JP2021114377A - アルカリ乾電池 - Google Patents

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【課題】放電特性に優れるアルカリ乾電池を提供する。【解決手段】開示されるアルカリ乾電池10は、正極2を含む。正極2は、二酸化マンガンの粉末と、黒鉛の粉末と、フッ化黒鉛の粉末とを含む。正極2に含まれるフッ化黒鉛の粉末の質量は、正極2に含まれる二酸化マンガンの粉末と黒鉛の粉末とフッ化黒鉛の粉末の合計の質量の0.1〜0.7%の範囲にある。【選択図】図1

Description

本開示は、アルカリ乾電池に関する。
アルカリ乾電池(アルカリマンガン乾電池)は、マンガン乾電池に比べて電池容量が大きく、大きな電流を取り出すことができるため、広く利用されている。アルカリ乾電池は、通常、正極と、負極と、正極と負極との間に配されたセパレータと、アルカリ電解液とを備える。正極は、正極活物質として二酸化マンガンを含む。
アルカリ乾電池の電池容量を大きくするには、正極における二酸化マンガンの密度を高める必要がある。二酸化マンガンの割合を高くした正極合剤を高密度に成型する場合、正極活物質粒子間の摩擦や、正極活物質粒子と成形型との間の摩擦などを低減する必要がある。
特許文献1(特公平5−48578号公報)は、「正極活物質としての二酸化マンガン及び導電剤としてのカーボンを含有するアルカリ電池用正極合剤において、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛を二酸化マンガン量に対して0.2〜0.6重量%の範囲内で含有したことを特徴とするアルカリ電池用正極合剤」を開示している(特許文献1の請求項1)。特許文献1には、正極合剤がこれらの化合物を特定の比率で含有することによって、合剤表面と金型表面との間の潤滑性が向上することが記載されている。
また、特許文献2(特開平3−74055号公報)は、「負極活物質として亜鉛を用い、正極活物質として二酸化マンガンを用いるアルカリ・マンガン電池において、二酸化マンガンを正極活物質とする正極合剤のバインダーとして低分子量四フッ化エチレン樹脂粉末を用い、上記低分子量四フッ化エチレン樹脂粉末を二酸化マンガンと導電助剤との総重量に対して0.1重量%以上で0.3重量%未満添加した正極合剤を用いたことを特徴とするアルカリ・マンガン電池」を開示している(特許文献2の請求項1)。四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)は、一般的に滑剤としても用いられている。
特公平5−48578号公報 特開平3−74055号公報
アルカリ乾電池の放電特性のさらなる向上が、従来から求められている。このような状況において、本開示は、放電特性に優れるアルカリ乾電池を提供することを目的の1つとする。
本開示の一局面は、アルカリ乾電池に関する。当該アルカリ乾電池は、正極を含むアルカリ乾電池であって、前記正極は、二酸化マンガンの粉末と、黒鉛の粉末と、フッ化黒鉛の粉末とを含み、前記正極に含まれる前記フッ化黒鉛の粉末の質量は、前記正極に含まれる前記二酸化マンガンの粉末と前記黒鉛の粉末と前記フッ化黒鉛の粉末の合計の質量の0.1〜0.7%の範囲にある。
本開示によれば、放電特性に優れるアルカリ乾電池が得られる。
本開示のアルカリ乾電池の一例を示す一部分解断面図である。
以下、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。
(アルカリ乾電池)
本開示のアルカリ乾電池は、正極を含む。当該正極は、二酸化マンガン(正極活物質)の粉末と、黒鉛の粉末と、フッ化黒鉛の粉末とを含む。正極に含まれるフッ化黒鉛の粉末の質量(g)は、正極に含まれる二酸化マンガンの粉末と黒鉛の粉末とフッ化黒鉛の粉末の合計の質量(g)の0.1〜0.7%の範囲にある。
以下の説明では、比率Z(%)という値を用いる場合がある。比率Z(%)は、以下の式で表される。比率Zは、質量で表した百分率であり、質量%に等しい。
Z(%)=100×(正極に含まれるフッ化黒鉛の粉末の質量)/(正極に含まれる二酸化マンガンの粉末と黒鉛の粉末とフッ化黒鉛の粉末の合計の質量)
すなわち、正極に含まれるフッ化黒鉛の粉末の質量(g)は、正極に含まれる二酸化マンガンの粉末と黒鉛の粉末とフッ化黒鉛の粉末の合計の質量(g)のZ%である。上述したように、本開示のアルカリ乾電池では、比率Zは0.1〜0.7%の範囲にある。比率Zは、0.1〜0.5%の範囲にあってもよく、0.2〜0.3%の範囲にあってもよい。
フッ化黒鉛は、滑剤として機能する。黒鉛は、導電材として機能する。後述するように、フッ化黒鉛を含む正極を用いることによって、正極中の二酸化マンガンの密度を高くすることが容易になる。また、上記の範囲でフッ化黒鉛を含む正極を用いることによって、放電特性が向上する。
本開示のアルカリ乾電池は、正極に加えて、負極と、正極と負極との間に配されたセパレータと、アルカリ電解液と、を含む。なお、正極以外の構成要素には、公知のアルカリ乾電池の構成要素を適用してもよい。
フッ化黒鉛の粉末の平均粒径は、0.2μm〜60μmの範囲(たとえば0.5μm〜50μmの範囲や、1μm〜40μmの範囲)にあってもよい。平均粒径をこの範囲とすることによって、正極の充填性を高めることができる。なお、この明細書において、平均粒径とは、体積基準の粒度分布において累積体積が50%になるメジアン径(D50)である。メジアン径は、例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて求められる。
フッ化黒鉛の粉末の平均粒径は、二酸化マンガンの粉末の平均粒径よりも小さくてもよい。さらに、フッ化黒鉛の粉末の平均粒径は、二酸化マンガンの粉末の平均粒径の2分の1以下であってもよい。これらの構成によれば、フッ化黒鉛の粒子が二酸化マンガンの粒子間に入り込みやすくなる。その結果、実施例で説明するように、高い放電特性を実現できる。
フッ化黒鉛の粉末は、炭素とフッ素とを炭素:フッ素=1:1(実質的に1:1である場合を含む)の組成比で含むフッ化黒鉛の粉末、および、炭素とフッ素とを炭素:フッ素=2:1の組成比で含むフッ化黒鉛の粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の粉末を含んでもよい。ここで、炭素とフッ素とを炭素:フッ素=1:1の組成比で含むフッ化黒鉛は、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛である。炭素とフッ素とを炭素:フッ素=2:1(実質的に2:1である場合を含む)の組成比で含むフッ化黒鉛は、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛である。これらのフッ化黒鉛は、黒鉛層間にフッ素が配置された化合物である。上記化学式中のnは、任意の数(任意の大きな数)を意味する。
フッ化黒鉛は、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛であってもよいし、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛であってもよいし、それらの混合物であってもよい。
(正極)
上述したように、正極は、二酸化マンガン(正極活物質)の粉末と、黒鉛の粉末と、フッ化黒鉛の粉末とを含む。正極は、これら以外の添加剤(たとえば公知の添加剤)を含んでもよい。例えば、正極は、結着材を含んでもよい。なお、本開示のアルカリ乾電池は、導電材として、黒鉛以外の導電性炭素材料をさらに含んでもよい。黒鉛以外の導電性炭素材料の例には、カーボンブラック(アセチレンブラックなど)などが含まれる。
正極は、正極合剤を円筒状体(正極ペレット)に加圧成形することによって形成してもよい。正極合剤は、例えば、正極活物質の粉末、黒鉛の粉末、フッ化黒鉛の粉末、およびアルカリ電解液を含み、必要に応じて結着材をさらに含む。円筒状体は、電池ケース内に収容された後に、電池ケース内壁に密着するように加圧されてもよい。
正極活物質である二酸化マンガンの好ましい一例は、電解二酸化マンガンであるが、天然二酸化マンガンや化学二酸化マンガンを用いてもよい。二酸化マンガンの結晶構造としては、α型、β型、γ型、δ型、ε型、η型、λ型、ラムスデライト型が挙げられる。
二酸化マンガンの粉末の平均粒径(D50)は、正極の充填性および正極内での電解液の拡散性などを確保し易い点で、例えば、25μm〜60μmの範囲にあってもよい。
成形性や正極の膨張抑制の観点から、二酸化マンガンのBET比表面積は、例えば、20m2/g〜50m2/gの範囲にあってもよい。BET比表面積は、例えば、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いることによって測定できる。
黒鉛の例には、天然黒鉛、人造黒鉛などが含まれる。黒鉛の粉末の平均粒径(D50)は、3μm〜30μmの範囲にあってもよい。正極中の黒鉛の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、3質量部〜10質量部の範囲(たとえば4質量部〜9質量部の範囲)にあってもよい。
電池内部で発生した水素を吸収するために、正極に銀化合物を添加してもよい。銀化合物の例には、酸化銀(AgO、AgO、Agなど)、銀ニッケル複合酸化物(AgNiO)などが含まれる。
(負極)
負極は、亜鉛および亜鉛合金からなる群より選ばれる少なくとも1つを、負極活物質として含む。以下では、亜鉛および亜鉛合金をまとめて「亜鉛含有金属」と称する場合がある。好ましい一例では、負極は、負極活物質として亜鉛含有金属の粒子を含む。亜鉛含有金属は負極活物質として機能する。亜鉛合金は、耐食性の観点から、インジウム、ビスマスおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。亜鉛合金中のインジウム含有率は、例えば、0.01質量%〜0.1質量%の範囲にあってもよい。亜鉛合金中のビスマス含有率は、例えば、0.003質量%〜0.02質量%の範囲にあってもよい。亜鉛合金中のアルミニウム含有率は、例えば、0.001質量%〜0.03質量%の範囲にあってもよい。亜鉛合金中における亜鉛以外の元素の含有率は、耐食性の観点から、0.025質量%〜0.08質量%の範囲にあってもよい。
負極活物質(亜鉛含有金属)は、通常、粒子の形態で使用される。亜鉛含有金属の粒子の平均粒径(D50)は、負極の充填性および負極内での電解液の拡散性の観点から、100μm〜200μmの範囲(好ましくは110μm〜160μmの範囲)にあってもよい。
負極は、ゲル状負極であってもよい。ゲル状負極は、例えば、負極活物質粒子、ゲル化剤およびアルカリ電解液を混合することによって作製できる。
ゲル化剤としては、アルカリ乾電池の分野で使用される公知のゲル化剤を使用してもよい。例えば、ゲル化剤として、吸水性ポリマーなどを使用してもよい。ゲル化剤の例には、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムなどが含まれる。ゲル化剤の量は、負極活物質(亜鉛含有金属)100質量部あたり、0.5質量部〜2.5質量部の範囲にあってもよい。
負極には、負極の分散性を高めるために、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤には、例えば、ポリオキシアルキレン基含有化合物、リン酸エステルなどを用いることができる。負極中において添加剤をより均一に分散させる観点から、添加剤は、負極の作製に用いられるアルカリ電解液に予め添加しておくことが好ましい。
負極には、耐食性を向上させるために、インジウム、ビスマスなどの水素過電圧の高い金属を含む化合物を適宜添加してもよい。
(負極集電子)
本開示のアルカリ乾電池は、負極に挿入される負極集電子を含んでもよい。負極集電子の材質は、金属(単体金属または合金)であってもよい。負極集電子の材質は、好ましくは銅を含み、銅および亜鉛を含む合金(たとえば真鍮)であってもよい。負極集電子には、必要に応じて、スズメッキなどのメッキ処理がされていてもよい。
(セパレータ)
セパレータとしては、繊維を主体として用いた不織布、樹脂製の微多孔質フィルムなどが用いられる。繊維の材質としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコールなどが例示できる。不織布は、セルロース繊維およびポリビニルアルコール繊維を混抄して形成してもよく、レーヨン繊維およびポリビニルアルコール繊維を混抄して形成してもよい。微多孔質フィルムの材質としては、セロファン、ポリオレフィンなどの樹脂が例示できる。セパレータの厚さは、例えば、200μm〜300μmである。セパレータが薄い場合には、複数のセパレータを重ねて上記厚さに調整してもよい。
(電池ハウジング)
電池ハウジングに特に限定はなく、電池の形状に応じたハウジングを用いればよい。本実施形態に係るアルカリ乾電池の形状に特に限定はなく、円筒形であってもよいし、コイン形(ボタン形を含む)であってもよい。電池ハウジングは、通常、電池ケースと、負極端子板と、ガスケットとを含む。電池ケースには、例えば、有底円筒形の金属ケースが用いられる。金属ケースには、例えば、ニッケルめっき鋼板が用いられる。正極と電池ケースとの間の接触抵抗を低減するために、電池ケースの内面を炭素被膜で被覆してもよい。負極端子板は、金属ケースと同様の材料で形成でき、例えばニッケルめっき鋼板で形成できる。
ガスケットの材質の例には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが含まれる。ガスケットは、例えば、上記材質を所定の形状に射出成型することによって形成できる。アルカリ電解液に対する耐食性の観点から、ガスケットの材質は、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6,10、ポリアミド−6,12、およびポリプロピレンが好ましい。なお、ガスケットは、通常、環状の薄肉部を有する。
(アルカリ電解液)
アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウムを含むアルカリ水溶液が用いられる。アルカリ電解液中の水酸化カリウムの濃度は、好ましくは30〜50質量%の範囲(たとえば30〜40質量%の範囲)にある。アルカリ電解液は、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化セシウム(CsOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)などを含んでもよい。
アルカリ電解液は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を用いることによって、負極活物質粒子の分散性を高めることができる。界面活性剤には、負極で例示したものなどを用いることができる。アルカリ電解液における界面活性剤の含有率は、通常、0〜0.5質量%の範囲(たとえば0〜0.2質量%の範囲)にある。
以下では、本開示の実施形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例のアルカリ乾電池の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。また、以下で説明する一例のアルカリ乾電池の構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。
(実施形態1)
実施形態1に係るインサイドアウト構造の円筒形アルカリ乾電池10の一部分解断面図を、図1に示す。アルカリ乾電池10は、電池ケース1と、電池ケース1内に配置された正極2、負極(ゲル状負極)3、セパレータ4、およびアルカリ電解液(図示せず)を含む。
電池ケース1は、有底円筒形のケースであり、正極端子として機能する。正極2は、中空円筒形であり、電池ケース1の内壁に接するように配置されている。負極3は、正極2の中空部内に配置されている。セパレータ4は、正極2と負極3との間に配置されている。
セパレータ4は、円筒形のセパレータ4aと底紙4bとで構成されている。セパレータ4aは、正極2の中空部の内面に沿って配置され、正極2と負極3とを隔離している。底紙4bは、正極2の中空部の底部に配置され、負極3と電池ケース1とを隔離している。
電池ケース1の開口部は、封口ユニット9によって封口されている。封口ユニット9は、ガスケット5、負極集電子6、および、負極端子として機能する負極端子板7を含む。負極集電子6は、頭部と胴部とを有する釘形状を有する。負極集電子6は、例えば銅を含み、真鍮などの銅と亜鉛を含む合金製であってもよい。負極集電子6には、必要に応じて、スズメッキなどのメッキ処理がなされていてもよい。負極集電子6の胴部は、ガスケット5の中央部に設けられた貫通孔に挿入されるとともに、負極3に挿入されている。負極集電子6の頭部は、負極端子板7の中央の平坦部に溶接されている。
電池ケース1の開口端部は、ガスケット5の周縁部を介して負極端子板7の周縁部(鍔部)にかしめつけられている。電池ケース1の外表面は、外装ラベル8によって被覆されている。電池ケース1、ガスケット5、および負極端子板7は、電池ハウジングを構成する。正極2、負極3、セパレータ4、およびアルカリ電解液(図示せず)は、電池ハウジング内に配置されている。
アルカリ乾電池10を組み立てる方法に特に限定はなく、必要に応じて従来の技術を適用できる。例えば、以下の実施例で説明する手順で組み立ててもよい。
本開示のアルカリ乾電池について、実施例によってさらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、滑剤が異なる5種類のアルカリ乾電池(電池A1,A2、および電池C1〜C3)を作製して評価した。
(電池A1)
電池A1は、下記の(1)〜(4)の手順に従って作製した。
(1)アルカリ電解液の調製
アルカリ電解液として、水酸化カリウム(濃度33質量%)および酸化亜鉛(濃度2質量%)を含むアルカリ水溶液を調製した。
(2)正極の作製
二酸化マンガン(正極活物質)と黒鉛(導電材)と滑剤とを混合して混合物を得た。それらは、二酸化マンガン:黒鉛:滑剤=100:6:Xの質量比で混合した。滑剤は、比率Zの値が0.3%となるように、すなわち、100×X/(100+6+X)=0.3となるように、混合した。滑剤には、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛の粉末(平均粒径(D50):5μm)を用いた。二酸化マンガンには、電解二酸化マンガンの粉末(平均粒径(D50):40μm)を用いた。黒鉛には、黒鉛の粉末(平均粒径(D50):8μm)を用いた。
上記の混合物に電解液を加え、充分に攪拌した後、フレーク状に圧縮成形して、正極合剤を得た。混合物と電解液との質量比は、混合物:電解液=100:1.5とした。電解液には、上記(1)で調製したアルカリ電解液と同じ電解液を用いた。
次に、フレーク状の正極合剤を粉砕して顆粒状とし、これを10〜100メッシュの篩によって分級して顆粒を得た。得られた顆粒を中空円筒形(高さ10.8mm)に加圧成形することによって、正極ペレット(質量2.9g)を得た。この正極ペレットを4個作製した。
(3)負極の作製
負極活物質と電解液とゲル化剤とを混合し、ゲル状の負極を得た。電解液には、上記(1)で調製したアルカリ電解液と同じ電解液を用いた。負極活物質には、0.02質量%のインジウムと、0.01質量%のビスマスと、0.005質量%のアルミニウムとを含む粉末状の亜鉛合金(平均粒径(D50):130μm)を用いた。ゲル化剤には、架橋分岐型ポリアクリル酸と高架橋鎖状型ポリアクリル酸ナトリウムとの混合物を用いた。ゲル状負極中の負極活物質と電解液とゲル化剤との質量比は、負極活物質:電解液:ゲル化剤=100:50:1とした。
(4)電池A1の組み立て
上記の構成要素を用いて、以下の方法で電池A1を組み立てた。電池A1の組み立ての手順について、図1を参照して説明する。まず、ニッケルめっき鋼板製の有底円筒形のケースの内面に、日本黒鉛株式会社製のコーティング剤(製品名:バニーハイト)を塗布して厚さ約10μmの炭素被膜を形成し、電池ケース1を得た。次に、電池ケース1内に正極ペレットを縦に4個挿入した後、加圧して、電池ケース1の内壁に密着した状態の正極2を形成した。有底円筒形のセパレータ4を正極2の内側に配置した後、上記(1)で調製したアルカリ電解液を注入し、セパレータ4に含浸させた。この状態で所定時間放置し、アルカリ電解液をセパレータ4から正極2へ浸透させた。その後、6.4gのゲル状の負極3を、セパレータ4の内側に充填した。
セパレータ4は、円筒形のセパレータ4aおよび底紙4bを用いて形成した。円筒形のセパレータ4aおよび底紙4bには、レーヨン繊維およびポリビニルアルコール繊維(質量比は1:1)を主体として混抄した不織布シートを用いた。
負極集電子6は、一般的な真鍮(Cu含有率:約65質量%、Zn含有率:約35質量%)を、釘型にプレス加工した後、表面にスズめっきを施すことによって形成した。ニッケルめっき鋼板製の負極端子板7に負極集電子6の頭部を電気溶接した。その後、負極集電子6の胴部を、ポリアミド−6,12を主成分とするガスケット5の中心の貫通孔に圧入した。このようにして、ガスケット5、負極集電子6、および負極端子板7からなる封口ユニット9を作製した。なお、図1のガスケット5は、環状の薄肉部5aを有する。
次に、封口ユニット9を電池ケース1の開口部に配置した。このとき、負極集電子6の胴部を負極3内に挿入した。次に、電池ケース1の開口端部を、ガスケット5を挟むように負極端子板7の周縁部にかしめつけることによって、電池ケース1の開口部を封口した。このようにして、電池ハウジング内に、正極2、負極3、セパレータ4、およびアルカリ電解液(図示せず)を配置した。
次に、外装ラベル8で電池ケース1の外表面を被覆した。このようにして、アルカリ乾電池(電池A1)を組み立てた。
さらに、電池A1において、比率Zの値を変化させたことを除いて同様の材料および方法で、6種類の電池を作製した。具体的には、比率Zの値を、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、0.7%、および1.0%とした。
(電池A2)
電池A2は、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛の粉末(平均粒径(D50):5μm)を滑剤として用いたことを除いて、電池A1と同様の材料および方法で作製した。比率Zは、電池A1と同じ0.3%とした。
(電池C1)
電池C1は、低分子量のポリテトラフルオロエチレンの粉末(平均粒径(D50):2.5μm)を滑剤として用いたこと、および、その比率Zを変えたことを除いて、電池A1と同様の材料および方法で作製した。比率Zは、0.2%とした。なお、フッ化黒鉛以外の滑剤を用いたときの比率Zは、以下の式で表されるものとする。
Z(%)=100×(正極に含まれる滑剤の粉末の質量)/(正極に含まれる二酸化マンガンの粉末と黒鉛の粉末と滑剤の粉末の合計の質量)
(電池C2)
電池C2は、ステアリン酸亜鉛の粉末(平均粒径(D50):10μm)を滑剤として用いたことを除いて、電池A1と同様の材料および方法で作製した。比率Z(%)は、0.3%とした。
(電池C3)
電池C3は、ステアリン酸カルシウムの粉末(平均粒径(D50):10μm)を滑剤として用いたことを除いて、電池A1と同様の材料および方法で作製した。比率Z(%)は、0.3%とした。
(放電特性の評価)
上記で作製した電池について、20℃において、3.9Ωの抵抗を接続して放電させた。そして、放電電圧が0.9Vになるまでの放電時間を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2021114377
表1に示すように、フッ化黒鉛を用いた電池A1およびA2は、電池C1〜C3に比べて、放電時間が長かった。特に、比率Zが0.1〜0.7%の範囲にある電池A1およびA2では、放電時間が大幅に長くなった。比率Zが0.1〜0.5%の範囲(たとえば0.2〜0.3%の範囲)にある場合には、放電時間が特に長かった。
上記の結果の理由は、現在のところ明確ではないが、可能性の1つとして以下のことが考えられる。アルカリ乾電池で放電特性を向上するためには、正極ペレットがアルカリ電解液を吸収しすぎず、且つ、二酸化マンガンの粒子(正極活物質粒子)にアルカリ電解液が充分に接触していることが好ましいと考えられる。ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどは、ペレット成形時に、繊維状または鎖状の撥水性物質となって二酸化マンガンの粒子(正極活物質粒子)の表面に付着する。それにより、活物質への電解液の供給量が低下し、電池C1〜C3の放電時の反応性が低下している可能性がある。
一方、所定の平均粒径のフッ化黒鉛の粒子を用いた場合、当該フッ化黒鉛の粒子は、正極ペレット内において、ある程度粒子状のままで二酸化マンガンの粒子間に存在すると考えられる。フッ化黒鉛粒子は撥水性を有するため、その撥水性によって、正極ペレットがアルカリ電解液を吸収しすぎることを抑制できる。一方、正極ペレット内のアルカリ電解液は、フッ化黒鉛粒子によって弾かれて二酸化マンガンの粒子に供給される。その結果、電池A1およびA2が良好な放電特性を示すと考えられる。
(実施例2)
実施例2では、滑剤の平均粒径が異なる6種類のアルカリ乾電池(電池B1〜B6)を作製して評価した。電池B1〜B6は、滑剤の平均粒径が異なることを除いて、電池A1と同様の材料および方法で作製した。すなわち、電池A1と同様に、滑剤には化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛の粉末を用い、比率Zは0.3%とした。
作製した電池B1〜B6について、実施例1と同様の条件で放電特性を評価した。評価結果を表2に示す。表2には、実施例1の電池A1のうち、滑剤の平均粒径が5μmであるものの結果も示す。
Figure 2021114377
表2に示すように、フッ化黒鉛の粉末の平均粒径が二酸化マンガンの粉末の平均粒径(40μm)よりも小さい場合には、より長い放電時間を達成できた。さらに、フッ化黒鉛の粉末の平均粒径が二酸化マンガンの粉末の平均粒径(40μm)の2分の1以下である場合には、特に長い放電時間を達成できた。別の観点では、フッ化黒鉛粉末の平均粒径が1〜35μmの範囲にある場合には放電時間がより長く、平均粒径が1〜20μmの範囲にある場合には放電時間が特に長かった。
(実施例3)
実施例3では、滑剤が異なる5種類の正極ペレット(ペレットPA1,PA2、およびペレットPC1〜PC3)を形成した。そして、所定の高さおよび質量の正極ペレットを成形するのに必要な圧力(打錠圧)を求めた。
(ペレットPA1の作製)
ペレットPA1は、電池A1の正極ペレットと同様の材料および方法で作製した。上述したように、滑剤には、化学式(CF)で表されるフッ化黒鉛の粉末(平均粒径(D50):5μm)を用い、比率Zを0.3%とした。このとき、上記のサイズの中空円筒形の正極ペレットを形成するために必要な圧力(打錠圧)を求めた。
さらに、ペレットPA1の作製において、比率Zを変えて7種類の正極ペレットを形成した。具体的には、比率Zを、0、0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、または1.0とした。そして、それぞれについて、上記のサイズの中空円筒形の正極ペレットを形成するために必要な圧力(打錠圧)を求めた。
(ペレットPA2の作製)
ペレットPA2は、電池A2の正極ペレットと同様の材料および方法で作製した。このとき、上記のサイズの中空円筒形の正極ペレットを形成するために必要な圧力(打錠圧)を求めた。
(ペレットPC1〜PC3の作製)
ペレットPC1〜PC3はそれぞれ、電池C1〜C3の正極ペレットと同様の材料および方法で作製した。このとき、上記のサイズの中空円筒形の正極ペレットを形成するために必要な圧力(打錠圧)を求めた。
上記の正極ペレットに用いられた滑剤の種類および比率Zと、打錠圧との関係を表3に示す。
Figure 2021114377
打錠圧が高いことは、正極ペレットの成形に大きな圧力が必要であることを意味する。表3に示すように、滑剤としてフッ化黒鉛を添加することによって、従来の滑剤と同等の打錠圧で正極ペレットを形成できた。一方、滑剤であるフッ化黒鉛を添加しない場合、成形性が低下した。
本開示は、アルカリ乾電池に利用できる。
1 電池ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 ガスケット
6 負極集電子
7 負極端子板
8 外装ラベル
9 封口ユニット
10 アルカリ乾電池

Claims (4)

  1. 正極を含むアルカリ乾電池であって、
    前記正極は、二酸化マンガンの粉末と、黒鉛の粉末と、フッ化黒鉛の粉末とを含み、
    前記正極に含まれる前記フッ化黒鉛の粉末の質量は、前記正極に含まれる前記二酸化マンガンの粉末と前記黒鉛の粉末と前記フッ化黒鉛の粉末の合計の質量の0.1〜0.7%の範囲にある、アルカリ乾電池。
  2. 前記フッ化黒鉛の粉末の平均粒径は、前記二酸化マンガンの粉末の平均粒径よりも小さい、請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  3. 前記フッ化黒鉛の粉末の平均粒径は、前記二酸化マンガンの粉末の平均粒径の2分の1以下である、請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  4. 前記フッ化黒鉛の粉末が、炭素とフッ素とを炭素:フッ素=1:1の組成比で含むフッ化黒鉛の粉末、および、炭素とフッ素とを炭素:フッ素=2:1の組成比で含むフッ化黒鉛の粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の粉末を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ乾電池。
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