JP2021106450A - モータ制御装置およびモータ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動モータ等における電流の流れ過ぎを抑制して過熱による部品等の破壊リスクを低減する。【解決手段】q軸電流指令上限値演算部14において、電動モータ15に流すq軸電流の上限を簡易な演算式(簡易なロジック)で求め、q軸電流を絞り込むことでd軸電流も絞られる演算処理を行って積算電流値を算出する。その際、モータ回転数に応じてd軸電流に対しても重み付け係数としての積算係数を乗じる。また、バッテリ電圧に応じてq軸電流とd軸電流の双方を絞り込む積算係数を使用して積算電流値を求める。【選択図】図1
Description
本発明は、電動モータを駆動制御するモータ制御装置およびモータ制御方法に関する。
近年、産業機器、家電、電気自動車、ハイブリッド車両等の様々な分野において電動モータが使用されている。例えば、電動パワーステアリング装置(EPS)が搭載された自動車等の車両は、運転者のステアリングハンドル操作に対して補助トルクを発生する電動モータ、その電動モータの制御装置等を備えている。
電動パワーステアリング装置は、常時動作しており、電動モータのみならず、モータ駆動部を構成する発熱部品による発熱もあることから、電動モータ等に供給される電流を制御して発熱を抑えることが重要となる。
特許文献1は、モータを過電流あるいは過熱から保護するため、電流保護部によってq軸電流iq、またはq軸電流iqを主成分とする電気量の大きさを判定し、その判定結果に応じて過電流保護制御または過熱保護制御を行うモータ制御装置を開示している。
特許文献2は、磁極位置から演算される多相モータの回転速度と、モータ駆動電流の所定の関数の積算値とに基づいてモータ電流指令値を制限するためのモータ電流制限値を演算するモータ制御装置を開示している。特許文献2のモータ制御装置は、モータの回転状態に応じてモータ電流指令値を制限し、モータを過熱から保護している。
従来より、電動パワーステアリング装置を熱破壊から保護するロジックとして、システムの温度を監視する保護ロジックと、システムの作動状況から算出される電流値を用いた保護ロジックとがあるが、いずれの保護ロジックも、保護したい部品に対して間接的に温度を推定し、保護している。そのため、理想的な環境に対して適切に保護がかかっても、外部環境によっては保護が不十分となり、モータを含む、部品の破壊につながるという問題がある。
特許文献1のモータ制御装置は、従来の三相電流iu、iv、iwを用いた過電流保護制御あるいは過熱保護制御に比べてデータ処理量(演算負担)を減らすことができるが、q軸電流値のみで過熱保護を行っており、d軸電流を過熱保護に使用していない。このようにq軸電流値のみを制限電流とすると、モータの高回転時という環境においてd軸電流による発熱に有効に対処できない(すなわち、過熱保護ができない)という問題がある。
特許文献2は、q軸電流制限値とd軸電流制限値それぞれによって、q軸電流指令値とd軸電流指令値それぞれの上限を抑えることで、モータ高回転時の過熱保護をしているが、そのための演算量が多い。したがって、演算に高性能な処理部(CPU)が必要となり、それがモータ制御装置のコストアップの要因になるという問題がある。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータおよびその制御に係る部品における電流の流れ過ぎを抑制して、過熱による破壊リスクを低減することである。
上記の目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として以下の構成を備える。すなわち、本願の例示的な第1の発明は、dq直交座標での電流ベクトル制御によってブラシレスモータを駆動するモータ制御装置であって、前記ブラシレスモータの実電流よりq軸電流指令値およびd軸電流指令値を算出する手段と、前記d軸電流指令値に第1のパラメータに応じた第1の乗算係数を乗じる第1の電流演算部と、前記第1の電流演算部の演算結果と前記q軸電流指令値とを加算する第2の電流演算部と、前記第2の電流演算部の演算結果に第2のパラメータに応じた第2の乗算係数を乗じる第3の電流演算部と、前記第3の電流演算部の演算結果の前回値と今回値を加算して積算電流値を求める第4の電流演算部と、前記積算電流値に基づいて前記q軸電流指令値の上限値を決定する決定手段と、前記q軸電流指令値の上限値と前記q軸電流指令値をもとにq軸電流指令制限値を求める手段と、前記q軸電流指令制限値と前記第1のパラメータをもとにd軸電流指令制限値を求める手段と、前記q軸電流指令制限値および前記d軸電流指令制限値に対する前記q軸電流値および前記d軸電流値に基づく電流フィードバック制御により前記ブラシレスモータを駆動する手段とを備えることを特徴とする。
本願の例示的な第2の発明は、車両等の運転者のハンドル操作をアシストする電動パワーステアリング装置であって、前記運転者の操舵を補助するブラシレスモータと、上記例示的な第1の発明に係るモータ制御装置により前記ブラシレスモータを駆動制御する手段とを備えることを特徴とする。
本願の例示的な第3の発明は、電動パワーステアリングシステムであって、上記例示的な第2の発明に係る電動パワーステアリング装置を備えることを特徴とする。
本願の例示的な第4の発明は、dq直交座標での電流ベクトル制御によってブラシレスモータを駆動するモータ制御方法であって、前記ブラシレスモータの実電流よりq軸電流指令値およびd軸電流指令値を算出する工程と、前記d軸電流指令値に第1のパラメータに応じた第1の乗算係数を乗じる第1の電流演算工程と、前記第1の電流演算工程での演算結果と前記q軸電流指令値とを加算する第2の電流演算工程と、前記第2の電流演算工程での演算結果に第2のパラメータに応じた第2の乗算係数を乗じる第3の電流演算工程と、前記第3の電流演算工程の前回演算結果と今回演算結果を加算して積算電流値を求める第4の電流演算工程と、前記積算電流値に基づいて前記q軸電流指令値の上限値を決定する工程と、前記q軸電流指令値の上限値と前記q軸電流値指令値をもとにq軸電流指令制限値を求める工程と、前記q軸電流指令制限値と前記第1のパラメータをもとにd軸電流指令制限値を求める工程と、前記q軸電流指令制限値および前記d軸電流指令制限値に対して前記q軸電流値および前記d軸電流値に基づく電流フィードバック制御して前記ブラシレスモータを駆動する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、モータ制御装置において簡易な過熱保護ロジックにより、特にモータの高速回転時におけるモータ等の発熱を抑えることができる。また、モータ制御装置を搭載した電動パワーステアリング装置の場合、通常は操舵されない過酷な条件においても過熱保護が可能になる。
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示すモータ制御装置1は、制御部(CPU)10、制御部(CPU)10による制御対象である電動モータ15に所定の駆動電流を供給するモータ駆動部5等を備える。
制御部(CPU)10は、電動モータ15に流れる電流と目標電流とが一致するように電流値をフィードバックするフィードバック制御(F/B制御)を含む、モータ制御装置1の全体の制御を司る、例えばマイクロプロセッサからなる。
モータ駆動部5のインバータ回路23は、電源リレー24を介してバッテリBTから供給された電力より、電動モータ15を駆動する交流を生成するモータ駆動回路である。電動モータ15は、例えば適用範囲の広い3相ブラシレスDCモータである。電源リレー24は、バッテリBTからの電力を遮断可能に構成され、半導体リレーで構成することもできる。
PWM信号生成部21は、後述する電圧指令値に従って、インバータ回路23を構成する複数の半導体スイッチング素子(FET)のON/OFF制御信号(PWM信号)を生成する。これらの半導体スイッチング素子は、電動モータ15の各相(u相、v相、w相)に対応している。
スイッチング素子(FET)はパワー素子とも呼ばれ、例えば、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチング素子を用いる。
インバータ回路23より電動モータ15に供給されるモータ駆動電流は、各相に対応して配置した電流センサからなる電流検出部25で検出される。電流検出部25は、例えばモータ駆動電流検出用のシャント抵抗に流れる直流電流を、オペアンプ等からなる増幅回路を用いて検出する。
電流検出部25からの出力信号(電流検出信号)は、A/D変換部(ADC)27に入力される。ここでは、ADC27のA/D変換機能によりアナログ電流値をデジタル値に変換し、その変換により得られた3相電流Iu,Iv,Iwは、座標変換部28に入力される。
3相/2相変換機能を有する座標変換部28は、回転角センサ29で検出された回転角度θと3相電流Iu,Iv,Iwより、q軸電流Iqとd軸電流Idを出力する。すなわち、座標変換部28はモータの実電流(q軸実電流、d軸実電流)をもとにd軸電流とq軸電流を演算する。
モータ制御装置1は、後述するようにd軸電流とq軸電流を積算して絞り込む(上限値を求める)ことで、電流の流れ過ぎによるモータの過熱を抑制する。そのためモータ制御装置1は、q軸電流指令制限部11、d軸電流指令制限部12、q軸電流指令上限値演算部14等を備えている。
q軸電流指令制限部11は、q軸電流指令上限値演算部14より出力されたq軸電流指令上限値を用いて、外部より入力されたq軸電流指令値(目標電流)Iq*を制限し、q軸制限電流Iqrを出力する。なお、後述するように本実施形態に係るモータ制御装置が搭載された電動パワーステアリング装置の場合、ステアリングトルクの大きさに応じてq軸電流指令値(目標電流)Iq*が算出される。
図2は、q軸電流指令上限値演算部14の内部構成の一例を示す。図2に示すようにq軸電流指令上限値演算部14は、発熱要因に関わる外部環境モータパラメータとして、電動モータ15の回転速度ωmと、電動モータ15への供給電源電圧であるバッテリ電圧VBATそれぞれに応じた積算係数を、q軸電流Iqおよびd軸電流Idに乗算する電流積算部18を備える。
電流積算部18には、モータ回転速度ωmとゲインGωとの関係が対応づけられたルックアップテーブル(LUT)41と、バッテリ電圧VBATとゲインGVとの関係が対応づけられたルックアップテーブル(LUT)43があらかじめ記憶されている。
そこで電流積算部18は、ルックアップテーブル(LUT)41を参照して、入力されたモータ回転速度ωmに対応するゲインGωを決定し、乗算器33によって、そのゲインGωとd軸電流Idとを乗じる。この乗算結果は、加算器31によりq軸電流Iqと加算される。
電流積算部18はさらに、ルックアップテーブル(LUT)43を参照して、入力されたバッテリ電圧VBATに対応するゲインGVを決定する。そして、乗算器35によって、そのゲインGVを、上述した加算器31での加算結果に乗じる。
次にq軸電流指令上限値演算部14は、加算器37によって、電流積算部18からの出力(つまり、乗算器35からの出力)と、加算器37の出力の遅延要素z−1とを加算して積算電流値を得る。
q軸電流指令上限値演算部14は、あらかじめ積算電流値と電流制限値とを対応づけて記憶したルックアップテーブル(LUT)45を有する。そこで、q軸電流指令上限値演算部14は、上記のように演算された積算電流値に対して、ルックアップテーブル(LUT)45を参照して電流制限し、得られた電流制限値をq軸電流指令上限値として出力する。
このようにq軸電流指令上限値演算部14で演算されたq軸電流指令上限値は、図1に示すようにq軸電流指令制限部11に入力される。その結果、q軸電流指令制限部11は、q軸電流指令上限値を用いてq軸目標電流Iq*を制限し、それをq軸制限電流Iqrとして出力する。
一方、d軸電流指令制限部12は、図1に示すように、入力されたモータ回転速度ωmを用いて、q軸電流指令制限部11より入力されたq軸制限電流iqrを制限することでd軸制限電流Idrを算出する。
なお、上記の算出処理によって得られたd軸制限電流Idrは磁界成分であるd軸指令電流であり、q軸制限電流Iqrはトルク成分であるq軸指令電流である。
制御部(CPU)10の減算器13aは、上記のq軸制限電流Iqrとq軸電流Iqの差分を演算する。また、減算器13bは、d軸制限電流Idrとd軸電流Idの差分を演算する。
q軸制限電流Iqrとq軸電流Iqの差分はq軸PI制御部16aに入力される。q軸PI制御部16aは、その差分をゼロに収束させるようにPI(比例+積分)制御を行い、q軸電圧の指令値であるq軸電圧指令値Vqを算出する。
d軸制限電流Idrとd軸電流Idの差分はd軸PI制御部16bに入力される。d軸PI制御部16bは、その差分をゼロに収束させるようにPI(比例+積分)制御を行うことで、d軸電圧の指令値であるd軸電圧指令値Vdを算出する。
このように、電流制御部としてのq軸PI制御部16aおよびd軸PI制御部16bにおいて求められたq軸とd軸の電圧指令値Vq,Vdは、座標変換部17に入力される。座標変換部17は、これら電圧指令値Vq,Vdと電動モータ15の回転角度θとからモータ印加電圧を演算する。
すなわち、2相/3相変換機能を有する座標変換部17は、回転角度θに基づいて、q軸電圧指令値Vqとd軸電圧指令値Vdを3相の各相毎の電圧指令値である電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換する。
3相変換後の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は、PWM信号生成部21に入力される。PWM信号生成部21は、これらの電圧指令値に基づいて電動モータ15の駆動信号(PWM信号)を生成する。
次に、本実施形態に係るモータ制御装置における電動モータの駆動・制御方法について説明する。図3は、本実施形態に係るモータ制御装置における電動モータの駆動・制御(動作例)を示すフローチャートである。
図3のステップS11において制御部(CPU)10は、回転角センサ29で検出した電気角(回転角度)θに基づいて電動モータ15の角速度(回転速度)ωmを算出する。続くステップS13においてモータ電流を検出する。ここでは、上述したように電流検出部25からの電流検出信号をADC27でA/D変換して、デジタル値としての3相電流Iu,Iv,Iw(実電流)を得る。
ステップS15において、ステップS11で検出した回転角度θと、ステップS13で得た3相電流Iu,Iv,Iwより、座標変換部28において3相/2相変換、回転座標変換することで、d軸上の電流Idとq軸上の電流Iqを演算する。
ステップS17では、図4を参照して詳述するようにq軸電流指令上限値演算部14の電流積算部18において積算電流値を演算する。続くステップS19において、積算電流値と電流制限値とが対応づけられたルックアップテーブル(図2のLUT45)を参照して、q軸電流指令上限値を演算する。
ステップS21において、ステップS19で演算したq軸電流指令上限値を用いてq軸電流指令値Iq*を制限して、q軸制限電流Iqrを算出する。
図5は、ルックアップテーブル(LUT)45の一例である。LUT45において、横軸は積算電流値、縦軸は電流制限値(q軸電流制限値)であり、複数の変曲点(図中、A,B,C等)間を線形補間することで、積算電流値と電流制限値との関係をほぼ直線で表した特性を有している。
このようにLUT45は、1次元関数を近似した特性を有しており、積算電流値が大きくなるに従ってq軸電流制限値が小さくなる対応関係を有している。従って、演算された積算電流値が大きいほどq軸電流制限値を絞って、モータの発熱(過熱)を抑えることができる。
なお、LUT45は、例えば、制御対象であるモータの機種、仕様、ユーザの要求等に応じて適宜、特性(直線の傾き)を変えたルックアップテーブルとすることができる。
上記ステップS21の処理に続いて、ステップS23において制御部(CPU)10は、バッテリ電圧VBATに基づいてq軸制限電流Iqrを制限して、d軸制限電流Idrを算出する。
ステップS25において、q軸およびd軸の電圧指令値を演算する。具体的には、q軸制限電流Iqrとq軸電流Iqの差分をゼロに収束させるようにPI制御を行ってq軸電圧指令値Vqを算出する。また、d軸制限電流Idrとd軸電流Idとの差分をゼロに収束させるようにPI制御を行い、d軸電圧指令値Vdを算出する。
ステップS27において、座標変換部17による2相/3相変換によって、上記のステップS25で演算されたq軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdと、回転角度θとに基づいて、3相の各相毎の電圧指令値である電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を求める。
ステップS29において、ステップS27で求めた3相の各相毎の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をPWM信号生成部21に入力する。そして、それらの電流指令値に基づいてPWM信号生成部21において、電動モータ15の駆動信号(PWM信号)を生成する。
図4は、図3のステップS17における積算電流値の演算処理を示すフローチャートである。図4のステップS31において制御部(CPU)10は、回転角度θに基づいて電動モータ15の回転速度ωmを算出する。
続くステップS33において電流積算部18は、モータ回転速度ωmとゲインGωとの関係を対応づけたルックアップテーブル(LUT)41を参照する。そして、モータ回転速度ωmに対応するゲインGωを決定する。
ステップS35において、乗算器33によって、ステップS33で決定したゲインGωをd軸電流Idに乗じ、この乗算結果とq軸電流Iqとを加算する。
図6は、ルックアップテーブル(LUT)41の一例である。LUT41は、横軸をモータ回転速度、縦軸をゲインGωとして、これらの関係を1次元関数で近似した線分で表される特性を有している。すなわち、モータ回転速度が大きくなるに従ってゲインが大きくなる対応関係を有するLUT41を参照することで、モータが高回転となるに従い大きいゲインをd軸電流Idに乗じることができる。
その結果、モータの高速回転時において、早めにq軸電流を絞り込む(q軸電流に制限をかける)ことでモータの発熱を抑えることができる。
なお、ルックアップテーブル(LUT)41は、図6に示す例に限定されず、例えば、図7に示すように、モータの低回転から高回転まで一定のゲイン(例えば5倍)を有する特性としてもよい。これにより、モータの回転速度に拘わらず一定のゲインをd軸電流Idに乗じた制御ができる。
ここでは、図6あるいは図7のいずれかのLUTを固定的に使用してもよいし、電動モータ15の駆動状態、駆動環境、ユーザ要求等に応じて適宜、選択してもよい。
図4のステップS37において、制御部(CPU)10はバッテリ電圧VBATを検知し、続くステップS39において、バッテリ電圧VBATとゲインGVとの関係を対応づけたルックアップテーブル(LUT)43を参照して、ゲインGVを決定する。
ステップS41において、ステップS35で得た加算結果(d軸電流とq軸電流の加算値)にゲインGVを乗じる。そして、ステップS43において、前回の電流値演算結果と今回の電流値演算結果を加算(積算)して積算電流値を求める。
図8は、ルックアップテーブル(LUT)43の一例である。LUT43は、横軸をバッテリ電圧VBAT、縦軸をゲインとして、これらの関係を1次元関数で近似した線分で表される特性を有している。すなわち、ステップS39において、バッテリ電圧が低くなるに従ってゲインが大きくなる対応関係を有するLUT43が参照される。
例えば、バッテリ劣化等によるバッテリ電圧低下時において、モータ駆動信号(PWM駆動信号)のデューティ比が大きくなってモータ電流を増大させようとしても、バッテリ電圧に応じてq軸電流とd軸電流の双方を絞り込む積算係数(ゲイン)を使用して積算電流値を求めることで、モータの過熱保護ができる。
上述した積算電流値の演算処理は、例えば、以下の式(1)で表すことができる。
積算電流値[A]=Σ{(d軸電流×Gω+q軸電流)×GV}…(1)
また、積算電流値をさらに減らす制御を行う場合には、上記の式(1)において、特定の電流減算値として、例えば十数[A]の電流値に相当する定格値を設けた下記の式(1´)を使用することができる。
積算電流値[A]=Σ{(d軸電流×Gω+q軸電流−定格値[A])×GV}…(1´)
図9は、本実施形態に係るモータ制御装置において上述した電流制限を行った効果を示している。図9において横軸はモータの毎秒回転数[rps]、縦軸はバッテリ電圧である。
図9の領域R1は、従来の電流制限(過熱保護ロジック)で対処可能な保護範囲である。一方、領域R2は、本実施形態に係るモータ制御装置における電流制限(過熱保護ロジック)で対処可能な保護範囲であり、領域R3は、過熱保護ロジックの想定される範囲外、すなわち、領域R2を超えて対処可能な保護範囲である。
図9に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置における電流制限によれば、従来の保証値1.0[rps]を超えて、少なくとも1.5〜2.0[rps]まで保護範囲が広がり、過熱保護ロジックの想定の範囲外においても過熱による素子等の破壊を防止できる。
本実施形態に係るモータ制御装置は、例えば、各種産業機器、電動パワーステアリング装置等に搭載することができる。例えば、本実施形態に係るモータ制御装置を電動パワーステアリング装置に搭載した場合、図9からも明らかなように、ステアリングの据え切り時(特に高速転舵時)にパワーステアリングECUを過熱から保護することができる。
このことは、本実施形態に係るモータ制御装置を搭載した電動パワーステアリング装置において、通常は操舵されないとして着目されていなかった高速転舵が行われた場合においても、上述した過熱保護ロジックによって発熱を抑えて、モータ、素子等の破壊を防止できることを意味する。
さらに、上記の電動パワーステアリング装置を電動パワーステアリングシステムに搭載した場合においても、上記と同様にパワーステアリングECUの過熱保護ができる。
以上説明したように本実施形態に係るモータ制御装置は、モータに流すq軸電流の上限を簡易な演算式(簡易なロジック)で求め、それによりq軸電流を絞り込むことでd軸電流も絞られる演算処理を行って積算電流値を算出し、モータ等の発熱を抑えることができる。その結果、高機能な制御部(CPU)が不要となり、モータ制御装置の低コスト化が可能になる。
また、積算電流値を求める際、モータの回転数に応じてd軸電流に対しても重み付け係数としての積算係数を乗じることで、電流の積算を迅速かつ容易に行え、q軸電流の上限値を抑えたモータの過熱保護ができる。
さらには、バッテリ電圧低下時において、バッテリ電圧に応じてq軸電流とd軸電流の双方を絞り込む積算係数(ゲイン)を使用して積算電流値を求めることで、モータ電流の増大を抑えて過熱保護ができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。上述した実施形態に係るモータ制御装置では、目標電流制限値の演算において、モータパラメータとしての電動モータの回転速度とバッテリ電圧それぞれに応じた積算係数を使用したが、積算係数はこれらに限定されない。
例えば、モータ制御装置の温度測定対象の近傍に温度センサを配置して、その温度センサによる検出温度に応じた積算係数を用いて積算電流値を求めてもよい。温度測定対象としてブラシレスモータのコイル温度、ブラシレスモータの回転子に設けた磁石の磁石温度等が含まれる。
積算係数として、例えば検出温度が低温から高温になるに従って増大する係数を使用する。すなわち、検出温度に応じて積算係数を変化させて積算電流値を求め、それによりモータの過熱保護が可能となり、特に高温時においてモータを過熱から保護できる。
1 モータ制御装置
5 モータ駆動部
10 制御部(CPU)
11 q軸電流指令制限部
12 d軸電流指令制限部
14 q軸電流指令上限値演算部
15 電動モータ
16a q軸PI制御部
16b d軸PI制御部
17,28 座標変換部
18 電流積算部
21 PWM信号生成部
23 インバータ回路
24 電源リレー
25 電流検出部
27 A/D変換部(ADC)
29 回転角センサ
41,43,45 ルックアップテーブル(LUT)
BT 外部バッテリ
5 モータ駆動部
10 制御部(CPU)
11 q軸電流指令制限部
12 d軸電流指令制限部
14 q軸電流指令上限値演算部
15 電動モータ
16a q軸PI制御部
16b d軸PI制御部
17,28 座標変換部
18 電流積算部
21 PWM信号生成部
23 インバータ回路
24 電源リレー
25 電流検出部
27 A/D変換部(ADC)
29 回転角センサ
41,43,45 ルックアップテーブル(LUT)
BT 外部バッテリ
Claims (11)
- dq直交座標での電流ベクトル制御によってブラシレスモータを駆動するモータ制御装置であって、
前記ブラシレスモータの実電流よりq軸電流指令値およびd軸電流指令値を算出する手段と、
前記d軸電流指令値に第1のパラメータに応じた第1の乗算係数を乗じる第1の電流演算部と、
前記第1の電流演算部の演算結果と前記q軸電流指令値とを加算する第2の電流演算部と、
前記第2の電流演算部の演算結果に第2のパラメータに応じた第2の乗算係数を乗じる第3の電流演算部と、
前記第3の電流演算部の演算結果の前回値と今回値を加算して積算電流値を求める第4の電流演算部と、
前記積算電流値に基づいて前記q軸電流指令値の上限値を決定する決定手段と、
前記q軸電流指令値の上限値と前記q軸電流指令値をもとにq軸電流指令制限値を求める手段と、
前記q軸電流指令制限値と前記第1のパラメータをもとにd軸電流指令制限値を求める手段と、
前記q軸電流指令制限値および前記d軸電流指令制限値に対する前記q軸電流値および前記d軸電流値に基づく電流フィードバック制御により前記ブラシレスモータを駆動する手段と、
を備えるモータ制御装置。 - 前記第1のパラメータは前記ブラシレスモータの回転数である請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記第1の乗算係数は前記ブラシレスモータの回転数が低回転から高回転になるに従い増大する係数である請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記第1の乗算係数は前記ブラシレスモータの回転数の低回転から高回転まで一定値である請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記第2のパラメータは前記ブラシレスモータの駆動電源のバッテリ電圧である請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記第2の乗算係数は前記バッテリ電圧が低電圧から高電圧になるに従い減少する請求項5に記載のモータ制御装置。
- 前記決定手段は、あらかじめ前記積算電流値と電流制限値とを対応づけたルックアップテーブルを参照して前記q軸電流指令値の上限値を求める請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記ブラシレスモータは3相ブラシレスDCモータである請求項1〜7のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 車両等の運転者のハンドル操作をアシストする電動パワーステアリング装置であって、
前記運転者の操舵を補助するブラシレスモータと、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のモータ制御装置により前記ブラシレスモータを駆動制御する手段と、
を備える電動パワーステアリング装置。 - 請求項9に記載の電動パワーステアリング装置を備えた電動パワーステアリングシステム。
- dq直交座標での電流ベクトル制御によってブラシレスモータを駆動するモータ制御方法であって、
前記ブラシレスモータの実電流よりq軸電流指令値およびd軸電流指令値を算出する工程と、
前記d軸電流指令値に第1のパラメータに応じた第1の乗算係数を乗じる第1の電流演算工程と、
前記第1の電流演算工程での演算結果と前記q軸電流指令値とを加算する第2の電流演算工程と、
前記第2の電流演算工程での演算結果に第2のパラメータに応じた第2の乗算係数を乗じる第3の電流演算工程と、
前記第3の電流演算工程の前回演算結果と今回演算結果を加算して積算電流値を求める第4の電流演算工程と、
前記積算電流値に基づいて前記q軸電流指令値の上限値を決定する工程と、
前記q軸電流指令値の上限値と前記q軸電流値指令値をもとにq軸電流指令制限値を求める工程と、
前記q軸電流指令制限値と前記第1のパラメータをもとにd軸電流指令制限値を求める工程と、
前記q軸電流指令制限値および前記d軸電流指令制限値に対して前記q軸電流値および前記d軸電流値に基づく電流フィードバック制御して前記ブラシレスモータを駆動する工程と、
を備えるモータ制御方法。
Priority Applications (1)
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JP2019235920A JP2021106450A (ja) | 2019-12-26 | 2019-12-26 | モータ制御装置およびモータ制御方法 |
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JP2019235920A JP2021106450A (ja) | 2019-12-26 | 2019-12-26 | モータ制御装置およびモータ制御方法 |
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Family Applications (1)
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JP2019235920A Pending JP2021106450A (ja) | 2019-12-26 | 2019-12-26 | モータ制御装置およびモータ制御方法 |
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2019
- 2019-12-26 JP JP2019235920A patent/JP2021106450A/ja active Pending
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