以下、図1〜図14Bを用いて本発明の実施形態に係る車両用シートの骨格構造について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示し、矢印LHは車両左方向を示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。また、各図においては、図面を見易くする関係から一部の符号を省略している場合がある。
(構成)
図1には、本発明の実施形態に係る車両用シートの骨格構造が適用されて構成された車両用シート10が示されている。この車両用シート10は、3人掛けのシートとされており、例えばミニバン等の車両(図示省略)の2列目又は3列目のシートとされている。この車両用シート10は、その前後左右上下の方向が車両の前後左右上下の方向と一致する姿勢で車両フロア12に取り付けられている。この車両用シート10は、1人掛けシート30と2人掛けシート70とが車両幅方向に並設された構成になっている。なお、本実施形態では、2人掛けシート70が1人掛けシート30に対して車両左方側に配置されているが、2人掛けシート70が1人掛けシート30に対して車両右方側に配置された構成にしてもよい。その場合、本実施形態とは左右対称の構成になる。
1人掛けシート30及び2人掛けシート70は、それぞれシートクッション32、72とシートバック34、74とを備えている。1人掛けシート30は、3人掛けの車両用シート10の右席10Rを構成しており、2人掛けシート70は、車両用シート10の中央席10S及び左席10Lを構成している。この車両用シート10では、前記各座席10R、10S、10Lに着座した乗員がそれぞれ3点式シートベルト14R、14S、14Lを装着可能とされている。
図2に示されるように、1人掛けシート30は、シートクッション32及びシートバック34の骨格を構成する第1フレーム36の下端部が、第1スライド機構42を介して車両フロア12に連結されている。第1フレーム36には、シートクッション32及びシートバック34のクッション材を構成する図示しないパッドが取り付けられており、当該パッドの表面が表皮37(図1以外では図示省略)によって覆われている。同様に、2人掛けシート70は、シートクッション72及びシートバック74の骨格を構成する第2フレーム76の下端部が、第2スライド機構88を介して車両フロア12に連結されている。第2フレーム76には、シートクッション72及びシートバック74のクッション材を構成するパッド(図示省略)が取り付けられており、当該パッドの表面が表皮77(図1以外では図示省略)によって覆われている。上記の第2フレーム76は、本発明における「シートフレーム」に相当し、上記の第2スライド機構88は、本発明における「スライド機構」に相当する。
2人掛けシート70の第2フレーム76は、第2スライド機構88よりも1人掛けシート30側(ここでは車両右方側)へ片持ち状態で張り出したオーバーハング部76Hを有している。このオーバーハング部76Hは、中央席10Sの骨格を構成している。また、オーバーハング部76Hの車両下方で第2フレーム76の下端部からは、骨格部材110が車両幅方向に沿って1人掛けシート30側へ延びている。この骨格部材110の先端部側には、中央席10Sに着座した乗員が装着する3点式シートベルト14Sのタングプレート16Sが連結されるバックル18Sが取り付けられている。先ず、1人掛けシート30及び2人掛けシート70の全体構成の概略について説明し、その後に本実施形態の要部である骨格部材110及びその周辺の構造について説明する。
(1人掛けシートについて)
図2、図3及び図8に示されるように、1人掛けシート30の第1フレーム36は、シートクッション32の骨格を構成するクッションフレーム38と、シートバック34の骨格を構成するバックフレーム40とを備えている。クッションフレーム38及びバックフレーム40は、例えば板金製の部材や金属パイプ製の部材などが結合されて構成されている。クッションフレーム38は、車両上下方向視で略矩形の枠状をなしており、バックフレーム40は、車両前後方向視で略矩形の枠状をなしている。
第1スライド機構42は、1人掛けシート30の車両前後方向の位置を調整するための前後位置調整機構とされており、車両前後方向に延びる左右のスライドレール42L、42Rによって構成されている。図3に示されるように、左右のスライドレール42L、42Rは、例えばボルト締結等の手段で車両フロア12に固定されたロアレール44と、ロアレール44に対して車両前後方向にスライド可能に支持されたアッパレール46とを備えている。
左右のアッパレール46の後部の上面には、それぞれライザ48が固定されている。左右のライザ48は、例えば板金製とされており、車両前後方向から見た断面形状が略L字状をなしている。これらのライザ48は、ボルト締結等の手段でアッパレール46の上面に固定された下壁部と、該下壁部のシート幅方向外側端部から上方へ延びる縦壁部とを備えている。
左右のライザ48の下壁部間には、連結板50(図1〜図3参照)が架け渡されている。連結板50は、例えば板金製とされており、車両上下方向を板厚方向として配置されている。この連結板50は、ボルト締結等の手段で左右のライザ48の下壁部に固定されている。また、一例として、右のライザ48の縦壁部には、バックフレーム40の下端部が車両幅方向に沿った軸線回りに回転可能に連結されており、左のライザ48の縦壁部には、Bブラケット52が固定されている。左右のライザ48、連結板50及びBブラケット52は、第1フレーム36の下端部を構成している。Bブラケット52は、例えば板金製とされており、車両幅方向を板厚方向として配置されている。
Bブラケット52の下端部は、ボルト締結等の手段で左のライザ48の縦壁部に固定されており、Bブラケット52の上部には、周知のリクライニング機構54(図3及び図9参照)を介してバックフレーム40の下端部が連結されている。これにより、Bブラケット52に対するバックフレーム40(シートバック34)の傾斜角度を調整可能とされている。このバックフレーム40は、図2、図3及び図9に示される起立位置から図示しない前倒位置へと前倒し可能とされている。バックフレーム40の前倒し状態では、バックフレーム40がBブラケット52から車両前方へ延びる姿勢となる。
バックフレーム40の下端部には、クッションフレーム38の後端部が連結軸56(図3参照)を介して回転可能に連結されている。この連結軸56は、バックフレーム40が起立位置に位置する状態でリクライニング機構54の前方に位置するように設けられている。また、クッションフレーム38の前部は、図3に示されるように、左右のリンク部材58及び左右のブラケット60を介してアッパレール46の前端部と連結されている。左右のリンク部材58及び左右のブラケット60は、例えば板金製とされている。左右のブラケット60は、ボルト締結等の手段で左右のアッパレール46の前端部に固定されている。
左右のリンク部材58の一端部は、クッションフレーム38の前部に対して左右の連結軸62を介して回転可能に連結されており、左右のリンク部材58の他端部は、左右のブラケット60に対して左右の連結軸64を介して回転可能に連結されている。上記の連結軸56、62、64は、軸線方向が車両幅方向に沿っており、クッションフレーム38は、起立位置と前倒位置との間でのバックフレーム40の傾動に連動して車両上下方向に変位される構成になっている。具体的には、バックフレーム40が起立位置から前倒位置へと前倒しされることにより、クッションフレーム38が車両下方側かつ車両後方側へ変位する構成とされている。なお、バックフレーム40が起立位置から前倒位置へと前倒しされることにより、クッションフレーム38が車両下方側かつ車両前方側へ変位するように構成してもよい。その場合、リクライニング機構54に対する連結軸56の位置関係が変更される。
上記構成の1人掛けシート30では、前述したBブラケット52にバックル18Rが取り付けられている。バックル18Rは、右席10R用のシートベルト14Rに設けられた図示しないタングプレートが連結されるバックル本体19と、バックル本体19から延出されたバックルブラケット20とによって構成されている。バックルブラケット20は、ボルト21及び図示しないナットを用いて車両左方側のBブラケット52に連結されている。なお、右席10R用のシートベルト14Rは、例えば車両の右側部に設けられた図示しないリトラクタの巻取軸に一端部が係止されており、他端部が1人掛けシート30の右側で車両フロア12に係止されている。
(2人掛けシートについて)
図2及び図4に示されるように、2人掛けシート70の第2フレーム76は、シートクッション72の骨格を構成するクッションフレーム78と、シートバック74の骨格を構成するバックフレーム80とを備えている。このバックフレーム80は、本発明における「シートバックフレーム」に相当する。クッションフレーム78及びバックフレーム80は、例えば板金製の部材や金属パイプ製の部材などが結合されて構成されている。クッションフレーム78は、車両上下方向視で略矩形の枠状をなすクッションフレーム本体78Mと、クッションフレーム本体78Mの1人掛けシート30側(ここでは車両右方側)に設けられたクッションオーバーハング部78Hとを有している。バックフレーム80は、車両前後方向視で略矩形の枠状をなすバックフレーム本体80Mと、バックフレーム本体80Mの1人掛けシート30側に設けられたバックオーバーハング部80Hとを有している。
クッションフレーム本体78M及びバックフレーム本体80Mは、第1フレーム36のクッションフレーム38及びバックフレーム40と基本的に同様の構成とされている。また、クッションオーバーハング部78H及びバックオーバーハング部80Hは、第2フレーム76のオーバーハング部76Hを構成している。
クッションオーバーハング部78Hは、クッションフレーム本体78Mにおける1人掛けシート30側(車両右方側)の端部から1人掛けシート30側かつ車両後方側へ一体的に延びている。バックオーバーハング部80Hは、バックフレーム本体80Mから1人掛けシート30側へ延びる上下一対のパイプフレーム部82、84と、バックフレーム本体80Mに対して上のパイプフレーム部82回りに前倒し可能に連結されたセンタフレーム部86とを含んで構成されている。センタフレーム部86は、例えば板金製の部材や金属パイプ製の部材などが結合されて構成されており、車両前後方向視で略矩形の枠状をなしている。このセンタフレーム部86は、2人掛けシート70の右端部で且つ車両用シート10の車両幅方向中央部付近に設けられたアームレスト部74A(図1参照)の骨格を構成している。このアームレスト部74Aは、中央席10Sの背凭れの一部を構成するものであるが、上記のパイプフレーム部82回りに前倒しされることでアームレストとして機能する。
第2スライド機構88は、2人掛けシート70の車両前後方向の位置を調整するための前後位置調整機構とされており、車両前後方向に延びる左右のスライドレール88R、88Lによって構成されている。図4に示されるように、左右のスライドレール88R、88Lは、例えばボルト締結等の手段で車両フロア12に固定されたロアレール90と、ロアレール90に対して車両前後方向にスライド可能に支持されたアッパレール92とを備えている。
左右のアッパレール92の後部の上面には、それぞれライザ94(左側のライザ94は図示省略)が固定されている。左右のライザ94は、例えば板金製とされており、車両前後方向から見た断面形状が略L字状をなしている。これらのライザ94は、ボルト締結等の手段でアッパレール92の上面に固定された下壁部と、該下壁部のシート幅方向外側端部から上方へ延びる縦壁部とを備えている。
左右のライザ94の下壁部間には、連結板96が架け渡されている。連結板96は、例えば板金製とされており、車両上下方向を板厚方向として配置されている。この連結板96は、ボルト締結等の手段で左右のライザ94の下壁部に固定されている。また、一例として、左のライザ94の縦壁部には、バックフレーム本体80Mの下端部が車両幅方向に沿った軸線回りに回転可能に連結されており、右のライザ94の縦壁部には、Bブラケット98が固定されている。左右のライザ94、連結板96及びBブラケット98は、第2フレーム76の下端部を構成している。Bブラケット98は、例えば板金製とされており、車両幅方向を板厚方向として配置されている。
Bブラケット98の下端部は、ボルト締結等の手段で右のライザ94の縦壁部に固定されており、Bブラケット98の上部には、周知のリクライニング機構100(図4参照)を介してバックフレーム本体80Mの下端部が連結されている。これにより、Bブラケット98に対するバックフレーム80(シートバック74)の傾斜角度を調整可能とされている。このバックフレーム80は、図2、図4、図5などに示される起立位置から図7に示される前倒位置へと前倒し可能とされている。バックフレーム80の前倒し状態では、バックフレーム80がBブラケット98から車両前方へ延びる姿勢となる。なお、図6には、バックフレーム80の前倒し途中の状態が図示されている。
図4に示されるように、バックフレーム本体80Mの下端部には、クッションフレーム本体78Mの後端部が連結軸102を介して回転可能に連結されている。この連結軸102は、バックフレーム80が起立位置に位置する状態でリクライニング機構100の前方に位置するように設けられている。また、クッションフレーム本体78Mの前部は、左右のリンク部材104及び左右のブラケット106を介してアッパレール92の前端部と連結されている。左右のリンク部材104及び左右のブラケット106は、例えば板金製とされている。左右のブラケット106は、ボルト締結等の手段で左右のアッパレール92の前端部に固定されている。
左右のリンク部材104の一端部は、クッションフレーム本体78Mの前部に対して図示しない左右の連結軸を介して回転可能に連結されており、左右のリンク部材104の他端部は、左右のブラケット106に対して左右の連結軸108を介して回転可能に連結されている。上記の図示しない連結軸及び連結軸102、108は、軸線方向が車両幅方向に沿っており、クッションフレーム78は、起立位置と前倒位置との間でのバックフレーム80の傾動に連動して車両上下方向に変位される構成になっている。具体的には、バックフレーム80が起立位置から前倒位置へと前倒しされることにより、クッションフレーム78が車両下方側かつ車両後方側へ変位するように構成されている(図5〜図6参照)。なお、バックフレーム80が起立位置から前倒位置へと前倒しされることにより、クッションフレーム78が車両下方側かつ車両前方側へ変位するように構成してもよい。その場合、リクライニング機構100に対する連結軸102の位置関係が変更される。
上記構成の2人掛けシート70では、第2フレーム76のオーバーハング部76Hは、第2スライド機構88が有する左右のスライドレール88R、88Lのうち車両幅方向内側のスライドレール88Rよりも1人掛けシート30側へ片持ち状態で張り出している。なお、図9では、オーバーハング部76Hの図示を省略している。
また、上記構成の2人掛けシート70では、連結板96の右端部に左席10L用のバックル18Lが取り付けられている。バックル18Lは、左席10L用のシートベルト14Lに設けられたタングプレート16Lが連結されるバックル本体22と、バックル本体22から延出されたバックルウェビング23とによって構成されている。バックルウェビング23は、図示しないバックルアンカープレートに係止されている。このバックルアンカープレートは、図示しないボルト及びナットを用いて連結板96に固定されている。なお、左席10L用のシートベルト14Lは、例えば車両の左側部に設けられた図示しないリトラクタの巻取軸に一端部が係止されており、他端部が2人掛けシート70の左側で車両フロア12に係止されている。
(本実施形態の要部)
本実施形態では、図2に示されるように、2人掛けシート70の第2フレーム76が有するオーバーハング部76Hの車両下方に、骨格部材(バックル連結部材)110が配設されている。骨格部材110は、第2フレーム76の下端部から車両幅方向に沿って1人掛けシート30側(シート幅方向の一方側)へ片持ち状態で延びている。
図1、図2、図4、図9及び図10に示されるように、骨格部材110は、ベースブラケット112と、ロアパネル120と、アッパパネル132とによって構成されている。ベースブラケット112は、例えば板金製とされており、第2スライド機構88のスライドレール88Rに対して車両右方側(車両幅方向内側;シート幅方向の一方側)で且つ第2フレーム76の後部側に配置されている。このベースブラケット112は、図10〜図13Bに示されるように、車両前後方向を長手とする長尺状をなしている。このベースブラケット112の車両前後方向の寸法は、例えばロアレール90の車両前後方向の寸法の半分程度に設定されている。
このベースブラケット112は、主に車両幅方向を板厚方向とし且つ車両前後方向視でクランク状に曲がったブラケット本体部112Aと、ブラケット本体部112Aの下端部から車両左方側(車両幅方向外側;シート幅方向の他方側)へ延出された基端連結部112Bとを備えている。ブラケット本体部112Aの上部は、ブラケット本体部112Aの下部よりも車両左方側に退避して配置されており、Bブラケット98に対して車両右方側から重ね合わされている。ブラケット本体部112Aの上部の後部は、前後一対のボルト114及び図示しない前後一対のナットを用いてBブラケット98に締結固定されている。これにより、ベースブラケット112が第2フレーム76の下端部に固定されている。基端連結部112Bは、車両左方側の部位が車両上方側に屈曲している(図14A参照)。この基端連結部112Bは、後述するロアキャッチャー152に対応している。
ロアパネル(ロア部材)120は、例えば板金製とされており、ベースブラケット112に対して車両右方側に配置されている。このロアパネル120は、ベースブラケット112から車両右方側へ延出されており、車両フロア12に対して間隙を隔てて車両上方側から対向している。このロアパネル120は、ベースブラケット112の下部に対して車両右方側から重ね合わされた基端フランジ部120Aと、基端フランジ部120Aの下端部から車両右方側へ延出されたパネル本体部120Bと、パネル本体部120Bにおける車両後方側の端部から車両上方側へ延出された後端フランジ部120Cと、パネル本体部120Bの基端部側で且つ車両前方側の端部から車両上方側へ延出された前端結合片120Dとを備えている。基端フランジ部120Aは、溶接等の手段でベースブラケット112に固定されている。
パネル本体部120Bの先端部側では、パネル本体部120Bの車両前後方向の寸法が車両後方側に縮小されており、パネル本体部120Bの先端部には、先端連結部120Eが設けられている。この先端連結部120Eは、車両右方側の部位が車両上方側に屈曲している。この先端連結部120Eは、後述するロアキャッチャー142に対応している。
また、パネル本体部120Bの先端部側(先端連結部120Eより若干シート左方側の部位)には、バックル18Sが取り付けられている。このバックル18Sは、中央席10Sに着座した乗員が装着する3点式シートベルト14Sのタングプレート16Sが連結されるバックル本体26と、バックル本体26から車両下方側へ延びるバックルウェビング27とを備えている。バックルウェビング27の下端部は、バックルアンカーブラケット19(図4、図9、図14A及び図14B参照;図10及び図11では図示省略)に係止されている。このバックルアンカーブラケット19は、図示しないボルト及びナットを用いてパネル本体部120Bの先端部側(図10及び図11に示されるボルト孔122が形成された部位)に締結固定されている。
なお、中央席10S用のシートベルト14Sの一端部は、バックフレーム本体80Mの上部の右側に取り付けられた図示しないリトラクタの巻取軸に一端部が係止されており、中央席10S用のシートベルト14Sの他端部は、連結板96に固定された図示しないラップアンカープレーに係止されている。
また、図10及び図11に示されるように、上記のパネル本体部120Bには、基端部側(車両左方側)から先端部側(車両右方側)に延在する前後一対のビード124、126と、車両前後方向(シート前後方向)に延在する左右一対のビード128、130とが形成されている。これらのビード124、126、128、130は、車両上方側に凸をなしている。前側のビード124は、パネル本体部120Bの基端部の前部から車両右方側かつ車両後方側へ向かって斜めに延びており、先端部がボルト孔122の車両前方近傍に配置されている。後側のビード126は、パネル本体部120Bの基端部の後部から車両右方側へ向かって延びており、先端部がパネル本体部120Bの左右方向中間部付近に配置されている。左右一対のビード128、130は、前後一対のビード124、126間に掛け渡されている。
アッパパネル(アッパ部材)132は、例えば板金製とされており、ロアパネル120の上方でベースブラケット112から車両右方側(シート幅方向の一方側)へ延出されている。このアッパパネル132の車両前後方向の寸法は、ロアパネル120の車両前後方向の寸法と同等に設定されており、このアッパパネル132の車両左右方向の寸法は、ロアパネル120の車両左右方向の寸法よりも短く設定されている。
このアッパパネル132は、ベースブラケット112の上部に対して車両右方側から重ね合わされた基端フランジ部132Aと、基端フランジ部132Aの下端部から車両右方側へ延出されたパネル本体部132Bと、パネル本体部132Bにおける車両後方側の端部から車両下方側へ延出され、ロアパネル120の後端フランジ部120Cに対して車両前方側から重ね合わされた後端フランジ部132C(図14A参照)と、パネル本体部132Bにおける車両前方側の端部から車両下方側へ延出され、ロアパネル120の前端結合片120Dに対して車両前方側から重ね合わされた前端結合片132Dと、パネル本体部132Bにおける車両右方側の端部から車両下方側に延出された先端縦壁部132Eと、先端縦壁部132Eの下端部から車両右方側へ延出され、ロアパネル120のパネル本体部120Bに対して車両上方側から重ね合わされた先端フランジ部132Fとを備えている。先端フランジ部132Fは、ロアパネル120の左右方向中央部よりも若干車両右方側に配置されている。
基端フランジ部132Aは、溶接等の手段でベースブラケット112に固定されており、後端フランジ部132Cは、溶接等の手段で後端フランジ部120Cに固定されており、前端結合片132Dは、溶接等の手段で前端結合片120Dに固定されており、先端フランジ部132Fは、溶接等の手段でパネル本体部120Bに固定されている。これにより、アッパパネル132がロアパネル120と結合されている。このアッパパネル132は、車両前後方向から見て閉じた閉断面をロアパネル120と共に形成している。
図10及び図12に示されるように、基端フランジ部132Aは、アッパパネル132の基端部の前後方向中間部に形成された切欠部134によって前後に分割されている。同様に、先端フランジ部132Fは、アッパパネル132の先端部の前後方向中間部に形成された切欠部136によって前後に分割されている。この切欠部136内には、ロアパネル120のビード124の一部が配置されている。また、パネル本体部132Bの前後方向中間部には、車両下方側に凹み且つ車両左右方向に延在する凹部138が形成されている。このパネル本体部132Bは、凹部138の車両前後方向両側の部分が、車両右方側へ向かって下り勾配に傾斜した傾斜部132B1とされている。
また、上記のパネル本体部132Bには、車両左右方向(シート幅方向)に延びる複数のビード140が車両前後方向に並んで形成されている。これら複数のビード140は、車両上方側に凸をなしている。さらに、アッパパネル132の先端部には、先端縦壁部132Eと先端フランジ部132Fと跨る複数のビード141が車両前後方向に並んで形成されている。
上記構成の骨格部材110では、ロアパネル120の先端部に設けられた先端連結部120Eが、車両衝突時にシートベルト荷重によって車両フロア12と連結されると共に、ベースブラケット112に設けられた基端連結部112Bが、車両衝突時にシートベルト荷重によって車両フロア12と連結される構成になっている。
具体的には、上記の先端連結部120Eに対応してロアキャッチャー142(図3、図8、図9、図14A、図14B参照)が設けられると共に、上記の基端連結部112Bに対応してロアキャッチャー152(図4、図9〜図11、図13A〜図14B参照)が設けられている。ロアキャッチャー(ロアフック)142は、第1スライド機構42のスライドレール42Lに締結されており、当該スライドレール42Lを介して車両フロア12に固定されている。ロアキャッチャー(ロアフック)152は、第2スライド機構88のスライドレール88Rに締結されており、当該スライドレール88Rを介して車両フロア12に固定されている。
ロアキャッチャー142は、例えば板金製とされており、車両前後方向を長手とする長尺状に形成されている。このロアキャッチャー142は、スライドレール42Lのロアレール44と車両フロア12との間に配置された底壁部142Aと、底壁部142Aの車両左方側の端部から車両上方側へ延びる縦壁部142Bと、縦壁部142Bの上端部から車両左方側へ延びる係合部142Cとによって構成されている。底壁部142Aは、例えば溶接等の手段でスライドレール42Lのロアレール44の下面に結合されており、係合部142Cは、車両左方側の部位が車両下方側へ屈曲している(図14A参照)。このロアキャッチャー142の車両前後方向の長さ寸法は、ロアレール44の車両前後方向の長さ寸法よりも若干短く設定されている。なお、図9では、上記複数の補強用ビードの図示を省略している。
このロアキャッチャー142の係合部142Cは、ロアパネル120の先端連結部120Eに対して車両上方側から隙間を隔てて対向している。先端連結部120Eの車両前後方向の寸法は、係合部142Cの車両前後方向の寸法よりも十分に小さく設定されている。これらの係合部142C及び先端連結部120Eは、第2スライド機構88による2人掛けシート70の車両前後方向のスライド時に互いに干渉しないように配置されている。そして、2人掛けシート70が第2スライド機構88のスライド範囲のどの位置に位置する状態でも上記の対向状態が維持されるように、係合部142Cの車両前後方向の長さ寸法が設定されている。
ロアキャッチャー152は、例えば板金製とされており、車両前後方向を長手とする長尺状に形成されている。このロアキャッチャー152は、スライドレール88Rのロアレール90と車両フロア12との間に配置された底壁部152Aと、底壁部152Aの車両右方側の端部から車両上方側へ延びる右縦壁部152Bと、右縦壁部152Bの上端部から車両右方側へ延びる右係合部152Cとを備えている。底壁部152Aは、例えば溶接等の手段でスライドレール88Rのロアレール90の下面に結合されており、右係合部152Cは、車両右方側の部位が車両下方側へ屈曲している(図14A参照)。このロアキャッチャー152の車両前後方向の長さ寸法は、ロアレール90の車両前後方向の長さ寸法よりも若干短く設定されている。
ベースブラケット112は、前述したようにブラケット本体部112Aと基端連結部112Bとを備えている。このベースブラケット112の車両前後方向の長さ寸法は、ロアレール90の車両前後方向の長さ寸法よりも十分に短く設定されている。このベースブラケット112の基端連結部112Bは、ロアキャッチャー152の係合部152Cに対して車両下方側から隙間を隔てて対向している。これらの基端連結部112B及び係合部152Cは、第2スライド機構88による2人掛けシート70の車両前後方向のスライド時に互いに干渉しないように配置されている。そして、2人掛けシート70が第2スライド機構88のスライド範囲のどの位置に位置する状態でも上記の対向状態が維持されるように、係合部152Cの車両前後方向の長さ寸法が設定されている。
上記構成の車両用シート10では、車両衝突時に車両前方へ慣性移動しようとする乗員からの荷重がシートベルト14L、14S、14Rを介してバックル18L、18S、18R及び連結板96に固定された図示しないラップアンカープレートに加わる。この際、バックル18Sが先端部に取り付けられた骨格部材110には、車両前方斜め上方向きにシートベルト荷重SF1が加わる。このシートベルト荷重SF1によって骨格部材110が車両前方斜め上方側へ若干変形することにより、ロアパネル120の先端連結部120Eがロアキャッチャー142の係合部142Cに係合する(噛合う)。これにより、骨格部材110の先端部がロアキャッチャー142(すなわち先端連結部120E)を介して車両フロア12と車両上下方向に連結され、骨格部材110が車両フロア12に両持ち状態で支持される。これにより、骨格部材110の変形が抑制される構成になっている。
また、この車両用シート10では、バックル18Sに加わるシートベルト荷重SF1によって骨格部材110の基端部が車両前方斜め上方側へ若干変位又は変形することにより、骨格部材110の基端部に設けられたベースブラケット112の基端連結部112Bが、ロアキャッチャー152の右係合部152Cに係合する(噛合う)。これにより、骨格部材110の基端部がロアキャッチャー152(すなわち基端連結部112B)を介して車両フロア12と車両上下方向に連結される。これにより、骨格部材110の基端部の変位又は変形が抑制される構成になっている。
さらに、この車両用シート10では、車両衝突時に車両前方へ慣性移動しようとする乗員からの荷重がシートベルト14Sを介してバックフレーム80の上部に対して車両前方斜め下方向きに作用する(図13Bの矢印SF2参照)。このシートベルト荷重SF2の作用により第2フレーム76(主にバックフレーム80)が図13Bに示されるように変形することで、骨格部材110のロアパネル120の前端部が車両フロア12に接触するように構成されている。なお、図14A及び図14Bでは、車両フロア12の図示を省略している。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の車両用シート10では、1人掛けシート30は、シートクッション32及びシートバック34の骨格を構成する第1フレーム36の下端部が第1スライド機構42を介して車両フロア12に連結されている。また、2人掛けシート70は、1人掛けシート30に対して車両幅方向に並んで配置されており、シートクッション72及びシートバック74の骨格を構成する第2フレーム76の下端部が第2スライド機構88を介して車両フロア12に連結されている。この2人掛けシート70の第2フレーム76は、第2スライド機構88よりも1人掛けシート側30へ張り出したオーバーハング部76Hを有している。このオーバーハング部76Hの車両下方で第2フレーム76の下端部からは、骨格部材110が車両幅方向に沿って1人掛けシート30側(シート幅方向の一方側)へ延びている。
上記の骨格部材110は、第2フレーム76の下端部に固定されたベースブラケット112と、ベースブラケット112から1人掛けシート30側へ延出されたロアパネル120と、ロアパネル120の上方でベースブラケット112から1人掛けシート30側へ延出されたアッパパネル132とを有している。ロアパネル120の先端部側には、3点式シートベルト14Sのタングプレート16Sが連結されるバックル18Sが取り付けられている。また、このロアパネル120の先端部には、車両衝突時にシートベルト荷重SF1によって車両フロア12と連結される先端連結部120Eが設けられている。これにより、第2フレーム76のオーバーハング部76Hを介さずにシートベルト荷重SF1を車両フロア12に伝達することができる。その結果、シートベルト荷重SF1に対するオーバーハング部76Hの大幅な補強が不要となるので、オーバーハング部76Hすなわち2人掛けシート70の構造の簡素化及び軽量化を図ることが可能となる。
しかも、上記のロアパネル120には、アッパパネル132の先端部が結合されているので、当該アッパパネル132によってロアパネル120を補強することができる。また、この車両用シート10では、上記のベースブラケット112、ロアパネル120及びアッパパネル132の3部品で上記の効果が得られるので、従来と比較して構造を簡素化することができると共に、骨格部材110の各構成部材の成形性が向上する。その結果、車両用シート10の製造コストや重量を低減することが可能となる。
また、この車両用シート10では、第2フレーム76の下端部に固定されたベースブラケット112には、シートベルト荷重SF1によって車両フロア12と連結される基端連結部112Bが設けられている。これにより、車両フロア12へのシートベルト荷重SF1の伝達効率を向上させることができる。しかも、バックル18Sに加わるシートベルト荷重SF1が第1スライド機構42のスライドレール42Lと第2スライド機構88のスライドレール88Rとに分散されるので、スライドレール42L、88Rへの入力荷重の平準化を図ることができる。さらに、第2スライド機構88のスライドレール88R、88Lにおける車両フロア12への固定部に対するシートベルト荷重SF1の入力が低減されるので、当該固定部の補強が不要となる。
なお、上記のバックル18Sを、1人掛けシート30におけるクッションフレーム38の左側部などに取り付けることも可能であるが、その場合、1人掛けシート30と2人掛けシート70との前後位置を揃えなければ中央席10Sの乗員がシートベルト14を装着できなくなる。この点、本実施形態では、1人掛けシート30と2人掛けシート70との前後位置がずれている場合でも中央席10Sの乗員がシートベルト14を装着可能であるため、1人掛けシート30と2人掛けシート70との前後位置を自由に変更することができる。
また、上記の骨格部材110では、アッパパネル132とロアパネル120とによって車両前後方向視で閉じた閉断面が形成されているので、簡素な構成でありながら、シートベルト荷重SF1に対する骨格部材110の強度を確保することが容易である。
さらに、この車両用シート10では、ロアパネル120の上方でベースブラケット112からシート幅方向の一方側へ延出され、先端部がロアパネル120に結合されたアッパパネル132は、シート幅方向の一方側へ向かうほどシート下方側へ向かうように傾斜した傾斜部132B1(図10及び図12参照)を有している。これにより、ロアパネル120がシートベルト荷重SF1によってシート上方側へ変形することを、アッパパネル132によって良好に抑えることができる。
また、この車両用シート10では、第2フレーム76が有するバックフレーム80の上部には、車両衝突時にシートベルト荷重SF2がシート前方斜め下方向きに作用する。このシートベルト荷重SF2の作用によって第2フレーム76が変形すると、ロアパネル120の前端部が車両フロア12に接触する。これにより、車両フロア12から骨格部材110に入力される反力によって、第2フレーム76の変形を抑制することができる。
しかも、この車両用シート10では、アッパパネル132がシート幅方向に延在するビード140を有している。これにより、シートベルト荷重SF1がロアパネル120を介してアッパパネル132に入力された際に、アッパパネル132が車両幅方向に潰れ難くなるので、アッパパネル132の強度確保が容易になる。
また、この車両用シート10では、ロアパネル120が、基端部側から先端部側に延在するビード124、126と、シート前後方向に延在するビード128、130とを有しているので、シートベルト荷重SF1に対するロアパネル120の強度確保が容易になる。具体的には、パネル本体部120Bの基端部の前部から車両右方側かつ車両後方側へ向かって斜めに延びるビード124は、梁の役割を果たし、車両前方斜め左方向きのシートベルト荷重SF1を支持する。また、パネル本体部120Bの基端部の後部から車両右方側へ向かって延在するビード126は、ロアパネル120が車両幅方向に変形することを抑制する。さらに、車両前後方向に延在する左右一対のビード128、130は、シートベルト荷重SF1の作用によってロアパネル120の前端部が車両フロア12に接触した際に、ロアパネル120が車両前後方向に変形することを抑制する。
さらに、この車両用シート10では、バックフレーム80の上部にシートベルト荷重SF2が作用すると、車両幅方向内側のライザ94が車両幅方向内側に倒れようとする(図14Bの矢印W1参照)が、この際には、骨格部材110がシートベルト荷重SF1によって車両幅方向外側かつ車両上方側に変形しようとする(図14Bの矢印W2参照)。この骨格部材110によってライザ94を支えることができるので、上記の倒れを抑制することができる。
なお、上記実施形態では、2人掛けシート70は、シートバック74の前倒しに連動してシートクッション72が車両下方側へ変位する構成にしたが、これに限らず、シートバック74の前倒しに連動してシートクッション72が変位しない構成にしてもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。