JP2021116985A - 熱交換器、溶融塩電解槽、金属の製造方法 - Google Patents

熱交換器、溶融塩電解槽、金属の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融塩浴内で生じた管の損傷を精度良く検知することができる熱交換器を提供する。【解決手段】溶融塩電解槽に配置されるための熱交換器であって、溶融塩浴に浸漬されない流入口及び流出口と、溶融塩浴に一部浸漬され、流入口と流出口とを連結する管とを備え、管は、流入口から流出口への熱媒ガスの流動に伴う管の内圧を検知する圧力検知手段19が設けられる。【選択図】図1B

Description

本発明は、熱交換器、溶融塩電解槽、及び金属の製造方法に関する。
金属チタンの鋳塊等は、工業的にはクロール法によって製造されたスポンジチタンを使用して製造されている。そして、このクロール法を含むスポンジチタン製造プロセスは、塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程の四工程に大別しうる。これらの工程の一つである電解工程は、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元してスポンジチタンを製造する還元分離工程の副生成物である塩化マグネシウムを、溶融塩電解により分解して、金属マグネシウムを生成する工程である。
当該電解工程において使用される溶融塩電解槽には、当該槽内の溶融塩浴の温度を調整するために熱交換器が使用されている。該熱交換器に関しては、様々な技術開発が行われている。
例えば、特許文献1には、金属回収室で溶融塩浴中に浸漬した一つ以上の導管を有し、入気ダクト内に燃焼バーナーと、冷却空気導入通路を併設した熱交換器が開示されている(特許文献の第1図参照)。この熱交換器は、浴温度が所定値以下となったとき、燃焼バーナーを作動させ、燃焼ガスを導管に送入して溶融塩浴の加温を行なうことができる。
特開平04−214889号公報
特許文献1に記載の熱交換器では、導管が鋼(炭素鋼又はステンレス鋼)製管である場合、塩化マグネシウムの電気分解において発生する塩素ガスが金属回収室に到達し導管を腐食させるおそれがある。また、導管は熱膨張と収縮を繰り返すことでいわゆる熱疲労による亀裂が発生する。導管が腐食または亀裂により損傷した場合、導管内に溶融塩浴や金属マグネシウムが侵入する。よって、該溶融塩浴が空気中に含有される酸素や水分と反応して、白煙が発生するおそれがある。また、該金属マグネシウムは該水分と激しく反応するおそれがある。このような不具合をより確実に防ぐため、特許文献1の技術は更なる改善の余地がある。
そこで、本発明は、溶融塩浴内で生じた管の損傷を精度良く検知することができる熱交換器を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の一側面において、溶融塩電解槽に配置されるための熱交換器であって、溶融塩浴に浸漬されない流入口及び流出口と、前記溶融塩浴に一部浸漬され、前記流入口と前記流出口とを連結する管とを備え、前記管は、前記流入口から前記流出口への熱媒ガスの流動に伴う前記管の内圧を検知する圧力検知手段が設けられる、熱交換器である。
本発明に係る熱交換器の一実施形態においては、前記管は、前記流入口を有する第1の主管と、該第1の主管から間隔をおいて位置し前記流出口を有する第2の主管と、該第1の主管と該第2の主管とを連結するように延びる枝管とを備える。
本発明に係る熱交換器の一実施形態においては、前記圧力検知手段は、前記第1の主管の内圧を測定可能に接続されている。
本発明に係る熱交換器の一実施形態においては、前記圧力検知手段が前記第1の主管の内圧を測定可能に接続されている接続部は、前記溶融塩浴の浴面より上方に設けられる。
また、本発明は別の側面において、上記いずれかの熱交換器を備える、溶融塩電解槽である。
また、本発明は別の側面において、上記の溶融塩電解槽を用いて金属を製造する製造工程を含む、金属の製造方法である。
本発明に係る金属の製造方法の一実施形態においては、前記製造工程においては、前記熱交換器の前記流入口から前記流出口へ熱媒ガスを流したときに、前記管の内圧上昇に基づき前記流入口への熱媒ガスの供給停止を判断する。
本発明の一実施形態によれば、溶融塩浴内で生じた管の損傷を精度良く検知することができる。
本発明の一実施形態に係る熱交換器を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る熱交換器の圧力検知手段を説明するための部分拡大図である。 本発明の他の実施形態に係る熱交換器を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る溶融塩電解槽を示す概略断面図である。 図3Aの溶融塩電解槽の電解室の電極の配置例である。 本発明の他の実施形態に係る溶融塩電解槽を示す概略断面図である。
本発明は以下に説明する各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。なお、図3A、図3B、図4においては、外壁30の底部側から上蓋40に向かう方向を「上方」とし、上蓋40から外壁30の底部側に向かう方向を「下方」とする。
[1.熱交換器]
図1Aに示す熱交換器10は、溶融塩電解槽100(図3A参照)に配置され、該溶融塩電解槽100内の溶融塩浴の温度を調整することができる。該熱交換器10は、流入口11と、流出口12と、該流入口11と流出口12とを連結する管とを備えている。そして、該管は、圧力検知手段が設けられている。
熱交換器の管は、コストや高温域における機械的強度確保等の観点から、鋼(炭素鋼またはステンレス鋼)製とする場合がある。塩化マグネシウムの電気分解では金属マグネシウムと塩素ガスが発生する。塩素ガスのほぼすべて(体積分率で約99%)は電解室から電解槽外に排出されるが、極僅かな塩素ガスは溶融塩浴の浴流れによって金属回収室に到達し熱交換器を腐食させる。また、給排口43(図3A参照)の開口状態における作業時の大気侵入によっても熱交換器は腐食され得る。更に、上記熱交換器の管は熱膨張と収縮を繰り返すことでいわゆる熱疲労による亀裂が発生することがある。
なお、前記管は、前記溶融塩浴に一部浸漬されている。
熱交換器は流入口11から流出口12にかけて熱風または冷風を大量に通気することがあり、これに例えば高純度の不活性ガスを用いると該熱交換器を利用した電気分解は高コストとなる。よって、通常は空気(大気、エアー)を用いたガスを熱媒ガスとして熱交換器に通気する。仮に、熱交換器の管が熱疲労や腐食等により損傷して熱交換器の管内に溶融塩浴及び金属マグネシウムが侵入して前記エアーに接触した場合、溶融塩浴とエアーが急激に反応して白煙が発生し、或いは炎が発生しうる。
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、熱交換器の管の内圧を測定することを案出した。仮に熱交換器の管に孔開きが発生したとすると、溶融塩が該管内に侵入し、該管内のエアーの通路を狭窄することがある。この狭窄等を圧力測定により検知し、熱交換器の使用を停止すればよい。本発明者は、上記圧力測定により溶融塩電解槽の溶融塩浴内で生じた管の損傷を精度良く検知できることを見出した。本発明によれば、溶融塩浴から熱交換器を取り出して目視観察するという工程を削減可能である。
以下、各構成の好ましい態様を説明する。
(流入口)
流入口11は、管の一端部で溶融塩浴に浸漬されない部分に位置する。通常、流入口11と後述する流出口12は溶融塩電解槽の外側に位置する。該流入口11から管内に熱媒ガスが供給され管内に熱媒ガスが流れる。該流入口11の断面形状としては、例えば円状及び角状等が挙げられる。
なお、熱媒ガスとしては、例えば空気等が採用される。熱交換器10外に配置した加熱用バーナー(不図示)で加熱した空気を流入口11から流入してよい。また、後述する内筒13内に配置した加熱用バーナーで空気を加熱して、熱風を管内に流入してよい。他方、空気を加熱せずに流入口11から流入させると、前記空気は溶融塩浴より低温であるため、溶融塩浴の冷却が可能である。
(流出口)
流出口12は、管の一端部で溶融塩浴に浸漬されない部分に位置する。該流出口12は、管内を通って流れた熱媒ガスを排出する。該流出口12の断面形状としては、例えば円状及び角状等が挙げられる。
(管)
図1Aに示す管は、流入口11を有する第1の主管14と、該第1の主管14から間隔をおいて位置し流出口12を有する第2の主管15と、該第1の主管14と第2の主管15とを連結するように延びる枝管16(図1Aでは3本)と、第1の主管14に設けられる圧力測定用管17とを備える。圧力測定用管17は、少なくとも管内の内圧を測定するために使用される。また、圧力測定用管17の流入口18から熱媒ガスを流してもよい。ここで、第1の主管14は、温風と冷風を分けて流入させ枝管16内に通気するという観点から、該第1の主管14と圧力測定用管17とを連結する連結口18aよりも上方の位置から連結口18aを横切って連結口18aよりも下方の位置まで伸びる内筒13を有している。該内筒13の先端13aには、圧力測定用管17の流入口18から送られた冷風が該内筒13に入らないように弁部(不図示)を設けてもよい。
また、図1Aにおいては、該枝管16は、複数本存在するが、1本の単管でもよい。枝管16の本数は特に限定されない。なお、複数本の枝管16は、高さ方向に等間隔でそれぞれ配置されてもよい。
また、該枝管16は、図3(A)及び図4において溶融塩浴に浸漬されているが、3本の枝管16のうち外壁30の底部側の枝管16が浸漬されていればよい。
なお、熱交換器20の管は、上記構成と異なる構成とし、熱媒ガスが流れる方向の断面にてU字状(図2参照)であってもよい。
第1の主管14、第2の主管15、枝管16、及び圧力測定用管17の内径は、適宜調整可能である。第1の主管14、第2の主管15、枝管16、及び圧力測定用管17の断面形状としては、例えば円状及び角状等が挙げられる。第1の主管14、第2の主管15、枝管16、及び圧力測定用管17の肉厚は、適宜設計可能である。
また、第1の主管14、第2の主管15、枝管16、及び圧力測定用管17の材質としては、耐熱性という観点から、炭素鋼又はステンレス鋼であればよい。炭素鋼は炭素含有量が2質量%以下の鋼であって、いわゆる極低炭素鋼、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼等を含むものである。炭素鋼の具体例として、SS400等が挙げられる。ステンレス鋼は、耐腐食性、耐熱性及び強度に優れ、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)等が添加された鋼である。ステンレス鋼の具体例として、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼等が挙げられる。
(圧力検知手段)
圧力検知手段は、流入口11、18から流出口12への熱媒ガスの流動に伴う管内の内圧の変動を速やかに検知することができる。溶融塩電解槽の操業においては、熱交換器10の管が熱疲労や腐食等により経時的に損傷して熱交換器の管内に溶融塩浴や金属マグネシウムが侵入すると管内の熱媒ガス流路が狭窄される。よって、該狭窄に基づき熱媒ガスの流通が制限され管内の内圧が変動する。例えば、前記狭窄が生じても熱媒ガス流量を維持すれば流入口11、18側の管内の内圧は増加する。流入口11、18から供給する熱媒ガス流量は調整が容易であるので、内圧変化のチェックは流入口11、18側でおこなうことが好ましい。
圧力検知手段は、流入口11、18から管内に送られる熱媒ガスの管内の通過量が狭窄部位により減少することによる管内の内圧の変動を精度良く検知するという観点から、第1の主管14の内圧を測定可能に接続されていることが好ましい。例えば、第1の主管14に圧力検知手段を設けてもよいし、第1の主管14に接続された圧力測定用管17に圧力検知手段を設けてもよい。溶融塩浴に該第1の主管14が一部浸漬されることを考慮し、圧力検知手段が第1の主管14の内圧を測定可能に接続されている接続部17a(図1B参照)は、溶融塩浴の浴面S(図3A参照)より上方に設けられ、更に溶融塩電解槽100の上蓋40よりも上方に設けられてよい。このとき、圧力検知手段は、圧力測定用管17に設けられることとしてよい。図示しないが、上記接続部17aは、第1の主管14に設けてもよい。
図1Bに示す圧力検知手段19は、ゲージ圧又は絶対圧を測定するための圧力センサ19aと、該圧力センサ19aと導線で繋がれる圧力変換器19bと、該圧力変換器19bと導線で繋がれる記録計19cとを有する。当該記録計19cは、例えば、横軸を時間軸とし、縦軸を圧力測定用管17の内圧としプロットされたデータを出力可能である。
[2.溶融塩電解槽]
本発明に係る一実施形態の溶融塩電解槽は、先述した熱交換器10を備えている。より具体的に、図3Aに示す溶融塩電解槽100は、外壁30と、上蓋40と、電解室50と、金属回収室60と、該金属回収室60内に熱交換器10とを備える。
(外壁)
外壁30は、上側に上面開口部が形成された容器形状であり、例えば主としてAl23等の耐火レンガその他の適切な材料からなる。この外壁30には、その内部に供給された金属塩化物を含む溶融塩からなる溶融塩浴が貯留される。また、電解室50の内部には、溶融塩浴の深さ方向(図3Aでは上下方向)と略平行に電解面を有する陽極51及び陰極52を含む電極が配置されている。
以下、溶融塩に塩化マグネシウム(MgCl2)が含まれる場合を例として説明する。この場合、塩化マグネシウムの電気分解により、溶融金属として金属マグネシウム(Mg)が生成されるとともに、ガスとして塩素ガス(Cl2)が発生する。溶融塩には、上記の塩化マグネシウム(MgCl2)の他、支持塩として、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化カリウム(KCl)及び/又は、フッ化カルシウム(CaF2)等を含ませる場合がある。支持塩として使用される成分は、塩化マグネシウムより電気分解される電圧が高いものを使用することが好ましい。金属マグネシウムは、金属チタンを製造するクロール法における四塩化チタンの還元に、また塩素ガスは、チタン鉱石の塩化にそれぞれ用いることができる。この電気分解の原料とする塩化マグネシウムとしては、クロール法で副次的に生成されるものを使用可能である。
(上蓋)
上蓋40は、溶融塩が高温であることから溶融塩電解槽100の外部に対する断熱の役割を果たす。また、上蓋40を配置して溶融塩電解槽100を閉空間とし、塩素漏洩防止のために外部に対して溶融塩電解槽100内を負圧にすることが好ましい。
(電解室)
電解室50は、溶融塩中の金属塩化物を電気分解して、該電気分解により溶融金属を生成する機能を持つ。塩化マグネシウムの電気分解では、溶融金属マグネシウムの他、塩素ガスが生成する。電解室50は、電極と第1のガス回収口41とを有する。
(電極)
電極は、少なくとも、電源に接続された陽極51及び陰極52を有する。これらの陽極51及び陰極52では、例えば下記化学式(1)等といった所定の反応に基づいて、陽極51の溶融塩中に浸漬した表面で酸化反応により塩素等のガスが生じるとともに、陰極52の溶融塩中に浸漬した表面で還元反応により金属マグネシウム等の溶融金属が生成される。
MgCl2→Mg+Cl2・・・化学式(1)
電極は、少なくとも陽極51及び陰極52を有するものであれば、溶融塩中の金属塩化物の電気分解を行うことができる。更に、電解室50は、電気分解の生産効率を向上させるという観点から、電極を複数対有してもよい。また、電極は、電気分解の生成効率向上等の観点より、図3Bに示すように、陽極51と陰極52との間に、陽極51及び陰極52間への電圧の印加によって分極する一枚以上のバイポーラ電極53a、53bをさらに有することが好ましい。この例では、バイポーラ電極53a、53bは二枚としているがバイポーラ電極の数は適宜調整可能である。但し、このようなバイポーラ電極53a、53bは必ずしも必要ではない。なお、陽極51とバイポーラ電極53a、陰極52とバイポーラ電極53b、バイポーラ電極53aと53bの極間距離はそれぞれ、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
(金属回収室)
金属回収室60は、電解室50において電気分解により生成した溶融金属を回収する機能を持つ。金属回収室60は、電解室50と連通しており、熱交換器10と、第2のガス回収口42と、溶融塩及び溶融金属の給排口43とを有する。そして、金属回収室60と、電解室50とを区画するため、金属回収室60と電解室50との間には第1の隔壁55が設けられている。また、電解室50への金属マグネシウム逆流防止のため第2の隔壁56が配置される。溶融塩電解槽100は、第1の隔壁55と第2の隔壁56との間に、流通口57を形成したことで、矢印Aに示す溶融塩浴の流動(電解室50から流出する流動)を確保することができる。また、第2の隔壁56の下面側にも溶融塩浴の流動が可能な通路が形成されており、矢印Bの流動(電解室50に流入する流動)を確保できる。
(第2のガス回収口)
第2のガス回収口42は、電解室50において電気分解により生成したガスを回収する機能を持つ。第2のガス回収口42は、金属回収室60が位置する領域における上蓋40に形成されている。第2のガス回収口42は、電気分解で発生したガスのうち、電解室50の第1のガス回収口41で回収されずに金属回収室60に移動した残りのガスの回収に用いられることがある。
(給排口)
給排口43は、電解室50において電気分解により生成した溶融金属を回収し、又は溶融塩を供給する機能を併せ持つ。給排口43は、金属回収室60が位置する領域における上蓋40に形成されている。
(使用例)
当該溶融塩電解槽100の使用について以下に例示する。溶融塩浴が、図3Aに示す矢印Aのように電解室50から流通口57を通って金属回収室60に流動し、図3Aに示す矢印Bのように金属回収室60から第2の隔壁56の下側を通って電解室50に流動する。電解室50では、溶融塩中の金属塩化物が電気分解されて、電解室50で溶融金属が生成される。そして、この溶融金属は、溶融塩浴の流動によって金属回収室60に流入する。その後、溶融塩に対する比重の小さい溶融金属は、金属回収室60の浅い箇所に浮上してそこに溜まる。金属回収室60で浮上した溶融金属Mは、給排口43に回収用のパイプ等を挿通して回収することができる。
図4に示す溶融塩電解槽105は、外壁30と、上蓋40と、電解室50と、金属回収室60と、熱交換室70と、該熱交換室70に設けられる熱交換器10とを備えている。なお、図4に示す溶融塩電解槽105においては、電解室50、金属回収室60、及び熱交換室70が、図示の横方向にこの順でそれぞれ並んで位置している。
熱交換室70は、熱交換器10で溶融塩浴の温度を調整する機能を持つ。熱交換室70は、金属回収室60及び電解室50とそれぞれ連通し、熱交換器10と、給液口44とを備える。熱交換室70はこれらの他、溶融塩浴を撹拌するための撹拌機(不図示)を更に有してよい。熱交換室70は、底部側に設けた溶融塩循環路80を介して、電解室50と連通している。熱交換室70と、金属回収室60とを区画するため、熱交換室70と金属回収室60の間に第3の隔壁58が設けられている。当該溶融塩電解槽105においては、金属回収室60に移動した塩素ガスの熱交換室70への侵入を防ぐことで熱交換器10の寿命を長くするという観点から、第3の隔壁58の下面の高さ位置は、高さ方向において第1の隔壁55の下面の高さ位置よりも底部側に位置される。なお、給液口44は、熱交換室70が位置する領域における上蓋40に形成されている。該給液口44から電気分解の対象となる成分、例えば塩化マグネシウムや塩化マグネシウムおよび支持塩を含む溶融塩を供給すればよい。また、熱交換室70が撹拌機を備える場合、撹拌機は溶融塩浴の撹拌により、溶融塩を熱交換器10と効率的に接触させ、又は溶融塩浴の流れを調整することができる。
[3.金属の製造方法]
本発明の一実施形態に係る金属の製造方法は、先述した溶融塩電解槽100、105を用いて金属を製造する製造工程を含んでいる。一例として、溶融塩電解槽100、105内の溶融塩浴にスポンジチタンの生成で得られた副生成物である溶融塩化マグネシウムを投入して、その溶融塩化マグネシウムを電気分解してマグネシウムを製造する。
また、上記製造工程においては、熱交換器10の流入口11、18から流出口12へ熱媒ガスを流したときに、圧力検知手段19が管の内圧の異常な上昇を検知した場合、流入口11、18への熱媒ガスの供給を停止することが好ましい。通常の操業において熱媒ガスの流量を変動させるとこれに伴い熱交換器内の内圧が変動しうるが、熱交換器の損傷により熱交換器内に溶融塩浴が侵入し熱媒ガス流路の狭窄が生じると熱交換器内の圧力変動傾向が変化する。例えば第1の主管14の内圧を測定可能である圧力検知手段19を熱交換器10に接続した場合、枝管16にて前記狭窄が生じると内圧の急激な上昇を検知できる。この急激な内圧上昇を検知した場合は熱交換器に損傷があるとして熱媒ガスの供給停止を判断できる。そうすることで、熱媒ガスとして空気を用いている場合、その空気に含有されている水分と、孔から侵入した金属マグネシウムや溶融塩浴が反応して白煙が生じることを良好に防ぐことができる。上記製造工程においては、例えば下記式(1)に示すように、熱交換器10の管内に熱媒ガスを導入しているときの正常時の内圧(PA)に対して、その熱媒ガスの導入による内圧(PB)が3倍以上上昇したときに、流入口11、18への熱媒ガスの供給を停止することとしてよい。
なお、正常時に内圧が変動するように管内に熱媒ガスを導入する場合、正常時における最大内圧を基準としてその最大内圧の3倍以上上昇したかどうかを判断することとしてよい。
3.0≧PB/PA・・・式(1)
A:熱交換器に管内に熱媒ガスを導入しているときの正常時の内圧
B:熱交換器に管内に熱媒ガスの導入による内圧
本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例及び比較例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするための具体例であり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものではない。
(実施例1)
実施例1においては、図3Aに示す構成を備える溶融塩電解槽100を組み立てた。溶融塩電解槽100は、外壁30、第1の隔壁55、第2の隔壁56の材質がそれぞれAl23を含む定型耐火物(耐火レンガ)とし、上蓋40の材質は蓋裏にキャスタブル耐火物の層を施工した炭素鋼を使用した。また、圧力測定用管17に設けられた圧力検知手段19の圧力センサ19a(図1B参照)としては、ゲージ圧式圧力センサ(大倉電気社製、品名PT3013R)を使用した。この溶融塩電解槽100は、電解室50が14m3、金属回収室60が9m3であるものを用いた。次に、溶融塩電解槽100に、30000kgの溶融塩を投入して、溶融塩の温度を660℃に調整した。なお、電気分解開始前の溶融塩の組成は、塩化マグネシウムが20質量%、塩化カルシウムが30質量%、及び塩化ナトリウムが50質量%とした。また、電解室50においては、単位電気分解セルを2つ作製するため、陽極51と陰極52とバイポーラ電極53a、53bをそれぞれ配置した。陽極51の材質は黒鉛とし、陰極52の材質は鉄とした。バイポーラ電極53a、53bの材質は黒鉛とした。陽極51と陰極52間のバイポーラ電極53a、53bの枚数を2枚とした。
<試験条件>
溶融塩浴量:合計24〜30ton
電解中の溶融塩組成:MgCl217〜22質量%の範囲内に制御
熱媒ガスとしての冷風:70m3/min
なお、冷風は大気でありこれを加熱又は冷却したものではなく、該冷風と溶融塩浴との温度差から冷却効果が発揮される。
<熱交換器>
第1の主管(炭素鋼製):断面円状(内径:240mm)
第2の主管(炭素鋼製):断面円状(内径:240mm)
枝管(炭素鋼製):断面円状(内径:70mm)、計3本
圧力測定用管(ステンレス鋼製):断面円状(内径:13mm)
なお、熱交換器10を構成する各管同士は溶接により接続されている。
電極に電圧を印加して、電気分解を開始した。当該電気分解の開始と同時に溶融塩浴の温度を制御するため、熱媒ガスとして圧力測定用管17の流入口18から冷風を適宜供給した。該電気分解の開始から10ヶ月後、圧力測定用管17の内圧(ゲージ圧)が正常時の値である1kPaから4kPaに急激に上昇したことを確認したので、直ちに熱交換器10への冷風の供給を停止し、熱交換器10を電解塩浴内から取り出した。その熱交換器10を観察したところ、枝管16の一部に孔が形成されており、その孔付近の枝管16内が溶融塩の塊で狭窄されていた。すなわち、枝管16内に溶融塩が侵入していた。
(比較例1)
比較例1では、圧力検知手段19を設けなかった点を除いて、実施例1と同様に、電圧を印加して、電気分解を開始した。該電気分解の開始から1ヵ月毎に熱交換器の外観チェックを行った。すなわち、前記外観チェックでは、1ヵ月ごとに熱交換器を溶融塩電解槽100から取り出し、目視にて亀裂の有無を確認し、更に熱交換器を溶融塩電解槽100にセットする、という手順とした。その結果、電気分解の開始から8ヶ月後の外観チェックで枝管16の一部に孔が形成されていることが確認され、その孔付近の枝管16内が溶融塩の塊で狭窄されていた。すなわち、枝管16内に溶融塩が侵入していた。
Figure 2021116985
(実施例による考察)
実施例1においては、比較例1と比べて、少ない労力で的確に熱交換器の損傷を検知できた。実施例1の熱交換器はその損傷を簡便かつ精度良く検知することができた。すなわち、実施例1においては、圧力検知手段19を設けることが有用であることを確認した。
10、20 熱交換器
11、18 流入口
12 流出口
13 内筒
14 第1の主管
15 第2の主管
16 枝管
17 圧力測定用管
17a 接続部
18a 連結口
19 圧力検知手段
19a 圧力センサ
19b 圧力変換器
19c 記録計
30 外壁
40 上蓋
41 第1のガス回収口
42 第2のガス回収口
43 給排口
44 給液口
50 電解室
51 陽極
52 陰極
53a、53b バイポーラ電極
55 第1の隔壁
56 第2の隔壁
57 流通口
58 第3の隔壁
60 金属回収室
70 熱交換室
80 溶融塩循環路
M 浮上した溶融金属
S 浴面

Claims (7)

  1. 溶融塩電解槽に配置されるための熱交換器であって、
    溶融塩浴に浸漬されない流入口及び流出口と、
    前記溶融塩浴に一部浸漬され、前記流入口と前記流出口とを連結する管とを備え、
    前記管は、前記流入口から前記流出口への熱媒ガスの流動に伴う前記管の内圧を検知する圧力検知手段が設けられる、熱交換器。
  2. 前記管は、前記流入口を有する第1の主管と、該第1の主管から間隔をおいて位置し前記流出口を有する第2の主管と、該第1の主管と該第2の主管とを連結するように延びる枝管とを備える、請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記圧力検知手段は、前記第1の主管の内圧を測定可能に接続されている、請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記圧力検知手段が前記第1の主管の内圧を測定可能に接続されている接続部は、前記溶融塩浴の浴面より上方に設けられる、請求項3に記載の熱交換器。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器を備える、溶融塩電解槽。
  6. 請求項5に記載の溶融塩電解槽を用いて金属を製造する製造工程を含む、金属の製造方法。
  7. 前記製造工程においては、前記熱交換器の前記流入口から前記流出口へ熱媒ガスを流したときに、前記管の内圧上昇に基づき前記流入口への熱媒ガスの供給停止を判断する、請求項6に記載の金属の製造方法。
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