JP2021115897A - 鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置、鉄道車両用ブレーキ装置の制御方法、及び鉄道車両用ブレーキ装置の制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦材の押付力の実測値が押付力の目標値から過度に乖離することを抑制する。【解決手段】鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置は、車輪の踏面に対するブレーキ装置に設けられた制輪子の押付力の目標値Aを算出する目標値算出部を備えている。また、制御装置は、車輪の踏面に対する制輪子の押付力の実測値Cを取得する実測値取得部を備えている。さらに、制御装置は、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに近づくように制輪子の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御部を備えている。【選択図】図3
Description
本発明は、鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置、鉄道車両用ブレーキ装置の制御方法、及び鉄道車両用ブレーキ装置の制御プログラムに関する。
特許文献1には、鉄道車両に用いられるトレッドブレーキ式のブレーキ装置が記載されている。このブレーキ装置では、鉄道車両の運転者の操作に応じて、車輪に対する摩擦材の押付力の目標値が算出される。そして、ブレーキ装置は、算出された押付力の目標値で摩擦材を車輪に押し付けて車輪の回転を制動する。
特許文献1のようなブレーキ装置においては、経時的な変化に起因してブレーキ特性が変化したり、ブレーキ装置毎の個体差に起因してブレーキ装置毎にブレーキ特性が異なっていたりする。したがって、ブレーキ装置は、摩擦材の押付力の目標値で摩擦材を押し付けても、実際に発生する摩擦材の押付力が目標値から乖離することがある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、押付力の目標値と実際に発生する押付力とが過度に乖離することを抑制することにある。
上記課題を解決するための鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置は、回転体に対するブレーキ装置に設けられた摩擦材の押付力の目標値を算出する目標値算出部と、前記回転体に対する前記摩擦材の押付力を検出する検出部から前記押付力の実測値を取得する実測値取得部と、前記実測値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御部とを備えている。
上記課題を解決するための鉄道車両用ブレーキ装置の制御方法は、回転体に対するブレーキ装置に設けられた摩擦材の押付力の目標値を算出する目標値算出工程と、前記回転体に対する前記摩擦材の押付力を検出する検出部から前記押付力の実測値を取得する実測値取得工程と、前記実測値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御工程とを備えている。
上記課題を解決するための鉄道車両用ブレーキ装置の制御プログラムは、コンピュータに、回転体に対するブレーキ装置に設けられた摩擦材の押付力の目標値を算出する目標値算出処理と、前記回転体に対する前記摩擦材の押付力を検出する検出部から前記押付力の実測値を取得する実測値取得処理と、前記実測値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御処理とを実行させる。
上記構成、方法、又はプログラムによれば、摩擦材の押付力の実測値が目標値に対してずれていても、目標値に近づくようにブレーキ装置における摩擦材の押し付け力が制御されるので、摩擦材の押付力の実測値が目標値から過度に乖離することを抑制できる。
上記の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置において、前記実測値取得部は、鉄道車両に設けられた複数のブレーキ装置毎に前記実測値を取得するとともに前記複数のブレーキ装置毎に取得された前記実測値の平均値を算出し、前記ブレーキ制御部は、前記平均値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力を前記フィードバック制御してもよい。
鉄道車両に設けられた複数のブレーキ装置のうちの一部のブレーキ装置における摩擦材の押付力についてのみ、実測値が目標値に近づくように制御すると、当該制御によって複数のブレーキ装置の実測値の平均値が目標値から遠ざかることもあり得る。上記構成では、複数のブレーキ装置の平均値が目標値に近づくように複数のブレーキ装置における摩擦材の押付力を制御することで、複数のブレーキ装置全体として実測値と目標値とが乖離することを抑制できる。
上記の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置において、前記ブレーキ制御部は、前記実測値が予め定められた上限値以下になるように前記複数のブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を前記フィードバック制御してもよい。
上記構成では、摩擦材の押付力の実測値の平均値を目標値に近づけるように複数のブレーキ装置における摩擦材の押付力を制御する際、一部のブレーキ装置の押付力の実測値が平均値から過度に乖離することを抑制できる。したがって、例えば、一部のブレーキ装置にのみ過度に大きな負担がかかったり、押付力の実測値が過度に大きくなって軌条に対して車輪が滑ったりすることを抑制できる。
上記の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置において、第1鉄道車両に設けられた1以上のブレーキ装置で構成される群を第1ブレーキ装置群とし、第2鉄道車両に設けられた前記第1ブレーキ装置群とは異なる1以上のブレーキ装置で構成される群を第2ブレーキ装置群としたとき、前記ブレーキ制御部は、前記フィードバック制御で得られた制御値で前記第1ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を制御したと仮定したときの予測押付力の平均値、及び前記フィードバック制御で得られた制御値で前記第2ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を制御したと仮定したときの予測押付力の平均値を算出し、前記第1ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置の予測押付力の平均値が前記目標値に一致しないときには、すべてのブレーキ装置の予測押付力の平均値が前記目標値に近づくように、前記第2ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を制御してもよい。
上記構成において、ブレーキ装置の押付力の実測値が上限値を超えないようにフィードバック制御した場合、押付力の平均値が目標値に一致しないことがありえる。上記構成によれば、例えば第1ブレーキ装置群のブレーキ装置の予測押付力の平均値が目標値よりも小さい場合には、第2ブレーキ装置群のブレーキ装置の押付力を大きくして補うことができる。したがって、第1ブレーキ装置群及び第2ブレーキ装置群を合わせた全体として、ブレーキ装置の押付力を目標値に近づけることができる。
上記の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置において、前記ブレーキ装置が設けられた鉄道車両の速度及び前記目標値に基づいて前記鉄道車両が停止するか停止しないかを予測する停車予測部を備え、前記ブレーキ制御部は、前記鉄道車両が停止しないと予測されているときには前記フィードバック制御の実行を停止してもよい。
上記構成では、鉄道車両が停止しないと予測されているときにフィードバック制御の実行を停止することで、必ずしも正確なブレーキ装置における摩擦材の押付力の制御を要しないときにまで、ブレーキ装置の押付力に関するフィードバック制御が行われることを防げる。
上記の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置において、前記ブレーキ制御部は、前記実測値及び前記目標値に基づいて補正係数を算出し、前記実測値に前記補正係数を乗算することによって前記実測値を前記目標値に近づけてもよい。
上記構成によれば、実測値及び目標値に基づいて補正係数が算出されるため、例えば、予め定められた一定値を実測値に加算したり、実測値から減算したりして制御する構成に比べて、実測値に補正係数を乗算することで補正した値が得られるのでフィードバック制御を実行しやすい。
本発明によれば、摩擦材の押付力の実測値が目標値から過度に乖離することを抑制できる。
以下、実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。
先ず、複数の鉄道車両を備える編成車両100の概略構成について説明する。
図1に示すように、編成車両100は、当該編成車両100の前後方向(図1における左右方向)に4つの車両10が連結されて構成されている。車両10は、前後方向に隣り合う車両10と互いに連結されており、前側から順に、車両10A、車両10B、車両10C、及び車両10Dが並んでいる。なお、各車両10A〜10Dは、同じ構成であるため、以下の説明では車両10Aについてのみ具体的に説明する。
先ず、複数の鉄道車両を備える編成車両100の概略構成について説明する。
図1に示すように、編成車両100は、当該編成車両100の前後方向(図1における左右方向)に4つの車両10が連結されて構成されている。車両10は、前後方向に隣り合う車両10と互いに連結されており、前側から順に、車両10A、車両10B、車両10C、及び車両10Dが並んでいる。なお、各車両10A〜10Dは、同じ構成であるため、以下の説明では車両10Aについてのみ具体的に説明する。
図2に示すように、車両10Aは、前後方向(図2における左右方向)に離間して配置された2つの台車41を備えている。各台車41には、車幅方向(図2における紙面手前奥方向)に延びる車軸42が回転可能に取り付けられている。車軸42は、台車41毎に、前後方向に離間して2つ配置されている。車軸42の両端部には、略円板形状の車輪43が固定されている。したがって、1つの台車41につき、4つの車輪43が設けられている。なお、図1では、台車41、車軸42、及び車輪43の一部にのみ符号を付している。
図2に示すように、台車41の上側には、圧縮空気の弾性力によって振動を吸収する空気ばね30が取り付けられている。空気ばね30の上側には、車室空間を区画する車体20が取り付けられている。車体20は、全体として長方体箱形状であり、前後方向に長尺になっている。なお、図1では、空気ばね30及び車体20の一部に符号を付している。
図2に示すように、台車41には、車輪43の回転を制動するためのブレーキ装置50が取り付けられている。ブレーキ装置50は、摩擦材としての制輪子を車輪43の外周面である踏面に当接させて当該車輪43の回転を制動する、いわゆるトレッドブレーキ式のブレーキ装置である。したがって、この実施形態では、車輪43が、ブレーキ装置50の制動対象の回転体である。車両10Aには、合計8つの車輪43に対応して合計8つのブレーキ装置50が取り付けられている。なお、図2では、車幅方向一方側に位置する4つの車輪43及び4つのブレーキ装置50のみを図示している。
車両10Aには、空気を圧送する空気供給源61が搭載されている。空気供給源61からは、供給通路63が延びている。供給通路63は、途中で8つに分岐しており、分岐した各通路は、8つのブレーキ装置50のそれぞれに接続されている。供給通路63には、当該供給通路63を流通する空気の量を制御する制御弁62が取り付けられている。制御弁62は、供給通路63における分岐部分よりも空気供給源61側に配置されている。したがって、制御弁62は、8つのブレーキ装置50に対して1つ設けられている。また、空気供給源61には、図示しない通路を介して空気ばね30が接続されている。空気ばね30は、空気供給源61からの圧縮空気の供給を受ける。
上記の各空気ばね30には、空気ばね30の空気圧を検出するための圧力センサ71が取り付けられている。上記の台車41には、車軸42の回転速度である軸回転速度を検出するための回転センサ72が取り付けられている。回転センサ72は、各車軸42の近傍に配置されており、車両10Aにおいて合計4つ設けられている。
また、上記のブレーキ装置50には、車輪43の踏面に対する制輪子の押付力を検出するための押付力センサ73が取り付けられている。押付力センサ73としては、例えば、荷重を電気信号に変換するロードセルであり、ブレーキ装置50の制輪子に取り付けられている。押付力センサ73は、ブレーキ装置50毎に取り付けられており、車両10Aにおいて合計8つ設けられている。
上記のように構成された車両10Aにおいて、ブレーキ装置50は、制御装置80によって制御される。制御装置80には、圧力センサ71が検出した空気ばね30の空気圧X1を示す信号が圧力センサ71から入力される。制御装置80は、空気ばね30の空気圧に基づいて車体20の総重量Y1を取得する。ここで、車体20の総重量Y1とは、車体20自体の重量と車体20の乗客等の重量との合計重量である。また、制御装置80には、回転センサ72が検出した車軸42の軸回転速度X2を示す信号が回転センサ72から入力される。さらに、制御装置80には、押付力センサ73が検出した押付力X3を示す信号が押付力センサ73から入力される。
また、制御装置80には、編成車両100の運転者が操作するブレーキ制御器76からブレーキ指令X6を示す信号が入力される。ブレーキ制御器76は、運転者によって操作されるレバーを備えている。そして、ブレーキ制御器76は、このレバーの操作位置について複数段階のノッチが設定されており、運転者が操作したレバーの操作位置に応じたブレーキ指令X6を示す信号を出力する。
制御装置80は、車輪43の踏面に対するブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力の目標値Aを算出する目標値算出部81を備えている。目標値算出部81は、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置にしたがって出力されるブレーキ指令X6、及び総重量Y1に基づいて、ゼロから段階的に大きくなる正の値の目標値Aを算出する。なお、目標値算出工程及び目標値算出処理が目標値算出部81によって行われる。
また、制御装置80は、車輪43の踏面に対するブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力の上限値Bを算出する上限値算出部82を備えている。上限値算出部82は、総重量Y1、及び軌条と車輪43との静摩擦係数である粘着係数に基づいて、上限値Bを算出する。この上限値Bは、軌条に対して車輪43が滑る、いわゆる滑走を抑制するために算出される値である。
制御装置80は、車輪43の踏面に対するブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力の実測値Cを取得する実測値取得部83を備えている。実測値取得部83は、押付力センサ73が検出した押付力X3を、実測値Cとして取得する。なお、実測値取得工程及び実測値取得処理が実測値取得部83によって行われる。
また、制御装置80は、車両10Aが停止するか停止しないかを予測する停車予測部84を備えている。停車予測部84は、ブレーキ制御器76のレバーが操作されて車両10Aが減速し始めたときに、今回のレバーの操作によって車両10Aが停止するか停止しないかを、軸回転速度X2及び押付力の目標値Aに基づいて予測する。
制御装置80は、ブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力を制御するブレーキ制御部85を備えている。具体的には、ブレーキ制御部85は、制御弁62に対して制御信号を出力することで、制御弁62の開度を制御する。すると、制御弁62の開度調整によって供給通路63を流通する空気の量が調整されることでブレーキ装置50が駆動する。そして、ブレーキ装置50が駆動することで、車輪43の踏面に対する制輪子の押付力が制御される。したがって、ブレーキ制御部85は、車両10Aにおける1つの制御弁62を通じて8つのブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力の全てを一括して制御する。なお、ブレーキ制御工程及びブレーキ制御処理がブレーキ制御部85によって行われる。
制御装置80は、1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。また、図1に示すように、制御装置80は、他の3つの車両10における制御装置80と互いに通信可能になっている。
次に、制御装置80が行う一連のブレーキ制御について説明する。制御装置80は、当該制御装置80が動作を開始したときから、動作を終了するときまで、所定周期毎に一連のブレーキ制御を実行する。なお、車両10Aにおける制御装置80が、車両10A〜10Dにおける4つの制御装置80を代表して一連のブレーキ制御を行う。
図3に示すように、制御装置80は、一連のブレーキ制御を開始すると、ステップS10の処理を開始する。ステップS10において、制御装置80における目標値算出部81は、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置にしたがって出力されるブレーキ指令X6、及び総重量Y1に基づいて、車輪43の踏面に対する制輪子の押付力の目標値Aを算出する。上述のとおり、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置について複数段階のノッチが設定されているので、目標値Aは、ゼロから複数段階で大きくなる正の値として算出される。また、目標値Aは、4つの車両10A〜10Dの総重量Y1の平均値が大きいほど、大きな値として算出される。目標値Aは、車両10における8つのブレーキ装置50について共通の値として算出される。また、4つの車両10A〜10Dにおける押付力の目標値Aは同じ値として算出される。その後、制御装置80は、処理をステップS11に進める。
ステップS11において、制御装置80は、押付力の目標値Aがゼロよりも大きいか否かを判定する。ステップS11において、制御装置80は、押付力の目標値Aがゼロであると判定した場合(S11:NO)、今回の一連のブレーキ制御を終了する。一方、ステップS11において、制御装置80は、押付力の目標値Aがゼロよりも大きいと判定した場合(S11:YES)、処理をステップS12に進める。
ステップS12において、制御装置80における上限値算出部82は、車輪43の踏面に対する制輪子の押付力についての滑走限界値を算出する。滑走限界値は、軌条に対して車輪43が滑り始めるときの制輪子の押付力として定義付けられるものである。上限値算出部82は、総重量Y1、及び軌条と車輪43との静摩擦係数である粘着係数に基づいて、滑走限界値を算出する。例えば、上限値算出部82は、各車両10A〜10Dの総重量Y1が大きいほど、滑走限界値を大きく算出する。また、上限値算出部82は、粘着係数が大きいほど、滑走限界値を大きく算出する。この滑走限界値は、車両10A〜10Dそれぞれにおいて個別の値として算出される。なお、総重量Y1は車両10A〜10D毎に異なることがあるため、滑走限界値は4つの車両10A〜10D全てで一致するわけではない。その後、制御装置80は、処理をステップS13に進める。
ステップS13において、制御装置80における上限値算出部82は、滑走限界値に基づいて、車輪43の踏面に対する制輪子の押付力の上限値Bを算出する。具体的には、上限値算出部82は、滑走限界値よりも予め定められた所定値分小さい値を、上限値Bとして算出する。この上限値Bは、車両10A〜10Dそれぞれにおいて個別の値として算出される。したがって、同一の車両10に設けられている8つのブレーキ装置50に対しては、同一の上限値Bが適用される。なお、上述したように、滑走限界値は4つの車両10A〜10D全てで一致するわけではないため、同様に、上限値Bも4つの車両10A〜10D全てで一致するわけではない。その後、制御装置80は、処理をステップS14に進める。
ステップS14において、制御装置80における実測値取得部83は、ステップS14時点で押付力センサ73が検出した押付力X3を、実測値Cとして取得する。押付力センサ73はブレーキ装置50毎に取り付けられている。このため、実測値Cは、車両10A〜10Dそれぞれにおいて8つ取得される。その後、制御装置80は、処理をステップS15に進める。
ステップS15において、制御装置80における実測値取得部83は、車両10A〜10Dそれぞれにおいて8つのブレーキ装置50毎に取得された実測値Cの平均値CAを算出する。その後、制御装置80は、処理をステップS16に進める。
ステップS16において、停車予測部84は、運転者による今回のブレーキ制御器76の操作によって走行している車両10Aが停止するか否かを予測する。この実施形態では、停車予測部84は、軸回転速度X2及び目標値Aに基づいて車両10Aの停止を予測する。例えば、停車予測部84は、軸回転速度X2が小さいほど、走行している車両10Aが停止する可能性が高いと予測する。また、停車予測部84は、目標値Aが大きいほど、走行している車両10Aが停止する可能性が高いと予測する。ここで、軸回転速度X2は、概ね車両10Aの速度に比例している。そこで、車両10Aの速度を示す値として軸回転速度X2を用いている。そして、上記のステップS16において、制御装置80は、車両10Aが停止する可能性が予め定められた基準値以下であるときには、ブレーキ装置50の目標値Aが再びゼロに変化するまでの間、すなわち今回のブレーキ制御器76のレバーの操作によっては車両10Aが停止しないと予測する。そして、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、車両10Aが停止しないと判定した場合(S16:NO)、ブレーキ指令X6に応じてブレーキ装置50を制御する。すなわち、今回のブレーキ制御器76のレバーの操作によって車両10Aが停止しないと予測されているときにはフィードバック制御が停止される。その後、制御装置80は、今回の一連のブレーキ制御を終了する。
一方、制御装置80は、車両10Aが停止する可能性が、予め定められた基準値よりも高い場合には、ブレーキ装置50の目標値Aが再びゼロに変化するまでの間、すなわち今回のブレーキ制御器76のレバーの操作によって車両10Aが停止すると予測する。そして、制御装置80は、車両10Aが停止すると判定した場合(S16:YES)、処理をステップS17に進める。
ステップS17において、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、車輪43の踏面に対する制輪子の押付力の実測値Cが、押付力の目標値Aに近づくようにブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力をフィードバック制御する。具体的には、ブレーキ制御部85は、以下の条件(1)及び(2)の両方を満たすように、実測値Cを補正するための補正係数を算出し、実測値Cの平均値CAに補正係数を乗算した補正値に応じて制御弁62への制御信号の値を算出する。なお、補正係数は、実測値Cの平均値CAを小さく補正する際には1よりも小さい値が算出され、実測値Cの平均値CAを大きく補正する際には1よりも大きい値が算出される。
条件(1):実測値Cの平均値CAと押付力の目標値Aとの差を最小にする。
条件(2):8つのブレーキ装置50におけるそれぞれの実測値Cを上限値B以下にする。
条件(2):8つのブレーキ装置50におけるそれぞれの実測値Cを上限値B以下にする。
なお、上述したとおり、供給通路63における分岐箇所よりも上流側に制御弁62が配置されており、この制御弁62の開度制御を通じて各ブレーキ装置50が制御される。したがって、上記条件(1)及び(2)の両方を満たすように各ブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力をフィードバック制御するにあたっては、1つのブレーキ装置50のみを個別に制御することはできず、8つのブレーキ装置50が一括して制御される。
なお、車両10Aの制御装置80は、車両10Aのブレーキ装置50についてだけでなく、他の車両10B〜10Dのブレーキ装置50についても、上述したステップS10〜S17の処理を並行して実行する。そして、上記のフィードバック制御の後、制御装置80は、処理をステップS18に進める。
ステップS18において、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、ステップS17で得られた制御弁62への制御信号の値である制御値を制御弁62に出力したと仮定して、車両10A〜10Dそれぞれにおける8つのブレーキ装置50の予測押付力を算出する。そして、ブレーキ制御部85は、車両10A〜10Dそれぞれで、ブレーキ装置50の予測押付力の平均値が押付力の目標値Aに一致しているか否かを判定する。ステップS18において、車両10A〜10Dの全てで、ブレーキ装置50の予測押付力の平均値が押付力の目標値Aに一致していると判定した場合(S18:YES)、車両10Aの制御装置80は、フィードバック制御によって得られた車両10Aの制御信号の値に従って制御弁62を制御する。また、車両10Aの制御装置80は、車両10B〜10Dの各制御装置80に、フィードバック制御によって得られた各車両10B〜10Dの制御弁62への制御信号の値を出力する。そして、車両10B〜10Dの各制御装置80は、入力された制御信号の値に従って制御弁62を制御する。その後、今回の一連のブレーキ制御を終了する。
一方、ステップS18において、制御装置80は、車両10A〜10Dのうちの少なくとも1つの車両10で、ブレーキ装置50の予測押付力の平均値が押付力の目標値Aに一致していないと判定した場合(S18:NO)、処理をステップS19に進める。
ステップS19において、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、編成車両100における4つの車両10間の押付力を調整する車両間調整制御を行う。この車両間調整制御において、ブレーキ制御部85は、フィードバック制御後に、32個すべてのブレーキ装置50の予測押付力の平均値が押付力の目標値Aに近づくように車両10A〜10Dの補正係数を互いに調整することで、各車両10における制御弁62への制御信号の値を調整する。具体的には、ブレーキ制御部85は、車両10A〜10Dそれぞれにおいて8つのブレーキ装置50の予測押付力の最大値と車両10Aの上限値Bとの差を算出する。そして、ブレーキ制御部85は、車両10A〜10Dのうち、8つのブレーキ装置50の予測押付力の最大値と車両10Aの上限値Bとの差が最も大きい車両10を特定する。さらに、ブレーキ制御部85は、差が最も大きい車両10について、予測押付力が大きくなるように補正係数を大きくして当該車両10における制御弁62への制御信号の値を調整する。ブレーキ制御部85は、この調整後におけるブレーキ装置50の予測押付力の最大値が上限値Bに達してもなお、32個すべてのブレーキ装置50の予測押付力の平均値が上限値Bに達しない場合には、次に差が大きい車両10について、予測押付力が大きくなるように補正係数を大きくして当該車両10における制御弁62への制御信号の値を調整する。ブレーキ制御部85は、この処理を繰り返し、すべての車両10について予測押付力の最大値と車両10Aの上限値Bとの差がゼロになる、又は32個すべてのブレーキ装置50の予測押付力の平均値が目標値Aに達した場合には、車両間調整制御を終了する。その後、車両10Aの制御装置80は、車両間調整制御によって得られた車両10Aの制御信号の値に従って制御弁62を制御する。また、車両10Aの制御装置80は、車両10B〜10Dの各制御装置に、車両間調整制御によって得られた各車両10B〜10Dの制御弁62への制御信号の値を出力する。そして、車両10B〜10Dの各制御装置80は、入力された制御信号の値に従って制御弁62を制御する。その後、制御装置80は、一連のブレーキ制御を終了する。
上述したブレーキ制御に関して、各種の値の算出構成をまとめると以下のようになる。図4に示すように、先ず、車両10Aにおいて、目標値算出部81は、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置にしたがって出力されるブレーキ指令X6、及び総重量Y1に基づいて、ゼロから段階的に大きくなる正の値の目標値Aを算出する。また、上限値算出部82は、総重量Y1に基づいて、上限値Bを算出する。さらに、実測値取得部83は、押付力センサ73が検出した押付力X3を、実測値Cとして取得する。また、実測値取得部83は、実測値Cに基づいて、8つのブレーキ装置50についての実測値Cの平均値CAを算出する。そして、ブレーキ制御部85は、目標値A、上限値B、実測値C、及び平均値CAに基づいて、実測値Cを補正するための補正係数を算出する。また、上記と同様に、車両10B〜10Dのそれぞれにおいて、ブレーキ制御部85は、目標値A、上限値B、実測値C、及び平均値CAに基づいて、実測値Cを補正するための補正係数を算出する。そして、ブレーキ制御部85は、車両10A〜10Dの補正係数を互いに調整する。さらに、車両10A〜10Dのそれぞれにおいて、ブレーキ制御部85は、実測値Cの平均値CAに補正係数を乗算して補正値を算出し、その補正値に応じて制御弁62への制御信号の値を算出する。なお、図4では、車両10A及び車両10Bにおける各種の値の算出構成のみを図示している。また、図4では、車両10Bにおける各種の値の算出構成を一部省略して図示している。
本実施形態の作用について説明する。
先ず、図5を参照して車両10Aでのブレーキ装置50の制御を説明する。図5に示すように、車両10Aでは、各ブレーキ装置50に対して上限値Bが「12」に設定されており、押付力の目標値Aが「10」に算出されたとする。また、車両10Aでは、8つのブレーキ装置50における押付力の実測値Cがばらついており、その押付力の実測値Cの平均値CAが「5」になっていたとする。
先ず、図5を参照して車両10Aでのブレーキ装置50の制御を説明する。図5に示すように、車両10Aでは、各ブレーキ装置50に対して上限値Bが「12」に設定されており、押付力の目標値Aが「10」に算出されたとする。また、車両10Aでは、8つのブレーキ装置50における押付力の実測値Cがばらついており、その押付力の実測値Cの平均値CAが「5」になっていたとする。
ここで、車両10Aの制御装置80において、条件(1)のみを満たすようにフィードバック制御を行ったとする。この場合、目標値Aが「10」であるのに対して実測値Cの平均値CAが「5」であるので、両者の差を埋めるべく、車両10Aにおける各ブレーキ装置50の押付力が「5」ずつ増加するようにフィードバック制御される。こうして条件(1)のみを満たすようにフィードバック制御を行ったとすると、ブレーキ装置50の予測押付力の平均値は「10」になる。すなわち、図7(a)に示すように、ブレーキ装置50の予測押付力の平均値は、押付力の目標値Aと一致する。
ここで、フィードバック制御を行う前において押付力の実測値Cが「7」以下であれば、フィードバック制御により押付力が「5」増加しても、上限値Bである「12」を超えない。しかし、図5において8番のブレーキ装置50のように、フィードバック制御を行う前において押付力の実測値Cが「8」であると、フィードバック制御により押付力が「5」増加することでブレーキ装置50の予測押付力が「13」になる。すなわち、図7(a)に示すように、ブレーキ装置50の予測押付力の最大値である「13」は、上限値Bである「12」を超えることになる。
そこで、車両10Aの制御装置80では、条件(1)に加えて条件(2)を満たすようにフィードバック制御を行う。具体的には、制御装置80は、図5において8番のブレーキ装置50の予測押付力を、条件(1)のみの場合の「13」から「1」を減じて、上限値Bに等しい「12」にする。すなわち、図7(b)に示すように、ブレーキ装置50の予測押付力の最大値を、上限値Bである「12」以下にする。また、車両10Aの8つのブレーキ装置50は、同一の制御弁62によって制御されて個別には押付力を制御できない。したがって、8番のブレーキ装置50の予測押付力を「1」減じることに伴って、他の1番〜7番のブレーキ装置50の予測押付力も「1」減じられることになる。その結果、車両10Aにおける予測押付力の平均値が目標値Aとして算出された「10」よりも小さい「9」になる。すなわち、図7(b)に示すように、車両10Aにおける予測押付力の平均値は、目標値Aと一致しないものの、目標値Aに近づいていく。
このように、本実施形態では、車両10Aにおけるフィードバック制御前の平均値CAの値である「5」が、一連のフィードバック制御により、目標値Aである「10」に近い「9」になる。なお、他の3つの車両10B〜10Dでも、同様にフィードバック制御が行われる。
さて、上述のように条件(1)及び(2)の両方を満たすようにフィードバック制御がなされても、車両10Aの予測押付力の平均値が、目標値Aとして算出された「10」には一致しない。
そこで、図6に示すように、車両10A〜車両10Dでは、フィードバック制御に加えて、車両間調整制御を行う。この車両間調整制御では、各車両10A〜10Dにおいて、フィードバック制御後の8つのブレーキ装置50の予測押付力を算出する。ここで、フィードバック制御を行う前において押付力の実測値Cがばらついているため、各車両10A〜10Dにおいて算出される押付力の最大値が異なっているものとする。また、車両10A〜10Dにおいて、各車両10A〜10Dの総重量Y1が異なっていることにより、各車両10A〜10Dで算出される上限値Bが異なっているものとする。そして、車両間調整制御では、車両10A〜10Dにおいて、予測押付力の最大値と上限値Bとの差を算出する。
上述したように、車両10Aでは、フィードバック制御後の予測押付力の最大値が上限値Bと等しい「12」になっているため、予測押付力の最大値と上限値Bとの差が「0」となる。一方、車両10Dでは、フィードバック制御後の予測押付力の最大値が「11」であり、上限値Bが「14」であるため、予測押付力の最大値と上限値Bとの差が「3」となる。そして、車両10Dにおける予測押付力の最大値と上限値Bとの差である「3」は、他の3つの車両10A〜10Cにおける予測押付力の最大値と上限値Bとの差に比べて大きくなっている。したがって、車両10Dでは、編成車両100におけるすべてのブレーキ装置50の予測押付力の平均値が目標値Aに近づくように、ブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力を制御する。具体的には、車両10Dでは、フィードバック制御後の予測押付力が「1」ずつ増加するように制御される。すると、車両10Dでは、車両間調整制御後の予測押付力の平均値が「11」になる。そして、編成車両100におけるすべてのブレーキ装置50の予測押付力の平均値が目標値Aと等しい「10」になる。なお、図6に示す例では、車両10Aにおける8つのブレーキ装置50が第1ブレーキ装置群であり、車両10Dにおける8つのブレーキ装置50が第2ブレーキ装置群である。
本実施形態の効果について説明する。
(1)ブレーキ装置50では、当該ブレーキ装置50の経時的な変化に起因してブレーキ特性が変化したり、当該ブレーキ装置50の個体差に起因してブレーキ特性が異なっていたりする。このような場合、制御装置80におけるブレーキ制御部85がブレーキ装置50を制御しても、押付力の目標値Aと押付力の実測値Cとが乖離することがある。この点、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに近づくようにブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力をフィードバック制御する。これにより、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに対してずれていても、押付力の実測値Cと押付力の目標値Aとが過度に乖離することがない。
(1)ブレーキ装置50では、当該ブレーキ装置50の経時的な変化に起因してブレーキ特性が変化したり、当該ブレーキ装置50の個体差に起因してブレーキ特性が異なっていたりする。このような場合、制御装置80におけるブレーキ制御部85がブレーキ装置50を制御しても、押付力の目標値Aと押付力の実測値Cとが乖離することがある。この点、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに近づくようにブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力をフィードバック制御する。これにより、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに対してずれていても、押付力の実測値Cと押付力の目標値Aとが過度に乖離することがない。
(2)図5に示すように、1番のブレーキ装置50の実測値Cである「4」が、目標値Aである「10」に一致するようにフィードバック制御したとする。この場合、フィードバック制御後の1番のブレーキ装置50の予測押付力は「10」であり、目標値Aに一致する。しかし、この場合、8番のブレーキ装置50の予測押付力は「14」であり、目標値Aから大きくずれてしまう。また、この場合、8つのブレーキ装置50の予測押付力の平均値は「11」であり、目標値Aに一致しない。このように、8つのブレーキ装置50のうちの1つのブレーキ装置50の実測値Cが目標値Aに一致するようにフィードバック制御するのでは、8つのブレーキ装置50全体でみたときに、予測押付力やその平均値を必ずしも目標値Aに一致させることができない。これに対して、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、車両10Aにおける8つのブレーキ装置50の実測値Cの平均値CAが押付力の目標値Aに近づくようにフィードバック制御する。そのため、車両10Aにおける8つのブレーキ装置50における実測値Cの平均値CAと押付力の目標値Aとが乖離することを抑制できる。
(3)車両10Aにおける一部のブレーキ装置50の実測値Cの最大値が上限値Bを超えたとする。特に、実測値Cの最大値が上限値Bを過度に超えると、実測値Cの最大値が滑走限界値になって軌条に対して車輪43が滑る、いわゆる滑走が生じる。これに対して、制御装置80におけるブレーキ制御部85は、8つのブレーキ装置50におけるそれぞれの実測値Cが上限値B以下になるようにフィードバック制御する。そのため、上記のように車両10Aにおける一部のブレーキ装置50の実測値Cが上限値Bを超えることがない。その結果、ブレーキ装置50の実測値Cが滑走限界値になって滑走が生じることもない。
(4)8つのブレーキ装置50におけるそれぞれの実測値Cが上限値B以下になるようにフィードバック制御すると、図6に示すように、車両10Aにおけるブレーキ装置50の予測押付力の平均値が、押付力の目標値Aよりも小さくなって、両者が一致しないこともある。この点、車両10A〜車両10Dにおける制御装置80におけるブレーキ制御部85は、編成車両100における車両10の間の押付力を調整する車両間調整制御を行う。具体的には、図6に示すように、車両10Aの予測押付力の平均値が「9」であり、目標値Aとして算出された「10」よりも小さくなっている。そして、車両10Aでは、フィードバック制御後の予測押付力の最大値が上限値Bと等しい「12」になっているため、予測押付力の最大値と上限値Bとの差が「0」となる。一方、車両10Dでは、フィードバック制御後の予測押付力の最大値が上限値Bよりも小さくなっている。そこで、車両10Dにおけるフィードバック制御後の予測押付力が「1」ずつ増加するように制御する。これにより、車両10Aにおけるフィードバック制御後の予測押付力の平均値が押付力の目標値Aと一致しない場合であっても、編成車両100におけるすべてのブレーキ装置50の予測押付力の平均値が目標値Aと等しい「10」になる。すなわち、編成車両100におけるすべてのブレーキ装置50全体として、車両間調整制御後の予測押付力の平均値を押付力の目標値Aと一致させることができる。
(5)制御装置80におけるブレーキ制御部85は、車両10が停止する可能性が予め定められた基準値以下であると判定された場合にフィードバック制御を実行しない。つまり、ブレーキ装置50の正確な制御が要求される車両10が停止するとき以外には、フィードバック制御が停止される。これにより、制御装置80では、フィードバック制御による演算処理の負荷を低減できる。
(6)制御装置80におけるブレーキ制御部85は、目標値A、上限値B、実測値C、及び平均値CAに応じて実測値Cを補正するための補正係数を算出する。そして、ブレーキ制御部85は、実測値Cの平均値CAに補正係数を乗算することで実測値Cの平均値CAが目標値Aに近づくようにブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力をフィードバック制御する。そのため、例えば、予め定められた一定値を、実測値Cの平均値CAに加算したり、実測値Cの平均値CAから減算したりしてフィードバック制御を実行する構成に比べて、目標値A及び実測値Cの平均値CAの差に応じた適切な補正量でフィードバック制御を実行しやすい。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、フィードバック制御に関する条件は変更できる。例えば、ブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cの平均値CAが押付力の目標値Aに近づけるようにフィードバック制御する必要はなく、8つのブレーキ装置50のうちの1つのブレーキ装置50における押付力の実測値Cが、押付力の目標値Aに近づくようにフィードバック制御してもよい。例えば、ブレーキ装置50の個体差が小さい場合や、8つのブレーキ装置50における制輪子の交換時期が一致している場合には、この変更例のようにフィードバック制御しても特に問題は生じない。
・上記実施形態において、フィードバック制御に関する条件は変更できる。例えば、ブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cの平均値CAが押付力の目標値Aに近づけるようにフィードバック制御する必要はなく、8つのブレーキ装置50のうちの1つのブレーキ装置50における押付力の実測値Cが、押付力の目標値Aに近づくようにフィードバック制御してもよい。例えば、ブレーキ装置50の個体差が小さい場合や、8つのブレーキ装置50における制輪子の交換時期が一致している場合には、この変更例のようにフィードバック制御しても特に問題は生じない。
・また、例えば、ブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cの平均値CAを上限値B以下にするように制御してもよい。この構成においては、8つのブレーキ装置50のうちの一部のブレーキ装置50の実測値Cが上限値Bを超えたとしても、その他のブレーキ装置50の実測値Cが上限値B以下になる。そのため、8つの車輪43のうちの一部が滑走することはあっても、8つの車輪43すべてが滑走することは考えにくい。
・さらに、例えば、ブレーキ制御部85は、上限値Bに拘わらず、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに近づくようにフィードバック制御してもよい。この構成においても、8つのブレーキ装置50すべての実測値Cが滑走限界値に達する可能性は低い。そのため、押付力の実測値Cが滑走限界値未満であるブレーキ装置50では、滑走が生じることがなく、軌条に対する車輪43の摩擦力によって適切な制動力を得られる。
・また、例えば、ブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cの平均値CAと押付力の目標値Aとの差を、必ずしも最小にするようにフィードバック制御しなくてもよい。具体例としては、ブレーキ制御部85は、押付力の実測値Cの平均値CAと押付力の目標値Aとの差が予め定められた規定値よりも大きい場合に、両者の差が規定値以下になるようにフィードバック制御してもよい。
・さらに、例えば、ブレーキ制御部85は、車両間調整制御を省略してもよい。この構成においても、フィードバック制御によって、各車両10において押付力の実測値Cと押付力の目標値Aとが乖離することは抑制できる。
・上記実施形態において、制御装置80における上限値算出部82は省略してもよい。例えば、ブレーキ制御部85が、上限値Bに拘わらず、押付力の実測値Cが押付力の目標値Aに近づくようにフィードバック制御する構成においては、上限値算出部82を省略してもよい。
・上記実施形態において、制御装置80における実測値取得部83の構成は変更できる。例えば、実測値取得部83は、平均値CAを算出しなくてもよい。この構成においては、例えば、上述したように、ブレーキ制御部85は、8つのブレーキ装置50のうちの一部のブレーキ装置50の実測値Cが、押付力の目標値Aに近づくようにフィードバック制御してもよい。
・上記実施形態において、制御装置80における停車予測部84は省略してもよい。すなわち、ブレーキ制御部85は、車両10の停止が予測されているか否かに拘わらず、ブレーキ装置50に設けられた制輪子の押付力をフィードバック制御してもよい。
・上記実施形態において、制御装置80は、2つ以上の車両10を統括して制御する制御装置として構成されていたり、編成車両100全体を統括して制御する制御装置として構成されていたりしてもよい。
・上記実施形態において、ブレーキ装置の構成は変更できる。例えば、ブレーキ装置としては、車軸42と一体的に回転するディスクを一対のブレーキパッドで挟み込むことでディスクを制動する、いわゆるディスクブレーキ式のブレーキ装置を採用してもよい。この構成においては、ディスクが、ブレーキ装置の制動対象である回転体である。
・上記実施形態において、ブレーキ装置50に空気を供給する空気供給構成は変更できる。例えば、制御弁62は、8つのブレーキ装置50に対応して8つ設けられていてもよい。
A…目標値、B…上限値、C…実測値、CA…平均値、X1…空気圧、X2…軸回転速度、X3…押付力、X6…ブレーキ指令、Y1…総重量、10…車両、10A…車両、10B…車両、10C…車両、10D…車両、20…車体、30…空気ばね、41…台車、42…車軸、43…車輪、50…ブレーキ装置、61…空気供給源、62…制御弁、63…供給通路、71…圧力センサ、72…回転センサ、73…押付力センサ、76…ブレーキ制御器、80…制御装置、81…目標値算出部、82…上限値算出部、83…実測値取得部、84…停車予測部、85…ブレーキ制御部、100…編成車両。
Claims (8)
- 回転体に対するブレーキ装置に設けられた摩擦材の押付力の目標値を算出する目標値算出部と、
前記回転体に対する前記摩擦材の押付力を検出する検出部から前記押付力の実測値を取得する実測値取得部と、
前記実測値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御部とを備えている
鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置。 - 前記実測値取得部は、鉄道車両に設けられた複数のブレーキ装置毎に前記実測値を取得するとともに前記複数のブレーキ装置毎に取得された前記実測値の平均値を算出し、
前記ブレーキ制御部は、前記平均値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力を前記フィードバック制御する
請求項1に記載の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置。 - 前記ブレーキ制御部は、前記実測値が予め定められた上限値以下になるように前記複数のブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を前記フィードバック制御する
請求項2に記載の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置。 - 第1鉄道車両に設けられた1以上のブレーキ装置で構成される群を第1ブレーキ装置群とし、第2鉄道車両に設けられた前記第1ブレーキ装置群とは異なる1以上のブレーキ装置で構成される群を第2ブレーキ装置群としたとき、
前記ブレーキ制御部は、前記フィードバック制御で得られた制御値で前記第1ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を制御したと仮定したときの予測押付力の平均値、及び前記フィードバック制御で得られた制御値で前記第2ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を制御したと仮定したときの予測押付力の平均値を算出し、
前記第1ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置の予測押付力の平均値が前記目標値に一致しないときには、すべてのブレーキ装置の予測押付力の平均値が前記目標値に近づくように、前記第2ブレーキ装置群を構成するブレーキ装置に設けられた前記摩擦材の押付力を制御する
請求項3に記載の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置。 - 前記ブレーキ装置が設けられた鉄道車両の速度及び前記目標値に基づいて前記鉄道車両が停止するか停止しないかを予測する停車予測部を備え、
前記ブレーキ制御部は、前記鉄道車両が停止しないと予測されているときには前記フィードバック制御の実行を停止する
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置。 - 前記ブレーキ制御部は、前記実測値及び前記目標値に基づいて補正係数を算出し、前記実測値に前記補正係数を乗算することによって前記実測値を前記目標値に近づける
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の鉄道車両用ブレーキ装置の制御装置。 - 回転体に対するブレーキ装置に設けられた摩擦材の押付力の目標値を算出する目標値算出工程と、
前記回転体に対する前記摩擦材の押付力を検出する検出部から前記押付力の実測値を取得する実測値取得工程と、
前記実測値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御工程とを備えている
鉄道車両用ブレーキ装置の制御方法。 - コンピュータに、
回転体に対するブレーキ装置に設けられた摩擦材の押付力の目標値を算出する目標値算出処理と、
前記回転体に対する前記摩擦材の押付力を検出する検出部から前記押付力の実測値を取得する実測値取得処理と、
前記実測値が前記目標値に近づくように前記摩擦材の押付力をフィードバック制御するブレーキ制御処理とを実行させる
鉄道車両用ブレーキ装置の制御プログラム。
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