JP2021113345A - 廃電池からの有価金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃電池に含有される有価金属を効率的かつ安価に回収する方法を提供する。【解決手段】廃電池を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程S1と、焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程S2と、破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程S4と、篩下物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程S6を有する処理において、還元熔融工程S6で用いる炉が誘導炉IFであり、誘導炉IFに棒状炭素質還元剤6を挿入して上下位置を調整し、炉内物Sへの浸漬量を調整する。棒状炭素質還元剤6を炉内に入れることにより、誘導加熱によって炭素質還元剤6を発熱させ炉内温度を上昇させ、廃電池を還元しながら熔融する。また、棒状炭素質還元剤6を上下させて還元度を調整し、効率良く有価金属を含有するメタルを得る。【選択図】図1

Description

本発明は、廃電池からの有価金属回収方法に関する。さらに詳しくは、リチウムイオン電池などの廃電池から有価金属を回収する回収方法に関する。
近年、軽量で大出力の二次電池としてリチウムイオン電池が普及している。リチウムイオン電池としては、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極集電体に黒鉛等の負極活物質を固着した負極材、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着した正極材、ポリプロピレン等の多孔質樹脂フィルムからなるセパレータ、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含む電解液等を封入したものが知られている。
リチウムイオン電池の主要な用途の一つに、ハイブリッド自動車や電気自動車があるが、自動車のライフサイクルとともに、将来において搭載されたリチウムイオン電池が大量に廃棄される見込みとなっている。このような使用済みの電池や製造中に生じた不良品を資源として再利用する提案が多くなされている。その一つとして廃電池を高温の炉で全量熔解する乾式処理がある。
廃電池には、ニッケル、コバルト、銅などの有価金属の他に、炭素、アルミニウム、フッ素、リンなどの不純物が含まれる。廃電池から有価金属を回収するにはこれらの不純物を除去する必要がある。特にフッ素やリンは難分解性の有機物として含有されており、不用意にガスや排水などとして大気中や河川などの環境中に放出することは避けなければならない。
さらに各種電池のうち、リチウムイオン電池は高容量で電圧も高い特徴がある。そのため、廃電池を処理するには電池に残留する電荷を放電させるなどして消滅させ、安全に解体する無害化処理が欠かせない。
具体的な処理方法として、たとえば廃電池を焙焼して無害化したのち、破砕あるいは粉砕処理を行い、その後に篩や磁選等の処理に付して分別し、その分別物から有価金属を回収する方法がある。
この方法で回収した有価金属は、公知の乾式処理や湿式処理に付して不純物をさらに分離し高純度に精製された有価金属を得ることができる。そして有価金属は例えば再度リチウムイオン電池の原料として供することができる。
乾式処理を用いて廃電池からのコバルトを回収方法として、特許文献1では、廃電池を熔融炉へ投入して酸素により酸化する処理が提案されている。
また、特許文献2では、廃電池を熔融してスラグを分離して有価物を回収した後、脱リン工程で石灰系のフラックスを添加して熔融することでリンを除去する処理が提案されている。
上記のような乾式処理を用いて廃電池を熔融還元する際には炉が必要となる。
炉にはプラズマ炉、アーク炉、および誘導炉などがある。しかしながらプラズマ炉やアーク炉は装置費用が高額であり、還元度を微妙に調整する操作が難しいという問題がある。
一方、誘導炉は還元度の調整は比較的行い易い特長があるが、誘導電流で加熱するためには電気を流し易い金属や黒鉛(カーボン)の介在が必要となる。このため廃電池にわざわざ加熱させるための金属を入れることから余計なコストを要したり、黒鉛坩堝を用いて坩堝から加熱することが必要となる。しかもとくに後者の黒鉛坩堝を用いた場合、黒鉛自身は還元剤にもなり得るため、熔融する廃電池の還元が過剰に進行したり、黒鉛坩堝の酸化が進行して破損しやすくなり坩堝コストや交換の手間が増加し生産効率や安定性を損ねるなどの課題がある。
上述のように、廃電池を還元熔融しようとする場合、コストや効率の点で多くの課題が残されていた。
特開2013−91826号公報 特表2013−506048号公報
本発明は、上記実情に鑑み、廃電池に含有される有価金属を効率的かつ安価に回収する方法を提供することを目的とする。
第1発明の廃電池からの有価金属回収方法は、廃電池を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程と、前記焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、前記破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程と、前記篩下物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程を有する処理に付すことで廃電池から有価金属を回収する方法において、前記還元熔融工程で誘導炉を用い、前記誘導炉において、炉内上方から棒状に形成された棒状炭素質還元剤を挿入し、棒状炭素質還元剤の上下位置を調整して篩下物、還元物およびスラグを含む炉内物に浸漬させ、かつ前記棒状炭素質還元剤の浸漬深さを調整することで還元熔融の還元度を制御することを特徴とする。
第2発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1発明において、前記棒状炭素質還元剤を横移動させて、前記炉内物を撹拌することを特徴とする。
第3発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1または第2発明において、磁着物である鉄を除去する磁選工程を前記篩工程の前または後で行うことを特徴とする。
第4発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1、第2または第3発明において、篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程を前記還元熔融工程の前で行うことを特徴とする。
第5発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1、第2、第3または第4発明において、前記棒状炭素質還元剤の使用量を、前記誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上18質量%以下の範囲となるように制御することを特徴とする。
第6発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記棒状炭素質還元剤の組成が、炭素品位65質量%以上であることを特徴とする。
第7発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記棒状炭素質還元剤を、その上方部分を酸化防止カバーで被覆することを特徴とする。
第8発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第7発明において、前記酸化防止カバーの材質が、セラミックスまたは金属であることを特徴とする。
第9発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8発明において、回収される有価金属が少なくともコバルト、ニッケル、および銅から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
第1発明によれば、焙焼工程で焙焼することにより廃電池を粉砕しやすくしておき、破砕工程で廃電池の全量を細かく破砕して破砕物を得ると、篩工程で篩下物と篩上物に分離することで、篩下物を還元熔融工程に付す準備ができる。
そして、還元熔融工程においては、棒状炭素質還元剤を炉内に入れて誘導加熱によって炭素質還元剤を発熱させ炉内温度を上昇させる。誘導加熱によって炭素質還元剤が発熱すると炉内物の還元反応が進行しメタルが生成する。同時に生成したメタルが誘導炉の誘導加熱を受けて発熱し、炉内温度が上昇するので、この発熱によって誘導加熱できないスラグをも熔融することもできる。棒状炭素質還元剤の上下位置を調整して酸化焙焼物、還元物およびスラグを含む炉内物に浸漬させ、かつ棒状炭素質還元剤の浸漬深さを調整することで還元熔融の還元度を制御すると、有価金属を含有するメタルが効率的かつ安価に得られる。
第2発明によれば、棒状炭素質還元剤6の横移動によって炉内物が撹拌されれば、棒状炭素質還元剤の表面に新しい炉内物が接触するので、発熱と還元が効率よく進むことになる。
第3発明によれば、磁選により、鉄分の除去ができているのでスラグの融点や粘性等の設計が簡単に行え、後工程の湿式工程での処理費用も低減できる。
第4発明によれば、酸化焙焼することによって廃電池中の還元剤になり得る成分を酸化すると廃電池の品質を均一化できるので、還元度を制御しやすくできる。
第5発明によれば、棒状炭素質還元剤の炉内物への浸漬量を、誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上、18質量%以下の範囲に制御することで、熔融された廃電池と炭素質還元剤の接触の頻度が増す。このため、還元反応が効率よく進行する。
第6発明によれば、棒状炭素質還元剤の炭素品位を65質量%以上にしているので、還元効率が高くなり不純物の混入も少なくなる。
第7発明によれば、酸化防止カバーが棒状炭素質還元剤の大気雰囲気中での酸化を抑制するので炭素質還元剤の寿命を延ばすことができる。
第8発明によれば、酸化防止カバーの材質に金属を用いたときは加工が容易で衝撃による割れも防止でき、セラミックを用いたときは融点が高いので熔ける恐れがなくなる。
第9発明によれば、コバルトやニッケル、銅を各種産業で再利用できるほか、再度リチウムイオン電池の原料に供することができる。
本発明に係る有価金属回収方法の一例を示す工程図である。 還元熔融工程S6の説明図である。 酸化防止カバー7の一例を示す説明図である。 酸化防止カバー7の他の例を示す説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の有価金属回収方法を適用できる廃電池には、リチウムイオン電池に限られず、非水溶系二次電池としてのLi・AL−リチウム含有二酸化マンガン二次電池、リチウムポリマー電解質二次電池など、また水溶液系二次電池としてのニッケル−カドミニウム電池やニッケル−水素電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−鉄電池など、各種の電池が含まれる。
廃電池から有価金属を回収するにあたっては、乾式製錬プロセスに加え、湿式製錬プロセスを行う場合もあるが、本発明に係る有価金属の回収方法は、乾式製錬プロセスに係るものである。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
≪本発明に係る有価金属回収方法の概要≫
本発明に係る有価金属回収方法は、図1に示すように、廃電池を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程S1と、焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程S2と、破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程S4と、篩下物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程S6を含み、これらの工程を必須の工程とする。そして、前記還元熔融工程S6において誘導炉を用い、この誘導炉に棒状に成形した棒状炭素質還元剤を添加することを特徴とする
なお、本発明の有価金属回収方法において、磁着物である鉄を除去する磁選工程S3と篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程S5を実施することがあるが、これら両工程は任意である。
本発明において、廃電池とは、既述のごとくリチウムイオン電池や各種電池の使用済み電池そのものの外、二次電池を構成する正極材等の製造工程で生じた不良品、製造工程内部の残留物、電池の製造工程内における発生屑等の廃材も含む概念である。これらの廃電池には、たとえば、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属が含まれている。
本発明では、廃電池を還元熔融する際に誘導炉を用い、棒状炭素質還元剤を炉内に入れることにより、誘導加熱によって炭素質還元剤を発熱させ炉内温度を上昇させることを技術原理としている。
本発明の技術原理によれば、誘導加熱によって炉内に入れられた棒状炭素質還元剤が発熱すると炉内の廃電池の還元反応が進行しメタルが生成する。同時に生成したメタルが誘導炉の誘導加熱を受けて発熱し、炉内温度が上昇する。この発熱によって誘導加熱できないスラグをも熔融することができる。これら一連の作用によってメタルの生成と炉内温度の上昇を両立させて、廃電池を還元しながら熔融できる。
また、本発明では炭素質還元剤として棒状に形成した棒状炭素質還元剤を使う。棒状炭素質還元剤の上下位置を調整して酸化焙焼物、還元物およびスラグを含む炉内物に浸漬させ、かつ棒状炭素質還元剤の浸漬深さを調整することで還元熔融の還元度を制御する。このようにして有価金属を含有するメタルが効率的かつ安価に得ることができる。
上記のような乾式製錬プロセスを経て得られたメタルに対して、後工程で湿式製錬プロセスを実行してもよく、それによって不純物成分を除去し、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を分離精製して、それぞれを回収することができる。湿式製錬プロセスにおける処理としては、中和処理や溶媒抽出処理等の公知の方法により行うことができる。
≪本発明に係る有価金属回収方法の詳細≫
図1は、本発明に係る有価金属回収方法の一例を示しており、同図に基づき各工程S1〜S6を順に説明する。
(焙焼工程:S1)
焙焼工程S1は、廃電池を無害化することや次工程で破砕しやすくすることを主な目的としている。焙焼条件はとくに限定されないが、確実に無害化するとともに脆くして破砕しやすくするためには700℃以上に加熱することが好ましい。また、廃電池を積み重ねすぎると内部まで十分に焙焼できず焼きムラができてしまうので、均一に焙焼できるように処理量や炉の加熱能力に注意が必要である。焙焼時の加熱方式はとくに限定されず、電気式であってよく、バーナー式であってよい。バーナー式加熱は低コストである点で好ましい。
(破砕工程:S2)
破砕工程S2では、焙焼工程S1で焙焼された焙焼物を細かく破砕して廃電池内の各部材を分離する。本発明において破砕機はとくに限定されない。たとえばロッドミルや振動ミルなど公知の破砕機を用いてよい。チェーンミルも廃電池を効率よく破砕できるため好ましい。様々な種類や形状の廃電池が存在するため、目的に合わせて適切な破砕機を選定すればよい。
(磁選工程:S3)
磁選工程S3の実施は任意である。そして、磁選工程S3を実施する場合は、前記破砕工程S2の後に行ってもよく、また後述する篩工程S4の後に行ってもよい。
磁選の目的は磁着物である鉄を主とする金属を除去することにある。有価金属に鉄が含まれてしまうと乾式製錬の際にスラグの融点や粘性等の設計が複雑になり、また鉄を充分に除去できない場合は後工程の湿式工程で処理費用がかかってしまうためである。磁選を行った場合は、スラグの融点や粘性等の設計が簡単に行え、鉄を充分に除去した場合は、後工程の湿式工程での処理費用が低減できる。
磁選機はとくに限定されないが、公知の吊下げ磁選機を用いることができる。
(篩工程:S4)
篩工程S4は、破砕工程S2の後で行ってよく、また磁選工程S3の後で行ってもよい。篩工程S4では破砕物を篩機によって篩上物と篩下物に分ける。篩の目開きは破砕する廃電池の種類や形状に合わせて決めればよい。目開きが大きすぎると篩下に有価金属とともに非有価金属が多く回収されてしまうため好ましくない。また目開きが小さすぎると篩上に多く有価金属が含まれてしまい好ましくない。一般的には、篩の見開きは、0.5mm以上で、5mm以下であると有価金属を効率的に回収できて好ましい。
なお、ニッケルやコバルト等の有価金属は主に粉末の形態をしている正極活物質に含まれるため、粉末状で回収されるので篩下物に含まれる。
(酸化焙焼工程:S5)
酸化焙焼工程S5の実施は任意である。酸化焙焼工程S5を実施する場合は、篩工程S4で回収された篩下物(粉末)を酸化焙焼工程S5において酸化焙焼する。酸化焙焼することによって廃電池中の還元剤になり得る成分を酸化することができ、それにより廃電池の品質を均一化できる。酸化焙焼すると残留還元剤率を安定して低く抑えることができ、これによって次工程の還元熔融工程において還元度を制御しやすくできる。
(還元熔融工程:S6)
還元熔融工程S6では、廃電池の粉砕物である篩下物を、または酸化焙焼された篩下物を誘導炉で還元熔融する。この還元熔融によって有価金属を含有するメタルとスラグを生成させる。本明細書において、誘導炉に投入された廃電池の篩下物、さらに誘導炉内で発生する還元物とスラグを含めて総称するときは、炉内物と云うことがある。また、本発明の方法で酸化焙焼工程S5を実行したときは、篩下物が焙焼されて酸化焙焼物となったものが炉内物に含まれる。
本発明の還元熔融工程S6では誘導炉が用いられるが、誘導炉は目的に合わせた還元度を実現できるので、効率的に廃電池を熔融でき、効率的に有価金属を回収できる。
図2は廃電池の熔融に用いる誘導炉IFを示している。本発明では誘導炉IFに、廃電池の篩下物を投入し、または篩下物を酸化焙焼した酸化焙焼物を投入し、棒状炭素質還元剤6を炉内物S内に浸漬して還元熔融することを特徴とする。
誘導炉IF自体は公知のものでよい。図示の誘導炉IFは、るつぼ形にライニング材を貼った炉1と、炉1の外周に配置した煉瓦等で構成された耐火キャスタブル3を有している。図示していないが、炉1と耐火キャスタブル3との間、または耐火キャスタブル3の中には、加熱用のコイルが設けられている。本発明では、このような誘導炉IFを利用できる。
上記誘導炉IFにおける炉1内に廃電池の篩下物またはその酸化焙焼物を投入し、棒状炭素質還元剤を挿入した状態でコイルに交流電流を流すと炭素質還元剤が誘導電流によって加熱され、加熱された炭素質還元剤によって廃電池の還元反応が促進される。
さらに、還元反応の進行に伴って有価金属を含有するメタルとスラグが生成するが、メタルは誘導電流によって加熱されるので、温度が効率的に上昇する。また本来電流が流れないスラグでは発熱が発生しないが、棒状炭素質還元剤6を挿入していることで、スラグと棒状炭素質還元剤6の接触部におけるスラグ部分でも発熱が生じさせられる。
このように本発明では、炉1内に発熱源である炭素質還元剤6を挿入して発熱と還元を同時並行で進めるものであり、「棒状炭素質還元剤6の誘導電流による加熱→棒状炭素質還元剤6による廃電池の還元→メタルの生成→誘導電流によるメタルの加熱」なるサイクルが繰り返されることにより炉内は効率的に温度上昇し還元熔融が進行する。
本発明では、棒状炭素質還元剤6を用いることで、熔融された廃電池と還元物の接触の頻度が増し、還元反応が効率よく進行する効果が得られる。
本発明では、炭素質還元剤は棒状に形成された棒状炭素質還元剤6が用いられる。そして、棒状炭素質還元剤6の上下位置を調整して篩下物またはその酸化焙焼物、還元物およびスラグを含む炉内物に浸漬させ、かつ棒状炭素質還元剤6の浸漬深さを調整することで還元熔融の還元度を制御する点に特徴がある。
棒状炭素質還元剤6を構成する炭素質還元剤には、カーボンや石炭、コークスに代表される炭素質還元剤を用いている。その理由は、優れた還元反応の制御性にある。つまり、廃電池に含まれるカーボンは、還元剤として還元反応に寄与する。このとき、使用する還元剤も同質の炭素質であれば、同じ還元反応が起きるので還元反応を制御しやすくなる。よって温度制御や雰囲気制御が容易となる、というのが採用の理由である。
本発明で用いる棒状炭素質還元剤6は棒状であればよく、その断面形状は任意である。したがって、断面が円形のもの、楕円形のもの、四角形のもの、その他多角形のもの等を任意に採用できる。
棒状炭素質還元剤6の長さや太さ等の寸法は炉内物Sとの接触の機会が増すように定めればよい。棒状炭素質還元剤6の太さ(円形の場合は直径、角形の場合は差し渡し寸法)は、小さいと炉内物Sとの接触面積が小さくなるので、太さを大きくすることが炉内物Sとの接触面積を大きくする観点から好ましい。
本発明において、使用する棒状炭素質還元剤6の本数に制限はないが、太い棒状炭素質還元剤6を用いるなら1本でよい。ただし、むやみと棒状炭素質還元剤6の太さを大きくするよりも、適切な太さの棒状炭素質還元剤6の使用本数を多くすることが棒状炭素質還元剤6の費用を抑えることができる。この場合、炉内物Sとの接触面積は本数に比例して大きくなる。なお、余り細い棒状炭素質還元剤6は操業中に折れやすくなるので好ましくない。
棒状炭素質還元剤6の長さは、炉1の深さに応じて決めればよい。本発明においては、棒状炭素質還元剤6の下端を炉1内の最深部に下降させた場合でも、棒状炭素質還元剤6の上端部分が炉内物Sの上端面より上方に出ている位の長さであることが好ましい。
棒状炭素質還元剤6は、後述する操作装置によって炉1内で上下動させられ、炉内物S内へ浸漬される。棒状炭素質還元剤6の浸漬量は、基本的には実際に炭素還元剤として使用される使用量でもある。浸漬した棒状炭素質還元剤6を使い切る方が製造費を最小にできる。ただし、必ずしも浸漬した棒状炭素質還元剤6を使い切る必要はない。還元度の調整、反応速度や処理時間を考慮して使用量を決めればよい。基本的には使用量(質量%)は棒状炭素質還元剤6の断面積×浸漬深さで計算できる。
棒状炭素質還元剤6の使用量(質量%)は、誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上、18質量%以下の範囲となるように制御することが好ましい。0.1質量%未満であると、棒状炭素質還元剤6の浸漬体積が少なく還元効果が十分現れず、18質量%を越えると還元が進み過ぎて鉄やマンガンなどの不要な金属が多く生成して有価金属に混入してしまうので、いずれも好ましくない。上記範囲であると、熔融された廃電池と還元物の接触の頻度が増し、不要金属の混入もなく、還元反応が効率よく進行するので好ましい。
本発明では、棒状炭素質還元剤6の浸漬部分の体積が上記範囲となるように操作装置によって、棒状炭素質還元剤6の上下位置を調整して、最適範囲を得るよう制御される。
棒状炭素質還元剤6は炭素品位が65質量%以上、好ましくは95質量%以上であることが好ましい。65質量%未満であると還元効率が低くなるとともに不純物が多く混入する可能性があるため好ましくない。これに対し上記範囲であると還元効率が高くなり、不純物の混入も少ないので好ましい。
工業的な操業では、誘導炉IFに廃電池の酸化焙焼物を連続して供給し棒状炭素質還元剤6を炉内物Sに浸漬する操業方法をとるのが一般的である。このような場合、運転を開始する時の棒状炭素質還元剤6の炉内物S内への浸漬量は炉内物Sから理論的に計算される還元物とスラグの物量に応じて浸漬量を設定しておき、運転とともに浸漬量を加減することでよい。
棒状炭素質還元剤6は運転中に炉1内で横移動させて炉内物Sを撹拌するようにしてもよい。
本発明において、「横方向」とは、炉内物Sを撹拌できるように移動させることを含む広い意味に解釈される。また、横移動には、直線的な動きのほかジグザグ運動や円運動も含められる。要は棒状炭素質還元剤6によって炉内物が撹拌されればよいのである。
棒状炭素質還元剤6の横移動によって炉内物Sが撹拌されれば、棒状炭素質還元剤6の表面に新しい炉内物Sが接触するので、発熱と還元が効率よく進むことになる。
本発明において、誘導炉IFには、棒状炭素質還元剤6を横移動させる操作装置が備えられる。
この操作装置は、公知の機構で構成できる。たとえば、棒状炭素質還元剤6の上端部をつかむチャックと、そのチャックを昇降させる昇降機構で構成できる。昇降機構は、エアシリンダまたは油圧シリンダ等を用いたシリンダ駆動機構と、チャックの昇降を案内する昇降ガイド機構を組合わせて構成できる。また、シリンダ駆動機構の代わりに、ロープやチェーンなどを用いたエンドレス索条をプーリ等に巻き掛けてモータで駆動する索条駆動機構を用いてもよい。
前記操作装置には、炉内物Sを撹拌するため棒状炭素質還元剤6を横移動させる横移動機構を付加してもよい。横移動機構もエアシリンダまたは油圧シリンダ等を用いたシリンダ駆動機構と、チャックの移動を案内する横ガイド機構を組合わせて構成できる。また、シリンダ駆動機構の代わりに、ロープやチェーンなどを用いたエンドレス索条をプーリ等に巻き掛けてモータで駆動する索条駆動機構を用いてもよい。さらに、ターンテーブルに棒状炭素質還元剤6の上端部をつかむチャックを取付け、ターンテーブルを回転させるモータ等を取付けた旋回機構を用いてもよい。この場合、棒状炭素質還元剤6を炉内で旋回させることができる。
本発明においては、棒状炭素質還元剤6を上下動させたり横移動させる操作装置の構造には、とくに制限はない。
棒状炭素質還元剤6には酸化防止カバー7を取付けてもよい。誘導炉IFにおける炉1内の上部空間(炉内物Sの上方空間)は、熱をもっており空気中の酸によって酸化されやすい雰囲気にある。この空気中の酸素に棒状炭素質還元剤6が触れると炭素質が酸化して炭素質が還元剤として使われることなく消費されることとなり、棒状炭素質還元剤6が外周から減損していく現象が生ずる。
体積が少なくなった棒状炭素質還元剤6をそのまま使用して、炉内物S内に浸漬しても熔融効率が劣るので、棒状炭素質還元剤6の酸化を防止することが好ましい。そのため、棒状炭素質還元剤6の外周を覆う酸化防止カバー7が用いられる。
図3に示す酸化防止カバー7は、等径に仕上げた棒状炭素質還元剤6の略中間部から上端に至る上方部分の外周に被せた筒状のカバーである。図4に示す酸化防止カバー7は、棒状炭素質還元剤6の本体部分より上方の上端部分が細径に仕上げられており、酸化防止カバー7は上端に肩カバー7aが付いた筒状のカバー7である。
図3に示す等径の酸化防止カバー7は形状が単純であり製造費を安くできる利点がある。図4に示す肩カバー7a付きの酸化防止カバー7は、カバーを棒状炭素質還元剤6に固定する機構が不要となる。
酸化防止カバー7の材質は、金属またはセラミックが好ましい。酸化防止カバー7が金属製であると、加工がしやすく衝撃で割れることもない。金属としては、例えば鉄のように融点が比較的高く、安価な材質が好適である。酸化防止カバー7がセラミック製であると、融点が高く熔ける恐れがない。セラミックは、例えばアルミナのような安価で融点の高い材質が好ましい。
酸化防止カバー7を取付けておくと、棒状炭素質還元剤6の大気雰囲気中での酸化を抑制でき、炭素質還元剤の寿命を延ばすことができる。
酸化防止カバー7を取付けた棒状炭素質還元剤6は、その下方部分(つまり、酸化防止カバー7で覆われてない部分)を炉内物Sに浸漬して操業を行う。
棒状炭素質還元剤6の下方部分は酸化防止カバー7に覆われてないので炭素質還元剤が炉内物に直接触れて還元に寄与する。一方、上方部分は炉1内の酸化雰囲気に暴露されていても酸化防止カバー7に覆われていることで酸化されることはない。
(本発明に係る回収方法の後工程)
本発明の回収方法で得たメタルは、後工程で不純物を分離する湿式処理を行うことで純度の高い有価金属を分離して回収することができる。不純物を分離する湿式処理としては、たとえば、酸に熔解する中和や溶媒抽出、電解採取などの方法を例示できる。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1〜6)
実施例1〜6を、いずれも下記の工程により、同一条件で用意した。
(焙焼工程S1)
廃電池としてのリチウムイオン電池には、自動車車載用の一般に角形電池と称せられるものの使用済み品を用いた。この廃電池を900℃の温度で5時間、大気中で焙焼して焙焼物を得た。
(破砕工程S2)
つぎに破砕工程で、上記の焙焼物をチェーンミルを用いて12kg/バッチづつ35秒間の破砕処理を行った。
破砕処理で得た破砕物を回収し、下記の磁選工程で磁選を行った。
(磁選工程S3)
磁選機には市販の吊下げ磁選機を用いた。各試料は4.5kg/分の供給速度で破砕物を3000Gの磁力を有する磁選機に供給し磁選して鉄などの磁着物と非磁着物とに分けた。
(篩工程S4)
上記の非磁着物を連続式の振動篩を用いて篩別した。
篩の目開きは3.0mmとし、供給速度は2.5kg/分とした。
篩下物を次工程の酸化焙焼工程で酸化焙焼に付した。
(酸化焙焼工程S5)
酸化焙焼には炉内直径20cmで炉の有効長さ100cmのキルンを用いた。試料の供給速度は2.0kg/分とし、炉内温度を750℃に維持しながら3時間大気を流しながら焙焼した。得られた酸化焙焼物(篩下物)を次工程の還元熔融工程に付した。
(還元熔融工程S6)
酸化焙焼物(篩下物)の還元熔融には炉内容量が60リットルの誘導炉を用いた。誘導炉での1回の処理量は10.0kgとした。
(用意された実施例)
実施例1〜6における棒状炭素質還元剤6は丸棒状に形成したものであり、直径は8.0cmである。本数は1本である。棒状炭素質還元剤6の浸漬深さ、横移動の有無、炭素品位は表1に示すとおりである。
実施例1〜3は、棒状炭素質還元剤6の横移動の有無と炭素品位を同一条件として棒状炭素質還元剤6の浸漬深さのみを変えた。実施例4〜6は、棒状炭素質還元剤6の浸漬深さと横移動の有無を同一条件として、棒状炭素質還元剤6の炭素品位のみを変えた。比較例1については棒状炭素質還元剤を装入しなかった。
(評価)
評価基準としては、各試料が熔融できたか否か、熔融時間が短いか長いか、および生成したメタルを回収できたか否か、を目安とした。結果を表1に示した。
実施例1〜6では篩下物の酸化焙焼物が加熱、還元されて熔融してメタルが生成し、メタルが回収された。棒状炭素質還元剤6を上下方向にも横方向にも動かしていない実施例1〜3については棒状炭素質還元剤6の装入深さが深いほど短時間で試料が熔融した。棒状炭素質還元剤6を横方向にも動かした実施例4〜6に関してはさらに短時間で篩下物の酸化焙焼物が熔融した。
実施例1〜3に示すように、棒状炭素質還元剤6の炭素品位が同じ場合(90質量%)では、棒状炭素質還元剤6の使用量が大きいほど短時間で廃電池が熔融した。すなわち実施例1から実施例3で示すように、棒状炭素質還元剤6の浸漬深さが大きいほど、熔融時間が早かった。
また、実施例4〜6で対比するように棒状炭素質還元剤6の浸漬深さが同じ場合でも、棒状炭素質還元剤6の炭素品位よりも、棒状炭素質還元剤6を炉1内で移動させる方が熔融時間を短くする効果が高かった。
一方、棒状炭素質還元剤6を浸漬しなかった比較例1では炉内物Sが熔融しなかった。
Figure 2021113345
(実施例11〜16)
実施例11〜16における焙焼工程S1、破砕工程S2、磁選工程S3、篩工程S4および酸化焙焼工程S5は実施例1〜6と同一条件で行った。還元熔融工程S6はつぎのように行った。実施例11〜16における棒状炭素質還元剤6は丸棒状に形成したものであり、直径は8.0cmである。本数は1本である。
(還元熔融工程S6)
還元熔融には炉内容量が60リットルの誘導炉を用いて、棒状炭素質還元剤6を上下方向に移動するための操作装置を誘導炉IFの上部に設置した。篩下物の酸化焙焼物は1バッチ10.0kgとした。
(用意された実施例)
実施例11〜16では棒状炭素質還元剤6の浸漬深さを、表2に示すように炉内物上面から10cm、20cmおよび30cmとなるように調整した。
実施例11〜13は棒状炭素質還元剤6の上方部外周にセラミクス製の酸化防止カバー7を取付けた。一方、実施例14〜16には酸化防止カバー7は取付けなかった。
(評価)
棒状炭素質還元剤6の直径の減少率を下記の(1)式で算出して、直径減少率の大小を酸化防止カバー7の取付け効果として評価した。
棒状炭素質還元剤6の直径減少率=棒状炭素質還元剤6の試験後の直径/棒状炭素質還元剤6の試験前の直径×100(%)・・・(1)式
結果を表2に示す。酸化防止カバー7を有する実施例11〜13での直径減少率は0%であり、棒状炭素質還元剤6の直径の減少はなかった。一方、酸化防止カバー7の無い実施例14〜16は直径減少率が1.5〜2.8%あり、棒状炭素質還元剤6の直径が酸化によって細くなっていた。
Figure 2021113345
(実施例21〜28と評価)
表3に示すように、実施例21〜25では、棒状炭素質還元剤6の炭素品位を85質量%に統一し、棒状炭素質還元剤6の浸漬深さを変えて、炭素質還元剤の使用量を調整した。ここでいう使用量は、棒状炭素質還元剤6の断面積×浸漬深さで計算したものである。誘導炉IFから排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として、棒状炭素質還元剤6の使用量(質量%)0.1質量%、2質量%、7質量%、15質量%、18質量%とした。
実施例21〜25は、いずれも熔融された廃電池と還元物の接触の頻度が増し、還元反応が効率よく進行した。このことは棒状炭素質還元剤6を浸漬しなかった比較例2と比べて熔融時間が短いことからも分かる。なお、比較例2は240分間熔融したにもかかわらず未熔融物が一部残っていた。
表3に示すように、実施例26〜28では、棒状炭素質還元剤6の使用量を8.0質量%に統一した。そのうえで、棒状炭素質還元剤6の炭素品位を、それぞれ、65質量%、80質量%、95質量%とした。
実施例26〜28は、いずれも還元効率が高く、不純物の混入も少なかった。しかしながら、実施例26〜28の熔融時間の傾向をみると、炭素品位が低いほど熔融時間が長くなっているので、実施例26で示す炭素品位が65質量%を下回ると、熔解時間がより長くなると推測される。
Figure 2021113345
表4に示すように実施例21〜25の不純物であるメタル中の鉄、マンガンの含有量の発生傾向をみると以下のことが分かる。棒状炭素質還元剤6の使用量が、0.1質量%未満である実施例21では鉄とマンガンのメタル中の組成(質量%)が0なので、還元反応が効力良く進まないと推測される。一方、棒状炭素質還元剤6の使用量が18質量%を越える実施例25では、メタル中の組成(質量%)が鉄で3.4、マンガンで1.1と多く生成しているので、還元が進み過ぎていると推測される。ゆえに、棒状炭素質還元剤6の使用量を、誘導炉IFから排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として、0.1質量%以上18質量%以下の範囲となるように制御することが好ましい。
Figure 2021113345
以上の各実施例から分かるように、本発明の回収方法を用いることで、廃電池を効率よく熔融しメタルを回収することができた。また、後工程の湿式製錬プロセスに付すことで、得られたメタルからコバルト、ニッケル、銅などの有価金属を回収できた。
本発明によれば、コバルトやニッケル、銅を各種産業で再利用できるほか、再度リチウムイオン電池の原料として供することができる。
1 炉
3 耐火キャスタブル
6 棒状炭素質還元剤
7 酸化防止カバー
IF 誘導炉

Claims (9)

  1. 廃電池を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程と、前記焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、前記破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程と、前記篩下物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程を有する処理に付すことで廃電池から有価金属を回収する方法において、
    前記還元熔融工程で誘導炉を用い、
    前記誘導炉において、炉内上方から棒状に形成された棒状炭素質還元剤を挿入し、棒状炭素質還元剤の上下位置を調整して篩下物、還元物およびスラグを含む炉内物に浸漬させ、
    かつ前記棒状炭素質還元剤の浸漬深さを調整することで還元熔融の還元度を制御する
    ことを特徴とする廃電池からの有価金属回収方法。
  2. 前記棒状炭素質還元剤を横移動させて、前記炉内物を撹拌する
    ことを特徴とする請求項1記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  3. 磁着物である鉄を除去する磁選工程を前記篩工程の前または後で行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  4. 篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程を前記還元熔融工程の前で行う
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  5. 前記棒状炭素質還元剤の使用量を、前記誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上18質量%以下の範囲となるように制御する
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  6. 前記棒状炭素質還元剤の組成が、炭素品位65質量%以上である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  7. 前記棒状炭素質還元剤を、その上方部分を酸化防止カバーで被覆する
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  8. 前記酸化防止カバーの材質が、セラミックスまたは金属である
    ことを特徴とする請求項7記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  9. 回収される有価金属が少なくともコバルト、ニッケル、および銅から選ばれる1種以上である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の廃電池からの有価金属回収方法。
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