)を基に油圧応答特性、および、フィードバック制御のゲインを設定する。AT油温は、油温センサ8fで検出されるが、AT油温の検出誤差が制御に影響してしまう場合がある。特に、発進クラッチ6がスリップ係合するように制御された直後は、発進クラッチ6周辺の油温だけが上昇し、発進クラッチ6に供給されるオイルの温度と油温センサ8fの検出値との間に乖離(検出誤差)が生じてしまう場合がある。この油温の検出誤差が大きいと制御の精度が低下してしまう。例えば、図12に示すように、油温センサ8fの検出値が40℃のときに、発進クラッチ6周辺の実際の油温は80℃に上昇している場合がある。このような場合には、油温センサ8fの検出値から得られる油圧応答特性(または、時定数)の値aと、実際の油温から得られるべき油圧応答特性(または、時定数)の値bとの間に乖離が生じてしまう。
そのため、この発明に実施形態における制御では、例えば、前述のステップS1で判断される制御の実行条件に加えて、「前回の発進クラッチ6のスリップ係合制御から所定時間以上経過していること」をAND条件で加えてもよい。すなわち、図7のフローチャートにおけるステップS1では、自動変速機7で、ニュートラルを設定した状態(係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルクの伝達を遮断した状態)であり、かつ、前回の発進クラッチ6のスリップ係合制御から所定時間以上経過している状態であるか否かを判断するように制御してもよい。なお、その場合の所定時間は、発進クラッチ6のスリップ係合制御が行われた後の発進クラッチ6周辺の油温と油温センサ8fで検出する油温との温度差が、制御に影響しない程度まで小さくなる時間であり、例えば、走行実験やシミュレーション等の結果に基づいて、予め求めておくことができる。
また、上記のような油温の検出誤差の対策として、この発明に実施形態における制御では、発進クラッチ6を、油圧制御によって試行的に発進クラッチ6が係合しない範囲で作動させるとともに、その試行的な作動における油圧制御の応答性を評価してもよい。具体的には、図13および図14のタイムチャートに示すような矩形波のパルス信号で、一時的に発進クラッチ6を係合させた後に当初の状態に戻す油圧指示(指示圧)が出力される。図13および図14に示すように、この場合の指示圧は、発進クラッチ6のクラッチパック圧よりも低い油圧に設定されている。したがって、発進クラッチ6は、図13および図14に示すような矩形波の油圧指示によって係合状態に向けて動作するものの、トルク伝達状態にはならない。そのため、発進クラッチ6は試行的に作動する状態となっても、その発進クラッチ6の試行的な作動が、車両Veの駆動力あるいは車両挙動には影響することはない。要するに、自動変速機7または係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間でトルクを伝達する状態であっても、車両Veの駆動力あるいは車両挙動に影響を及ぼすことなく、発進クラッチ6は試行的に作動させることができる。そして、その発進クラッチ6の試行的な作動の際に、上述した図7のフローチャートで示した制御と同様にして、発進クラッチ6に対する油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを求めることができる。なお、図13のタイムチャートは、油圧制御の応答時間が、想定した基準の応答時間よりも速いケース、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも高いケースを示している。一方、図9のタイムチャートは、油圧制御の応答時間が、想定した基準の応答時間よりも遅いケース、すなわち、発進クラッチ6の試行的な作動における油圧制御の応答性が基準の応答性よりも低いケースを示している。
上記の図13および図14に示す制御は、発進クラッチ6をトルク伝達状態まで係合させないので、前述の図7のフローチャートならびに図8および図9で示した制御と比較すると、制御の精度は低くなる。そのため、上記のような図13および図14に示す制御で、発進クラッチ6が係合しない範囲で試行的に作動させた際の油圧制御の応答性を評価した場合は、その直後に実行するフィードバック制御に限って、油圧制御の応答性の評価結果を反映させるようにしてもよい。例えば、発進クラッチ6が係合しない範囲で試行的に作動させて油圧制御の応答性を評価した場合、その直後の発進クラッチ6によるフリクションスタートを実行する際のフィードバック制御だけに、取得した油圧制御の応答性の評価結果を反映させる。そうすることにより、仮に、上記のように油温センサ8fの検出値と実際の油温との乖離がある場合であっても、その検出誤差の影響を抑制して、適切に、発進クラッチ6に対する油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを求めることができる。また、自動変速機7または係合機構で発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルク伝達を遮断した状態でなくとも、油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを求めることができる。例えば、車両Veを発進させるために、発進クラッチ6でフリクションスタートを実施する直前に、その都度、油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを求めることができる。したがって、油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを算出する機会を増やすことができる。そのため、制御の機会あるいは頻度を拡大できるといった観点から、制御の精度を向上させることができ、適切に、発進クラッチ6に対する油圧制御の油圧応答特性およびフィードバック制御のゲインを求めることができる。
このように、この発明の実施形態における車両の制御装置では、油圧制御で作動する発進クラッチ6を、試行的に、作動させる。例えば、発進クラッチ6と駆動輪4,5との間のトルク伝達を遮断した状態で、発進クラッチ6を試行的に係合する。あるいは、発進クラッチ6が係合しない範囲で、言い換えると、発進クラッチ6がトルクを伝達しない範囲で、発進クラッチ6を試行的に作動させる。それとともに、その試行的な作動もしくは係合のために実行される油圧制御の応答性を評価する。例えば、油圧制御の実圧が指示圧に到達するまでの応答時間を計測することによって応答性を評価する。発進クラッチ6は、上記のように、試行的に、作動もしくは係合されることにより、係合状態に向けて動作するものの、駆動輪4,5側に対してはトルクを伝達しない。そのため、車両Veの駆動力あるいは車両挙動に影響することなく、油圧制御の応答性を評価することができる。そして、この発明の実施形態における車両の制御装置では、油圧制御の応答性の評価結果を反映させて発進クラッチ6のフィードバック制御を実行する。油圧制御の応答性が高いと判定した場合は、フィードバック制御のゲインを小さくする。反対に、油圧制御の応答性が低いと判定した場合は、フィードバック制御のゲインを大きくする。そのため、油圧制御の応答性にばらつきが見られる場合であっても、そのばらつきの影響を排除して、常に一定の油圧挙動で発進クラッチ6を制御することができる。例えば、常に一定の制御状態で、発進クラッチ6によるフリクションスタートを実施することができる。したがって、この発明の実施形態における車両の制御装置によれば、例えば、発進クラッチ6およびその油圧系統などの個体差や経時変化等に起因して油圧制御の応答性がばらつく場合であっても、常に一定の油圧挙動を実現し、発進クラッチ6の制御性能を向上させることができる。
1 エンジン(駆動力源;ENG)
2 第1モータ(駆動力源;MG1)
3 第2モータ(駆動力源;MG2)
4 駆動輪(後輪)
5 駆動輪(前輪)
6 発進クラッチ
6a クッションプレート
6b 摩擦材
6c バッキングプレート
6d リターンスプリング
6e クラッチカバー
6f Oリング
7 自動変速機
7a (自動変速機の)入力軸
7b (自動変速機の)出力軸
8 検出部
8a 車速センサ(または、車輪速センサ)
8b エンジン回転数センサ
8c モータ回転数センサ(または、レゾルバ)
8d (自動変速機の)入力回転数センサ
8e (自動変速機の)出力回転数センサ
8f 油温センサ
8g 油圧センサ
9 コントローラ(ECU)
10 減速ギヤ
11 変速機構
12 トランスファ
13 リヤプロペラシャフト
14 リヤデファレンシャルギヤ
15 リヤドライブシャフト
16 フロントプロペラシャフト
17 フロントデファレンシャルギヤ
18 フロントドライブシャフト
19 (自動変速機内部の)係合機構
20 リニアソレノイドバルブ
21 オリフィス
22 ダンパ
23 オイル(作動油)
Ve 車両

Claims (1)

  1. 駆動トルクを出力するエンジンと、前記駆動トルクが伝達されて駆動力を発生する駆動輪と、前記エンジンの出力側に配置され、油圧制御されて伝達トルク容量を連続的に増減し、前記駆動トルクを前記駆動輪側へ伝達するまたは前記駆動トルクの前記駆動輪側への伝達を遮断する発進クラッチと、前記発進クラッチの動作を制御するコントローラと、を備え、前記発進クラッチをフィードバック制御して係合させる車両の制御装置において、 前記コントローラは、
    前記発進クラッチを前記油圧制御によって試行的に作動させるとともに、その試行的な作動における前記油圧制御の応答性を評価し、
    前記応答性が所定の基準応答性よりも高いと判定した場合は、前記フィードバック制御のゲインを小さくし、
    前記応答性が前記基準応答性よりも低いと判定した場合は、前記ゲインを大きくする
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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