以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る標準貫入試験装置1について詳細に説明する。図中の矢印FRは標準貫入試験装置1の前方を示し、矢印URは上方を示す。また、以下の説明において、前後方向は標準貫入試験装置1の前後方向を意味し、左右方向は標準貫入試験装置1の前方を向いた状態での左右方向を意味する。
まず、図1〜図5を用いて、実施形態に係る標準貫入試験装置1の構成について説明する。図1は、標準貫入試験装置1の正面図である。図1(A)は、打撃機構6を倒した状態を示す。図1(B)は、打撃機構6を立てた状態を示す。図2は、図1に示す標準貫入試験装置1の側面図である。図2(A)は、打撃機構6を倒した状態を示す。図2(B)は、打撃機構6を立てた状態を示す。図3は、図1に示す標準貫入試験装置1の正面図である。図3(A)は、打撃機構6を測定位置に配置させた状態を示す。図3(B)は、打撃機構6を測定位置から退避させた状態を示す。図4は、図1に示す標準貫入試験装置1の側面図であり、図4(A)は、掘削機構3及びロッド支持機構4を測定位置に配置させた状態を示す。図4(B)は、掘削機構3及びロッド支持機構4を測定位置から退避させた状態を示す。図5は、図1の標準貫入試験装置1が備えている制御盤8の構成を示すブロック図である。
図1〜図4に示す標準貫入試験装置1は、地盤の強度を求める標準貫入試験に用いられ、深度に応じた本数のロッドRを互いに連結させた状態で使用する。標準貫入試験とは、日本産業規格(JIS A 1219:2013)にされる標準貫入試験試験方法による試験のことである。標準貫入試験では、地盤の穴に、ガイドロッド60の下端に連結させたサンプラーSを立ててから、ガイドロッド60に固定したアンビル62に、63.5±0.5kgのハンマーを760±10mmの高さから落下させて、サンプラーSを打ち込む。この標準貫入試験では、サンプラーSを300mm打ち込むのに必要な打撃回数を、地盤の強度を示すN値として求める。なお、ロッドR、掘削具D、サンプラーS、ガイドロッド60及びアンビル62は、互いの連結部分がねじになっており、互いに回転させることで連結し又は取り外される。
具体的に、標準貫入試験装置1は、ベースマシン2と、掘削機構3と、ロッド支持機構4と、掘削具支持機構5と、打撃機構6と、吊上げ機構7と、回転センサー(センサー)80と、近接センサー81と、制御盤8(図5参照)と、操作部9と、等を備えている。
ベースマシン2は、標準貫入試験装置1を自走可能にする。具体的に、ベースマシン2は、ベース本体20と、スライドフレーム21と、左右一対のキャタピラ22と、前後左右のアウトリガ23と、等を備えている。
ベース本体20には、当該ベース本体20の上部にスライドフレーム21が取り付けられている。このベース本体20には、当該ベース本体20の左右に一対のキャタピラ22が取り付けられていると共に、当該ベース本体20の前後左右にアウトリガ23が取り付けられている。
スライドフレーム21は、ベース本体20に対して前後にスライド可能に取り付けられている。このスライドフレーム21は、油圧シリンダー(図示省略)等によってベース本体20に対して前後にスライドする。スライドフレーム21には、中央に掘削機構3が取り付けられ、左側にロッド支持機構4が取り付けられ、また、右側に打撃機構6及び吊上げ機構7が取り付けられている。このようなスライドフレーム21は、ベース本体20に対して前後にスライドすることで、掘削機構3、ロッド支持機構4、打撃機構6及び吊上げ機構7を、N値を求める測定位置から退避可能にする。
掘削機構3は、測定位置から退避可能に設けられており、互いに連結されたロッドRが上下方向に挿入可能で、ホースHを接続するスイベルジョイントJが上部に接続されると共に掘削具Dが下部に接続されているロッドRを保持し又は解除すると共に、測定位置において、保持しているロッドRを回転させながら下降させて掘削具Dで地盤に穴を掘削する。この掘削機構3は、前後にスライドするスライドフレーム21の中央に取り付けられており、スライドフレーム21が前方に移動することでロッド支持機構4と共に測定位置に配置される一方で、スライドフレーム21が後方に移動することでロッド支持機構4と共に測定位置から退避する。
具体的に、掘削機構3は、チャック機構(図示省略)と、回転機構(図示省略)と、等を内蔵している。チャック機構(図示省略)は、ロッドRにおける中間の任意の一部分を保持し又は解除する。回転機構(図示省略)は、モータ(図示省略)等から構成されており、チャック機構が保持したロッドRを回転させる。
ロッド支持機構4は、測定位置から退避可能に設けられており、掘削機構3が保持し又は解除するロッドRを保持し又は解除すると共に、保持したロッドRを上方に移動させて掘削具Dを地上に引き上げる。このロッド支持機構4は、前後にスライドするスライドフレーム21の左側に取り付けられており、スライドフレーム21が前方に移動することで掘削機構3と共に測定位置に配置される一方で、スライドフレーム21が後方に移動することで掘削機構3と共に測定位置から退避する。具体的に、ロッド支持機構4は、ロッド用リーダ40と、ロッドチャック41と、ロッドチャック昇降機構(図示省略)と、等を備えている。
ロッド用リーダ40は、掘削機構3が保持し又は解除するロッドRの脇に位置するように、前後にスライドするスライドフレーム21の左側に伸縮可能に立設されている。ロッド用リーダ40には、当該ロッド用リーダ40に沿って移動可能にロッドチャック41が取り付けられている。このロッド用リーダ40は、ロッドチャック昇降機構(図示省略)を内蔵している。
ロッドチャック41は、ロッド用リーダ40に沿って移動可能に設けられており、掘削機構3が保持し又は解除するロッドRが貫通するように当該ロッドRを回転可能に保持し又は解除すると共に、保持したロッドRを上方に移動させて掘削具Dを地上に引き上げる。すなわち、ロッドチャック41は、ロッドRにおける中間の任意の一部分を回転可能に保持し又は解除する。
具体的に、ロッドチャック41は、チャック機構(図示省略)と、回転機構(図示省略)と、等を内蔵している。チャック機構(図示省略)は、ロッドRにおける中間の任意の一部分を保持し又は解除する。回転機構(図示省略)は、モータ(図示省略)等から構成されており、チャック機構(図示省略)が保持したロッドRを回転させる。
ロッドチャック昇降機構(図示省略)は、ロッドチャック41が固定されているエンドレスチェーン(図示省略)等から構成されており、エンドレスチェーン(図示省略)の走行に伴って、ロッドチャック41をロッド用リーダ40に沿って昇降させる。
掘削具支持機構5は、地上に引き上げられた掘削具Dを保持し又は解除する掘削具チャックとして機能する。
打撃機構6は、測定位置から退避可能に設けられており、測定位置において、穴に配置されているサンプラーSにロッドRを介して接続されてサンプラーSを地盤に打ち込んでN値を求める。この打撃機構6は、前後にスライドするスライドフレーム21の右側に取り付けられており、スライドフレーム21が後方に移動することで測定位置に配置可能になる一方で、スライドフレーム21が前方に移動することで測定位置から退避する。具体的に、打撃機構6は、ガイドロッド60と、ハンマー61と、アンビル62と、ガイドロッド用リーダ63と、ハンマーチャック64と、ハンマーチャック昇降機構(図示省略)と、旋回支柱65と、起伏機構66と、等を備えている。
ガイドロッド60は、サンプラーSが下部に接続されているロッドRに、アンビル62を介して接続されて、ハンマー64の自由落下を案内する。このガイドロッド60は、ガイドロッド用リーダ63の前方に当該ガイドロッド用リーダ63と平行となるように、当該ガイドロッド用リーダ63に対して上下動可能に支持されている。また、ガイドロッド60は、当該ガイドロッド60の途中(例えば、下端から760±10mmの高さの位置)にこぶ60aを有している。こぶ60aは、当該こぶ60aにハンマーチャック64が到達した時に、ハンマーチャック64によるハンマー61の保持を解除して、ハンマー61を自由落下させる。
ハンマー61は、ガイドロッド60に沿って移動可能に設けられている。このハンマー61は、ガイドロッド60に沿って自由落下してアンビル62に衝突することで、アンビル62を打撃して、サンプラーSを間接的に打撃する。
アンビル62は、サンプラーSが下部に接続されているロッドRの上端と、ガイドロッド60の下端と、の間に介在して、自由落下したハンマー61に打撃される。
ガイドロッド用リーダ63は、ガイドロッド60の後方の脇に当該ガイドロッド60と平行となるように、前後にスライドするスライドフレーム21の右側に、旋回支柱65及び起伏機構66を介して立設される。ガイドロッド用リーダ63には、当該ガイドロッド用リーダ63に沿って移動可能にハンマーチャック64が取り付けられている。このガイドロッド用リーダ63は、ハンマーチャック昇降機構(図示省略)を内蔵している。
ハンマーチャック64は、ガイドロッド60及びガイドロッド用リーダ63に沿って移動可能に設けられており、ハンマー61を保持し又は解除すると共に、保持したハンマー61を上方に移動させてから当該ハンマー61を自由落下させる。このハンマーチャック64は、ハンマー61の保持及び解除を検出する近接センサー81(図5参照)を内蔵している。
ハンマーチャック昇降機構(図示省略)は、ハンマーチャック64が固定されているエンドレスチェーン(図示省略)と、エンドレスチェーン(図示省略)を走行させるスプロケット(図示省略)と、等から構成されており、エンドレスチェーン(図示省略)の走行に伴って、ハンマーチャック64をガイドロッド用リーダ63に沿って昇降させる。
旋回支柱65は、前後にスライドするスライドフレーム21の右側に軸回転可能に立設されている。この旋回支柱65は、当該旋回支柱65の上端に起伏機構66を介して、ガイドロッド用リーダ63を旋回可能に支持している。このような旋回支柱65は、軸回転してガイドロッド用リーダ63を旋回させることで、打撃機構6を測定位置から退避可能にすると共に、吊上げ機構7を測定位置に配置させる。
起伏機構66は、ガイドロッド用リーダ63及び旋回支柱65の間に介在して、ガイドロッド用リーダ63を起伏可能に支持している。
吊上げ機構7は、ガイドロッド用リーダ63の後方に設けられている。この吊上げ機構7は、サンプラーSを穴から吊り上げる際に用いられる。具体的に、吊上げ機構7は、ウインチ70と、ワイヤー71と、滑車72と、フック73と、等を備えている。
ウインチ70は、ガイドロッド用リーダ63の背面に設けられている。このウインチ70は、ワイヤー71の巻取り及び繰出しを行うことで、ワイヤー71の先端に取り付けられたフック73の上げ下げを行う。
ワイヤー71は、ウインチ70からガイドロッド用リーダ63に沿って上方の滑車72に向かって延びていると共に、滑車72で折り返して下方に延びている。このワイヤー71は、ウインチ70に巻き取られ又は繰り出されることで、当該ワイヤー71の先端に設けられたフック73を上げ下げする。
滑車72は、ガイドロッド用リーダ63の上方に設けられている。この滑車72は、ウインチ70からガイドロッド用リーダ63に沿って延びているワイヤー71を引っ掛けていて、当該ワイヤー71を下方に向けて折り返させている。
フック73は、ワイヤー71の先端に取り付けられている。このフック73は、ワイヤー71に吊り下げられていて、ワイヤー71の巻取り及び繰出しが行われることで、上げ下げが行われる。
回転センサー80(図5参照)は、サンプラーSを地盤に打ち込んだ距離を打撃距離として検出する。この回転センサー80(図5参照)は、打撃機構6におけるハンマーチャック昇降機構(図示省略)が有するスプロケット(図示省略)の回転量を測定することで、ハンマーチャック64の初期位置からの移動距離を打撃距離として検出する。そして、回転センサー80(図5参照)は、検出した打撃距離を信号にして制御盤8(図5参照)に送信する。
近接センサー81(図5参照)は、ハンマーチャック64に内蔵されている。この近接センサー81(図5参照)は、ハンマーチャック64がハンマー61を保持した時に、ハンマーチャック64がハンマー61に近接したことを検出し、また、ハンマーチャック64がハンマー61の保持を解除した時に、ハンマーチャック64がハンマー61に近接しなくなったことを検出する。そして、近接センサー81(図5参照)は、検出した結果を信号にして制御盤8(図5参照)に送信する。
図5に示す制御盤8は、回転センサー80、近接センサー81及び操作部9から送信される信号に基づいて、標準貫入試験装置1を統括的に制御する。具体的に、制御盤8は、データロガー82と、CPU(Central Processing Unit)83と、を有している。
データロガー82は、例えば、RAM(Random Access Memory)などの記録媒体によって構成されている。このデータロガー82には、CPU83が各種処理を実行するための処理プログラムと各種処理を実行する際に用いられる各種データ及び各種フラグが記憶されている。
CPU83は、データロガー82に記憶された処理プログラムを実行することによって、カウンター84及び算出部85等として機能する。
カウンター84は、サンプラーSを地盤に打ち込んだ回数を打撃回数としてカウントする。このカウンター84は、近接センサー81から送信される信号に基づいて、ハンマー61(図2等参照)の自由落下の回数を打撃回数としてカウントする。そして、カウンター84は、カウントした打撃回数を信号にして算出部85に送信する。
算出部85は、回転センサー80から信号として送信された打撃距離が所定値(例えば、300mm)に達したことを契機に、カウンター84から信号として送信された打撃回数をN値として算出する。すなわち、算出部85は、回転センサー80で検出された打撃距離が所定値に達したことを契機に、カウンター84でカウントされた打撃回数をN値として算出する。
操作部9は、標準貫入試験装置1を動作させるために各種操作が行われる。この操作部9は、各種操作が行われることで、各種信号を制御盤8に送信する。
次に、図6〜図9を用いて、標準貫入試験装置1による標準貫入試験方法の流れを説明する。図6は、図1の標準貫入試験装置1による標準貫入試験方法の流れを説明するフローチャートである。
図7は、図1の標準貫入試験装置1による掘削手順を説明する概略図である。図7(A)は、掘削具Dを設置した状態を示す。図7(B)は、掘削具DにロッドRを接続した状態を示す。図7(C)は、掘削開始時の状態を示す。図7(D)は、掘削終了時の状態を示す。図7(E)は、掘削具Dを地上に引き上げた状態を示す。図7(F)は、ロッドRを退避させた状態を示す。図7(G)は、掘削機構3及びロッド支持機構4を退避させた状態を示す。図7(H)は、掘削具Dを撤去した状態を示す。
図8は、図7に示す掘削手順に続く手順であり、且つ、図1の標準貫入試験装置1による打撃手順を説明する概略図である。図8(A)は、ロッドRが接続されているサンプラーSを穴に設置した状態を示す。図8(B)は、サンプラーSに接続されているロッドRに打撃機構6を接続した状態を示す。図8(C)は、ハンマー61を所定の高さまで上昇させた状態を示す。図8(D)は、ハンマー61を自由落下させて当該ハンマー61がアンビル62を打撃した直後の状態を示す。図8(E)は、N値測定後の状態を示す。図8(F)は、打撃機構6を退避させた状態を示す。図8(G)は、サンプラーS及びロッドRを撤去した状態を示す。
図9は、図8に示す打撃手順に続く手順であり、且つ、図1に示す標準貫入試験装置1による掘削手順を説明する概略図である。図9(A)は、ロッドRが接続されている掘削具Dを設置した状態を示す。図9(B)は、掘削具Dに接続されているロッドRに、退避させていたロッドRを接続した状態を示す。図9(C)は、掘削開始時の状態を示す。図9(D)は、掘削終了時の状態を示す。図9(E)は、掘削具Dを地上に引き上げた状態を示す。図9(F)は、ロッドRを退避させた状態を示す。図9(G)は、掘削機構3及びロッド支持機構4を退避させた状態を示す。図9(H)は、掘削具Dを撤去した状態を示す。
図6に示すように、標準貫入試験装置1(図1〜図4参照)による標準貫入試験方法は、掘削工程S100と、測定工程S200と、を備え、必要に応じた回数だけ掘削工程S100及び測定工程S200を交互に繰り返す。
掘削工程S100では、打撃機構6を測定位置から退避させておき、測定位置に配置させた掘削機構3で穴を掘削する。測定工程S200では、掘削機構3を測定位置から退避させておき、測定位置S200に配置させた打撃機構6でN値を求める。
まず、最初に行う掘削工程S100では、図7(A)〜図7(G)に示す掘削手順で作業を行う。
図7(A)に示すように、打撃機構6を測定位置から退避させると共に掘削機構3を測定位置に配置させた上で、掘削具Dを地上に立設させてから当該掘削具Dを掘削具支持機構5で保持させる。
図7(B)に示すように、互いに連結させた3本のロッドRを掘削機構3に上方から挿入させてから当該ロッドRの下部に掘削具Dを接続させると共に、当該ロッドRの上端に、ホースHが接続されるスイベルジョイントJを接続させる。
図7(C)に示すように、掘削機構3でロッドRを保持すると共に掘削具支持機構5による掘削具Dの保持を解除することで、掘削を開始することが可能になる。
図7(D)に示すように、掘削機構3でロッドRを回転させながら下降させて掘削具Dで地盤に穴を掘削する。掘削に際しては、必要に応じて、ホースH及びロッドRを経由させて掘削具Dから泥水を供給する。
図7(E)に示すように、ロッドチャック41でロッドRを保持すると共に掘削機構3によるロッドRの保持を解除した上で、ロッド支持機構4でロッドRを上方に移動させて掘削具Dを地上に引き上げてから、掘削具支持機構5で掘削具Dを保持する。
図7(F)に示すように、ロッドチャック41でロッドRを回転させることで当該ロッドRを掘削具Dから外した上で、ロッド支持機構4でロッドRを上方に退避させる。
図7(G)に示すように、掘削機構3及びロッド支持機構4を測定位置から退避させる。
図7(H)に示すように、掘削具支持機構5による掘削具Dの保持を解除して当該掘削具Dを撤去する。
また、測定位置S200では、図8(A)〜図8(G)に示す打撃手順で作業を行う。
図8(A)に示すように、掘削機構3を測定位置から退避させてから、1本分のロッドRが地上に配置されるように、ロッドRが接続されているサンプラーSを穴に立設させる。
図8(B)に示すように、打撃機構6を測定位置に配置させてから、サンプラーSに接続されているロッドRに打撃機構6を接続させる。
図8(C)に示すように、ハンマーチャック64がこぶ60aに到達する所定の高さまでハンマー61を上昇させることで、ハンマーチャック64によるハンマー61の保持が解除されて、ハンマー61が自由落下を開始する。
図8(D)に示すように、自由落下したハンマー61がアンビル62を打撃することで、その打撃による衝撃がロッドRを経由してサンプラーSに伝達され、サンプラーSが地盤に打ち込まれる。
図8(E)に示すように、サンプラーSが所定の深度に達するまでハンマー61による打撃を繰り返すことで、制御盤8でN値が求められる。
図8(F)に示すように、サンプラーSに接続されているロッドRと、打撃機構6との接続を解除してから、当該打撃機構6を測定位置から退避させる。
図8(G)に示すように、吊上げ機構7を用いてサンプラーS及びロッドRを撤去する。
また、繰り返し行う掘削工程S100では、図9(A)〜図9(G)に示す掘削手順で
作業を行う。
図9(A)に示すように、ロッドRが接続されている掘削具Dを穴に立設させてから当該ロッドRを掘削具支持機構5で保持させると共に、掘削機構3を測定位置に配置させる。
図9(B)に示すように、上方に退避させていたロッドRをロッド支持機構4で下方に移動させた上で、掘削機構3で当該ロッドRを保持すると共にロッドチャック41によるロッドRの保持を解除してから掘削機構3でロッドRを回転させることで、掘削具Dに接続されているロッドRに、上方に退避させていたロッドRを接続させる。
図9(C)に示すように、掘削具支持機構5によるロッドRの保持を解除することで、掘削を開始することが可能になる。
図9(D)に示すように、掘削機構3でロッドRを回転させながら下降させて掘削具Dで地盤に穴を掘削する。掘削に際しては、必要に応じて、ホースH及びロッドRを経由させて掘削具Dから泥水を供給する。
図9(E)に示すように、ロッドチャック41でロッドRを保持すると共に掘削機構3によるロッドRの保持を解除した上で、ロッド支持機構4でロッドRを上方に移動させて掘削具Dを地上に引き上げてから、掘削具支持機構5で掘削具Dを保持する。
図9(F)に示すように、ロッドチャック41でロッドRを回転させることで当該ロッドRを掘削具Dから外した上で、ロッド支持機構4でロッドRを上方に退避させる。
図9(G)に示すように、掘削機構3及びロッド支持機構4を測定位置から退避させる。
図9(H)に示すように、掘削具支持機構5による掘削具Dの保持を解除して当該掘削具Dを撤去する。
このように、標準貫入試験装置1は、深度に応じた本数のロッドRを互いに連結された状態で使用する装置である。この標準貫入試験装置1は、N値を求める測定位置から退避可能に設けられており、掘削具Dが下部に接続されているロッドRを保持し又は解除すると共に、測定位置において、保持しているロッドRを回転させながら下降させて掘削具Dで地盤に穴を掘削する掘削機構3と、測定位置から退避可能に設けられており、測定位置において、穴に配置されているサンプラーSにロッドRを介して接続されてサンプラーSを地盤に打ち込んでN値を求める打撃機構6と、サンプラーSを地盤に打ち込んだ距離を打撃距離として検出する回転センサー80と、サンプラーSを地盤に打ち込んだ回数を打撃回数としてカウントするカウンター84と、回転センサー80で検出された打撃距離が所定値に達したことを契機に、カウンター84でカウントされた打撃回数をN値として算出する算出部85と、を備え、打撃機構6は、サンプラーSが下部に接続されているロッドRに接続されるガイドロッド60と、ガイドロッド60に沿って自由落下するハンマー61と、サンプラーSが下部に接続されているロッドRと、ガイドロッド60と、の間に介在して、自由落下したハンマー61に打撃されるアンビル62と、ガイドロッド60の脇に立設されるガイドロッド用リーダ63と、ガイドロッド用リーダ63に沿って移動可能に設けられており、ハンマー61を保持し又は解除すると共に、保持したハンマー61を上方に移動させてから当該ハンマー61を自由落下させるハンマーチャック64と、を有し、回転センサー80は、ハンマーチャック64の初期位置からの移動距離を打撃距離として検出し、カウンター84は、ハンマー61の自由落下の回数を打撃回数としてカウントする。
したがって、標準貫入試験装置1によれば、地盤に穴を掘削した後、掘削機構3を退避させると共に打撃機構6を測定位置に配置することで、N値を求めることができる。そして、標準貫入試験装置1によれば、N値を求めた後、打撃機構6を退避させると共に掘削機構3を測定位置に配置することで、地盤に穴を掘削することができる。これにより、手作業が減るので、標準貫入試験の作業の負担を軽減することができる。
また、標準貫入試験装置1によれば、ハンマー61を上方に移動させてから当該ハンマー61を自由落下させるハンマーチャック64と、ハンマーチャック64の初期位置からの移動距離を打撃距離として検出する回転センサー80と、ハンマー61の自由落下の回数を打撃回数としてカウントするカウンター84と、回転センサー80で検出された打撃距離が所定値に達したことを契機に、カウンター84でカウントされた打撃回数をN値として算出する算出部85と、等を有しているので、手作業を省いてN値を求めることができる。これにより、標準貫入試験の作業の負担を軽減することができる。
また、標準貫入試験装置1によれば、ロッドRが貫通するように当該ロッドRをロッドチャック41で保持し、ロッドチャック41で保持したロッドRを上方に移動させて掘削具Dを地上に引き上げるので、連結されたロッドRの本数が多くなった場合であっても対応することができる。
また、標準貫入試験装置1は、地上に引き上げられた掘削具を保持し又は解除する掘削支持機構5を備えている。
したがって、標準貫入試験装置1によれば、掘削具支持機構5で掘削具Dを保持してから掘削機構3でロッドRを回転させることで、掘削具DをロッドRから外すことができる。これにより、手作業が減るので、標準貫入試験の作業の負担を軽減することができる。
また、標準貫入試験方法は、標準貫入試験装置1を用いてN値を求める方法であって、打撃機構6を測定位置から退避させておき、測定位置に配置させた掘削機構3で穴を掘削する掘削工程S100と、掘削機構3を測定位置から退避させておき、測定位置に配置させた打撃機構6でN値を求める測定工程S200と、を備え、掘削工程S100及び測定工程S200を交互に繰り返す。
したがって、標準貫入試験装置1による標準貫入試験方法によれば、掘削工程S100及び測定工程S200を交互に繰り返すことで、作業の負担を軽減しつつ、複数の深度のN値を順々に測定することができる。
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質などは適宜変更できる。
例えば、上記実施形態において、標準貫入試験装置1が備えている回転センサー80は、打撃機構6におけるハンマーチャック昇降機構(図示省略)が有するスプロケット(図示省略)の回転量を測定することで、ハンマーチャック64の初期位置からの移動距離を打撃距離として検出する場合を例に説明したが、本発明は標準貫入試験装置1が回転センサー80を備えていることに限定されず、標準貫入試験装置1は、サンプラーSを地盤に打ち込んだ距離を打撃距離として検出する何らかのセンサーを備えているものであってもよい。
あるいは、上記実施形態において、標準貫入試験装置1が備えているカウンター84は、近接センサー81から送信される信号に基づいて、ハンマー61の自由落下の回数を打撃回数としてカウントする場合を例に説明したが、本発明は標準貫入試験装置1がカウンター84を備えていることに限定されず、標準貫入試験装置1は、ハンマー61の自由落下の回数を打撃回数としてカウントする何らかのカウンターを備えているものであってもよい。
(1)本発明は、深度に応じた本数のロッドを互いに連結させた状態で使用する標準貫入試験装置であって、N値を求める測定位置から退避可能に設けられており、掘削具が下部に接続されている前記ロッドが貫通するように該ロッドを保持し、前記測定位置において、保持している前記ロッドを回転させながら下降させて前記掘削具で地盤に穴を掘削すると共に、前記測定位置から退避する際、前記ロッドの保持を解除する掘削機構と、前記測定位置から退避可能に設けられており、前記測定位置において、前記穴に配置されているサンプラーに前記ロッドを介して接続されて前記サンプラーを地盤に打ち込んでN値を求める打撃機構と、前記サンプラーを地盤に打ち込んだ距離を打撃距離として検出するセンサーと、前記サンプラーを地盤に打ち込んだ回数を打撃回数としてカウントするカウンターと、前記センサーで検出された前記打撃距離が所定値に達したことを契機に、前記カウンターでカウントされた前記打撃回数をN値として算出する算出部と、を備え、前記打撃機構は、前記サンプラーが下部に接続されている前記ロッドに接続されるガイドロッドと、前記ガイドロッドに沿って自由落下するハンマーと、前記サンプラーが下部に接続されている前記ロッドと、前記ガイドロッドと、の間に介在して、自由落下した前記ハンマーに打撃されるアンビルと、前記ガイドロッドの脇に立設されるガイドロッド用リーダと、前記ガイドロッド用リーダに沿って移動可能に設けられており、前記ハンマーを保持し、保持した前記ハンマーを上方に移動させてから該ハンマーの保持を解除して該ハンマーを自由落下させるハンマーチャックと、を有し、前記センサーは、前記ハンマーチャックの初期位置からの移動距離を前記打撃距離として検出し、前記カウンターは、前記ハンマーの自由落下の回数を前記打撃回数としてカウントすることを特徴とする標準貫入試験装置である。