JP2021105415A - 流体機器用撤去治具 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、水道管の分岐口に装着されている防錆コアの一部が、流体管の外面よりも外方に突設されている場合には、ボルト締結具のボルト・ナットを、防錆コアの突出代以上のストロークで緩み操作する必要があるため、緩み操作により時間がかかるとともに、ボルト・ナットの螺合代が少ない場合には不測に螺合解除される可能性もある。
前記既設流体機器に外装可能な治具本体に、前記既設流体機器を構成する複数の既設分割筐体のうち、前記分岐口を密封する分岐口側装着領域の既設分割筐体を、前記流体管の外周面に押圧状態で締付け固定可能で、且つ、前記ボルト締結具の設置数よりも少数の締付け具と、分岐口側装着領域外に位置する他の既設分割筐体若しくは前記流体管の外面に当接して前記締付け具の締付け反力を受け止める反力受け部と、が備えられている点にある。
したがって、漏洩等の不具合が発生している既設流体機器を不断流状態で撤去する際、圧力流体の流出量を抑制しながら迅速、容易に撤去することができる。
〔第1実施形態〕
図2は、水道管等の流体管1の外面の機器設置領域1Aに、その機器設置領域1Aの管壁に形成されている分岐口2を密封状態(水密状態)で囲繞する分割構造の既設流体機器の一例であるサドル式の既設分岐栓3が取付けられている流体配管構造を示す。この流体配管構造では、従来から存在する複数種類のサドル式の既設分岐栓3の一つが用いられている。
サドル部31の管周方向両端部の上側フランジ31A及びバンド部32の管周方向両端部の下側フランジ32Aには、流体管1に装着されたサドル部31及びバンド部32を密封状態で締結するためのボルト締結具4の締結ボルト4Aに対するボルト挿通孔34が形成されている。サドル部31の両上側フランジ31Aとバンド部32の両下側フランジ32Aとは、ボルト締結具4の締結ボルト4A・ナット4Bの締結操作により流体管1に取付けられる。
撤去治具5は、図1、図3、図4に示すように、流体管1の既設分岐栓3に対して脱着自在に外装可能な略「門」の字型の金属製の治具本体51を有する。この治具本体51は、サドル部31の両上側フランジ31Aにおける先端間の管径方向幅よりも少し大なる間隔で配置される一対の脚部52と、両脚部52の上端に亘って一体的に連設される繋ぎ部53と、を備える。
両脚部52の各々は、管軸方向にボルト締結具4の締結ボルト4Aの頭部径よりも少し大なる間隔を隔てて配置される一対の縦側板52Aと、両縦側板52Aの上下二箇所に横向き姿勢で固着される横側板52Bとから構成されている。
繋ぎ部53は、既設分岐栓3の蓋部33Cが入り込み可能な下向き開口の凹部54を形成する略「コ」の字状の中央天材53Aと、中央天材53Aの両側の下端部分と両脚部52の上端部分とに亘って一体的に連設される略「L」字状の側方天材53Bと、各側方天材53Bの幅方向の中央位置に固着される補強板53Cとから構成されている。
締付け具55は、繋ぎ部53の中央天材53Aにおける管周方向及び管軸芯方向の中央位置に固着したナット部材55Aと、このナット部材55Aに対して上方から螺合し、且つ、螺進に伴って分岐栓本体33の蓋部33Cを上方から押圧する締付けボルト55Bと、を備える。
締付け具55の締付けボルト55Bによる締結状態から締結解除側への螺合ストロークは、ボルト締結具4の締結ボルト4Aによる締結状態から締結解除側への螺合ストロークよりも大に構成されている。
反力受け部56の反力受板56Aのうち、管軸芯方向で隣接する両反力受板56Aの管軸対向間隔W1は、ボルト締結具4の締結ボルト4Aの頭部径よりも少し大なる間隔に形成されている。この両反力受板56Aの管軸芯方向での対向間の空間は、ボルト締結具4の締結ボルト4Aに対する抜き出し口57に構成されている。
また、図1(b)、図4に示すように、反力受け部56の反力受板56Aのうち、管径方向で相対向する両反力受板56Aの管径対向間隔W2は、流体管1の外径よりも大に構成されている。
[1]撤去治具5の装着工程
図3、図4に示すように、撤去治具5の治具本体51の両脚部52を、流体管1における既設分岐栓3の側脇部位に上方から装着したのち、治具本体51を管軸芯方向に移動して既設分岐栓3に外装する。このとき、治具本体51の両脚部52に設けられた反力受け部56の反力受板56Aのうち、管径方向で相対向する両反力受板56Aの管径対向間隔W2は、流体管1の外径よりも大に構成されているので、流体管1に対して治具本体51を簡単に装着することができる。
治具本体51が既設分岐栓3の所定位置に外装された状態では、図4に示すように、治具本体51の繋ぎ部53に設けられた一つの締付け具55の締付けボルト55Bは、分岐栓本体33の蓋部33Cの中心線の上方位置に配置される。また、治具本体51の各脚部52の両反力受板56Aは、既設分岐栓3のボルト締結具4の管軸芯方向の両側位置で、且つ、バンド部32の両下側フランジ32Aの下面に当接可能な下方位置に配置される。
図5、図6に示すように、締付け具55の締付けボルト55Bを、それの先端を分岐栓本体33の蓋部33Cの上面に当て付けた状態で締付け操作する。これに伴って治具本体51が上昇し、治具本体51の各脚部52の両反力受板56Aが、バンド部32の両下側フランジ32Aの下面に当接する。さらに、締付けボルト55Bを、各反力受板56Aで締付け反力を受け止めながら締付け操作し、サドル部31を流体管1の外周面に押圧状態で固定する。これにより、分岐栓本体33側のサドル部31の内面で、且つ、分岐口2及び防錆コア6の周囲を密封する状態で設けられている止水用の第1ゴム輪35は、流体管1の外周面に密封状態で圧接される。
図7に示すように、ボルト締結具4の締結ボルト4A及びナット4Bを緩み操作して、サドル部31の両上側フランジ31A及びバンド部32の両下側フランジ32Aから撤去する。このとき、両反力受板56Aの対向間に形成されている抜き出し口57を通して螺合解除された締結ボルト4Aを容易に抜き出すことができる。
図8に示すように、分岐栓本体33側のサドル部31を流体管1の外周面に押圧状態で固定している一つの締付け具55の締付けボルト55Bを緩み操作する。これにより、サドル部31の両上側フランジ31Aとバンド部32の両下側フランジ32Aとの間隔を拡大する。締付けボルト55Bの緩み操作量は、既設分岐栓3及び撤去治具5を流体管1の外面に沿って管軸芯方向に人為力で押圧移動させることのできる程度の緩み操作量に設定する。
本実施形態では、流体管1の外面とサドル部31の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア6に管軸芯方向(撤去移動方向)で対応する部位の空隙の径方向寸法が、防錆コア6の突出寸法よりも大となる状態にまで、締付けボルト55Bを緩み操作する。
既設分岐栓3及び撤去治具5が機器撤去作業域1Bに移動されると、新設流体機器の一例で、流体管1の分岐口2を密封閉鎖状態で囲繞するサドル式の新設漏洩補修金具7(図10、図11参照)を取付ける。
この流体機器取替方法で用いられるサドル式の新設漏洩補修金具7は、図10、図11に示すように、流体管1に上下方向から挟持状態で装着可能な一対の半円筒状の新設分割筐体71,72と、両新設分割筐体71,72を流体管1に締結固定するための正規のボルト締結具(図示省略)と、を備える。本実施形態では、正規のボルト締結具のボルト締結操作箇所は、四箇所に設定されている。
尚、図10、図11では、新設漏洩補修金具7と機器取付治具8とをボルト連結するため、正規のボルト締結具のボルト長さよりも長尺な第2締結ボルト73Aを有する第2ボルト締結具73が用いられている。
両新設分割筐体71,72の円周方向両端部には、直径方向の外方側に突出する第2フランジ71A,72Aが一体形成されている。両新設分割筐体71,72の各第2フランジ71A,72Aには、図11に示すように、第2ボルト挿通孔75が形成されている。
上側の新設分割筐体71の両第2フランジ71Aと下側の新設分割筐体72の両第2フランジ72Aとは、正規のボルト締結具(又は第2ボルト締結具73)の締結操作により流体管1に取付けられる。
その後、撤去治具5の締付け具55の締付けボルト55Bを、それの先端が分岐栓本体33の蓋部33Cの上面から離間する状態にまで緩み操作する。この状態で、治具本体51に対して分岐栓本体33側のサドル部31及びバンド部32を管軸芯方向に抜き出すか、もしくは、分岐栓本体33側のサドル部31及びバンド部32に対して治具本体51を管軸芯方向に抜き出して撤去する。
図10、図11は、撤去治具5と、新設漏洩補修金具7を流体管1の外面に沿って管軸芯方向に人為力で移動操作するための金属製の機器取付治具8と、流体管1における既設分岐栓3から既設分岐栓3及び新設漏洩補修金具7の設定移動距離Lを離れた位置に設けられるストッパー部20と、を併用する流体機器取替方法を示す。
機器取付治具8は、図10〜図12に示すように、流体管1の仮設置領域1Cに新設漏洩補修金具7と一体状態で外装固定可能な取付治具本体81を備える。この取付治具本体81には、流体管1に対して新設漏洩補修金具7の上側の新設分割筐体71を密封状態に押圧して仮固定する仮固定部82と、両新設分割筐体71,72の第2フランジ71A,72Aに第2ボルト締結具73の第2締結ボルト73A及び押えナット83で連結される連結部84と、既設分岐栓3を管軸芯方向から押圧する第1押圧部85と、新設漏洩補修金具7を管軸芯方向から押圧する第2押圧部86と、が設けられている。
仮固定部82の仮固定操作箇所は、新設漏洩補修金具7の第2締結具の本固定操作箇所(四箇所)よりも少ない一箇所に設定されている。
取付治具本体81の第1押圧部85は、図12に示すように、連結板81Aにおける管軸芯方向の一端部に固着される第1押圧板85Aから構成されている。この第1押圧板85Aには、流体管1に上方から外装可能な半長円形状の第1装着凹部85Bが形成されている。第1押圧板85Aは、既設分岐栓3と新設漏洩補修金具7との間に配置され、既設分岐栓3の対向端面と新設漏洩補修金具7の対向端面とに面接触する。
ストッパー本体21の管周方向中央部及び管周方向両端部の各々には、ネジ中心が流体管1の管軸芯に向かう円筒状の雌ネジ部22が形成されている。各雌ネジ部22には、流体管1に外装されたストッパー部20を締結固定する固定ボルト23が螺合されている。
[6]新設漏洩補修金具7の装着工程
この新設漏洩補修金具7の装着工程は、第1実施形態の機器移動工程前の適宜段階で実行する。
図10、図11に示すように、流体管1の仮設置領域1Cに、新設漏洩補修金具7を構成する上側の新設分割筐体71と下側の新設分割筐体72を外装する。この上側の新設分割筐体71の第2フランジ71Aと下側の新設分割筐体72の第2フランジ72Aとを、正規のボルト締結具のボルト長さよりも長尺な第2ボルト締結具73の第2締結ボルト73A・第2ナット73Bで連結する。
この第2ボルト締結具73による両新設分割筐体71,72の連結は、新設漏洩補修金具7を流体管1の外面に沿って管軸芯方向に人為力(又は機械力)で押圧移動操作できる程度の緩みで連結する。この新設漏洩補修金具装着工程において、本実施形態では、図11に示すように、流体管1の外面と新設漏洩補修金具7の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア6に管軸芯方向で対応する部位の空隙の径方向寸法が、防錆コア6の突出寸法よりも大となる状態で、新設漏洩補修金具7を構成する両新設分割筐体71,72を流体管1の仮設置領域1Cに外装連結する工程を含む。
図11では、流体管1に対して新設漏洩補修金具7が自重で下降した状態にあるため、第2ボルト締結具73の緩み連結によって発生した空隙は、流体管1の外面と下側の新設分割筐体72の内面との間に現れている。
図10、図11に示すように、各連結片84Aのボルト挿通凹部84Bに挿通された第2締結ボルト73Aの上側ネジ部に押えナット83を螺合し、流体管1に外装された機器取付治具8を新設漏洩補修金具7に固定する。
また、機器取付治具8が新設漏洩補修金具7に取付けられた状態では、流体管1の外面と新設漏洩補修金具7における下側の新設分割筐体72の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア6に管軸芯方向で対応する部位は、防錆コア6の突出寸法よりも大なる空隙が形成されている。
ストッパー部20のストッパー本体21を、流体管1における既設分岐栓3から既設分岐栓3及び新設漏洩補修金具7の設定移動距離Lを離れた位置に外装する。ストッパー本体21の管周方向中央部及び管周方向両端部の各々に設けた固定ボルト23を締め付け操作して流体管1に固定する。
ボルト締結具4の撤去工程後において、分岐栓本体33側のサドル部31を流体管1の外周面に押圧固定している一つの締付け具55の締付けボルト55Bを緩み操作する。締付けボルト55Bの緩み操作量は、既設分岐栓3及び撤去治具5を流体管1の外面に沿って管軸芯方向に人為力で押圧移動させることのできる程度の緩み操作量に設定する。
本実施形態では、流体管1の外面とサドル部31の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア6に管軸芯方向(撤去移動方向)で対応する部位の空隙の径方向寸法が、防錆コア6の突出寸法よりも大となる状態にまで、締付けボルト55Bを緩み操作する。
これにより、既設分岐栓3のサドル部31及び新設漏洩補修金具7の上側の新設分割筐体71の持ち上げ操作を小さな力で容易に行うことができるとともに、既設分岐栓3及び新設漏洩補修金具7の移動操作をより能率良く容易に行うことができる。
この機器移動工程においては、機器取付治具8の第2押圧板86Aを管軸芯方向から人為力で押圧操作すると、押圧操作力が新設漏洩補修金具7の両新設分割筐体71,72に伝達される。同時に、押圧操作力が機器取付治具8の第1押圧板85Aを介して既設分岐栓3に伝達される。これにより、既設分岐栓3と新設漏洩補修金具7とを管軸芯方向に沿って確実に移動させることができる。
新設漏洩補修金具7を流体管1の機器設置領域1Aに締結固定する締結固定工程を実行する。この締結固定工程には、流体管1に対して新設漏洩補修金具7における上側の新設分割筐体71を密封状態に仮固定する仮固定工程と、仮固定されている新設漏洩補修金具7を流体管1に密封状態に締結固定する本固定工程と、が備えられている。
仮固定工程では、機器取付治具8の仮固定部82を構成する第2締付けボルト82Bを締め付け側に螺合操作し、上側の新設分割筐体71の内面における凹部71bの外周部位に装着した第2ゴム輪74を流体管1の外面に圧着して密封する。このとき、流体管1の分岐口2に装着されている防錆コア6の突出部の先端は、上側の新設分割筐体71に形成されている膨出突起部71Bの凹部71b内に入り込む。
機器取付治具8、既設分岐栓3、撤去治具5、ストッパー部20を流体管1から撤去する撤去工程を実行する。
機器取付治具8の撤去工程は、上述のように、新設漏洩補修金具7と機器取付治具8とのボルト連結部を構成する第2ボルト締結具73の第2締結ボルト73A・第2ナット73Bと押えナット83を取外し、新設漏洩補修金具7に用いられる正規のボルト・ナットに付け替えることにより、機器取付治具8は撤去される。
撤去治具5は、締付け具55の締付けボルト55Bを、それの先端が分岐栓本体33の蓋部33Cの上面から離間する状態にまで緩み操作する。その後、治具本体51に対して分岐栓本体33側のサドル部31及びバンド部32を管軸芯方向に抜き出すか、もしくは、分岐栓本体33側のサドル部31及びバンド部32に対して治具本体51を管軸芯方向に抜き出して撤去する。
ストッパー部20は、各固定ボルト23を緩み操作し、ストッパー本体21を流体管1から上方に抜き出して撤去する。
(1)上述の第2実施形態では、撤去治具5と機器取付治具8とを別々に構成したが、この撤去治具5と機器取付治具8とを一体的に構成してもよい。
1A 機器設置領域
2 分岐口
3 既設流体機器(既設分岐栓)
4 ボルト締結具
31 分割筐体(サドル部)
31A フランジ(上側フランジ)
32 分割筐体(バンド部)
32A フランジ(下側フランジ)
51 治具本体
55 締付け具
56 反力受け部
57 抜き出し口
Claims (5)
- 流体管の外周面の機器設置領域に、その機器設置領域の管壁に形成されている分岐口を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器が脱着自在に複数のボルト締結具で固定されている流体配管構造において、前記既設流体機器を不断流状態で撤去する流体機器用撤去治具であって、
前記既設流体機器に外装可能な治具本体に、前記既設流体機器を構成する複数の既設分割筐体のうち、前記分岐口を密封する分岐口側装着領域の既設分割筐体を、前記流体管の外周面に押圧状態で締付け固定可能で、且つ、前記ボルト締結具の設置数よりも少数の締付け具と、分岐口側装着領域外に位置する他の既設分割筐体若しくは前記流体管の外面に当接して前記締付け具の締付け反力を受け止める反力受け部と、が備えられている流体機器用撤去治具。 - 前記締付け具は、前記治具本体の中央部に一つだけ設けられている請求項1記載の流体機器用撤去治具。
- 前記締付け具による締結状態から締結解除側への螺合ストロークが、前記ボルト締結具による締結状態から締結解除側への螺合ストロークよりも大に構成されている請求項1又は2記載の流体機器用撤去治具。
- 前記治具本体の前記反力受け部は、分岐口側装着領域の前記既設分割筐体の両フランジに前記ボルト締結具で固定連結される分岐口側装着領域外の前記既設分割筐体の両フランジの外面の各々に当接し、前記両反力受け部の各々には、前記ボルト締結具のボルトに対する抜き出し口が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体機器用撤去治具。
- 前記治具本体の前記両反力受け部の対向間隔は、前記流体管の外径よりも大に構成されている請求項4記載の流体機器用撤去治具。
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