以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(警報器の全体構成)
図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態による警報器100の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態による警報器100は、警報器本体1と、警報器本体1から延びる電源コード2と、を備える。図2に示すように、警報器100は、たとえば、住宅等の設置空間5内に設置される警報器である。警報器100は、設置空間5内の壁面WSまたは天井面CSに取り付けられ、設置空間5内で発生した異常を検知して警報を報知する装置である。本実施形態では、壁面WSに取り付けられる壁掛け型の警報器の例を示す。
警報器本体1は、筐体10と、筐体10の内部に収容された検知および報知用の回路とを含む。図3に示すように、警報器本体1は、検知部20と、報知部21と、制御部22と、操作部23と、電源部24とを備える。筐体10は、警報器100の外装(図1参照)である。筐体10は、内部が中空の箱状形状を有する。
検知部20は、警報器100の設置環境における異常等を検知するセンサを含む。検知部20は、1つまたは複数のセンサを含む。検知部20は、たとえば、メタンガスセンサ20aおよびCOガスセンサ20bを含む。メタンガスセンサ20aは、都市ガスなどに含まれるメタンガスを検知するガスセンサである。COガスセンサ20bは、燃焼器具の不完全燃焼等によって発生する一酸化炭素(CO)ガスを検知するガスセンサである。つまり、警報器100は、都市ガスおよび一酸化炭素を検知する家庭用ガス警報器である。これらのガスセンサ(メタンガスセンサ20aおよびCOガスセンサ20b)は、筐体10内のセンサ室(図示せず)に設けられる。センサ室は、筐体10に設けられた貫通孔である通気孔11(図1(A)参照)を介して外部と連通している。各ガスセンサは、通気孔11から取り込んだ外部空気に含まれる検知対象ガスを検知する。なお、検知部20は、ガスセンサの他、火災発生時の煙を検知する煙センサを含みうる。また、検知部20は、設置環境の温度を検出する温度センサ、設置環境の湿度を検出する湿度センサ、設置環境に存在する人間を検知する人感センサなどの、ガスセンサ以外のセンサを備えていてもよい。
報知部21は、検知部20の検知結果に基づく報知を行うように構成されている。報知部21は、たとえばスピーカ21aおよびランプ21bを含む。スピーカ21aは音声出力により警報を報知する。スピーカ21aは、筐体10内に設けられており、筐体10に設けられた貫通孔である音孔12(図1(A)参照)を介して、筐体10の外部へ音声を出力する。
ランプ21bは、点灯または点滅により警報等を出力する。ランプ21bは、たとえばLEDにより構成される。ランプ21bは、筐体10内に設けられており、筐体10に設けられた透光部13(図1(A)参照)を介して、筐体10の外部へ報知光を出力する。
制御部22は、プロセッサおよびメモリを有する。制御部22は、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、警報の処理を実行する。
操作部23は、たとえば、筐体10の外表面に露出するように設けられた押しボタン式のスイッチにより構成されている。なお、図1では、操作部23が筐体10の側面10cに配置されている。たとえば警報中に操作部23が入力されることによって、所定時間の間、警報を一時停止させる処理が制御部22により実行される。たとえば警報中以外の非警報状態で操作部23が入力されると、警報器100が備える各部の自動点検処理や、報知信号のテスト出力処理が、制御部22により実行される。たとえば所定時間よりも短時間の短押し入力時には自動点検処理が実行され、所定時間以上の長押し入力時にはテスト出力処理が実行される。
図2および図3に示したように、電源部24は、電源コード2により設置空間5内の配線差し込み口(コンセント)6に接続される。電源部24は、電源コード2を介して商用電源から電力供給を受けて、警報器100の各部へ必要な電力を供給する。
(筐体および取付板)
図1に示したように、筐体10は、正面10aと、正面10aとは反対側の背面10bと、左右の一対の側面10cおよび10dと、上面10eと、下面10fとを有する、背面10bは、警報器100の取付面である壁面WS側に位置する。正面10aは、ランプ21bの表示部(透光部13)が形成された表面である。筐体10は、正面10aから見て矩形形状(直方体形状)を有する。
なお、本明細書では、上下方向をZ方向で表し、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。左右方向をX方向で表し、左右方向の一方をX1方向、他方をX2方向とする。正面10aと背面10bとが対向する前後方向をY方向(図4参照)で表し、正面側(背面から正面へ向かう方向)をY2方向、背面側(正面から背面へ向かう方向)をY1方向とする。背面10bは、X方向およびZ方向に延びる表面である。
図4に示すように、警報器100は、筐体10の背面10bの側(Y1方向側)に設けられた取付板30を備える。たとえば、取付板30の孔部31(図1参照)が壁面WSに固定されている取付部材(図示せず)に引っ掛けられることにより、取付板30(警報器100)が壁面WSに接触するように配置される。筐体10の背面10bと取付板30とは略平行となる。取付板30は、筐体10とは別体で設けられている。取付板30は、平板形状を有し、背面10b側に突出する柱状の接続部を有する。取付板30は、接続部を介して背面10bに取り付けられている。接続部により、取付板30と背面10bとの間に所定の間隔CLが設けられている。
(電源コードの引出構造)
図5に示すように、警報器100は、コード巻取部40と、第1フック50とを備える。また、図5の例では、警報器100は、第1フック50とは異なる第2フック60をさらに備えている。コード巻取部40と、第1フック50と、第2フック60とは、筐体10の背面10bに設けられている。第1フック50は、特許請求の範囲の「コードフック」の一例である。
〈コード巻取部〉
コード巻取部40は、電源コード2が巻き回されるように構成されている。具体的には、電源コード2は、筐体10の背面10bに形成された取出孔14を介して、筐体10の内部(電源部24)から筐体10の外部へ延びている。コード巻取部40は、取出孔14から延びる電源コード2をコード巻取部40の周囲に巻き回すことによって、余分な電源コード2を巻き取って電源コード2の長さ調整を行う機能を有する。
コード巻取部40は、取付板30の接続部(図4参照)によって構成されている。コード巻取部40は、警報器本体1の背面10b上に配置されている。図5から分かるように、コード巻取部40は、筐体10の背面10bの中央付近に配置されている。コード巻取部40は、Y方向から見て(背面10bと平行な面内で)、丸みを帯びた矩形の外形形状を有する。
コード巻取部40は、電源コード2の一部を係止して巻取開始位置を確定する機能を有する。具体的には、コード巻取部40は、内部が中空であり、丸みを帯びた矩形の周壁41を有し、周壁41の一部に内側から外側へ貫通した通路(入口42および出口43)が形成されている。筐体10の取出孔14から延びた電源コード2が、入口42を介してコード巻取部40の内部を通り、出口43からコード巻取部40の外部へ出るように配線される。コード巻取部40の内部には、係止片44が設けられている。係止片44は、コード巻取部40の内部を通過する電源コード2を挟むことによって係止する。これにより、コード巻取部40は、電源コード2の巻取開始位置を出口43の位置に確定し、かつ、電源コード2に張力(引張力)が加わった場合にも係止片44により支持して筐体10内まで引張力が及ばないように構成されている。
電源コード2は、コード巻取部40の出口43から、コード巻取部40の外周に沿って巻き回される。なお、巻き回される電源コード2は、取出孔14からコード巻取部40の入口42まで延びるコード部分に乗り上げて交差するように配置される。巻き回された電源コード2は、取付板30と背面10bとの間の間隔CL(図4参照)のスペースに収まり、Y2方向側を背面10bに支持され、Y1方向側を取付板30に支持される。
〈コードフック〉
第1フック50および第2フック60は、警報器本体1の背面10bに設けられている。第1フック50および第2フック60は、コード巻取部40から警報器本体1の外方(配線差し込み口6)へ引き出される電源コード2を係止するように構成されている。
本実施形態では、第1フック50は、1つのフックで、異なる複数方向へ引き出される電源コード2を係止することが可能に構成されている。一方、第2フック60は、1つのフックで、1方向へ引き出される電源コード2を係止するように構成されている。
図5の例では、第1フック50は、背面10bのうち下側(Z2方向側)に1つ設けられている。第1フック50は、X方向において、背面10bの下辺(下面10f)の中央部に設けられている。第2フック60は、背面10bのうち、X方向の両側(X1方向側およびX2方向側)の外縁部に1つずつ設けられている。2つの第2フック60は、Z方向において、背面10bの右辺および左辺(側面10cおよび10d)の中央部に形成されている。図4に示したように、1つの第1フック50および2つの第2フック60は、筐体10に一体形成されている。
図5において、X1方向側の第2フック60は、X1方向へ引き出される電源コード2を係止する。X2方向側の第2フック60は、X2方向へ引き出される電源コード2を係止する。一方、第1フック50は、Z2方向またはX方向(X1方向、X2方向)へ引き出される電源コード2を係止することができる。
〈第1フック〉
具体的には、本実施形態では、第1フック50は、第1方向F1へ引き出される電源コード2を係止する第1係止部51と、第1方向F1とは異なる第2方向F2へ引き出される電源コード2を係止する第2係止部52と、を一体的に有する。第1方向F1と第2方向F2とは、互いに略直交する方向である。図5の構成例では、第1方向F1は、Z2方向に一致する。第2方向F2は、X方向(X1方向およびX2方向)に一致する。
第1フック50は、警報器本体1の背面10b側方向(Y1方向、図4参照)へ突出するように形成されている。図6に示すように、第1フック50は、X方向に延びる平板状のフック本体53を有する。フック本体53が、背面10bからY1方向へ突出するように形成されている。
図6および図7に示すように、第1係止部51は、第1フック50に形成され電源コード2を第1方向F1に挿通可能な切欠により構成されている。第1係止部51は、フック本体53のY1方向端部に開口する幅狭部51aと、幅狭部51aからY2方向に連続し、フック本体53の中程の位置でX方向に拡がる幅広部51bとを有する。電源コード2を幅狭部51aから幅広部51bまで差し込むと、電源コード2が切欠の内周面(つまり、第1係止部51)に囲まれることにより、第1係止部51に係止される。第1係止部51に係止された状態で、電源コード2は、切欠内をZ1方向側から第1方向F1(Z2方向側)へ通過し、警報器本体1の外部へZ2方向に引き出される。
このように、第1係止部51は、切欠の内部である第1係止位置S1で電源コード2を係止する。第1係止位置S1は、背面10bからY1方向に突出高さ範囲H1(図7(A)参照)の位置に設定されている。
第2係止部52は、第1フック50から警報器本体1の背面10bに沿う向きに突出する円柱状の突起により構成されている。図6および図7では、第2係止部52は、フック本体53のZ2側表面からZ2方向に突出している。また、第2係止部52は、背面10bからY1方向に離れた位置に形成されている。つまり、警報器本体1の背面10bと第2係止部52との間には、隙間が形成されている。第2係止部52は、第2係止部52と背面10bとの間の隙間である第2係止位置S2で電源コード2を係止する。
第2係止位置S2は、背面10bからY1方向に突出高さ範囲H2(図7(A)参照)の位置に設定されている。第2係止位置S2に配置された電源コード2は、背面10bからY1方向への浮き上がりが第2係止部52によって係止される。第2係止部52に係止された状態で、電源コード2は、第2係止位置S2を第2方向(X方向)へ通過し、警報器本体1の外部へX方向に引き出される。
ここで、第1係止部51と第2係止部52とは、第1フック50の突出方向において、電源コード2の係止位置が互いにずれた位置となるように設けられている。つまり、第1係止部51による第1係止位置S1の突出高さ範囲H1と、第2係止部52による第2係止位置S2の突出高さ範囲H2とが、互いに干渉しないようにY方向にずれている。
また、Z方向位置に関しては、第1係止部51と第2係止部52とは、第1方向F1(Z2方向)において、電源コード2の係止位置が互いにずれた位置となるように設けられている。第2係止部52は、第1係止部51よりも第1方向F1(Z2方向)側に配置されている。
また、X方向位置に関しては、第2係止部52は、第1係止部51による電源コード2の係止位置に対して少なくとも第2方向F2の一方側(X1方向側)および他方側(X2方向側)のいずれかの側となる位置に設けられている。
図6および図7の構成例では、第2係止部52は、第1係止部51による第1係止位置S1に対して、第2方向F2の一方側(X1方向側)と他方側(X2方向側)とに1つずつ設けられている。2つの第2係止部52は、第1係止位置S1に対してそれぞれ離れた位置に、対で設けられている。図6および図7では、2つの第2係止部52と1つの第1係止部51とがX方向に直線状に並んで設けられている。
ここで、第1フック50は、第1係止部51および第2係止部52の一方に電源コード2を係止しつつ、係止された電源コード2の先端側を第1係止部51および第2係止部52の他方に係止可能に構成されている。
たとえば第1フック50から電源コード2をX1方向(第2方向F2の一方側)へ引き出す場合、図8に示すように、電源コード2は、第1係止部51の第1係止位置S1をZ2方向へ通過した後、Y2方向かつX1方向へ曲げられて、X1方向側の第2係止部52の第2係止位置S2を通ってX1方向へ向かうように引き出される。図示省略するが、第1フック50から電源コード2をX2方向(第2方向F2の他方側)へ引き出す場合には、電源コード2は、他方側(X2方向側)の第2係止部52の第2係止位置S2を通ってX2方向へ向かうように引き出される。
また、後述するが、図10に示す例では、電源コード2は、第2係止部52により係止されつつ第2方向F2へ向って延びた後、係止部分の先端側がZ1方向側へ曲げられて、さらに第1係止部51の第1係止位置S1を通って第1方向F1(Z2方向)へ向かうように引き出される。このように、第1係止部51に先に係止させて、第2係止部52に後で係止すること(図8参照)も、第2係止部52に先に係止させて、第1係止部51に後で係止すること(図10参照)も可能である。
〈第1フックへの電源コードの巻き回し〉
本実施形態では、第1フック50は、警報器本体1の背面10b側(Y1方向)へ突出することにより電源コード2を巻き回せるように構成されている。
上記のように、第1フック50は、コード巻取部40に対してZ2方向側に配置されている。ここで、コード巻取部40に巻き回される電源コード2は、コード巻取部40のZ2方向側では概略でX方向(第2方向F2)に向かって延びる。そして、第2係止部52は、巻回方向と同じ第2方向F2(X方向)に引き出される電源コード2を係止可能である。このため、電源コード2をコード巻取部40の回りに巻き回す代わりに、図9のように、電源コード2を第1フック50に巻き回すことができる。第2係止部52は、第2方向F2(X方向)に沿うように第1フック50に巻き回された電源コード2を係止可能に設けられている。フック本体53のZ2方向側表面は、電源コード2がZ1方向へ移動しないように規制する役割を果たす。
このように、図9の例では、コード巻取部40から延びる電源コード2が、第2係止部52に係止されつつ第2方向F2(X1方向)へ通過し、コード巻取部40に再び巻き回されている。
これにより、電源コード2をコード巻取部40の回りに巻き回す場合の巻回半径R1(正円状に巻回される訳ではないので、最大半径として考える)と、電源コード2を第1フック50に巻き掛ける場合の巻回半径R2とに、差異が生じる。そのため、電源コード2を第1フック50に巻き掛けるか否かによって、電源コード2の巻取長さ(1周分の周長)を調整できる。
第1フック50は、警報器本体1の背面10bにおいて、コード巻取部40と警報器本体1の外周縁との間に設けられている。このため、コード巻取部40の回りに巻き回す場合の巻回半径R1と比較すると、電源コード2を第1フック50に巻き掛ける場合の巻回半径R2が大きくなる。電源コード2を第1フック50に巻き回す場合、単純にコード巻取部40のみに電源コード2を巻き回す場合よりも、電源コード2が余分に巻き取られる。
より具体的には、第1フック50は、警報器本体1の背面10bにおいて、コード巻取部40と背面10bの外周縁との間で外周縁から離れた位置に設けられている。第1フック50は、背面10bの下辺(外周縁)からフック本体53のZ2方向側表面までが、Z方向に距離L1だけ離れている。距離L1は、第2係止部52のZ2方向への突出長さよりも大きい。距離L1は、電源コード2の幅よりも大きい。このため、電源コード2を第1フック50に巻き回した状態でも、巻き回された電源コード2が背面10bの外側にはみ出すことがない。なお、第1フック50は、背面10bの下辺からZ1方向に距離L1だけ離れているため、電源コード2を巻き回さずに第1フック50から第2方向F2に引き出す場合(二点鎖線参照)でも、電源コード2は、側面10cまたは側面10d(X方向の外周縁)に到達するまで、背面10bからはみ出すことなく第2方向F2に延びる。
また、第1フック50は、警報器本体1の背面10bにおいて、コード巻取部40よりも、背面10bの外周縁(下辺)に近い位置に設けられている。つまり、第1フック50と背面10bの外周縁(下辺)までの距離L1よりも、第1フック50とコード巻取部40との間の距離L2の方が大きい。このため、電源コード2をコード巻取部40の回りに巻き回す場合の巻回半径R1と、電源コード2を第1フック50に巻き掛ける場合の巻回半径R2との差が大きくなるので、電源コード2の巻取長さの調整幅を大きくできる。
なお、第1フック50では、上記のように、第2係止部52に電源コード2を係止しつつ、係止された電源コード2の先端側を第1係止部51に係止可能である。そのため、図10に示すように、第2係止部52を利用して電源コード2を第1フック50に巻き回し、コード巻取部40を1周させた後、先端側の電源コード2を第1係止部51に係止させてZ2方向に引き出すことも可能である。第1係止位置S1と第2係止位置S2とのY方向位置がずれているため、第2方向F2に延びる部分を跨ぎ越えるように先端側の電源コード2が交差する。
〈第2フック〉
図11に示すように、第2フック60は、コード係止部61と、フック本体62とを一体的に有する。第2フック60のコード係止部61は、第1フック50の第1係止部51と同様の構造を有する。一方、第2フック60には、第2係止部52に対応する構造が形成されていない。このため、第2フック60は、切欠からなるコード係止部61内に電源コード2が配置されることにより、警報器本体1の外側へ向けてF3方向へ引き出される電源コード2を係止するように構成されている。
(第1フックによる電源コードの引き出し態様)
図2に二点鎖線で示したように、警報器100の設置位置と配線差し込み口6との位置関係は、設置環境によって様々である。様々な位置関係でも、警報器100の適切な位置から、適切な方向へ、電源コード2を引き出せることが望まれる。上記のような第1フック50を用いることにより、電源コード2を様々な態様で引き出すことができる。
図12の経路P1では、第1フック50は、第1係止部51のみによって係止して、電源コード2を第1方向F1(Z2方向)へ引き出すことができる。
図12の経路P2および経路P3では、第1フック50は、第1係止部51により係止した電源コード2の先端側を第2係止部52によって係止しつつ、電源コード2を第2方向F2(X1方向またはX2方向)へ引き出すことができる。経路P2および経路P3では、いずれかの第2フック60(図5参照)を用いる場合と同様に、警報器本体1からX方向へ向けて電源コード2を引き出せるが、第2フック60を用いる場合とはZ方向の引出位置を異ならせることができる。
また、図2に示したように、警報器100から配線差し込み口6への適切な電源コード2の引出長さは、警報器100と配線差し込み口6との位置関係によって異なる。
たとえば第1方向F1へ電源コード2を引き出す場合、図12の経路P1と、電源コード2を第1フック50に巻き回してから第1方向F1へ引き出す経路P4とで、引出長さを調整できる。また、たとえば、電源コード2を第1フック50に巻き回しつつコード巻取部40に戻さずにそのまま第1係止部51に係止させる経路P5によっても、引出長さを調整できる。
さらに、図2では、警報器100の設置面である壁面WSに沿った方向(Z方向およびX方向)に電源コード2を引き出す例を示したが、第1フック50によって電源コード2をY1方向(壁面WSに向かう方向)に引き出すことも可能である。電源コード2をY1方向に引き出す例として、警報器100の電源コード2が壁の内部に収容されるビルトイン型の警報器がある。この場合、たとえば図12の経路P2および経路P3のように、電源コード2をZ方向に引き出して第1係止部51に係止し、その後X方向に引き出して第2係止部52に係止させ、さらに第2係止部52を通過した位置で折り曲げるようにしてY1方向(図4参照)に引き出すことができる。また、たとえば図12の経路P5のように、電源コード2を第1フック50のZ2方向側に巻き回すようにX方向に引き出して第2係止部52に係止させ、その後第2係止部52を通過した位置で折り曲げるようにY1方向に引き出すことができる。電源コード2は、壁面WSに形成された開口を通って壁内へ収納される。
以上のように、本実施形態の第1フック50では、単純に電源コード2を複数方向へ引き出せるだけでなく、引出位置を変化すること、および引出長さを微調整することが可能となり、より適切な配線処理が可能となる。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、第1フック50に、第1方向F1へ引き出される電源コード2を係止する第1係止部51と、第1方向F1とは異なる第2方向F2へ引き出される電源コード2を係止する第2係止部52と、を一体的に設ける。これにより、電源コード2を警報器本体1の外部(配線差し込み口6)へ引き出す際に、第1方向F1と、第1方向F1とは異なる第2方向F2との少なくとも2方向へ電源コード2を引き出すことができる。このため、電源コード2を第1方向F1へ引き出すと僅かにコード引出長さが不足するかまたは余る場合でも、同じ位置から第2方向F2へ引き出すことで電源コード2の経路が変化し、コード引出長さが丁度良くできたり、同じ位置から複数の引き出し方向が選択可能となることで、配線差し込み口6までの最短経路を選択できる。そして、第1係止部51と第2係止部52とが1つの第1フック50に一体的に設けられるので、必要以上に多くの第1フック50を設けずに済む。以上により、構造を複雑化することなく、より多様な引き出し方向へ電源コード2を引き出すことができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1フック50は、第1係止部51および第2係止部52の一方に電源コード2を係止しつつ、係止された電源コード2の先端側を第1係止部51および第2係止部52の他方に係止可能に構成されている。これにより、第1係止部51および第2係止部52のいずれか一方のみを使用する場合だけでなく、第1係止部51および第2係止部52の両方を使用して電源コード2を引き出すことができる。第1係止部51および第2係止部52の両方を使用する場合、電源コード2の係止状態を解除されにくくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1フック50は、警報器本体1の背面10b側へ突出することにより電源コード2を巻き回せるように構成され、第2係止部52は、第2方向F2に沿うように第1フック50に巻き回された電源コード2を係止可能に設けられている。これにより、コード巻取部40だけでなく第1フック50にも電源コード2を巻き回し、その状態を第2係止部52によって保持することができる。これにより、電源コード2をコード巻取部40だけで巻き回した場合と、コード巻取部40から第1フック50に巻き回した場合とで、電源コード2の巻取長さを微調整できる。つまり、第1フック50に巻き回すか否かによって、コード巻取部40の1周分未満の巻き取り長さを調整できる。その結果、配線差し込み口6までにコード引出長さが僅かに不足し、コード巻取部40から1周分の電源コード2を引き出すと今度はコード引出長さが余る場合であっても、第1フック50を利用してコード引出長さが適切となるようにコード引出長さを微調整できる。
また、本実施形態では、上記のように、コード巻取部40は、警報器本体1の背面10bに形成され、第1フック50は、警報器本体1の背面10bにおいて、コード巻取部40と警報器本体1の外周縁との間に設けられている。これにより、電源コード2を第1フック50に巻き回して電源コード2の長さ調整をした場合でも、第1フック50に巻き回した電源コード2が警報器本体1の外周縁から外側にはみ出すことを抑制できる。そのため、電源コード2のはみ出しにより警報器100の美観を損なうことなく電源コード2の引出長さの調整ができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1係止部51と第2係止部52とは、第1フック50の突出方向において、電源コード2の係止位置が互いにずれた位置となるように設けられている。これにより、電源コード2の係止位置がずれるので、第1係止部51および第2係止部52の一方に係止される部分を、第1係止部51および第2係止部52の他方に係止される部分が跨ぎ越えるように電源コード2を配置できる。つまり、第1係止部51が電源コード2を係止した状態で、第2係止部52に電源コード2を係止させることができ、第2係止部52が電源コード2を係止した状態で、第1係止部51に電源コード2を係止させることができる。第1係止部51と第2係止部52とを利用して、より多様な引き出し方向への電源コード2の引き出しが可能となる。
また、本実施形態では、上記のように、第2係止部52は、第1係止部51による電源コード2の係止位置に対して少なくとも第2方向F2の一方側および他方側のいずれかの側となる位置に設けられている。これにより、第1係止部51に電源コード2を係止させた状態で、第1係止部51の係止位置から電源コード2を曲げて、第2方向F2に沿った一方側または他方側の位置にある第2係止部52へ係止させることができる。このとき、第2係止部52に対して第2方向F2の一方側から他方側(X2方向)へ電源コード2を延ばせば、第2方向F2の他方側へ電源コード2を引き出せる。第2係止部52に対して第2方向F2の他方側から一方側(X1方向)へ電源コード2を延ばせば、第2方向F2の一方側へ電源コード2を引き出せる。そのため、第2方向F2の一方側および他方側のそれぞれへ電源コード2を引き出すことが可能となる。
また、本実施形態では、上記のように、第1方向F1と第2方向F2とは、互いに略直交する。これにより、同じ第1フック50から、直交する2方向への電源コード2の引き出しが可能となる。すなわち、警報器本体1の上下左右のいずれかの箇所(図1では下側)に第1フック50が設けられれば、その第1フック50の位置から上下左右の少なくとも2方向(図1では下方向および左右方向)への電源コード2の引き出しが可能となるので、配線差し込み口6の位置に対して、より美観を損ねない適切な方向へ電源コード2を引き出すことができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、壁掛け用の警報器として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、天井配置用の警報器として構成してもよい。
また、上記実施形態では、警報器本体1(筐体10)を、正面10aから見て矩形形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。警報器本体1(筐体10)の形状は特に限定されず、任意である。警報器本体1(筐体10)は、たとえば正面10aから見て円(楕円)形状や、矩形以外の多角形状でもよい。
また、上記実施形態では、コード巻取部40が取付板30に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。コード巻取部40は、筐体10に一体形成されてもよい。コード巻取部40の一部が取付板30に形成され、コード巻取部40の他の一部が筐体10に形成され、取付板30側の一部と筐体10側の他の一部とが組み合わさってコード巻取部40を形成するように構成されてもよい。また、背面10bと取付板30との間の間隔CLの領域に電源コード2を巻き回すのではなく、コード巻取部40に背面側の支持部を設けて、背面10bと支持部との間に電源コード2を巻き回すようにしてもよい。つまり、コード巻取部40を取付板30とは無関係の独立した構造として設けてもよい。取付板30は必ずしも必要ではなく、取付板30を設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、第1方向F1と第2方向F2とが直交する例を示したが、本発明はこれに限られない。第1方向と第2方向とは互いに直交する方向でなくてもよい。
また、上記実施形態では、第1フック50に加えて、第2係止部を有しない第2フック60を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2フック60を設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、1つの第1フック50を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。第1フック50を複数設けてもよい。たとえば図1(B)に示した2つの第2フック60の各形成位置に、それぞれ(第2フック60の代わりに)第1フック50を設けてもよい。たとえば第1フック50を、背面10bの四辺(上辺、下辺、左辺および右辺)にそれぞれ1つまたは複数ずつ設けてもよい。
また、上記実施形態では、第1フック50および第2フック60を筐体10の背面10bに形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。第1フック50および第2フック60は筐体10の側面10c、側面10d、上面10eおよび下面10fのいずれかに設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、第2係止部52で電源コード2を係止することにより、電源コード2を巻き回せるように第1フック50を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1フック50は、電源コード2を巻き回せない構造であってもよい。この場合、第1フック50は、コード巻取部40と警報器本体1(背面10b)の外周縁との間に設けなくてもよい。つまり、第1フック50は、背面10bの外周縁に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、第1係止部51および第2係止部52の一方に電源コード2を係止しつつ、係止された電源コード2の先端側を第1係止部51および第2係止部52の他方に係止可能とした例を示したが、本発明はこれに限られない。第1係止部51および第2係止部52のうち、いずれか一方のみを選択的に利用可能なように第1フック50を構成してもよい。
また、上記実施形態では、第2係止部52は、第1係止部51による第1係止位置S1に対して第2方向F2の一方側(X1方向側)および他方側(X2方向側)のいずれかの側となる位置に設けられた例を示したが、本発明はこれに限られない。第2係止部52は、第2方向F2において第1係止部51と同じ位置に設けられてもよい。たとえば図13に示す変形例による第2係止部152は、第1係止位置S1に対して、X方向の同じ位置に形成されている。第2係止部152は、第1係止位置S1に対して、Y2方向側に配置されている。この場合でも、経路Q1および経路Q2に示すように、第1係止部51により係止された電源コード2を、第2係止部152の側方を回り込ませるようにして第2係止位置S2まで屈曲させることにより、第2方向F2の一方側(X1方向側、経路Q1)および第2方向F2の他方側(X2方向側、経路Q2)へ引き出すことができる。
また、上記実施形態では、第1係止部51の第1係止位置S1と第2係止部52の第2係止位置S2とが、第1フック50の突出方向(Y1方向)において、互いにずれた位置となる例を示したが、本発明はこれに限られない。第1係止部51の第1係止位置S1と第2係止部52の第2係止位置S2とが、Y1方向において同じ位置となってもよい。たとえば図14に示す変形例では、L字状の切欠により構成された第1係止部151が、第2係止部52よりもY2方向側まで延びている。第1係止部151による第1係止位置S1は、第2係止部52の第2係止位置S2とY方向において略一致している。この場合も、電源コード2を第1係止部151から第1方向F1(図14の紙面手前方向)へ引き出し可能である。また、電源コード2を第1係止部151から第2方向F2(X方向)へ曲げることにより第2係止部52に係止させることも可能である。
また、上記実施形態では、第1フック50に2つの第2係止部52を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。第1フック50に1つの第2係止部52のみを設けてもよい(図13参照)。また、第1フック50に3つ以上の第2係止部52を設けてもよい。たとえば図15に示す変形例では、フック本体53のZ2方向側の第2係止部52に加えて、フック本体53のZ1方向側にも第2係止部252が形成されており、第2係止部52および第2係止部252が合計4つ設けられている。この変形例では、第2係止部52を用いて電源コード2を第2方向F2に引出可能なだけでなく、図16に示すように、Z1方向側の第2係止部252を用いて電源コード2を第2方向F2に引出可能である。たとえば電源コード2を、第1係止部51のZ2方向側からZ1方向に向けて通過させ、第1係止部51に係止された電源コード2の先端側を第2方向F2(X方向)に曲げてZ1方向側の第2係止部252により係止させる経路Q3、Q4によって、第2方向F2に引き出すことができる。また、X2方向側から導いた電源コード2を、第1係止部51のZ2方向側からZ1方向に向けて通過させ、同じX2方向側へUターンさせる経路Q5も実現できる。これらにより、電源コード2の経路長が変わるので、配線差し込み口6の位置に合わせて電源コード2の引出長さをさらに柔軟に調整できる。
また、上記実施形態では、切欠により第1係止部51を構成し、突起により第2係止部52を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば図17に示す変形例のように、第1係止部51および第2係止部52の両方を切欠により構成してもよい。図17では、第1係止部51の構造は上記実施形態と同様である。第2係止部352が、第1係止部51と同様の切欠によって構成されている。第2係止部352は、Z2方向側に開口している。これにより、電源コード2を第2係止部352内に挿通することにより、第2方向F2(X方向)に引き出された電源コード2を係止できる。
また、図18に示す変形例のように第1係止部451および第2係止部452を突起により構成してもよい。図18の第1フック450は、背面10bからY1方向に突出する柱状のフック本体453と、フック本体453の先端から第2方向F2(X方向)に延びる突起である第1係止部451と、フック本体453の先端から第1方向F1(Z2方向)に延びる突起である第2係止部452と、を一体的に有する。図18および図19に示すように、第1係止部451は、筐体10の背面10bと第1係止部451との間の隙間(第1係止位置S1)を通って第1方向F1(Z2方向)へ引き出される電源コード2を係止する(経路Q11)。第2係止部452は、筐体10の背面10bと第2係止部452との間の隙間(第2係止位置S2)を通って第2方向F2(X2方向)へ引き出される電源コード2を係止する(経路Q12)。なお、この構成でも、第1フック450は、第1係止部451に電源コード2を係止しつつ、係止された電源コード2の先端側を第2係止部52に係止可能である。また、第1フック450は、電源コード2を巻き回せるように構成され、第2係止部452が、第2方向F2に沿うように第1フック50に巻き回された電源コード2を係止可能である(経路Q13)。