以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
図1〜図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開が行われる。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配置される可動部材830と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1〜図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や表示画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネルは、制御装置700による制御下で、表示画面を表示する。タッチパネルの表示画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネルの表示画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の入力操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネルは、ユーザによる表示画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、表示画面に表示される情報を確認しながら、表示画面に設けられた入力操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが表示画面に設けられた入力操作部を操作することにより、入力操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネルに表示される表示画面の切り替え等であってもよい。
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネルとして一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
次に、成形品を成形する金型装置800について更に説明する。
まず、金型装置800で成形される成形品の形状について説明する。図3は、一実施形態に係る金型装置800によって成形される容器70の斜視図である。成形品である容器70は、片持ち足付きの容器であり、容器本体部71及び脚部75が一体に形成される。
容器本体部71は、上方に向かって広がるように形成される略円錐台筒状の胴部72と、胴部72の下端を塞ぐ底部73と、胴部72の上端から径方向外側に向かって広がるように形成されるフランジ部74と、を有する。このような構成により、容器70は、容器本体部71内に内容物を収容することができる。
脚部75は、円板状のベース76と、容器本体部71とベース76を連結する連結部77と、を有する。ベース76は、容器70を載置面(図示せず)に載置する際に、載置面と接地する部位である。連結部77は、容器本体部71の底部73の外周縁上における所定の箇所及びベース76の外周縁上における所定の箇所において、容器本体部71(底部73の下面)とベース76(ベース76の上面)とを離間させて連結する。このような構成により、容器70は、載置面に自立して載置することができる。また、ベース76の上面と底部73の下面との間の空間に、他の小容器(図示せず)等を収納することができる。
また、ベース76には、貫通穴78が形成されている。また、連結部77には、中抜き79が形成されている。また、胴部72の外周側表面には、ラベル80がインモールドラベル成形によって一体に貼着されている。
次に、一実施形態に係る金型装置800について、図4を用いて更に説明する。図4は一実施形態に係る金型装置800の型締状態を示す断面図である。
金型装置800は、固定プラテン110に取り付けられる固定金型810と、可動プラテン120に取り付けられる可動金型820と、を有する。可動プラテン120を型締装置100によって進退させることにより、可動金型820を固定金型810に対して接離させることができる。
固定金型810は、ボトムキャビティ21と、ボトムキャビティ21を支持する支持ブロック22と、支持ブロック22の前端(図4において、左端)に隣接させて配設されたスプリットユニット23と、スプリットユニット23の前端に隣接させて配設されたキャビティ24と、キャビティ24を支持する支持ブロック25と、二つのランナプレート26,27と、を有する。
ボトムキャビティ21は、スプリットユニット23との間に脚部75に対応する第1の空間C1を形成する。また、ボトムキャビティ21におけるスプリットユニット23と対向する面には、容器70のベース76に貫通穴78(図3参照)を形成するために、円形の突部である突き当て部34が形成されている。突き当て部34をスプリットユニット23に突き当てることにより、第1の空間C1に成形材料である樹脂が流れ込まない部分が形成される。これにより、金型装置800の成形品である容器70のベース76には、貫通穴78(図3参照)が形成される。また、後述するランナ38は、突き当て部34内を貫通する。また、ボトムキャビティ21には、貫通孔36が形成される。貫通孔36の一端は、第1の空間C1に臨ませて形成される。貫通孔36の他端は、ボトムキャビティ21とランナプレート26との間に形成されたガス排気路(図示せず)に臨ませて形成される。貫通孔36には、成形材料である樹脂の流出を防ぎつつ、第1の空間C1内のガスを第1の空間C1外(ガス排気路)に逃がすガス逃げ機構部品50が配置されている。なお、ガス逃げ機構部品50については、図5から図7を用いて後述する。支持ブロック22は、ボトムキャビティ21を支持する。ボトムキャビティ21、支持ブロック22及びランナプレート26は、一体として型開閉方向(図4において、左右方向)に移動可能に構成される。
スプリットユニット23は、ボトムキャビティ21との間に脚部75に対応する第1の空間C1を形成する。スプリットユニット23は、第1のスプリット31及び第2のスプリット32を有する。また、第1のスプリット31における第2のスプリット32と対向する面には、連結部77に中抜き79を形成するために、円形の突部である突き当て部35が形成されている。突き当て部35を第2のスプリット32に突き当てることにより、第1の空間C1に成形材料である樹脂が流れ込まない部分が形成される。これにより、金型装置800の成形品である容器70の連結部77には、中抜き79(図3参照)が形成される。第1のスプリット31及び第2のスプリット32は、型開閉方向(図4において、左右方向)とは異なる方向(図4において、上下方向)に移動可能に構成される。これにより、第1、第2のスプリット31、32は、図4に示される前進位置、及び、図10に示される退避位置をとることができるように構成されている。
キャビティ24は、前端にリング状のブロック33を備える。キャビティ24は、コア42及びセパレータ43との間に容器本体部71に対応する第2の空間C2を形成する。ここで、スプリットユニット23は、ボトムキャビティ21とキャビティ24との間に配設されている。また、キャビティ24は、スプリットユニット23に隣接させて配設されている。これにより、第2の空間C2は、スプリットユニット23及びキャビティ24と、コア42及びセパレータ43と、の間に形成される。支持ブロック25は、キャビティ24を支持する。キャビティ24、支持ブロック25及びブロック33は、一体として型開閉方向(図4において、左右方向)に移動可能に構成される。
ランナプレート26は、ランナプレート27との間にランナ38を形成する。ランナプレート26は、ランナプレート27に対して型開閉方向(図4において、左右方向)に移動可能に構成される。また、ランナ38は、ランナプレート26、ボトムキャビティ21及び第2のスプリット32を貫通させて形成される。ランナ38の前端には、ゲート39が形成される。ゲート39は、第2の空間C2における底部73に対応させて形成された部分の中央に臨ませて形成される。また、ランナ38は、ボトムキャビティ21の突き当て部34内を貫通させて形成される。これにより、ランナ38内を流れる樹脂は、第1の空間C1に直接進入せず、ゲート39から第2の空間C2に進入する。
なお、固定金型810の構成は、これに限られるものではない。例えば、キャビティ24は、スプリットユニット23に隣接させて配設されるものとして説明したが、これに限られるものではない。スプリットユニット23とキャビティ24との間に他の金型部材(図示せず)が介在してもよい。この構成において、第2の空間C2は、他の金型部材及びキャビティ24と、コア42及びセパレータ43と、の間に形成されてもよい。また、この構成において、ゲート39は、他の金型部材に形成されていてもよい。
なお、図4等で示す金型装置800では、スプリットユニット23は、第1の空間C1を形成するための金型部材としての機能と、第2の空間C2を形成するための金型部材としての機能と、を兼ねている。これにより、金型装置800を構成する部品点数を削減することができる。また、金型装置800内でスライド等する金型部材の数を削減することができるので、金型部材をスライドするためのスライド機構(図示せず)等の増加を抑制することができる。
可動金型820は、可動プラテン120に取付けられるコアプレート41と、コアプレート41に取り付けられたコア42と、を有する。型締装置100を作動させることによって、固定金型810に対して可動金型820を進退(図4において、左右方向に移動)させることができる。また、可動金型820は、容器70をコア42から離型させるために、コア42に隣接させてセパレータ43が配設される。なお、セパレータ43は、容器70のフランジ部74(図3参照)と当接する位置に設けられている。セパレータ43は、可動部材830(図1,2参照)と連結されている。エジェクタ装置200がエジェクタロッド210を突き出すことで、可動部材830が移動し、セパレータ43が進退する。
次に、金型装置800の動作について説明する。ここでは、射出成形機10が、型閉工程、昇圧工程、型締工程、射出工程(充填工程、保圧工程)、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程の順に動作する場合を例に説明する。
制御装置700は、型締装置100を作動させる。これにより、金型装置800の型閉じが行われ(型閉工程)、続いて、金型装置800の型締めが行われる(昇圧工程、型締工程)。
図4に示すように、金型装置800の型締状態において、ボトムキャビティ21と、スプリットユニット23と、の間に脚部75に対応する第1の空間C1が形成される。また、スプリットユニット23及びキャビティ24と、コア42及びセパレータ43と、の間に容器本体部71に対応する第2の空間C2が形成される。第1の空間C1及び第2の空間C2によって、容器70を成形するためのキャビティ空間Cが形成される。
なお、インモールドラベル成形においては、金型装置800の型閉じが行われる前に、キャビティ空間Cにあらかじめラベル80が挿入される。
そして、射出工程(充填工程、保圧工程)において、制御装置700は、射出装置300を作動させることにより、射出装置300のノズル320から成形材料としての樹脂が射出される。
図5は、充填工程における成形材料及びガスの流れを説明する金型装置800の断面図である。
射出された樹脂は、ランナ38を通り、ゲート39を介して第2の空間C2に進入し、続いて、流入点P1から第1の空間C1に進入する。矢印L1に示すように、ゲート39から第2の空間C2に進入した樹脂は、ラベル80をキャビティ24及びブロック33の内周面に押し付けて第2の空間C2内を流れる。このように、キャビティ空間Cに樹脂を充填するのに伴って、ラベル80が容器70の表面に貼着される。また、第2の空間C2に樹脂が充填されることにより、矢印G1に示すように、第2の空間C2内のガスは、キャビティ24(ブロック33)とセパレータ43との当接面から排気される。
また、矢印L2に示すように、流入点P1から第1の空間C1における連結部77に対応させて形成された部分に進入した樹脂は、突き当て部35で分岐した後に再び合流して、流入点P2から第1の空間C1におけるベース76に対応させて形成された部分へ進入する。
図6は、充填工程における成形材料及びガスの流れを説明する金型装置800のC−C矢視断面図である。なお、図6において、ガス逃げ機構部品50が配置されている位置を破線で図示している。
矢印L3に示すように、流入点P2から第1の空間C1におけるベース76に対応させて形成された部分に進入した樹脂は、突き当て部34で分岐した後に再び合流する。また、樹脂が充填されることにより、矢印G2に示すように、第1の空間C1の外周側に押し出されたガスは、支持ブロック22とスプリットユニット23との当接面から排気される。
一方、矢印L3に示すように樹脂が充填されることにより、流入点P2からみて突き当て部34の反対側でガスが巻き込まれるおそれがある。即ち、ベース76に対応させて形成された空間は、円環状の形状を有している。これにより、樹脂が流入する流入口(流入点P2)からみて、突き当て部34の反対で分岐した樹脂が合流する。このため、分岐した樹脂が合流した際に、第1の空間C1の内周側に押し出されたガスは、第1の空間C1の外周側から排出することができずに、樹脂内に巻き込まれる。また、第1の空間C1は、合流した樹脂がそれより先には流れない形状となっている。このため、巻き込まれたガスが樹脂の流れに沿って移動することもできなくなっている。
また、突き当て部34内には、ランナ38が形成されており、ランナ38内は第1の空間C1よりも高圧となっている。このため、第1の空間C1の内周側に押し込まれたガスは、支持ブロック22とスプリットユニット23との当接面から排気することができず、ボイドやショートショットの原因となるおそれがある。
これに対し、本実施形態に係る金型装置800は、この位置にガス逃げ機構部品50が配置されている。これにより、第1の空間C1の内周側に押し込まれたガスは、ガス逃げ機構部品50を介して排気(図5の矢印G3参照)することができる。
図7は、ガス逃げ機構部品50の一例を示す断面図である。ガス逃げ機構部品50は、第1円柱部51と、縮径した第2円柱部52と、溝54を有する第3円柱部53と、フランジ部55と、を有する軸状の部材である。
第1円柱部51は、貫通孔36の内径よりも僅かに小さい外径を有する円柱形状で形成されている。これにより、貫通孔36の内周面と、第1円柱部51の外周面との隙間において、樹脂の流出を防止するとともに、ガスが通流可能となっている。
第2円柱部52は、第1円柱部51よりも縮径した円柱形状で形成されている。これにより、貫通孔36の内周面と第1円柱部51の外周面との隙間を流れたガスは、貫通孔36の内周面と第2円柱部52の外周面との間の空間で拡散し、ガスが径方向に回り込み可能となっている。第3円柱部53は、貫通孔36の内径よりも僅かに小さい外径を有する円柱形状で形成されている。これにより、貫通孔36内でガス逃げ機構部品50の軸が位置ずれすることを抑制する。また、第3円柱部53は、軸方向に延びる溝54が形成されている。これにより、貫通孔36の内周面と第2円柱部52の外周面との間の拡散空間内のガスは、溝54を介して、ボトムキャビティ21とランナプレート26との間に形成される排気流路(図示せず)へと流れることができる。
フランジ部55は、ガス逃げ機構部品50の軸方向の移動を規制する。これにより、第1円柱部51の先端面がボトムキャビティ21のキャビティ面に対して位置決めされる。ここで、第1円柱部51の先端面は、ボトムキャビティ21のキャビティ面と同じ高さ、若しくは、ボトムキャビティ21のキャビティ面から第1の空間C1に向かって突き出した位置となるように位置決めされることが好ましい。これにより、成形品である容器70において、ベース76の裏面に突部が形成されることを防止することができる。よって、成形品である容器70は、ベース76の裏面が載置面と接するように載置する際、安定して載置することができる。ただし、成形性を考慮すると、第1円柱部51の先端面は、ボトムキャビティ21のキャビティ面と同じ高さ、若しくは、ボトムキャビティ21のキャビティ面よりも第1の空間C1に対して手前の位置となるように位置決めされるようにしてもよい。第1円柱部51がボトムキャビティ21のキャビティ面よりも突出しないため、成形時に、溶融樹脂は、第1円柱部51に流動を阻害されない。このため、溶融樹脂の流動性が向上し、成形性が向上する。この場合、ベース76の裏面に突部が形成されることになるため、成形品の載置性に影響が出ないように、第1円柱部51の先端面の位置は、ボトムキャビティ21のキャビティ面からの距離が所定の範囲内となるように位置決めされる。なお、フランジ部55はDカットされた形状を有し、回り止めされていてもよい。
そして、冷却工程の後、制御装置700は、型締装置100を作動させることにより、金型装置800を脱圧し(脱圧工程)、続いて、金型装置800の型開きを行う(型開工程)。図8は一実施形態に係る金型装置800の型開状態の第1の工程を示す断面図、図9は一実施形態に係る金型装置800の型開状態の第2の工程を示す断面図、図10は一実施形態に係る金型装置800の型開状態の第3の工程を示す断面図、図11は一実施形態に係る金型装置800の型開状態の第4の工程を示す断面図、図12は一実施形態に係る金型装置800の型開状態の第5の工程を示す断面図である。
まず、型開状態の第1の工程では、制御装置700は、型締装置100を作動させ、可動プラテン120を後退させる。これにより、図8に示すように、コアプレート41からランナプレート26までが可動プラテン120と共に後退する。換言すれば、ランナプレート26に対して、ランナプレート27が相対的に後退(図8において、右方に移動)させられ、それに伴って、ランナ部材81も後退(図8において、右方に移動)させられる。
次に、型開状態の第2の工程では、制御装置700は、型締装置100が可動プラテン120を更に後退させる。これにより、図9に示すように、コアプレート41からスプリットユニット23までが、可動プラテン120と共に後退する。換言すれば、スプリットユニット23に対して、ボトムキャビティ21、支持ブロック22、ランナプレート26が相対的に後退(図9において、右方に移動)させられる。
次に、型開状態の第3の工程では、制御装置700は、第1、第2のスプリット31、32を駆動する駆動機構(図示せず)を作動させる。これにより、図10に示すように、第1のスプリット31が矢印A方向に、第2のスプリット32が矢印B方向に移動させられて退避位置に置かれる。なお、駆動機構は、油圧シリンダ等を用いて第1、第2のスプリット31、32をスライドさせる機構であってもよい。また、型開きの力を利用して第1、第2のスプリット31、32を移動させるアンギュラピンを用いる機構であってもよい。
次に、型開状態の第4の工程では、制御装置700は、型締装置100が可動プラテン120を更に後退させる。これにより、図11に示すように、コアプレート41からセパレータ43までが、可動プラテン120と共に後退する。換言すれば、スプリットユニット23、キャビティ24、支持ブロック25が相対的に後退(図11において、右方に移動)させられる。これにより、キャビティ24からコア42が出される。また、このとき、容器70はコア42に付着した状態で、可動金型820側に残される。
最後に、型開状態の第4の工程では、制御装置700は、エア供給装置(図示せず)を作動させるとともに、エジェクタ装置200を作動させる。これにより、コア42に形成されたエア吹出口(図示せず)から空気が吹き出される。また、図12に示すように、エジェクタロッド210を介してセパレータ43が前進(図12において、右方に移動)させられ、それに伴って、フランジ部74が押され、容器70が可動金型820から離型させられる。このようにして、型開きが行われるとともに、容器70の離型が行われる。
以上、本実施形態に係る金型装置800によれば、ゲート39は、第2の空間C2における底部73に対応させて形成された部分の中央に臨ませて形成される。これにより、キャビティ空間Cにおいて、ラベル80が挿入された部分に、樹脂を均等に充填することができるので、ラベル80に曲り、しわ等が発生したり、キャビティ24とラベル80との間に樹脂が進入して樹脂かぶりが発生したりすることを防止することができる。その結果、ラベル80を容器70の表面に正確に貼着することができ、容器70の品質を向上させることができる。
ここで、第2の空間C2に臨ませてゲート39を形成するために、ボトムキャビティ21には、ランナ38が貫通する突き当て部34が形成され、第1の空間C1は、ドーナツ形状となっている。このため、成形材料を充填した際、ガスを巻き込みやすい領域を有している。これに対し、本実施形態の金型装置800によれば、ガス逃げ機構部品50を設けることにより、第1の空間C1の内周側に向かって巻き込まれたガスを排気することができる。これにより、成形品である容器70の成形不良を防止することができる。
また、コア42側にゲートを配設する必要がないので、底部73にひげ状のゲートかす等が発生することがない。したがって、容器70を食品容器として使用するのに適する。
以上、射出成形機10の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。