JP2021109581A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】噛み合い式の係合機構を搭載した動力伝達装置において、その係合機構の係合(噛み合い)を確実に行うことが可能な動力伝達装置を提供する。【解決手段】三つの回転要素によって差動作用を行う動力分割機構2と、出力要素からトルクが伝達される出力ギヤ14と、動力分割機構2の各回転要素のうちの二つの回転要素を係合あるいは解放する噛み合い式係合機構6と、動力分割機構2、出力ギヤ14、噛み合い式係合機構6を収容するハウジング8,9,10とを備えた動力伝達装置において、出力ギヤ14は、内径が動力分割機構2の外径より大きい円筒状に形成され、かつ動力分割機構2は出力ギヤ14の内周側に配置され、動力分割機構2のうち噛み合い式係合機構6により係合される少なくとも一つの回転要素は、軸受22を介してハウジング8により支持されている。【選択図】図1

Description

この発明は、歯車機構および係合機構などを備えた動力伝達装置に関するものである。
特許文献1には、内燃機関と、発電機能のあるモータと、内燃機関からトルクが伝達される入力要素、モータからトルクが伝達される反力要素、および、出力要素によって差動作用を行う動力分割機構と、出力要素からトルクが伝達される出力ギヤとを備えたハイブリッド車両が記載されている。また、この特許文献1に記載されたハイブリッド車両は、内燃機関の出力軸をモータのロータに連結する第1クラッチ機構と、内燃機関から動力分割機構を介して出力ギヤへトルクを伝達可能にする第2クラッチ機構とを備え、それら第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とが同一の回転中心軸線上に配置されている。また、上記の出力ギヤは、内径が動力分割機構の外径より大きい円筒状に形成され、前記第2クラッチ機構の少なくとも一部が出力ギヤの内周側でかつ動力分割機構に対して回転中心軸線の方向で隣り合うように配置されている。なお、上記の第1クラッチ機構および第2クラッチ機構は、それぞれ湿式多板クラッチにより構成されている。
特開2017ー071241号公報
上述の特許文献1に記載されたハイブリッド車両は、出力ギヤに内燃機関の出力トルクを増幅したトルクが作用することがあるので、その出力ギヤが動力分割機構の外周側に配置した幅の広いものとされている。そして、その出力ギヤの内周側で動力分割機構との間に空間が生じるので、その空間に第2クラッチ機構をの少なくとも一部を配置するように構成されている。そのため、出力ギヤに対して回転中心軸線の方向に並べて配置する部材を少なくできるので、装置全体としての軸長を短縮できる、とされている。一方、特許文献1に記載された駆動装置は、クラッチ機構として、湿式多板クラッチを採用している。湿式多板クラッチは、その湿式多板クラッチを駆動させる油圧機構を要するから、駆動装置全体として大型化する、ならびに、コストが増大するおそれがある。また、湿式多板クラッチは、摩擦板同士の引き摺りによる損失が大きく、さらには油圧機構のポンプによる損失も大きくなる。そのような場合、クラッチ機構の小型化や動力の低損失化を図るために、ドグクラッチなどの噛み合い式の係合機構を採用することが想定されるものの、噛み合い式の係合機構は、回転同期制御する際に、その噛み合い式の係合機構を軸方向へ動作させるアクチュエータと噛み合い部分との接続を要するため、係合部材や噛み合い部分における位置決めの精度が要求される。つまり、そのような位置決めの精度が低下すると、噛み合い部分での歯当たりが悪化し、ひいては係合機構や装置全体としての耐久性が低下するおそれがある。したがって、動力伝達装置において、装置全体としての小型化を図ること、ならびに、動力損失を抑制するには未だ改善の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、噛み合い式の係合機構を搭載した動力伝達装置において、その係合機構の係合(噛み合い)を確実に行うことが可能な動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動力源からトルクが入力される入力要素と、反力要素と、出力要素との少なくとも三つの回転要素によって差動作用を行う動力分割機構と、前記出力要素からトルクが伝達される出力ギヤと、前記動力分割機構の各回転要素のうちの二つの回転要素を係合あるいは解放する噛み合い式係合機構と、前記動力分割機構および前記出力ギヤならびに前記噛み合い式係合機構を収容するハウジングとを備えた動力伝達装置において、前記出力ギヤは、内径が前記動力分割機構の外径より大きい円筒状に形成され、かつ前記動力分割機構は前記出力ギヤの内周側に配置され、前記動力分割機構のうち前記噛み合い式係合機構により係合される少なくとも一つの回転要素は、軸受を介して前記ハウジングにより支持されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、動力分割機構を構成する回転要素のうちの二つの回転要素が噛み合い式の係合機構により係合あるいは解放するように構成されている。また、その係合する回転要素のうちの少なくとも一つは、軸受を介してハウジングにより支持されている。つまり、係合する部材は、軸受により支持されることにより、位置決めがされるので、係合部材同士の芯ずれ量あるいは傾きを抑制できる。また、そのように芯ずれ量や傾きを抑制できることにより、係合部材同士の噛み合いが確実なものとなり、ひいては噛み合い歯の歯当たりや動力分割機構におけるギヤの歯当たりが良好となる。さらに、そのように歯当たりが良好になることにより、係合機構あるいは各ギヤの耐久性を向上させることができる。
この発明の実施形態の動力伝達装置における動力分割機構およびその周辺の部分を主として示す部分的な断面図である。 動力分割機構を二つの遊星歯車機構で構成した場合の噛み合い式の係合機構において、係合する部材をまとめて説明するための図である。 この発明の実施形態を適用することが可能な他の例を示す模式図である。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
図1にこの発明の実施形態における動力伝達装置1の主要部分の断面図を示してある。この図1に示す動力伝達装置は、車両に搭載され、例えば前掲の特許文献1に記載されたハイブリッド車両に搭載される。なお、そのハイブリッド車両の具体的な構成は、特許文献1に記載された構成と同様、あるいは、周知の構成であるため、ここでは省略する。また、図1に示す実施形態では、差動作用を行う一つのシングルピニオン型の遊星歯車機構で構成された動力分割機構2のサンギヤ(反力要素)3、キャリヤ(入力要素)4、ならびに、リングギヤ(出力要素)5の各メンバー間における係合(回転固定)と解放とを切り替える係合機構としてドグ歯を備えた噛み合い式係合機構6を設けた例を示している。なお、以下に示す例では、係合する部材としてリングギヤ5とキャリヤ4とを例として説明するものの、その他、キャリヤ4とサンギヤ3とを係合部材とする、あるいは、サンギヤ3とリングギヤ5とを係合部材としてもよい。
具体的には、図1に示す例では、主として、入力軸7と同一の回転中心軸線上に配置されている部材を示してある。動力伝達装置1は、エンジン側(紙面右側)のフロントハウジング8と、フロントハウジング8に続けて設けられているミッドハウジング9と、前記フロントハウジング8とは反対側でミッドハウジング9に連結されたリヤハウジング10とからなるハウジングを備えている。なお、図1では、図面の作図上、フロントハウジング8、ミッドハウジング9、リヤハウジング10は、それぞれ一部分のみを示している。フロントハウジング8は、エンジン側に開口し、かつその開口端から窪んだ位置に隔壁部11を有する形状であって、開口端をエンジンに密着させた状態でエンジンに連結される。隔壁部11のうち、エンジンの出力軸(図示せず)と同一の回転中心軸線上の位置に貫通孔が形成され、その貫通孔に前記入力軸7が挿入され、入力軸7は軸受12によって回転可能に支持されている。なお、リヤハウジング10の開口端はリヤカバー(図示せず)によって閉じられている。
フロントハウジング8に連結されているミッドハウジング9には、前記隔壁部11に対向している隔壁部13が一体に形成されている。これらの隔壁部11,13によって区画された収容室の内部に、前述した動力分割機構2、および、リングギヤ5に連結され、そのリングギヤ5と一体回転する出力ギヤ14、ならびに、噛み合い式の係合機構6が配置されている。
具体的に説明すると、ミッドハウジング9における隔壁部13には、入力軸7の回転中心軸線に軸線を一致させた貫通孔が形成され、その貫通孔の内部にモータ15のロータ軸16aの一端部が挿入されている。隔壁部13の内周側の部分にはボス部17が形成され、そのボス部17の内周面とロータ軸16aの前記一端部の外周面との間に配置されている軸受18によって、ロータ軸16aが回転可能に支持されている。
ロータ軸16aの一端部は、入力軸7の先端部(図1での左側端部)の外周側に延びており、これらロータ軸16aの一端部の内周面と入力軸7の先端部の外周面との間に軸受19が配置されている。したがって、入力軸7の先端部は、その軸受19およびロータ軸16aを介してミッドハウジング9における隔壁部13によって支持されている。
ロータ軸16aの前記一端部の外周側にサンギヤ軸20が設けられている。サンギヤ軸20は、動力分割機構2における反力要素となっているサンギヤ3が外周面に形成された円筒状の軸であって、ロータ軸16aにスプライン嵌合させられている。またサンギヤ軸20の一端部は、ロータ軸16aを支持している軸受18のインナーレースに突き当てられている。一方、前述したフロントハウジング8には、ミッドハウジング9の隔壁部13側に延びたボス部21が形成されている。
また、図1に示す例では、動力分割機構2におけるリングギヤ5と出力ギヤ14とは一体に形成されている。すなわち、出力ギヤ14は、動力分割機構2の外径より大きい内径の円筒状に形成され、その円筒状部分の外周面での中央部(回転中心軸線方向での中央部)に歯が形成されている。また、円筒状部分の内周面で回転中心軸線方向での左側にリングギヤ5が形成されている。
出力ギヤ14におけるフロントハウジング8側の端部の内周部に軸受22が嵌合させられている。この軸受22は、フロントハウジング8に形成された大径のボス部21の外周面に嵌合させられている。すなわち、出力ギヤ14の一方の端部は、軸受22を介してフロントハウジング8の隔壁部11によって回転可能に支持されている。
また、この軸受22は、この発明の実施形態では、動力分割機構における一方側を支持する片持ちの軸受により構成されている。その片持ちの軸受は、例えば複列アンギュラ玉軸受である。この複列アンギュラ玉軸受は、外輪と内輪とをそれぞれ一体として構成され、各列の外輪と内輪との軌道面にボール(転動体)を接触するように構成された軸受であって、ラジアル荷重を受けるとともに、左右のアキシャル荷重を受けることができる。なお、図1に示す例では、この軸受22は、フロントハウジング8側の端部に一体化されたリングギヤ5および出力ギヤ14を片持ち支持するように構成されているものの、これに替えてミッドハウジング9側でリングギヤ5および出力ギヤ14を片持ち支持するように構成してもよい。
なお、リングギヤ5は、円筒状の出力ギヤ14における内周面で、ミッドハウジング9の隔壁部13側に偏った位置に形成されている。したがって、出力ギヤ14の内周部には、フロントハウジング8の隔壁部11と動力分割機構2との間に空間部が生じており、その空間部に上述の片持ち支持の軸受22が配置されている。
また出力ギヤ14におけるミッドハウジング9側の端部の内周部には、ドグ歯を有する噛み合い式の係合機構6が設けられている。この噛み合い式の係合機構6は、図1に示す例では、動力分割機構におけるキャリヤ4とリングギヤ5とを選択的に係合あるいは解放するように構成されている。具体的には、リングギヤ5には、ミッドハウジング9側に延出した円筒部23が一体化されている。この円筒部23の内径は、上述したように、動力分割機構2の外径より大きい内径であって、すなわちキャリヤ4のキャリヤプレートの外径よりも大きく形成され、そのキャリヤプレートを囲うように配置されている。また、円筒部23の内面のうち、円筒部23の回転中心軸線方向に所定の長さを有するスプライン歯24が形成されている。
そして、キャリヤプレートと、上記円筒部23との間(左側端部)に、円筒状の可動部材25が挿入されている。具体的には、可動部材25の外周面にスプライン歯26が形成されており、そのスプライン歯26が、円筒部23の内周面に形成されたスプライン歯24に噛み合っている。さらに、可動部材25がキャリヤプレート側に移動した場合に、キャリヤプレートの外周面にに形成されたドグ歯27と噛み合うように、可動部材25の内周面に軸線方向に所定の長さを有するドグ歯28が形成されている。なお、可動部材25に形成されたドグ歯28とキャリヤプレートに形成されたドグ歯27との長さは、同一であってよく、また、各ドグ歯27,28の回転方向の位相が一致した場合であっても各ドグ歯27,28を噛み合わせることができるように、互いのドグ歯27,28には、チャンファが形成されている。
また、可動部材25の端部には、フランジ部29が一体化されるとともに、そのフランジ部29には、フランジ部29を介して可動部材25に荷重を伝達するアクチュエータ30が連結されている。つまり、アクチュエータ30でシフトフォーク(図示せず)を図1の右方向に押圧すれば、その荷重が、フランジ部29を介して可動部材25に伝達され、その結果、噛み合い式の係合機構6が係合する。また、アクチュエータ30でシフトフォークを図1の左方向に押圧すれば、その荷重が、フランジ部29を介して可動部材25に伝達され、その結果、噛み合い式の係合機構6の噛み合いが解消される。すなわち、噛み合い式の係合機構6は、アクチュエータ30、シフトフォーク、フランジ部29、および可動部材25を含んで構成されている。
なお、この発明の実施形態では、上述したように、これらの隔壁部11,13によって区画された収容室の内部に、片持ちの軸受22および噛み合い式の係合機構6ならびにその噛み合い式の係合機構6を軸方向に動作させるアクチュエータ30が配置されているものの、その片持ちの軸受22と噛み合い式の係合機構6およびアクチュエータ30との相対位置は回転中心軸線の方向で反対側に位置すればよい。つまり、図1に示す例では、フロントハウジング8側に片持ちの軸受22が配置され、ミッドハウジング9側に噛み合い式の係合機構6およびアクチュエータ30が配置されているが、それとは反対に、フロントハウジング8側に噛み合い式の係合機構6およびアクチュエータ30が配置され、ミッドハウジング9側に片持ちの軸受22が配置されてもよい。
また、ミッドハウジング9の内部で、隔壁部13を挟んで噛み合い式の係合機構6とは反対側にモータ15が収容されている。モータ15を構成しているステータ31は、ミッドハウジング9の内周面に沿う位置に配置され、ボルト32によってミッドハウジング9に固定されている。ステータ31と共にモータ15を構成しているロータ16の支持構造について説明すると、ロータ軸16aの一方の端部は、前述したようにミッドハウジング9における隔壁部13によって支持されている。これに対して他方の端部(図1の左側端部)は、リヤハウジング10によって支持されている。リヤハウジング10の内周部には、モータ15の端面に対向するように隔壁部33が設けられており、その隔壁部33には、ロータ軸16aの回転中心軸線に中心軸線を一致させた貫通孔およびボス部34が形成されている。そのボス部34は、モータ15側に延びた円筒状の部分であり、ボス部34の内周側に嵌合させた軸受35がロータ軸16aの端部の外周面に嵌合している。すなわち、ロータ軸16aの他方の端部は、軸受35を介してリヤハウジング10の隔壁部33によって支持されている。
つぎに、この発明の実施形態における作用について説明する。上述したように、この発明の実施形態では、動力分割機構2における各部材間の係合および解放を制御する噛み合い式の係合機構6が設けられている。上述した例では、リングギヤ5とキャリヤ4とを係合あるいは解放するように構成されている。また、その係合する部材(リングギヤ5)を片持ちの軸受22によって支持するように構成されている。そのため、噛み合い式の係合機構6で係合(あるいは解放)する部材が支持されることにより、係合部材同士の位置決めがされるから、芯ずれ量あるいは傾きを抑制できる。また、そのように芯ずれ量や傾きを抑制できることにより、係合部材同士の噛み合いが確実なものとなるので、ドグ歯27,28の歯当たりや動力分割機構における歯当たりが良好となり、ひいては耐久性を向上させることができる。また、このように、噛み合い式の係合機構6により係合機構を構成することにより、例えば前掲の特許文献1に記載されたような湿式多板クラッチに比べて、油圧機構を必要としないため、装置全体としての小型化ならびに低コスト化を図ることができる。また、湿式多板クラッチのような摩擦板同士の引き摺りが発生することがないので、湿式多板クラッチを採用した場合に比べて動力損失を抑制できる。
また、この発明の実施形態では、リングギヤ5と一体化されかつ円筒状に形成された出力ギヤ14の内周側のスペースに片持ちの軸受22を配置し、さらにその片持ちの軸受22を回転中心軸線方向で挟んで反対側に噛み合い式の係合機構6を配置している。したがって、構造上により生じた空間に片持ちの軸受22や噛み合い式の係合機構6を配置できるため、その空間を有効に活用でき、その結果、径方向において装置全体の小型化を図ることができる。また、複列アンギュラ玉軸受のような片持ちの軸受22で係合部材を支持することにより、図1の軸線方向の両側で係合部材を支持することを要しないため、装置全体としての小型化、ならびに、低コスト化を図ることができる。
つぎに、この発明の実施形態を適用することが可能な動力伝達装置の他の例について説明する。図1に示す例では、動力分割機構2を構成する遊星歯車機構が一つ設けられた例を説明したものの、この遊星歯車機構は、複数(二つ以上)の遊星歯車機構から構成されてもよい。なお、遊星歯車機構が二つの場合には、図2に示すような各係合部材の組み合わせが可能となる。つまり、二つの遊星歯車機構により動力分割機構を構成することにより各回転要素の組み合わせが9通りとなる。以下に、二つの遊星歯車機構により動力分割機構を構成した動力伝達装置をハイブリッド車両に適用した場合の例について説明する。
図3は、その例を示す図であり、この動力伝達装置50は、駆動力源として、内燃機関であるエンジン51と、発電機能のある二つのモータ52,53とを有している。なお、これら二つのモータ52,53のうちの一方のモータを第1モータ52と記し、他方のモータを第2モータ53と記す。これらモータ52,53は一例として発電機能のあるモータ(モータ・ジェネレータ)であり、永久磁石式の同期モータが採用されている。また、第1モータ52は、エンジン51の回転数を制御するとともに、第1モータ52で発電した電力により第2モータ53を駆動し、その第2モータ53が出力するトルクを走行のための駆動力に加えるように構成されている。
動力伝達装置50は、エンジン51が出力した動力を電力変換を伴って、あるいは電力変換を伴わずに駆動輪54に伝達し、また各モータ52,53のいずれかによって駆動輪54を駆動するように構成されている。図3に示す例では、動力伝達装置50は、動力分割機構55を備えており、その動力分割機構55は、エンジン51が出力したトルクを第1モータ52側と出力側とに分割する機能を主とする分割部56と、その分割部56によるトルクの分割率を変更する機能を主とする変速部57とにより構成されている。
分割部56は、三つの回転要素によって差動作用を行う構成であればよく、遊星歯車機構を採用することができる。図3に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構(第1差動機構)によって構成されている。図3に示す分割部56は、サンギヤ58と、サンギヤ58に対して同心円上に配置された、内歯歯車であるリングギヤ59と、これらサンギヤ58とリングギヤ59との間に配置されてサンギヤ58とリングギヤ59とに噛み合っているピニオンギヤ60と、ピニオンギヤ60を自転および公転可能に保持するキャリヤ61とを有している。
エンジン51が出力した動力が前記キャリヤ61に入力されるように構成されている。具体的には、エンジン51の出力軸62に、入力軸63が連結され、その入力軸63が動力分割機構55におけるキャリヤ61に連結されている。
サンギヤ58に第1モータ52が連結されている。図3に示す例では、分割部56および第1モータ52は、エンジン51の回転中心軸線と同一の軸線上に配置され、第1モータ52は分割部56を挟んでエンジン51とは反対側に配置されている。さらに、変速部57が、この分割部56とエンジン51との間で、これら分割部56およびエンジン51と同一の軸線上に、その軸線の方向に並んで配置されている。
変速部57は、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。すなわち、変速部57は、上記の分割部56と同様に、サンギヤ64と、サンギヤ64に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ65と、これらサンギヤ64とリングギヤ65との間に配置されてこれらサンギヤ64およびリングギヤ65に噛み合っているピニオンギヤ66と、ピニオンギヤ66を自転および公転可能に保持しているキャリヤ67とを有している。したがって、変速部57は、サンギヤ64、リングギヤ65、およびキャリヤ67の三つの回転要素によって差動作用を行う差動機構(第2差動機構)となっている。この変速部57におけるサンギヤ64に分割部56におけるリングギヤ59が連結されている。
上記の分割部56と変速部57とが複合遊星歯車機構を構成するように第1クラッチ機構CL1が設けられている。第1クラッチ機構CL1は、変速部57におけるキャリヤ67を、分割部56におけるキャリヤ61および入力軸63に選択的に連結するように構成されている。具体的には、第1クラッチ機構CL1は、互いに係合することによりトルクを伝達し、また互いに解放することによりトルクを遮断する回転部材61a,61bを有している。一方の回転部材61aは入力軸63に連結され、他方の回転部材61bはキャリヤ67に連結されている。この第1クラッチ機構CL1は、この発明の実施形態では、噛み合い式のクラッチ機構が採用されている。この第1クラッチ機構CL1を係合させることにより分割部56におけるキャリヤ61と変速部57におけるキャリヤ67とが連結されてこれらが入力要素となり、また分割部56におけるサンギヤ58が反力要素となり、さらに変速部57におけるリングギヤ65が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。すなわち、入力軸63と第1モータ52の出力軸52aと、後述するドリブンギヤ70とが差動回転できるように複合遊星歯車機構が構成されている。
さらに、変速部57の全体を一体化させるための第2クラッチ機構CL2が設けられている。この第2クラッチ機構CL2は、変速部57におけるキャリヤ67とリングギヤ65もしくはサンギヤ64、あるいはサンギヤ64とリングギヤ65とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものであって、この発明の実施形態では、噛み合い式クラッチ機構が採用されている。図3に示す例では、第2クラッチ機構CL2は、変速部57におけるキャリヤ67とリングギヤ65とを連結するように構成されている。具体的には、第2クラッチ機構CL2は、互いに係合することによりトルクを伝達し、また互いに解放することによりトルクを遮断する回転部材67a,67bを有している。一方の回転部材67aはキャリヤ67に連結され、他方の回転部材67bはリングギヤ65に連結されている。
上記のエンジン51や分割部56あるいは変速部57の回転中心軸線と平行にカウンタシャフト69が配置されている。出力ギヤ68に噛み合っているドリブンギヤ70がこのカウンタシャフト69に取り付けられている。また、カウンタシャフト69にはドライブギヤ71が取り付けられており、このドライブギヤ71が終減速機であるデファレンシャルギヤユニット72におけるリングギヤ73に噛み合っている。さらに、前記ドリブンギヤ70には、第2モータ53におけるロータ軸74に取り付けられたドライブギヤ75が噛み合っている。したがって、前記出力ギヤ68から出力された動力もしくはトルクに、第2モータ53が出力した動力もしくはトルクを、上記のドリブンギヤ70の部分で加えるように構成されている。このようにして合成された動力もしくはトルクをデファレンシャルギヤユニット72から左右のドライブシャフト76に出力し、その動力やトルクが駆動輪54に伝達されるように構成されている。
なお、動力伝達装置50には、第1モータ52を走行のための駆動力源とする場合に、エンジン51の回転を止めるための摩擦式あるいは噛み合い式のブレーキ機構B1が設けられている。すなわち、ブレーキ機構B1は所定の固定部と出力軸62または入力軸63との間に設けられ、係合して出力軸62または入力軸63を固定することにより、分割部56におけるキャリヤ61や、変速部57におけるキャリヤ67を反力要素として機能させ、分割部56におけるサンギヤ58を入力要素として機能させることができるように構成されている。なお、ブレーキ機構B1は、第1モータ52が駆動トルクを出力した場合に、反力トルクを発生させることができればよく、出力軸62または入力軸63を完全に固定する構成に限らず、要求される反力トルクを出力軸62または入力軸63に作用させることができればよい。または、出力軸62や入力軸63が、エンジン51がその駆動時に回転する方向とは逆方向に回転することを禁止するワンウェイクラッチをブレーキ機構B1として設けてもよい。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述の図1に示す例では、片持ちの軸受22を出力ギヤ14の径方向内側で支持する構成を例として説明したものの、その径方向内側で支持する構成に替えて出力ギヤ14の径方向外側で支持する構成としてもよい。そのような場合には、径方向内側に片持ちの軸受22を配置した場合に比べて軸受を大型化でき、すなわち支持できるトルク容量が大きくなるため、より軸方向での装置の小型化を図ることが可能となる。
1,50 動力伝達装置
2,55動力分割機構
3,58,64 サンギヤ
4,61,67 キャリヤ
5,59,65 リングギヤ
6 噛み合い式の係合機構
8 フロントハウジング
9 ミッドハウジング
10 リヤハウジング
11,13,33 隔壁部
12,18,19,22,35 軸受
14 出力ギヤ
15 モータ
23 円筒部
24 スプライン歯
25 可動部材
26 スプライン歯
27 ドグ歯
28 ドグ歯
29 フランジ部
30 アクチュエータ
51 エンジン

Claims (1)

  1. 駆動力源からトルクが入力される入力要素と、反力要素と、出力要素との少なくとも三つの回転要素によって差動作用を行う動力分割機構と、前記出力要素からトルクが伝達される出力ギヤと、前記動力分割機構の各回転要素のうちの二つの回転要素を係合あるいは解放する噛み合い式係合機構と、前記動力分割機構および前記出力ギヤならびに前記噛み合い式係合機構を収容するハウジングとを備えた動力伝達装置において、
    前記出力ギヤは、内径が前記動力分割機構の外径より大きい円筒状に形成され、かつ前記動力分割機構は前記出力ギヤの内周側に配置され、
    前記動力分割機構のうち前記噛み合い式係合機構により係合される少なくとも一つの回転要素は、軸受を介して前記ハウジングにより支持されている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
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