JP2021107061A - 充填層及びそれを用いた流通方法 - Google Patents

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利一 宮本
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周司 赤井
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光一 東尾
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Abstract

【課題】接着剤を使用せずに微粉末の流出を抑制し、且つ、触媒活性を維持することができる充填層を提供する。【解決手段】多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている充填層であって、(1)該多孔性粒子は骨格体を有し、該骨格体が貫通孔を有し、該貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、該多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下であり、(2)該微粉末の平均一次粒子径が1nm以上であり、且つ、該貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下である、ことを特徴とする充填層。【選択図】なし

Description

本発明は、充填層及びそれを用いた流通方法に関する。
触媒反応等の材料機能の高度化に伴い、金ナノ粒子触媒、金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)、酸化グラフェン等のナノ材料、及びペプチド、タンパク質、酵素等を担持したナノ粒子が開発されている。
ナノ材料が実際に提供される形態としては微粉末である場合が多く、ナノメートルサイズの一次粒子が、凝集等によりマイクロメーターサイズの二次粒子を形成していると考えられる。
ナノ材料を触媒反応等に用いようとする場合、触媒粒子としての微粉末を液体又は気体中に拡散させて反応を行う方法がある。例えば、2種類の触媒粒子としての微粉末を液体中に分散させて攪拌し、バッチ法として光学分割する方法がある(非特許文献1、非特許文献2等)。
また、ナノ材料を流通式のフロー触媒反応等に用いようとする場合、触媒粒子としての微粉末を反応管に充填して該反応管に水、気体等の反応流体を流通させる。しかしながら、触媒粒子としての微粉末を反応管に充填すると反応流体の通り道が狭まるために、圧力損失(以下、「圧損」とも称する)が大きくなる。それゆえ、反応管に十分な流量の反応流体を流通させることが困難となる。
従来、圧損を軽減するための方法としては、触媒粒子としての微粉末を詰めた反応管に、該微粉末の間隙充填材として石英砂を混ぜて、反応管に反応流体を流通させる方法が知られている(非特許文献3、非特許文献4等)。また、階層的多孔構造を有する低圧力損失のモノリスに触媒粒子を担持させて使用する方法が知られている(非特許文献5)さらに、ミクロン領域のマクロポアを有するマクロ多孔質粒子に触媒粒子としての微粉末を担持させて使用する方法が知られている(特許文献1)。
特表2006−506224号公報
Shinji Kawanishi, Shinya Oki, Dhiman Kundu, and Shuji Akai, "Lipase/Oxovanadium Co-Catalyzed Dynamic Kinetic Resolution of Propargyl Alcohols: Competition between Racemization and Rearrangement", Org. Lett. 2019, 21, pp 2978-2982. Koji Sugiyama, Yasuhiro Oki, Shinji Kawanishi, Katsuya Kato, Takashi Ikawa, Masahiro Egi and Shuji Akai, "Spatial effects of oxovanadium-immobilized mesoporous silica on racemization of alcohols and application in lipase-catalyzed dynamic kinetic resolution", Catal. Sci. Technol., 2016, 6, pp. 5023-5030. T.F. Narbeshuber, A, Brait, K. Seshan, and J.A. Lercher, "The influence of extraframework aluminum on H-FAU catalyzed cracking of light alkanes", Applied Catalysis A: General, 1996, 146 (1), pp 119-129. Vincenzo Palma, Marco Martino, Domenico Pisano, and Paolo Ciambelli "Catalytic Activities of Bimetallic Catalysts for Low Temperature Water Gas Shift Reaction", Chemical Engineering Transactions, 2016, 52, pp 481-486 Ping He, Stephen J. Haswell, Paul D. I. Fletcher, Stephen M. Kelly and Andrew Mansfield, "Scaling up of continuous-flow, microwave-assisted,organic reactions by varying the size of Pd-functionalized catalytic monoliths" Beilstein J. Org. Chem. 2011, 7, 1150-1157.
しかしながら、触媒粒子としての微粉末と間隙充填材とを均一に混合した充填カラムを用いる流通方法では、微粉末からなる触媒粒子が間隙充填材に固定されておらず、流体(液体、気体等)を流通させた際に触媒粒子としての微粉末が流体に乗ってカラム出口から流出する。それ故、微粉末からなる触媒粒子と間隙充填材との混合物を反応管内で均一に充填することが困難となり、触媒活性が発揮されないという問題がある。
また、流出した微粉末が、該充填カラム出口で濃縮して詰まることで圧力上昇の原因となるため、圧損軽減の効果を十分に発揮できないという問題がある。
さらに、触媒粒子としての微粉末を間隙充填材に固定するために、有機ポリマー、無機バインダー等を接着剤として使用した場合、触媒粒子としての微粉末の表面が該接着剤により埋まってしまうため、触媒活性が発揮されないという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、接着剤を使用せずに微粉末の流出を抑制し、且つ、触媒活性を維持することができる充填層及びそれを用いた流通方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、貫通孔を有し、且つ、該貫通孔のサイズ及び粒度が適切な範囲に制御された多孔体粒子と、平均一次粒子径のサイズが適切な範囲に制御された微粉末との混合物を充填してなる充填層を使用する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の項に記載の発明を提供する。
項1.
多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている充填層であって、
(1)前記多孔性粒子は骨格体を有し、前記骨格体が貫通孔を有し、前記貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、前記多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下であり、
(2)前記微粉末の平均一次粒子径が1nm以上であり、且つ、前記貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下である、
ことを特徴とする充填層。
項2.
前記多孔体粒子は、前記貫通孔に加えて、前記骨格体の表面から内部に向けて延伸する複数の細孔を有し、
前記細孔の孔径分布の最頻孔径が1nm以上200nm以下であり、且つ、前記貫通孔の孔径分布の最頻孔径の20%以下である、項1に記載の充填層。
項3.
前記多孔体粒子の嵩密度が0.05〜7.5(mg/mm)である、項1又は2に記載の充填層。
項4.
前記微粉末の嵩密度が0.02〜7.5(mg/mm)である、項1〜3のいずれか一項に記載の充填層。
項5.
前記充填層の嵩密度が0.05〜7.5(mg/mm)である、項1〜4のいずれか一項に記載の充填層。
項6.
項1〜5のいずれか一項に記載の充填層であって、
前記充填層中の前記多孔性粒子と前記微粉末の混合比率が段階的に変化している、充填層。
項7.
前記混合物は、更に酵素粒子を含有する、項1〜6のいずれか一項に記載の充填層。
項8.
前記酵素粒子がリパーゼである、項7に記載の充填層。
項9.
項7又は8に記載の充填層であって、
前記充填層中の前記微粉末と前記酵素粒子との混合比率が段階的に変化している、充填層。
項10.
項1〜9のいずれか一項に記載の充填層を備える管内に気体又は液体を流通させる流通方法。
本発明の充填層は、貫通孔を有し、且つ、該貫通孔のサイズ及び粒度が適切な範囲に制御された多孔体粒子と、平均一次粒子径のサイズが適切な範囲に制御された微粉末との混合物から形成されているために、接着剤を使用せずに微粉末の流出を抑制することができ、それ故、触媒活性を維持することができる。
(a)は、実施例1で得られた粒子2の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。(b)は、実施例1で得られた粒子2の貫通孔径分布を表すグラフであり、横軸は貫通孔径(μm)を示し、縦軸は解析した当該貫通孔の頻度(個)を示す。 実施例1で得られた粒子2の細孔径分布を表すグラフであり、横軸は細孔径(nm)を示し、縦軸はlog微分細孔容積(cm/g)を示す。 (a)は、実施例3で得られた粒子2のSEM写真である。(b)は、実施例3で得られた粒子2の貫通孔径分布グラフであり、横軸は貫通孔径(μm)を示し、縦軸は解析した当該貫通孔の頻度(個)を示す。 実施例1〜2及び比較例1〜3で得られた充填層を備える石英管に、Heガスを流通させたときの圧力損失の測定結果を示すグラフである。横軸はHeガス流量(mL/min)を示し、縦軸は圧力損失(kPa)を示す。 実施例3及び比較例4で得られた充填層を備える石英管に、Heガスを流通させたときの圧力損失の測定結果を示すグラフである。横軸はHeガス流量(mL/min)を示し、縦軸は圧力損失(kPa)を示す。 実施例15〜24で得られた充填層を備える触媒反応用のカラムにおいて、第1領域、第2領域及び第3領域を示した図である。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を夫々最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、「貫通孔」とは、マクロ孔又はマクロポアとも呼ばれ、サブミクロンサイズからマイクロサイズのものであり、代表的には直径0.1〜100μmサイズの孔をいう。
本明細書において、「細孔」とは、メソ孔又はメソポアとも呼ばれ、代表的には直径1〜200nmサイズであり、貫通孔よりも小さな孔をいう。
本明細書において、「一体型の多孔質体」又は「モノリス(monolith)型の多孔質体」とは、交換可能に用いられ、構造物の三辺のうちの一辺の長さが1mm以上の連続した多孔質体であり、マイクロメートル前後のオーダーの網目状の骨格が繋がった特徴的な構造をもつ多孔質体を意味する。語源的には一枚の石という意味であり、見た目はチョークのように一体成型されており、電子顕微鏡で観察すると、ジャングルジム状の骨格が連なった構造をしている。骨格の隙間をめぐるように、ミクロンスケールの貫通孔と呼ばれる孔(ポア)が無数に開いており、さらに骨格内にはナノスケールの細孔と呼ばれる孔が開いていても良い。貫通孔と細孔は塞がることなく繋がっており、代表的には全容積の約85%が孔となる高い空隙率を誇るとされる。ナノスケールの細孔が存在することにより、多孔質体は高い比表面積を持つ。
本発明で使用される多孔性粒子は、一体型(モノリス型)の多孔質体を粉砕及び分級することによって得られる破砕状粒子であり、高い空隙率及び比表面積を有する。
本明細書において、「骨格体の表面」とは、貫通孔に向けて露出した骨格体の面を指し示す。多孔体粒子が貫通孔に加えて複数の細孔を有する場合、「骨格体の表面」とは、貫通孔に向けて露出した骨格体の面を指し示し、該細孔の内壁面は含まない。多孔体粒子が貫通孔に加えて複数の細孔を有する場合、「骨格体の表面」と該細孔の内壁面とを合わせた骨格体の総表面が、「多孔性粒子の表面」を意味する。
本明細書において、構造式中のMeとはメチル基を、Acとはアセチル基を意味する。
本発明は、以下の実施形態を含む。以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
1.充填層
本発明は、多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている充填層である。即ち、本発明は、多孔性粒子と微粉末との混合物が充填されてなる充填層である。なお、本発明の充填層を、単に「本発明」と記載することもある。
本発明において、(1)上記多孔性粒子は、骨格体を有し、該骨格体が貫通孔を有し、該貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、該多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下である。即ち、本発明において、(1)上記多孔性粒子は、その骨格体が貫通孔を有し、該貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、該多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下である。
本発明において、(2)上記微粉末の平均一次粒子径が、1nm以上であり、且つ、上記微粉末の平均一次粒子径が、上記貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下である。
本発明は、上述した要件を備えていることにより、微粉末が多孔体粒子の内部に貫通孔を通じて分散するため、微粉末の多孔性粒子への付着性が上昇する。それ故、接着剤を使用せずに、充填層からの微粉末の流出を抑制することが可能である。
本発明において、微粉末の平均一次粒子径が、1nm以上であり、且つ、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下であるため、多孔性粒子の貫通孔内に微粉末が入り込むことが可能となると考えられる。
また、本発明は、微粉末の凝集体が粗大粒子を形成し、該粗大粒子が多孔性粒子の貫通孔の凹凸の間隙に引っ掛かっている実施態様を含む。この場合、多孔性粒子の貫通孔の凹凸の間隙と粗大粒子との間に静電力などが作用するため、多孔性粒子の貫通孔よりも大きい粗大粒子が充填層から流れ出ないと考えられる。
本発明は、多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている充填層であって、
(1)該多孔性粒子は骨格体と、該骨格体の隙間に形成された貫通孔と、該骨格体の表面から内部に向けて延伸する複数の細孔とを有し、
該貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、該多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下であり、
該細孔の孔径分布の最頻孔径が1nm以上200nm以下であり、且つ、該貫通孔の孔径分布の最頻孔径の20%以下であり、
(2)該微粉末の平均一次粒子径が1nm以上であり、且つ、該微粉末の平均一次粒子径が、該多孔性粒子が有する該貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下である、ことが好ましい。
本発明は、上述した要件を備えていることにより、微粉末の流出を抑制及び触媒活性の維持に加えて、優れた圧損軽減効果を達成することが可能となる。また、優れた圧損軽減効果を達成することが可能であるのは、多孔性粒子近傍における微粉末の充填に乱れが生じ、それ故貫通孔内への微粉末の詰まりを生じることなく効果的に貫通孔内に流体が流れるためである。
本発明において、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)は、0.1μm以上100μm以下である。貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm未満の場合は、微粉末が貫通孔内に拡散する際に、貫通孔表面と微粉末との静電的相互作用の強まりによって、微粉末が貫通孔入口に凝集して詰まりが生じる。それ故、貫通孔内に流体が流れずに圧力損失が低減できず実用的ではない。貫通孔の孔径分布の最頻孔径が100μmを超える場合は、多孔性粒子の製造自体が困難である。
多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)は、0.5μm以上50μm以下が好ましく、0.75μm以上20μm以下がより好ましく、1μm以上10μm以下がさらに好ましい。
多孔性粒子が有する細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)は、1nm以上200nm以下が好ましく、1.5nm以上150nm以下がより好ましく、2nm以上100nm以下がさらに好ましく、5nm以上20nm以下が特に好ましい。
多孔性粒子が有する細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)は、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
多孔性粒子が有する細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)は、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。
多孔性粒子が有する細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)は、1.5nm以上150nm以下であり、且つ、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の0.01%以上15%以下がより好ましい。多孔性粒子が有する細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)は、2nm以上100nm以下であり、且つ、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の0.05%以上10%以下がさらに好ましい。多孔性粒子が有する細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)は、5nm以上20nm以下であり、且つ、多孔性粒子が有する貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の0.1%以上5%以下が特に好ましい。
(多孔性粒子における貫通孔の孔径分布の作成方法)
本発明において、多孔性粒子における貫通孔の孔径分布の最頻孔径とは、SEMにより観察した貫通孔の孔径分布の最頻値(モード値)を意味する。具体的には、以下の手順に従い、SEMにより観察した貫通孔の孔径分布の最頻値を算出する。まず、画像内に20以上の貫通孔が表示されるように、多孔性粒子の表面の撮影を行う。撮影された多孔性粒子のSEM写真から、20の貫通孔の円相当径を計測し、四捨五入した整数値を貫通孔径とする。そして、貫通孔径−個数グラフを作成し、個数が最も多い貫通孔径を最頻孔径とする。なお、全体の貫通孔径分布が一定であることより、一つの多孔性粒子内に連続する貫通孔径が他の粒子を含める全体で均一であると仮定して算出する。
本発明において、多孔性粒子における細孔の孔径分布の最頻孔径とは、窒素吸着法による吸着等温線を用いてBJH法により算出した細孔の孔径分布の最頻値(モード値)を意味する。具体的には、本発明の多孔性粒子について、窒素吸脱着装置を使用し、窒素吸着測定によるBJH法により多孔性粒子における細孔の孔径分布を解析した。BJH法とは細孔の解析に一般的に用いられる計算方法で、Barrett,Joyner,Halendaらにより提唱されたものである(E.P.Barrett,L.G.JoynerandP.Halenda:J.Am.Chem.Soc.,73,373(1951))。具体的な測定方法として、サイズが一定なガラス管内に多孔性粒子を封入し、真空下に減圧した後に液体窒素温度まで冷却し、窒素ガスを少しずつ導入していき試料を入れたガラス管内の圧力を測定するサイクルを繰り返して常圧まで窒素ガスを試料に吸着させていく。続けて、ガラス管内を少しずつ減圧して試料から脱着する窒素ガス導出量とガラス管内の圧力を測定するサイクルを繰り返して相対圧が0.3気圧となるまで測定を行う。その後、得られる窒素ガスの吸着量及び脱着量、並びに相対圧の対する吸脱着等温線を測定し、BJH法により細孔を円筒モデルと仮定して多孔性粒子における細孔の孔径分布を計算する。
本発明において、多孔性粒子は、以下で詳細に説明するゾルゲル法で合成された貫通孔を有するモノリス型の多孔質体を、粉砕して粒状化することにより作製される。粉砕直後の多孔性粒子の粒子径は大小混在しているため、篩掛けして分級することで、所望の粒径範囲の多孔性粒子が得られる。
次に、多孔性粒子の作製方法について説明する。多孔性粒子の作製方法は、多孔性粒子の原料となるモノリス型の多孔質体の合成工程と、その後の粒状化工程とに、大きく分類される。当該モノリス型の多孔質体としては、例えば、貫通孔を有するシリカゲル又はシリカガラスからなるモノリス型の無機多孔質体が挙げられる。
先ず、貫通孔を有するシリカゲル又はシリカガラスからなるモノリス型の多孔質体のゾルゲル法による合成工程について説明する。当該合成工程は、さらに、ゾル調製工程、ゲル化工程、及び、除去工程に区分される。
ゾル調製工程では、酸又はアルカリ性水溶液中に、シリカゲル又はシリカガラスの原料となるシリカ前駆体と、ゾルゲル転移及び相分離を並行して誘起する働きを有する共存物質とを添加して、例えば5℃以下のゾルゲル転移が進行し難い低温下で攪拌し、加水分解反応を起こさせて、均一な前駆体ゾルを調製する。
シリカ前駆体の主成分として、水ガラス(ケイ酸ナトリウム水溶液)、或いは、無機又は有機シラン化合物を使用することができる。無機シラン化合物の一例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−イソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物が挙げられる。有機シラン化合物の一例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドデシル、フェニル、ビニル、ヒドロキシル、エーテル、エポキシ、アルデヒド、カルボキシル、エステル、チオニル、チオ、アミノ等の置換基を有するトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリフェノキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン等のモノアルコキシシラン化合物等が挙げられる。また、モノアルキル、ジアルキル、フェニルトリエトキシ等の架橋反応速度制御基置換体を含むアルコキシシリケートやその二量体であるジシラン、三量体であるトリシランといったオリゴマー等もシリカ前駆体として想定される。上述の加水分解性シランは、種々の化合物が市販されており、容易且つ安価に入手可能であり、ケイ素−酸素結合からなる3次元架橋体を形成するゾルゲル反応を制御することも容易である。
酸又はアルカリ性水溶液は、溶媒に、シリカ前駆体の加水分解反応を促進する触媒として機能する酸又は塩基が溶解した水溶液である。当該溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコールを使用することができ、水を使用することが好ましい。当該酸の具体例としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸等が挙げられる。当該塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリメチルアンモニウム等のアミン;tert−ブチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド;ソディウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。
上記共存物質の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドブロック共重合体等のブロック共重合体;セチルトリメチルアンモニウムクロリド等の陽イオン性界面活性剤;ドデシル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
ゲル化工程では、ゾル調製工程で調製された前駆体ゾルを、ゲル化容器内に注入し、例えば40℃程度のゾルゲル転移が進行し易い温度下でゲル化させる。ここで、前駆体ゾル内には、ゾルゲル転移と相分離とを並行して誘起する働きを有する上記共存物質が添加されているため、スピノーダル分解が誘起され、シリカヒドロゲル(湿潤ゲル)相と溶媒相との多孔質構造体が徐々に形成される。
ゲル化工程において、シリカヒドロゲル層が形成された後も、当該湿潤ゲルの重縮合反応が緩やかに進行して、ゲルの収縮が起こる。そこで、ゲル化工程の後工程(ゲル化後工程)として、ゲル化工程でゾル収容体の空孔内に形成されたシリカヒドロゲル相と溶媒相との多孔質構造体を、アンモニア水等の塩基性水溶液に浸漬し、加圧容器内で加熱処理する。これにより、シリカヒドロゲル相の加水分解反応、重縮合反応、及び溶解再析出反応をさらに進行させ、シリカヒドロゲル相の骨格構造をより強固なものにすることが可能となる。ここでいう「多孔質構造体」とは、(1)シリカヒドロゲル相と溶媒相との共連続構造体(貫通孔を形成する骨格が3次元的に連続した空間をもつ網目状の多孔質構造体であり、「3次元連続網目構造」とも呼ぶ)、又は(2)シリカヒドロゲル相の粒子構造体を意味する。当該ゲル化後工程は、必要に応じて行えば良い。当該加熱処理は、必ずしも加圧容器や密閉容器内で行わなくても差し支えない。加熱処理によりアンモニア成分等が生成または揮発する場合があるので、密閉容器内、或いは、耐圧性を有する加圧容器内で処理するのが好ましい。
シリカヒドロゲル相の骨格体を形成するシリカ微粒子の溶解再析出反応の進行により、当該骨格体に形成される細孔径が拡大される。さらに、水熱処理により、当該溶解再析出反応を繰り返すことにより、細孔径をさらに拡大する制御が可能となる。なお、細孔径の制御は、前駆体ゾル内に上記触媒及び共存物質以外に尿素を添加することによっても実現できる。尿素は60℃以上の温度下で加水分解してアンモニアを生成し、当該アンモニアにより、ゲル化工程で合成された湿潤ゲルの骨格体に形成される細孔の孔径が拡張されるため、尿素の添加により当該細孔径の制御が可能となる。一方、貫通孔の構造及び孔径の制御は、ゾル調製工程で前駆体ゾルに添加する水やシリカ前駆体の量、或いは、共存物質の組成及び添加量等の調製により可能となる。
引き続き、除去工程において、湿潤ゲルの洗浄と乾燥或いは乾燥のみを行い、添加剤、未反応物等を含む溶媒相を除去する。溶媒相除去後の空間が貫通孔となる。洗浄により、溶媒相内に残留した添加剤や未反応物等によって生ずる乾燥時の表面張力を解消し、乾燥時にゲルに歪みや割れが生じるのを抑制できる。洗浄液は、有機溶剤や水溶液等の液体が望ましい。また、有機化合物や無機化合物を溶解させた液体を用いることもできる。さらに、洗浄液として酸やアルカリ等のゲルの等電点と異なるpHの溶液を用いても、ゲル内に残留した添加材等を容易に除去することができる。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸、ギ酸、炭酸、クエン酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水溶性アミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基を用いることができる。湿潤ゲルの乾燥は、自然乾燥を採用しても良く、さらに湿潤ゲルを乾燥させる際に生ずる歪みや割れを解消するために、湿潤ゲル内の溶媒を、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、ハイドロフルオロカーボン等の水より表面張力が低い低表面張力溶媒に置換してから行う乾燥、凍結昇華による乾燥、さらに、湿潤ゲル内の溶媒を超臨界状態の二酸化炭素に交換してから無表面張力状態で行う超臨界乾燥等を採用するのも好ましい。
引き続き、得られた乾燥ゲルは焼成により焼結させ、シリカガラスとすることが可能である。なお、焼成温度が、シリカのガラス転移温度(約1000℃)より低温の場合は、シリカガラスには成らない。
以上のゾル調製工程、ゲル化工程、及び、除去工程を経て、3次元連続網目構造のシリカゲル又はシリカガラスからなるモノリス型の多孔質体が得られる。
粒状化工程は、上述のゾル調製工程、ゲル化工程、及び、除去工程を経て得られたモノリス型の多孔質体を破砕して粒状化する工程である。粒状化工程の粉砕処理は、人手によって行っても良く、乳鉢等を用いても良く、ボールミル等の破砕装置を使用しても良い。また、粒状化工程は、上記除去工程で得られた乾燥ゲルを焼結させる場合、当該焼結前及び後の何れで行っても良い。
粒状化工程後の粒状化されたモノリス型の多孔質体は、目開きがXμmとYμm(但し、D0≦X<Y≦1000)の篩で篩掛けして分級することで、粒子径Dpが所望の粒径範囲内(D0μm以上4000μm以下)にある多孔性粒子として回収される。但し、所望の粒径範囲の下限値D0(μm)は、1(μm)または貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の5倍の何れか大きい方の値である。
本発明において、細孔径、貫通孔径、及び、粒子径は、上述のように、夫々独立して制御可能ではある。貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)は、細孔の孔径分布の最頻孔径(nm)の5倍以上、粒子径(μm)は、貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の5倍以上として規定されている。その理由は、多孔性粒子の各粒子の骨格体が、粒状化後も貫通孔を有する骨格構造を保持するために、細孔径と貫通孔径の間、貫通孔径と粒子径の間で、夫々、少なくとも5倍程度の寸法比が必要であることが、経験的に把握されていることに基づいている。
各実施例に使用される多孔性粒子は、何れも、上述の作製方法、つまり、モノリス型の多孔質体のゾルゲル法による合成工程と粒状化工程を経て作製されたシリカゲルの多孔性粒子(「シリカ多孔性粒子」とも称する)である。
各実施例に使用されるモノリス型の多孔質体であるシリカモノリス(株式会社エスエヌジー製、ロット番号:E087)は、より具体的には、以下の要領で作製した。1mol/Lの硝酸水溶液9mL(ミリリットル、cm)中に、共存物質であるポリエチレングリコール(分子量100000)0.9gを溶解させ、テトラエトキシシラン(TEOS、シリカ前駆体)7mLを加え、攪拌して均一溶液とした後、40℃でゲル化させた。その後、当該ゲルを0.1Mアンモニア水に浸して密閉容器内で100℃にて24時間加熱した後、600℃で5時間焼結した。得られたシリカモノリスを乳鉢で粉砕し、JIS標準篩を用いて、実施例毎の所定の粒径範囲となるよう分級し、シリカ多孔性粒子を得た。なお、各実施例において、貫通孔径は、添加するポリエチレングリコールの量を増減させて制御し、細孔径は、0.1Mアンモニア水で加熱する温度と時間を調製して制御した。
本発明において、多孔性粒子の骨格体は有機化合物又は無機化合物で構成されることが好ましい。本発明において、多孔質粒子の強度向上、耐熱性及び耐薬品性の観点から、多孔性粒子の骨格体は無機化合物で構成されることがより好ましい。
多孔性粒子の骨格体が無機化合物から構成される場合、当該無機化合物としては、例えば、シリカ(シリカゲル又はシリカガラス)、チタニア(TiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、ハフニア(HfO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミナ(AlN)、窒化ガリウム(GaN)等の典型金属元素又は遷移金属元素を含む酸化物及び窒化物;リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素を含む酸化物及び窒化物;ホウ素(B)、炭素(C)、リン(P)、硫黄(P)等の典型元素を含むこれらの複合体が挙げられる。また、これら以外の無機化合物としては、(OSi(CHの化学式で表されるシリコーン等の有機−無機ハイブリッド化合物であっても良く、多孔性粒子の骨格体を構成する無機化合物が反応により分解されないことが望ましい。
上記無機化合物の中でも、耐薬品性、耐熱性、耐圧性等の観点から、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア及びハフニアが好ましく、シリカ及びチタニアがより好ましい。
本発明において、多孔性粒子の骨格体は、シリカ及びチタニアがより好ましく、シリカが特に好ましい。即ち、本発明において、多孔性粒子は、シリカ多孔性粒子及びチタニア多孔性粒子であることがより好ましく、シリカ多孔性粒子であることが特に好ましい。
多孔性粒子の骨格体が有機化合物から構成される場合、当該有機化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、レゾルシノール−ホルムアルデヒド共重合体、グラファイト又はカーボンナノチューブから作製される炭素材料等が挙げられる。
上記有機化合物の中でも、多孔質粒子の強度向上及び表面加工性の観点から、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体及びポリアクリルが好ましい。
本発明において、多孔体粒子の粒度は、粉体の充填カラムへの充填のしやすさ、ガス透過性等の観点から、好ましくは20μm以上720μm以下、より好ましくは20μm以上7500μm以下、更に好ましくは20μm以上300μm以下、特に好ましくは20μm以上100μm以下である。
多孔体粒子の粒度は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、ISO3310又はJISZ8801−1で規格された目開きの篩、粒度分布計等により測定することができる。
多孔性粒子の嵩密度は、多孔性粒子の材質及び空隙率に応じて適宜決定されるが、微粉末との混合のしやすさの観点から、0.05〜7.5(mg/mm)が好ましく、0.1〜6(mg/mm)がより好ましく、0.15〜5(mg/mm)がさらに好ましく、0.2〜3(mg/mm)が特に好ましい。
多孔性粒子の骨格体がシリカ(SiO)から構成される場合、多孔性粒子の嵩密度は、0.05〜1.65(mg/mm)が好ましく、0.1〜1.65(mg/mm)がより好ましく、0.15〜1.65(mg/mm)がさらに好ましい。ここで、1.65(mg/mm)という数値は、シリカ(SiO)の真密度が2.2(mg/mm)であり、最密充填での空隙率が25%であることから、2.2×(1−0.25)=1.65として一義的に算出される。
多孔性粒子の骨格体がチタニア(TiO)から構成される場合、多孔性粒子の嵩密度は、0.05〜3.15(mg/mm)が好ましく、0.1〜3.15(mg/mm)がより好ましく、0.15〜3.15(mg/mm)がさらに好ましい。ここで、3.15(mg/mm)という数値は、チタニア(TiO)の真密度が4.2(mg/mm、ルチル型)であり、最密充填での空隙率が25%であることから、4.2×(1−0.25)=3.15として一義的に算出される。
多孔性粒子の骨格体がハフニア(HfO)から構成される場合、多孔性粒子の嵩密度は、0.05〜7.26(mg/mm)が好ましく、0.1〜7.26(mg/mm)がより好ましく、0.15〜7.26(mg/mm)がさらに好ましい。ここで、7.26(mg/mm)という数値は、ハフニア(HfO)の真密度が9.68(mg/mm)であり、最密充填での空隙率が25%であることから、9.68×(1−0.25)=7.26として一義的に算出される。
(多孔性粒子のタッピング方法)
多孔性粒子の嵩密度とは、多孔性粒子を入れた容器(例えば、石英ウールを詰めた石英管)を機械的にタッピングした後に得られる、かため嵩密度を意味する。当該タッピングの方法としては、第十六改正日本薬局方 3.01かさ密度及びタップ密度測定法で定められた方法に準じて行う。多孔性粒子の嵩密度は、多孔性粒子を入れた容器を機械的にタップすることにより得られる。具体的には、容器に入れた多孔性粒子の初期質量を測定した後、当該容器を機械的にタップし,質量変化がほとんど認められなくなるまで質量を読み取る。この時の質量を容器の体積で割った値を多孔性粒子の嵩密度とする。
微粉末の平均一次粒子径(nm)は1nm以上であり、且つ、微粉末の平均一次粒子径(nm)は貫通孔の孔径分布の最頻孔径(μm)の80%以下である。微粉末の平均一次粒子径が1nm未満である場合は、微粉末の製造自体が困難である。
微粉末の平均一次粒子径が貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%を超える場合は、貫通孔内に微粉末が入らずに貫通孔が塞がってしまうことで、貫通孔内で微粉末の詰まりが生じ、貫通孔内に流体が流れずに圧力損失が低減できない。また、微粉末の一次粒子が凝集して二次粒子、凝集粒子および集塊粒子を形成している場合には、上記平均一次粒子径を二次粒子、凝集粒子および集塊粒子の直径として支障がない。
微粉末の平均一次粒子径は、貫通孔の孔径分布の最頻孔径の0.07%以上10%以下が好ましく、0.1%以上1%以下がより好ましい。
微粉末の平均一次粒子径は、3nm以上75nm以下が好ましく、5nm以上30nm以下がより好ましい。
微粉末の平均一次粒子径は3nm以上75nm以下であり、且つ、微粉末の平均一次粒子径は貫通孔の孔径分布の最頻孔径の0.07%以上10%以下であることが好ましい。微粉末の平均一次粒子径は5nm以上30nm以下であり、且つ、微粉末の平均一次粒子径は貫通孔の孔径分布の最頻孔径の0.1%以上1%以下であることがより好ましい。
本発明では市販の微粉末を使用し、該微粉末の平均一次粒子径は、メーカー側より提供される保証値を採用する。当該保障値が明らかでない場合、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、微粉末の一次粒子の直径の分布を直接計測する方法で測定する。具体的には、画像内に20以上の微粉末の粒子が表示されるように撮影を行う。撮影された微粉末の透過型電子顕微鏡写真から、20の一次粒子の円相当径を計測し、算術平均して直径とする。なお、全体の粒子径が全体で均一であると仮定して算出する。
微粉末としては、ナノ粒子金属酸化物、ナノカーボン、ナノ粒子触媒、MOF、金属錯体、低分子有機化合物、酵素、タンパク質、ペプチド、核酸等の粉末、又はこれらの複合体が挙げられる。
ナノ粒子金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が好適なものとして用いられる。
ナノカーボンとしては、例えば、グラフェン、酸化グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ等が好適なものとして用いられる。
ナノ粒子触媒としては、例えば、上記ナノ粒子酸化物に金、白金、パラジウム等の貴金属ナノ粒子を担持した触媒等が好適なものとして用いられる。
MOF粉末としては、例えば、MOF−5、MOF−177、HKUST−1等が好適なものとして用いられる。
金属錯体としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金、カドミウム、水銀、ランタノイド等に、配位子としてアンミン、カルボニル、ホスフィン、チオール錯体等が好適なものとして用いられる。
低分子有機化合物としては、例えば、プロリン及びその誘導体、マクミラン触媒、不斉相間移動触媒、チオ尿素、N-ヘテロサイクリックカルベン等が好適なものとして用いられる。
酵素としては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カタラーゼ等が好適なものとして用いられる。
ペプチドとしては、例えば、Dプロリン−チロシン−フェニルアラニン、プロリン−Dプロリン−2−アミノイソブチル酸−トリプトファン−トリプトファン−ポリロイシン酸等が好適なものとして用いられる。
核酸としては、例えば、DNA、RNA等が好適なものとして用いられる。
微粉末の嵩密度は、微粉末の材質及び空隙率に応じて適宜決定されるが、0.02〜7.5(mg/mm)が好ましく、0.03〜6(mg/mm)がより好ましく、0.04〜4.5(mg/mm)がさらに好ましく、0.05〜3(mg/mm)が特に好ましい。
微粉末が酸化チタン(TiO)である場合、微粉末の嵩密度は、0.02〜3.15(mg/mm)が好ましく、0.03〜3.15(mg/mm)がより好ましく、0.04〜3.15(mg/mm)がさらに好ましく、0.05〜3.15(mg/mm)が特に好ましい。ここで、3.15(mg/mm)という数値は、酸化チタン(TiO)の真密度が4.2(mg/mm、ルチル型)であり、最密充填での空隙率が25%であることから、4.2×(1−0.25)=3.15として一義的に算出される。
微粉末がシリカ(SiO)である場合、微粉末の嵩密度は、0.02〜1.65(mg/mm)が好ましく、0.03〜1.65(mg/mm)がより好ましく、0.04〜1.65(mg/mm)がさらに好ましく、0.05〜1.65(mg/mm)が特に好ましい。ここで、1.65(mg/mm)という数値は、シリカ(SiO)の真密度が2.2(mg/mm)であり、最密充填での空隙率が25%であることから、2.2×(1−0.25)=1.65として一義的に算出される。
微粉末がハフニア(HfO)である場合、微粉末の嵩密度は、0.02〜7.26(mg/mm)が好ましく、0.03〜7.26(mg/mm)がより好ましく、0.04〜7.26(mg/mm)がさらに好ましく、0.05〜7.26(mg/mm)が特に好ましい。ここで、7.26(mg/mm)という数値は、ハフニア(HfO)の真密度が9.68(mg/mm)であり、最密充填での空隙率が25%であることから、9.68×(1−0.25)=7.26として一義的に算出される。
(微粉末のタッピング方法)
微粉末の嵩密度とは、微粉末を入れた容器(例えば、石英ウールを詰めた石英管)を機械的にタッピングした後に得られる、かため嵩密度を意味する。当該タッピングの方法としては、第十六改正日本薬局方 3.01かさ密度及びタップ密度測定法で定められた方法に準じて行う。微粉末の嵩密度は、微粉末を入れた容器を機械的にタップすることにより得られる。具体的には、容器に入れた微粉末の初期質量を測定した後、当該容器を機械的にタップし,質量変化がほとんど認められなくなるまで質量を読み取る。この時の質量を容器の体積で割った値を微粉末の嵩密度とする。
本発明において、多孔性粒子の貫通孔に微粉末が入り込む、又は該貫通孔の表面に引っ掛かりを形成するため、多孔性粒子と微粉末とを混合した時に分離することなく、多孔性粒子と微粉末とを均一に混合することができると考えられる。その結果、多孔性粒子近傍における微粉末の充填に乱れが生じ、貫通孔内への微粉末の詰まりを生じることなく効果的に貫通孔内に流体が流れるため、多孔性粒子と微粉末との混合物から形成される充填層を備える管内に気体又は液体を流通させた場合に、圧力損失を顕著に軽減させることができると考えられる。
本発明の充填層は、多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている。多孔性粒子と微粉末とを混合して混合物を調製する方法としては、公知の方法、例えば、乾式混合する方法、湿式混合する方法等を採用することができる。
乾式混合であれば、多孔性粒子の多孔構造を壊さない限り振り混ぜ、振とう、回転、攪拌等の原理により手動また機器を使用する何れの方法でも採用することができる。
湿式混合であれば、溶媒を加えた後に同様の各種混合法を採用することができる。
本発明の充填層中の多孔性粒子と微粉末との混合比率は、多孔性粒子と微粉末とを均一に混合する観点から、多孔性粒子/微粉末=20/80〜80/20重量比が好ましく、25/75〜75/25重量比がより好ましく、30/70〜70/30重量比がさらに好ましく、35/65〜65/35重量比が特に好ましい。
本発明の充填層の嵩密度は、多孔性粒子と微粉末との混合状態に依存して一義的に決定される。微粉末への良好な流体の接触を確保する観点から、多孔性粒子及び微粉末と同等の密度範囲が好ましく、すなわち0.05〜7.5(mg/mm)が好ましく、0.1〜6(mg/mm)がより好ましく、0.15〜3(mg/mm)がさらに好ましく、0.2〜2(mg/mm)が特に好ましい。
(多孔性粒子と微粉末との混合物のタッピング方法)
充填層の嵩密度とは、多孔性粒子と微粉末との混合物を入れた容器(例えば、石英ウールを詰めた石英管)を機械的にタッピングした後に得られる、かため嵩密度を意味する。当該タッピングの方法としては、第十六改正日本薬局方 3.01かさ密度及びタップ密度測定法で定められた方法に準じて行う。充填層の嵩密度は、多孔性粒子と微粉末との混合物を入れた容器を機械的にタップすることにより得られる。具体的には、容器に入れた多孔性粒子と微粉末との混合物の初期質量を測定した後、当該容器を機械的にタップし,質量変化がほとんど認められなくなるまで質量を読み取る。この時の質量を容器の体積で割った値を充填層の嵩密度とする。
本発明の充填層は、管に充填された充填物として使用されることが好ましい。
管としては、例えば、石英管、ガラス管、樹脂管、金属管等を使用することができる。
本発明の充填層は、例えば、カラムに充填することにより触媒反応器、光触媒反応器、吸着カラム、クロマトカラム等として使用することができる。
本発明の充填層は、広くフィルター(例えば、排気ガス浄化フィルター、空気浄化フィルター、水浄化フィルター等)としても用いられる。
本発明の充填層は、気相触媒反応、液相触媒反応、気相光触媒反応、液相光触媒反応、吸着分離、吸着除去等に使用することができる。
本発明において、充填層中の混合物は、更に酵素粒子を含有することが好ましい。即ち、本発明の充填層は、多孔性粒子と微粉末と酵素粒子との混合物から形成されていることが好ましい。本発明は、このような構成を備えていることにより、(1)触媒活性の維持に加えて、(2)高効率、高収率及び高光学純度の動的光学分割が可能となる。
本発明において、多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている充填層中の多孔性粒子と微粉末との混合比率が段階的に変化している、ことが好ましい。
本発明において、多孔性粒子と微粉末と酵素粒子との混合物から形成されている充填層中の微粉末と酵素粒子との混合比率が段階的に変化している、ことが好ましい。
本発明において、多孔性粒子と微粉末の混合物から形成されている充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分されており、
(1)該第1領域には、微粉末と多孔性粒子との混合比率が、[微粉末]/[多孔性粒子]=1/1〜1/17(重量比)となるように、微粉末と多孔性粒子とが充填されており、
(2)該第2領域には、微粉末と多孔性粒子との混合比率が、[微粉末]/[多孔性粒子]=1/0.5〜1/10(重量比)となるように、微粉末と多孔性粒子とが充填されており、
(3)該第3領域には、微粉末と多孔性粒子との混合比率が、[微粉末]/[多孔性粒子]=1/0.25〜1/10(重量比)となるように、微粉末と多孔性粒子とが充填されている、ことが好ましい。
本発明において、多孔性粒子と微粉末と酵素粒子との混合物から形成されている充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分されており、
(1)該第1領域には、微粉末と酵素粒子との混合比率が、[微粉末]/[酵素粒子]=1/3〜1/34(重量比)となるように、微粉末と酵素粒子とが充填されており、
(2)該第2領域には、微粉末と酵素粒子との混合比率が、[微粉末]/[酵素粒子]=1/2〜1/20(重量比)となるように、微粉末と酵素粒子とが充填されており、
(3)該第3領域には、微粉末と酵素粒子との混合比率が、[微粉末]/[酵素粒子]=1/1.4〜1/20(重量比)となるように、微粉末と酵素粒子とが充填されている、ことが好ましい。
本発明おいて、例えば、酵素粒子はリパーゼであることが好ましい。
本発明は、多孔性粒子と微粉末とリパーゼの混合物から形成されている充填層であって、
(1)該多孔性粒子は骨格体と、該骨格体の隙間に形成された貫通孔と、該骨格体の表面から内部に向けて延伸する複数の細孔とを有し、
該貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、該多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下であり、
該細孔の孔径分布の最頻孔径が1nm以上200nm以下であり、且つ、該貫通孔の孔径分布の最頻孔径の20%以下であり、
(2)該微粉末の平均一次粒子径が1nm以上であり、且つ、該微粉末の平均一次粒子径が、該多孔性粒子が有する該貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下である、ことが好ましい。
2.流通方法
本発明は、上記充填層を備える管内に気体又は液体を流通させる流通方法である。
気体としては、例えば、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、空気、気体状化合物、及びこれらの混合ガス等が挙げられる。
液体としては、例えば、水、有機溶媒、イオン液体、及び両者の混合物等が挙げられる。
水としては、例えば、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、水道水、河川水、池水、下水、海水等を使用することができる。これらの水の中でも、蒸留水及びイオン交換水が好ましい。
有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒を用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素、エーテル等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エステルとしては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等が挙げられる。炭化水素としては、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−オクタン等が挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらの有機溶媒に限定されるものではない。また、水と親和性のある極性有機溶剤との混合溶媒として用いてもよく、水と有機溶媒との混合溶媒として、例えば粘度の高い有機物を水溶液として使用する場合が有り、グリセリン水溶液や70%エタノール水溶液を例示することが出来る。
充填層を備える管内に気体を流通させる際の気体の供給量としては、空間速度(SV:Space Velocity)で定義し、100〜100000/hrが好ましい。ここでいうSVは、(1時間当たり気体の供給量)÷(カラム内の空隙容積)で算出することができる。
充填層を備える管内に液体を流通させる際の液体の供給量としては、接触時間(CT:Concact Time)で定義し、0.1〜3600秒が好ましい。ここでいうCTは、(カラム内の空隙容積)÷(1秒当たり液体の供給量)、又は(カラム長さ)÷(1秒当たり液体の線速度)で算出することができる。
本発明の充填層の用途としては、触媒カラムが挙げられる。
上記触媒カラムは、光学分割用の触媒カラムであることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
(比較例1)
外径8mm、内径6mm、長さ340mmの石英管(石英ウール保持用の爪を有する)に支持体として石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)20mgを詰めた。当該石英ウール上に粒子1として酸化チタンの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROXIDE(登録商標)TiO P25、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径:21nm)50mgを充填した。その後、前述した微粉末のタッピング方法に従って、タッピングを行った。タッピングは、粒子1を充填した石英管を10mmの高さから60回/分で落下させる動作を200回繰り返し行い、200回毎に充填層の長さに変化がなくなるまで行った。その結果、タッピングにより長さ15mmの粒子1の充填層を得た。
当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社(旧社名:大倉理研株式会社)製、商品名:TP−5000)に装着し、マスフローコントローラーによりHeガスを10mL/min刻みで0〜100mL/minの流量範囲で流通しつつ、充填層の上流側のガス圧力を圧力計(大倉電気社製、電子式圧力伝送器PT3000)により測定した。圧力計の測定範囲は0〜980kPa(ゲージ圧、表示分解能1V、精度±0.25%F.S.)とした。石英管出口を大気開放としたため、圧力計の指示値(kPa)を充填層にかかる圧力損失(kPa)と規定した。石英ウールのみでの圧力損失は、100mL/minのHeガスを流通した場合でも圧力計の指示値(kPa)が0kPaのままであったため、無視した。Heガス流量を0mL/minから10mL/min刻みで100mL/minまで増加したところ、圧力損失は18kPaまで増加した。次に10mL/min刻みでHeガス流量を0mL/minまで減少し、Heガス流量増加とHeガス流量減少とのサイクルを合計3回繰り返したところ、当該サイクルの2回目と3回目との圧力損失の変化が一致した。
Heガス流量に対する圧力損失の変化を図4に示す。図4に示すように、Heガス流量増加時(実線)よりもHeガス流量減少時(点線)において圧力が高くなるヒステリシスが認められた。上記サイクルの3回目が終了した後、粒子1の充填層の長さを測ると13mmであった。この充填層の長さをL1とした。さらに、以下の計算式から、粒子1の嵩密度を0.14(mg/mm)と算出した。
粒子1の嵩密度(mg/mm) = 粒子1の重量(mg) / [充填層長さL1(mm) × 石英管の断面積(mm)]
以下の実施例1〜2及び比較例2〜3では、酸化チタンの微粉末(粒子1)の重量が50mg、嵩密度が0.14(mg/mm)となるように調整し、粒子1の充填層の長さ(L1)が、全て13mmとなるように調整した。
(実施例1)
比較例1と同様に、石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)に支持体として石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)20mgを詰めた。次に、シリカモノリス(株式会社エスエヌジー製、ロット番号:E087)を、乳鉢を用いて粉砕し、粒子2としてシリカ多孔性粒子を得た。その後、粒子2の粒度をJIS Z8801−1のステンレス篩(目開き510μm、710μmの2種類)を用いて篩掛けして、500〜710μmの範囲に揃えた。粒度を揃えた粒子2の表面を走査型電子顕微鏡(JEOL社製、製品名:JSM−6510)により撮像した。撮像した粒子2のSEM写真(図1(a))から、前述した「多孔性粒子における貫通孔の孔径分布の作成方法」に従い、粒子2の貫通孔の孔径分布を作成した(図1(b))。図1(b)に示すように、粒子2の貫通孔の孔径分布の最頻孔径は10μmであった。粒度を揃えた粒子2について、窒素吸脱着装置(日本マイクロトラック・ベル社製、製品名:BELSORP−mini II)を使用し、窒素吸着測定によるBJH法により導出した細孔の孔径分布を作成した(図2)。図2に示すように、粒子2の細孔の孔径分布の最頻孔径は6nmであった。
次に、前準備として、500〜710μmの範囲に粒度を揃えた粒子2の使用量を以下のようにして決定した。まず、比較例1と同様に、石英管に支持体として石英ウールを200mg詰めた。その後、当該石英ウール上に粒度を揃えた粒子2を充填し、前述した多孔性粒子のタッピング方法に従って、粒子2の充填量を調節しながらタッピングを行った。タッピングは、粒子2を充填した石英管を10mmの高さから60回/分で落下させる動作を200回繰り返し行い、200回毎に充填層の長さに変化がなくなるまで行った。その結果、タッピングにより長さ13mmの粒子2の充填層を得た。この充填層の長さをL2とした。この時の粒子2の重量は72mgであったので、粒子2の使用量を72mgと決定した。さらに、以下の計算式から、粒子2の嵩密度を0.20(mg/mm)と算出した。
粒子2の嵩密度(mg/mm) = 粒子2の重量(mg) / [充填層の長さL2(mm) × 石英管の断面積(mm)]
粒子1として酸化チタンの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROXIDE(登録商標)TiO P25、平均一次粒子径:21nm)50mgと、粒子2としてシリカ多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:10μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:500〜710μm)72mgとを容量6mLのスクリュー管瓶(アズワン株式会社製、No.2)に入れて蓋をし、手でよく振り混ぜて混合し、粒子1と粒子2との混合物を得た。次に、石英管に石英ウール20mgを詰め、粒子1と粒子2との混合物を当該石英ウール上に充填し、前述した多孔性粒子と微粉末との混合物のタッピング方法に従って、タッピングを行った。タッピングは、粒子1と粒子2との混合物を充填した石英管を10mmの高さから60回/分で落下させる動作を200回繰り返し行い、200回毎に充填層の長さに変化がなくなるまで行った。その結果、タッピングにより長さ22mmの粒子1と粒子2との混合物からなる充填層を得た。この充填層の長さをLとした。その後、当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社製、商品名:TP−5000)に装着し、比較例1と同一条件でHeガスの流通を行った。
図4に示すように、Heガス流量が100mL/minの流量でも6kPaの圧力損失となり、比較例1の充填層の長さと比べて、充填層の長さが約2倍となっているにも関わらず、圧力損失を大きく減少させることができた。また、Heガス流量の増加減少サイクルの1回目及び2回目に圧力変化の差はなく、且つHeガス流量増加時(実線)とHeガス流量減少時(点線)とのヒステリシスも観察されなかった。上記サイクルの2回目が終了した後、充填層の長さを測ると22mmであり、Heガス流通前の充填層の長さ(L:22mm)と同じであった。さらに、以下の計算式から、充填層の嵩密度を0.20(mg/mm)と算出した。
充填層の嵩密度(mg/mm) = [粒子1の重量(mg) + 粒子2の重量(mg)] / [充填層の長さL(mm) × 石英管の断面積(mm)]
(実施例2)
シリカ多孔性粒子の粒度を212〜500μmに揃えたこと以外は、実施例1と同様にして、粒子1として酸化チタンの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROXIDE(登録商標)TiO P25、平均一次粒子径:21nm)50mgと、粒子2としてシリカ多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:10μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:212〜500μm、嵩密度:0.20mg/mm)73mgとを混合し、粒子1と粒子2との混合物を得た。
石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)に石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)20mgを詰め、粒子1と粒子2との混合物を当該石英ウール上に充填し、前述した多孔性粒子と微粉末との混合物のタッピング方法に従って、実施例1と同様にしてタッピングを行うことにより充填層を得た。当該充填層の長さ(L)を測ると22mmであった。当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社製、商品名:TP−5000)に装着し、比較例1と同一条件でHeガスの流通を行った。
図4に示すように、Heガス流量が100mL/minの際の圧力損失は3kPaであり、実施例1よりも圧力損失が低くなることが確認できた。圧力損失測定後の充填層の長さは22mmであり、Heガス流通前の充填層の長さ(L=22mm)と同じであった。さらに、実施例1と同様の計算式から、充填層の嵩密度を0.20(mg/mm)と算出した。
(比較例2)
貫通孔及び細孔を有しない石英砂(富士フイルム和光純薬株式会社製、品番:172−00015、製品粒度:600〜850μmが50%以上)を、乳鉢を用いて粉砕し、粒子2として石英砂を得た。その後、粒子2の粒度をJIS Z8801−1のステンレス篩(目開き510μm、710μmの2種類)を用いて篩掛けして、500〜710μmの範囲に揃えた。
次に、前準備として、石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)を200mg詰めた石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)を用いて、実施例1と同様にして、充填層の長さ(L2)が13mmとなるようにタッピングを行うことにより、粒度を揃えた粒子2の使用量を508mgと決定した。さらに、実施例1と同様の計算式から、粒子2の嵩密度を1.38(mg/mm)と算出した。
粒子1として酸化チタンの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROXIDE(登録商標)TiO P25、平均一次粒子径:21nm)50mgと、500〜710μmの範囲に粒度を揃えた508mgの粒子2とを、実施例1と同様にして混合し、粒子1と粒子2との混合物を得た。次に、石英管に石英ウール20mgを詰め、粒子1と粒子2との混合物を当該石英ウール上に充填し、実施例1と同様にしてタッピングを行うことにより充填層を得た。当該充填層の長さ(L)を測ると23mmであった。その後、当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社製、商品名:TP−5000)に装着し、比較例1と同一条件でHeガスの流通を行った。
図4に示すように、Heガス流量が100mL/minの際の圧力損失は13kPaであった。このことから、比較例2では比較例1よりも圧力損失が低くなり、比較例1の圧力損失の半分以下までは減少しないことが確認できた。圧力損失測定後の充填層の長さは23mmであり、Heガス流通前の充填層の長さ(L=23mm)と同じであった。さらに、実施例1と同様の計算式から、充填層の嵩密度を0.86(mg/mm)と算出した。
(比較例3)
貫通孔は有さず、細孔を有するシリカゲル(富士シリシア社製、商品名:CARiACT(登録商標)Q−15、粒度:500〜710μm)を、乳鉢を用いて粉砕し、粒子2としてシリカゲルを得た。その後、粒子2の粒度をJIS Z8801−1のステンレス篩(目開き510μm、710μmの2種類)を用いて篩掛けして、500〜710μmの範囲に揃えた。
次に、前準備として、石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)を200mg詰めた石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)を用い、実施例1と同様にして、充填層の長さ(L2)が13mmとなるようにタッピングを行うことにより、粒度を揃えた粒子2の使用量を133mgと決定した。さらに、実施例1と同様の計算式から、粒子2の嵩密度を0.36(mg/mm)と算出した。
粒子1として酸化チタンの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:aeroxide P25、平均一次粒子径:20nm)50mgと、500〜710μmの範囲に粒度を揃えた508mgの粒子2とを、実施例1と同様にして混合し、粒子1と粒子2との混合物を得た。次に、石英管に石英ウール20mgを詰め、粒子1と粒子2との混合物を当該石英ウール上に充填し、実施例1と同様にしてタッピングを行うことにより充填層を得た。当該充填層の長さ(L)を測ると23mmであった。その後、当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社製、商品名:TP−5000)に装着し、比較例1と同一条件でHeガスの流通を行った。
図4に示すように、Heガス流量が100mL/minの際の圧力損失は11kPaであった。このことから、比較例3の圧力損失と、比較例2の圧力損失とは同程度の値であることが確認できた。また、比較例3の圧力損失は、酸化チタンの微粉末のみを使用した比較例1の圧力損失の半分以下までは減少しないことが確認できた。圧力損失測定後の充填層の長さは23mmであり、Heガス流通前の充填層の長さ(L=23mm)と同じであった。さらに、実施例1と同様の計算式から、充填層の嵩密度を0.28(mg/mm)と算出した。
実施例1〜2及び比較例1〜3における粒子1、粒子2及び充填層の関係を以下の表1に示す。
Figure 2021107061
図4から、実施例1及び2のシリカ多孔性粒子においては、酸化チタン微粉末の充填層中に貫通孔が存在するシリカ多孔性粒子が混ざることで、幾何的作用によって酸化チタン微粉末の充填状態に乱れが生じ、結果的に粒子2の粒子間空隙に大きな隙間となる部分が生じたためと考えられる。より具体的には、シリカ多孔性粒子が有する貫通孔の存在により、酸化チタン微粉末がシリカ多孔性粒子の貫通孔内に分散し、粒子2の間隙に存在していた粒子1が粒子2の間隙内に移動して、粒子2の間隙が大きくなると考えられる。これらの理由により、実施例1及び2では、比較例1〜3と比べて、大きな圧力損失の低下効果がみられたと推測される。
(比較例4)
石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)に支持体として石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)20mgを詰めた。当該石英ウール上に粒子1としてシリカの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL(登録商標)200、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径:12nm)50mgを充填した。その後、比較例1と同様にしてタッピングを行うことにより長さ32mmの充填層を得た。
当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社製、商品名:TP−5000)に装着し、比較例1と同一条件でHeガスを流通し圧力損失を測定した。Heガス流量増加とHeガス流量減少とのサイクルを合計3回繰り返したところ、当該サイクルの2回目と3回目との圧力損失の変化が一致した。この時のHeガス流量に対する圧力損失の変化を図5に示す。
図5に示すように、Heガス流量が100mL/minの際の圧力損失は52kPaであった。図5に示すように、Heガス流量増加時(実線)よりもHeガス流量減少時(点線)において圧力が高くなるヒステリシスが認められた。
上記サイクルの3回目が終了した後、シリカの微粉末の充填層の長さを測ると24mmであった。この充填層の長さをL1とした。さらに、比較例1と同様の計算式から、粒子1の嵩密度を0.07(mg/mm)と算出した。
以下の実施例3では、シリカの微粉末(粒子1)の重量が50mg、嵩密度が0.07(mg/mm)となるように調整し、粒子1の充填層の長さ(L1)が、24mmとなるように調整した。
(実施例3)
比較例4と同様に、石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)に支持体として石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)20mgを詰めた。次に、チタニアモノリス(株式会社エスエヌジー製、ロット番号:T5071)を、乳鉢を用いて粉砕し、粒子2としてチタニア多孔性粒子を得た。その後、粒子2の粒度をJIS Z8801−1のステンレス篩(目開き125μm、300μmの2種類)を用いて篩掛けして、125〜300μmの範囲に揃えた。粒度を揃えた粒子2の表面を走査型電子顕微鏡(JEOL社製、製品名:JSM−6510)により撮像した。撮像した粒子2のSEM写真(図3(a))から、前述した「多孔性粒子における貫通孔の孔径分布の作成方法」に従い、粒子2の貫通孔の孔径分布を作成した(図3(b))。図3(b)に示すように、粒子2の貫通孔の孔径分布の最頻孔径は5μmであった。粒度を揃えた粒子2について、細孔の孔径分布の最頻孔径は6nmであった。
次に、前準備として、125〜300μmの範囲に粒度を揃えた粒子2の使用量を以下のようにして決定した。まず、実施例1と同様に、石英管に支持体として石英ウールを200mg詰めた。その後、当該石英ウール上に粒度を揃えた粒子2を充填し、実施例1と同様に充填層の長さが変化なくなるまでタッピングを行い、充填層の長さ(L2)が24mmとなるように、粒子2の充填量を調節しながらタッピングを繰り返し行った。この時の重量は430mgであったので、粒子2の使用量を430mgと決定した。さらに、以下の計算式から、粒子2の嵩密度を0.63(mg/mm)と算出した。
粒子2の嵩密度(mg/mm) = 粒子2の重量(mg) / [充填層の長さL2(mm) × 石英管の断面積(mm)]
粒子1としてシリカの微粉末(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL(登録商標)200、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径:12nm)50mgと、粒子2としてチタニア多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:5μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:125〜300μm)430mgとを容量6mLのスクリュー管瓶(アズワン株式会社製、No.2)に入れて蓋をし、手でよく振り混ぜて混合し、粒子1と粒子2との混合物を得た。次に、石英管に石英ウール20mgを詰め、粒子1と粒子2との混合物を当該石英ウール上に充填し、比較例1と同様にしてタッピングを行うことにより充填層を得た。当該充填層の長さ(L)を測ると46mmであった。その後、当該充填層を備える石英管をガス流通装置(ヘンミ計算尺株式会社製、商品名:TP−5000)に装着し、比較例1と同一条件でHeガスの流通を行った。
図5に示すように、100mL/minの流量でも8kPaの圧力損失となり、比較例4の充填層の長さと比べて、充填層の長さが約2倍となっているにも関わらず、圧力損失を大きく減少させることができた。また、Heガス流量の増加減少サイクルの1回目及び2回目に圧力変化の差はなく、且つ、Heガス流量増加時(実線)とHeガス流量減少時(点線)とのヒステリシスも観察されなかった。さらに、上記サイクルの2回目が終了した後、充填層の長さを測ると46mmであり、Heガス流通前の充填層の長さ(L:46mm)と同じであった。さらに、以下の計算式から、充填層の嵩密度を0.37(mg/mm)と算出した。
充填層の嵩密度(mg/mm) = [粒子1の重量(mg) + 粒子2の重量(mg)] / [充填層の長さL(mm) × 石英管の断面積(mm)]
実施例3及び比較例4における粒子1、粒子2及び充填層の関係を以下の表2に示す。
Figure 2021107061
(比較例5)
石英管(外径8mm、内径6mm、長さ340mm)に支持体として石英ウール(繊維太さ2〜6μm、東ソー株式会社社製)20mgを詰めた。当該石英ウール上に粒子1として酸化チタン微粉末(シグマアルドリッチ社製、商品名:P25、平均一次粒子径:25nm)332mgを充填した。その後、比較例1と同様にしてタッピングを行うことにより長さ13mmの充填層を得た。
(実施例4)
粒子1として酸化チタンの微粉末(シグマアルドリッチ社製、商品名:P25、平均一次粒子径:25nm)332mgと、粒子2としてシリカ多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:10μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:1000〜3000μm、株式会社エスエヌジー社製、ロット番号:E093)60mgとを、容量6mLのスクリュー管瓶(アズワン株式会社製、No.2)に入れて蓋をし、手でよく振り混ぜて混合し、粒子1と粒子2との混合物を得た。次に、石英管に石英ウール20mgを詰め、粒子1と粒子2との混合物を当該石英ウール上に充填し、前述した多孔性粒子と微粉末との混合物のタッピング方法に従って、タッピングを行った。タッピングは、粒子1と粒子2との混合物を充填した石英管を10mmの高さから60回/分で落下させる動作を200回繰り返し行い、200回毎に充填層の長さに変化がなくなるまで行った。その結果、タッピングにより長さ20mmの粒子1と粒子2との混合物からなる充填層を得た。
(実施例5)
粒子2としてシリカ多孔性粒子の粒度を710〜1000μmとした以外は実施例4と同様にして充填層を準備した。その結果、タッピングにより長さ21mmの粒子1と粒子2との混合物からなる充填層を得た。
(実施例6)
粒子2としてシリカ多孔性粒子の粒度を212〜710μmとした以外は実施例4と同様にして充填層を準備した。その結果、タッピングにより長さ20mmの粒子1と粒子2との混合物からなる充填層を得た。
(実施例7)
粒子2としてシリカ多孔性粒子の粒度を20〜212μmとした以外は実施例4と同様にして充填層を準備した。その結果、タッピングにより長さ19mmの粒子1と粒子2との混合物からなる充填層を得た。
比較例5及び実施例4〜7で得られた充填層を備える石英管について、それぞれ比較例1と同様にガスの流通試験を行った。ただし、ヘリウムガスの代わりにアルゴンガスを用い、アルゴンガス流量が100mL/minの場合の圧力を測定し、圧力損失の変化が確認されなくなるまで繰り返し測定を行った。その際のアルゴンガス流通前後の比較例5及び実施例4〜7で得られた充填層の長さは変化せず同じであった。
実施例4〜7及び比較例5における粒子1、粒子2及び充填層の関係を以下の表1に示す。また、実施例4〜7及び比較例5について、上述した計算式から粒子1の嵩密度、粒子2の嵩密度及び充填層の嵩密度をそれぞれ算出した結果を表3に示す。
Figure 2021107061
比較例5と実施例4〜7とは充填層の長さが異なり、圧力損失は充填層の長さに一次線形で比例することから、充填層長さを10mmに規格化した圧力損失を採用することにより、比較例5と実施例4〜7との圧力損失を比較した。表3に示すように、充填層長さを10mmに規格化した圧力損失は、比較例5が83kPa、実施例4が33kPa、実施例5が15kPa、実施例6が26kPa、実施例7が64kPaとなった。このことから、実施例4〜7では充填層の長さが比較例5の充填層の長さと比べて約1.5倍となっているにも関わらず、粒子1と粒子2とを混合することにより、比較例5よりも圧力損失を減少させることができることが確認できた。
表3に示すように、実施例5の粒度710〜1000μmで最も低減されており、続いて実施例6の粒度212〜710μm、実施例4の粒度1000〜3000μm、実施例7の粒度20〜212μmの順に圧力損失が低減された。結果として、粒子2である多孔性粒子の粒子径範囲が20〜3000μmの範囲では、いずれも比較例5より圧力損失を減少させることができた。
(実施例8)
粒子1としてブリリアントブルーで着色した酸化チタンの微粉末(シグマアルドリッチ社製、商品名:P25、平均一次粒子径:25nm)330mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:0.1μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:200〜700μm、株式会社エスエヌジー製、ロット番号:PM105)80mgを使用した以外は、実施例4と同様の方法で充填層を作製した。
(実施例9)
粒子1としてブリリアントブルーで着色した酸化チタンの微粉末(シグマアルドリッチ社製、商品名:P25、平均一次粒子径:25nm)330mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:1μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:200〜700μm、株式会社エスエヌジー製、ロット番号:PM123)80mgを使用した以外は、実施例4と同様の方法で充填層を作製した。
(実施例10)
粒子1としてブリリアントブルーで着色した酸化チタンの微粉末(シグマアルドリッチ社製、商品名:P25、平均一次粒子径:25nm)330mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子(貫通孔の孔径分布の最頻孔径:20μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:200〜700μm、株式会社エスエヌジー製、ロット番号:E040)80mgを使用した以外は、実施例4と同様の方法で充填層を作製した。
(比較例6)
粒子1としてブリリアントブルーで着色した酸化チタンの微粉末(シグマアルドリッチ社製、商品名:P25、平均一次粒子径:25nm)330mg、粒子2として貫通孔及び細孔を有しない海砂(キシダ化学製、粒度:370〜840μm)540mgを使用した以外は、実施例4と同様の方法にて充填層を作製した。
実施例8〜10及び比較例6で得られた充填層を備える石英管について、それぞれ比較例1と同様にガスの流通試験を行った。ただし、ヘリウムガスの代わりにアルゴンガスを用い、アルゴンガス流量が100mL/minの場合の圧力を測定し、圧力損失の変化が確認されなくなるまで繰り返し測定を行った。
実施例8〜10及び比較例6における粒子1、粒子2及び充填層の関係を以下の表4に示す。また、実施例8〜10及び比較例6について、上述した計算式から粒子1の嵩密度、粒子2の嵩密度及び充填層の嵩密度をそれぞれ算出した結果を表4に示す。
Figure 2021107061
実施例8〜10及び比較例6において、各々の試験前はブリリアントブルーで着色した酸化チタンの微粒子が有する青色が充填層に均一に分散していた。実施例8〜10の試験後は、カラム全体が均一に青色であったことから、微粉末である酸化チタンの流出の抑制が確認された。一方、比較例6の試験後は、カラム入口側の青色が消失して薄くなっており、出口側に青色の微粒子が堆積していたことから、アルゴンガス流通によって微粉末である酸化チタンが移動したことが目視で確認された。さらに、比較例6ではガス流通に伴い、10mmに規格化した圧力損失が初期値の19kPaから10分連続測定後に167kPaとなり、微粉末が流出しながら出口側で目詰まりを起こしてしまい圧力損失が上昇したと考えられる。即ち、比較例6の試験後は、微粉末である酸化チタンの流出が抑制できないことが確認された。
以下に、本発明の充填層を用いてなる光学分割用カラムとしての例を示す。具体的には、ラセミ化したアルコールを動的光学分割するための触媒カラムとしての例を示す。
この動的光学分割法では、酸化バナジウム固定メソポーラスシリカナノ粒子(V−MPS4)と加水分解酵素リパーゼ(例えば、CAL−B)とを混合した固相を充填したカラムにラセミ体アルコールを含む溶液を流すと、カラムの出口からラセミ体アルコールのR体又はS体の光学異性体が溶出する。反応機構として、リパーゼによる光学分割によって、ラセミ体アルコールの片方の光学異性体が選択的にエステル化されると同時に、ラセミ体アルコールの他方の光学異性体は、V−MPS4に含まれるバナジウム酸化物によってラセミ化される。この2つの反応が同時進行することにより、すべてのラセミ体アルコールが1つの光学活性エステルに変換される。
V−MPS4とCAL−Bとを、セライト、シリカゲル等の粒子(間隙充填材)と混合してカラムに充填すると、V−MPS4とCAL−Bとの各々の粒子径が異なるために、粒子径が小さいV−MPS4の微粒子が流体とともに出口側に移動してしまう。それ故、2種類の触媒が均一に分布した初期状態が崩れ、触媒活性を安定して発揮できないという問題がある。そこで、間隙充填材としてシリカ多孔性粒子を混合することにより、これら2種類の触媒粒子をカラム内に固定することでこの問題を解決した。
以下、粒子1(V−MPS4)は、本発明における微粉末に該当し、粒子2は、間隙充填材としての役割を有し、リパーゼ(CAL−B)は、酵素としての役割を有する。なお、実施例11〜25で使用した粒子2(シリカ多孔性粒子)は、本発明における多孔性粒子に該当する。
(実施例11)
粒子1としてV−MPS4(富士フイルム和光純薬社製、平均一次粒子径1μm、細孔径4nm、バナジウム含有量0.2mmol/g)20mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子(エスエヌジー社製、ロット番号:PM043、貫通孔の孔径分布の最頻孔径:2μm、細孔の孔径分布の最頻孔径:6nm、粒度:20〜63μm)140mg、及びリパーゼとしてCAL−B(Candida antarctica lipase B、Roche社製、粒度:300〜700μm)300mgを、ガラス容器内に入れた。そして、不活性ガスであるアルゴン雰囲気下、手でよく振り混ぜて混合し、粒子1と粒子2とリパーゼとの混合物を得た。
次に、オムニフィットEZ空カラム(株式会社アイシス社製、内径6.6mm)に、当該混合物を薬さじを使って流し入れ、均一に分布させることにより充填層を得た。その後、タップをせずにオムニフィットEZ空カラムの稼働式栓を締めることにより、当該充填層を圧縮して固定し、触媒反応用のカラムを作製した。当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(1a)と、原料化合物(1a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(1aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに、0.03mL/minの流速で送液した。3時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)を、1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(1a)及び目的化合物(1b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。なお、副生成物(1c)は、原料化合物(1a)の二量体エーテルであった。
原料化合物(1a)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
目的化合物(1b)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
(比較例7)
粒子2として、貫通孔は有さず、細孔を有する単一孔シリカゲル粒子(関東化学社製、粒度:40〜50μm、細孔:6nm)280mgを使用した以外は、実施例11と同様に試験した。
(比較例8)
粒子2として、貫通孔及び細孔の両方を有していないセライト粒子(キシダ化学社製、粒度:20〜100μm)500mgを使用した以外は、実施例11と同様に試験した。
実施例11及び比較例7〜8の結果を以下の表5に示す。
Figure 2021107061
表5に示すように、実施例11では、原料化合物(1a)を96%反応させ(=反応率96%)、目的化合物(1b)を収率87%、且つ、光学純度98%eeで生成した。実施例11の反応率は、比較例7(=反応率78%)及び比較例8(=反応率72%)よりも高かった。これは、同じ反応条件でも、目的化合物(1b)を高収率で与えることにつながる。また、実施例11で回収された原料化合物(1a)の光学純度が、比較例7〜8のそれよりも低く、実施例11の場合にラセミ化が速やかに進行していることが示された。これは、動的光学分割を効率的に行う上で極めて重要な結果である。さらに、実施例11では、比較例7及び8と比べて、粒子2(間隙充填材)の重量が半分以下であるにもかかわらず、高効率、高収率、高光学純度の動的光学分割を可能とした。
実施例11及び比較例7〜8において、各々の試験前はV−MPS4が有するベージュ色が充填層に均一に分散していた。実施例11の試験後は、カラム全体が均一にベージュ色であったことから、微粉末であるV−MPS4の移動を抑制することができたことが確認された。一方、比較例7〜8の試験後は、カラム入口側のベージュ色が消失して白くなっており、出口側のベージュ色が濃くなっていたことから、送液によって微粉末であるV−MPS4が移動したことが目視で確認された。即ち、比較例7〜8の試験後は、微粉末であるV−MPS4の移動を抑制できないことが確認された。
以下、実施例12〜19の原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)は、実施例11の原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)と同一である。
(実施例12)
粒子1としてV−MPS4を61mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を118mg使用した以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(1a)と、原料化合物(1a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(1aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに0.03mL/minの流速で送液した。3時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)を、1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(1a)及び目的化合物(1b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
(実施例13)
粒子1としてV−MPS4を30mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を135mg使用した以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
(実施例14)
粒子1としてV−MPS4を15mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を140mg使用した以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
(実施例15)
粒子1としてV−MPS4を61mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を118mg使用し、充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分し、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:4.1、第2領域=1:2.4、第3領域=1:1、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:9.1、第2領域=1:5.9、第3領域=1:3.03とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。なお、上記第1領域、第2領域及び第3領域の長さは、充填層を3等分に区切った長さである。即ち、第1領域の長さ、第2領域の長さ及び第3領域の長さの合計が充填層の長さである。以下の実施例16〜19においても同様である。
(実施例16)
粒子1としてV−MPS4を30mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を135mg使用し、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:7.8、第2領域=1:4.5、第3領域=1:3.1、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:16.7、第2領域=1:10、第3領域=1:7.1とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
(実施例17)
粒子1としてV−MPS4を22mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を139mg使用し、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:9.6、第2領域=1:6.6、第3領域=1:4.5、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:20、第2領域=1:14.3、第3領域=1:10とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
(実施例18)
粒子1としてV−MPS4を15mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を143mg使用し、充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分して粒子1と粒子2の比率を変化させた場合に、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:16.3、第2領域=1:9.6、第3領域=1:6.6、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:33.3、第2領域=1:20、第3領域=1:14.3とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
(実施例19)
粒子1としてV−MPS4を22mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を139mg使用し、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:4.5、第2領域=1:6.6、第3領域=1:9.6、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:10、第2領域=1:14.3、第3領域=1:20とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、実施例12と同一の条件で試験を行い、原料化合物(1a)、目的化合物(1b)及び副生成物(1c)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(1c)の収率(%)を算出した。
実施例12〜19の結果を以下の表6に示す。
Figure 2021107061
表6に示すように、上流側から下流側に向けて粒子1と粒子2との混合比率を変化させない場合、すなわち粒子1とリパーゼとの混合比率を変化させない場合(実施例12〜14)と比較して、第1領域、第2領域及び第3領域に区分して粒子1と粒子2との混合比率を変化させた場合、すなわち粒子1とリパーゼとの混合比率を変化させた場合(実施例15〜18)では、副生成物(1c)の収率を減らし、目的化合物(1b)の収率が向上することができた。実施例15〜18では、いずれも目的化合物(1b)の光学純度97%ee以上を確保できた。また、リパーゼの重量を一定として、第1領域、第2領域及び第3領域の順に粒子1の重量を増大、粒子2の重量を減少させた実施例15〜18の方が、第1領域、第2領域及び第3領域の順に粒子1の重量を減少、粒子2の重量を増大させた実施例19よりも、副生成物(1c)の収率を減らし、目的化合物(1b)の収率を向上することができた。
(実施例20)
粒子1としてV−MPS4を100mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を98mg使用し、充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分して粒子1と粒子2との混合比率を変化させた場合に、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:2.4、第2領域=1:1、第3領域=1:0.5、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:5.9、第2領域=1:3.03、第3領域=1:2とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(2a)と、原料化合物(2a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(2aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに0.03mL/minの流速で送液した。3時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(2a)、目的化合物(2b)及び副生成物(2c)を、1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(2a)及び目的化合物(2b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(2c)の収率(%)を算出した。なお、副生成物(2c)は、原料化合物(2a)の二量体エーテルであった。
原料化合物(2a)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
目的化合物(2b)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
(実施例21)
粒子1としてV−MPS4を43mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を129mg使用し、充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分して粒子1と粒子2との混合比率を変化させた場合に、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:6.7、第2領域=1:3.1、第3領域=1:1.8、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:14.3、第2領域=1:7.1、第3領域=1:4.5とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(3a)と、原料化合物(3a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(3aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに0.03mL/minの流速で送液した。3時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(3a)、目的化合物(3b)及び副生成物(3c)を、1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(3a)及び目的化合物(3b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(3c)の収率(%)を算出した。なお、副生成物(3c)は、原料化合物(3a)の二量体エーテルであった。
原料化合物(3a)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
目的化合物(3b)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
(実施例22)
実施例21と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(4a)と、原料化合物(4a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(4aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに0.03mL/minの流速で送液した。3時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(4a)、目的化合物(4b)及び副生成物(4c)を1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(4a)及び目的化合物(4b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(4c)の収率(%)を算出した。なお、副生成物(4c)は、原料化合物(4a)の二量体エーテルであった。
原料化合物(4a)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
目的化合物(4b)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
(実施例23)
実施例21と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(5a)と、原料化合物(5a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(5aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに0.015mL/minの流速で送液した。6時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(5a)、目的化合物(5b)及び副生成物(5c)を1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(5a)及び目的化合物(5b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(5c)の収率(%)を算出した。なお、副生成物(5c)は、原料化合物(5a)の二量体エーテルであった。
原料化合物(5a)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
目的化合物(5b)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
(実施例24)
粒子1としてV−MPS4を150mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を75mg使用し、充填層における送液の流れ方向において上流側から下流側に向けて順に第1領域、第2領域及び第3領域に区分して粒子1と粒子2との混合比率を変化させた場合に、それぞれの領域における粒子1と粒子2との混合比率(重量比)を第1領域=1:1、第2領域=1:0.5、第3領域=1:0.25、粒子1とリパーゼとの混合比率(重量比)を第1領域=1:3.03、第2領域=1:2、第3領域=1:1.49とした以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(6a)と、原料化合物(6a)に対して4モル当量の酪酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(6aの濃度:0.1M)とを、作製した触媒反応用のカラムに0.03mL/minの流速で送液した。3時間連続送液した後、当該カラム出口から得られた溶液中に存在する原料化合物(6a)、目的化合物(6b)及び副生成物(6c)を1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(6a)及び目的化合物(6b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(6c)の収率(%)を算出した。なお、副生成物(6c)は、原料化合物(6a)の二量体エーテルであった。
原料化合物(6a)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
目的化合物(6b)の構造式は以下のとおりである。
Figure 2021107061
実施例16及び実施例20〜24の結果を以下の表7に示す。
Figure 2021107061
実施例20〜24では、実施例11と同様に、各々の目的化合物が90%以上の収率で、光学純度が96%ee以上で得られており、置換基の異なる幅広い化合物に対しても動的光学分割が速やかに進行していることを示された。
以下、実施例25の原料化合物(2a)、目的化合物(2b)及び副生成物(2c)は、実施例20の原料化合物(2a)、目的化合物(2b)及び副生成物(2c)と同一である。
(実施例25)
粒子1としてV−MPS4を100mg、粒子2としてシリカ多孔性粒子を100mg、リパーゼとしてCAL−Bを300mg使用した以外は、実施例11と同一の条件で触媒反応用のカラムを作製し、当該カラムを35℃の恒温装置内に設置した。続いて、原料化合物(2a)と、原料化合物(2a)に対して4モル当量の酢酸ビニルを含むアセトニトリル溶液(2aの濃度:0.1M)を、作製した触媒反応用のカラムに0.03mL/minの流速で送液した。6時間連続送液した毎に、カラム出口から得られた溶液を回収し、合計78時間連続送液を行った。カラム出口から得られた各溶液中に存在する原料化合物(2a)、目的化合物(2b)及び副生成物(2c)を、1H−NMR及びHPLCにて解析し、原料化合物(2a)及び目的化合物(2b)の収率(%)及び光学純度(%ee)、並びに副生成物(2c)の収率(%)を算出した。
実施例25の結果を以下の表8に示す。
Figure 2021107061
実施例25の結果から、78時間に及ぶ連続送液でも、目的物(2b)の収率は90%前後で安定しており、光学純度は99%eeと低下しておらず、連続的な使用でも触媒が劣化せずに使用できることが示された。

Claims (10)

  1. 多孔性粒子と微粉末との混合物から形成されている充填層であって、
    (1)前記多孔性粒子は骨格体を有し、前記骨格体が貫通孔を有し、前記貫通孔の孔径分布の最頻孔径が0.1μm以上100μm以下であり、且つ、前記多孔体粒子の粒度が20μm以上3000μm以下であり、
    (2)前記微粉末の平均一次粒子径が1nm以上であり、且つ、前記貫通孔の孔径分布の最頻孔径の80%以下である、
    ことを特徴とする充填層。
  2. 前記多孔体粒子は、前記貫通孔に加えて、前記骨格体の表面から内部に向けて延伸する複数の細孔を有し、
    前記細孔の孔径分布の最頻孔径が1nm以上200nm以下であり、且つ、前記貫通孔の孔径分布の最頻孔径の20%以下である、請求項1に記載の充填層。
  3. 前記多孔体粒子の嵩密度が0.05〜7.5(mg/mm)である、請求項1又は2に記載の充填層。
  4. 前記微粉末の嵩密度が0.02〜7.5(mg/mm)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の充填層。
  5. 前記充填層の嵩密度が0.05〜7.5(mg/mm)である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の充填層。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の充填層であって、
    前記充填層中の前記多孔性粒子と前記微粉末の混合比率が段階的に変化している、充填層。
  7. 前記混合物は、更に酵素粒子を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の充填層。
  8. 前記酵素粒子がリパーゼである、請求項7に記載の充填層。
  9. 請求項7又は8に記載の充填層であって、
    前記充填層中の前記微粉末と前記酵素粒子との混合比率が段階的に変化している、充填層。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の充填層を備える管内に気体又は液体を流通させる流通方法。
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