以下、図を参照しながら、この発明の電話システム、コードレス電話装置の親機、電話制御装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明の電話システムを、電話制御装置としての主装置に対して、複数のコードレス電話装置を接続して構成されるビジネスホンシステムに適用した場合を例にして説明する。
[電話システムの構成例]
図1は、この実施形態の電話システム10の全体の構成例を示すブロック図である。電話システム10においては、電話制御装置の例としての主装置1に対して、内線電話装置として、複数のコードレス電話装置21、22、23が接続されている。なお、この実施の形態においては、説明を簡単にするため、図1に示したように、3組のコードレス電話装置21、22、23が、主装置1に接続されて電話システム10が構成される場合を例にして説明する。しかし、これに限るものではなく、更に多くのコードレス電話装置を主装置1に接続して、より規模の大きな電話システムを構築することも可能である。
コードレス電話装置21、22、23のそれぞれは、親機としてのベースセットBS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機としてのハンドセットHS1、HS2、HS3のそれぞれとからなる。また、ベースセットは、「セルステーション(Cell Station)」あるいは「CS」と呼ばれたり、ハンドセットは、「パーソナルステーション(Personal Station)」あるいは「PS」と呼ばれたりする場合もある。以下においては、ベースセットBS1、BS2、BS3は、親機BS1、BS2、BS3と記載し、ハンドセットHS1、HS2、HS3は、子機HS1、HS2、HS3と記載する。親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとは、無線接続される。
なお、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれに対しては、複数の子機を無線接続することも可能であるが、この例では、1台の親機に対して、1台の子機が接続される構成とされている。また、図示は省略するが、主装置1に接続される内線電話装置としては、コードレス電話装置21、22、23のみではなく、通常のビジネスホンシステムと同様に、デジタルボタン電話端末も接続することも可能である。
この実施形態では、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、B2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとの間の無線接続は、前述したデジタルコードレス電話のDECT規格(方式)を用いたTDMA/TDD方式により行う。主装置1は、1又は複数の電話回線L1〜Lm(mは2以上の整数)を収容可能である。コードレス電話装置21、22、23のそれぞれの親機BS1、BS2、BS3が、主装置1に接続されている。図1の例では、親機BS1、BS2、BS3と主装置1とは有線で接続されているが、無線であってもよい。
主装置1は、複数のコードレス電話装置21、22、23についての呼制御及び回線交換制御、その他のビジネスホンとしての制御を行うと共に、基準同期信号SYNCを複数のコードレス電話装置21、22、23のそれぞれに供給する機能を備えている。基準同期信号SYNCは、この例では、130ミリ秒(ms)周期の信号とされている。
コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期して、DECT規格のデジタルコードレス電話の単位通信期間である1フレーム(10ミリ秒(ms))の周期の同期信号としてのフレーム同期信号を生成し、その生成したフレーム同期信号に基づいて、DECT規格を用いたTDMA/TDD方式の無線通信を子機HS1、HS2、HS3との間で実行する。したがって、複数のコードレス電話装置21、22、23の全ては、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期した動作をする。
図1に示したように、コードレス電話装置21、22、23のそれぞれは、主装置1に接続されてビジネスホンシステムを構成する電話端末である。このため、着信通知や発信要求といった呼制御信号やその他の制御信号が、主装置1との間で送受される。なお、その他の制御信号には、例えば、主装置1に接続された他のコードレス電話装置の動作状態を使用者に通知するためにコードレス電話装置21、22、23のLCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)を制御するための制御信号などがある。
コードレス電話装置においては、親機が、リンガ、LCD、LED、操作部といったユーザインターフェースを備えるものもある。しかし、親機が主装置と子機との間を接続する機能だけを実現し、子機がリンガ、LCD、LED、操作部といったユーザインターフェースを備える場合もある。この場合には、親機と子機との間でも、相互に種々の制御信号が送受される。この実施の形態においても、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3は、基本的にユーザインターフェースは備えず、主装置1と子機HS1、HS2、HS3との間を接続する機能を実現するものである。
親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、オフィス内の決められた位置に設置される。これにより、図1に示すように、親機BS1は、無線通信可能エリアAr1内において子機HS1等との通信が可能にされ、親機BS2は、無線通信可能エリアAr2内において子機HS2等との通信が可能にされる。また、親機BS3は、無線通信可能エリアAr3内において、子機HS3等との通信が可能にされる。
このように、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとは、そのそれぞれの通信機能に基づいて、無線通信が可能な無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3を形成する。無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3は、少しずつ重複するように設けられる。これにより、子機HS1、HS2、HS3は、待機状態にあるときにも、また、通話状態にあるときにも、通信をする親機BS1、BS2、BS3を切り替えるようにして、無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3内を移動できる。
しかし、上述したように、待機状態(アイドル状態)にあるときに、親機BS1、BS2、BS3の使用する制御信号用スロット(ダミーベアラ)が重複してしまうと、ハンドオーバができなくなくという問題がある。なお、待機状態(アイドル状態)は、親機と子機とのそれぞれに電源が投入され、電話を受けたり、電話を掛けたりすることができる状態であるが、なんの処理も行われていない、いわゆる待ち受け状態であることをいう。
そこで、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、待機状態にあるときには、所定のタイミングごとに、現在、ダミーベアラとして使用しているスロットのスロット識別情報と自機の端末識別情報とを含むスロット通知情報TJを主装置1に通知する。ここで、所定のタイミングは、定期的なタイミング、あるいは、ダミーベアラが新たに取得されたタイミング、あるいは、ダミーベアラが変更されたタイミングを意味する。もちろん、スロット通知情報TJを、定期的に送信すると共に、ダミーベアラ取得されたり、変更されたりしたタイミングでも送信するようにしてもよい。
これにより、主装置1は、自機に接続された全ての親機BS1、BS2、BS3が使用するダミーベアラがどのスロットなのかを把握できる。主装置1は、親機BS1、BS2、BS3がダミーベアラとして使用スロットを管理し、必要に応じて、ダミーベアラとして使用するスロットに関する制御を行うためのスロット制御情報CTLを形成し、親機BS1、BS2、BS3に提供できる。スロット制御情報CTLは、ダミーベアラとして使用するスロットの取得の優先順位の制御やダミーベアラとして使用するスロットの変更の制御やダミーベアラとして使用するスロットの数の制御などを行うためのものである。これにより、待機状態において、親機BS1、BS2、BS3においてダミーベアラとして使用するスロットの重複を防止し、待機状態におけるハンドオーバを適切に行うことができるようにしている。
以下においては、この実施の形態の電話システムを構成する、主装置1と、コードレス電話装置21、22、23の構成例について説明する。なお、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、同様に構成されるものである。また、コードレス電話装置21、22、23の子機HS1、HS2、HS3のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、コードレス電話装置21、22、23の構成については、コードレス電話装置21の場合を例にして説明する。
[主装置1の構成例]
図2は、主装置1の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、主装置1は、電話回線L1〜Lmが接続される回線インターフェース11と、コンピュータを搭載して、主装置1の全体を制御するための制御回路12と、回線LSI(Large Scale Integrated Circuit)部13と、端末別スロットテーブル14と、基準発振器15とを備えて構成されている。
回線インターフェース11は、制御回路12からの制御により、回線L1〜Lmからの音声信号(受話音声信号)を、回線LSI部13に供給し、回線からの呼制御信号などの制御信号を、制御回路12に供給する。また、回線インターフェース11は、制御回路12からの制御により、回線LSI部13からの音声信号(送話音声信号)を、回線L1〜Lmを通じて相手方に送信し、制御回路12からの呼制御信号などの制御信号も、回線L1〜Lmを通じて相手方に送信する。
回線LSI部13は、n個の内線電話装置に対応して、n個の内線処理回路131、132、…、13nと、タイミング信号生成部130を備える。なお、添え字としての文字nは、基本的には1以上の整数を意味する。しかし、図2においては既に内線処理回路131、132が存在するため、図2において文字nは3以上の整数を意味している。
タイミング信号生成部130には、水晶振動子を用いた高精度の基準発振器15からの基準クロック信号から伝送用クロック信号CK及び多重化/分割化用タイミング信号TMを生成し、n個の内線処理回路131〜13nに供給する。n個の内線処理回路131〜13nは、全く同一の構成を備えるもので、それぞれ、音声信号処理部31と、制御信号処理部32と、同期信号処理部33と、多重化/分割化処理部34とからなる。
音声信号処理部31は、回線インターフェース11に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、回線インターフェース11からの受話音声信号及び多重化/分割化処理部34からの送話音声信号の処理回路である。音声信号処理部31には、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
制御信号処理部32は、制御回路12の制御信号入出力端に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号の処理回路である。すなわち、制御信号処理部32は、主装置1からコードレス電話装置への制御信号と、コードレス電話装置から主装置1への制御信号との両方の処理回路である。制御信号処理部32にも、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
同期信号処理部33は、制御回路12の同期信号出力端に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、制御回路12からの所定の同期信号パターンを有する基準同期信号SYNCの処理回路である。この同期信号処理部33にも、同様に、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
多重化/分割化処理部34は、音声信号処理部31、制御信号処理部32、同期信号処理部33に接続されると共に、コードレス電話装置21〜2nの親機BS1〜BSnのそれぞれに接続される。そして、多重化/分割化処理部34は、タイミング信号生成部130からのタイミング信号TMに基づいて、音声信号処理部31からの音声信号と、制御信号処理部32からの制御信号と、同期信号処理部33からの基準同期信号SYNCとを多重化(時分割多重)して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を親機BS1〜BSnのそれぞれに供給する。また、多重化/分割化処理部34は、タイミング信号生成部130からのタイミング信号TMに基づいて、親機BS1〜BSnのそれぞれからの多重化信号を音声信号と制御信号とに分割して、音声信号は音声信号処理部31に、制御信号は制御信号処理部32に、それぞれ供給する。
端末別スロットテーブル14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの、記録媒体とそのドライバとからなる装置部の当該記録媒体に形成される。端末別スロットテーブル14は、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれから提供されるスロット通知情報TJに基づいて、制御回路12の管理情報作成部121により作成される。作成された端末別スロットテーブル14は、制御回路12の親機制御部122により参照されて用いられる。親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の格納データに基づいて、自機に接続された親機に供給するスロット制御情報CTLを形成し、これを親機に提供して親機におけるスロットの選択を制御する。
図3は、端末別スロットテーブル14の格納データの例について説明するための図である。図3に示すように、この実施の形態の端末別スロットテーブル14には、「親機ID(図3では「親機」と記載)」の格納欄と、「設置位置」の格納欄とを備える。「親機ID」は、主装置1の配下の親機を識別するための情報であり、例えば、内線番号、IPアドレス、URL(Uniform Resource Locator)、MAC(Media Access Control)アドレスなどである。図3では、各親機を明確に区別するため、「親機ID」として、「BS1」、「BS2」、「BS3」と記載している。「設置位置」は、各親機の設置位置を特定する情報である。この実施の形態においては、親機BS1は、オフィス1階の位置Aに設置され、親機BS2は、オフィス1階の位置Bに設置され、親機BS3は、オフィス1階の位置Cに配置されていることが示されている。
この実施の形態において、オフィス1階の位置Aは、図1の親機BS1の設置位置に対応し、オフィス1階の位置Bは、図1の親機B2の設置位置に対応し、オフィス1階の位置Cは、図1の親機B3の設置位置に対応している。従って、親機BS1は、1階の無線通信可能エリアAr1の中心付近に、親機BS2は、1階の無線通信可能エリアAr2の中心付近に、親機BS3は、1階の無線通信可能エリアAr3の中心付近に設置されていると把握できるようになっている。
実際には、無線通信可能エリアAr1は、総務部の机が配置されているエリアに、無線通信可能エリアAr2は経理部の机が配置されているエリアに、無線通信可能エリアAr3は営業部の机が配置されたエリアに対応するというように、具体的に把握される。このように、端末別スロットテーブル14の「設置位置」に基づいて、各親機は、オフィスの何処に設置されているのかを把握できる。また、各親機BS1、BS2、BS3を中心として、無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3の大きさも特定できるので、それらのエリアが被る部分が存在するかどうかも把握できるようになっている。
なお、オフィスの同じ階に設置される親機BS1、BS2、BS3の場合、図1を用いて説明したように、親機と子機とが形成する無線通信可能エリア(電波エリア)は、少しずつ重複するようにされており、ハンドオーバがスムーズにできるようにされている。従って、端末別スロットテーブル14の「設置位置」に基づいて、同じ階に設置された親機が形成する無線通信可能エリアは、近隣の親機が形成する無線通信可能エリアと、重複するエリアが存在する(エリアが被っている)ことが把握できる。
このため、図3には示さなかった、各親機が形成する無線通信可能エリアが、どの親機が形成する無線通信可能エリアと重複するのかを示す情報を、端末別スロットテーブルに持つようにすることもできる。「設置位置」や各親機が形成する無線通信可能エリアが、どの親機が形成する無線通信可能エリアと重複するのかを示す情報は、親機の配置位置を決める使用者等によって、端末別スロットテーブル14に設定したり、後述する親機のスロットテーブルに設定したりできる。
また、端末別スロットテーブル14には、図3において「スロット」の欄に示したように、ダウンリンクのスロットS0〜スロットS11までの12個のスロットごとに、「優先順位」と「使用スロット(図3では「使用SL」と記載)」の格納欄が設けられている。「優先順位」の格納欄には、各スロットがダミーベアラとして取得される場合の優先順位が格納される。初期状態においては、スロット識別子であるS0〜S11の記載の数字部分の小さいスロットの優先順位が高くなるようになっている。このスロットごとの優先順位は、各親機BS1、BS2、BS3においても、主装置1の端末別スロットテーブル14の状態と同期をとって管理される。「使用スロット」の格納欄には、各親機において、現在、ダミーベアラとして選択されているスロットに対応する欄に、丸印を付して示したように、フラグを立てて、これを把握できるようにしている。
ここで、図1を用いて説明したこの実施の形態の電話システムにおいて、親機B1→親機BS2→親機BS3の順にダミーベアラとして使用するスロットを取得し、取得したスロットをスロット通知情報TJとして主装置1に通知してきた場合を考える。この場合、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれでは、ダミーベアラとして取得するスロットの優先順位は、上述したように、スロット識別子であるS0〜S11の数字部分の小さいスロットの優先順位が高くなっているものとする。従って、スロットS0の優先順位が一番高く、スロットS11の優先順位が一番低くなっているものとする。
まず、親機BS1は、優先順位の一番高いスロットS0をダミーベアラとして取得し、これをスロット通知情報TJとして主装置1に通知してきたとする。親機BS1からのスロット通知情報TJは、多重化/分割化処理部34、制御信号処理部32を通じて制御回路12に供給される。管理情報作成部121は、当該スロット通知情報TJに基づいて、図3(A)の親機BS1の「使用スロット」欄に示すように、スロットS0がダミーベアラとして取得され、使用スロットになったことが更新される。従って、親機BS2、BS3では、スロットS0をダミーベアラとして取得しない方がよい。
この場合、親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の親機BS1の格納情報に基づき、端末別スロットテーブル14の親機BS2と親機BS3の優先順位を、スロットS0が最下位となるように更新する。更に、親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の格納データに基づき、スロットS0を最下位にした優先順位を示す情報を、スロット制御情報CTLとして形成し、これを親機BS2と親機BS3に提供する。親機BS2と親機BS3では、自機において管理するスロットの取得に関する優先順位を、主装置1からのスロット制御情報CTLに基づき更新する。
この後、親機BS2が、現時点において、優先順位の一番高いスロットS1をダミーベアラとして取得し、これをスロット通知情報TJとして主装置1に通知してきたとする。管理情報作成部121は、当該スロット通知情報TJに基づいて、図3(A)の親機BS2の「使用スロット」欄に示すように、スロットS1がダミーベアラとして取得され、使用スロットになったことを更新する。この場合、親機BS3では、スロットS0とスロットS1とをダミーベアラとして取得しない方がよい。
この場合、親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の親機BS2の格納情報に基づき、端末別スロットテーブル14の親機BS3の優先順位を、スロットS1が最下位となるように更新する。この例の場合、スロットS0は、上述したように、親機BS1によって取得されているので、スロットS0は、最下位に次いで低くなるように更新する。親制御部122は、端末別スロットテーブル14の格納データに基づき、スロットS1を最下位、スロットS0を最下位に次いで低くなるようにした優先順位を示す情報を、スロット制御情報CTLとして形成し、これを親機BS3に提供する。親機BS3では、自機において管理するスロットの取得に関する優先順位を、主装置1からのスロット制御情報CTLに基づき更新する。
この後、親機BS3が、現時点において、優先順位の一番高いスロットS2をダミーベアラとして取得し、これをスロット通知情報TJとして主装置1に通知してきたとする。管理情報作成部121は、当該スロット通知情報TJに基づいて、図3(A)の親機BS3の「使用スロット」欄に示すように、スロットS2がダミーベアラとして取得され、使用スロットになったことを更新する。このように、スロット取得の優先順位を制御することにより、親機BS1、BS2、BS3は、ダミーベアラとして使用するスロットが重複しないように取得することできる。
しかし、図3(A)に示した状態のままだと、親機BS1のスロット取得の優先順位は、スロットS1が親機BS2により取得され、スロットS2が親機BS3により取得されて低くなるべきなのに、高いままである。同様に、親機BS2のスロット取得の優先順位は、スロットS2が親機BS3により取得されて低くなるべきなのに、高いままである。このため、親機制御部122は、図3(A)に示した端末別スロットテーブル14の情報に基づいて、図3(B)に示すように、親機BS1と親機BS2のスロット取得の優先順位を変更(更新)する。この後、親機制御部122は、図3(B)に示した状態の端末別スロットテーブルに基づき、親機BS1と親機BS2のそれぞれに提供する優先順位を指示するスロット制御情報CTLを形成し、親機BS1と親機BS2とに提供する。
これにより、親機BS1、BS2、BS3においては、着信に応答したり、発信を行ったりして、トラフィックベアラを取得して、ダミーベアラを解放した後に、再度のダミーベアラの取得時において、適切な優先順位に従って、適切なスロットを取得できる。なお、ここでは、親機BS1、BS2、BS3が、順番にダミーベアラとして用いるスロットを取得する場合を例にして説明した。しかし、実際には、他の親機によって、既に取得されているスロットを取得して、これをスロット通知情報TJとして通知して来る場合もあると考えられる。
この場合、親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の格納データに従って、ダミーベアラとして取得しているスロットが重複している親機のいずれかの一方に、ダミーベアラとして取得しているスロットの変更を指示する。当該指示は、スロット制御情報CTLとして、親機に提供される。この後、親機制御部122が、端末別スロットテーブルの「使用スロット」を更新し、これに応じて「優先順位」をダミーベアラとしてのスロットの最新の取得状況に応じて更新する。この後、親機制御部122が機能し、親機にスロット取得の優先順位を通知するスロット制御情報CTLを形成し、これを各親機に提供して、各親機で管理しているスロット取得の優先順位についても、適切に更新できる。
このように、主装置1は、各親機BS1、BS2、BS3からのスロット通知情報TJに基づいて、端末別スロットテーブル14を整備して、各親機BS1、BS2、BS3でのダミーベアラとしてのスロットの取得の状況を把握できる。更に、主装置1は、端末別スロットテーブル14の格納データに基づいて、各親機BS1、BS2、BS3のスロット取得の優先順位を適切に更新し、これを各親機BS1、BS2、BS3に応じて提供できる。また、主装置1は、ダミーベアラとして取得されたスロットが、異なる親機で重複してしまった場合には、ダミーベアラとして取得すスロットを変更するように、各親機を制御することもできる。
更に、主装置1は、親機制御部122の機能により、自機に接続されている親機のダミーベラとしてのスロットの取得状況に応じて、各親機に対して、ダミーベアラとして取得するスロットの数も制御できる。すなわち、シングルダミーベアラ方式とダブルダミーベアラ方式のずれかを選択するように制御できる。もちろん、2つよりも多くのスロットをダミーベアラとして取得するように制御できる。例えば、主装置1に接続されている親機の数と実際にダミーベアラとして取得されているスロットの状況に応じて、ダブルダミーベアラ方式やトリプルダミーベアラ方式を用いるように、各親機を制御することもできる。
また、図2には図示しないが、主装置1には、アドレス管理部も接続されている。アドレス管理部は、主装置1に接続されているコードレス電話装置21,22,23の内線番号などの端末識別情報と内線処理回路131〜13nのそれぞれとの対応を記憶管理する。このアドレス管理部の情報に基づいて、主装置1に接続されたコードレス電話装置の動作状況などを適切に把握することができると共に、主装置1に接続されたコードレス電話装置のそれぞれを適切に制御できる。
[コードレス電話装置21、22、23の構成例]
次に、親機と子機とから構成される、この実施の形態のコードレス電話装置21、22、23の構成例について説明する。ここでは、上述もしたように、親機BS1と子機HS1とから構成されるコードレス電話装置21の場合を例にして説明する。
<親機の構成例>
図4は、親機BS1の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、親機BS1は、親機BS1の全体を制御するための制御回路41と、回線LSI部42と、同期信号発生回路43と、無線通信回路44と、発振器45及び46とを備えて構成されている。
制御回路41は、コンピュータを搭載して構成されている。そして、制御回路41は、この親機BS1における呼制御などの制御を行う機能を備える。また、制御回路41は、スロットテーブル411、スロット制御部412、スロット通知部413を備えている。これらの各部は、主装置1と協働することによって、待機状態におけるダミーベアラとして用いるスロットを、他の親機と重複することなく、適切に取得できるようにする機能を実現するための部分である。なお、制御回路41の各部の詳細については後述する。
回線LSI部42は、主装置1との間で音声信号、制御信号及び同期信号のやり取りをするための回路である。回線LSI部42は、分割化/多重化処理部421と、制御信号処理部422と、音声信号処理部423と、同期信号検出部424と、PLL(Phase locked Loop)部425とからなる。PLL部425には、発振器45からの基準周波数の発振信号が供給されると共に、主装置1からの多重化信号が供給される。この例では、発振器45の発振信号の周波数は、例えば2048MHz(0.488ナノ秒(ns))とされている。
PLL部425は、主装置1からの多重化信号から、いわゆるセルフクロッキングにより、主装置1のタイミング信号生成部からのクロック信号CK成分を抽出する。PLL部425は、抽出した当該クロック信号CK成分と発振器45からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づき、発振器45の発振信号からクロック信号CK成分に同期する親機BS1のシステムクロック信号SCKを生成する。PLL部425は、生成したシステムクロック信号SCKを分割化/多重化処理部421、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424のそれぞれに、信号処理用クロック信号として供給すると共に、同期信号発生回路43に供給する。
分割化/多重化処理部421は、主装置1に接続されると共に、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424に接続される。分割化/多重化処理部421は、主装置1からの多重化信号から制御信号と音声信号と基準同期信号SYNCを分割(分離)する。分割化/多重化処理部421において分割(分離)された、制御信号は制御信号処理部422に、音声信号は音声信号処理部423に、基準同期信号SYNCは同期信号検出部424に、それぞれ供給される。
また、分割化/多重化処理部421は、制御信号処理部422からの制御信号と、音声信号処理部423からの音声信号とを多重化して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を主装置1に供給する。制御信号処理部422は、制御回路41の制御信号入出力端に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されている。制御信号処理部422は、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号(主装置1からコードレス電話装置21への制御信号と、コードレス電話装置21から主装置1への制御信号の両方)の処理回路である。また、制御信号処理部422は、制御回路41からのスロット通知情報TJを主装置1に提供したり、主装置1からのスロット制御情報CTLを制御回路41に提供したりする機能も実現する。
音声信号処理部423は、無線通信回路44に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されており、無線通信回路44からの子機HS1から受信した送話音声信号及び分割化/多重化処理部421からの受話音声信号の処理回路である。同期信号検出部424は、分割化/多重化処理部421からの基準同期信号SYNCを受けて、当該基準同期信号SYNCが備える所定の同期信号パターンを検出する。これにより、同期信号検出部424は、その検出時点の信号として、基準同期信号SYNCと同期する、基準同期信号SYNCと同一周期(130ms)の基準同期パルスPSを発生する。同期信号検出部424は、発生した基準同期パルスPSを同期信号発生回路43に供給する。
同期信号発生回路43は、カウンタ431と、同期信号生成部432とからなる。カウンタ431には、回線LSI部42の同期信号検出部424からの130msの周期の基準同期パルスPSがプリセット端子PREに供給されると共に、PLL部425からのシステムクロック信号SCKがカウント入力として供給される。カウンタ431の出力カウント値CNTが同期信号生成部432に供給される。同期信号生成部432は、カウンタ431の出力カウント値CNTから、DECT規格のフレーム周期(10ms)の同期信号FLを発生する。同期信号発生回路43は、同期信号生成部432で生成したフレーム同期信号FLを無線通信回路44に供給する。
無線通信回路44は、制御部441と、TDMA変復調部442と、無線通信部(図4では、「RF」と記載。)443とを備えて構成されている。無線通信部443は、子機HS1との間で、無線通信を行うための回路部である。制御部441は、TDMA変復調部442及び無線通信部443に接続されると共に、制御回路41に接続されている。制御部441は、この無線通信回路44の全体の動作を制御すると共に、制御回路41から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部442に供給する。また、制御部441は、TDMA変復調部442から得た情報を制御回路41に供給する機能も備える。
TDMA変復調部442は、制御部441及び回線LSI部42の音声信号処理部423に接続されると共に、無線通信部443に接続されており、制御部441からの制御信号と音声信号処理部423からの音声信号を子機HS1に送信するために変調を行う。このTDMA変復調部442で変調された信号は、無線通信部443を通じて子機HS1に送信される。また、TDMA変復調部442は、無線通信部443で受信された子機HS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号は音声信号処理部423に供給し、復調した制御信号は、制御部441に供給する。
TDMA変復調部442は、クロック生成用のPLL部4421を備える。PLL部4421には、発振器46からの発振信号が供給されると共に、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLが供給される。PLL部4421は、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLと発振器46からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づいて、発振器46の発振信号から、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を生成する。TDMA変復調部442は、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を用いて、割り当て使用可能となるダウンリンクでのスロットに相当する期間で子機HS1への送信信号を生成すると共に、アップリンクでのスロットを用いて、子機HS1からの受信信号の処理を行うようにする。
親機BS1は、主装置1に接続されて、待機状態にある時には、子機HS1との通信のための同期処理を開始し、常に、ダミーベアラを通じて子機HS1に対して同期信号や制御情報を送信し、通信が可能な状態(いわゆるアイドル状態)を維持している。すなわち、待機状態の時には、TDMA変復調部442は、制御部441を通じた制御回路41からの制御に応じて、同期信号や制御情報を、無線通信部443を介し、指示されたスロット(ダミーベアラ)を通じて、子機HS1に送信している。
子機HS1に着信を通知したり、子機から発信を行ったりする場合には、上述もしたように、ダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理を行い、ダウンリンクとアップリンクとに取得したトラフィックベアラを通じて通信を行う。このようなダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理は、子機からのトラフィックベアラの取得の要求に応じて、制御部441の制御により、主にTDMA変復調部442が機能して行われる。
ダミーベアラを取得する処理は、制御回路41において行われる。制御回路41が備えるスロットテーブル411は、制御回路41に設けられているメモリ内に形成される。スロットテーブル411は、ダウンリンクの各スロットのダミーベアラとして取得する場合の優先順位とダミーベアラとして取得されたスロットとを管理する。図5は、スロットテーブル411の格納データの例を説明するための図である。図5に示すように、スロットテーブル411には、「設置位置」の格納欄を備える。「設置位置」は、図3を用いて説明した、主装置1の端末別スロットテーブル14の「設置位置」と同様に、当該親機BS1の設置位置を特定する情報であり、この実施の形態において、親機BS1は、オフィス1階の位置Aに設置されていることが記憶されている。
また、スロットテーブル411には、図5において「スロット」の欄に示したように、ダウンリンクのスロットS0〜スロットS11までの12個のスロットごとに、「優先順位」と「使用スロット(図3では「使用SL」と記載)」の格納欄が設けられている。「優先順位」の格納欄には、各スロットがダミーベアラとして取得される場合に用いられる優先順位が格納される。初期状態においては、スロット識別子であるS0〜S11の記載の数字部分の小さいスロットの優先順位が高くなるようになっている。この「優先順位」の情報は、上述もしたように、主装置1の端末別スロットテーブル14の当該親機BS1の「優先順位」と同期が取られて一致するようにされる。
「使用スロット」の格納欄には、当該親機BS1において、現在、ダミーベアラとして選択されているスロットに対応する欄に、丸印を付して示したように、フラグを立てて、これを把握することができるようにしている。このように、親機BS1の制御回路41のスロットテーブル411は、上述した主装置1の端末別スロットテーブル14において、親機BS1について把握している情報と同じ情報を管理するようになっている。このスロットテーブル411の情報に基づいて、ダミーベアラとしてのスロットを取得したり、ダミーベアラとして取得したスロットを変更したり、スロットテーブル411の情報を更新したりする機能をスロット制御部412が実現する。また、スロット制御部412は、上述したように、主装置1から提供されるスロット制御情報CTLに基づいて、各スロットのダミーベアラとして取得される場合の優先順位を変更したり、ダミーベアラとして取得したスロットを変更したりする処理も行う。
スロット通知部413は、予め決められた所定のタイミングごとに、あるいは、ダミーベアラ取得されるごとに、スロットテーブル411の情報に基づいて、スロット通知情報TJを形成し、これを主装置1に対して送信する機能を実現する。スロット通知情報TJは、少なくとも、ダミーベアラとして取得されているスロットを特定するスロット識別情報と親機BS1の識別情報(端末識別情報)を有するものである。なお、スロット通知情報TJの主装置1への送信は、所定のタイミングごととダミーベアラ取得されるごとの両方のタイミングで行うようにしてもよい。また、スロット通知情報TJとして、その時点での各スロットの優先順位を主装置1に通知することもできる。
ここで、図3を用いて上述したように、親機B1→親機BS2→親機BS3の順にダミーベアラとして使用するスロットを取得し、取得したスロットをスロット通知情報TJとして主装置1に通知する場合の制御回路41の処理について考える。まず、親機BS1の制御回路41のスロット制御部412は、図5(A)に示すように、スロットテーブル411の優先順位に従って、優先順位の最も高いスロットS0をダミーベアラとして使用するスロットとして取得(特定)する。これにより、待機状態にあるときに、親機BS1は、ダミーベアラとしてのスロットS0を通じて、同期信号や種々の制御情報を、親機BS1が形成する無線通信可能エリアAr1内の子機に送信することになる。
この場合に、スロット通知部413は、ダミーベアラとして取得したスロットS0のスロット識別情報と、親機BS1の端末識別情報とを含むスロット通知情報TJを形成し、回線LSI42を通じて主装置1に提供する。当該スロット通知情報TJの提供を受けた主装置1では、制御回路12の管理情報作成部121が、端末別スロットテーブル14の親機BS1の使用スロットの欄を更新する。これにより、主装置1においては、スロットS0が親機BS1によってダミーベアラとして取得されたことを管理できる。
この場合、主装置1の制御回路12の親機制御部122が機能して、親機BS2、BS3に対して、スロットS0の優先順位を下げた優先順位を形成し、これをスロット制御情報CTLとして親機BS2、BS3に提供する。これにより、親機BS1と同様に構成される親機BS2、BS3のスロットテーブル411の優先順位が更新され、親機BS2、BS3においては、スロットS0がダミーベアラとして取得し難くされる。
この後、親機BS2において、スロットテーブル411の更新された優先順位に従って、ダミーベアラとなるスロットが取得される。この場合、上述したように、スロットS0の優先順位は低いので、優先順位の高いスロットS1がダミーベアラとして取得(特定)され、これを通知するスロット通知情報TJが形成されて主装置1に提供される。この場合、主装置1では、制御回路12の管理情報作成部121が機能し、端末別スロットテーブル14の親機BS2の使用スロットの欄を更新する。これにより、主装置1においては、親機BS2によってスロットS1がダミーベアラとして取得されたことを把握できる。
このため、主装置1においては、制御回路12の親機制御部122が機能して、親機BS1、BS3に対して、スロットS1の優先順位を下げた優先順位を形成し、これをスロット制御情報CTLとして親機BS2、BS3に提供する。これにより、親機BS1、BS3においては、制御回路41のスロット制御部412は機能して、スロットテーブル411の優先順位が更新される。この場合、親機BS1においては、図5(B)に示すように、親機BS2で取得されたスロットS1の優先順位が、この例の場合には最下位(12位)とされている。これにより、親機BS1においては、スロットS1をダミーベアラとして取得し難くされる。親機BS3においても同様に処理されることになる。
この時点で、スロットS0は親機BS1により取得され、スロットS1は親機BS2より取得されている。従って、親機BS3のスロットテーブル411においては、スロットS0が優先順位12位、スロットS1が優先順位11位のように、下位の順位となり、取得し難くなっている。この場合に、親機BS3において、スロットテーブル411の更新された優先順位に従って、スロットS2がダミーベアラとして取得(特定)され、これを通知するスロット通知情報TJが形成されて主装置1に提供される。
主装置1においては、制御回路12の管理情報作成部121が機能して、端末別スロットテーブル14の親機BS3の使用スロットの欄を更新する。これにより、主装置1においては、スロットS2が親機BS3によってダミーベアラとして取得されたことが把握できる。そこで、主装置1においては、制御回路12の親機制御部122が機能して、親機BS1、BS2に対して、スロットS2の優先順位を下げた優先順位を形成し、これをスロット制御情報CTLとして、親機BS1、BS2に提供する。
これにより、親機BS1、BS2においては、制御回路41のスロット制御部412が機能して、スロットテーブル411の優先順位を更新する。この場合、親機BS1においては、図5(C)に示すように、親機BS3で取得されたスロットS2の優先順位が、この例の場合には最下位(11位)とされている。これにより、親機BS1においては、スロットS1に次いでスロットS2がダミーベアラとして取得し難くされる。親機BS2においても同様に処理されることになる。
なお、ここでは、親機B1→親機BS2→親機BS3の順にダミーベアラとして使用するスロットを取得する場合について説明したため、ダミーベアラとして取得するスロットの優先順位の制御で、スロットの取得制御が可能になっている。しかし、既にダミーベアラとして取得されているスロットと同じスロットをダミーベアラとして他の親機が取得してしまった場合には、ずれかの親機のダミーベアラとして取得されているスロットを変更する制御が、主装置1の親機制御部122によって行われる。
このように、親機BS1は、制御回路41が備えるスロットテーブル411、スロット制御部412、スロット通知部413の機能によって、主装置1と協働し、他の親機と同じスロットをダミーベアラとして使用することがないようにしている。
<子機の構成例>
図6は、子機HS1の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、子機HS1は、無線通信回路51と、制御回路52と、コーデック回路53と、発振器54と、マイクロホン55と、スピーカ56とを備えて構成されている。マイクロホン55は送話器を構成し、スピーカ56は受話器を構成する。無線通信回路51は、制御部511と、TDMA変復調部512と、無線通信部(図7では、「RF」と記載。)513とを備えて構成されている。無線通信部513は、親機BS1との間で、無線通信を行うための回路部である。
制御部511は、TDMA変復調部512及び無線通信部513に接続されると共に、制御回路52に接続されている。制御部511は、この無線通信回路51の全体の動作を制御すると共に、制御回路52から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部512に供給する。
TDMA変復調部512は、制御部511及び無線通信部513に接続されると共に、コーデック回路53と接続されており、制御部511からの制御信号とコーデック回路53からの音声信号を親機BS1に送信するために変調を行う。TDMA変復調部512で変調された信号は、無線通信部513を通じて親機BS1に送信される。また、TDMA変復調部512は、無線通信部513で受信された親機BS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号はコーデック回路53に供給し、復調した制御信号は、制御部511に供給する。
TDMA変復調部512は、クロック生成用のPLL部5121を備える。PLL部5121には、発振器54からの発振信号が供給されると共に、無線通信部513からの受信信号の復調信号が供給され、PLL部5121からは、発振器54からの発振信号から、受信信号の復調信号のクロック成分に同期したクロック信号が生成される。PLL部5121からのクロック信号は、TDMA変復調部512における処理用クロック信号とされる。
コーデック回路53は、TDMA変復調部512で復調された音声信号を復号して、アナログ音声信号に変換し、そのアナログ音声信号をスピーカ56に供給して、受話音声として放音する。また、コーデック回路53は、マイクロホン55で収音したアナログ音声信号を符号化して、TDMA変復調部512に供給する。なお、制御回路52は、この子機HS1からの発呼時には、発呼時の呼制御信号を、無線通信回路51を通じて親機BS1に送信し、また、親機BS1からの着信時の呼制御信号を受けた時には、着信音をスピーカ56から放音するなどの処理を行う。
なお、無線通信回路51の制御部511は、自機に対応する親機BS1からの制御信号に応じてTDMA変復調部512を制御し、ダウンリンクとアップリンクとで、通信に用いるスロットをサーチして特定し、受信/送信の処理を行うことができるようにしている。例えば、一斉着信が発生し、主装置1からの着信通知が親機BS1を介して子機HS1に通知されると、子機HS1では空きスロットのサーチ処理を行って、通話に用いる空きスロットを取得する。そして、子機HS1は、親機BS1と協働し、取得した空きスロットをトラフィックベアラとして用いて、通話を行うことができるようにしている。
なお、上述したように、待ち受け時において、子機HS1は、ダウンリンクにおいて予め決められる1つのスロット(ダミーベアラ)を通じて、同期信号や制御信号の提供を親機から受けることができるようにしている。着信や発信が発生すると、上述もしたように、ダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理を行い、上述したように、ダウンリンクとアップリンクとで、通信に用いるスロットを特定して通話を行うことになる。
以上の説明は、コードレス電話装置21の親機BS1及び子機HS1についての説明であるが、前述したように、その他のコードレス電話装置22〜2nの親機BS2〜BSn及び子機HS2〜HSnについても同様の構成を有するものである。
[電話システムの基本動作]
図7は、図1に示した電話システム10の基本的な動作を説明するためのシーケンス図である。ここでは、説明を簡単にするため、親機BS1、BS2、BS3のスロットテーブル411の状態は、スロットS0からスロットS11に向かうに従って優先順位が低くなり、スロットS0が優先順位1位でスロットS11が優先順位12位となっているものとする。また、このスロットテーブル411の状態が、主装置1の端末別スロットテーブル14でも管理されているものとする。
まず、親機BS1のスロット制御部412が、自機のスロットテーブル411の状態に従って、優先順位が最上位のスロットS0をダミーベアラとして取得したとする(ステップS31)。この場合、親機BS1のスロット通知部413が機能し、親機BS1がスロットS0を取得したことを主装置1に通知する(ステップS32)。当該通知を受けた主装置1では、管理情報作成部121が機能し、端末別スロットテーブル14の親機BS1の欄に通知され情報を格納(更新)する(ステップS33)。具体的に、ステップS33の処理は、親機BS1の使用スロットの欄のスロットS0に対応する欄に、使用されていることを示すフラグを立てる処理である。
この後、主装置1の親機制御部122が、端末別スロットテーブル14を確認し、スロットS0の優先順位を下げたダミーベアラの取得の優先順位を形成する(ステップS34)。親機制御部122は、ステップS34で形成した優先順位を、優先順位の変更を指示するスロット制御情報CTLとして、親機BS2と親機BS3とに提供する(ステップS35)。これに応じて、親機BS2と親機BS3では、スロット制御部412が機能し、スロットテーブル411の優先順位を変更する(ステップS36、S37)。
この場合、親機BS2、BS3では、主装置1からの指示に応じて、スロットS0の優先順位を最下位にし、スロットS1を最上位とし、スロットS2→S3→S4…という順番に、優先順位が下がるように、スロットテーブル411の優先順位を変更する。また、ステップS34においては、親機制御部122により、端末別スロットテーブル14の優先順位が更新され、各親機のスロットテーブル411の優先順位と一致するようにされる。
この後、親機BS2において、スロット制御部412が機能して、優先順位が最上位のスロットS1をダミーベアラとして取得し(ステップS38)、スロット通知部413が機能して、スロットS1を取得したことを主装置1に通知したとする(ステップS39)。この直後に、親機BS3において、スロット制御部412が機能して、優先順位が最上位のスロットS1をダミーベアラとして取得し(ステップS40)、スロット通知部413が機能して、スロットS1を取得したことを主装置1に通知したとする(ステップS41)。すなわち、親機BS2のスロットS1の取得が、端末別スロットテーブル14に反映される前に、親機BS3でもダミーベアラとして使用するスロットを取得している。
この場合、親機BS3のスロットテーブルの優先順位が変更される前に、親機BS3でもダミーベアラとして使用するスロットを取得しているため、親機BS3でも、スロットS1を取得してしまっている。この状態は、主装置1の管理情報作成部121により、端末別スロットテーブル14に格納され(ステップS42)、親機BS2と親機BS3とで、ダミーベアラとしてスロットS1が重複して取得されたことが把握される。
次に、主装置1の親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の格納データを確認するが(ステップS43)、親機BS2と親機BS3でダミーベアラとして取得したスロットが重複していることが把握されることになる。この場合、主装置1の親機制御部122は、確認した内容に基づき、親機BS3に対して、スロットS1を解放し、スロットS2を取得するように指示するスロット変更指示をスロット制御情報CTLとして形成し、これを親機BS3に提供する(ステップS44)。これにより、親機BS3では、スロットS1が解放され、ダミーベアラとしてスロットS2が取得される。
なお、ここでは、スロット通知情報TJを後から送信してきた親機BS3に対して、スロットの変更指示を出したが、これに限るものではない。親機制御部122は、先にスロット通知情報TJを送信してきた親機BS2に対してスロットの変更指示を出し、親機BS3のダミーベアラとして取得したスロットについては、そのまま維持するように制御することもできる。
更に、主装置1の親機制御部122は、確認した端末別スロットテーブル14の情報に基づいて、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれに提供するダミーベアラとして取得するスロットの優先順位の変更指示を形成し、これを各親機に提供する(ステップS45)。すなわち、ステップS45の処理は、各親機に対して、ダミーベアラとして取得するスロットの優先順位の変更指示を、スロット制御情報CTLとして形成して提供する処理となる。この場合、親機BS1に対しては、スロットS1とスロットS2の優先順位を低くした優先順位を形成して提供し、親機BS2に対しては、スロットS0に加えて、スロットS2の優先順位を低くした優先順位を形成して提供する。また、親機BS3に対しては、スロットS0に加えて、スロットS1の優先順位を低くした優先順位を形成して提供する。
親機BS1、BS2、BS3のそれぞれでは、主装置1からのスロット制御情報CTLに基づいて、自機のスロットテーブル411の優先順位を変更する(ステップS46、S47、S48)。これにより、主装置1の端末別スロットテーブル14では、図3(B)に示したように、各親機BS1、BS2、BS3のスロットテーブル411の状態が管理される。従って、各親機BS1、BS2、BS3のスロットテーブル411の状態は、図3(B)の対応する親機の欄の状態となっている。このように、主装置1と、主装置1の配下のコードレス電話装置の親機BS1、BS2、BS3は、協働して、各親機がダミーベアラとして取得するスロットが重複することがないようにできる。
[親機BS1と主装置1の処理のまとめ]
図7を用いて説明したように動作するこの実施の形態の親機で行われる処理と、主装置1で行われる処理についてまとめる。なお、ここでは説明を簡単にするため、親機の処理は、親機BS1の処理として説明するが、同様に構成される親機BS2、BS3でも同様の処理が行われる。
[親機BS1の処理のまとめ]
図8は、親機BS1で行われるスロットに関する処理について説明するためのフローチャートである。図8に示す処理は、電源が投入されている親機BS1の制御回路41において、所定のタイミングごとに繰り返し実行するようにされている。図8に示す処理が実行されると、制御回路41は、スロット通知情報TJを主装置1に通知する事象が発生したか否かを判別する(ステップS101)。
ステップS101の判別処理は、スロット通知情報TJを送信するタイミングになったり、ダミーベアラを新たに取得したり、ダミーベアラとして取得しているスロットを変更したりした場合には、通知事象の発生と判別する。なお、定期的にスロット通知情報TJを送信している場合には、制御回路41が、図2には図示していないが、親機BS1が備える時計回路を用いて、スロット通知情報TJの送信間隔を計測しており、この計測結果に基づいて、定期的にスロット通知情報TJの主装置1への通知が行われる。
ステップS101の判別処理において、スロット通知情報TJを主装置1に通知する事象が発生したと判別したとする。この場合には、スロット通知部413が機能し、スロットテーブル411の格納情報を参照して、スロット通知情報TJを形成し、これを主装置1に送信する(ステップS102)。スロット通知情報TJは、上述もしたように、ダミーベアラとして取得しているスロットを特定するスロット識別情報と親機BS1の端末識別情報とを含むものである。
ステップS102の処理の後と、ステップS101の判別処理において、スロット通知情報TJを主装置1に通知する事象は発生していなと判別した場合には、ステップS103の判別処理に進む。この場合、制御回路41は、主装置1からダミーベアラとして取得するスロットの優先順位の変更指示が、スロット制御情報CTLとして到来しているか否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別処理において、主装置1から優先順位の変更指示が到来していると判別したときには、スロット制御部412は、当該優先順位の変更指示に応じて、スロットテーブル411のダミーベアラとして取得するスロットの優先順位を変更する(ステップS104)。
ステップS104の処理の後と、ステップS103の判別処理において、優先順位の変更指示は到来していないと判別した場合には、ステップS105の判別処理に進む。この場合、制御回路41は、主装置1からスロット自体の変更指示が、スロット制御情報CTLとして到来しているか否かを判別する(ステップS105)。ステップS105の判別処理において、主装置1からスロットの変更指示が到来していると判別したとする。この場合、スロット制御部412は、当該スロットの変更指示に応じて、ダミーベアラとして取得しているスロットを主装置1からの指示に応じスロットに変更し、スロットテーブル411の使用スロットの欄を変更する(ステップS106)。すなわち、ステップS106のスロットの変更処理は、変更前のスロットを解放して、指示された新たなスロットを取得し、この状態をスロットテーブル411の使用スロットの欄に更新するものである。
ステップS106の処理の後と、ステップS105の判別処理において、主装置1からスロットの変更指示は到来していないと判別した場合には、図8に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。このように、親機BS1は、スロット通知情報TJを主装置1に通知する機能と、主装置からのスロット制御情報CTLに基づいた、ダミーベアラとして取得するスロットの優先順位の変更機能と、ダミーベアラとして取得しているスロットの変更機能を実現する。
[主装置1の処理のまとめ]
図9は、主装置1で行われるスロット管理処理について説明するためのフローチャートである。図9に示す処理は、電源が投入されている主装置1の制御回路12において、所定のタイミングごとに繰り返し実行するようにされている。主装置1では、各親機との間で常時、通信が可能な状態になっている。図9に示す処理が実行されると、制御回路12は、配下の親機からのスロット通知情報TJを受信したか否かを判別する(ステップS201)。ステップS201の判別処理において、スロット通知情報TJを受信していないと判別したときには、図9に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。
ステップS201の判別処理において、配下の親機からのスロット通知情報TJを受信したと判別したとする。この場合、管理情報作成部121が機能して、受信したスロット通知情報TJに応じて、端末別スロットテーブル14を更新する処理を実行する(ステップS202)。次に、親機制御部122が機能し、更新された端末別スロットテーブル14の格納情報に基づいて、親機への変更指示が必要か否かを判別する(ステップS203)。ステップS203の判別処理は、ダミーベアラとして用いられるスロットが取得されることにより、スロットテーブルの優先順位を変更したり、取得されたスロットが親機間で重複し、スロット自体を変更したりする必要が生じていないかを判別するものである。
ステップS203の判別処理において、変更指示は必要ないと判別したときには、図9に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。ステップS203の判別処理において、親機への変更指示が必要であると判別したとする。この場合、親機制御部122は、親機への優先順位の変更指示が必要か否かを判別する(ステップS204)。ステップS204の判別処理において、親機への優先順位の変更指示が必要であると判別したとする。この場合、親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の情報に基づき、優先順位の変更が必要になる各親機への優先順位の変更指示を形成し、これをスロット制御情報CTLとして優先順位の変更が必要になる各親機へ送信する(ステップS205)。なお、ステップS205においては、端末別スロットテーブル14の各親機の優先順位の変更も行われ、親機のスロットテーブル411の優先順位と一致して管理することができるようにされる。
ステップS205の処理の後と、ステップS204の判別処理において、親機への優先順位の変更指示は必要ないと判別したときには、ステップS206の判別処理を実行する。この場合、親機制御部122は、親機へのスロットの変更指示が必要か否かを判別する(ステップS206)。ステップS206の判別処理において、親機へのスロットの変更指示が必要であると判別したとする。この場合、親機制御部122は、端末別スロットテーブル14の情報に基づき、スロットの変更が必要になる親機へのスロットの変更指示を形成し、これをスロット制御情報CTLとして当該スロットの変更が必要になる親機へ送信する(ステップS207)。なお、ステップS207においては、端末別スロットテーブル14のスロットの変更が必要になる親機の使用スロットの変更も行われ、親機のスロットテーブル411の使用スロットと一致して管理できる。
ステップS207の処理の後と、ステップS206において、スロットの変更指示は必要ないと判別された場合においては、図9に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。このように、主装置1は、自機に接続された親機において、ダミーベアラとして取得されたスロットやダミーベアラとして取得するスロットの優先順位を端末別スロットテーブル14で管理する機能を実現する。主装置1は、端末別スロットテーブル14の情報に基づいて、当該優先順位の変更制御やダミーベアラとして取得されたスロットの変更制御を一元的に行う機能を実現する。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電話システムによれば、主装置1において、これに接続されたコードレス電話装置の親機BS1、BS2、BS3ごとに、ダミーベアラとして取得されたスロットやダミーベアラとして取得するスロットの優先順位を管理できる。これにより、主装置1によって、主装置1に収容されたコードレス電話装置の親機が、ダミーベアラ(制御信号用スロット)として使用するスロットの制御ができる。この結果、主装置1に接続された各親機において、ダミーベアラとして取得するスロットの重複が防止され、子機が移動して、他の親機の無線通信可能領域に入っても、他の親機がダミーベアラとして用いているスロットを適切に見つけることできる。従って、待機状態における子機のハンドオーバを適正に行うことができる。
[変形例]
上述した実施の形態では、主装置1には、コードレス電話装置21、22、23が接続されている場合を例にして説明したが、これに限るものではない。主装置1に対して、複数のコードレス電話装置が接続されている場合にこの発明を適用することができる。この発明は、より多くのコードレス電話装置が主装置に接続されて構成された規模の大きな電話システムに適用して好適なものである。
また、上述した実施の形態では、ダミーベアラとして取得したスロットと、ダミーベアラとして取得するスロットの優先順位とを主装置1において、親機ごとに管理するようにしたが、これに限るものではない。少なくとも、ダミーベアラとして取得したスロットを、各親機別に管理していれば、ダミーベアラとして取得するスロットの重複を長期間にわたって発生させてしまうことが無いように制御できる。
しかし、上述した実施の形態の場合のように、ダミーベアラとして取得するスロットの優先順位について管理し、各親機においても管理する構成とした場合には、各親機間で、ダミーベアラとして取得するスロットの重複を効率よく防止することが可能になる。
また、上述した実施の形態では、主装置1が、端末別スロットテーブル14の情報に基づいて、当該優先順位の変更制御やダミーベアラとして取得されたスロットの変更制御を一元的に行うようにした。しかし、これに限るものではない。主装置1は、自機に接続される親機の数も把握できる。このため、例えば、親機の数が少ない場合は、ダミーベアラとして取得する数を増やして、ダブルダミーベアラ方式やトリプルダミーベアラ方式とするように制御することもできる。もちろん、この他の条件を設けて、ダミーベアラとして取得するスロットの数を制御するようにしてもよい。
また、主装置1は、自機に接続される親機の数や配置位置も管理できる。このため、主装置1は、親機が1台しか接続されていない場合や各親機の無線通信可能エリア(電波エリア)が被らない場合には、ダミーベアラとして取得するスロットの制御は行わないようにすることができる。
また、上述した実施の形態では、主装置1に接続された親機BS1、BS2、BS3が自発的に、所定の事象が発生した場合において、スロット通知情報TJを主装置1に通知するようにしたが、これに限るものではない。主装置1から適宜のタイミングで各親機にスロット通知情報TJの提供要求を送信し、これに応じて各親機がスロット通知情報TJを形成して、主装置1に通知することもできる。例えば、所定のタイミングごとに主装置1が、各親機にスロット通知情報TJの提供要求を送信し、これに応じて各親機がスロット通知情報TJを形成し、主装置1に送信することも可能である。
また、上述した実施の形態では、DECT規格のコードレス電話装置を用いた場合を例にして説明したが、これに限るものではない。親機と子機との間では、所定の通信チャンネルを所定時間単位のフレームに分割し、このフレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割し、フレームごとに選択したタイムスロットを通じて無線通信を行う方式を用いる場合に、この発明を適用可能である。
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の親機のスロット制御手段、スロット通知手段は、実施の形態の親機BS1のスロット制御部412、スロット通知部413が実現している。また、請求項の電話制御装置の管理情報作成手段、親機制御手段の機能は、実施の形態の主装置1の管理情報作成部121、親機制御部122が実現している。
また、図8のフローチャートに示した処理を実行するプログラムを作成し、これを親機に搭載して実行可能にしておくことにより、この発明の電話システムを構成するコードレス電話装置の親機を構成できる。すなわち、親機のスロット制御部412、スロット通知部413の機能は、制御回路41で実行されるプログラムによって実現することもできる。また、図9のフローチャートに示した処理を実行するプログラムを作成し、これを主装置やSIPサーバなどの電話制御装置に搭載し、実行可能にしておくことにより、この発明の電話システムを構成する電話制御装置を構成できる。すなわち、管理情報作成部121、親機制御部122の機能は、主装置1の制御回路12で実行されるプログラムによって実現することもできる。