JP2021120474A - 廃電池からの有価金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃電池に含まれる有価金属を効率的に分別して、効果的にかつ安価にその有価金属を回収する方法を提供する。【解決手段】本発明に係る廃電池からの有価金属の回収方法は、廃電池を焙焼する焙焼工程S1と、焙焼物を破砕する破砕工程S2と、破砕物にガスを吹き付けて篩上物と篩下物とに篩別けする篩別工程S3と、を有することを特徴としている。ここで、篩別工程においては、破砕物に対するガスの吹き付けは2箇所以上から行われることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、廃電池に含まれる有価金属の回収方法に関する。
近年、軽量で大出力が得られる二次電池としてリチウムイオン電池が普及している。リチウムイオン電池の基本構造として、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶の内側に、銅箔で作られた負極集電体とアルミニウム箔で作られた正極集電体とがある。
負極集電体の表面には黒鉛等の負極活物質が固着され、負極材を構成する。また、正極集電体の表面にはニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質が固着され、正極材を構成する。負極材と正極材は、ポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなるセパレータを介して上述した外装缶の中に装入され、その隙間には六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含む電解液等が封入される。
リチウムイオン電池は、現在ではハイブリッド自動車や電気自動車等の車載用電池としての利用が進んでいる。しかしながら、自動車に搭載されたリチウムイオン電池は、使用を重ねるにつれて次第に劣化し、最後は寿命が来て廃棄される。
自動車の動力がガソリンから電気へと変化する中で、自動車用途に用いられる電池が増加することは、同時に廃棄される電池も増加していくことになる。
このような廃棄されたリチウムイオン電池や、リチウムイオン電池の製造中に生じた不良品等(以下、まとめて「廃電池」と称する)を資源として再利用する試みと具体的提案は、従来から多く行われている。そして、その多くは、廃リチウムイオン電池を高温の炉に投入して全量を熔解する乾式製錬プロセスが主流のものとなっている。
ここで、廃電池には、ニッケル、コバルト、銅等の商業的に再利用の価値のある元素(以下、これらを「有価金属」と称する)のほかに、炭素、アルミニウム、フッ素、リン等の商業的に回収対象とならない元素(以下、まとめて「不純物」と称する)が含まれている。廃電池から有価金属を回収する場合、上述する不純物を有価金属と効率よく分離する必要がある。
このため、例えば、廃電池を焙焼してフッ素やリン等を除去する無害化処理を行ったのち、破砕や粉砕を行い、その後篩機や磁選機を用いて分別して、その分別物から上述の乾式製錬プロセス(以下、単に「乾式処理」とも称する)や、酸や有機溶媒等の液体を用いて分離する湿式製錬プロセス(以下、単に「湿式処理」とも称する)を用いて、有価金属を回収する方法が行われている。
乾式処理による廃電池からの有価金属であるコバルトの回収方法として、例えば特許文献1では、廃リチウムイオン電池を熔融炉へ投入し、酸素を吹き込んで酸化するプロセスが提案されている。
また、特許文献2では、廃リチウムイオン電池を熔融し、スラグを分離して有価物を回収した後、石灰系の溶剤(フラックス)を添加してリンを除去するプロセスが提案されている。
さらに、特許文献3では、複数の単電池を直列接続してなる組電池と、組電池を制御する制御部とを含み、樹脂製部品を有する電池パックをリサイクルする方法として、充電状態の組電池を収容した電池パックをそのまま焙焼する工程と、電池パックの焙焼時に発生した未燃焼分の熱分解ガスを完全燃焼させる完全燃焼工程と、を有し、焙焼する工程における焙焼温度を、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上で且つ電池パックの金属部品の融点以下とし、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で電池パック内の組電池を焙焼するリサイクル方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法は、脱水や乾燥の処理、装置本体やメンテナンスにも、多大なコストを要するという問題がある。
特開2013−091826号公報 特表2013−506048号公報 特開2010−3512号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、廃電池に含まれる有価金属を効率的に分別して、効果的にかつ安価にその有価金属を回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、廃電池を焙焼して得られる焙焼物を所定の大きさに破砕したのち、その破砕物を篩別けする際に、破砕物に対してガスを吹き付けて篩上物と篩下物とに篩別けることで、有価金属を含む粉末と塊状物との分離性が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、廃電池を焙焼する焙焼工程と、焙焼物を破砕する破砕工程と、破砕物にガスを吹き付けて篩上物と篩下物とに篩別けする篩別工程と、を有する、廃電池からの有価金属回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記篩別工程では、前記破砕物に対する前記ガスの吹き付けが2箇所以上から行われる、廃電池からの有価金属回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程と、酸化焙焼物を還元熔融して、スラグと、有価金属を含有する合金とを得る還元熔融工程と、をさらに有する請求項1又は2に記載の廃電池からの有価金属回収方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記有価金属は、少なくとも、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群から選ばれる1種以上を含む、廃電池からの有価金属回収方法である。
本発明によれば、廃電池に含まれる有価金属を効率的に分別して、効果的にかつ安価にその有価金属を回収する方法を提供することができる。
有価金属回収方法の流れの一例を示す工程図である。 実施例1〜9のそれぞれについてのガス流量に対する篩下物へのニッケル分配率の測定結果を示すグラフ図である。 実施例1〜9のそれぞれについてのガス流量に対する篩下物へのコバルト分配率の測定結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
≪1.有価金属の回収方法の概要≫
本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、廃電池から有価金属を回収する方法である。一般的に、廃電池から有価金属を回収するにあたっては、乾式処理に加えて湿式処理を行う場合があるが、本実施の形態に係る有価金属回収方法は、主として乾式処理に関わる。
具体的に、この有価金属回収方法は、無害化のために廃電池を焙焼して得られる焙焼物を所定の大きさに破砕したのち、その破砕物を篩別けする際に、破砕物に対してガスを吹き付けて篩上物と篩下物とに篩別けることを特徴とするものである。ここで、破砕物に対するガスの吹き付けは、篩別けの処理に先立って行ってもよく、あるいは篩別けの処理と同時に行ってもよい。
このような方法によれば、破砕物に対してガスを吹き付けながら篩別けの処理を施すことで、破砕物を構成する粉末と塊状物との分離性を向上させることができ、これにより、廃電池から効果的に有価金属を回収することができる。また、従来技術のように、脱水や乾燥といった別途の処理や、多大な装置やメンテナンス等も不要であるため、安価な処理によって有価金属を回収することができる。
ここで、廃電池とは、上述したように、使用済みのリチウムイオン電池等の二次電池や、二次電池を構成する正極材等の製造工程で生じた不良品、製造工程内部の残留物、発生屑等のリチウムイオン電池の製造工程内における廃材を含む概念である。このような廃電池には、上述のように、ニッケル、コバルト、銅等の、回収して再利用する経済的価値のある有価金属が含まれている。
≪2.有価金属回収方法の各工程について≫
図1は、本実施の形態に係る有価金属回収方法の流れの一例を示す工程図である。この有価金属回収方法は、廃電池を焙焼する焙焼工程S1と、焙焼物を破砕する破砕工程S2と、破砕物に対して篩別処理を施して篩上物となる塊状物と篩下物となる粉末とに分離する篩別工程S3と、を有する。ここで、ニッケルやコバルト等の有価金属は、正極活物質に含まれる金属で、粉末状で回収されることになるため篩下物に多く分配される。
また、得られた篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程S4と、酸化焙焼物を還元熔融することにより、スラグと、有価金属を含有する合金(メタル)とを得る還元熔融工程S5と、をさらに有する。
なお、このような一連の乾式処理を経て得られる有価金属の合金を、中和処理や溶媒抽出処理、電解採取等の湿式処理に付すことによって、その合金中に残留する不純物成分を除去して有価金属をさらに精製し、高付加価値なメタルとして回収できる。
[焙焼工程]
焙焼工程S1は、廃電池に含有される電解液成分であるフッ素成分等を取り除いて無害化し、また、次工程での破砕を容易とすることを主な目的とする。
焙焼処理における条件は、特に限定されないが、確実に無害化するとともに、廃電池を脆くして次工程での破砕を容易にする観点から、焙焼温度としては700℃以上に加熱して行うことが好ましい。なお、焙焼温度の上限としては、特に限定されないが、1200℃以下とすることが好ましい。焙焼温度が高すぎると、主に廃電池の外部シェルに用いられている鉄等の一部がキルン等の焙焼炉本体の内壁等に付着してしまい、円滑な操業の妨げになったり、あるいはキルン自体の劣化につながる場合があり好ましくない。
また、焙焼処理に供する廃電池を炉内に積み重ねすぎると、内部まで十分に焙焼できず焼きムラができてしまう。そのため、均一に焙焼できるようにする観点から、処理量や焙焼炉の加熱能力等を選定することが好ましい。例えば、予め予備試験を行って、最適温度や焙焼時間を決定することが好ましい。
焙焼時の加熱方式は、特に限定されず、電気式であってよく、石油やガス等の燃料を使用するバーナー式であってよい。特に、バーナー式の加熱は低コストであり好ましい。
[破砕工程]
破砕工程S2では、焙焼工程S1にて廃電池を焙焼して得られた焙焼物を、破砕し、細かく分離する。
破砕処理において使用する破砕装置は、特に限定されず、例えばロッドミル、ジョークラッシャー、二軸混錬機、チェーンミル等を用いることができる。
[篩別工程]
篩別工程S3では、破砕工程S2にて焙焼物を破砕して得られた破砕物を、所定の目開きの篩を用いて篩上物と篩下物とに篩別けする。このとき、本実施の形態に係る方法では、破砕物に対してガスを吹き付けて篩別けすることを特徴としている。
特に廃電池の場合、有価金属を多く含む正極活物質は破砕によって粉状化し、篩下に分配されるが、実際には塊状物に付着して篩上に分配されることも多く、このことが有価金属の回収ロスの原因となり好ましくない。この点、本実施の形態に係る方法によれば、破砕物の篩別処理に際して、その破砕物にガスを吹き付けることを特徴としており、これにより、篩上に分配される塊状物に付着した粉状の有価金属を効果的にかつ効率的に分離することができる。つまり、粉状の物質と塊状の物質とを効果的に分離する。その結果、有価金属の回収ロスを有効に抑えることができる。
破砕物に吹き付けるガスは、窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いることができる。また、粉状物の発熱や粉塵爆発等の危険のない場合には、空気を用いることもできる。また、ガスの吹き付けにあたっては、市販のガス吹き付け装置を用いることができる。
また、ガスの流量としては、特に限定されないが、ガス流量が少なすぎると有価金属の分離性の効果が十分に発揮されないことがあり、一方でガス流量が多すぎると有価金属を含む粉状物が飛散し、それによっても回収ロスの原因になることがある。具体的に、ガスの流量としては、0.1L/min〜20L/min程度とすることが好ましく、0.5L/min〜15L/min程度とすることがより好ましく、1L/min〜10L/min程度とすることが特に好ましい。
また、破砕物へのガスの吹き付けは、単一のガス吹込み口から行ってもよいが、2箇所以上のガス吹込み口を設けて、複数箇所からガスを吹き付けることが好ましい。このように、2箇所以上のガス吹込み口を介してガスを吹き付けることで、破砕物に対してムラなく吹き付けることができ、塊状物からの粉状の有価金属の分離をより効率的に進行させることができる。これにより、篩別処理により得られる篩下物における有価金属の分配率をより向上させることができる。
一般に、破砕工程S2を経て得られた破砕物は、周囲に飛散しないように密閉状態で篩別工程に運ばれる。そこで、ベルトコンベア等により篩別工程への搬送途中において、その破砕物に対してガスを吹き付けるようにすることができる。より具体的には、例えば、破砕装置から排出された破砕物をベルトコンベアで縦状管に定量供給し、その縦状管の管内にガスを供給することにより、破砕物に対してガスを吹き付けることができる。
また、破砕物へのガスの吹き付けは、篩別処理に先立って行うことに限られず、破砕物に対してガスを吹き付けながら、同時に篩別処理を行うようにしてもよい。例えば、破砕物を所定の目開きのスクリーン上に載置させ、振動を付与するのに合わせて破砕物にガスを供給して吹き付けるようにする。
篩別処理については、特に限定されず、市販の篩機を用いて行うことができる。また、篩の目開き(スクリーンの目開き)等は、篩上物と篩下物との篩別けの条件に基づいて適宜設定することができる。
ここで、ガス吹き付けを行うためのガス吹き付け装置と、篩機とは、密閉された空間内に載置して、破砕物が周囲に飛散しない構造を構成していることが好ましい。このように密閉状態で破砕物に対してガスを吹き付け、そして篩別することで、有価金属の分離効率を向上させることができ、また、粉末の飛散も効果的に防ぐことができ、安全面や回収率の観点からも好ましい。
[酸化焙焼工程]
次に、酸化焙焼工程S4では、篩別工程S3で得られた篩下物を酸化雰囲気下で焙焼する。酸化焙焼工程S4での焙焼処理により、篩下物に含まれる炭素成分(カーボン)を酸化して除去することができる。具体的に、得られる酸化焙焼物中の炭素の含有量をほぼ0質量%とする。
このように、酸化雰囲気下での焙焼により炭素を除去することができ、その結果、次工程の還元熔融工程S5において局所的に発生する還元有価金属の熔融微粒子が、炭素による物理的な障害なく凝集することが可能となり、一体化した合金として回収できる。また、還元熔融工程S5において電池の内容物に含まれるリンが炭素により還元されることを抑制し、有効にリンを酸化除去して、有価金属の合金中に分配されることを抑制できる。
酸化焙焼工程S4では、例えば600℃以上の温度(酸化焙焼温度)で酸化焙焼する。焙焼温度を600℃以上とすることで、電池に含まれる炭素を有効に酸化除去できる。また、好ましくは700℃以上とすることで、処理時間を短縮させることもできる。また、酸化焙焼温度の上限値としては900℃以下とすることが好ましく、これにより熱エネルギーコストを抑制することができ、処理効率を高めることができる。
酸化焙焼の処理は、公知の焙焼炉を使用して行うことができる。また、次工程の還元熔融工程S5における熔融処理で使用する熔融炉とは異なる炉(予備炉)を設け、その予備炉内において行うことが好ましい。焙焼炉としては、酸素を供給しながら破砕物を加熱することによりその内部で酸化処理(焙焼)を行うことが可能な、あらゆる形式のキルンを用いることができる。一例として、公知のロータリーキルン、トンネルキルン(ハースファーネス)等を好適に用いることができる。
また、酸化焙焼の処理においては、酸化度を調整するにあたり、炉内に酸化剤を導入してもよい。酸化剤としては、特に限定されないが、取り扱いが容易な点から、空気、純酸素、酸素富化気体等の酸素を含む気体を用いることが好ましい。なお、酸化剤の導入量としては、例えば、酸化処理の対象となる各物質の酸化に必要な化学当量の1.2倍程度とすることができる。
[還元熔融工程]
還元熔融工程S5では、酸化焙焼工程S4での焙焼処理により得られた酸化焙焼物を還元熔融することにより、不純物を含むスラグと、有価金属を含有する合金(メタル)とを得る。還元熔融工程S5では、酸化焙焼処理にて酸化させて得られた、不純物元素の酸化物はそのままで、その酸化焙焼処理で酸化してしまった有価金属の酸化物については還元及び熔融させることにより、不純物と分離して還元物を一体化した合金を得ることができる。なお、熔融物として得られる合金を「熔融合金」ともいう。
還元熔融工程S5では、例えば炭素の存在下で処理を行うことができる。炭素としては、回収対象である有価金属のニッケル、コバルト等を容易に還元する能力がある還元剤であって、例えば、炭素1モルでニッケル酸化物等の有価金属の酸化物2モルを還元できる黒鉛等が挙げられる。また、炭素1モルあたり2〜4モルを還元できる炭化水素等を炭素の供給源として用いることもできる。このように、還元剤としての炭素の存在下で還元熔融することで、有価金属を効率的に還元して、有価金属を含む合金を効果的に得ることができる。
炭素としては、人工黒鉛や天然黒鉛のほか、製品や後工程で不純物が許容できる程度であれば、石炭やコークス等を使用することもできる。また、還元熔融処理に際しては、炭素の存在量を適度に調節することが望ましい。具体的に、好ましくは、処理対象の酸化焙焼物100質量%に対して7.5質量%を超え10質量%以下となる割合、より好ましくは、8.0質量%以上9.0質量%以下となる割合の量の炭素の存在下で熔融する。
還元熔融処理における温度条件(熔融温度)としては、特に限定されないが、1320℃以上1600℃以下の範囲とすることが好ましく、1450℃以上1550℃以下の範囲とすることがより好ましい。また、還元熔融処理においては、酸化物系フラックスを添加して用いてもよい。なお、還元熔融処理においては、粉塵や排ガス等が発生することがあるが、従来公知の排ガス処理を施すことによって無害化することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例、比較例]
(焙焼工程)
廃電池として、外形が角形をした車載用のリチウムイオン電池の使用済み品を用意した。この廃電池を大気雰囲気下で920℃の温度で6時間かけて焙焼した。
(破砕工程・篩別工程)
破砕工程と篩別工程とは、それぞれに処理に用いる装置を、外部雰囲気と遮断して接続した状態とした。具体的には、焙焼して得られた焙焼物に対してチェーンミルを用いた破砕機により破砕処理を施し(破砕工程)、破砕機から出てきた破砕物を密閉した管内へ定量しながら篩機まで搬送し、その篩機にて粉末状物と塊状物とを分離して篩別けした。
このとき、実施例1〜9では、破砕機から篩機まで破砕物を搬送する過程で、搬送管内と通る破砕物に対して窒素ガスを吹き付けた。具体的には、破砕物に対するガス吹き付け方法は、破砕機から排出された破砕物を筒状の搬送管に定量供給し、管の側面に設けたガス吹き付け口(ガス吹き付け装置)から窒素ガスを供給して破砕物に吹き付けた。なお、破砕物の供給速度は1.0kg/minとして、ガス供給流量やガス供給箇所(数)は、下記表1に示す通りとした。
他方、比較例1では、窒素ガスを吹き付けることなく破砕物をそのまま篩機に供した。
以上のようにして、粉状の篩下物と塊状の篩上物とを回収し、それぞれを市販のICP発光分光分析器を用いてニッケルとコバルトの含有量を分析し、篩下物と篩上物とにおけるニッケル、コバルトの分配を求めた。
[結果]
下記表1に、実施例1〜9及び比較例1における、篩下物と篩上物のそれぞれのニッケルとコバルトの含有量の分析値と、ニッケル、コバルトの分配率の測定結果を示す。また、図2は、実施例1〜9のそれぞれについてのガス流量に対する篩下物へのニッケル分配率の測定結果を示すグラフ図である。また、図3は、実施例1〜9のそれぞれについてのガス流量に対する篩下物へのコバルト分配率の測定結果を示すグラフ図である。
Figure 2021120474
正極活物質として用いられるニッケルやコバルトは、粉末状で回収されることになるため、篩下物に多く分配されていることが好ましい。この点、実施例1〜9では、ニッケル、コバルトの両方において粉末状物(篩下側)への分配が92%以上と高いことが分かる。一方、破砕物に対してガスの吹き付けを行わなかった比較例1では、粉末状物への分配は、それぞれ85.7%、83.1%となり、実施例と比べて低かった。
また、表1に示す結果から、ガスを2箇所以上から供給して吹き付ける方(実施例4〜9)が、1箇所のみからガス吹き付けを行う場合(実施例1〜3)よりも、ニッケル、コバルトの両方において粉末状物へ分配がより高くなることがわかる。
また、ガスを吹き付ける際のガス流量は、設備や処理量で異なるが、概ね流量が多い方が高い分配を得ることができることがわかる。なお、ガス流量が過度に多いと、熱を持ち去る量も増加してコストが高まってしまうため、予め確認することが好ましい。
以上のように、焙焼物を破砕して得れられる破砕物に対してガスを吹き付けて篩上物と篩下物とに篩別けすることで、篩上に分配される塊状物に付着した粉状の有価金属を効果的にかつ効率的に分離できることがわかった。これにより、有価金属のロスを有効に抑えて効果的に回収率を向上させることができる。

Claims (4)

  1. 廃電池を焙焼する焙焼工程と、
    焙焼物を破砕する破砕工程と、
    破砕物にガスを吹き付けて篩上物と篩下物とに篩別けする篩別工程と、
    を有する、廃電池からの有価金属回収方法。
  2. 前記篩別工程では、前記破砕物に対する前記ガスの吹き付けが2箇所以上から行われる
    請求項1に記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  3. 前記篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程と、
    酸化焙焼物を還元熔融して、スラグと、有価金属を含有する合金とを得る還元熔融工程と、をさらに有する
    請求項1又は2に記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  4. 前記有価金属は、少なくとも、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群から選ばれる1種以上を含む
    請求項1乃至3のいずれかに記載の廃電池からの有価金属回収方法。
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