JP2023127832A - 浸透圧発電システム - Google Patents

浸透圧発電システム Download PDF

Info

Publication number
JP2023127832A
JP2023127832A JP2022031759A JP2022031759A JP2023127832A JP 2023127832 A JP2023127832 A JP 2023127832A JP 2022031759 A JP2022031759 A JP 2022031759A JP 2022031759 A JP2022031759 A JP 2022031759A JP 2023127832 A JP2023127832 A JP 2023127832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
power generation
osmotic pressure
membrane
membrane device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022031759A
Other languages
English (en)
Inventor
基頼 早水
Motoyori Hayamizu
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sasakura Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sasakura Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sasakura Engineering Co Ltd filed Critical Sasakura Engineering Co Ltd
Priority to JP2022031759A priority Critical patent/JP2023127832A/ja
Publication of JP2023127832A publication Critical patent/JP2023127832A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】被処理水をナノろ過膜装置で膜分離する処理を行った際にナノろ過膜を透過せずに装置外に排出される非透過水が有するエネルギーを有効に利用して発電を行うための浸透圧発電システムを提供する。【解決手段】浸透圧発電システム100は、ナノろ過膜10を備え、少なくとも二価イオンを含む被処理水を二価イオンが除去された透過水及び二価イオンを含む非透過水に膜分離するナノろ過膜装置1と、ナノろ過膜装置1に被処理水を供給する高圧ポンプP1と、ナノろ過膜装置1から排出される非透過水と非透過水よりも浸透圧の低い低浸透圧水とを半透膜20を介して接触させる正浸透膜装置2と、正浸透膜装置2において低浸透圧水の水分の一部が半透膜20を通過することにより希釈されて正浸透膜装置2から排出される非透過水によりタービン30を回転させて発電する発電装置3と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、被処理水をナノろ過膜装置で膜分離する処理を行った際に、ナノろ過膜を透過せずに装置外に排出される非透過水が有するエネルギーを用いて発電を行う浸透圧発電システムに関する。
例えば海水淡水化プラントや製塩プラントにおいては、海水を脱塩や濃縮する処理の前処理として、海水に含まれる二価イオンを海水から選択的に除去するために、海水をナノろ過膜装置で膜分離する処理が行われる。
ナノろ過膜(NF膜)は、一価イオンの透過を許容し、二価イオンの透過を制限(ないしは阻止)する機能を有しており、海水などの被処理水から主に二価イオンを選択的に除去する目的で使用される。海水淡水化プラントや製塩プラントでは、海水から二価イオンを事前に除去しておくことで、海水を脱塩や濃縮する際に硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムなどのスケールが析出することを抑制して処理効率が低下することを防止している。
ナノろ過膜装置には、例えば高圧ポンプによって昇圧された海水が供給され、ナノろ過膜を透過した透過水は濃縮処理に供されるが、ナノろ過膜を透過せずに装置外に排出される非透過水は再利用が考慮されていないのが現状である。例えば特許文献1には、海水からなる原水を、逆浸透膜を内蔵する処理部に供給して濃縮水の製造を行う前に、原水に含まれる硫酸イオンをナノろ過膜によって原水から除去することが記載されているが、ナノろ過膜を透過しない非透過水の有効利用について何ら記載されていない。
特開2006-167533号公報
ナノろ過膜装置に供給される海水は圧力が印加されており、非透過水は所定の圧力で装置外に排出される。そのため、非透過水は圧力エネルギーを有している。しかし、ナノろ過膜装置による膜分離処理では海水に印加される圧力は比較的低いため、非透過水の圧力エネルギーを効率よく回収することは困難である。また、非透過水の圧力エネルギーを回収して十分な量のエネルギーに変換するには多量の非透過水を確保する必要があるところ、小規模プラントや中規模プラントでは、膜分離処理する被処理水の量が十分に多くないため、エネルギー回収のための設備投資を行っても得られるエネルギー量とのコストメリットが合わない。よって、現状は、非透過水は例えば弁で絞って減圧した後に廃棄処理されており、非透過水の圧力エネルギーは回収されていない。また、非透過水は、透過水の分離に伴って溶質濃度が上昇していることにより高い浸透圧を有しているが、単に廃棄されるだけでは、非透過水の浸透圧エネルギーも活用できない。
本開示は、上述した課題の解決のため、被処理水をナノろ過膜装置で膜分離する処理を行った際にナノろ過膜を透過せずに装置外に排出される非透過水が有するエネルギーを有効に利用して発電を行うための浸透圧発電システムを提供することを目的とする。
本開示の浸透圧発電システムは、一価イオンの透過を許容しかつ二価イオンの透過を制限するナノろ過膜を備え、少なくとも二価イオンを含む被処理水を前記二価イオンが除去された透過水及び前記二価イオンを含む非透過水に膜分離するナノろ過膜装置と、前記ナノろ過膜装置に前記被処理水を供給する高圧ポンプと、前記ナノろ過膜装置から排出される前記非透過水と前記非透過水よりも浸透圧の低い低浸透圧水とを第一半透膜を介して接触させる第一正浸透膜装置と、前記第一正浸透膜装置において前記低浸透圧水の水分の一部が前記第一半透膜を通過することにより希釈されて前記第一正浸透膜装置から排出される前記非透過水によりタービンを回転させて発電する第一発電装置と、を備えることを特徴とする。
本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、二価イオンを含む無機塩が溶解した無機塩含有廃液が供給される膜分離装置であって、前記無機塩含有廃液を少なくとも前記二価イオンが除去された希釈水及び少なくとも前記二価イオンを含む濃縮水に膜分離する膜分離装置をさらに備え、前記希釈水を前記低浸透圧水として前記正浸透膜装置に供給することを特徴とするように構成することができる。
また、本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、前記ナノろ過膜装置から排出される前記透過水が供給される濃縮装置であって、一価イオンを含む前記透過水を前記一価イオンが除去されたイオン除去水及び前記一価イオンを含む濃縮水に分離する濃縮装置と、前記ナノろ過膜装置から排出される前記非透過水の一部と前記濃縮装置から排出される前記イオン除去水とを第二半透膜を介して接触させる第二正浸透膜装置と、前記第二正浸透膜装置において前記イオン除去水の水分の一部が前記第二半透膜を通過することにより希釈されて前記第二正浸透膜から排出される前記非透過水によりタービンを回転させて発電する第二発電装置と、をさらに備える、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、前記第一正浸透膜装置において濃縮されて前記第一正浸透膜装置から排出される前記低浸透圧水の少なくとも一部を前記無機塩含有廃液に混合して前記膜分離装置に供給する、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、前記第二正浸透膜装置において濃縮されて前記第二正浸透膜装置から排出される前記イオン除去水の少なくとも一部を前記透過水に混合して前記濃縮装置に供給する、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、前記二価イオンが硫酸イオンである、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、前記ナノろ過膜装置から排出される前記透過水が供給される濃縮装置であって、一価イオンを含む前記透過水を前記一価イオンが除去されたイオン除去水及び前記一価イオンを含む濃縮水に分離する濃縮装置をさらに備え、前記イオン除去水を前記低浸透圧水として前記第一正浸透膜装置に供給する、ことを特徴とするように構成することができる。
また、本開示の浸透圧発電システムにおいて好ましくは、前記第一正浸透膜装置において濃縮されて前記第一正浸透膜装置から排出される前記低浸透圧水を前記透過水に混合して前記濃縮装置に供給する、ことを特徴とするように構成することができる。
本開示の浸透圧発電システムによれば、被処理水をナノろ過膜装置で膜分離する処理を行った際にナノろ過膜を透過せずに装置外に排出される非透過水が有するエネルギーを有効に利用して発電を行うことができる。
本開示の一実施形態の浸透圧発電システムの概略構成図である。 本開示の他の一実施形態の浸透圧発電システムの概略構成図である。 本開示の他の一実施形態の浸透圧発電システムの概略構成図である。 本開示の他の一実施形態の浸透圧発電システムの概略構成図である。 本開示の他の一実施形態の浸透圧発電システムの概略構成図である。 本開示の他の一実施形態の浸透圧発電システムの概略構成図である。
本開示の浸透圧発電システムは、被処理水をナノろ過膜装置で膜分離する処理を行った際に、ナノろ過膜を透過せずに装置外に排出される非透過水が有するエネルギーを用いて発電を行う発電システムである。
被処理水は、少なくとも二価イオンを含む水溶液である。二価イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどを挙げることができる。被処理水は、一価イオン及び三価以上のイオンを含んでいてもよい。一価イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウム、塩化物イオン、臭化物イオン、ホウ素酸イオン、フッ素イオンなどを挙げることができる。二価イオンを含む被処理水しては、特に限定されるものではないが、例えば、海水、汽水(低濃度海水)、かん水(高濃度海水)、随伴水(石油や天然ガスの採掘時に副次的に産出される油分・有機物・塩分・重金属などを含む地下水)などを挙げることができる。
本開示の浸透圧発電システムは、被処理水をナノろ過膜装置で二価イオンが除去された透過水及び二価イオンを含む非透過水に膜分離する処理を一工程として含む水処理設備に適用することができ、例えば、海水淡水化、製塩、随伴水処理・再生などを行うプラントに適用することができる。海水淡水化、製塩、随伴水処理・再生などを行うプラントでは、被処理水を脱塩や濃縮する処理の前処理として、被処理水をナノろ過膜装置で膜分離する処理が行われており、被処理水に含まれる二価イオン、特に硫酸イオンを被処理から選択的に除去することで、被処理水を脱塩や濃縮する際に硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウムなどのスケールが析出して処理効率が低下することを防止している。
以下、本開示の浸透圧発電システムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態の浸透圧発電システム100の概略構成を示す。浸透圧発電システム100は、被処理水を透過水及び非透過水に膜分離するナノろ過膜装置1、ナノろ過膜装置1に被処理水を供給する高圧ポンプP1、ナノろ過膜装置1から排出される非透過水に半透膜20(本開示では「第一半透膜」ともいう。)を介して低浸透圧水を接触させる正浸透膜装置2(本開示では「第一正浸透膜装置」ともいう。)、正浸透膜装置2に低浸透圧水を供給する給水ポンプP2、及び、正浸透膜装置2から排出される非透過水の有するエネルギーによりタービン30を回転させて発電する発電装置3(本開示では「第一発電装置」ともいう。)を備える。
ナノろ過膜装置1は、ケーシング11内にナノろ過膜(NF膜)10を備えたモジュールである。ナノろ過膜装置1は、被処理水が供給されることにより、ナノろ過膜10を透過する透過水と、ナノろ過膜10を透過しない非透過水とを生成する。ナノろ過膜装置1の構造は例えばクロスフロー方式であり、ケーシング11内がナノろ過膜10で二種の空間12,13(被処理水が供給されてナノろ過膜10を透過しない非透過水が流れる空間12、及び、ナノろ過膜10を透過する透過水が流れる空間13)に仕切られている。なお、被処理水は、本実施形態では海水である。
ナノろ過膜10は、2nmから10nm程度の孔径を有する半透膜であり、一般的に多価イオン(二価イオン及び二価以上のイオン)の透過度に対して比較的高い一価イオンの透過度を有するため、多価イオンの透過を制限(ないしは阻止)し、一価イオンの透過を許容する。ナノろ過膜10は、被処理水から二価イオンなどの多価イオンを選択的に除去するため、被処理液が一価イオンと二価イオンとを含む場合、ナノろ過膜10は、被処理液を、二価イオンを含む非透過水と、二価イオンが除去されて一価イオンを含む透過水とに分離する。例えば一般のナノろ過膜を用いた場合、二価イオンの回収率は95%以上である。
ナノろ過膜10は、例えば酢酸セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、アクアポリン(蛋白質)などの従来から公知の素材の半透膜を用いることができ、一般にナノろ過膜と呼ばれる半透膜を用いることができる。ナノろ過膜10の形状は、例えば平膜にすることができる他、中空糸膜などの従来から公知の形状にすることもできる。
ケーシング11の一端側には流路L1が接続されており、反対側の他端側には流路L2及び流路L3が接続されている。被処理水は流路L1を通ってナノろ過膜装置1に供給され、ケーシング11内の一方の空間12を通水する。
このとき、ナノろ過膜10を透過した透過水はケーシング11内の他方の空間13から流路L3を通ってナノろ過膜装置1から排出される。透過水は、例えば海水淡水化プラントでは、真空蒸発装置や逆浸透膜(RO膜)を備えた逆浸透膜装置に供給されて淡水化される。また例えば製塩プラントでは、透過水は、逆浸透膜装置やイオン交換膜を備えた電気透析装置に供給されて濃縮された後、真空蒸発装置に供給されて結晶塩が生成される。
一方、ナノろ過膜10を透過しなかった非透過水は流路L2を通ってナノろ過膜装置1から排出される。非透過水は、被処理水から透過水が分離することで濃縮されており、溶質濃度が被処理水よりも高められていることから、高い浸透圧を有している。また、非透過水は、被処理水が高圧ポンプP1によって昇圧されてナノろ過膜装置1に供給されていることから、所定の圧力でナノろ過膜装置1から排出されるため、圧力エネルギーを有している。
高圧ポンプP1は、被処理水を昇圧してナノろ過膜装置1に供給する。なお、被処理水は、図示は省略するが、前処理装置によって濁質成分などの不純物を除去した後にナノろ過膜装置1に供給することが好ましい。上述した前処理装置としては、例えば、公知の砂濾過装置、限外濾過膜(UF膜)や精密濾過膜(MF膜)を備えた膜分離装置などを用いることができるが、特に限定されるものではない。
高圧ポンプP1によって被処理水に加える圧力は、被処理水中の水がナノろ過膜10を透過することができれば特に限定されない。ナノろ過膜10は、ナノろ過膜10よりも細孔径の小さい逆浸透膜と比較して高い溶質透過度を有しており、ナノろ過膜10の膜透過水量は逆浸透膜の膜透過水量よりも大きいため、所望の量の被処理水を膜分離処理して非透過水を生成するために必要な圧力(高圧ポンプP1によって被処理水に加える圧力)は、被処理水を逆浸透膜に供給する場合よりも低い圧力でよい。よって、本実施形態では、比較的低い圧力で、高い浸透圧を有する非透過水を生成することができる。高圧ポンプP1は、例えばインバータ制御が可能なポンプとすることで、省エネルギー化を図ることができる。
正浸透膜装置2は、ケーシング21内に半透膜20を備えたモジュールである。正浸透膜装置2は、ケーシング21内が半透膜20で二種の空間22,23に仕切られており、一方の空間22はナノろ過膜装置1から排出される非透過水が流れ、他方の空間23は低浸透圧水が流れる。低浸透圧水は、非透過水より浸透圧が低い液であり、例えば、下水処理水、雑排水、河川水、海水よりも濃度の低い低濃度塩水(汽水)などを挙げることができる。
半透膜20は、例えば酢酸セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、アクアポリン(蛋白質)などの従来から公知の素材の半透膜を用いることができ、一般に正浸透膜と呼ばれる半透膜を用いることができる。また、半透膜20の形状は、例えば平膜にすることができる他、中空糸膜などの従来から公知の形状にすることもできる。
ケーシング21には、特に限定されないが、例えば一端側に流路L2及び流路L4が接続されており、反対側の他端側に流路L5及び流路L6が接続されている。流路L2は、ナノろ過膜装置1の空間12と正浸透膜装置2の空間22とを繋いでいる。
ナノろ過膜装置1から排出される非透過水は流路L2を通って正浸透膜装置2に供給されてケーシング21内の一方の空間22を通水し、低浸透圧水は流路L4を通って正浸透膜装置2に供給されてケーシング21内の他方の空間23を通水する。このとき、非透過水と非透過水よりも浸透圧の低い低浸透圧水とが半透膜20を介して接触しているため、非透過水及び低浸透圧水の浸透圧差により低浸透圧水中の水分の一部が半透膜20を透過して非透過水側に移動する。これにより、非透過水は希釈される。
正浸透膜装置2の一方の空間22で希釈された非透過水は流路L5を通って正浸透膜装置2から排出される。非透過水は、希釈されることで流量が増加している。一方、正浸透膜装置2の他方の空間23で濃縮された低浸透圧水は流路L6を通って正浸透膜装置2から排出される。
給水ポンプP2は、低浸透圧水を正浸透膜装置2に供給する。給水ポンプP2によって低浸透圧水に加える圧力は、低浸透圧水を正浸透膜装置2に供給して正浸透により低浸透圧水の水分の一部を非透過水に移動させることができれば特に限定されない。
発電装置3は、タービン30の回転により発電する水流発電装置である。発電装置3には、流路L5が接続されており、流路L5は、正浸透膜装置2の空間22と発電装置3のタービン30とを繋いでいる。発電装置3は、正浸透膜装置2において浸透圧差によって流量が増加した非透過水が流路L5を通って供給され、非透過水の流れによってタービン30が回転することにより発電する。
以上、本実施形態の浸透初発電システム100によれば、正浸透膜装置2において、ナノろ過膜装置1でナノろ過膜10を透過せずに装置外に排出される非透過水と、低浸透圧水との浸透圧差によって、低浸透圧水側から半透膜20を介して非透過水側への水流が生じ、非透過水の流量が増加する。そして、発電装置3において、水流によって流量が増加した非透過水によりタービン30が回転し、発電が行われる。このように、本実施形態の浸透初発電システム100では、ナノろ過膜装置1による被処理水の膜分離処理に伴って生成される非透過水が有するエネルギー(圧力エネルギー及び浸透圧エネルギー)を用いて発電を行うことができる。
ここで、ナノろ過膜10よりも細孔径の小さい逆浸透膜は、一般的にニ価イオンだけでなく一価イオンの透過も制限(ないしは阻止)する機能を有するため、被処理水を仮に逆浸透膜を備えた逆浸透膜装置により膜分離処理した場合には、逆浸透膜を透過しない非透過水はナノろ過膜10を透過しない非透過水よりも溶質濃度が高く、より高い浸透圧を有する。しかし、逆浸透膜はナノろ過膜10よりも膜透過水量が少ないため、所望の量の非透過水を生成するためには、被処理水を比較的高い圧力で被処理水を逆浸透膜装置に供給する必要があり、多大なエネルギーを使用する。そのうえ、生成された非透過水は高い圧力で逆浸透膜装置から排出されることから、この非浸透水で浸透圧発電を行う場合は減圧が必要となるが、減圧された分の圧力エネルギーは圧力回収装置を通して回収されるものの、変換ロスが生じる。そのため、逆浸透膜装置による被処理水の膜分離処理に伴って生成される非透過水を用いて浸透圧発電を行うと発電効率が低く、浸透圧発電システムにより得られるエネルギー量と発電システムの設備稼働コストとの間でメリットが少ない。
これに対して、ナノろ過膜10は、逆浸透膜よりも膜透過水量が大きく、高圧ポンプP1によって被処理液に加える圧力が比較的低いため、より低いエネルギーの使用で高い浸透圧を有する非透過水を生成することができる。加えて、非透過水は、正浸透膜装置2において流量が増加し、増加した流量で発電装置3を駆動させるので、発電により多量のエネルギーを得ることができる。よって、本実施形態によれば、発電効率の高い浸透圧発電システム100を構築することができ、発電システムの設備稼働コストとの関係でメリットが大いにある。また小規模プラントや中規模プラントなどのように膜分離処理する被処理水の量がさほど多くなくても、正浸透膜装置2において水の量が増加し、膜分離処理により生成される非透過水以上の量の水により発電できるので、浸透圧発電システムにより十分な量のエネルギーを得ることができ、発電システムの設備投資への効果を期待できる。よって、小規模プラントや中規模プラントに対しても浸透圧発電システムを普及させることができる。
以上、本開示の浸透圧発電システムの一実施形態について説明したが、本開示の浸透圧発電システムは上述した図1に示す実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。つまり、以下に例示する本開示の他の実施形態の浸透圧発電システムは、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と同様に、本開示の上述した課題を解決することができる。
図2は、他の実施形態の浸透圧発電システム101を示す。図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101は、被処理水を透過水及び非透過水に膜分離するナノろ過膜装置1、ナノろ過膜装置1に被処理水を供給する高圧ポンプP1、ナノろ過膜装置1から排出される非透過水に半透膜20を介して低浸透圧水を接触させる正浸透膜装置2、及び、正浸透膜装置2から排出される非透過水の有するエネルギーによりタービン30を回転させて発電する発電装置3を備えるという点において、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と構成が共通する。
一方、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101は、二価イオンを含む無機塩が溶解した廃液が供給される膜分離装置4であって、廃液を少なくとも二価イオンが除去された希釈水及び少なくとも二価イオンを含む濃縮水に膜分離する膜分離装置4、及び、膜分離装置4に廃液を供給する高圧ポンプP3をさらに備えていて、膜分離装置4で生成された希釈水を低浸透圧水として正浸透膜装置2の他方の空間23に通水するという点において、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と構成が相違している。
以下、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101について説明するが、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101において、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と同一の構成については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
廃液は、工場、事業場などで使用後に廃棄される水であり、例えば、工業廃液、農業廃液、浸出水などを挙げることができる。廃液は、二価イオンを含む無機塩が溶解している。二価イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどを挙げることができる。二価イオンを含む無機塩しては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム(ボウ硝)、硫酸カルシウムなどを挙げることができる。なお、廃液は、その他の無機塩、例えば一価イオンからなる塩化ナトリウムや、アルミニウムイオンなどの三価イオンを含む無機塩が溶解していてもよい。
膜分離装置4は、ケーシング41内に半透膜40を備えたモジュールである。膜分離装置4は、廃液が供給されることにより、半透膜40を透過する希釈水と、半透膜40を透過しない濃縮水とを生成する。膜分離装置4の構造は例えばクロスフロー方式であり、ケーシング41内が半透膜40で二種の空間42,43(廃液が供給されて半透膜40を透過しない濃縮水が流れる空間42、及び、半透膜40を透過した希釈水が流れる空間43)に仕切られている。
半透膜40は、ナノろ過膜や逆浸透膜を用いることができる。ナノろ過膜は、ナノろ過膜装置1のナノろ過膜10と同じ素材や形状のものを用いることができる。逆浸透膜は、約2nm未満の孔径を有する半透膜であり、一般的にイオン(一価イオン及び多価イオン)の透過を制限(ないしは阻止)する。逆浸透膜は、廃液からイオンを選択的に除去するため、廃液がイオン(例えば一価イオン及び二価イオン)を含む場合、逆浸透膜は、廃液を、イオン(例えば一価イオン及び二価イオン)を含む濃縮水と、イオン(例えば一価イオン及び二価イオン)が除去された希釈水とに分離する。例えば一般の逆浸透膜を用いた場合、一価イオン、二価イオンの回収率はそれぞれ99.5%、99.8%程度である。
半透膜40は、例えば酢酸セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、アクアポリン(蛋白質)などの従来から公知の素材の半透膜を用いることができ、一般にナノろ過膜や逆浸透膜と呼ばれる半透膜を用いることができる。半透膜40の形状は、例えば平膜にすることができる他、中空糸膜などの従来から公知の形状にすることもできる。
ケーシング41の一端側には流路L7が接続されており、反対側の他端側には流路L8及び流路L9が接続されている。廃液は流路L7を通って膜分離装置4に供給され、ケーシング41内の一方の空間42を通水する。このとき、半透膜40を透過した希釈水はケーシング41内の他方の空間43から流路L8を通って膜分離装置4から排出される。希釈水は、廃液からイオンが分離することで、溶質濃度が廃液よりも低下しており、低い浸透圧を有している。流路L8は、膜分離装置4の空間43と正浸透膜装置2の空間23とを繋いでおり、希釈水は低浸透圧水として正浸透膜装置2の空間23に供給される。
一方、半透膜40を透過しなかった濃縮水は流路L9を通って膜分離装置4から排出され、脱塩や酸・アルカリ回収などの廃液処理のための処理装置(図示せず)に供給される。
高圧ポンプP3は、廃液を昇圧して膜分離装置4に供給する。なお、廃液は、図示は省略するが、前処理装置によって濁質成分などの不純物を除去した後に膜分離装置4に供給することが好ましい。上述した前処理装置としては、例えば、公知の砂濾過装置、限外濾過膜(UF膜)や精密濾過膜(MF膜)を備えた膜分離装置などを用いることができるが、特に限定されるものではない。高圧ポンプP3によって廃液に加える圧力は、廃液中の水が半透膜40を透過することができれば特に限定されない。高圧ポンプP3は、例えばインバータ制御が可能なポンプとすることで、省エネルギー化を図ることができる。
図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101によれば、工場などから排出される無機塩含有廃液を処理する際に生成される希釈水を低浸透圧水として正浸透膜装置2に供給している。そのため、上記実施形態の浸透圧発電システム100と比べて、低浸透圧水として下水処理水、雑排水、河川水などを別途準備する必要がなく、他の水処理で生成される低浸透圧水を有効利用できるので、発電システムの設備稼働コストを低減でき、発電効率を向上することができる。
また、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101では、正浸透膜装置2の他方の空間23で濃縮された低浸透圧水は流路L6を通って正浸透膜装置2から排出されるが、低浸透圧水の一部を流路L6から分岐する流路L10を通して流路L7に戻してもよい。このように戻すことによって、正浸透膜装置2から排出される低浸透圧水の一部は廃液と混合されて再び膜分離装置4に供給され、排水を有効利用することができる。
図3は、他の実施形態の浸透圧発電システム102を示す。図3に示す実施形態の浸透圧発電システム102は、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101と基本的に構成が同じであり、膜分離装置4を複数(図示例では二つ)備えている点で構成が相違している。
以下、図3に示す実施形態の浸透圧発電システム102について説明するが、図3に示す実施形態の浸透圧発電システム102において、図1及び図2に示す実施形態の浸透圧発電システム100-101と同一の構成については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
複数(図示例では二つ)の膜分離装置4A,4Bのうち、一方の膜分離装置4Aは、流路L7から高圧ポンプP3によって昇圧された廃液が供給され、半透膜40を透過した希釈水と、半透膜40を透過しなかった濃縮水とを生成する。希釈水は、低浸透圧水として正浸透膜装置2の空間23に供給され、濃縮水は、流路L9を通って該膜分離装置4Aから排出され、他方の膜分離装置4Bに供給される。他方の膜分離装置4Bにおいても、半透膜40を透過した希釈水と、半透膜40を透過しなかった濃縮水とが生成される。希釈水は、流路L11を通って流路L8に戻され、一方の膜分離装置4Aから排出される希釈水に混合された後、低浸透圧水として正浸透膜装置2の空間23に供給される。一方、濃縮水は流路L12を通って該膜分離装置4Bから排出され、脱塩や酸・アルカリ回収などの廃液処理のための処理装置(図示せず)に供給される。
図3に示す実施形態の浸透圧発電システム102によれば、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101と同様の効果を奏する。
図4は、他の実施形態の浸透圧発電システム103を示す。図4に示す実施形態の浸透圧発電システム103は、製塩プラントに適用するのに好適な実施形態を示す。図4に示す実施形態の浸透圧発電システム103は、被処理水を透過水及び非透過水に膜分離するナノろ過膜装置1、ナノろ過膜装置1に被処理水を供給する高圧ポンプP1、ナノろ過膜装置1から排出される非透過水に半透膜20を介して低浸透圧水を接触させる正浸透膜装置2、正浸透膜装置2から排出される非透過水の有するエネルギーによりタービン30を回転させて発電する発電装置3、二価イオンを含む無機塩が溶解した廃液が供給される膜分離装置4であって、廃液を少なくとも二価イオンが除去された希釈水及び少なくとも二価イオンを含む濃縮水に膜分離する膜分離装置4、及び、膜分離装置4に廃液を供給する高圧ポンプP3をさらに備えていて、膜分離装置4で生成された希釈水を低浸透圧水として正浸透膜装置2の他方の空間23に通水するという点において、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101と構成が共通する。
一方、図4に示す実施形態の浸透圧発電システム103は、ナノろ過膜装置1から排出される透過水が供給される濃縮装置5であって、一価イオンを含む透過水を一価イオンが除去されたイオン除去水及び一価イオンを含む濃縮水に分離する濃縮装置5、ナノろ過膜装置1から排出される透過水を濃縮装置5に供給する高圧ポンプP4、濃縮装置5から排出されるイオン除去水に半透膜60(本開示では「第二半透膜」ともいう。)を介してナノろ過膜装置1から排出される非透過水の一部を接触させる正浸透膜装置6(本開示では「第二正浸透膜装置」ともいう。)、及び、正浸透膜装置6から排出される非透過水の有するエネルギーによりタービン70を回転させて発電する発電装置7(本開示では「第二発電装置」ともいう。)を備えているという点において、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101と構成が相違している。
以下、図4に示す実施形態の浸透圧発電システム103について説明するが、図4に示す実施形態の浸透圧発電システム103において、図1から図3に示す実施形態の浸透圧発電システム100-102と同一の構成については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
濃縮装置5は、図示例では、一価イオンを含む透過水を膜分離により一価イオンが除去されたイオン除去水及び一価イオンを含む濃縮水に分離する逆浸透膜装置であり、ケーシング51内に半透膜50を備えたモジュールである。濃縮装置5の構造は例えばクロスフロー方式であり、ケーシング51内が半透膜50で二種の空間52,53(透過水が供給されて半透膜50を透過しない濃縮水が流れる空間52、及び、半透膜50を透過したイオン除去水が流れる空間53)に仕切られている。
半透膜50は、逆浸透膜であり、透過水からイオンを選択的に除去する。透過水が一価イオンを含む場合、逆浸透膜は、透過水を、一価イオンを含む濃縮水と、一価イオンが除去された希釈水とに分離する。
半透膜50は、例えば酢酸セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、アクアポリン(蛋白質)などの従来から公知の素材の半透膜を用いることができ、一般に逆浸透膜と呼ばれる半透膜を用いることができる。半透膜50の形状は、例えば平膜にすることができる他、中空糸膜などの従来から公知の形状にすることもできる。
ケーシング51の一端側には流路L3が接続されており、反対側の他端側には流路L14及び流路L15が接続されている。ナノろ過膜装置1から排出される透過水は流路L3を通って濃縮装置5に供給され、ケーシング51内の一方の空間52を通水する。このとき、半透膜50を透過したイオン除去水はケーシング51内の他方の空間53から流路L14を通って濃縮装置5から排出される。イオン除去水は、透過水から一価イオンが分離することで、溶質濃度が透過水よりも低下しており、低い浸透圧を有している。流路L14は、濃縮装置5の空間53と正浸透膜装置6の空間63とを繋いでおり、イオン除去水は低浸透圧水として正浸透膜装置6の空間63に供給される。
一方、半透膜50を透過しなかった濃縮水は流路L15を通って濃縮装置5から排出され、必要に応じてさらに濃縮された後、真空蒸発装置に供給されて結晶塩が生成される。
なお、図示例では濃縮装置5として逆浸透膜装置を用いているが、透過水に含まれる一価イオンを透過水から分離できる装置であれば、特に逆浸透膜装置に限定されず、例えば電気透析装置を濃縮装置5として用いてもよい。
高圧ポンプP4は、ナノろ過膜装置1から排出される透過水を昇圧して濃縮装置5に供給する。高圧ポンプP4によって透過水に加える圧力は、透過水中の水が半透膜50を透過することができれば特に限定されない。高圧ポンプP4は、例えばインバータ制御が可能なポンプとすることで、省エネルギー化を図ることができる。
正浸透膜装置6は、ケーシング61内に半透膜60を備えたモジュールである。正浸透膜装置6は、ケーシング61内が半透膜60で二種の空間62,63に仕切られており、一方の空間62はナノろ過膜装置1から排出される非透過水の一部が流れ、他方の空間63は濃縮装置5から排出されるイオン除去水が流れる。
半透膜60は、例えば酢酸セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、アクアポリン(蛋白質)などの従来から公知の素材の半透膜を用いることができ、一般に正浸透膜と呼ばれる半透膜を用いることができる。また、半透膜60の形状は、例えば平膜にすることができる他、中空糸膜などの従来から公知の形状にすることもできる。
ケーシング61には、特に限定されないが、例えば一端側に流路L13及び流路L14が接続されており、反対側の他端側に流路L16及び流路L17が接続されている。流路L13は、流路L2から分岐しており、流路L2を介してナノろ過膜装置1の空間12と正浸透膜装置6の空間62とを繋いでいる。
ナノろ過膜装置1から排出される非透過水の一部は流路L13を通って正浸透膜装置6に供給されてケーシング61内の一方の空間62を通水し、イオン除去水は流路L14を通って正浸透膜装置6に供給されてケーシング61内の他方の空間63を通水する。このとき、非透過水と非透過水よりも浸透圧の低いイオン除去水とが半透膜60を介して接触しているため、非透過水及びイオン除去水の浸透圧差によりイオン除去水中の水分の一部が半透膜60を透過して非透過水側に移動する。これにより、非透過水は希釈される。
正浸透膜装置6の一方の空間62で希釈された非透過水は流路L16を通って正浸透膜装置6から排出される。非透過水は、希釈されることで流量が増加している。一方、正浸透膜装置6の他方の空間63で濃縮されたイオン除去水は流路L17を通って正浸透膜装置6から排出される。正浸透膜装置6から排出されるイオン除去水は、その一部が流路L16から分岐する流路L18を通って流路L3に戻される。そして、正浸透膜装置6から排出されるイオン除去水の一部は、ナノろ過膜装置1から排出される透過水と混合されて再び濃縮装置5に供給される。これにより、排水を有効利用することができる。
発電装置7は、タービン70の回転により発電する水流発電装置である。発電装置7には、流路L16が接続されており、流路L16は、正浸透膜装置6の空間62と発電装置7のタービン70とを繋いでいる。発電装置7は、正浸透膜装置6において浸透圧差によって流量が増加した非透過水が流路L16を通って供給され、非透過水の流れによってタービン70が回転することにより発電する。
図4に示す実施形態の浸透圧発電システム103によれば、製塩プラントで製塩する際に生成される非透過水やイオン除去水を用いて、二つの正浸透膜装置2,6により浸透圧発電を行うように構成されているため、図2に示す実施形態の浸透圧発電システム101と比べて、コストを大きくかけることなく発電により多量のエネルギーを生成することができ、発電効率を向上することができる。
図5は、他の実施形態の浸透圧発電システム104を示す。図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104は、製塩プラントに適用するのに好適な実施形態を示す。図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104は、被処理水を透過水及び非透過水に膜分離するナノろ過膜装置1、ナノろ過膜装置1に被処理水を供給する高圧ポンプP1、ナノろ過膜装置1から排出される非透過水に半透膜20を介して低浸透圧水を接触させる正浸透膜装置2、正浸透膜装置2から排出される非透過水の有するエネルギーによりタービン30を回転させて発電する発電装置3を備えるという点において、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と構成が共通する。
一方、図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104は、ナノろ過膜装置1から排出される透過水が供給される濃縮装置5であって、一価イオンを含む透過水を一価イオンが除去されたイオン除去水及び一価イオンを含む濃縮水に分離する濃縮装置5、及び、ナノろ過膜装置1から排出される透過水を濃縮装置5に供給する高圧ポンプP4をさらに備え、ナノろ過膜装置1から排出される非透過水に半透膜20を介して濃縮装置5から排出されるイオン除去水を低浸透水として接触させる点において、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と構成が相違している。
以下、図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104について説明するが、図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104において、図1から図4に示す実施形態の浸透圧発電システム100-103と同一の構成については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
濃縮装置5は、図示例では、図4に示す実施形態の浸透圧発電システム104と同じく、一価イオンを含む透過水を膜分離により一価イオンが除去されたイオン除去水及び一価イオンを含む濃縮水に分離する逆浸透膜装置であり、ここでは詳細な説明は省略する。
ケーシング51の一端側には流路L3が接続されており、反対側の他端側には流路L19及び流路L15が接続されている。ナノろ過膜装置1から排出される透過水は流路L3を通って濃縮装置5に供給され、ケーシング51内の一方の空間52を通水する。このとき、半透膜50を透過したイオン除去水はケーシング51内の他方の空間53から流路L19を通って濃縮装置5から排出される。イオン除去水は、透過水から一価イオンが分離することで、溶質濃度が透過水よりも低下しており、低い浸透圧を有している。流路L19は、濃縮装置5の空間53と正浸透膜装置2の空間23とを繋いでおり、イオン除去水は低浸透圧水として正浸透膜装置2の空間23に供給される。
一方、半透膜50を透過しなかった濃縮水は流路L15を通って濃縮装置5から排出され、必要に応じてさらに濃縮された後、真空蒸発装置に供給されて結晶塩が生成される。
なお、図示例では濃縮装置5として膜分離装置を用いているが、透過水に含まれる一価イオンを透過水から分離できる装置であれば、特に膜分離装置に限定されず、例えば電気透析装置を濃縮装置5として用いてもよい。
高圧ポンプP4は、図4に示す実施形態の浸透圧発電システム104と同じく、ナノろ過膜装置1から排出される透過水を昇圧して濃縮装置5に供給する。
正浸透膜装置2は、ケーシング21の一端側に流路L2及び流路L19が接続されており、反対側の他端側に流路L5及び流路L6が接続されている。ナノろ過膜装置1から排出される非透過水は流路L2を通って正浸透膜装置2に供給されてケーシング21内の一方の空間22を通水し、低浸透圧水であるイオン除去水は流路L19を通って正浸透膜装置2に供給されてケーシング21内の他方の空間23を通水する。このとき、非透過水と非透過水よりも浸透圧の低いイオン除去水とが半透膜20を介して接触しているため、非透過水及びイオン除去水の浸透圧差により低浸透圧水中の水分の一部が半透膜20を透過して非透過水側に移動する。これにより、非透過水は希釈される。
正浸透膜装置2の一方の空間22で希釈された非透過水は流路L5を通って正浸透膜装置2から排出される。非透過水は、希釈されることで流量が増加している。一方、正浸透膜装置2の他方の空間23で濃縮されたイオン除去水は流路L6を通って正浸透膜装置2から排出される。正浸透膜装置2から排出されるイオン除去水は、その一部が流路L6から分岐する流路L20を通って流路L3に戻される。そして、正浸透膜装置2から排出されるイオン除去水の一部は、ナノろ過膜装置1から排出される透過水と混合されて再び濃縮装置5に供給される。これにより、排水を有効利用することができる。
発電装置3は、流路L5が接続されており、流路L5は、正浸透膜装置2の空間22と発電装置3のタービン30とを繋いでいる。発電装置3は、正浸透膜装置2において浸透圧差によって流量が増加した非透過水が流路L5を通って供給され、非透過水の流れによってタービン30が回転することにより発電する。
図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104によれば、製塩プラントで製塩する際に生成される非透過水やイオン除去水を用いて、正浸透膜装置2により浸透圧発電を行うように構成されているため、図1に示す実施形態の浸透圧発電システム100と比べて、コストを大きくかけることなく発電によりエネルギーを生成することができ、発電効率を向上することができる。
図6は、他の実施形態の浸透圧発電システム105を示す。図6に示す実施形態の浸透圧発電システム105は、図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104と基本的に構成が同じであり、濃縮装置5を複数(図示例では二つ)備えている点で構成が相違している。
以下、図6に示す実施形態の浸透圧発電システム105について説明するが、図6に示す実施形態の浸透圧発電システム105において、図1から図5に示す実施形態の浸透圧発電システム100-104と同一の構成については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
複数(図示例では二つ)の濃縮装置5A,5Bのうち、一方の濃縮装置5Aは、ナノろ過膜装置1から流路L3を通って高圧ポンプP4によって昇圧された透過水が供給され、半透膜50を透過したイオン除去水と、半透膜50を透過しなかった濃縮水とを生成する。イオン除去水は、低浸透圧水として正浸透膜装置2の空間23に供給され、濃縮水は、流路L15を通って該濃縮装置5Aから排出され、他方の濃縮装置5Bに供給される。他方の濃縮装置5Bにおいても、半透膜50を透過したイオン除去水と、半透膜50を透過しなかった濃縮水とが生成される。イオン除去水は、流路L21を通って流路L19に戻され、一方の濃縮装置5Aから排出されるイオン除去水に混合された後、低浸透圧水として正浸透膜装置2の空間23に供給される。一方、濃縮水は流路L22を通って該濃縮装置5Bから排出され、真空蒸発装置に供給されて結晶塩が生成される。
なお、他方の濃縮装置5Bは、例えば電気透析装置を用いてもよい。
図6に示す実施形態の浸透圧発電システム105によれば、図5に示す実施形態の浸透圧発電システム104と同様の効果を奏する。
1 ナノろ過膜装置
10 ナノろ過膜
2 正浸透膜装置(第一正浸透膜装置)
20 半透膜(第一半透膜)
3 発電装置(第一発電装置)
30 タービン
4 膜分離装置
5 濃縮装置
6 正浸透膜装置(第二正浸透膜装置)
60 半透膜(第二半透膜)
7 発電装置(第二発電装置)
70 タービン
P1 高圧ポンプ

Claims (8)

  1. 一価イオンの透過を許容しかつ二価イオンの透過を制限するナノろ過膜を備え、少なくとも二価イオンを含む被処理水を前記二価イオンが除去された透過水及び前記二価イオンを含む非透過水に膜分離するナノろ過膜装置と、
    前記ナノろ過膜装置に前記被処理水を供給する高圧ポンプと、
    前記ナノろ過膜装置から排出される前記非透過水と前記非透過水よりも浸透圧の低い低浸透圧水とを第一半透膜を介して接触させる第一正浸透膜装置と、
    前記第一正浸透膜装置において前記低浸透圧水の水分の一部が前記第一半透膜を通過することにより希釈されて前記第一正浸透膜装置から排出される前記非透過水によりタービンを回転させて発電する第一発電装置と、
    を備える、浸透圧発電システム。
  2. 二価イオンを含む無機塩が溶解した無機塩含有廃液が供給される膜分離装置であって、前記無機塩含有廃液を少なくとも前記二価イオンが除去された希釈水及び少なくとも前記二価イオンを含む濃縮水に膜分離する膜分離装置をさらに備え、
    前記希釈水を前記低浸透圧水として前記正浸透膜装置に供給する、請求項1に記載の浸透圧発電システム。
  3. 前記ナノろ過膜装置から排出される前記透過水が供給される濃縮装置であって、一価イオンを含む前記透過水を前記一価イオンが除去されたイオン除去水及び前記一価イオンを含む濃縮水に分離する濃縮装置と、
    前記ナノろ過膜装置から排出される前記非透過水の一部と前記濃縮装置から排出される前記イオン除去水とを第二半透膜を介して接触させる第二正浸透膜装置と、
    前記第二正浸透膜装置において前記イオン除去水の水分の一部が前記第二半透膜を通過することにより希釈されて前記第二正浸透膜から排出される前記非透過水によりタービンを回転させて発電する第二発電装置と、
    をさらに備える、請求項1又は2に記載の浸透圧発電システム。
  4. 前記第一正浸透膜装置において濃縮されて前記第一正浸透膜装置から排出される前記低浸透圧水の少なくとも一部を前記無機塩含有廃液に混合して前記膜分離装置に供給する、請求項2又は3に記載の浸透圧発電システム。
  5. 前記第二正浸透膜装置において濃縮されて前記第二正浸透膜装置から排出される前記イオン除去水の少なくとも一部を前記透過水に混合して前記濃縮装置に供給する、請求項3に記載の浸透圧発電システム。
  6. 前記二価イオンが硫酸イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の浸透圧発電システム。
  7. 前記ナノろ過膜装置から排出される前記透過水が供給される濃縮装置であって、一価イオンを含む前記透過水を前記一価イオンが除去されたイオン除去水及び前記一価イオンを含む濃縮水に分離する濃縮装置をさらに備え、
    前記イオン除去水を前記低浸透圧水として前記第一正浸透膜装置に供給する、請求項1に記載の浸透圧発電システム。
  8. 前記第一正浸透膜装置において濃縮されて前記第一正浸透膜装置から排出される前記低浸透圧水を前記透過水に混合して前記濃縮装置に供給する、請求項7に記載の浸透圧発電システム。
JP2022031759A 2022-03-02 2022-03-02 浸透圧発電システム Pending JP2023127832A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022031759A JP2023127832A (ja) 2022-03-02 2022-03-02 浸透圧発電システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022031759A JP2023127832A (ja) 2022-03-02 2022-03-02 浸透圧発電システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023127832A true JP2023127832A (ja) 2023-09-14

Family

ID=87972307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022031759A Pending JP2023127832A (ja) 2022-03-02 2022-03-02 浸透圧発電システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023127832A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220315469A1 (en) Cross current staged reverse osmosis
US11439953B2 (en) Brine concentration
US8197693B2 (en) Apparatus and process for producing electricity using pressure retarded osmosis during desalination of sea water
AU2009326257B2 (en) Improved solvent removal
WO2018084246A1 (ja) 濃縮方法および濃縮装置
TWI393678B (zh) Desalination system
US20160040522A1 (en) Production of injection water by coupling direct-osmosis methods with other methods of filtration
US10758869B2 (en) Fluid purification by forward osmosis, ion exchange and re-concentration
US20210198136A1 (en) Combinatorial membrane-based systems and methods for dewatering and concentrating applications
WO2013005369A1 (ja) 水浄化システム及び水浄化方法
JP2009095821A (ja) 塩水の処理方法
JP6965680B2 (ja) 海水淡水化方法および海水淡水化システム
WO2009102593A1 (en) Brackish and sea water desalination using a hybrid ion exchange-nanofiltration process
JP2015029931A (ja) 淡水化装置及び淡水化方法、並びに淡水の製造方法、淡水、塩及び有価物の併産方法
JP2018001110A (ja) ブラインの処理方法、塩水の淡水化処理方法、ブラインの処理システム、および、塩水の淡水化処理システム
WO2020179594A1 (ja) Zero Liquid Dischargeシステム
KR102423788B1 (ko) 해수담수화 압력지연삼투 기술을 이용한 복합 담수화 시스템
EP1894612B1 (en) Method for purifying water by means of a membrane filtration unit
JP5115271B2 (ja) リン酸含有水からリン酸を回収する方法および装置
JPH11253761A (ja) 溶液分離装置
JP2023127832A (ja) 浸透圧発電システム
EP3496843B1 (en) Fluid purification using forward osmosis, ion exchange, and re-concentration
KR20170089230A (ko) 유도용액을 이용한 역삼투법 및 나노여과법을 이용한 해수담수화 방법
JP2021030189A (ja) 水処理装置および水処理方法
JP2021045736A (ja) 濃縮システム