JP2021116460A - 金属粒子の作製方法および作製装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直径1μm以下のナノサイズの金属粒子を効率良く製造するための金属粒子の作製方法を提供する。【解決手段】金属粒子の作製方法は、断面が円形の第1の容器に第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れ、第2の溶媒中に第1の容器を浸漬し、第1の容器をその円形断面の中心を軸として回転させ、第1の容器の回転と同時に第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を作製する。【選択図】図1
Description
本発明は、鉛を含まない耐熱性を有する接合部を形成する接合材料の作製方法および作製装置に関する。より詳細には、例えばSi、GaN、SiC等の材料で形成された半導体素子とリードフレームとを接合する接合材料に用いる粒子径1μm以下のナノスケールの金属粒子の作製方法および作製装置に関する。
近年、Siチップよりも高速動作が可能なGaNチップや高出力動作が可能なSiCチップが使われることが多くなっている。GaNチップやSiCチップはSiチップと比較して動作時の発熱量が多いため、そのような半導体素子と絶縁回路基板との線膨張係数の差に由来する応力が接合部に加わった際に、接合部が歪みに耐え切れずに破壊するクラック不良が発生し得る。従来は、ベースプレートにアルミニウム製の冷却フィン等を取り付けて熱を逃がしていたが、発熱量が多くなると、熱流束断面積の小さい接合部が放熱の律速となるため、十分に熱を逃がすことが困難になりつつある。このために、接合部の耐熱性の向上が必要となっている。
そこで、耐熱性を向上させた第1の接合材料として、Agナノ粒子とバインダーを混合したAgナノペーストが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この接合材料を構成する銀ナノ粒子は平均粒子径200nm以下の粒子が用いられており、そのような平均粒子径を有する銀ナノ粒子を使用することで、耐熱性の高い接合体を形成することができる。
上述の第1の接合材料は、金属材料が銀であるため接合材料の価格が非常に高くなる。そのため用途が付加価値の高い製品に限定されている。この問題に対して安価な卑金属を超音波でナノ粒子化して接合材料に適用することが提案されている。超音波キャビテーションによるナノ粒子合成法は、金属組成物の融点未満の温度に保持した媒体中に金属組成物を投入し、機械的な撹拌をすることなく超音波を照射して粒子を作製する方法である。超音波を照射することで媒体中にキャビテーションが発生し、キャビテーション圧壊時の衝撃圧を利用して固体の金属組成物を微細な粒子として分散させる。この方法は直径1μm以下の粒子を製造することができる(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、金属組成物と媒体との比重差によって金属組成物は媒体の下部に堆積するため、キャビテーションが発生している媒体中の反応場を有効利用できずナノ粒子の合成効率が低いという問題がある。
しかしながら、金属組成物と媒体との比重差によって金属組成物は媒体の下部に堆積するため、キャビテーションが発生している媒体中の反応場を有効利用できずナノ粒子の合成効率が低いという問題がある。
金属組成物の堆積を抑制する方法として機械的撹拌法がある(例えば、特許文献3参照。)。金属組成物の融点以上の温度に保持した高温の加熱媒体中に金属組成物を投入し、機械的な撹拌を行いながら超音波エネルギーを負荷して溶融した金属組成物を微細な液滴として分散させ、ついで冷却凝固させて微細粒子を製造する方法である。しかしながら、キャビテーションが発生している媒体の内部で撹拌羽根を高速回転させると、撹拌羽根の表面でキャビティ周囲に圧力差が生じてキャビティが破壊される。そのため、キャビテーションによる粒子生成の効果が低下するという問題がある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、直径1μm以下のナノサイズの金属粒子を効率良く製造するための金属粒子の作製方法を提供することを目的とする。
上記目標を達成するために、本発明に係る金属粒子の作製方法は、断面が円形の第1の容器に第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れ、
第2の溶媒中に前記第1の容器を浸漬し、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸として回転させ、
前記第1の容器の回転と同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を作製する。
第2の溶媒中に前記第1の容器を浸漬し、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸として回転させ、
前記第1の容器の回転と同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を作製する。
また、本発明に係る金属粒子作製装置は、断面が円形であって第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れるための第1の容器と、
前記第1の容器を浸漬させる第2の溶媒と、
前記第1の容器を円形断面の中心を軸に回転させる回転機構と、
前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子と、
前記第1の容器に前記懸濁液を入れるための送入部と、
前記第1の金属粒子と、ナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液を取り出すための排出部と、
を備える。
前記第1の容器を浸漬させる第2の溶媒と、
前記第1の容器を円形断面の中心を軸に回転させる回転機構と、
前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子と、
前記第1の容器に前記懸濁液を入れるための送入部と、
前記第1の金属粒子と、ナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液を取り出すための排出部と、
を備える。
以上のように、本発明に係る金属粒子の作製方法によれば、撹拌部材でキャビティを壊すことがないと共に、第1の容器が円形断面であるので、断面形状に起因する乱流の発生がなく、キャビティを壊すことがない。また、振動波の反射及び屈折状態が変化しないためキャビテーションが安定する。このため、キャビテーション反応場を有効に使うことができ、ナノ粒子の合成効率を向上させることができる。
第1の態様に係る金属粒子の作製方法は、断面が円形の第1の容器に第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れ、
第2の溶媒の中に前記第1の容器を浸漬し、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸として回転させ、
前記第1の容器の回転と同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を作製する。
第2の溶媒の中に前記第1の容器を浸漬し、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸として回転させ、
前記第1の容器の回転と同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を作製する。
上記構成によって、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができると共に、第1の容器が円形断面であるので、断面形状に起因する乱流の発生がなく、キャビティを壊すことがない。また、振動波の反射及び屈折状態が変化しないためキャビテーションが安定する。このため、直径1μm以下の金属粒子を効率的に作製することが可能となる。
第2の態様に係る金属粒子の作製方法は、上記第1の態様において、前記第1の溶媒は粘度が0.6〜10mPa・sであり、
前記第2の溶媒は水であってもよい。
前記第2の溶媒は水であってもよい。
第3の態様に係る金属粒子の作製方法は、上記第1の態様において、前記第1の容器は10〜120rpmで回転させてもよい。
第4の態様に係る金属粒子の作製方法は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記第1の金属粒子は、Sn、Ag、Cu、Bi、Sbの群から選ばれた、少なくとも1つの元素を含んでもよい。
第5の態様に係る金属粒子作製装置は、断面が円形であって第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れるための第1の容器と、
前記第1の容器を浸漬させる第2の溶媒と、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸に回転させる回転機構と、
前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子と、
前記第1の容器に前記懸濁液を入れるための送入部と、
前記第1の金属粒子と、ナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液を取り出すための排出部と、
を備える。
前記第1の容器を浸漬させる第2の溶媒と、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸に回転させる回転機構と、
前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子と、
前記第1の容器に前記懸濁液を入れるための送入部と、
前記第1の金属粒子と、ナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液を取り出すための排出部と、
を備える。
第6の態様に係る金属粒子作製装置は、上記第5の態様において、前記送入部と前記排出部とは、前記第1の容器の回転軸に沿って前記第1の容器の互いに対向する両面にそれぞれ設けられていてもよい。
第7の態様に係る金属粒子作製装置は、上記第6の態様において、前記第1の容器の円形断面の直径が、前記送入部と、前記送入部と前記排出部との間の中央部とで異なってもよい。
第8の態様に係る金属粒子作製装置は、上記第5から第7のいずれかの態様において、複数の前記超音波振動子を、前記第1の容器の円形断面の円周上に沿って配置してもよい。
以下、実施の形態に係る金属粒子の作製方法及び金属粒子作製装置について、添付図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る金属粒子の作製方法は、第2の溶媒中に断面が円形の第1の容器が浸漬され、前記第1の容器に第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子からなる懸濁液を入れながら、前記第1の容器を円形断面の中心を軸として回転させ、同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を得ることを特徴とする。
実施の形態1に係る金属粒子の作製方法は、第2の溶媒中に断面が円形の第1の容器が浸漬され、前記第1の容器に第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子からなる懸濁液を入れながら、前記第1の容器を円形断面の中心を軸として回転させ、同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を得ることを特徴とする。
まず、実施の形態1に係る金属粒子の具体的な作製プロセスを説明する。
<金属粒子の作製プロセス>
図1は、実施の形態1に係る金属粒子の作製方法のフローチャートである。
実施の形態1に係る金属粒子の作製方法は、断面が円形の第1の容器の排出口の閉鎖工程101と、第1の容器の送入口の開放工程102と、第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子からなる懸濁液を第1の容器に送入する懸濁液送入工程103と、第1の容器の送入口の閉鎖工程104と、第1の容器の回転工程105と、超音波照射工程106と、第1の容器の排出口の開放工程107と、懸濁液排出工程108と、第1の容器の排出口の閉鎖工程109と、を有する。
図1は、実施の形態1に係る金属粒子の作製方法のフローチャートである。
実施の形態1に係る金属粒子の作製方法は、断面が円形の第1の容器の排出口の閉鎖工程101と、第1の容器の送入口の開放工程102と、第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子からなる懸濁液を第1の容器に送入する懸濁液送入工程103と、第1の容器の送入口の閉鎖工程104と、第1の容器の回転工程105と、超音波照射工程106と、第1の容器の排出口の開放工程107と、懸濁液排出工程108と、第1の容器の排出口の閉鎖工程109と、を有する。
(1)第1の容器の排出口の閉鎖工程101は、金属粒子の原料であるマイクロサイズの第1の金属粒子と溶媒との混合物である懸濁液を第1の容器に供給する前準備であり、第1の容器の排出口を密閉する工程である。
(2)第1の容器の送入口の開放工程102は、金属粒子の原料であるマイクロサイズの第1の金属粒子と溶媒との混合物である懸濁液を第1の容器に供給する前準備であり、第1の容器の送入口を開放する工程である。
(3)懸濁液送入工程103は、金属粒子の原料であるマイクロサイズの第1の金属粒子と溶媒との混合物である懸濁液を第1の容器に供給する工程であり、マイクロサイズの第1の金属粒子の融点未満である固体状の原料を第1の容器の中に送入する工程である。
(4)第1の容器の送入口の閉鎖工程104は、金属粒子の原料であるマイクロサイズの第1の金属粒子と溶媒との混合物である懸濁液が第1の容器から送入口側に逆流することを防止する工程であり、第1の容器の送入口を閉鎖する工程である。
(5)第1の容器の回転工程105は、懸濁液が送入された第1の容器を回転させる工程であり、金属と溶媒の比重差によって、第1の金属粒子が第1の容器の底部に堆積することを防止する工程である。
(6)超音波照射工程106は、第1の容器の外側に配置した超音波振動子から超音波を照射する工程であり、固体状の第1の金属粒子に超音波を照射してキャビテーションの衝撃圧を作用させて第1の金属粒子の表面から金属粒子の個片を分離させ、それらをクラスタ化してナノサイズの金属粒子を作製する工程である。なお、第1の容器の回転工程105と超音波照射工程106とは並行して実施する工程である。
(7)第1の容器の排出口の開放工程107は、作製したナノサイズの金属粒子と溶媒の混合物を第1の容器から排出する前準備であり、第1の容器の排出口を開放する工程である。
(8)懸濁液排出工程108は、作製したナノサイズの金属粒子と溶媒の混合物を第1の容器から排出する工程であり、作製したナノサイズの金属粒子を第1の容器から回収する工程である。
(9)第1の容器の排出口の閉鎖工程109は、作製したナノサイズの金属粒子と溶媒の混合物を第1の容器から排出した後の最終工程であり、第1の容器の排出口を閉鎖する工程である。
<粒子形成メカニズム>
図2(a1)乃至(a3)と図2(b)とは、マイクロサイズの第1の金属粒子110からナノサイズの金属粒子111が作製されるプロセスを示した模式図である。
図2(a1)乃至(a3)は、固体状のマイクロサイズの第1の金属粒子110から金属粒子のナノサイズの個片112が発生する経時プロセスを示す図である。このプロセスは、図1の超音波照射工程106である。
第1の溶媒113に浸漬させたマイクロサイズの第1の金属粒子110は、第1の金属粒子110の融点未満の固体状である。ここに超音波114を照射すると、疎密波によって第1の溶媒113中に微小な気泡115が発生する。この気泡115が疎と密の状態を繰り返すことで膨張と収縮を繰り返して徐々に成長する(図2(a1))。そして、大きく成長した気泡が収縮に耐えられなくなった時に気泡が圧壊して高圧の衝撃波116が発生する(図2(a2))。この衝撃波116がマイクロサイズの第1の金属粒子110の表面に作用することで微細なナノサイズの金属粒子の個片112が発生する(図2(a3))。
図2(b)は、発生した金属粒子のナノサイズの個片112がクラスタ化する経時プロセスを示す図である。このプロセスも、図1の超音波照射工程106である。
第1の溶媒113の内部に数多くの微細なナノサイズの金属粒子の個片112が浮遊している。この個片がファンデルワールス力によって凝集してクラスタ化することで微細なナノサイズの金属粒子111が形成される。
図2(a1)乃至(a3)と図2(b)とは、マイクロサイズの第1の金属粒子110からナノサイズの金属粒子111が作製されるプロセスを示した模式図である。
図2(a1)乃至(a3)は、固体状のマイクロサイズの第1の金属粒子110から金属粒子のナノサイズの個片112が発生する経時プロセスを示す図である。このプロセスは、図1の超音波照射工程106である。
第1の溶媒113に浸漬させたマイクロサイズの第1の金属粒子110は、第1の金属粒子110の融点未満の固体状である。ここに超音波114を照射すると、疎密波によって第1の溶媒113中に微小な気泡115が発生する。この気泡115が疎と密の状態を繰り返すことで膨張と収縮を繰り返して徐々に成長する(図2(a1))。そして、大きく成長した気泡が収縮に耐えられなくなった時に気泡が圧壊して高圧の衝撃波116が発生する(図2(a2))。この衝撃波116がマイクロサイズの第1の金属粒子110の表面に作用することで微細なナノサイズの金属粒子の個片112が発生する(図2(a3))。
図2(b)は、発生した金属粒子のナノサイズの個片112がクラスタ化する経時プロセスを示す図である。このプロセスも、図1の超音波照射工程106である。
第1の溶媒113の内部に数多くの微細なナノサイズの金属粒子の個片112が浮遊している。この個片がファンデルワールス力によって凝集してクラスタ化することで微細なナノサイズの金属粒子111が形成される。
<第1の溶媒の粘度>
図3は、懸濁液を送入した第1の容器を30rpmで回転させながら周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射後の第1の溶媒の粘度と金属粒子の収量との関係を示す図である。
図3において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量との差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
第1の溶媒の粘度が0.6mPa・sの時に最も金属粒子の収量は多く、第1の溶媒の粘度を高粘度側に変化させると金属粒子の収量は減少する。このことから、第1の溶媒の粘度は低い方がよい。しかしながら、第1の溶媒の粘度を低くすると揮発性が高くなり扱いが困難になるため、下限は0.6mPa・sである。一方で、第1の溶媒の粘度を高くすると金属粒子発生量は減少し、1mPa・sを超えると、金属粒子の収量は30g/h以下になるため、第1の溶媒の粘度の上限は10mPa・sが望ましい。なお、第1の溶媒の粘度が1mPa・s以下であれば、金属粒子の収量は40g/h以上となるのでなお望ましい。
図3は、懸濁液を送入した第1の容器を30rpmで回転させながら周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射後の第1の溶媒の粘度と金属粒子の収量との関係を示す図である。
図3において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量との差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
第1の溶媒の粘度が0.6mPa・sの時に最も金属粒子の収量は多く、第1の溶媒の粘度を高粘度側に変化させると金属粒子の収量は減少する。このことから、第1の溶媒の粘度は低い方がよい。しかしながら、第1の溶媒の粘度を低くすると揮発性が高くなり扱いが困難になるため、下限は0.6mPa・sである。一方で、第1の溶媒の粘度を高くすると金属粒子発生量は減少し、1mPa・sを超えると、金属粒子の収量は30g/h以下になるため、第1の溶媒の粘度の上限は10mPa・sが望ましい。なお、第1の溶媒の粘度が1mPa・s以下であれば、金属粒子の収量は40g/h以上となるのでなお望ましい。
<第1の容器の回転数>
第1の容器の回転数を変化させると懸濁液中の第1の金属粒子の流動性が変化する。そのため、キャビテーションの作用状態に差が生じて、金属粒子の収量が変動する。
図4は、粘度が0.6mPa・sの溶媒と混合した第1の金属粒子に周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射した時の第1の容器の回転数と金属粒子の収量を示す図である。
図4において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量との差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
第1の容器の回転数を変化させると懸濁液中の第1の金属粒子の流動性が変化する。そのため、キャビテーションの作用状態に差が生じて、金属粒子の収量が変動する。
図4は、粘度が0.6mPa・sの溶媒と混合した第1の金属粒子に周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射した時の第1の容器の回転数と金属粒子の収量を示す図である。
図4において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量との差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
第1の容器の回転数が0rpmの時は金属粒子の収量が少ないが、第1の容器の回転数を高くすると金属粒子の収量が増加し、10rpmで金属粒子の収量が30g/h以上になる。さらに、第1の容器の回転数を高くすると20rpmで40g/h以上になり、30rpmで金属粒子の収量が最大になる。45rpmを超えると40g/h未満になり、120rpmを超えると30g/h未満になる。このことから、第1の容器の回転数は10rpmから120rpmの間がよく、望ましくは20rpmから45rpmの範囲である。
<第1の金属粒子>
金属粒子の原料である第1の金属粒子110は、例えば、Cu−38質量%Snであるが、第1の金属粒子はCu−38質量%Snに限らずCuとSnの混合比率を変化させてもよい。また、Cu−Snの組み合わせに限らず、Sn、Ag、Cu、Bi、Sbから選ばれた少なくとも1種類の元素を含む金属であればよく、さらにそれら金属からなる金属酸化物でもよい。また、第1の金属粒子は、直径5〜100μmの粒子であれば、金属粒子を作製することができるが、直径20〜40μmの粒子であれば更に効率的に作製することができる。
金属粒子の原料である第1の金属粒子110は、例えば、Cu−38質量%Snであるが、第1の金属粒子はCu−38質量%Snに限らずCuとSnの混合比率を変化させてもよい。また、Cu−Snの組み合わせに限らず、Sn、Ag、Cu、Bi、Sbから選ばれた少なくとも1種類の元素を含む金属であればよく、さらにそれら金属からなる金属酸化物でもよい。また、第1の金属粒子は、直径5〜100μmの粒子であれば、金属粒子を作製することができるが、直径20〜40μmの粒子であれば更に効率的に作製することができる。
<金属粒子の収量と粒子径>
図5の表1は、第1の溶媒と混合した第1の金属粒子に1200Wの超音波を1時間照射した後の金属粒子の収量と粒子径とを示す図である。表1において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量との差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
金属粒子の大きさに関しては、「メジアン粒子径」なる概念を用いる。このメジアン粒子径は、動的光散乱法による粒子径測定によって得られる体積基準の粒子径分布の積算値の50%径、いわゆるDv50を意味する。このメジアン粒子径は、レーザー光を照射した時の散乱光のゆらぎを計測して算出している。本明細書において言及する金属粒子のメジアン径は、サブミクロンサイズの粒子径分布測定に一般的に使用される動的光散乱法粒度分布測定装置(Malvern Panalytical社製、製品番号:ゼータサイザーナノZS)を用いて分散媒として純水を使用して測定した。
図5の表1は、第1の溶媒と混合した第1の金属粒子に1200Wの超音波を1時間照射した後の金属粒子の収量と粒子径とを示す図である。表1において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量との差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
金属粒子の大きさに関しては、「メジアン粒子径」なる概念を用いる。このメジアン粒子径は、動的光散乱法による粒子径測定によって得られる体積基準の粒子径分布の積算値の50%径、いわゆるDv50を意味する。このメジアン粒子径は、レーザー光を照射した時の散乱光のゆらぎを計測して算出している。本明細書において言及する金属粒子のメジアン径は、サブミクロンサイズの粒子径分布測定に一般的に使用される動的光散乱法粒度分布測定装置(Malvern Panalytical社製、製品番号:ゼータサイザーナノZS)を用いて分散媒として純水を使用して測定した。
<実施例及び比較例>
図5の表1の判定の欄において、収量の所定の目安を30g/hとし、それに対して丸印(○)は良い評価を意味し、二重丸印(◎)は十分良い評価を意味し、バツ印(×)、所定の収量を満たさない評価を意味する。収量に関して○または◎の評価であった実験例を「実施例」とし、評価が×であった実験例を「比較例」としている。
図5の表1の判定の欄において、収量の所定の目安を30g/hとし、それに対して丸印(○)は良い評価を意味し、二重丸印(◎)は十分良い評価を意味し、バツ印(×)、所定の収量を満たさない評価を意味する。収量に関して○または◎の評価であった実験例を「実施例」とし、評価が×であった実験例を「比較例」としている。
[実施例1]
図5の表1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを粘度0.6Pa・sの溶媒と混合して懸濁液とし、第1の容器を30rpmで回転させながら、周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射して金属粒子を作製した。この時の金属粒子はメジアン粒子径278nm、収量43g/hであり、この数値は十分な収量であった。
図5の表1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを粘度0.6Pa・sの溶媒と混合して懸濁液とし、第1の容器を30rpmで回転させながら、周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射して金属粒子を作製した。この時の金属粒子はメジアン粒子径278nm、収量43g/hであり、この数値は十分な収量であった。
[実施例2〜3および比較例1]
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、溶媒粘度が0.6〜10Pa・sであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。溶媒粘度が23Pa・sでは収量は30g/h未満に低下するため、収量が必ずしも十分とは言えない。これらの結果から、十分な収量を得るために必要な粘度は0.6〜10Pa・sであり、また、40g/h以上の収量を得るためには溶媒粘度を0.6〜1.0Pa・sにすることが好ましい。
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、溶媒粘度が0.6〜10Pa・sであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。溶媒粘度が23Pa・sでは収量は30g/h未満に低下するため、収量が必ずしも十分とは言えない。これらの結果から、十分な収量を得るために必要な粘度は0.6〜10Pa・sであり、また、40g/h以上の収量を得るためには溶媒粘度を0.6〜1.0Pa・sにすることが好ましい。
[実施例4〜7および比較例2〜3]
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、第1の容器の回転数が10〜120rpmであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。第1の容器の回転数が10rpm未満、または120rpmを超では収量は30g/h未満に低下するため、収量が必ずしも十分とは言えない。これらの結果から、十分な収量を得るために必要な第1の容器の回転数は10〜120rpmであり、また、40g/h以上の収量を得るためには第1の容器の回転数を20〜45rpmにすることが好ましい。
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、第1の容器の回転数が10〜120rpmであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。第1の容器の回転数が10rpm未満、または120rpmを超では収量は30g/h未満に低下するため、収量が必ずしも十分とは言えない。これらの結果から、十分な収量を得るために必要な第1の容器の回転数は10〜120rpmであり、また、40g/h以上の収量を得るためには第1の容器の回転数を20〜45rpmにすることが好ましい。
[実施例8〜11]
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、第1の金属粒子の粒子径が5〜150μmであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、第1の金属粒子の粒子径が5〜150μmであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。
[実施例12〜13および比較例4]
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、超音波周波数が20〜40kHzであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。超音波周波数が40kHz超では収量は30g/h未満に低下するため、収量が必ずしも十分とは言えない。
図5の表1の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例1と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、超音波周波数が20〜40kHzであれば収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。超音波周波数が40kHz超では収量は30g/h未満に低下するため、収量が必ずしも十分とは言えない。
[実施例14〜17]
図5の表1の第1の金属粒子として実施例1とは異なる金属種を用いて、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、Cu−38質量%Sn以外の第1の金属粒子の場合も収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。
図5の表1の第1の金属粒子として実施例1とは異なる金属種を用いて、金属粒子を作製して収量を測定した。
表1から分かるように、Cu−38質量%Sn以外の第1の金属粒子の場合も収量は30g/hを超えており、十分な収量が得られる。
<効果>
かかる構成によれば、超音波反応場に撹拌部材を置かず、容器の回転により発生させた慣性力で撹拌することで、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができる。また、第1の容器が円形断面であるので、断面形状に起因する乱流の発生がなく、キャビティを壊すことがない。また、振動波の反射及び屈折状態が変化しないためキャビテーションが安定する。このため、直径1μm以下の金属粒子を効率的に作製することができる。つまり、本実施の形態1に係る金属粒子の作製方法によれば、キャビティを壊すことがないため、キャビテーション反応場を有効に使うことができ、ナノスケールの金属粒子の合成効率を向上させることができる。
かかる構成によれば、超音波反応場に撹拌部材を置かず、容器の回転により発生させた慣性力で撹拌することで、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができる。また、第1の容器が円形断面であるので、断面形状に起因する乱流の発生がなく、キャビティを壊すことがない。また、振動波の反射及び屈折状態が変化しないためキャビテーションが安定する。このため、直径1μm以下の金属粒子を効率的に作製することができる。つまり、本実施の形態1に係る金属粒子の作製方法によれば、キャビティを壊すことがないため、キャビテーション反応場を有効に使うことができ、ナノスケールの金属粒子の合成効率を向上させることができる。
(実施の形態2)
<装置構造>
図6(a)は、実施の形態2に係る金属粒子作製装置の横断面を示す模式図であり、図6(b)は、縦断面を示す模式図である。なお、図面では、便宜上、回転軸の方向をx方向とし、鉛直上方をZ方向として示している。
実施の形態2に係る金属粒子作製装置は、断面が円形の第1の容器117と、前記第1の容器117を浸漬させる第2の溶媒118と、前記第1の容器117にマイクロサイズの第1の金属粒子を混合した懸濁液119を入れるための送入部120と、ナノサイズの金属粒子を含む懸濁液121を取り出すための排出部122と、前記第1の容器を円形断面の中心を軸に回転させる回転機構123と、前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子124と、を備えている。この構成にすることで、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができるため、直径1μm以下のナノサイズの金属粒子を効率的に作製することが可能となる。
<装置構造>
図6(a)は、実施の形態2に係る金属粒子作製装置の横断面を示す模式図であり、図6(b)は、縦断面を示す模式図である。なお、図面では、便宜上、回転軸の方向をx方向とし、鉛直上方をZ方向として示している。
実施の形態2に係る金属粒子作製装置は、断面が円形の第1の容器117と、前記第1の容器117を浸漬させる第2の溶媒118と、前記第1の容器117にマイクロサイズの第1の金属粒子を混合した懸濁液119を入れるための送入部120と、ナノサイズの金属粒子を含む懸濁液121を取り出すための排出部122と、前記第1の容器を円形断面の中心を軸に回転させる回転機構123と、前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子124と、を備えている。この構成にすることで、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができるため、直径1μm以下のナノサイズの金属粒子を効率的に作製することが可能となる。
第1の容器117には、送入部120と排出部122が接続されており、各々の流路を開放および閉鎖することのできるバルブ機構(図示せず)が備えられている。このバルブ機構の開閉によって懸濁液の出し入れができる構造になっている。送入部120と排出部122とは、例えば、図6(a)に示すように、第1の容器117の回転軸に沿って第1の容器117の互いに対向する両面にそれぞれ設けられていてもよい。
第2の容器125には第2の溶媒118が満たされており、第1の容器117は第2の溶媒118に浸漬されている。更に、第1の容器117の外側には図6(b)に図示するように超音波振動子が設置されており、第2の溶媒118と第1の容器117を介して懸濁液に超音波を照射することができる構造になっている。
<第1の容器117>
送入部120のバルブ機構を開放して、マイクロサイズの第1の金属粒子を混合した懸濁液119を第1の容器117内に送入する。第1の容器117内の液面が上限まで達すると、空気抜きノズル126から入った第1の金属粒子を混合した懸濁液119が逆流するので送入を停止して送入部120のバルブ機構を閉鎖する。つぎに、第1の容器117を回転機構123によって回転させ、超音波振動子124を作動させる。所定時間の超音波照射が完了したら排出部122のバルブ機構を開放して、マイクロサイズの第1の金属粒子と微細なナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液121を回収する。
第1の容器117は図6(a)に示すような円筒形ではない形状でも構わない。図8は、第1の容器127の中央部の直径が懸濁液の送入部および排出部の直径と異なる形状を示す図である。第1の容器127の中央部の直径を大きくすることで第1の金属粒子110が第1の容器127の中央部に集まるため超音波を効率的に照射することが可能となる。図8(a)の場合には、超音波振動子124を、例えば24台配置してもよい。
送入部120のバルブ機構を開放して、マイクロサイズの第1の金属粒子を混合した懸濁液119を第1の容器117内に送入する。第1の容器117内の液面が上限まで達すると、空気抜きノズル126から入った第1の金属粒子を混合した懸濁液119が逆流するので送入を停止して送入部120のバルブ機構を閉鎖する。つぎに、第1の容器117を回転機構123によって回転させ、超音波振動子124を作動させる。所定時間の超音波照射が完了したら排出部122のバルブ機構を開放して、マイクロサイズの第1の金属粒子と微細なナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液121を回収する。
第1の容器117は図6(a)に示すような円筒形ではない形状でも構わない。図8は、第1の容器127の中央部の直径が懸濁液の送入部および排出部の直径と異なる形状を示す図である。第1の容器127の中央部の直径を大きくすることで第1の金属粒子110が第1の容器127の中央部に集まるため超音波を効率的に照射することが可能となる。図8(a)の場合には、超音波振動子124を、例えば24台配置してもよい。
<粒子作製性能>
実施の形態2に係る金属粒子作製装置を用いて、第1の金属粒子110に粒子径30μmのCu−38質量%Snを原料として金属粒子の作製を行った。懸濁液の溶媒としてメタノール、第2の溶媒118として水道水を用いた。第1の容器117の外側には周波数26kHzで出力100Wの超音波振動子124を図6(b)に図示するように円形断面の周囲の円周上に沿って12台配置した。図6(b)では、12台の超音波振動子124を円形断面の円周上に等間隔に配置している。なお、超音波振動子124の配置は、円形断面の円周上に等間隔に配置する場合に限定されない。例えば、Z方向上方の頂部に超音波振動子124を密に配置してもよい。
ここで、超音波振動子124を合計1200Wで動作させると、輻射面から疎密波が発生して第1の容器117の内部でキャビテーションが発生する。このキャビテーションが圧壊する際に発生する衝撃圧が第1の金属粒子110の表面に作用して、金属粒子のナノサイズの個片112が発生する。発生した金属粒子のナノサイズの個片112は、第1の容器117内部でクラスタ化してナノサイズの金属粒子111が形成される。
実施の形態2に係る金属粒子作製装置を用いて、第1の金属粒子110に粒子径30μmのCu−38質量%Snを原料として金属粒子の作製を行った。懸濁液の溶媒としてメタノール、第2の溶媒118として水道水を用いた。第1の容器117の外側には周波数26kHzで出力100Wの超音波振動子124を図6(b)に図示するように円形断面の周囲の円周上に沿って12台配置した。図6(b)では、12台の超音波振動子124を円形断面の円周上に等間隔に配置している。なお、超音波振動子124の配置は、円形断面の円周上に等間隔に配置する場合に限定されない。例えば、Z方向上方の頂部に超音波振動子124を密に配置してもよい。
ここで、超音波振動子124を合計1200Wで動作させると、輻射面から疎密波が発生して第1の容器117の内部でキャビテーションが発生する。このキャビテーションが圧壊する際に発生する衝撃圧が第1の金属粒子110の表面に作用して、金属粒子のナノサイズの個片112が発生する。発生した金属粒子のナノサイズの個片112は、第1の容器117内部でクラスタ化してナノサイズの金属粒子111が形成される。
<金属粒子の収量と粒子径>
図7の表2は、実施の形態2に係る金属粒子作製装置を用いて超音波を1時間照射して作製した金属粒子の収量と粒子径を示す図である。表2において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量の差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
金属粒子の大きさに関しては、実施の形態1と同じく「メジアン粒子径」の概念を用いている。
図7の表2は、実施の形態2に係る金属粒子作製装置を用いて超音波を1時間照射して作製した金属粒子の収量と粒子径を示す図である。表2において、金属粒子の収量は、第1の容器に送入前の溶媒に混合した第1の金属粒子の質量と、第1の容器から排出した溶媒を30分間静置後に沈殿した金属粒子にならずに残っていた第1の金属粒子の質量の差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
金属粒子の大きさに関しては、実施の形態1と同じく「メジアン粒子径」の概念を用いている。
<実施例及び比較例>
表2の判定の欄において、収量の所定の目安を30g/hとし、それに対して丸印(○)は良い評価を意味し、二重丸印(◎)は十分良い評価を意味し、バツ印(×)、所定の収量を満たさない評価を意味する。収量に関して○または◎の評価であった実験例を「実施例」とし、評価が×であった実験例を「比較例」としている。
表2の判定の欄において、収量の所定の目安を30g/hとし、それに対して丸印(○)は良い評価を意味し、二重丸印(◎)は十分良い評価を意味し、バツ印(×)、所定の収量を満たさない評価を意味する。収量に関して○または◎の評価であった実験例を「実施例」とし、評価が×であった実験例を「比較例」としている。
[実施例18]
表2の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを粘度0.6Pa・sの溶媒と混合して懸濁液とし、第1の容器を28rpmで回転させながら、周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射して金属粒子を作製した。この時の金属粒子はメジアン粒子径281nm、収量62g/hであり、この数値は十分な収量であった。
表2の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを粘度0.6Pa・sの溶媒と混合して懸濁液とし、第1の容器を28rpmで回転させながら、周波数26kHzの超音波を1200Wで1時間照射して金属粒子を作製した。この時の金属粒子はメジアン粒子径281nm、収量62g/hであり、この数値は十分な収量であった。
[実施例19〜20および比較例5〜6]
表2の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例18と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表2から分かるように、第1の容器117の回転数が10〜120rpmであれば収量は40g/hを超えており、十分な収量が得られる。第1の容器117の回転数が10rpm未満、または120rpm超の場合は収量が30g/h未満に低下するため、収量は必ずしも十分とは言えない。
表2の第1の金属粒子として直径30μmのCu−38質量%Snを用いて、実施例18と同様に、金属粒子を作製して収量を測定した。
表2から分かるように、第1の容器117の回転数が10〜120rpmであれば収量は40g/hを超えており、十分な収量が得られる。第1の容器117の回転数が10rpm未満、または120rpm超の場合は収量が30g/h未満に低下するため、収量は必ずしも十分とは言えない。
かかる構成によれば、超音波反応場に撹拌部材を置かず、容器の回転により発生させた慣性力で撹拌することで、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができる。また、第1の容器が円形断面であるので、断面形状に起因する乱流の発生がなく、キャビティを壊すことがない。また、振動波の反射及び屈折状態が変化しないためキャビテーションが安定する。このため、直径1μm以下の金属粒子を効率的に作製することができる。つまり、本実施の形態2に係る金属粒子作製装置によれば、キャビティを壊すことがないため、キャビテーション反応場を有効に使うことができ、ナノスケールの金属粒子の合成効率を向上させることができる。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係る金属粒子の作製方法および作製装置は、超音波反応場に撹拌部材を置かず、容器の回転により発生させた慣性力で撹拌するため、超音波で発生したキャビティを撹拌羽根によって壊すことがなく有効に利用することができる。また、第1の容器が円形断面であるので、断面形状に起因する乱流の発生がなく、キャビティを壊すことがない。また、振動波の反射及び屈折状態が変化しないためキャビテーションが安定する。このため、直径1μm以下の金属粒子を効率的に作製することが可能である。そこで、Si、GaN、SiC等の材料で形成された半導体素子とリードフレームとを接合する接合材料に用いる粒子径1μm以下のナノスケールの金属粒子の作製方法および装置の用途に適用できる。
101 第1の容器の排出口の閉鎖工程
102 第1の容器の送入口の開放工程
103 懸濁液送入工程
104 第1の容器の送入口の閉鎖工程
105 第1の容器の回転工程
106 超音波照射工程
107 第1の容器の排出口の開放工程
108 懸濁液輩出工程
109 第1の容器の排出口の閉鎖工程
110 第1の金属粒子
111 金属粒子
112 金属粒子の個片
113 第1の溶媒
114 超音波
115 気泡
116 衝撃波
117 第1の容器
118 第2の溶媒
119 第1の金属粒子を混合した懸濁液
120 送入部
121 金属粒子を含む懸濁液
122 排出部
123 回転機構
124 超音波振動子
125 第2の容器
126 空気抜きノズル
127 異なる形状の第1の容器
102 第1の容器の送入口の開放工程
103 懸濁液送入工程
104 第1の容器の送入口の閉鎖工程
105 第1の容器の回転工程
106 超音波照射工程
107 第1の容器の排出口の開放工程
108 懸濁液輩出工程
109 第1の容器の排出口の閉鎖工程
110 第1の金属粒子
111 金属粒子
112 金属粒子の個片
113 第1の溶媒
114 超音波
115 気泡
116 衝撃波
117 第1の容器
118 第2の溶媒
119 第1の金属粒子を混合した懸濁液
120 送入部
121 金属粒子を含む懸濁液
122 排出部
123 回転機構
124 超音波振動子
125 第2の容器
126 空気抜きノズル
127 異なる形状の第1の容器
Claims (8)
- 断面が円形の第1の容器に第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れ、
第2の溶媒の中に前記第1の容器を浸漬し、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸として回転させ、
前記第1の容器の回転と同時に前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子から、20〜40kHzの超音波を照射して、ナノサイズの金属粒子を作製する、
金属粒子の作製方法。 - 前記第1の溶媒は粘度が0.6〜10mPa・sであり、
前記第2の溶媒は水である、請求項1に記載の金属粒子の作製方法。 - 前記第1の容器は10〜120rpmで回転させる、請求項1に記載の金属粒子の作製方法。
- 前記第1の金属粒子は、Sn、Ag、Cu、Bi、Sbの群から選ばれた、少なくとも1つの元素を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の金属粒子の作製方法。
- 断面が円形であって第1の溶媒とマイクロサイズの第1の金属粒子とからなる懸濁液を入れるための第1の容器と、
前記第1の容器を浸漬させる第2の溶媒と、
前記第1の容器をその円形断面の中心を軸に回転させる回転機構と、
前記第1の容器の外側に配置した超音波振動子と、
前記第1の容器に前記懸濁液を入れるための送入部と、
前記第1の金属粒子と、ナノサイズの金属粒子とを含む懸濁液を取り出すための排出部と、
を備えた、金属粒子の作製装置。 - 前記送入部と前記排出部とは、前記第1の容器の回転軸に沿って前記第1の容器の互いに対向する両面にそれぞれ設けられている、請求項5に記載の金属粒子の作製装置。
- 前記第1の容器の円形断面の直径が、前記送入部と、前記送入部と前記排出部との間の中央部とで異なる、請求項6に記載の金属粒子の作製装置。
- 複数の前記超音波振動子を、前記第1の容器の円形断面の円周上に沿って配置する、請求項5から7のいずれか一項に記載の金属粒子の作製装置。
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