JP2021116574A - トンネル掘削方法及びトンネル掘削機 - Google Patents

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Abstract

【課題】坑内での削孔作業を効率よく行うトンネル掘削機、施工方法を提供する。【解決手段】TBM(トンネル掘削機)は、胴体と、胴体の前部に回転可能に装着されるカッタヘッドであって、開閉可能な開口部123aを有するカッタヘッドと、胴体内に収容可能なエキスカベータ200(補助掘削機)と、エキスカベータ200に取り付け可能な削孔装置400とを備える。開放された開口部123aからエキスカベータ200を前方に突き出した状態で、エキスカベータ200に取り付けられた削孔装置400は地山を削孔可能である。【選択図】図15

Description

本発明は、トンネル掘削機及びトンネルの施工方法に関する。
カッタヘッドを回転させて地山を全断面掘削するトンネル掘削機であって、坑壁に押し当てたグリッパによって、又は、セグメント等を組立てて構築された覆工体に押し当てたジャッキやグリッパによって掘進するための反力を得るトンネルボーリングマシン(Tunnel Boring Machines:TBM)を用いるトンネルの施工方法(TBM工法)は、岩盤にトンネルを造る場合であって短い工期が要求される場合に採用される工法として知られている。
しかし、TBM工法では、軟弱地盤などの不良地山に遭遇したときに、切羽の崩落などによってカッタヘッドでは掘削できなくなり、また、切羽でコンクリート吹付等の支保作業ができなくなることで、掘進不能になる場合があった。
そのような場合に対処するための技術として、特許文献1に開示の技術がある。
特許文献1に開示のTBMは、胴体と、胴体の前部に回転可能に装着されるカッタヘッドであって開閉可能な開口部を有するカッタヘッドと、胴体内に収容可能な補助掘削機(エキスカベータ)とを備える。特許文献1に開示のTBMでは、開放された上記開口部から補助掘削機を前方に突き出した状態で、補助掘削機によって地山を掘削することでトンネル掘進を行うことが可能である。これと同様のトンネル掘削機が特許文献2にも開示されている。
特開2018−053594号公報 特開2018−053586号公報
しかしながら、上述の補助掘削機による掘削で形成された掘削面については、切羽の安定性確保のための先受工や鏡面補強、あるいは坑壁へのロックボルト打設などを実施するために、地山への削孔が必要になる場合がある。この削孔作業の効率化が望まれていた。
本発明は、このような実状に鑑み、当該削孔作業を効率よく行うことを目的とする。
そのため、本発明に係るトンネル掘削機は、胴体と、胴体の前部に回転可能に装着されるカッタヘッドであって、開閉可能な開口部を有するカッタヘッドと、胴体内に収容可能な補助掘削機と、補助掘削機に取り付け可能な削孔装置と、を備える。開放された前記開口部から補助掘削機を前方に突き出した状態で、補助掘削機に取り付けられた削孔装置は地山を削孔可能である。
本発明に係るトンネルの施工方法は、胴体の前部にカッタヘッドが回転可能に装着されたトンネル掘削機を用いるトンネルの施工方法である。カッタヘッドは、開閉可能な開口部を有する。トンネル掘削機は、胴体内に収容可能な補助掘削機を備える。本発明に係るトンネルの施工方法は、開放された前記開口部から補助掘削機を前方に突き出した状態で、補助掘削機に取り付けられた削孔装置により地山を削孔する削孔工程を含む。
本発明によれば、開放された前記開口部から補助掘削機を前方に突き出した状態で、補助掘削機に取り付けられた削孔装置により地山を削孔することが可能である。それゆえ、削孔装置と、削孔装置が取り付けられた補助掘削機とを協働させることで、上記の当該削孔作業を効率よく行うことができる。
本発明の参考例におけるTBMの上面図である。 本発明の参考例におけるTBMの側面図である。 本発明の参考例におけるカッタヘッドの正面図である。 本発明の参考例における排土コンベアの設置構造を示すTBMの横断面図である。 本発明の参考例におけるエキスカベータ(補助掘削機)の上面斜視図である。 本発明の参考例におけるエキスカベータの底面斜視図である。 本発明の参考例におけるエキスカベータのクランプボックスのクランプ構造を示す横断面図である。 本発明の参考例におけるエキスカベータのクランプボックスの後輪構造を示す背面図である。 本発明の参考例における開口部が開放されたカッタヘッドを前方から見た斜視図である。 本発明の参考例におけるTBMによるトンネル掘削の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態におけるエキスカベータのアタッチメント(作業装置)の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるエキスカベータのアタッチメントに着脱可能に取り付けられた削孔装置及び台座部を示す図であり、削孔装置の取付の第1態様を示す図である。 本発明の実施形態における台座部に対する削孔装置の位置関係を説明するための上面図である。 本発明の実施形態におけるエキスカベータのアタッチメントに着脱可能に取り付けられた削孔装置及び台座部を示す図であり、削孔装置の取付の第2態様を示す図である。 本発明の実施形態における切羽削孔時の施工状態を示す図である。 本発明の実施形態におけるロックボルト削孔時の施工状態を示す図である。 本発明の実施形態におけるロックボルト削孔時の施工状態を示す図である。 本発明の実施形態における吹付装置の斜視図である。 本発明の実施形態における吹付装置を上方から見た図である。 本発明の実施形態におけるエキスカベータのアタッチメントに着脱可能に取り付けられた吹付装置を示す図である。
以下では、図面を参照して、本発明に係るトンネル掘削機及びトンネルの施工方法の参考例及び実施形態を説明する。
まず、本発明に係るトンネル掘削機の参考例としてのトンネルボーリングマシン(Tunnel Boring Machines:TBM)100を、図1〜図8を参照して説明する。
TBM100は、胴体110の前部にカッタヘッド120が駆動回転可能に装着され、坑壁にグリッパ(グリッパシュー)132を押し当てて推進するための反力を得るトンネル掘削機であって、例えば直径が3m〜5m程度の小型の全断面トンネル掘進機である。但し、TBM100の直径は3m〜5mに限定されるものではなく、より大きな直径のTBM100に本参考例と同様な構造を適用できる。
筒状(本参考例では円筒形状)をなす胴体110は、前胴111と後胴112とからなり、前胴111の前部にカッタヘッド120がメインベアリング113によって駆動回転可能に取り付けられている。
カッタヘッド120の前部には、地山をせん断破壊するローラカッタ121aが複数枢着され、また、切羽下部に溜まった掘削ズリを掻き込むスクレーパ121bが周縁部に等間隔で配設され、スクレーパ121bの背後には、掘削ズリを掬い込んで取り込むためのバケット(図示せず)が設けられる。
そして、カッタヘッド120は、カッタヘッド駆動モータ122によって胴体110の軸心回りに回転駆動される。
前胴111と後胴112との嵌合部は、複数個のアーティキュレートジャッキ115にて連結され、アーティキュレートジャッキ115を選択的に伸縮させることで、後胴112に対して前胴111が屈曲できるよう構成されている。
カッタヘッド120の後方に延びるメインビーム130の前部には、カッタヘッド120が回転自在に支承されていて、メインビーム130の後部にはグリッパ装置133が前後方向に摺動可能に支持されている。
グリッパ装置133は、グリッパジャッキ131によってグリッパ132をトンネル内外方向(前後方向に略直交する方向であり、本参考例では径方向)に張り出すことで、グリッパ132を坑壁に押し当てて掘進反力を得る装置である。
スラストジャッキ140の一端はグリッパ装置133に連結され、他端はグリッパ装置133よりも前方のメインビーム130に連結されている。
また、後胴112の後部には、支保工161をトンネルの内周面(坑壁)150に組み付けるエレクタ装置160が設けられている。
また、メインビーム130の前部には、カッタヘッド120内に取り込まれた土砂(ずり)を受け取るホッパシュート170が設けられ、更に、メインビーム130に一体的に設けた矩形断面状のコンベアケース139内に排土コンベア(ベルトコンベア)180が配設され、排土コンベア180は、ホッパシュート170にて受け取られた土砂を後方へ搬出する。
また、グリッパ装置133よりも後側のメインビーム130には、突出作動時に坑壁150に当接して坑壁150からローリング反力を受ける、リヤサポート190を設けてある。
更に、TBM100の後ろには、油圧装置、電気設備、排土装置、給水設備などを搭載した後続台車(図示省略)が接続される。
TBM100による基本的な掘進サイクル(標準掘削工程、標準トンネル掘進工程)は、以下の通りである。
まず、グリッパ132を坑壁に押し当てリヤサポート190を収縮させた状態で、回転駆動されるカッタヘッド120で地山を掘削しながらスラストジャッキ140を伸長させることで、トンネルを掘進する(トンネル掘進工程)。
なお、本参考例のTBM100は、グリッパ132を坑壁に押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることでトンネルを掘進する形態であるが、坑壁がセグメント等により構成された覆工体で覆われている場合は、グリッパ132を覆工体に押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることでトンネルを掘進する形態、若しくは、覆工体にスラストジャッキを直接押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることでトンネルを掘進する形態とすることができる。
また、図2に示すように、後胴112の周縁部に複数の推進ジャッキ171を周方向に互いに間隔を空けて配置し、推進ジャッキ171のロッド先端をセグメント等により構成された覆工体に当接させた状態で推進ジャッキ171を伸長動作させることにより、掘進反力を得ることができる。つまり、TBM100は、坑壁又は覆工体から推進するための反力を得てトンネルを掘進する。
スラストジャッキ140が設定長さまで伸長されると、カッタヘッド120の回転駆動を停止し、グリッパジャッキ131を収縮させてグリッパ132を坑壁から離間させる一方で、リヤサポート190を伸長させて坑壁150に当接させる。そして、係る状態でスラストジャッキ140を収縮させてグリッパ装置133(グリッパジャッキ131及びグリッパ132)をカッタヘッド120側に引き寄せ、その後グリッパジャッキ131を伸長させてグリッパ132を坑壁に押し当て、また、リヤサポート190を収縮させる(グリッパ盛替え工程)。
グリッパ盛替えが終了すると、カッタヘッド120を回転駆動させながらスラストジャッキ140を伸長させてトンネル掘進を再開させ、係るトンネル掘進工程とグリッパ盛替え工程とを繰り返す。
つまり、カッタヘッド120によってトンネルを掘進する標準掘削工程は、グリッパ132によって掘進反力を得ながらスラストジャッキ140を伸長させてカッタヘッド120を切羽に押し当て、回転駆動されるカッタヘッド120によって地山を掘削するトンネル掘進工程と、グリッパ132の坑壁に対する押し当て位置を切羽に近い側に移設するグリッパ盛替え工程とを繰り返すことで、トンネルを掘進する。
TBM100は、上述した基本構成に加えて、カッタヘッド120による全断面掘削が困難な不良地山(軟弱地盤)に遭遇したときに、カッタヘッド120に代わってトンネル掘削を行うための補助掘削機としてエキスカベータ200が胴体110内に収容され得る。補助掘削機としては、エキスカベータの他、バケット式掘削機、ブレーカ式掘削機等を用いることができる。
エキスカベータ200は、腕体の先端に作業装置を取り付けた掘削機であり、図5〜図8を参照して詳細に説明する。
メインビーム130には、TBM100の前後方向に沿って延設される左右一対のレール135が一体的に設けられ、エキスカベータ200の機械本体部は、レール135に対し移動可能に支持される。
エキスカベータ200は、機械本体部を構成するクランプボックス210、クランプボックス210に対して俯仰及び旋回が可能に支持されるサポートフレーム220、サポートフレーム220に対して摺動可能に支持されるブーム230、ブーム230の先端にチルト可能に取り付けられるバケット240などを含んで構成される。
なお、本参考例において、補助掘削機としてのエキスカベータ200の腕体は、サポートフレーム220とブーム230とで形成される。
クランプボックス210は、レール135に沿って前後方向に移動するための一対の前輪211及び一対の後輪212を備える。
更に、クランプボックス210は、前輪211と後輪212との間でレール135を左右から挟み込む内クランプ213及び外クランプ214の組み合わせを4対備えていて、内クランプ213及び外クランプ214によって、レール135上の任意の位置にクランプボックス210を固定でき、また、クランプボックス210を移動させて停止させるときに制動を作用させることができるよう構成されている。
前輪211は、クランプボックス210のサポートフレーム220側(前側)の左右端に、左右方向に延びる回転軸回りに回転可能に支持され、その踏面がレール135の頭部に接触しながら回転する。
また、前輪211は、図外の油圧モータで回転駆動される駆動輪であり、前輪211が回転駆動されることで、クランプボックス210はレール135上を自走して前後方向に移動する。
一方、後輪212は、サポートフレーム220が設けられる側とは逆側(後側)のクランプボックス210の左右端に、回転可能に支持される。
各レール135の外側側面(2つのレール135が相互に対向する面とは反対側の面)には、溝部136が前後方向に沿って延びるように凹陥形成されていて、溝部136の横断面は底面と開放面とが平行で底面側が開放面側よりも狭い(開放面に向けて拡がる)台形をなす。そして、後輪212は、溝部136の上側傾斜面136aに踏面が接触して回転するよう構成された非駆動輪である。
後輪212のユニットは、クランプボックス210に対して揺動可能に支持され、後輪押付けジャッキ218を伸長させることで上側傾斜面136aに後輪212の踏面が押し付けられ、後輪押付けジャッキ218を収縮させることで、上側傾斜面136aから後輪212の踏面が離間するように構成されている。
つまり、後輪押付けジャッキ218を伸長させて上側傾斜面136aに後輪212の踏面が押し付けられる状態で、後輪212の回転軸は、上側傾斜面136aに平行で水平面に対して斜めに交差し、後輪押付けジャッキ218を収縮させると、後輪212の回転軸は、揺動軸回りに外側に向けて揺動し、後輪212の踏面は上側傾斜面136aから離間する。
係る構成によると、後輪押付けジャッキ218を伸長させている状態では、クランプボックス210の後側を浮き上がらせる方向の力は、上側傾斜面136aに後輪212の踏面を押し付ける力として作用し、前側に重量物であるサポートフレーム220などを支持するクランプボックス210の後側が、前輪211を支点として浮き上がることが抑制される。
また、後輪押付けジャッキ218を収縮させることで、後輪212のユニットが外側に退避した状態となり、係る状態で、クランプボックス210のレール135に対する脱着が可能となる。つまり、クランプボックス210を脱着するとき以外は、後輪押付けジャッキ218を伸長させた状態に保持する。
内クランプ213及び外クランプ214は、レール135を左右から挟み込むようにレール135に押し当てられることで、クランプボックス210を前後方向の任意の位置に固定する機構である。
外クランプ214は、溝部136に形状を合わせた台形部214aを有し、左右一対の外クランプ214の組み合わせ毎に設けられる外レールクランプジャッキ215を伸長させることで台形部214aが溝部136に嵌入してレール135に押し付けられる状態になり、逆に外レールクランプジャッキ215を収縮させることで、台形部214aが溝部136から離間するように、クランプボックス210に対し揺動可能に支持されている。
一方、内クランプ213は平板な押当面213aを有し、左右一対の内クランプ213の組み合わせ毎に設けられる内レールクランプジャッキ216を伸長させることで、レール135を挟んで外クランプ214の台形部214aと対向するレール135の内側面に押当面213aが押し当てられる状態になり、逆に内レールクランプジャッキ216を収縮させることで、押当面213aがレール135の内側面から離間するように、クランプボックス210に対し揺動可能に支持されている。
つまり、エキスカベータ200による掘削時などでクランプボックス210の位置を固定したいときには、外レールクランプジャッキ215及び内レールクランプジャッキ216を伸長させて内クランプ213及び外クランプ214をレール135に押し当てることで、摩擦抵抗によりクランプボックス210の前後方向への移動を阻止する。
一方、クランプボックス210をレール135に沿って移動させるときには、外レールクランプジャッキ215及び内レールクランプジャッキ216を収縮させて、内クランプ213及び外クランプ214によるクランプ状態(レール135への押し付け状態)を解放し、係る状態で前輪211を回転駆動する。
なお、内クランプ213及び外クランプ214によるクランプ状態では、外クランプ214の台形部214aが溝部136に嵌入することで、クランプボックス210が上下方向に位置決めされ、このとき前輪211,211の踏面がレール135,135の頭部から浮いた状態(非接触状態)になるよう構成されている。
また、サポートフレーム220は、クランプボックス210の前側中央に対し垂直軸回り(左右方向)に揺動可能に支持される基端部220aと、基端部220aの先端に対し水平軸回り(上下方向)に揺動可能に支持されるフレーム部220bとで構成される。
そして、クランプボックス210の前側の左右端部に一端が連結される左右一対の旋回ジャッキ221の他端が、基端部220aの左右側面に連結され、この旋回ジャッキ221の一方を伸ばし他方を縮めることで基端部220aが垂直軸回り(左右方向)に揺動するよう構成されている。
また、俯仰ジャッキ222は、その一端が基端部220aの上部に連結され、他端がフレーム部220bの上部に連結され、この俯仰ジャッキ222を伸縮させることで、フレーム部220bは上下方向に揺動する。
更に、サポートフレーム220(フレーム部220b)とブーム230との間に設けられる摺動ジャッキ223を伸縮させることで、サポートフレーム220(フレーム部220b)の前端からのブーム230の飛び出し長さ、つまり、クランプボックス210からバケット240までの腕体の長さが可変とされる。
また、バケット240は、エッジ部240a及び底板240bの外側に複数のツース240cを備え、ブーム230の先端に対して水平軸回り(上下方向)に揺動可能に支持される。
チルトジャッキ224は、一端がブーム230に連結され他端がバケット240に連結され、このチルトジャッキ224を伸縮させることで、バケット240がチルト動作する。
上記構成のエキスカベータ200を用いてトンネル掘進を行わせるときには、クランプボックス210をレール135に固定した状態で、サポートフレーム220及びブーム230をカッタヘッド120の開口部から切羽側に突き出し、ブーム230の先端に取り付けたバケット240によってカッタヘッド120前方の地山を掘削する。
カッタヘッド120の中央の所定領域は開閉可能な開閉扉123をなし、この開閉扉123が開いて開放される開口部123a(図9参照)にサポートフレーム220、ブーム230、及びバケット240が挿通できるように構成される。
また、サポートフレーム220及びブーム230をカッタヘッド120の開口部123aから切羽側に突き出してバケット240で地山を掘削するときに、掘削した土砂を排土コンベア180の搬送面に載せて後方に排出させるために、排土コンベア180のうちの先端ユニット180a(後述する図15〜図17参照)をカッタヘッド120の前方下部に突出させる。
係る排土コンベア180の突き出しを可能にするために、排土コンベア180を挿通させるための開口部128が、開閉扉123が開いて開放される開口部123aからカッタヘッド120の径方向(中央部から外周部に向かう方向)に連続するようにカッタヘッド120に設けられ(図9参照)、この排土コンベア180を挿通させるための開口部128は、面板の取り外しによって開放されるよう構成されている。
排土コンベア180を挿通させるための開口部128は、周縁部において、所定角度間隔(例えば、90deg間隔、180deg間隔などの任意の角度間隔)で配設されるスクレーパ121b(バケット)のうちの1つの設置領域に重なり、スクレーパ121bのうちの1つ(121b1)を取り外し可能に構成すると共に、この取り外し可能なスクレーパ121b1と開閉扉123との間の面板127a〜127cを取り外し可能に構成してある。
つまり、カッタヘッド120によって掘削させるときには、開閉扉123を閉じ、スクレーパ121b1及び面板127a〜127cをカッタヘッド120に取り付けた状態とする。
一方、エキスカベータ200によって掘削させるときには、スクレーパ121b1が下端に位置するようにカッタヘッド120の角度位置を設定し、開閉扉123を開き、スクレーパ121b1及び面板127a〜127cをカッタヘッド120から取り外す。
そして、開閉扉123が開いて開放される開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びバケット240を切羽側に突き出し、スクレーパ121b1及び面板127a〜127cが外されて開放される開口部128に排土コンベア180を挿通させて、排土コンベア180の先端をカッタヘッド120の前方下部に突き出す。
排土コンベア180は、カッタヘッド120後方の標準位置(第1位置、カッタヘッド120による掘削時位置)から、カッタヘッド120に近づく方向に押し出すことが可能に構成される。
また、排土コンベア180をカッタヘッド120に向けて押し出すと、押し出し前は搬送面が略水平に設定される排土コンベア180のうちの先端ユニット180aは、基端側を揺動軸として先端側が下がり、先端ユニット180aの搬送面は前方(切羽側)に向けて下り坂になるように傾斜する。
そして、係る状態(第2位置、エキスカベータ200による掘削時位置)で、スクレーパ121b1及び面板127a〜127cが外されて開放する開口部128に先端ユニット180aが挿通し、カッタヘッド120の前方下部に突き出るよう構成される。
次に、上述したエキスカベータ200を補助掘削機として備えたTBM100によるトンネル掘削の手順の一態様を説明する。
図10のフローチャートは、TBM100によるトンネル掘削の基本的な手順を示す。
トンネル掘削において、まずは、カッタヘッド120によってトンネル掘削を行う標準掘削工程(S1)を実施する。
つまり、TBM100によるトンネル掘削において、不良地山に遭遇するまでは、カッタヘッド120を回転駆動させながらスラストジャッキ140を伸長させて掘進し、スラストジャッキ140が伸び切ると、グリッパ132を坑壁から離間させた後にスラストジャッキ140を収縮させてグリッパ132をカッタヘッド120側に引き寄せ、その後、グリッパ132を坑壁に再度押し当て、グリッパ132によって掘進反力を得ながらスラストジャッキ140を伸長させて掘進することを繰り返す(標準掘削工程)。
なお、TBM100が、スラストジャッキ140をセグメント等により構成される覆工体に直接押し当てることで推進反力を得る場合は、スラストジャッキ140を覆工体に直接押し当てている状態でスラストジャッキ140を伸長させて掘進し、スラストジャッキ140が伸びきると、スラストジャッキ140を覆工体に押し当てている箇所から離間させた後に収縮させて、その後スラストジャッキ140を再度覆工体に押し当てて(つまり、スラストジャッキ140を押し当てる覆工体の位置を盛替えて)、覆工体から掘進反力を得ながらスラストジャッキ140を伸長させて掘進することを繰り返す(標準掘削工程)。
また、係るカッタヘッド120によるトンネル掘進においては、エレクタ装置160によって支保工161を坑壁150に組み付け、更に、支保工161が設置された坑壁150にコンクリートを吹き付けて補強する。
標準掘削工程によってトンネルを掘進させている状態で軟弱地盤などの不良地山に遭遇し(S2)、切羽の崩落などによってカッタヘッド120による掘進が不能になると(S3)、カッタヘッド120によるトンネル掘削を中断し、エキスカベータ200を用いたトンネル掘進(補助掘削工程)に移行させる(S4)。
そして、補助掘削工程によるトンネル掘進で不良地山を突破すると(S5)、カッタヘッド120によってトンネル掘削を行う標準掘削工程に戻す(S6)。
ここで、エキスカベータ200を用いるトンネル掘進(補助掘削工程:S4)について更に説明する。
カッタヘッド120による全断面掘削が困難な不良地山(軟弱地盤)に遭遇し(S2)、カッタヘッド120による掘削からエキスカベータ200による掘削に切り替えるとき(S3→S4)には、まず、カッタヘッド120を含むTBM100を後退させてカッタヘッド120の開閉扉123を切羽側に向けて押し開ける。TBM100を後退させる手法については、例えば、特許文献1に開示の手法を採用することができる。次いで、クランプボックス210をメインビーム130に沿って前方に移動させることによってエキスカベータ200のメインビーム130に対する支持位置を退避位置からカッタヘッド120により近いトンネル掘削位置に移設し、開閉扉123が開いて開放された開口部123aからエキスカベータ200の腕体(サポートフレーム220及びブーム230)をカッタヘッド120の前方に突き出す。
そして、クランプボックス210をトンネル掘削位置にクランプすると、バケット240によってカッタヘッド120前方の地山を掘削し、掘削した土砂をバケット240によってスカート部181(後述する図15〜図17参照)を介して排土コンベア180の搬送面に押し上げて後方に排出させる作業を行い、摺動ジャッキ223を最大に伸長させてバケット240が届く範囲の地山を掘削する。
上記のように、カッタヘッド120による全断面掘削が困難な不良地山(軟弱地盤)に遭遇したときに、カッタヘッド120に設けた開閉扉123を開いてエキスカベータ200の腕体をカッタヘッド120の前方に突き出してエキスカベータ200による補助掘削を行わせるので、カッタヘッド120による掘削とエキスカベータ200による補助掘削とを容易に(短時間に)変更でき、不良地山を効率的に突破できる。
不良地山を突破した後は、エキスカベータ200及び排土コンベア180を後退させ、また、面板127a〜127cをカッタヘッド120に取り付け、更に開閉扉123を閉じて、TBM100の構成をエキスカベータ200による掘削作業状態(補助掘削工程)からカッタヘッド120による掘削作業状態に戻し、カッタヘッド120による掘削(標準掘削工程)を再開させる。
なお、上記の補助掘削工程(S4)は、TBM100を後退させる後退工程と、TBM100を後退させた後に開閉扉123をカッタヘッド120の前方に向けて押し開ける開放工程とを含み得る。また、不良地山を突破するための工程として、バケット240による掘削(掘削工程)とTBM100の推進(推進工程)とを含み、バケット240による掘削工程とTBM100の推進工程とを繰り返すことでトンネルの掘進を行う。
ここで、開閉扉123が後方に向けて引き開けられる構成とすることができるが、開閉扉123を切羽側に向けて押し開く構成であれば、エキスカベータ200による掘削作業を行うときにカッタヘッド120手前の胴体内にスペースを広く確保でき、また、開口部123aからエキスカベータ200の腕体を突き出すことが容易になる。
なお、カッタヘッド120に後方に向けて引き開けられる構成の開閉可能な開口部を設けた場合、不良地山に遭遇したときにカッタヘッド120を含むTBM100を後退させることなく、引き開けた開口部からカッタヘッド120前方の地山の状態を目視で確認することができる。
次に、本発明に係るトンネル掘削機及びトンネルの施工方法の実施形態について、図11〜図20を用いて説明する。
上記図1〜図10に示した本発明の参考例と異なる点について説明する。
本実施形態では、ブーム230の先端に取り付ける作業装置として、バケット240の代わりに、図11に示すようにアタッチメント300が採用されている。アタッチメント300は、第1ユニット部301と、第2ユニット部302と、リンク機構303と、左右一対の屈伸ジャッキ304とを備える。
第1ユニット部301は、バケット310と左右一対の腕部311とを備える。バケット310は、略C字状又は略L字状に湾曲した底板312と、この底板312に立設された左右一対の側板313とを備える。底板312の背面には腕部311の一端が取り付けられている。なお、底板312の先端には複数のツース314が取り付けられている。
腕部311の他端は、第2ユニット部302の前端に対して水平軸回り(上下方向)に揺動可能に支持される。屈伸ジャッキ304は、一端が第2ユニット部302の後部側面に連結され、他端が腕部311の側面に連結されている。屈伸ジャッキ304を伸縮させることで、第2ユニット部302に対して第1ユニット部301を屈伸させることができる。ここで、図11は、アタッチメント300の屈伸動作を示しており、詳しくは、図11(ア)はアタッチメント300の伸展状態(第1ユニット部301と第2ユニット部302とがなす角の角度が大きい状態)を示し、図11(イ)はアタッチメント300の屈曲状態(第1ユニット部301と第2ユニット部302とがなす角の角度が小さい状態)を示す。
第2ユニット部302の前端にはブレーカ(打撃装置)305が突設されている。屈伸ジャッキ304の伸縮によるアタッチメント300の屈伸動作でブレーカ305が第1ユニット部301(バケット310及び腕部311)に接触しないように、ブレーカ305が第2ユニット部302の前端に取り付けられている。
第2ユニット部302は、ブーム230の先端に対して水平軸回り(上下方向)に揺動可能に支持される。チルトジャッキ224は、一端がブーム230に連結され他端がリンク機構303を介して第2ユニット部302に連結され、このチルトジャッキ224を伸縮させることで、第2ユニット部302と、第2ユニット部302に連結されている屈伸ジャッキ304及び第1ユニット部301とが、一体的にチルト動作する。すなわち、このチルトジャッキ224を伸縮させることで、アタッチメント300の全体がチルト動作する。
第2ユニット部302の上面には、後述する削孔装置400の取り付けに用いられる取付金具320が設けられている。第1ユニット部301の腕部311の背面(アタッチメント300の伸展状態で上方を向く面)には、後述する吹付装置500の取り付けに用いられる台座部330が設けられている。すなわち、本実施形態では、ブレーカ305が取り付けられた第2ユニット部302に削孔装置400を着脱可能に取り付けでき、また、バケット310を備える第1ユニット部301に吹付装置500を着脱可能に取り付けできる。ゆえに、アタッチメント300(エキスカベータ200)において、削孔装置400の取り付け位置と、吹付装置500の取り付け位置とが異なっている。
本実施形態では、上記の補助掘削工程(S4)において、削孔装置400(図12〜図17参照)を用いて地山を削孔する削孔工程と、吹付装置500(図18〜図20参照)を用いて掘削面にコンクリートを吹き付ける吹付工程との少なくとも一方を実施する。
上記の削孔工程は、例えば、切羽の安定性確保のための先受工や鏡面補強、あるいは坑壁へのロックボルト打設などを実施する際に含まれ得る工程である。
図12〜図14に示すように、削孔装置400は、基端側から先端側に延びるガイドセル401と、ガイドセル401の延在方向に沿って移動可能な削孔ユニット402とを備える。ガイドセル401の先端にはセントライザ406が設けられている。削孔ユニット402は、ドリフタ403と削孔ロッド404と削孔ビット405とを備えている。
ここで、図12及び図14は、ドリフタ403に削孔ロッド404が取り付けられる前の状態を示しており、それゆえ、図12及び図14では、削孔ロッド404及び削孔ビット405を一点鎖線で示している。また、図13では、図示簡略化のため、削孔装置400のうちガイドセル401のみを実線の矩形で表している。
図12に示す削孔装置400の取付の第1態様は、例えば、図15に示す切羽削孔時に採用され得る。これに対し、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様は、例えば、図16及び図17に示すロックボルト削孔時に採用され得る。
ここにおいて、図15〜図17では、アタッチメント300が伸展している状態(第1ユニット部301と第2ユニット部302とがなす角の角度が大きい状態)を示しているが、削孔作業時のアタッチメント300の屈伸状態は図15〜図17に示されているものに限らず、例えば、アタッチメント300が屈曲している状態(第1ユニット部301と第2ユニット部302とがなす角の角度が小さい状態)であってもよい。
ドリフタ403は、例えば油圧式の駆動手段であり、削孔ロッド404及び削孔ビット405に対して回転力を与えると共に、ガイドセル401に沿って往復運動することが可能である。ドリフタ403による回転力は、内蔵のモータにより、打撃力は、内蔵のピストンにより与えられる。また、ドリフタ403の前進移動(ガイドセル401の基端側から先端側に向かう移動)によりフィード圧(削孔ビット405を地山等に押し付ける圧力)が与えられる。
削孔ロッド404は、ドリフタ403からの回転力と押圧力とを削孔ビット405に伝達するものである。削孔ビット405は、回転した状態で地山等に押し付けられて地山等を掘削するものである。
図12に示す削孔装置400の取付の第1態様において、削孔装置400は、台座部410を介して、アタッチメント300の第2ユニット部302に取り付けられている。
台座部410は、ガイドセル401の基端側部分を下方から支持する。台座部410は、取付金具320等を介して、第2ユニット部302の上面に、ボルト締め等の手法で着脱可能に取り付けられる。
図12に示す削孔装置400の取付の第1態様では、ガイドセル401は、その基端側部分が、台座部410に対し、軸P1回り(左右方向)に旋回可能に支持されている。ここで軸P1は第2ユニット部302の上面に略直交する。図12に示す状態を基準状態とすると、ガイドセル401はこの基準状態から左右に少なくとも90deg旋回可能である(図13参照)。なお、図12に示す削孔装置400の取付の第1態様において、第2ユニット部302の上面と、ガイドセル401の延在方向とは略平行である。また、上記基準状態において、アタッチメント300の前方かつ上方にガイドセル401の先端側が位置し、アタッチメント300の後部の上方にガイドセル401の基端側が位置している。
図14に示す削孔装置400の取付の第2態様において、削孔装置400は、台座部420を介して、アタッチメント300の第2ユニット部302に取り付けられている。
台座部420は、ガイドセル401の基端側部分を下方から支持する。台座部420は、取付金具320等を介して、第2ユニット部302の上面に、ボルト締め等の手法で着脱可能に取り付けられる。
図14に示す削孔装置400の取付の第2態様では、ガイドセル401は、その基端側部分が、台座部420に対し、軸P2回り(左右方向)に旋回可能に支持されている。図14に示す状態を基準状態とすると、ガイドセル401はこの基準状態から左右に少なくとも90deg旋回可能である(図13参照)。なお、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様において、第2ユニット部302の上面と、ガイドセル401の延在方向とがなす角の角度θ1は、軸P2の傾斜角θ2に対応している。ここで、傾斜角θ2とは、第2ユニット部302の上面に略直交する軸と、軸P2とがなす角の角度である。また、上記基準状態において、第2ユニット部302の前部の上方にガイドセル401の基端側が位置し、第2ユニット部302より後方かつ上方にガイドセル401の先端側が位置している。また、ガイドセル401は、先端側から基端側に向かうほど、第2ユニット部302の上面に近づくように傾斜している。上述の角度θ1及び傾斜角θ2は、5〜45degの範囲内であることが好ましく、10〜30degの範囲内であることが更に好ましい。
従って、図12に示す削孔装置400の取付の第1態様と、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様とでは、アタッチメント300に対するガイドセル401(削孔装置400)の取付方向が前後方向で逆である。
なお、本実施形態において、削孔装置400を旋回可能に支持する台座部410,420が、本発明の「削孔装置用向き変更手段」に対応して、エキスカベータ200(補助掘削機)に取り付けられた削孔装置400の、エキスカベータ200(補助掘削機)に対する向きを変更する機能を実現する。
削孔装置400を用いて地山の削孔を行う場合には、まず、アタッチメント300に台座部410又は台座部420を介して削孔装置400を着脱可能に取り付ける(削孔装置取付工程)。この削孔装置400の取付作業は、開閉扉123が開いて開放されたカッタヘッド120の開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びアタッチメント300を切羽側に突き出した状態で行う。
次に、カッタヘッド120の開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びアタッチメント300を切羽側に突き出した状態で、アタッチメント300に取り付けられた削孔装置400により、カッタヘッド120前方の地山を削孔する(削孔工程:図15〜図17参照)。
なお、上記の削孔装置取付工程では、エキスカベータ200の全体が胴体110内に収容された状態で、アタッチメント300に台座部410又は台座部420を介して削孔装置400を着脱可能に取り付けてもよい。この場合には、上記の削孔工程に先立って、カッタヘッド120の開閉扉123を開けて開口部123aを開放し、この開放した開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びアタッチメント300(削孔装置400が取り付けられている)を切羽側に突き出す。
図15に示すように、切羽前方(切羽より前方)に向けて削孔する場合には、図12に示す削孔装置400の取付の第1態様が採用され得る。この場合において、所望の削孔位置にて削孔を行うように、削孔装置400を台座部410に対して旋回させるのみならず、エキスカベータ200自体を作動させることで、削孔装置400の位置及び姿勢の調整を行うことができる。ゆえに、削孔装置400と、削孔装置400が取り付けられたエキスカベータ200とを協働させることで、削孔作業を効率よく、かつ、精度よく行うことができる。
図16及び図17に示すように、ロックボルト設置のために、坑内空間Q内からトンネル内外方向(例えば径方向、換言すれば、トンネル軸方向に略直交する方向)に放射状に複数の削孔を形成すると共に、トンネル軸方向(前後方向)に間隔を空けて複数の削孔を形成する場合には、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様が採用され得る。この場合において、所望の削孔位置にて削孔を行うように、削孔装置400を台座部420に対して旋回させるのみならず、エキスカベータ200自体を作動させることで、削孔装置400の位置及び姿勢の調整を行うことができる。ゆえに、削孔装置400と、削孔装置400が取り付けられたエキスカベータ200とを協働させることで、削孔作業を効率よく、かつ、精度よく行うことができる。
図15に示すように、切羽前方に向けて削孔する場合には、図12に示す削孔装置400の取付の第1態様が採用され得る。一方、切羽前方以外の方に向けて削孔する場合(例えば、図16及び図17に示すようにロックボルト削孔を行う場合)には、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様が採用され得る。ゆえに、本実施形態では、切羽前方に向けて削孔する場合と、切羽前方以外の方に向けて削孔する場合とで、削孔装置400のアタッチメント300に対する向きが異なっている。
なお、本実施形態では、切羽前方に向けて削孔する場合(図15参照)とロックボルト削孔を行う場合(図16及び図17参照)とで比較すると、上記の基準状態において、削孔装置400のアタッチメント300に対する向き(取付向き)が前後逆になっている。
本実施形態では、図12に示す削孔装置400の取付の第1態様で切羽前方に向けて削孔(図15参照)した後、削孔装置400のアタッチメント300に対する取付向きを、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様に変更して、ロックボルト削孔(図16及び図17参照)を行ってもよい。また、これとは逆に、図14に示す削孔装置400の取付の第2態様でロックボルト削孔(図16及び図17参照)を行った後、削孔装置400のアタッチメント300に対する取付向きを、図12に示す削孔装置400の取付の第1態様に変更して、切羽前方に向けて削孔(図15参照)してもよい。つまり、上記の削孔工程は、削孔装置400のエキスカベータ200(補助掘削機)に対する取付向きを変更する取付向き変更工程を含んでもよい。
本実施形態では、地山を第1の方向に削孔する場合(例えば図15に示すように切羽前方に向けて削孔する場合)と、地山を、第1の方向とは異なる第2の方向に削孔する場合(例えば図16及び図17に示すようにロックボルト削孔を行う場合)とで、削孔装置400のエキスカベータ200(補助掘削機)に対する取付向きが異なる。この点は、図12の図示と図14の図示とを比較すれば容易に把握できるであろう。
また、本実施形態では、地山を第1の方向に削孔する場合(例えば図15に示すように切羽前方に向けて削孔する場合)と、地山を、第1の方向とは異なる第2の方向に削孔する場合(例えば図16及び図17に示すようにロックボルト削孔を行う場合)とで、台座部(その形状や取付向きなど)が異なる。この点は、図12の台座部410の図示と図14の台座部420の図示とを比較すれば容易に把握できるであろう。
削孔装置400を用いる削孔作業時などでクランプボックス210の位置を固定したいときには、外レールクランプジャッキ215及び内レールクランプジャッキ216を伸長させて内クランプ213及び外クランプ214をレール135に押し当てることで、摩擦抵抗によりクランプボックス210の前後方向への移動を阻止することができる。
本実施形態では、エキスカベータ200による掘進途中で、掘削面にコンクリートを吹き付けて地山改良を行う必要があるときには、吹付装置500を用いてコンクリートの吹付け(吹付工程)を行わせることができる。
このように、エキスカベータ200による掘削途中で、又はカッタヘッド120の前方で、コンクリート吹付等の支保作業を行うことが可能であり、係る支保作業により不良地山の更なる崩壊等を防止することができる。
図18〜図20に示すように、吹付装置500は、腕部501と、ノズル支持部502と、ノズルホルダ503と、吹付ノズル504と、プレート505とを備える。
腕部501は一方向に延びている。腕部501は、複数(本実施形態では3つであるが、3つに限らない)の立方体状の中空ブロック体506と、上面に把持部507を有する直方体状のブロック体508とを上記一方向に並べて連結してなる。中空ブロック体506は、その内外を連通する開口部506aが6面全てに形成されている。このような構成とすることで、腕部501の軽量化を図っている。腕部501の先端側にブロック体508が配置されている。
腕部501の基端部の下面にはプレート505が取り付けられている。プレート505は矩形状であり、その四隅にはボルト509の雄ネジ部を挿通するための貫通孔(図示せず)が形成されている。ボルト509の雄ネジ部をプレート505の貫通孔に通し、更に、上記の台座部330の雌ネジ部に螺合させてボルト509を締め付けることで、吹付装置500はアタッチメント300の第1ユニット部301の腕部311に着脱可能に取り付けられる。
腕部501の先端部には、腕部501の延在方向に延びる軸510を介して、ノズル支持部502が取り付けられている。ノズル支持部502は、腕部501の先端部に対して、軸510を回転軸として回転自在である。
ノズル支持部502には、軸510に略直交する方向に延びる軸511を介して、ノズルホルダ503が取り付けられている。ノズルホルダ503は、ノズル支持部502に対して、軸511を回転軸として回転自在である。
ノズルホルダ503は吹付ノズル504を保持するものである。吹付ノズル504には、図示しないコンクリート供給用のホース等が接続される。吹付ノズル504の先端開口部から吹付用のコンクリートが噴射され得る。
図20に示すように、腕部501の延在方向と、第1ユニット部301の腕部311の延在方向とは略平行である。本実施形態では、腕部501が比較的長く形成されているので、吹付ノズル504を第1ユニット部301から離間させることができる。ゆえに、吹付ノズル504から掘削面に向けて吹き付けたコンクリートの跳ね返りが第1ユニット部301(特に、ツース314を備えるバケット310)に付着することを抑制することができる。
なお、本実施形態において、軸510,511、ノズル支持部502、及びノズルホルダ503によって、「吹付ノズル用向き変更手段」の機能が実現される。この「吹付ノズル用向き変更手段」は、エキスカベータ200(補助掘削機)に取り付けられた吹付装置500の吹付ノズル504の、エキスカベータ200(補助掘削機)に対する向きを変更するものである。
吹付装置500を用いて地山の掘削面にコンクリート吹付を行う場合には、まず、アタッチメント300の台座部330に吹付装置500を着脱可能に取り付ける(吹付装置取付工程)。この吹付装置500の取付作業は、開閉扉123が開いて開放されたカッタヘッド120の開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びアタッチメント300を切羽側に突き出した状態で行う。
次に、カッタヘッド120の開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びアタッチメント300を切羽側に突き出した状態で、アタッチメント300に取り付けられた吹付装置500により、カッタヘッド120前方の地山の掘削面にコンクリートを吹き付ける(吹付工程)。
なお、上記の吹付装置取付工程では、エキスカベータ200の全体が胴体110内に収容された状態で、アタッチメント300の台座部330に吹付装置500を着脱可能に取り付けてもよい。この場合には、上記の吹付工程に先立って、カッタヘッド120の開閉扉123を開けて開口部123aを開放し、この開放した開口部123aからサポートフレーム220、ブーム230、及びアタッチメント300(吹付装置500が取り付けられている)を切羽側に突き出す。
吹付装置500を用いるコンクリート吹付作業時などでクランプボックス210の位置を固定したいときには、外レールクランプジャッキ215及び内レールクランプジャッキ216を伸長させて内クランプ213及び外クランプ214をレール135に押し当てることで、摩擦抵抗によりクランプボックス210の前後方向への移動を阻止することができる。
本実施形態では、吹付装置500を用いて掘削面にコンクリートを吹き付けているが、これに代えて、掘削面にモルタルを吹き付けてもよい。この場合には、吹付ノズル504にモルタル供給用のホース等が接続されて、吹付ノズル504の先端開口部から吹付用のモルタルが噴射され得る。
本実施形態において、吹付工程の後に削孔工程が実施される場合には、上記の削孔装置取付工程に先立って、アタッチメント300から吹付装置500が取り外される。
これとは逆に、削孔工程の後に吹付工程が実施される場合には、上記の吹付装置取付工程に先立って、アタッチメント300から削孔装置400が取り外される。
つまり、削孔装置400と吹付装置500とのいずれか一方がアタッチメント300に取り付けられているときに他方はアタッチメント300から取り外されていることが好ましい。しかしながら、削孔装置400と吹付装置500との双方が同時期にアタッチメント300に取り付けられていてもよい。
本実施形態によれば、TBM100(トンネル掘削機)は、胴体110と、胴体110の前部に回転可能に装着されるカッタヘッド120であって、開閉可能な開口部123aを有するカッタヘッド120と、胴体110内に収容可能なエキスカベータ200(補助掘削機)と、エキスカベータ200に取り付け可能な削孔装置400とを備える。開放された開口部123aからエキスカベータ200を前方に突き出した状態で、エキスカベータ200に取り付けられた削孔装置400は地山を削孔可能である。それゆえ、削孔装置400と、削孔装置400が取り付けられたエキスカベータ200とを協働させることで、当該削孔作業を効率よく、かつ、精度よく行うことができる。
また本実施形態によれば、TBM100(トンネル掘削機)は、エキスカベータ200(補助掘削機)に取り付けられた削孔装置400の、エキスカベータ200に対する向きを変更する削孔装置用向き変更手段(台座部410,420)を更に備える。これにより、削孔装置400の向きの調整を容易に行うことができる。
また本実施形態によれば、TBM100(トンネル掘削機)は、エキスカベータ200(補助掘削機)に取り付け可能な吹付装置500を更に備える。開放された開口部123aからエキスカベータ200を前方に突き出した状態で、エキスカベータ200に取り付けられた吹付装置500から地山の掘削面にコンクリート又はモルタルを吹き付け可能である。これにより、掘削面の保護と崩壊等の抑制とを実現することができる。
また本実施形態によれば、TBM100(トンネル掘削機)は、エキスカベータ200(補助掘削機)に取り付けられた吹付装置500の吹付ノズル504の、エキスカベータ200に対する向きを変更する吹付ノズル用向き変更手段(軸510,511、ノズル支持部502、及びノズルホルダ503)を更に備える。これにより、吹付ノズル504の向きの調整を容易に行うことができる。
また本実施形態によれば、トンネルの施工方法は、胴体110の前部にカッタヘッド120が回転可能に装着されたTBM100(トンネル掘削機)を用いる施工方法である。カッタヘッド120は、開閉可能な開口部123aを有する。TBM100は、胴体110内に収容可能なエキスカベータ200(補助掘削機)を備える。上記施工方法は、開放された開口部123aからエキスカベータ200を前方に突き出した状態で、エキスカベータ200に取り付けられた削孔装置400により地山を削孔する削孔工程を含む。それゆえ、削孔装置400と、削孔装置400が取り付けられたエキスカベータ200とを協働させることで、当該削孔作業を効率よく、かつ、精度よく行うことができる。
また本実施形態では、切羽前方に向けて削孔する場合(図15参照)と、切羽前方以外の方に向けて削孔する場合(図16及び図17参照)とで、削孔装置400のエキスカベータ200(補助掘削機)に対する向きが異なる。ゆえに、削孔対象に応じて、削孔装置400の向きの最適化を図ることができる。
また本実施形態によれば、トンネルの施工方法は、開放された開口部123aからエキスカベータ200(補助掘削機)を前方に突き出した状態で、エキスカベータ200に取り付けられた吹付装置500から地山の掘削面にコンクリート又はモルタルを吹き付ける吹付工程を更に含む。この吹付工程は、上記の削孔工程に先立って実施されてもよく、又は、上記の削孔工程の後に実施されてもよい。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば種々の変形態様を採り得ることは自明である。
また、エキスカベータ200の腕体を挿通させるカッタヘッド120の開口部123aが、面板の取り外しによって開放される構成とすることができ、また、面板127a〜127cを開閉可能な扉に形成することができ、更に、1つの開閉扉(又は面板)によってサポートフレーム220を切羽側に突き出すための開口部及び排土コンベア180を切羽側に突き出すための開口部が開放される構成とすることができる。
また、TBM100は、開閉扉123を開閉動作させるための専用のジャッキを備えることができる。
また、TBM100の腕体を切羽側に突き出すための開口部と、排土コンベア180を切羽側に突き出すための開口部とが桟部で仕切られた相互に独立した開口部とすることができる。
また、胴体110の後方に配置されるグリッパ装置(リアグリッパ)133と共に、胴体110の前側にもグリッパ装置(フロントグリッパ)を備えることができる。
100…TBM(トンネルボーリングマシン、トンネル掘削機)、110…胴体、120…カッタヘッド、122…カッタヘッド駆動モータ、123…開閉扉、123a…開口部、128…開口部、130…メインビーム、132…グリッパ、133…グリッパ装置、135…レール、140…スラストジャッキ、180…排土コンベア、181…スカート部、200…エキスカベータ(補助掘削機)、210…クランプボックス、220…サポートフレーム(腕体)、230…ブーム(腕体)、240…バケット(作業装置)、300…アタッチメント(作業装置)、301…第1ユニット部、302…第2ユニット部、303…リンク機構、304…屈伸ジャッキ、305…ブレーカ(打撃装置)、310…バケット、311…腕部、320…取付金具、330…台座部、400…削孔装置、401…ガイドセル、402…削孔ユニット、403…ドリフタ、404…削孔ロッド、405…削孔ビット、406…セントライザ、410,420…台座部、500…吹付装置、501…腕部、502…ノズル支持部、503…ノズルホルダ、504…吹付ノズル、505…プレート、506…中空ブロック体、506a…開口部、507…把持部、508…ブロック体、509…ボルト、510,511…軸、P1,P2…軸、Q…坑内空間、θ1…角度、θ2…傾斜角

Claims (6)

  1. 胴体と、
    前記胴体の前部に回転可能に装着されるカッタヘッドであって、開閉可能な開口部を有する前記カッタヘッドと、
    前記胴体内に収容可能な補助掘削機と、
    前記補助掘削機に取り付け可能な削孔装置と、
    を備え、
    開放された前記開口部から前記補助掘削機を前方に突き出した状態で、前記補助掘削機に取り付けられた前記削孔装置は地山を削孔可能である、トンネル掘削機。
  2. 前記補助掘削機に取り付けられた前記削孔装置の、前記補助掘削機に対する向きを変更する削孔装置用向き変更手段を更に備える、請求項1に記載のトンネル掘削機。
  3. 前記補助掘削機に取り付け可能な吹付装置を更に備え、
    開放された前記開口部から前記補助掘削機を前方に突き出した状態で、前記補助掘削機に取り付けられた前記吹付装置から地山の掘削面にコンクリート又はモルタルを吹き付け可能である、請求項1又は請求項2に記載のトンネル掘削機。
  4. 胴体の前部にカッタヘッドが回転可能に装着されたトンネル掘削機を用いるトンネルの施工方法であって、
    前記カッタヘッドは、開閉可能な開口部を有し、
    前記トンネル掘削機は、前記胴体内に収容可能な補助掘削機を備え、
    前記施工方法は、開放された前記開口部から前記補助掘削機を前方に突き出した状態で、前記補助掘削機に取り付けられた削孔装置により地山を削孔する削孔工程を含む、
    トンネルの施工方法。
  5. 地山を第1の方向に削孔する場合と、地山を、前記第1の方向とは異なる第2の方向に削孔する場合とで、前記削孔装置の前記補助掘削機に対する取付向きが異なる、請求項4に記載のトンネルの施工方法。
  6. 開放された前記開口部から前記補助掘削機を前方に突き出した状態で、前記補助掘削機に取り付けられた吹付装置から地山の掘削面にコンクリート又はモルタルを吹き付ける吹付工程を更に含む、請求項4又は請求項5に記載のトンネルの施工方法。
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