JP2021096371A - レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望のビーム品質の光を得ることができるレーザ装置を提供すること。【解決手段】 レーザ装置1は、励起光を出射する励起光源40と、励起光により励起される活性元素により増幅される光が共振する共振器200と、共振器200の内部に配置されるビーム品質制御装置70とを備える。ビーム品質制御装置70は、コア32a及びクラッド32bを有する光ファイバ32と、光ファイバ32の少なくとも一部であり、コア32aを伝搬する光のモードを変化可能なモード変化部71と、モード変化部71の状態を変化させて、モードの変化の度合いを変化させる状態変化部73とを有する。【選択図】 図3

Description

本発明は、レーザ装置に関する。
レーザ装置は、集光性に優れ、パワー密度が高く、小さなビームスポットとなる光が得られることから、レーザ加工分野、医療分野等の様々な分野で用いられている。以下に、レーザ装置の一例として、レーザ加工分野に用いられるレーザ加工機について説明する。
例えば、レーザ加工機が対象物を出射光であるレーザ光によって切断する場合には、当該レーザ加工機は、切断の精度を高めるために、レーザ光のパワー密度を上げ、レーザ光のスポット径を小さくし、対象物の狭い範囲にレーザ光を照射することが好ましい。
これに対して、例えば、レーザ加工機が対象物をレーザ光によって溶接する場合には、当該レーザ加工機は、溶接の均一性を高めるために、レーザの密度を下げ、レーザ光のスポット径を大きくし、対象物の広い範囲にレーザ光を照射することが好ましい。
このようなレーザ加工においては、加工の用途に応じてビームスポットの径を変える手段の1つとして、レーザ光のビーム品質を変更することが挙げられる。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、ビーム品質を変更するレーザ装置が開示される。特許文献1では、レーザ光を出射する上流側の光ファイバと複数の光導波層を有する下流側の光ファイバとの間において楔状のガラス部材が抜き差しされる。また、特許文献2では、上流側の光ファイバと下流側の光ファイバとの間にレーザ光を偏向するレンズが配置されている。特許文献1及び特許文献2では、上流側の光ファイバと下流側の光ファイバとは、空間内において光学的に結合されている。また、ガラス部材またはレンズによって、下流側の光ファイバに入射するレーザ光の入射位置が変わり、下流側の光ファイバを伝搬する光のモード等が変化し得る。つまり、下流側の光ファイバを伝搬するレーザ光のビーム品質が変化し得る。
特許第6244308号明細書 国際公開2011/124671号
特許文献1及び特許文献2のレーザ装置では、光は上流側の光ファイバと下流側の光ファイバとの間を往復するものではなく、ビーム品質はガラス部材やレンズの位置や向きによって一回のみ制御される。一回の制御では、所望のビーム品質の光を得難いという懸念がある。
そこで、本発明は、所望のビーム品質の光を得ることができるレーザ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のレーザ装置は、励起光を出射する励起光源と、前記励起光により励起される活性元素により増幅される光が共振する共振器と、前記共振器の内部に配置されるビーム品質制御装置と、を備え、前記ビーム品質制御装置は、前記光が伝搬するコア及び前記コアの外周面を囲うクラッドを有する光ファイバと、前記光ファイバの少なくとも一部であり、前記光のモードを変化可能なモード変化部と、前記モード変化部の状態を変化させて、前記モードの変化の度合いを変化させる状態変化部と、を有することを特徴とする。
このようなレーザ装置では、光は共振器の内部を往復し、ビーム品質制御装置は当該共振器の内部に配置される。このため、光が共振器の内部を往復する度にモード変化部におけるコアにおいて光のモードが変化し得、所望のビーム品質の光を得ることができる。従って、本発明のレーザ装置によれば、ビーム品質制御装置が共振器の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質を大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、前記状態変化部は、前記モード変化部の外周面の少なくとも一部に面接触し、前記モード変化部における前記クラッドの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する応力付与部と、前記応力付与部の温度を変化させる温度制御部と、を有し、前記応力付与部は、当該応力付与部が前記クラッドに付与する外力の分布が前記クラッドの周方向において不均一となるように、前記温度制御部による前記温度の変化によって収縮または膨張する。
このようなレーザ装置では、応力付与部の温度が温度制御部によって変化すると、応力付与部は収縮または膨張する。レーザ装置では、応力付与部がクラッドに付与する外力がクラッドの周方向において不均一に変化するため、コアにかかる応力の分布がコアの周方向において不均一となり、コアの屈折率の分布が変化し、コアを伝搬する光のモードが変化し得る。このコアにかかる応力を温度で制御することで、所望のビーム品質の光を得ることができる。このように、このレーザ装置によれば、光ファイバ内でビーム品質が制御されるため、振動や環境温度の変化等が生じても、空間内にレンズが配置されることによってビーム品質が制御される場合と比べて、安定的に所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、前記状態変化部は、主面上に前記応力付与部が配置されており、かつ、前記温度制御部に熱的に接続される板状の熱伝導部材をさらに備え、前記熱伝導部材は、前記温度制御部と前記応力付与部との間において熱を伝導することが好ましい。
温度制御部が発熱する場合、温度制御部の熱は、熱伝導部材の平面方向において熱伝導部材全体に渡って伝導され易くなり、熱伝導部材から主面上の応力付与部に伝導され易くなり得る。また、温度制御部が吸熱する場合、応力付与部の熱は、熱伝導部材の平面方向において熱伝導部材全体に渡って伝導され易くなり、応力付与部から熱伝導部材に伝導され易くなり得る。これにより、応力付与部の温度は変化し易くなり、応力付与部の応力の大きさは応力付与部の温度によって変化し易くなり得る。従って、このレーザ装置によれば、熱伝導部材が配置されていない場合に比べて、応力付与部の応力の大きさを変化させ易くすることができる。
さらに、前記温度制御部は、前記熱伝導部材と熱的に接続されるペルチェ素子を有することが好ましい。
一般的に、ペルチェ素子において電流が所定の方向に流れると、ペルチェ素子の一方の面の温度は上昇し、他方の面の温度は下降する。この場合において、熱伝導部材が一方の面に配置されると、熱は一方の面から熱伝導部材を介して応力付与部に伝達され、応力付与部の温度はペルチェ素子によって上昇する。また、電流が上記とは逆の方向に流れると、一方の面の温度は下降し、他方の面の温度は上昇する。この場合において、熱伝導部材が一方の面に配置されると、熱は応力付与部から熱伝導部材を介してペルチェ素子に伝達され、応力付与部の温度はペルチェ素子によって下降する。このように、応力付与部の温度はペルチェ素子によって変化し、応力付与部の応力の大きさは応力付与部の温度によって制御され得る。従って、このレーザ装置によれば、ペルチェ素子によって応力付与部の応力の大きさを変えることができる。
また、前記応力付与部は、前記光ファイバの前記外周面に面接触する接触面と前記接触面から離れている前記応力付与部の外周面との間の厚みが不均一な樹脂から成ることが好ましい。
この場合、樹脂の温度が変化することで、クラッドに付与される外力の大きさにばらつきが生じ、コアにかかる応力の分布はコアの周方向において不均一となり得る。
また、前記樹脂の温度が所定の温度よりも低い場合に、前記樹脂は、収縮して前記クラッドに引張応力を付与し、前記樹脂の前記温度が前記所定の温度よりも高い場合に、前記樹脂は、膨張して前記クラッドに圧縮応力を付与することが好ましい。
この場合、温度制御部は、樹脂の温度を制御することによって樹脂の収縮または膨張を制御し得、樹脂の収縮または膨張によって応力を制御し得る。
また、前記ビーム品質制御装置は、前記応力付与部の少なくとも一部を囲う枠部材をさらに備え、前記枠部材の熱膨張係数は、前記応力付与部の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。
この場合、応力付与部は、膨張すると枠部材に向かう広がりを枠部材によって抑制されるため、枠部材が配置されていない場合に比べてクラッドに向かって強い外力でクラッドを押圧し得る。これにより応力付与部は、枠部材が配置されていない場合に比べて、大きい圧縮応力をクラッドに付与することができる。
また、前記レーザ装置は、前記レーザ装置の用途を前記温度制御部に入力する入力部と、前記用途に応じた前記応力付与部の前記温度を記憶する記憶部と、をさらに備え、前記温度制御部は、前記入力部から前記用途が入力される場合、前記記憶部から読み出した前記応力付与部の前記温度に基づいて、前記応力付与部の前記温度を制御することが好ましい。
この場合、レーザ装置は、各用途に適したビーム品質の光を対象物に照射することができる。これにより、各用途に適したビーム品質の光が対象物に照射されない場合に比べて、レーザ装置の加工速度や加工品質等の加工性能が向上し得る。
また、前記モード変化部は、前記光ファイバの巻回部であり、前記状態変化部は、前記モード変化部における巻回している前記光ファイバの巻きの径の大きさを変化させることが好ましい。
この場合、レーザ装置は、レーザ装置から出射する光のビーム品質を所望の値に制御することができる。また、光ファイバの巻きの径の大きさが変わり、光が共振器の内部を往復するため、ビーム品質制御装置が共振器の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。
さらに、前記共振器は、前記活性元素が添加される増幅用光ファイバと、前記増幅用光ファイバの一方側に設けられ、前記活性元素により増幅される前記光の少なくとも一部の波長の光を反射する第1FBGと、前記増幅用光ファイバの他方側に設けられ、前記第1FBGが反射する光のうち少なくとも一部の波長の光を前記第1FBGより低い反射率で反射する第2FBGと、を有してもよい。
この場合、共振器は増幅用光ファイバと第1FBGと第2FBGとから構成されており、ビーム品質制御装置のモード変化部は第1FBGと第2FBGとの間に配置される。
また、前記ビーム品質制御装置は、前記増幅用光ファイバと前記第1FBGにおける前記増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置されることが好ましい。
増幅用光ファイバと第1FBGにおける増幅用光ファイバから最も離れた部位との間における光のパワー密度は、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位におけるパワー密度よりも低い。従って、ビーム品質制御装置は、増幅用光ファイバと第1FBGにおける増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置される場合、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位に配置される場合に比べて、ビーム品質制御装置の光ファイバでの発熱を抑え得る。このため、ビーム品質制御装置の損傷を抑制し得る。
或いは、前記ビーム品質制御装置は、前記増幅用光ファイバと前記第2FBGにおける前記増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置されることが好ましい。
増幅用光ファイバと第2FBGにおける増幅用光ファイバから最も離れた部位との間における光のパワー密度は、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位における光のパワー密度よりも高い。従って、ビーム品質制御装置は、増幅用光ファイバと第2FBG増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置される場合、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位に配置される場合に比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、出射部から出射する光のビーム品質を所望のビーム品質に近づけることができる。
また、前記増幅用光ファイバは、前記ビーム品質制御装置における前記光ファイバであってもよい。
或いは、前記第1FBGは、前記ビーム品質制御装置における前記光ファイバに設けられてもよい。
或いは、前記第2FBGは、前記ビーム品質制御装置における前記光ファイバに設けられてもよい。
以上のように、本発明によれば、所望のビーム品質の光を得ることができるレーザ装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態におけるレーザ装置を示す図である。 図1のレーザ装置におけるそれぞれの光源を示す図である。 図2の光源におけるビーム品質制御装置を示す図である。 ビーム品質制御装置の応力付与部が収縮した場合における応力付与部からクラッドへの応力の付与を説明する図である。 ビーム品質制御装置の応力付与部が膨張した場合における応力付与部からクラッドへの応力の付与を説明する図である。 第1実施形態における応力付与部の温度とビーム品質の変化量との関係の例を示す図である。 第1実施形態とは異なりビーム品質制御装置が共振器の外部に配置される場合における、応力付与部の温度とビーム品質の変化量との関係を示す図である。 光源において増幅用光ファイバと第1FBGにおける増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置されるビーム品質制御装置を示す図である。 第2実施形態におけるビーム品質制御装置を示す図である。 第3実施形態におけるビーム品質制御装置を示す図である。 第4実施形態におけるビーム品質制御装置を示す図である。 第5実施形態におけるビーム品質制御装置を示す図である。 第6実施形態におけるレーザ装置を示す図である。 第7実施形態におけるレーザ装置を示す図である。 第8実施形態におけるレーザ装置を示す図である。
以下、本発明に係るレーザ装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する各実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、理解の容易のため、それぞれの図において一部が誇張して記載される場合等がある。
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかるレーザ装置1を示す図である。図1に示すように、本実施形態のレーザ装置1は、複数の光源2と、それぞれの光源2から出射する光を伝搬する光ファイバ21と、光ファイバ21からの光が入射するデリバリ光ファイバ10と、コンバイナ25と、デリバリ光ファイバ10からの光が入射する光ファイバ50と、光ファイバ50の端部に設けられる出射部60とを主な構成として備える。
図2は、レーザ装置1におけるそれぞれの光源2を示す図である。図2に示すように、本実施形態では、それぞれの光源2は、励起光を出射する励起光源40と、励起光源40から出射する励起光が入射し、励起光により励起される活性元素が添加される増幅用光ファイバ30と、を主な構成として備える。また、それぞれの光源2は、増幅用光ファイバ30の一端に接続される光ファイバ31と、光ファイバ31に設けられる第1FBG(Fibber Bragg Gratings)33と、光ファイバ31に励起光を入射するためのコンバイナ35と、増幅用光ファイバ30の他端に接続される光ファイバ32を備えるビーム品質制御装置70と、光ファイバ32に設けられる第2FBG34と、を主な構成としてさらに備える。増幅用光ファイバ30と第1FBG33と第2FBG34とでファブリ・ペロー(Fabry-Perot)型の共振器200が構成され、本実施形態の光源2は共振器型のファイバレーザ装置とされる。
本実施形態では、光ファイバ32を備えるビーム品質制御装置70は、共振器200の内部に配置される。図2の例では、例えば、ビーム品質制御装置70は、増幅用光ファイバ30と第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置される。ビーム品質制御装置70の構成については、後述する。
励起光源40は、複数のレーザダイオード41から構成される。励起光源40は、増幅用光ファイバ30に添加される活性元素を励起する波長の励起光を出射する。励起光源40のそれぞれのレーザダイオード41は、励起光用光ファイバ45に接続される。レーザダイオード41から出射する光は、それぞれのレーザダイオード41に光学的に接続される励起光用光ファイバ45を伝搬する。励起光用光ファイバ45としては、例えば、マルチモードファイバを挙げることができ、この場合、励起光は励起光用光ファイバ45をマルチモード光として伝搬する。本実施形態では、励起光の波長は、例えば915nmとされる。
増幅用光ファイバ30は、コアと、コアの外周面を隙間なく囲む内側クラッドと、内側クラッドの外周面を被覆する外側クラッドと、外側クラッドの外周面を被覆する被覆層とから構成されている。本実施形態では、増幅用光ファイバ30のコアは活性元素としてイッテルビウム(Yb)が添加された石英から成り、必要に応じて屈折率を上昇させるゲルマニウム等の元素が添加されている。なお、本実施形態とは異なるが、増幅する光の波長に合わせて、活性元素としてイッテルビウム以外の希土類元素が添加されても良い。このような希土類元素としては、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、エルビウム(Er)等が挙げられる。さらに活性元素として、希土類元素の他に、ビスマス(Bi)等が挙げられる。また、増幅用光ファイバ30の内側クラッドを構成する材料としては、例えば、何らドーパントが添加されていない純粋石英が挙げられる。なお、内側クラッドに例えばフッ素、ボロン(B)等の屈折率を低下させる元素が添加されてもよい。また、増幅用光ファイバ30の外側クラッドを構成する材料としては、例えば、内側クラッドより屈折率の低い樹脂が挙げられる。また、増幅用光ファイバ30の被覆層を構成する材料としては、例えば、外側クラッドを構成する樹脂とは異なる樹脂が挙げられる。増幅用光ファイバ30は、シングルモードファイバとされるが、パワーの大きな信号光が増幅用光ファイバ30のコアを伝搬可能なように、コアの直径がマルチモードファイバと同様とされつつも、シングルモードの光を伝搬する構成とされても良い。また、増幅用光ファイバ30はマルチモードファイバとされても良い。
光ファイバ31は、コアに活性元素が添加されていない点を除き増幅用光ファイバ30と同じ構成とされる。光ファイバ31は、増幅用光ファイバ30の一端に接続されている。従って、増幅用光ファイバ30のコアと光ファイバ31のコアとが光学的に結合し、増幅用光ファイバ30の内側クラッドと光ファイバ31の内側クラッドとが光学的に結合している。
第1FBG33は、増幅用光ファイバ30の一方側に接続される光ファイバ31のコアに設けられている。第1FBG33は、光ファイバ31の長手方向に沿って一定の周期で屈折率が高くなる部分が繰り返されることで構成されている。この周期が調整されることにより、第1FBG33は、励起状態とされた増幅用光ファイバ30の活性元素が放出する光のうち所定の波長帯域の光を反射する。
また、コンバイナ35において、光ファイバ31の内側クラッドに励起光用光ファイバ45のコアが接続されている。こうして、励起光源40と接続される励起光用光ファイバ45と増幅用光ファイバ30の内側クラッドとは、光ファイバ31の内側クラッドを介して、光学的に結合される。
また、コンバイナ35において、光ファイバ31に光ファイバ36が接続されている。光ファイバ36は、例えば、光ファイバ31のコアと同じ直径のコアを有する光ファイバとされる。光ファイバ36の一端は光ファイバ31に接続されており、光ファイバ36のコアと光ファイバ31のコアとが光学的に結合している。また、光ファイバ36のコンバイナ35側と反対側には熱変換部Eが接続されている。
光ファイバ32は、増幅用光ファイバ30の他端に接続されており、増幅用光ファイバ30のコアと光ファイバ32のコアとが光学的に結合している。光ファイバ32の構成については、後述する。
第2FBG34は、光ファイバ32のコアに設けられている。第2FBG34は、光ファイバ32の長手方向に沿って一定の周期で屈折率が高くなる部分が繰り返されることで構成されている。この構成により、第2FBG34は、第1FBG33が反射する光の少なくとも一部の波長の光を第1FBG33よりも低い反射率で反射する。
また、光ファイバ32の増幅用光ファイバ30側と反対側には、図1に示す光ファイバ21が接続されており、光ファイバ32と光ファイバ21とで1つの光ファイバが構成されている。なお、光ファイバ32が延長されることにより、光ファイバ32の一部が光ファイバ21とされても良い。
それぞれの光ファイバ21のコアは、デリバリ光ファイバ10のコアとコンバイナ25により光学的に結合されている。デリバリ光ファイバ10は、例えばマルチモードの光が伝搬するマルチモードファイバとされる。コンバイナ25は、例えば、テーパ状に加工されたブリッジファイバとされる。この場合、それぞれの光ファイバ21のコアは、コンバイナ25であるブリッジファイバの大口径側の端面に接続され、デリバリ光ファイバ10のコアは、コンバイナ25であるブリッジファイバの小口径側の端面に接続される。こうして、コンバイナ25を介して、それぞれの光ファイバ21のコアとデリバリ光ファイバ10のコアとが光学的に結合される。なお、コンバイナ25は、それぞれの光ファイバ21のコアとデリバリ光ファイバ10のコアとを光学的に結合させるものであれば、上記のブリッジファイバに限らず、例えば、それぞれの光ファイバ21のコアがデリバリ光ファイバ10のコアに直接接続されてもよい。
デリバリ光ファイバ10は、光が伝搬するコアと、コアの外周面を全周に渡って囲い、コアの外周面に隙間なく密着するクラッドと、クラッドの外周面を全周に渡って囲い、クラッドの外周面に隙間なく密着する被覆層とを有する。例えば、コア及びクラッドにはガラスが用いられ、被覆層には樹脂が用いられる。例えば、コアは、活性元素が添加されていない点を除き増幅用光ファイバ30のコアと同じ構成とされる。例えば、クラッドは、増幅用光ファイバ30の内側クラッドと同じ構成とされる。例えば、被覆層は、増幅用光ファイバ30の被覆層と同じ構成とされる。
デリバリ光ファイバ10のコンバイナ25側と反対側には、光ファイバ50が接続されており、デリバリ光ファイバ10と光ファイバ50とで1つの光ファイバが形成されている。なお、デリバリ光ファイバ10が延長されることにより、デリバリ光ファイバ10の一部が光ファイバ50とされても良い。本実施形態では、光ファイバ50の構成は、デリバリ光ファイバ10の構成と同様とされる。第1FBG33から出射部60における光ファイバ31と増幅用光ファイバ30と光ファイバ32,21とデリバリ光ファイバ10と光ファイバ50とには、励起光により励起される活性元素により増幅される光が伝搬する。
出射部60は、光ファイバ50から伝搬された光を対象物等に出射する。出射部60は、例えば、光ファイバ50のコアの直径よりも大きな直径を有するガラスロッドとされる。なお、出射部60は、光ファイバ50の端部とされてもよいし、光ファイバ50の端部に取り付けられたレンズなどの光学部品とされてもよい。
次に図3を用いて、ビーム品質制御装置70の構成について説明する。図3は、ビーム品質制御装置70を示す図である。
ビーム品質制御装置70の光ファイバ32は、光が伝搬するコア32aと、コア32aの外周面を全周に渡って囲い、コア32aの外周面に隙間なく密着するクラッド32bと、クラッド32bの外周面を全周に渡って囲い、クラッド32bの外周面に隙間なく密着する被覆層32cとを有する。例えば、コア32a及びクラッド32bにはガラスが用いられ、被覆層32cには樹脂が用いられる。例えば、コア32aは、活性元素が添加されていない点を除き増幅用光ファイバ30のコアと同じ構成とされる。コア32aは、増幅用光ファイバ30のコアに光学的に結合されている。例えば、クラッド32bは、増幅用光ファイバ30の内側クラッドと同じ構成とされる。例えば、被覆層32cは、増幅用光ファイバ30の被覆層と同じ構成とされる。
また、ビーム品質制御装置70は、モード変化部71と、状態変化部73と、入力部113と、記憶部115とを有する。
モード変化部71は、光ファイバ32の少なくとも一部である。モード変化部71では、コア32aを伝搬する光のモードが状態変化部73によって変化可能である。状態変化部73は、応力付与部80と、温度制御部90と、熱伝導部材111とを有する。
本実施形態では、例えば、応力付与部80は、湿気硬化型の樹脂から成る。この樹脂は、例えば、シリコーン系の樹脂である。また、本実施形態では、熱伝導部材111は、例えば、銅、窒化アルミニウムなどの金属の板部材から成る。
応力付与部80は、モード変化部71における被覆層32cの外周面を全周に渡って囲い、被覆層32cの外周面に隙間なく密着しており、当該外周面に面接触する。別言すると、モード変化部71における光ファイバ32の外周面は、応力付与部80に埋設される。被覆層32cの外周面に面接触する応力付与部80の接触面と当該接触面から離れている応力付与部80の外周面との間における応力付与部80の厚みは、不均一となっている。別言すると、光ファイバ32の径方向におけるクラッド32bの外周面と応力付与部80の外周面との間の距離は、一定ではなく、不均一とされている。このために、例えば、応力付与部80は半楕円形状となっており、熱伝導部材111の平面方向における応力付与部80の長さは熱伝導部材111の厚み方向における応力付与部80の長さよりも長くされている。熱伝導部材111の平面方向における応力付与部80の長さは光ファイバ32の直径よりも十分に長く、熱伝導部材111の厚み方向における応力付与部80の長さは光ファイバ32の直径よりも微小に長くされている。応力付与部80は、光ファイバ32とともに熱伝導部材111の主面に配置されており、光ファイバ32を熱伝導部材111に固定する。例えば、応力付与部80は、光ファイバ32の全長の一部分において光ファイバ32を囲っている。別言すると、応力付与部80によって囲まれる光ファイバ32はモード変化部71である。
温度制御部90は、制御本体部91と、電源93と、ペルチェ素子95とを有する。
制御本体部91には、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、温度制御部90は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。
制御本体部91には、ビーム品質制御装置70を搭載するレーザ装置1の用途が入力部113から入力される。この場合、制御本体部91は、記憶部115にアクセスし、記憶部115に記憶されるテーブルからレーザ装置1の用途に応じた応力付与部80の温度を読み出す。
電源93は、応力付与部80の温度がテーブルから読み出された温度となるように、制御本体部91によって電圧を制御される。電源93は、電圧をペルチェ素子95に印加する。
電圧の印加によって、ペルチェ素子95に電流が所定の方向に流れると、ペルチェ素子95の後述する一方の面の温度は上昇し、他方の面の温度は下降する。また、電圧が切り替わり、電流が上記とは逆の方向に流れると、ペルチェ素子95の一方の面の温度は下降し、他方の面の温度は上昇する。ペルチェ素子95の一方の面及び他方の面の温度は、ペルチェ素子95に流れる電流の大きさによって変化する。電流の大きさが変えられることで、ペルチェ素子95の温度の変化の度合いが変化する。電流の大きさが一定だと、ペルチェ素子95の温度は一定となる。電流が流れない場合は、ペルチェ素子95は発熱及び吸熱しない。
ペルチェ素子95の一方の面には、熱伝導部材111が配置されている。上記したように、ペルチェ素子95に電流が所定の方向に流れると、ペルチェ素子95の一方の面の温度は上昇する。この場合、ペルチェ素子95の熱は熱伝導部材111を介して応力付与部80に伝達され、応力付与部80の温度はペルチェ素子95によって上昇する。また、上記したように、電流が上記とは逆の方向に流れると、熱伝導部材111が配置されるペルチェ素子95の一方の面の温度は下降する。この場合、応力付与部80の熱は応力付与部80から熱伝導部材111を介してペルチェ素子95に伝達され、応力付与部80の温度はペルチェ素子によって下降する。
熱伝導部材111の主面には応力付与部80が配置されており、熱伝導部材111の裏面はペルチェ素子95に載置されている。熱伝導部材111は、応力付与部80とペルチェ素子95とに熱的に接続されており、ペルチェ素子95と応力付与部80との間において熱を伝導する。ペルチェ素子95の一方の面の温度が上昇し、他方の面の温度が下降する場合、熱伝導部材111は、ペルチェ素子95から発生した熱を応力付与部80に伝導する。ペルチェ素子95の一方の面の温度が下降し、他方の面の温度が上昇する場合、熱伝導部材111は、応力付与部80の熱をペルチェ素子95に伝導する。
熱伝導部材111の熱膨張係数は、クラッド32bの熱膨張係数と応力付与部80の熱膨張係数とよりも大きくされ、被覆層32cの熱膨張係数よりも小さくされている。
入力部113は、レーザ装置1を操作する操作者によって操作される。本実施形態では、入力部113は、例えば、切削または溶接といったレーザ装置1の用途を制御本体部91に入力する。入力部113は、一般的な入力用の機器であり、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、ボタンスイッチ、ダイヤル等である。入力部113は、操作者が図示しないモニタ等の表示部を目視した状態で表示部に表示される複数の用途から1つのある用途を選択及び入力してもよい。入力部113は、操作者がレーザ装置1を動作させるための各種指令を入力するために用いられてもよい。
記憶部115は、レーザ装置1の用途と用途に対応する応力付与部80の温度との関係を示すテーブルを記憶している。記憶部115は、例えば、メモリである。
温度制御部90の制御本体部91及び電源93と、入力部113と、記憶部115とは、それぞれの光源2におけるビーム品質制御装置70で共有されてもよい。
次に、応力付与部80による光ファイバ32への応力の付与について説明する。
本実施形態では、応力付与部80の熱膨張係数は、クラッド32bの熱膨張係数とは異なる。ここでは、応力付与部80の熱膨張係数は、クラッド32bの熱膨張係数よりも大きいものとして説明する。また、応力付与部80の熱膨張係数及びクラッド32bの熱膨張係数は、被覆層32cの熱膨張係数よりも小さくされている。
本実施形態では、応力付与部80の温度がある所定の温度となっている状態では、応力付与部80は、収縮及び膨張しておらず、引張応力または圧縮応力といった応力を被覆層32cを介してクラッド32bに付していない状態となっている。また、被覆層32cも、応力付与部80と同様に、ある所定の温度下では、収縮及び膨張しておらず、引張応力または圧縮応力といった応力をクラッド32bに付していない状態となっている。このような場合、応力付与部80及び被覆層32cがクラッド32bに付与する外力の分布は、クラッド32bの周方向において均一な状態となっている。所定の温度とは、例えば、応力付与部80である湿気硬化型の樹脂が硬化するときの温度である。
例えば、熱伝導部材111が配置されている温度制御部90のペルチェ素子95の一方の面の温度が下降し、ペルチェ素子95の他方の面の温度が上昇すると、応力付与部80の熱は熱伝導部材111を介してペルチェ素子95に伝導される。これにより、応力付与部80の温度は所定の温度よりも下降し、応力付与部80は、所定の温度時に比べて収縮する。このとき、応力付与部80の厚みが薄くなるように、応力付与部80の外周面及び応力付与部80の内周面は互いに向かって近づく。また、被覆層32cの熱は応力付与部80と熱伝導部材111とを介してペルチェ素子95に伝導され、被覆層32cの温度は所定の温度よりも下降する。このため、被覆層32cも、応力付与部80と同様に、所定の温度時に比べて収縮する。
本実施形態では、上記のように応力付与部80の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも大きいため、応力付与部80は、クラッド32bよりも大きく収縮する。そして、図4に示すように、応力付与部80は、応力付与部80の内周面において被覆層32cを介してクラッド32bを引っ張り、クラッド32bに引張応力を付与し得る。
また、本実施形態では、上記のように被覆層32cの熱膨張係数が応力付与部80の熱膨張係数及びクラッド32bの熱膨張係数よりも大きいため、被覆層32cは、応力付与部80及びクラッド32bよりも大きく収縮する。この場合、被覆層32cの外周面は、クラッド32bに向かう収縮を応力付与部80の内周面における収縮によって抑制される。このため、応力付与部80が配置されていない場合に比べて、被覆層32cは、クラッド32bを強い力で引っ張りし得る。これにより被覆層32cは、応力付与部80が配置されていない場合に比べて、大きい引張応力をクラッド32bに付与し得る。
また、例えば、熱伝導部材111が配置されている温度制御部90のペルチェ素子95の一方の面の温度が上昇し、ペルチェ素子95の他方の面の温度が下降すると、ペルチェ素子95の熱は熱伝導部材111を介して応力付与部80に伝導される。これにより応力付与部80の温度は所定の温度よりも上昇し、応力付与部80は、所定の温度時に比べて膨張する。このとき、応力付与部80の厚みが厚くなるように、応力付与部80の外周面及び応力付与部80の内周面は互いから遠ざかる。また、ペルチェ素子95の熱は熱伝導部材111及び応力付与部80を介して被覆層32cにも伝導され、被覆層32cの温度は所定の温度よりも上昇する。このため、被覆層32cも、応力付与部80と同様に、所定の温度時に比べて膨張する。
本実施形態では、上記のように応力付与部80の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも大きいため、応力付与部80は、クラッド32bよりも大きく膨張する。そして、図5に示すように、応力付与部80は、応力付与部80の内周面において被覆層32cを介してクラッド32bを押圧し、クラッド32bに圧縮応力を付与し得る。
また、本実施形態では、上記のように被覆層32cの熱膨張係数が応力付与部80の熱膨張係数及びクラッド32bの熱膨張係数よりも大きいため、被覆層32cは、応力付与部80及びクラッド32bよりも大きく膨張する。この場合、被覆層32cの外周面は、応力付与部80に向かう膨張を応力付与部80の内周面における膨張によって抑制される。このため、応力付与部80が配置されていない場合に比べて、被覆層32cは、クラッド32bを強い力で押圧し得る。これにより被覆層32cは、応力付与部80が配置されていない場合に比べて、大きい圧縮応力をクラッド32bに付与し得る。
このように応力付与部80は、応力付与部80の温度によって収縮または膨張し、収縮によって応力である引張応力をクラッド32bに付与し、膨張によって応力である圧縮応力をクラッド32bに付与し得る。また、被覆層32cは、被覆層32cの温度によって収縮または膨張し、収縮によって応力である引張応力をクラッド32bに付与し、膨張によって応力である圧縮応力をクラッド32bに付与し得る。
応力付与部80の収縮の程度は、応力付与部80の温度が所定の温度よりも低くなればなるほど、大きくなる。このため、応力付与部80の引張応力の大きさは、応力付与部80の温度が所定の温度よりも低くなればなるほど、大きくなる。また、応力付与部80の膨張の程度は、応力付与部80の温度が所定の温度よりも高くなればなるほど、大きくなる。このため、応力付与部80の圧縮応力の大きさは、応力付与部80の温度が所定の温度よりも高くなればなるほど、大きくなる。同様に、被覆層32cの引張応力の大きさは、被覆層32cの温度が所定の温度よりも低くなればなるほど、大きくなる。また、被覆層32cの圧縮応力の大きさは、被覆層32cの温度が所定の温度よりも高くなればなるほど、大きくなる。
応力付与部80と被覆層32cとが引張応力または圧縮応力をクラッドに付与すると、クラッド32bにおける外力の分布がクラッド32bの周方向において不均一となる。これによりコア32aにかかる応力の分布がコア32aの周方向において不均一となり、コア32aの屈折率の分布が変化し、コア32aを伝搬する光のモードが変化し得る。
次に図6を用いて、温度制御部90によって制御される応力付与部80の温度と、ビーム品質の変化量との関係の例について説明する。図6は、応力付与部80の温度とビーム品質の変化量との関係の例を示す図である。
ここで、図6にて実線で示すグラフについて説明する。このグラフでは、上記した所定の温度を例えば25℃としている。従って、この場合では、外力の分布はクラッド32bの周方向において均一な状態となっており、ビーム品質の変化量は0である。この場合における、応力付与部80の温度とビーム品質の変化量とについて、以下に説明する。
応力付与部80の温度が22℃の場合では応力付与部80の引張応力によってビーム品質の変化量は0.013、応力付与部80の温度が20℃の場合では応力付与部80のより大きな引張応力によってビーム品質の変化量は0.039、となる結果が得られる。また、応力付与部80の温度が27℃の場合では応力付与部80の圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.015、応力付与部80の温度が30℃の場合では応力付与部80のより大きな圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.040、となる結果が得られる。
次に、図6にて点線で示すグラフについて説明する。このグラフでは、上記した所定の温度を例えば35℃としている。従って、この場合では、外力の分布はクラッド32bの周方向において均一な状態となっており、ビーム品質の変化量は0である。この場合における、応力付与部80の温度とビーム品質の変化量とについて、以下に説明する。
応力付与部80の温度が32℃の場合では応力付与部80の引張応力によってビーム品質の変化量は0.013、応力付与部80の温度が31℃の場合では応力付与部80のより大きな引張応力によってビーム品質の変化量は0.039、となる結果が得られる。また、応力付与部80の温度が37℃の場合では応力付与部80の圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.015、応力付与部80の温度が40℃の場合では応力付与部80のより大きな圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.040、となる結果が得られる。
上記した結果から、応力付与部80の温度が所定の温度よりも低くなればなるほど、引張応力が大きくなり、コア32aの屈折率の分布が変化するため、ビーム品質の変化量は大きくなり得る。また、応力付与部80の温度が所定の温度よりも高くなればなるほど、圧縮応力が大きくなり、コア32aの屈折率の分布が変化するため、ビーム品質の変化量は大きくなり得る。つまり、応力の大きさは応力付与部80の温度によって制御され、応力付与部80の温度が所定の温度から離れるほどビーム品質の変化量は大きくなり得る。このように、コア32aにかかる応力は応力付与部80の温度で制御され、光ファイバ32の状態が応力によって変化する。これにより、光ファイバ32内でビーム品質が制御され、所望のビーム品質の光が得られる。
また、例えば、図6にて実線で示すグラフにおいて、所定の温度を例えば30℃としても、応力付与部80の温度がこの所定の温度よりも低くなると、応力付与部80は収縮して引張応力を付与し、応力付与部80の温度がこの所定の温度よりも高くなると、応力付与部80は膨張して圧縮応力を付与することになる。従って、所定の温度がどのような値であっても、応力付与部80の温度が所定の温度に対して変化すると、応力付与部80が収縮または膨張する。これにより、コア32aの屈折率の分布が変化し、コア32aを伝搬する光のモードが変化するため、ビーム品質が変化することがわかる。
次に、本実施形態におけるビーム品質制御装置70の比較例について説明する。
比較例では、ビーム品質制御装置70が共振器200の内部に配置される本実施形態とは異なり、ビーム品質制御装置70は共振器200の外部に配置される。共振器200の外部に配置されるビーム品質制御装置70の一例として、ビーム品質制御装置70は、共振器200と出射部60との間に配置される。上記したように、共振器200は増幅用光ファイバ30と第1FBG33と第2FBG34とから構成されているため、比較例におけるビーム品質制御装置70は、第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位と出射部60との間に配置されるものとする。
比較例におけるビーム品質制御装置70の応力付与部80は、光ファイバ50の被覆層の外周面を全周に渡って囲い、当該被覆層の外周面に隙間なく密着しており、当該外周面に面接触する。また、応力付与部80は、収縮によって応力である引張応力を光ファイバ50のクラッドに付与し、膨張によって応力である圧縮応力を光ファイバ50のクラッドに付与し得る。また、光ファイバ50の被覆層は、収縮または膨張し、収縮によって応力である引張応力を光ファイバ50のクラッドに付与し、膨張によって応力である圧縮応力を光ファイバ50のクラッドに付与し得る。
次に図7を用いて、比較例における、応力付与部80の温度と、ビーム品質の変化量との関係の例について説明する。図7は、比較例における、応力付与部80の温度とビーム品質の変化量との関係の例を示す図である。
ここで、図7にて実線で示すグラフについて説明する。このグラフでは、上記した所定の温度を例えば25℃としている。従って、この場合では、外力の分布は光ファイバ50のクラッドの周方向において均一な状態となっており、ビーム品質の変化量は0である。この場合における、応力付与部80の温度とビーム品質の変化量とについて、以下に説明する。
応力付与部80の温度が20℃の場合では応力付与部80の引張応力によってビーム品質の変化量は0.003、応力付与部80の温度が15℃の場合では応力付与部80のより大きな引張応力によってビーム品質の変化量は0.015、となる結果が得られる。また、応力付与部80の温度が30℃の場合では応力付与部80の圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.007、応力付与部80の温度が35℃の場合では応力付与部80のより大きな圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.025、応力付与部80の温度が40℃の場合では応力付与部80の最も大きな圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.047、となる結果が得られる。
次に、図7にて点線で示すグラフについて説明する。このグラフでは、上記した所定の温度を例えば35℃としている。従って、この場合では、外力の分布は光ファイバ50のクラッドの周方向において均一な状態となっており、ビーム品質の変化量は0である。この場合における、応力付与部80の温度とビーム品質の変化量とについて、以下に説明する。
応力付与部80の温度が30℃の場合では応力付与部80の引張応力によってビーム品質の変化量は0.003、応力付与部80の温度が25℃の場合では応力付与部80のより大きな引張応力によってビーム品質の変化量は0.015、となる結果が得られる。また、応力付与部80の温度が40℃の場合では応力付与部80の圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.007、応力付与部80の温度が45℃の場合では応力付与部80のより大きな圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.025、応力付与部80の温度が50℃の場合では応力付与部80の最も大きな圧縮応力によってビーム品質の変化量は0.047、となる結果が得られる。
図6にて実線で示す本実施形態におけるグラフと図7にて実線で示す比較例におけるグラフとを比較すると、図6のグラフは、図7のグラフよりも急峻となっている。このため、応力付与部80の温度が所定の温度に対して本実施形態と比較例とのそれぞれにおいて同じ温度で変化すると、本実施形態におけるビーム品質の変化量は比較例におけるビーム品質の変化量よりも大きくなることがわかる。つまり、本実施形態は、比較例と同じ温度変化であっても、ビーム品質制御装置70が共振器200の内部に配置されるため、比較例よりも大きいビーム品質の変化量を得られることがわかる。別言すると、本実施形態は、ビーム品質制御装置70が共振器200の内部に配置されるため、比較例よりも少ない温度変化によって、比較例と同じビーム品質の変化量を得られることがわかる。ここでは、図6及び図7それぞれの実線のグラフについて説明したが、図6及び図7それぞれの点線のグラフについても同様に、本実施形態は、比較例と同じ温度変化であっても、比較例よりも大きいビーム品質の変化量を得られることがわかる。
これにより、本実施形態では、比較例と同じ温度変化であっても、比較例よりも、ビーム品質を大きく変化させることができる。また、本実施形態では、比較例と同じビーム品質の光を得る場合、比較例よりも温度変化を少なくすることができるので、短時間で所望のビーム品質の光を得ることができる。
次にレーザ装置1の動作について説明する。
レーザ装置1を使用するための設定段階として、応力付与部80の温度及び被覆層32cの温度は所定の温度となっており、応力付与部80及び被覆層32cは、収縮及び膨張しておらず、引張応力または圧縮応力といった応力をクラッド32bに付していない状態として説明する。このため、応力付与部80及び被覆層32cがクラッド32bに付与する外力の分布は、クラッド32bの周方向において均一な状態となっている。
レーザ装置1を操作する操作者は、切削または溶接といったレーザ装置1の用途を入力部113に入力する。入力部113は、この用途を温度制御部90に入力する。制御本体部91は、記憶部115にアクセスし、記憶部115に記憶されるテーブルから用途に応じた応力付与部80の温度を読み出す。制御本体部91は、応力付与部80の温度がテーブルから読み出された温度となるように、電源93の電圧を制御する。電源93は電圧をペルチェ素子95に印加し、ペルチェ素子95の一方の面の温度は上昇または下降し、ペルチェ素子95の他方の面の温度は一方の面とは逆に下降または上昇する。
応力付与部80の温度と被覆層32cの温度とがペルチェ素子95の一方の面の温度下降によって所定の温度よりも低くなると、応力付与部80及び被覆層32cは、収縮によってクラッド32bを引っ張り、クラッド32bに引張応力を付与する。
応力付与部80の温度と被覆層32cの温度とがペルチェ素子95の一方の面の温度上昇によって所定の温度よりも高くなると、応力付与部80及び被覆層32cは、膨張によってクラッド32bを押圧し、クラッド32bに圧縮応力を付与する。
応力付与部80及び被覆層32cは、収縮によって応力である引張応力をクラッド32bに付与し、膨張によって応力である圧縮応力をクラッド32bに付与する。応力付与部80の温度及び被覆層32cの温度が所定の温度よりも低くなればなるほど、圧縮応力は大きくなる。また、応力付与部80の温度及び被覆層32cの温度が所定の温度よりも高くなればなるほど、引張応力は大きくなる。応力付与部80の温度及び被覆層32cの温度は、レーザ装置1の用途に応じて制御される。応力付与部80の温度及び被覆層32cの温度によって、応力付与部80の応力の大きさ及び被覆層32cの応力の大きさが制御される。
本実施形態では、応力付与部80の温度及び被覆層32cの温度が変化すると、クラッド32bに付与される応力の大きさが変化し得る。クラッド32bに付与される応力の大きさが変化すると、応力付与部80及び被覆層32cがクラッド32bに付与する外力が変化し、外力の分布はクラッド32bの周方向において不均一となり得る。これにより、コア32aにかかる応力の分布がコア32aの周方向において不均一となり、コア32aの屈折率の分布が変化し、コア32aを伝搬する光のモードが変化し得る。光のモードの変化の度合いは、レーザ装置1の用途に応じて変化する。
上記した設定が終わると、レーザ装置1は以下のように動作する。
それぞれの光源2において、励起光源40のそれぞれのレーザダイオード41から励起光が出射する。励起光源40から出射した励起光は、励起光用光ファイバ45、光ファイバ31を介して、増幅用光ファイバ30の内側クラッドに入射する。増幅用光ファイバ30の内側クラッドに入射した励起光は主にこの内側クラッドを伝搬して、増幅用光ファイバ30のコアを通過する際にコアに添加されている活性元素を励起する。励起状態とされた活性元素は自然放出光を放出し、この自然放出光のうち一部の波長の光が第1FBG33により反射され、反射された光のうち第2FBG34が反射する波長の光が第2FBG34で反射される。このため、第1FBG33と第2FBG34との間、すなわち共振器200内を光が往復し、増幅用光ファイバ30のコアを伝搬するときの誘導放出により光が増幅され、レーザ発振状態が生じる。このときの光の波長は、例えば1070nmとされる。
本実施形態では、ビーム品質制御装置70は増幅用光ファイバ30と第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置されており、光ファイバ32のコア32aの屈折率の分布はビーム品質制御装置70によって切断または切削といったレーザ装置1の用途に応じて変化している。このため、光は共振器200の内部を往復する度にモード変化部71におけるコア32aを伝搬し、コア32aにおいて光のモードの数は用途に応じて変化する。従って、例えば、用途に応じて、シングルモードの光がマルチモードの光に変化したり、マルチモードの光のモード数が減ったり、マルチモードの光がシングルモードの光に変化する。光のビーム品質はビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合に比べて大きく変化することができるため、用途に応じた所望のビーム品質の光が得られる。
そして、光のうち一部の光は、第2FBG34を透過して光ファイバ32から出射する。この光は、光ファイバ21からコンバイナ25を介してデリバリ光ファイバ10のコアに入射する。
本実施形態では、デリバリ光ファイバ10がマルチモードファイバであれば、デリバリ光ファイバ10のコアに入射した光は、コアをマルチモードで伝搬する。そして、コアを伝搬する光は、デリバリ光ファイバ10から光ファイバ50に伝搬する。このように、励起光により励起される活性元素により増幅される光は、第1FBG33から出射部60における光ファイバ31と増幅用光ファイバ30と光ファイバ32,21とデリバリ光ファイバ10と光ファイバ50とを伝搬する。光は、用途に応じた所望のビーム品質を備えた状態で、出射部60から出射されて対象物等に照射される。なお、光ファイバ32,21,50及びデリバリ光ファイバ10それぞれのコアを伝搬する光のパワーは、例えば、1kW以上とされる。
以上のように、本実施形態のレーザ装置1は、励起光を出射する励起光源40と、励起光により励起される活性元素により増幅される光が共振する共振器200と、共振器200の内部に配置されるビーム品質制御装置70と、を備える。ビーム品質制御装置70は、コア32a及びコア32aの外周面を囲うクラッド32bを有する光ファイバ32と、光ファイバ32の少なくとも一部であり、コア32aを伝搬する光のモードが変化可能なモード変化部71と、モード変化部71の状態を変化させて、モードの変化の度合いを変化させる状態変化部73と、を有する。
このようなレーザ装置1では、光は共振器200の内部を往復し、ビーム品質制御装置70は当該共振器200の内部に配置される。このため、光が共振器200の内部を往復する度にモード変化部71におけるコア32aにおいて光のモードが変化し得、所望のビーム品質の光を得ることができる。従って、本実施形態のレーザ装置1によれば、ビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質を大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。また、レーザ装置1では、モード変化部71の状態がレーザ装置1の用途に応じて変化すると、光のモードの変化の度合いがレーザ装置1の用途に応じて変化するため、用途に応じた所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、状態変化部73は、モード変化部71の外周面の少なくとも一部に面接触し、モード変化部71におけるクラッド32bの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する応力付与部80と、応力付与部80の温度を変化させる温度制御部90と、を有する。応力付与部80は、当該応力付与部80がクラッド32bに付与する外力の分布がクラッド32bの周方向において不均一となるように、温度制御部90による応力付与部80の温度の変化によって収縮または膨張する。
このようなレーザ装置1では、応力付与部80の温度が温度制御部90によって変化すると、応力付与部80は収縮または膨張する。レーザ装置1では、応力付与部80がクラッド32bに付与する外力がクラッド32bの周方向において不均一に変化するため、コア32aにかかる応力の分布がコア32aの周方向において不均一となり、コア32aの屈折率の分布が変化し、コア32aを伝搬する光のモードが変化し得る。また、本実施形態では、被覆層32cが配置されており、被覆層32cによってコア32aの屈折率の分布がさらに変化し、コア32aを伝搬する光のモードが変化し得る。このコア32aにかかる応力を温度で制御することで、所望のビーム品質の光を得ることができる。このように、このレーザ装置1によれば、光ファイバ32内でビーム品質が制御されるため、振動や環境温度の変化等が生じても、空間内にレンズが配置されることによってビーム品質が制御される場合と比べて、安定的に所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、上記のようにレーザ装置1では、光は共振器200の内部を往復し、ビーム品質制御装置70は当該共振器200の内部に配置される。このため、本実施形態のレーザ装置1によれば、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合と比べて、光がビーム品質制御装置70を一回通過する際における光のモードの変化の度合いが小さくても、レーザ装置1から出射される光のビーム品質の変化量を、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合におけるビーム品質の変化量と同じにすることができる。このため、レーザ装置1から出射されるビーム品質を所定の状態から別の状態に変化させる場合、本実施形態のレーザ装置1のモード変化部71の状態の変化量は、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合のモード変化部の状態の変化量よりも小さくて済む。これにより、本実施形態のレーザ装置1によれば、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合と比べて、モード変化部71の状態の変化の時間を短くでき、短時間で所望のビーム品質の光に変化させることができる。
また、ビーム品質制御装置70が本実施形態のように共振器200の内部に配置される場合におけるビーム品質の変化量を、共振器200の外部に配置されるビーム品質制御装置によって得ようとする場合、共振器200の内部に配置されるビーム品質制御装置に比べて、共振器200の外部に配置されるビーム品質制御装置の数が増えたり、モード変化部71における光ファイバ32の長さが長くなる等の懸念がある。このため、共振器200の外部に配置されるビーム品質制御装置70には、大型化や高コスト化等となる懸念がある。しかし、本実施形態のビーム品質制御装置70は共振器200の内部に配置されるため、このようなビーム品質制御装置70の大型化や高コスト化等が抑制される。従って、レーザ装置1全体も、大型化や高コスト化等が抑制される。
また、本実施形態では、状態変化部73は、主面上に応力付与部80が配置され、温度制御部90に熱的に接続される板状の熱伝導部材111をさらに備え、熱伝導部材111は、温度制御部90と応力付与部80との間において熱を伝導する。
温度制御部90が発熱する場合、温度制御部90の熱は、熱伝導部材111の平面方向において熱伝導部材111全体に渡って伝導され易くなり、熱伝導部材111から熱伝導部材111の主面上の応力付与部80に伝導され易くなり得る。また、温度制御部90が吸熱する場合、応力付与部80の熱は、熱伝導部材111の平面方向において熱伝導部材111全体に渡って伝導され易くなり、応力付与部80から熱伝導部材111に伝導され易くなり得る。これにより、応力付与部80の温度は変化し易くなり、応力付与部80の応力の大きさは応力付与部80の温度によって変化し易くなり得る。従って、このレーザ装置1によれば、熱伝導部材111が配置されていない場合に比べて、応力付与部80の応力の大きさを変化させ易くすることができる。
また、本実施形態では、温度制御部90は、熱伝導部材111が配置されるペルチェ素子95を有する。
一般的に、ペルチェ素子95において電流が所定の方向に流れると、ペルチェ素子95の一方の面の温度は上昇し、他方の面の温度は下降する。この場合において、熱伝導部材111が一方の面に配置されると、熱は一方の面から熱伝導部材111を介して応力付与部80に伝達され、応力付与部80の温度はペルチェ素子95によって上昇する。また、電流が上記とは逆の方向に流れると、一方の面の温度は下降し、他方の面の温度は上昇する。この場合において、熱伝導部材111が一方の面に配置されると、熱は応力付与部80から熱伝導部材111を介してペルチェ素子95に伝達され、応力付与部80の温度はペルチェ素子95によって下降する。このように、応力付与部80の温度はペルチェ素子95によって変化し、応力付与部80の応力の大きさは応力付与部80の温度によって制御され得る。従って、このレーザ装置1によれば、ペルチェ素子95によって応力付与部80の応力の大きさを変えることができる。
また、本実施形態では、応力付与部80は、光ファイバ32の外周面に面接触する接触面と接触面から離れている応力付与部80の外周面との間の厚みが不均一な樹脂から成る。
この場合、樹脂の温度が変化することで、クラッド32bに付与される外力の大きさにばらつきが生じ、コア32aにかかる応力の分布はコア32aの周方向において不均一となり得る。
また、本実施形態では、樹脂の温度が所定の温度よりも低い場合に、樹脂は、収縮してクラッド32bに引張応力を付与し、樹脂の温度が所定の温度よりも高い場合に、樹脂は、膨張してクラッド32bに圧縮応力を付与する。
この場合、温度制御部90は、樹脂の温度を制御することによって樹脂の収縮または膨張を制御し得、樹脂の収縮または膨張によって応力を制御し得る。
また、本実施形態では、レーザ装置1は、レーザ装置1の用途を温度制御部90に入力する入力部113と、用途に応じた応力付与部80の温度を記憶する記憶部115と、をさらに備え、温度制御部90は、入力部113から用途が入力される場合、記憶部115から読み出した応力付与部80の温度に基づいて、応力付与部80の温度を制御する。
この場合、レーザ装置1は、光のモードの変化の度合いがレーザ装置1の用途に応じて変化するため、各用途に適したビーム品質の光を対象物に照射することができる。これにより、各用途に適したビーム品質の光が対象物に照射されない場合に比べて、レーザ装置1の加工速度や加工品質等の加工性能が向上し得る。
また、本実施形態では、共振器200は、活性元素が添加される増幅用光ファイバ30と、増幅用光ファイバ30の一方側に設けられ、活性元素により増幅される光の少なくとも一部の波長の光を反射する第1FBG33と、増幅用光ファイバ30の他方側に設けられ、第1FBG33が反射する光のうち少なくとも一部の波長の光を第1FBG33より低い反射率で反射する第2FBG34と、を有する。
この場合、共振器200は増幅用光ファイバ30と第1FBG33と第2FBG34とから構成されており、ビーム品質制御装置70の状態変化部73は第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位と第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置される。
また、本実施形態では、ビーム品質制御装置70は、増幅用光ファイバ30と第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置される。
第2FBG34は、光ファイバ32のクラッドで囲まれるコアの屈折率よりも高い屈折率の高屈折率部とコアの屈折率と同等の屈折率の低屈折率部とが交互に繰り返される構成である。第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位は、第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた高屈折率部である。
増幅用光ファイバ30と第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間における光のパワー密度は、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位における光のパワー密度よりも高い。従って、ビーム品質制御装置70は、増幅用光ファイバ30と第2FBG34における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置される場合、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位に配置される場合に比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、出射部60から出射する光のビーム品質を所望のビーム品質により近づけることができる。
なお、応力付与部80は、第2FBG34が位置する部分における光ファイバ32の被覆層32cの外周面を全周に渡って囲い、当該被覆層32cの外周面に隙間なく密着しており、当該外周面に面接触してもよい。応力付与部80によって囲まれる光ファイバ32がモード変化部71であるため、第2FBG34はモード変化部71における光ファイバ32に設けられることになる。
なお、本実施形態では、上記説明と異なり、図8に示すように、ビーム品質制御装置70は、増幅用光ファイバ30と第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置されてもよい。
第1FBG33は、光ファイバ31のクラッドで囲まれるコアの屈折率よりも高い屈折率の高屈折率部とコアの屈折率と同等の屈折率の低屈折率部とが交互に繰り返される構成である。第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位は、第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた高屈折率部である。
増幅用光ファイバ30と第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間における光のパワー密度は、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位におけるパワー密度よりも低い。従って、ビーム品質制御装置70は、増幅用光ファイバ30と第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置されると、第1FBGと第2FBGとの間における他の部位に配置される場合に比べて、ビーム品質制御装置70の光ファイバでの発熱を抑え得る。このため、ビーム品質制御装置70の損傷を抑制し得る。この場合、ビーム品質制御装置70のモード変化部71における光ファイバは、光ファイバ31である。また、第1FBG33は、モード変化部71における光ファイバ31に設けられることとなる。
なお、応力付与部80は、第1FBG33が位置する部分における光ファイバ31の被覆層の外周面を全周に渡って囲い、当該被覆層の外周面に隙間なく密着しており、当該外周面に面接触してもよい。応力付与部80によって囲まれる光ファイバ31がモード変化部71であるため、第1FBG33はモード変化部71における光ファイバ31に設けられることになる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図9は、本実施形態にかかるビーム品質制御装置70を示す図である。本実施形態では温度制御部90の構成が第1実施形態のそれとは異なり、ビーム品質制御装置70が枠部材117をさらに備える点が第1実施形態のそれとは異なる。
本実施形態の温度制御部90は、制御本体部91と、ヒートポンプ97と、流路部99とを有する。
ヒートポンプ97は、制御本体部91の制御によって、流路部99を流れる流体を冷却または加熱する。ヒートポンプ97の温度は、制御本体部91によって制御される。
流路部99は、熱伝導部材111を貫通しており、光ファイバ32の直下に配置されている。流路部99は、熱伝導部材111に熱的に接続されている。流路部99は、例えば、パイプなどの管である。流路部99には流体が流れており、この流体は例えば液体である。流路部99は、熱伝導部材111の外部に延びており、熱伝導部材111の外部においてヒートポンプ97に熱的に接続されている。流体の温度は、ヒートポンプ97からの熱によって変化する。
また、本実施形態のビーム品質制御装置70は、例えば、金属から成る枠部材117をさらに備える。枠部材117は、熱伝導部材111に載置されており、熱伝導部材111に熱的に接続されている。
枠部材117の断面は凹状となっており、応力付与部80及び光ファイバ32は凹状の枠部材117の内部に配置されている。光ファイバ32を全周に渡って囲う応力付与部80は、枠部材117の内周面に接触しており、枠部材117に熱的に接続されている。枠部材117は、樹脂である応力付与部80を囲う。枠部材117は、応力付与部80の少なくとも一部を囲っていればよい。枠部材117の凹状の断面における内側側面の高さは、光ファイバ32の直径よりも長くされている。枠部材117は、応力付与部80を光ファイバ32に固定する。枠部材117の熱膨張係数は、応力付与部80の熱膨張係数よりも小さくされている。また、応力付与部80が膨張する場合、枠部材117は枠部材117に向かう応力付与部80の広がりを抑制している。
本実施形態では、上記したように、温度制御部90は、ヒートポンプ97と、ヒートポンプ97によって温度が変化する流体が流れ、熱伝導部材111を貫通し、流体によって応力付与部80の温度を変化させる流路部99とを有する。
この場合、応力付与部80は、枠部材117と熱伝導部材111とを介して流路部99に熱的に接続されている。ヒートポンプ97が冷却または加熱によって流体の温度を制御すると、応力付与部80の温度は熱伝導部材111を介して流体によって変化し、応力付与部80の応力の大きさは応力付与部80の温度によって制御され得る。従って、このレーザ装置1によれば、流路部99によって応力付与部80の応力の大きさを制御することができる。
また、本実施形態では、ビーム品質制御装置70は、応力付与部80の少なくとも一部を囲う枠部材117をさらに備え、枠部材117の熱膨張係数は、応力付与部80の熱膨張係数よりも小さくされている。
この場合、応力付与部80は、膨張すると枠部材117に向かう広がりを枠部材117によって抑制されるため、枠部材117が配置されていない場合に比べてクラッド32bに向かって強い外力でクラッド32bを押圧し得る。これにより応力付与部80は、枠部材117が配置されていない場合に比べて、大きい圧縮応力をクラッド32bに付与することができる。
また、本実施形態では、枠部材117は、金属から成る。
一般的に、熱は、金属を伝導し易いため、枠部材117を介して応力付与部80に伝導され易くなり得る。従って、このレーザ装置1によれば、枠部材117が配置されていない場合に比べて、応力付与部80の応力を早く変化させることができる。
なお、流体の熱は、熱伝導部材111を介して枠部材117にも伝導される。枠部材117の熱膨張係数は、応力付与部80の熱膨張係数よりも低くされている。このため、熱による枠部材117の収縮または膨張は、応力付与部80の収縮または膨張にほとんど影響を与えない。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図10は、本実施形態にかかるビーム品質制御装置70を示す図である。本実施形態では応力付与部80の構成が第1実施形態のそれとは異なる。
本実施形態の応力付与部80は、板部材81と、板部材81に立設される一対の壁部材83とを有する。
板部材81は、例えば、銅などの金属から成る。板部材81は、ペルチェ素子95に載置されており、ペルチェ素子95に熱的に接続されている。板部材81は、ペルチェ素子95から伝導される熱によって、一対の壁部材83の並び方向において収縮または膨張する。板部材81の熱膨張係数は、クラッド32bの熱膨張係数よりも大きくされている。板部材81は、第1実施形態の熱伝導部材111であってもよい。
壁部材83は、例えば、金属から成る。壁部材83は、板部材81に固定されている。光ファイバ32は、一対の壁部材83に挟み込まれており、壁部材83に接触している。
板部材81の温度がある所定の温度となっている状態では、板部材81は収縮及び膨張しておらず、壁部材83は光ファイバ32を挟み込んで光ファイバ32に接触しているのみである。従って、板部材81は、圧縮応力といった応力を壁部材83介してクラッド32bに付していない状態となっている。このような場合、応力付与部80がクラッド32bに付与する外力の分布は、クラッド32bの周方向において均一な状態となっている。
例えば、温度制御部90のペルチェ素子95の一方の面の温度が下降し、他方の面の温度が上昇すると、板部材81の熱は熱伝導部材111を介してペルチェ素子95に伝導される。これにより、板部材81の温度は所定の温度よりも下降し、板部材81は、所定の温度時に比べて収縮する。また、本実施形態では、板部材81の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも大きいため、板部材81は、クラッド32bよりも大きく収縮する。このとき、板部材81は、一対の壁部材83の並び方向において収縮する。これにより、一対の壁部材83は、互いに向かって近づく。そして、一対の壁部材83は、クラッド32bの径方向における両側からクラッド32bを押圧し、クラッド32bに圧縮応力を付与し得る。
例えば、温度制御部90のペルチェ素子95の一方の面の温度が上昇し、他方の面の温度が下降すると、ペルチェ素子95の熱は熱伝導部材111を介して板部材81に伝導される。これにより板部材81の温度は収縮時の温度よりも上昇し、板部材81は、収縮時に比べて膨張する。また、本実施形態では、板部材81の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも大きいため、板部材81は、クラッド32bよりも大きく膨張する。このとき、板部材81は、一対の壁部材83の並び方向において膨張する。これにより、一対の壁部材83は、互いに向かって離れる。そして、一対の壁部材83は、収縮時における圧縮応力の付与を解放し得る。
このように一対の壁部材83は、収縮によってクラッド32bにクラッド32bの径方向における両側から応力である圧縮応力を付与し、膨張によって圧縮応力の付与を解放し得る。これにより、コア32aにかかる応力の分布はコア32aの周方向において不均一となり、コア32aを伝搬する光のモードが変化し得る。このコア32aにかかる応力を温度で制御することで、所望のビーム品質の光を得ることができる。このように、このレーザ装置1では、光ファイバ32内でビーム品質を制御させるため、振動や環境温度の変化等が生じても、空間内にレンズが配置されることでビーム品質が制御される場合と比べて、安定的に所望のビーム品質の光を得ることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図11は、第4実施形態におけるビーム品質制御装置70を示す図である。本実施形態では、ビーム品質制御装置70の構成が第1実施形態のビーム品質制御装置70のそれとは異なる。
本実施形態では、光ファイバ32の一端と他端との間の光ファイバ32の一部は巻回しており、モード変化部71は光ファイバ32の巻回部である。本実施形態では、モード変化部71の光ファイバ32において、光ファイバ32のコア32aの光ファイバ32のクラッド32bに対する比屈折率差は、小さいほど好ましく、例えば0.12%以下であることがより好ましい。
本実施形態では、状態変化部73は、モード変化部71における巻回している光ファイバ32の巻きの径の大きさを変化させる。このような状態変化部73は、固定部161と、可動部の一部であるホルダ163と、可動部の他の一部である移動ローラ165と、固定ローラ167とを有する。固定部161は、モード変化部71における光ファイバ32よりも励起光源40側における光ファイバ32の一部をレーザ装置1の所定の位置に固定する。固定部161は、例えば、レーザ装置1に固定されるクリップなどの留め具である。ホルダ163は、モード変化部71における光ファイバ32よりも出射部60側における光ファイバ32の一部を保持する。ホルダ163は、光ファイバ32を保持した状態で光ファイバ32の長手方向において固定部161に向かって離れる方向にまたは固定部161に近づく方向に移動可能な部材である。移動ローラ165は、ホルダ163よりも出射部60側における光ファイバ32の一部を巻回した状態で、光ファイバ32の長手方向において固定部161に向かって離れる方向にまたは固定部161に近づく方向に移動する。移動ローラ165の移動方向はホルダ163の移動方向と同じ方向であり、移動ローラ165の移動量はホルダ163の移動量と同じある。また、移動ローラ165は、ホルダ163の移動と同じタイミングで移動する。固定ローラ167は、移動ローラ165よりも出射部60側における光ファイバ32の一部を巻回する。固定ローラ167は、レーザ装置1に固定される。第2FBG34は、固定ローラ167から出射部60側に向かって引き出される光ファイバ32に設けられる。
本実施形態の記憶部115は、レーザ装置1の用途と用途に対応するホルダ163及び移動ローラ165の移動量及び移動方向との関係を示すテーブルを記憶している。
本実施形態の制御本体部91は、ビーム品質制御装置70を搭載するレーザ装置1の用途を入力部113から入力されると、記憶部115にアクセスし、記憶部115に記憶されるテーブルからレーザ装置1の用途に応じたホルダ163の移動量及び移動方向を読み出す。制御本体部91は、読み出した移動量及び移動方向を基にホルダ163及び移動ローラ165の移動量及び移動方向を制御する。
ホルダ163及び移動ローラ165の移動量及び移動方向はレーザ装置1の用途に応じて変化し、ホルダ163及び移動ローラ165は移動量及び移動方向によってモード変化部71における光ファイバ32の巻きの径の大きさを変える。巻きの径の大きさが用途に応じて変化すると、光ファイバ32を伝搬する高次モードの光が光ファイバ32の外部に漏洩し、光ファイバ32のコアにおいて光のモードの数は用途に応じて変化する。従って、例えば、用途に応じて、マルチモードの光がシングルモードの光に変化したり、マルチモードの光のモードの数が減る。従って、光のビーム品質は所望の値に制御されるため、用途に応じた所望のビーム品質の光が得られる。
本実施形態のレーザ装置1では、状態変化部73によってモード変化部71における光ファイバ32の巻きの径の大きさが変化するため、レーザ装置1から出射する光のビーム品質を所望の値に制御することができる。また、本実施形態では、光ファイバ32の巻きの径の大きさが変わり、光が共振器200の内部を往復するため、ビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、上記のようにレーザ装置1では、光は共振器200の内部を往復し、ビーム品質制御装置70は当該共振器200の内部に配置される。このため、レーザ装置1から出射されるビーム品質を所定の状態から別の状態に変化させる場合、本実施形態のレーザ装置1のモード変化部71における光ファイバ32の巻きの径の変化量は、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合のモード変化部における光ファイバの巻きの径の変化量よりも小さくて済む。これにより、本実施形態のレーザ装置1によれば、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合と比べて、モード変化部71の状態の変化の時間を短くでき、短時間で所望のビーム品質の光に変化させることができる。
また、本実施形態では、ホルダ163が固定部161から離れる方向に移動すると、モード変化部71における光ファイバ32の巻きの径の大きさが、移動前に比べて小さくなる。このとき、ホルダ163と移動ローラ165との間における光ファイバ32は、光ファイバ32を保持するホルダ163の移動によって撓もうとする。しかし、本実施形態では、移動ローラ165は、ホルダ163と共に固定部161から離れる方向にホルダ163の移動量と同じ移動量で移動する。このため、ホルダ163と移動ローラ165との間における光ファイバ32の撓みは抑制され、光ファイバ32は移動ローラ165及び固定ローラ167に撓まずに巻回され続ける。ところで、撓みが発生してしまうと、撓んだ光ファイバ32は、ホルダ163、移動ローラ165及び固定ローラ167の周辺に配置される図示しない周辺部品に接触して、接触によって損傷する懸念がある。しかし、本実施形態では、光ファイバ32の撓みが抑制されるため、接触による光ファイバ32の損傷が抑制される。また、光ファイバ32は光ファイバ21に接続されており、光ファイバ21はレーザ装置1に固定される。本実施形態では、光ファイバ32の撓みが抑制されるため、光ファイバ32の撓み部分における光の漏れが抑制された状態で光は光ファイバ21に入射する。従って、本実施形態では、光ファイバ32の撓みによる光ファイバ21への影響が抑制される。
また、本実施形態では、ホルダ163が固定部161に近づく方向に移動すると、モード変化部71における光ファイバ32の巻きの径の大きさが、移動前に比べて大きくなる。このとき、ホルダ163と移動ローラ165との間における光ファイバ32は、光ファイバ32を保持するホルダ163の移動によってモード変化部71に向かって引っ張られようとする。しかし、本実施形態では、移動ローラ165は、ホルダ163と共に固定部161に近づく方向にホルダ163の移動量と同じ移動量で移動する。このため、ホルダ163と移動ローラ165との間における光ファイバ32はホルダ163の移動による引張を抑制され、引張による光ファイバ32の破断は抑制され、光ファイバ32は移動ローラ165及び固定ローラ167に破断せずに巻回され続ける。また、光ファイバ32は光ファイバ21に接続されており、光ファイバ21はレーザ装置1に固定される。本実施形態では、光ファイバ32の引張が抑制されるため、光ファイバ21の引張が抑制され、引張による光ファイバ21の破断が抑制され、引張による光ファイバ21と光ファイバ32との分離が抑制される。
本実施形態では、第2FBG34は、モード変化部71における光ファイバ32の巻き部よりも出射部60側における光ファイバ32に設けられていればよい。例えば、第2FBG34は、モード変化部71における光ファイバ32の巻き部、モード変化部71における光ファイバ32の巻き部とホルダ163との間における光ファイバ32、ホルダ163と移動ローラ165との間における光ファイバ32、移動ローラ165に巻かれている光ファイバ32、移動ローラ165と固定ローラ167との間における光ファイバ32、または固定ローラ167に巻かれている光ファイバ32のいずれかに設けられてもよい。
本実施形態では、可動部は、ホルダ163と移動ローラ165とを備えているが、これに限定される必要はない。可動部は、移動ローラ165のみを備えていてもよい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図12を参照して詳細に説明する。なお、第4実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図12は、第5実施形態のビーム品質制御装置70を示す図である。本実施形態では、ビーム品質制御装置70の構成が第4実施形態のビーム品質制御装置70のそれとは異なる。
本実施形態では、増幅用光ファイバ30の一端と他端との間の増幅用光ファイバ30の一部は巻回しており、増幅用光ファイバ30は、ビーム品質制御装置70における光ファイバである。
本実施形態では、状態変化部73は、モード変化部71における巻回している増幅用光ファイバ30の巻きの径の大きさを変化させる。このような状態変化部73において、固定部161は、モード変化部71における増幅用光ファイバ30よりも励起光源40側における増幅用光ファイバ30の一部をレーザ装置1の所定の位置に固定する。ホルダ163は、モード変化部71における増幅用光ファイバ30よりも出射部60側における増幅用光ファイバ30の一部を保持する。ホルダ163は、増幅用光ファイバ30を保持した状態で、増幅用光ファイバ30の長手方向において固定部161に向かって離れる方向にまたは固定部161に近づく方向に移動可能である。移動ローラ165は、ホルダ163よりも出射部60側における増幅用光ファイバ30の一部を巻回する。このような移動ローラ165は、増幅用光ファイバ30を巻回した状態で、増幅用光ファイバ30の長手方向において固定部161に向かって離れる方向にまたは固定部161に近づく方向に移動する。固定ローラ167は、移動ローラ165よりも出射部60側における増幅用光ファイバ30の一部を巻回する。
ホルダ163及び移動ローラ165の移動量及び移動方向はレーザ装置1の用途に応じて変化し、ホルダ163及び移動ローラ165は移動量及び移動方向によってモード変化部71における増幅用光ファイバ30の巻きの径の大きさを変える。巻きの径の大きさが用途に応じて変化すると、増幅用光ファイバ30を伝搬する高次モードの光が光ファイバ32の外部に漏洩し、増幅用光ファイバ30のコアにおいて光のモードの数は用途に応じて変化する。従って、例えば、用途に応じて、マルチモードの光がシングルモードの光に変化したり、マルチモードの光のモードの数が減る。従って、光のビーム品質が所望の値に制御されるため、用途に応じた所望のビーム品質の光が得られる。
本実施形態のレーザ装置1では、状態変化部73によってモード変化部71における増幅用光ファイバ30の巻きの径の大きさが変化するため、レーザ装置1から出射する光のビーム品質を所望の値に制御することができる。また、本実施形態では、増幅用光ファイバ30の巻きの径の大きさが変わり、光が共振器200の内部を往復するため、ビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、上記のようにレーザ装置1では、光は共振器200の内部を往復し、ビーム品質制御装置70は当該共振器200の内部に配置される。このため、レーザ装置1から出射されるビーム品質を所定の状態から別の状態に変化させる場合、本実施形態のレーザ装置1のモード変化部71における増幅用光ファイバ30の巻きの径の変化量は、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合のモード変化部における光ファイバの巻きの径の変化量よりも小さくて済む。これにより、本実施形態のレーザ装置1によれば、ビーム品質制御装置が共振器200の外部に配置される場合と比べて、モード変化部71の状態の変化の時間を短くでき、短時間で所望のビーム品質の光に変化させることができる。
また、本実施形態では、ホルダ163が固定部161から離れる方向に移動すると、モード変化部71における増幅用光ファイバ30の巻きの径の大きさが、移動前に比べて小さくなる。このとき、増幅用光ファイバ30は、ホルダ163の移動によって撓もうとする。しかし、本実施形態のホルダ163及び移動ローラ165は、第4実施形態におけるホルダ163及び移動ローラ165と同様に移動する。従って、増幅用光ファイバ30の撓みは抑制され、図示しない周辺部品との接触による増幅用光ファイバ30の損傷が抑制される。
また、本実施形態では、ホルダ163が固定部161に近づく方向に移動すると、モード変化部71における増幅用光ファイバ30の巻きの径の大きさが、移動前に比べて大きくなる。このとき、増幅用光ファイバ30は、ホルダ163の移動によってモード変化部71に向かって引っ張られようとする。しかし、本実施形態のホルダ163及び移動ローラ165は、第4実施形態におけるホルダ163及び移動ローラ165と同様に移動する。従って、増幅用光ファイバ30はホルダ163の移動による引張を抑制され、引張による増幅用光ファイバ30の破断は抑制される。
(第6実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図13を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図13は、本実施形態のレーザ装置1を示す図である。本実施形態のレーザ装置1は、光源2と、光ファイバ50と、出射部60とを備える。
光源2は、励起光源40と、励起光用光ファイバ45と、共振器200とを備える。本実施形態の光源2では、共振器200が、リング型となっている点において、第1実施形態のファブリ・ペロー型の共振器200と異なる。
本実施形態の共振器200は、光ファイバ31と、増幅用光ファイバ30と、ビーム品質制御装置70と、コンバイナ121と、光アイソレータ123と、バンドパスフィルタ125と、出力カプラ127と、を備える。
光ファイバ31の一端は、増幅用光ファイバ30の一端に接続される。増幅用光ファイバ30の他端は光ファイバ32の一端に接続され、当該光ファイバ32の他端は光アイソレータ123の入射端に接続される。光アイソレータ123の出射端は上記した光ファイバ32とは別の光ファイバ32の一端に接続され、当該光ファイバ32の他端はバンドパスフィルタ125の入射端に接続される。バンドパスフィルタ125の出射端は上記した光ファイバ32とはさらに別の光ファイバ32の一端に接続され、当該光ファイバ32の他端は増幅用光ファイバ30に接続される光ファイバ31の他端に接続される。こうして、図13に示すようにリング型の共振器が構成されている。一端が光ファイバ31に接続され他端がバンドパスフィルタ125の出射端に接続される光ファイバ32の少なくとも一部はモード変化部71であり、当該光ファイバ32には応力付与部80が配置される。
コンバイナ121において、光ファイバ31の内側クラッドに励起光用光ファイバ45のコアが接続されている。これにより、励起光源40と接続される励起光用光ファイバ45と増幅用光ファイバ30の内側クラッドとは、光ファイバ31の内側クラッドを介して、光学的に結合される。また、コンバイナ121において、光ファイバ31のコアに光ファイバ32のコアが接続されている。
光アイソレータ123は、バンドパスフィルタ125側から光アイソレータ123を介して増幅用光ファイバ30側への光の戻りを抑制する。
バンドパスフィルタ125は、バンドパスフィルタ125を通過する光の波長の帯域を制限する。バンドパスフィルタ125では、例えば、出射部60から出射される光の波長とは異なる波長の光が制限される。出射部60から出射される光の波長は、例えば1070nmとされる。
出力カプラ127では、出射部60に接続される光ファイバ50のコアがバンドパスフィルタ125の出射端に接続される光ファイバ32のコアに光学的に接続されている。このため、バンドパスフィルタ125からの光の一部は光ファイバ50のコアに伝搬し、光の他の一部は光ファイバ32のコアに伝搬する。
次にレーザ装置1の動作について説明する。
励起光源40から出射される励起光は、励起光用光ファイバ45のコア及び光ファイバ31の内側クラッドを介して増幅用光ファイバ30の内側クラッドに入射する。増幅用光ファイバ30の内側クラッドに入射した励起光は主にこの内側クラッドを伝搬して、増幅用光ファイバ30のコアを通過する際にコアに添加されている活性元素を励起する。励起状態とされた活性元素は自然放出光を放出し、この自然放出光のうち一部の波長の光は、光ファイバ32のコア32aに入射し、光アイソレータ123とバンドパスフィルタ125とを介して出力カプラ127に伝搬する。光アイソレータ123において、バンドパスフィルタ125側から光アイソレータ123を介して増幅用光ファイバ30側への光の戻りが抑制される。また、バンドパスフィルタ125において、バンドパスフィルタ125を通過する光の波長の帯域は、制限される。帯域制限された光の一部は、出力カプラ127からビーム品質制御装置70に伝搬する。そして光は、ビーム品質制御装置70の光ファイバ32のコア32aから光ファイバ31のコアに伝搬し、共振器200内を周回する。光が共振器200内を周回すると、バンドパスフィルタ125で帯域制限された光により、増幅用光ファイバ30の活性元素は誘導放出を起こす。この誘導放出により光が所定の波長帯域で増幅され、増幅された光が光ファイバ32を伝搬する。
ビーム品質制御装置70において、状態変化部73はモード変化部71である光ファイバ32の状態を変化させる。これにより、光ファイバ32のコア32aの屈折率の分布は、切断または切削といったレーザ装置1の用途に応じて変化する。共振器200内を周回する光がビーム品質制御装置70のモード変化部71における光ファイバ32のコア32aを伝搬する度に、コア32aにおいて光のモードの数は用途に応じて変化する。従って、例えば、用途に応じて、シングルモードの光がマルチモードの光に変化したり、マルチモードの光のモード数が減ったり、マルチモードの光がシングルモードの光に変化する。光のビーム品質はビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合に比べて大きく変化することができるため、用途に応じた所望のビーム品質の光が得られる。そして、光の一部は、用途に応じた所望のビーム品質を備えた状態で出力カプラ127から光ファイバ50のコアに入射され、光ファイバ50のコアを伝搬し、出射部60から対象物等に照射される。また、光の他の一部は、共振器200内を周回する。
上記したように、レーザ装置1では、光は共振器200内を周回し、状態変化部73はモード変化部71である光ファイバ32の状態を変化させる。このため、光が共振器200内を周回する度にモード変化部71における光ファイバ32のコア32aを伝搬すると、コア32aにおいて、光のモードが変化し得、所望のビーム品質の光を得ることができる。従って、本実施形態のレーザ装置1では、光が共振器200内を周回する度にモード変化部71におけるコアを伝搬するため、ビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。
また、本実施形態のレーザ装置1によれば、第1実施形態において短時間で所望のビーム品質の光を得ることと同様に、短時間で所望のビーム品質の光を得ることができる。また、本実施形態のレーザ装置1においても、第1実施形態のレーザ装置1と同様にして、大型化や高コスト化等が抑制される。
また、ビーム品質制御装置70の増幅用光ファイバ30は巻回して配置されるため、巻回している増幅用光ファイバ30と同じ長さを有する増幅用光ファイバが直線状に配置されている場合に比べて、レーザ装置1が小型化され得る。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図14を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図14は、本実施形態のレーザ装置1を示す図である。本実施形態のレーザ装置1は、光源2と、光ファイバ50と、出射部60とを備える。
本実施形態の光源2は、固体レーザ装置から成る点において、第1実施形態のファイバレーザ装置から成る光源2と異なる。
光源2は、励起光源40と、全反射ミラー141と、集光レンズ143と、増幅用媒体145と、コリメートレンズ147と、集光レンズ149と、ビーム品質制御装置70と、コリメートレンズ151と、部分反射ミラー153と、集光レンズ155とを主な構成として備える。
全反射ミラー141では、励起光源40から出射される励起光が透過する。また、全反射ミラーは、励起光によって励起状態とされた増幅用媒体145の活性元素が放出する自然放出光のうち所定の波長帯域の光を全反射する。
集光レンズ143は、全反射ミラー141を透過した励起光を増幅用媒体145に集光する。
例えば、増幅用媒体145はガラスロッドであり、ガラスロッドの材料はNd:YAGである。励起光源40からの励起光は、増幅用媒体145に添加される活性元素を励起する。励起状態とされた活性元素は自然放出光を放出し、この自然放出光のうち一部の波長の光の一部はコリメートレンズ147に伝搬し、光の別の一部は集光レンズ143を介して全反射ミラー141に伝搬する。
コリメートレンズ147は、増幅用媒体145から出射された光を平行光に変換する。
集光レンズ149は、コリメートレンズ147によって平行光に変換された光をビーム品質制御装置70の光ファイバ32のコア32aに集光する。
本実施形態のビーム品質制御装置70は、第1実施形態のビーム品質制御装置70と同じ構成である。
コリメートレンズ151は、ビーム品質制御装置70から出射される光を平行光に変換する。
部分反射ミラー153は、コリメートレンズ151によって平行光に変換された光の一部をコリメートレンズ151に反射する。部分反射ミラー153は、全反射ミラー141が反射する光の少なくとも一部の波長の光を全反射ミラー141よりも低い反射率で反射する。光の他の一部は、部分反射ミラー153を透過する。
集光レンズ155は、部分反射ミラー153を透過した光を光ファイバ50に集光する。
全反射ミラー141と増幅用媒体145と部分反射ミラー153とでファブリ・ペロー型の共振器200が構成され、ビーム品質制御装置70は、共振器200の内部に配置される。
次に本実施形態のレーザ装置1の動作について説明する。
励起光源40から出射される励起光は、全反射ミラー141を透過し、集光レンズ143によって増幅用媒体145に集光される。励起光は、増幅用媒体145に添加される活性元素を励起する。励起状態とされた活性元素は自然放出光を放出し、この自然放出光のうち一部の波長の光が増幅用媒体145から出射される。光の一部はコリメートレンズ147に伝搬し、光の別の一部は集光レンズ143に伝搬する。
コリメートレンズ147に伝搬する光は、コリメートレンズ147によって平行光に変換される。平行光である光は、集光レンズ149によってビーム品質制御装置70の光ファイバ32のコア32aに集光される。光は、コア32aからコリメートレンズ151に向かって出射され、コリメートレンズ151によって平行光に変換される。平行光である光のうちの一部の波長の光が部分反射ミラー153によってコリメートレンズ151に反射される。
反射された光は、コリメートレンズ151によってビーム品質制御装置70の光ファイバ32のコア32aに集光される。光は、コア32aから集光レンズ149に向かって出射され、集光レンズ149によって平行光に変換され、コリメートレンズ147によって増幅用媒体145に集光される。光は、増幅用媒体145を通過して集光レンズ143に伝搬する。
増幅用媒体145から集光レンズ143に伝搬する光は、集光レンズ143によって平行光に変換され、全反射ミラー141に伝搬する。伝搬する光のうち一部の波長の光が、全反射ミラー141によって全反射され、上記したように、再び部分反射ミラー153に向かって伝搬する。そして、光は、全反射ミラー141と部分反射ミラー153との間、すなわち共振器200の内部を往復する。このため、増幅用媒体145において誘導放出により光が増幅され、レーザ発振状態が生じる。そして、光の一部は、部分反射ミラー153を透過して集光レンズ155によって光ファイバ50のコアに入射される。光は、光ファイバ50のコアを伝搬し、出射部60から対象物等に照射される。
ビーム品質制御装置70は全反射ミラー141と部分反射ミラー153との間に配置されており、光ファイバ32のコア32aの屈折率の分布はビーム品質制御装置70によって切断または切削といったレーザ装置1の用途に応じて変化している。このため、光が共振器200の内部を往復する度にモード変化部71におけるコア32aを伝搬すると、コア32aにおいて光のモードの数は用途に応じて変化する。従って、例えば、用途に応じて、シングルモードの光がマルチモードの光に変化したり、マルチモードの光のモード数が減ったり、マルチモードの光がシングルモードの光に変化する。光のビーム品質はビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合に比べて大きく変化させることができるため、用途に応じた所望のビーム品質の光が得られる。
従って、本実施形態では、光源2が固体レーザ装置から成っても、このレーザ装置1では、光が共振器200の内部を往復するため、ビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。また、本実施形態のレーザ装置1によれば、第1実施形態において短時間で所望のビーム品質の光を得ることと同様に、短時間で所望のビーム品質の光を得ることができる。また、本実施形態のレーザ装置1においても、第1実施形態のレーザ装置1と同様にして、大型化や高コスト化等が抑制される。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図15を参照して詳細に説明する。なお、第7実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図15は、本実施形態のレーザ装置1を示す図である。本実施形態のレーザ装置1は、光源2と、反射ミラー157と、出射部60とを備える。
本実施形態の光源2は、気体レーザ装置から成る点において、第7実施形態の固体レーザ装置から成る光源2と異なる。
光源2は、励起光源40が励起光を増幅用媒体145に出射する点と、増幅用媒体145の構成とが、第5実施形態のそれとは異なる。
本実施形態の増幅用媒体145は、例えばCOなどのガスが封止されるガラス管である。増幅用媒体145では、励起光がガスを照射すると、励起状態とされたガスは自然放出光を放出し、この自然放出光のうち一部の波長の光が出射される。光は、全反射ミラー141と部分反射ミラー153との間、すなわち共振器200の内部を往復する。このため、増幅用媒体145において誘導放出により光が増幅され、レーザ発振状態が生じる。そして、光の一部は、部分反射ミラー153を透過して集光レンズ155によって反射ミラー157に集光される。光は、反射ミラー157によって出射部60に反射され、出射部60から対象物等に照射される。
本実施形態では、ビーム品質制御装置70は全反射ミラー141と部分反射ミラー153との間に配置されており、光ファイバ32のコア32aの屈折率の分布はビーム品質制御装置70によって切断または切削といったレーザ装置1の用途に応じて変化している。このため、光が共振器200の内部を往復する度にモード変化部におけるコア32aを伝搬すると、コア32aにおいて光のモードの数は用途に応じて変化する。従って、例えば、用途に応じて、シングルモードの光がマルチモードの光に変化したり、マルチモードの光のモード数が減ったり、マルチモードの光がシングルモードの光に変化する。光のビーム品質はビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合に比べて大きく変化することができるため、用途に応じた所望のビーム品質の光が得られる。
従って、本実施形態では、光源2が気体レーザ装置から成っても、このレーザ装置1では、光が共振器200の内部を往復するため、ビーム品質制御装置70が共振器200の外部に配置される場合と比べて、ビーム品質をより大きく変化させることができ、所望のビーム品質の光を得ることができる。また、本実施形態のレーザ装置1によれば、第1実施形態において短時間で所望のビーム品質の光を得ることと同様に、短時間で所望のビーム品質の光を得ることができる。また、本実施形態のレーザ装置1においても、第1実施形態のレーザ装置1と同様にして、大型化や高コスト化等が抑制される。
以上、本発明について、上記各実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
増幅用光ファイバ30や光ファイバ32は、内側クラッドと外側クラッドとを有するダブルクラッドファイバで説明したが、これに限定されない。例えば、内側クラッドが2層に分かれており、増幅用光ファイバ30や光ファイバ32は、2層の内側クラッド及び外側クラッドの3層のクラッドを有するトリプルクラッドファイバであってもよい。この場合、2層の内側クラッドにおいて、例えば、内側の第1クラッドの屈折率は外側の第2クラッドの屈折率よりも低くされてもよい。また、第2クラッドの屈折率は、外側クラッドの屈折率よりも低くされてもよい。
応力付与部80は、被覆層32cの外周面の少なくとも一部に面接触していればよい。
また、被覆層32cがクラッド32bに配置されておらず、光ファイバ32はコア32a及びクラッド32bのみを有してもよい。この場合、応力付与部80は、クラッド32bの外周面の少なくとも一部に面接触していればよい。また、被覆層32cが配置されてなくても、応力付与部80は収縮または膨張し得る。これにより、被覆層32cが配置されていなくても、応力付与部80がクラッド32bに付与する外力が変化し、応力付与部80によって、コア32aにかかる応力の分布がコア32aの周方向において不均一となり、コア32aの屈折率の分布が変化し、コア32aを伝搬する光のモードが変化し得る。このコア32aにかかる応力を温度で制御することで、所望のビーム品質の光を得ることができる。このように、ビーム品質制御装置70では、光ファイバ32内でビーム品質を制御させるため、振動や環境温度の変化等が生じても、空間内にレンズが配置されることでビーム品質が制御される場合と比べて、所望のビーム品質の光を得ることができる。
例えば、応力付与部80は、光ファイバ32の全長に渡って光ファイバ32を囲っていてもよい。応力付与部80が光ファイバ32の全長の一部分において光ファイバ32を囲っている場合、複数の応力付与部80が互いに離れて配置されてもよい。
制御本体部91は、レーザ装置1の用途に応じた応力付与部80の温度の値を入力部113から直接入力されてもよい。
温度制御部90は、応力付与部80の温度を計測する温度計測部を有してもよい。この場合、制御本体部91は、温度計測部によって計測された応力付与部80の温度を基に電源93の電圧をさらに制御してもよい。温度計測部によって計測された温度が制御本体部91にフィードバックされ、フィードバックが繰り返されることで、応力付与部80の温度がレーザ装置1の用途に応じた目標温度に設定されるように、応力付与部80の温度は制御される。応力付与部80の制御方法には、例えば、ON−OFF制御、PWM制御、PID制御などが挙げられる。
温度制御部90は、自身が発熱または吸熱せずに、応力付与部80の温度を変化させてもよい。このような温度制御部90は、例えば、赤外線及び超音波等を応力付与部80に照射することで、応力付与部80の温度を変化させてもよい。
熱伝導部材111は、熱を伝導できれば板状に限定される必要はない。
第1,2,3,4,5実施形態では、光源2の数は特に限定されず、少なくとも1つ備えられていればよい。また、ビーム品質制御装置70は、複数の光源2のうちのいずれかの共振器200の内部に配置されてもよい。
第1実施形態では、応力付与部80の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも小さくてもよい。この場合、応力付与部80は、クラッド32bよりも小さく収縮する。そして、応力付与部80は、応力付与部80の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも大きい場合に比べて、応力付与部80の内周面において被覆層32cを介してクラッド32bを小さく引っ張り、クラッド32bに小さな引張応力を付与し得る。また、この場合、応力付与部80は、クラッド32bよりも小さく膨張する。そして、応力付与部80は、応力付与部80の熱膨張係数がクラッド32bの熱膨張係数よりも大きい場合に比べて、応力付与部80の内周面において被覆層32cを介してクラッド32bを小さく押圧し、クラッド32bに小さな圧縮応力を付与し得る。
第1実施形態では、ペルチェ素子95の代わりに、ヒータが用いられてもよい。
第2実施形態の枠部材117は、第1実施形態に組み込まれてもよい。
第2実施形態の流路部99が第1実施形態のペルチェ素子95の代わりに第1実施形態の熱伝導部材111に組み込まれ、ヒートポンプ97が第1実施形態の電源93の代わりに組み込まれてもよい。
第3実施形態では、第1実施形態のペルチェ素子95の代わりに、第2実施形態の流路部99を有する熱伝導部材111が配置されてもよいし、流路部99が板部材81に配置されてもよい。
第3実施形態では、壁部材83は、光ファイバ32に固定されてもよい。この場合、ペルチェ素子95の一方の面の温度が上昇し、他方の面の温度が下降すると、板部材81は膨張し、一対の壁部材83は互いに向かって離れる。これにより、一対の壁部材83は、壁部材83に固定されているクラッド32bを両側から引っ張り、クラッド32bに引張応力を付与し得る。
第4実施形態では、モード変化部71の光ファイバは光ファイバ32の巻回部として説明したが、これに限定されない。例えば、モード変化部71の光ファイバは光ファイバ31の巻回部であってもよい。この場合、状態変化部73は、第4実施形態において、光ファイバ32の巻きの径の大きさを変化させるのと同様にして、モード変化部71における巻回している光ファイバ31の巻きの径の大きさを変化させる。従って、固定部161は、モード変化部71における光ファイバ31よりも励起光源40側における光ファイバ31の一部をレーザ装置1の所定の位置に固定する。ホルダ163は、光ファイバ31のうちモード変化部71よりも出射部60側における光ファイバ31の一部を保持する。ホルダ163は、光ファイバ31を保持した状態で光ファイバ31の長手方向において固定部161に向かって離れる方向にまたは固定部161に近づく方向に移動する。移動ローラ165は、ホルダ163よりも出射部60側における光ファイバ31の一部を巻回する。なお、第1FBG33は、光ファイバ31のうち光ファイバ31の巻き部よりも励起光源40側に設けられることが好ましい。
第1,2,3,6実施形態では、ビーム品質制御装置70のモード変化部71における光ファイバは、増幅用光ファイバ30であってもよい。
第2,3,4実施形態では、ビーム品質制御装置70は、増幅用光ファイバ30と第1FBG33における増幅用光ファイバ30から最も離れた部位との間に配置されてもよい。この場合、ビーム品質制御装置70の光ファイバは、光ファイバ31である。
第6,7,8実施形態では、第1実施形態のビーム品質制御装置70が用いられる必要はなく、第2,3,4,5実施形態のいずれかのビーム品質制御装置70が用いられてもよい。
本発明によれば、所望のビーム品質の光を得ることができるレーザ装置を提供が提供され、レーザ加工分野、医療分野等の様々な産業において利用可能である。
1・・・レーザ装置
2・・・光源
30・・・増幅用光ファイバ
31,32・・・光ファイバ
32a・・・コア
32b・・・クラッド
32c・・・被覆層
33・・・第1FBG
34・・・第2FBG
50・・・光ファイバ
60・・・出射部
70・・・ビーム品質制御装置
71・・・モード変化部
73・・・状態変化部
80・・・応力付与部
90・・・温度制御部
111・・・熱伝導部材
113・・・入力部
115・・・記憶部
200・・・共振器

Claims (15)

  1. 励起光を出射する励起光源と、
    前記励起光により励起される活性元素により増幅される光が共振する共振器と、
    前記共振器の内部に配置されるビーム品質制御装置と、
    を備え、
    前記ビーム品質制御装置は、
    前記光が伝搬するコア及び前記コアの外周面を囲うクラッドを有する光ファイバと、
    前記光ファイバの少なくとも一部であり、前記光のモードを変化可能なモード変化部と、
    前記モード変化部の状態を変化させて、前記モードの変化の度合いを変化させる状態変化部と、
    を有することを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記状態変化部は、
    前記モード変化部の外周面の少なくとも一部に面接触し、前記モード変化部における前記クラッドの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する応力付与部と、
    前記応力付与部の温度を変化させる温度制御部と、
    を有し、
    前記応力付与部は、当該応力付与部が前記クラッドに付与する外力の分布が前記クラッドの周方向において不均一となるように、前記温度制御部による前記温度の変化によって収縮または膨張する
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記状態変化部は、主面上に前記応力付与部が配置されており、かつ、前記温度制御部に熱的に接続される板状の熱伝導部材をさらに備え、
    前記熱伝導部材は、前記温度制御部と前記応力付与部との間において熱を伝導する
    ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ装置。
  4. 前記温度制御部は、前記熱伝導部材と熱的に接続されるペルチェ素子を有する
    ことを特徴とする請求項3に記載のレーザ装置。
  5. 前記応力付与部は、前記光ファイバの前記外周面に面接触する接触面と前記接触面から離れている前記応力付与部の外周面との間の厚みが不均一な樹脂から成る
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のレーザ装置。
  6. 前記樹脂の温度が所定の温度よりも低い場合に、前記樹脂は、収縮して前記クラッドに引張応力を付与し、
    前記樹脂の前記温度が前記所定の温度よりも高い場合に、前記樹脂は、膨張して前記クラッドに圧縮応力を付与する
    ことを特徴とする請求項5に記載のレーザ装置。
  7. 前記ビーム品質制御装置は、前記応力付与部の少なくとも一部を囲う枠部材をさらに備え、
    前記枠部材の熱膨張係数は、前記応力付与部の熱膨張係数よりも小さい
    ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のレーザ装置。
  8. 前記レーザ装置の用途を前記温度制御部に入力する入力部と、
    前記用途に応じた前記応力付与部の前記温度を記憶する記憶部と、
    をさらに備え、
    前記温度制御部は、前記入力部から前記用途が入力される場合、前記記憶部から読みだした前記応力付与部の前記温度に基づいて、前記応力付与部の温度を制御する
    ことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載のレーザ装置。
  9. 前記モード変化部は、前記光ファイバの巻回部であり、
    前記状態変化部は、前記モード変化部における巻回している前記光ファイバの巻きの径の大きさを変化させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  10. 前記共振器は、
    前記活性元素が添加される増幅用光ファイバと、
    前記増幅用光ファイバの一方側に設けられ、前記活性元素により増幅される前記光の少なくとも一部の波長の光を反射する第1FBGと、
    前記増幅用光ファイバの他方側に設けられ、前記第1FBGが反射する光のうち少なくとも一部の波長の光を前記第1FBGより低い反射率で反射する第2FBGと、
    を有する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザ装置。
  11. 前記ビーム品質制御装置は、前記増幅用光ファイバと前記第1FBGにおける前記増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置される
    ことを特徴とする請求項10に記載のレーザ装置。
  12. 前記ビーム品質制御装置は、前記増幅用光ファイバと前記第2FBGにおける前記増幅用光ファイバから最も離れた部位との間に配置される
    ことを特徴とする請求項10に記載のレーザ装置。
  13. 前記増幅用光ファイバは、前記ビーム品質制御装置における前記光ファイバであることを特徴とする請求項10に記載のレーザ装置。
  14. 前記第1FBGは、前記ビーム品質制御装置における前記光ファイバに設けられることを特徴とする請求項10に記載のレーザ装置。
  15. 前記第2FBGは、前記ビーム品質制御装置における前記光ファイバに設けられることを特徴とする請求項10に記載のレーザ装置。
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