JP2021109919A - ポリウレタン複合材料、導電性ウレタンベアリング、導電性ウレタンシート及びポリウレタン複合材料の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン複合材料、導電性ウレタンベアリング、導電性ウレタンシート及びポリウレタン複合材料の製造方法 Download PDF

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圭一 川本
宏之 植木
Hiroyuki Ueki
宏之 植木
聡 澤井
Satoshi Sawai
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Abstract

【課題】本発明は、繰り返し圧縮疲労試験の前後において導電性に優れるポリウレタン複合材料及びその製造方法を提供する。【解決手段】 ポリウレタン複合材料の一態様は、ポリウレタンと、平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと、を含む。ポリウレタン複合材料は、ポリウレタン100質量部に対してカーボンナノチューブ0.40質量部〜0.90質量部と導電性カーボンブラック0.20質量部〜0.90質量部とを含む。ポリウレタン複合材料は、カーボンナノチューブと導電性カーボンブラックの配合量の合計が0.80質量部〜1.40質量部である。ポリウレタン複合材料は、体積抵抗率が1.0×102Ω・cm〜9.0×106Ω・cmであって、かつ、40%圧縮疲労試験後の体積抵抗率が1.0×107Ω・cmに到達するまでの繰返し圧縮数が20回以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性に優れたポリウレタン複合材料、導電性ウレタンベアリング、導電性ウレタンシート及びポリウレタン複合材料の製造方法に関する。
通常ウレタンゴムは電気を通さない絶縁体であるが、静電気が発生した際、ごみや埃が付着して、汚染等の原因になるため、カーボン材料などの導電材料を添加して、制電効果や導電効果を付与する製品がある。このような製品の導電性は10Ω・cm以下である。また、使われ方によっては10Ω・cm以下の導電性を必要とする製品もある。このような制電効果や導電効果を付与した製品には多くの導電フィラーが添加されていることが多い。
このような製品としては、制電ウレタンベアリング、導電性ウレタンベアリング、ウレタンローラー、ウレタン車輪、ウレタンシート等がある。
通常、導電性を付与する導電性フィラーとしてはカーボンブラックが多く用いられているが、ポリウレタンに導電性を付加するためには、カーボンブラックの配合量を多くする必要があり、これによりポリウレタンの物理的強度の低下を招くことになる。また、導電性が要求されるポリウレタンの用途においては、例えば耐摩耗性が要求されることがあるが、耐摩耗性を維持しつつカーボンブラックで導電性を得ることは一般に困難である。
一方カーボンナノチューブは、電気的性質が注目されている。カーボンナノチューブを含有する導電性ポリウレタン組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら特許文献1の提案では、導電性を得るために多くのカーボンナノチューブを添加する必要があり、カーボンブラックと同様に物性の低下を招いていた。
本発明者等を含む研究開発により、カーボンナノチューブを所定量配合して導電性を付与しつつ優れた物理的特性を有するポリウレタン複合材料及びポリウレタン複合材料の製造方法が提案されている(特許文献2)。この提案によれば耐摩耗性が改善し、走行面の汚染を低減することができる。
特表2012−520356号公報 特開2019−56087号公報
しかしながら、特許文献2で提案されるポリウレタン複合材料は、実際の使用態様を想定して繰返し負荷を与える圧縮疲労試験を行うと、導電性が大きく変化することがわかった。
そこで、本発明の目的は、繰り返し圧縮疲労試験の前後において導電性に優れるポリウレタン複合材料、導電性ウレタンベアリング、導電性ウレタンシート及びその製造方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[1]本発明に係るポリウレタン複合材料の一態様は、
ポリウレタンと、平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと、を含むポリウレタン複合材料であって、
前記ポリウレタン100質量部に対して前記カーボンナノチューブ0.40質量部〜0.90質量部と導電性カーボンブラック0.20質量部〜0.90質量部とを含み、かつ、前記カーボンナノチューブと前記導電性カーボンブラックの配合量の合計が0.80質量部〜1.40質量部であり、
前記ポリウレタン複合材料は、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm〜9.0×10Ω・cmであって、かつ、40%圧縮疲労試験後の体積抵抗率が1.0×10Ω・cmに到達するまでの繰返し圧縮数が20回以上であることを特徴とする。
[2]上記ポリウレタン複合材料の一態様において、
前記ポリウレタン複合材料は、導電性を有するイオン液体をさらに含み、
前記ポリウレタン100質量部に対する前記イオン液体の配合量は、0.40質量部〜0.90質量部であることができる。
[3]上記ポリウレタン複合材料の一態様において、
JIS K 6252に準拠した切り込みなしアングル型を用いる引裂試験における前記ポリウレタン複合材料の引裂強さが60N/mm以上であることができる。
[4]上記ポリウレタン複合材料の一態様において、
前記導電性カーボンブラックは、DBP吸油量が300ml/100g〜600ml/100gであることができる。
[5]本発明に係る導電性ウレタンベアリングは、上記ポリウレタン複合材料の一態様を用いたことを特徴とする。
[6]本発明に係る導電性ウレタンシートは、上記ポリウレタン複合材料を用いることを特徴とする。
[7]本発明に係るポリウレタン複合材料の製造方法の一態様は、
液状のポリオールと平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと導電性カーボンブラックとを含む混合物を、流動しながら加圧して圧縮した後、圧力を解放または減圧して元の体積に復元し、前記カーボンナノチューブが解繊され、かつ、前記導電性カーボンブラックが分散した第1溶液を得る解繊工程と、
前記第1溶液に対して、ポリイソシアネートを混合して第2溶液を得る混合工程と、
前記第2溶液における前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させてポリウレタン複合材料を得る反応工程と、
を含むことを特徴とする。
[8]上記ポリウレタン複合材料の製造方法の一態様において、
前記第1溶液を100℃以上に加熱すると共に、真空条件下で前記第1溶液を3時間以上攪拌する攪拌工程をさらに含むことができる。
[9]上記ポリウレタン複合材料の製造方法の一態様において、
前記解繊工程は、ロール間隔が0.001mm〜0.01mmの複数本のロールで行う
ことができる。
[10]上記ポリウレタン複合材料の製造方法の一態様において、
前記解繊工程は、3本ロールに前記第1溶液を複数回通すことができる。
本発明によれば、圧縮疲労試験を多数行うことによってポリウレタン複合材料に繰返し負荷を与えても、所望の体積抵抗率を維持することができる、導電性に優れるポリウレタン複合材料、導電性ウレタンベアリング、導電性ウレタンシート及びその製造方法を提供することができる。
一実施形態に係るポリウレタン複合材料の製造方法の解繊工程を模式的に示す図である。 一実施形態に係るポリウレタン複合材料の製造方法の解繊工程を模式的に示す図である。 一実施形態に係る導電性ウレタンベアリングの縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
A.ポリウレタン複合材料
一実施形態に係るポリウレタン複合材料は、ポリウレタンと、平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと、導電性カーボンブラックと、を含む。ポリウレタン複合材料は、導電性を有するイオン液体をさらに含んでもよい。また、ポリウレタン複合材料は、ポリウレタンに一般に用いられている公知の添加剤等を含んでもよい。
ポリウレタン複合材料は、ポリウレタン100質量部に対してカーボンナノチューブ0.40質量部〜0.90質量部と導電性カーボンブラック0.20質量部〜0.90質量部とを含み、かつ、カーボンナノチューブと導電性カーボンブラックの配合量の合計が0.80質量部〜1.40質量部である。ここで、ポリウレタン複合材料におけるポリウレタンの配合量とは、ポリウレタンの生成に用いられる成分(ポリオール、ポリイソシアネート、ブタンジオール等)を合計した配合量である。なお、各成分の配合量の詳細については後述する。また、本明細書において「〜」で示す数値範囲は上限と下限を含む。
ポリウレタン複合材料は、導電性が要求される製品に用いることができる。例えば、導電性ウレタンベアリングや導電性ウレタンシートは、ポリウレタン複合材料を用いて得られる。ここで、「導電性」は、一般に体積抵抗率が10Ω・cm未満を有する製品に用いられる。
図3は、一実施形態に係る導電性ウレタンベアリング60の縦断面図である。図3に示す導電性ウレタンベアリング60は、軸受け部分を有するベアリング部62と、その外周を覆うウレタン部64を備える。ベアリング部62は、中心側から内輪、複数の転動体、及び外輪を含んで構成される。ウレタン部64は、外輪の外周面に接着される。導電性ウレタンベアリング60は、ウレタン部64にポリウレタン複合材料を用いる。導電性ウレタンベアリング60は、走行車輪として使用することができる。走行車輪としての導電性ウレタンベアリング60は、走行による繰返し負荷を常時受ける状態にある。そして、走
行時負荷による圧縮は10%以下を想定しているが、例えば衝撃等で導電性ウレタンベアリング60が大負荷を受けても導電性能を維持することが望ましい。このような大負荷による導電性の変化を大変形による導電性能の変化ととらえることができ、例えば40%圧縮疲労試験におけるウレタン部64の体積抵抗率の変化が小さいことが好ましい。また、大変形時における体積抵抗率の変化が小さいウレタン部64は、小変形時における体積抵抗率の変化も小さいため、通常の使用範囲での体積抵抗率の変化が小さい。また、導電性ウレタンシートは、例えば、厚さ0.5mm〜10mmの導電性を有するウレタンシートである。
A−1.ポリウレタン
ポリウレタン(ウレタン樹脂、ウレタンゴムともいう)は、ウレタン結合を含む高分子化合物である。ウレタン結合は、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応により生成される。ポリウレタンは、直鎖状のもの及び分岐状のものを含む。
ウレタン結合を形成するためのイソシアネート基は、2個以上のイソシアネート基を含む化合物(ポリイソシアネートという)から供給される。また、ウレタン結合を形成するためのヒドロキシル基は、2個以上のヒドロキシル基を含む化合物(ポリオールという)から供給される。ポリウレタンは、工業的にはポリイソシアネートとポリオールとの重付加反応によって得られる。
また、ポリウレタンは、ウレタン結合以外の結合を含んでいてもよく、例えば、イソシアネート基とアミノ基との反応により生じるウレア結合(尿素結合)、ウレア結合とイソシアネート基との反応により生じるビュレット結合、ウレタン結合とイソシアネート基との反応により生じるアルファネート結合、及び、イソシアネート基の三量化によるイソシアヌレート結合などが挙げられる。
A−2.カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、平均直径(繊維径)が2nm〜110nmである。さらに、カーボンナノチューブは、平均直径(繊維径)が5nm〜30nmの単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブであることができ、平均直径(繊維径)が9nm〜20nmの多層カーボンナノチューブであることができる。カーボンナノチューブの平均直径が小さい方が、カーボンナノチューブの濃度が同じであれば、単位体積当たりのカーボンナノチューブの本数が多くなり、かつ、カーボンナノチューブによって形成されるセル構造も微細になるため、ポリウレタン複合材料の物理的特性をより向上させることができるが、加工性が低下する傾向がある。カーボンナノチューブの平均直径は、電子顕微鏡による観察によって計測することができる。なお、本発明の詳細な説明においてカーボンナノチューブの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノチューブのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
カーボンナノチューブは、その表面を活性化する処理をしてもよい。
ポリウレタン複合材料におけるカーボンナノチューブの配合量は、導電性カーボンブラックの配合量との合計量が0.80質量部〜1.40質量部の範囲内において、ポリウレタン100質量部に対して0.40質量部〜0.90質量部である。さらに、ポリウレタン複合材料におけるカーボンナノチューブの配合量は、ポリウレタン100質量部に対して0.42質量部〜0.85質量部であることができ、特に0.50質量部〜0.80質量部であることができる。カーボンナノチューブの配合量が0.40質量部以上であればカーボンナノチューブを解繊することで所望の導電性の向上が得られる。カーボンナノチューブの配合量が0.90質量部以下であれば導電性カーボンブラックを併用しても溶液
の粘度が比較的低いため、加工(後述する「解繊工程」等)することができる。
カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有する単層カーボンナノチューブ(SWNT:シングルウォールカーボンナノチューブ)、多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)であることができる。多層カーボンナノチューブには、2層カーボンナノチューブ(DWNT:ダブルウォールカーボンナノチューブ)を含む。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノチューブは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理のカーボンナノチューブを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃〜1000℃の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁にカーボンナノチューブを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノチューブを基板上に生成させる触媒担持反応法(sub strate Reaction Method)等を用いることができる。
カーボンナノチューブは、ポリウレタン複合材料の中で解繊された状態で全体に分散して存在することができる。解繊された状態とは、カーボンナノチューブの凝集塊(最大直径が30μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは5μm以上の塊)が無い状態である。
A−3.導電性カーボンブラック
導電性カーボンブラックは、高分子物質に少量の充填で高い導電性を発現できるカーボンブラックである。導電性カーボンブラックは、平均一次粒子径が10nm〜60nmであることができ、さらに、20nm〜40nmであることができ、特にストラクチャーが発達したものが好ましい。このように一次粒子径が小さいことやストラクチャーが発達していることにより導電性が高くなるからである。導電性カーボンブラックは、導電性カーボンブラックとして市販されている、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、及びファーネスブラック等を含むことができる。
導電性カーボンブラックは、DBP吸油量が300ml/100g〜600ml/100gであることができ、さらに、DBP吸油量が350ml/100g〜550ml/100gであることができ、特に、DBP吸油量が400ml/100g〜550ml/100gであることができる。導電性カーボンブラックのDBP吸油量が300ml/100g以上であることで、ストラクチャーが高度に発達していると考えられる。また、導電性カーボンブラックのDBP吸油量が600ml/100g以下であることで、市販のものを入手しやすい。DBP吸油量は、JIS6217−4に基づいてアブソープトメーターを用いて測定する。
ポリウレタン複合材料における導電性カーボンブラックの配合量は、カーボンナノチューブと導電性カーボンブラックとの合計量が0.80質量部〜1.40質量部の範囲内において、ポリウレタン100質量部に対して0.20質量部〜0.90質量部である。さ
らに、ポリウレタン複合材料における導電性カーボンブラックの配合量は、ポリウレタン100質量部に対して0.20質量部〜0.85質量部であることができ、さらに0.25質量部〜0.85質量部であることができ、さらに0.30質量部〜0.80質量部とすることができる。導電性カーボンブラックの配合量が0.20質量部以上であれば圧縮疲労試験後であっても高い導電性を維持することができる。導電性カーボンブラックの配合量が0.90質量部以下であればカーボンナノチューブを併用しても溶液の粘度が比較的低いため、加工(後述する「解繊工程」等)することができる。
A−4.イオン液体
イオン液体は、100℃以下の融点を有し、イオンのみからなる化合物である。特に、室温付近で液体状態であるイオンのみからなる化合物であることがポリウレタン複合材料にとっては好ましい。
イオン液体は、導電性を有するイオン液体である。イオン液体のアニオン及びカチオンに制限はないが、非金属系のカチオンであることが好ましい。イオン液体としては、例えば、有機窒素系イオン液体、チタン系イオン液体、過塩素酸リチウム系イオン液体等が挙げられる。
ポリウレタン複合材料におけるポリウレタン100質量部に対するイオン液体の配合量は、0.00質量部〜1.00質量部であることができ、さらに0.40質量部〜0.90質量部であることができる。イオン液体は、カーボンナノチューブの導電性効果を安定化するものであるため、必ずしも配合しなくてもよいが、少量で当該安定化の効果を得ることができる。
A−5.体積抵抗率
ポリウレタン複合材料は、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm〜9.0×10Ω・cmであって、かつ、40%圧縮疲労試験後の体積抵抗率が1.0×10Ω・cmに到達するまでの繰返し圧縮数が20回以上である。さらに、ポリウレタン複合材料は、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm〜9.0×10Ω・cmであることができ、特に、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm〜1.0×10Ω・cmであることができる。また、ポリウレタン複合材は、40%圧縮疲労試験後の体積抵抗率が1.0×10Ω・cmに到達するまでの繰返し圧縮数が40回以上であることができ、さらに60回以上であることができ、特に80回以上であることができる。
体積抵抗率(Ω・cm)は、電気抵抗(Ω)を単位体積(1cm×1cm×1cm)当たりで示した値である。体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して、定電流印加方式により測定する。
また、圧縮疲労試験はφ29mm×厚さ12.5mmの円柱状試験片を厚み方向に40%(5mm)圧縮及び解放を繰返し行い、1回圧縮及び解放を行うたびに上記と同様に体積抵抗率を測定する。そして、繰返し負荷を与え、体積抵抗率が1.0×10Ω・cmに到達するまでの繰返し圧縮数を計測する。一般に、ポリウレタンにおける実際の使用状態では10%程度の圧縮条件が採用され、40%という厳しい条件で繰返し圧縮は行われないが、ポリウレタン複合材料の導電性を評価するために圧縮条件を10%から40%に変更した加速試験を行う。
ポリウレタン複合材料における導電性の向上は、解繊されたカーボンナノチューブがポリウレタン複合材料中に分散することにより、カーボンナノチューブ同士の接触による導電だけでなくカーボンナノチューブ同士が近接する部分でのトンネル効果による電子の移動が起こることによるものと推測される。ミラブルゴムのような半固体状のポリマーを用
いた場合に比べて、液状のポリオールを母材として用いて製造するポリウレタン複合材料におけるカーボンナノチューブ同士の最近接間距離は平均して小さくなるため、トンネル効果の発生確率が向上するものと推測される。また、導電性を有するイオン液体を添加することにより、近接するカーボンナノチューブ間のトンネル効果の発生確率の向上にイオン液体が寄与すると推測され、イオン液体を添加しないポリウレタン複合材料よりもイオン液体を添加したポリウレタン複合材料の方が安定的な導電性を確保することが可能である。ここで安定的な導電性とは、同じ成分が同量配合されたポリウレタン複合材料の複数のサンプルを作製した場合に、いずれのサンプルの体積抵抗率もほぼ同程度の値を示し、サンプル間における導電性の変動が小さいということである。
一方で圧縮疲労試験後のポリウレタン複合材料における導電性の維持は、導電性カーボンブラックと、解繊されたカーボンナノチューブとが分散することにより得られる。ポリウレタンに導電性カーボンブラックを添加するだけでは、圧縮疲労試験後に導電性が低下してしまうし、ポリウレタンにカーボンナノチューブを添加するだけでは、圧縮疲労試験後に導電性が低下してしまう。40%圧縮疲労試験において繰返し圧縮数が20回以上の性能は、これまで得られないものであった。しかし、導電性カーボンブラックとカーボンナノチューブとが適量添加されるポリウレタン複合材料は、比較的高い導電性が圧縮疲労試験後も維持できる。そのため、ポリウレタン複合材料の成形品が繰返し圧縮変形を伴う使用状態におかれた場合でも、高い導電性を維持したまま長期間使用することができる。
A−6.引裂試験
ポリウレタン複合材料は、JIS K 6252に準拠した切り込みなしアングル型を用いる引裂試験における引裂強さが60N/mm以上であることができ、さらに、引裂強さが64N/mm以上であることができる。
B.ポリウレタン複合材料の製造方法
本実施形態に係るポリウレタン複合材料の製造方法は、液状のポリオールと平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと導電性カーボンブラックとを含む混合物を、流動しながら加圧して圧縮した後、圧力を解放または減圧して元の体積に復元し、前記カーボンナノチューブが解繊され、かつ、導電性カーボンブラックが分散した第1溶液を得る解繊工程と、第1溶液に対して、ポリイソシアネートを混合して第2溶液を得る混合工程と、第2溶液におけるポリオールとポリイソシアネートとを反応させてポリウレタン複合材料を得る反応工程と、を含むことを特徴とする。ポリウレタン複合材料の製造方法は、攪拌工程をさらに含んでもよい。
B−1.解繊工程
解繊工程は、液状のポリオールと平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと導電性カーボンブラックとを含む混合物を流動しながら加圧して圧縮した後、圧力を解放または減圧して元の体積に復元し、第1溶液を得る工程である。解繊工程は、ロール間隔が0.001mm〜0.01mmの複数本のロールで行うことができる。図1及び図2を用いて解繊工程について説明する。図1及び図2は、解繊工程を模式的に示す図である。
カーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックの配合量は、ポリウレタン複合材料におけるポリウレタン100質量部に対して上記Aで説明した配合量となるように調整して、ポリオールに混合する。混合物におけるカーボンナノチューブの配合量は、ポリオール100質量部に対して0.66質量部〜1.49質量部であることができ、さらに0.69質量部〜1.41質量部であることができ、さらに0.82質量部〜1.33質量部であることができる。また、導電性カーボンブラックの配合量は、ポリオール100質量部に対して0.33質量部〜1.49質量部であることができ、さらに0.33質量部〜
1.41質量部であることができ、さらに0.49質量部〜1.33質量部であることができる。ポリウレタン複合材料におけるポリウレタンの成分は、ポリイソシアネート、ポリオール、及びその他のポリウレタンの原料(架橋剤等)からなる。
解繊工程に先立って、液状のポリオールに予定した配合量のカーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックを投入し、好ましくは、作業者が目視してカーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックがポリオールの全体に混合されたと認識するまで例えば手作業で撹拌し、あるいは公知の攪拌機で撹拌することで混合物が得られる。
前記攪拌によって得られた混合物は、液体(ポリオール)中にカーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックが粒子状に単独で分布した状態である。カーボンナノチューブや導電性カーボンブラックの液体に対する濡れ性によっては、液体がカーボンナノチューブや導電性カーボンブラックの凝集塊の中心まで含浸できずに凝集塊が空気を含んでいる状態である。カーボンナノチューブは、液体の分子運動性を十分に拘束することができず、カーボンナノチューブの凝集塊と液体とが分離しやすい状態にあり、複合材としては非常に不安定な構造である。
図1は、3本ロール1の側面図である。3本のロール10,20,30は、所定の回転速度V1,V2,V3で回転する。混合物は、図の左側のロール10の上から供給され、矢印A1の方向にロール10の回転と共に移動して、ロール10とロール20との間のニップに入り込む。ロール10とロール20との間のニップを通った溶液は、矢印A2,A3の方向にロール20の回転と共に移動して、続いてロール20とロール30との間のニップに入り込む。そして、ロール20とロール30との間のニップを通った溶液は、矢印A4の方向にロール30の回転と共に移動して、ロール30から取り出され、矢印B1で示すように、再びロール10に供給される。例えば、解繊工程は、3本ロール1に混合物を複数回通すことができる。
図1及び図2に示すように、3本ロール1は、ロール10,20の幅方向(回転軸に沿った方向)の所定間隔を隔てた位置に仕切板50,52を有する。ロール間のニップは狭いため、第1溶液は少しずつニップを通過して、ニップに入れない第1溶液がロールの幅方向に広がろうとする。仕切板50,52は、ニップに入れない第1溶液が所定幅以上に広がらないようにするものである。
解繊工程は、各ロール10,20,30のロール間隔(ニップ)が0.001mm〜0.01mmの3本ロールで行うことができる。ここでは3本ロールを用いているが、ロールの数は特に限定されるものでは無く、複数本のロール、例えば、2本ロールを用いてもよく、その場合には、同様のロール間隔で混練することができる。
解繊工程は、ロールの回転比が1.2〜3.0であることができる。ロールの回転比が大きければ、混合物にかかる剪断力が大きくなり、カーボンナノチューブ同士を引き離す力として作用するからである。ここでいうロールの回転比は、隣り合うロールの回転比である。例えば、ロール10の表面速度をV1、ロール20の表面速度をV2、ロール30の表面速度をV3とすると、ロール10,20,30の表面速度比(V1:V2:V3)は1:1.5〜3.0:3.3〜9.0の範囲で選択することができ、さらに、1:2.7〜3.0:8.4〜9.0の範囲で選択することができる。
ロール10に供給された混合物は、ロール10とロール20との間の非常に狭いニップに入り込み、ロールの回転比によって流動しながら加圧される。混合物は、仕切板50,52によってロール10の幅方向への移動は制限されているので、所定体積が順次ニップに供給されることになり、ニップで圧縮されて体積が減少する。その後、混合物は、ニッ
プを抜けてロール20の矢印A2に沿って移動すると、圧力が解放または減圧して元の体積に復元する。そして、この体積の復元に伴って、カーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックは大きく流動し、凝集したカーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックがほぐれる。
また、混合物は、次のロール20とロール30との間の非常に狭いニップで同様の加圧、圧縮、解放、復元を行うことで、凝集したカーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックはさらにほぐれる。
さらに、このロール10からロール30への一連の工程を複数回繰り返し行うことにより、混合物中のカーボンナノチューブの解繊と導電性カーボンブラックの分散は進み、第1溶液を得ることができる。解繊工程は、例えば、一連の工程を1回としたとき、3回〜10回行うことができる。
解繊工程は、ポリオールの融点に合わせて混練温度(混合物の温度)を設定することができる。ポリオールの融点が室温以下の場合には、解繊工程の混練温度を0℃〜60℃の範囲で行うことができ、さらに、混練温度を15℃〜50℃の範囲で行うことができる。ポリオールの融点が室温より高い場合には、解繊工程の混練温度は、当該融点以上であって当該融点より30℃高い温度以下で行うことができる。解繊工程は、液体の有する体積弾性率を利用して行うものであるため、混合物が液体である範囲で、なるべく低温で行う方が好ましい。体積弾性率は、ヤング率と比例関係にあり、圧縮率の逆数である。ヤング率は温度の上昇とともに減少し、圧縮率は温度上昇に伴い増加する為、体積弾性率も温度の上昇に伴い減少するからである。したがって、混合物の温度は、60℃以下、好ましくは50℃以下とすることが好ましい。混合物の温度は、生産性の観点から、0℃以上、好ましくは15℃以上であることが好ましい。ロールの温度が低いと、例えば、ロールにおける結露の問題が発生するからである。
解繊工程は、3本ロールなどのロールによる混練に限らず、混合物の体積を圧縮した後に復元することができる混練方法であれば、他の方法を採用することができる。例えば、混合物を加圧して流動させながら圧縮し、キャビテーションや乱流を発生させた後、急激に減圧する分散装置、例えばホモジナイザーを用いることが出来る。
解繊工程において得られた剪断力により、液体に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノチューブが3本ロールに繰返し通されることによって徐々に相互に分離し、解繊され、混合物中に分散され、カーボンナノチューブの分散性および分散安定性(カーボンナノチューブが再凝集しにくいこと)に優れたポリウレタン複合材料を得ることができる。したがって、本製造方法によって得られたポリウレタン複合材料は、カーボンナノチューブの凝集塊が原因の問題が起こらないため、多種多様の用途に適用することができる。
解繊工程で得られた第1溶液は、液体又はペースト状であることが好ましい。混合工程におけるポリイソシアネートとの混合を容易にするためである。第1溶液は、室温において、自重を以って流動することが無くとも、例えば温度の上昇又は混合時に加わる外力により粘度の低下を得られる場合その後の混合工程を実施することができる。
B−2.攪拌工程
攪拌工程は、解繊工程で得られる第1溶液を100℃以上に加熱すると共に、真空条件下で第1溶液を3時間以上攪拌することができる。
攪拌工程は、後述する混合工程において第1溶液を混合しやすくするために第1溶液の
粘度を調整してもよい。第1溶液にはカーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックが含まれているため、第1溶液の粘度が高くなる傾向があり、ポリイソシアネートの粘度に近づけることが好ましい。
攪拌工程は、真空条件下で行うことで第1溶液の気泡を減らすことができる。第1溶液の気泡を減らすことができると、反応工程でのボイドの発生を抑制することができる。
B−3.混合工程
混合工程は、第1溶液に対して、液状のポリイソシアネートを混合して第2溶液を得る工程である。混合工程は、ポリイソシアネート以外のポリウレタンを生成するための成分を配合してもよい。混合工程は、第1溶液に対して、イオン液体を混合する工程を含むことができる。
混合工程は、第1溶液、ポリイソシアネート、及びイオン液体を液体の状態で混合することができる。したがって、ポリオール、ポリイソシアネート及びイオン液体のいずれかが室温で固体の場合には、その融点以上の温度まで加熱して混合することができる。
混合工程は、例えば、2本ロール、3本ロール、自公転式ミキサ(プラネタリミキサ)などを用いて行うことができる。
B−3−1.ポリイソシアネート
ポリイソシアネートは、二官能以上のイソシアネート基含有化合物であれば特に限定されない。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、o−トリレンジイソシアネート(TODI)、粗製TDI、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、1,4−ビス(2−イソシアネートエチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、複数種を混合して用いてもよい。
B−3−2.イオン液体
イオン液体は、前記A−4で説明した導電性を有するイオン液体を用いることができる。イオン液体の配合量については、前記A−4で説明した通りである。
B−3−3.その他の原料
混合工程は、ポリオール及びポリイソシアネート以外にポリウレタンを生成するために用いられるその他の原料を混合してもよい。その他の原料としては、例えば、架橋剤、触媒、可塑剤等が挙げられる。架橋剤としては、短鎖アルコール類、短鎖アミン類が用いられ、例えば、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)等が挙げられる。触媒としては、トリエチレンジアミン(TEDA)、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)等が挙げられる。
B−4.反応工程
反応工程は、前記B−3で得られた第2溶液におけるポリオールとポリイソシアネートとを反応させてポリウレタン複合材料を得る工程である。反応工程は、混合工程の中で開始してもよい。反応工程は、第2溶液を金型内に注入する工程を含むことができる。
反応工程によって得られたポリウレタン複合材料は、カーボンナノチューブ及び導電性カーボンブラックで導電性を付与しつつ優れた物理的特性を有する。反応工程によって得られたポリウレタン複合材料は、前記Aにおいて説明したポリウレタン複合材料であることができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)サンプルの作製
解繊工程:容器内でポリオールに、カーボンナノチューブ(表では「MWNT」)及び導電性カーボンブラック(表では「導電性CB」)を投入し、手作業で撹拌して混合物を得た(ポリオールに架橋剤の1,4−ブタンジオールを予め混合してもよい)。この混合物をロール直径86.5mm、ロール長さ230mmのアイメックス社製3本ロールBR−230HCV(ロール温度23〜40℃)に投入して、3回〜10回ロールを通して混練し、第1溶液を得た(3本ロールについては図1,2参照)。ロール間隔は、0.001mm〜0.01mmに設定し、ロール速度比は、図1におけるV1:V2:V3=28.9:86.7:260rpm=1:3:9であった。
表の「混合物の配合」の欄に、各サンプルにおけるポリオール100質量部(phr)に対する、カーボンナノチューブと導電性カーボンブラックの配合量を質量部(phr)で示した。
攪拌工程:130℃、真空条件下(−0.08MPa)において、各サンプルの第1溶液を攪拌ブレードにより30〜50rpmで6時間攪拌した。
混合工程:シンキー社製自公転式ミキサARE−500に、攪拌工程を経て粘度を調整された第1溶液、ポリイソシアネート、1,4−ブタンジオール及び導電性を有するイオン液体を投入し、回転数1000rpmで2分間混練を行って、第2溶液を得た。
反応工程:第2溶液を流動性が低下する前に金型に注入し、プレス機で130℃、1時間、硬化反応させ、実施例及び比較例のポリウレタン複合材料のサンプルを得た。各サンプルの厚さは2mmのシート状であった。なお、比較例1はポリウレタン単体であるので、解繊工程及び攪拌工程を実施していない。
表の「ポリウレタン複合材料の配合」は、ポリウレタン成分(ポリオール、ポリイソシアネート、1,4−ブタンジオール)100質量部に対するカーボンナノチューブ(表では「MWNT」)、導電性カーボンブラック(表では「導電性CB」)、及びカーボンナ
ノチューブと導電性カーボンブラックとの合計量(表では「カーボン合計」)の配合量を質量部(phr)で示した。
表1〜表3に示す配合剤は、
ポリオール:保土谷化学工業社製、ポリエーテルポリオールPTGL1000、分子量1000、
多層カーボンナノチューブ(MWNT):平均直径10nm、
導電性カーボンブラック(導電性CB):ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、ケッチェンブラックEC600JD、一次粒子径の平均値34nm、DBP吸油量495ml/100g、BET比表面積1270(m/g)、多孔度78%、揮発分0.7%、灰分0.2%、pH7.0、
イオン液体:田岡化学工業社製US600(有機窒素系イオン液体)、
であった(平均直径は、走査型電子顕微鏡の撮像を用いて200か所以上の測定値を算術平均した値である。
混合工程において、全ての実施例及び比較例は、ポリウレタン成分として、ポリオール100質量部に対してポリイソシアネート(三井化学社製コスモネートPH、融点37℃)を55.6質量部と1,4−ブタンジオール(BASF出光社製1,4−ブタンジオール、粘度65mPa・s(25℃))を10質量部とが配合された。また、全ての実施例及び比較例は、イオン液体の配合量が、ポリオール100質量部に対して1.00質量部(ポリウレタン100重量部に対して、イオン液体の配合量が0.60重量部)であった。
(2)硬度
実施例及び比較例のサンプルについて、JIS K6253に準拠して硬度(Hs)を測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
(3)引張試験
実施例及び比較例のサンプル(JIS3号ダンベル)について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標線間距離20mm、引張速度500mm/minでJIS K6251に準拠して引張試験を行い引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、100%モジュラス(M100(MPa))及び300%モジュラス(M300(MPa))を測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
引張試験の破断面を電子顕微鏡観察した。実施例1〜6のサンプルの破断面にはカーボンナノチューブの5μm以上の凝集塊は発見されなかった。
(4)引裂試験
実施例及び比較例のサンプル(切り込みなしアングル型)について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6252に準拠して引裂強さ(Tr(N/mm))を測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
(5)体積抵抗率の測定
40%圧縮疲労試験を実施する前の実施例及び比較例のサンプル(φ29×t12.5mm円柱状試験片)について、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以下のサンプルは、三菱ケミカルアナリテック社製低抵抗率計ロレスタ−GP MCP−T610を用いて、JIS K 7194に準拠して、定電流印加方式(測定電圧90V)により測定した。体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上のサンプルは、三菱ケミカルアナリテック社製低抵抗率計ハイレスタ−UP MCP−HT450を用
いて、JIS K6271に準拠して、定電圧印加方式(測定電圧10V)により測定した。40%圧縮疲労試験を実施する前の各サンプルにおける測定結果を表1〜表3の「体積抵抗率」の欄に示した。
(6)40%圧縮疲労試験
実施例及び比較例のサンプル(φ29×t12.5mm円柱状試験片)を厚み方向に圧縮速度50mm/min.で40%(t12.5mmに対して、5mm圧縮)圧縮した後、同じ速度で解放し、解放後のサンプルの体積抵抗率を測定した。そして、サンプルの体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上になるまでの繰り返し圧縮数を数えて表1〜表3の「圧縮疲労試験」の欄にその回数を示した。比較例2,6は、40%圧縮疲労試験を実施する前のサンプルにおける体積抵抗率が1.0×10Ω・cmを超えていたため、同試験を行わず、表2,3では「0」とした。
(7)加工性の評価
反応工程において、実施例及び比較例の第2溶液を金型に流し込むことができれば表の「加工性」の欄に「〇」で示し、第2溶液の粘度が高すぎて金型に流し込むことができなければ表の「加工性」の欄に「×」で示した。
Figure 2021109919
Figure 2021109919
Figure 2021109919
表1〜表3の結果によれば、実施例1〜6のポリウレタン複合材料のサンプルは、比較例1のサンプルに比べて、引張強さ、100%モジュラス及び300%モジュラスが大きく、物理的特性に優れていた。
実施例1〜6のポリウレタン複合材料のサンプルは、比較例1〜3,6,7,9のサンプルに比べて引裂強さが大きかった。
実施例1〜6のポリウレタン複合材料のサンプルの体積抵抗率は、8.0×10(Ω・cm)〜6.8×10(Ω・cm)であり、少量のカーボンナノチューブの配合によって効率的に導電性を向上させることができた。これに対し、比較例2のサンプルは、導電性カーボンブラックを6.04質量部と大量に配合しても体積抵抗率が8.7×10
(Ω・cm)であった。また、比較例6のサンプルは、カーボンナノチューブが0.30質量部と少ないため、体積抵抗率が3.2×10(Ω・cm)であった。
実施例1〜6のポリウレタン複合材料のサンプルの圧縮疲労試験後の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上になるまでの回数が50回以上であった。これに対し、導電性カーボンブラックだけを配合した比較例2やカーボンナノチューブだけを配合した比較例3〜5のサンプルは、同試験の回数が2回〜5回と少なく、体積抵抗率が少ない回数で大きく上昇した。また、比較例7〜9のサンプルは、同試験の回数が3回〜15回と少なく、体積抵抗率が少ない回数で大きく上昇した。
実施例1〜6の第2溶液は、流動性を示し、反応工程での金型へ流し込むことが可能であった。これに対し、カーボンナノチューブを0.97質量部と比較的多く配合した比較例5,7の第2溶液は流動せず、反応工程で金型へ流し込むことができなかった。また、カーボン合計の配合量が1.45質量部と比較的多く配合した比較例9の第2溶液も同様に金型へ流し込むことができなかった。
1…3本ロール、10,20,30…ロール、50,52…仕切板、60…導電性ウレタンベアリング、62…ベアリング部、64…ウレタン部、V1,V2,V3…回転速度、A1〜A4,B1…矢印

Claims (10)

  1. ポリウレタンと、平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと、を含むポリウレタン複合材料であって、
    前記ポリウレタン100質量部に対して前記カーボンナノチューブ0.40質量部〜0.90質量部と導電性カーボンブラック0.20質量部〜0.90質量部とを含み、
    前記カーボンナノチューブと前記導電性カーボンブラックの配合量の合計が0.80質量部〜1.40質量部であり、かつ、前記ポリウレタン複合材料は、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm〜9.0×10Ω・cmであって、かつ、40%圧縮疲労試験後の体積抵抗率が1.0×10Ω・cmに到達するまでの繰返し圧縮数が20回以上である、ポリウレタン複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記ポリウレタン複合材料は、導電性を有するイオン液体をさらに含み、
    前記ポリウレタン100質量部に対する前記イオン液体の配合量は、0.40質量部〜0.90質量部である、ポリウレタン複合材料。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    JIS K 6252に準拠した切り込みなしアングル型を用いる引裂試験における前記ポリウレタン複合材料の引裂強さが60N/mm以上である、ポリウレタン複合材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、
    前記導電性カーボンブラックは、DBP吸油量が300ml/100g〜600ml/100gである、ポリウレタン複合材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項のポリウレタン複合材料を用いた、導電性ウレタンベアリング。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項のポリウレタン複合材料を用いた、導電性ウレタンシート。
  7. 液状のポリオールと平均直径が2nm〜110nmのカーボンナノチューブと導電性カーボンブラックとを含む混合物を、流動しながら加圧して圧縮した後、圧力を解放または減圧して元の体積に復元し、前記カーボンナノチューブが解繊され、かつ、前記導電性カーボンブラックが分散した第1溶液を得る解繊工程と、
    前記第1溶液に対して、ポリイソシアネートを混合して第2溶液を得る混合工程と、
    前記第2溶液における前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させてポリウレタン複合材料を得る反応工程と、
    を含む、ポリウレタン複合材料の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記第1溶液を100℃以上に加熱すると共に、真空条件下で前記第1溶液を3時間以上攪拌する攪拌工程をさらに含む、ポリウレタン複合材料の製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8において、
    前記解繊工程は、ロール間隔が0.001mm〜0.01mmの複数本のロールで行う、ポリウレタン複合材料の製造方法。
  10. 請求項9において、
    前記解繊工程は、3本ロールに前記混合物を複数回通す、ポリウレタン複合材料の製造
    方法。
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