JP2021100892A - 中空粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル中で白色を維持する中空粒子を安価で簡便な方法で提供する。【解決手段】コア粒子、水溶性塩及び水を含み、水溶性塩濃度は1.0モル/L以上であるコア粒子分散液を作製し、コア粒子分散液の温度を50℃以下に保ちながら、かつ、コア粒子の単位表面積当たりのシリカ被覆量が0.02g/m2以上となるように、コア粒子分散液にシリカ原料を一括又は分割して添加し、コア粒子にシリカを被覆させ、中空粒子前駆体を作製し、中空粒子前駆体からコア粒子を除去し中空粒子を作製する、中空粒子の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、中空粒子の製造方法に関する。
シリカ原料から作製される中空粒子は、シリカで形成されるシェル層の内部に空隙を有する粒子である。中空粒子は、その粒子径、シェル層の細孔構造、表面物性の多様性等から、化粧料、断熱材、塗料、触媒、触媒担体、樹脂充填剤、吸着剤、ドラッグデリバリー、光学フィルター等に広く使用されている。また、中空形状による低屈折率性から、反射防止塗膜材料としても有用である。また、粒子径によっては、その光散乱性から白色顔料としても有用である。
中空粒子は、コア粒子の表面にシリカを付着させ、シリカが被覆したコア粒子を得て、その後に、コア粒子を除去することで得ることができる。
中空粒子の製造方法の一例では、水中油型エマルションにシリカ原料を添加し、油滴にシリカ原料を付着させ、その後に加熱分解等によって油滴を除去することで、中空粒子が得られる。他の例では、炭酸カルシウム等の固体粒子の水分散液にシリカ原料を添加し、固体粒子にシリカ原料を付着させ、その後に酸又はアルカリによって固体粒子を除去することで、中空粒子が得られる。
特許文献1では、水、塩化ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムを含む初期容器底部装入物をpH9で撹拌し、続いて、ケイ酸ナトリウム水溶液、硫酸水溶液を添加し、熟成、ろ過、乾燥することで、乾燥粒子を得て、この乾燥粒子を濃塩酸で処理して炭酸カルシウムを除去し、中空シリカ粒子を製造する方法が提案されている。
特許文献2には、遮蔽性が高く、光の乱反射作用を備える化粧料を提供するために、コア粒子分散液にシリカ前駆体物質を添加し、加水分解縮合反応させてコア粒子の表面にシリカを形成してから、コア粒子を除去して、中空シリカ粒子を製造する方法が提案されている。
特表2000−500113号公報 WO2016/152872号
特許文献1には、初期容器底部装入物で80〜98℃で保持し、ケイ酸ナトリウム水溶液等を添加して80〜98℃で保持することが開示されている。また、特許文献1には、初期容器底部装入物1リットル当たり少なくとも0.4モルのアルカリ金属イオンに相当する電解質塩を用いることが開示されている。特許文献1の例1では、容器底部装入物1リットル当たり0.68モルのナトリウムに相当する塩化ナトリウムが用いられている。
ところで、中空粒子をオイル中に分散させる用法では、中空粒子の中空部にオイル成分が混入しないことで、オイル中での白色度を維持することができる。
このようなオイル中で白色度を維持する中空粒子は、光の乱反射によって遮蔽性を高めることができるため、化粧料や塗料等の用途に好ましく用いることができる。また、オイル成分が中空部に混入しないことで、中空粒子を含む組成物の嵩密度を小さくすることができ、軽量化が要求される用途にも好ましく用いることができる。
特許文献1の方法では、オイル中での白色度が十分に得られない問題がある。
特許文献2の方法では、中空粒子の合成に有機溶媒を使用したり、シリカ源に高価なシリコンアルコキシドを使用したり、シリカに有機基を結合させる処理をせざるを得ない問題がある。有機溶媒の使用においては、引火・爆発の危険性、VOCガスの発生による安全面の管理が必要となる。また、廃液も高額な廃棄費用や燃焼焼却による多量の炭酸ガスの発生により地球温暖化を促進させる。
本発明の一目的としては、オイル中で白色を維持する中空粒子を安価で簡便な方法で得ることである。
本発明は、以下を要旨とする。
[1]コア粒子、水溶性塩及び水を含み、前記水溶性塩濃度は1.0モル/L以上であるコア粒子分散液を作製し、前記コア粒子分散液の温度を50℃以下に保ちながら、かつ、前記コア粒子の単位表面積当たりのシリカ被覆量が0.02g/m以上となるように、前記コア粒子分散液にシリカ原料を一括又は分割して添加し、前記コア粒子にシリカを被覆させ、中空粒子前駆体を作製し、前記中空粒子前駆体から前記コア粒子を除去し中空粒子を作製する、中空粒子の製造方法。
[2]前記水溶性塩は、LiCl、NaCl、及びKClからなる群から選択される1種以上である、[1]に記載の中空粒子の製造方法。
[3]前記水溶性塩はNa塩である、[1]に記載の中空粒子の製造方法。
[4]前記中空粒子前駆体を作製する工程はpH8〜11で行う、[1]から[3]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[5]前記コア粒子分散液へ前記シリカ原料を分割して添加し、前記シリカ原料を分割して添加する間にpH調整剤を一括又は分割で添加してpH8〜11に調整する、[4]に記載の中空粒子の製造方法。
[6]前記コア粒子は、固体粒子を含む、[1]から[5]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[7]前記コア粒子は、炭酸カルシウムを含む、[1]から[6]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[8]前記コア粒子は、前記コア粒子分散液中に液滴として存在する、[1]から[5]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[9]前記シリカ原料は、アルカリ金属ケイ酸塩を含む、[1]から[8]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[10]得られる中空粒子のアルカリ金属濃度は、中空粒子全量に対して1.0〜5000質量ppmである、[1]から[9]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[11]得られる中空粒子は、平均粒子径が20nm〜500μmである、[1]から[10]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[12]得られる中空粒子は、シェル層の厚さが5〜200nmである、[1]から[11]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[13]得られる中空粒子は、BET比表面積が50〜900m/gである、[1]から[12]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[14]得られる中空粒子は、吸油量が50〜1500mL/100gである、[1]から[13]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[15]得られる中空粒子は、嵩密度が0.010〜0.300g/cmである、[1]から[14]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[16]前記中空粒子をアルカリ金属塩を含む液体で洗浄する、[1]から[15]のいずれかに記載の中空粒子の製造方法。
[17][1]から[16]のいずれかに記載の製造方法で得られた中空粒子をさらに焼成する、焼成中空粒子の製造方法。
本発明によれば、オイル中で白色を維持する中空粒子を、安価で簡便な方法で得られる。
以下、本発明について説明するが、以下の説明における例示によって本発明は限定されない。
本発明の中空粒子の製造方法としては、コア粒子、水溶性塩及び水を含み、水溶性塩濃度は1.0モル/L以上であるコア粒子分散液を作製し、コア粒子分散液の温度を50℃以下に保ちながら、かつ、コア粒子の単位表面積当たりのシリカ被覆量が0.02g/m以上となるように、コア粒子分散液にシリカ原料を一括又は分割して添加し、コア粒子にシリカを被覆させ、中空粒子前駆体を作製し、中空粒子前駆体からコア粒子を除去し中空粒子を作製することを特徴とする。
これによれば、オイル中で白色を維持する中空粒子を安価で簡便な方法で得ることができる。
本発明による中空粒子は、シェル層とその内部の中空部とを備え、溶媒や外部からの異物が内部の中空部に侵入しにくくできる。例えば、中空粒子をオイル成分と混合して用いる場合に、中空粒子のシェル層へのオイル成分の侵入を抑制し、中空粒子の内部へのオイル成分の侵入を防止できる。オイル成分としては、シリコーンオイルや、炭化水素溶剤、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸等がある。
コア粒子分散液の水溶性塩濃度が1.0モル/L以上であることで、反応中にコア粒子の表面に析出したシリカ層の再溶解・析出速度を上昇させ、オイルを通し難いシェル層を形成することができる。ここで、水溶性塩濃度は、水溶液1Lに対する溶質のモル数である。
コア粒子分散液へのシリカ原料の添加時の温度(分散液の温度)は50℃以下であることで、オイル中でより白色を維持するシェル層を得ることができる。
従来の方法では、コア粒子分散液にシリカ原料を添加する際の温度が高いことで、シェル層が全体的に疎な構造となって、オイルが浸透しやすいと考えられる。
これに対して、コア粒子分散液の水溶性塩の濃度が高い場合では、コア粒子分散液へのシリカ原料の添加時の温度を50℃以下に制限することで、オイルの浸透を抑制するシェル層を得ることができる。
本発明の製造方法は、コア粒子分散液を作製する工程を含む。
コア粒子分散液は、コア粒子、水溶性塩、及び水を含み、水溶性塩濃度が1.0モル/L以上である。
水溶性塩濃度は、コア粒子分散液に含まれる水溶性塩溶液に対し、1.0モル/L以上が好ましく、より好ましくは1.5モル/L以上であり、さらに好ましくは2.0モル/L以上である。これによって、反応中にコア粒子表面に析出したシリカ層の再溶解・析出速度を上昇させ、オイル成分が侵入しにくいシェル層を得ることができる。
水溶性塩濃度は、コア粒子分散液に含まれる水溶性塩溶液に対し、15.0モル/L以下が好ましく、より好ましくは10.0モル/L以下であり、さらに好ましくは5.0モル/L以下である。例えば、この水溶性塩の濃度は、使用する水溶性塩の飽和溶解量の98質量%以下であることが好ましい。
一例では、水に水溶性塩を添加し、水溶性塩の濃度を上記好ましい範囲に調節し、その後に、固体状のコア粒子を添加し分散させ、コア粒子分散液を得ることができる。
コア粒子を予め分散させたプレ分散液を用いる場合は、水に水溶性塩とともにプレ分散液を添加し、プレ分散液中の水を含めた水の合計量に対し水溶性塩の濃度を上記好ましい範囲に調節し、コア粒子分散液を得ることができる。
水溶性塩の溶解度は、室温(23℃)で、水100gに対して、5g/100g以上が好ましく、10g/100g以上がより好ましい。水溶性塩の溶解度は、室温(23℃)で、水100gに対して、80g/100g以下が好ましく、50g/100g以下がより好ましい。
水溶性塩としては、例えば、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、塩酸塩、リン酸塩等の水溶性無機塩;クエン酸塩、フマル酸塩等の水溶性有機塩が挙げられる。
なかでも、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としては、Li、Na、K等の塩を好ましく用いることができ、Na塩が特に好ましい。
水溶性塩の具体例としては、LiCl、NaCl、KClが好ましく、より好ましくはNaClである。
水溶性塩は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
コア粒子としては、水中で固体状又は液滴状で存在することができ、その表面にシリカが付着するものであり、コア粒子表面にシリカを付着後にコア粒子を除去できるものであればよい。
固体状のコア粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、アルミン酸ナトリウム、塩基性炭酸亜鉛等の酸溶解性無機粒子;スチレン樹脂、アクリル樹脂等の熱分解性有機粒子;硫化亜鉛、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の光溶解性無機粒子等が挙げられる。
なかでも、炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムは、ステアリン酸やオレイン酸、アクリル酸等の脂肪酸等によって表面処理されていてもよい。
コア粒子の平均一次粒子径は、目的とする中空粒子の粒子径及び空洞部の直径に応じて適宜設定することができるが、例えば、10nm〜20μmが好ましく、20nm〜2μmがより好ましく、50nm〜1μmがさらに好ましく、100nm〜500nmが一層好ましい。
コア粒子の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、所定範囲内に含まれるコア粒子の直径の平均値で表される。
コア粒子分散液として、水を含む連続相に有機溶剤を含む液滴が分散している水中油型エマルションを用いることができ、液滴をコア粒子として用いることができる。
この場合、液滴を形成する有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−ペンタン、イソペンタン、n−デカン、イソデカン、n−ドデカン、イソドデカン、ペンタデカン等の脂肪族炭化水素類、もしくはそれらの混合物であるパラフィン系基油;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素類、もしくはそれらの混合物であるナフテン系基油;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、スチレン等の芳香族炭化水素類;プロピルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、乳酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル等のエステル類;パーム油、大豆油、菜種油等の植物油等が挙げられる。
これらは単独で、又は、単一相で油相を形成する範囲で2種以上を組み合わせて用いてもよい。
コア粒子としての液滴の平均粒子径は、目的とする中空粒子の粒子径及び空洞部の直径に応じて適宜設定することができるが、例えば、10〜1000nmが好ましく、100〜500nmがより好ましい。
液滴の平均粒子径は、動的光散乱法で測定される。
コア粒子分散液の分散媒は水であるが、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤は、分散媒全量に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコールのグリコール類等が挙げられる。
コア粒子分散液において、コア粒子濃度は、コア粒子分散液全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
コア粒子分散液は、コア粒子添加後に、撹拌・解砕することで分散性をより高めることができる。コア粒子分散液の作製工程は、特に制限されないが、液温が10〜98℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。続く中空粒子前駆体の作製工程では、液温が50℃以下が好ましいことから、コア粒子分散液の作製工程においても、液温が50℃以下であることが好ましい。
次に、コア粒子分散液にシリカ原料を添加し、中空粒子前駆体を作製する工程について説明する。
中空粒子前駆体は、コア粒子にシリカを被覆させた状態のものである。中空粒子前駆体は粒子状であり、液中に分散した状態であってもよく、液中に沈降した状態であってもよい。
シリカ原料としては、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩、コロイダルシリカ、活性ケイ酸、酸性珪酸液等が挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられ、中でも入手の容易さ、経済的理由によりケイ酸ナトリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムは、SiO/NaOのモル比nで1.0〜4.0が好ましく、さらには2.0〜3.5が好ましい。
中空粒子前駆体の作製では、液温が50℃以下で行う。より好ましくは40℃以下である。これによって、オイル成分が侵入しにくいシェル層を得ることができる。
この中空粒子前駆体を含む液体の温度は、シリカ原料および/又はpH調整剤の添加開始から添加終了までの間、50℃以下に制御されることが好ましい。特に、シリカ原料又はpH調整剤の添加開始から、シリカ原料および/又はpH調整剤の添加量が80質量%になるまでの間は、50℃以下に制御されることが好ましい。pH調整剤には、塩酸、硫酸、硝酸等の酸性のpH調整剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性のpH調整剤を用いることができる。
中空粒子前駆体の作製では、液温は、0℃以上が好ましいが、5℃以上であってもよく、10℃以上であってもよい。
中空粒子前駆体の作製では、シリカ原料は、コア粒子の単位表面積当たりのシリカ被覆量が0.02g/m以上となるように配合される。より好ましくは0.025g/m以上であり、さらに好ましくは0.03g/m以上である。
これによって、中空粒子の中空部へのオイル成分の侵入をより防ぐことができる。上限は特に制限されないが、例えば0.3g/m以下である
コア粒子分散液へシリカ原料を添加し中空粒子前駆体を作製する工程は、pH8.0〜11.0で行うことが好ましい。pH調整は、上記したpH調整剤によって行うことが好ましい。
一方法では、pH調整は、コア粒子分散液へシリカ原料の全量を一括又は分割して添加した後に、pH調整剤を一括又は分割して添加しpH調整することができる。
他の方法では、pH調整は、コア粒子分散液へシリカ原料を分割して添加し、シリカ原料を分割して添加する間に、pH調整剤を一括又は分割して添加しpH調整することができる。
これによって、シリカ原料を添加することでpHが変動するが、pH調整剤によって適正なpH範囲に調整することができる。また、pH調整剤は、時間をかけて分割して徐々に添加することが好ましい。これによって、反応系でのpHの変動をより精密に制御することができる。
シリカ原料として、アルカリ金属ケイ酸塩を用いる場合、アルカリ金属ケイ酸塩の添加によってpHがアルカリ性になるが、酸を添加することで、pHを10.5以下に制御することが好ましい。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、過塩素酸、臭化水素酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
コア粒子分散液にアルカリ金属ケイ酸塩を添加した後に、酸を添加して、液体のpHを6.0〜10.5とすることがより好ましく、さらに好ましくは8.0〜10.0である。
前駆体を作製した後に、反応液を熟成してもよい。熟成によって、コア粒子へシリカをより付着させるようにして、オイル浸透抑制能力を向上することができる。
熟成は、反応液をpH2〜12にして行うことが好ましく、pH2〜5あるいは8〜12で行うことがさらに好ましい。pH調整のために、反応液に塩酸、硫酸、硝酸等の酸性のpH調整剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性のpH調整剤を添加してもよい。
熟成は、50〜95℃で、0.5〜72時間かけて行うことが好ましい。
次に、中空粒子前駆体からコア粒子を除去し中空粒子を作製する工程について説明する。
中空粒子は、コア粒子が除去されることで、シェル層とその内部の中空部とを備える構造になる。
一例では、中空粒子前駆体を含む液体に、酸又はアルカリ等のコア粒子を溶解しシリカを溶解しない成分を添加し、コア粒子を除去することができる。コア粒子を除去した後に、中空粒子を含む液体を固液分離し、中空粒子を取り出すことができる。固液分離には、ろ過、遠心分離等を用いることができる。固液分離・洗浄後の中空粒子を乾燥することで、中空粒子内部に含まれる液体を除去することができる。中空粒子の乾燥は、60〜300℃で行うことができる。
酸としては水溶性の酸を好ましく用いることができ、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、過塩素酸、臭化水素酸等が挙げられる。
アルカリとしては水溶性のアルカリを好ましく用いることができ、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
中空粒子は、さらに焼成して焼成中空シリカを得ることができる。焼成によって、シェル層をより緻密にしオイル浸透を抑制することができ、また、揮発成分を除去してより純度を高めることができる。
例えば、中空粒子の焼成は、300〜1100℃で、30〜600分間で行うことができる。中空粒子の焼成は、中空粒子を乾燥し、水分を除去してから行うことが好ましい。
中空粒子は、固液分離後に、任意に洗浄することができる。洗浄溶媒には水を用いることができる。アルカリ金属塩を含む液体によって中空粒子を洗浄することが好ましい。アルカリ金属塩としては水溶性塩が好ましく、例えばLi、Na、K等の塩が挙げられる。なかでも、NaCOの水溶液を用いて中空粒子を洗浄することが好ましい。アルカリ金属塩としては水溶性塩中のアルカリ金属塩濃度は1.0×10−8モル/L以下であることが好ましい。
アルカリ金属塩を含む液体によって洗浄した中空粒子は、シェル層のオイル浸透の抑制能力をより高めることができる。さらに、アルカリ金属塩を含む液体によって洗浄した中空粒子は、焼成処理を経ることで、シェル層の緻密性をより高めオイル浸透の抑制能力を向上させることができる。
他の例では、中空粒子前駆体を含む液体から固液分離によって中空粒子前駆体を取り出し、加熱によって内部のコア粒子を除去することができる。コア粒子の種類によって異なるが、有機溶剤から形成される液滴状のコア粒子を除去するためには、加熱温度300℃〜800℃、特に400℃〜600℃で、加熱時間1〜8時間、特に3〜6時間で中空粒子前駆体を加熱することが好ましい。
得られた中空粒子や焼成中空粒子は、乾燥や焼成の工程により凝集していることがあるため、取り扱いやすい粒子径にするために解砕しても良い。解砕の方法としては、例えば、乳鉢を使う方法、乾式あるいは湿式のボールミルを使う方法、振とう式篩を使う方法、ピンミル、カッターミル、ハンマーミル、ナイフミル、ローラーミルなどの解砕機を使う方法等がある。
上記の本発明の製造方法によって製造される中空粒子は、下記の特性を有することが好ましい。また、本発明の中空粒子の製造方法によれば、下記の特性を有する中空粒子を好ましく製造することができる。
中空粒子は、シェル層の内部に1つまたは複数の中空部を備える粒子である。中空粒子の外観形状としては、真球、楕円球等の球状、四面体、立方体、直方体等の多面体状、繊維状、あるいはこれらが組み合わされた形状等が挙げられる。中空粒子の中空部の形状は、真球、楕円球等の球状、四面体、立方体、直方体等の多面体状、繊維状、あるいはこれらが組み合わされた形状等が挙げられる。
コア粒子が球状又は多面体状である場合は、コア粒子をシリカ原料によって被覆して、中空粒子を製造することで、外観形状が球状又は多面体であり、中空部が球状又は多面体状である中空粒子を得ることができる。
得られる中空粒子がシェル層の内部に空隙を持つことは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により確認できる。TEM観察によって確認できる、内部に1つの空隙を持つ粒子を「一次粒子」と定義する。シリカ被覆工程や乾燥、焼成の工程によって一次粒子同士が一部結合するため、得られた中空粒子は一次粒子が凝集した二次粒子の集合体となっていることが多い。
一次粒子の空隙の大きさは、TEM観察によりその粒子径を直接観察することによって求められる。具体的には、個々の一次粒子の空隙の大きさを測定し、それらを集計して得られた一次粒子の空隙の大きさの分布から測定することができる。
中空粒子の一次粒子の空隙の大きさの平均値は10nm〜1000nmが好ましく、20nm〜900nmがより好ましく、50nm〜800nmがさらに好ましく、100nm〜500nmが一層好ましい。
中空粒子の粒子径は、20nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上であり、さらに好ましくは50nm以上である。
中空粒子の粒子径は、500μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。
中空粒子の粒子径は、分散媒中における中空粒子の平均粒子径であり、レーザー回折/散乱法で測定することができる。
中空粒子のシェル層の厚さは、5nm以上が好ましく、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは15nm以上である。これによって、中空部にオイル成分が侵入しにくい中空粒子を得ることができる。
中空粒子のシェル層の厚さは、200nm以下が好ましく、より好ましくは150nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。
シェル層の厚さは、中空粒子を透過型電子顕微鏡にて観察し、10個の粒子を無作為に選び出し、各中空粒子のシェル層の厚さを測定し、10個の中空粒子のシェル層の厚さを平均した値である。
中空粒子のBET比表面積は、900m/g以下が好ましく、より好ましくは700m/g以下であり、さらに好ましくは500m/g以下である。
中空粒子のBET比表面積は、50m/g以上が好ましく、より好ましくは100m/g以上である。
ここで、BET比表面積の測定は、島津製作所社製の比表面積測定装置「トライスターII3020」を用い、前処理として230℃で50mTorrとなるまで乾燥させた後、窒素ガスを用いた多点法で測定することができる。
中空粒子の嵩密度は、0.400g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.300g/cm以下である。
中空粒子の嵩密度は、0.010g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.015g/cm以上である。
ここで、嵩密度は、100cmのメスシリンダーに粉体を入れ、嵩が変わらなくなるまでタッピングし、その時の体積と質量から求めることができる。
中空粒子は、シリカを主成分とする。シリカは、中空粒子全量に対し、90質量%以上が好ましく、95〜100質量%がより好ましい。
中空粒子は、Li、Na、K、Fe、K、Liからなる群から選択される1種以上が含まれてもよい。
中空粒子は、中空粒子全量に対してアルカリ金属濃度が1.0質量ppm以上が好ましく、5.0質量ppm以上がより好ましく、10.0質量ppm以上がさらに好ましい。
中空粒子は、中空粒子全量に対してアルカリ金属濃度が5000質量ppm以下が好ましく、より好ましくは3000質量ppm以下であり、さらに好ましくは1000質量ppm以下である。
このアルカリ金属濃度は、アジレント・テクノロジー社製のICP−MS「Agilent 7500cs」を用いて、前処理として中空粒子にフッ酸を加えて強熱しケイ素を溶解してから、測定することができる。アルカリ金属濃度は、中空粒子全量に対して、Li、Na、Kを含むアルカリ金属の全量である。
中空粒子は、1.0gの中空粒子を水99.0gに添加した状態で、液体のpHが4〜8となることが好ましい。
中空粒子の吸油量は、50mL/100g以上が好ましく、より好ましくは100mL/100g以上であり、さらに好ましくは150mL/100g以上であり、一層好ましくは200mL/100g以上である。
中空粒子の吸油量は、1500mL/100g以下が好ましく、より好ましくは1300mL/100g以下であり、さらに好ましくは1000mL/100g以下である。
吸油量は、中空粒子1.0gに日清オイリオグループ社の「サラコス99」を添加・混合し、「サラコス99」が表面にしみ出す直前の添加量によって求めることができる。
中空粒子は使用時に混合する相手材料との親和性を向上させるため、表面処理を施してもよい。例えば、塗料などの疎水性溶媒と混合する際には疎水性を付与できる表面コーティングを施すことができる。
本発明の製造方法によって製造される中空粒子は、断熱材、塗料、触媒、触媒担体、樹脂充填剤、吸着剤、化粧料、ドラッグデリバリー、光学フィルター等に好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明において、共通する成分は同じものを用いている。また、特に説明のない限り、「%」は「質量%」を表す。
(例1)
<シリカ被覆炭酸カルシウム分散液の作製>
反応容器に2087gの水を加え、塩化ナトリウム278g(水溶液全量に対する塩化ナトリウム濃度は11.8質量%、水溶液1Lに対する塩化ナトリウム濃度は2.2mol/L)を溶解させた。
これに炭酸カルシウム30.2gを加え、撹拌しながら30分間超音波にて分散させ、炭酸カルシウム分散液を得た。炭酸カルシウム分散液全量に対する炭酸カルシウム濃度は1.3質量%であった。
炭酸カルシウムには、白石工業社製「Brilliant−1500」を用いた。この炭酸カルシウムの粒子径を走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、100〜300nmであった。また、この炭酸カルシウムのBET比表面積を測定したところ、8.0〜9.4m/gの範囲でバラツキがあった。例1で用いた炭酸カルシウムのBET比表面積は約9.4m/gであった。
炭酸カルシウム分散液の温度を40℃とし、シリカ濃度が20.7質量%の3号珪酸ナトリウムを43.8g(シリカとして9.1g、仕込んだ炭酸カルシウムの合計表面積(m)あたり0.032g/m)加えた後、0.1Nの塩酸水溶液787gを100分かけて添加することでpH9.0にし、シリカを炭酸カルシウム粒子上に形成させ、シリカ被覆炭酸カルシウム分散液を得た。
<コア粒子の除去>
上記で得たシリカ被覆炭酸カルシウム分散液に2Nの塩酸水溶液をpHが1.0になるまで添加した。pHが1.0を保ち続けるように塩酸を添加しながら3.5時間撹拌し、炭酸カルシウムを溶解させ、中空粒子分散液を得た。
2N塩酸の添加量は合計で355gであった
<洗浄、乾燥、解砕>
上記で得た中空粒子分散液をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した後、減圧乾燥機にて90℃にて乾燥した。乾燥後に得られた粒子をワーリングブレンダにて解砕し、中空粒子を得た。
得られた中空粒子は、9.2gで収率は101%であった。なお、収率が100%を超えている理由は、含水によるものである。
(例2〜例13、例22)
例2〜例13、例22は、表1に示す炭酸カルシウム、シリカ被覆量、塩濃度、反応温度にしたがって、上記例1と同様にして中空粒子を得た。
例7では、例4で得られた中空粒子をさらに焼成して焼成中空シリカを得た。焼成条件は、800℃、3時間とした。
例8、例9では、得られた中空粒子を熟成した。熟成条件は、70℃、pH9.4、72時間とした。
例12では、例4においてコア粒子を除去して得られた中空粒子を蒸留水の代わりにNa添加洗浄水でNa洗浄した。Na添加洗浄水には、pH7.5に調整したNaCO水溶液3.2Lを用いた。
例13では、例12で得られた中空粒子をNa添加洗浄水で洗浄した後に、さらに焼成して焼成中空シリカを得た。洗浄条件及び焼成条件は、上記と同じにした。
例5、例6、例8、例9では、炭酸カルシウムスラリーの濃度を変更した。
(例14〜例17)
例14〜例17は、表1に示す炭酸カルシウム、シリカ被覆量、塩濃度、反応温度にしたがって、上記例1と同様にして中空粒子を得た。ただし、例15では中空粒子は得られなかった。
(例18〜例21)
例18〜例21は、表1に示す炭酸カルシウム、シリカ被覆量、塩濃度、反応温度にしたがって、上記例1と同様にして中空粒子を得た。ただし、例20、21では中空部がむき出しの粒子しか得られなかった。
(例23)
<シリカ被覆炭酸カルシウム分散液の作製>
反応容器に2087gの水を加え、塩化ナトリウム278g(水溶液全量に対する塩化ナトリウム濃度は11.8質量%、水溶液1Lに対する塩化ナトリウム濃度は2.2mol/L)を溶解させた。
これに炭酸カルシウム151gを加え、撹拌しながら30分間超音波にて分散させ、炭酸カルシウム分散液を得た。炭酸カルシウム分散液全量に対する炭酸カルシウム濃度は6.0質量%であった。
炭酸カルシウムには、白石工業社製「Brilliant−1500」を用いた。この炭酸カルシウムの粒子径を走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、100〜300nmであった。また、この炭酸カルシウムのBET比表面積を測定したところ、8.0〜9.4m/gの範囲でバラツキがあった。例23で用いた炭酸カルシウムのBET比表面積は約8.7m/gであった。
炭酸カルシウム分散液の温度を40℃とし、0.2Nの塩酸水溶液にてpH9.0に調整した後、シリカ濃度が20.7質量%の3号珪酸ナトリウムを278g(シリカとして57.5g、仕込んだ炭酸カルシウムの合計表面積(m)あたり0.044g/m)を100分かけて添加した。この間のpHは0.2Nの塩酸水溶液2776gにより9.0を維持させ、シリカを炭酸カルシウム粒子上に形成させ、シリカ被覆炭酸カルシウム分散液を得た。
<コア粒子の除去>
上記で得たシリカ被覆炭酸カルシウム分散液に5Nの塩酸水溶液をpHが1.0になるまで添加した。pHが1.0を保ち続けるように塩酸を添加しながら3.5時間撹拌し、炭酸カルシウムを溶解させ、中空粒子分散液を得た。
5N塩酸の添加量は合計で714gであった。
<洗浄、乾燥、解砕>
上記で得た中空粒子分散液をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した後、減圧乾燥機にて90℃にて乾燥した。乾燥後に得られた粒子をワーリングブレンダにて解砕し、中空粒子を得た。
得られた中空粒子は、57.7gで収率は100%であった。
(評価)
得られた中空粒子を用いて、下記の評価を行った。結果を表1に合わせて示す。
<オイル中白色度>
同じ屈折率をもつ物質同士の界面では光は散乱しない。一方、異なる屈折率をもつ物質の界面では光の散乱が生じる。シリカと同じ屈折率をもつオイルを中空粒子と混合した場合、オイルが内部に浸透すると透明に見え、内部に浸透せず屈折率が異なる空気相を維持すると白色に見える。このため、オイル中白色度は中空粒子のシリカ層の物質浸透の遮蔽性の指標となる。
この評価では、シリカと同じ屈折率をもつオイルとして日清オイリオグループ社製「サラコス99」を用いた。
得られた中空粒子1.0gに、日清オイリオグループ社製「サラコス99」を7.0g混合し、その後の外観を観察した。混合後の外観の評価基準は、透明なものは1、着色するものは2、白色を示すものは、その白さの高い順に5、4、3とした。また、観察後に試料を常温で1週間(7日間)静置後、再度評価を行った。総合評価は7日後のオイル中白色度とした。ただし例15は評価を1とした。
評価基準の「1」の白色度は、中空構造を持たない多孔質シリカ(AGCエスアイテック製「サンスフェアH51」)相当である。
<TEM観察>
例1で得られた中空粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)観察した。この結果から、シェル層の厚さが22nmで、中空部の大きさが100〜300nmの中空粒子であった。
<中空粒子の物性>
各中空粒子について、比表面積、粒子径D50、アルカリ含有量、シェル層の厚さ、吸油量、嵩密度、水と混合時のpHを以下の手順によって測定した。結果を各表に示す。
中空粒子の比表面積は、島津製作所社製の比表面積測定装置「トライスターII3020」を用い、前処理として230℃で50mTorrとなるまで乾燥させた後、窒素ガスを用いた多点法でBET比表面積を測定して求めた。
中空粒子の粒子径D50は、レーザー回折/散乱法にしたがって、以下の条件で測定した。
中空粒子の粒子径D50は、MicrotracBEL社製「マイクロトラックHRA」を用い、前処理として中空粒子を水中で30秒間超音波処理させた後、一定のスラリー濃度下でレーザー回折/散乱法にて測定した。
中空粒子中のアルカリ金属濃度は、以下の条件で測定した。
測定装置:アジレント・テクノロジー社製「Agilent 7500cs」。
測定条件:中空シリカにHFを加え加熱しケイ素を除去したサンプルを、検量線を引いたICP−MSにて測定した。
中空粒子のシェル層の厚さは、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、10個の粒子を無作為に選び出し、各中空粒子のシェル層の厚さを測定し、10個の中空粒子のシェル層の厚さを平均して求めた。
中空粒子の吸油量は、中空粒子1.0gに日清オイリオグループ社の「サラコス99」を添加・混合し、「サラコス99」が表面にしみ出す直前の添加量から求めた。
中空粒子の嵩密度は、100cmのメスシリンダーに中空粒子を入れ、嵩が変わらなくなるまでタッピングし、その時の体積と質量から測定した。
中空粒子の水との混合時のpHは、1.0gの中空粒子を水99.0gに添加した状態で、PHメータを用いて測定した。
Figure 2021100892
表1に示す通り、例1、例2、例4〜例13、例22、例23の中空粒子は、初期のオイル中白色度が良好であり、オイルが中空部に入り込みにくいことがわかった。
各例からわかるように、反応温度が50℃以下、塩濃度が1.0モル/L以上、シリカ被覆量が0.02g/m以上の範囲とすることで、混合直後のオイル中白色度が良好な中空粒子、また、少なくとも混合後7日間経過したものでもオイル中白色度が良好な中空粒子を得ることができる。
例3は、反応温度が高く、オイル中白色度が不十分であった。
例14〜例17では、塩濃度が低く、オイル中白色度が不十分であった。
例18〜例19では、反応温度が高く、オイル中白色度が不十分であった。
例20、例21は、シリカ被覆量が少なく、オイル中白色度が不十分であった。

Claims (17)

  1. コア粒子、水溶性塩及び水を含み、前記水溶性塩濃度は1.0モル/L以上であるコア粒子分散液を作製し、
    前記コア粒子分散液の温度を50℃以下に保ちながら、かつ、前記コア粒子の単位表面積当たりのシリカ被覆量が0.02g/m以上となるように、前記コア粒子分散液にシリカ原料を一括又は分割して添加し、前記コア粒子にシリカを被覆させ、中空粒子前駆体を作製し、
    前記中空粒子前駆体から前記コア粒子を除去し中空粒子を作製する、中空粒子の製造方法。
  2. 前記水溶性塩は、LiCl、NaCl、及びKClからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の中空粒子の製造方法。
  3. 前記水溶性塩はNa塩である、請求項1に記載の中空粒子の製造方法。
  4. 前記中空粒子前駆体を作製する工程はpH8〜11で行う、請求項1から3のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  5. 前記コア粒子分散液へ前記シリカ原料を分割して添加し、前記シリカ原料を分割して添加する間にpH調整剤を一括又は分割で添加してpH8〜11に調整する、請求項4に記載の中空粒子の製造方法。
  6. 前記コア粒子は、固体粒子を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  7. 前記コア粒子は、炭酸カルシウムを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  8. 前記コア粒子は、前記コア粒子分散液中に液滴として存在する、請求項1から5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  9. 前記シリカ原料は、アルカリ金属ケイ酸塩を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  10. 得られる中空粒子のアルカリ金属濃度は、中空粒子全量に対して1.0〜5000質量ppmである、請求項1から9のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  11. 得られる中空粒子は、平均粒子径が20nm〜500μmである、請求項1から10のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  12. 得られる中空粒子は、シェル層の厚さが5〜200nmである、請求項1から11のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  13. 得られる中空粒子は、BET比表面積が50〜900m/gである、請求項1から12のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  14. 得られる中空粒子は、吸油量が50〜1500mL/100gである、請求項1から13のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  15. 得られる中空粒子は、嵩密度が0.010〜0.300g/cmである、請求項1から14のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  16. 前記中空粒子をアルカリ金属塩を含む液体で洗浄する、請求項1から15のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  17. 請求項1から16のいずれか1項に記載の製造方法で得られた中空粒子をさらに焼成する、焼成中空粒子の製造方法。
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