JP2021105384A - エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】始動時においてもピストンを良好に冷却できるエンジンを提供する。【解決手段】エンジンは、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5と、オイルポンプ20と、油路2と、を備える。低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5は、1つのピストンに向けてエンジンオイルを噴射する。油路2は、オイルポンプ20が吐出するエンジンオイルを低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5に導く。低圧オイル噴射部4は、第1閾値以上で開弁する第1バルブ41を有する。通常オイル噴射部5は、第1閾値より大きい第2閾値以上で開弁する第2バルブ51を有する。低圧オイル噴射部4は、通常オイル噴射部5より油路2の上流側に配置される。【選択図】図2
Description
本発明は、ピストンを冷却するためのピストン冷却構造を備えるエンジンに関する。
従来から、ピストンを冷却するために、ピストンに向けてエンジンオイルを噴射する、例えば特許文献1に開示されたようなオイル噴射部を設ける構成が知られている。特許文献1のオイル噴射部は、2段開閉式バルブ構造を有する。
一般的に、エンジンの始動直後は、エンジンオイルの油圧が十分に上昇しない。従って、上記特許文献1の構成では、エンジンの始動時又はその直後にオイル噴射部からピストンに対してエンジンオイルを適切に噴射することができないために、冷却効果が乏しい場合があった。従って、従来の構成は、ピストンが過熱するおそれがあるという点で改善の余地があった。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、始動時においてもピストンを良好に冷却できるエンジンを提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成のエンジンが提供される。即ち、このエンジンは、第1オイル噴射部及び第2オイル噴射部と、オイルポンプと、オイル通路と、を備える。前記第1オイル噴射部及び前記第2オイル噴射部は、同一のピストンに向けてエンジンオイルを噴射することが可能である。前記オイル通路は、前記オイルポンプが吐出するエンジンオイルを前記第1オイル噴射部及び前記第2オイル噴射部に導く。前記第1オイル噴射部は、第1油圧値以上で開弁する第1バルブを有する。前記第2オイル噴射部は、前記第1油圧値より大きい第2油圧値以上で開弁する第2バルブを有する。前記第1オイル噴射部は、前記第2オイル噴射部より前記オイル通路の上流側に配置される。
このように、第1オイル噴射部をオイル通路の上流側に設けるとともに、相対的に低い圧力で当該第1オイル噴射部が動作するように構成することで、エンジンの始動時において、エンジンオイルがオイル通路の下流側に到達する前でも、ピストンにエンジンオイルを噴射することができる。この結果、エンジンの始動時におけるピストンの過熱を回避することができる。
前記のエンジンは、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1バルブは、前記第1油圧値より大きい第3油圧値以上で閉弁する。前記第3油圧値は、前記第2油圧値より大きい。
これにより、エンジンの稼動中に、エンジンオイルの圧力が第1油圧値を上回っている限り、第1オイル噴射部と第2オイル噴射部の少なくとも何れかが動作するように確保することができる。従って、エンジンの稼動中において、ピストンの冷却を漏れなく行うことができる。
前記のエンジンは、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記オイル通路にオイルクーラ及び/又はオイルフィルタが配置されている。前記第1オイル噴射部は、前記オイル通路において、前記オイルクーラ及び/又は前記オイルフィルタの上流側に配置される。
これにより、油圧低下の原因となるオイルクーラ及び/又はオイルフィルタ等の抵抗を通過する前に、エンジンオイルを第1オイル噴射部に供給することができる。従って、エンジンの始動後の早いタイミングでピストンの冷却を開始することができる。
前記のエンジンは、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記オイル通路にオイルクーラ及び/又はオイルフィルタが配置されている。前記第1オイル噴射部は、前記オイル通路において、前記オイルクーラ及び/又は前記オイルフィルタの上流側で分岐させた分岐通路に配置される。前記分岐通路の下流側端部は、前記オイルクーラ及び/又は前記オイルフィルタより下流側の前記オイル通路と合流しない。
これにより、油圧低下の原因となるオイルクーラ及び/又はオイルフィルタ等の抵抗を通過する前に、エンジンオイルを第1オイル噴射部に供給することができ、エンジンの始動後の早いタイミングでピストンの冷却を開始することができる。また、分岐通路の下流側端部がオイル通路と接続されないので、第1オイル噴射部からの噴射に用いられないエンジンオイルがオイルクーラ及び/又はオイルフィルタを確実に通過することができる。
前記のエンジンにおいて、前記第1オイル噴射部と前記第2オイル噴射部は、同一の前記ピストンに対して互いに異なる側からエンジンオイルを噴射することが好ましい。
これにより、第1オイル噴射部及び第2オイル噴射部を配置するスペースを容易に確保することができる。
前記のエンジンは、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このエンジンは、シリンダブロックと、過給機と、を備える。前記シリンダブロックの内部には、エンジンオイルが流れるメインギャラリーが形成されている。前記メインギャラリーと前記過給機とを接続する前記オイル通路の部分に、第3バルブが配置されている。
これにより、第3バルブが閉弁している状態において、第3バルブより上流側のオイル通路と、過給機と、の間を遮断することができる。従って、第3バルブより上流側のオイル通路が外気に開放されない状態にすることができ、エンジンの停止中において、その内部(メインギャラリーを含む)がエンジンオイルにより充填された状態を維持することができる。この結果、エンジンの運転再開時において、エンジンの各部を早期に潤滑することができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン100の構成を示す斜視図である。
図1に示すエンジン100は、例えば、トラクタ等の農業機械及びスキッドステアローダ等の建設機械等に搭載されるディーゼルエンジンである。エンジン100は、例えば、4つの気筒を有する直列4気筒エンジンとして構成される。なお、気筒の数は、4つに限定されない。
初めに、エンジン100の基本的な構成について説明する。なお、以下の説明では、図1に示すエンジン100の上下方向を高さ方向と称する。エンジン100は平面視で細長い略長方形となっており、その長手方向は、クランク軸が延びる方向と一致している。以下の説明では、エンジン100の長手方向というときは、クランク軸の軸方向を意味する。また、高さ方向及び長手方向の何れとも直交する方向をエンジン100の幅方向と称する。
図1に示すように、エンジン100は、オイルパン11と、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、を備える。
オイルパン11は、エンジン100の下部(下側の端部)に設けられている。オイルパン11は、上部が開放された容器状に形成されている。オイルパン11の内部には、エンジン100を潤滑するためのエンジンオイル(潤滑油)が貯留されている。
オイルパン11に貯留されるエンジンオイルは、エンジン100に設けられた後述のオイルポンプ20により吸入された後にエンジン100の各部に供給される。エンジン100の各部を潤滑したエンジンオイルは、オイルパン11に戻される。
シリンダブロック12は、オイルパン11の上側に取り付けられている。シリンダブロック12の下部には、図略のクランク軸等を収容するための凹部が形成されている。シリンダブロック12の上部には、複数(本実施形態においては4つ)のシリンダ30が形成されている。4つのシリンダ30は、クランク軸の軸方向に沿って並べて配置されている。
それぞれのシリンダ30には、ピストン32が収容されている。シリンダ30の内部のピストン32は、上下方向に移動することができる。ピストン32は、図3に示すように、コンロッド34を介して、クランク軸と連結されている。コンロッド34は、ピストンピン35を介して、ピストン32に取り付けられる。クランク軸は、それぞれのシリンダ30においてピストン32が往復運動することにより回転する。
シリンダヘッド13は、シリンダブロック12の上側に取り付けられている。シリンダヘッド13及びシリンダブロック12により、燃料が燃焼する燃焼室がそれぞれのシリンダ30に対応して形成される。
シリンダヘッド13の上側には、図略のヘッドカバーが取り付けられている。ヘッドカバーの内部には、吸気弁及び排気弁を動作させるための図略のプッシュロッド及びロッカーアーム等からなる動弁機構が収容されている。
エンジン100の長手方向において、シリンダブロック12の一方側には、冷却ファン6が回転可能に取り付けられている。冷却ファン6は、クランク軸からの動力が伝達されることにより回転する。冷却ファン6は、回転することによって空気の流れを発生させ、エンジン100の冷却水を冷却するための図略のラジエータに空気を通過させるとともに、エンジン100に風を当てる。この結果、エンジン100が冷却される。
エンジン100の長手方向において、冷却ファン6と反対側には、フライホイールハウジング61が取り付けられている。図示しないが、フライホイールハウジング61の内部には、エンジン100のフライホイールが配置されている。
続いて、エンジンオイルの流れに着目しながら、本実施形態のエンジン100の構成について、図2等を参照して簡単に説明する。図2は、エンジン100におけるエンジンオイルの循環を説明するブロック図である。
本実施形態のエンジン100は、図2に示すように、エンジンオイルが流れる油路(オイル通路)2において、エンジンオイルが流れる方向における上流側から順に配置されたオイルポンプ20と、オイルクーラ21と、オイルフィルタ22と、を備える。
本実施形態のエンジン100においては、図4及び図5に示すように、油路2及びメインギャラリー23の大部分がシリンダブロック12の壁部に形成されている。これにより、エンジンオイルを通過させるための配管を少なくして、エンジン100の簡潔かつコンパクトな構成を実現することができる。
オイルポンプ20、オイルクーラ21、及びオイルフィルタ22は、図1に示すように、エンジン100の幅方向一方側(本実施形態においては吸気側)に配置されている。オイルポンプ20によりオイルパン11から吸入されたエンジンオイルは、オイルクーラ21で冷却された後、オイルフィルタ22で浄化されて、エンジン100のシリンダブロック12内に形成されたメインギャラリー23に供給される。
オイルポンプ20は、図1に示すように、フライホイールハウジング61側に配置されている。オイルポンプ20は、クランク軸からの動力が伝達されることにより回転し、オイルパン11からエンジンオイルを吸い上げる。
メインギャラリー23に供給されたエンジンオイルは、エンジン100の各部に供給される。エンジンオイルによって潤滑される各部は、例えば、図2に示す、カムメタル24、クランクメタル25、アイドルギア26、過給機27の図略のタービン、シリンダヘッド13、吸排気バルブ28等を含む。カムメタル24は、図略のカム軸を軸支する軸受である。クランクメタル25は、クランク軸を軸支する軸受である。アイドルギア26は、図略のアイドル軸により回転可能に支持され、図略のカムギア及びクランクギアと噛み合うギアである。過給機27は、排気ガスを利用してタービンを回転させ、これにより強制的に吸気を行う装置である。吸排気バルブ28は、シリンダヘッド13の吸気ポート及び排気ポートを開閉するバルブである。
本実施形態のエンジン100においては、シリンダ30内で上下往復運動するピストン32を冷却するための構成として、低圧オイル噴射部(第1オイル噴射部)4と、通常オイル噴射部(第2オイル噴射部)5と、を備える。それぞれのシリンダ30において(ひいてはそれぞれのピストン32に対して)、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5が1つずつ設けられている。1つのシリンダ30につき、1つの低圧オイル噴射部4と1つの通常オイル噴射部5が組をなすように設けられている。1つの組に属する低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5は、同一のピストン32に対してオイルを噴射することができる。
以下の説明においては、エンジン100の長手方向に並べて配置された4つのシリンダ30のうち、図4及び図5に示すように、シリンダ30のそれぞれを、フライホイールハウジング61に近い側から順に、第1シリンダ30a、第2シリンダ30b、第3シリンダ30c、第4シリンダ30dと称することがある。
これに応じて、第1シリンダ30aに対応して配置された低圧オイル噴射部4を第1低圧オイル噴射部4aと称し、第2シリンダ30bに対応して配置された低圧オイル噴射部4を第2低圧オイル噴射部4bと称し、第3シリンダ30cに対応して配置された低圧オイル噴射部4を第3低圧オイル噴射部4cと称し、第4シリンダ30dに対応して配置された低圧オイル噴射部4を第4低圧オイル噴射部4dと称することがある。
それぞれの低圧オイル噴射部4は、特にエンジン100の始動時において、シリンダブロック12の内部に形成されたシリンダ30内にエンジンオイルを噴射するために用いられる。低圧オイル噴射部4の噴射口は、ピストン32に向けられている。低圧オイル噴射部4は、エンジン100の幅方向において、オイルポンプ20等が配置された側(吸気側)に近い側に配置されている。低圧オイル噴射部4は、オイルポンプ20等が配置された側に近い側からシリンダ30の内部に(ピストン32に向けて)エンジンオイルを噴射する。これにより、ピストンピン35等の焼付きを防止することができる。
それぞれの低圧オイル噴射部4は、第1バルブ41を備える。第1バルブ41は、供給されるエンジンオイルの油圧が所定の第1閾値(第1油圧値)以上であって、所定の第3閾値(第3油圧値)を下回る場合、開弁するように構成されている。本実施形態の第1バルブ41は、バネによって作動する。しかし、これに限定されず、第1バルブ41は、例えば電磁弁のように電気制御によって作動しても良い。
前述の第1閾値は、エンジン100の停止時においては第1バルブ41が閉じることで低圧オイル噴射部4からのエンジンオイルの流出を阻止して、油路2内にエンジンオイルを保持できるように設定することが好ましい。第1閾値は、例えば15kPaに設定される。第3閾値は、後述の第2閾値(第2油圧値)より大きく設定することが好ましい。第3閾値は、例えば200kPaに設定される。
低圧オイル噴射部4のそれぞれは、図2に示すように、オイルポンプ20とオイルクーラ21との間(即ちオイルクーラ21の上流側)に配置されている。第1低圧オイル噴射部4a及び第2低圧オイル噴射部4bは、オイルポンプ20とオイルクーラ21との間の油路2と直接接続されている。第1低圧オイル噴射部4a及び第2低圧オイル噴射部4bは、油路2を経由してオイルポンプ20から供給されたエンジンオイルを、シリンダ30内のピストン32に向けて噴射する。
第3低圧オイル噴射部4c及び第4低圧オイル噴射部4dは、図2に示すように、分岐通路2aに直接接続されている。分岐通路2aは、オイルクーラ21より上流側であって、第2低圧オイル噴射部4bが接続された油路2の部分より下流側において、油路2から分岐している。第3低圧オイル噴射部4c及び第4低圧オイル噴射部4dは、油路2及び分岐通路2aを介してオイルポンプ20から供給されたエンジンオイルを、シリンダ30内のピストン32に向けて噴射する。
分岐通路2aの下流側端部には、第4低圧オイル噴射部4dが接続されているが、他の油路2と連通していない。従って、分岐通路2aに供給されたエンジンオイルは、第3低圧オイル噴射部4c又は第4低圧オイル噴射部4dで噴射される以外に用いられることはない。
分岐通路2aの高さは、油路2のうちシリンダブロック12に形成されたオイルポンプ20とオイルクーラ21との間に位置する部分とほぼ同じ高さとなっている。分岐通路2aは、油路2のうちオイルポンプ20とオイルクーラ21との間に位置する部分より、エンジン100の幅方向中央部に近い位置に形成されている。
分岐通路2aにおけるエンジンオイルの流れは、図4に概略的に示されている。図4においては、太い点線で示すエンジンオイルの流れを分かり易く示すために、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22等の部品を省略している。
図4に示すように、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22を通過したエンジンオイルは、エンジン100の冷却ファン6側において形成された油路2の部分を介して、図5に示す排気側に形成されたメインギャラリー23に流れる。
それぞれの通常オイル噴射部5は、エンジン100の通常稼動時において、シリンダブロック12の内部に形成されたシリンダ30内のピストン32に向けてエンジンオイルを噴射するために用いられる。通常オイル噴射部5は、エンジン100の幅方向において、オイルポンプ20等が配置された側とは反対側(排気側)に配置されている。即ち、通常オイル噴射部5は、低圧オイル噴射部4に対向するように配置され、低圧オイル噴射部4とは反対側からピストン32に向けてエンジンオイルを噴射する。
それぞれの通常オイル噴射部5は、第2バルブ51を備える。第2バルブ51は、供給されるエンジンオイルの油圧が所定第2閾値以上である場合、開弁するように構成されている。本実施形態の第2バルブ51は、バネによって作動する。しかし、これに限定されず、第2バルブ51は、例えば電磁弁のように、電気制御によって作動しても良い。
前述の第2閾値は、エンジン100が通常稼動しているとき、第2バルブ51が開弁するように設定されることが好ましい。第2閾値は、例えば150kPaに設定される。
特に寒冷地でエンジン100を停止させておいた場合、エンジンオイルの温度が低いため、動粘度が高くなる。この状態でエンジン100を始動させると、これに応じてオイルポンプ20も駆動されるが、エンジンオイルの流動性が十分でないため、油路2の下流側に接続された通常オイル噴射部5までエンジンオイルが到達するのに時間がかかる。
この点、本実施形態では、エンジン100の始動後、早いタイミングで第1バルブ41が開弁し、低圧オイル噴射部4がピストン32に向けてエンジンオイルを噴射することができる。これにより、エンジン100の始動後、通常オイル噴射部5が動作する前の間において、ピストン32の過熱を回避することができる。
低圧オイル噴射部4には、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22を通過する前のエンジンオイルが供給される。オイルクーラ21及びオイルフィルタ22での圧力損失の影響を受けないので、低圧オイル噴射部4へのエンジンオイルの供給はスムーズである。この意味でも、低圧オイル噴射部4によってピストン32を早期に冷却及び潤滑することができる。
エンジン100の回転が上昇して通常レベルに達する途中で、エンジンオイルの油圧が第2閾値に達すると、第2バルブ51が開弁し、通常オイル噴射部5が動作して、エンジンオイルをピストン32に向けて噴射する。
エンジンオイルの油圧が第2閾値以上であって、第3閾値より低い場合、第1バルブ41及び第2バルブ51の両方が開弁する。従って、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5の双方が動作し、エンジンオイルをピストン32に向けて噴射する。
エンジンオイルの油圧が第3閾値に達した場合、第1バルブ41が閉弁するので、低圧オイル噴射部4はエンジンオイルの噴射を停止する。従って、エンジンオイルをピストン32に向けて噴射するのは、通常オイル噴射部5だけとなる。低圧オイル噴射部4から噴射されるエンジンオイルは、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22の何れも通過していないため、冷却効率及び異物の観点を考慮すると、常に噴射することは好ましくない。この点、本実施形態では、エンジン100の回転が上昇して通常レベルに達すると、エンジンオイルの油圧が第3閾値を上回り、低圧オイル噴射部4が噴射を停止する。即ち、低圧オイル噴射部4からのエンジンオイルの噴射は、エンジンオイルの油圧が十分に上昇するまでの過渡的なものである。
図6には、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5が動作する圧力範囲がグラフの形で示されている。第2閾値が第3閾値よりも小さいので、低圧オイル噴射部4と通常オイル噴射部5の両方が動作する圧力範囲が存在する。図6のグラフから分かるように、エンジン100の稼動時(始動直後から停止までの間)において、エンジンオイルの油圧が第1閾値以上である限り、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5のうち少なくとも何れかが動作することになる。上述の圧力範囲の重複部分は、エンジンオイルの噴射に欠落が生じないようにするためのマージンと考えることができる。従って、ピストン32の過熱を安定的に防止することができる。
また、本実施形態のエンジン100においては、図2に示すように、メインギャラリー23と過給機27との間の油路2に第3バルブ33が配置されている。第3バルブ33は、例えば公知の逆止弁として構成される。過給機27はメインギャラリー23より高い位置に配置されているが、エンジン100の運転時においてはオイルポンプ20によりエンジンオイルが過給機27へ圧送される。エンジン100を停止させると、オイルポンプ20の駆動も停止される。過給機27の潤滑箇所(即ち、前述のタービン)は大気に開放されているが、第3バルブ33が閉じることで、当該第3バルブ33より上流側の油路2が大気に開放されない状態にすることができる。この結果、エンジンオイルが自重等により逆流するのを防止することができる。
エンジン100が停止されている間、第3バルブ33が閉じることにより、エンジンオイルが第3バルブ33のすぐ下流まで充填された状態を維持することができる。従って、エンジン100の停止後の再開時において、第3バルブ33のすぐ下流まで満たされていたエンジンオイルにより、エンジンの各部(過給機27を含む)を早期に潤滑することができる。
以上に説明したように、本実施形態のエンジン100は、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5と、オイルポンプ20と、油路2と、を備える。低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5は、同一のピストン32に向けてエンジンオイルを噴射することが可能である。油路2は、オイルポンプ20が吐出するエンジンオイルを低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5に導く。低圧オイル噴射部4は、第1閾値以上で開弁する第1バルブ41を有する。通常オイル噴射部5は、第1閾値より大きい第2閾値以上で開弁する第2バルブ51を有する。低圧オイル噴射部4は、通常オイル噴射部5より油路2の上流側に配置される。
このように、低圧オイル噴射部4を油路2の上流側に設けるとともに、相対的に低い圧力で低圧オイル噴射部4が動作するように構成することで、エンジン100の始動時において、エンジンオイルが油路2の下流側に到達する前でも、ピストン32にエンジンオイルを噴射することができる。この結果、エンジン100の始動時におけるピストン32の過熱を回避することができる。
また、本実施形態のエンジン100において、第1バルブ41は、第1閾値より大きい第3閾値以上で閉弁する。第3閾値は、第2閾値より大きい。
これにより、エンジン100の稼動中に、エンジンオイルの圧力が第1閾値を上回っている限り、低圧オイル噴射部4と通常オイル噴射部5のうち少なくとも何れかが動作するように確保することができる。従って、エンジン100の稼動中において、ピストン32の冷却を漏れなく行うことができる。
また、本実施形態のエンジン100において、油路2にオイルクーラ21及びオイルフィルタ22が配置されている。低圧オイル噴射部4は、油路2において、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22の上流側に配置される。
これにより、油圧低下の原因となるオイルクーラ21及びオイルフィルタ22等の抵抗を通過する前に、エンジンオイルを低圧オイル噴射部4に供給することができる。従って、エンジン100の始動後の早いタイミングでピストン32の冷却を開始することができる。
また、本実施形態のエンジン100において、低圧オイル噴射部4は、油路2において、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22の上流側で分岐させた分岐通路2aに配置される。分岐通路2aの下流側端部は、オイルフィルタ22より下流側の油路2と合流しない。
これにより、油圧低下の原因となるオイルクーラ21及びオイルフィルタ22等の抵抗を通過する前に、エンジンオイルを低圧オイル噴射部4に供給することができる。従って、エンジン100の始動後の早いタイミングでピストンの冷却を開始することができる。また、分岐通路2aの下流側端部が油路2と接続されないので、低圧オイル噴射部4からの噴射に用いられないエンジンオイル(例えば、将来的に通常オイル噴射部5から噴射されるエンジンオイル)がオイルクーラ21及びオイルフィルタ22を確実に通過することができる。
また、本実施形態のエンジン100において、低圧オイル噴射部4と通常オイル噴射部5は、同一のピストン32に対して互いに異なる側からエンジンオイルを噴射する。
これにより、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5を配置するスペースを容易に確保することができる。
また、本実施形態のエンジン100は、シリンダブロック12と、過給機27と、を備える。シリンダブロック12の内部には、エンジンオイルが流れるメインギャラリー23が形成されている。過給機27は、排気ガスを利用して吸気を行う。メインギャラリー23と過給機27とを接続する油路2の部分には、第3バルブ33が配置されている。
これにより、第3バルブ33が閉弁している状態において、第3バルブ33より上流側の油路2と、過給機27と、の間を遮断することができる。従って、第3バルブ33より上流側の油路2が外気に開放されない状態にすることができ、エンジン100の停止中において、その内部(メインギャラリー23を含む)がエンジンオイルにより充填された状態を維持することができる。この結果、エンジン100の運転再開時において、エンジン100の各部を早期に潤滑することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
分岐通路2aは、その下流側端部が、オイルクーラ21より上流側の油路2と接続するように形成されても良い。
オイルクーラ21及びオイルフィルタ22等がエンジン100の排気側に設けられても良い。この場合、低圧オイル噴射部4も排気側に設けられ、通常オイル噴射部5が吸気側に設けられる。
オイルクーラ21及びオイルフィルタ22等が、エンジン100から離れた場所に設置されても良い。この場合、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22等と、エンジン100と、の間を、適宜の配管等により接続することができる。
4つの低圧オイル噴射部4の全てを、オイルクーラ21の上流側の油路2に直接接続しても良い。この場合、分岐通路2aを省略することができる。
低圧オイル噴射部4は、オイルクーラ21及びオイルフィルタ22の下流側に配置されても良い。
エンジン100の気筒の数を変更した場合、それに応じて、低圧オイル噴射部4及び通常オイル噴射部5の数を変更することもできる。
2 油路(オイル通路)
4 低圧オイル噴射部(第1オイル噴射部)
41 第1バルブ
5 通常オイル噴射部(第2オイル噴射部)
51 第2バルブ
32 ピストン
100 エンジン
4 低圧オイル噴射部(第1オイル噴射部)
41 第1バルブ
5 通常オイル噴射部(第2オイル噴射部)
51 第2バルブ
32 ピストン
100 エンジン
Claims (6)
- 同一のピストンに向けてエンジンオイルを噴射することが可能な第1オイル噴射部及び第2オイル噴射部と、
オイルポンプと、
前記オイルポンプが吐出するエンジンオイルを前記第1オイル噴射部及び第2オイル噴射部に導くオイル通路と、
を備え、
前記第1オイル噴射部は、第1油圧値以上で開弁する第1バルブを有し、
前記第2オイル噴射部は、前記第1油圧値より大きい第2油圧値以上で開弁する第2バルブを有し、
前記第1オイル噴射部は、前記第2オイル噴射部より前記オイル通路の上流側に配置されることを特徴とするエンジン。 - 請求項1に記載のエンジンであって、
前記第1バルブは、前記第1油圧値より大きい第3油圧値以上で閉弁し、
前記第3油圧値は、前記第2油圧値より大きいことを特徴とするエンジン。 - 請求項1又は2に記載のエンジンであって、
前記オイル通路にオイルクーラ及び/又はオイルフィルタが配置されており、
前記第1オイル噴射部は、前記オイル通路において、前記オイルクーラ及び/又は前記オイルフィルタの上流側に配置されることを特徴とするエンジン。 - 請求項1又は2に記載のエンジンであって、
前記オイル通路にオイルクーラ及び/又はオイルフィルタが配置されており、
前記第1オイル噴射部は、前記オイル通路において、前記オイルクーラ及び/又は前記オイルフィルタの上流側で分岐させた分岐通路に配置され、
前記分岐通路の下流側端部は、前記オイルクーラ及び/又は前記オイルフィルタより下流側の前記オイル通路と合流しないことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から4までの何れか一項に記載のエンジンであって、
前記第1オイル噴射部と前記第2オイル噴射部は、同一の前記ピストンに対して互いに異なる側からエンジンオイルを噴射することを特徴とするエンジン。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載のエンジンであって、
エンジンオイルが流れるメインギャラリーが内部に形成されているシリンダブロックと、
過給機と、
を備え、
前記メインギャラリーと前記過給機とを接続する前記オイル通路の部分に、第3バルブが配置されていることを特徴とするエンジン。
Priority Applications (1)
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2019
- 2019-12-27 JP JP2019237608A patent/JP2021105384A/ja active Pending
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