JP2021113370A - 画像形成方法およびインクジェット捺染インク - Google Patents

画像形成方法およびインクジェット捺染インク Download PDF

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Abstract

【課題】汚れ落ちがよく、かつ良好な定着性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法を提供する。【解決手段】本発明の画像形成方法は、顔料と、カチオン性分散剤とを含むインクの液滴を、インクジェット方式で布帛上に付与する工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法およびインクジェット捺染インクに関する。
捺染方法として、従来では、染料で満たされた浴に布帛を浸漬して捺染を行う吸尽捺染などが知られているが、染色に長時間を要することから、生産効率が低かった。近年では、短時間で染色でき、生産効率が高いことなどから、インクジェット方式により布帛への画像形成を行う、所謂、インクジェット捺染が広く行われている。
インクジェット捺染では、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドから吐出させ、布帛に着弾させて画像形成を行う。インクジェット捺染で使用されるインクに含まれる色材の種類には、染料や顔料が含まれる。
染料を含むインクジェット捺染用インクとしては、例えば、綿、レーヨン繊維、麻繊維などを含む布帛向けでは、反応染料を含むインクが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に示されるような染料系インクで形成される画像は、布帛の繊維中に溶解または繊維と反応するため、繊維の風合いを失わずに高堅牢性の画像を得ることができる。一方で、溶解しなかった染料または反応しなかった染料を洗い流す洗浄工程が必要となるため、生産効率を一層高める観点では、そのような工程を省略できることが望まれている。
顔料を含むインクジェット捺染用インクとしては、例えば顔料と、バインダ樹脂と、スルホン酸塩系アニオン性界面活性剤と、水とを含有する顔料捺染インクジェットインク組成物が知られている(例えば特許文献2参照)。顔料は、それのみでは布帛と接着しにくいため、上記のようにバインダ樹脂をさらに含有させることで、布帛に接着させている。この方法では、染料のような洗浄工程を不要にしつつ、画像形成後、バインダ樹脂によって布帛に画像を定着させることができるため、極めて簡便な方法である。
特開2018−48414号公報 特開2019―163397号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、バインダ樹脂を含むインクを布帛に付与するため、布帛が硬くなってしまい、繊維の風合いが損なわれやすい。さらに、インクジェットで吐出するためには、インクが低粘度であることが必要であるため、定着に必要な十分な量のバインダ樹脂を入れることもできず、定着性や堅牢性も十分なものではなかった。
また、特許文献2に示されるように、インクジェット捺染に用いられる顔料系インクは、通常、顔料を、アニオン性分散剤で分散させたものが一般的である。そして、顔料をアニオン性分散剤で分散させたインクを用いる際に、定着性や堅牢性を高めるために、布帛にあらかじめカチオン性の前処理液で前処理して、画像の定着性を高めることが一般的に行われている。しかしながら、汚れ成分の代表例である醤油などの天然物の多くは、アニオン性を示すことから、カチオン性の前処理を施した布帛にこれらの汚れが付着すると、洗濯しても落ちにくいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、汚れ落ちがよく、かつ良好な定着性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法およびインクジェット捺染インクを提供することを目的とする。好ましくは、さらに繊維の風合いを損なうことなく、良好な洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法およびインクジェット捺染インクを提供することを目的とする。
本発明は、以下の画像形成方法およびインクジェット捺染インクに関する。
本発明の画像形成方法は、顔料と、カチオン性分散剤と、溶媒とを含むインクの液滴を、インクジェット方式で布帛上に付与する工程を含む。
本発明のインクジェット捺染インクは、顔料と、カチオン性分散剤と、炭素原子数2〜24の弱酸またはアニオン性界面活性剤と、溶媒とを含む。
本発明によれば、汚れ落ちがよく、良好な定着性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法およびインクジェット捺染インクを提供することができる。好ましくは、さらに繊維の風合いを損なうことなく、良好な洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法およびインクジェット捺染インクを提供することができる。
前述の通り、アニオン性分散剤を含むインクが付与される布帛の表面には、カチオン性基を付与するための前処理が行われる。しかしながら、カチオン性基を付与する前処理が施された布帛は、画像が形成されない部分においては、(汚れ成分との親和性が高い)カチオン性基が残るため、汚れが付着しやすく、汚れが付着すると落ちにくい。また、カチオン性基を付与する樹脂成分により、繊維の風合いが損なわれやすい。
これに対して本発明では、顔料分散剤として、従来のアニオン性分散剤ではなく、カチオン性分散剤を含むインクを用いる。それにより、(アニオン性分散剤を含むインクを用いる際に行われていた)布帛にカチオン性基を付与するための前処理を行う必要がないため、布帛の画像が形成されない部分において汚れが付着しにくくし、(汚れが付着しても)汚れが落ちやすくすることができる。特に、カチオン性分散剤を含むインクの顔料の吸着速度や定着性を高める観点で、表面にアニオン性基を有する布帛を用いた場合、アニオン性基は、汚れ成分との親和性が低いため、汚れが一層付着しにくく、(汚れが付着しても)汚れを一層落ちやすくすることができる。
すなわち、本発明の画像形成方法は、顔料と、カチオン性分散剤と、溶媒とを含むインク(インクジェット捺染インク)の液滴を、インクジェット方式で布帛上に付与する工程を含む。
さらに、当該該インクと、アニオン性基を有する布帛とを組み合わせることで、得られる画像の布帛に対する定着性を一層高め、かつ洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を高めうる。
また、このようなカチオン性分散剤を含むインクを用いたインクジェット捺染は、低濃度(例えば1質量%未満)の顔料系染料の浴中に布帛を長時間浸漬させる平衡反応(静的反応)によって行われる吸尽捺染とは異なり、高濃度(数質量%)のインクが布帛に浸透する極めて短時間のうちに、布帛の吸着サイトに吸着される動的反応によって行われる。このようなインクジェット捺染において、洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を一層高めるためには、顔料を布帛の表面の吸着サイトだけでなく、内部の吸着サイトまでに十分に吸着させることが好ましく;そのためには、1)布帛の内部までインクを浸透させやすくすること、2)顔料の吸着速度を適度に緩やかにすること(ゆっくり浸透させること)が好ましい。
上記1)については、例えば、インクに高沸点溶媒を一定量以上さらに含有させることで、布帛の表面でインクの乾燥による増粘を一層低減しうるため、インクの布帛への浸透性を一層高めうる。上記2)については、インクに所定の弱酸やアニオン性界面活性剤をさらに含有させることで、顔料の吸着サイトへの吸着速度を適度に緩やかにしうる。これらにより、顔料を、布帛の内部の吸着サイトにより吸着させやすくしうるため、洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を一層高めうる。
まず、本発明の画像形成方法に用いられるインクの構成について説明する。
1.インクジェット捺染インク
インクジェット捺染インクは、顔料と、カチオン性分散剤と、溶媒とを含む。
1−1.顔料
顔料は、特に限定されないが、例えばカラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料または無機顔料でありうる。
赤またはマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36が含まれる。
青またはシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60が含まれる。
緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50が含まれる。黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193が含まれる。
黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26が含まれる。
顔料の市販品の例には、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業製); KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製);Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、ColortexBlue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製);Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製);Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)が含まれる。
顔料の分散粒径(インク中の、カチオン性分散剤が吸着した顔料粒子の平均粒子径(Z平均)は、インクジェット方式による射出性を損なわない範囲であればよく、特に制限されないが、100〜350nmであることが好ましい。顔料の分散粒径は、動的散乱を用いた粒径分布測定器により測定することができる。
顔料の含有量は、特に限定されないが、インクの粘度を上記範囲内に調整しやすく、かつ高濃度の画像を形成可能にする観点では、インクに対して1.5〜15質量%であることが好ましい。顔料の含有量が1.5質量%以上であると、高濃度の画像を形成しやすく、15質量%以下であると、インクの粘度が高くなりすぎないため、射出安定性が損なわれにくい。顔料の含有量は、同様の観点から、インクに対して5〜15質量%であることがより好ましい。
1−2.カチオン性分散剤
カチオン性分散剤は、インク中で、顔料粒子の表面を取り囲むように存在するか、または、顔料粒子の表面に吸着されることにより、顔料分散体を形成し、顔料を良好に分散させる。
カチオン性分散剤が有するカチオン性基の例には、第2級アミノ基(イミノ基)、第3級アミノ基または第4級アンモニウム基などでありうる。
そのようなカチオン性分散剤は、上記のような顔料分散体を形成しうるものであればよく、特に制限されないが、例えばカチオン性重合体(ポリマーまたはプレポリマー)やカチオン性化合物でありうる。
カチオン性重合体の例には、カチオン性基(第3級アミノ基または第4級アンモニウム基)を有するエチレン性不飽和モノマーの(共)重合体が含まれる。
第3級アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーの例には、
ジメチルまたはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルまたはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;
ジメチルまたはジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド,ジメチルまたはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類;
アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類
などが含まれる。
第4級アンモニウム基を有するエチレン性不飽和モノマーの例には、
2−(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メタ)アクリロイロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩;
アクリルアミド−2−(アクリロイルオキシ)メチルトリメチルアンモニウムクロリド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩;
2−(メタ)アクリロイロキシエチルベンジルアンモニウムクロライド、2−(メタ)アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの2−(メタ)アクリロイロキシアルキルベンジルアンモニウム塩;
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドなどのジアルキルジアリルアンモニウム塩
などが含まれる。
カチオン性基(第3級アミノ基または第4級アンモニウム基)を有するエチレン性不飽和モノマーは、1種類だけであってもよいし、2種類以上あってもよい。例えば、第3級アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、第4級アンモニウム基を有するエチレン性不飽和モノマーとを共重合させてもよい。
また、これらのカチオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーは、他のモノマーと共重合されてもよい。他のモノマーの例には、(メタ)アクリル酸およびそのエステル類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー類が含まれる。
このようなカチオン性重合体の例には、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ブチルアクリレート-ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、アクリルアミド−2−(アクリロイルオキシ)メチルトリメチルアンモニウムクロリド重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体などが含まれる。
カチオン性重合体の他の例には、ポリエチレンイミンまたはその変性物、アミノ基変性シリコーンなども含まれる。
カチオン性重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、5000〜30000であることが好ましい。カチオン性分散剤の重量平均分子量が5000以上であると、顔料粒子を十分に分散させやすく、30000以下であると、インクが増粘しすぎないため、布帛への浸透性が損なわれにくい。
カチオン性重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりスチレン換算にて測定することができる。
カチオン性化合物の例には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドなどのテトラアルキル4級アンモニウム塩;アミン塩、トリアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩が含まれる。
カチオン性分散剤のカチオン性基当量は、顔料粒子を十分に分散させうる程度であればよく、特に制限されないが、例えば1〜50mg/eqであることが好ましい。1分子あたりのカチオン性基の量が上記範囲内であると、カチオン性分散剤の分子量を大きくしなくても、高い顔料分散性が得られやすい。カチオン性分散剤のカチオン性基当量は、アミン価の測定方法で測定することができる。
カチオン性分散剤の含有量は、顔料粒子を十分に分散させるとともに、布帛に対する浸透性を損なわない程度の粘度を有する範囲であればよく、特に制限されないが、顔料に対して20〜100質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
1−3.溶媒
溶媒は、特に制限されないが、水を含むことが好ましく、水溶性有機溶剤をさらに含むことが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水と相溶するものであれば特に制限されないが、インクを布帛の内部まで浸透させやすくする観点、インクジェット方式での射出安定性を損なわれにくくする観点では、インクが乾燥により増粘しにくいことが好ましい。したがって、インクは、沸点が200℃以上の高沸点溶媒を含むことが好ましい。
沸点が200℃以上の高沸点溶媒は、沸点が200℃以上である水溶性有機溶剤であればよく、ポリオール類やポリアルキレンオキサイド類であることが好ましい。
沸点が200℃以上のポリオール類の例には、1,3−ブタンジオール(沸点208℃)、1,6−ヘキサンジオール(沸点223℃)、ポリプロピレングリコールなどの2価のアルコール類;グリセリン(沸点290℃)、トリメチロールプロパン(沸点295℃)などの3価以上のアルコール類が含まれる。
沸点が200℃以上のポリアルキレンオキサイド類の例には、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点245℃)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点305℃)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点256℃);および
ポリプロピレングリコールなどの2価のアルコール類のエーテルや、グリセリン(沸点290℃)、ヘキサントリオールなどの3価以上のアルコール類のエーテルが含まれる。
沸点が200℃以上の高沸点溶媒の含有量は、顔料に対して2〜10倍であることが好ましい。当該高沸点溶媒の含有量が顔料に対して2倍以上であると、布帛の表面に着弾したインクの液滴が乾燥により過度には増粘しにくいため、インクが布帛の内部に浸透しないうちに、布帛の表面だけでインクが乾燥により増粘し、顔料が吸着されるのを抑制しやすい。当該高沸点溶媒の含有量が顔料に対して10倍以下であると、乾燥性が損なわれすぎない。沸点が200℃以上の高沸点溶媒の含有量は、同様の観点から、顔料に対して4〜8倍であることがより好ましい。
溶媒は、上記高沸点溶媒以外の他の溶媒をさらに含んでもよい。他の溶媒の例には、沸点が200℃未満の多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサントリオールなど);沸点が200℃未満の多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル;1価アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール);アミン類(例えば、エタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン);アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド);複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド);およびスルホン類(例えば、スルホラン)が含まれる。
1−4.他の成分
インクジェット捺染インクは、必要に応じて他の成分をさらに含みうる。他の成分の例には、アニオン性界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤などが含まれても良い。
(アニオン性界面活性剤)
インクジェット捺染インクは、顔料の凝集速度を調整する観点、具体的には、インク中の顔料を、布帛の表面だけでなく、内部まで浸透させながら吸着させやすくする観点から、炭素原子数2〜24の弱酸またはアニオン性界面活性剤をさらに含むことが好ましい。すなわち、当該弱酸またはアニオン性界面活性剤は、顔料粒子に吸着したカチオン性分散剤と電気的に引き合うことで、顔料粒子と布帛との電気的な作用を適度に弱めうるため、布帛の表面に対する吸着速度を緩やかにしうる。
炭素原子数2〜24の弱酸の例には、酢酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪酸(塩)が含まれる。
アニオン性界面活性剤は、カルボキシル基などのアニオン性基を有する界面活性剤であり、その例には、アルキル硫酸塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム塩など)、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩(例えばスルホジオクチルコハク酸Na塩など)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリアクリル酸およびそのエステル、カルボキシメチルセルロースなどの繊維誘導体が含まれる。中でも、後述するように低分子量であり粘度を上昇させない観点では、アルキル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
アニオン性界面活性剤の分子量は、特に制限されないが、インクの粘度を上昇させすぎないようにする観点から、低分子量であることが好ましい。具体的には、アニオン性界面活性剤の分子量は、100〜500であることが好ましい。
アニオン性界面活性剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
炭素原子数2〜24の弱酸およびアニオン性界面活性剤の合計量は、インクにおけるカチオン性分散剤由来のカチオン性基の量に対して25〜85モル%であることが好ましい。上記合計量が25モル%以上であると、カチオン性分散剤が吸着した顔料粒子の、布帛の表面への吸着速度を適度に低くしうるため、布帛の内部までインクを浸透させやすく、布帛の内部に当該顔料粒子を吸着させやすい。それにより、画像形成後の布帛の耐摩擦性(擦り耐性)を高めることができる。上記合計量が85モル%以下であると、カチオン性分散剤による顔料の分散効果が損なわれにくい。
(防腐剤、防黴剤)
防腐剤または防黴剤の例には、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などが含まれる。
(pH調整剤)
pH調整剤の例には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウムなどが含まれる。
(バインダ樹脂について)
本発明のインクに含まれるカチオン性分散剤は、顔料の分散性を高めるだけでなく、布帛に対する定着性も高めうる。また、布帛の表面にアニオン性基がある場合は、インクに含まれるカチオン性分散剤のカチオン性基と、布帛の表面のアニオン性基とが電気的に引き合うため、インクの定着性を一層高めうる。このように、本発明のインクは、布帛上に定着性の良好な画像を形成しうるため、従来の顔料系インクに含まれるような、分子量が1万を超える水溶性樹脂や樹脂粒子などのバインダ樹脂を実質的に含まなくすることができる。実質的に含まないとは、例えばインクの全固形分に対して2質量%以下であることをいう。それにより、(バインダ樹脂による)ゴアつきがなく、(布帛の)生地の風合いを損なうことなく、布帛に対する良好な定着性を有する画像形成物を得ることができる。
1−5.物性
インクの、25℃におけるpHは、4〜9であることが好ましい。インクのpHが上記範囲内であると、インク中のカチオン性分散剤自体が凝集しにくく、安定に分散されやすいだけでなく、インクのpHを中性に調整しやすい。それにより、インクジェットヘッドの吐出口近傍を構成する材料が、インクによってダメージを受けにくくすることもできる。インクのpHは、JIS Z 8802:2011に準拠して測定することができる。インクのpHは、pH調整剤により調整することができる。
インクの、25℃における粘度は、インクジェット方式による射出性が良好となる程度であればよく、特に制限されないが、3〜20mPa・sであることが好ましく、4〜12mPa・sであることがより好ましい。
インクの粘度は、E型粘度計により、25℃で測定することができる。
1−6.インクの調製
本発明のインクは、任意の方法、例えば前述の顔料と、カチオン性分散剤と、溶媒とを混合するステップを経て製造することができる。具体的には、顔料と、カチオン性分散剤と、溶媒(水など)とを混合して、顔料分散液を得た後、当該顔料分散液と、残りの成分(例えばアニオン性界面活性剤、高沸点溶媒、pH調整剤など)とをさらに混合するステップを経て製造されることが好ましい。それにより、顔料が良好に分散したインクが得られやすい。
次に、本発明のインクを用いた本発明の画像形成方法について説明する。
2.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、本発明のインクの液滴を、インクジェット方式で布帛上に付与する工程を含む。
具体的には、本発明の画像形成方法は、1)インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、布帛上にインクの液滴を付与する工程(インク付与工程)と、2)布帛に付与したインクを乾燥および定着させる工程(乾燥・定着工程)とを含む。
1)の工程(インク付与工程)について
インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、布帛上にインクの液滴を付与する。
布帛の種類は、本発明のインクによって画像形成できるものであればよく、特に制限されないが、顔料の吸着速度や定着性を高める観点では、布帛は、少なくとも表面にアニオン性基を有することが好ましい。
少なくとも表面にアニオン性基を有する布帛は、前処理されたものであってもよいし、前処理されていないものであってもよい。すなわち、アニオン性基を有する繊維(例えば綿やアニオン性基を有するポリエステル)を含む布帛は、そのままでもアニオン性基を有するため、必ずしも前処理によってアニオン性基が付与されてなくてもよい。一方、アニオン性基を有する繊維を含まない布帛は、そのままではアニオン性基を有しないため、前処理によってアニオン性基が付与されることが好ましい(後述の3)の工程を参照)。
布帛を構成する繊維素材は、本発明のインクで画像形成可能な繊維であれば制限されない。布帛を構成する繊維素材は、綿(セルロース繊維)、麻、羊毛、絹などの天然繊維や;レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリエステルまたはアセテートなどの化学繊維を含むことが好ましい。布帛は、これらの繊維を、織布、不織布、編布など、いずれの形態にしたものであってもよい。また、布帛は、2種類以上の繊維の混紡織布または混紡不織布などであってもよい。
2)の工程(乾燥・定着工程)について
乾燥工程では、布帛に付与したインクを乾燥させて、インク中の溶媒成分を除去する。それにより、布帛に付与したインクを定着させる。
乾燥方法は、特に制限されず、ヒーター、温風乾燥機、加熱ローラなどを用いた方法でありうる。中でも、温風乾燥機とヒーターを用いて、布帛の両面を加熱して乾燥させることが好ましい。
乾燥温度は、特に制限されないが、例えば150℃以下としうる。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、例えば0.5〜30分間程度としうる。
また、本発明の画像形成方法は、必要に応じて、3)布帛を前処理する工程(前処理工程)をさらに含んでもよい。
3)の工程(前処理工程)について
前処理工程では、布帛に前処理剤を付与する。
前処理剤は、布帛の表面にアニオン性基を付与しうるものであればよく、特に制限されない。具体的には、前処理剤は、アニオン性基を有する化合物を含むアニオン性前処理剤である。
アニオン性基を有する化合物は、特に制限されず、アニオン性界面活性剤と同様のものであってもよいし、アニオン性基を有する高分子化合物などであってもよい。アニオン性基を有する高分子化合物の例には、ペクチン酸などの植物皮類、カルボキシメチルセルロースなどの繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉などの加工澱粉、アクリル酸・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体などのアクリル酸を共重合成分とするアクリル系重合体)などの合成糊などが含まれる。
前処理剤は、必要に応じてpH調整剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。防腐剤としては、インクジェット捺染インクの防腐剤として挙げたものと同様のものを使用できる。
布帛に前処理剤を付与する方法は、特に制限されないが、例えばパッド法、コーティング法、スプレー法、またはインクジェット法などでありうる。
布帛に付与された前処理剤は、温風、ホットプレート、またはヒートローラーを用いて加熱乾燥させることもできる。
なお、均一な画像を得やすくする観点から、布帛に前処理剤を付与する前に、布帛繊維に付着した天然不純物(油脂、ロウ、ペクチン質、天然色素など)、布帛製造過程で用いた薬剤の残留物(のり剤など)、または布帛に付着した汚れなどを洗浄しておいてもよい。
このように、本発明のインク(顔料系インク)を用いて得られる画像は、布帛に対する定着性に優れる。したがって、従来の染料系インクでは必要とされていた発色工程や洗浄工程などをなくすことができる。さらに、布帛の少なくとも表面が、アニオン性基を有することで、洗濯堅牢性や摩擦堅牢性が優れた画像形成物を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.インクの構成成分
(1)顔料
Pigment Red 122(PR122)
(2)カチオン性分散剤
分散剤1:ブチルアクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(カチオン性分散剤、重量平均分子量16000、カチオン性基当量4.4meq/g)
分散剤2:ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(カチオン性分散剤、重量平均分子量12000、カチオン性基当量6.4meq/g)
分散剤3:アクリルアミド・2−(アクリロイルオキシ)メチルトリメチルアンモニウムクロリド重合体(カチオン性分散剤、重量平均分子量11000、カチオン性基当量2.3meq/g)
分散剤4:ポリエチレンイミン(カチオン性分散剤、重量平均分子量2400、カチオン性基当量23.2meq/g)
分散剤5:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(カチオン性分散剤、重量平均分子量40000、カチオン性基当量5.3meq/g)
分散剤6:スチレン・アクリル共重合体(アニオン性分散剤、重量平均分子量16000)
なお、カチオン性分散剤(カチオン性重合体)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、スチレン換算にて測定した。
(3)弱酸またはアニオン性界面活性剤
酢酸(分子量60)
コハク酸(分子量118.09)
ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)(分子量288.38)
スルホジオクチルコハク酸Na塩(2−Sulfodioctylsuccinate Na塩、分子量445)
ポリオキシエチレン(n=2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(分子量376)
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(分子量3000)
(4)溶媒
エチレングリコール(沸点197.6℃)
プロピレングリコール(沸点188.2℃)
グリセリン(沸点290℃)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点245℃)
2.インクの調製
<顔料分散液1〜10の調製>
表1に示される組成(単位は質量%)となるように、顔料、分散剤およびイオン交換水を混合および攪拌して、顔料分散液1〜10を得た。
得られた顔料分散液1〜10の組成を表1に示す。
Figure 2021113370
<インク1〜24の調製>
次いで、表2に示される組成となるように、顔料分散液、アニオン性界面活性剤、溶媒、およびイオン交換水を混合および攪拌して、インク1〜24を得た。
<評価>
得られたインク1〜24における顔料の分散粒径、インクの粘度およびpHを、以下の方法で測定した。また、インクに含まれるカチオン性基の量とアニオン性基の量は、仕込み量から算出した。
(顔料の分散粒径)
インク中の顔料の分散粒径(Z平均)は、Melvern社製Zataizer NanoS90により測定した。
(粘度)
インクの粘度は、E型粘度計TV−33(東機産業株式会社製)により、25℃、20rpmで測定した。
(pH)
インクのpHは、JIS Z 8802:2011に準拠して25℃にて測定した。
インク1〜16の組成および物性を、表2に示し、インク17〜24の組成および物性を表3に示す。
Figure 2021113370
Figure 2021113370
3.画像形成試験および評価
<布帛A〜Cの準備>
布帛A〜Cとして、以下のものを準備した。
布帛A:綿布
布帛B:ポリエステル布
布帛C:アクリル布
<布帛DおよびEの準備>
下記組成の前処理剤1を準備した。
(前処理剤1)
スチレン・アクリル酸共重合体(アニオン性前処理剤):3質量部
水:97質量部
そして、上記前処理剤1を綿布およびポリエステル布を浸漬させた後、絞り、乾燥させて、布帛DおよびEをそれぞれ得た。
<布帛Fの準備>
下記組成の前処理剤2を準備した。
(前処理剤2)
ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド):3質量部
水:97質量部
そして、布帛として綿布を用い、前処理剤として上記前処理剤2を用いた以外は布帛DおよびEと同様の方法および条件で前処理を行い、布帛Fを得た。
<試験1〜29>
まず、画像形成装置として、インクジェット用ヘッド(コニカミノルタヘッド #204)を準備した。次いで、表4または5に示されるインクを、上記画像形成装置のインクジェットヘッドのノズルから吐出させて、布帛上に画像を形成した。具体的には、以下の手順で画像形成を行った。
(インク付与工程)
得られたインクを、画像形成装置にセットした。そして、主走査540dpi×副走査720dpiにて、得られたインクを用いて上記布帛上に、ベタ画像を形成した。なお、dpiとは、2.54cm当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。吐出周波数は、22.4kHzとした。
(乾燥工程)
インクを付与した布帛を、ベルト搬送式乾燥機にて160℃で3分間乾燥させた。
<評価>
試験1〜29で得られた画像形成物について、汚れの落ちやすさ、風合い、洗濯堅牢性および摩擦堅牢性を、以下の方法で評価した。
(出射安定性)
得られた画像形成物を目視観察し、以下の基準で出射安定性を評価した。
○:画像がかすれておらず、均一に見える
△:画像が一部かすれている
×:画像でカスレが多くみられる
△以上であれば、許容範囲とした。
(汚れの落ちやすさ)
得られた画像形成物上に、約1mの醤油を垂らした後、乾燥させて、汚れが付いた画像形成物を準備した。この画像形成物を、ナショナル社製全自動洗濯機NA−F800Pを用いて、画像形成物を冷水で30分間洗濯して、汚れの落ちやすさを評価した。評価は、以下の基準で目視評価を行った。
○:醤油汚れが完全に落ちている
△:醤油汚れが少し残っている
×:醤油汚れがかなり残っている
△以上であれば、許容範囲とした。
(風合い)
得られた画像形成物と生地の風合いを手指で触って、官能的に評価した。評価は、以下の基準に基づいて行った。
○:生地本来の柔らかさを維持している
△:生地本来の柔らかさが失われ、少し硬くなっているが、生地の風合いは損なわれていない
×:生地本来よりも硬くなっており、生地の風合いが損なわれている
△以上であれば、許容範囲とした。
(洗濯堅牢性)
得られた画像形成物をナショナル社製全自動洗濯機NA−F800Pを用いて、JIS L−0844 A−2号(2011年改定)に基づいて、洗濯堅牢性を評価した。
数値が大きいほうが、洗濯堅牢性に優れることを示す。3以上であれば、許容範囲とした。
(摩擦堅牢性)
得られた画像形成物の乾燥摩擦堅牢性を、JIS L−0849 II形(2013年改定)に基づいて評価した。
数値が大きいほうが、摩擦堅牢性に優れることを示す。3以上であれば、許容範囲とした。
試験1〜16の評価結果を表4に示し;試験17〜29の評価結果を表5に示す。
Figure 2021113370
Figure 2021113370
表4および5に示されるように、カチオン性分散剤を含むインク(インク12以外)を用いた試験1〜11および13〜28では、布帛の生地の風合いを損なうことなく、良好な洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を有し、かつ良好な定着性を有する画像形成物が得られることがわかる。また、得られる画像形成物の汚れ落ちも良好であることがわかる。
これに対して、アニオン性分散剤を含むインク12を用いた試験12および29では、得られる画像形成物の汚れ落ちが悪いことがわかる。また、試験12では、得られる画像の定着性が不十分であり、洗濯堅牢性や摩擦堅牢性が低いことがわかる。
本発明によれば、汚れ落ちがよく、かつ良好な定着性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法およびインクジェット捺染インクを提供することができる。さらに、繊維の風合いを損なうことなく、良好な洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を有する画像を布帛上に形成可能な画像形成方法およびインクジェット捺染インクを提供することができる。

Claims (17)

  1. 顔料と、カチオン性分散剤と、溶媒とを含むインクの液滴を、インクジェット方式で布帛上に付与する工程を含む、
    画像形成方法。
  2. 前記布帛の、少なくとも前記インクの液滴が付与される表面には、アニオン性基がある、
    請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記布帛は、綿またはアニオン性基を有するポリエステルである、
    請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記カチオン性分散剤は、カチオン性重合体である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記カチオン性重合体の重量平均分子量は、5000〜30000である、
    請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 前記インクは、炭素原子数2〜24の弱酸またはアニオン性界面活性剤をさらに含む、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  7. 前記炭素原子数2〜24の弱酸および前記アニオン性界面活性剤の合計量は、前記インクにおける前記カチオン性分散剤由来のカチオン性基の量に対して25〜85モル%である、
    請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記インクは、ポリオール類およびポリアルキレンオキサイド類からなる群より選ばれる、沸点が200℃以上の高沸点溶媒をさらに含み、
    前記高沸点溶媒の含有量は、前記顔料に対して2〜10倍である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  9. 前記インクの25℃におけるpHは、4〜9である、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  10. 前記顔料の粒子の表面には、前記カチオン性分散剤が吸着されており、
    前記カチオン性分散剤が吸着した前記顔料の粒子の平均粒子径は、100〜350nmである、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  11. 前記インクの25℃における粘度は、3〜20mPa・sである、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  12. 前記顔料濃度は、1.5〜15質量%である、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  13. 顔料と、カチオン性分散剤と、炭素原子数2〜24の弱酸またはアニオン性界面活性剤と、溶媒とを含む、
    インクジェット捺染インク。
  14. 前記炭素原子数2〜24の弱酸および前記アニオン性界面活性剤の合計量は、前記インクジェット捺染インクにおける前記カチオン性分散剤由来のカチオン性基の量に対して25〜85モル%である、
    請求項13に記載のインクジェット捺染インク。
  15. 前記アニオン性界面活性剤の分子量は、100〜500である、
    請求項13または14に記載のインクジェット捺染インク。
  16. 前記カチオン性分散剤は、カチオン性重合体である、
    請求項13〜15のいずれか一項に記載のインクジェット捺染インク。
  17. 前記カチオン性重合体の重量平均分子量は、5000〜30000である、
    請求項16に記載のインクジェット捺染インク。
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