JP2021116411A - 吸音ウレタンフォーム - Google Patents

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Abstract

【課題】吸音性能に優れた吸音ウレタンフォームを提供すること。【解決手段】実施形態によると、吸音ウレタンフォームが提供される。吸音ウレタンフォームは、直径が29mmであり、厚みが10mmの時の垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上である。【選択図】 図6

Description

本発明は、吸音ウレタンフォームに関する。
従来、自動車乗車時の外部からの衝撃に対して乗客の安全を守る為、自動車のドア内部、天井周り、ピラー内部に衝撃吸収材が装着されている。衝撃吸収材としては、例えば、硬質ポリウレタンフォーム、及び、熱可塑性樹脂ビーズの発泡体からなるものが知られている。
また、今日の自動車においては、エンジン音及びタイヤ走行音等の騒音を制御し、車内の静粛性を高めることが求められている。しかしながら、上記のような硬質ポリウレタンフォーム及び熱可塑性樹脂ビーズの発泡体は、一般的に独立気泡構造からなるため、吸音性能に劣るという問題があった。硬質ポリウレタンフォーム及び熱可塑性樹脂ビーズの発泡体に対して連続気泡構造を付与する技術は知られているが、肉厚が薄い場合に、広い周波数帯域において優れた吸音性能を付与するのは困難であった。
特開2013−047338号公報 特開2005−272806号公報 特許第4461453号
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、優れた吸音性能を有する吸音ウレタンフォームを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、吸音ウレタンフォームが提供される。吸音ウレタンフォームは、直径が29mmであり、厚みが10mmの時の垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上である。
本発明によると、優れた吸音性能を有する吸音ウレタンフォームを提供することができる。
吸音ウレタンフォームの一例を概略的に示す平面図。 図1に示す吸音ウレタンフォームのII−II線に沿った断面を概略的に示す断面図。 図1に示す吸音ウレタンフォームのIII−III線に沿った断面を概略的に示す断面図。 多孔質弾性体材料に音波が伝播する様子を概略的に示す図。 多孔質弾性体材料の骨格に入射した入射波が減衰する様子を概略的に示す図。 実施例に係る吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率の測定結果を示す吸音率グラフ。 実施例に係る吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率の測定結果を示す吸音率グラフ。 実施例に係る吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率の測定結果を示す吸音率グラフ。 実施例に係る吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率の測定結果を示す吸音率グラフ。 実施例に係る吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率の測定結果を示す吸音率グラフ。
一般的な自動車のフロアには、下肢部衝撃吸収材が備え付けられている。従来、下肢部衝撃吸収材の材料としては、衝撃吸収性能に優れる発泡ポリプロピレン及び発泡ポリエチレンが主流であるが、衝撃吸収性能のみならず吸音性能を兼ね備える硬質ウレタンフォームも使用されている。硬質ウレタンフォームは、例えば、発泡ポリプロピレンと比較して軽く、強度が高いという特徴がある。
自動車の乗員が車内で知覚する騒音は、低周波数帯域において音圧レベルが高い。それ故、自動車に備え付けられる衝撃吸収材には、所定の衝撃吸収性能(座屈性)のみならず、例えば低周波数帯域における優れた吸音性能が要求される。昨今では、広い車内空間を実現するため、及び、車両重量を低減するために、衝撃吸収材の厚みを小さくする要求が強まってきている。つまり、可能な限り薄い肉厚の衝撃吸収材により、優れた吸音性能及び実用的な衝撃吸収性能を実現することが求められている。
実施形態に係る吸音ウレタンフォームは、直径が29mmであり、厚みが10mmの時の垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上である。例えば、直径29mm且つ厚み10mmの塊状物に対して行う垂直入射吸音率測定の結果、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上であるものである。この塊状物は、実施形態に係る吸音ウレタンフォームの少なくとも一部でありうる。即ち、塊状物は、吸音ウレタンフォーム自体であるか、又は、厚み10mm及び直径29mmの円柱形状を切り出すことが可能な大きさを有する吸音ウレタンフォームから、上記の寸法を有する円柱形状に切り出したウレタンフォームである。なお、本願明細書においては、「垂直入射吸音率」を「吸音率」と省略することがある。
10mmという薄さで、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上である吸音ウレタンフォームは、優れた吸音性能を有していると言える。吸音ウレタンフォームは、意匠面を備えていることが好ましい。意匠面とは、例えば、ウレタンフォームをモールド成形により得た場合に、成形時に金型の上型に触れていた面のことを指す。意匠面は、スキン又はスキン面とも呼ぶ。吸音ウレタンフォームが意匠面を備えているか否かは、吸音ウレタンフォームの表面及び/又は断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)により観察することで判断することができる。
<垂直入射吸音率の測定方法>
まず、吸音率の測定対象として、直径が29mm(29φ)であり、厚みが10mmの円柱形状を有するウレタンフォーム塊状物を用意する。塊状物は、その厚みが10mmとなるような金型を用いたモールド成形により作製する。塊状物は、29φの打ち抜き型を備える打ち抜き機を用いて用意することができる。吸音率の測定結果の平均値を算出するために、この塊状物を5個用意する。
吸音率の計測装置としては、リオン株式会社製のアコースティックダクト・伝達関数法 垂直入射音響計測システム9301型、或いは、この装置と等価な機能を有する装置を使用する。垂直入射音響計測システムは、音響管(アコースティックダクト)の内部で吸音材又は遮音材に音を垂直に入射して、反射音又は透過音を捉えて、材料の吸音率、音響インピーダンス関連項目、及び、透過損失を計測することができる。垂直入射音響計測システムを起動し、マイクロホンの校正を行い、吸音率測定の準備を完了する。
塊状物の厚み方向と平行な方向に沿って音が入射するように、塊状物をダクト内部の所定位置にセットして、吸音率を測定する。吸音率測定は、JIS A 1405:1994に準拠して行う。塊状物が意匠面を有している場合には、この意匠面に対して音が入射するように塊状物をセットする。
そして、周波数が500Hz、630Hz、800Hz、1000Hz、1250Hz、1600Hz、2000Hz、2500Hz、3150Hz、4000Hz、5000Hz及び6300Hzの場合の垂直入射吸音率をそれぞれ測定する。この測定を、5個の塊状物のそれぞれに対して行い、上記の各周波数における垂直入射吸音率の平均値を算出することにより、各周波数における垂直入射吸音率を決定することができる。この測定結果に基づいて、横軸に周波数(Hz)、縦軸に吸音率(%)を示す折れ線グラフを作成することができる。本願明細書においては、当該折れ線グラフを「吸音率グラフ」と呼ぶ。後述する図6〜図9に係る吸音率グラフは、対数グラフである。
測定対象の塊状物に関して、1000Hz、1250Hz、1600Hz、2000Hz、2500Hz及び3150Hzの全ての周波数における吸音率が40%以上である場合に、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上であると見なすことができる。
吸音ウレタンフォームは、垂直入射吸音率測定の結果、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が45%以上であることがより好ましく、垂直入射吸音率が50%以上であることが更に好ましい。吸音ウレタンフォームが自動車等の下肢部衝撃吸収材として用いられた場合には、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域における吸音率が高いほど、自動車等の乗員は、低周波数帯域の騒音を知覚しにくい。それ故、乗員は、乗車中に快適に過ごすことができる。低周波数帯域とは、例えば、周波数が1000Hz〜3150Hzの範囲の帯域を指す。
低周波数帯域の騒音を効果的に吸音するという観点では、吸音ウレタンフォームは、垂直入射吸音率測定の結果として得られる吸音率グラフにおいて、1000Hz〜2000Hzの周波数において吸音率のピークを有していることが好ましい。この場合、例えば500Hz〜2000Hzの吸音率が優れている。例えば、図6に示す吸音率グラフに示しているように、実施例としての例8では周波数1600Hzにおいて最も優れた吸音率を示している。言い換えると、例8は、周波数1600Hzにおいて吸音率のピークを有している。それ故、例8に係る吸音ウレタンフォームは、500Hz〜2000Hzの周波数帯域の騒音を効果的に吸音することができる。
吸音ウレタンフォームの形状及び寸法は特に限定されない。吸音ウレタンフォームは、例えば、厚みが15mm以下である部位を有する。垂直入射吸音率測定は、例えば、厚みが15mm以下である部位から摘出された塊状物に対して行う。吸音ウレタンフォームは、厚みが15mm以下の部位においても、直径が29mmであり、厚みが10mmの時の垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上であることが好ましい。塊状物は、例えば、直径が29mmであり、厚みが10mmの円柱形状を有している。
吸音ウレタンフォームは、一例においては10mm以上の厚みを有する部位を有しているが、10mm以上の厚みを有する部位を有していなくてもよい。このような場合、吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率を測定するための塊状物を準備する際には、当該吸音ウレタンフォームと同様の配合により10mm以上の厚みを有するウレタンフォームを製造して、製造したウレタンフォームから直径29mm且つ厚み10mmの塊状物を用意し、この塊状物に対して垂直入射吸音率測定を行えばよい。
図4に、ウレタンフォームなどの多孔質弾性体材料の音の伝播モデル図を示す。実施形態に係る吸音ウレタンフォームは、例えば、図4に示す多孔質弾性体構造を有している。多孔質弾性体100は、三次元的な格子構造を有する骨格101からなる。骨格101は、ウレア結合及びウレタン結合を含むイソシアヌレート構造を含む。イソシアヌレート構造は、イソシアネートの三量化反応で形成される環状構造である。多孔質弾性体100は、骨格101が構成している格子間の空隙102を含む。空隙102は開口部でありうる。骨格101により形成される複数の格子の大きさは、互いに一定ではない。
多孔質弾性体100には、音波SWが入射する。音波SWにより伝わる振動は、空隙102を通過する空気伝播波103と、骨格101を伝播する固体伝播波104とを生じさせる。空気伝播波103と固体伝播波104とは、これらが伝播する間に相互作用を生じて、それぞれの伝播波は減衰(吸音)される。また、骨格101に固体伝播波104として入射した入射波の一部は、図5に示すように熱エネルギーに変換されることにより減衰する。図5に示すように、骨格101に入射した入射波Iの一部は、骨格101に衝突して反射波Rとして反射する。骨格101に入射した入射波Iの他の一部は、骨格101内を伝播した後に、透過波Tとして骨格101内から骨格101外へ射出される。そして、骨格101に入射した波は、骨格101内を伝播する間に熱エネルギーrに変換され得る。
吸音ウレタンフォームの吸音率は、吸音ウレタンフォーム内における骨格がどのように構成されているかに応じて変化する。吸音率という観点では、骨格101に占める環状構造の割合は、少なすぎても好ましくなく、多すぎても好ましくない。吸音ウレタンフォームの吸音性能を高めるためには、独立気泡構造だけではなく、連続気泡構造と混在することが有効である。吸音ウレタンフォームを発泡により製造する際に、ポリオールの当量を増加させると膜ができ難い傾向がある。即ち、連続気泡構造がより多く形成される傾向にある。そうすると、格子構造として存在する部分が相対的に減るため、音波が空隙102を伝播しにくくなると共に、熱エネルギーへ変換されにくくなるため吸音性能が低下する可能性がある。
吸音ウレタンフォームの通気性に着目すると、例えば、フォームの通気性を低下させることにより、音波の熱エネルギーへの変換が促進されることから、吸音性能が高まる傾向にある。しかしながら、過度に通気性を低下させると、反射波として射出される音波が増大して、吸音性能は劣る傾向にある。
厚みが10mmの吸音ウレタンフォームの通気性は、例えば、0.5cc/cm2/sec以上40以下cc/cm2/secであることが好ましい。通気性をこの範囲内とすることで、低周波数帯域で良好な吸音率を得ることができる。厚みが10mmの吸音ウレタンフォームの通気性は、10cc/cm2/sec以上30以下cc/cm2/secであることがより好ましい。通気性は、JIS K6400 7 B法:2012に準じて測定することができる。
実施形態に係る吸音ウレタンフォームを得るための原料及び配合について説明する。吸音ウレタンフォームは、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒及び添加剤を含む反応系で発泡させて得られる。気泡の構造を制御しやすくする観点から、製造方法としてはモールド成形が好ましい。
ポリウレタンフォームをモールド成形により製造する場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合及び攪拌した液体を金型に流し込む。これら成分が硬化(キュア)する際には、泡化反応及び樹脂化反応が同時に進行する。それ故、肉厚が薄い部位、例えば厚みが10mm以下の部位を有するウレタンフォームを成形する場合には、当該部位に対応した金型の一部においても適切にモールド成形が進行することが望ましい。言い換えると、得られるウレタンフォームにおいて、肉厚が薄い部位が、スキン剥がれ、欠肉、エアポケット及び割れ等の欠陥を有していないことが望ましい。欠陥が少なく、且つ、所望の形状で製造することが可能な吸音ウレタンフォームは、成形性に優れている。成形性は種々の要因の影響を受けて変化するが、実施形態に係る吸音ウレタンフォームは、肉厚が薄い部位の成形性にも優れていることが望ましい。
垂直入射吸音率測定の結果、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上である吸音ウレタンフォームを得るために、原料としてのポリオール成分(ポリオール)は、下記ポリオールBを含むことが好ましい。ポリオールBは、重量平均分子量が4000〜12000の範囲内にあり、エチレンオキシド含有量が5重量%以上50重量%未満である。ポリオールBは、例えば、末端に水酸基を有するポリプロピレングリコールである。重量平均分子量が4000以上であるポリオールBを用いると、反応時の架橋点を少なくすることができるため、通気性の低いウレタンフォームを得ることができる。通気性の低いウレタンフォームは、上述したように吸音性能に優れている。
なお、複雑な形状とは、例えば、厚みが15mm以下である部位を含む形状を含む。上述した垂直入射吸音率測定を実施する際に、測定対象とする塊状物を、厚み15mm以下である部位を含むように摘出するのが望ましい。なぜなら、そのような肉厚の薄い部位に関する吸音性能が優れているウレタンフォームは、全体としても優れた吸音性能を備えた吸音ウレタンフォームと推定することができるためである。
ポリオールBの重量平均分子量が12000を超えると、ポリオールBの粘度が過度に高いため、吸音ウレタンフォームの成形ができない可能性がある。或いは、分子鎖が長いため、成形後の架橋密度が小さくなると共にフォームが柔らかくなりすぎる傾向があるため、適切にフォームを得ることができない可能性がある。なお、本願出願時点では、重量平均分子量が12000超のポリオールは市販されておらず、入手が困難である。
ポリオールBの重量平均分子量は5000〜8000の範囲内にあることが好ましく、6500〜7500の範囲内にあることがより好ましい。
ポリオールBのエチレンオキシド含有量は50重量%未満であるため、後述するポリオールAと比較すると発泡過程において発生する泡の保持力が高い。また、エチレンオキシド含有量が50重量%未満である場合、得られる吸音ウレタンフォーム内で膜ができやすい傾向にあるため、通気性が低くなり、低周波数帯域の吸音率に優れる傾向にある。これは、通気性が低い吸音ウレタンフォームに低周波音域の入射波が入力されることにより、吸音ウレタンフォーム内部で、入射波が熱エネルギーへ変換及び吸収されるためと考えられる。ポリオールBを使用することにより、吸音性能に優れるだけでなく成形性に優れた吸音ウレタンフォームが得られやすくなる。ポリオールBのエチレンオキシド含有量は5重量%〜40重量%の範囲内にあることが好ましく、5重量%〜30重量%の範囲内にあることがより好ましい。
ポリオールBは、末端エチレンオキシドキャップ構造を有していることが好ましい。
ポリオールBの水酸基価は14mgKOH/g以上56mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリオール成分(ポリオール)は、下記ポリオールAを更に含むことが好ましい。ポリオールAは、重量平均分子量が2000〜12000の範囲内にあり、エチレンオキシド含有量が50重量%以上である。ポリオールAは、例えば、ポリエーテルポリオールである。ポリオールAは、ポリオールBと比較してより高い極性を有している。それ故、ポリオールAをポリオールBと併せて使用することにより、ポリオールBのみを使用する場合と比較して、より連通化した気泡構造を有するポリウレタンフォームを得ることができる。即ち、適度に連通化した気泡構造を有するポリウレタンフォームが得られ、このようなポリウレタンフォームは吸音性能に優れている。また、ポリオールAも重量平均分子量が比較的高いことから、成形性に優れた吸音ウレタンフォームを得るのに寄与する。
ポリオールAの重量平均分子量は、6500〜10000の範囲内にあることが好ましく、7000〜9000の範囲内にあることがより好ましい。
ポリオールAの水酸基価は18mgKOH/g以上52mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリオール成分は、ポリオールA及びポリオールBとは異なる他のポリオールを含んでいてもよい。他のポリオールとしては、例えば、重量平均分子量が1000以上4000未満であり、エチレンオキシド含有量が5%未満であり、水酸基価が40mgKOH/g以上のポリエーテルポリオールが挙げられる。他のポリオールとして、重量平均分子量が4000未満のポリエーテルポリオールを配合することにより、衝撃吸収性能(座屈性)を付与しやすくする効果がある。
一例によると、ポリオール成分(ポリオール)に占める、ポリオールA、ポリオールB及び他のポリオールの配合割合は、それぞれ35重量%〜80重量%、5重量%〜40重量%及び5重量%〜30重量%とすることができる。但し、これらの合計が100重量%となるように配合する。当該配合割合は、得られる吸音ウレタンフォームの垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上である限り、適宜調整することが可能である。
ポリオール成分(ポリオール)の重量に占めるポリオールBの重量の割合は、5重量%〜40重量%の範囲内にありうる。ポリオール成分の重量に占めるポリオールBの重量の割合が過度に少ないと、吸音ウレタンフォームの通気性が高い状態となり、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲における吸音率が低下する可能性がある。一方、ポリオール成分の重量に占めるポリオールBの重量の割合が過度に多いと、通気性が低くなり、1000Hz〜3150Hzの範囲の吸音率が低下する可能性がある。ポリオール成分(ポリオール)の重量に占めるポリオールBの重量の割合は、好ましくは5重量%〜30重量%の範囲内にある。
ポリオール成分の重量に占めるポリオールBの重量の割合は、5重量%〜20重量%の範囲内であってもよく、5重量%〜15重量%の範囲内であってもよく、10重量%〜20重量%の範囲内であってもよい。
ポリオール成分の重量に占めるポリオールAの重量の割合は、好ましくは50重量%〜75重量%の範囲内にある。ポリオール成分の重量に占めるポリオールAの重量の割合は、50重量%〜80重量%の範囲内にあってもよく、55重量%〜75重量%の範囲内にあってもよく、60重量%〜75重量%の範囲内にあってもよく、65重量%〜75重量%の範囲内にあってもよい。
ポリオール成分の重量に占める他のポリオールの重量の割合は、10重量%〜30重量%の範囲内にあってもよく、15重量%〜25重量%の範囲内にあってもよい。
ポリオール成分に占める、ポリオールA、ポリオールB及び他のポリオールの配合割合は、上述した複数の数値範囲の中から適宜組み合わせて決定することができる。例えば、ポリオールAの重量の割合を55重量%〜75重量%の範囲内とし、ポリオールBの重量の割合を5重量%〜15重量%の範囲内とし、且つ、他のポリオールの重量の割合を15重量%〜25重量%の範囲内とすることができる。
ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI:Methylene diphenyl diisocyanate)を使用することが好ましい。ジフェニルメタンジイソシアネートは、モノメリックMDIであってもよく、ポリメリックMDIであってもよく、それらの混合物であってもよい。ポリイソシアネートは、MDIを1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。MDIは、トルエンジイソシアネート(TDI:Toluene diisocyanate)と比較して良好なキュア性を持っているため、成形面で優れている。
吸音ウレタンフォーム製造時のイソシアネートインデックスは、例えば100〜250の範囲内にあり、好ましくは130〜180の範囲内にある。しかしながら、得られる吸音ウレタンフォームに関して、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において垂直入射吸音率が40%以上である限り、ウレタンフォームを製造する際のイソシアネートインデックスに制限はない。イソシアネートインデックスが過度に低いと、ウレタンフォームの成形(成型)自体が難しく、金型から取り出せなくなる可能性がある。イソシアネートインデックスが過度に高いと、表面(スキン)のみが存在し、内部においては空隙又は空洞が過剰に多い状態となる。言い換えると、フォームが粗い網目構造を有するため、これをモールド成形により製造した場合には脱型時に破れやすい。
触媒として、樹脂化触媒、イソシアヌレート化触媒(三量化触媒)、表面改質触媒、及び、泡化触媒等を使用することができる。それぞれの触媒として、その用途で使用されている公知の触媒を使用することができる。
樹脂化触媒は、例えば、ポリオール成分の重量に対して1重量部〜3重量部の量で使用する。イソシアヌレート化触媒は、例えば、ポリオール成分の重量に対して2重量部〜5重量部の量で使用する。表面改質触媒は、例えば、ポリオール成分の重量に対して0.5重量部〜5重量部の量で使用することができ、1重量部〜3重量部の量で使用するのが好ましい。泡化触媒は、例えば、ポリオール成分の重量に対して0.1重量部〜1重量部の量で使用する。
表面改質触媒としては、ジエタノールアミン(DEA)を使用することが好ましい。DEAは両端にOH基を有している。これらOH基が、イソシアネートが有するNCO基と架橋することで、得られるポリウレタンフォームの骨格の強度が高まるため、成形性が向上或いは安定し、スキン剥がれを抑制することもできる。その結果、複雑な形状の金型成形が可能である。例えば、肉厚が薄い部位を有する形状であっても、脱型時の割れを抑制することができる。つまり、DEAを含むウレタンフォームは複雑な形状を有するモールド成形においても優れた成形性を達成することができる。
他の添加剤として、例えば、整泡剤及び/又は可塑剤を添加することができる。整泡剤及び可塑剤は、ポリウレタンフォームの成形性を向上させることができる。他の添加剤は、例えば、ポリオール成分の重量に対して5重量部〜30重量部の量で使用する。
発泡剤としては、一般的なポリウレタンフォームの製造に用いる公知のものであれば使用することができる。発泡剤は例えば水である。整泡剤を始めとするその他の添加剤については、一般的なウレタンフォームの製造に用いるものであれば使用することができる。
吸音ウレタンフォームの密度は、例えば、70kg/m3〜120kg/m3の範囲内にあり、好ましくは80kg/m3〜100kg/m3の範囲内にある。密度がこの範囲内にあると、厚みが15mm以下の部位を有するウレタンフォームであっても実用的な衝撃吸収性能を発揮し得る。
吸音ウレタンフォームの圧縮強度は、例えば、0.05MPa〜0.5MPaの範囲内にある。
実施形態に係る吸音ウレタンフォームの一例を、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、吸音ウレタンフォームの一例を概略的に示す平面図である。図1では、吸音ウレタンフォームが下肢部衝撃吸収材(フットパネル)である場合を一例として描いている。図2は、図1に示す吸音ウレタンフォームのII−II線に沿った断面を概略的に示す断面図である。図3は、図1に示す吸音ウレタンフォームのIII−III線に沿った断面を概略的に示す断面図である。
下肢部衝撃吸収材10は、第1部分1と、第2部分2と、肉厚部3とを備えている。第1部分1、第2部分2及び肉厚部3は、1つの金型を用いたモールド成形により一体成形されて下肢部衝撃吸収材10を構成している。下肢部衝撃吸収材10は、例えば、自動車のフロア部に搭載されうる。自動車のフロア部に搭載された下肢部衝撃吸収材10上には、例えばフロアマットが敷かれ、乗員の両足は、フロアマットを介して下肢部衝撃吸収材上に置かれる。
第1部分1及び第2部分2は、肉厚部3と比較して肉厚が薄い。第2部分2は、略直方体形状であり、境界部4で規定される端面を有している。第2部分2が有する端面から第1部分1及び肉厚部3が伸びている。下肢部衝撃吸収材10は、第2部分2と、第1部分1及び肉厚部3との境界部4が谷となるように湾曲している。境界部4は、下肢部衝撃吸収材10の一方の面においては谷を形成しているが、他方の面においては山を形成している。
下肢部衝撃吸収材10は、第2部分2と、第1部分1及び肉厚部3とが谷を形成している表面5を有する。下肢部衝撃吸収材10は、第2部分2と、第1部分1及び肉厚部3とが山を形成している裏面6を有する。肉厚部3は、表面5において凸形状を有している。即ち、肉厚部3は、表面5において、第1部分1の表面を基準として、第1部分1の表面よりもせり出した構造を有している。
下肢部衝撃吸収材10が、自動車のフロア部に搭載された場合、例えば、乗員の右足は第1部分1及び第2部分2の表面5上に置かれ、乗員の左足は第2部分2及び肉厚部3の表面5上に置かれる。
第1部分1及び第2部分2の肉厚は、例えば、30mm以下である。第1部分1及び第2部分2は、それぞれ、厚みが15mm以下の部位を備えることができる。当該部位の厚みは10mm以下であってもよい。肉厚部3の厚みは、例えば70mm〜110mmである。
図1〜図3においては、吸音ウレタンフォームが下肢部衝撃吸収材である場合を一例として説明したが、吸音ウレタンフォームの用途は特に限定されず、吸音性能及び衝撃吸収性能が要求される用途に好適に使用される。吸音ウレタンフォームは、例えば、ドア内装緩衝材、頭部保護材、フロア嵩上げ材、ツールボックス、ラゲージボックス、天井材、シート芯材、サンバイザー芯材、ピラー芯材等の用途で使用することができる。発泡体を切削することで、所望の形状の吸音ウレタンフォームを得ることも可能である。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
下記表1に示す配合処方に従って、例1〜例17並びに例6A及び例7Aに係る吸音ウレタンフォームをモールド成形にて製造した。表1記載の原料は以下のとおりである。表1中、各原料の配合割合は、重量部にて示されている。但し、「インデックス」は、ポリオール中の活性水酸基当量(濃度)、他の活性水酸基当量(濃度)を含む材料、及び、水の水酸基当量(濃度)の総和に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基当量(濃度)を示している。
また、下記表2に示す配合処方に従って、例18〜例23に係る吸音ウレタンフォームをモールド成形にて製造した。表2記載の原料は以下のとおりである。表2中、各原料の配合割合は、重量部にて示されている。
(1)ポリオール1;東邦化学工業株式会社製の商品名:QB8000(重量平均分子量8000、ポリオキシエチレン含有量80%)
(2)ポリオール2;三井化学SKCポリウレタン株式会社製の商品名:EP-901P(重量平均分子量7000、ポリオキシエチレン含有量15%)
(3)ポリオール3;ダウ・ケミカル製の商品名:NC630(重量平均分子量7400、ポリオキシエチレン含有量14%〜16%)
(4)ポリオール4;三洋化成工業株式会社製の商品名:KC745(重量平均分子量5000、ポリオキシエチレン含有量20%〜25%)
(5)ポリオール5;三井化学SKCポリウレタン株式会社製の商品名:EP330N(重量平均分子量5000、ポリオキシエチレン含有量10%〜12%)
(6)ポリオール6;三井化学SKCポリウレタン株式会社製の商品名:T-5000D(重量平均分子量5000、ポリオキシエチレン含有量0%)
(7)ポリオール7;ダウ・ケミカル製の商品名:CP1421(重量平均分子量5000、ポリオキシエチレン含有量75%)
(8)ポリオール8;ダウ・ケミカル製の商品名:V4053(重量平均分子量12500、ポリオキシエチレン含有量69%)
(9)ポリオール9;三井化学SKCポリウレタン株式会社の商品名:T-3000S(重量平均分子量3000、ポリオキシエチレン含有量0%)
(10)添加剤A:日本乳化剤株式会社製の商品名:EM ALEX DEG-di-O(ジオレイン酸ジエチルグリコール)
(11)添加剤B:東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名:SF2962
(12)添加剤C:東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名:VORASURF 1280 additive
(13)酸化防止剤:BASFジャパン株式会社製の商品名:Irganox1135
(14)触媒A:N−(ジメチルプロピル)ジイソプロピルアミン(DPA:N-N,N'diisopropanolamine)(樹脂化触媒)
(15)触媒B:エアプロダクツジャパン株式会社製の商品名:TMR7(三量化触媒)
(16)触媒C:ジエタノールアミン(DEA:Diethanolamine)(表面改質触媒)
(17)触媒D:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク社製の商品名:Niax catalyst A-1(泡化触媒)
(18)発泡剤:水
(19)ポリイソシアネート:住化コベストロウレタン株式会社製の商品名:スミジュール 44 V 20 L。
Figure 2021116411
Figure 2021116411
(例1)
表1に示す配合処方に従って(ハンド発泡により)、ポリイソシアネート以外の原料、即ち、ポリオール成分、添加剤、酸化防止剤、触媒及び発泡剤を配合してポリオール含有混合物をディスポカップ内で調製した。例1に係るポリオール成分は、ポリオール1、ポリオール2及びポリオール9を含む。得られたポリオール含有混合物をA液とする。A液を37℃±2℃となるように温度調節した。また、B液としてポリイソシアネートを準備し、B液を37℃±2℃となるように温度調節した。
内寸が、幅350mm、奥行き350mm及び高さ10mmのサンプル作製用金型を用意し、当該金型を65℃〜70℃の温度範囲となるように加熱して温度を維持しておく。なお、温度の測定は表面温度計で行った。金型は、上面のみが開口した有底各筒形状の下型と、この上面を閉塞させることが可能な上型とからなる。
次いで、ディスポカップ内に準備したA液に対してB液を添加し、5秒間に亘って撹拌及び混合して混合溶液を得た。ここで、ポリオール成分の合計重量部を100とした場合に、当該ポリオール成分を含むA液の重量部は160.4重量部であり、B液の重量部は235.5重量部であった。得られた混合溶液を、直ちに金型の下型に投入して、上型を用いて下型の上面を閉塞して6分間に亘りキュアした。この間、金型の表面温度は65℃〜70℃となるように温度を維持しておく。その後、金型から脱型して、常温にて2日間に亘り静置して、350mm×350mm×10mmの寸法を有する吸音ウレタンフォームを得た。
(例2)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を376.8重量部に変更したことにより、インデックスを160に変更したことを除いて、例1と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例3)
触媒C(DEA)の配合量を1.24重量部としたことを除いて、例1と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例4)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を288.3重量部に変更したことにより、インデックスを120に変更したことを除いて、例3と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例5)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を336.4重量部に変更したことにより、インデックスを140に変更したことを除いて、例3と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例6)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を384.4重量部に変更したことにより、インデックスを160に変更したことを除いて、例3と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例7)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を600.7重量部に変更したことにより、インデックスを250に変更したことを除いて、例3と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例8)
ポリオール2の代わりに、ポリオール3を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例9)
ポリオール2の代わりに、ポリオール4を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例10)
ポリオール2の代わりに、ポリオール5を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例11)
ポリオール2の代わりに、ポリオール6を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例12)
ポリオール2の代わりに、ポリオール7を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例13)
ポリオール2の代わりに、ポリオール8を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例14)
触媒C(DEA)の配合量を2.48重量部としたことを除いて、例1と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例15)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を392.0重量部に変更したことにより、インデックスを160に変更したことを除いて、例14と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例16)
各原料の配合比を表1中の例16の列に示した通りに変更したことを除いて、例1と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例17)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を605.1重量部に変更したことにより、インデックスを250に変更したことを除いて、例16と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例6A)
内寸が、幅350mm、奥行き350mm及び高さ30mmのサンプル作製用金型を使用したことを除いて、例6と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例7A)
配合処方に占めるポリイソシアネートの配合量を576.6重量部に変更したことにより、インデックスを240に変更したことを除いて、例6Aと同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
(例18〜例23)
各原料の配合比を表2に示す通りに変更したことを除いて、例1と同様の方法で吸音ウレタンフォームを得た。
<成形性評価>
例1〜例23並びに例6A及び例7Aにおいて得られた各吸音ウレタンフォームについて、官能評価にて成形性(キュア性)を評価した。脱型時のウレタンフォームの状態が良好なものを「○」とし、手で脱型した際に指の後が残る(キュア不足)、又は、意匠面が剥がれてしまうものを「△」とし、ウレタンフォームが崩壊している、又は、重度のキュア不足状態である場合を「×」と評価した。例1〜23のうち、キュア性が「○」である例6、8−10、12、13、15及び18〜23は、厚み10mmの塊状物の両面において意匠面を有していた。評価「×」の内訳としては、例えば、脱型を試みると糸をひく、フォームがぼろぼろで脆い、又は、フォーム内部のセルが崩壊及び陥没している等が挙げられる。なお、脱型時に意匠面が剥がれると吸音性能及び通気性が変化するため、連続操業を行って複数のウレタンフォームを製造した場合に安定した吸音性能を有するウレタンフォームを得るのが困難になる傾向にある。それ故、脱型時に意匠面が剥がれないようにキュアされていることが好ましい。
<吸音性能評価>
実施形態において記載した垂直入射吸音率の測定方法に従って、各例に係る吸音ウレタンフォームの吸音性能を評価した。周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上であるものを「○」とし、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲において垂直入射吸音率が40%未満である帯域を有するものを「×」と評価した。但し、上記成形性評価において評価が「×」のものに関しては、適切に吸音性能を評価することができないため、評価を行わなかった。表1中、「吸音性能」の行において、評価を行わなかった例は斜線で示している。
表1及び表2に示しているように、例5−13、15−16、18〜23、6A及び7Aに係る吸音ウレタンフォームは、実用的な成形性を有していた。つまり、これら例は、成形性の評価が「〇」又は「△」であった。それ故、吸音性能評価を行うことが可能であった。
また、表1に示している通り、例6A及び例7Aに関しては、評価対象のウレタンフォームの厚みが30mmである。
吸音率の測定が可能であった例5−13、15−16、18〜23、6A及び7Aに関して、図6−10に吸音率グラフを示す。図6には、例6、8−10の結果を示している。図7には、例6、11−13及び16の結果を示している。図8には、例5−7及び15の結果を示している。図9には、例6A及び例7Aの結果を示している。図10には、例18−23の結果を示している。それぞれの吸音率グラフでは、横軸に周波数(Hz)、縦軸に吸音率(%)を示している。
<密度測定>
各例に係る吸音ウレタンフォームについて、密度を測定したところ、いずれも90kg/m3であった。
密度は、JIS K 7222:2005に規定される測定方法に準拠して評価した。
図6には、インデックスが160で共通している例6、8−10に係る吸音ウレタンフォームの吸音率測定結果を示している。これら例は、上述したポリオールBに相当するポリオールをそれぞれ変更した例である。例6、8−10に係る吸音ウレタンフォームは、ポリオール成分として、それぞれポリオール2(EP−901P)、ポリオール3(NC630)、ポリオール4(KC745)及びポリオール5(EP330N)を含んでいた。これらポリオールは、いずれも、重量平均分子量が4000〜12000の範囲内にあり、エチレンオキシド含有量が5重量%以上50重量%未満の範囲内にあったため、得られた吸音ウレタンフォームは、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において垂直入射吸音率が40%以上であった。
図7にも、インデックスが160で共通している例6、11−13及び16に係る吸音ウレタンフォームの吸音率測定結果を示している。例11−13に係る吸音ウレタンフォームは、例6及び8−10とは異なり、ポリオールBに相当するポリオール成分を含んでいなかった。その代わりに、エチレンオキシド含有量が50重量%以上であるポリオール成分を含んでいた。そのため、得られる吸音ウレタンフォームの通気性が高くなり、ウレタン内部での入射波の熱エネルギーへの変換が少なくなると共に、入射波が吸収され難いため、例11−13についての1000Hz〜3150Hzの範囲内における吸音率は、例6と比較して劣っていたと考えられる。また、例16に係る吸音ウレタンフォームは、ポリオール成分として、重量平均分子量が4000以上でありエチレンオキシド含有量が80%であるポリオール1(QB8000)及びポリオール9のみを含んでいたため、連続気泡が多く、低周波数帯域の吸音性能に優れなかった可能性がある。
図8には、例5−7及び15に係る吸音ウレタンフォームの吸音率測定結果を示している。例5−7及び15は、触媒C(DEA)の含有量及びインデックスの条件を除いて、互いに同一の処方で吸音ウレタンフォームを製造した例である。これら例は、いずれも周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上であった。インデックスが250である例7は、例5、6及び15と比較して1000Hzにおける吸音率が劣っていた。一方で、例7は、3150Hzにおける吸音率がこれら例の中で最も優れていた。このことから、インデックスを高めることにより、効率良く吸音可能な周波数帯域が、低周波数帯域から2000Hz〜6000Hz程度の高周波数帯域に変化する傾向があることがわかる。
例6Aの処方は、例6と同一である。また、例7Aの処方は、インデックスが240であることを除いて例7とほぼ同一である。図9から明らかなように、吸音率測定の際の塊状物の厚みを30mmとすると、2000Hz未満での吸音率が著しく向上する。裏を返すと、塊状物の厚みを10mmとした場合に低周波数帯域の吸音率が顕著に低下するという問題があることが読み取れる。実施形態に係る吸音ウレタンフォームは、塊状物の厚みが10mmである場合でも、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率が40%以上であるため、優れた吸音性能を備えている。
表1に示す例1〜15、並びに、例6A及び7Aでは、ポリオール成分に占める、ポリオールAに対応するポリオール1の含有割合は57.85重量%であった。これに対して、表2に示す例18〜23においては、ポリオール成分に占める、ポリオールAに対応するポリオール1の含有割合は70重量%〜75重量%である。このように、ポリオール成分に占めるポリオールAの含有割合を高めた場合であっても、得られる吸音ウレタンフォームの成形性は優れており、且つ、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率は40%以上であった。例えば、ポリオール成分の重量に占めるポリオールAの重量の割合が35重量%〜80重量%の範囲内にある場合に、吸音性能に優れた吸音ウレタンフォームを得ることができる。
表1に示す例1〜15、並びに、例6A及び7Aでは、ポリオール成分に占める、ポリオールBに対応するポリオール2〜8の含有割合は24.79重量%であった。これに対して、表2に示す例18〜23においては、ポリオール成分に占める、ポリオールBに対応するポリオール2の含有割合は5重量%〜10重量%である。このように、ポリオール成分に占めるポリオールBの含有割合を低めた場合であっても、得られる吸音ウレタンフォームの成形性は優れており、且つ、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において、垂直入射吸音率は40%以上であった。例えば、ポリオール成分の重量に占めるポリオールBの重量の割合が5重量%〜40重量%の範囲内にある場合に、吸音性能に優れた吸音ウレタンフォームを得ることができる。
図10に、例18〜23に係る吸音ウレタンフォームの吸音率測定結果を示す。図10に示すグラフに示しているように、例18〜23に係る吸音ウレタンフォームは、いずれも、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において垂直入射吸音率が40%以上であった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…第1部分、2…第2部分、3…肉厚部、4…境界部、5…表面、6…裏面、10…下肢部衝撃吸収材、100…多孔質弾性体、101…骨格、102…空隙、103…空気伝播波、104…固体伝播波、SW…音波、I…入射波、R…反射波、T…透過波、r…熱エネルギー。

Claims (6)

  1. 直径が29mmであり、厚みが10mmの時の垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上である吸音ウレタンフォーム。
  2. 厚みが15mm以下である部位を有し、
    前記部位において、直径が29mmであり、厚みが10mmの時の垂直入射吸音率が、周波数1000Hz〜3150Hzの範囲の全域において40%以上である請求項1に記載の吸音ウレタンフォーム。
  3. ジエタノールアミンを含む請求項1又は2に記載の吸音ウレタンフォーム。
  4. 前記吸音ウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒及び添加剤を含む反応系で発泡させて得られ、
    前記ポリオールは、重量平均分子量が4000〜12000の範囲内にあり、エチレンオキシド含有量が5重量%以上50重量%未満の範囲内にあるポリオールBを含む請求項1又は2に記載の吸音ウレタンフォーム。
  5. 前記ポリオールの重量に占める前記ポリオールBの重量の割合は、5%〜40%の範囲内にある請求項4に記載の吸音ウレタンフォーム。
  6. 前記ポリオールは、重量平均分子量が2000〜12000の範囲内にあり、エチレンオキシド含有量が50重量%以上であるポリオールAを更に含み、
    前記ポリオールの重量に占める前記ポリオールAの重量の割合は、35重量%〜80重量%の範囲内にある請求項4又は5に記載の吸音ウレタンフォーム。
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