JP2021120473A - 縦シーム溶接鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板を溶接入熱15〜110kJ/cmで溶接して鋼管とした場合であっても、低温での溶接金属部の靭性に優れた鋼管を得る。【解決手段】長手方向に内面及び外面が溶接された溶接部を有する縦シーム溶接鋼管であって、母材の引張強度が480〜620MPaであり、母材、溶接金属が所定の成分組成を有し、溶接金属中のアシキュラーフェライト核がMnAl2O4とSi−Mn系非晶質の複合酸化物にTiOが外包された酸化物であり、かつ、TiOと母相間にMn欠乏層が存在し、さらに、その酸化物個数が3000個/mm2以上であることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、API5L X60〜X70級の強度(規格最小降伏強度が各々413MPa,482MPa)を有する、長手方向に内外両面からサブマージアーク溶接された鋼管に関する。
原油・天然ガスの長距離輸送方法として、ラインパイプの重要性は高まっている。長距離輸送用の幹線ラインパイプとしては米国石油協会(API)5L 規格X65(規格最小降伏強度が各々448MPa)が設計の基本となっており、実際の使用量も多い。
ラインパイプ用の鋼管は、一般的に、鋼板を成形し、鋼板の突き合わせ部を長手方向に内外両面からシーム溶接して製造される。シーム溶接は、通常、開先の一部をガスシールドアーク溶接で仮付溶接した後、サブマージアーク溶接により、鋼管の内面及び外面から一層ずつ溶接して完了する。仮付溶接は後続して行われるサブマージアーク溶接により完全に消去される。
このように製造される鋼管の例としては、UOE鋼管、JCOE鋼管が挙げられる。ラインパイプの溶接継手部は、採掘地の寒冷化や高圧化による輸送効率向上の観点から、高靭化が求められる。
特許文献1は、API規格X65〜X70級の溶接鋼管に関し、溶接金属を多数のTiOを核として変態生成した微細なアシキュラーフェライト組織とし、高強度と優れた靭性を両立させることを開示している。
特開2013−49895号公報
ラインパイプ用鋼管は、深海井戸や寒冷地で用いられることも多く、厚肉化が進んでいる。厚鋼板の溶接には、サブマージアーク溶接のような大入熱溶接が必要である。大入熱溶接においては、溶接継手部の靭性の低下が解決すべき課題である。
靭性向上のためには溶接金属部の靭性確保も重要である。溶接継手部の靭性の評価の1つとして、シャルピー衝撃試験を実施する。このとき、例えば、鋼管表層の2mm下位置からシャルピー衝撃試験を採取し、そのノッチの中心が溶融線と交差するように試験片を採取することにより、ノッチ位置には溶接熱影響部(HAZ)と溶接金属部が含まれ、溶接金属部の靭性についても評価される。
本発明は、API規格X60〜X70級の強度を有し、板厚6〜40mmの厚鋼板を成形し、長手方向に内外面からシーム溶接された溶接部を有する縦シーム溶接鋼管を対象とし、厚鋼板を溶接入熱15〜110kJ/cmで溶接して鋼管とした場合であっても、低温での溶接金属部の靭性に優れた鋼管を得ることを課題とする。
サブマージアーク溶接において、縦シーム部の溶接金属の成分は母材希釈の影響を受けるため、母材の成分に見合った溶接金属部の成分設計をしなければならない。特に、Mn量、Al量、Ti量、O量、N量の制御が重要となる。
溶接金属のミクロ組織は、合金量によりほぼ決まる。母材の成分を考慮すると、母材がX60〜X70級の強度を有する場合、溶接金属はアシキュラーフェライトを中心とした組織となる。なお、母材の強度がより高くなると、溶接金属はベイナイト組織となる。母材の強度がX60〜X70級の場合に溶接金属部の靭性を向上させるためには、たとえば母材の強度がX80級の場合とは違った設計思想のもと検討する必要がある。
本発明者らは、母材希釈の影響を考慮した溶接金属の成分を適正なものとし、さらにAl、O、Ti、及びNの化学量論比に基づいて求められる、有効なアシキュラーフェライト生成能を示したパラメーターα´、及びAl量とO量の比を、溶接金属中のO量に応じて適正な値とすることにより溶接金属部の靭性を向上できることを見出した。加えて、Mn量を適正範囲に制御することで、アシキュラーフェライト核となる酸化物がさらに鋼中に多数分散し、アシキュラーフェライト分率を向上させ、より高靭化できることを見出した。具体的には、Mn、Al、Ti、Oの化学量論比に基づいて低温靭性との関連を示したパラメーターであるβを適正な値にすることで靭性を向上できることを見出した。その要旨は以下のとおりである。
(1)長手方向に内面及び外面が溶接された溶接部を有する鋼管であって、母材の化学組成が、質量%で、C:0.010〜0.100%、Si:0.500%未満、Mn:0.50〜2.00%、P:0.015%以下、S:0.0100%以下、Al:0.050%未満、Ti:0.005〜0.030%、N:0.0020〜0.0060%、O:0.0050%以下、残部:Fe及び不純物であり、母材の引張強度が480〜620MPaであり、溶接金属の化学組成が、質量%で、C:0.030〜0.100%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.60〜1.80%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Al:0.001〜0.030%、Ti:0.005〜0.040%、N:0.002〜0.006%、O:0.015〜0.055%、残部:Fe及び不純物
であり、Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5Bで定義されるPcmが0.200%以下であり、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15で定義されるCeqが0.350〜0.450%であり、α´=(1.5×(O−0.89Al)+3.4×N−Ti)×1000で定義されるα´が−20.0〜40.0であり、Al/Oが0.300〜0.800であり、β=35×Mn−1500×Al−650Ti−550O+35で定義されるβ´が−30.0〜55.0であり、前記溶接金属中にMnAlとSi−Mn系非晶質の複合酸化物にTiOが外包された、粒径が円相当半径で0.1〜1.5μの酸化物が3000個/mm以上存在し、前記TiOと前記溶接金属の母相の間にMn欠乏層が存在することを特徴とする縦シーム溶接鋼管。ここで、上記の式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)である。
(2)前記母材の化学組成が、Feの一部に代えて、Mg:0%超、0.010%以下、Ca:0%超、0.005%以下、Ni:0%超、0.60%以下、Cr:0%超、0.50%以下、Cu:0%超、0.50%以下、Mo:0%超、0.40%以下、Nb:0%超、0.060%以下、B:0%超、0.0020%以下、及びV:0%超、0.060%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)の縦シーム溶接鋼管。
(3)前記溶接金属の化学組成が、Feの一部に代えて、B:0%超、0.0350%以下、Ni:0%超、0.60%以下、Cr:0%超、0.50%以下、Cu:0%超、0.50%以下、Mo:0%超、0.40%以下、V:0%超、0.06%以下、Ca:0%超、0.005%以下、Mg:0%超、0.010%以下、及びNb:0%超、0.060%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)の縦シーム溶接鋼管。
(4)前記溶接金属の組織が、面積率で、アシキュラーフェライト85%以上、粒界フェライト10%以下、島状マルテンサイト3%以下を含み、EBSD粒径が10μm以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの縦シーム溶接鋼管。
(5)溶接金属の引張強度が母材の引張強度の1.05倍以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかの縦シーム溶接鋼管。
(6)前記溶接金属の硬さが前記母材の硬さよりも大きく、その差が10Hv以上であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかの縦シーム溶接鋼管。
(7)前記溶接金属の−20℃におけるシャルピー吸収エネルギーが150J以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかの縦シーム溶接鋼管。
本発明によれば、API規格X60〜X70級の強度を有し、低温での溶接金属部の靭性に優れた、UOE鋼管、JCOE鋼管のような縦シーム溶接鋼管を得ることができる。
溶接金属の靭性を説明する図であり、βと−20℃における吸収エネルギーを示す図である。 アシキュラーフェライト核となる酸化物を示す図である。 Mn欠乏層が存在する酸化物を説明する図である。 Mn欠乏層が存在しない酸化物を説明する図である。 溶接金属の組織の例を示す図であり、(a)、(b)は本発明の縦シーム溶接鋼管の溶接金属の組織、(c)、(d)は従来例の縦シーム溶接鋼管の溶接金属の組織である。
以下、本発明の実施形態ついて、詳細に説明する。
はじめに、溶接金属の化学組成について説明する。なお、以下、化学組成に関する「%」は「質量%」を表すものとする。
C:0.030〜0.100%
Cは鋼の強度確保のために必要な元素であり、0.030%以上の含有が必要である。C量が多いと溶接シーム部において溶接高温割れが発生しやすくなるので、上限は0.100%とする。Cは好ましくは、0.050%以上、0.065%以下である。
Si:0.03〜0.50%
Siはブローホール防止のために0.03%以上の含有が必要である。Si量が多いと島状マルテンサイトを形成しやすくなり、低温靱性を著しく劣化させるので、上限は0.50%とする。Siは好ましくは、0.15%以上、0.25%以下である。
Mn:0.60〜1.80%
Mnはアシキュラーフェライト核となる酸化物の構成元素である。Mn量が0.60%以下の場合、アシキュラーフェライトとなる酸化物と母相間にMn欠乏層が形成されず、アシキュラーフェライト分率が低下し、靭性が劣化する。Mn量が多いと、粗大なMnSが多く形成され、破壊の起点になることで靭性が劣化するため、上限を1.80%とした。Mnは好ましくは、1.00%以上、1.50%以下である。
P:0.015%以下(0%を含む)
S:0.010%以下(0%を含む)
P、Sは、いずれも不純物であり、継手の靭性を悪化させる元素である。Pは0.015%以下、Sは0.010%以下に制限する。これらの含有量はなるべく低い方が好ましい。好ましくは、Pは0.008%以下である。好ましくは、Sは0.003%以下である。
Al:0.001〜0.030%
Alはアシキュラーフェライト核として有効な酸化物を分散させるための酸素量制御に必要である。母材希釈を考慮すると、0.001%以上の含有が必要である。Al量が0.03%を超えると、Alを形成することでアシキュラーフェライト核として有効な酸化物の生成を阻害し、靭性を確保できないので、上限は0.030%とする。好ましくは0.010%以上、0.015%以下である。
Ti:0.005〜0.040%
Tiは溶接金属中の酸素と反応して、アシキュラーフェライトの核となる酸化物に外包されるTi酸化物を形成する。Ti酸化物を外包させるため、0.005%以上の含有が必要である。Ti量が過剰になると、Ti酸化物が凝集・粗大化し、アシキュラーフェライトの核を生成する能力が低下すること、また、TiC形成による析出脆化が起こり、靭性を確保できないので、上限は0.040%とする。好ましくは0.009%以上、0.015%以下である。
N:0.002〜0.006%
Nはアシキュラーフェライト組織形成のために有効なTi量の調整のために効果的元素であるため、0.002%以上の含有が必要である。しかし、0.006%を超えると、Tiと反応せずに残った固溶Nが著しく靭性を低下させるため、その上限を0.006%とするのが好ましい。好ましくは0.003%以上、0.004%以下である。
O:0.015〜0.055%
Oはアシキュラーフェライトの核となる酸化物形成のために必要な元素である。そのため0.015%以上の含有が必要である。O量が0.055%を超えると、酸化物の過剰形成、凝集・粗大化により靭性が低下するので、上限は0.055%とする。好ましくは0.020%以上、0.030%以下である。
溶接金属の残部はFe及び不純物である。不純物とは、溶接の過程で、溶接ワイヤ、フラックス、鋼板、周辺雰囲気等から混入する成分であり、意図的に含有させたものではない成分のことをいう。
具体的には、P、S、N、Sb、Sn、W、Co、As、Pb、Bi、及びHがあげられる。このうち、P及びSは、上述のとおり、それぞれ、P:0.015%以下、S:0.01%以下となるように制御する必要がある。
その他の元素については、通常、Sb、Sn、W、Co、及びAsは0.1%以下、Pb及びBiは0.005%以下、Hは0.0005%以下の不可避的不純物としての混入があり得るが、通常の範囲であれば、特に制御する必要はない。
溶接金属にはFeの一部に代えて、以下の元素が含まれてもよい。
B:0%超、0.0350%以下
Bは固溶状態のBが、溶接金属の粒界フェライト形成を抑制することにより、アシキュラーフェライトの形成を促進する。Bは含有しなくてもよいが、この効果を得るためには0.0001%以上の含有が好ましい。B量が0.0350を超えると強度が高くなりすぎて、靭性が低下するので、上限を0.0350%とする。溶接金属へのB添加は、厚板母材、フラックス、又はワイヤのいずれからでも添加することができる。例えば、母材がB無添加鋼の場合、B酸化物が含有したフラックスを用いればよい。Bは好ましくは0.0005%以上、0.0100%以下である。
Ni:0%超、0.60%以下
Niは靭性を低下させることなく、溶接金属の強度を向上することのできる元素である。Niの含有は必須ではない。0.60%を超えると効果が飽和するので、上限は0.60%とする。
Cr:0%超、0.50%以下
Crは溶接金属の強度を向上することのできる元素である。Crの含有は必須ではない。0.50%を超えると効果が飽和するので、上限は0.50%とする。
Cu:0%超、0.50%以下
Cuは溶接金属の強度を向上することのできる元素である。Cuの含有は必須ではない。0.50%を超えると効果が飽和するので、上限は0.50%とする。
Mo:0%超、0.40%以下
Moは溶接金属の強度を向上することのできる元素である。Moの含有は必須ではない。0.40%を超えると効果が飽和するため、上限を0.40%とする。
V:0%超、0.06%
Vは溶接金属の強度を向上することのできる元素である。Vの含有は必須ではない。0.06%を超えると効果が飽和するので、上限は0.06%とする。
Ca:0%超、0.005%以下
Caは形態制御による延性の改善や組織微細化に有効な元素である。Caの含有は必須ではない。Ca量が多いと、硫化物や酸化物の粗大化を生じ、延性や靭性が劣化するので、上限は0.005%とする。
Mg:0%超、0.010%以下
MgはMgSあるいはMgAlを形成し、ピニング粒子として作用する。Mgの含有は必須ではない。溶接金属のオーステナイト粒成長を抑制するためには、0.001%以上の含有が好ましい。0.010%を超えると効果が飽和するので、上限は0.010%とする。好ましくは0.002%以上、0.003%以下である。
Nb:0%超、0.060%以下
Nbは強度向上、粒界フェライト抑制に有効な固溶Bを存在させるために有効な元素である。Nbの含有は必須ではない。Nb量が0.060%を超えると島状マルテンサイトが形成しやすくなり、靭性が低下するので、上限を0.060%とする。望ましくは、0.020%である。
本実施形態における溶接金属の成分は、さらに、以下に説明する関係を満たす必要がある。
Pcm:0.200%以下
溶接金属の成分組成は、下記の式で表されるPcmが0.200%以下となる必要がある。式中の元素記号は、各元素の溶接金属中の含有量(質量%)を意味する(以降の説明で同じ)。また、溶接金属に添加されない元素はゼロとして計算する(以降の説明で同じ)。
Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B
Pcmは溶接感受性と呼ばれ、低温割れに対する鋼材の化学成分の影響を定量的に評価したものである。Pcmが0.200%を超えると低温割れが発生しやすくなるので、上限は0.2%とする。
Ceq:0.350〜0.450%
溶接金属の成分組成は、下記の式で表されるCeqが0.350〜0.450%となる必要がある。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15
Ceqは母材の溶接熱影響による硬化能について、各合金元素の硬化能をそれぞれC量に換算して合計したものである。溶接金属が所望の引張り強さを達成するために、Ceqを0.350〜0.450%に制御する。好ましくはCeqを0.400〜0.430%とする。
α´:−20.0≦α´≦40.0
溶接継手の溶接金属の成分組成は、下記の式で表されるα´が−20〜40となる必要がある。
α´=(1.5×(O−0.89Al)+3.4×N−Ti)×1000
α´はAl、O及びTi、Nの化学量論比に基づいて、有効なアシキュラーフェライト生成能を示したパラメーターであり、α´を−20〜40の範囲に制御することによりアシキュラーフェライト核生成能が向上する。
α´が−20.0未満の場合、Al、Ti量がいずれかが過多、あるいはN、O量が過少、α´が40.0超の場合、Al、Ti量がいずれかが過少、あるいはN、O量が過多となるため、著しくアシキュラーフェライト核生成能が減少する。
Al/O:0.300〜0.800
Al/Oは、Al量とO量の比であり、アルミ脱酸終了後の酸素ポテンシャルを示す指標である。Al/Oを0.300〜0.800に制御することで、アシキュラーフェライトの生成量を向上できる。
Al/Oが0.300未満の場合、O量が過多となり、Ti酸化物を形成しなかった溶存酸素が鋼の清浄度を下げるため靭性が低下する。一方、Al/Oが0.800超の場合、Al量が過多となり、Tiと結合するO量が低減し、アシキュラーフェライト核となるTi酸化物が減少し、靭性が低下する。よって、Al/Oは、0.300〜0.800とする。
β:−30.0≦β≦55.0
溶接継手の溶接金属の成分組成は、下記の式で表されるβが−30.0〜55.0となる必要がある。
β=35×Mn−1500×Al−650Ti−550O+35
βはMn、Al、Ti、Oの化学量論比に基づいて、低温靭性との関連を示したパラメーターである。図1にβと−20℃におけるシャルピー吸収エネルギーの関係の一例を示す。βを−30.0〜55.0の範囲に制御することにより、低温靭性が向上する。
次に、アシキュラーフェライト核となる酸化物の構成について説明する。
アシキュラーフェライト核となる酸化物は、MnAlとSi−Mn系非晶質の複合酸化物にTiOが外包された酸化物である。Si−Mn系非晶質としては、たとえば、Mn−Al−Si−Ti−Oxideが挙げられる。複合酸化物を外包する物質はTiOを含んでいれば、他に、AlTiや非晶質酸化物であるTi−Al−Oxide等を含んでもよい。このような構成をとる酸化物が3000個/mm以上存在することで、アシキュラーフェライト分率が向上し、溶接金属部の靭性が向上する。
酸化物の個数密度は、粒径が円相当半径で0.1〜1.5μmである酸化物を対象とする。酸化物の粒径が0.1μm未満の場合、アシキュラーフェライトを生成する駆動力が小さく、アシキュラーフェライトを生成しない。一方、1.5μmより大きい場合、その酸化物が破壊起点となり靭性が低下することがある。したがって、粒径が1.5μmより大きい酸化物は存在しないことが好ましい。
上記の酸化物について、必ずしもその全てからアシキュラーフェライトを生成するとは限らない。そのため、アシキュラーフェライト核となる酸化物は可能な限り多数分散することが望ましい。確率的にアシキュラーフェライト分率を85%以上に制御するためには、酸化物が3000個/mm 以上分散していればよい。
酸化物の個数密度は、FE−SEM(Feild Emission Scanning Electron Microscope)を用い、EDS解析によりAl、Ti、Mn、Si、Oのスペクトルピークを有する介在物の個数を測定することで求めた。測定範囲は0.5mm×0.5mmを1視野とし、合計100視野として、その平均を全体の個数密度とした。
また、酸化物を外包するTiOの幅は3〜100nmが好ましく、TiO中のMn濃度は3.0%以上が好ましい。
TiO幅が3nmより小さい場合、Mnを十分にTiO中に吸収することができず、後述するMn欠乏層を形成し難くなる。一方、100nmより大きい場合、TiOが粗大化し、破壊の起点となり靭性が低下する場合がある。また、TiO中のMn濃度が3.0%より小さい場合、TiOと母相界面の母相側で十分なMn欠乏効果が得られず、アシキュラーフェライト生成能が向上しない場合がある。なお、母相は溶接金属内の介在物を除く溶接金属の金属部分とする。
さらに、TiOと母相の間にはMn欠乏層が存在する。ここで、Mn欠乏層とは、母相の平均のMn濃度に対して、Mn濃度が0.5%以上小さい領域をいうものとする。このような領域がアシキュラーフェライト核となる酸化物の周辺にあることで、アシキュラーフェライトの生成が促進される。Mn欠乏層の幅は20nm以上であることが好ましい。Mn欠乏層の幅とは、TiO/母相界面を原点として、母相側でMn濃度が最も低くなる位置からMnがおおよそ母相である溶接金属中のMn量まで戻るまでの距離をいうものとする。
図2にアシキュラーフェライト核となる酸化物の一例を示す。(b)は(a)の拡大図である。
また、図3にMn欠乏層が存在する酸化物、図4にMn欠乏層が存在しない酸化物の一例を示す。それぞれ、(a)がSEM画像であり、(b)は、TiOと母相の界面周辺(それぞれの(a)中の線上)でのMn濃度を示す図である。
次に、溶接金属の好ましい金属組織について説明する。
溶接金属の成分とパラメーターを上記の範囲にし、X60〜X70級の強度を有する鋼板を、溶接入熱15〜110kJ/cmでサブマージアーク溶接を行うと、溶接金属の金属組織はアシキュラーフェライトを主とする組織となるになる。本発明が対象とするUOE鋼管は、板厚が6〜40mm程度であり、このような厚さの鋼板をサブマージアーク溶接する際には、溶接入熱15〜110kJ/cmの範囲で行う。すると、溶接金属が受ける冷却速度が定まり、最終パスの溶接金属の金属組織が以下のような組織になる。以下に示す割合は、面積率である。
アシキュラーフェライト:85%以上
アシキュラーフェライトはTi系酸化物を核とした針状のフェライト組織であり、その割合が大きいほど、溶接金属部の破壊単位が微細化する。その効果を得るためには、アシキュラーフェライトを85%以上とすることが好ましい。
粒界フェライト:10%以下
粒界フェライトは脆化相の1つで、破壊の起点となり、靭性低下要因となる。そのため、粒界フェライトは10%以下とすることが好ましい。
島状マルテンサイト:3%以下
島状マルテンサイト脆化相の1つで、非常に硬度が高いため破壊の起点となり、靭性低下要因となる。そのため、島状マルテンサイトを3%以下とすることが好ましい。
EBSD粒径:10μm以下
EBSD(Electron BackScatter Diffraction)粒径は破壊単位の目安となる結晶粒径サイズである。EBSD粒径が10μm以下であれば破壊単位が微細であり、低温での靭性を確保する面で好ましい。
溶接金属を上記の条件を満たす成分とし、溶接入熱15〜110kJ/cmで溶接することにより、溶接金属の引張強さが480〜620MPaであり、前記溶接金属のJIS Z2242に従って測定された−20℃でのシャルピー吸収エネルギーが100J以上となる縦シーム溶接鋼管を得ることができる。
また、溶接金属を上記の条件を満たす成分とし、溶接入熱15〜110kJ/cmで溶接することにより、溶接金属の硬さは母材の硬さよりも大きくなり、好ましくは、その差はビッカース硬さで10Hv以上となる。
図5は溶接金属の組織の一例であり、(a)、(b)は本発明の縦シーム溶接鋼管の溶接金属の組織、(c)、(d)は従来例の縦シーム溶接鋼管の溶接金属の組織である。本発明の縦シーム溶接鋼管の溶接金属の組織はアシキュラーフェライト中心の組織となっており、その結果、溶接部の靭性が向上する。
次に、本発明の縦シーム溶接鋼管の母材について説明する。
母材はX60〜X70級の強度を有する鋼板(母材の引張強度が480〜620MPaである鋼板)であれば、特に組織は限定されない。以下に、本発明の縦シーム溶接交換の母材として好適なX60〜X70級の強度を有する鋼板の化学組成を示す。
C:0.010〜0.100%
Cは鋼の強度向上に有効であり、0.010%以上含有させる。C量が多すぎると母材及びHAZの低温靱性が劣化すし、さらに、溶接性が劣化するので、C量は0.100%以下とする。好ましくは0.030〜0.070%である。
Si:0.50%未満
Siは脱酸に必要な元素である。Si量が多いと島状マルテンサイトを形成しやすくなり、低温靱性を著しく劣化させるので、Si量は0.50%未満とする。好ましくは0.35%未満である。脱酸は、Al、Tiでも行えるのでSiの添加は必須ではない。
Mn:0.50〜2.00%
Mnは焼入れ性向上元素として作用し、その効果を得るために0.50%以上含有させる。Mn量が多いと鋼の焼入れ性が増して、HAZ靱性、溶接性を劣化し、さらに、連続鋳造鋼片の中心偏析を助長し、母材の低温靱性が劣化するので、Mn量は2.00%以下とする。好ましくは、1.00〜1.80%である。
P :0.015%以下
S :0.0100%以下
P、Sは、いずれも不純物であり、継手の靭性を悪化させる元素である。これらの含有量はなるべく低い方が好ましく、Pは0.015%以下、Sは0.0100%以下とする。好ましくは、Pは0.008%以下である。好ましくは、Sは0.0030%以下である。
Al:0.050%未満
Alは通常脱酸剤として用いられ、鋼材中に含まれる元素である。Al量が多くなると、Al系非金属介在物が増加し、鋼材の清浄度が低下し、靭性が劣化するので、0.050%未満とする。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、鋼中で微細なTiNを形成し、その単体、あるいはMg(MgAl)酸化物との複合介在物がピニング粒子として作用する。その結果、HAZのオーステナイト粒の粗大化が抑制されミクロ組織が微細化し、低温靱性が改善する。この効果を得るために、Tiは0.005%以上含有させる。Ti量が多くなると、Ti酸化物が凝集・粗大化し、靭性が劣化するので、Ti量は0.030%以下とする。好ましくは、0.010〜0.020%である。
N :0.0020〜0.0060%
NはTiと結合してTiNを形成する元素であり、0.0020%以上含有させる。N量が多いと、Tiと結合しなかった固溶Nが靭性を低下させるので、N量は0.0060%以下とする。好ましくは、0.0030〜0.0050%である。
O :0.0050%以下
Oはピニング粒子を形成する元素である。しかしながら、Oを含有すると鋼の清浄度が低下するので少ない方が好ましく、0.005%以下とする。好ましくは0.003%以下である。
以上説明した以外の残部は、Fe及び不純物である。不純物とは、原材料に含まれる、あるいは製造の過程で混入する成分であり、意図的に鋼に含有させたものではない成分のことをいう。
具体的には、P、S、O、Sb、Sn、W、Co、As、Pb、Bi、及びHがあげられる。このうち、P、S、及びOは、上述の好適な範囲となるように制御されることが好ましい。
その他の元素については、通常、Sb、Sn、W、Co、及びAsは0.1%以下、Pb及びBiは0.005%以下、Hは0.0005%以下の不可避的不純物としての混入があり得るが、通常の範囲であれば、特に制御する必要はない。
母材にはFeの一部に代えて、以下の元素が含まれてもよい。
Mg:0%超、0.010%以下
MgはMgAl、MgSのような介在物を形成する元素である。MgAlはTiN上に析出する。これらの介在物はピニング粒子として作用し、HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、低温靱性を改善する。Mg量が多くなると、効果は飽和する。Mgは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なMg量は0%超、0.010%以下である。
Ca:0%超、0.005%以下
Caは、硫化物系介在物の形態を制御し、低温靱性を向上させる元素である。Ca量が多いと、CaO−CaSが大型のクラスターや介在物となり、靱性に悪影響を及ぼすおそれがある。Caは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なCa量は0%超、0.005%以下である。
Ni:0%超、0.60%以下
Niは靭性を低下させることなく、母材の強度を向上することのできる元素である。Ni量が多くなると、効果は飽和する。Niは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なNi量は0%超、0.60%以下である。
Cr:0%超、0.50%以下
Crは母材の強度を向上することのできる元素である。Cr量が多くなると、効果は飽和する。Crは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なCr量は0%超、0.50%以下である。
Cu:0%超、0.50%以下
Cuは母材の強度を向上することのできる元素である。Cu量が多くなると、効果は飽和する。Cuは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なCu量は0%超、0.50%以下である。
Mo:0%超、0.40%以下
Moは母材の強度を向上することのできる元素である。Mo量が多くなると、効果は飽和し、さらに、靭性が低下する。Moは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なMo量は0%超、0.40%以下である。
Nb:0%超、0.060%以下
Nbは母材強度を向上させる元素である。Nb量が多くなると、島状マルテンサイトが形成しやすくなり、靭性が低下する。Nbは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なNb量は0%超、0.060%以下である。
B :0%超、0.0020%以下
Bは母材の焼入れ性向上、粒界フェライト形成抑制に有効な元素である。B量が多くなると、効果は飽和する。Bは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なB量は0%超、0.0020%以下である。
V :0%超、0.060%以下
Nbは母材強度を向上させる元素である。V量が大きくなると、析出硬化によって降伏比が上昇することがある。Vは縦シーム溶接鋼管の母材には必ずしも含有される必要はなく、好適なV量は0%超、0.060%以下である。
母材となる鋼板の製造方法は特に限定されるものではなく、X60〜X70級の強度を有する鋼板の一般的な製造方法によればよい。縦シーム溶接鋼管は、厚さ6〜40mm程度の母材となる厚鋼板をサブマージアーク溶接で接合することで得られる。UOE鋼管やJCOE鋼管がその例である。
溶接方法について、詳細に説明する。
まず、上記の厚鋼板に、所定形状の開先加工を施す。開先形状は、特に限定されるものでない。縦シーム溶接鋼管は、厚鋼板の端部に表裏面の両面から溶接可能な開先形状、たとえば、X型開先に加工し、端部を突き合わせて内面側からのサブマージアーク溶接を完了させた後、外面側から長手方向にサブマージアーク溶接を実行することにより製造できる。
そして、開先内にはフラックスを散布し、サブマージアーク溶接用鋼ワイヤを使用し、入熱15〜110kJ/cmの大入熱サブマージアーク溶接により接合する。フラックス及び鋼ワイヤは、特に限定されるものでなく、公知のものを使用することができる。鋼ワイヤを使用する場合、フラックスは、公知の焼成型フラックス、溶融型フラックなどを使用することができ、それによって上述した溶接金属成分を得ることができれば、靱性に優れた溶接金属を得られる。また、必要に応じ、溶接前のフラックス予熱を行ってもよい。
サブマージアーク溶接の方法は、特に限定されるものでなく、多電極のサブマージアーク溶接を含み、公知の溶接法がいずれも適用でき、溶接条件も、特に限定されるものでない。
鋼管全体の強度の観点から、溶接金属の引張強度は、母材の引張強度の1.05倍以上であることが好ましく、溶接金属の硬さは母材の硬さよりも大きく、その差が10Hv以上であることが好ましい。
また、低温靭性の観点から、溶接金属の−20℃におけるシャルピー吸収エネルギーが150J以上であることが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
種々の成分組成の鋼材を溶製し、精錬された溶鋼を連続鋳造法によりスラブにし、1100℃に加熱後、熱間圧延を行い、熱間圧延の仕上温度を780℃として、750℃まで空冷後、750℃から常温まで水冷して、種々の成分組成のX60〜X70級の強度を有する鋼板を作製した。表1に鋼板の板厚、成分組成、及び引張強さを示す。
Figure 2021120473
次に、作製した鋼板にX型開先を形成し、管状に成形し、公知のワイヤ及びフラックスを用いて、管の内面側、外面側の順にサブマージアーク溶接を行い、UOE鋼管とした。溶接の際、入熱が65kJ/cm程度となるように、溶接速度などを調整した。表2に用いた鋼板、溶接金属の成分組成を示す。
Figure 2021120473
また、溶接金属中の粒径が円相当半径で0.1〜1.5μの酸化物の個数密度、酸化物を外包するTiOの幅、TiO中のMn濃度を表3に示す。
また、サブマージアーク溶接後、溶接金属組織(アシキュラーフェライト、粒界フェライトと島状マルテンサイトの合計)の面積率(%)、溶接金属部のEBSD粒径、溶接金属の引張強度、溶接金属と母材の硬さの差、及びシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーを測定した。表4に、その結果を示す。表3におけるAF率、GBF率、MA率はそれぞれ、溶接金属組織におけるアシキュラーフェライト、粒界フェライト、島状マルテンサイトの面積率を示す。
Figure 2021120473
Figure 2021120473
シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーは、次のように測定した。
HAZ及び溶接金属を含む方向に平行な板厚断面において、鋼板の表層2mm下から溶接金属部中央からシャルピー試験片を採取し、JIS Z2242に従って、−20℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーを測定した。吸収エネルギーは、シャルピー衝撃試験を3回行い、その平均値とし、100J未満のものを靭性が不良と判断した。
組織の面積率は、次のように測定した。
2パス目の表層から肉厚t/4位置の溶接ビード幅の1/2部を試験片採取し、研磨後、ナイタル腐食及びレペラ腐食を行い、現出した組織を光学顕微鏡にて、1000μm×1000μmの範囲で観察される組織を対象に10視野測定し、得られた像を画像解析し、各組織の平均面積率を算出して求めた。
EBSD粒径は500μm×500μmの範囲で20視野EBSD解析し、結晶方位差15°で区切ったときの結晶粒径サイズの平均とした。
酸化物の個数密度、酸化物を外包するTiOの幅、TiO中のMn濃度は、FE−SEMを用い、EDS解析により測定した。
表4に示すように、本発明の溶接継手成分組成を満足する発明例は、いずれも、−20℃におけるシャルピー吸収エネルギーが150J以上であり、優れた溶接金属部靱性を有するものであった。
それに対して、本発明の溶接継手成分組成を満足しない比較例は、−20℃におけるシャルピー吸収エネルギーが150J未満であり、溶接金属部及び溶接継手靱性が低くなった。
本発明によれば、厚鋼板に大入熱溶接を実施して接合した場合であっても、溶接金属部の靱性に優れた縦シーム溶接鋼管を提供することができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。

Claims (7)

  1. 長手方向に内面及び外面が溶接された溶接部を有する鋼管であって、
    母材の化学組成が、質量%で、
    C :0.010〜0.100%、
    Si:0.500%未満、
    Mn:0.50〜2.00%、
    P :0.015%以下、
    S :0.0100%以下、
    Al:0.050%未満、
    Ti:0.005〜0.030%、
    N :0.0020〜0.0060%、
    O :0.0050%以下、
    残部:Fe及び不純物
    であり、
    母材の引張強度が480〜620MPaであり、
    溶接金属の化学組成が、質量%で、
    C :0.030〜0.100%、
    Si:0.03〜0.50%、
    Mn:0.60〜1.80%、
    P :0.015%以下、
    S :0.010%以下、
    Al:0.001〜0.030%、
    Ti:0.005〜0.040%、
    N :0.002〜0.006%、
    O :0.015〜0.055%、
    残部:Fe及び不純物
    であり、
    Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5Bで定義されるPcmが0.200%以下であり、
    Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15で定義されるCeqが0.350〜0.450%であり、
    α´=(1.5×(O−0.89Al)+3.4×N−Ti)×1000で定義されるα´が−20.0〜40.0であり、
    Al/Oが0.300〜0.800であり、
    β=35×Mn−1500×Al−650Ti−550O+35で定義されるβ´が−30.0〜55.0であり、
    前記溶接金属中にMnAlとSi−Mn系非晶質の複合酸化物にTiOが外包された、粒径が円相当半径で0.1〜1.5μの酸化物が3000個/mm以上存在し、
    前記TiOと前記溶接金属の母相の間にMn欠乏層が存在する
    ことを特徴とする縦シーム溶接鋼管。
    ここで、上記の式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)である。
  2. 前記母材の化学組成が、Feの一部に代えて、
    Mg:0%超、0.010%以下、
    Ca:0%超、0.005%以下、
    Ni:0%超、0.60%以下、
    Cr:0%超、0.50%以下、
    Cu:0%超、0.50%以下、
    Mo:0%超、0.40%以下、
    Nb:0%超、0.060%以下、
    B :0%超、0.0020%以下、及び
    V :0%超、0.060%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の縦シーム溶接鋼管。
  3. 前記溶接金属の化学組成が、Feの一部に代えて、
    B :0%超、0.0350%以下、
    Ni:0%超、0.60%以下、
    Cr:0%超、0.50%以下、
    Cu:0%超、0.50%以下、
    Mo:0%超、0.40%以下、
    V :0%超、0.06%以下、
    Ca:0%超、0.005%以下、
    Mg:0%超、0.010%以下、及び
    Nb:0%超、0.060%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の縦シーム溶接鋼管。
  4. 前記溶接金属の組織が、面積率で、アシキュラーフェライト85%以上、粒界フェライト10%以下、島状マルテンサイト3%以下を含み、EBSD粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦シーム溶接鋼管。
  5. 溶接金属の引張強度が母材の引張強度の1.05倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の縦シーム溶接鋼管。
  6. 前記溶接金属の硬さが前記母材の硬さよりも大きく、その差が10Hv以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の縦シーム溶接鋼管。
  7. 前記溶接金属の−20℃におけるシャルピー吸収エネルギーが150J以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の縦シーム溶接鋼管。
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