JP2021107637A - 薬液供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造により、樹脂材料の使用量が低減された環境に優しい薬液供給装置を提供する。【解決手段】薬液供給装置は、薬液が収容される内部空間を有し、前記内部空間を第1の側から覆う第1部分と、前記内部空間を前記第1の側に対向する第2の側から覆う第2部分とを含む容器を備える。前記容器には、前記第1部分と前記第2部分とをそれぞれの周縁部に沿って少なくとも部分的に張り合わせることにより、周縁接合部が形成されている。前記周縁接合部は、前記第1部分と前記第2部分との間に形成され、前記内部空間に連通し、前記内部空間から前記薬液を外部に供給するための薬液供給路と、前記第1部分と前記第2部分との間に形成され、前記内部空間に連通し、前記内部空間に外部から空気を導入するための空気導入路とを有する。前記薬液供給路及び前記空気導入路は、開封可能に封止されている。【選択図】図1

Description

本発明は、薬液供給装置に関し、典型的には、トイレの便器又は貯水タンクに薬液を供給する薬液供給装置に関する。
従来より、トイレの貯水タンクの上部の手洗い用の給水受け皿に設置され、洗浄、消臭及び芳香のための薬液を水洗用の水に供給する薬液供給装置が知られている。例えば、特許文献1は、この種の薬液供給装置を開示している。
特開2013−79496号公報
特許文献1の薬液供給装置は、薬液が収容されるボトルと、ボトルの下部の排出口に接続されるカバー部材と、これらを下方から受け取り、吸水受け皿に設置するための支持体とを含む。また、同装置では、使用開始前においてボトルの排出口をカバーする中栓も必要とされる。このように、特許文献1をはじめ、従来の薬液供給装置は、部品点数が多く、全体の構造が複雑である。また、通常、これらの部品の殆どが樹脂材料から構成されるため、樹脂材料の使用量が多くなり、環境負荷が大きい。なお、このことは、トイレの貯水タンクの給水受け皿に設置される薬液供給装置に限らず、任意の場所に設置される薬液供給装置について同様に問題となり得る。
本発明は、簡易な構造により、樹脂材料の使用量が低減された環境に優しい薬液供給装置を提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る薬液供給装置は、薬液が収容される内部空間を有し、前記内部空間を第1の側から覆う第1部分と、前記内部空間を前記第1の側に対向する第2の側から覆う第2部分とを含む容器を備える。前記容器には、前記第1部分と前記第2部分とをそれぞれの周縁部に沿って少なくとも部分的に張り合わせることにより、周縁接合部が形成されている。前記周縁接合部は、前記第1部分と前記第2部分との間に形成され、前記内部空間に連通し、前記内部空間から前記薬液を外部に供給するための薬液供給路と、前記第1部分と前記第2部分との間に形成され、前記内部空間に連通し、前記内部空間に外部から空気を導入するための空気導入路とを有する。前記薬液供給路及び前記空気導入路は、開封可能に封止されている。
本発明の第2観点に係る薬液供給装置は、第1観点に係る薬液供給装置であって、前記周縁接合部は、前記薬液供給路に交差するように延びる破断線を有し、前記破断線に沿って前記周縁接合部を破断することにより、前記薬液供給路が外部と連通するように構成されている。
本発明の第3観点に係る薬液供給装置は、第1観点又は第2観点に係る薬液供給装置であって、前記周縁接合部は、前記空気導入路に交差するように延びる破断線を有し、前記破断線に沿って前記周縁接合部を破断することにより、前記空気導入路が外部と連通するように構成されている。
本発明の第4観点に係る薬液供給装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る薬液供給装置であって、前記薬液供給路及び前記空気導入路の開封後の前記容器に取り付けられ、前記内部空間から前記薬液供給路を介して前記薬液を吸い出すための吸出部材を備える。前記吸出部材は、前記容器に取り付けられたときに、開封後の前記薬液供給路の先端開口に接触し、これにより、前記先端開口を介して流出した前記薬液を吸着する吸着面を有する。
本発明の第5観点に係る薬液供給装置は、第4観点に係る薬液供給装置であって、前記吸着面には、所定の方向に沿って延び、前記薬液を前記所定の方向に沿って案内する微細溝が形成されている。
以上の観点によれば、薬液を収容し、薬液を外部に供給可能な簡易な構造の容器が提供される。従って、以上の容器が樹脂材料から構成される場合には、その使用量を低減することができるし、以上の容器を樹脂材料以外から構成することもできる。よって、樹脂材料の使用量が低減された環境に優しい薬液供給装置が提供される。
本発明の一実施形態に係る薬液供給装置の正面図。 図1の薬液供給装置の平面図。 図1のIII−III線断面図。 薬液供給装置の使用状態の例を示す図。 開封前の容器の正面図。 変形例に係る薬液供給装置の正面図。 変形例に係る薬液供給装置が収容された外容器の正面図。 変形例に係る開封前の容器の正面図。 別の変形例に係る開封前の容器の正面図。 変形例に係る容器の平面図。 変形例に係る薬液供給装置の平面図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る薬液供給装置について説明する。
<1.薬液供給装置の概略>
図1に、本発明の一実施形態に係る薬液供給装置1の正面図を示し、図2に、その平面図を示す。図3は、図1のIII−III線断面図である。これらの図に示す通り、薬液供給装置1は、薬液が収容される容器10と、容器10を保持するホルダー20とを備える。なお、ここでの説明において、特に断らない限り、「上(天面)」「下(底面)」「左」「右」「前(正面)」「後(背面)」は、図1〜図3に示す通りに定義される。
本実施形態では、薬液供給装置1は、トイレの便器に薬液を供給する用途に構成され、例えば、図4に示すように、便器のリムに取り付けられる。薬液には、洗浄剤、除菌剤、消臭剤及び芳香剤を含む群から選択される1以上の要素が含有され、その他、着色料が含有されてもよい。薬液供給装置1は、容器10に収容される薬液を便器内に滴下させ、薬液に含有される成分の効能を便器内、又はトイレの部屋内に提供する。例えば、薬液に洗浄剤及び除菌剤が含まれる場合には、便器を洗浄し、除菌することができ、消臭剤及び芳香剤が含まれる場合には、トイレの部屋内において嫌な臭いを消臭し、良い香りを漂わせることができる。
<2.各部の構成>
<2−1.容器>
図1〜図3に示す通り、容器10は、薬液が収容される内部空間S1を有し、内部空間S1を前側から覆う第1部分11と、内部空間S1を後側から覆う第2部分12とを含む。第1部分11と、第2部分12とは、前後方向に対称な形状を有する。
第1部分11は、環状の周縁部111と、周縁部111の内周縁に接続され、当該内周縁から前方に膨出した膨出部112とを有する。同様に、第2部分12も、環状の周縁部121と、周縁部121の内周縁に接続され、当該内周縁から後方に膨出した膨出部122とを有する。本実施形態では、周縁部111及び121は、いずれも角環状であり、膨出部112及び122は、いずれも正面視において矩形状である。周縁部111及び121は、いずれも平面的な薄肉のシート状であり、膨出部112及び122は、いずれもやや立体的に成形された薄肉のシート状である。膨出部112及び122の内側には、いずれも略直方体状の空間が形成されている。第1部分11と第2部分12とは、それぞれの周縁部111及び121に沿って張り合わされており、これにより、膨出部112及び122の内側の空間が連結され、全体として内部空間S1が形成される。また、周縁部111及び121が張り合わされることにより、周縁接合部13が形成される。周縁接合部13は、正面視において内部空間S1を囲むフランジ状である。従って、以下、周縁接合部13を、フランジ13と呼ぶことがある。
フランジ13は、第1部分11と第2部分12との間に形成される薬液供給路R1及び空気導入路R2を有する。本実施形態では、1本の薬液供給路R1と、2本の空気導入路R2とが形成されるが、通路R1及びR2の本数は、いずれも特に制限されず、薬液供給路R1を複数本形成してもよいし、空気導入路R2を1本としてもよい。薬液供給路R1及び空気導入路R2は、いずれも内部空間S1に連通する。薬液供給路R1は、内部空間S1に収容される薬液を外部に供給するための微細な通路である。空気導入路R2は、内部空間S1が陰圧にならないように、内部空間S1から排出される薬液の代わりに、内部空間S1に空気を導入するための微細な通路である。本実施形態では、薬液供給路R1及び空気導入路R2の延在方向に直交する断面積は、薬液の粘性や吐出される薬液の流量等によって適宜設定され得る。
薬液供給路R1及び空気導入路R2は、いずれも開封可能に封止されている。図1〜図3には、通路R1及びR2の開封後の容器10が示される。一方、図5は、通路R1及びR2の開封前の容器10の正面図である。本実施形態では、薬液供給路R1及び空気導入路R2は、環状に延びるフランジ13のうち下辺に沿った部分(以下、フランジ下部ということがある)13Dに形成され、互いに平行に上下方向に延びる。薬液供給路R1は、フランジ下部13Dにおいて左右方向の中央に配置される。2本の空気導入路R2は、フランジ下部13Dにおいて薬液供給路R1からそれぞれ左右方向に所定の間隔を空けた位置に配置される。
フランジ下部13Dは、正面視において、薬液供給路R1及び空気導入路R2に交差するように延びる破断線L1を有する。本実施形態では、破断線L1は、正面視において、通路R1及びR2に直交するように左右方向に延びる。そして、破断線L1に沿ってフランジ下部13Dを破断することにより、薬液供給路R1及び空気導入路R2が外部と連通する。このとき、本実施形態では、フランジ下部13Dにおいて破断線L1よりも下方の部分(以下、栓ということがある)14が、破断線L1よりも上方の部分から切り取られる。以上により、容器10は、栓14を切り取るだけで開封することができ、薬液供給装置1の使用を簡単に開始することができる。
破断線L1は、フランジ下部13Dの前面及び後面の両方又はいずれか一方に、フランジ下部13Dを貫通しない程度の溝を連続線状に形成することにより構成される。或いは、破断線L1は、破線状に形成されてもよく、この場合、溝ではなく、フランジ下部13Dの厚み方向に貫通する開口を形成してもよい。いずれにせよ、破断線L1を構成する溝又は開口は、薬液供給路R1及び空気導入路R2に連通しないように構成される。
容器10を構成する材料は、特に限定されないが、好ましい例を挙げると、樹脂を使用することができる。本実施形態では、容器10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂から構成される。なお、別の好ましい例を挙げると、容器10は、紙やアルミニウム等の金属製とすることもできる。容器10を紙製とする場合には、耐湿性を付与するべく、紙に適宜のコーティングを施すことが好ましい。
本実施形態では、フランジ13における第1部分11及び第2部分12、すなわち、周縁部111及び121は、薬液供給路R1及び空気導入路R2が形成される部分を除き、熱シール(超音波シール等を含む)され、互いに融着している。薬液供給路R1及び空気導入路R2は、フランジ13において、熱シールされていない部分に相当する。なお、フランジ13には、第1部分11と第2部分12との接合の強度を高めるべく、エンボス加工が施されることが好ましい。フランジ13における第1部分11及び第2部分12の貼り付けの態様は、熱シールに限られず、例えば、接着剤等で接着されていてもよい。
本実施形態では、容器10は、以下の工程を経て、ブローフィル成形により製造される。まず、容器10を構成する樹脂製の平面的なシートが巻き取られたロールを用意する。これを所定のブローフィル成形機にセットし、当該ロールからシートを繰り出し、所定の長さにカットする。続いて、これを半分に折り、2枚のシートを対面させる。さらに、2枚のシート上の所定の位置に直線状の切込みを形成する。この切込みは、最終的に、栓14を切り取るための破断線L1となる。
次に、対面した2枚のシートを所定の部分を避けながら熱シールすることにより、これらの2枚のシートを張り合わせる。このとき、2枚の加熱板により2枚のシートを外側から挟むようにして、2枚のシートに熱が加えられる。各加熱板には、膨出部112及び122の正面視形状に対応する矩形状の切り欠きが形成されている。また、各加熱板には、以上の矩形状の切り欠きに連続する、薬液供給路R1及び空気導入路R2に対応する直線状の切り欠きが形成されている。また、各加熱板には、以上の矩形状の切り欠きに連続し、対面した2枚のシートの端縁(2枚のシートが接続されている折り返し部分ではなく、分離している部分)に達する切り欠き(以下、延長部という)も形成されている。
以上のような加熱板により張り合わされた2枚のシートにおいては、以上の各種切り欠きに対応する所定の部分が熱シールされていない非シール領域として形成され、非シール領域において2枚のシート間には隙間が形成される。当該隙間は、上述した延長部に対応する部分を介して、外部空間に連通する。以下、当該隙間と外部空間とを連通させる、延長部に対応する開口部を、充填口と呼ぶ。
続いて、非シール領域における2枚のシートの隙間に、以上の充填口を介してエアーを充填する。このとき、所定のエアーノズルが、充填口の近傍に進行する。そして、このエアーノズルから充填口を介して、非シール領域における2枚のシートの隙間に、エアーが吹き込まれる。これにより、非シール領域が立体的に膨らみ、薬液を収容するための内部空間S1が形成されるとともに、薬液供給路R1及び空気導入路R2も形成される。
続いて、充填口の近傍からエアーノズルが退避し、これに代わり、所定の液体ノズルが進行し、充填口に挿入される。そして、この液体ノズルから充填口を介して、充填口に連通する内部空間S1に、薬液が充填される。
次に、充填口が熱シールにより閉じられる。より詳細には、2枚のシートにおいて充填口に対応する部分を熱シールし、張り合わせる。このとき、2つの加熱ブロックにより2枚のシートにおいて充填口に対応する部分を外側から挟むようにして、同部分に熱が加えられる。以上により、2枚のシートに含まれる内部空間S1に、薬液が密封される。
以上の工程を経た後、2枚のシートにおいて熱シールされていない部分は、内部空間S1を画定する膨出部112及び122と、フランジ13において薬液供給路R1及び空気導入路R2を画定する部分となる。一方、2枚のシートにおいて熱シールされている部分は、フランジ13(ただし、薬液供給路R1及び空気導入路R2を除く)となる。これにより、容器10が製造される。
以上の通り、本実施形態では、容器10が薄肉のシート状の樹脂材料から構成されるため、樹脂材料の使用量を低減することができる。なお、上記の通り、容器10は、樹脂材料以外から構成することもできるが、その場合には、さらに樹脂材料の使用量を低減することができる。従って、環境負荷が低減される。
<2−2.ホルダー>
次に、ホルダー20について、説明する。図1〜図3に示す通り、ホルダー20は、上方が開口した箱30と、箱30に接続され、箱30の底面から下方に延びる案内部材40とを有する。箱30には、薬液供給路R1及び空気導入路R2の開封後の容器10、すなわち、栓14の除去後の容器10が収容される。以下、特に断らない限り、単に容器10というとき、開封後の容器10を意味する。ホルダー20は、容器10を箱30に収容することにより、容器10に取り付けられる。
箱30は、底面部31と、底面部31の外周縁に接続され、当該外周縁から上方に起立する筒状の周壁部32とを有する。本実施形態では、底面部31は、矩形状であり、周壁部32は、角筒状である。箱30は、底面部31及び周壁部32に囲まれる内部空間S2を有し、内部空間S2には、容器10の下部が収容される。図2に示す通り、内部空間S2の左右方向の幅は、容器10の左右方向の幅に概ね等しく、前後方向の幅も、容器10の前後方向の幅に概ね等しい。従って、容器10は、内部空間S2に収容された後、左右方向及び前後方向に実質的に移動不能となり、箱30内での位置が固定される。以上により、周壁部32のうち、正面部と背面部とは、容器10の前後方向の位置を規制するように、容器10を保持する一対の保持部材として機能する。同様に、周壁部32のうち、左面部と右面部とは、容器10の左右方向の位置を規制するように、容器10を保持する一対の保持部材として機能する。
底面部31には、図2及び図3に示す通り、開口33〜36が形成されている。なお、図2において、開口33〜36は、本来容器10に隠れているため視認できないが、参考のため、その位置が点線で示されている。開口33〜36は、底面部31を上下方向に貫通する貫通孔である。
容器10は、底面部31の上面に容器10の下端縁が接触するように、内部空間S2に収容される。ここでいう容器10の下端縁とは、フランジ13の破断線L1に沿った縁であり、以下、当該下端縁にも、参照符号L1を付す。開口33及び34は、容器10が内部空間S2に収容されたときに、底面部31において下端縁L1が接触する位置の前後に分かれて配置される。また、開口33及び34は、底面部31の左右方向の中央部を通って、左右方向に延びる。従って、容器10が内部空間S2に収容されたときに、薬液供給路R1は、前後方向に開口33及び34に挟まれる。また、このとき、下端縁L1に位置する薬液供給路R1の先端開口は、底面部31の上面に接触する。また、本実施形態では、開口33及び34は、案内部材40に左右方向に位置合わせされており、案内部材40の左右方向の幅と同じ長さだけ、左右方向に延びている。また、開口33及び34の前後方向の間隔は、案内部材40の前後方向の幅(厚み)に略一致し、案内部材40は、底面部31において開口33及び34に前後方向に挟まれる領域37に、前後方向に位置合わせされている。図2には、参考のため、本来容器10に隠れているため視認できない領域37の位置が点線で示されている。領域37は、底面部31において案内部材40の天面に平面視において位置合わせされる部分であり、以下、天面領域と呼ぶ。なお、本実施形態では、天面領域37の上面には、前後方向に延びる多数本の微細溝が形成されており、これらの微細溝は、左右方向に配列されている。
開口35及び36は、底面部31において、底面部31の左右方向の中央部からそれぞれ左右方向に所定の間隔を空けた位置に配置される。開口35及び36は、容器10が内部空間S2に収容されたときに、下端縁L1に位置する左右の空気導入路R2の先端開口にそれぞれ位置合わせされる。従って、容器10が内部空間S2に収容されたとき、左右の空気導入路R2の下方には、底面部31が存在しない。
案内部材40は、底面部31の天面領域37から下方に延びる部材である。案内部材40は、本実施形態では、板状の部材であり、正面視において矩形状である。案内部材40の前面及び後面には、上下方向に延びる多数の微細溝41が形成されており、これらの微細溝41は、左右方向に配列されている。これらの微細溝41は、毛細管現象により、その延在方向に沿って薬液を案内する。また、本実施形態では、これらの微細溝41は、天面領域37の微細溝にそれぞれ連通している。
以上の通り構成されるホルダー20は、容器10に取り付けられたときに、容器10の内部空間S1から薬液供給路R1を介して薬液を吸い出すための吸出部材として機能する。より具体的には、容器10が箱30の内部空間S2に収容されたとき、底面部31において開口33及び34に挟まれる部分、すなわち、天面領域37の上面に、薬液供給路R1の先端開口が接触する。これにより、内部空間S1に収容される薬液は、毛細管現象により薬液供給路R1を通って外部へと送り出され、先端開口から徐々に流出し、天面領域37に付着する。また、容器10が箱30の内部空間S2に収容されたとき、空気導入路R2の先端開口は、開口35及び36に位置合わせされるため、外部空間に対し解放される。従って、内部空間S1から薬液供給路R1を介して薬液が流出するとき、反対に、空気導入路R2を介して内部空間S1に空気が導入される。これにより、内部空間S1から薬液が流出しても、その内圧が陰圧にならないように維持されるため、薬液は、内部空間S1から薬液供給路R1を介して連続的又は断続的に排出される。
薬液供給路R1の先端開口から流出し、天面領域37に付着した薬液は、天面領域37の上面に形成されている微細溝に毛細管現象により吸い込まれ、当該微細溝に沿って前後方向に案内され、開口33及び34に達する。開口33及び34の直下には、案内部材40の前後の表面が配置されており、案内部材40の前後の表面には、天面領域37の微細溝に連通する微細溝41が形成されている。従って、このとき、薬液は、毛細管現象により微細溝41に吸い込まれるように案内部材40の前後の表面に付着し、その後、重力の作用も受けながら、微細溝41に沿って下方へ移動する。以上により、天面領域37の上面及び案内部材40の前後の表面は、薬液を吸着する吸着面として機能する。微細溝41に沿って案内部材40の下端に達した液体は、一定以上のサイズの液滴に成長した後、案内部材40から落下する。すなわち、便器内に、薬液が供給される。
以上により、薬液供給装置1は、簡易でコンパクトな構造を有するにも関わらず、薬液を連続的又は断続的に便器内に供給することが可能になる。また、薬液供給装置1は、コンパクトな構造であるため、省スペースであり、設置場所に困らない。例えば、薬液を供給したい場所が、図4に示すような狭い空間であったとしても、薬液供給装置1は、そのような場所にも容易に設置することができる。なお、薬液供給路R1の延在方向に直交する断面は、容器10がホルダー20に取り付けられていない状態であれば、薬液供給路R1を下方に向けて容器10を配置したとしても、薬液が容易に滴らない程度の大きさとすることが好ましい。この場合、薬液供給装置1を便器に設置するとき等に、不用意に手を汚すことがない。
なお、箱30の外面、特に周壁部32の背面に、両面シールを張り付けておくことが好ましい。これにより、容器10とともに、ホルダー20を容易に便器に取り付けることができる。また、容器10とホルダー20とが密着する等し、容器10のみを支持しても、ホルダー20が容器10に対し脱落しない程度に強固に固定される場合には、容器10の外面、特に背面側の膨出部122に、両面シールを張り付けてもよい。
ホルダー20を構成する材料は、特に限定されないが、好ましい例を挙げると、樹脂を使用することができる。本実施形態では、ホルダー20は、ポリエチレン等の合成樹脂から構成される。なお、別の好ましい例を挙げると、ホルダー20は、紙やアルミニウム等の金属製とすることもできる。ホルダー20を紙製とする場合には、耐湿性を付与するべく、紙に適宜のコーティングを施すことが好ましい。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3−1>
薬液供給装置1は、トイレの貯水タンクの上部の手洗い用の給水受け皿に設置してもよい。この場合、以上の案内部材40は、給水受け皿の中央に配置される排水口に挿入することが好ましい。また、この場合、図6に示すように、ホルダー20の底面部31の下面において、案内部材40から前後方向に間隔を空けた位置から下方に延びる前後一対の長脚部45を形成してもよい。そして、案内部材40とともに、前後一対の長脚部45を排水口に挿入することにより、給水受け皿内における箱30及びこれに収容される容器10の位置を安定させることができる。
また、図7に示すように、以上の薬液供給装置1を、意匠性の高い別の外容器70に収容し、これを給水受け皿に設置してもよい。この場合、例えば、同図に示すように、案内部材40を、外容器70の下部から少なくとも部分的に露出させ、排水口に挿入することができる。また、外容器70の下面に、以上の例と同様の前後一対の長脚部45を配置し、これを案内部材40とともに排水口に挿入することにより、外容器70及びこれに収容される薬液供給装置1の位置を安定させることができる。また、外容器70を樹脂材料、特に硬質の樹脂材料から構成する場合であっても、例えば、外容器70を使い回し、容器10のみ、又は容器10及びホルダー20のみを交換するようにすれば、合成樹脂の使用量が依然として低減される。
また、薬液供給装置1は、薬液を供給することが望まれる、トイレ以外の任意の場所に設置することができる。この場合、薬液に含有される成分は、設置場所に応じた薬液の用途に従って、適宜選択される。
<3−2>
薬液供給路R1及び空気導入路R2は、フランジ下部13Dに形成される必要はない。例えば、図8A及び図8Bに示すように、空気導入路R2を、フランジ13のうち上辺に沿った部分に配置してもよいし、フランジ13のうち右辺及び左辺の少なくとも一方に沿った部分に配置してもよい。
<3−3>
上記実施形態では、薬液を吸い出すための吸出部材として、ホルダー20が使用された。しかしながら、同様の機能を有する吸出部材として、別の構造を採用することもできる。例えば、ホルダー20に含まれる案内部材40を、不織布やろ紙から形成してもよい。さらに、この場合、箱30を省略し、薬液供給路R1の先端開口に直接不織布やろ紙を取り付けてもよい。また、ホルダー20に含まれる案内部材40を、内部に微細溝が形成され、上下方向に延びる多数の管を結束した構成としてもよい。
<3−4>
容器10から栓14を省略し、代わりに、使用開始前において、薬液供給路R1及び空気導入路R2を覆うようにフランジ13にシールテープを貼着してもよい。この場合、使用開始時に、これを剥がすことにより、通路R1及びR2を簡易に開封することができる。
<3−5>
上記実施形態では、第1部分11及び第2部分12の両方が、膨出部112及び122を有していたが、図9に示すように、第1部分11及び第2部分12の一方を、平面的なシート状としてもよい。
<3−6>
容器10に含まれる第1部分11と第2部分12とを、異素材から構成してもよい。この場合、第1部分11及び第2部分12の一方をPET等の合成樹脂から構成し、他方をアルミニウム等の金属、又は紙から構成することもできる。また、変形例3−5のように、第1部分11及び第2部分12の一方を平面的なシート状とするとき、成形性の観点からは、膨出部を有する方をPET等の合成樹脂から構成し、平面的なシート状とする方を、アルミニウム等の金属、又は紙から構成することが好ましい。
<3−7>
図10に示すように、周壁部32のうち、左面部及び右面部にスリット38を形成し、スリット38に容器10のフランジ13を挿入するようにしてもよい。この場合、ホルダー20は、容器10をよりしっかりと保持することができる。
<3−8>
正面視において、フランジ13は、内部空間S1の周囲を全周に亘り囲んでいる必要はなく、一部のみを囲んでいてもよい。
<3−9>
上記実施形態では、容器10は、平面的なシートからブローフィル成形により立体的に成形されたが、射出成形やブロー成形、真空成形等により成形された2つの樹脂成形品である第1部分11と第2部分12とを貼り合わせることにより、製造されてもよい。
<3−10>
天面領域37における微細溝は、省略することもできる。このような場合であっても、例えば、天面領域37を開口33及び34に向かって下方に傾斜する傾斜面とすれば、薬液を案内部材40の前後の表面まで適切に案内することができる。また、天面領域37を単なる滑らかな水平面としても、薬液供給路R1から滲み出た薬剤は、天面領域37に隣接する開口33及び34を介して、自然と案内部材40まで案内され得る。このように、天面領域37の形状としては、案内部材40に薬液を案内することが可能な様々な形状を採用し得る。
<3−11>
上記実施形態において、フランジ13において薬液供給路R1及び空気導入路R2の少なくとも一方が形成される位置に、第1部分11と第2部分12とに挟まれるような態様で細管を挿入してもよい。この場合、細管内に形成される微細な通路が、薬液供給路R1及び/又は空気導入路R2として機能する。
1 薬液供給装置
10 容器
11 第1部分
12 第2部分
13 周縁接合部(フランジ)
14 栓
20 ホルダー(吸出部材)
S1 内部空間
R1 薬液供給路
R2 空気導入路
L1 破断線

Claims (5)

  1. 薬液が収容される内部空間を有し、前記内部空間を第1の側から覆う第1部分と、前記内部空間を前記第1の側に対向する第2の側から覆う第2部分とを含む容器
    を備え、
    前記容器には、前記第1部分と前記第2部分とをそれぞれの周縁部に沿って少なくとも部分的に張り合わせることにより、周縁接合部が形成されており、
    前記周縁接合部は、前記第1部分と前記第2部分との間に形成され、前記内部空間に連通し、前記内部空間から前記薬液を外部に供給するための薬液供給路と、前記第1部分と前記第2部分との間に形成され、前記内部空間に連通し、前記内部空間に外部から空気を導入するための空気導入路とを有し、
    前記薬液供給路及び前記空気導入路は、開封可能に封止されている、
    薬液供給装置。
  2. 前記周縁接合部は、前記薬液供給路に交差するように延びる破断線を有し、前記破断線に沿って前記周縁接合部を破断することにより、前記薬液供給路が外部と連通するように構成されている、
    請求項1に記載の薬液供給装置。
  3. 前記周縁接合部は、前記空気導入路に交差するように延びる破断線を有し、前記破断線に沿って前記周縁接合部を破断することにより、前記空気導入路が外部と連通するように構成されている、
    請求項1又は2に記載の薬液供給装置。
  4. 前記薬液供給路及び前記空気導入路の開封後の前記容器に取り付けられ、前記内部空間から前記薬液供給路を介して前記薬液を吸い出すための吸出部材
    を備え、
    前記吸出部材は、前記容器に取り付けられたときに、開封後の前記薬液供給路の先端開口に接触し、これにより、前記先端開口を介して流出した前記薬液を吸着する吸着面を有する、
    請求項1から3のいずれかに記載の薬液供給装置。
  5. 前記吸着面には、所定の方向に沿って延び、前記薬液を前記所定の方向に沿って案内する微細溝が形成されている、
    請求項4に記載の薬液供給装置。
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