JP2021107294A - ヨウ素系物質の取得方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地下かん水からヨウ素系物質を効率よく取得することができる方法を提供すること。【解決手段】本発明のヨウ素系物質の取得方法は、ヨウ化物イオンを含有する地下かん水からヨウ素系物質を取得する方法であって、前記地下かん水から前記ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水を取得する濃縮工程と、前記濃縮かん水からヨウ素系物質を取得するヨウ素系物質取得工程と、を含む。前記濃縮工程は、少なくとも1つの電気透析槽を備える電気透析装置を用いて前記地下かん水を電気透析することにより前記濃縮かん水を取得する工程であることが好ましい。また、前記電気透析装置は、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、天然のかん水からヨウ素系物質を取得する方法に関する。
天然ガスには、大別して構造性ガスと水溶性ガスとがある。そのうち、水溶性の天然ガスは、地下の帯水層に埋蔵された地下かん水中に溶存している。地下に埋設された揚水井により地表に汲み上げ、水溶性天然ガスを気化させた後に残る地下かん水は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の海水塩と同様の食塩成分の他に、ヨウ化物塩を相当な濃度で含有する場合がある。日本国内の一部の地域やアメリカ、ロシアでの石油採掘地等においても、ヨウ化物塩を高濃度で含有する地下かん水が得られることが知られている。
地下かん水からヨウ素を工業的に採取する方法として、種々の方法が知られている。(特許文献1〜3)
また、海水又はかん水を多段透析により脱塩する方法の発明がある。(特許文献4)
特公昭28−6615号公報 特開昭51−106695号公報 特開昭57−100901号公報 特開昭53−16374号公報
特許文献1〜3に記載されている発明は、地下かん水をそのまま処理してヨウ素を採取する方法である。しかし、これらの方法を工業的に実施した場合、副反応の生起によりヨウ化物イオンのすべてを分子状ヨウ素にできないことや、ヨウ素とかん水中の有機物との結合が生じること等により、地下かん水に含有されるヨウ化物イオンのうち一定量が採取できない。より具体的には、ブローイングアウト法等のように地下かん水に酸化剤を投入して遊離したヨウ素を採取する方法では、ヨウ素採取後の廃水中に約8〜15mg/Lのヨウ素原子が採取されないで残留することが避けられない。すなわち、地下かん水に酸化剤を投入する方法では、含有されるヨウ化物イオンの全量に対して採取できるヨウ素量は比較的低く、天然資源であるヨウ素の取得率の向上が望まれる。
また、特許文献4に記載されている発明は、海水又は地下かん水から塩分を除去する操作を工業的に行うことを課題とするものであって、地下かん水中の溶解成分の濃縮は考慮されておらず、地下かん水中のヨウ化物イオンの回収には着目さえされていない。
本発明の目的は、地下かん水からヨウ素系物質を効率よく取得することができる方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のヨウ素系物質の取得方法は、ヨウ化物イオンを含有する地下かん水からヨウ素系物質を取得する方法であって、
前記地下かん水から前記ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水を取得する濃縮工程と、
前記濃縮かん水からヨウ素系物質を取得するヨウ素系物質取得工程と、
を含む。
本発明では、特に、前記濃縮工程が、少なくとも1つの電気透析槽を備える電気透析装置を用いて前記地下かん水を電気透析することにより前記濃縮かん水を取得する工程であることが好ましい。
また、本発明では、前記電気透析装置が、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置であることが好ましい。
本発明によれば、かん水からヨウ素系物質を効率よく取得することができるヨウ素系物質の取得方法を提供することにある。
特に、濃縮工程により、含有されるヨウ化物イオンの濃度を高くした濃縮かん水を使用することで、後続のヨウ素系物質取得工程におけるヨウ素系物質の取得率を高めることができる。また、濃縮工程により、かん水の全量を減らすことで、ヨウ素系物質取得工程における酸及び酸化剤の使用量を減ずることができる。
また、従来においては、ヨウ化物イオン濃度が低いかん水からヨウ素系物質を取得しようとした場合に、取得収率が低くなる傾向が顕著であったが、そのような場合であっても、本発明では、かん水中のヨウ化物イオン濃度を効率的に高めることができ、ヨウ素系物質の取得工程において高い収率でヨウ素系物質を得ることができる。
図1は、本発明のヨウ素系物質の取得方法の濃縮工程で用いることのできる脱塩水循環型の多段式電気透析装置の例を示す模式図である。 図2は、本発明のヨウ素系物質の取得方法の濃縮工程で用いることのできる濃縮水循環型の多段式電気透析装置の例を示す模式図である。 図3は、本発明のヨウ素系物質の取得方法の濃縮工程で用いることのできる脱塩水循環−濃縮水循環組み合わせ型の多段式電気透析装置の例を示す模式図である。 図4は、電気透析槽における向流供給法を示す模式図である。 図5は、電気透析槽における並流供給法を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のヨウ素系物質の取得方法は、ヨウ化物イオンを含有する地下かん水からヨウ素系物質を取得する方法であって、前記地下かん水から前記ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水を取得する濃縮工程と、前記濃縮かん水からヨウ素系物質を取得するヨウ素系物質取得工程と、を含む。
これにより、地下かん水からヨウ素系物質を効率よく取得することができるヨウ素系物質の取得方法を提供することができる。特に、従来においては、ヨウ化物イオン濃度が比較的低い地下かん水からヨウ素系物質を取得しようとした場合に、その収率が低くなる傾向が顕著であったが、そのような場合であっても、本発明では、ヨウ素系物質の取得の過程において、地下かん水中のヨウ化物イオン濃度を効率的に高められ、高い収率でヨウ素系物質を得ることができる。
本発明において、ヨウ素系物質とは、ヨウ素元素を含む、単体、化合物、イオン性物質で構成されるものであり、ヨウ素元素を含む2種以上の成分を含んでいてもよい。ヨウ素元素を含む単体としては、分子状のヨウ素(I)が挙げられ、ヨウ素元素を含む化合物としては、例えば、ヨウ化水素酸等が挙げられ、ヨウ素元素を含むイオン性物質としては、例えば、ヨウ化物塩、ヨウ素酸塩等が挙げられる。
濃縮工程は、地下かん水からヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水を取得する工程であればよいが、少なくとも1つの電気透析槽を備える電気透析装置を用いて地下かん水を電気透析することにより濃縮かん水を取得する工程であるのが好ましい。
これにより、地下かん水を効率よく濃縮することができ、本工程で得られる濃縮かん水中のヨウ化物イオンをより好適に高めることができる。また、原料である地下かん水中に含有される有機物等の不純物を好適に除去することができ、後のヨウ素系物質取得工程をより効率よく行うことができる。
[1]地下かん水について
本発明では、ヨウ化物イオンを含有する地下かん水を原料として使用する。具体的には、例えば、地中の地下かん水帯水層から汲み上げたかん水から水溶性天然ガスを採取した後に残る、地下由来のかん水を使用することができる。さらに本発明では、複数の坑井から随時集めた混合かん水等、ヨウ化物イオン濃度、被酸化物濃度、pHの値に変動がある地下かん水も使用することができる。
使用される地下かん水のヨウ化物イオン含有量は、特に限定されないが、10mg/L以上であることが好ましく、20mg/L以上であることがより好ましい。直接かん水に酸化剤を加える従来法に比べ、ヨウ化物イオン含有量が80mg/L以下、特に50mg/L以下のヨウ化物イオン濃度の低いかん水に対して、本発明の有利性が顕著に現れる。本発明は、これまで経済的に利用できなかった、ヨウ化物イオン含有量30mg/L以下のかん水の使用も可能にする。
[2]前処理について
地下かん水に対しては、後に詳述するような各工程を施す前に、例えば、電気透析装置における流路の目詰まりの発生を防止するための、地下かん水中の不溶物や微生物等の夾雑物を除去する前処理を施すことが好ましい。前処理は、例えば、凝集沈澱工程、砂濾過工程、多孔濾過膜工程等を単独で又は組み合わせて行うことができる。
濾過材としては、例えば、砂、石炭、活性炭、無機酸化物もしくは樹脂等の粒子、又は、精密濾過膜もしくは限外濾過膜等の多孔濾過膜を用いることができる。多孔濾過膜の平均孔径は、特に限定されないが、除去性能と透過水量とのバランスから、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
本発明において、地下の帯水層から汲み上げた地下かん水は、空気に触れさせずに非酸化性状態にて扱うことが好ましい。そのためには、地下由来のかん水を、酸化性を有しない雰囲気下、例えば、窒素ガス雰囲気下等で、光を当てることなく取り扱うこと、及び、酸化性を有する物質を加えないことにより、非酸化性状態で扱うことが好ましい。非酸化性状態の地下かん水は、酸化性を有しないかん水であり、白金電極電位で0mV以下、好ましくは0〜−50mVの酸化還元電位を有する。地下かん水を非酸化性状態にて扱う場合は、地下かん水に含有される鉄イオン等の遷移金属成分が酸化されないため、装置や配管における不溶性酸化物の析出を防止することができる。
[3]濃縮工程
濃縮工程において、電気透析装置を使用することにより、地下かん水のヨウ化物イオン濃度を効率的に高めることができ、さらに、有機物を除去することができる。これにより、ヨウ素系物質取得工程において、添加薬剤の効果を高めることができる。さらに、有機ヨウ素化合物の副生に伴う損失がないため、ヨウ素系物質の収率を高めることができる。
なお、希釈水中に含有される食塩は、ヨウ化物イオンがイオン交換膜を透過する見かけ移動速度にほとんど影響しないので、濃縮工程において食塩濃度の高低は、問題にはならない。
地下かん水を、電気透析装置を通して電気透析処理することによって、ヨウ化物塩をより高濃度に含有する水溶液である濃縮かん水と、ヨウ化物塩濃度が低下した水溶液である脱塩水が得られる。濃縮かん水中のヨウ化物イオン濃度は、100mg/L以上であるのが好ましく、500mg/L以上であるのがより好ましく、1000mg/L以上であるのがさらに好ましい。原料である地下かん水中のヨウ化物イオン濃度に対する濃縮かん水中のヨウ化物イオン濃度の比は、10倍以上5000倍以下であるのが好ましく、50倍以上2000倍以下であるのがより好ましい。
電気透析装置を構成する電気透析槽は、1つ以上の脱塩室及び濃縮室を備える。各電気透析槽は、複数の陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを交互に配置して各膜の間に脱塩室と濃縮室とが形成され、両外側には陽極と陰極とを設けて構成される。陽極側が陰イオン交換膜、陰極側が陽イオン交換膜で区画された室が脱塩室となり、陽極側が陽イオン交換膜、陰極側が陰イオン交換膜で区画された室が濃縮室となる。各電気透析槽内には、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との2膜を1組として、複数組が繰り返し配置されている。陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との組数は、1組以上2500組以下であるのが好ましく、10組以上1000組以下であるのがより好ましい。
各電気透析槽において、陰極と陽極との間に直流電流を通電し、脱塩室に地下かん水又は前段の電気透析槽の濃縮水である原料水を供給する。供給された原料水中のイオンはイオン交換膜により分けられて、ヨウ化物塩を比較的高濃度に含有する濃縮水が濃縮室から、ヨウ化物塩の濃度が比較的低い脱塩水が脱塩室から、それぞれ取得される。各段の電気透析槽において、得られる濃縮水中のヨウ化物イオン濃度と脱塩水中のヨウ化物イオン濃度との比は、後述する逐次循環型においては、好ましくは3:1〜20:1であり、後述する濃縮水循環型においては、好ましくは5:1〜100:1である。
本発明では、各電気透析槽における希釈水の流量は原料水の流量より小さいことが好ましいが、供給する原料水と希釈水との流量比を過度に大きくする必要はない。供給する原料水と希釈水との流量比は、体積比で、好ましくは1:1〜30:1である。供給する原料水と希釈水との流量比を適度に保つことにより、より長期間の運転によっても、イオン交換膜を損傷なく維持することができる。
各電気透析槽において、陰極と陽極との間に通電する直流電流の電圧は、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜の一組当たり、3V以下であることが好ましく、2V以下であることがより好ましい。各電気透析槽において、陰極と陽極との間に通電する直流電流の電流密度は、イオン交換膜の有効面積当たり3A/dm以下であることが好ましい。
電気透析装置で用いる陰イオン交換膜としては、陰イオンの選択透過性を高めた膜を好適に用いることができる。
地下かん水に含まれる塩化物イオン、ヨウ化物イオン等の陰イオンは、陰イオン交換膜を選択的に透過して脱塩室から濃縮室に移動する。非電離性無機化合物及びフルボ酸等の高分子有機化合物は、陰イオン交換膜を透過せずに脱塩室内に残存し、脱塩水中に含まれて排出される。
陰イオン交換膜として、例えば、セレミオンASV−N膜、セレミオンAMV−N膜(ともにAGC株式会社製)、ネオセプタASE膜(株式会社アストム製)等が使用できる。
電気透析装置で用いる陽イオン交換膜としては、一価陽イオンの選択透過性を高めた膜である一価イオン選択透過性陽イオン交換膜を好適に用いることができる。
一価イオン選択透過性陽イオン交換膜と陰イオン交換膜との組み合わせて用いることにより、かん水中に含まれる遷移金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の多価イオン及び有機物が除かれた濃縮かん水が得られる。そのため、ヨウ素系物質取得工程において、遷移金属酸化物による沈殿の発生がなく、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムの結晶の析出がないという効果が得られる。これにより、ヨウ素系物質取得工程における地下かん水からのヨウ素系物質の取得を容易にすることができる。
地下かん水に含まれるナトリウムイオン、カリウムイオン等の一価陽イオンは、一価イオン選択透過性陽イオン交換膜を選択的に透過して脱塩室から濃縮室に移動する。一方、地下かん水中に含まれるカルシウムイオン、マグネシウムイオン、遷移金属イオン等の多価陽イオン、非電離性無機化合物、及びフルボ酸等の高分子有機化合物は、当該陽イオン交換膜を透過せずに脱塩室内に残存し、脱塩水中に含まれて排出され、濃縮水から除かれる。
一価イオン選択透過性陽イオン交換膜を使用した電気透析装置を経て得られる濃縮かん水は遷移金属イオンを実質的に含まないため、後続のヨウ素系物質取得工程において、遷移金属イオンの酸化による不溶性酸化物の形成が効果的に防止される。
一価イオン選択透過性陽イオン交換膜として、例えば、強酸性スチレン−ジビニルベンゼン系均一陽イオン交換膜等が用いられ、より具体的には、例えば、セレミオンCSO膜(AGC株式会社製)、ネオセプタCIMS膜(株式会社アストム製)等が使用できる。
電気透析装置を構成する電気透析槽においては、一価イオン選択透過性陽イオン交換膜と陰イオン交換膜との組み合わせを用いることが好ましい。
地中から採掘される地下かん水は、通常、海水とは異なり、遷移金属イオンを多量に含有する。典型的には、鉄イオンを5mg/L以上20mg/L以下の含有量で含有し、マンガンイオンを0.1mg/L以上0.3mg/L以下の含有量で含有する。そのため、濃縮工程において、一価イオン選択透過性陽イオン交換膜を使用して地下かん水から遷移金属イオンを除去することが、後続の工程を円滑に操作したり、本発明により得られるヨウ素系物質の品質をより安定的に優れたものとするために好ましい。濃縮工程後の濃縮かん水における遷移金属イオン濃度は、鉄イオンについては、0.1mg/L以下であるのが好ましく、0.05mg/L以下であるのがより好ましく、マンガンイオンについては、0.02mg/L以下であるのが好ましく、0.01mg/L以下であるのがより好ましい。
濃縮工程によりかん水中に含有されるヨウ化物イオン濃度を高くすることで、後続のヨウ素系物質取得工程におけるヨウ素系物質の取得率を高めることができる。また、濃縮工程により、原料の地下かん水に含有される有機物が除去されるため、ヨウ素系物質取得工程での有機ヨウ素化合物、有機ハロゲン化物の副生を防止でき、原料の地下かん水に中に含有されるヨウ化物イオンが効率よく取得される。さらに、濃縮工程において地下かん水が減量し、ヨウ素系物質取得工程に供される被処理物の量が少なくなるため、ヨウ素系物質取得工程で添加するpH調製用の酸、アルカリ等の薬品や、吸収法で用いられる溶媒の使用量を顕著に減らすことができる。
濃縮工程が電気透析装置を用いて行うものである場合、当該電気透析装置は、単段式の電気透析装置を使用して、ヨウ化物イオン濃度を高めた濃縮水を得ることが可能である。しかし、電気透析が進行して濃縮室のイオン濃度と脱塩室のイオン濃度の差が大きくなると、移動したイオンの逆移動が無視できなくなり、見かけ上イオンの移動が遅くなって、印加する電気の作用効果が低下する。そのため、電気効率の点から、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置を使用することが好ましい。
多段式の電気透析装置を使用して、濃縮水が各電気透析槽を通過する度にヨウ化物イオン濃度を順次上昇させることにより、高濃度かつ不純物の少ない濃縮かん水を高い電気効率で得ることができる。
多段式の電気透析装置における電気透析槽の数は、限定されないが、2以上6以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。
以下の説明では、濃縮工程において、電気透析装置を用いて地下かん水を電気透析する場合、特に、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置を用いて地下かん水を電気透析する場合を中心に説明するが、単段式の電気透析装置の使用を排除するものではない。
なお、本発明においては、多段式の電気透析装置を構成する各の電気透析槽において、その濃縮室から得られる、ヨウ化物イオンをより高濃度に含有する濃縮水を単に「濃縮水」と称し、濃縮工程により最終的に得られる濃縮水を「濃縮かん水」と称する。各電気透析槽においてその脱塩室から得られる、ヨウ化物イオンの濃度が低下した脱塩水を単に「脱塩水」と称する。
濃縮水の流で繋がった複数の電気透析槽について、濃縮水の流方向に関して、特定の電気透析槽よりも上流側の電気透析槽を「前段」の電気透析槽、特定の電気透析槽よりも下流側の電気透析槽を「後段」の電気透析槽と称する。また、脱塩水の流で繋がった複数の電気透析槽については、脱塩水の流方向に関して、特定の電気透析槽よりも上流側の電気透析槽を「上段」の電気透析槽、特定の電気透析槽よりも下流側の電気透析槽を「下段」の電気透析槽と称する。
電気透析装置を構成する各電気透析槽においては、脱塩室に地下かん水又は前段の電気透析槽の濃縮水を原料水として供給するとともに、濃縮室に希釈水を供給し、脱塩室から脱塩水を得るとともに、濃縮室から濃縮水を得る。電気透析装置を構成する各段の電気透析槽において得られる濃縮水を直後にある後段の電気透析槽に順に供給して、ヨウ化物塩をより高濃度に含有する水溶液である濃縮かん水を得る。
多段式の電気透析装置を構成する各段の電気透析槽において得られる脱塩水は、その少なくとも一部を前段の電気透析槽、すなわち、濃縮水の流方向に関して直前又はそれより上流側の電気透析槽に供給する。初段の電気透析槽において得られる脱塩水及び前段の電気透析槽に供給しなかった脱塩水は、例えば、河川、海洋、又は、地下かん水を採掘した地中等に排出することができる。
多段式の電気透析装置を使用することにより、不純物を除去するとともに、ヨウ化物イオンの濃縮及び回収を強化して、ヨウ化物イオンをより高濃度に含有する濃縮かん水を効率的に取得することができる。すなわち、ヨウ化物イオンの濃縮における高濃度と高収率の両立を経済的に実現できる。
本発明では、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置を使用し、電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を、当該電気透析槽又は当該電気透析槽よりも濃縮水の流方向に関して前段の電気透析槽の濃縮室に希釈水として供給することが好ましい。
この操作により、脱塩水中に残存するヨウ化物イオンを回収して、地下かん水からのヨウ素系物質の取得率(収率)を向上させることができる。また、補充水の使用量を抑制することができる。
本発明では、また、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置を使用し、電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を、当該電気透析槽よりも濃縮水の流方向に関して前段の電気透析槽の脱塩室に供給される地下かん水若しくは濃縮水に添加して供給することが好ましい。
この操作により、脱塩水の電気透析を繰り返すことができ、脱塩水中に残存するヨウ化物イオンを濃縮水中に回収して、地下かん水からのヨウ素系物質の取得率(収率)を向上させることができる。
本発明では、これらの例のように、電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を当該電気透析槽又は前段又は上段の電気透析槽に供給する電気透析操作を脱塩水循環型の電気透析と称する。
以下、図1を用いて脱塩水循環型の電気透析について説明する。
図1は、本発明のヨウ素系物質の取得方法の濃縮工程で用いることのできる脱塩水循環型の多段式電気透析装置の例を示す模式図である。
図1は、直列に連結された3つの電気透析槽、すなわち、第一電気透析槽111、第二電気透析槽112及び第三電気透析槽113を備える電気透析装置を示している。
各電気透析槽に通電し、原料の地下かん水120を、第一電気透析槽111に通液する。第一電気透析槽111から得られる第一濃縮水121を、後段の第二電気透析槽112に通液する。第一電気透析槽111から得られる第一脱塩水131を地下戻り水135とする。
第二電気透析槽112から得られる第二濃縮水122を、後段の第三電気透析槽113に通液する。第二電気透析槽112から得られる第二脱塩水132の一部を、地下戻り水135に加えるとともに、その残りを、第一補充水161と合わせて第一希釈水141として第一電気透析槽111に通液する。
第三電気透析槽113から得られる第三濃縮水123を、ヨウ素系物質取得装置151に供給する。第三電気透析槽113から得られる第三脱塩水133の一部を地下戻り水135に加えるとともに、その残りを、第二補充水162と合わせて第二希釈水142として第二電気透析槽112に通液する。なお、第三電気透析槽113で得られる第三脱塩水133の少なくとも一部を、第一補充水161と合わせて第一希釈水141として第一電気透析槽111に通液してもよい。
ヨウ素系物質取得装置151においてヨウ素系物質を取得する。ヨウ素系物質取得工程後、ヨウ素系物質から分離された脱塩水の一部を、第三補充水163と合わせて第三希釈水143として第三電気透析槽113に通液するとともに、ヨウ素系物質取得後の残りの廃水152を排出する。なお、各電気透析槽において、補充水の添加及び脱塩水の地下戻り水への添加は任意である。
脱塩水循環型の多段式電気透析装置では、ヨウ化物イオン回収率をより高くして濃縮水を得ることができる。
脱塩水循環型の多段式電気透析においては、それぞれの電気透析槽(図1では、111、112、113)において希釈水を原料水の流方向に対して向流にて供給することができる。これを向流供給法と称し、詳細は後述する。脱塩水循環型の電気透析では、並流供給法も可能であるが、ヨウ化物イオンの収率を上げるためには、向流供給法が好ましい。
また、本発明では、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置を使用し、前記電気透析装置を構成する少なくとも1つの前記電気透析槽において得られる濃縮水の一部を当該電気透析槽の濃縮室に希釈水として循環させ、残りを濃縮水として取得することが好ましい。
電気透析槽から得られる濃縮水を当該電気透析槽の濃縮室に循環させると、かん水から分離されたヨウ化物イオンが濃縮水の循環とともに濃縮水中に蓄積されて、ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮水が得られる。その際、濃縮差に伴う浸透圧差による水の移動が同時に起きて濃縮水の量が増加するので、増加した分を濃縮水として取得することができる。
本発明では、電気透析槽において得られる濃縮水の一部を当該電気透析槽の濃縮室に希釈水として循環させ、残りの濃縮水を当該電気透析槽の濃縮水として取得する電気透析操作を濃縮水循環型の電気透析と称する。
このような操作により、高濃度のヨウ化物イオンを含有する濃縮水を取得することができる。電気透析装置の構成及び運転も簡便である。また、補充水の使用量を抑制することができる。
以下、図2を用いて濃縮水循環型の電気透析について説明する。
図2は、本発明のヨウ素系物質の取得方法の濃縮工程で用いることのできる濃縮水循環型の多段式電気透析装置の例を示す模式図である。
図2では、直列に連結された3つの電気透析槽、すなわち、第一電気透析槽211、第二電気透析槽212及び第三電気透析槽213を備える電気透析装置を示している。
各電気透析槽に通電し、原料の地下かん水220を、第一電気透析槽211に通液する。第一電気透析槽211から得られる第一濃縮水221の一部を、後段の第二電気透析槽212に通液するとともに、その残りを、第一補充水261と合わせて第一希釈水241として第一電気透析槽211に循環する。第一電気透析槽211から得られる第一脱塩水231を地下戻り水235とする。
第二電気透析槽212から得られる第二濃縮水222の一部を、後段の第三電気透析槽213に通液するとともに、その残りを、第二補充水262と合わせて第二希釈水242として第二電気透析槽212に循環する。第二電気透析槽212から得られる第二脱塩水232の一部を地下かん水220に混合して第一電気透析槽211に供給するとともに、その残りを第一循環水271として地下戻り水235に加える。
第三電気透析槽213から得られる第三濃縮水223の一部を、ヨウ素系物質取得装置251に供給するとともに、その残りを、第三補充水263と合わせて第三希釈水243として第三電気透析槽213に循環する。第三電気透析槽213から得られる第三脱塩水233の一部を第一濃縮水221に混合して第二電気透析槽212に供給するとともに、その残りを第二循環水272として地下戻り水235に加える。
ヨウ素系物質取得装置251においてヨウ素系物質を取得する。ヨウ素系物質取得後、残りの廃水252を排出する。
濃縮水循環型の多段式電気透析においては、ヨウ化物イオン濃度がより高い濃縮水を得ることができる。また、濃縮水の体積を減らすことができるので、二段目以降の電気透析槽及びヨウ素系物質取得装置251の装置サイズを小さくできる利点がある。なお、各電気透析槽において、補充水の添加及び脱塩水の地下戻り水への添加は任意である。
濃縮水循環型の電気透析においては、それぞれの電気透析槽(図2では、211、212、213)において希釈水を原料水の流方向に対して並流にて供給することができる。これを並流供給法と称し、詳細は後述する。濃縮水循環型の電気透析では、並流供給法も前記した向流供給法も、ともに使用できる。
本発明の濃縮工程においては、脱塩水循環型の電気透析槽と濃縮水循環型の電気透析槽を組み合わせた、脱塩水循環−濃縮水循環組み合わせ型の多段式電気透析装置を使用することも好ましい。すなわち、このような多段式電気透析装置を使用して、電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる濃縮水の一部を当該電気透析槽に希釈水として循環させ、前記濃縮水の残りを当該電気透析槽の濃縮水として取得し、かつ、前記電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を脱塩水の流方向に関して下段の電気透析槽にて電気透析し、前記下段の電気透析槽において得られる濃縮水の少なくとも一部を前記電気透析槽に循環させることができる。前記下段の電気透析槽において得られる濃縮水を循環させる際は、濃縮水の流方向に関して前段の電気透析槽の濃縮水に添加することが好ましい。
これにより、脱塩水循環型の電気透析で脱塩水中のヨウ化物イオンを回収し、濃縮水循環型の電気透析で濃縮水を濃縮して、ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水をより効率的に得ることができる。
さらに、前記下段の電気透析槽で得られる脱塩水の少なくとも一部を、同じ下段の電気透析槽に希釈水として循環的に供給することができる。また、前記下段の電気透析槽で得られる脱塩水の少なくとも一部を、前記電気透析槽より濃縮水の流方向に関して前段の電気透析槽に希釈水として供給することができる。いずれによっても、ヨウ化物イオンの回収率を高めることができる。
以下、図3を用いて脱塩水循環−濃縮水循環組み合わせ型の電気透析について説明する。
図3は、本発明のヨウ素系物質の取得方法の濃縮工程で用いることのできる脱塩水循環−濃縮水循環組み合わせ型の多段式電気透析装置の例を示す模式図である。
図3では、互いに連結された3つの電気透析槽、すなわち、第一電気透析槽311、第二電気透析槽312及び第三電気透析槽313を備える電気透析装置を示している。
各電気透析槽に通電し、原料の地下かん水320を、第一電気透析槽311に通液する。第一電気透析槽311より排出される第一脱塩水はすべて地下戻り水335とする。第一電気透析槽311から得られる第一濃縮水321を後段の第二電気透析槽312に通液する。第二電気透析槽312から排出される第二脱塩水322を第三電気透析槽313に通液する。第三電気透析槽313から排出される第三脱塩水333の一部を第一電気透析槽311の希釈水341として第一補充水361と合わせて向流で通液する。なお、第一補充水361は加えなくてもよい。第三脱塩水333の一部を第三希釈水として通液する。残った第三脱塩水333を地下戻り水335とする。第三電気透析槽313より得られる第三濃縮水323はすべて第一濃縮水321と混合し、第二電気透析槽312に通液する第二電気透析槽312から得られる第二濃縮水322には適当量の補充水362を加えて第二希釈水342として循環させる。第二濃縮水322は循環中に体積が増えるので増加分を分取し濃縮かん水としてヨウ素系物質取得装置351に供給する。ヨウ素物質取得後の残りの廃水352を排出する。なお、各電気透析槽において、補充水の添加及び脱塩水の地下戻り水への添加は任意である。
図3に示すような脱塩水循環−濃縮水循環組み合わせ型の多段式電気透析装置では、第二電気透析槽312より排出される第二脱塩水332は第三電気透析槽313でヨウ化物イオンの回収がされるので、地下戻り水335にて排出されるヨウ化物イオンが減少し、ヨウ化物イオン収率が高くなる。さらに、第二電気透析槽312にて濃縮水循環型の電気透析を行うことにより、濃縮かん水中のヨウ化物イオンの濃縮率を高めることができる。
向流供給法を図4の例で説明する。陽イオン交換膜11,13,15と陰イオン交換膜12,14との間に設けられた脱塩室1,3及び濃縮室2,4において、脱塩室1,3に供給した原料水21,23の流方向と濃縮室2,4に供給した希釈水31,33の流方向とがイオン交換膜を挟んで向かいあう方向になるように通液する。電気透析により、脱塩室1,3からは脱塩水22,24を、濃縮室2,4からは濃縮水32,34を取得する。
向流供給法では、比較的低い電力消費量でヨウ化物イオンの効率的な濃縮ができる利点がある。
並流供給法を図5の例で説明する。陽イオン交換膜11,13,15と陰イオン交換膜12,14との間に設けられた脱塩室1,3及び濃縮室2,4において、脱塩室1,3に供給した原料水21,23の流方向と濃縮室2,4に供給した希釈水31,33の流とがイオン交換膜を挟んで同じ方向になるように通液する。電気透析により、脱塩室1,3からは脱塩水22,24を、濃縮室2,4からは濃縮水32,34を取得する。
並流供給法では、電気透析装置の構成が単純でその運転も簡便である利点がある。
電気透析装置の各電気透析槽から排出される脱塩水は、互いに異なる食塩濃度を有する場合がある。その場合、各電気透析槽から排出される脱塩水を地下戻り水等として混合して地下に圧入する前に、各脱塩水間の食塩の濃度差を利用した塩分濃度差発電を行うことも可能である。これにより、例えば、発電された電力を、地下かん水からヨウ素系物質の取得、より具体的には、電気透析装置の運転に利用することができ、ヨウ素系物質を取得の際におけるエネルギー効率をより優れたものとすることができる。
電気透析による濃縮工程によれば、ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水が得られるだけでなく、地下かん中に含まれていた有機物及びカルシウムや遷移金属イオン等の多価イオンを効率よく除去することができる。言い換えると、電気透析による濃縮工程で得られる濃縮かん水は、ヨウ化物イオンを高濃度で含有するとともに、有機物及びカルシウムや遷移金属イオン等の多価イオン等の好ましくない成分の含有率が低いものとなる。したがって、後続のヨウ素系物質取得工程において汚染や不溶物が発生することをより効果的に防止できる。特に、脱塩水を非酸化状態に扱うことが、脱塩水中に含有される遷移金属イオンが酸化物に転化して不溶化することを抑えることができるため、好ましい。
特に、本発明において濃縮工程で生じる脱塩水は、塩素等の酸化剤を含まず、酸化性を有しないため、これが地中の帯水層に圧入されて地下かん水と接触した際、地下かん水に溶解している遷移金属イオンが酸化されて不溶性酸化物を形成することがなく、地下かん水の流動阻害が防止される。そのため、濃縮工程から出る脱塩水は、地下かん水帯水層、特に地下かん水を汲み上げた地下かん水帯水層に、流動阻害を生じることなく良好に還元圧入することができる。また、濃縮工程で生じる脱塩水は、酸化剤を含まないため、水産養殖や培養等への利用も容易に行える。
濃縮工程で生じる脱塩水は、非酸化状態に扱うことが好ましい。そのためには、脱塩水を窒素等の酸化性を有しない雰囲気下で光を当てることなく取り扱うこと、及び、酸素ガス等の酸化性を有する物質を排除することが行われる。非酸化性状態の脱塩水は、酸化性を有しない低濃度の塩水であり、白金電極電位で0mV以下、好ましくは0〜−50mVの酸化還元電位を有する。
[4]ヨウ素系物質取得工程
ヨウ素系物質取得工程は、ヨウ化物塩を高濃度に含有する濃縮かん水からヨウ素系物質を取得する工程である。
電気透析装置を用いて得られる濃縮かん水中にはフルボ酸等の有機物が実質的に含まれていないため、ヨウ素系物質取得工程においてかん水中に含有されるヨウ化物イオンがこれら有機物と副反応を起こすことがなく、ヨウ素系物質の取得率が向上する。
本発明においては、特に、ヨウ素系物質取得装置により、地下かん水から分子状ヨウ素(I)を分子状ヨウ素として取得することができる。本発明における濃縮かん水は、ヨウ化物イオンを高濃度に含有するため、ヨウ素系物質取得工程において、原料の地下かん水に含有されるヨウ化物イオンに対するヨウ素の取得率が向上する。
ヨウ素を高濃度に含有する濃縮かん水からヨウ素を工業的に製造する方法としては、公知の方法、例えば、ブローイングアウト法、樹脂吸着法、吸収法等が利用でき、ブローイングアウト法又は吸収法が好適に利用できる。
ブローイングアウト法は、濃縮工程により得られる濃縮かん水に塩素や次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を混合して分子状ヨウ素を生成する酸化工程と、酸化工程後の濃縮かん水中に空気を吹き込んでヨウ素を気化させる放散工程と、放散塔から出た空気に亜硫酸ナトリウム等の還元剤を含む水を接触させてヨウ素を回収する吸収工程と、得られる吸収液に酸化剤を添加してヨウ素を析出させて高純度のヨウ素を取得する晶析工程とを有するヨウ素の製造プロセスである。ブローイングアウト法における酸化剤の混合による酸化は、濃縮かん水のpHが中性近傍、具体的にはpH4以上10以下、好ましくはpH5以上9以下、より好ましくはpH5以上8以下にて行う。放散塔から出た廃水は、少なくともその一部を、濃縮工程の電気透析における希釈水として用いることができる。
樹脂吸着法は、濃縮工程で得られる濃縮かん水に塩素や次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を混合してI 等のポリヨウ素イオンを生成する酸化工程と、酸化工程後の濃縮かん水を陰イオン交換樹脂が充填された流動層式吸着塔に導入してポリヨウ素イオンを吸着する吸着工程と、陰イオン交換樹脂に吸着されたポリヨウ素イオンを亜硫酸ナトリウム等の還元剤で還元し、希塩酸や食塩水等の適当な溶離液と接触させることでヨウ素を溶離させる溶離工程と、溶離液に酸化剤を加えることで粗ヨウ素を析出させる酸化濃縮工程と、粗ヨウ素を精製する精製工程とを有するヨウ素の製造プロセスである。樹脂吸着法における酸化剤による酸化は、濃縮かん水のpHが中性近傍、具体的にはpH4以上10以下、好ましくはpH5以上9以下、より好ましくはpH5以上8以下にて行う。吸着塔から出た廃水は、少なくともその一部を濃縮工程の電気透析における希釈水として用いることができる。
吸収法は、分子状のヨウ素が有機溶媒に可溶であるという性質を利用して、ヨウ化物イオンを酸化して分子状のヨウ素を生成させ、生成したヨウ素を有機溶媒に吸収させてかん水から分離する方法である。具体的には、濃縮工程により得られる濃縮かん水のpHを4以上8以下に調整し、塩素等の酸化剤を加えて分子状のヨウ素を生成させ、有機溶媒を加えてヨウ素を有機層に抽出し、還元剤を含む水溶液を加えて有機層から水層にヨウ素を再抽出し、酸化剤を添加してヨウ素を析出させて高純度のヨウ素を取得する。
抽出溶媒として使用される有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタンに例示される炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルに例示されるエーテル、酢酸ブチルに例示されるエステル、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレンに例示されるハロゲン化炭化水素、二硫化炭素等が挙げられる。ヨウ素を再抽出した後に残った有機溶媒は、抽出溶媒として再度使用することができる。抽出塔から出た廃水は、少なくともその一部を濃縮工程の電気透析における希釈水として用いることができる。
ヨウ素系物質取得工程において、ヨウ素系物質としてヨウ化水素酸を濃縮かん水から取得することができる。例えば、電気透析槽を用い、一対の正極側の電極室と負極側の電極室との間を正極側から前記電極室に供給される極液を仕切る陽イオン交換膜につづいて、第1の陰イオン交換膜と第1の陽イオン交換膜と第2の陰イオン交換膜と第2の陽イオン交換膜とが交互に繰り返し設けられ、これら第1の陰イオン交換膜、第1の陽イオン交換膜、第2の陰イオン交換膜及び第2の陽イオン交換膜にて4つの試料室に交互に仕切った電気透析槽の前記第1の陰イオン交換膜と前記第1の陽イオン交換膜との間及び前記第2の陰イオン交換膜と前記第2の陽イオン交換膜との間のいずれか一方に濃縮かん水を供給し、他方に塩素イオンを含む水溶液である酸液を供給し、濃縮かん水に接する陰イオン交換膜として一価陰イオン選択透過膜を用い、濃縮かん水中のヨウ化物イオンと酸液中の水素イオンとから複置換電気透析法によってヨウ化水素酸を生成させ、これを適宜精製してヨウ化水素酸を製造することができる。
ヨウ素系物質取得工程で残留するかん水である廃水は、必要に応じて環境安全上の処理を行った後、河川等に排出することができる。また、廃水は、少なくともその一部を濃縮工程の電気透析における希釈水として用いることもできる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の趣旨に沿った範囲内で条件を変更したり、他の工程を加える等の改変を加えることは差し支えない。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
なお、分析にあたっては、試料を純水で希釈し、陽イオン交換樹脂カラムを通過させた後、イオンクロマトグラフ(メトローム社製「883プロフェッショナル」、サプレッサー付き、Asap5カラム150mm、NaCO(3.2mM)NaHCO(3.2mM)混合液溶離液)を用いて測定した。
(実施例1)
<原料かん水>
深度1000mの地中から汲み上げられた地下かん水(塩化ナトリウム含有量24g/L、ヨウ化物イオン含有量40mg/L)を原料かん水として、窒素雰囲気にあるタンク内に溜め、空気に触れさせることなく砂濾過装置にて濾過処理した。
<濃縮工程>
前記のように濾過処理した地下かん水を使用し、図1に示されるように直列に繋がった3台の電気透析槽を備える脱塩水循環型の電気透析装置を用いて電気透析を行った。各電気透析槽は、いずれも一方の電極を陽極(正極)、他方の電極を陰極(負極)とし、これら電極間には、有効面積が一枚当たり0.2mの陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜の組を第一電気透析槽111では50組を、第二電気透析槽112では10組を、第三電気透析槽113では3組をそれぞれ配置した。陰イオン交換膜には、陰イオン選択透過膜であるセレミオンAMV−N(AGC株式会社製)を用い、陽イオン交換膜には、一価陽イオン選択透過膜であるセレミオンCSO(AGC株式会社製)を用いた。これらイオン交換膜によって電気透析槽内部を仕切り、濃縮室及び脱塩室とした。
各電気透析槽の陰極と陽極との間に第一電気透析槽111では42V、第二電気透析槽112では10V、第三電気透析槽113では5Vの直流電流を通電し、第一電気透析槽111に前記の濾過処理した地下かん水120を毎分4000cmで通液した。補充水にはイオン交換水を使用した。
第一電気透析槽111から得られた第一濃縮水121(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量138mg/L)を毎分1120cmで後段の第二電気透析槽112に通液した。第一電気透析槽111から毎分3680cmで得られた第一脱塩水131(塩化ナトリウム含有量8g/L、ヨウ化物イオン含有量3.6mg/L)を地下戻り水135とした。
第二電気透析槽112から得られた第二濃縮水122(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量608mg/L)を毎分240cmで後段の第三電気透析槽113に通液した。第二電気透析槽112から得られた第二脱塩水132(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量10mg/L)の一部を毎分300cmで地下戻り水135に加えるとともに、残りを第一希釈水141として毎分800cmで第一電気透析槽111に向流で通液した。
第三電気透析槽113から得られた第三濃縮水123を毎分50cmでヨウ素系物質取得装置151に供給した。第三電気透析槽113から得られた第三脱塩水133(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量10mg/L)の一部を毎分20cmで地下戻り水135に加えるとともに、残りを毎分220cmで第二希釈水142として第二電気透析槽112に向流で通液した。
ヨウ素系物質取得装置151に供給される第三濃縮水123(濃縮かん水)は、塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量2738mg/Lであり、鉄イオン含有量0.01mg/L未満、マンガンイオン含有量0.01mg/L未満、有機物濃度の指標であるTOCは3mg/Lであった。
<ヨウ素系物質取得工程>
前記のようにして得た濃縮かん水に少量の硫酸水溶液を加えてpH6にし、次亜塩素酸ナトリウムを加えてヨウ素放散塔内に散布すると同時に、大量の空気を吹き込んだ。放散塔上部を出た空気を吸収塔に送り、亜硫酸ナトリウム水溶液からなる吸収液に十分に接触させてヨウ素(I)を取得した。原料の地下かん水に含有されるヨウ化物イオンに対するヨウ素の取得率は85%であった。
ヨウ素取得後の廃水(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量5mg/L)の一部を毎分45cmで第三補充水163毎分5cmと合わせて第三希釈水143として第三電気透析槽113に向流で通液するとともに、残りの廃水152を毎分5cmで排出した。
(実施例2)
<濃縮工程>
実施例1と同様に濾過処理した地下かん水を使用し、図1に示されるように直列に繋がった3台の電気透析槽を備える脱塩水循環型の電気透析装置を用い、但し、各電気透析槽における液の流を並流にして電気透析を行った。イオン交換膜の構成は実施例1と同様であるが、イオン交換膜の組数は第一電気透析槽111では50組、第二電気透析槽112では12組を、第三電気透析槽113では3組とした。
各電気透析槽の陰極と陽極との間に第一電気透析槽111では42V、第二電気透析槽112では10V、第三電気透析槽113では5Vの直流電流を通電した。補充水にはイオン交換水を使用した。
第一電気透析槽111に原料の地下かん水120を毎分4000cmで通液し、第一希釈水141(第二脱塩水132の一部)を毎分500cmで通液した。第一電気透析槽111から第一濃縮水121(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量170mg/L)900cmを得た。第一電気透析槽111から毎分3600cmで得られた第一脱塩水131(塩化ナトリウム含有量7g/L、ヨウ化物イオン含有量5mg/L)を地下戻り水235とした。
第二電気透析槽112に第一濃縮水121を毎分900cmで通液し、第二希釈水142(第三脱塩水133の一部)を毎分110cmで並流で通液した。第二濃縮水122(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量1000mg/L)160cmを得た。第二電気透析槽112からより得られた第二脱塩水132(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量29mg/L)の一部500cmを第一希釈水141として第一電気透析槽111に循環し残り350mlを地下戻り水135とした。
第三電気透析槽113に第二濃縮水122を毎分160cmで通液し、第二希釈水142(第三脱塩水133の一部)を毎分110で並流で通液した。第三濃縮水123(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量6000mg/L)20cmを得た。第三電気透析槽113からより得られた第三脱塩水133(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量200mg/L)の一部110cmを第二希釈水142として第二電気透析槽112に循環し残り50mlを地下戻り水135とした。
ヨウ素系物質取得装置251に供給される第三濃縮水223(濃縮かん水)は、塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量6000mg/Lであり、鉄イオン含有量0.01mg/L未満、マンガンイオン含有量0.01mg/L未満、有機物濃度の指標であるTOCは3mg/Lであった。
<ヨウ素系物質取得工程>
前記のようにして得た濃縮かん水に少量の硫酸水溶液を加えてpH6にし、次亜塩素酸ナトリウムを加えてヨウ素放散塔内に散布すると同時に、大量の空気を吹き込んだ。放散塔上部を出た空気を吸収塔に送り、亜硫酸ナトリウム水溶液からなる吸収液に十分に接触させてヨウ素(I)を取得した。原料の地下かん水に含有されるヨウ化物イオンに対するヨウ素の取得率は76%であった。
ヨウ素取得後の廃水(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量5mg/L)の一部を毎分18cmで第三補充水163毎分2cmと合わせて第三希釈水143として第三電気透析槽113に並流で通液するとともに、残りの廃水152を毎分2cmで排出した。
(実施例3)
<濃縮工程>
実施例1と同様に濾過処理した地下かん水を使用し、図2に示されるように直列に繋がった3台の電気透析槽を備える濃縮水循環型の電気透析装置を用いて電気透析を行った。イオン交換膜の構成はイオン交換膜の組数を第一電気透析槽211では50組、第二電気透析槽212では5組、第三電気透析槽213では1組とした他は、実施例2と同様である。
各電気透析槽の陰極と陽極との間に第一電気透析槽211では42V、第二電気透析槽212では6V、第三電気透析槽213では4Vの直流電流を通電し、第一電気透析槽211に原料の地下かん水220を毎分4000cmで通液した。補充水にはイオン交換水を使用した。
第一電気透析槽211から得られた第一濃縮水221(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量400mg/L)の内、一部を毎分390cmで後段の第二電気透析槽212にかん水として通液するとともに、その残りを毎分4000cmで第一希釈水241として第一電気透析槽211に並流で循環した。第一電気透析槽211から毎分4000cmで得られた第一脱塩水231(塩化ナトリウム含有量240g/L、ヨウ化物イオン含有量8mg/L)を地下戻り水235とした。
第二電気透析槽212から得られた第二濃縮水222(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量4000mg/L)の内、一部を毎分38cmで後段の第三電気透析槽213にかん水として通液するとともに、その残りを毎分390cmで第二希釈水242として第二電気透析槽212に並流で循環した。第二電気透析槽212から毎分390cmで得られた第二脱塩水232(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量80mg/L)を全量地下かん水220に混合して第一電気透析槽211に供給した。
第三電気透析槽213から得られた第三濃縮水223の内、毎分4cmをヨウ素系物質取得装置251に供給するとともに、その残りを毎分38cmで第三補充水263毎分4cmと合わせて第三希釈水243として第三電気透析槽213に並流で循環した。第三電気透析槽213から毎分38cmで得られた第三脱塩水233(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量800mg/L)を全量第一濃縮水221に混合して第二電気透析槽212にかん水として供給した。
ヨウ素系物質取得装置251に供給される第三濃縮水223(濃縮かん水)は、塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量40000mg/Lであり、鉄イオン含有量0.01mg/L未満、マンガンイオン含有量0.01mg/L未満、有機物濃度の指標であるTOCは3mg/Lであった。
<ヨウ素系物質取得工程>
前記濃縮かん水に少量の硫酸水溶液を加えてpH6にし、次亜塩素酸ナトリウムを加えてヨウ素放散塔内に散布すると同時に、大量の空気を吹き込んだ。放散塔上部を出た空気を吸収塔に送り、亜硫酸ナトリウム水溶液からなる吸収液に十分に接触させて分子状ヨウ素を取得した。原料の地下かん水に含有されるヨウ化物イオンに対するヨウ素の取得率は76%であった。
ヨウ素取得取得後の廃水252(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量5mg/L)を毎分4cmで排出した。
(実施例4)
<濃縮工程>
実施例1と同様に濾過処理した地下かん水を使用し、図3に示されるように分岐して繋がった3台の電気透析槽を備える脱塩水循環−濃縮水循環組み合わせ型の電気透析装置を用いて電気透析を行った。イオン交換膜の構成は実施例1と同様であるが、イオン交換膜の組数は第一電気透析槽311では50組、第二電気透析槽312では14組を、第三電気透析槽313では14組とした。
各電気透析槽の陰極と陽極との間に第一電気透析槽311では42V、第二電気透析槽312では14V、第三電気透析槽313では14Vの直流電流を通電した。補充水にはイオン交換水を使用した。
第一電気透析槽311に原料の地下かん水320を毎分4000cmで通液し、第一希釈水341(第三脱塩水333の一部)を毎分400cmで向流で通液した。第一電気透析槽311から第一濃縮水321(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量190mg/L)800cmを得た。第一電気透析槽311から毎分3600cmで得られた第一脱塩水331(塩化ナトリウム含有量7g/L、ヨウ化物イオン含有量2.5mg/L)を地下戻り水335とした。
第二電気透析槽312に毎分800cmの第一濃縮水321と毎分300cmの第三濃縮水323を混合した液を通液した。第二濃縮水322の一部に第二補充水362を毎分25cm加えて第二希釈水342として毎分1125cmを並流で循環した。第二濃縮水322の残りを毎分25cmで濃縮かん水として得、ヨウ素系物質取得装置351に供給した。第二電気透析槽312から得られた第二脱塩水332(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量40mg/L)毎分1100cmを第三電気透析槽313に通液した。
第三電気透析槽313に第二脱塩水332を毎分1100cmで通液し、第三脱塩水333(塩化ナトリウム含有量160g/L、ヨウ化物イオン含有量2.5mg/L)の一部毎分200cmを第三希釈水343として向流で第三電気透析槽313に戻した。第三脱塩水333のうち一部毎分400cmを第一希釈水341として第一電気透析槽に向流で通液した。第三脱塩水333の残り毎分400cmを地下戻り水335に加えた。第三濃縮水323(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量140mg/L)毎分300cmを取得し、第一濃縮水321と混合して第二電気透析槽312に通液した。
ヨウ素系物質取得装置351に供給される濃縮かん水である第二濃縮水322は、塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量6000mg/Lであり、鉄イオン含有量0.01mg/L未満、マンガンイオン含有量0.01mg/L未満、有機物濃度の指標であるTOCは3mg/Lであった。
<ヨウ素系物質取得工程>
前記のようにして得た濃縮かん水に少量の硫酸水溶液を加えてpH6にし、次亜塩素酸ナトリウムを加えてヨウ素放散塔内に散布すると同時に、大量の空気を吹き込んだ。放散塔上部を出た空気を吸収塔に送り、亜硫酸ナトリウム水溶液からなる吸収液に十分に接触させてヨウ素(I)を取得した。原料の地下かん水に含有されるヨウ化物イオンに対するヨウ素の取得率は93%であった。
ヨウ素取得後の廃水352(塩化ナトリウム含有量180g/L、ヨウ化物イオン含有量5mg/L)を毎分25cmで排出した。
本発明のヨウ素系物質の取得方法は、ヨウ化物イオンを含有する地下かん水からヨウ素系物質を取得する方法であって、前記地下かん水から前記ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水を取得する濃縮工程と、前記濃縮かん水からヨウ素系物質を取得するヨウ素系物質取得工程と、を含む。
本発明のヨウ素系物質の取得方法によれば、地下かん水から貴重な天然資源であるヨウ化物イオンを効率よく取り出してヨウ素系物質を効率よく取得することができる。
したがって、本発明のヨウ素系物質の取得方法は、産業上の利用可能性を有する。
111,211,311 第一電気透析槽
112,212,312 第二電気透析槽
113,213,313 第三電気透析槽
120,220,320 地下かん水
121,221,321 第一濃縮水
122,222,322 第二濃縮水
123,223,323 第三濃縮水
131,231,331 第一脱塩水
132,232,332 第二脱塩水
133,233,333 第三脱塩水
135,235,335 地下戻り水
141,241,341 第一希釈水
142,242,342 第二希釈水
143,243,343 第三希釈水
161,261,361 第一補充水
162,262,362 第二補充水
163,263,363 第三補充水
151,251,351 ヨウ素系物質取得装置
152,252,352 廃水
271 第一循環水
272 第二循環水
11,13,15 陽イオン交換膜
12,14 陰イオン交換膜
1,3 脱塩室
2,4 濃縮室
21,23 原料水in
22,24 脱塩水out
31,33 希釈水in
32,34 濃縮水out
41,42 電極液
51 陰電極
52 陽電極

Claims (10)

  1. ヨウ化物イオンを含有する地下かん水からヨウ素系物質を取得する方法であって、
    前記地下かん水から前記ヨウ化物イオンを高濃度に含有する濃縮かん水を取得する濃縮工程と、
    前記濃縮かん水からヨウ素系物質を取得するヨウ素系物質取得工程と、
    を含む、ヨウ素系物質の取得方法。
  2. 前記濃縮工程が、少なくとも1つの電気透析槽を備える電気透析装置を用いて前記地下かん水を電気透析することにより前記濃縮かん水を取得する工程である、請求項1に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  3. 前記電気透析装置が、互いに接続された2以上の電気透析槽を備える多段式の電気透析装置である、請求項2に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  4. 前記濃縮工程において、前記電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を、当該電気透析槽又は当該電気透析槽よりも濃縮水の流方向に関して前段の電気透析槽の濃縮室に希釈水として供給する、請求項3に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  5. 前記濃縮工程において、前記電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を、当該電気透析槽よりも濃縮水の流方向に関して前段の電気透析槽の脱塩室に供給される地下かん水若しくは濃縮水に添加して供給する、請求項3又は4に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  6. 前記濃縮工程において、前記電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる濃縮水の一部を当該電気透析槽に希釈水として循環させ、前記濃縮水の残りを当該電気透析槽の濃縮水として取得する、請求項2ないし5のいずれか一項に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  7. 前記濃縮工程において、前記電気透析装置を構成する少なくとも1つの電気透析槽において得られる濃縮水の一部を当該電気透析槽に希釈水として循環させ、前記濃縮水の残りを当該電気透析槽の濃縮水として取得し、かつ、前記電気透析槽において得られる脱塩水の少なくとも一部を脱塩水の流方向に関して下段の電気透析槽にて電気透析し、前記下段の電気透析槽において得られる濃縮水の少なくとも一部を前記電気透析槽に循環させる、請求項3ないし5のいずれか一項に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  8. 前記濃縮工程において、前記電気透析槽に一価イオン選択透過性陽イオン交換膜と陰イオン交換膜との組み合わせを使用する、請求項2ないし7のいずれか一項に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  9. 前記地下かん水を非酸化状態にて扱う、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のヨウ素系物質の取得方法。
  10. 前記ヨウ素系物質取得工程においてヨウ素を取得する、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のヨウ素系物質の取得方法。
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