JP2021119134A - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法を提供する。【解決手段】1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、少なくとも95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、並びに以下の:酸素化有機化合物、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、非異性体アルカン不純物、塩素化アルケン、水、塩素の無機化合物、臭素化有機化合物、及び/又は鉄、の1つ以上を含む組成物を出発原料として使用する、方法である。【選択図】図14
Description
本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の調製に関する。より詳細には、本発明は、非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)の非常に高純度の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)へのフッ素化に関する。
オゾン層保護のためのモントリオール議定書は、クロロフルオロカーボン類(CFC)の使用の終了につながった。ハイドロフルオロカーボン類(HFC)、例えばHFC−134aなどのオゾン層に対して攻撃性がより低い化合物が、クロロフルオロカーボンに取って代った。HFC化合物は、実際に温室効果ガスをもたらすことが示された。ODP(オゾン層破壊係数)が低く、GWP(地球温暖化係数)が低い技術の開発に対する必要性が存在する。オゾン層に影響を与えない化合物であるハイドロフルオロカーボン類(HFC)は興味深い候補材料であることが確認されたが、比較的高いGWP値を示す。低いGWP値を示す化合物を見出す必要性が依然として存在する。ハイドロフルオロオレフィン類(HFO)は、ODP値及びGWP値が非常に低い、代替物候補であることが確認された。
環境にやさしいハロカーボン類の新たなクラスが出現しつつあり、調査されて、場合によっては、とりわけ自動車分野や国内分野の冷媒として、いくつかの用途に採用されている。このような化合物の例としては、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブテン(HFO−1345zf)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテン(HFO−1336mzz)、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンテン(HFO−1447fz)、2,4,4,4−テトラフルオロブタ−1−エン(HFO−1354mfy)及び1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロペンテン(HFO−1438mzz)が挙げられる。
これらの化合物は、相対的に言えば、化学的に非複合体であるが、要求される純度レベルに工業規模で合成することは困難である。このような化合物について提案された多くの合成経路は、出発原料又は中間体として、塩素化アルカン又はアルケンを使用することが多くなってきている。このような方法の例は、WO2012/098420、WO2013/015068及びUS2014/171698に開示されている。塩素化アルカン又はアルケン出発原料のフッ素化された目的化合物への転化は、通常、フッ化水素及び任意に遷移金属触媒、例えばクロム系触媒を用いて実施される。
フルオロアルケン類を調製するための任意に非触媒的な方法の例は、WO2013/074324に開示されている。
フッ化水素化反応中の不純物の生成の問題は、このため部分フッ素化供給原料の純度に対する必要性が記載されている、US2010/331583及びWO2013/119919で検討され、並びに反応装置不純物に関してUS2014/235903にも記載されている。
塩素化供給原料が多ステップ方法から得られる場合、とりわけこのようなステップが連携して連続的に実施されて工業的に許容される生産量を達成する場合、ここで蓄積的な副反応による各方法ステップで許容されない不純物の生成を防止する必要があることが、非常に重要であることが認識されている。
塩素化出発原料の純度は、所望のフッ素化生成物を調製する方法(とりわけ連続法)の成功及び実行可能性に実質的な影響を有する。ある不純物が存在すると副反応が生じ、標的化合物の収率を最小となる。蒸留ステップの使用によるこれらの不純物の除去も困難である。さらに、ある不純物が存在すると、例えば触媒毒として作用することによって、触媒寿命が損なわれる。
したがって、高純度塩素化アルカンを使用することは、上記のフッ素化化合物の合成にとって決定的な因子である。
精製された塩素化化合物を生成する複数の方法が当分野で提案されている。
例えばWO2013/086262は、メチルアセチレンガスから1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを調製する方法を開示している。その出願の実施例から分かるように、そこに開示されたベンチスケール合成は、合成後の精製工程ステップ、特に蒸留に供されているにも関わらず、約98.5%の純度を有する生成物を生じた。
WO2014/130445では、その刊行物の2頁に従来の方法が論じられ、その第1ステップは1,1,3−トリクロロプロペンからの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの生成を含む。しかし、その中間生成物の純度プロファイルは概説されず、その生成物の純度プロファイルも重視されていない。WO2014/130445の実施例2では、96.5〜98.5%の純度レベルを有するHCC−240db(1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)に富む材料が使用されている。
WO2013/055894は、テトラクロロプロペン類、特に1,1,2,3−テトラクロロプロペンを生成する方法を開示し、この文献に開示された方法から得た生成物が、フルオロカーボンを生成するための下流工程において問題となり得る不純物レベルが有利に低いことを報告している。WO2013/055894の著者によって問題となると考えられる種々の種類の不純物の議論は、その文献の段落[0016]及び[0017]に記載されている。
US2012/157723は、3ステップ方法によって塩素化アルカンを調製する方法を開示している。一見、高純度クロロアルカンは、その文献に開示された方法に従って調製されたように思われる。しかし、その出願の実施例で示されている純度データは小数点以下1桁までしか与えられていない。
このように提示されたデータを提供することから、US2012/157723の実施例で得た生成物の不純物プロファイルの測定に使用した分析装置の感度が悪かったことは明らかである。従来の分析装置によって、1ppm(すなわち小数点以下4桁まで)の炭化水素レベルが可能となる。当業者は工業規模でppmレベルまで使用されるクロロアルカン供給原料の不純物プロファイルを知る必要があることを考えると、US2012/157723で示されたデータは役に立たない。
当業者はまた、US2012/157723に開示された方法が、比較的低い選択性を有する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを提供することを認識している。その文献の段落[0017]から分かるように、目的の化合物に対する選択性は95%であった。
下流の段階で粗中間体を使用することによって方法が合理化される追加の方法が、WO2009/085862に開示されている。
これらの進歩にもかかわらず、上で論じた方法から得られた塩素化化合物の使用によって、依然として問題が生じ得る。特に、不純物、とりわけ(例えば類似の若しくはより高い沸点の結果として)目的の化合物から容易に分離できない、又は下流工程で使用される触媒の有効性若しくは寿命を低下させる不純物の存在は問題となり得る。
このような欠点を最小限に抑えるために、非常に高純度の塩素化アルカン化合物、及びとりわけ連続的な工業的製造を可能にする、そのような化合物を調製するための効率的で選択的で信頼できる方法に対する要求が、依然として残存している。これらの目的を達成する方法は、この文書で以下にさらに説明する。
ペンタクロロプロパンのフッ素化による2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の少なくとも1つを生成するための複数の方法が当分野で提案されている。
WO2012/052797は、例えば1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)を含むペンタクロロプロパンを、第1ステップにおいてフッ化水素(HF)と接触させて2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を提供し、次いで第2ステップにHFO−1234yfに転化する、2ステップ方法を開示している。
WO2012/052798は、例えば触媒及び酸素の存在下での生成物1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)の生成物2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)への、気相中での触媒フッ素化の方法について記載している。
WO2012/098420は、例えば、生成物1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)の生成物2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)への、触媒の存在下での気相中の触媒フッ素化の方法について記載している。
WO2013/088195は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)から2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を調製する方法であって、以下の:(a)1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)をHFと触媒反応させて、HCl、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、未反応HF及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)を含む反応混合物とするステップ;(b)反応混合物を、HCl及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む第1の流れ並びにHF、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び任意に1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)を含む第2の流れに分離するステップ;(c)第2の流れを触媒反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、HCl、未反応2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)、未反応HF及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245b)を含む反応混合物とするステップ、並びに(d)ステップ(a)への分離をせずに、ステップ(c)の反応混合物に直接に供給するステップを含む、方法を開示している。
WO2015/055927は、例えばフッ素化化合物の生成方法であって、フッ化水素酸を含む気体流を供給すること、塩素化化合物の少なくとも1つの液体流を供給し、前記気体流と混合することによって液体流を気化させることであって、得られた混合物がガス状混合物である、気化させること;及び気相中で塩素化化合物とフッ化水素酸とを触媒反応させて、生成物流を回収することを含む、方法を開示している。
WO2011/077192において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の調製方法が開示され、この方法は、(i)気相中、フッ素化触媒の存在下で、反応混合物を生成するのに十分な条件下で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)をフッ化水素HFと反応させること、(ii)反応混合物を、HCl、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む第1の流れ及びHF、未反応2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン((HCFO−1233xf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)を含む第2の流れに分離すること、(iii)第2の流れの少なくとも一部を少なくとも部分的にステップ(i)に戻して再循環させることを含む、方法が開示されている。この文献はさらに、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を調製する方法であって、(i)気相中、フッ素化触媒の存在下で、反応混合物を生成するのに十分な条件下で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)をフッ化水素HFと反応させること、(ii)反応混合物をHCl及びフッ素化生成物を含有する流れに分離すること、(iii)フッ素化生成物を含有する前記流れを、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む第1の流れ並びにHF、未反応2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)を含む第2の流れに分離すること、(iv)第2の流れの少なくとも一部を少なくとも部分的にステップ(i)に戻して再循環させることを含む、方法について記載している。
WO2013/045791は、Xが独立してフッ素原子又は塩素原子である、式CX3CHClCH2Xを有するハロプロパン並びに式CX3CCl=CH2/CClX2CCl=CH2及びCX2=CClCH2Xを有するハロプロペンから2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を調製する方法を開示している。該方法は、特に、Xが独立してフッ素原子又は塩素原子である、式CX3CHClCH2Xを有する少なくとも1つのハロプロパン並びに/又は式CClX2CCl=CH2及びCX2=CClCH2Xを有する少なくとも1つのハロプロペンと任意に混合された2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンがHFと、気相中、フッ素化触媒の存在下、320〜420℃の温度にて、1を超えるが2.5以下である、酸素の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンに対するモル比及び5〜40である、HFの反応される有機化合物の全量に対するモル比で反応する、少なくとも1つのステップを含む。
上記のすべての方法は、その出発原料に含有されている不純物に感受性であり、並びに/又は、特に不純物が容易に分離できない場合には、最終生成物、すなわち2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の収率及び/若しくは品質を低下させる副生成物を生成する。
したがって、上記を考慮すると、効率的である及び/若しくは選択的である及び/若しくは信頼性があり、並びに/又は連続的な工業生産にとって実用的である、非常に高純度を有する2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を調製する方法を提供することが望ましい。
本発明は、非常に高純度の初期生成物、すなわち非常に高純度の1,1,1,3−テトラクロロプロパン又は非常に高純度の1,1,3−トリクロロプロペン又は非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから出発して、高純度の化合物HFO−1234yfを調製できるという発見に基づいている。
本発明は、以下のステップを含む、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの調製方法を提供する。
−1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を反応区域にて塩素と接触させて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成するステップ(ステップ3−a)、及び
−得られた反応混合物を処理して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を得るステップ(ステップ3−b)、及び
−触媒の存在下又は非存在下で1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成するステップ(ステップ4−a)。
−1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を反応区域にて塩素と接触させて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成するステップ(ステップ3−a)、及び
−得られた反応混合物を処理して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を得るステップ(ステップ3−b)、及び
−触媒の存在下又は非存在下で1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成するステップ(ステップ4−a)。
一実施形態により、本発明の方法は、ステップ4−a)に続いて行われるステップ4−b)〜4−g)を含み得る。
4−b)ステップ4−a)で得た反応混合物を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−c)4−a)で得た反応混合物又は4−b)で得た第2の流れを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を得る任意選択のステップ、
4−d)生成物流4−c)を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−e)4−b)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)へ、又は4−d)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)若しくは4−c)のどちらかに再循環させる任意選択のステップ、及び
4−f)4−b)又は4−d)で得た第1の流れから2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を分離する任意選択のステップ、
4−g)4−a)、4−b)、4−c)、4−d)、4−e)、4−f)の1つ以上のステップで得た、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物、HCI又はHFを精製する任意選択のステップ。
4−b)ステップ4−a)で得た反応混合物を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−c)4−a)で得た反応混合物又は4−b)で得た第2の流れを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を得る任意選択のステップ、
4−d)生成物流4−c)を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−e)4−b)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)へ、又は4−d)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)若しくは4−c)のどちらかに再循環させる任意選択のステップ、及び
4−f)4−b)又は4−d)で得た第1の流れから2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を分離する任意選択のステップ、
4−g)4−a)、4−b)、4−c)、4−d)、4−e)、4−f)の1つ以上のステップで得た、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物、HCI又はHFを精製する任意選択のステップ。
一実施形態により、本発明の方法は、ステップ4−b)の前に、好ましくは蒸留又はデカンテーションによって、ステップ4−a)で得た反応混合物からHFを分離するステップを任意に含み得る。
一実施形態により、本発明の方法は、ステップ4−d)の前に、好ましくは蒸留又はデカンテーションによって、ステップ4−c)で得た反応混合物中にHFが存在する場合、HFを分離するステップを任意に含み得る。
一実施形態により、1,1,3−トリクロロプロペン供給原料は、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素によって調製され、この方法ステップは、
−脱塩化水素区域にて1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を触媒と接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成するステップ(ステップ2−a)、及び
−ステップ2−a)で得た反応混合物を処理して1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を得るステップ(ステップ2−b)を含み、
−ステップ3−c)の反応区域は、ステップ2−a)の脱塩化水素区域とは異なる。
−脱塩化水素区域にて1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を触媒と接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成するステップ(ステップ2−a)、及び
−ステップ2−a)で得た反応混合物を処理して1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を得るステップ(ステップ2−b)を含み、
−ステップ3−c)の反応区域は、ステップ2−a)の脱塩化水素区域とは異なる。
一実施形態により、1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料はテロマー化によって調製され、この方法ステップは、
主アルキル化区域にエチレン、四塩化炭素及び触媒を含む反応混合物を供給して、反応混合物中に1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成するステップ(ステップ1−a)、及び
ステップ1−a)で得た反応混合物を処理して、1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得るステップ(ステップ1−b)を含む。
主アルキル化区域にエチレン、四塩化炭素及び触媒を含む反応混合物を供給して、反応混合物中に1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成するステップ(ステップ1−a)、及び
ステップ1−a)で得た反応混合物を処理して、1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得るステップ(ステップ1−b)を含む。
好ましい実施態様は、上で説明した3つのステップすべて(ステップ1−3)、すなわちステップ1)四塩化炭素をエチレンと反応させて1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成する、テロマー化反応、ステップ2)1,1,1,3−テトラクロロプロパンを1,1,3−トリクロロプロペンに転化する、脱塩化水素反応及び1,1,3−トリクロロプロペンを塩素化して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを得るステップ3)を含む。
この方法では、上に概説した3つのステップ1〜3のそれぞれから得た反応混合物を転化率によって制御し、以下でより詳細に論じる種々の処理ステップに供する。したがって、中間体及び最終生成物中の全体的な不純物プロファイルは、高品質の生成物である1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するように管理される。生成方法の実施形態において、処理ステップ1−b)、2−b)及び/又は3−b)は、1つ以上の蒸留ステップを含み得る。追加的又は代替的に、処理ステップ1−b)、2−b)及び/又は3−b)は、1,1,1,3−テトラクロロプロパン(ステップ1−bの場合)、1,1,3−トリクロロプロペン(ステップ2−bの場合)及び/又は1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(ステップ3−bの場合)を含む組成物を水性媒体と接触させることを含み得る。
実施形態は、ステップ1−b)で生成され、ステップ2−a)で使用する供給原料であって、
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水並びに/又は
・約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下のトリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上を含む、供給原料を有する。
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水並びに/又は
・約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下のトリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上を含む、供給原料を有する。
実施形態は、ステップ2−b)で生成され、ステップ3−a)で使用する供給原料であって、
・約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上、約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
・約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
・約500ppm未満、約250ppm未満、約100ppm未満若しくは約50ppm以下の水、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、及び/又は
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物を含む、供給原料を有する。
・約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上、約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
・約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
・約500ppm未満、約250ppm未満、約100ppm未満若しくは約50ppm以下の水、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、及び/又は
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物を含む、供給原料を有する。
実施形態は、ステップ1−a)において、
反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が、
・主アルキル化区域が連続運転中である場合、95:5又は
・主アルキル化区域がバッチ運転中である場合、99:1
を超えないようなレベルで維持された、主アルキル化区域における反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパンの濃度を有する。
反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が、
・主アルキル化区域が連続運転中である場合、95:5又は
・主アルキル化区域がバッチ運転中である場合、99:1
を超えないようなレベルで維持された、主アルキル化区域における反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパンの濃度を有する。
実施形態において、ステップ1−a)で生成した反応混合物を主アルキル化区域から抽出して、ステップ1−b)の水性処理ステップに供し、ステップ1−b)では、水性処理区域で反応混合物を水性媒体と接触させ、二相性混合物が形成され、触媒を含む有機相が二相性混合物から抽出される。
実施形態は、金属触媒であり、さらに有機リガンドを任意に含む、ステップ1−a)で使用した触媒を有する。有機リガンドは、アルキルホスフェート、例えばトリエチルホスフェート及び/又はトリブチルホスフェートであり得る。
実施形態において、ステップ1−a)で生成した反応混合物を第1アルキル化区域から抽出し、主アルキル化区域に供給し、主アルキル化区域から抽出した反応混合物中に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素の比は、第1アルキル化区域から得た反応混合物中に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素の比よりも大きい。
実施形態では、主アルキル化区域を離れる反応混合物中の未反応エチレンの量が0.6%未満、0.3%未満、0.2%未満又は0.1%未満である。
実施形態では、任意の未反応ガス状エチレンが、高圧運転中の反応区域に直接再循環されるか、又は低温の液体四塩化炭素供給原料にエチレンを吸収させることによって、高圧運転中の反応区域に戻して再循環される。
実施形態により、脱塩化水素区域におけるステップ2−a)で生成された反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペンの濃度は、1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比が1:99〜50:50となるように制御される。
実施形態は、水性処理区域にて1,1,3−トリクロロプロペン、触媒及び1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含む混合物を水性媒体と接触させるステップを含むステップ2−b)であって、二相性混合物は水性処理区域にて形成され得て、追加的又は代替的に1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む有機相が二相性混合物から抽出され得る、ステップ2−b)を含む。
実施形態において、ステップ2−a)の反応混合物と接触する脱塩化水素区域は、約20%以下、約10%以下若しくは約5%以下の鉄含有量を有し、並びに/又は非金属材料、例えばエナメル、ガラス、(例えばフェノール系樹脂を含浸させた)含浸黒鉛、炭化ケイ素及び/若しくはプラスチック材料、例えばポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ及び/若しくはポリビニリデンフルオリドから形成されている。
実施形態は、ハステロイなどのニッケル系合金で形成されたステップ2−a)における反応混合物と接触する、脱塩化水素区域のいくつかの部分を有する。
実施形態において、ステップ3−a)では、ステップ3−a)で生成した反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比は95:5を超えない。
実施形態において、ステップ3−a)で生成した反応混合物は、第1反応区域から抽出され、次いで主反応区域にて主転化ステップに供されて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を生成し、この生成物は主反応区域から抽出される。
実施形態では、ステップ3−a)において、主転化ステップは、第1反応区域から抽出した反応混合物が、低下した温度で運転される主反応区域に供給され、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物が主反応区域から抽出される、低下温度転化ステップを含む。
実施形態により、第1反応区域及び/又は主反応区域は、可視光及び/又は紫外光で露光される。
実施形態は、ステップ3−a)で生成した反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性処理及び/又は加水分解ステップに供し、
水性処理及び/又は加水分解ステップは、水性処理区域において、反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性媒体と接触させるステップを含み得る。
水性処理及び/又は加水分解ステップは、水性処理区域において、反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性媒体と接触させるステップを含み得る。
実施形態において、ステップ3−b)は、ステップ3−a)で生成した反応混合物及び/又は塩素化アルカンに富む生成物及び/又は水性処理区域で形成された混合物から抽出された有機相に対して行われる、1つ以上の蒸留ステップを含む。
実施形態により、HClは、ステップ4−a)で得た反応混合物から分離される。
実施形態において、4−a)で得た反応混合物又は4−b)で得た第2の流れを反応させて2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を得る。
実施形態により、ステップ4−a)で得た反応混合物の少なくとも一部はステップ4−a)に再循環され、又は第2の流れ4−d)の少なくとも一部はステップ4−a)若しくはステップ4−c)のどちらかに再循環される。
実施形態において、HFに富む上相、HFO−1234yf及び任意選択の化合物C1に富む有機下相を与えるために、ステップ4−b)の第2の流れ又はステップ4−d)で得た第2の流れを、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、任意にフッ素化アルコール、任意にフッ素化エーテル、ケトン、エステル、ポリオール及びフッ化水素化エーテルから選択される少なくとも1つの化合物(C1)の添加量の任意選択の存在下で冷却する。
実施形態において、ステップ4−a)のフッ素化反応は、気相フッ素化反応及び/又は液相フッ素化反応である。
実施形態により、フッ素化反応は気相フッ素化反応である。
実施形態において、ステップ4−a)を3:1〜150:1、好ましくは4:1〜125:1、より好ましくは5:1〜100:1のHF:HCC−240dbのモル比で行う。
実施形態において、ステップ4−a)を大気圧〜20バール、好ましくは2〜18バール、より好ましくは3〜15バールの圧力で行う。
実施形態において、ステップ4−a)を200〜450℃、好ましくは250〜400℃、より好ましくは280〜380℃の温度で行う。
実施形態において、ステップ4−a)を3〜100秒、好ましくは4〜75秒、より好ましくは5〜50秒の接触時間で行う。
実施形態において、ステップ4−a)をO2及び/又はCl2の存在下で行う。
実施形態において、HCC−240dbに対するO2及び/又はCl2の比は、0.005〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。
実施形態において、ステップ4−a)及び/又はステップ4−c)を触媒の存在下で行う。
実施形態において、ステップ4−a)及び/又はステップ4−c)を、担持されているか又は担持されていない、好ましくは担持されていないクロム触媒である触媒の存在下で行う。
触媒を使用する実施形態において、前記触媒は、フッ素化アルミナ、フッ素化クロミア、フッ素化活性炭又は黒鉛炭から選択される担体に担持され得る。
クロム触媒を使用する実施形態において、前記触媒はNi、Co、Zn、Mn又はこれらの混合物から選択される助触媒、好ましくは亜鉛をさらに含み、前記助触媒は、好ましくは前記フッ素化触媒の約1〜10重量%の量で存在する。
実施形態において、ステップ4−a)及び/又はステップ4−c)を、好ましくは担持されたNi−Crを含む触媒の存在下で行う。
実施形態では、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を含む流れを1つ以上のさらなる精製ステップに供する。
実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を水と接触させ、乾燥ステップに供する。
実施形態において、精製される2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を蒸留塔に供給して、1つ以上の軽質有機不純物を除去する。
実施形態において、軽質有機不純物は、−84℃〜−35℃の沸点を有する有機化合物を含む。
実施形態において、軽質有機不純物は、トリフルオロメタン(HFC−23)、1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロエタン(CFC−116)、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)、3,3,3−トリフルオロプロピン、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1−クロロ−1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタン(CFC−115)からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を抽出蒸留に供する。
実施形態では、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を吸着剤と接触させる。
吸着剤を使用する実施形態において、前記吸着剤は、特にX型又はA型のモレキュラーシーブである。モレキュラーシーブは、5A〜11Aの平均細孔径を有し得る。
本発明はさらに、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の製造方法に関し、該方法は、以下のステップを含む方法に従って調製された1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を出発原料として使用する。
1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化の任意選択のステップ1であって、
1−a)主アルキル化区域にエチレン、四塩化炭素及び触媒を含む反応混合物を供給して、反応混合物中で1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成すること、及び
1−b)ステップ1−a)で得た反応混合物を処理して1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得ること、を含むステップ1;
−1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素の任意選択のステップ2であって、
2−a)脱塩化水素区域で1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を触媒と接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成すること、及び
2−b)ステップ2−a)で得た反応混合物を処理して1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を得ること、を含むステップ2;
−1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化のステップ3であって、
3−a)前記脱塩化水素区域とは異なる反応区域で1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を塩素と接触させて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含有する反応混合物を生成すること、及び
3−b)ステップ3−a)で得た反応混合物を処理して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を得ること、を含むステップ3。
1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化の任意選択のステップ1であって、
1−a)主アルキル化区域にエチレン、四塩化炭素及び触媒を含む反応混合物を供給して、反応混合物中で1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成すること、及び
1−b)ステップ1−a)で得た反応混合物を処理して1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得ること、を含むステップ1;
−1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素の任意選択のステップ2であって、
2−a)脱塩化水素区域で1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を触媒と接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成すること、及び
2−b)ステップ2−a)で得た反応混合物を処理して1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を得ること、を含むステップ2;
−1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化のステップ3であって、
3−a)前記脱塩化水素区域とは異なる反応区域で1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を塩素と接触させて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含有する反応混合物を生成すること、及び
3−b)ステップ3−a)で得た反応混合物を処理して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を得ること、を含むステップ3。
実施形態により、上記の方法は、3つの生成ステップ1〜3のすべてを含む。
本発明は、さらに、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、及び以下の、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
・約500ppm以下、約250ppm以下、若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
・約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物及び/又は
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄
の1つ以上を含む組成物を出発原料として使用する、
方法に関する。
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、及び以下の、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
・約500ppm以下、約250ppm以下、若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
・約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物及び/又は
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄
の1つ以上を含む組成物を出発原料として使用する、
方法に関する。
本発明は、さらに、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
・約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上、約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
・約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち、1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の水、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、及び/又は
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物
を含む組成物を出発原料として使用する、
方法に関する。
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
・約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上、約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
・約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち、1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の水、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、及び/又は
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物
を含む組成物を出発原料として使用する、
方法に関する。
本発明は、さらに、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち、1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水、及び/又は
・約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下のトリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上、
を含む組成物を出発原料として使用する、
方法に関する。
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち、1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水、及び/又は
・約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下のトリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上、
を含む組成物を出発原料として使用する、
方法に関する。
本発明は、さらに、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、上で定義したような方法ステップ3及び任意に方法ステップ2及び任意に方法ステップ1を含む方法から得られる組成物に関する。
本発明は、さらに
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料としての、
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、及び以下の:
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
・約500ppm以下、約250ppm以下、若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
・約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物及び/又は
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄、
の1つ以上を含む組成物の使用に関する。
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料としての、
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、及び以下の:
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
・約500ppm以下、約250ppm以下、若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
・約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物及び/又は
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄、
の1つ以上を含む組成物の使用に関する。
本発明は、高純度1,1,3−トリクロロプロペンを使用する上で定義したステップ2を含む方法に従って好ましくは生成される、高純度1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を生成する方法に基づいて、高純度2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び/又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)の生成を可能にし、1,1,3−トリクロロプロペンは、高純度1,1,1,3−テトラクロロプロパンを使用する、上で定義したステップ1を含む方法に従って好ましくは生成される。
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲及び添付の図面と共に以下の例示的な実施形態の説明を検討する際に、当業者に明らかとなる。図面において、機能上及び/又は構造上同等の構成要素には、可能な限り、同一又は類似の参照符号及び数字を付す。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、本明細書に記載する例示的な実施形態の構成に限定されないことに留意されたい。本発明の他の実施形態は、以下に説明する実施例とは異なる組合せで個々の特徴を実現し得る。例示的な実施形態の以下の説明では、添付の図面を参照する。
本発明は、非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を使用することにより、非常に高純度の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を調製できるという知見に基づいている。
明らかであるように、非常に高純度の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の生成方法は、2つの主な段階:段階1:非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)の生成(ステップ1〜3)及び段階2:段階1の非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を使用する、非常に高純度の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の生成(ステップ4)に分けられる。
これらの及び他の方法ステップはここで、具体的にステップ1)〜4)のそれぞれの文脈においてより詳細に論じる。
段階1:非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタロロプロパン(HCC−240db)の生成(ステップ1〜3)
以下に記載する非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を生成するための好ましい方法は、3つのステップ1〜3のすべて、すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化、1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素化、及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化を含むが、テロマー化(ステップ1)及び脱塩化水素化(ステップ1)は任意のステップにすぎないことに留意されたい。
以下に記載する非常に高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を生成するための好ましい方法は、3つのステップ1〜3のすべて、すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化、1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素化、及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化を含むが、テロマー化(ステップ1)及び脱塩化水素化(ステップ1)は任意のステップにすぎないことに留意されたい。
ステップ1−1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化
HCC−240db生成の本ステップは、主アルキル化区域において部分的又は完全に行われる選択的テロマー化反応を含む。その反応において、四塩化炭素をエチレンと反応させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成する。このような反応は当分野で既知であるが、このような方法に関する1つの問題は、望ましくない不純物が生成することである。
HCC−240db生成の本ステップは、主アルキル化区域において部分的又は完全に行われる選択的テロマー化反応を含む。その反応において、四塩化炭素をエチレンと反応させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成する。このような反応は当分野で既知であるが、このような方法に関する1つの問題は、望ましくない不純物が生成することである。
反応完了の程度を制御することにより、望ましくない不純物の生成が達成され得ることが見出された。このため、実施形態において、ステップ1−a)において、主アルキル化区域における反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパンの濃度を、主アルキル化区域から抽出した反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が、主アルキル化区域が連続運転中である場合、95:5を超えない、又は主アルキル化区域がバッチ運転である場合、99:1を超えないようなレベルで維持する。
実施形態において、反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比は、ステップ1−a)において、数値的に規定された限度内で制御される。当業者に認識されるように、このような実施形態において、工程の制御は四塩化炭素出発原料と1,1,1,3−テトラクロロプロパンとの間のモル比に関して特徴付けられるが、出発原料から生成物への転化に対する制御と見なすこともでき、ゆえに95:5の出発原料:生成物のモル比は、5%の転化率に等しい。本発明者らは、上で概説した出発原料の転化率を制限することが、望ましくない不純物の生成を最小限に抑えることを見出した。さらに、出発原料:生成物のモル比が所与の値よりも大きいという場合、このことは、出発原料の生成物への転化率がより高い、すなわち出発原料の割合が低下すると同時に、生成物の割合が上昇することを意味する。
この方法のステップ1−a)において、反応混合物は、アルケンと四塩化炭素とを接触させることによって形成される。この形成は、主アルキル化区域において、例えばアルケンと四塩化炭素の両方がその区域に供給されることによって生じ得る。追加的又は代替的に、主アルキル化区域の上流の区域でアルケンを四塩化炭素と接触させ、次いで主アルキル化区域に供給する。
実施形態において、ステップ1−a)において、主アルキル化区域の上流で、第1アルキル化区域が用いられ得る。反応混合物は、第1アルキル化区域に四塩化炭素及びエチレンを供給して反応混合物を形成し、次いでこれを主アルキル化区域に供給することによって形成され得る。このような実施形態において、四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの部分転化は、アルカンが形成され、主アルキル化区域に供給される反応混合物中に四塩化炭素と共に含まれるように、第1アルキル化区域で起こり得る。追加又は代替の実施形態において、第1アルキル化区域に供給されるエチレンの量は、そこから主アルキル化区域へ供給された反応混合物が四塩化炭素及び1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含むが、低レベルで、又は実質的にエチレンを含まないように制限され得て、第1アルキル化区域における四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの転化を遅延させる。
ステップ1−a)で用いるエチレン及び四塩化炭素は、当業者に既知である任意の技術又は装置を使用して、例えば浸漬管、ノズル、エジェクタ、スタティックミキサ装置及び/又はスパージャによって、区域(例えば第1アルキル化区域又は主アルキル化区域)にて接触され得る。このような実施形態において、エチレン及び/又は四塩化炭素の供給は、連続的又は断続的であり得る。反応混合物が形成される区域へ供給原料として供給されるエチレンは、液体及び/又はガス状形態であり得る。同様に、四塩化炭素は、液体及び/又はガス状形態であり得る。
本発明の実施形態において、主アルキル化区域(及び/又は使用され得る任意の他のアルキル化区域)中に存在する(四塩化炭素、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、触媒及び任意に未反応エチレンを含む)反応混合物は均質、すなわち単一相、例えば液相又は気相であり得る。このことは反応混合物の成分の1つが、他の成分と異なる相で系に導入される場合でも達成され得る。例えば実施形態において、ガス状エチレンを液体四塩化炭素と接触させ、エチレンを溶解させて、これにより液相の均一な反応混合物が形成され得る。又は、反応混合物は不均一であり得る。
ステップ1−a)で用いられる四塩化炭素及びエチレン出発原料は高い純度を有し得て、例えばこれらの材料のどちらか又は両方が少なくとも約95%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.5%の純度、少なくとも約99.7%の純度、又は少なくとも約99.9%の純度であり得る。
実施形態において、四塩化炭素出発原料は、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満又は約20ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物を含む。
追加的又は代替的に、四塩化炭素出発原料は、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下又は約35ppm以下の水分含有量を有し得る。
四塩化炭素の供給源は、工程を運転するための装置と同じ場所に配置され得る。実施形態において、四塩化炭素の供給源は、例えば高純度の塩素が四塩化炭素の生成に使用することができる、膜電解プラントを備えた塩素アルカリ設備に隣接され得る。場所は、(例えばグリセロール供給原料からの)エピクロロヒドリン、グリシドール及び/若しくはエポキシ樹脂若しくはオキシ塩素化プラント(例えば塩化ビニルモノマーVCMプラント、パークロロエチレンプラントなど)又は、任意の関連ステップ又は工程において副生成物として生成される塩化水素ガスも効果的に利用されるように、HCl電解プラントを備えた場所も含み得る。このため、塩素アルカリ設備を最も経済的に使用するために、塩素反応並びに塩化水素の捕捉/再利用のためのプラントとの一体化設備が想定される。
ステップ1−a)で形成された反応混合物は、主アルキル化区域(及び/又は用いられる場合、第1アルキル化区域)から抽出され得る。この抽出は連続的又は断続的に行われ得る。疑義を避けるために、本発明の方法で用いる区域からの材料の連続抽出について本発明の方法のステップ1−a)の文脈で言及する場合、これは、純粋に文字通りの意味を割り当てるべきではない。当業者であれば、このような実施形態において、問題の区域が運転条件にある間に物質を実質的に連続的に除去することができ、その目的が定常状態反応(例えばアルキル化)を設定することである場合、区域内の反応混合物が要求される定常状態に一度達していることを認識する。
利点の1つは、商業的に供給されるエチレンで通例認められる、ある不純物(例えばアルコール、エーテル、エステル及びアルデヒドなどの特定の有機不純物など)の存在が、許容できる及び/又は本明細書で概説した方法ステップを用いて除去できることである。エチレン出発原料は、バイオエタノール、エタノール又は原油から誘導され得る。
本明細書に記載する方法のさらなる利点は、i)塩素化アルカンの連続生成及びii)エチレン出発原料の実質的な完全利用が、エチレンをオフガス系に逃がすことなく達成できることである。
主アルキル化区域を離れる反応混合物中の未反応エチレンの量は、0.6%未満、0.3%未満、0.2%未満又は0.1%未満である。任意の未反応ガス状エチレンが、高圧運転中の反応区域に直接戻して再循環される。又は、低温の四塩化炭素供給原料にエチレンを吸収させることによって、未反応のガス状エチレンを高圧運転中の反応区域に戻して再循環させる。有利には、再循環させる必要がある場合、ガス状試薬は、高価なコンプレッサ系を使用せずに処理され得る。
ステップ1−a)の方法の利点の1つは、高い異性体選択性を有する1,1,1,3−テトラクロロプロパンの生成が可能になることである。このため、実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、ステップ1−a)において、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%又は少なくとも約99.9%の異性体選択性で生成される。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成するための方法のステップ1−a)で行うアルキル化反応は、触媒の使用によって促進される。本明細書で使用する場合、触媒という用語は、触媒効果を有する単一の化合物又は材料、例えば固体金属又は金属塩の使用だけでなく、触媒材料及び助触媒又は促進剤(例えばリガンド等)をさらに含み得る触媒系も含む。
四塩化炭素及びエチレンからの1,1,1,3−テトラクロロプロパンの形成において有用性を見出すために当業者に既知である、任意の触媒が用いられ得る。
実施形態において、触媒は金属性である。これに限定されるわけではないが、銅及び/又は鉄を含む、本発明のアルキル化反応において触媒として機能できるいずれの金属も用いられ得る。金属触媒は、その固体形態(例えば銅又は鉄の場合、粒子状形態(例えば粉末若しくは繊維)、ワイヤ及び/若しくはメッシュなど)で、並びに/又は金属が任意の酸化状態であり得る塩(例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)、シアン化銅(I)、硫酸銅(I)、フェニル銅(I)並びに/又は塩化鉄(II)及び塩化鉄(III)などの鉄(II)及び/若しくは鉄(III)塩)として存在し得る。
本発明の方法において金属塩を触媒として用いる場合、これらはアルキル化区域に添加され得る、及び/又はその場で形成され得る。後者の場合、固体金属がアルキル化区域に添加され得て、その中の条件により、塩が形成され得る。例えば固体鉄を塩素化反応混合物中に添加する場合、存在する塩素は元素鉄と結合して、その場で塩化鉄(III)又は塩化鉄(II)を形成し得る。金属塩がその場で形成される場合、それにもかかわらず、反応混合物中で所定レベルの元素金属触媒(例えば金属塩及び/又はリガンドのレベルと比較して、過剰量の元素金属)を維持することが所望であり得て、このため反応が進行するにつれて、追加の元素金属触媒が連続的又は断続的に添加され得る。
上述のように、実施形態において、触媒は、金属触媒と複合体を形成し得るリガンド、好ましくは有機リガンドも含み得る。好適なリガンドとしては、アミン、ニトライト、アミド、ホスフェート及びホスファイトが挙げられる。本発明の実施形態において、用いられるリガンドは、アルキルホスフェート、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート及びトリフェニルホスフェートである。
追加の金属触媒及びリガンドは、当業者に既知であり、先行技術、例えばUS6187978に開示されており、その内容は参照により組み入れられている。このような触媒は、ステップ1−a)で用いられ得る。
触媒系の成分は、使用される場合、アルキル化区域(例えば主アルキル化区域及び/又は使用される場合、第1アルキル化区域)に連続的に又は断続的に供給され得る。追加的又は代替的に、触媒系の成分は、ステップ1−a)のアルキル化反応の開始前及び/又は開始中にアルキル化区域(例えば主アルキル化区域及び/又は使用される場合、第1アルキル化区域)に導入され得る。
追加的又は代替的に、触媒(又は触媒の成分、例えばリガンド)は、アルキル化区域(例えば主アルキル化区域、又は使用される場合、第1アルキル化区域)に、例えば四塩化炭素及び/又はエチレンの供給物中の反応混合物の他の成分と共に供給され得る。
触媒が金属触媒及びリガンドなどの促進剤を含む実施形態において、主アルキル化区域及び/又は使用される場合、第1アルキル化区域に存在する反応混合物中の促進剤:金属触媒のモル比は、1:1を超える、より好ましくは2:1、5:1又は10:1を超える比で維持される。
固体金属触媒を反応混合物に添加する場合、固体金属触媒は、使用される場合、第1アルキル化区域及び/又は主アルキル化区域中に添加され得る。実施形態において、固体金属触媒は、使用される場合、第1アルキル化区域及び/又は主アルキル化区域中に反応混合物の約0.1〜4重量%、約0.5〜3重量%又は約1〜2重量%のレベルを維持する量で添加される。
追加的又は代替的に、金属触媒が用いられる場合、金属触媒は、反応混合物の約0.1重量%、約0.15重量%又は約0.2重量%〜約1.0重量%、約0.5重量%又は約0.3重量%の溶解金属含有量を確保するために添加される。
用いられる触媒系が金属触媒及び促進剤を含む実施形態において、金属触媒及び促進剤は、反応混合物に、同時に及び/又は装置の同じ部分で、例えば第1アルキル化区域(使用される場合)及び又は主アルキル化区域で添加することができる。
又は、金属触媒及び促進剤は、装置の異なる位置で、又は連続的に若しくは別々に添加することができる。例えば第1アルキル化区域に固体金属触媒を添加すると共に、促進剤を再循環ループから第1アルキル化区域に供給し、再循環ループには、追加の新たな促進剤も添加され得る。
実施形態において、ステップ1−a)で用いる第1及び/又は主アルキル化区域は、大気圧又は過圧下で、すなわち約100kPa超、約200kPa超、約300kPa超、約400kPa超、約500kPa超、約600kPa超、約700kPa超、又は約800kPa超の下で運転され得る。通例、第1及び/又は主アルキル化区域における圧力は、約2000kPa以下、約1700kPa以下、約1500kPa以下、約1300kPa以下、約1200kPa以下又は約1000kPa以下となる。
追加的又は代替的に、実施形態において、ステップ1−a)で用いられる第1及び/又は主アルキル化区域は、高温、すなわち約30℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上又は約100℃以上の温度にて運転される。通例、第1及び/又は主アルキル化区域は、約200℃以下、約180℃以下、約160℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下又は約115℃以下の温度にて運転される。
これらの範囲内の温度及び圧力をステップ1−a)の他の特徴と組合わせて使用することは、問題の副生成物の形成を最小限に抑えながら、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの収率及び/又は選択性を最大化することが有利に見出されている。
ステップ1−a)において、複数のアルキル化区域が用いられ得る。任意の数のアルキル化区域、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10又はそれ以上が用いられ得る。複数の第1及び/又は主アルキル化区域が用いられる実施形態において、任意の数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10以上)の第1及び主アルキル化区域が存在し得る。
疑義を回避するために、(第1及び/又は主)アルキル化区域の特性、例えば運転条件、その運転方法、その特性などに言及する場合、複数の第1及び/又は主アルキル化区域を含む本明細書に開示された実施形態が関係する限り、それらの区域の1つ、いくつか、又はすべてが、それらの区域の一部又は全部が問題の特性を示し得る。例えば簡潔にするために、特定の運転温度を有する主アルキル化区域という場合、複数の主アルキル化区域を含む実施形態に関する限り、これはこれらの主アルキル化区域のうちの1つ、いくつか又は全部が特定の温度にて運転されていることを指すとして解釈すべきである。
複数の第1及び/又は主アルキル化区域が使用される配置では、これらのアルキル化区域は、並列及び/又は直列で運転され得る。
第1及び主アルキル化区域がステップ1−a)で用いられる配置では、第1アルキル化区域でのある完了度を超えて進行することを防止するために、例えば第1アルキル化区域から抽出され、及び/又は主アルキル化区域中に供給される反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素の比が85:15、90:10、93:7又は95:5を超えないように、エチレンと四塩化炭素との間の反応が制御され得るが、これは必須ではない。追加的又は代替的に、反応は、第1アルキル化区域から抽出され、及び/又は主アルキル化区域中に供給される反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が50:50、60:40、70:30、75:25又は80:20を超えるように、比較的進行した反応段階まで進むことが許容され得る。
第1アルキル化区域におけるステップ1−a)の反応の進行は、四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの全転化に有利ではない反応条件を使用することによって制御され得る。追加的又は代替的に、第1アルキル化区域におけるアルキル化反応の進行は、第1アルキル化区域における反応混合物の滞留時間、例えば約20〜300分、約40〜250分、約60〜約200分、又は約90〜約180分を慎重に制御することによって制御され得る。本発明の実施形態において、モル比は、本発明のステップ1−a)で用いられる第1及び/又は主アルキル化区域に供給されるエチレンの量を制限することによって制御され得る。例えば第1及び/又は主アルキル化区域に供給される四塩化炭素:エチレンのモル比は、約50:50〜約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20約85:15又は約90:10である。
第1及び主アルキル化区域がステップ1−a)で用いられる実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの大部分が第1アルキル化区域で生成され得る。このような実施形態において、主反応区域で生成される1,1,1,3−テトラクロロプロパンの割合は、例えば反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が1〜10、2〜8又は3〜5だけ上昇するように、著しく低下され得る。
例えば第1アルキル化区域から抽出され、主アルキル化区域に供給される反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が90:10である場合、そのモル比は主アルキル化区域において2、3又は5だけ増加され得るので、主アルキル化区域から抽出した混合物中に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が92:8、93:7又は95:5であり得る。
しかし、ステップ1−a)の工程の実行可能性は、第1反応区域で起こる四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの転化の大部分に依存していない。このため、別の実施形態において、四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの転化率は、第1アルキル化区域と主アルキル化区域との間で平衡にされ得るか、又は第1アルキル化区域よりも主アルキル化区域において大であり得る。
次いで、反応混合物は第1アルキル化区域から(連続的又は断続的に)採取され、主アルキル化区域に供給され得て、主アルキル化区域では、反応混合物中に存在する残りの四塩化炭素の一部が1,1,1,3−テトラクロロプロパンに転化される。このような実施形態において、反応混合物中に存在するいずれの未反応エチレン出発原料も、有利に完全に(又は少なくともほぼ完全に)利用され得る。
方法のステップ1−a)において、用いられる場合、第1及び主アルキル化区域は、異なる条件下で運転され得る。主アルキル化区域は、第1アルキル化区域よりも高い圧力下で、例えば少なくとも約10kPa高い、約20kPa高い、約50kPa高い、約100kPa高い、約150kPa高い、約200kPa高い、約300kPa高い又は約500kPa高い圧力にて運転され得る。
実施形態により、エチレンは主アルキル化区域に供給されなくてもよい。これらの区域への唯一のエチレン源は、主アルキル化区域に供給される反応混合物中に存在し得る。
さらに、四塩化炭素とエチレンとの間のアルキル化反応が(任意にリガンドを含む)金属触媒によって触媒される実施形態において、金属触媒及び/又はリガンドは、主アルキル化区域に供給され得ない。このような実施形態において、触媒の唯一の供給源は、主アルキル化区域に供給される反応混合物であり得る。追加的又は代替的に、主アルキル化区域に触媒床が設けられ得る。
第1及び/又は主アルキル化区域が用いられ、固体金属触媒が第1アルキル化区域中の反応混合物中に(例えばそれに直接添加されることによって)存在する、方法のステップ1−a)において、主アルキル化区域に供給するために反応混合物を第1アルキル化区域から抽出する場合、第1アルキル化区域からの反応混合物の抽出は、ごくわずかな固体金属触媒が、存在する場合、例えば反応混合物1リットル当たり約5mg未満、約2mg未満、約1mg未満、約0.5mg未満、約0.2mg未満、約0.1mg未満が反応混合物中に存在するように行われ得る。
これは、当業者に既知である任意の技術及び/又は装置、例えば適切な場所で第1アルキル化区域内へ延伸する管であって、濾過メッシュが設けられているか、及び/又は適切な直径を有する管を使用することによって行われ得る。
第1及び主アルキル化区域は、用いられる場合、同じ又は異なる種類の反応装置であり得る、同じ又は異なる反応装置内に存在し得る。さらに、複数の第1アルキル化区域が用いられる実施形態において、これらは同じ又は異なる反応装置内に存在し得る。同様に、複数の主アルキル化区域が用いられる実施形態において、これらは同じ又は異なる反応装置内に存在し得る。
当業者に既知であるいずれの種類の1個又は複数の反応装置は、本発明の方法のステップ1−aで用いられ得る。アルキル化区域を提供するために使用され得る反応装置の具体的な例としては、塔型反応装置(例えば塔型気液反応装置)、管型反応装置、気泡塔型反応、プラグ/フロー反応装置(例えば管状プラグ/フロー反応装置)及び撹拌槽反応装置(例えば連続撹拌槽反応装置)である。
第1アルキル化区域が連続撹拌槽反応装置(CSTR)中に存在し、主アルキル化区域がプラグ/フロー反応装置に存在する配置は、有利な結果を与えている。
本発明の方法のステップ1−a)の1つの利点は、アルキル化区域(例えば第1アルキル化区域及び/又は主アルキル化区域)が連続(定常状態)又はバッチ法で運転されたかにかかわらず、所望の結果が得られることである。用語「連続法」及び「バッチ法」は、当業者に理解される。
実施形態において、第1アルキル化区域は、用いられる場合、連続法又はバッチ法で運転される。追加的又は代替的に、第2アルキル化区域は、用いられる場合、連続法又はバッチ法で運転される。
主アルキル化区域が連続運転されているステップ1−a)の実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量は、主アルキル化区域から抽出した反応混合物中のその化合物:四塩化炭素の比が約94:6、約92:8、又は約90:10を超えないように制御され得る。
主アルキル化区域がバッチ運転されている方法のステップ1−a)の別の実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量は、主アルキル化区域から抽出した反応混合物中のその化合物:四塩化炭素の比が約97:3、約95:5、又は約90:10を超えないように制御され得る。
主アルキル化区域が連続法又はバッチ法であるかにかかわらず、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量は、主アルキル化区域から抽出した反応混合物中のその化合物:四塩化炭素の比が約70:30以上、約80:20以上、約85:15以上、又は約90:10以上であるように制御され得る。
驚くべきことに、四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの転化率を制御し、反応が完了まで進行するのを防止することによって、不純物の形成が有利に低減されることが見出されている。例えばこの方法で用いられるエチレン供給原料がエチレンである実施形態において、(さもなければ形成される)ペンタンなどの望ましくない副産物の生成が最小限に抑えられる。
このため、実施形態において、ステップ1−a)で形成され、主反応区域から抽出した反応混合物は、約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、約0.05%未満又は約0.02%未満の連続反応生成物、すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパンよりも多くの炭素原子を含む化合物を含む。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量は、アルキル化工程の進行を遅延させることによって、及び/又は追加の四塩化炭素を主アルキル化区域に導入することによって制御され得る。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量がアルキル化工程の遅延によって制御されるステップ1−a)の実施形態において、含有量の制御は四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの全転化に有利でない反応条件を使用することによって達成することができる。例えば含有量の制御は、反応混合物又はその少なくともその一部を、アルキル化反応の進行を減速又は停止させる条件に供することによって達成することができる。このような実施形態において、アルキル化区域(例えば用いられる場合、主アルキル化区域)において反応混合物が暴露される圧力は、例えば少なくとも約500kPA、少なくとも約700kPa、少なくとも約1000kPAである。
追加的又は代替的に、反応混合物が暴露される圧力は、大気圧又は準大気圧まで低下させることができる。圧力の低下は、1つ以上のアルキル化区域(例えば使用される場合には、主アルキル化区域の1つ、いくつか又はすべて)で発生することがある。追加的又は代替的に、アルキル化区域からの反応混合物の抽出後に、圧力の低下が発生し得る。
追加的又は代替的に、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量がアルキル化工程の遅延によって制御される実施形態において、この制御は、本発明の方法のステップ1−aで形成される反応混合物中に存在するエチレンレベルを制限することによって達成することができる。
実施形態において、アルキル化区域におけるアルキル化反応の進行の制御は、アルキル化区域における反応混合物の滞留時間を慎重に選択することによって達成され得る。例えば1つ以上の主アルキル化区域が用いられる実施形態において、これらの区域における反応混合物の滞留時間は、例えば約1〜120分、約5〜100分、約15〜約60分又は約20分〜約40分であり得る。
アルキル化工程の遅延によって1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量が制御される実施形態において、この制御は、追加的又は代替的に、主アルキル化区域の運転温度を例えば約5℃以上、約10℃以上、約20℃以上、約50℃以上又は約100℃以上低下させることによって達成することができる。追加的又は代替的に、主転化区域の運転温度を約20℃、約10℃又は約0℃まで低下させることができる。
追加的又は代替的に、アルキル化工程は、反応混合物中に存在する触媒の量を制限することによって、又は主アルキル化区域から触媒床(存在する場合)を除去することによって遅延することができる。
主アルキル化区域のかき混ぜ又は撹拌の速度も、アルキル化工程を遅延するために低下させることができる。
上述のように、主アルキル化区域から抽出した反応混合物は、四塩化炭素、触媒及び1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含む。しかし、実施形態において、用いられる条件及び装置に応じて、主アルキル化区域から抽出した反応混合物は、未反応エチレン出発原料及び/又は不純物(例えば塩素化アルカン不純物、塩素化アルケン不純物及び/又は酸素化有機化合物)をさらに含み得る。
本発明のステップ2)において1,1,1,3−テトラクロロプロパンと共に未反応エチレンが存在することが問題であり得ることを考えると、実施形態において、主アルキル化区域から抽出した反応混合物は、反応混合物中に存在するエチレンの少なくとも約50重量%以上が反応混合物から抽出され、抽出されたエチレンの少なくとも約50%が、主アルキル化区域に供給された反応混合物中に戻される、(ステップ1−b)の一部としての)脱アルケン化ステップに供され得る。
このような実施形態は、該実施形態が工程で使用されるエチレン供給原料の、完全な利用ではないにしても、実質的な利用を可能にするため、特に有利である。
実施形態において、主アルキル化区域から抽出した反応混合物中に存在するエチレンの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%又は少なくとも約99%は、脱アルケン化ステップ中に除去される。
反応混合物からの未反応エチレンの除去は、当業者に既知の任意の技術を使用して達成することができる。実施形態において、反応混合物からのエチレンの抽出は、エチレン(−103.7℃)対四塩化炭素(76.6℃)及び1,1,1,3−テトラクロロプロパン(159℃)の場合のように、エチレンの沸点が、反応混合物中に存在する他の化合物の沸点よりも実質的に低い実施形態において便利に実施され得る、エチレンに富む流れを生じる蒸留技術、例えばフラッシュ蒸発を使用して達成することができる。
本発明の方法のステップ1−b)における反応混合物の脱アルケン化は選択的であり得る。換言すれば、反応混合物から他の化合物を実質的に除去することなく、エチレンが選択的に抽出される。このような実施形態において、反応混合物から抽出されたエチレンは、約10%未満、約5%未満、約2%未満又は約1%未満のエチレン出発原料以外の化合物を含み得る。
本方法のステップ1−b)において、当業者に既知の任意の技術又は装置を使用して、反応混合物の蒸留を達成することができる。例えば従来の蒸留装置(例えば蒸留塔)が用いられ得る。追加的又は代替的に、反応混合物が抽出される主アルキル化区域の圧力が大気圧超である場合、反応混合物からのエチレンの蒸発は、主アルキル化区域からの抽出後に反応混合物を大気圧超に維持して、反応混合物からのエチレンの蒸発が起こる蒸発区域に反応混合物を供給することによって達成され得る。
実施形態において、ステップ1−b)における蒸発区域での反応混合物からのエチレンの蒸発は、例えば反応混合物に対する圧力を、例えば少なくとも約500kPA、少なくとも約700kPa、少なくとも約1000kPaだけ、及び/又は大気圧若しくは大気圧未満まで著しく低下させることによる、減圧によって達成することができる。好都合には、四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの転化を減速若しくは停止させるために、又は反応混合物からエチレンを分離するために、減圧を部分的に又は全体的に使用する実施形態において、これらの目的は、1回の減圧ステップで同時に達成することができる。
蒸発区域は、反応混合物中に存在するエチレンの蒸発が達成され得る任意の装置、例えばフラッシュドラムなどのフラッシュ蒸発装置に存在し得る。
ステップ1−b)で反応混合物から例えばフラッシュ蒸発によって留去されたエチレンは、好ましくは蒸留装置から液体形態又はガス状形態で抽出される。
実施形態により、蒸発区域から抽出したエチレンの少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%又は少なくとも約99重量%は、第1及び/又は主アルキル化区域に戻(すなわち再循環)される。
疑義を避けるために、実施形態において、方法のステップ1−b)で得た蒸留されたエチレンは、ガス状形態である場合、主アルキル化区域に供給された反応混合物中に供給される前に、液体に再転化されてもされなくてもよい。例えばガス状エチレンの液体エチレンへの転化は、凝縮器を通過させること、及び/又は次いでアルキル化区域に供給することができる、液体(好ましくは冷却された)四塩化炭素流中に捕捉することによって達成され得る。ガス状エチレンは、当業者に既知である任意の技術又は装置、例えば吸収塔を使用して、四塩化炭素の液体流中に捕捉され得る。この配置は、アルキル化工程で用いられる化合物の完全な工業的利用を補助するため、有利である。
上述のように、ステップ1−a)で形成され、アルキル化区域から抽出した反応混合物は触媒を含む。ステップ2)で触媒の存在が問題となることを考えると、反応混合物から触媒を除去することが好ましい場合がある。ステップ1−b)は、このような除去ステップを含み得る。
さらに、上述のアルキルホスフェートリガンド及びアルキルホスファイトリガンドなどの高価な触媒及び/又は促進剤が用いられる触媒系では、再使用可能な触媒系及び/又はその成分の回収も、使用しなければならない新たな触媒の量を最小限とし、これにより運転コストを削減することが好ましい。
反応混合物から本発明の方法で用いる種類の触媒を除去する課題が過去に対処されてきたが、対処するために用いた技術及び条件(通例、攻撃的条件を使用する蒸留を含む。)は、触媒系に有害となり得て、その触媒能を低下させるおそれがある。これはとりわけ、アルキルホスフェート及びアルキルホスファイトなどの有機リガンドを促進剤として含む系の場合と同様に、触媒系が温度感受性である場合である。
このため、実施形態において、ステップ1−b)は、アルキル化区域から抽出した反応混合物を水性処理ステップに供するステップを含み、水性処理ステップでは、水性処理区域で反応混合物を水性媒体と接触させ、二相性混合物が形成され、触媒を含む有機相が二相性混合物から抽出される。
ステップ1−a)で形成された反応混合物をステップ1−b)の水性処理ステップに供する実施形態において、反応混合物は、未反応の四塩化炭素及び1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含み得る。さらに、反応混合物は、触媒(例えば金属触媒と触媒リガンドとの錯体、又は遊離触媒リガンド)及び/又は未反応エチレン出発原料を含む。
記載した方法のステップ1−bにおける水性処理ステップの使用により、先行技術に記載された損傷条件(例えば高温、高触媒濃度及び/又は無水形態の鉄化合物の存在)を回避することができ、触媒能力のいずれの実質的な損失もなしに、回収された触媒及び/又はその成分(例えばリガンド又は促進剤)を再使用できる(例えばアルキル化区域に供給された反応混合物に戻して再循環させることができる。)ことを意味する。実施形態において、二相水性処理混合物の蒸気ストリッピングは、100℃を超えるボイラ温度を回避し、大気圧を用いることができるので好ましい。
ステップ1−b)における水性処理ステップのさらなる利点は、結果として反応混合物、例えば存在する場合には酸素化有機生成物から不純物が除去されることである。有利には、反応混合物中のこのような材料のレベルは、水性処理ステップによって、排除されないとしても、許容レベルまで著しく低下する。
ステップ1−b)で水性処理ステップが実施される実施形態において、水性処理区域に提供される反応混合物は、(例えば約50%以上の量の)1,1,1,3−テトラクロロプロパン、触媒及び任意に四塩化炭素並びに又は不純物、例えば酸素化有機化合物、(1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の)塩素化アルカン化合物及び又は塩素化アルケン化合物を含み得る。
ステップ1−b)におけるこの触媒回収ステップは、反応混合物を水性処理ステップに供し、水性処理ステップでは、反応混合物を水性処理区域にて水性媒体と接触させる。実施形態において、水性媒体は(液体及び/又は蒸気としての)水である。さらに、水性媒体は、酸などの他の化合物をさらに含み得る。無機酸、例えば塩酸、硫酸及び/又はリン酸が用いられ得る。
水性処理区域に供給される水性媒体が部分的又は完全に液体形態である場合、反応混合物と接触する液体水性媒体上に二相性混合物が形成される。
又は、水性媒体がガス状形態、例えば蒸気である場合、例えば二相性混合物が直ちに形成されるだけでなく、ガス状の水性媒体もいったん凝縮する。水性処理ステップで用いる装置は、二相性混合物を形成するための水性媒体の凝縮が水性処理区域内で及び/又は水性処理区域から離れて行われるように構成され得る。
例えば1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、水性処理区域で形成された混合物から抽出され得る。水性処理区域中に供給された反応混合物中に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパンの大部分(例えば少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%)は、当業者に既知の任意の技術又は装置も使用して、水性処理区域で形成された混合物から抽出され得る。
実施形態において、蒸留を使用して、水性処理区域で形成された混合物から1,1,1,3−テトラクロロプロパンを抽出する。この蒸留の結果、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む流れが得られる。
本明細書を通して使用されるように、「特定の化合物に富む(又は対応する用語)」という用語は、流れが少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%又は約99%の特定の化合物を含むことを意味するために使用される。さらに、用語「流れ」は、狭義に解釈されるべきではなく、任意の手段を介して混合物から抽出される(画分を含む)組成物を含む。
例えば1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、例えばアルカン及び水蒸気を含むガス状混合物から留去され得る。1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む流れにおいて留去され得る。これはステップ2−a)の供給原料として使用され得る。水性媒体が部分的又は全体的に液体形態である実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの蒸留は、存在する混合物を沸騰させて1,1,1,3−テトラクロロプロパンを蒸発させ、ガス状1,1,1,3−テトラクロロプロパン/水蒸気混合物を製造することによって達成され得て、該混合物から例えば水蒸気蒸留技術を使用して1,1,1,3−テトラクロロプロパンを蒸留することができる。
追加的又は代替的に、水性媒体が部分的又は全体的にガス状形態で提供される場合、水性媒体が1,1,1,3−テトラクロロプロパンを蒸発させてアルカン及び水蒸気を含むガス状混合物を形成し、該気体混合物を次いで任意に、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを除去するための蒸留、例えば水蒸気蒸留に供することができる。1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、その化合物に富む流れにて得られ得る。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンが1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び水蒸気のガス状混合物から蒸留される実施形態において、ガス状塩素化アルカン/水蒸気混合物が水性処理区域からその装置まで直接通過できるように、蒸留装置が水性処理区域に連結され得る。又は、ガス状混合物が水性処理区域から最初に抽出され、次いで蒸留装置に搬送されるように、蒸留装置が水性処理区域から離れて位置してもよい。どちらの配置においても、1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、その化合物に富む流れにて得られ得る。
水性媒体及び反応混合物が液体形態である別の実施形態において、当業者に既知の従来の蒸留技術を使用して、1,1,1,3−テトラクロロプロパンがその液体混合物から抽出され得る。1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、その化合物に富む流れにて得られ得る。この流れは、本発明の方法のステップ2−a)における供給原料として使用され得る。
二相性混合物は、ステップ1−b)において水性処理区域内で、又は該区域から離れて形成され得る。二相性混合物は、(水性処理区域に添加された水性媒体の結果として)水相及び(1,1,1,3−テトラクロロプロパン、任意に未反応の四塩化炭素及び重要には、触媒を含む)有機相を含む。
有機相の体積を最大にし、ゆえに二相性混合物からの有機相の抽出を容易にするために、当業者に既知の技術及び装置を使用して、ハロアルカン抽出剤(例えば四塩化炭素及び/又は1,1,1,3−テトラクロロプロパン)が二相性混合物に(例えば水性処理区域に連続的又は断続的に供給されることにより)添加され得る。
有機相は、当業者に既知である任意の技術、例えばデカンテーションを使用して、二相性残渣から抽出することができる。例えば有機相の抽出は、有機相が含有されている水性処理区域又は容器からの連続相抽出によって行うことができる。又は、二相性混合物を水性処理区域から抽出し、水性処理区域から離れて相分離ステップに供することができる。
実施形態において、二相性混合物及び/又は抽出された有機相を濾過することができる。実施形態において、これにより、任意に鉄供給源として全体的又は部分的に用いることができるフィルタケーキが得られる。
水性処理ステップ中に形成された混合物からの1,1,1,3−テトラクロロプロパンの抽出は、混合物から有機相を抽出する前に、及び/又はその混合物から有機相を抽出した後に行われ得る。1,1,1,3−テトラクロロプロパンが水性処理ステップの間に形成された混合物から抽出されるいくつかの例示的な実施形態は、上で概説されている。
さらなる例として、二相性混合物を加熱して、(任意に、ステップ2−a)の供給原料として使用され得る、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む流れとして)1,1,1,3−テトラクロロプロパンを抽出することができるガス状混合物が、例えば蒸留によって形成され得る。次いで、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの割合が低下した有機相が二相性混合物から抽出され得る。
追加的又は代替的に、上で論じたように、二相性混合物から有機相が抽出され得る。次いで、その相から例えば蒸留によって、(任意に、ステップ2−a)において供給原料として使用され得る、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む流れとして)1,1,1,3−テトラクロロプロパンが抽出され得る。このような実施形態において、有機相が触媒を含む場合、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを抽出するために選択された蒸留条件は、触媒系の失活を最小限に抑えるように温和であり、例えば約100℃以下、約95℃以下、約90℃以下、約85℃以下若しくは約80℃以下及び/又は約1〜10kPaの圧力である。低圧を追加的又は代替的に使用することができる。
抽出された有機相は、四塩化炭素及び/又は1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含み得る。さらに、有機相は、触媒(例えば金属触媒と触媒リガンドとの錯体若しくは遊離リガンド)及び/又は未反応エチレン出発原料を含み得る。(本発明の方法のステップ2−a)において供給原料として使用され得る)1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富んだ流れが、水性処理ステップで形成された混合物から(直接、又は混合物からの有機相の抽出の後のどちらかで)いったん抽出されると、その相の1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含有量は、反応混合物中よりも低くなる。
配置、とりわけ有機相が四塩化炭素及び/又は触媒を含む配置では、有機相は、例えば液体形態でアルキル化区域に戻され得る。このような配置において、(例えばガス状形態の)エチレン出発原料は、アルキル化区域に供給される有機相流中で捕捉され得る。
実施形態において、特定の生成物に富む流れを任意に得るために、上述のステップに加えて、1つ以上の蒸留ステップがステップ1−b)で実施され得る。例えば水性処理ステップの前に、実施する場合、反応混合物を蒸留ステップに供することができる。反応混合物が温度感受性触媒系、例えば促進剤として有機リガンドを含む触媒系を含有する実施形態において、蒸留ステップは、通例、触媒の失活を回避する条件下、例えば約100℃以下、約95℃以下、約90℃以下、約85℃以下若しくは約80℃以下及び/又は約1〜10kPaの圧力で行われる。低圧を追加的又は代替的に使用することができる。
さらに、温度感受性触媒系の失活は、反応混合物を過蒸留しないことによって回避できることが判明した。このため、触媒系を含有する反応混合物がステップ1−b)にて蒸留される本発明の実施形態において、蒸留によって蒸留装置内の工程液の体積の減少が生じることが許容され得ず、その工程液中の触媒系の濃度は、主アルキル化区域に供給された反応混合物中に存在する触媒系のレベルよりも約2倍、約5倍又は約10倍高くなる。
水性処理ステップ(実施される場合)の前に、ステップ1−b)において行う蒸留ステップは、当業者に既知の技術及び装置、例えば、真空蒸留塔と連通した(バッチ又は連続)蒸留ボイラを使用して実施することができる。このような実施形態において、蒸留に供される反応混合物は、約50重量%を超える1,1,1,3−テトラクロロプロパン、触媒並びに任意に四塩化炭素及び/又は不純物、例えば酸素化有機化合物、(1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の)塩素化アルカン化合物及び/又は塩素化エチレン化合物を含み得る。
蒸留ステップは結果として、通例、反応混合物から、塩素化アルカン留出液流、例えば未反応の四塩化炭素、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は塩素化有機不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び四塩化炭素以外の塩素化有機化合物)の(及び任意に、これらに富む)流れを除去する。四塩化炭素は、アルキル化区域に戻して再循環され得る。通例、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、四塩化炭素及び/又は触媒の量を含むこのようなステップからの残渣は、さらなる処理ステップ、例えば水性処理ステップ及び/又はさらなる蒸留ステップに供され得る。
実施形態において、水性処理ステップ(実施される場合)の前に、反応混合物がステップ1−b)の一部として蒸留ステップに供される実施形態において、少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%又は少なくとも約70重量%から最大約95重量%、最大約90重量%、最大約85重量%又は最大約80重量%の目的の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを、その蒸留ステップにおいて反応混合物から除去する。
水性処理ステップ(実施される場合)に続いて、1つ以上の蒸留ステップが追加的又は代替的にステップ1−b)において実施され得る。例えば水性処理区域に供給された反応混合物から抽出された1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、主構成成分として、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、ハロアルカン抽出剤並びに塩素化有機不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び四塩化炭素以外の塩素化有機化合物)を含む混合物の形態で存在し得る。その混合物は、塩素化有機不純物を除去するための、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む流れを得るための、及び/又はハロアルカン抽出剤を除去するための、1つ以上の蒸留ステップに供され得る。再度、当業者に既知の任意の装置又は条件、例えば真空蒸留塔と連通した(バッチ又は連続)蒸留ボイラがこのような蒸留ステップに用いられ得る。
このような蒸留ステップにおいて、水性処理区域に供給された反応混合物から抽出された1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、クロロアルカン不純物から目的の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを分離するために蒸留に供され得る。例えば水性処理区域に供給された反応混合物から抽出された1,1,1,3−テトラクロロプロパンを精製するための蒸留ステップは、クロロペンタン/クロロペンテン不純物の除去に特に有効であることが判明している。
本発明の方法の任意の段階で実施される蒸留ステップにおいて、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含む混合物から分離された塩素化有機不純物は、回収され、四塩化炭素の生成に再使用され得る。これは塩素化有機不純物を高温塩素化分解法に供することによって達成され得る。このような方法において、存在する塩素化有機化合物は、再処理されて、主に純粋なテトラクロロメタンに高収率で戻る。このため、本発明の方法における塩素化分解ステップの使用は、廃棄物生成を最小限に抑えながら、標的クロロアルカンの合成の収率全体及び純度を最大にするために有用である。
本発明の実施形態において、水性処理ステップ後に使用される場合、「重質分」残渣が蒸留ボイラ中で形成され得る。「重質分」残渣は、通例系から抽出され、処理されて、例えばクロロメタンの生成をもたらす高温塩素化分解工程に供される。
記載された方法のステップ1)は、当業者がよく知っている簡単で直接的な技術及び装置を使用して、高純度の1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成することができるため、特に有利である。
明らかであるように、上で概説した方法のステップ1)を用いて、高純度の1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得ることができる。実施形態において、本発明の方法のステップ1−b)で得た供給原料は、
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち目的の塩素化C3−6アルカン以外の塩素化アルカン化合物)、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水、及び/又は
・約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下のトリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上を含む。
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち目的の塩素化C3−6アルカン以外の塩素化アルカン化合物)、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水、及び/又は
・約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下のトリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上を含む。
ステップ2−1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素
このステップは、脱塩化水素区域で行う、1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素を含む。
このステップは、脱塩化水素区域で行う、1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素を含む。
生成物の1,1,3−トリクロロプロペンの1,1,1,3−テトラクロロプロパン出発原料に対するモル比が50:50を超えないように、1,1,3−トリクロロプロペンのレベルを制御することにより、触媒性能に悪影響を及ぼすおそれがある塩素化オリゴマーなどの望ましくない問題のある不純物の形成が有利に防止されることが、予想外に見出されている。制御することにより、収率及び触媒活性も向上する。有利には、記載された方法は高度に選択的でもある。このため、実施形態において、本方法のステップ2−a)において、脱塩化水素区域に存在する反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペンの濃度は、1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比が1:99〜50:50であるように制御され得る。
ステップ2−a)で形成される反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比は、数値的に定義された範囲内で制御される。当業者に認識されるように、このような実施形態において、工程の制御は、1,1,1,3−テトラクロロプロパンと1,1,3−トリクロロプロペンとの間のモル比に関して本明細書で特徴付けられるが、出発原料の生成物への転化に対する制御と見なすことが可能であり、このため20:80の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比は、20%の転化率に等しい。本発明者らは、上で概説した1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化を制限することにより、望ましくない不純物の形成が最小限に抑えられ、触媒寿命をより良好にできることを見出した。さらに、1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比が所与の値よりも大きいという場合、このことは1,1,1,3−テトラクロロプロパンの1,1,3−トリクロロプロパンへの転化率がより高い、すなわち、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの割合が低下するのと同時に、1,1,3−トリクロロプロペンの割合が上昇することを意味する。さらに本発明者らは、驚くべきことに、反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン生成物と1,1,3−トリクロロプロペン出発原料との間の要求されるモル比が、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化を著しく制限するだけでなく、有利には、このような反応混合物から生成された1,1,3−トリクロロプロペンを効率的に直ちに抽出することによっても制御できることを見出した。
実施形態により、ステップ2−a)において、方法は連続的である。
この方法のステップ2−a)は、1,1,3−トリクロロプロペンの形成をもたらす。当業者に認識されるように、1,1,3−トリクロロプロパンは反応性であり、この種の脱塩化水素反応における酸素化有機化合物、例えば塩素化アルカノール又は塩素化アルカノイル化合物の形成が可能である。ステップ2−a)及び2−b)におけるこのような化合物の最小化の重要性は、本発明者らによって認識されている。装置からの空気を排除することによって、酸素化化合物の形成を低減することができるが、空気を排除することは、とりわけ大気圧未満の圧力環境が使用される場合には、技術的及び経済的な要求が厳しい。
このような副生成物のインサイチュー形成は、方法のステップ2)の使用によって防止することができ、このことは連続ステップにおいてとりわけ有利である。本明細書に記載する反応条件によって、望ましくない酸素化化合物の生成のリスクが最小化されるように、1,1,3−トリクロロプロペンの選択的生成と、反応混合物の抽出が可能になる。
追加的又は代替的に、本発明の方法において酸素化化合物、例えばアルカノール又はカルボニル化合物が形成される場合、次いでこれらは、以下でより詳細に論じる、方法のステップ2−b)における水性処理ステップの使用によって除去することができる。
有利な結果は、反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比が40:60、30:70、25:75、20:80又は15:85を超えないように、ステップ2−a)における反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペンの含有量が制御される場合にも達成される。追加的又は代替的に、実施形態において、反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比は、2:98、5:95又は10:90以上であり得る。
ステップ2−a)における反応混合物の組成を決定するために、当業者は任意の技術又は装置を使用し得る。例えば反応区域に、反応混合物のサンプルを分析用に抽出することができるポートを設けること、及び/又は反応区域の出口に又は出口付近に位置するポートを介して、脱塩化水素区域から反応混合物を抽出する際にその反応混合物からサンプルを採取することによって、例えば組成を直接決定することができる。追加的又は代替的に、温度は一定圧力における組成の関数であるため、例えば温度制御によって組成を間接的に決定することができる。
ステップ2−a)における反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペンのレベルは、以下の1つ以上の方法:i)(直接、若しくは最初に脱塩化水素区域から反応混合物を抽出し、次いで反応混合物から1,1,3−トリクロロプロペンを抽出することによって)脱塩化水素区域から1,1,3−トリクロロプロペンを除去することにより、ii)高レベルの1,1,3−トリクロロプロペンに有利ではない、脱塩化水素区域における運転条件を制御(例えば温度、圧力、撹拌速度など)することにより、並びに/又はiii)脱塩化水素区域に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/若しくは触媒の量を制御することにより、制御され得る。
1,1,3−トリクロロプロペンは、反応混合物から連続的に又はバッチ式で抽出され得る。
ステップ2−b)において、1,1,3−トリクロロプロペンは、ステップ2−a)において形成された反応混合物から、当業者に既知の技術を使用して抽出され得る。実施形態では、ステップ2−b)において、1,1,3−トリクロロプロペンは、蒸留によって反応混合物から抽出される。反応混合物から1,1,3−トリクロロプロペンがどのように抽出されるかにかかわらず、1,1,3−トリクロロプロペンは1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れとして得られ得る。この流れは、本発明の方法のステップ3−a)における供給原料として使用することができる。
本明細書を通して使用されるように、「特定の化合物に富む(又は対応する用語)」という用語は、流れが少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%又は約99%の特定の化合物を含むことを意味するために使用される。さらに、用語「流れ」は、狭義に解釈されるべきではなく、任意の手段を介して混合物から抽出される(画分を含む)組成物を含む。
疑義を避けるために、脱塩化水素区域における反応混合物又は脱塩化水素区域からの反応混合物の「連続抽出」という場合、厳密な文字通りの解釈を意図するものではない。ひとたび脱塩化水素区域が目標運転条件に到達して、反応混合物が定常状態に達すれば、抽出が実質的に連続的に起こることを意味するために、この用語が使用されることを当業者は認識している。
1,1,3−トリクロロプロペンは、脱塩化水素区域で反応混合物から直接(例えばステップ2−b)の一部としての直接蒸留によって)抽出することができるか、又はステップ2−a)で形成された反応混合物の一部は、最初に脱塩化水素区域から(連続的に又はバッチ式で)抽出され、脱塩化水素区域から離れて、その混合物から1,1,3−トリクロロプロペンが抽出される。
実施形態において、反応混合物は、ステップ2−b)のさらなる処理ステップ、例えば1つ以上の蒸留ステップ及び/又は(以下でより詳細に論じる)水性処理ステップに供され得る。このような追加の処理ステップは、反応混合物から1,1,3−トリクロロプロペンを抽出する前及び/又は抽出した後に実施され得る。当業者は、1,1,3−トリクロロプロペンの抽出後にこのような追加の処理ステップを行う場合、混合物の1,1,3−トリクロロプロペン含有量は、脱塩化水素区域で形成された反応混合物中の含有量よりも低いことを認識する。
ステップ2−b)において、1,1,3−トリクロロプロペンは蒸留によって反応混合物から除去され得る。このように反応混合物から1,1,3−トリクロロプロペンを抽出するために、当業者に既知のいずれの技術及び装置も用いられ得る。本発明の実施形態において、蒸留塔、例えば精留塔が使用され得る。反応混合物は塔の底部に通過又は供給され得て、1,1,3−トリクロロプロペンは液体留出物として塔頂部から除去される。
例えば、脱塩化水素区域における、例えば運転温度のために、反応混合物が完全に又は部分的に気体である実施形態において、装置は、脱塩化水素区域が蒸留を行う装置と流体連通するように構成され得る。このような実施形態において、蒸留装置は脱塩化水素区域に連結され得る。好都合なことに、この連結によって、ガス状1,1,3−トリクロロプロペン含有混合物を脱塩化水素区域から蒸留装置に直接通過させる(される)ことができる。又は、蒸留装置は、脱塩化水素区域から離れて位置し得て、このことは脱塩化水素区域からガス状混合物を抽出し、蒸留装置に通過されねばならないことを意味する。
追加的又は代替的に、反応混合物が脱塩化水素区域中で部分的又は全体的に液体形態で存在する場合、液体反応混合物の一部は脱塩化水素区域から抽出されて、蒸留装置に通過され得る。このような実施形態において、反応混合物は、蒸留に先行及び/又は後続し得るステップ2−b)における1つ以上の処理ステップ(例えば、下で論じる水性処理ステップ)に供され得る。
ステップ2−b)における反応混合物から1,1,3−トリクロロプロペンの抽出が脱塩化水素区域から離れた装置で行われる実施形態において、未反応の1,1,1,3−テトラクロロプロパン出発原料及び消耗レベルの1,1,3−トリクロロプロペン(存在する場合)を含む、得られた混合物は脱塩化水素区域に戻され得る。
1,1,3−トリクロロプロペンがステップ2−a)において形成された反応混合物から抽出される実施形態において、反応混合物中に存在する少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%の1,1,3−トリクロロプロペンがその混合物から抽出される。
ステップ2−b)において、反応混合物からの1,1,3−トリクロロプロペンの蒸留は、連続的に、半連続的に又はバッチ式で実施することができる。
記載した方法の利点は、脱塩化水素反応によって、通常の技術を使用して、例えば蒸留装置の塔頂蒸気の凝縮によって回収され得る反応混合物から、高純度のガス状塩化水素を生成することである。
このため、塩化水素が脱塩化水素反応(ステップ2−a)の間に生成される実施形態において、塩化水素が抽出され得る。この抽出は、当業者に既知の、抽出を行うための任意の装置及び/又は技術を使用して達成できる。例えば反応混合物が蒸留に供される場合、蒸留装置には凝縮器(例えば部分凝縮器)が装備され得て、凝縮器(例えば部分凝縮器)は、塩化水素ガスが除去できるように、蒸留装置の下流に装備され得る。
冷却装置(例えば第2凝縮器)は、例えば第1凝縮器の下流で、追加的に用いられ得る。装置をこのように配置することは、第1凝縮器を使用して、存在する1,1,3−トリクロロプロペンの大部分を凝縮させることができ、第2凝縮器を使用して、微量の1,1,3−テトラフルオロプロペンを凝縮させてガスを精製するため、有利である。回収した1,1,3−トリクロロプロペンは、塩化水素と同様に高純度である(及び本発明の方法のステップ3−a)において、供給原料として使用され得る。)。
追加的又は代替的に、吸収塔を用いて塩化水素ガスを吸収して、塩酸溶液が生成され得る。
塩化水素ガスが脱塩化水素区域から又は該区域から抽出した反応混合物から抽出される実施形態において、この抽出は、深冷の使用によって、すなわち反応混合物からガスを抽出し、次いでガスを約0℃以下、約−10℃以下又は約−20℃以下まで冷却することによって達成され得る。得られた凝縮物は、脱塩化水素区域に戻して再循環され得るか、又は任意に他の関連する反応区域、例えばグリセロールの塩化水素化で使用され得る。
有利に、これらの方法で抽出された塩化水素は、高純度であり、このため同じ産業プラントにおける上流又は下流の反応における反応物として使用することができる。下流での使用の例は、モノクロロヒドリン又はジクロロヒドリンを生成し、続いてエピクロロヒドリン、グリシドール及びエポキシに至る、グリセロールの塩化水素化である。
上記のように、ステップ2−a)において、反応速度(及びひいては1,1,1,3−テトラクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比)は、脱塩化水素区域における運転温度の調整によって制御することができる。実施形態において、脱塩化水素反応は液相中で行われ、すなわち反応混合物は液状形態である。このような実施形態において、脱塩化水素区域は、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約100℃、約120℃又は約130℃〜160℃、約170℃、約200℃、約250℃又は約300℃の温度で運転され得る。
ステップ2−a)において、反応混合物は、反応(1,1,1,3−テトラクロロプロパンの1,1,3−トリクロロプロペンへの転化)を必要な完了度まで進行できるようにするに十分な時間にわたって、脱塩化水素区域に維持される。脱塩化水素化が液相で起こる実施形態において、脱塩化水素区域における反応混合物の滞留時間は、約0.1時間、約0.2時間、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間又は約3〜約5時間、約7時間、約9時間又は約10時間の範囲に及び得る。
脱塩化水素区域は、ステップ2−a)において大気圧未満の圧力、大気圧又は大気圧超の圧力にて運転され得る。実施形態において、脱塩化水素区域は、大気圧又は約10kPa〜約400kPa、約40kPa〜約200kPa又は約70kPa〜約150kPaの圧力にて運転され得る。
脱塩化水素反応の速度を上昇させる触媒は、ステップ2−a)で用いられ得る。実施形態において、触媒は金属を含む。このような実施形態において、金属は、固体形態で(例えば触媒が鉄である場合、微粒状鉄(例えば鉄削り屑若しくは鉄粉)、鉄メッシュ、鉄線、充填物(構造化若しくはランダム)、固定床(例えば炭素鋼)、流動床、液体中の分散物などとして、又は任意のこのような方法で形成された鉄を含有する合金、例えば炭素鋼に存在し得る。)及び/又は塩として(例えば触媒が鉄である場合、塩化鉄(III)、塩化鉄(II)などとして存在し得る。)存在し得る。追加的又は代替的に、方法が実施される装置には、触媒材料の一部又は全部のどちらかに形成された構成要素、例えば塔内面が装備され得る。
金属が反応混合物中に塩として存在する実施態様では、金属は塩形態で反応混合物に添加され得るか、及び/又は固体金属が反応混合物に添加され得て、次いで金属が反応混合物に溶解してインサイチューで塩が形成される。塩の形態で存在する場合、触媒は、非晶質形態、結晶形態、無水形態及び/又は水和形態(例えば塩化鉄(III)六水和物)で添加され得る。液体形態の触媒も用いられ得る。
別の実施形態において、ステップ2−a)における脱塩化水素反応は気相中で実施され、すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンはどちらもガス状形態である。このような実施形態において、脱塩化水素区域は、約300℃〜約500℃、約325℃〜約425℃又は約350℃〜約400℃の温度で運転され得る。
脱塩化水素反応が気相で起こる実施形態において、脱塩化水素区域における反応混合物の滞留時間は、約0.5〜約10秒の範囲に及び得る。
驚くべきことに、ステップ2−a)の脱塩化水素反応が気相で行われる実施形態において、高い収率及び選択性を達成するために反応を適正に触媒する必要があることが見出された。したがって、本発明の方法において、金属触媒、例えば鉄を50重量%以上のレベルで含有する触媒が使用され得る。
このため、実施形態において、1,1,3−トリクロロプロペンを調製する方法であって、ステップ2−a)において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを気相で50%以上の鉄含有量を有する触媒と脱塩化水素区域にて接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む気相反応混合物を生成することを含む、方法が提供される。
ステップ2−a)で用いられ得る触媒の例としては、ステンレス鋼、例えばフェライト及び/又はオーステナイト鋼が挙げられる。本発明の方法で用いる触媒は、好ましくは少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%又は少なくとも約95重量%の鉄含有量を有する。純粋な鉄は触媒として用いられ得る。
触媒は、任意の形態、例えば流動床配置及び/又は固定床配置で、ステップ2−a)にて用いられ得る。追加的又は代替的に、触媒を含む脱塩化水素区域の成分を用いることができる。例えば脱塩化水素区域が管型反応装置内にある実施形態において、反応装置管(又は少なくとも1,1,1,3−テトラクロロプロパンと接触している管の表面)は、(部分的に若しくは完全に)触媒から形成することができ、又は触媒から形成された触媒区域を装備することができる。
気相における脱塩化水素反応(ステップ2−a)の運転中、触媒は失活され得る。このため、このような実施形態において、方法は触媒回収ステップを含む。このステップは、例えば酸素に富む空気及び/又は酸素などの酸化剤を脱塩化水素区域に注入することによって、当業者に既知である任意の技術及び/又は装置を用いて達成することができる。このようなステップの前に、脱塩化水素区域を通る反応物の流れが停止され得るか、及び/又は脱塩化水素区域が(例えば窒素ガスによって)パージされ得る。実施する場合、触媒回収ステップがひとたび完了すると、脱塩化水素区域は再度(例えば窒素ガスによって)パージされ得るか、及び/又は脱塩化水素区域への反応物の流れを再開することができる。
脱塩化水素ステップ(ステップ2−a))が気相で行われる実施形態において、脱塩化水素区域から抽出した反応混合物は、通例、気相である。これらの高温の生成物ガスは、当業者に既知である任意の技術及び/又は装置を使用して凝縮されて、液体形態の塩素化有機化合物が得られ得る。例えば、高温の反応混合物は、間接冷却法、(例えばスプレーノズルを使用する)急冷、直接冷却法などによって冷却することができる。
反応混合物から塩素化有機化合物を凝縮させるためのガスの冷却時に、塩化水素ガスが抽出され得て、このガスは上流ステップ又は下流ステップにて任意に使用することができる。下流での使用の例は、モノクロロヒドリン又はジクロロヒドリンを生成し、続いてエピクロロヒドリン及びエポキシに至る、グリセロールの塩化水素化である。
脱塩化水素化ステップ2−a)が気相又は液相のどちらで起こるかにかかわらず、1,1,3−トリクロロプロペン及び未反応1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含む塩素化有機物の混合物並びに不純物は、次いで、本明細書で論じる、(1以上の蒸留及び/又は水性処理ステップを含む)1つ以上の脱塩化水素後処理ステップ(2−b)に供され得て、本発明の方法のステップ3−a)で供給原料として使用され得る、純粋な1,1,3−トリクロロプロペンを得る。
当業者に既知の任意の種類の反応装置を用いて、本発明の方法のステップ2−a)で脱塩化水素区域が設けられ得る。脱塩化水素区域を設けるために使用され得る反応装置の具体例は、塔型反応装置、管型反応装置、気泡塔型反応装置、プラグ/フロー型反応装置及び連続撹拌槽反応装置である。
本発明の方法のステップ2−a)は、単一の脱塩化水素区域又は複数の脱塩酸区域で行われ得る。複数の脱塩化水素区域を用いる場合、該区域は順次(すなわち、反応混合物がいくつかの脱塩化水素区域に沿って通過するように)及び/又は並列して運転され得る。
複数の脱塩化水素区域が、任意にカスケードモードでステップ2−a)にて使用される実施形態において、該区域は同一又は異なる反応装置に存在し得る。例えば、複数の(例えば1、2、3、4、5又はそれ以上の)脱塩化水素区域を用いる場合、該区域は複数(例えば1、2、3、4、5又はそれ以上)の反応装置(例えば連続撹拌槽反応装置)に設けられ得て、反応装置はそれぞれ温度、滞留時間などの最適化された運転条件を有するように最適化され得る。
一実施形態において、複数の脱塩化水素区域が、本発明の方法のステップ2−a)で用いられ得る蒸留塔に存在し得る。このような実施形態において、例えば脱塩化水素反応が蒸留塔内のトレー及び/又は塔内に供給された充填物にて行われる場合、脱塩化水素は反応蒸留によって達成され得る。反応蒸留が行われる実施形態において、蒸留塔は、好ましくは、1,1,3−トリクロロプロペンが1,1,1,3−テトラクロロプロパンから分離されるストリッピング区域を含む。ストリッピング区域は、液体供給物の下に位置し得る。
ステップ2−a)で実施される脱塩化水素反応から得られる反応混合物の成分(例えば1,1,3−トリクロロプロペン、塩化水素及び/又は出発原料)は、特定の材料と不利に相互作用する可能性があることが見出されている。このため、本発明の実施形態において、ステップ2−a)において、使用時に、反応混合物と接触する脱塩化水素区域のそれらの部分が約20%以下、約10%以下若しくは約5%以下の鉄含有量を有し得て、及び/又は非金属材料、例えばエナメル、ガラス、(例えばフェノール系樹脂を含浸させた)含浸黒鉛、炭化ケイ素、及び/又はプラスチック材料、例えばポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ、及び/又はポリビニリデンフルオリドから形成されている。追加的又は代替的に、使用時に反応混合物と接触する、脱塩化水素区域の少なくともいくつかの部分は、ハステロイなどのニッケル系合金で形成され得る。
実施形態において、1,1,3−トリクロロプロペンが接触する、用いられるすべての装置の部品は、上で示したものなどの、好適な材料から形成されている。1つの考えられる例外は、方法で用いられる装置の表面の1つ以上の領域が、触媒として機能するように選択された金属材料で形成されている場合である。
本発明者らはまた、ある運転条件下で、方法で使用した反応物及びそれらの方法で形成された化合物を、空気、水蒸気及び/又は水を含む酸素源及び/又は水分源に暴露させると、望ましくない不純物が引き起こされる可能性があることも見出している。このため、実施形態において、脱塩化水素及び/又は蒸留は、不活性雰囲気中、例えば酸素の非存在下で行われ得る。
ステップ2−a)において、1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、当業者に既知である任意の技術を使用して脱塩化水素区域に供給され得る。
ステップ2−a)で用いられる1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料は、好ましくは少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約98.5%、少なくとも約99%又は少なくとも約99.5%の純度レベルを有する。
実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料は、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下又は約100ppm以下の塩素化アルカン不純物、例えば1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/若しくは1,1,3−テトラクロロプロペンの沸点以上の沸点を有する、及び/又は反応条件において脱塩化水素化されて塩素化アルケン不純物を生成するアルカン、例えば1,1,3−トリクロロプロペンの10℃以内の沸点を有する、1,1,1,3−テトラクロロプロパン以上の沸点を有する及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンの異性体である、アルケンを含有する。
追加の又は代替の実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料は、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下又は100ppmの塩素化アルケン不純物、例えば1,1,3−トリクロロプロペンの10℃以内の沸点を有する、1,1,1,3−テトラクロロプロパン若しくは1,1,3−トリクロロプロペン以上の沸点を有する及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンの異性体である、アルケンを含有する。
追加的又は代替的に、1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料は、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下のテトラクロロエテン、ヘキサクロロエタン及び/又はテトラクロロペンタンを含む。
本発明の方法のステップ2−a)の利点の1つは、高い異性体選択性を有する1,1,3−トリクロロプロペンの生成が可能になることである。このため、本発明の実施形態において、1,1,3−トリクロロプロペンは、ステップ2−a)において、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%又は少なくとも約99.9%の異性体選択性で生成される。
脱塩化水素区域中への1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は触媒の供給は、反応混合物の抽出と同様に、連続的又は断続的であり得る。
ステップ2−a)のさらなる利点は、脱塩化水素区域が連続法又はバッチ法のどちらで運転されるかにかかわらず、所望の結果が得られることである。用語「連続法」及び「バッチ法」は、当業者に理解される。
方法のステップ2−a)のまた別の利点は、アルカリ性水酸化物を使用せずに高純度の1,1,3−トリクロロプロペンの生成が可能になることである。このため、実施形態において、アルカリ水酸化物はステップ2−a)の脱塩化水素区域に添加されず、及び/又はステップ2−a)の脱塩化水素区域に存在する反応媒体はアルカリ水酸化物を含まない。
上述したように、実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、1,1,3−トリクロロプロペン及び触媒を含む反応混合物は、脱塩化水素区域から抽出され得る。これはステップ2−b)のさらなる処理ステップに供され得る。
このような実施形態において、このような処理ステップは、抽出された混合物が任意に濾過され、次いで水性処理区域に供給される水性洗浄ステップであり得る。このステップは、混合物から1,1,3−トリクロロプロペンを抽出する前又は後に行われ得る。
混合物は、触媒を失活するように作用する水性処理区域にて、水性媒体と接触させる。混合物は、水性処理区域で酸、例えば硫酸、リン酸及び/又は塩酸などの無機酸と接触され得る。酸は純粋であり得るか、又は希釈されていてよい。希酸が使用される場合、この酸は水性媒体を提供し得る。水性媒体のpH値は、二相性混合物の効果的な分離を可能にするために、十分に低い必要がある。
ステップ2−b)に含まれる水性処理ステップは、混合物から、あるクラスのさもなければ問題となる不純物、とりわけ酸素化不純物を除去する、有利な効果を有する。
このような実施形態において、触媒の失活は短い接触時間、例えば約5分、約10分、約20分又は約30分で達成することができ、低温の水が必要である。塩素化された酸素化不純物の加水分解及び抽出では、水との接触時間はより長く、例えば約1時間、約2時間、約5時間若しくは約10時間まであり得て、及び/又は約50℃以下、約40℃以下若しくは約30℃以下の温度である。
このため、実施形態において、本発明の方法のステップ2−b)は、1,1,3−トリクロロプロペン、酸素化有機不純物及び任意に触媒及び/又は1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含む混合物から酸素化有機不純物を除去するステップであって、該混合物を水性媒体と接触させて二相性混合物を形成して、その二相性混合物から有機相を抽出することを含むステップを含み得る。実施形態において、本発明のこの態様の混合物は、ステップ2−a)で用いた脱塩化水素区域から抽出した混合物であるか、又はこの混合物を含む。
このようなステップで希酸を用いる場合、希酸を用いることによって、混合物が接触する水性媒体がさらに供給され得る。追加的又は代替的に、水性媒体は、水性処理区域に個別に添加され得る水(任意の形態、例えば水蒸気を含む。)を含み得る。
酸が水性処理区域に添加される実施形態において、この添加は、好ましくは、水性処理区域中に存在する混合物のpHを約6以下、約5以下、約4以下、約2以下又は約1以下まで低下させる。
未反応1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンの部分(例えば少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%)が、当業者に既知である任意の技術又は装置を使用して、水性処理区域で形成された混合物から抽出され得る。
例えば水性処理区域での運転温度及び/又は水性媒体としての水蒸気の添加のために、例えば混合物が部分的に又は完全にガス状形態である実施形態において、ガス状混合物がステップ2−b)における蒸留に供され得る。このような実施形態において、蒸留装置は、(任意にその区域に連結されている)水性処理区域と流体連通し得るか、又は水性処理区域から離れていてよい。
追加的又は代替的に、混合物が部分的又は完全に液体形態である場合、混合物は水性処理区域から抽出され、ステップ2−b)において蒸留に供され得る。
このような蒸留ステップがステップ2−b)において行われる実施形態において、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンを含む(任意に1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンに富む)流れが得られ得る。1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れは、本発明の方法のステップ3−a)における供給原料として使用され得る。
水性処理区域に供給された混合物から抽出された1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンは、原料として使用するために、脱塩化水素区域に戻して再循環され得る。
水相及び有機相を含む二相性混合物は、水性媒体及び主に有機混合物の両方が存在する結果として、ステップ2−b)で水性処理区域において(又はある実施形態において、水性処理区域から離れて)形成され得る。
本発明の方法のステップ2−b)において二相性混合物が形成される、このような実施形態において、有機相は、当業者に既知の相分離技術及び/又は装置を使用して二相性混合物から抽出され得る。二相性混合物が水性処理区域で形成される場合、水性処理区域から相を順次抽出することによって、有機相を水相から分離することができる。混合物から不純物を除去した水相は、さらに処理することができる。
相分離効率を最大にし、二相性混合物からの相の抽出を容易にするために、ハロアルカン抽出剤及び/又は相分離増強剤(例えば1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は種々のアルコール及び/又はケトン)が、当業者に既知である技術及び/又は装置を使用して、断続的又は連続的にどちらかで水性処理区域に添加され得る。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの使用が好ましいのは、この化合物が方法の一部であり、このため特定の分離ステップを使用して除去する必要がないためである。
任意に、1,1,3−トリクロロプロペン及び1,1,1,3−テトラクロロプロパンとは十分に異なる沸点を有する極性アルコール及び/又はケトンなどの相分離増強剤が用いられ得る。沸点の差は、少なくとも20℃、少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃又は少なくとも約60℃であることが望ましい。用いられ得る相分離増強剤の例としては、脂肪族ケトン類、例えばアセトン及び脂肪族アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール類、ブタノール類が挙げられる。
実施形態において、抽出された有機相は次いで、1,1,3−トリクロロプロペン及び/又は未反応の1,1,1,3−テトラクロロプロパンの(及び任意にこれらに富む)流れが留去される、ステップ2−b)における蒸留ステップに供され得る。このようなステップは、反応混合物からの1,1,3−トリクロロプロペンの抽出が水性処理の前に実施されたか否かにかかわらず行われ得る。未反応1,1,1,3−テトラクロロプロパンの流れは、脱塩化水素区域に戻して再循環され得る。1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れは、ステップ3−a)において供給原料として使用され得る。重質留分残渣は、蒸留装置から抽出され、任意に濾過され、焼却され及び/又は高温塩素化分解に供され得る。
1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペン並びにハロアルカン抽出剤及び/又は相分離増強剤を含む有機相が、脱塩化水素区域に戻され得る。このような実施形態において、相分離増強剤(使用される場合)又は有機相の他の成分を除去する蒸留ステップが実施され得る。
塩素化アルケンの含水量を減少させると、塩素化などの下流の用途において、このようなアルケンが使用されることが判明している。このため、本発明の実施形態において、得られた塩素化アルケン生成物が約500ppm未満、約200ppm以下、約100ppm以下又は約50ppm以下の水を含むように工程条件を制御する。
上記の方法のステップ2)は、当業者がよく知っている簡単で直接的な技術及び装置を使用して、高純度の1,1,3−トリクロロプロペンを製造することができるため、有利である。
方法のステップ2)は、方法のステップ3−a)で使用するための1,1,3−トリクロロプロペン供給原料の生成をもたらす。その供給原料は、好ましくは、
・約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上 約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
・約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化C5−6アルカン不純物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、及び/又は
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の水
を含む。
・約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上 約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
・約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化C5−6アルカン不純物、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、
・約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、及び/又は
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の水
を含む。
ステップ3−1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化
本発明のこのステップの工程は、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための、既に塩素化アルケン(1,1,3−トリクロロプロペン)の塩素化を含む。工程は高度に選択的である。
本発明のこのステップの工程は、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための、既に塩素化アルケン(1,1,3−トリクロロプロペン)の塩素化を含む。工程は高度に選択的である。
1,1,3−トリクロロプロペン出発原料の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン生成物への転化率を制御することは、望ましくない不純物の形成を有利に最小限に抑えることが見出されている。このため、実施形態において、本方法のステップ3−a)において、反応区域から抽出した反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比は95:5を超えない。
反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比は、数値的に規定された範囲内で制御される。当業者に認識されるように、このような実施形態において、工程の制御は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと1,1,3−トリクロロプロペンとの間のモル比に関して本明細書で特徴付けられるが、この制御は1,1,3−トリクロロプロペンの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化に対する制御とも考えられ、このため95:5の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比は、95%の転化率に等しい。本発明者らは、方法のステップ3−a)において、上で概説した出発原料の転化を制限することが、望ましくない不純物の生成を最小限に抑えることを見出した。さらに、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が所与の値よりも大きいという場合、このことは、1,1,3−トリクロロプロペンの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化率がより高い、すなわち1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの割合が上昇するのと同時に、1,1,3−トリクロロプロペンの割合が低下することを意味する。
ある実施形態において、反応区域は第1反応区域であり得る。
この方法のステップ3−a)の利点の1つは、高い異性体選択性を有する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの生成が可能になることである。このため、実施形態において、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンは、ステップ3−a)において、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、又は少なくとも約99.9%の異性体選択性である。
高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンは、貯蔵及び輸送中に分解されにくいことが見出されている。この分解されにくさは、さもなければ1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの分解を誘発する不純物の不在(又はごく微量のみの存在)に起因すると考えられる。したがって、安定化剤の使用を有利に回避することができる。
ステップ3−a)のさらなる利点は、出発原料の生成物への転化率を制御することにより、さもなければ問題のある連続生成物の形成が最小限に抑えられることである。したがって、実施形態において、第1反応区域から抽出した反応混合物、及び/又は主反応区域から抽出した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む材料は、低レベルの連続反応生成物、すなわち、例えば約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、約0.05%未満又は約0.02%未満の量の、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンよりも多くの塩素及び/又は炭素原子を含む化合物を含む。
実施形態において、工程は連続的であり得る。
予想外に、ステップ3−a)において第1反応区域で形成された反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのレベルを慎重に制御することにより、不純物の生成が最小限に抑えられ、及び/又は1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの高い選択性が達成されることが見出されている。反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのレベルは、例えばi)(特異的に、若しくは反応混合物を抽出することによってのどちらかで)第1反応区域から1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを除去することによって、ii)第1反応区域における反応条件(例えば温度、光への暴露及び/若しくは圧力)を制御することによって、及び/又はiii)第1反応区域に存在する1,1,3−トリクロロプロペン及び/若しくは塩素の量を制御することによって、制御され得る。
例えばステップ3−a)において形成された反応混合物中に存在する塩素の量は、第1反応区域及び/又は主反応区域において反応混合物中にモル過剰の塩素が存在しないように制御することができる。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの形成をもたらす任意の条件が、ステップ3−a)で使用する第1反応区域において用いられ得る。しかし、実施形態において、第1反応区域における運転温度は、比較的低いレベル、例えば約100℃以下、約90℃以下又は約80℃以下に維持される。第1反応区域の運転温度は、約−30℃、約−20℃、約−10℃又は約0℃〜約20℃、約40℃若しくは約75℃であり得る。第1反応区域におけるこのような温度を使用することは、この使用により1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び過塩素化化合物の異性体の形成を減少させ、必要な生成物が選択的に高収率でなお与えられるため、予想外に有利であることが見出されている。これらの温度での反応速度を上昇させるために、光(可視及び/又は紫外線)を任意に使用して、これらの低温での塩素の添加が促進され得る。
ステップ3−a)において、第1反応区域における運転温度は、当業者に既知の任意の温度制御手段、例えば加熱/冷却ジャケット、反応装置の内部又は外部の加熱/冷却ループ、熱交換器などによって制御され得る。追加的又は代替的に、温度は、反応混合物に添加された材料の温度を制御し、ひいては反応混合物の温度を制御することによって制御され得る。反応混合物は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの必要なレベルを達成するのに十分な時間及び条件下で第1反応区域に維持される。
実施形態において、ステップ3−a)で使用する第1反応区域は、光、例えば可視光及び/又は紫外線で露光され得る。反応混合物を光で露光すると、高温の使用を避けるべき場合に有利である低温での運転時に、反応が促進される。
疑義を避けるために、実施形態において、ステップ3−a)における第1転化ステップは、同じ又は異なる圧力、温度及び/又は光条件にて運転され得る、複数の第1反応区域(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の第1反応区域)にて行われ得る。
ステップ3−a)において、反応混合物の第1反応区域における滞留時間は、約30〜300分、約40〜約120分又は約60〜約90分の範囲であり得る。
第1反応区域に存在する反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのレベルが、第1反応区域から抽出した反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が50:50を超えないようなレベルに維持される場合に、最適な結果が認められている。実施形態において、第1反応区域における反応混合物中に存在する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのレベルは、より低いレベルに、例えば第1反応区域から抽出した反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が、75:25、50:50、40:60又は30:70を超えないように維持され得る。追加的又は代替的に、第1反応区域に存在する反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのレベルが、第1反応区域から抽出した反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が少なくとも5:95、10:90、15:85、20:80、30:70、40:60又は50:50であるようなレベルに維持される。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比を決定できるようにする、反応混合物の組成は、第1反応区域からの反応混合物の抽出後、実行可能な限り速やかに決定され得る。例えば反応混合物のサンプルは、第1反応区域の出口に隣接する箇所又は出口よりわずかに下流の箇所にて抽出され得る。実施形態において、出口は、第1反応区域の上端に位置し得る。
ステップ3−a)において形成された1,1,3−トリクロロプロペン及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを含む反応混合物は、第1反応区域及び/又は主反応区域から抽出され得る。この抽出は連続的に又は断続的に行われ得る。
当業者であれば、反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物がそれぞれの反応区域から抽出される実施形態において、問題の区域が運転条件にある間に材料を実質的に連続的に除去することができ、その目的が定常状態反応(例えば塩素化)を設定することである場合、その中の反応混合物が要求される定常状態にいったん達していることを認識する。
実施形態において、第1反応区域で行われるステップ3−a)における反応は液相であり、すなわち、第1反応区域に存在する反応混合物は主に又は完全に液体である。反応混合物は、当業者に既知である任意の技術、例えばクロマトグラフィーを使用して分析され得る。
ステップ3−a)で使用する1,1,3−トリクロロプロペン供給原料は、高い純度を有することが好ましい。実施形態において、1,1,3−トリクロロプロペン供給原料は、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%又は少なくとも約99.5%の純度レベルを有する。
追加的又は代替的に、ステップ3−a)で使用する1,1,3−トリクロロプロペン供給原料は、約2%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、約0.01重量%未満又は約0.001重量%未満の塩素化アルケン及び/又は塩素化アルカン不純物を含み得る。例えば1,1,3−トリクロロプロペン供給原料は、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、約0.01重量%未満又は約0.001重量%未満の塩素化アルケン不純物、例えばペルクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ヘキサクロロエチレン、異性体トリクロロプロペン、テトラクロロプロペン及び/又は塩素化アルカン不純物、例えば1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含み得る。
ステップ3−a)で用いる第1反応区域及び/又は主反応区域への塩素及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンの供給は、連続的又は断続的であり得る。
塩素は、本発明の方法のステップ3−a)で用いる反応区域に、液体形態及び/又はガス状形態で、連続的又は断続的のどちらかで供給され得る。例えば第1反応区域に1つ以上の塩素供給物が供給され得る。追加的又は代替的に、第1反応区域の下流の反応区域(例えば主転化区域)に1つ以上の塩素供給物が供給され得る。本発明の実施形態において、塩素が供給される唯一の反応区域は第1反応区域である。
反応区域内の反応混合物が液体である場合、塩素がガスとして反応区域中に供給され、反応区域に溶解され得る。実施形態において、塩素は、分散装置、例えばノズル、多孔質プレート、チューブ、エジェクタなどによって反応区域に供給される。塩素は、実施形態において、液体反応混合物に直接供給され得る。追加的又は代替的に、塩素は、反応区域の上流の他の反応物の液体供給物中に供給され得る。
さらなる激しい撹拌を使用すると、液体反応混合物中に塩素を確実に良好に混合及び/又は溶解させられ得る。
ステップ3−a)で出発原料として使用する塩素は、好ましくは高純度である。実施形態において、本発明の任意の段階で用いる反応区域に供給される塩素は、好ましくは少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%又は少なくとも約99.9%の純度を有する。
追加的又は代替的に、ステップ3−a)で使用する塩素は、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下の量の臭素又は臭化物を含み得る。
少量の酸素(例えば約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下)を含む塩素ガスの使用も想定される。しかし、実施形態において、許容できないほど高レベルの酸素化不純物を含む工程の生成物を用いずに、ステップ3−a)において、(より高い酸素レベル、例えば1000ppm以上を含む)より低いグレードの塩素を有利に用いることができる。
上記のように、実施形態において、第1反応区域におけるステップ3−a)で生成された反応混合物は液体となることが想定される。しかし、反応混合物がガス状である代替の実施形態が想定される。このような実施形態において、第1反応区域は、約150℃〜約200℃の温度で運転され得る。このような実施形態において、気相反応装置、例えば1つ以上の管状気相反応装置が用いられ得る。
ステップ3の文脈で使用される場合、「純度が高い」という用語は、約95%以上の純度、約99.5%以上の純度、約99.7%の純度、約99.8%以上の純度、約99.9%以上の純度又は約99.95%以上の純度を意味する。別途明記しない限り、本明細書でパーセンテージとして示される値は重量による。
第1反応区域からの反応混合物の抽出は、当業者に既知任意の技術を用いて達成することができる。通例、第1反応区域から抽出した反応混合物は、未反応1,1,3−トリクロロプロペン、未反応塩素及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを含む。又は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの形成の制御が、第1反応区域に供給される塩素の量を制御(すなわち制限)することによって達成される場合、第1反応区域から抽出される反応混合物は、例えば約1%以下、約0.5%以下、約0.1%以下、約0.05%以下又は約0.01%以下の低レベルの塩素を含み得る。
未反応の1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物が第1反応区域から抽出される実施形態において、主転化ステップがステップ3−a)において実施され得て、ステップ3−a)では、第1反応区域から抽出した反応混合物中に存在する未反応の1,1,3−トリクロロプロペンの全部ではないが、大部分の著しい割合が1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに転化され、このため1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物が生成され、この生成物は次いで主反応区域から抽出される。1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物は、未反応の1,1,3−トリクロロプロペン出発原料及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン生成物を含み得る。
このような実施形態において、反応混合物はさらに塩素を含み得る。追加的又は代替的に、塩素を主反応区域に供給して、塩素化反応を進行させることが可能であり得る。
1,1,3−トリクロロプロペンから1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化率は、例えば主反応区域から抽出した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物中に存在する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が約95:5、約93:7、約91:9、約90:10又は約87.5:12.5を超えないように制御される。
追加的又は代替的に、1,1,3−トリクロロプロパンの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化率は、主反応区域から抽出した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物中に存在する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が、約70:30、約75:25、約80:20又は約85:15より大きくなるように制御される。
主反応ステップが行われるステップ3−a)のある実施形態において、主反応区域から抽出した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物中に存在する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比は、第1反応区域から抽出した反応混合物でのモル比よりも大きい。換言すれば、出発原料から生成物への転化率は、主反応区域から抽出した生成物のほうが、第1反応区域から抽出した反応混合物よりも高い。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物が用いられる又は生成されるステップ3−a)において、該生成物は上で概説した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペン比を有し得る。
予想外に、主反応区域における1,1,3−トリクロロプロペンの転化率を慎重に制御することより、ステップ3−a)における不純物の生成が最小限に抑えられることが見出された。反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのレベルは、例えばi)(特異的に、若しくは1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を抽出することによってのどちらかで)主反応区域から1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを除去することによって、ii)主反応区域における反応条件(例えば温度、光への暴露及び/若しくは圧力)を制御することによって、及び/又はiii)主反応区域に存在する1,1,3−トリクロロプロペン及び/又は塩素の量を制御することによって、制御され得る。
(例えば主反応区域に直接供給された、及び/又は反応混合物の成分として存在する)主反応区域に存在する塩素の量を制御することによって、1,1,3−トリクロロプロペンの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化率がステップ3−a)において制御される(すなわち制限される)実施形態において、得られた1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物中の塩素含有量は、非常に低く、例えば約1%以下、約0.5%以下、約0.1%以下、約0.05%以下又は約0.01%以下であり得る。
この主転化ステップは、通例、第1反応区域の下流の1つ以上の主反応区域で行われる。任意の数の主反応区域、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の主反応区域が用いられ得る。
1,1,3−トリクロロプロペンの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化をもたらす任意の条件が、ステップ3−a)における主転化ステップで用いられ得る。実施形態において、主転化ステップは、低下温度転化ステップを含み得る。このようなステップを行う場合、抽出した反応混合物の温度の低下は、好ましくは、反応混合物を低温(例えば約−30〜約30℃、約−25〜約10℃又はより好ましくは約−20℃〜約−10℃)にて運転されている主反応区域中に供給し、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を主転化区域から抽出することによって達成される。
予想外に、ステップ3−a)において、1,1,3−トリクロロプロペン、塩素及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを含む反応混合物を低温で維持すると、1,1,3−トリクロロプロペンの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの転化が生じ、同時に望ましくない不純物の生成が最小限に抑えられ、選択性及び/又は収率が改善することが見出されている。
このため、ステップ3−a)において、低下温度転化ステップが行われ得て、低下温度転化ステップでは、1,1,3−トリクロロプロペン及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを含む反応混合物が、約−30℃〜約30℃、約−25℃〜約10℃又はより好ましくは約−20℃〜約−10℃の温度で運転される主反応区域に供給され、次いで、主反応区域から1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物が抽出され得る。
ステップ3−a)のある実施形態において、主反応区域における反応混合物の光(例えば紫外線)への露光は、反応を低温でうまく実施するために有用である。
ステップ3−a)において、主反応区域に供給される反応混合物中に存在する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンの比は、70:30以下、60:40以下、50:50以下、40:60以下、30:70以下及び/又は5:95以上、10:90以上、20:80以上又は40:60以上であり得る。
実施形態において、ステップ3−a)において、主反応区域の運転温度は、単一の冷却作用又は主反応区域が連続的に低い温度で運転される、一連の冷却作用で達成され得る。低温での主反応区域の運転は、当業者に既知の任意の技術を用いて達成することができる。
ステップ3−a)における低下温度転化ステップは、好ましくは、第1反応区域の下流の1つ以上の主反応区域で行われる。例えば、低下温度転化ステップが単一の冷却作用を必要とする場合、このステップは単一の主反応区域で行われ得る。低下温度転化ステップが一連の冷却作用を必要とする場合、このステップは単一の主反応区域又は複数の主反応区域で達成され得る。
実施形態において、ステップ3−a)において、反応混合物は、反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの必要なレベルを達成するのに十分な時間及び条件下で主反応区域に維持される。
主反応区域は、大気圧未満の圧力、大気圧又は大気圧超の圧力の下で運転され得る。追加的又は代替的に、第1反応区域及び/又は主反応区域は、例えば可視光及び/又は紫外線などの光で露光され得る。
実施形態において、ステップ3−a)において、反応混合物の主反応区域における滞留時間は、約30〜300分、約40〜約120分又は約60〜約90分の範囲であり得る。
実施形態において、主反応区域で行われる反応は液相であり、すなわち、主反応区域に存在する反応混合物は主に又は完全に液体である。
実施形態において、ステップ3−a)において、第1反応区域から抽出した反応混合物は、主転化ステップに直接供される。別の実施形態において、抽出した反応混合物は、主転化ステップに供される前に、1つ以上の前処理ステップに供される。
ある実施形態において、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物中の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの所望のレベルを達成するために、主転化ステップは、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を高温、例えば約20℃以上、約30℃以上、約40℃以上、約50℃以上又は約60℃以上に加熱することを含み得る。
このように1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を加熱することは、単一の加熱ステップで達成され得る。又は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物は、連続してより高い温度で一連の加熱ステップに供され得る。
上述のように、ステップ3−a)において、異なる反応区域は、異なる温度、圧力及び/又は異なる種類及び/又は強度の光での露光にて運転され得る。例えば、第1反応区域から抽出した反応混合物は、低下温度転化ステップを行う第1の主反応区域に通過させることができる。次いで、得られた1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を、熱処理又はUV露光ステップを行う、第1の主反応区域の下流の第2の主反応区域に通過させて、存在する残りの未反応の1,1,3−トリクロロプロペンの大部分を1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに転化することができる。又は、低下温度転化ステップ並びに加熱及び/又はUV露光ステップはすべて、主反応区域で行うことができる。
このため、ステップ3−a)では、複数の主反応区域を順に用いられ得る。理解を容易にするために、これらは上流の主反応区域及び下流の主反応区域として特徴付けられ得て、これらの区域は順に運転され、上流の主反応区域は下流の主反応区域の上流にある。
このような実施形態において、任意の数の上流の主反応区域及び/又は下流の主反応区域、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10以上の上流主反応区域及び/又は下流の主反応区域があり得る。
このような構成を用いる場合、上流及び/又は下流の主反応区域のいくつか又はすべてにおいて、熱処理及び/又は光(例えば紫外光)での露光が行われ得る。露光の強度は、下流の主反応区域でより高くあり得る。追加的又は代替的に、反応混合物が下流の主反応区域で露光される光の波長は、上流の主反応区域の波長も短くてよい。
ある実施形態において、熱処理及び/又は露光ステップは、下流の主反応区域のみで行われ得る。
ステップ3−a)の1つの利点は、第1反応区域及び/又は主反応区域が連続法又はバッチ法のどちらで運転されるかにかかわらず、所望の結果が得られることである。用語「連続法」及び「バッチ法」は、当業者に理解される。
ステップ3−a)において、当業者に既知である任意の種類の反応装置が用いられ得る。第1反応区域及び/又は主反応区域を提供するために使用され得る反応装置の具体例は、塔型反応装置(例えば塔型気液反応装置)、管型反応装置(例えば管状気相反応装置)、気泡塔反応、プラグ/フロー反応装置及び撹拌槽反応装置、例えば連続撹拌槽反応装置である。
ステップ3−a)で使用する反応装置は、それぞれ異なるフローパターン及び/又は異なる運転温度/圧力を有する異なる区域に分割され得る。例えば主転化ステップは、複数の主反応区域を含む反応装置で行われ得る。これらの区域は、異なる温度及び/又は圧力で運転され得る。例えば主転化ステップが低下温度転化ステップである実施形態において、主反応区域は連続して低温で運転され得る。
追加的又は代替的に、ステップ3−a)で使用する反応装置に外部循環ループが設けられ得る。外部循環ループには、任意に冷却及び/又は加熱手段が設けられ得る。
当業者に認識されるように、ステップ3−1)において、反応区域は、冷却管、冷却ジャケット、冷却スパイラル、熱交換器、加熱ファン、加熱ジャケットなどの冷却/加熱要素を使用することによって異なる温度に維持することができる。
ステップ3−a)で使用する第1反応区域及び/又は主反応区域のいくつか又はすべては、(天然又は人工的に発生させた)可視光、紫外線で露光され得る、及び/又は暗所で運転され得る。
塩素は、液体形態、溶液形態及び/又はガス状形態のいずれかで主反応区域に供給され得る。必要に応じて、1,1,3−トリクロロプロペンが同様に又は代替的に主反応区域に供給され得る。
当業者は、ある実施形態において、本発明の方法の任意の段階で利用される反応区域が、撹拌手段、例えば撹拌機、従動部、フローチャネリング(flow channeling)手段などを必要とし得ることを認識し、本発明の方法における第1反応区域及び/又は主反応区域におけるこのような手段の使用が想定される。第1反応区域及び/又は主反応区域は、流動の種類が異なる反応混合物で運転され得る。
ステップ3−a)で使用する第1反応区域及び/又は主反応区域は、単一又は複数の反応装置内に位置し得る。このため、例えば本発明の実施形態において、すべての第1反応区域は、単一の反応装置、例えば塔型気液反応装置内の異なる反応区域であることができる。
又は、第1反応区域は、異なる反応装置(例えば一連の連続撹拌槽型反応装置)に、又は異なる種類の反応装置にさえ存在することができる(例えば1つ以上の第1反応区域が連続撹拌槽反応装置内に存在し、追加の第1反応区域が管型反応装置内に存在することができる。)。
ステップ3−a)で用いる反応区域は、異なる圧力及び/又は温度で運転され、及び/又は反応区域における反応混合物の異なる流れ(例えば異なる強度/方向の流れ)を有する。
ステップ3−a)で用いる反応区域は、順に(例えば反応混合物が初期上流反応区域から、任意に中間反応区域を経て、終端の下流反応区域まで通過する場合)及び/又は並行して運転され得る。
反応区域がステップ3−a)において順に、並びに異なる温度及び/又は圧力にて運転される実施形態において、反応区域のいくつか又はすべてにおける温度及び/又は圧力が連続的に上昇又は低下し得る。
ステップ3−a)で用いる反応区域の1つ、いくつか又はすべては大気圧未満の圧力、大気圧又は大気圧超の圧力で運転され得る。
予想外に、ステップ3)を運転するために用いる装置(又は少なくとも反応混合物及び/又は生成物流と接触する部分)がある材料を含まない場合、塩素化アルカン分解生成物の形成を最小限に抑えられることが見出されている。
このため、ステップ3)において、ステップを行うための装置は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンと接触する装置のこれらの部分が、装置の使用時に、約20%未満、約10%、約5%、約2%又は約1%の鉄を含むように構成されている。
ステップ3)のこのような実施形態において、方法を実施するための装置は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンと接触する装置の部分が、フルオロポリマー、フルオロクロロポリマー、ガラス、エナメル、フェノール系樹脂含浸黒鉛、炭化ケイ素及び/又はフルオロポリマー含浸黒鉛から生成されるように構成されている。ガラス、PVDF、ETFE及びハステロイの組合せは、組合せ効果を提供するために、例えば腐食及び温度などの他の問題も確実に制御されるようにしながら、反応混合物に与える可視光又は紫外光の必要条件を反応混合物に提供するために、使用され得る。
ステップ3−a)において、主反応区域は、例えばプラグ/フロー反応装置内にある。このような装置を使用することの利点は、逆流混合を最小限に抑える又は防止するように反応装置を構成できることである。
上で概説した方法ステップによって、不純物、とりわけ1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから除去することが困難なそれら不純物の生成が最小限に抑えられる。
第1反応区域から抽出した反応混合物又は主反応区域から得た1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物の純度を最大化にするために、ステップ3−b)において追加の精製ステップが行われ得る。例えば1つ以上の蒸留ステップが実施され得る。このような蒸留ステップは、低温/減圧条件下で実施され得る。
追加的又は代替的に、ステップ3−b)において1つ以上の加水分解ステップが行われ得る。反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物(どちらも通例1,1,3−トリクロロプロペン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び酸素化有機化合物を含む不純物を含む混合物である。)を加水分解ステップに供する場合、このステップは、通例、加水分解区域において、第1反応区域から抽出した反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性媒体と接触させることを含む。加水分解ステップで用いられ得る水性媒体の例としては、水、水蒸気及び水性酸が挙げられる。
加水分解は、存在する場合は、加水分解反応を進行させるのに適切な条件で実施される。
ステップ3−b)において加水分解ステップを行うことが好ましいのは、加水分解ステップが、反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物中に存在する酸素化有機化合物の含有量を低減するためである。酸素化有機化合物の例としては、塩素化アルカノール、塩素化酸塩化物、塩素化酸又は塩素化ケトンが挙げられる。
加水分解ステップが行われる実施形態において、このようなステップに供した反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物は、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下又は約10ppm以下の酸素化有機化合物含有量を有し得る。
このため、実施形態において、ステップ3−b)は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3−トリクロロプロペン及び酸素化有機化合物を含む(任意の上流工程から得られる)混合物から酸素化有機化合物を除去することを含み、この除去は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性処理区域に供給すること、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性媒体と接触させて混合物を生成すること及びi)その混合物から有機相を又はii)その混合物から1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン流を抽出することを含み、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン流は、水性処理区域に供給された1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物と比べて、酸素化有機化合物のレベルが低下している。
加水分解ステップをステップ3−b)で行う方法において、水性処理区域に供給される反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物は、低い塩素含有量、例えば約0.8%以下、約0.5%以下、約0.1%以下、約0.05%以下又は約0.01%以下を有し得る。疑義を避けるために、この文脈で塩素という場合、この塩素は遊離塩素、未反応塩素及び溶解塩素を含む。塩素以外の原子に結合している塩素は考慮すべきではない。
実施形態において、加水分解区域は洗浄槽内にある。このような実施形態において、反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物は、水及び/又は水蒸気で洗浄され得る。
ステップ3−b)において、ひとたび反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性媒体と接触させると、加水分解区域で混合物が形成され、その混合物は1つ以上の処理ステップに供され得る。例えば反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物(例えば1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び/又は未反応1,1,3−トリクロロプロペン)の成分は、例えば、好ましくは減圧下及び/又は低温下で蒸留によって水性処理区域で形成された混合物から抽出することができる。このようなステップは、混合物が水性処理区域に存在している間に達成することができる。追加的又は代替的に、混合物は最初に水性処理区域から抽出され、その区域から離れて抽出ステップに供され得る。
追加的又は代替的に、実施形態において、ステップ3−b)において水性処理区域に、二相性混合物が形成され得る。このような実施形態において、少なくとも反応混合物から分離された1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を含む有機相が水性廃棄物相から分離される、相分離ステップが実施され得る。相分離ステップは、水性処理区域からの相の連続抽出によって達成され得る。又は、二相性混合物を水性処理区域から抽出し、水性処理区域から離れて相分離ステップに供して、有機相を抽出することができる。
有機相は任意の濾過後に蒸留に供されて、精製された1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3−トリクロロプロペンを含む流れを得ることができる。1,1,3−トリクロロプロペンは、第1反応区域及び/又は主反応区域に再循環され得る。精製された1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンは、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン生成物であり得る。
追加的又は代替的に、有機相は、方法のステップ3−b)において、上に概説した追加の加水分解ステップに供することができる。加水分解ステップは、必要に応じて、例えば1、2、3回又はそれ以上反復することができる。
実施形態において、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(例えば第1反応区域から得た反応混合物、主反応区域から得た1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物、水性処理区域で形成された混合物及び/又は二相性混合物から抽出された有機相)を、好ましくは約100℃以下、約90℃以下又は約80℃以下で実施される、ステップ3−b)の蒸留ステップに供することができる。
このような蒸留ステップは、真空下で実施され得る。真空蒸留が行われる場合、真空条件は、蒸留が低温にて及び/又はより高分子量の塩素化アルカンの抽出を容易にするために実施され得るように選択され得る。
実施形態において、ステップ3−b)において、本方法で実施される任意の蒸留ステップにより、少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%又は少なくとも約99.9%のi)1,1,3−トリクロロプロペン及び/又はii)1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを含む流れが生じ得る。本明細書で使用する場合、「流れ」という用語は、使用される装置又は得られる組成物の形態にかかわらず、任意の蒸留ステップから得られる組成物を含むように広義に解釈すべきである。高純度1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの流れは、ステップ3−b)の高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン生成物であり得る。
当業者に既知である任意の蒸留装置、例えば蒸留ボイラ/塔型装置をステップ3−b)に用いることができる。しかし、予想外に、ある材料で形成された蒸留装置を回避すると、塩素化アルカン分解生成物の生成を最小限に抑えられることが判明している。
このため、実施形態において、ステップ3−b)は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を(該生成物を得た方法にかかわらず)蒸留するステップを含み、この蒸留ステップでは蒸留装置が使用され、該蒸留装置は、蒸留装置の使用中に、(液体又は留出液を含む)処理流体と接触する構成要素を含まず、約20%以上、約10%以上、約5%以上、約2%以上又は約1%以上の鉄を含む。
蒸留ステップがステップ3−b)にて行われる実施形態において、蒸留装置は、蒸留装置の使用中に、留出液又は処理流体と接触する、そのすべての構成要素がフルオロポリマー、フルオロクロロポリマー、ガラス、エナメル、フェノール系樹脂含浸黒鉛、炭化ケイ素及び/又は含フッ素黒鉛から生成されているように構成され得る。
蒸留ステップがステップ3−b)の一部として行われる場合、1,1,3−トリクロロプロペンを含む、このようなステップで得た流れは再循環され、第1反応区域及び/又は主反応区域に再循環及び供給され得る。
上記の方法は、当業者がよく知っている簡単で直接的な技術及び装置を使用して、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成することができるため、特に有利である。
本発明の実施形態において、本発明のステップ3)の工程を使用して:
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、及び以下の:
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
・約500ppm以下、約250ppm以下、若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
・約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物及び/又は
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄、
の1つ以上を含む、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成することができる。
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、及び以下の:
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
・約500ppm以下、約250ppm以下、若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
・約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
・約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
・約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物及び/又は
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄、
の1つ以上を含む、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成することができる。
疑義を避けるために、「塩素の無機化合物」という用語は、塩素(Cl2)、塩化水素及びホスゲンを含む、塩素を含有する非有機化合物を含む。
実施形態において、組成物は、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満又は約100ppm未満の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン以外の有機化合物を含み得る。追加的又は代替的に、組成物は、約0.5%未満、約0.3%未満、約0.1%未満の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン以外の有機化合物を集合的に含み得る。
本明細書で提供する開示から分かるように、上記のステップ1)、2)及び3)の工程は、任意に他の工程と組合わせて、完全連続モードでの統合工程で運転され得る。本発明の方法ステップは、高純度の中間体に転化される出発化合物を使用することができ、それ自体が必要とされる標的塩素化化合物にさらに加工される。それらの化合物は、例えばフッ化水素化転化のために、一連の下流工程において供給原料として用いられるのに必要な純度を有する。
加えて、ステップ3)の生成物に対応する純度プロファイルを有する組成物は、フルオロアルカン又はフルオロアルケン及び/若しくはクロロフルオロ化アルケンの合成における出発原料として使用するのに、とりわけ良好に適している。このため、さらなる態様により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)及び/又は1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)の合成における供給原料として本明細書に概説される、高純度1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン組成物の使用が提供される。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)の生成方法の好ましい実施形態の主な利点として、
−全体的な不純物が非常に少なく維持された、単一の高品質中間体及び最終生成物が得られるような、反応工程の制御の程度、
−すべての処理反応ステップが極めて異性体選択的であり、高い出発原料利用率、及び非常に純粋な中間体及び最終生成物の両方がもたらされること、
中間体及び最終生成物の品質をさらに改善するための、とりわけ問題のある酸素化化合物に関する処理工程、
−特に問題のある酸素化化合物に関して、中間体及び最終生成物の品質をさらに向上させる処理工程、
−生成された中間体及び最終製品が有利に高品質であり、保存又は輸送のための特別な安定化を必要としないこと、
−工程が工業的環境で連続的に運転可能であること、
−高品質の所望の中間体及び生成物の全収率が高いこと
を挙げることができる。
−全体的な不純物が非常に少なく維持された、単一の高品質中間体及び最終生成物が得られるような、反応工程の制御の程度、
−すべての処理反応ステップが極めて異性体選択的であり、高い出発原料利用率、及び非常に純粋な中間体及び最終生成物の両方がもたらされること、
中間体及び最終生成物の品質をさらに改善するための、とりわけ問題のある酸素化化合物に関する処理工程、
−特に問題のある酸素化化合物に関して、中間体及び最終生成物の品質をさらに向上させる処理工程、
−生成された中間体及び最終製品が有利に高品質であり、保存又は輸送のための特別な安定化を必要としないこと、
−工程が工業的環境で連続的に運転可能であること、
−高品質の所望の中間体及び生成物の全収率が高いこと
を挙げることができる。
段階2:高純度2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の生成(ステップ4)
ステップ4−a:触媒の存在下又は非存在下で1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成すること。
ステップ4−a:触媒の存在下又は非存在下で1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成すること。
本発明の方法により、触媒の存在下又は非存在下で、ステップ3の終わりに得た1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成する。
HFO−1234yfの調製方法は、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、前段階で得た1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)のフッ素化反応である。
このステップの実施形態は以下の通りである。
(i)触媒を使用せずに1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)がフッ素化されてHFO−1234yfとなり得て、ここで工程条件は、最終生成物までの反応が達成されるように選択することができる。
(ii)1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)が触媒的にフッ素化されてHFO−1234yfとなり得て、ここで工程条件は、最終生成物までの反応が達成されるように選択することができる。
(iii)反応は、液相中又は気相中で実施することができる。
(iv)方法のステップ4−aは、1段階方法であり得る。
(v)方法のステップ4−aは、以下の:
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンをHFと反応させて生成物2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとする、ステップ4−a1;及び
このようにして得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとするステップ4−a2;
を含み、ステップ4−a1が液相中又は気相中で行われ得て、ステップ4−a2が好ましくは気相中で行われる、2段階方法であり得る。2つの段階は、HCFO−1233xfの中間体の貯蔵及び/又は精製によって、連続的に又は不連続的に実施することができる。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンをHFと反応させて生成物2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとする、ステップ4−a1;及び
このようにして得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとするステップ4−a2;
を含み、ステップ4−a1が液相中又は気相中で行われ得て、ステップ4−a2が好ましくは気相中で行われる、2段階方法であり得る。2つの段階は、HCFO−1233xfの中間体の貯蔵及び/又は精製によって、連続的に又は不連続的に実施することができる。
(vi)全体の方法ステップ4−a並びに上述したステップ4−a1及び/又は4−a2は、連続的又は不連続的な方法で実施され得て、好ましくは方法及びその部分ステップを連続的に実施する。
(vii)方法を、大気圧〜20バール、好ましくは2〜18バール、より好ましくは3〜15バールの圧力で行う。
(viii)方法は、200〜450℃、好ましくは250〜400℃、より好ましくは280〜380℃の温度で行われ得る。
(ix)方法は、3〜100秒、好ましくは4〜75秒、より好ましくは5〜50秒の接触時間で行われ得る。
(x)方法は、3:1〜150:1、好ましくは4:1〜125:1、より好ましくは5:1〜100:1のHF:HCC−240dbのモル比で行われ得る。
(xi)方法は、p−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、リモネン、d,1−リモネン、キノン、ハイドロキノン、エポキシド、アミン及びこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される重合禁止剤の存在下で行われ得る。
(xii)この方法は、酸素及び/又は塩素の存在下で、好ましくはペンタクロロプロパン1分子当たり0.005〜15モル%、より好ましくは0.5〜10モル%の量の酸素又は塩素で行われ得る。
以下では、上で示した実施形態をより詳細に説明し、さらに特定の実施形態を例として説明する。
気相中で触媒を使用しないフッ素化反応
実施形態により、ステップ4−a)のフッ素化反応は触媒を使用せずに実施され得る。温度、圧力及びモル比HF:HCC−240dbは、当業者によって容易に決定される。通例の条件を以下に示す。
実施形態により、ステップ4−a)のフッ素化反応は触媒を使用せずに実施され得る。温度、圧力及びモル比HF:HCC−240dbは、当業者によって容易に決定される。通例の条件を以下に示す。
通例、このステップは、3:1〜150:1のモル比HF:HCC−240dbで行われる。
通例、このステップは、1〜20バールの圧力で行われる。
通例、このステップは、200〜450℃、好ましくは300〜430℃の温度で行われる。
触媒を使用する気相フッ素化反応
触媒が気相法で使用される実施形態により、触媒は、例えば遷移金属酸化物又はこのような金属の誘導体若しくはハライド若しくはオキシハライドを含む金属を主成分とする触媒である。触媒は、例えばFeCl3、オキシフッ化クロム、(任意にフッ素化処理に供することができる)酸化クロム、フッ化クロム及びこれらの混合物が挙げられる。他の考えられる触媒は、炭素担持触媒、アンチモン系触媒、アルミニウム系触媒(AlF3及びAl2O3及びアルミナのオキシフッ化物及びフッ化アルミニウム)である。概して、使用できる触媒は、オキシフッ化クロム、フッ化アルミニウム及びオキシフッ化アルミニウム並びにCr、Ni、Zn、Ti、V、Zr、Mo、Ge、Sn、Pb、Mgなどの金属を含有する担持又は非担持触媒である。すべて参照により本明細書に組み入れられている、WO−A−2007/079431の7頁の1〜5行及び28−32行目、EP−A−939071の段落
触媒が気相法で使用される実施形態により、触媒は、例えば遷移金属酸化物又はこのような金属の誘導体若しくはハライド若しくはオキシハライドを含む金属を主成分とする触媒である。触媒は、例えばFeCl3、オキシフッ化クロム、(任意にフッ素化処理に供することができる)酸化クロム、フッ化クロム及びこれらの混合物が挙げられる。他の考えられる触媒は、炭素担持触媒、アンチモン系触媒、アルミニウム系触媒(AlF3及びAl2O3及びアルミナのオキシフッ化物及びフッ化アルミニウム)である。概して、使用できる触媒は、オキシフッ化クロム、フッ化アルミニウム及びオキシフッ化アルミニウム並びにCr、Ni、Zn、Ti、V、Zr、Mo、Ge、Sn、Pb、Mgなどの金属を含有する担持又は非担持触媒である。すべて参照により本明細書に組み入れられている、WO−A−2007/079431の7頁の1〜5行及び28−32行目、EP−A−939071の段落
、WO2008/054781の9頁の行〜10頁の34行、WO2008/040969の請求項1の開示も参照することができる。
実施形態により、クロム系触媒であり、より好ましくはクロムとニッケルの両方を含む混合触媒である、特定の触媒が使用される。金属元素に対するモル比Cr:Niは一般に0.5と5の間、例えば0.7と2の間、例えば1に近いモル比を含む。触媒は、0.5〜20重量%のクロム及び0.5〜20重量%のニッケル、好ましくは2〜10重量%の各金属を含有し得る。
金属は、金属の形態で、又は酸化物、ハライド又はオキシハライドを含む誘導体として存在し得る。ハライド及び酸化ハライドを含むこれらの誘導体は、触媒金属の活性化によって得られる。金属の活性化は必要ではないが、好ましい。
担体は、好ましくはアルミニウム製である。アルミナ、活性化アルミナ又はアルミニウム誘導体などのいくつかの担体がある。これらの誘導体としては、例えば米国特許第4,902,838号に記載されている又は後述の活性化方法によって得られる、アルミニウムハライド及びアルミニウムの酸化ハライドが挙げられる。
触媒としては、活性化に供された又は供されていない担体上の、非活性化又は活性化形態のクロム及びニッケルが挙げられ得る。
参照により本明細書に組み入れられている、WO2009/118628、とりわけ4頁の30行〜7頁の16行の触媒の開示を参照することができる。
触媒は、好ましくは担持されていない高表面積Cr系触媒であることもできる。触媒は、Co、Zn、Mn、Mg及びNi塩などの1種以上の助触媒を低レベルで任意に含有することができる。好ましい助触媒は、ニッケル、亜鉛又はマグネシウム、特に好ましくは亜鉛である。別の好ましい助触媒はニッケルである。別の好ましい助触媒はMgである。高表面積Cr系触媒の開示は、WO2009/158321、4頁及び6頁)に見出すことができる。
好ましい実施形態により、前記助触媒は、好ましくは、前記フッ素化触媒の約1〜10重量%の量で存在する。
触媒は、その使用前に、空気、酸素若しくは塩素及び/又はHFによる活性化に供され得る。触媒は、好適な条件下で、通例HFによる活性化に供され得る。
触媒は、本方法の実施形態において、100〜500℃、好ましくは250〜500℃、より好ましくは300〜400℃の温度にて、酸素又は空気及びHFによる活性化処理に供され得る。活性化の時間は、好ましくは1〜200時間、より好ましくは1〜50時間である。
この活性化には、酸化剤、HF及び有機物、例えば活性化触媒を用いて行われる反応の出発原料の存在下での、最終フッ素化活性化ステップを続けることができる。HF/有機物のモル比は好ましくは2〜40であり、酸化剤/有機物のモル比は好ましくは0.04〜25である。最終活性化の温度は、好ましくは300〜400℃であり、より好ましくは約6〜100時間である。
触媒を使用する液相フッ素化反応
実施形態により、液相フッ素化反応が触媒される。触媒は、液相中でのフッ素化の当業者に既知の触媒であり得る。
実施形態により、液相フッ素化反応が触媒される。触媒は、液相中でのフッ素化の当業者に既知の触媒であり得る。
ルイス酸、金属ハライドを含む触媒であって、特にアンチモン、スズ、タンタル、チタン、遷移金属、例えばモリブデン、ニオブのハライド、鉄ハライド、セシウム、遷移金属の酸化物、第IVb族の金属のハライド、第Vb族の金属のハライド、フッ素化クロムハライド、フッ素化酸化クロム又は両方の混合物を使用することができる。金属塩化物及びフッ化物を有利に使用することができる。このような触媒の例としては、SbCl5、SbCl3、TiCl4、SnCl4、TaCl5、NbCl5、TiCl4、FeCl3、MoCl6、CsCl及びその対応するフッ素化誘導体が挙げられる。5価金属ハライドが好適である。
有利には、イオン性液体を含有する触媒が使用される。これらのイオン性液体は、液相中のHFによるフッ素化にとって特に興味深い。出願人名義の特許出願WO2008/149011(特に、4頁1行〜6頁15行、参照により組み入れられている。)及びWO01/81353に、及び参考文献「liquid−phase HF Fluorination」,Multiphase Homogeneous Catalysis,Ed.Wiley−VCH,(2002),535に記載されているイオン性液体を挙げることができる。
気相におけるフッ素化反応
フッ素化反応は、気相中で実施することができる。したがって、フッ素化方法は、HCC−240dbを所望のフッ素化生成物に転化するのに十分な条件下で、気相中の反応区域において、ステップ3で得たHCC−240dbをHFと接触させることを含む。
フッ素化反応は、気相中で実施することができる。したがって、フッ素化方法は、HCC−240dbを所望のフッ素化生成物に転化するのに十分な条件下で、気相中の反応区域において、ステップ3で得たHCC−240dbをHFと接触させることを含む。
このような条件、特にモル比HF:HCC−240db、圧力、温度、接触時間条件は、以下の1ステップ又は2ステップフッ素化方法の文脈で例示する。
1段階フッ素化方法
実施形態において、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを1段階方法でフッ素化し、この方法は特に気相方法である。
実施形態において、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを1段階方法でフッ素化し、この方法は特に気相方法である。
この1段階方法は、好ましくは1つの反応装置、より好ましくは1つの触媒床で行う。
単一段階の実施形態は、以下を処理する:
−触媒は、担持又は非担持、好ましくは非担持のクロム触媒である。
−触媒はNi、Co、Zn、Mn、Mg又はこれらの混合物から選択される助触媒、好ましくはニッケル、亜鉛又はマグネシウムをさらに含み、前記助触媒は、好ましくは前記フッ素化触媒の約1〜10重量%の量で存在する。
−方法は、好ましくは担持されたNi−Crを含む触媒の存在下で行う。
−方法は、好ましくは担持されたZn−Crを含む触媒の存在下で行う。
−触媒は、フッ素化アルミナ、フッ素化クロミア、フッ素化活性炭又は黒鉛炭素から選択される担体に担持されている。
−フッ素化触媒は、フッ素含有化合物、好ましくはフッ化水素によって活性化される。
−方法は3〜20バール、好ましくは5〜15バール、より好ましくは7〜10バールの圧力で行う。
−方法は、200〜450℃、好ましくは300〜430℃、より好ましくは320〜420℃の温度で行う。
−方法は、6〜100秒、好ましくは10〜4〜75秒、より好ましくは5〜50秒の接触時間で行う。
−方法は、3:1〜150:1、好ましくは4:1〜70:1、より好ましくは5:1〜50:1のHF:HCC−240dbのモル比で行う。
−方法は、p−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、リモネン、d,1−リモネン、キノン、ハイドロキノン、エポキシド、アミン及びこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される重合禁止剤の存在下で行う。
−方法は、酸素及び/又は塩素の存在下で、好ましくはペンタクロロプロパン1分子当たり0.05〜15モル%、より好ましくは0.5〜10モル%の量の酸素又は塩素で行う。
−触媒は、担持又は非担持、好ましくは非担持のクロム触媒である。
−触媒はNi、Co、Zn、Mn、Mg又はこれらの混合物から選択される助触媒、好ましくはニッケル、亜鉛又はマグネシウムをさらに含み、前記助触媒は、好ましくは前記フッ素化触媒の約1〜10重量%の量で存在する。
−方法は、好ましくは担持されたNi−Crを含む触媒の存在下で行う。
−方法は、好ましくは担持されたZn−Crを含む触媒の存在下で行う。
−触媒は、フッ素化アルミナ、フッ素化クロミア、フッ素化活性炭又は黒鉛炭素から選択される担体に担持されている。
−フッ素化触媒は、フッ素含有化合物、好ましくはフッ化水素によって活性化される。
−方法は3〜20バール、好ましくは5〜15バール、より好ましくは7〜10バールの圧力で行う。
−方法は、200〜450℃、好ましくは300〜430℃、より好ましくは320〜420℃の温度で行う。
−方法は、6〜100秒、好ましくは10〜4〜75秒、より好ましくは5〜50秒の接触時間で行う。
−方法は、3:1〜150:1、好ましくは4:1〜70:1、より好ましくは5:1〜50:1のHF:HCC−240dbのモル比で行う。
−方法は、p−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、リモネン、d,1−リモネン、キノン、ハイドロキノン、エポキシド、アミン及びこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される重合禁止剤の存在下で行う。
−方法は、酸素及び/又は塩素の存在下で、好ましくはペンタクロロプロパン1分子当たり0.05〜15モル%、より好ましくは0.5〜10モル%の量の酸素又は塩素で行う。
2段階フッ素化反応
実施形態により、方法のステップ4−aは、以下の:
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンをHFと反応させて生成物2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとする、ステップ4−a1、及び
このようにして得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとするステップ4−a2
を含み、ステップ4−a1が液相中又は気相中で行われる、2段階方法である。2つの段階は、HCFO−1233xfの中間体の貯蔵及び/又は精製によって、連続的に又は不連続的に実施することができる。
実施形態により、方法のステップ4−aは、以下の:
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンをHFと反応させて生成物2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとする、ステップ4−a1、及び
このようにして得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとするステップ4−a2
を含み、ステップ4−a1が液相中又は気相中で行われる、2段階方法である。2つの段階は、HCFO−1233xfの中間体の貯蔵及び/又は精製によって、連続的に又は不連続的に実施することができる。
ステップ(4−a1):HFを用いたHCC−240dbのフッ素化
反応は2つのステップで実施することができ、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンをHFと反応させる第1ステップは、液体溶媒媒体中でのフッ素化反応又は気相中でのフッ素化反応であり得る。
反応は2つのステップで実施することができ、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンをHFと反応させる第1ステップは、液体溶媒媒体中でのフッ素化反応又は気相中でのフッ素化反応であり得る。
ステップ(4−a1):液相中でのHFを用いたHCC−240dbのフッ素化
実施形態において、液相方法は、有機相中で行う。HF相よりもむしろ有機相を使用することは、HCFO−1233xfへの反応に有利であり、すなわちHCFO−1233xfへのフッ素化を可能にする条件が存在する。特に、反応が有機相(HCC−240db出発原料及び/又は溶媒を含む)中で行われる場合、次いでHCFO−1233xfを生成することができる。初期媒体にHFを添加すると、HFが反応し、HFの量(又は濃度)が他の生成物と比較して非常に低くなるため、媒体中にHFが残らない。
実施形態において、液相方法は、有機相中で行う。HF相よりもむしろ有機相を使用することは、HCFO−1233xfへの反応に有利であり、すなわちHCFO−1233xfへのフッ素化を可能にする条件が存在する。特に、反応が有機相(HCC−240db出発原料及び/又は溶媒を含む)中で行われる場合、次いでHCFO−1233xfを生成することができる。初期媒体にHFを添加すると、HFが反応し、HFの量(又は濃度)が他の生成物と比較して非常に低くなるため、媒体中にHFが残らない。
このため「有機相」という用語は、触媒及び出発原料及びおそらく使用する場合には溶媒を含むが、HFを実質的に含まない反応相を示すものとして定義することができる。とりわけ、「有機相」中で行われる工程は、先行技術とは対照的に、初期投入物質がHFを含まない工程を指す。
特定の運転条件のために、ガス状HCFO−1233xfを気相下で反応装置から除去し、重合反応を低レベルで維持することができる。
HCFO−1233xfへのHCC−240dbの液相フッ素化は、触媒の存在下で、例えば上に例示したような触媒の存在下で行われる。
反応は液体溶媒媒体中で実施することができ、反応区域には最初に開始量の有機物(出発原料)及び/若しくは必要量の溶媒を投入するか、又はこの量の(おそらく原材料と事前混合された)溶媒を連続的に供給するかのどちらかである。溶媒を用いて行う場合、最初に溶媒を投入することが好ましく、溶媒の量を調整するという観点から、必要に応じて注入が行われ得る。
反応条件(特に圧力)は、反応物が液体であるような条件である。一実施形態により、反応物は液体であるが、反応生成物は気体である。反応生成物が気体であるという事実により、反応区域の出口にて反応生成物を気相で回収することができる。実施形態において、この段階は、特に2バールを超える圧力下で実施される。有利には、圧力は4〜50バール、特に5〜25バールにある。
例えば反応は、30℃〜200℃、好ましくは40℃〜170℃、有利には50℃〜150℃の範囲に及ぶ温度にて実施され得る。
HF:有機物のモル比は、一般に0.5:1〜50:1、好ましくは3:1〜20:1にある。約5:1の値を有利に使用することができる。HFの添加量は反応の化学量論(ここでは3)に相当し、この化学量論に、通常、共沸混合物である排出流(HF及び有機物)中に存在するHFの量を添加する。
他の反応条件、特に流速は、温度、圧力、触媒、反応物比などに応じて、当業者が一般的な知識に従って決定することができる。
溶媒は、使用する場合、反応条件下での不活性な有機溶媒である。このような溶媒は、追加の反応を避けるために、一般に飽和され、有利にはC2〜C6である。このような溶媒は、例えば特許出願FR2733227に記載されている溶媒であることができる。このような溶媒は、例えば40℃より高い、有利には50℃より高い、特に60℃より高い(大気圧で測定した)沸点を有する。より高い反応温度はより高い圧力を示すため、反応条件下での溶媒の沸点は、反応の実施温度よりも高い。
特に、塩素及びフッ素の中から選択される少なくとも2個のハロゲン原子で置換されたエタン、プロパン若しくはブタンの飽和化合物又はこれらの混合物を溶媒として挙げることができる。例として、1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロプロパン、1−クロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロエタン及び1,3−ジクロロ−1−フルオロブタンを挙げることができ、テトラクロロフルオロプロパン異性体、トリクロロジフルオロプロパン異性体及びジクロロトリフルオロプロパン異性体、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン又はこれらの混合物である。ニトロメタン又はニトロベンゼンなどのニトロ化溶媒及び(スルホランとしても既知である)テトラメチレンスルホン又はジメチルスルホンなどのスルホンも使用され得る。好ましい溶媒は、1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン(HCFC−122)である。反応性溶媒も、その反応生成物が非反応性溶媒である限り、使用することができる。
溶媒は、少なくとも20%、好ましくは20%〜80%、有利には40%〜60%の希釈比の量で存在することができる。
触媒/(使用される場合、溶媒を含む)有機物の比が変動することができるが、一般に、このモル比が2mol%〜90mol%、好ましくは4mol%〜80mol%、より好ましくは6mol%〜75mol%であることが好ましい。
また、軽質ガスを使用して反応の生成物をストリッピングし、機械的連行によって反応を推進することも可能である。液相反応装置からガス状HCFO−1233xfを除去することにより、(重合可能な材料は媒体中に少量であるため)重合反応だけでなく、(HCFO−1233xfの二重結合への付加などの)副反応も低レベルに維持される。ガス状化合物の添加は反応に有利であり得て、反応は例えば撹拌(バブリング)の改善によって有利にすることができる。
このガスは窒素若しくはヘリウムとして不活性であることができるか、又はガスは好ましくはHClであることができる。HClを使用する場合、反応生成物であるHClの媒体中への添加にもかかわらず、反応は行われる。
有利には、この添加ガスは無水塩酸である。ストリッピングガスの流れは、運転条件に従って決定される。例えば出発生成物の流れと比較したHClの流れは、モル比HCl:出発生成物が0.5:1〜5:1、有利には1:1〜3:1となる。
液相におけるフッ素化方法は、連続的又は半連続的に実施することができる。実施形態により、方法は連続的である。
ステップ(4−a1):気相中でのHFを用いたHCC−240dbのフッ素化
2段階方法のステップ(4−a1)は、気相反応であり得る。
2段階方法のステップ(4−a1)は、気相反応であり得る。
実施形態において、HCC−240dbは気相中で触媒的にフッ素化されて、HCFO−1233xfとなる。使用される触媒は、例えば上記と同じ種類の触媒であり得る。
本フッ素化方法は、HCC−240dbを、主にHCFO−1233xfを含むフッ素化生成物に転化するのに十分な条件下で、気相中の反応区域においてHCC−240dbをHFと接触させることを含む。
通例、この方法は、3:1〜150:1、好ましくは4:1〜70:1、より好ましくは5:1〜50:1のHF:HCC−240dbのモル比で行う。
通例、この方法は、1〜20バール、好ましくは3〜15バール、より好ましくは5〜10バールの圧力で行う。
通例、この方法は、200〜450℃、好ましくは300〜430℃、より好ましくは320〜420℃の温度で行う。床の温度は、反応装置内で実質的に均一であることができるか、又は流れの経路に沿って調整することができ、流れの方向に沿って低下又は上昇する。
このステップ4−a1)の温度は、通常、ステップ4−a2)の温度よりも、好ましくは少なくとも30℃低い。
接触時間(反応物及び共供給物の全流速で割って、運転圧力及び温度に調整した、触媒体積)は、通例6〜100秒、好ましくは10〜80秒、より好ましくは15〜50秒である。
ステップ(4−a2):HCFO−1233xfのHFO−1234yfへの反応
実施形態において、HFO−1234yfのこの調製方法の第2段階は、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、前段階で得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233xf)のフッ素化反応である。
実施形態において、HFO−1234yfのこの調製方法の第2段階は、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、前段階で得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233xf)のフッ素化反応である。
実施形態において、この第2段階は、気相中、触媒上、HFの存在下での直接フッ素化を含むことができる。
この気相反応は、フッ素化触媒の存在下で行う。この反応は単一の気相反応装置中で行う。温度、圧力及び接触時間は、当業者によって容易に決定される。通例の条件を以下に示す。
最終生成物の転化及び選択性のレベルは、工程条件によって変動し得る。。触媒は、固定床又は流動床などの任意の好適な形態で、好ましくは固定床に存在することができる。流れの方向は、下向き又は上向きであり得る。
この触媒は、例えば上に例示したような触媒であり、必要に応じて、担持又は非担持であり、活性化されている。さらに、助触媒が使用され得る。好適な担体及び助触媒は上記の通りであり、この特定の実施形態に関連しても使用され得る。活性化ステップは、上記のように行うことができる。
方法のこのステップ及び方法全体は、好ましくは連続的に行う。
実施形態において、HCFO−1233xfフッ素化方法は、HCFO−1233xfを、HFO−1234yf及び任意にHFC−245cbを含むフッ素化生成物に転化するのに十分な条件下で、気相中の反応区域においてHCFO−1233xfをHFと接触させることを含む。このような条件を以下に示す。
通例、このステップは、3:1〜150:1、好ましくは4:1〜70:1、より好ましくは5:1〜50:1のHF:HCFO−1233xfのモル比で行う。
通例、このステップは、1〜20バール、好ましくは5〜15バール、より好ましくは7〜10バールの圧力で行う。
通例、このステップは、200〜450℃、好ましくは300〜430℃、より好ましくは320〜420℃の温度で行う。床の温度は、反応装置内で実質的に均一であることができるか、又は流れの経路に沿って調整することができ、流れの方向に沿って低下又は上昇する。
接触時間(反応物及び共供給物の全流速で割って、運転圧力及び温度に調整した、触媒体積)は、通例6〜100秒、好ましくは10〜80秒、より好ましくは15〜50秒である。
工程管理
全体の方法ステップ4−a、並びに上述したステップ4−a1及び/又は4−a2は、連続的又は不連続的な方法で実施され得て、好ましくは方法及びその部分ステップを連続的に実行し、このことは工業的観点から非常に望ましい。
全体の方法ステップ4−a、並びに上述したステップ4−a1及び/又は4−a2は、連続的又は不連続的な方法で実施され得て、好ましくは方法及びその部分ステップを連続的に実行し、このことは工業的観点から非常に望ましい。
実施形態により、反応中に使用する反応物(出発生成物及びHF)、並びに他の化合物(塩素、酸素)は、同じ場所、異なる場所にて、又は反応装置に沿った段階的位置にて段階的に、反応装置中に供給される。好ましい供給系は、反応装置内の反応物を気化させることである。反応物は、この場合、反応装置にさらに供給される再循環流によって加熱され得る。
反応は、ハロゲンを含む反応のための専用反応装置で実施される。このような反応装置は当業者に既知であり、例えばハステロイ(商標)、インコネル(商標)、モネル(商標)又はフルオロポリマーを主成分とするライニングを含むことができる。反応装置は、必要な場合、熱交換手段も含み得る。
フッ素化反応に使用される触媒は再生することができる。再生は、使用済触媒を酸化剤含有ガス流と接触させることによって行われ得る。使用される酸化剤は、酸素又は空気又は酸素/窒素混合物又は塩素である。再生が空気又は酸素/窒素混合物を用いて行われる場合、酸素の割合は、酸素と窒素の混合物に対して20〜約100mol%の範囲に及ぶことができる。
別の実施形態において、再生は、酸素又は空気又は酸素/窒素混合物又は塩素及びHFを用いて行うことができる。酸素の割合は、酸素とHFとの混合物に対して約2〜約98モル%、酸素と窒素の混合物に対して約20〜約100モル%の範囲に及ぶことができる。
再生中の温度は、1〜200秒、好ましくは1〜150秒、より好ましくは5〜100秒の接触時間で、1〜約1500時間、好ましくは2〜1000時間、より好ましくは4〜500時間、最も好ましくは10〜200時間、特に15〜150時間の時間にわたって、250〜500℃、好ましくは300〜450℃、より好ましくは350〜400℃の範囲に及び得る。再生は、大気圧から20バールの圧力にて行うことができる。好ましい実施形態において、再生中の温度は、約1〜200秒の接触時間で、10〜200時間の時間にわたって、大気圧〜20バールの圧力にて、約250〜500℃の範囲に及ぶことができる。
特定の実施形態において、好ましくは本発明の方法により得られたHCC−240dbの、HCFO−1233xf又はHFO−1234yfへのフッ素化は、又は、好ましくは本方法による、HCC−240dbのHCFO−1233xf又はHFO−1234yfへの前記フッ素化に使用される触媒の再生ステップを用いて行われ得る。好ましい実施形態において、第1及び第2の反応装置を使用することができる。実際、第1の反応装置を使用してフッ素化反応(ステップ4−a)又はステップ4−c)を行うことができ、同時に第2の反応装置では使用済触媒の再生が行われる。第1の反応装置でフッ素化反応が終了すると、そこで再生が行われ、同時に第2の反応装置では再生触媒を用いてフッ素化反応が行われる。
最終生成物は、スクラビング、洗浄、抽出、デカンテーション、好ましくは蒸留などの当分野で既知の任意の手段によって直ちに回収される。最終生成物は、蒸留技術によってさらに精製することもできる。
重合禁止剤
重合禁止剤は、例えば触媒寿命を延ばすために、通例約50〜1000ppm、より好ましくは100〜500ppmの濃度で使用することができる。重合禁止剤は、p−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、リモネン、d,1−リモネン、キノン、ハイドロキノン、エポキシド、アミン及びこれらの混合物であることができる。好ましい重合禁止剤は、p−メトキシフェノール又はt−アミルフェノールである。低レベルの重合禁止剤の同時供給は、参照により本明細書に組入られているUS5714651に記載されているように、クロロオレフィンのこのような重合を制御し、触媒の寿命を延ばすことができる。
重合禁止剤は、例えば触媒寿命を延ばすために、通例約50〜1000ppm、より好ましくは100〜500ppmの濃度で使用することができる。重合禁止剤は、p−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、リモネン、d,1−リモネン、キノン、ハイドロキノン、エポキシド、アミン及びこれらの混合物であることができる。好ましい重合禁止剤は、p−メトキシフェノール又はt−アミルフェノールである。低レベルの重合禁止剤の同時供給は、参照により本明細書に組入られているUS5714651に記載されているように、クロロオレフィンのこのような重合を制御し、触媒の寿命を延ばすことができる。
酸素及び/又は塩素同時供給
実施形態において、通例、ペンタクロロプロパン1分子当たり0.05〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%の量の酸素又は塩素で、酸素及び/又は塩素同時供給を使用すると、触媒の寿命が延長され得る。酸素は、空気、純酸素又は酸素/窒素混合物などの酸素含有ガスとして導入することができる。
実施形態において、通例、ペンタクロロプロパン1分子当たり0.05〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%の量の酸素又は塩素で、酸素及び/又は塩素同時供給を使用すると、触媒の寿命が延長され得る。酸素は、空気、純酸素又は酸素/窒素混合物などの酸素含有ガスとして導入することができる。
ステップ4−b:ステップ4−a)で得た反応混合物の、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ及びHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れへの分離
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClの除去
実施形態により、本明細書に記載する方法は、上記ステップ4−a)で得た生成物混合物から、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを分離するステップを含み得る。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClの除去
実施形態により、本明細書に記載する方法は、上記ステップ4−a)で得た生成物混合物から、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを分離するステップを含み得る。
分離ステップ4−bの実施形態に従って行われる方法は、HCFO−1233xfがHCC−240dbにとって代わられることを除いて、図11に示すように行うことができる。気相反応装置にHCC−240db及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、HCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、蒸留によって、HCl、HFO−1234yf(おそらく少量のHFを含み、それによって共沸混合物を形成する。)及び微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xfを含む、第1の流れ(軽質生成物)に分離される。より重質の第2の流れが蒸留塔の底部で得られ、HF、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む。HCl、HFO−1234yf(HFを含む。)及び微量の他の生成物を含有するより軽質の留分は、再び蒸留される。上部流はHClを含むのに対して、下部流はHFO−1234yf及びHFを含み、適切な公知の方法を使用して再び分離することができる。既知の方法にはデカンテーションがあり、デカンテーションは、気相反応装置に再循環することができるHFに富む流れを生成する。デカンテーションから排出される流れは、洗浄及びスクラビング及び蒸留を含む、既知の方法に従って処理される。
分離ステップ4−bの実施形態に従って行われる方法は、HCFO−1233xfがHCC−240dbにとって代わられ、有機フッ素化生成物が蒸留される前にHClが第1ステップで除去されることを除いて、図12に示すように実施することができる。気相反応装置にHCC−240db及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、HCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、第1の蒸留によって、主にHClを含有する流れと、他の生成物を含む別の流れに分離される。この他の流れは、蒸留によって、HFO−1234yf(おそらく少量のHFを含み、それによって共沸混合物を形成する。)及び微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xf含む、第1の流れ(軽質生成物)に分離される。より重質の第2の流れが蒸留塔の底部で得られ、HF、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む。HFO−1234yf(HFを含む。)及び微量の他の生成物を含有するより軽質の留分は、第2の蒸留塔の頂部で得られる。この頂部流は、適切な既知の方法を使用して再び分離することができる。既知の方法にはデカンテーションがあり、デカンテーションは、気相反応装置に再循環することができるHFに富む流れを生成する。デカンテーションから排出される流れは、洗浄及びスクラビング及び蒸留を含む、既知の方法に従って処理される。
他の実施形態において、気相反応装置を出る反応流は、軽質の第1の流れ及び重質の第2の流れへの分離に供される前に、一部は反応装置に再循環させることができる。再循環比は0.7もの高さとすることができる。この再循環により、非常に反応性が高いHCFO−1233xfの希釈が可能となり、重合が回避される。
HCFO−1233xfの分離
本明細書に記載の方法のステップ4−aにおいて、HCFO−1233xfはHFO−1234yfと共に生成され得て、HCFO−1233xf及びHFC−245cbは分離され、本発明の実施形態による気相反応装置に再循環される。
本明細書に記載の方法のステップ4−aにおいて、HCFO−1233xfはHFO−1234yfと共に生成され得て、HCFO−1233xf及びHFC−245cbは分離され、本発明の実施形態による気相反応装置に再循環される。
したがって方法は、さらに:反応混合物を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む第1の流れ及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離するステップ;及び第2の流れの少なくとも一部を少なくとも部分的にステップ(4−a)に戻して再循環させるステップを含む。
ステップ4−c:4−a)で得た反応混合物又は4−b)で得た第2の流れを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を得ること
実施形態により、HCl、HF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及びステップ4−aで得た2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物、及び/又はステップ4−b)で得た第2の流れを、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)に転化する。
実施形態により、HCl、HF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及びステップ4−aで得た2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物、及び/又はステップ4−b)で得た第2の流れを、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)に転化する。
実施形態において、ステップ4−aで得た、すなわち1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む、反応混合物は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)に転化される。実施形態により、ステップ4−aで得た反応混合物は、少なくとも部分的にステップ4−aに再循環させることができる。
代替的又は追加的に、ステップ4−b)で得た第2の流れ、すなわちHFO−1234yf及び/又はHClの分離後の反応混合物も、特に第2の流れを方法ステップ4−aに再循環させるによって、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)に転化され得る。
ステップ(4−c)は、触媒の存在下、HFとの、ステップ(4−b)の第2の流れの、好ましくは気相でのフッ素化反応であり得て、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、ステップ(4−a)で得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンのフッ素化を主に含み得る。
ステップ4−d:生成物流4−c)の、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れへの分離
方法ステップ4−bに関連して上で説明したように、方法ステップ4−cで得た生成物流、すなわちHCl、HF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む生成物流も、実施形態に従って、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離され得る。
HCC−240db(ステップ4−a)のフッ素化の後並びに4−a)で得た反応混合物又は4−b)で得た第2の流れのさらなる反応後に分離ステップが行われて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物が得られることを疑義なく示すために、本方法のステップ4に、任意の方法ステップ4−dを加えている。分離については、上記の分離ステップ4−bを参照されたい。
ステップ4−e):4−b)で得た第2の流れの少なくとも一部のステップ4−a)への、又は4−d)で得た第2の流れの少なくとも一部のステップ4−a)又は4−c)のどちらかへの再循環
ステップ4−b)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)に再循環させることができるか、又は4−d)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)又は4−c)のどちらかに再循環させることができる。
ステップ4−b)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)に再循環させることができるか、又は4−d)で得た第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)又は4−c)のどちらかに再循環させることができる。
再循環が使用される場合、反応装置の入口にて又は反応装置の中間段階、例えば別個の浸漬管にて直接再循環することができる。
ステップ4−f:4−b)又は4−d)で得た第1の流れからの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の分離
第1の流れは、HCl及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)にさらに分離され得る。HFO−1234yfは、適切な既知の方法、好ましくは蒸留ステップを用いて分離することができる。例えば分離装置が蒸留塔として使用され得る。
第1の流れは、HCl及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)にさらに分離され得る。HFO−1234yfは、適切な既知の方法、好ましくは蒸留ステップを用いて分離することができる。例えば分離装置が蒸留塔として使用され得る。
ステップ4−g:4−a)、4−b)、4−c)、4−d)、4−e)、4−f)の1つ以上のステップで得た、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、HCI又はHFから選択される少なくとも1つの化合物の精製
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製
実施形態により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、1つ以上のさらなる精製ステップを経ることができ、すなわち分離されたHFO−1234yfは続いて、不純物及びおそらく微量のHFを除去するために、精製ステップに供することができる。
実施形態により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、1つ以上のさらなる精製ステップを経ることができ、すなわち分離されたHFO−1234yfは続いて、不純物及びおそらく微量のHFを除去するために、精製ステップに供することができる。
本明細書で使用する場合、「軽質」有機不純物という用語は、低沸点、すなわちHCl及びHFO−1234yfの大気沸点の間の沸点を有する不純物を示すことを意味する。
フッ化水素酸(HF)の分離
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の生成方法は、実施形態により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びHFを、前記2つの化合物を含む、上記のステップ4の1つに従って生成されたような反応混合物又は流れ、特に上記のステップ4−b及びステップ4−dで得た反応混合物又は流れから分離し、このように分離したHFO−1234yf及びHFを回収するためのステップも含み得る。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の生成方法は、実施形態により、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びHFを、前記2つの化合物を含む、上記のステップ4の1つに従って生成されたような反応混合物又は流れ、特に上記のステップ4−b及びステップ4−dで得た反応混合物又は流れから分離し、このように分離したHFO−1234yf及びHFを回収するためのステップも含み得る。
それぞれの方法は、参照により本明細書に組み入れられている、出願人自身の特許出願WO2013/007906に開示されている。
したがって、実施形態において、HFに富む上相、HFO−1234yfに富む有機下相及び任意に化合物C1を与えるために、ステップ4−b)及び/又は4−d)の第1の流れを任意に、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、任意にフッ素化アルコール、任意にフッ素化エーテル、ケトン、エステル、ポリオール及びフッ化水素化エーテルから選択される少なくとも1つの化合物(C1)の添加量の存在下で冷却する。
少なくとも1つの化合物C1の存在下でのこの冷却段階により、任意の精製段階なしで使用することができる、極少量のHFO−1234yfを有し、HFがより豊富な上相を得ることが可能となる。このようにして回収したHFは、フッ化水素化反応段階に直接再循環することができる。
下側の有機相は、化合物C1、HFO−1234yf及びおそらく有機不純物を含む。この有機相は、化合物C1とHFO−1234yfを分離するために蒸留段階に供することができる。化合物C1は、冷却段階及び/又は反応段階に再循環されて、HFO−1234yfの生成をもたらすことができる。
分離される組成物中のHFO−1234yf/HFモル比は、好ましくは0.5〜2.5、有利には1.1〜2.1である。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、好ましくは、分離される組成物中のHFとの共沸又は擬共沸量で存在する。
実施形態において、冷却段階のための組成物に添加される化合物C1は、好ましくは3個の炭素原子を含むハイドロハロカーボン化合物である。特にペンタクロロプロパン、特に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240aa)及び1,1,1,2,2−ペンタクロロプロパン(HCC−240ab);テトラクロロフルオロプロパン、特に1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン(HCFC−241db);トリクロロジフルオロプロパン;ジクロロトリフルオロプロパン、特に1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−243db);クロロテトラフルオロプロパン、特に2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−244bb);テトラクロロプロペン、特に1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)及び1,1,1,2−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf);並びにクロロトリフルオロプロペン、特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)が挙げられる。
好ましくは、添加される化合物は、HFと反応してHFO−1234yfを与えた化合物と同じであり、又は添加される化合物は、HFO−1234yfの製造をもたらすフッ化水素化反応における中間体である。
HFO−1234yfはHCC−240dbに対するフッ化水素化反応によって調製されるため、化合物C1は、好ましくは、HCC−240db又はHCFO−1233xfである。
同様に、HFO−1234yfがHCFO−1233xfに対するフッ化水素化反応によって調製される場合、化合物C1は、好ましくはHCFO−1233xfである。
化合物C1がHFと反応してHFO−1234yfを与えた化合物とは異なる場合、好ましい化合物C1は、任意にフッ素化されたアルコール、任意にフッ素化されたエーテル、ケトン、エステル、ポリオール及びフッ化水素化エーテルから選択される。
アルコールとしては、炭素原子が1〜5個のアルキル基を有するアルコールが特に挙げられる。アルコールはフッ素化することもでき、好ましいフッ素化アルコールは炭素原子が1〜3個のアルキル基から選択される。
R及びR’が同一又は異なり、それぞれ炭素原子が1〜5個のアルキル基を表す、式RCOR’のケトンが好適であり得る。
R及びR’が同一又は異なり、それぞれ炭素原子が1〜5個のアルキル基を表す、式RCOOR’のエステルが好適であり得る。
R及びR’が同一又は異なり、それぞれ炭素原子が1〜7個のアルキル基を表す、式ROR’のエーテルが好適であり得る。
エーテルは、部分的又は完全にフッ素化され得る。エーテルが部分的にフッ素化されている場合、このようなエーテルはフッ化水素化エーテルと呼ぶ。
フッ化水素化エーテルとして、0〜250℃、有利には20℃〜200℃、より有利には20℃〜150℃の沸点を有するものが好ましい。
具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(HFE−245mf)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエチルメチルエーテル(HFE−245mc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−245pc)、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−356mec)又は1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロジエチルメチルエーテル(HFE−356mff)が挙げられる。
フッ化水素化エーテル、例えばヘプタフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−7000)、ノナフルオロブチルメチルエーテル/ノナフルオロイソブチルメチルエーテル(HFE−7100)、ノナフルオロブチルエチルエーテル(HFE−7200)、デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデカフルオロヘキサン(HFE−7500)並びにパーフルオロイソブチルエチルエーテルとパーフルオロブチルエチルエーテル(20〜80重量%)の混合物(HFE−8200)が有利であり得る。
ポリオール、例えばnが1〜3であり、R及びR’が同一又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素原子が1〜5個のアルキル基を表す、エチレングリコールRO(CH2CH2O)nR’が好適であり得る。
化合物C1の添加量は、HFO−1234yf/HF混合物に対して5〜95重量%、好ましくはHFO−1234yf/HF混合物に対して10〜80重量%に相当することができる。
分離される組成物は、好ましくは−20〜40℃の温度、有利には−5〜35℃の温度まで冷却される。冷却温度は、添加される化合物C1の性質及び量の両方に依存する。このため、少量のHCC−240dbを添加する場合、冷却段階の温度は好ましくは0℃付近であるが、より多くの量の化合物C1の存在下で周囲温度(すなわち25℃)に達することができる。
この冷却段階が行われる圧力は、0〜40バール、好ましくは0.3〜25バール、有利には反応ステージの圧力付近である。
HFO−1234yf及びHFに加えて、分離される組成物は、HCFO−1233xf及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)などの有機不純物を含むことができる。
これらの不純物は、一般に、反応段階からの副生成物である。
又は、HFと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの分離は、デカンテーションによって行われ得る。デカンテーションは、有機相中のHFがより少なく、HF相中の有機物(特にHFO−1234yf)が少ないという、良好な分離を得るために、低温(−5℃以下)で行われる。
さらに、上記で詳述した分離ステップの後に2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流中に存在し得るHFの残留量を除去するために、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は水と接触され、乾燥ステップに供され得る。回収不能な量のHFを含有する2,2,2,3−テトラフルオロプロペン流を、第1のHF吸収装置内中の水で処理して、酸の大部分を除去する。次いで、中和スクラバ内で弱苛性溶液(例えば20%NaOH又はKOH)を循環させて流れを処理し、さらなる量の酸を除去する。次いで、酸を含まない流れを任意に冷却して選択的に水を凝縮して水分量を低減した後、微量の水分を除去する乾燥ステップを続ける。乾燥ステップは、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カリウム、シリカゲル又はモレキュラーシーブ(ゼオライト)、例えばシリポライトなどの固体生成物を用いて行われる。
蒸留
実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)は、ハロゲン化合物を主とする不純物を含む2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンが蒸留塔に供給されて「軽質」有機不純物、すなわちHClの大気沸点とHFO−1234yfとの間の大気沸点を有する有機不純物を除去する、精製方法で精製され得る。
実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)は、ハロゲン化合物を主とする不純物を含む2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンが蒸留塔に供給されて「軽質」有機不純物、すなわちHClの大気沸点とHFO−1234yfとの間の大気沸点を有する有機不純物を除去する、精製方法で精製され得る。
「軽質」有機不純物は、−84〜35℃の沸点を有する有機化合物を含み得る。軽質有機不純物は、実施形態において、トリフルオロメタン(HFC−23)、1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロエタン(CFC−116)、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)、3,3,3−トリフルオロプロピン、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1−クロロ−1,1,2,2,2−テトラフルオロエタン(CFC−115)からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
抽出蒸留による精製
本方法の実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を抽出蒸留に供する。2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、参照により本明細書に組み入れられている、FR1563165、FR1563166、FR1563167、FR1563168、FR1563169に開示されているように精製され得る。以下のステップを含む精製方法を提供することにより、中に含有された1つ以上の不純物からの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、
a)2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を少なくとも1つの抽出剤と接触させて第1の組成物を形成するステップ;
b)前記第1の組成物を抽出蒸留して、
i)抽出剤、1つ以上の不純物を含む第2の組成物、及び
ii)2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製流
を形成するステップ、
c)前記第2の組成物を回収及び分離して、前記抽出剤を含む流れ及び1つ以上の不純物を含む流れを形成するステップ;好ましくは前記抽出剤を含む流れはステップa)に再循環されることを含む。2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、ステップb)ii)で回収した流れ中の1つ以上の不純物の含有量が、ステップa)の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流中の前記1つ又は不純物の含有量より少ない場合に精製される。
本方法の実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を抽出蒸留に供する。2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、参照により本明細書に組み入れられている、FR1563165、FR1563166、FR1563167、FR1563168、FR1563169に開示されているように精製され得る。以下のステップを含む精製方法を提供することにより、中に含有された1つ以上の不純物からの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、
a)2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を少なくとも1つの抽出剤と接触させて第1の組成物を形成するステップ;
b)前記第1の組成物を抽出蒸留して、
i)抽出剤、1つ以上の不純物を含む第2の組成物、及び
ii)2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製流
を形成するステップ、
c)前記第2の組成物を回収及び分離して、前記抽出剤を含む流れ及び1つ以上の不純物を含む流れを形成するステップ;好ましくは前記抽出剤を含む流れはステップa)に再循環されることを含む。2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流は、ステップb)ii)で回収した流れ中の1つ以上の不純物の含有量が、ステップa)の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流中の前記1つ又は不純物の含有量より少ない場合に精製される。
前記抽出剤は、炭化水素、ハイドロハロカーボン、アルコール、ケトン、アミン、エステル、エーテル、アルデヒド、ニトリル、カーボネート、チオアルキル、アミド及び複素環からなる群から選択される溶媒であり得る。前記抽出剤は、10〜150℃の範囲の範囲に及ぶ沸点を有し得る。
抽出剤は、除去される前記1つ以上の不純物の1つに対して選択され得る。前記抽出剤は、1.1以上の分離係数S1,2を有し得て、前記分離係数は式S1,2=(γ1,S*P1)/(γ2,S*P2)によって決定され、式中、
γ1,Sは、無限希釈時の前記抽出剤中の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの活性係数を表し、
P1は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの飽和蒸気圧を表し、
γ2,Sは、無限希釈時の前記抽出剤中の除去される前記1つ以上のうちの前記1つの不純物の活性係数を表し、
P2は、除去される前記1つ以上の不純物の前記1つの飽和蒸気圧を表し、
有利には、分離係数は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.6以上、最も好ましくは1.8以上、特に2.0以上であり得る。
γ1,Sは、無限希釈時の前記抽出剤中の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの活性係数を表し、
P1は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの飽和蒸気圧を表し、
γ2,Sは、無限希釈時の前記抽出剤中の除去される前記1つ以上のうちの前記1つの不純物の活性係数を表し、
P2は、除去される前記1つ以上の不純物の前記1つの飽和蒸気圧を表し、
有利には、分離係数は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.6以上、最も好ましくは1.8以上、特に2.0以上であり得る。
前記抽出剤は、0.20以上の吸収容量C2,Sも有し得て、吸収容量は式C2,S = 1/(γ2,S)によって決定され、式中、γ2,Sは無限希釈時に抽出剤中で除去される前記1つ以上の不純物の1つの活性係数を表し、有利には、吸収容量は、0.40以上、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.80以上、特に1.0以上であり得る。前記1つ以上の不純物は、例えば3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)、クロロメタン(HCC−40)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)又はトランス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−E)であり得る。
例えば除去される不純物が、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)である場合、抽出剤は、2−メトキシ−1−プロペン、1,2−エポキシプロパン、エトキシ−エテン、ジメトキシメタン、メチルアセテート、イソブタナール、イソプロピルホルメート、エチルアセテート、ブタノン、n−プロピルホルメート、1,2−ジメトキシエタン、イソプロピルアセテート、2−メチルブタナール、エチルプロピオネート、1,2−ジメトキシプロパン、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、ジエチルカーボネート、n−ブチルアセテート、2−ヘキサノン、5−ヘキセン−2−オン、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナール、2−(ジメチルアミノ)−エタノール、2−メチルピラジン、1−メチルピペラジン、バレロニトリル、4−メチル−2−ヘキサノン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、2,6−ジメチルモルホリン、メチルヘキサノエート、1−プロポキシ−2−プロパノールから;有利にはエトキシ−エテン、ジメトキシメタン、メチルアセテート、イソブタナール、イソプロピルホルメート、エチルアセテート、ブタノン、1,2−ジメトキシエタン、イソプロピルアセテート、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、ジエチルカーボネート、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナール;好ましくはジメトキシメタン、ブタノン、イソプロピルアセテート、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから;特にジメトキシメタン、イソプロピルアセテート、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから選択され得る。
例えば除去される不純物が、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)である場合、抽出剤は、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、エトキシ−エテン、ジメトキシメタン、n−プロピルアミン、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチルアミン、プロパノン、メチルアセテート、イソブタナール、テトラヒドロフラン、イソプロピルホルメート、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチル−プロパン、エチルアセテート、ブタノン、ジエトキシメタン、イソプロピルアセテート、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、sec−ブチルアセテート、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、ジエチルカーボネート、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから;有利にはエチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチル−プロパン、ブタノン、ジエトキシメタン、イソプロピルアセテート、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから;好ましくはエチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、2−エトキシ−2−メチル−プロパン、ジエトキシメタン、イソプロピルアセテート、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから選択され得る。
例えば除去すべき不純物が、クロロメタン(HCC−40)である場合、抽出剤はメチルホルメート、2−メトキシ−1−プロペン、エトキシ−エテン、プロパノン、メチルアセテート、イソブタナール、イソプロピルホルメート、エチルアセテート、ブタノン、n−プロピルホルメート、1,2−ジメトキシエタン、イソプロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メトキシエタンアミン、2−メトキシブタナール、tert−ブチルアセテート、エチルプロピオネート、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1プロパンアミン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−エトキシエタンアミン、sec−ブチルアセテート、n−メチル−1,2−エタンジアミン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジアミノエタン、ブチロニトリル、1−メトキシ2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、ジエチルカーボネート、n−ブチルアセテート、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、5−ヘキセン−2−オン、2−メチルピリジン、2−メトキシ1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナール、2−(ジメチルアミノ)−エタノール、2−メチルピラジン、2−エトキシ−1−プロパノール、1,3−プロパンジアミン、バレロニトリル、2,6−ジメチルピリジン、4−メチル−2−ヘキサノン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、4−メチルピリジン、2,6−ジメチルモルホリン、メチルヘキサノエート、2−プロポキシエタノール、1−プロポキシ−2−プロパノールから;有利にはメチルホルメート、エトキシ−エテン、プロパノン、メチルアセテート、イソブタナール、イソプロピルホルメート、エチルアセテート、ブタノン、イソプロピルアセテート、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、1,3−ジオキサン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、sec−ブチルアセテート、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、ジエチルカーボネート、n−ブチルアセテート、2−メトキシ1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから;好ましくはメチルホルメート、プロパノン、ブタノン、イソプロピルアセテート、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、n−ブチルアセテート、2−メトキシ1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから;特にメチルホルメート、イソプロピルアセテート、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、n−ブチルアセテート、2−メトキシ1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ヘキサナールから選択され得る。
又は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、クロロメタンから、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、パークロロメタン、1,2−ジクロロプロパン、パークロロエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、γ−ブチロラクトン及びジメチルスルホキシドから選択される抽出剤によって分離され得る。
例えば2,3,3,3−テトラフルオロプロペンはまた、1,1,1,2−テトラフルオロエタンから、アルコール、ケトン、エステル、アミド、炭素原子2〜4個を有するヒドロフルオロエーテル、スルホキシド、ニトリル及び次クロロプロパンからなる群から選択される抽出溶媒を使用して分離され得て、好ましくは、抽出溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、ジメチルスルホキシド及びアセトニトリルから選択され得る。
吸着剤を用いた精製
実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)は、ハロゲン化合物を主とする不純物を含む2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを吸着剤、好ましくはモレキュラーシーブ及び有利には平均径が5〜11オングストローム、好ましくは5〜9オングストロームの細孔開口を有するモレキュラーシーブと接触させる、精製方法において精製され得る。
実施形態において、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)は、ハロゲン化合物を主とする不純物を含む2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを吸着剤、好ましくはモレキュラーシーブ及び有利には平均径が5〜11オングストローム、好ましくは5〜9オングストロームの細孔開口を有するモレキュラーシーブと接触させる、精製方法において精製され得る。
HFO−1234yf中に存在するハロゲン化化合物を主とする不純物は、粗HFO−1234yfを吸着剤と接触させることによって(部分的又は完全に)除去できることが見出されている。
モレキュラーシーブは、合成ゼオライトとしても既知であり、とりわけガス又は液体を乾燥させるために吸着剤として業界で広く使用されている化合物である。モレキュラーシーブは、四面体の集合体から形成された三次元結晶構造を有する金属アルミノシリケートである。これらの四面体は、頂点を占め、中心に配置されたケイ素原子又はアルミニウム原子のどちらかを包囲する4個の酸素原子によって形成されている。これらの構造は、一般に、ナトリウム、カリウム又はカルシウムから誘導されるカチオンなどの、系を電気的に中性にするためのカチオンを含有する。
使用に好適であるモレキュラーシーブは、好ましくはA型及びX型のモレキュラーシーブ、有利にはX型のモレキュラーシーブである。
「A型」のモレキュラーシーブの場合、四面体は、それらが切頂八面体を構成するように組立てられる。これらの八面体はそれ自体が単純な立方晶構造に配置され、その空洞の直径が約11.5の網目を形成する。これらの空洞は、カチオンで部分的に閉塞することができる開口部又は細孔を介して出入り可能である。これらのカチオンがナトリウムから誘導される場合、これらの空洞は4.1オングストロームの開口径を有し、これにより「4A」モレキュラーシーブが与えられる。このようなシーブの結晶構造は、以下の化学式で表され得る。
Na12[(AlO2)12(SiO2)12].xH2O、式中、構造(結晶水)に属する水分子の数を表すxは、無水ゼオライトの28.5重量%に相当する、27までであり得る。
結晶水を約500〜700℃の温度で加熱して除去した後、これらの材料の空洞を各種のガス又は液体の選択的吸着に利用することができる。このため、各種の種類のゼオライトの細孔によって、有効径が有効細孔径以下である分子のみの、対応する空洞における通過及び吸着が可能となる。ガス又は液体を乾燥させる場合、この分子はこのため、前述の空洞内で選択的吸着よって保持される水分子であり、乾燥される物質はそれ自体では全く又はほとんど吸着されない。
さらに、開口部(又は細孔)のサイズは、異なる種類のモレキュラーシーブに応じて変更され得る。このため、4Aモレキュラーシーブのナトリウムイオンの大部分をカリウムイオンと交換することによって、約3オングストロームの直径を有する3Aモレキュラーシーブが得られる。5Aモレキュラーシーブは、ナトリウムイオンをカルシウムイオンで置換することによって調製され、有効細孔径は約5オングストロームである。
ゼオライトXの基本セルは、頂点がゼオライトA中に存在するものと同じ種類の多面体によって占有されている四面体であり、それぞれ8個の酸素原子を含む二重リングによって形成された八面体の下位構造によって、4個の他の多面体に連結されている。各辺の中心は常に酸素原子で占められているのに対し、ケイ素原子及びアルミニウム原子は多面体の様々な頂点を占有している。実験式はNa88Al88Si104O384.220H2O構造のものである。
この方法は、少なくとも85重量%、好ましくは90重量%超、有利には95重量%超の純度を有する粗HFO−1234yfの精製に好適である。
精製ステップに供した粗HFO−1234yfは、デカンテーション又は蒸留などの任意の分離の後、製造ステップから得た流出物から直接生じ得る。
HFO−1234yf中に存在する飽和ハロゲン化化合物を主とする不純物は、とりわけHFC−245eb(CF3−CHF−CH2F)、HFC−245cb(CF3−CF2−CH3)、HFC−236ea(CF3−CHF−CHF2)、1,1,1,2−テトラフルオロ−3−クロロプロパン及びテトラフルオロプロパンである。不飽和ハロゲン化化合物を主とする不純物は、とりわけフルオロプロペン、例えば1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン及び1,1,1−トリフルオロプロペンである。
粗HFO−1234yfを精製するための吸着剤との接触は、気相又は液相中で−20℃〜+80℃、好ましくは+10℃〜+40℃の温度及び100〜2200kPaの圧力、好ましくは大気圧にて行われ得る。
気相処理のために、粗HFO−1234yfの10〜40g/hの処理量に対応する流速が、10〜50gの吸着剤量に対して使用され得る。
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンの精製
ステップ4g)が特に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)の精製に関連する場合、精製は上記の抽出蒸留であり得る。1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンの精製は、参照により本明細書に組み入れられる特許出願FR1563163に開示された抽出蒸留によって行われ得る。
ステップ4g)が特に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)の精製に関連する場合、精製は上記の抽出蒸留であり得る。1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンの精製は、参照により本明細書に組み入れられる特許出願FR1563163に開示された抽出蒸留によって行われ得る。
このステップは、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)を、以下の不純物1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−Z)、トランス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−E)、シス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−Z)又は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)のいずれかから、これらの化合物のいずれかが精製される1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流中に存在する場合に、分離するために行われ得る。
精製は、
a)精製される1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流を抽出剤と接触させて第1の組成物を形成すること、
b)第1の組成物を抽出蒸留して:
i)前記抽出剤及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−Z)、トランス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−E)、シス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−Z)又は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)から選択される不純物のいずれかを含む第2の組成物、並びに
ii)1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む流れ、
を形成すること;
c)第2の組成物を回収及び分離して、抽出剤及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFO−134a)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−Z)、トランス−1,2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1225ye−E)、シス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−Z)又は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)から選択される不純物のいずれかを含む流れを形成すること
によって行われ得る。特に、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流は、エチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、プロパノン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ブタノン、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、1,2−ジアミノエタン、1,2−プロパンジアミン、2−メトキシエタノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノールから選択される抽出剤を用いて、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンから分離され得る。
a)精製される1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流を抽出剤と接触させて第1の組成物を形成すること、
b)第1の組成物を抽出蒸留して:
i)前記抽出剤及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−Z)、トランス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−E)、シス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−Z)又は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)から選択される不純物のいずれかを含む第2の組成物、並びに
ii)1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む流れ、
を形成すること;
c)第2の組成物を回収及び分離して、抽出剤及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFO−134a)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−E)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze−Z)、トランス−1,2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1225ye−E)、シス−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye−Z)又は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)から選択される不純物のいずれかを含む流れを形成すること
によって行われ得る。特に、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流は、エチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、プロパノン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ブタノン、3−ペンチルアミン、2−メトキシエタンアミン、ジオキサン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、1,2−ジアミノエタン、1,2−プロパンジアミン、2−メトキシエタノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノールから選択される抽出剤を用いて、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンから分離され得る。
2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製
ステップ4g)が特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製に関連する場合、精製は上記の抽出蒸留であり得る。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製は、参照により本明細書に組み入れられる特許出願FR1563164に開示された抽出蒸留によって行われ得る。好ましくは、このステップは、以下の不純物E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)のいずれかから、精製される1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流中にこれらの化合物いずれかが存在する場合、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを分離するために行われ得る。
ステップ4g)が特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製に関連する場合、精製は上記の抽出蒸留であり得る。2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製は、参照により本明細書に組み入れられる特許出願FR1563164に開示された抽出蒸留によって行われ得る。好ましくは、このステップは、以下の不純物E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)のいずれかから、精製される1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン流中にこれらの化合物いずれかが存在する場合、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを分離するために行われ得る。
精製は、
a)精製される2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン流を抽出剤と接触させて第1の組成物を形成すること、
b)第1の組成物を抽出蒸留して:
i)前記抽出剤及びE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)から選択される不純物のいずれかを含む第2の組成物、及び
ii)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む流れ
を形成すること、
c)第2の組成物を回収及び分離して、抽出剤及びE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)から選択される不純物のいずれかを含む流れを形成すること
によって行われ得る。
a)精製される2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン流を抽出剤と接触させて第1の組成物を形成すること、
b)第1の組成物を抽出蒸留して:
i)前記抽出剤及びE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)から選択される不純物のいずれかを含む第2の組成物、及び
ii)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む流れ
を形成すること、
c)第2の組成物を回収及び分離して、抽出剤及びE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdE)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)から選択される不純物のいずれかを含む流れを形成すること
によって行われ得る。
例えば2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン流は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)から、エタンジオール、プロパノン、メチルアセテート、メチルグリオキサール、エチルアセテート、ブタノン、プロピオニトリル、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、ジエチルカーボネート、2−メトキシ1−プロパノール、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコール、メチルアセトアセテート、n,n−ジメチルプロパンアミド、ジメチルマロネート、ジエチルスルホキシド、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、トリメチルホスフェート、ジエチルマロネートから選択される抽出剤;好ましくはプロパノン、メチルアセテート、エチルアセテート、ブタノン、ジオキサン、トリメトキシメタン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、1,2−ジアミノエタン及び1−メトキシ−2−プロパノールから選択される抽出剤を用いて精製され得る。
例えば、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン流は、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンから、イソプロピルメチルアミン、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチルアミン、プロパノン、メチルアセテート、2−ブタンアミン、n−メチルプロピルアミン、テトラヒドロフラン、1−ブチルアミン、エチルアセテート、ブタノン、n−プロピルホルメート、ジメトキシプロパン、ジイソプロピルアミン、1,2−ジメトキシエタン、3−メチル−2−ブタンアミン、ジエトキシメタン、イソプロピルアセテート、3−ペンチルアミン、n−メチルブチルアミン、1−メトキシ−2−プロパンアミン、2−メトキシエタンアミン、tert−ブチルアセテート、エチルプロピオネート、1,2−ジメトキシプロパン、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、2−メトキシ−1プロパンアミン、トリメトキシメタン、n−ペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、2−エトキシエタンアミン、sec−ブチルアセテート、n−メチル−1,2−エタンジアミン、2,2−ジエトキシプロパン、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、1,2−プロパンジアミン、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エチルブチルアミン、ジエチルカーボネート、n−ブチルアセテート、2−ヘキサノン、n−エチルエチレンジアミン、2−メトキシ1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、4−メチル−2−ヘキサンアミン、ヘキシルアミン、メトキシシクロヘキサン、2−(ジメチルアミノ)−エタノール、シクロヘキシルアミン、n−エチル−2−ジメチルアミノエチルアミン、エトキシエタノール、2−エトキシ−1−プロパノール、1−メチルピペラジン、1,3−プロパンジアミン、2−ヘプタンアミン、n,n−ジエチルエチレンジアミン、4−メチル−2−ヘキサノン、1,1,1−トリエトキシエタン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン、4−メチルピリジン、n,n’−ジエチル−1,2−エタンジアミン、2,6−ジメチルモルホリン、メチルヘキサノエート、2−プロポキシエタノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、2−ヘプタノン、ジメチルホルムアミド、2−イソプロポキシエタノール、2−メチルピペラジン、シクロヘキサノン、1−ヘプタンアミン、2−エトキシエタノールアセテート、1,4−ブタンジアミン、2,4−ジメチルピリジン、2−メトキシ−3−メチルピラジン、4−メトキシ−4−メチル−ペンタン−2−オン、3−エトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、ジグリム、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、2,2−ジエトキシエタンアミン、2−メトキシ−n−(2−メトキシエチル)エタンアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、3−オクタノン、ジアセトンアルコール、ジエチルアミノプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ブトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、2−オクタノン、メチルヘプタノアート、トリエチレンジアミン、n,n−ジメチルプロパンアミン、2−プロパノール−1−メトキシ−プロパノエート、1,5−ペンタンジアミン、シクロヘプタノン、3,4−ジメチルピリジン、1−オクタンアミン、ベンジルメチルアミン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン、ジヘキシルフタレート、ジエチルプロパノールアミン、2−ブトキシエタノールアセテート、ジエチルスルホキシド、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、4−メチルベンゼンメタンアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、2−プロピルシクロヘキサノン、トリメチルホスフェート、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、メチルベンゾエート、ジエチルマロネート、2−メトキシピリミジンから選択される抽出剤;好ましくはジエチルアミン、プロパノン、メチルアセテート、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ブタノン、ジエトキシメタン、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテート、ジオキサン、3−ペンタノン、1,1−ジエトキシエタン、2−ペンタノン、n−ペンチルアミン、1,3−ジオキサン、sec−ブチルアセテート、1,2−ジアミノエタン、1−メトキシ2−プロパノール、n−ブチルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノールから選択される抽出剤を使用することによって精製され得る。
具体例
当技術分野で既知である1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をフッ素化するための以下の具体的な方法(ステップ4)は、本方法のフッ素化ステップ4として少なくとも部分的に使用され得るが、一例として以下にまとめる。
当技術分野で既知である1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をフッ素化するための以下の具体的な方法(ステップ4)は、本方法のフッ素化ステップ4として少なくとも部分的に使用され得るが、一例として以下にまとめる。
参照により本明細書に組み入れられている、本出願人の特許出願WO2013/088195は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を好ましくは気相中、触媒の存在下で、HFによって触媒フッ素化して、HCl、HF、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を生成することを記載している。
第1の反応ステップは、単一の反応装置内で行うことができる。反応装置から出る流出物流は、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び未反応HFなどの追加成分を任意に含み得る。
次いで、第1ステップ(a)の生成物流を分離ステップ(b)、好ましくは蒸留に送り、HCl及びHFO−1234yfを含む第1の流れ並びにHF、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む第2の流れを得る。次いで第2の流れを、未反応のHCFO−1233xf及びHFと共にHFO−1234yf、HFC−245cbを含む生成物流を得るのに十分な条件下で、任意に新たなHFと共に第2の反応装置に供給する。この生成物流は、ステップ(a)に直接送出される。
ステップ4−a)
本方法のステップ4−a)は、反応区域において触媒の存在下で、好ましくは気相において、主にHCFO−1233xf及びHFO−1234yfを含むフッ素化生成物を得るのに十分な条件下で、本発明の方法のステップ3で得た新たなHCC−240db及び/又はステップ4−c)からの反応生成物をHFと接触させることを含む。
本方法のステップ4−a)は、反応区域において触媒の存在下で、好ましくは気相において、主にHCFO−1233xf及びHFO−1234yfを含むフッ素化生成物を得るのに十分な条件下で、本発明の方法のステップ3で得た新たなHCC−240db及び/又はステップ4−c)からの反応生成物をHFと接触させることを含む。
通例、ステップ4−a)は、4:1〜100:1、好ましくは5:1〜50:1のモル比HF:有機物で行い、好ましくは有機物が出発原料であり、より好ましくはHCC−240db、特に本発明のステップ3で得られるHCC−240dbである。通例、方法は0.1〜50バール絶対圧、好ましくは0.3〜15バール絶対圧で行う。通例、方法は、100〜500℃、好ましくは200〜450℃の温度で行う。接触時間(反応物及び同時供給物の全流速で割って、運転圧力及び温度に調整した、触媒体積)は、通例1〜50秒、好ましくは2〜40秒である。
触媒の寿命を延長するために酸素の同時供給が使用され得て、通例、酸素/有機物のモル比は0.005〜2、好ましくは0.01〜1.5である。酸素は、空気、純酸素又は酸素/窒素混合物などの酸素含有ガスとして導入することができる。酸素同時供給の代わりに、(同じ運転条件で)塩素同時供給も使用され得る。塩素は、純塩素又は塩素/窒素混合物などの塩素含有ガスとして導入することができる。
触媒は、例えば、上記のように、遷移金属酸化物又はこのような金属の誘導体若しくはハライド若しくはオキシハライドを含む金属を主成分とする触媒である。
ステップ4−b)
HCl、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、未反応HF及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含むステップ4−a)の生成物流は、分離ユニット、例えば蒸留塔に進入し、HCl、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第1の流れ並びにHF、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む第2の流れを与える。ステップ4−b)は、好ましくは−90〜150℃、より好ましくは−85〜100℃の温度及び好ましくは0.1〜50バール絶対圧、より好ましくは0.3〜5バール絶対圧にて行うことができる。
HCl、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、未反応HF及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含むステップ4−a)の生成物流は、分離ユニット、例えば蒸留塔に進入し、HCl、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第1の流れ並びにHF、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び任意に1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンを含む第2の流れを与える。ステップ4−b)は、好ましくは−90〜150℃、より好ましくは−85〜100℃の温度及び好ましくは0.1〜50バール絶対圧、より好ましくは0.3〜5バール絶対圧にて行うことができる。
第1の流れは、反応系を出て、酸生成ユニットに進入して、塩酸を含む流れ及びHFO−1234yfを含む流れを生成し得る。
HFO−1234yf及び中間生成物は、スクラビング、洗浄、抽出、デカンテーション、好ましくは蒸留などの当分野で既知の任意の手段によって直ちに回収される。いずれの流れも、蒸留技術によってさらに精製することもできる。
ステップ4−c)
ステップ4−c)は、触媒の存在下、HFとの、ステップ4−b)の第2の流れの、好ましくは気相でのフッ素化反応であり、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、ステップ4−a)で得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンのフッ素化を主に含む。
ステップ4−c)は、触媒の存在下、HFとの、ステップ4−b)の第2の流れの、好ましくは気相でのフッ素化反応であり、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、ステップ4−a)で得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンのフッ素化を主に含む。
ステップ4−c)は、単一又は複数の気相反応装置で行うことができる。方法のこのステップ及び方法全体は、好ましくは連続的に行う。このステップは、主に、HCFO−1233xfを、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含むフッ素化生成物に転化するのに十分な条件下で、気相中の反応区域においてHCFO−1233xfをHFと接触させることを含む。このような条件を以下に示す。フッ素化生成物に加えて、未反応HCFO−1233xf、未反応HF及び微量で存在し得る他の同時生成低フッ素化(underfluorinated)中間体がステップ4−a)に直接送出される。
通例、このステップは、4:1〜100:1、より好ましくは5:1〜50:1のHF:有機物のモル比で行われる。通例、このステップは0.1〜50バール、好ましくは0.3〜15バールの絶対圧で行われる。通例、このステップは、100〜500℃、好ましくは200〜450℃の温度で行われる。
接触時間(反応物及び同時供給物の全流速で割って、運転圧力及び温度に調整した、触媒体積)は、通例1〜100秒、好ましくは5〜50秒である。
触媒の寿命を延長するために酸素の同時供給が使用され得て、通例、酸素/有機物のモル比は0.005〜2、好ましくは0.01〜1.5である。酸素は、空気、純酸素又は酸素/窒素混合物などの酸素含有ガスとして導入することができる。酸素同時供給の代わりに、(同じ運転条件で)塩素同時供給も使用され得る。
塩素は、純塩素又は塩素/窒素混合物などの塩素含有ガスとして導入することができる。
上記の触媒をこのステップで使用することができる。触媒は、ステップ4−a)で使用されたものと同様であるか又は異なることができる。
反応ステップ4−a)及び4−c)は、ハロゲンを含む反応のための専用反応装置で実施される。このような反応装置は、当業者に既知であり、上述のようなライニングを含むことができる。反応装置は、必要な場合、熱交換手段も含み得る。
上記の利点に加えて、重要なステップである反応ステップ4−c)は、第1のステップで発生した膨大な量のHClの非存在下で行うことができ、また、ステップ4−c)の反応装置がステップ(a)の反応装置よりも上に配置する場合などの、いくつかの実施形態において、触媒の装填及び取外しが容易になる。さらに、ステップ4−c)から得た未反応HCFO−1233xfもステップ4−a)で反応するため、ペンタクロロプロパンを主成分とするHFO−1234yfの収率がより高い。
本発明は、1つの分離サイクルのみが必要であり、エネルギー消費も低いため、小型プラントで実施することができる。
図13は、一実施形態で行われる方法を示す。第1の気相反応装置(1303)に新たなHCC−240db(1302)及び任意に新たなHF(1301)を供給する。反応装置から出る反応混合物(1304)は、HCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及び任意にHFC−245cbを含む。この反応混合物は、HCl、任意に少量のHFを有するHFO−1234yf並びに微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xfを含む第1の流れ(1306)への蒸留(1305)によって分離される。より重質の第2の流れ(1307)が蒸留塔の底部で得られ、HF、HCFO−1233xf、HFC−245cbを含む。HFO−1234yfは、適切な既知の方法を使用して、流れ(1306)から分離及び精製することができる。第2の反応装置(1311)には、任意に新たなHF(1308)及び酸素(1309)を有する第2の流れ(1307)からなる流れ(1310)が供給される。反応装置から出る反応混合物(1312)は、HCl、未反応HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf、HFC−245cbを含む。この反応は、一切分離に供されることなく、第1の反応装置に直接送出される。
参照により本明細書に組み入れられている、本出願人の特許出願WO2012/052797は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを調製する方法であって、以下の、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとHFとの、生成物2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンへの触媒反応及びこのように得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンへの触媒反応のステップを含む、方法について記載している。HFO−1234yfのこの調製方法の第2段階は、最終生成物である2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中での、前段階で得た2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233xf)のフッ素化反応である。2つの段階は、連続的に及び/又はHCFO−1233xfの中間体の貯蔵によって、不連続的に実施することができる。この第2段階は、気相中、触媒上、HFの存在下での直接フッ素化を含むことができる。この気相反応は、フッ素化触媒の存在下で行う。この反応は単一の気相反応装置中で行われ得る。温度、圧力及び接触時間は、当業者によって容易に決定される。通例の条件は上に示されている。
触媒は、固定床又は流動床などの任意の好適な形態で、好ましくは固定床に存在することができる。流れの方向は、下向き又は上向きであり得る。
このステップは、上記の図11又は図12に示す装置で行うことができる。
図11は、一実施形態で行われる方法を示す。気相反応装置にHCFO−1233xf及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、HCl、未反応HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、蒸留によって、HCl、HFO−1234yf(少量のHFを含んでいる可能性があり、それによって共沸混合物を形成する。)及び微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xfを含む、第1の流れ(軽質生成物)に分離される。より重質の第2の流れが蒸留塔の底部で得られ、HF、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む。HCl、HFO−1234yf(HFを含む。)及び微量の他の生成物を含有するより軽質の留分は、再び蒸留される。上部流はHClを含むのに対して、下部流はHFO−1234yf及びHFを含み、適切な公知の方法を使用して再び分離することができる。既知の方法にはデカンテーションがあり、デカンテーションは、気相反応装置に再循環することができるHFに富む流れを生成する。デカンテーションから排出される流れは、洗浄及びスクラビング及び蒸留を含む、既知の方法に従って処理される。
図12は、有機フッ素化生成物の蒸留が行われる前の第1のステップでHClが除去される、別の実施形態を示す。気相反応装置にHCFO−1233xf及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、HCl、未反応HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、第1の蒸留によって、主にHClを含有する流れと、他の生成物を含む別の流れに分離される。この他の流れは、蒸留によって、HFO−1234yf(少量のHFを含んでいる可能性があり、それによって共沸混合物を形成する。)及び微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xfを含む、第1の流れ(軽質生成物)に分離される。より重質の第2の流れが蒸留塔の底部で得られ、HF、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む。HFO−1234yf(HFを含む。)及び微量の他の生成物を含有するより軽質の留分は、第2の蒸留塔の頂部で得られる。この頂部流は、適切な既知の方法を使用して再び分離することができる。既知の方法にはデカンテーションがあり、デカンテーションは、気相反応装置に再循環することができるHFに富む流れを生成する。デカンテーションから排出される流れは、洗浄及びスクラビング及び蒸留を含む、既知の方法に従って処理される。
圧力は、ステップ4−a)及び4−c)において同じである必要はない。好ましくは、第2の反応装置内の圧力は、第1の反応装置内の圧力よりも低いので、ユニット内のポンプに関して有利である。他の工程条件は、ステップ4−a)及び4−b)において同じである必要はない。
HCC−240dbのHCFO−1233xfへの液相反応
HCC−240dbは液相中でフッ素化してHCFO−1233xfとすることができ、その工程条件は、所望の生成物への実質的な選択性を有する反応を達成するように選択することができる。
HCC−240dbは液相中でフッ素化してHCFO−1233xfとすることができ、その工程条件は、所望の生成物への実質的な選択性を有する反応を達成するように選択することができる。
好ましい実施形態において、液相方法は有機相中で行う。HF相よりもむしろ、有機相を使用することはHCFO−1233xfへの反応に有利である。上に報告した先行技術は、HFの実質的な部分、ゆえに酸性相を含む反応混合物を開示している。酸性相では、飽和生成物のみが生成される。出願人は、HCFO−1233xfへのフッ素化を可能にする条件が存在することを見出している。特に、反応が有機相(HCC−240db出発原料及び/又は溶媒を含む)中で行われる場合、次いでHCFO−1233xfを形成することができる。初期媒体にHFを添加すると、HFが反応し、HFの量(又は濃度)が他の生成物と比較して非常に低くなるため、媒体中にHFが残らない。
このため「有機相」という用語は、触媒及び出発原料及び使用する場合には溶媒を含んでいる可能性があるが、HFを実質的に含まない反応相を示すとして定義することができる。とりわけ、「有機相」中で行われる工程は、先行技術とは対照的に、初期投入物質がHFを含まない工程を指す。
特定の運転条件のために、ガス状HCFO−1233xfを気相下で反応装置から除去し、重合反応を低レベルで維持することができる。
HCFO−1233xfへのHCC−240dbの液相フッ素化は、触媒の存在下で行われる。
反応は液体溶媒媒体中で実施することができ、反応区域には最初に開始量の有機物(出発原料)及び/若しくは必要量の溶媒を投入するか、又はこの量の(おそらく原材料と事前混合された)溶媒を連続的に供給するかのどちらかである。溶媒を用いて行う場合、最初に溶媒を投入することが好ましく、溶媒の量を調整するという観点から、必要に応じて注入が行われ得る。
反応条件(特に圧力)は、反応物が液体であるような条件である。一実施形態により、反応物は液体であるが、反応生成物は気体である。反応生成物が気体であるという事実により、反応区域の出口にて反応生成物を気相で回収することができる。中間生成物、とりわけHCFC−242化合物(トリクロロジフルオロプロパン)は、ガス流中でストリッピングできるが、反応条件下で液体であることが好ましい。
この段階は、特に2バールより高い圧力下で実施される。有利には、圧力は4〜50バール、特に5〜25バールにある。
例えば反応は、30℃〜200℃、好ましくは40℃〜170℃、有利には50℃〜150℃の範囲に及ぶ温度にて実施され得る。
HF:出発化合物のモル比は、一般に0.5:1〜50:1、好ましくは3:1〜20:1にある。約5:1の値を有利に使用することができる。HFの添加量は反応の化学量論(ここでは3)に相当し、この化学量論に、通常、共沸混合物である排出流(HF及び有機物)中に存在するHFの量を添加する。
他の反応条件、特に流速は、温度、圧力、触媒、反応物比などに応じて、当業者が一般的な知識に従って決定することができる。(中間生成物は別として)HCFO−1233xfが得られる主要生成物となるように、さらなるフッ素化反応を回避すべきであることに注意するものとする。
溶媒は、使用する場合、反応条件下での不活性な有機溶媒である。このような溶媒は、追加の反応を避けるために、一般に飽和され、有利にはC2〜C6である。このような溶媒は、例えば特許出願FR2733227に記載されている溶媒であることができる。このような溶媒は、例えば40℃より高い、有利には50℃より高い、特に60℃より高い(大気圧で測定した)沸点を有する。より高い反応温度はより高い圧力を示すため、反応条件下での溶媒の沸点は、反応の実施温度よりも高い。
特に、塩素及びフッ素の中から選択される少なくとも2個のハロゲン原子で置換されたエタン、プロパン若しくはブタンの飽和化合物又はこれらの混合物を溶媒として挙げることができる。例として、1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロプロパン、1−クロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロエタン及び1,3−ジクロロ−1−フルオロブタンを挙げることができ、テトラクロロフルオロプロパン異性体、トリクロロジフルオロプロパン異性体及びジクロロトリフルオロプロパン異性体、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン又はこれらの混合物である。ニトロメタン又はニトロベンゼンなどのニトロ化溶媒及び(スルホランとしても既知である)テトラメチレンスルホン又はジメチルスルホンなどのスルホンも使用され得る。好ましい溶媒は、1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン(HCFC−122)である。反応性溶媒も、その反応生成物が非反応性溶媒である限り、使用することができる。例えばHCFC−122の前駆体、すなわちHCFC−121(1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエタン)又はパークロロエチレンを使用することもできる。溶媒は、少なくとも20%、好ましくは20%〜80%、有利には40%〜60%の希釈比の量で存在することができる。
反応は触媒される。触媒は、液相中でのフッ素化の当業者に既知の触媒であり得る。
ルイス酸、金属ハライドを含む触媒であって、特にアンチモン、スズ、タンタル、チタン、遷移金属、例えばモリブデン、ニオブのハライド、鉄ハライド、セシウム、遷移金属の酸化物、第IVb族の金属のハライド、第Vb族の金属のハライド、フッ素化クロムハライド、フッ素化酸化クロム又は両方の混合物を使用することができる。金属塩化物及びフッ化物を有利に使用することができる。このような触媒の例としては、SbCl5、SbCl3、TiCl4、SnCl4、TaCl5、NbCl5、TiCl4、FeCl3、MoCl6、CsCl及びその対応するフッ素化誘導体が挙げられる。5価金属ハライドが好適である。有利には、イオン性液体を含有する触媒が使用される。これらのイオン性液体は、液相中のHFによるフッ素化にとって特に興味深い。出願人名義の特許出願WO2008/149011(特に、4頁1行〜6頁15行、参照により組み入れられている。)及びWO01/81353に並びに参考文献「liquid−phase HF Fluorination」,Multiphase Homogeneous Catalysis,Ed.Wiley−VCH,(2002),535に記載されているイオン性液体を挙げることができる。
触媒/(使用される場合、溶媒を含む)有機物の可変比で運転することができるが、一般に、このモル比が2mol%〜90mol%、好ましくは4mol%〜80mol%、より好ましくは6mol%〜75mol%であることが好ましい。
出発原料は、実質的に純粋なHCC−240dbであり得る。
塩素流は、触媒の寿命を延長するために、通例、出発化合物HCC−240db1モルに付き、0.05〜20モル、好ましくは0.5〜15モル%の量で使用され得る。純粋な塩素を導入してもよく、又は塩素を窒素などの不活性ガスと混合してもよい。イオン性触媒の使用によって、少量の塩素の使用が可能となる。
また、軽質ガスを使用して反応の生成物をストリッピングし、機械的連行によって反応を推進することも可能である。液相反応装置からガス状HCFO−1233xfを除去することにより、(重合可能な材料は媒体中に少量であるため)重合反応だけでなく、(HCFO−1233xfの二重結合への付加などの)副反応も低レベルに維持される。ガス状化合物の添加は反応に有利であり得て、反応は例えば撹拌(バブリング)の改善によって有利にすることができる。
このガスは窒素若しくはヘリウムとして不活性であることができるか、又はガスは好ましくはHClであることができる。HClを使用する場合、反応生成物であるHClの媒体中への添加にもかかわらず、反応は行われる。有利には、この添加ガスは無水塩酸である。ストリッピングガスの流れは、運転条件に従って決定される。例えば出発生成物の流れと比較したHClの流れは、モル比HCl:出発生成物が0.5:1〜5:1、有利には1:1〜3:1となる。
本発明による液相におけるフッ素化方法は、連続的又は半連続的に実施することができる。好ましい実施形態により、方法は連続的である。
反応に使用される反応物(出発生成物及びHF)並びに他の化合物(塩素、無水HCl)は、反応装置の同じ場所又は異なる場所にて反応装置に供給することができる。好ましい実施形態は、特に機械的ストリッピング及び混合を促進するために、ガス状化合物が反応装置の底部に注入される場合である。
再循環が使用される場合、反応装置の入口にて又は別個の浸漬管にて直接再循環することができる。
HCC−240dbのHCFO−1233xfへの気相反応
上記のように、HCC−240dbは気相中でHCFO−1233xfへ触媒的にフッ素化することができ、HCFO−1233xfはHFO−1234yf及び任意にHFC−245cbと共に生成され得て、HCFO−1233xf及び任意にHFC−245cbの分離及び気相反応装置への再循環は一実施形態である。
上記のように、HCC−240dbは気相中でHCFO−1233xfへ触媒的にフッ素化することができ、HCFO−1233xfはHFO−1234yf及び任意にHFC−245cbと共に生成され得て、HCFO−1233xf及び任意にHFC−245cbの分離及び気相反応装置への再循環は一実施形態である。
したがって、(i)気相中、フッ素化触媒の存在下で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を生成するのに十分な条件下で、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を、気相でフッ化水素HFと接触させるステップ、(ii)反応混合物を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む第1の流れ及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンを含む第2の流れ(HCFO−1233xf)に分離するステップ、(iii)第2の流れの少なくとも一部を少なくとも部分的にステップ(i)に戻して再循環させるステップを含む方法も提供される。
この再循環は、以下の図に示すように、各種の形態をとることができる。
図14は、この方法の一実施形態を示す。気相反応装置にHCC−240db及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、主にHCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、蒸留によって、HCl、HFO−1234yf(少量のHFを含んでいる可能性があり、それによって共沸混合物を形成する。)及び微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xfを含む、第1の流れ(軽質生成物)に分離される。より重質の第2の流れが蒸留塔の底部で得られ、主にHF、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む。HCl、HFO−1234yf(HFを含む。)及び微量の他の生成物を含有するより軽質の留分は、再び蒸留される。上部流はHClを含むのに対して、下部流はHFO−1234yf及びHFを含み、適切な公知の方法を使用して再び分離することができる。既知の方法にはデカンテーションがあり、デカンテーションは、気相反応装置に再循環することができるHFに富む流れを生成する。これにより工程中の下流のフッ素含有量を低減され、副生成物(例えば廃棄の必要があるCaF2)の生成が少なくなる。デカンテーションから排出される流れは、洗浄及びスクラビング及び蒸留を含む、既知の方法に従って処理される。
図15は、有機フッ素化生成物の蒸留が行われる前の第1のステップでHClが除去される、別の実施形態を示す。気相反応装置にHCC−240db及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、主にHCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、第1の蒸留によって、主にHClを含有する流れと、他の生成物を含む別の流れに分離される。この他の流れは、蒸留によって、HFO−1234yf(少量のHFを含んでいる可能性があり、それによって共沸混合物を形成する。)及び微量のHFC−245cb及びHCFO−1233xfを含む、第1の流れ(軽質生成物)に分離される。より重質の第2の流れが蒸留塔の底部で得られ、主にHF、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む。HFO−1234yf(HFを含む。)及び微量の他の生成物を含有するより軽質の留分は、第2の蒸留塔の頂部で得られる。この頂部流は、適切な既知の方法を使用して再び分離することができる。公知の方法としては、デカンテーションがあり、このデカンテーションは、気相反応装置に再循環することができるHFの流れを生成する。これにより工程中の下流のフッ素含有量を低減され、副生成物(例えば廃棄の必要があるCaF2)の生成が少なくなる。デカンテーションから排出される流れは、洗浄及びスクラビング及び蒸留を含む、既知の方法に従って処理される。
図16は、有機フッ素化生成物の蒸留が行われる前の第1のステップでHFが除去される、別の実施形態を示す。気相反応装置にHCC−240db及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、主にHCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、第1の上流によって、主にHCl、HFO−1234yf、HFC−245cb、HCFO−1233xf及びある残留量のHFを含有する上部流並びにHF、HFC−245cb及びHCFO−1233xfを含有する底部流に分離される。上部流は、HFO−1234yf、HFC−245cb、HCFO−1233xf及びある残留量のHFからHClを分離するように構成された第2の蒸留塔に送出される。HClの流れは塔頂部で回収され、HFO−1234yf、HFC−245cb、HCFO−1233xf及びある残留量のHFは蒸留塔の底部で回収される。HClの流れは、WO2015/079137に開示されているように、さらに精製することができる。HFO−1234yf、HFC−245cb、HCFO−1233xf及びある残留量のHFを含有する流れは、第3の蒸留塔に送出され、第3の蒸留塔から塔頂にてHFO−1234yfを含む流れが得られ、HCFO−1233xf及びHFC−245cbを含む流れは前記第3の蒸留塔の底部で回収される。微量のHFC−245cb及びHFは、第3の蒸留塔の頂部で回収された流れに存在し得る。第3の蒸留塔の頂部で回収された流れは、デカンテーションによるHFの分離、後続の水の添加、中和ステップ及び乾燥ステップを含む処理を可能にするユニットに供給されて、粗HFO−1234yfを得ることができる。ステップ4−g)に関して上で詳述したように、軽質不純物の蒸留を行い、続いて抽出蒸留を行って、HFO−1234yf及びHFC−245cbを分離することができる。図16に示す溶媒は、上述の抽出剤である。HFC−245cbは、気相フッ素化反応に再循環され得る。
図17は、有機フッ素化生成物の蒸留が行われる前の第1のステップでHClが除去される、別の実施形態を示す。気相反応装置にHCC−240db及びHFを供給する。反応装置を出る反応混合物は、主にHCl、HCFO−1233xf、未反応HF、HFO−1234yf及びHFC−245cbを含む。この反応流は、第1の蒸留によって、主にHClを含有する上部流並びにHFO−1234yf、HFC−245cb、HCFO−1233xf及びHFを含む底部流に分離される。HClの流れは、WO2015/079137に開示されているように、さらに精製することができる。底部流は、HFO−1234yfからHFを分離するように構成された第2の蒸留塔に送出される。HF及びHFC−245cb及びHCFO−1233xfの流れは塔底部で回収され、HFO−1234yf、HFC−245cb及びある残留量のHFが蒸留塔の頂部で回収される。HFO−1234yf、HFC−245cb及びある残留量のHFを含有する流れは、デカンテーションによるHFの分離、後続の水の添加、中和ステップ及び乾燥ステップを含む処理を可能にするユニットに送出されて、粗HFO−1234yfを得ることができる。ステップ4−g)に関して上で詳述したように、軽質不純物の蒸留を行い、続いて抽出蒸留を行って、HFO−1234yf及びHFC−245cbを、流れ中に存在し得る他の不純物から分離することができる。図16に示す溶媒は、上述の抽出剤である。HFO−1234yf及びHFC−245cbは蒸留によって分離され得て、HFC−245cbは気相フッ素化反応に再循環され得る。
反応物は、同じ場所、異なる場所にて、又は反応装置に沿った段階的位置における段階的供給を使用して、反応装置中に供給することができる。好ましい供給系は、ガス状反応材料を反応装置の底部に吹き込むことである。再循環は、反応装置の入口又は反応装置の中間段階で、好ましくは反応装置の入口で行うことができる。反応装置を出る流れの一部を再循環させることも可能である。
反応は、ハロゲンを含む反応のための専用反応装置で実施される。このような反応装置は当業者に既知である。反応装置は、必要な場合、熱交換手段も含み得る。
最終生成物は、スクラビング、洗浄、抽出、デカンテーション、好ましくは蒸留などの当分野で既知の任意の手段によって直ちに回収される。最終生成物は、蒸留技術によってさらに精製することもできる。
実施例1〜19:高純度1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)の生成
以下の実施例1〜19において、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの生成方法を示す。
以下の実施例1〜19において、高純度の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの生成方法を示す。
疑義を避けるために、本明細書で圧力単位(kPa)という場合、これは確認されている絶対値である。本明細書で値がパーセンテージとして示される場合、別途記載しない限り、これらは重量パーセントである。本明細書で組成物又は材料の純度がパーセンテージ又はppmで示される場合、別途記載しない限り、これは重量パーセンテージ/重量ppmである。
明確にするために、実施例1〜7は、任意のステップである、HCC−240db生成ステップのステップ1)のテロマー化反応(及び後続の処理ステップ)を例示する又はこれに関連する。実施例8〜12は、任意のステップである、HCC−240db生成方法のステップ2)の脱塩化水素反応(及び後続の処理ステップ)を例示する又はこれに関連する。実施例13〜19は、HCC−240db生成方法のステップ3)の塩素化反応(及び後続の処理ステップ)を例示するか又はこれに関連する。
使用する略語:
TeCPa=1,1,1,3−テトラクロロプロパン
TCPe=1,1,3−トリクロロプロペン
PCPa=1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン
TeCM:テトラクロロメタン
TeCPna:テトラクロロペンタン
HCE=ヘキサクロロエタン
DCPC=ジクロロプロパノイルクロライド
Bu3PO4:トリブチルホスフェート
TeCPa=1,1,1,3−テトラクロロプロパン
TCPe=1,1,3−トリクロロプロペン
PCPa=1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン
TeCM:テトラクロロメタン
TeCPna:テトラクロロペンタン
HCE=ヘキサクロロエタン
DCPC=ジクロロプロパノイルクロライド
Bu3PO4:トリブチルホスフェート
[実施例1]
水性処理を使用する回収触媒の触媒能力の実証
i)従来の蒸留技術を用いて反応混合物から回収した、又はii)本発明の水性処理ステップを使用して反応混合物から回収した触媒の存在下でエチレン及び四塩化炭素を反応させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成した。反応混合物は、(再循環流中に存在する)1,1,1,3−テトラクロロプロパン及びテトラクロロペンタン(四塩化炭素とエチレンとの間のテロマー化反応の存在下で副生成物として通常形成される塩素化アルカン不純物)をさらに含んでいた。
水性処理を使用する回収触媒の触媒能力の実証
i)従来の蒸留技術を用いて反応混合物から回収した、又はii)本発明の水性処理ステップを使用して反応混合物から回収した触媒の存在下でエチレン及び四塩化炭素を反応させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成した。反応混合物は、(再循環流中に存在する)1,1,1,3−テトラクロロプロパン及びテトラクロロペンタン(四塩化炭素とエチレンとの間のテロマー化反応の存在下で副生成物として通常形成される塩素化アルカン不純物)をさらに含んでいた。
これらの試験例は、水性処理ステップを用いて触媒を回収すると、触媒の性能が、従来の蒸留技術を使用して回収した触媒と比較して著しく高いことを示している。
ガスクロマトグラフィーを使用して、反応の進行を監視した。
バッチ式配置
撹拌機、温度測定用サーモウェル、(バルブ付)サンプリング管を備えた、容量405mlのステンレス鋼製オートクレーブに、下記の反応混合物を満たして密閉した。加熱は、磁気(加熱)撹拌機に配置した油浴によって行った。エチレンは、秤に配置した10lシリンダーからの銅毛細管によって供給した。オートクレーブ内のガス状雰囲気をエチレンフラッシュによって置換した。エチレンで5バールまで加圧した後、オートクレーブを105℃まで加熱し、次いでオートクレーブへのエチレン供給を開放した。(反応温度を112℃に維持するために)エチレン供給を最初の10分間手動で制御し、その後、9バールの一定圧力で維持した。反応を所定の時間反応させた。反応装置を冷却し、減圧反応装置を開いた後、反応混合物を取り出した。
撹拌機、温度測定用サーモウェル、(バルブ付)サンプリング管を備えた、容量405mlのステンレス鋼製オートクレーブに、下記の反応混合物を満たして密閉した。加熱は、磁気(加熱)撹拌機に配置した油浴によって行った。エチレンは、秤に配置した10lシリンダーからの銅毛細管によって供給した。オートクレーブ内のガス状雰囲気をエチレンフラッシュによって置換した。エチレンで5バールまで加圧した後、オートクレーブを105℃まで加熱し、次いでオートクレーブへのエチレン供給を開放した。(反応温度を112℃に維持するために)エチレン供給を最初の10分間手動で制御し、その後、9バールの一定圧力で維持した。反応を所定の時間反応させた。反応装置を冷却し、減圧反応装置を開いた後、反応混合物を取り出した。
比較例1−1及び1−3並びに実施例1−2、1−4及び1−5
第1の実施例では、蒸留残渣を再生触媒として直接使用した(比較例1−1)。第2の実施例では、蒸留残渣を5%塩酸で抽出し、濾過した有機画分を触媒として使用した(実施例1−2)。
第1の実施例では、蒸留残渣を再生触媒として直接使用した(比較例1−1)。第2の実施例では、蒸留残渣を5%塩酸で抽出し、濾過した有機画分を触媒として使用した(実施例1−2)。
比較例1−1
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna及び7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣90.1gをTeCM 400gと混合した。次いで、混合物をオートクレーブに導入し、そこで鉄5.0gを添加した。エチレンでフラッシュした後、混合物をオートクレーブ中で110℃まで加熱した。この温度及びエチレンの圧力9バールで、反応混合物を4.5時間反応させた。最初のサンプルを3時間後に採取した。実験終了時の残留TeCMの濃度は19.7%(3時間後33.0%)であった。
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna及び7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣90.1gをTeCM 400gと混合した。次いで、混合物をオートクレーブに導入し、そこで鉄5.0gを添加した。エチレンでフラッシュした後、混合物をオートクレーブ中で110℃まで加熱した。この温度及びエチレンの圧力9バールで、反応混合物を4.5時間反応させた。最初のサンプルを3時間後に採取した。実験終了時の残留TeCMの濃度は19.7%(3時間後33.0%)であった。
実施例1−2
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna及び7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣90.1gを、5%HCl 370gで抽出した。有機下層を濾過し、TeCM 400gと混合した。次いで、混合物をオートクレーブに導入し、そこで鉄5.0gを添加した。エチレンでフラッシュした後、混合物をオートクレーブ中で110℃まで加熱した。この温度及びエチレンの圧力9バールで、反応混合物を4.5時間反応させた。最初のサンプルを3時間後に採取した。実験終了時の残留TeCM濃度は、5.5%(3時間後24.6%)であった。
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna及び7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣90.1gを、5%HCl 370gで抽出した。有機下層を濾過し、TeCM 400gと混合した。次いで、混合物をオートクレーブに導入し、そこで鉄5.0gを添加した。エチレンでフラッシュした後、混合物をオートクレーブ中で110℃まで加熱した。この温度及びエチレンの圧力9バールで、反応混合物を4.5時間反応させた。最初のサンプルを3時間後に採取した。実験終了時の残留TeCM濃度は、5.5%(3時間後24.6%)であった。
比較例1−3
比較例1−3は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、比較例1−1で用いたのと同一の条件を使用して行った。
比較例1−3は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、比較例1−1で用いたのと同一の条件を使用して行った。
実施例1−4及び1−5
実施例1−4及び1−5は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、実施例1−2で用いたのと同一の条件を使用して行った。
実施例1−4及び1−5は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、実施例1−2で用いたのと同一の条件を使用して行った。
比較例1−1、実施例1−2、比較例1−3、実施例1−4及び1−5の結果を以下の表に示す。表から分かるように、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに転化されたテトラクロロメタンのパーセンテージは、比較例1−1及び1−3よりも実施例1−2、1−4及び1−5で著しく高く、触媒を回収する際の水性処理ステップの性能は、系に対して大きなプラスの効果を有することが示されている。これは、留出物残渣から回収された触媒の高い実現可能性によるものであり、またおそらく、除去しなければ反応を遅延させ得る、反応混合物からの不純物(例えば酸素化不純物)の除去によるものである。
連続配置:
バッチ実験について上記したのと同じステンレス鋼製オートクレーブを、撹拌流連続反応装置として使用した。反応装置に最初に反応混合物約455gを満たした。エテンで5バールまで加圧した後、オートクレーブを105℃まで加熱し、次いでオートクレーブへのエチレンの供給を開始し、原料の連続供給及び反応混合物の連続回収を開始した。
バッチ実験について上記したのと同じステンレス鋼製オートクレーブを、撹拌流連続反応装置として使用した。反応装置に最初に反応混合物約455gを満たした。エテンで5バールまで加圧した後、オートクレーブを105℃まで加熱し、次いでオートクレーブへのエチレンの供給を開始し、原料の連続供給及び反応混合物の連続回収を開始した。
溶解触媒を有する供給原料溶液を、ステンレス鋼製槽からオートクレーブに供給した。槽を反応装置上に配置したため、反応装置への供給にポンプを使用しなかった。反応装置及び槽は、シリンダーから銅毛細管によって分配されたエテンの雰囲気下にあり、シリンダー内の条件は反応の開始を防止するように選択された。反応混合物のサンプリングは、5分ごとに管から採取することによって行った。反応の経過を監視するために、供給原料及び溶解した触媒の入った容器、エテンのシリンダー及び取り出した反応混合物を秤量した。反応混合物を常時に1時間にわたって回収した後、回収容器を交換した。
比較例1−6及び1−8並びに実施例1−7及び1−9
再生触媒の活性を比較する連続実験(すなわち蒸留残渣は、水性処理ステップの実施の有無にかかわらず実施した。第1の場合、蒸留残渣を再生触媒として直接使用した(比較例1−6)。後者の場合、蒸留残渣の5% HClによる水性処理後に、反応混合物を、再生触媒を含有する原料として使用した(実施例1−4及び1−5)。
再生触媒の活性を比較する連続実験(すなわち蒸留残渣は、水性処理ステップの実施の有無にかかわらず実施した。第1の場合、蒸留残渣を再生触媒として直接使用した(比較例1−6)。後者の場合、蒸留残渣の5% HClによる水性処理後に、反応混合物を、再生触媒を含有する原料として使用した(実施例1−4及び1−5)。
比較例1−6
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna及び7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣587.5gをTeCM 2200gと混合した。この混合物は、78.7% TeCM、11.8% TeCPa、5.8% TeCPnaを含み、連続配置のための供給流として使用した。オートクレーブを構成する反応容器に、反応混合物と新たな鉄8gを満たした。反応は、110℃、9バールのエチレン圧で行った。滞留時間は2.7時間であった。反応中、反応したTeCMの量は75〜76%の範囲に及んだ。
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna及び7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣587.5gをTeCM 2200gと混合した。この混合物は、78.7% TeCM、11.8% TeCPa、5.8% TeCPnaを含み、連続配置のための供給流として使用した。オートクレーブを構成する反応容器に、反応混合物と新たな鉄8gを満たした。反応は、110℃、9バールのエチレン圧で行った。滞留時間は2.7時間であった。反応中、反応したTeCMの量は75〜76%の範囲に及んだ。
実施例1−7
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna 7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣587.5gを、沸騰した5%HCl 1001.5g中に1.5時間にわたって滴加した。次いで、この混合物をストリッピングした。塔頂生成物から有機相を回収し、水相を還流として戻した。すべての蒸留残渣が添加された1時間後に、蒸留を終了した。残渣をストリッピングした後、TeCM200gで希釈し、次いで分液漏斗で分離した。底部の有機相を濾過し、蒸留残渣と共にTeCM 2000gと混合した。この混合物は、81.2% TeCM、10.8% TeCPa及び5.3% TeCPnaを含んでいた。この混合物を実験の連続配置用の供給流として使用した。反応容器(オートクレーブ)に古い反応混合物及び新たな鉄8gを満たした。反応は110℃及び9バールのエテン圧力で行った。滞留時間は2.7時間/流速であった。反応時間中、反応したTeCMの量は83〜85%の範囲に及んだ。
63.7% TeCPa、22.8% TeCPna 7.49% Bu3PO4を含む蒸留残渣587.5gを、沸騰した5%HCl 1001.5g中に1.5時間にわたって滴加した。次いで、この混合物をストリッピングした。塔頂生成物から有機相を回収し、水相を還流として戻した。すべての蒸留残渣が添加された1時間後に、蒸留を終了した。残渣をストリッピングした後、TeCM200gで希釈し、次いで分液漏斗で分離した。底部の有機相を濾過し、蒸留残渣と共にTeCM 2000gと混合した。この混合物は、81.2% TeCM、10.8% TeCPa及び5.3% TeCPnaを含んでいた。この混合物を実験の連続配置用の供給流として使用した。反応容器(オートクレーブ)に古い反応混合物及び新たな鉄8gを満たした。反応は110℃及び9バールのエテン圧力で行った。滞留時間は2.7時間/流速であった。反応時間中、反応したTeCMの量は83〜85%の範囲に及んだ。
比較例1−8
比較例1−8は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、比較例1−6で用いたのと同一の条件を使用して行った。
比較例1−8は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、比較例1−6で用いたのと同一の条件を使用して行った。
実施例1−9
実施例1−9は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、実施例1−7で用いたのと同一の条件を使用して行った。
実施例1−9は、異なる濃度のテトラクロロメタン及びトリブチルホスフェートを使用したことを除いて、実施例1−7で用いたのと同一の条件を使用して行った。
[実施例2]
高純度1,1,1,3−テトラクロロプロパンの調製
高純度1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、アルキル化ステップ(図1)、第1蒸留ステップ(図2)、水性触媒回収ステップ(図3)及び第2蒸留ステップ(図4)を含む方法の、ステップ1)によって得ることができる。しかし、これらのステップのすべてが、ステップのステップ1)に従って高純度C3−6アルカンを得るために必要というわけではないことが認識される。
高純度1,1,1,3−テトラクロロプロパンの調製
高純度1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、アルキル化ステップ(図1)、第1蒸留ステップ(図2)、水性触媒回収ステップ(図3)及び第2蒸留ステップ(図4)を含む方法の、ステップ1)によって得ることができる。しかし、これらのステップのすべてが、ステップのステップ1)に従って高純度C3−6アルカンを得るために必要というわけではないことが認識される。
図1に示すアルキル化ステップでは、エテン及び粒状鉄を、ライン1及び2を介して連続撹拌槽反応装置3に供給する。エテンは、ノズルを備えた浸漬管を介して、ガス状形態で連続撹拌槽反応装置3中に導入する。粒状鉄の制御供給物を、連続撹拌槽反応装置3中に供給する。
粒状鉄は、制御供給を使用して連続撹拌槽反応装置3中に断続的に供給する。アルキル化反応が進行するにつれて、粒状鉄が反応混合物中に溶解するため、粒状鉄の継続的な添加が用いる。この実施例では第1アルキル化区域へ1〜2重量%の反応混合物を添加することによって、反応混合物中の粒状鉄の存在を維持することにより、最適な結果が得られることが見出されている。これにより、反応混合物の0.2〜0.3重量%の溶解した鉄含有量を有する、第1アルキル化区域から抽出された反応混合物が得られる。
四塩化炭素は、ライン12を介して連続撹拌槽反応装置3に液体形態で供給される。図示した実施形態において、四塩化炭素流を使用して、反応混合物から抽出されたガス状エテンを捕捉する。しかし、このように四塩化炭素の使用は必須ではない。四塩化炭素の唯一の又は主要な供給源としての新たな四塩化炭素供給を反応装置3に供給することができる。
トリブチルホスフェート/塩化鉄(III)も、ライン12を介して連続撹拌槽反応装置3に供給される。その流れ中に存在するトリブチルホスフェートは、図3に示す(より詳細に後述する)水性処理工程から部分的に得られ、残りは系中に添加した新たなトリブチルホスフェートとして供給する。ライン12の流れは、ハロアルカン抽出剤をさらに含む。
図示した実施形態において、連続撹拌槽反応装置3内に位置する、単一の第1アルキル化区域を使用する。もちろん、必要に応じて、複数の第1アルキル化区域を、例えば並列及び/又は直列で運転することができる1つ以上の連続撹拌槽反応装置で使用することができる。
第1アルキル化区域は、大気圧超の圧力(5〜8バールゲージ)及び高温(105℃〜110℃)及び100〜120分の滞留時間で運転される。これらの条件は、四塩化炭素及びエテンがアルキル化反応で1,1,1,3−テトラクロロプロパンを形成するように選択される。しかし、四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの全転化によって、望ましくない不純物の生成も生じるため、全転化が望ましくないことが判明している。このため、四塩化炭素の目的の塩素化C3−6アルカンへの転化のレベルは制御され、本実施形態において、95%を超えて進行することは許容されない。アルキル化反応の進行の制御は、部分的には四塩化炭素の1,1,1,3−テトラクロロプロパンへの全転化に好ましくない反応条件を使用することにより、連続撹拌槽反応装置中の反応混合物の滞留時間の制御により実現される。
i)未反応の四塩化炭素及びエテン、ii)1,1,1,3−テトラクロロプロパン(本実施形態において塩素化された目的のC3−6アルカン)及びiii)トリブチルホスフェート/塩化鉄触媒を含む反応混合物は、第1アルキル化区域(連続撹拌槽反応装置3)から抽出され、(主アルキル化区域が位置する)プラグ/フロー反応装置4に供給される。
反応混合物は、第1アルキル化区域3に存在する粒状鉄触媒が抽出されず、このため反応混合物が粒状材料を実質的に含まないように抽出される。さらに、図示の実施形態において、プラグ/フロー反応装置4に触媒床を設けてもよいが、追加の触媒はプラグ/フロー反応装置4に添加されない。さらに、プラグ/フロー反応装置4には、これ以上のエテンが添加されない。
図示の実施形態において、主アルキル化区域4における運転圧力は、第1アルキル化区域3における運転圧力と同じである。反応混合物の滞留時間は約30分であり、図示の実施形態において、存在する実質的にすべてのエテンが反応中に消費されるのに十分であった。もちろん、別の反応装置の種類や運転条件では、別の滞留時間が最適であり得ることが理解される。
主アルキル化区域における反応混合物の決められた最適滞留時間に到達したら、高圧及び高温を維持しながら、ライン5を介して反応混合物を抽出して、フラッシュ蒸発容器6に供給する。この容器では、抽出した反応混合物を大気圧まで減圧する。この圧力低下によって、反応混合物中に存在するエテンの蒸発が生じる。実質的にエテンが存在しない1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む混合物は、ライン7を介してフラッシュ容器から抽出され、図2に示し、以下により詳細に説明する、蒸留ステップに供される。
蒸発したエテンを、ライン8を介してフラッシュ容器6から抽出し、凝縮器9に供給する。次いで、ライン10を介してエテンを吸収塔11に供給し、供給塔11では、エテンを四塩化炭素及びトリブチルホスフェート/塩化鉄触媒の流れと接触させて、図3に示し、以下でより詳細に説明する水性処理ステップにて反応混合物から回収される。回収された触媒/四塩化炭素13の流れは、冷却器14を通過し、次いでライン15を介して吸収塔11に供給される。
吸収塔11を通る冷却された四塩化炭素/触媒の流れは、その中にエテンを捕捉する効果を有する。得られた四塩化炭素/触媒/エテンの液体流は、次に連続撹拌槽反応装置3に戻される。
図1から明らかなように、図示した実施形態は、いくつかの理由で有利である、エテン再循環ループを含む。第1に、エテンがほぼ完全に利用され、このため系から失われるエテンの量は非常に少ない。さらに、エテン再循環系の構成要素のエネルギー要求も低い。さらに、系から失われるエテンの量も非常に少なく、このことは環境負荷が低減されることを意味する。
ここで図2を参照すると、図1の参照符号7で示すフラッシュ容器から抽出した1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む混合物を、ライン101を介してバッチ蒸留ボイラ102に供給し、バッチ蒸留ボイラ102を、真空蒸留塔104と連通して運転する。蒸留ボイラは、90℃〜95℃の温度で運転する。ボイラ102に供給された混合物中に存在するクロロアルカンは、蒸留塔104(及び下流の凝縮器106及び還流分離器108)を用いて蒸発され、軽質留分流110.1、四塩化炭素流110.2、テトラクロロエテン流110.3及び精製された1,1,1,3−テトラクロロプロパン生成物流110.4に分離される。
軽質留分流110.1及びテトラクロロエテン流110.3は四塩化炭素の生成に使用され、有利には廃棄物の生成を最小限にする。これは高温塩素化分解工程の使用によって達成することができる。
四塩化炭素流110.2は、図1の参照番号3で示す連続撹拌槽反応装置に戻して再循環させる。精製された1,1,1,3−テトラクロロプロパン生成物流110.4は系から抽出され、出荷のために貯蔵され得るか、又は出発原料として純粋な1,1,1,3−テトラクロロプロパンを必要とする下流ステップで用いられ得る。
触媒も含む1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む混合物は、ライン103を介してボイラ102から残渣として抽出され、図3に示す触媒回収ステップに供される。
そのステップにおいて、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む混合物が、ライン201を介して弱(1〜5%)塩酸溶液と共にライン202を介してバッチ蒸留ボイラ204に供給される。
有利には、酸溶液中に存在する水は、触媒系を失活させ、触媒系を熱損傷から保護する。これにより、触媒系を1,1,1,3−テトラクロロプロパンに富む混合物から回収することが可能になり、触媒活性を著しく損なうことなく、回収後に容易に再活性化し、アルキル化工程で再利用することができる。
バッチ蒸留ボイラを約100℃の温度で運転して、1,1,1,3−テトラクロロプロパンと水蒸気とを含むガス状混合物を生成する。
ボイラ204で生成されたガス状混合物は、次いで、ボイラ204に連結された塔210中で、粗1,1,1,3−テトラクロロプロパンの水蒸気蒸留(又は蒸気ストリッピング)に供される。粗1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、ライン211を介して蒸留塔210から抽出され、凝縮器212で凝縮され、ライン213を介して還流液分離器214に供給される。ガス状混合物からの水は、ライン215を介して蒸留塔210に戻され、図4により詳細に示し、以下でより詳細に説明する蒸留ステップのために、ライン216を介して一部が取り出される。
ボイラ204の運転温度は、蒸気ストリッピングを停止するために低下され、この低下によりボイラ中に存在する水蒸気の凝縮を生じる。これにより、水相及び水蒸気ストリッピングに供されていない触媒系を含む有機相を含む二相性混合物が形成される。有機相の抽出を容易にするために、ハロアルカン抽出剤(この場合、1,1,1,3−テトラクロロプロパン)を、ライン203を介してボイラ204に添加して、有機相の体積を増加させる。
二相性混合物からの有機相の抽出は、ボイラ204からライン205を介して相を順次抽出することによって達成される。有機相は、ライン205を介してボイラ204から抽出され、濾過される206。フィルタケーキは、ライン207を介してフィルタ206から除去される。有機相は、ライン208を介して抽出され、本実施形態において、図1に示すように、特に図1のライン13を介して第1アルキル化区域に戻される。水相は、ライン5を介して抽出され、濾過され6、ライン209を介して廃棄される。
ストリッピングした粗1,1,1,3−テトラクロロプロパン生成物は、図4に示すさらなる蒸留ステップに供される。蒸留ステップにおいて、粗生成物はライン301を介して蒸留ボイラ302に供給される。ボイラ302は、蒸留塔304と連通している。粗1,1,1,3−テトラクロロプロパン中に存在する蒸発した塩素化有機化合物は、蒸留塔304(及び関連する下流装置、凝縮器306及び還流分離器308)にて分離されて、精製された1,1,1,3−テトラクロロプロパン生成物流310.1及び塩素化ペンタン/ペンテン流310.2となる。
塩素化ペンタン/ペンテン流310.2は、四塩化炭素の生成に使用され、有利には廃棄物の生成を最小限にする。これは高温塩素化分解工程の使用によって達成することができる。
精製された1,1,1,3−テトラクロロプロパン生成物流310.1は、系から抽出され、主生成物流(図2の参照番号110.4で示す)と混合され得る。生成物は、出荷のために貯蔵され得るか、又は出発原料として純粋な1,1,1,3−テトラクロロプロパンを必要とする下流ステップで用いられ得る。
ライン303を介してボイラ302から抽出された重質留分残渣は廃棄されるか又はさらに処理されるかのどちらかである。
上に概説した装置及び工程条件を使用して、四塩化炭素(CTC、純度99.97%)2635kgを連続的に毎時78.2kg/hの充填量で処理して、1,1,1,3−テトラクロロプロペン(1113TeCPa)を生成した。実施例2に従って行った、開示した方法の基本パラメータは以下の通りである。
上記実施形態の精製生成物の全不純物プロファイルを以下の表に示す。数値は、図2のライン110.4及び図4のライン310.1で得た生成物のプロファイルの加重平均として示されていることに留意されたい。
[実施例3]
反応混合物中の出発原料:生成物のモル比の選択性に対する効果
これらの実施例は、別途記載しない限り、上の実施例1の「連続配置」で概説した装置及び技術を使用して行った。反応混合物中の塩素化C3−6アルカン生成物(この場合、1,1,1,3−テトラクロロプロパン):四塩化炭素のモル比は、主にアルキル化区域における反応混合物の滞留時間によって、異なるレベルに制御した。温度を110℃に維持し、圧力を9バールに維持した。目的の生成物に対する選択性は、以下の表に報告する:
反応混合物中の出発原料:生成物のモル比の選択性に対する効果
これらの実施例は、別途記載しない限り、上の実施例1の「連続配置」で概説した装置及び技術を使用して行った。反応混合物中の塩素化C3−6アルカン生成物(この場合、1,1,1,3−テトラクロロプロパン):四塩化炭素のモル比は、主にアルキル化区域における反応混合物の滞留時間によって、異なるレベルに制御した。温度を110℃に維持し、圧力を9バールに維持した。目的の生成物に対する選択性は、以下の表に報告する:
この実施例から分かるように、工程が連続的に運転される場合に、生成物:出発原料のモル比が95:5を超えると、目的の生成物に対する選択性が顕著に低下する。
[実施例4]
反応混合物中の出発原料:生成物のモル比の選択性に対する効果
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例2の付随するテキストを参照して、図1に示す装置及び技術を使用して行った。反応混合物中の塩素化C3−6アルカン生成物(この場合、1,1,1,3−テトラクロロプロパン):四塩化炭素のモル比は、主にエチレン出発原料の供給速度の制御によって、異なるレベルに制御した。温度は常に110℃であった。目的の生成物に対する選択性は、以下の表に報告する:
反応混合物中の出発原料:生成物のモル比の選択性に対する効果
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例2の付随するテキストを参照して、図1に示す装置及び技術を使用して行った。反応混合物中の塩素化C3−6アルカン生成物(この場合、1,1,1,3−テトラクロロプロパン):四塩化炭素のモル比は、主にエチレン出発原料の供給速度の制御によって、異なるレベルに制御した。温度は常に110℃であった。目的の生成物に対する選択性は、以下の表に報告する:
この実施例から分かるように、工程が連続的に運転される場合に、生成物:出発原料のモル比が95:5を超えると、目的の生成物に対する選択性が顕著に低下する。
[実施例5]
供給原料の純度の影響
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例2の付随するテキストを参照して、図2に示す装置及び技術を使用して行った。試験5−1は、図2の流れ110.4から得た流れである。試験5−2〜5−5は、同じ装置及び技術を使用して、しかし異なる純度の供給原料を用いて得た、代替例である。以下のデータは、試験5−2〜5−5ではより純度の低い供給原料を使用したが、これはステップ1)から得た場合に生成物の純度に有意な影響を有利に及ぼさないことを示している。
供給原料の純度の影響
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例2の付随するテキストを参照して、図2に示す装置及び技術を使用して行った。試験5−1は、図2の流れ110.4から得た流れである。試験5−2〜5−5は、同じ装置及び技術を使用して、しかし異なる純度の供給原料を用いて得た、代替例である。以下のデータは、試験5−2〜5−5ではより純度の低い供給原料を使用したが、これはステップ1)から得た場合に生成物の純度に有意な影響を有利に及ぼさないことを示している。
[実施例6]
CSTRとプラグフローの組合せ
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例2の付随するテキストを参照して、図1に示す装置及び技術を使用して行った。第2のプラグフロー反応装置(図1の符号4)における反応効率を評価した。主CSTR反応装置(図1の参照番号3)と同じ温度110℃で運転したプラグフロー反応装置の入口にて、異なる量の溶存エチレンを用いて2つの試験を行った。結果を以下の表に示す。
CSTRとプラグフローの組合せ
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例2の付随するテキストを参照して、図1に示す装置及び技術を使用して行った。第2のプラグフロー反応装置(図1の符号4)における反応効率を評価した。主CSTR反応装置(図1の参照番号3)と同じ温度110℃で運転したプラグフロー反応装置の入口にて、異なる量の溶存エチレンを用いて2つの試験を行った。結果を以下の表に示す。
この実施例から分かるように、プラグ−フロー反応装置中のエチレン転化率は75〜93%である。このため、プラグ−フロー反応装置を用いると、反応区域においてエチレンがより効率的に利用される。直列プラグ−フロー反応装置により、複雑で経済的でないエチレン回収工程を必要とせずに、CSTR反応装置が最適圧力で運転できるようになる。したがって、直列プラグ反応装置は効率的な閉ループでエチレンの使用を制御する。
[実施例7]
従来の蒸留中の触媒リガンドの不都合な分解
凝縮器を備えた2リットルのガラス蒸留4口フラスコ、温度計、加熱浴及び真空ポンプ系からなる分留装置を設置した。蒸留フラスコには最初に、図1に示し、上の実施例2に付随するテキストで説明した装置及び技術を用いて得た、反応混合物1976gを満たした。
従来の蒸留中の触媒リガンドの不都合な分解
凝縮器を備えた2リットルのガラス蒸留4口フラスコ、温度計、加熱浴及び真空ポンプ系からなる分留装置を設置した。蒸留フラスコには最初に、図1に示し、上の実施例2に付随するテキストで説明した装置及び技術を用いて得た、反応混合物1976gを満たした。
蒸留中、圧力を初期圧力100mmHgから最終圧力6mmHgまで徐々に低下させた。この間、(異なる画分中の)留出物1792グラムを抽出した。蒸留中、HClガスの形成が目視可能であり、さらに、クロロブタン(トリブチルホスフェートリガンドからの分解生成物)もかなりの量、すなわち留出物画分に対して1〜19%で形成された。これらの観察を行った際に、蒸留を中断し、蒸留残渣を秤量及び分析すると、16%のテトラクロロプロパン含有量を有することが判明した。トリブチルホスフェートリガンドの著しい分解を伴わずに、蒸留を継続することは、もはや不可能であった。
[実施例8]
1,1,1,3−テトラクロロプロパンからの1,1,3−トリクロロプロペンの生成
図5は、本方法のステップ2)の工程を運転するために使用することができる系の概略図を示す。1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び塩化鉄(III)を、ライン401及び402を介して、連続撹拌槽反応装置403に添加する。塩化鉄(III)の添加は、制御供給を使用して行う。連続撹拌槽反応装置は、140℃〜145℃の温度及び大気圧にて運転する。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンからの1,1,3−トリクロロプロペンの生成
図5は、本方法のステップ2)の工程を運転するために使用することができる系の概略図を示す。1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び塩化鉄(III)を、ライン401及び402を介して、連続撹拌槽反応装置403に添加する。塩化鉄(III)の添加は、制御供給を使用して行う。連続撹拌槽反応装置は、140℃〜145℃の温度及び大気圧にて運転する。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、脱塩化水素区域の役割を果たす連続撹拌槽反応装置403内で1,1,3−トリクロロプロペンに転化される。反応装置403中の反応混合物の滞留時間は、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの1,1,3−トリクロロプロペンへの過剰転化を防止するために制限され、このため1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比は50:50を超えない。
1,1,3−トリクロロプロペンの一部は、蒸留塔408を使用して反応混合物から抽出される。反応混合物を蒸留塔408の底部に供給され、1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れが、ライン409を介して塔頂蒸気として抜き出される。部分凝縮器410は、ライン411を介して1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れからガス状塩化水素を抽出するように機能する。次いで、1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れがライン412を介して還流分離器413に供給され、精製された1,1,3−トリクロロプロペンの流れがライン415を介して取り出される。1,1,3−トリクロロプロペンに富む流れの一部が、ライン414を介して蒸留塔408に還流として戻される。
触媒、未反応1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び限定量の1,1,3−トリクロロプロペンを含む混合物が、ライン404を介して反応装置403からフィルタ405に抽出される。得られたフィルタケーキがライン406を介して抽出され、図6に示すような水性処理のために、ライン407に濾液が通過される。
図6において、図5の反応装置からの混合物は、ライン502を介して、ストリッピングボイラを含む洗浄槽505に供給される。液相分離効率をより良好にするために、1,1,1,3テトラクロロプロパン又は別のハロアルカン抽出剤が、ライン503を介して洗浄槽に供給される。水性塩酸がライン501を介して洗浄槽505に供給される。
二相性混合物が槽505内で形成され、有機相がライン506を介して槽505から抽出され、濾過され507、図7に示すようにさらなる処理のために、ライン509を介して取り出される。残りの水相は、さらなる処理のためにライン510を介して抽出される。フィルタケーキが抽出される(508)。
水洗槽505に存在する水層に溶解させた1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンは、水蒸気蒸留塔511によって抽出される。ストリッピングした塩素化アルカンは、ライン512を介して蒸留塔511から凝縮器513へ、次いでライン514を介して、2層が形成される還流液液分離器515に送出される。次いで、ストリッピングした1,1,1,3−テトラクロロプロパンは有機相としてライン517を介して取り出され、水相はライン516を介して蒸留塔に還流される。
図7を参照すると、有機相は、ライン601を介して蒸留ボイラ602に供給される。1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンは、蒸留塔607、凝縮器609及び還流分離器611を使用して形成された混合物から抽出され、1,1,3−トリクロロプロペン613.1及び1,1,1,3−テトラクロロプロパン613.2の画分が生成される。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの画分が脱塩化水素区域に戻して再循環され、同時に1,1,3−トリクロロプロペンの画分は、貯蔵されるか、又は塩素化アルケンを出発原料として用いる下流反応に使用するために搬送される。
重質留分残渣は、ライン603を介してボイラ602から抽出され、濾過される604。得られたフィルタケーキ及び液体残渣は、それぞれライン605及び606を介して抽出され、再循環又は処理される。
上に概説した装置及び工程条件を使用して、1,1,1,3−テトラクロロプロパン(1113TeCPa、純度99.925%)3563kgを平均毎時充填量63.1kg/hで連続的に処理して、1,1,3−トリクロロプロペン(113TCPe)を生成した。実施例8に従って行った、開示した方法の基本的なパラメータは以下の通りである。
上記実施形態の精製生成物の全不純物プロファイルを以下の表に示す。数値は、図5のライン415及び図7のライン613.1で得た生成物のプロファイルの加重平均として示されている。
示すように、本方法のステップ2)は、運転して高純度塩素化アルケン材料を生成することができる。
[実施例9]
1,1,1,3−テトラクロロプロパンからの1,1,3−トリクロロプロパンの生成
この実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例8で用いた装置及び技術を用いて行った。連続撹拌槽反応装置を149℃の温度及び大気圧にて運転した。反応装置中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比は、30:70を超えないように制御した。上記の実施例8で概説した装置及び工程条件を使用して、1,1,1,3−テトラクロロプロパン(1113TeCPa、純度99.901%)1543.8kgを平均毎時装填量47.5kg/hで連続的に処理して、1,1,3−トリクロロプロペン(113TCPe)を生成した。触媒をFeCl3水溶液の形態で添加して、供給原料1113TeCPaに対して66ppmの触媒含有量を得た。実施例8に従って行った、開示した方法の基本的なパラメータは以下の通りである。
1,1,1,3−テトラクロロプロパンからの1,1,3−トリクロロプロパンの生成
この実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例8で用いた装置及び技術を用いて行った。連続撹拌槽反応装置を149℃の温度及び大気圧にて運転した。反応装置中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比は、30:70を超えないように制御した。上記の実施例8で概説した装置及び工程条件を使用して、1,1,1,3−テトラクロロプロパン(1113TeCPa、純度99.901%)1543.8kgを平均毎時装填量47.5kg/hで連続的に処理して、1,1,3−トリクロロプロペン(113TCPe)を生成した。触媒をFeCl3水溶液の形態で添加して、供給原料1113TeCPaに対して66ppmの触媒含有量を得た。実施例8に従って行った、開示した方法の基本的なパラメータは以下の通りである。
上記実施形態の生成物の全不純物プロファイルを以下の表に示す。数値は、図5のライン415及び図7のライン613.1で得た生成物のプロファイルの加重平均として示されている。
示すように、1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比が30:70を超えないように脱塩化水素反応を制御すると、ステップ2)の方法を運転して、非常に高い選択性を有する高純度塩素化アルケン材料を高収率で生成することができる。3,3,3−テトラクロロプロペンが極微量でのみ形成されることに留意する。このことが特に有利であるのは、3,3,3−テトラクロロプロペンが、遊離誘導(活性化)二重結合を有する非常に反応性のオレフィン汚染材料であり、非常に問題のある酸素化不純物の前駆体であり得るためである。
[実施例10]
反応混合物中のアルケン:アルカン比
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例8で用いた装置及び技術を用いて行った。これらの各試験において、各試験における反応装置中に存在する反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンの比(403、図5)反応混合物(407、図5)が異なるように、反応の進行を制御した。触媒FeCl3の適用量は、反応転化率を約90%に維持するように制御した。重質オリゴマー形成及び触媒失活に対する反応混合物中の異なるレベルの113TCPeの影響を、以下の表に示す:
反応混合物中のアルケン:アルカン比
これらの実施例は、別途記載しない限り、上記の実施例8で用いた装置及び技術を用いて行った。これらの各試験において、各試験における反応装置中に存在する反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンの比(403、図5)反応混合物(407、図5)が異なるように、反応の進行を制御した。触媒FeCl3の適用量は、反応転化率を約90%に維持するように制御した。重質オリゴマー形成及び触媒失活に対する反応混合物中の異なるレベルの113TCPeの影響を、以下の表に示す:
この実施例から分かるように、特定の装置及び技術を用いた場合、ステップ2)における出発原料に対する生成物のモル比の増加(反応混合物中の生成物の増加量)は、これは、重質オリゴマーの形成の増加に相当する。さらに、1,1,3−トリクロロプロペンの濃度が高いと、触媒失活も認められた。
[実施例11]
生成物流体と種々の材料との相溶性
エルレンマイヤーガラスフラスコに、純度が99%を超える純粋な蒸留1,1,3−トリクロロプロペンを満たした。構造材サンプルを液体に浸漬して、系をプラスチック栓で閉じた。
生成物流体と種々の材料との相溶性
エルレンマイヤーガラスフラスコに、純度が99%を超える純粋な蒸留1,1,3−トリクロロプロペンを満たした。構造材サンプルを液体に浸漬して、系をプラスチック栓で閉じた。
トリクロロプロペンのサンプルをフラスコから定期的に採取した。構造材サンプルは、トレイルの前後に秤量した。液体の温度は周囲実験室条件、約25℃であった。
トリクロロプロペンの品質の主な変化は、純度%変化として以下の表に示す:
第2の一連の試験では、温度を制御したバッククーラー及び油加熱浴を備えたエルレンマイヤーガラスフラスコに、純度99%超の純粋な蒸留1,1,3−トリクロロプロペンを満たした。試験材料サンプルを液体に浸漬して、プラスチックプラグを使用して系を部分的に閉じた。トリクロロプロペンのサンプルをフラスコから定期的に採取した。材料サンプルは、トレイルの前後に秤量した。液体の温度は100℃に制御した。液体トリクロロプロペンの主な変化を以下の表に示す:
この実施例から分かるように、炭素鋼の使用は、1,1,3−トリクロロプロペンからなる工程流体と相溶性がないため、困難であると思われる。ステンレス鋼及びチタンも性能が低く、結果として、かなりの量のオリゴマーが形成される。試験した金属材料から、Ni合金ハステロイC−276は優れた結果を有する。ガラス(又はエナメル)及び他の非金属材料、例えばフェノール樹脂含浸黒鉛も、より好適であることが分かる。
[実施例12]
問題のある塩素化アルケン不純物
塩素化アルケンが出発原料として使用される多くの下流反応において、酸素化有機不純物が存在することは問題である。本実施例は、ある不純物がこのような化合物を形成する驚くべき傾向を有することを実証する。
問題のある塩素化アルケン不純物
塩素化アルケンが出発原料として使用される多くの下流反応において、酸素化有機不純物が存在することは問題である。本実施例は、ある不純物がこのような化合物を形成する驚くべき傾向を有することを実証する。
撹拌機、温度計、バッククーラー、供給及び排出ネック並びに冷却浴を備えた4口ガラスフラスコに水を満たし、塩素ガスを水中にバブリングして、弱次亜塩素酸溶液を生成した。適量の塩素が水中に導入されたら、98.9%の純度を有する1,1,3−トリクロロプロペンを含む実施例8の方法から得た供給原料を、調製した次亜塩素酸溶液中に90分の期間にわたって滴下して、冷却した。圧力は大気圧であり、運転温度は20℃に近かった。純度68.1%の3,3,3−トリクロロプロペンを用いて同じ手順を反復した。反応完了後、系は二相性混合物を形成した。有機相(生成物)を抽出し、次いでガスクロマトグラフィーで分析した。結果を以下の表に示す。
この実施例から分かるように、1,1,3−トリクロロプロペンは水中で塩素と反応して、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するが、3,3,3−トリクロロプロペンは著しく反応して、対応するテトラクロロヒドリン、とりわけ1,1,1,3−テトラクロロプロパン−2−オールを生成する。
言い換えれば、1,1,3−トリクロロプロペンは反応して商業的に目的の生成物を生成するが、3,3,3−トリクロロプロペンは反応して、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから容易に除去できない酸素化不純物を生成する。上の実施例8及び9から明らかなように、ステップ2)の工程は有利に用いられて1,1,3−トリクロロプロペンを生成し、極微量の3,3,3−トリクロロプロペンの形成をもたらす。
[実施例13]
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの連続生成
ステップ3−a)における第1転化ステップ及び主転化ステップを行うために使用される装置の概略図を図8に示す。1,1,3−トリクロロプロペンの液体流は、ライン706を介して、カラムガス−液体反応装置702に連結された外部循環ループ703、705、707中に供給される。ガス状塩素は、ライン701を介して反応装置702に供給される。反応装置702は、単一の第1反応区域、すなわち循環ループ703、705、707及び反応装置702の下部を含む。循環ループ703、705、707は、反応混合物の温度を制御するための外部冷却器704を備えている。1,1,3−トリクロロプロペンと塩素を第1反応区域内で十分に混合する。第1転化ステップは、連続撹拌槽反応装置などの、1種類以上の反応装置で等しく実施することができる。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの連続生成
ステップ3−a)における第1転化ステップ及び主転化ステップを行うために使用される装置の概略図を図8に示す。1,1,3−トリクロロプロペンの液体流は、ライン706を介して、カラムガス−液体反応装置702に連結された外部循環ループ703、705、707中に供給される。ガス状塩素は、ライン701を介して反応装置702に供給される。反応装置702は、単一の第1反応区域、すなわち循環ループ703、705、707及び反応装置702の下部を含む。循環ループ703、705、707は、反応混合物の温度を制御するための外部冷却器704を備えている。1,1,3−トリクロロプロペンと塩素を第1反応区域内で十分に混合する。第1転化ステップは、連続撹拌槽反応装置などの、1種類以上の反応装置で等しく実施することができる。
第1反応区域内の運転温度は、0℃〜20℃である。この範囲内で反応装置を運転することにより、目的生成物である1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから分離することが困難である、ペンタクロロプロパン異性体の生成を最小限に抑えることが見出された。反応混合物の十分な混合及び温和な温度だけでなく、反応混合物中に存在する1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの割合を制御することによっても、1,1,3−トリクロロプロペンの連続反応及び(1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから分離することが困難である)1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンの生成が最小限に抑えられることがわかった。低温で反応速度を上昇させるために、反応混合物を可視光線に露光させる。
次いで反応混合物を、低下した温度転化ステップとして行われる主転化ステップのために、反応装置702を通過させる。冷却管を使用して反応混合物の冷却を行い、反応混合物を一連の上流及び下流主反応区域(図示せず)に通過させると、1,1,3−トリクロロプロペンの区域での塩素化が生じる。この反応を完了に向かわせるために、下流の主反応区域の反応混合物を紫外光に露光させる。有利には、この露光によって、最も下流の主反応区域から抽出した反応混合物が非常に低いレベルの溶解塩素を有するように、塩素出発原料が完全に利用される。
このような温度で主反応区域を運転することにより、望ましくもなく問題のある不純物、例えばヘキサクロロプロパンが生成を生じる、1,1,3−トリクロロプロペンの連続反応が最小限に抑えられることが見出されている。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む流れは、反応装置702からライン708を介して抽出される。オフガスは、ライン711を介して反応装置702から抽出される。1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む流れは、生成物冷却器709を用いた冷却に供され、加水分解ステップのためにライン710を通過する。このステップを実施するために使用する装置を示す概略図を、図9として示す。
その装置では、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む流れは、ライン802を介して洗浄槽803に供給される。水はライン801を介して洗浄槽に供給され、二相性混合物を形成する。(1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を含有する)有機相は、ライン804を介してこれらの相を順次除去することにより、容易に水相から分離することができる。抽出した相を濾過し(805)、フィルタケーキを除去する(806)。次いで、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を、さらなる処理のためにライン807を介して供給し、一方、廃水はライン808を介して除去する。
加水分解ステップは、方法の上流ステップ中に形成され得る、塩素化プロピオニルクロライド並びにその対応する酸及びアルコールなどの酸素化有機化合物の除去にとりわけ効果的である。このような化合物の生成は、合成の上流段階から酸素の存在を排除することによって回避することができるが、酸素の排除により生産コストが上昇する。このため、加水分解ステップは、(例えば蒸留によって除去することが困難であるため)除去されなければ問題となるこのような不純物の経済的及び直接的な除去に役立つ。
得られた1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの純度を最大にするために、図10に示す装置、すなわち蒸留ボイラ902及び真空蒸留塔907を使用して、真空蒸留ステップを行った。有利には、工程液体及び留出物と接触する蒸留装置の構成要素は、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの分解生成物の生成を防止する非金属材料で形成されている。
真空蒸留塔907には、ボイラ内で生成され得る軽質分子量化合物による生成物流の汚染を防止するために使用できる、液体側流抜き出しが設けられている。
図9に示す装置からの1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物は、ライン901を介してボイラ902に供給される。残渣は、ライン903を介して蒸留ボイラ902から抽出され、フィルタ904を用いて濾過される。フィルタケーキは系905から抽出され、重質分流はライン906を介して抽出され、さらなる処理に供される。
留出物は、ライン908を介して蒸留塔907から取り出され、凝縮器909、中間ライン910及び液体分離器911を介して供給され、i)第1反応区域に再循環される1,1,3−トリクロロプロペンの流れがライン913.1を介して、ii)1,1,1,3−テトラクロロプロパンの流れがライン913.3を介して、及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの流れがライン913.2を介して生じる。分離器911からの還流912は、真空蒸留塔907中に戻される。
上に概説した装置及び工程条件を使用して、1,1,3−トリクロロプロペン(113TCPe、純度97.577%)3062kgを、平均毎時装填量44.9kg/hで連続的に処理して、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(11123PCPa)を生成した。方法の基本パラメータは以下の通りである:
上記実施形態の図10のライン913.3で得た精製生成物は、99.967重量%のHCC−240db、0.001重量%の1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び0.005重量%水を含有する。
[実施例14]
超純粋組成物1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(PCPA)
実施例13の工程を4回繰り返し、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのサンプルを、図10に示す装置を用いた蒸留後に得た。蒸留は、約15ミリバールの圧力及び105℃の最大ボイラ温度で実施した。ステップ3)の工程は、非常に低レベルの不純物、特に、蒸留を使用して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから分離することは非常に困難である、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを(0.0006〜0.0009重量%の間で)含む、高純度PCPA(例えば各反復についてそれぞれ99.984重量%、99.985重量%、99.993重量%及び99.989重量%)を与える。
超純粋組成物1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(PCPA)
実施例13の工程を4回繰り返し、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンのサンプルを、図10に示す装置を用いた蒸留後に得た。蒸留は、約15ミリバールの圧力及び105℃の最大ボイラ温度で実施した。ステップ3)の工程は、非常に低レベルの不純物、特に、蒸留を使用して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから分離することは非常に困難である、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを(0.0006〜0.0009重量%の間で)含む、高純度PCPA(例えば各反復についてそれぞれ99.984重量%、99.985重量%、99.993重量%及び99.989重量%)を与える。
[実施例15]
水処理の効果
粗1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン組成物を、図8に示し、上の実施例13に記載した装置を使用して得た。例えば組成物を図8のライン710から得た。一方の流れ(試験15−1)は加水分解ステップに供さなかったが、他方は、図9に示し、上の実施例13に記載した装置を使用した(試験15−2)。次いで、得られた粗組成物を蒸留に供した。蒸留前後のサンプルの純度及び酸素化化合物含有量を以下の表に示す:
水処理の効果
粗1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン組成物を、図8に示し、上の実施例13に記載した装置を使用して得た。例えば組成物を図8のライン710から得た。一方の流れ(試験15−1)は加水分解ステップに供さなかったが、他方は、図9に示し、上の実施例13に記載した装置を使用した(試験15−2)。次いで、得られた粗組成物を蒸留に供した。蒸留前後のサンプルの純度及び酸素化化合物含有量を以下の表に示す:
明らかなように、洗浄ステップは、目的の塩素化アルカンに富む組成物中の酸素化有機不純物の含有量を最小にするためにうまく使用することができる。
[実施例16]
塩素化アルケン:塩素化アルカンのモル比の不純物生成に対する影響
撹拌機、温度計、バッククーラー、供給及び排出ネック並びに冷却浴を備えた4口ガラスフラスコからなるバッチ運転応装置を設置した。供給原料は、市販の供給源で認められる量のパークロロエチレン及び酸素化不純物を含む1,1,3−トリクロロプロペンからなっていた。
塩素化アルケン:塩素化アルカンのモル比の不純物生成に対する影響
撹拌機、温度計、バッククーラー、供給及び排出ネック並びに冷却浴を備えた4口ガラスフラスコからなるバッチ運転応装置を設置した。供給原料は、市販の供給源で認められる量のパークロロエチレン及び酸素化不純物を含む1,1,3−トリクロロプロペンからなっていた。
微量のHClガスが生成され、これらを極微量の塩素と共にバッククーラー/凝縮器によって冷却して、次いで苛性ソーダスクラバに吸収させた。塩素を、浸漬パイプを介して各種の量の液体反応混合物中に90分間にわたって導入した。反応温度を26〜31℃に維持した。圧力は大気圧であった。反応中に塩素が完全に消費された。反応混合物をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析して、この分析結果を以下の表に示す:
示すように、塩素化アルケン出発原料の目的の塩素化アルカン生成物への転化の増加は、反応混合物中の不純物の生成の増加を生じる。これらの不利な結果は、出発原料の生成物への転化が全転化に近づくにつれて生じる。
[実施例17]
塩素化アルケン:塩素化アルカンのモル比の異性体選択性に対する影響
本実施例は、上の実施例16に記載したように行った。1,1,3−トリクロロプロペン(不純物として1,1,1,3−テトラクロロプロパンを5%含む純度94.6%)を供給原料として使用した。
塩素化アルケン:塩素化アルカンのモル比の異性体選択性に対する影響
本実施例は、上の実施例16に記載したように行った。1,1,3−トリクロロプロペン(不純物として1,1,1,3−テトラクロロプロパンを5%含む純度94.6%)を供給原料として使用した。
異なる反応温度で4回の試験を行った。反応混合物のサンプルを(供給原料中の113TCPeに対して)80%、90%、95%及び100%の使用した化学量論量の塩素にて採取し、次いでガスクロマトグラフィーで分析した。この分析の結果を以下の表に示す:
これらの結果は、塩素化アルケン出発原料の目的の塩素化アルカン生成物への転化の増加が、目的の塩素化アルカン異性体に対する反応の選択性の低下を生じることを示している。これらの不利な結果は、出発原料の生成物への転化が全転化に近づくにつれて生じる。
[実施例18]
塩素化アルケン:塩素化アルカンのモル比の不純物生成に対する影響
この塩素化ステップは、上の実施例16に記載したように行った。1,1,3−トリクロロプロペン(純度99.4%)を供給原料として使用した。
塩素化アルケン:塩素化アルカンのモル比の不純物生成に対する影響
この塩素化ステップは、上の実施例16に記載したように行った。1,1,3−トリクロロプロペン(純度99.4%)を供給原料として使用した。
塩素を供給原料1,1,3−トリクロロプロペンに対して化学量論量の120%で液体反応混合物中に90分間にわたって導入し、反応中に完全に消費させた。反応温度は80℃であり、反応装置圧力は大気圧であった。反応混合物のサンプルを、80%、95%、110%及び120%の使用した化学量論量の塩素によって採取し、ガスクロマトグラフィーで分析した。反応選択性は、以下の表に、主要な不純物(1,1,3,3−テトラクロロプロペン、1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロパン、1,1,1,2.2.3−ヘキサクロロプロパン)の合計と生成物1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの比として示す:
これらの結果は、塩素化アルケン出発原料の目的の塩素化アルカン生成物への転化の増加が、望ましくない不純物の生成の増加を生じることを示す。これらの不利な結果は、出発原料の生成物への転化が全転化に近づくにつれて生じる。示すように、モル過剰の塩素:塩素化アルケン出発原料が存在しないように、反応区域への塩素の量を制御することによって、転化率(ひいては不純物の生成)を有利に及び好都合に達成することができる。
[実施例19]
加水分解による酸素化不純物の除去
目的の塩素化アルカン生成物から酸素化化合物を除去する際のステップ3−b)の加水分解ステップの有効性を示すために、図8に示し、上の実施例13に記載の装置を使用して、粗反応混合物反応混合物のサンプルを得て、例えば組成物を図8のライン710から得た。下流の反応において問題であることが既知の、特定の酸素化化合物の含有量を分析した(供給)。次いで、サンプルを、図9に示し、実施例13に上記した装置を使用して加水分解ステップに供し、有機相、例えば図9のライン807から得られた組成物を分析した(処理後)。結果を以下の表に示す。
加水分解による酸素化不純物の除去
目的の塩素化アルカン生成物から酸素化化合物を除去する際のステップ3−b)の加水分解ステップの有効性を示すために、図8に示し、上の実施例13に記載の装置を使用して、粗反応混合物反応混合物のサンプルを得て、例えば組成物を図8のライン710から得た。下流の反応において問題であることが既知の、特定の酸素化化合物の含有量を分析した(供給)。次いで、サンプルを、図9に示し、実施例13に上記した装置を使用して加水分解ステップに供し、有機相、例えば図9のライン807から得られた組成物を分析した(処理後)。結果を以下の表に示す。
この例から分かるように、この特定の酸素化不純物の除去の効率は、約97.5%である。
[実施例20]
HCC−240dbのHFO−1234yfへのフッ素化
使用した装置は、図16に記載されたものと同様である。最終生成物を、GC/MS並びにRTX 200、Gaspro及びShincarbonカラムを備えた気相クロマトグラフィーで分析する。
HCC−240dbのHFO−1234yfへのフッ素化
使用した装置は、図16に記載されたものと同様である。最終生成物を、GC/MS並びにRTX 200、Gaspro及びShincarbonカラムを備えた気相クロマトグラフィーで分析する。
本発明の方法によって得た純粋なHCC−240dbのフッ素化は、市販のバルクCr触媒9.2リットルを用いて行う。使用前に触媒を活性化する。
触媒活性を維持するために、空気を添加しない。
この系に、P=5バールにて無水HF及びHCC−240db(0.36kg/hr)を連続供給した。接触時間は19秒であり、反応温度は350℃であった。接触時間は、温度及び圧力の実験条件における全体積流速に対する触媒床の体積の比として定義する。
HCC−240dbの転化率は100%であった。図16に示す粗1234yfは、91.92wt%のHFO−1234yf、1.18wt%のHFC−245cbを含有する。精製後、HFO−1234yfの純度は99.8重量%超であり、HFC−245cb含有量は100ppm未満である。
Claims (61)
- 高純度2,3,3,3−テトラフルオロプロペン生成物を調製する方法であって、以下の:
1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化の任意選択のステップ1であって:
1−a)主アルキル化区域にエチレン、四塩化炭素及び触媒を含む反応混合物を供給して、前記反応混合物中で1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成すること、及び
1−b)ステップ1−a)で得た前記反応混合物を処理して1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得ること、を含むステップ1;
1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素の任意選択のステップ2であって、
2−a)脱塩化水素区域で前記1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を触媒と接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成すること、及び
2−b)ステップ2−a)で得た前記反応混合物を処理して1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を得ること、を含むステップ2;
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化のステップ3であって、
3−a)前記脱塩化水素区域とは異なる反応区域で前記1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を塩素と接触させて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含有する反応混合物を生成すること、及び
3−b)ステップ3−a)で得た前記反応混合物を処理して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を得ること、を含むステップ3;
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を生成するステップ4であって、
4−a)触媒の存在下又は非存在下で前記1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF、及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成すること;
4−b)ステップ4−a)で得た前記反応混合物を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ、並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−c)4−a)で得た前記反応混合物又は4−b)で得た前記第2の流れを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を得る任意選択のステップ、
4−d)生成物流4−c)を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−e)4−b)で得た前記第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)へ、又は4−d)で得た前記第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)若しくは4−c)のどちらかに再循環させる任意選択のステップ、及び
4−f)4−b)又は4−d)で得た前記第1の流れから2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を分離する任意選択のステップ、
4−g)4−a)、4−b)、4−c)、4−d)、4−e)、4−f)の1つ以上のステップで得た、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物、HCI又はHFを精製する任意選択のステップ、を含むステップ4
を含む方法。 - 請求項1に記載の高純度2,3,3,3−テトラフルオロプロペン生成物を調製する方法であって、以下の:
1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を生成するためのテロマー化のステップ1であって:
1−a)主アルキル化区域にエチレン、四塩化炭素及び触媒を含む反応混合物を供給して、前記反応混合物中で1,1,1,3−テトラクロロプロパンを生成すること、及び
1−b)ステップ1−a)で得た前記反応混合物を処理して1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を得ること、を含むステップ1;
1,1,3−トリクロロプロペンを生成するための1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素のステップ2であって、
2−a)脱塩化水素区域で前記1,1,1,3−テトラクロロプロパン供給原料を触媒と接触させて、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む反応混合物を生成すること、及び
2−b)ステップ2−a)で得た前記反応混合物を処理して1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を得ること、を含むステップ2;
1,1,1,2,3−−ペンタクロロプロパンを生成するための1,1,3−トリクロロプロペンの塩素化のステップ3であって、
3−a)前記脱塩化水素区域とは異なる反応区域で前記1,1,3−トリクロロプロペン供給原料を塩素と接触させて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含有する反応混合物を生成すること、及び
3−b)ステップ3−a)で得た前記反応混合物を処理して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を得ること、を含むステップ3;
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を生成するステップ4であって、
4−a)触媒の存在下又は非存在下で前記1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料をHFと反応させて、HCl、HF、及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を含む反応混合物を生成すること;
4−b)ステップ4−a)で得た前記反応混合物を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ、並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに分離する任意選択のステップ、
4−c)4−a)で得た前記反応混合物又は4−b)で得た前記第2の流れを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応混合物を得る任意選択のステップ、
4−d)生成物流4−c)を、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び/又はHClを含む第1の流れ、並びにHF及び1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)及び/又は2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む第2の流れに任意に分離するステップ、
4−e)4−b)で得た前記第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)へ、又は4−d)で得た前記第2の流れの少なくとも一部をステップ4−a)若しくは4−c)のどちらかに再循環させる任意選択のステップ、及び
4−f)4−b)又は4−d)で得た前記第1の流れから2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を分離する任意選択のステップ、
4−g)4−a)、4−b)、4−c)、4−d)、4−e)、4−f)の1つ以上のステップで得た、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物、HCl又はHFを精製する任意選択のステップ、を含むステップ4
を含む方法。 - 処理ステップ1−b)、2−b)及び/又は3−b)が蒸留ステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 処理ステップ1−b)、2−b)及び/又は3−b)が、1,1,1,3−テトラクロロプロパン(ステップ1−bの場合)、1,1,3−トリクロロプロペン(ステップ2−bの場合)及び/又は1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(ステップ3−bの場合)を含む組成物を水性媒体と接触させることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ1−b)で生成され、ステップ2−a)で使用する前記供給原料が、
約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物)、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水、及び/又は
約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1,1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロパ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 - ステップ2−b)で生成され、ステップ3−a)で使用する前記供給原料が、
約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上、約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物)、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の水、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、及び/又は
約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 - ステップ1−a)において、
前記主アルキル化区域における前記反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパンの濃度が、前記反応混合物中の1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素のモル比が、
前記主アルキル化区域が連続運転中である場合は95:5、又は
前記主アルキル化区域がバッチ運転中である場合は99:1
を超えないようなレベルで維持される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 - ステップ1−a)で生成した前記反応混合物を前記主アルキル化区域から抽出して、ステップ1−b)の水性処理ステップに供し、その際、水性処理区域で前記反応混合物を水性媒体と接触させ、二相性混合物が形成され、触媒を含む有機相が前記二相性混合物から抽出される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ1−a)で使用する触媒が、さらに有機リガンドを任意に含む金属触媒である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記有機リガンドが、アルキルホスフェート、例えばトリエチルホスフェート及び/又はトリブチルホスフェートである、請求項9に記載の方法。
- ステップ1−a)で生成した前記反応混合物を第1アルキル化区域から抽出し、前記主アルキル化区域に供給し、前記主アルキル化区域から抽出した前記反応混合物中に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素の比が、前記第1アルキル化区域から得た前記反応混合物中に存在する1,1,1,3−テトラクロロプロパン:四塩化炭素の比よりも大きい、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記主アルキル化区域を離れる反応混合物中の未反応エチレンの量が、0.6%未満、0.3%未満、0.2%未満又は0.1%未満である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- すべての未反応ガス状エチレンを、高圧運転中の前記反応区域に直接戻して再循環させる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 低温の四塩化炭素供給原料にエチレンを吸収させることによって、すべての未反応のガス状エチレンを高圧運転中の前記反応区域に戻して再循環させる。請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記脱塩化水素区域におけるステップ2−a)で生成された前記反応混合物中の1,1,3−トリクロロプロペンの濃度が、1,1,3−トリクロロプロペン:1,1,1,3−テトラクロロプロパンのモル比が1:99〜50:50となるように制御される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ2−b)が、1,1,3−トリクロロプロペン、触媒及び1,1,1,3−テトラクロロプロパンを含む混合物を、水性処理区域において水性媒体と接触させることを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 二相性混合物が前記水性処理区域で形成され、1,1,1,3−テトラクロロプロパン及び1,1,3−トリクロロプロペンを含む有機相が前記二相性混合物から抽出される、請求項16に記載の方法。
- ステップ2−a)の前記反応混合物と接触する前記脱塩化水素区域の全部分が、約20%以下、約10%以下若しくは約5%以下の鉄含有量を有し、及び/又は、非金属材料、例えばエナメル、ガラス、(例えばフェノール系樹脂を含浸させた)含浸黒鉛、炭化ケイ素、及び/又はプラスチック材料、例えばポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ、及び/又はポリビニリデンフルオリドから形成されている、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ2−a)における前記反応混合物と接触する、前記脱塩化水素区域の少なくとも一部が、ハステロイなどのニッケル系合金で形成される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ3−a)では、ステップ3−a)で生成した前記反応混合物における1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン:1,1,3−トリクロロプロペンのモル比が、95:5を超えない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ3−a)で生成した前記反応混合物が、前記第1反応区域から抽出され、次いで主反応区域にて主転化ステップに供されて、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を生成し、この生成物が前記主反応区域から抽出される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ3−a)において、前記主転化ステップが、前記第1反応区域から抽出した前記反応混合物が、低温で運転される主反応区域に供給され、前記1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物が前記主反応区域から抽出される、低温転化ステップを含む、請求項21に記載の方法。
- 前記第1反応区域及び/又は前記主反応区域が、可視光及び/又は紫外光で露光される、請求項21又は22に記載の方法。
- ステップ3−a)で生成した前記反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性処理及び/又は加水分解ステップに供する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記水性処理及び/又は加水分解ステップが、水性処理区域において、前記反応混合物/1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンに富む生成物を水性媒体と接触させるステップを含む、請求項24に記載の方法。
- ステップ3−b)が、ステップ3−a)で生成した前記反応混合物及び/又は前記塩素化アルカンに富む生成物及び/又は請求項25において前記水性処理区域で形成された前記混合物から抽出された有機相に対して実施される、1つ以上の蒸留ステップを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 4−a)で得た前記反応混合物からHClを分離することを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
- 4−a)で得た前記反応混合物又は4−b)で得た前記第2の流れを反応させて、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を得ることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)で得た前記反応混合物の少なくとも一部が、ステップ4−a)に再循環され、又は前記第2の流れ4−d)の少なくとも一部が、ステップ4−a)若しくはステップ4−c)のどちらかに再循環されることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
- HFに富む上相、及びHFO−1234yf及び任意選択の化合物C1に富む有機下相を与えるために、ステップ4−b)の前記第2の流れ又はステップ4−d)で得た前記第2の流れを、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、任意にフッ素化アルコール、任意にフッ素化エーテル、ケトン、エステル、ポリオール及びフッ化水素化エーテルから選択される少なくとも1つの化合物(C1)の添加量の任意選択の存在下で冷却することを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)の前記フッ素化反応が、気相フッ素化反応及び/又は液相フッ素化反応であることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
- 前記フッ素化反応が、気相フッ素化反応であることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)を、3:1〜150:1、好ましくは4:1〜125:1、より好ましくは5:1〜100:1のHF:HCC−240dbのモル比で行うことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
- ステップ4−a)を、大気圧〜20バール、好ましくは2〜18バール、より好ましくは3〜15バールの圧力で行うことを特徴とする、請求項32〜33のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)を、200〜450℃、好ましくは250〜400℃、より好ましくは280〜380℃の温度で行うことを特徴とする、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)を、3〜100秒、好ましくは4〜75秒、より好ましくは5〜50秒の接触時間で行うことを特徴とする、請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)を、O2及び/又はCl2の存在下で行うことを特徴とする、請求項32〜36のいずれか一項記載の方法。
- HCC−240dbに対するO2及び/又はCl2の比が0.005〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%であることを特徴とする、請求項32〜37のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)及び/又はステップ4−c)を、触媒の存在下で行うことを特徴とする、請求項32〜37のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ4−a)及び/又はステップ4−c)を、担持されている又は担持されていない、好ましくは担持されていないクロム触媒である触媒の存在下で行う、請求項39に記載の方法。
- 前記触媒が、フッ素化アルミナ、フッ素化クロミア、フッ素化活性炭又は黒鉛炭素から選択される担体に担持されている、請求項39又は40に記載の方法。
- 前記触媒が、Ni、Co、Zn、Mn又はこれらの混合物から選択される助触媒、好ましくは亜鉛をさらに含み、前記助触媒が、好ましくは前記フッ素化触媒の約1〜10重量%の量で存在する、請求項41に記載の方法。
- ステップ4−a)及び/又はステップ4−c)を、好ましくは担持されたNi−Crを含む触媒の存在下で行う、請求項39〜42のいずれか一項に記載の方法。
- 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を含む流れが、1つ以上のさらなる精製ステップを受けることを特徴とする、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
- 前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を、水と接触させ、乾燥ステップに供することを特徴とする、請求項44に記載の方法。
- 前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を蒸留塔に供給して、1つ以上の軽質有機不純物を除去する、請求項44又は45に記載の方法。
- 前記軽質有機不純物が、−84℃〜−35℃の沸点を有する有機化合物を含むことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
- 前記軽質有機不純物が、トリフルオロメタン(HFC−23)、1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロエタン(CFC−116)、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)、3,3,3−トリフルオロプロピン、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1−クロロ−1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタン(CFC−115)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。
- 前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を抽出蒸留に供することを特徴とする、請求項44〜48のいずれか一項に記載の方法。
- 前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペン流を吸着剤と接触させることを含む、請求項44〜49のいずれか一項に記載の方法。
- 前記吸着剤が、モレキュラーシーブである、請求項50に記載の方法。
- 前記モレキュラーシーブが、X型又はA型であることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
- 前記モレキュラーシーブが、5〜11オングストロームの平均細孔径を有することを特徴とする、請求項50〜52のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、ステップ4−b)の前に、好ましくは蒸留又はデカンテーションによって、ステップ4−a)で得た前記反応混合物からHFを分離するステップを含む、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、ステップ4−d)の前に、好ましくは蒸留又はデカンテーションによって、ステップ4−c)で得た前記反応混合物中にHFが存在する場合、HFを分離するステップを含む、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜26のいずれかに記載の方法ステップ3及び任意に方法ステップ2及び任意に方法ステップ1を含む方法に従って調製した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)供給原料を出発原料として使用して、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む、方法。
- 1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、並びに以下の:
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
約500ppm未満又は以下、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物、及び/又は
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄、
の1つ以上を含む組成物を出発原料として使用する、
方法。 - 1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
約95%以上、約97%以上、約99%以上、約99.2%以上、約99.5%以上若しくは約99.7%以上の1,1,3−トリクロロプロペン、
約50000ppm未満、約20000ppm未満、約10000ppm未満、約5000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物)、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン不純物(すなわち1,1,3−トリクロロプロペン以外の塩素化アルケン)、
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の水、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満若しくは約5ppm未満の金属、及び/又は
約1000ppm未満、約500ppm未満、約250ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物を含む、組成物を出発原料として使用する、
方法。 - 1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物を製造する方法であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料として、
約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上若しくは約99.9%以上の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち、1,1,1,3−テトラクロロプロパン以外の塩素化アルカン化合物、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の酸素化有機化合物、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の金属触媒、
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の触媒促進剤、
約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満若しくは約100ppm未満の臭化物若しくは臭素化有機化合物、
約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満若しくは約20ppm未満の水、及び/又は
約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロブタン、1,1−1−トリクロロプロパン、テトラクロロエテン、1,1,3−トリクロロプロプ−1−エン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロエタン、1,1,1,5−テトラクロロペンタン、1,3,3,5−テトラクロロペンタン、トリブチルホスフェート、塩素化アルカノール及び塩素化アルカノイル化合物の1つ以上を含む、組成物を出発原料として使用する、
方法。 - 1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成で使用するための供給原料としての、請求項1〜26のいずれかに記載の方法ステップ3及び任意に方法ステップ2及び任意に方法ステップ1を含む方法から得られる組成物の使用。
- 組成物の使用であって、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選択される少なくとも1つの化合物の合成であって、少なくとも1つのフッ素化ステップを含む合成に使用するための供給原料としての、
・少なくとも約95%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%又は少なくとも約99.95%の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、並びに以下の:
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下若しくは約10ppm以下の量の酸素化有機化合物、
約500ppm未満又は以下、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの異性体、
約500ppm未満、約250ppm以下若しくは約100ppm以下の量の非異性体アルカン不純物、
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の塩素化アルケン、
約500ppm未満、約250ppm以下、約100ppm以下若しくは約50ppm以下の量の水、
約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の塩素の無機化合物、
約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下若しくは約10ppm以下の量の臭素化有機化合物、及び/又は
約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満の量の鉄、
の1つ以上を含む組成物の使用。
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