JP2021095289A - シート搬送装置及び画像形成システム - Google Patents

シート搬送装置及び画像形成システム Download PDF

Info

Publication number
JP2021095289A
JP2021095289A JP2020039178A JP2020039178A JP2021095289A JP 2021095289 A JP2021095289 A JP 2021095289A JP 2020039178 A JP2020039178 A JP 2020039178A JP 2020039178 A JP2020039178 A JP 2020039178A JP 2021095289 A JP2021095289 A JP 2021095289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
motor
amount
roll
controller
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020039178A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7409164B2 (ja
Inventor
慎太郎 井添
Shintaro Isoe
慎太郎 井添
裕次 西垣
Yuji Nishigaki
裕次 西垣
輝人 長谷川
Teruhito Hasegawa
輝人 長谷川
悠理 森下
Yuri Morishita
悠理 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to US17/121,963 priority Critical patent/US11801696B2/en
Publication of JP2021095289A publication Critical patent/JP2021095289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7409164B2 publication Critical patent/JP7409164B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Controlling Rewinding, Feeding, Winding, Or Abnormalities Of Webs (AREA)
  • Handling Of Continuous Sheets Of Paper (AREA)
  • Controlling Sheets Or Webs (AREA)

Abstract

【課題】高精度にシートロールの径を推定可能な技術を提供する。【解決手段】本開示の一側面に係る装置では、ホルダ10が、シートが巻き回されたシートロールを保持する。搬送ローラ20が、シートロールから引き出されたシートを搬送する。可動性のテンショナー15が、ホルダと搬送ローラとの間に設けられる。モータ71が、搬送ローラを回転させるための駆動力を生成する。コントローラ50が、モータを制御するように構成される。コントローラは、シートの搬送量と、シートロールの回転量と、テンショナーの位置とに基づき、シートロールの径を推定する。【選択図】図3

Description

本開示は、シート搬送装置及び画像形成システムに関する。
従来、シートが巻き回されたシートロールから、搬送ローラにより記録ヘッドの方向に、シートを引き出し、引き出したシートに画像を印刷する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この印刷装置では、シートロールの径が判定される。判定されたシートロールの径が、シートの搬送制御に用いられる。シートロールの径は、例えば距離センサを用いて測定される。あるいは、シートロールの径は、搬送ローラによりシートが搬送されたときのシートの搬送量と、シートロールの回転量とに基づいて、推定される。
特開2014−076669号公報
シートロールからシートを引き出して搬送するシート搬送装置には、シートロールと搬送ローラとの間に、シートにテンションを付与するためのテンショナーが設けられることがある。
テンショナーは、可動部品を備え、可動部品がシートに接触し、シートにテンションを付与する。可動部品は、シートに対して適切なテンションを付与するために、バネなどの弾性材による付勢力を受けて変位する。
こうしたテンショナーを備える装置では、テンショナーの変位の影響を受けて、シートロールから引き出されたシートの姿勢が変化する。そのため、搬送ローラによるシートの搬送量とシートロールの回転量とに基づいてシートロールの径を推定する上述した従来方法では、シートロールの径を、正確に推定することができない。
そこで、本開示の一側面によれば、テンショナーを備えるシート搬送装置において、センサによりシートロールの径を直接測定しなくても、シートの搬送量等から高精度にシートロールの径を推定可能な技術を提供できることが望ましい。
本開示の一側面に係るシート搬送装置は、ホルダと、回転計測器と、搬送ローラと、テンショナーと、位置検出器と、モータと、コントローラと、を備える。ホルダは、シートが巻き回されたシートロールを保持する。回転計測器は、シートロールの回転量を計測する。
搬送ローラは、ホルダに保持されるシートロールから引き出されたシートを搬送する。テンショナーは、可動性のテンショナーであり、ホルダと搬送ローラとの間に設けられ、シートロールから搬送ローラに引き出されたシートと接触する。位置検出器は、テンショナーの位置を検出する。
モータは、シートが搬送されるように搬送ローラを回転させるための駆動力を生成する。コントローラは、モータを制御するように構成される。コントローラは、モータにより駆動される搬送ローラの回転によるシートの搬送量と、回転計測器により計測されたシートロールの回転量と、位置検出器により検出されたテンショナーの位置とに基づき、シートロールの径を推定する。
このシート搬送装置によれば、テンショナーの位置により、シートロールから搬送ローラまでの引き出されたシートの姿勢が変化するような環境においても、搬送ローラによるシートの搬送量とシートロールの回転量とに基づいてシートロールの径を高精度に推定することができる。従って、本開示の一側面によれば、センサによりシートロールの径を直接測定しなくても、高精度にシートロールの径を推定することができる。
本開示の一側面によれば、上述したシート搬送装置と、処理ヘッドとを備える画像形成システムが提供されてもよい。処理ヘッドは、搬送ローラよりもシートの搬送方向下流で、シートに画像を形成することができる。
本開示の一側面に係る画像形成システムの構成を表す図である。 テンショナーの機能を説明した図である。 画像形成システムの電気的構成を説明したブロック図である。 メインコントローラが実行する処理を表すフローチャートである。 速度コントローラの構成を表すブロック図である。 張力コントローラの構成を表すブロック図である。 ロール径推定器が実行する処理を表すフローチャートである。 テンショナー位置と経路長との関係を表すグラフである。 ロール径の推定方法に関する説明図である。 ロール径の推定値の変化を表すグラフである。 初期処理の一部を表すフローチャートである。 第二実施形態においてメインコントローラが実行する原点設定処理を表すフローチャートである。 第三実施形態においてロール径推定器が実行する処理を表すフローチャートである。 第三実施形態においてロール径推定器が実行する状態量ノイズの切替処理を表すフローチャートである。 第三実施形態における張力コントローラの構成を表すブロック図である。
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示す本実施形態の画像形成システム1は、シートロールQ0から引き出されたシートQに画像を形成するように構成される。この画像形成システム1は、シートQを記録ヘッド40の下方に向けて搬送するためのシート搬送装置として機能する。
画像形成システム1は、ホルダ10と、テンショナー15と、搬送ローラ20と、ニップローラ25と、ベルト機構30と、記録ヘッド40とを備える。図1では、ベルト機構30よりシートQの搬送方向下流の構成が省略される。ベルト機構30より下流には、例えば、シートQを切断するためのカッターが設けられる。
ホルダ10は、シートロールQ0を着脱可能に保持する。シートロールQ0は、中空の芯材の周りにシートQが巻き回された構成にされる。ホルダ10は、シートロールQ0の芯材に挿通される回転軸10Aと、回転軸10Aを回転可能に保持するホルダ本体(図示せず)とを備える。
ホルダ本体は、画像形成システム1の筐体(図示せず)内に固定される。シートロールQ0の芯材は、ホルダ10の回転軸10Aに対して滑らないように固定される。これにより、シートロールQ0は、ホルダ10の回転軸10Aと一緒に回転する。
シートQは、シートロールQ0の回転軸10Aへの装着後に、ユーザの手作業により、シートロールQ0から、テンショナー15を介して、搬送ローラ20とニップローラ25との間のニップ地点P2を通過した位置まで引き出される。図1における地点P1は、シートロールQ0からのシートQの引き出し地点を示す。
搬送ローラ20は、ニップローラ25との間にニップされたシートQを回転により、太い矢印で示される搬送方向に搬送する。テンショナー15は、図2に示すように、前後方向に変位可能なローラとして構成され、バネ材16に接続される。
テンショナー15は、前方に変位すると、バネ材16により後方に付勢力を受けるように配置される。テンショナー15は、この付勢力によりシートQにテンションを付与する。ここでいう前方は、シートQの搬送方向に対応し、後方は、シートQの搬送方向とは逆方向に対応する。
テンショナー15は、シートロールQ0から引き出されたシートQが、搬送ローラ20により搬送されるときに、シートQからの押圧力を受けて、前方に変位する。押圧力は、シートQの張力に対応する。図2に示す点線は、シートQからの力に起因して実線で示されるテンショナー15及びシートQが点線で示される位置まで変位した状態を示す。
テンショナー15の前後方向における位置は、バネ材16による付勢力とシートQの張力とが均衡する位置で安定する。画像形成システム1は、このテンショナー15の位置を指標に、シートQの張力を推定し、張力制御を行うように構成される(詳細後述)。
ベルト機構30は、搬送ローラ20より搬送方向下流に配置され、搬送ローラ20から搬送されるシートQを更に下流に搬送する。ベルト機構30は、図1に示すように、駆動ローラ31と従動ローラ32と間に、ベルト33が巻き回された構成にされる。駆動ローラ31は、搬送ローラ20と同期した回転運動により、ベルト33を回転させる。
ベルト機構30は更に、ベルト33を挟んで駆動ローラ31と対向する位置に第一の対向ローラ35を備え、ベルト33を挟んで従動ローラ32と対向する位置に第二の対向ローラ36を備える。
搬送ローラ20から搬送されるシートQは、ベルト33の回転により、第一の対向ローラ35とベルト33との間を通って下流に搬送される。更に、シートQは、第二の対向ローラ36とベルト33との間を通って下流に搬送される。ベルト33の回転により、シートQは、搬送ローラ20によるシートQの搬送速度と同速度で搬送される。
一例によれば、ベルト機構30は、エア吸着機能を有することができる。すなわち、ベルト33は、空気が通る多数の微小な孔を有していてもよく、ベルト33の下方には、空気を吸引する吸引器(図示せず)が設けられていてもよい。シートQは、吸引器による空気吸引によりベルト33の表面に吸着された状態で搬送されてもよい。
記録ヘッド40は、ベルト機構30の上方に設けられて、通過するシートQに画像を形成する。記録ヘッド40は、ラインヘッドであり、記録ヘッド40の下方を通過するシートQのライン方向全体に対して同時に画像を形成する。ここでいうライン方向は、シートQの表面に沿う方向であって、シートQの搬送方向、換言すれば、シートQの長尺方向とは直交する方向である。
記録ヘッド40は、例えば、インクジェット方式で画像をシートQに形成するインクジェットヘッドであり得る。記録ヘッド40は、感熱方式又は熱転写方式でシートQに画像を形成するサーマルヘッドであってもよい。
記録ヘッド40がインクジェット方式で画像を形成する場合、記録ヘッド40の搬送方向下流には、インクを乾燥及び定着させるための定着器45が設けられてもよい。定着器45は、図1において点線で示すように、ベルト機構30上で記録ヘッド40に隣接して設けられ得る。
続いて、画像形成システム1の電気的構成を詳述する。図3に示すように、画像形成システム1は、システム全体を統括制御するコントローラ50を備える。画像形成システム1は更に、ホルダ10に装着されたシートロールQ0の回転を制御するために、供給モータ61と、モータドライバ63と、ロータリエンコーダ65と、計測回路67とを備える。
供給モータ61は、ホルダ10の回転軸10Aに図示しないギヤを介して接続され、回転軸10Aに動力を付与するように配置される。ホルダ10の回転軸10Aは、供給モータ61からの動力を受けて回転する。シートロールQ0は、回転軸10Aと共に回転する。
供給モータ61は、直流モータであり得る。供給モータ61は、モータドライバ63から入力される駆動電流に応じた回転トルクを発生させて回転軸10Aを駆動する。モータドライバ63は、コントローラ50から入力される操作量USRに応じた駆動電流を供給モータ61に入力する。
ロータリエンコーダ65は、ホルダ10の回転軸10A又は供給モータ61の回転軸に設けられ、回転に応じたエンコーダ信号を出力する。計測回路67は、ロータリエンコーダ65から入力されるエンコーダ信号に基づいて、シートロールQ0の回転運動に関する物理量としてのシートロールQ0の回転位置及び回転速度(換言すれば回転角及び角速度)を計測し、計測した回転位置及び回転速度をコントローラ50に入力する。回転軸10Aの回転位置及び回転速度は、シートロールQ0の回転位置及び回転速度に対応する。
画像形成システム1は更に、搬送ローラ20の回転を制御するための構成として、搬送モータ71と、モータドライバ73と、ロータリエンコーダ75と、計測回路77とを備える。
搬送モータ71は、直流モータであり得る。搬送モータ71は、ギヤを介して搬送ローラ20と接続され、モータドライバ73から入力される駆動電流に応じた回転トルクを発生させて搬送ローラ20を回転駆動する。モータドライバ73は、コントローラ50から入力される操作量UPFに応じた駆動電流を搬送モータ71に入力する。
ロータリエンコーダ75は、搬送ローラ20の回転軸又は搬送モータ71の回転軸に設けられ、回転に応じたエンコーダ信号を出力する。計測回路77は、ロータリエンコーダ75から入力されるエンコーダ信号に基づいて、搬送ローラ20の回転運動に関する物理量としての搬送ローラ20の回転位置及び回転速度(換言すれば回転角及び角速度)を計測し、計測した回転位置及び回転速度をコントローラ50に入力する。
画像形成システム1は更に、テンショナー15の位置を検出する位置検出器80を備える。位置検出器80は、予め定められた原点位置を基準としたテンショナー15の前後方向における位置Xを検出し、その検出位置Xをコントローラ50に入力する。位置検出器80は、例えば、リニアエンコーダによって構成され得る。
画像形成システム1は更に、ヘッドドライバ90と、レジストセンサ91と、ユーザインタフェース95と、通信インタフェース97とを備える。ヘッドドライバ90は、コントローラ50からの制御信号に従って、記録ヘッド40を駆動するように構成される。レジストセンサ91は、ベルト機構30の上流で、そこを通過するシートQの先頭を検出し、その検出信号をコントローラ50に入力するように構成される。
ユーザインタフェース95は、ユーザ向けの各種情報を表示する表示部と、ユーザからの操作を受け付ける入力部と、を備える。例えば、表示部は、液晶ディスプレイであり、入力部は、液晶ディスプレイ上のタッチパネルである。
通信インタフェース97は、有線又は無線により情報機器と通信可能に構成される。通信インタフェース97は、USBインタフェースや有線/無線LANインタフェースであり得る。情報機器は、ユーザが所有するパーソナルコンピュータやタブレット端末であり得る。
コントローラ50は、メインコントローラ51と、印刷コントローラ53と、速度コントローラ55と、張力コントローラ57とを備える。メインコントローラ51は、プロセッサ51Aと、メモリ51Bと、を備える。メモリ51Bは、RAM及びフラッシュメモリを備える。
プロセッサ51Aは、メモリ51Bが記憶するコンピュータプログラムに従って、各種処理を実行する。以下において、メインコントローラ51が実行する処理は、コンピュータプログラムに従って、プロセッサ51Aにより実行されると理解されてよい。
印刷コントローラ53、速度コントローラ55、及び張力コントローラ57は、例えばASICにより構成される。印刷コントローラ53は、メインコントローラ51から入力される印刷対象の画像データに基づいて、記録ヘッド40に印刷対象の画像データに基づく画像をシートQに形成させるための制御信号を、ヘッドドライバ90に入力する。
速度コントローラ55は、メインコントローラ51からの指示に従う目標回転速度で搬送ローラ20が回転するように、搬送モータ71に対する操作量UPFを決定し、決定した操作量UPFをモータドライバ73に入力するように構成される。本実施形態によれば、搬送ローラ20の回転速度の制御により、シートQの搬送速度が制御される。
張力コントローラ57は、メインコントローラ51からの指示に従う目標張力を有した状態でシートQが搬送されるように、供給モータ61に対する操作量USRを決定し、決定した操作量USRをモータドライバ63に入力するように構成される。
メインコントローラ51は、通信インタフェース97を通じて情報機器から印刷指令を受信すると、図4に示す処理を実行し、印刷指令と共に受信した印刷対象の画像データに基づく画像がシートQに形成されるように、印刷コントローラ53、速度コントローラ55、及び張力コントローラ57と協働して、画像形成システム1内の各部を制御する。
図4に示す処理を開始すると、メインコントローラ51は、初期処理を実行する(S110)。初期処理は、シートQの先頭を、予め定められた始点に配置する処理を含む。始点は、レジストセンサ91によりシートQの先頭が検出される位置であってもよいし、この位置からシートQの先頭が所定距離、搬送方向下流に移動した位置であってもよい。
始点は、シートQの先頭がベルト機構30に進入する位置に定義されてもよいし、記録ヘッド40によってシートQへの画像形成が行われるシート搬送経路上の位置から、シートQの加速に必要な距離、搬送方向上流に遡った地点であってもよい。
シートQの先頭が始点に配置されると、メインコントローラ51は、シートQの搬送処理を開始する(S120)。搬送処理において、メインコントローラ51は、シートQが目標停止位置で停止するまでの搬送ローラ20の目標回転速度を示す速度プロファイルを速度コントローラ55に入力し、速度コントローラ55に、速度プロファイルに従う搬送ローラ20の回転速度制御を実行させる。
速度プロファイルは、加速区間における目標回転速度と、定速区間における目標回転速度と、減速区間における目標回転速度とを示す。シートQは、この速度プロファイルに従う搬送ローラ20の回転速度制御により、所定速度に到達するまで加速し、所定速度に到達した後には定速移動し、その後減速するように運動する。
搬送処理において、メインコントローラ51は更に、シートQが目標停止位置で停止するまでの目標張力を示す張力プロファイルを張力コントローラ57に入力し、張力コントローラ57に張力プロファイルに従うシートQの張力制御を実行させる。
搬送処理の開始後、メインコントローラ51は、回転速度制御が定速区間に移行するまで待機し(S130)、定速区間へ移行すると、印刷処理を開始する(S140)。印刷処理において、メインコントローラ51は、印刷コントローラ53に、記録ヘッド40に印刷対象の画像データに基づく画像をシートQに形成させるための記録ヘッド40の駆動制御を実行させる。この制御によって、シートQには、搬送方向への移動に合わせて、記録ヘッド40によるライン方向への画像形成動作が繰返し実行される。
メインコントローラ51は、シートQの移動及び同期した記録ヘッド40の画像形成動作により印刷対象の画像データに基づく画像がシートQに形成され、印刷処理及び搬送処理が終了すると(S150でYes)、終了処理を実行する(S160)。終了処理は、印刷終了を、ユーザインタフェース95を通じてユーザに案内する処理を含む。その後、メインコントローラ51は、図4に示す処理を終了する。
続いて、速度コントローラ55の詳細構成を、図5を用いて説明する。速度コントローラ55は、計測回路77にて計測された搬送ローラ20の回転速度と目標回転速度との偏差に基づき、搬送モータ71に対する操作量UPFを算出することにより、搬送ローラ20を目標回転速度にフィードバック制御するように構成される。以下でいう実回転速度は、回転速度の計測値を意味する。
速度コントローラ55は、速度指令器101と、偏差算出器103と、PID制御器105と、静止摩擦補償器107と、加算器109とを備える。速度指令器101は、メインコントローラ51から入力される速度プロファイルに従って、制御開始からの各時点における目標回転速度ωを出力する。
偏差算出器103は、速度指令器101からの目標回転速度ωと、計測回路77から入力される実回転速度ωPFとの偏差E=(ω−ωPF)を算出する。PID制御器105は、偏差算出器103から入力される偏差Eに基づき、搬送モータ71に対する操作量Uを演算する。
PID制御器105は、偏差EをゲインGで増幅して出力する比例要素と、偏差Eの積分値INT(E)をゲインGで増幅して出力する積分要素と、偏差Eの微分値DIF(E)をゲインGで増幅して出力する微分要素とを含む。PID制御器105は、比例要素、積分要素、及び微分要素からの出力の合計を、搬送モータ71に対する操作量Uとして算出する。
静止摩擦補償器107は、静止摩擦に起因する操作量Uの不足を補償するための補償量Cを出力する。補償量Cは、実回転速度ωPFがゼロであるとき、すなわち静止状態においては、一定値であり、実回転速度ωPFが非ゼロであるとき、すなわち非静止状態においては、ゼロである。
加算器109は、PID制御器105から出力される操作量Uを、補償量Cで補正し、補正後の操作量UPF=U+Cを、モータドライバ73に入力する。モータドライバ73は、速度コントローラ55から入力される操作量UPFに対応する駆動電流を搬送モータ71に入力することにより、操作量UPFに対応する回転トルクが発生するように、搬送モータ71を駆動する。搬送ローラ20の回転速度、それに対応するシートQの搬送速度は、この速度コントローラ55によりフィードバック制御される。
張力制御は、図6に示す張力コントローラ57によって実現される。図6に示す張力コントローラ57は、位置検出器80により検出されたテンショナー15の位置Xから推定されるシートQの張力(以下、推定張力と表現する。)と目標張力との偏差に基づき、供給モータ61に対する操作量USRを算出する。これにより、張力コントローラ57は、シートQの張力を、目標張力にフィードバック制御する。
張力コントローラ57は、図6に示すように、張力指令器110と、張力推定器120と、偏差算出器130と、PID制御器140と、ロール径推定器150と、フィードフォワード制御器160と、加算器170と、ゲイン設定器180とを備える。
張力指令器110は、メインコントローラ51から入力される張力プロファイルに従って、制御開始からの各時点における目標張力Tを出力する。張力推定器120は、位置検出器80から入力されるテンショナー15の位置Xに基づき、シートQに作用する張力Tを推定する。具体的に、張力推定器120は、テンショナー15の位置Xに特定の比例係数kをかけた値k・Xを、推定張力Tとして算出することができる。
偏差算出器130は、目標張力Tと推定張力Tとの偏差E=T−Tを算出する。PID制御器140は、偏差算出器130から入力される偏差Eに基づき、供給モータ61に対するフィードバック操作量Uを算出する。
PID制御器140は、図6に示すように、比例ゲインアンプ141と、積分ゲインアンプ142と、微分ゲインアンプ143と、積分器145と、微分器146と、加算器148とを備える。偏差算出器130からの偏差Eは、比例ゲインアンプ141、積分器145、及び微分器146に入力される。比例ゲインアンプ141は、入力される偏差EをゲインKで増幅して出力する。
積分器145は、偏差Eに対する積分演算を行い、偏差Eの積分値INT(E)を積分ゲインアンプ142に入力する。積分ゲインアンプ142は、入力される偏差Eの積分値INT(E)をゲインKで増幅して出力する。
微分器146は、偏差Eに対する微分演算を行い、偏差Eの微分値DIF(E)を微分ゲインアンプ143に入力する。微分ゲインアンプ143は、入力される偏差Eの微分値DIF(E)をゲインKで増幅して出力する。
加算器148は、比例ゲインアンプ141からの出力K・E、積分ゲインアンプ142からの出力K・INT(E)、及び微分ゲインアンプ143からの出力K・DIF(E)を加算し、その加算値K・E+K・INT(E)+K・DIF(E)を、供給モータ61に対するフィードバック操作量Uとして出力する。
加算器170は、PID制御器140から入力されるフィードバック操作量Uと、フィードフォワード制御器160から入力されるフィードフォワード操作量Uとの加算値U+Uを、供給モータ61に対する操作量USRとして出力する。
フィードフォワード制御器160は、微分器161と、加速トルク推定器163と、FFゲインアンプ165とを備える。微分器161は、計測回路77から入力される搬送ローラ20の回転速度ωPFを微分して、搬送ローラ20の回転加速度αを算出する。回転加速度は、角加速度に対応する。微分器161により算出される回転加速度αのことを、以下では、実回転加速度αと表現する。
加速トルク推定器163は、実回転加速度αに基づき、搬送ローラ20の加速、換言すれば、シートQの加速に応じてシートロールQ0を回転させるために必要な供給モータ61の加速トルクτを推定する。具体的には、実回転加速度αと、シートロールQ0の半径であるロール径Rと、搬送ローラ20の半径Rと、ロール径Rから推定されるシートロールQ0のイナーシャJ(R)と、に基づき、式τ=J(R)・(R/R)・αに従って、加速トルクτを算出する。
搬送ローラ20の回転加速度がαであるとき、搬送ローラ20の回転により搬送されるシートQの加速度は、R・αである。同じ加速度でシートロールQ0からシートQが引き出されるためには、シートロールQ0は、回転加速度(R/R)・αで回転する必要がある。イナーシャがJであるとすると、この回転を実現するために必要な加速トルクは、J・(R/R)・αである。
ロール径がRであるときのシートロールQ0のイナーシャJ(R)を算出するための関数J(R)は、予め用意され、加速トルク推定器163で算出される。搬送ローラ20の半径Rは、機械に定まる固定値である。シートロールQ0のロール径Rは、ロール径推定器150により推定される(詳細後述)。
加速トルク推定器163は、ロール径推定器150から入力されるロール径Rの情報に基づいて上式に基づき、加速トルクτを算出する。FFゲインアンプ165は、算出された加速トルクτをゲインKFFだけ増幅するように調整して、調整後の加速トルクKFF・τを、フィードフォワード操作量Uとして出力する。通常、ゲインKFFは値1であるが、回転系の機械特性に応じて値1から微調整され得る。
モータドライバ63は、このように算出されるフィードフォワード操作量Uを成分に含む上述の操作量USR=U+Uに対応する駆動電流を供給モータ61に入力することにより、操作量USRに対応する回転トルクが発生するように、供給モータ61を駆動する。こうして供給モータ61がフィードフォワード制御及びフィードバック制御されることにより、シートQの張力は、目標張力に制御される。
本実施形態では更に、ゲイン設定器180が、PID制御器140におけるゲインK,K,Kをロール径推定器150により推定されたロール径Rに基づき、調整するように構成される。ゲインK,K,Kは、ロール径Rを変数とする関数K(R),K(R),K(R)に従って、ロール径RであるときK=K(R),K=K(R),K=K(R)に設定される。関数K(R),K(R),K(R)は、予め試験により定められる。
続いて、ロール径推定器150によるロール径Rの推定動作を説明する。ロール径推定器150は、図7に示す処理を実行することにより、サンプリング周期t毎にロール径Rを推定する(S260)。図7に示す処理は、シートQの搬送開始と共に開始され、シートQの搬送終了と共に終了する。
図7に示す処理を開始すると、ロール径推定器150は、現時刻tを基準時刻tに設定する(S210)。ロール径推定器150は更に、ロール径Rの推定開始条件が満足されるまでの期間、推定に必要なデータとして、サンプリング周期t毎に、搬送ローラ20の回転位置θPF(t)、シートロールQ0の回転位置θSR(t)、及びテンショナー15の位置X(t)を蓄積及び記憶する(S210)。
推定開始条件が満足されるまでの期間は、基準時刻tから後述する所定時間tが経過するまでの期間、又は、それより短い期間であり得る。回転位置θPF(t)は、時刻tにおいて計測回路77で計測される搬送ローラ20の回転位置θPFを示す。回転位置θSR(t)は、時刻tにおいて計測回路67で計測されるシートロールQ0の回転位置θSRを示す。位置X(t)は、時刻tにおいて位置検出器80で検出されるテンショナー15の位置Xを示す。
ロール径推定器150は、S210の処理を終えると、S220〜S290の処理をサンプリング周期t毎に繰返し実行する。S220において、ロール径推定器150は、現時刻tにおける搬送ローラ20の回転位置θPF(t)、シートロールQ0の回転位置θSR(t)、テンショナー15の位置X(t)を記憶する。
その後、ロール径推定器150は、基準時刻tから現時刻tまでのシート搬送量L(t)を、搬送ローラ20の半径Rと、基準時刻tにおける搬送ローラ20の回転位置θPF(t)と、現時刻tにおける搬送ローラ20の回転位置θPF(t)とに基づき、算出する(S230)。具体的には、ロール径推定器150は、式L(t)=R・(θPF(t)−θPF(t))に従って、シート搬送量L(t)を算出する。
更に、ロール径推定器150は、基準時刻tから現時刻tまでのシートロールQ0の回転量δθ(t)を算出する(S240)。以下では、シートロールQ0の回転量のことを、ロール回転量とも表現する。
S240において、ロール径推定器150は、基準時刻tにおけるシートロールQ0の回転位置θSR(t)と、現時刻tにおけるシートロールQ0の回転位置θSR(t)とに基づき、式δθ(t)=θSR(t)−θSR(t)に従って、ロール回転量δθ(t)を算出する。ロール回転量δθ(t)は、ロール径Rの情報が不要な角度の次元で算出される。
ロール径推定器150は更に、基準時刻tから現時刻tまでの経路長Dの変化量δD(t)を算出する(S250)。ここでいう経路長Dは、図1に示す地点P1から地点P2までのシートQの搬送経路長のことを意味する。換言すれば、経路長Dは、地点P1から地点P2までのシートQの搬送方向の長さに一致する。
テンショナー15は可動性を有する。このため、テンショナー15の位置Xが変化することにより、地点P1から地点P2までのシートQの搬送経路長は、図2に示すように変化する。図8に示すように、経路長Dは、テンショナー15の位置Xが増加するほど、すなわちテンショナー15が前方に移動するほど、短くなる。
ロール径推定器150は、現時刻tにおけるテンショナー15の位置X(t)に対応する経路長D(X(t))を算出する。更に、基準時刻tにおけるテンショナー15の位置X(t)に対応する経路長D(X(t))を算出する。
ロール径推定器150は、予め記憶された位置Xと経路長Dとの対応関係を示す関数D(X)又はテーブルに従って、経路長D(X(t)),D(X(t))を算出することができる。
関数D(X)は、テンショナー15の位置Xと、地点P1と地点P2との幾何学的関係に基づいて、理論的に導出され得る。位置X及び経路長Dに関し、複数の位置X,X,X,…のそれぞれにおける経路長D,D,D,…を計測し、この計測データに対する関数フィットにより、関数D(X)が算出されてもよい。
ロール径推定器150は、複数の位置X,X,X,…のそれぞれにおける経路長D,D,D,…を記述するテーブルを有していてもよい。ロール径推定器150は、テーブルを参照し、線形補間により、位置X(t),X(t)に対応する経路長D(X(t)),D(X(t))を算出してもよい。
S250において、ロール径推定器150は、算出した経路長D(X(t)),D(X(t))に基づき、式δD(t)=D(X(t))−D(X(t))に従って、経路長Dの変化量δD(t)を算出する。
その後、ロール径推定器150は、上記算出したシート搬送量L(t)、シートロールQ0の回転量δθ(t)、及び、経路長Dの変化量δD(t)に基づき、式R=(L(t)+δD(t))/δθ(t)に従って、推定値としてのシートロールQ0のロール径Rを算出する(S260)。
上式に含まれる成分(L(t)+δD(t))は、基準時刻tから時刻tまでの間にシートロールQ0から引き出されたシートQの長さに対応する。成分δθ(t)は、長さ(L(t)+δD(t))だけシートQが引き出されるときの、シートロールQ0の回転量に対応する。
従って、式R=(L(t)+δD(t))/δθ(t)によれば、長さ(L(t)+δD(t))だけシートQが搬送されるときのシートロールQ0の半径Rを算出することができる。この式によれば、時刻tから時刻tまでの期間で半径Rが近似的に一定であるとき、半径Rを精度よく算出することができる。
S260でロール径Rを算出すると、ロール径推定器150は、続くS270において、終了条件が満足されたか否かを判断する。終了条件が満足されていると判断すると(S270でYes)、図7に示す処理を終了する。この終了前に、ロール径推定器150は、直前のS260で算出されたロール径Rを、メインコントローラ51を通じて、メモリ51Bにロール径Rの最新推定値として記憶させることができる(S275)。
ロール径推定器150は、シート搬送が正常終了したとき、及び、シート搬送が異常終了したときに、終了条件が満足されたと判断して(S270でYes)、図7に示す処理を終了することができる。
終了条件が満足されていないと判断すると(S270でNo)、ロール径推定器150は、基準時刻tから所定時間tの2倍である時間2tが経過したか否かを判断する(S280)。ロール径推定器150は、経過していないと判断すると(S280でNo)、処理をS220に移行する。
S280において時間2tが経過したと判断すると、ロール径推定器150は、S290に移行し、基準時刻tを時間tだけ進んだ時刻(t+t)に更新する。その後、S220に移行する。このようにして、ロール径推定器150は、サンプリング周期t毎にS220〜S290の処理を実行し、S260では、ロール径Rを推定する。
すなわち、ロール径推定器150は、図9に破線で示すように、基準時刻tを、時間tずつずらしながら、図9においてハッチング領域で示すように、時刻(t+t)から時刻(t+2t)の期間において、サンプリング周期t毎に、基準時刻tから時刻tまでのシート搬送量L(t)、ロール回転量δθ(t)、及び経路長Dの変化量δD(t)に基づき、ロール径Rを算出する。図9によれば、時間tは、0.5秒である。このとき、サンプリング周期tは、1ミリ秒であり得る。
図10には、上述した方法で算出されるロール径Rの変化を実線で示す。図10によれば、正しいロール径Rは、69mmであり、算出されるロール径Rが67mmから71mmまでの範囲内にあるとき、精度よくロール径Rが算出されていると評価することができる。
本実施形態では、搬送ローラ20によるシートQの搬送量L(t)だけではなく、経路長Dの変化量δD(t)を考慮して、ロール径Rを算出するので、ロール径Rを迅速且つ精度よく推定することができる。
図10において、破線は、経路長Dの変化量δD(t)を考慮せずに、式R’=L(t)/δθ(t)に従って推定したロール径R’を示す。実線で示されるロール径Rと、破線で示されるロール径R’との比較から理解できるように、経路長Dの変化量δD(t)を考慮する本開示の技術によれば、変化量δD(t)を考慮しない場合と比較して迅速かつ高精度に、ロール径Rを推定可能である。図10に示される一点鎖線は、経路長Dを、特定経路長Dからの差分で示す。
続いて、図11を用いて、メインコントローラ51が実行する初期処理(図4に示すS110)の詳細を説明する。メインコントローラ51は、初期処理(S110)を開始すると、図11に示すように、前回のシート搬送を正常終了したか否かを判断する(S310)。
正常終了したと判断すると(S310でYes)、メインコントローラ51は、処理をS330に移行する。一方、異常終了したと判断すると(S310でNo)、前回の異常終了がジャムによる異常終了であるか否かを判断する(S320)。
メインコントローラ51は、前回の異常終了がジャムによる異常終了であると判断すると(S320でYes)、S330に移行し、ジャム以外の原因による異常終了であると判断すると(S320でNo)、S360に移行する。
ジャム以外の異常終了には、シートロールQ0が空となったことによる異常終了が含まれる。シートロールQ0が空になった場合には、ホルダ10に新しいシートロールQ0が装着される。メインコントローラ51は、前回のシート搬送が存在しない場合、S310及びS320で形式的に否定判断して、S360に移行する。
S330において、メインコントローラ51は、ロール径推定器150によりロール径Rの推定が開始されるまでの期間の張力制御で用いるべきシートロールQ0のロール径Rを、メモリ51Bが記憶する最新推定値に設定する。
具体的には、メインコントローラ51は、張力コントローラ57が備えるフィードフォワード制御器160及びゲイン設定器180に対し、現在のロール径Rとして、メモリ51Bから読み出した最新推定値を設定する。フィードフォワード制御器160及びゲイン設定器180に設定されたロール径Rは、ロール径推定器150で新規にロール径Rが推定されると、その推定値に更新される。
S330においてロール径Rを設定すると、メインコントローラ51は、フィードフォワード制御器160の動作を許可することにより、張力コントローラ57のフィードフォワード制御を有効化する(S340)。
更に、メインコントローラ51は、搬送ローラ20の目標回転速度を定義する速度プロファイルとして、高速搬送用の速度プロファイルを速度コントローラ55に入力することにより、シートQの搬送モードを「高速」モードに設定する(S350)。
その後、メインコントローラ51は、S390に移行し、S350で入力した速度プロファイルで、シートQを始点まで高速搬送するように、速度コントローラ55及び張力コントローラ57に回転速度制御及び張力制御を実行させる。その後、メインコントローラ51は、図11に示す処理を終了する。
一方、S360に移行すると、メインコントローラ51は、メモリ51Bに記憶されたロール径Rの最新推定値を破棄する。その後、メインコントローラ51は、フィードフォワード制御器160の動作を禁止することにより、フィードフォワード制御を無効化する(S370)。
続くS380において、メインコントローラ51は、速度コントローラ55に対し低速搬送用の速度プロファイルに入力することにより、シートQの搬送モードを「低速」モードに設定する。低速モードの速度プロファイルでは、最大速度に到達する定速区間における目標回転速度が、高速モードよりも低い。
その後、メインコントローラ51は、S390に移行し、S380で入力した速度プロファイルで、シートQを始点まで低速搬送するように、速度コントローラ55及び張力コントローラ57に回転速度制御及び張力制御を実行させる。その後、メインコントローラ51は、図11に示す処理を終了する。
この低速搬送時のフィードフォワード制御器160の動作禁止状態は、ロール径推定器150によるロール径Rの推定が新たに開始されるまで維持される。換言すれば、フィードフォワード制御器160は、ロール径推定器150から新しく推定されたロール径Rの情報が得られた時点から、そのロール径Rに基づくフィードフォワード操作量Uを算出することができる。
付言すると、S360でロール径Rの最新推定値が破棄された場合、ゲイン設定器180は、ロール径推定器150により新たにロール径Rが推定されるまでの期間、メインコントローラ51から与えられた標準のロール径Rに従うゲインK=K(R),K=K(R),K=K(R)を、PID制御器140に設定する。
以上に説明した本実施形態の画像形成システム1によれば、コントローラ50におけるロール径推定器150が、計測されたシート搬送量L(t)と、計測されたシートロールQ0の回転量であるロール回転量δθ(t)と、検出されたテンショナー15の位置Xとに基づき、シートロールQ0の半径Rであるロール径Rを推定する。
特には、ロール径推定器150は、シートQがシートロールQ0から引き出される第一の地点P1からシートQが搬送ローラ20とニップローラ25とによりニップされる第二の地点P2までのシートQの搬送経路長D(t)の変化量δD(t)をテンショナー15の位置X(t)に基づいて推定する。
ロール径推定器150は、搬送ローラ20の回転によるシート搬送量L(t)及び経路長D(t)の変化量δD(t)から判別されるシートQの引き出し量(L(t)+δD(t))と、ロール回転量δθ(t)とに基づき、ロール径Rを推定する。
詳細には、ロール径推定器150は、推定時刻tに対応する期間としての基準時刻tから時刻tまでの期間t〜tでのシート搬送量L(t)と、ロール回転量δθ(t)と、経路長Dの変化量δD(t)と、に基づき、関係式R=(L(t)+δD(t))/δθ(t)に従って、ロール径Rを推定する。
従って、本実施形態の画像形成システム1によれば、テンショナー15の位置Xの変化により、シートQの姿勢及び経路長Dが変化するような環境においても、光学的な距離センサなどの専用センサを画像形成システム1に設けずに、ロール径Rを高精度に推定することができる。換言すれば、専用センサによりロール径Rを直接測定しなくても、高精度にロール径Rを推定することができる。
特に本実施形態では、ロール径推定器150が、図9に示すように、基準時刻tから時間2tが経過する毎に、基準時刻tを時間tだけ進んだ時刻に更新する。ロール径推定器150は、サンプリング周期t毎に、基準時刻tから時刻tまでの期間におけるシート搬送量L(t)、ロール回転量δθ(t)、及び経路長Dの変化量δD(t)に基づき、ロール径Rを推定する。
このように本実施形態では、観測期間t〜tでのシート搬送に関する観測値に基づいて、時刻tにおけるロール径Rを推定するが、この観測期間を、前回の観測期間と一部重複する時間帯を含むように更新することにより、ロール径Rの繰返しの推定に際して、観測期間を連続的に変化させる。従って、本実施形態によれば、重複する時間帯を含まないように観測期間を更新する場合と比較して、推定されるロール径Rの高周波誤差成分を抑えることができ、安定的にロール径Rを推定することができる。
この他、本実施形態では、ロール径推定器150により推定されたロール径Rがシート搬送の終了時に記憶される(S275)。更に、次のシート搬送時には、ロール径推定器150によりロール径Rの推定が開始されるまでの間、前回記憶されたロール径Rに基づき、フィードフォワード操作量Uが算出され、このフィードフォワード操作量U及びフィードバック操作量Uに基づく操作量USRにより、供給モータ61が制御される。
但し、前回のシート搬送が異常終了しており、その異常終了がジャム以外の異常終了であるときには、シートロールQ0の交換が行われている可能性を考慮して、前回記憶したロール径Rを破棄し、フィードフォワード制御を無効化する。すなわち、張力コントローラ57は、フィードバック制御のみ、換言すれば、フィードバック操作量Uのみで、供給モータ61の回転を制御する。
但し、フィードバック制御のみでは、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の両者でシートQを搬送する場合よりも、シートQを始点に配置するまでのシートQの搬送誤差が大きくなることが予想される。そのため、本実施形態では、フィードフォワード制御が無効化されるときには、速度コントローラ55に低速搬送用の速度プロファイルを設定し、シートQを低速搬送する。
すなわち、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の両者で供給モータ61の制御が行われる場合には、高速搬送用の速度プロファイルに基づく搬送ローラ20の制御により、シートQが高速搬送されるが、フィードバック制御のみで供給モータ61の制御が行われる場合には、低速搬送用の速度プロファイルに基づく搬送ローラ20の制御により、シートQが低速搬送される。
従って、本実施形態によれば、ロール径Rの情報の不足により高精度な制御を行うことができない場合にも、低速でのシートQの搬送制御により、制御精度の劣化を抑えることができる。制御精度が低い状態でシートQを始点に配置する場合には、その制御誤差によりシートQが過度に搬送されて、シートQが記録ヘッド40と接触してしまう可能性がある。本実施形態によれば、低速でのシートQの搬送制御により、このような問題が発生するのを抑制することができる。
上述したように本実施形態では、ジャム以外の異常終了が発生しているとき、ロール径Rの情報が必要なフィードフォワード制御を無効化した。その理由は、シートロールQ0の交換により、ロール径Rが前回の推定値である確度が低いためである。
この文脈から理解できるように、S310及びS320の処理は、記憶されているロール径Rの確度の高低を判定することに対応する。従って、フィードフォワード制御の無効化は、S310及びS320とは別の手法で、記憶されているロール径Rの確度の高低を判別することにより実現されてもよい。
コントローラ50は、確度が高いと判定した場合には、ロール径推定器150によるロール径Rの推定が開始されるまでの期間において、前回記憶されたロール径Rの最新推定値に基づいて、フィードフォワード制御を実行することができる。確度が低いと判定した場合には、フィードフォワード制御を無効化することができる。
続いて、第二実施形態及び第三実施形態の画像形成システム1を説明する。第二実施形態及び第三実施形態の画像形成システム1は、第一実施形態の画像形成システム1の変形例である。
従って、以下では、第二実施形態及び第三実施形態の画像形成システム1の第一実施形態とは異なる構成及び処理を選択的に説明し、第一実施形態と同様の構成及び処理に対しては第一実施形態と同一符号及びステップ番号を付して、その構成及び処理の説明を省略する。
[第二実施形態]
第二実施形態の画像形成システム1は、メインコントローラ51が、図12に示す原点設定処理を実行するように構成される。
原点設定処理は、位置検出器80により検出されるテンショナー15の位置Xを、テンショナー15の原点位置でゼロに設定するために、シートQの搬送処理開始前の画像形成システム1の起動直後に実行される。原点設定処理は、初期処理(S110)において、シートQの先頭が予め定められた始点に配置される前又は後に実行されてもよい。
テンショナー15の原点位置は、バネ材16が自然長であり、テンショナー15がバネ材16からの弾性力が生じていないときにテンショナー15が静止する位置である。テンショナー15が原点位置にあるとき、テンショナー15に作用するシートQの張力はゼロである。
原点設定処理を開始すると、メインコントローラ51は、搬送ローラ20を停止させた状態で供給モータ61を所定量正回転方向に回転させて、シートQを送りだす(S410)。供給モータ61の正回転方向は、シートQが搬送方向下流に移動する回転方向に対応する。
所定量は、S410の処理実行前にテンショナー15が最大張力に対応する限界位置にあるときであっても、送り出しによりシートQが撓み、それによってシートQのテンショナー15に作用する張力が失われて、テンショナー15が原点位置に移動し、そこで静止するのに十分なシートQの送り出し量に予め定められる。
従って、S410での処理を終えると、通常、テンショナー15は原点位置に移動する。メインコントローラ51は、続くS420において、テンショナー15が原点位置にあるとみなして位置検出器80によるテンショナー15の検出位置Xをゼロにリセットする。これにより、位置検出器80は、テンショナー15の原点位置からの相対位置としてテンショナー15の位置Xを検出するように、初期設定される。
その後、メインコントローラ51は、搬送ローラ20を停止させた状態で供給モータ61を逆回転させて、シートQを巻き戻し、図12に示す原点設定処理を終了する(S430)。
S430において、メインコントローラ51は、位置検出器80により検出されるテンショナー15の位置Xに基づき、シートQの張力が予め定められた一定張力に到達した時点で、シートQの巻き戻しを完了するように、張力コントローラ57を通じて、供給モータ61を制御することができる。一定張力は、その後のシートQの搬送時の目標張力であり得る。
上述したように位置検出器80の例には、リニアエンコーダが含まれる。リニアエンコーダとしては、エンコーダスケールに固定の機械的な原点位置を有し、この原点位置を基準に位置を検出可能なエンコーダの他、ソフトウェア的にリセットされた位置からの相対位置として位置を検出可能なエンコーダが含まれる。
第二実施形態によれば、位置検出器80として後者のエンコーダが用いられる場合のように、位置検出器80がソフトウェア的にリセットされた位置からの相対位置として位置検出を行うケースにおいても、位置検出器80による検出位置Xに基づいて、シートQの張力を精度よく推定することができる。
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態の画像形成システム1を説明する。第三実施形態の画像形成システム1は、シートロールQ0の回転系に関する状態量を、拡張カルマンフィルタを用いて推定することにより、ロール径rを推定するように構成される。第三実施形態では、第一実施形態において変数Rを用いて説明されるロール径を、変数rを用いて説明する。
カルマンフィルタは、現実の観測値と、予め設定された観測モデルから得られる観測値の誤差をフィードバックして状態量を補正することによって、状態量の高精度な推定を行う技術である。拡張カルマンフィルタでは、非線形システムへの適用のために、状態方程式及び観測方程式がテイラー展開されて線形近似される。
本実施形態において拡張カルマンフィルタは、次のように設計される。シートQの厚みがμであるとき、シートロールQ0が2π回転すると、ロール径rは、厚みμだけ変化する。従って、ロール径rとシートロールQ0の回転量θとの関係は、次式で表される。
Figure 2021095289
シートロールQ0の回転量θは、ロータリエンコーダ65及び計測回路67を通じて観測可能である。ロール径rの時間微分dr/dtは、シートロールQの角速度ωを用いて、次式で表すことができる。
Figure 2021095289
シートロールQ0の回転系に関する状態量xを、ロール径r、シートロールQ0の回転量θ、及び、シートロールQ0の回転速度ω、即ち角速度ωを用いて、次のように定義する。上付きTは、転置記号である。
Figure 2021095289
拡張カルマンフィルタを用いたロール径rの推定を、シートQが定速搬送されているときに実行することを前提とすると、上記状態量xに関する時間発展モデル、換言すれば状態方程式は、次式で定義可能である。
Figure 2021095289
上記多変数ベクトル値関数fのヤコビ行列Aは、次式で定義される。
Figure 2021095289
一方、シートQの搬送量LとシートロールQ0の回転量θとの関係、及び、シートQの搬送速度VとシートロールQ0の回転速度ωとの関係は、次のように表される。
Figure 2021095289
シートQの搬送量Lに関する上記関係式は、ロール径rが時間変化するために近似式である。パラメータMは、図1に示す地点P1から地点P2までのシートQの搬送経路長Dの変化量δDに対応し、パラメータζは、変化量δDの時間微分に対応し、搬送経路長Dの変化に起因するシートQの搬送速度VとシートロールQ0の周速r・ωとの差に対応する。従って、パラメータM及びパラメータζは、第一実施形態において説明したように、位置検出器80により検出されるテンショナー15の位置Xから特定可能である。
ここで、シートQの搬送量L、シートQの搬送速度V、及び、シートロールQ0の回転量θを用いて、次の観測量yを定義する。
Figure 2021095289
この観測量yに関する観測モデル、換言すれば観測方程式は、次式で定義可能である。下式において上付きハットは、推定値を意味する。
Figure 2021095289
上記多変数ベクトル値関数hのヤコビ行列Cは、次式で定義される。
Figure 2021095289
本実施形態では、上述した状態方程式及び観測方程式に基づく拡張カルマンフィルタを用いて、状態量xを推定することにより、ロール径rを推定する。この拡張カルマンフィルタに基づく推定では、予測ステップと、フィルタリングステップと、の繰返しにより、状態量xの推定が行われる。
予測ステップでは、一時刻前の事後推定値x(上付きハット)と、一時刻前の誤差共分散行列Pと、予め与えられた状態量ノイズQとに基づいて、次式により状態量xの事前推定値x(上付きハット)及び事前誤差共分散行列Pが算出される。次式は、ヤコビ行列Aを含む。
Figure 2021095289
フィルタリングステップでは、予測ステップで算出された状態量xの事前推定値x(上付きハット)及び事前誤差共分散行列Pと、予め与えられた観測量ノイズRと、実際の観測量yと、観測量yの事前推定値y(上付きハット)とに基づいて、状態量xの推定値xt+1(上付きハット)及び誤差共分散行列Pt+1が算出される。次式は、ヤコビ行列Cを含む。
Figure 2021095289
観測量yの事前推定値y(上付きハット)は、上述した観測方程式と状態量xの事前推定値x(上付きハット)とから算出される。パラメータM及びζは、観測されたテンショナー15の位置Xの変化量に基づいて算出される。
本実施形態においてロール径推定器150で推定されるロール径rは、ここで算出される状態量xの推定値に含まれるロール径rの推定値である。観測量yに含まれるシートQの搬送速度Vは、計測回路77により計測される搬送ローラ20の回転速度ωPFと、搬送ローラ20の半径Rとに基づく計測された搬送速度R・ωPFであってもよいし、速度指令器101からの目標回転速度ωに基づくシートQの目標搬送速度R・ωであってもよい。シートQの搬送量Lは、計測された値であってもよいし、目標回転速度ωに基づく搬送速度V=R・ωの時間微分として算出された値であってもよい。
また、パラメータζを考慮せずに、すなわちパラメータζ=0として観測方程式h(x)を定義し、状態量xを推定してもよい。パラメータM=0及びパラメータζ=0として観測方程式h(x)を定義し、状態量xを推定してもよい。
具体的に、ロール径推定器150は、図13に示す処理を実行することにより、サンプリング周期t毎に、上記予測ステップ及びフィルタリングステップを実行して、状態量xを更新し、ロール径rを推定することができる。
上述したシートQの搬送量Lに関する方程式L=rθ−Mは、ロール径rが変動するために近似的にしか成立しない。このような近似的な成立に対して、図13では、区分的に拡張カルマンフィルタを適用して、ロール径rを推定する。
図13に示す処理を開始すると、ロール径推定器150は、状態量x及び誤差共分散行列Pを初期化する(S510)。その後、ロール径推定器150は、状態量xの要素であるシートロールQ0の回転量θをゼロに設定し、更には、状態量xの要素であるシートロールQ0の回転速度ωを、搬送ローラ20の半径R及びロール径rの推定値に基づいて、搬送ローラ20の目標回転速度ωに対応する回転速度ω=(R/r)・ωに設定する。更には、観測量yの要素であるシートQの搬送量L及びシートロールQ0の回転量θを、現在の観測値に設定する(S520)。
S520の処理を終了すると、ロール径推定器150は、拡張カルマンフィルタに基づく予測ステップ及びフィルタリングステップを実行して、状態量xの推定値を算出する(S530)。フィルタリングステップに際しては、計測された現在の観測量yを取得する。その後、ロール径推定器150は、状態量xにおけるロール径rの推定値を出力する(S540)。
ロール径推定器150は、状態量xのリセットタイミングが到来する(S550でYes)まで、又は、図13に示す処理の終了条件が満足される(S560でYes)まで、サンプリング周期t毎に、S530−S540の処理を実行して、状態量xを更新し、ロール径rの推定値を出力する。
リセットタイミングが到来すると(S550でYes)、ロール径推定器150は、S520の処理を実行することにより、リセットタイミング前の拡張カルマンフィルタに基づく演算結果を一旦リセットした後、S530に移行する。S530では、新たにS520で更新された値に基づく予測ステップ及びフィルタリングステップを実行して、状態量xの推定値を算出する。
ロール径推定器150は、以上の処理を繰返し実行することにより、拡張カルマンフィルタに基づく状態量xの推定を区分的に行う。そして、終了条件が満足されていると判断すると(S560でYes)、図13に示す処理を終了する。
具体的に、リセットタイミングは、搬送ローラ20の回転量に対応するシートQの搬送長L、が初期値から所定量超えた時点であり得る。これにより、ロール径推定器150は、シートQの所定量の搬送毎に、区分化された拡張カルマンフィルタを用いて、ロール径rを含む状態量xの推定値を算出する。
更に言えば、ロール径推定器150は、S530において図14に示すように状態量ノイズQの設定値を切り替えて用いて、拡張カルマンフィルタに基づく状態量xの推定を行うことができる。
図14に例によれば、ロール径推定器150は、ロール径rの推定初期では(S610でYes)、状態量ノイズQを、第一の状態量ノイズQに設定し(S620)、それ以外の期間では(S610でNo)、状態量ノイズQを、第二の状態量ノイズQに設定する(S630)。
状態量ノイズQは、状態量xのばらつき(具体的には分散)を表す要素を含む。ロール径rの推定初期では、ロール径rの確からしさが低いため、第一の状態量ノイズQは、第二の状態量ノイズQよりも、大きい分散を示すように予め定められる。
ロール径推定器150は、このように、状態量ノイズQの設定値を、推定されるロール径rの確からしさに応じて、第一の状態量ノイズQと第二の状態量ノイズQとの間で切り替えることにより、ロール径rの適切な推定を行う。ロール径rの推定初期、換言すればロール径rの推定開始からの第一の期間は、シートロールQ0がホルダ10に装着されてから、ロール径rの推定値が安定するまでの期間であり得る。
この他、ロール径推定器150は、供給モータ61からシートロールQ0に作用する回転トルクτ及びシートQの張力Tを加味して、拡張カルマンフィルタを構成してもよい。例えば、状態方程式は、次のように定義されてもよい。
Figure 2021095289
ロール径推定器150は、この状態方程式及び上記観測方程式に基づく拡張カルマンフィルタから状態量xを推定し、それによりロール半径rを推定してもよい。
上述した拡張カルマンフィルタに基づくシートQのロール径rの推定は、特に画像形成システム1が、張力コントローラ57に代えて、図15に示す構成の張力コントローラ200を備える場合に、特に有意義である。
張力コントローラ57に代わる図15に示す張力コントローラ200は、張力指令器110と、張力推定器120と、偏差算出器130と、PID制御器140と、ロール径推定器150と、ゲイン設定器180と、一次遅れフィルタ210と、目標速度生成器220と、偏差算出器230と、加算器240と、供給速度制御器250と、フィードフォワード制御器260と、加算器270とを備える。
偏差算出器130は、第一実施形態と同様に、張力指令器110からの目標張力Tと張力推定器120からの推定張力Tとの偏差E=T−Tを算出する。PID制御器140は、偏差算出器130から入力される偏差Eに基づき、張力操作量U=K・E+K・INT(E)+K・DIF(E)を算出する。
張力操作量Uは、第一実施形態のフィードバック操作量Uに対応する。ゲイン設定器180は、PID制御器140におけるゲインK,K,Kをロール径推定器150により推定されたロール径rに基づき、調整するように構成される。
目標速度生成器220は、速度コントローラ55の速度指令器101から一次遅れフィルタ210を介して入力される搬送ローラ20の目標回転速度ωと、ロール径推定器150により推定されたロール径rとに基づき、シートロールQ0の目標回転速度ωsrを算出する。
目標速度生成器220は、搬送ローラ20とシートロールQ0とが同一の周速で回転するように、式ωsr=(R/r)・ωに従って、目標回転速度ωsrを算出することができる。Rは、上述したように搬送ローラ20の半径である。シートロールQ0の目標回転速度ωsrは、回転軸10Aの目標回転速度ωsrに対応する。
偏差算出器230は、目標速度生成器220からの目標回転速度ωsrと、計測回路67により計測されたシートロールQ0の回転速度ωとの偏差E=(ωsr−ω)を算出する。
加算器240は、PID制御器140からの張力操作量Uに偏差Eを加算して、操作量U=(U+E)を算出する。供給速度制御器250は、PID制御器として構成され、加算器240からの操作量Uに速度制御成分を加えたフィードバック操作量U を算出する。フィードバック操作量U は、第一実施形態におけるフィードバック操作量Uに代わるものとして、加算器270に入力される。
供給速度制御器250は、具体的には、フィードバック操作量U として値U =Kwp・U+Kwi・INT(U)+Kwd・DIF(U)出力する。DIF(U)は、操作量Uの微分値であり、値INT(U)は、操作量Uの積分値であり、Kwpは、比例ゲインであり、Kwiは、積分ゲインであり、Kwdは、微分ゲインである。
フィードフォワード制御器260は、搬送ローラ20の実回転速度ωPFに代えて、速度コントローラ55の速度指令器101から一次遅れフィルタ210を介して入力される搬送ローラ20の目標回転速度ωを用いて、第一実施形態と同様に、加速トルクτを算出する。
フィードフォワード制御器260は、第一実施形態と同様に、算出した加速トルクτに対応するフィードフォワード操作量Uを加算器270に入力する。あるいは、フィードフォワード制御器260は、フィードフォワード操作量Uに、粘性摩擦トルク及び動摩擦トルクに対する補償量を付加したフィードフォワード操作量U を加算器270に入力する。
加算器270は、供給速度制御器250から入力されるフィードバック操作量U と、フィードフォワード制御器260から入力されるフィードフォワード操作量U又はフィードフォワード操作量U との加算値U +U又は加算値U +U を、供給モータ61に対する操作量USRとして出力する。
張力コントローラ200において、搬送ローラ20の実回転速度ωではなく、目標回転速度ωが用いられている理由は、次の通りである。供給モータ61とホルダ10の回転軸10Aとの間にはギヤ等の動力伝達系が存在する。このため、供給モータ61の駆動がシートロールQ0の回転運動に反映されるまでには、タイムラグが存在する。このタイムラグは、搬送ローラ20の実回転速度ωPFに基づき、フィードフォワード操作量Uを算出して、供給モータ61を制御するときに制御誤差を生じさせる可能性がある。
これに対して、第三実施形態のように、搬送ローラ20の目標回転速度ωに基づき、フィードフォワード操作量U又はフィードフォワード操作量U を算出する場合には、タイムラグによる影響を抑えて、供給モータ61を制御し、シートロールQ0の回転運動を制御することができる。
但し、目標回転速度ωを用いる場合には、シートQの搬送処理を開始する前にシートQの張力を目標張力Tに合わせるために、S430の処理と同様に、搬送ローラ20を停止させた状態で供給モータ61を逆回転させて、シートQの張力を目標張力Tに合わせるテンショニング処理が実行されてもよい。
以上に説明した第三実施形態によれば、拡張カルマンフィルタを用いてロール径rを推定することから、観測誤差、信号ノイズ等の影響を抑えた精度のよいロール径推定を実現可能である。図15に示すようにロール径rの推定値に基づいて速度制御を行う場合には、ロール径rの推定誤差が速度制御に影響を与える。従って、精度のよいロール径rの推定は、よりよいシートQの搬送制御に役立つ。
[その他]
本開示は、上述した例示的実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができることは言うまでもない。第一実施形態においても、第三実施形態と同様に、搬送ローラ20の目標回転速度ωに基づいて、加速トルクτが推定され、フィードフォワード操作量Uが算出されてもよい。目標回転速度ωの積分値に基づいてシートQの搬送量Lが算出されてもよい。
ホルダ10によるシートロールQ0の保持構造、シートロールQ0の駆動方式は、上記実施形態に限定されない。以上には、シートロールQ0の芯材がホルダ10の回転軸10Aに挿入されることで、シートロールQ0が回転可能にホルダ10の回転軸10Aに支持される画像形成システム1を説明した。
しかしながら、ホルダは、シートロールQ0を収容する空間を内側に有する中空円筒材料により構成されてもよい。ホルダは、シートロールQ0の収容空間を規定する内面が回転するように構成されてもよい。シートロールQ0は、ホルダに収容された状態で、ホルダ内面の回転に応じて、回転してもよい。この他、シートロールQ0の外周面に接触するローラが設けられてもよい。このローラの回転によりシートロールQ0は回転してもよい。
ホルダ10は、軸を有さない構成にされてもよい。この場合には、テンショナー15とシートロールQ0との間にローラが設けられてもよく、このローラの回転量からシートロールQ0の回転量が計測されてもよい。
本開示の技術は、ベルト機構30を備えない画像形成システムに適用されてもよい。この場合、画像形成システムには、ベルト機構30に代えて、シートQを支持するためのプラテンが設けられ得る。本開示の技術は、記録ヘッド40として、ラインヘッドではなく、シリアル駆動式の記録ヘッドを備える画像形成システムに適用されてもよい。この場合には、記録ヘッドがライン方向に往復動してシートQに画像を形成する。本開示の技術は、電子写真方式の画像形成システムに適用されてもよい。
本開示の技術は、シートロールQ0の径方向外側を向くシートQの表面に対して画像を形成するシステムに適用されてもよいし、シートロールQ0の径方向内側を向くシートQの裏面に対して画像を形成するシステムに適用されてもよい。本開示の技術は、シートQの両面に対して画像を形成するシステムに適用されてもよい。搬送ローラ20とニップローラ25との位置は、逆であってもよい。
本開示の技術は、色材を用いてシートQに画像を形成するシステムだけでなく、様々なシステムに適用することができる。例えば、本開示の技術は、シートQに孔を空けて印をつけるシステムに適用されてもよいし、シートQの表面に光を照射して殺菌処理するシステムに適用されてもよい。本開示の技術は、シート状基板に配線パターンを形成するシステムに適用されてもよい。シートロールQ0及びシートQは、紙であってもよいし、ビニールであってもよいし、フレキシブルプリント基板(FPC)であってもよい。
テンショナー15の構成は、上記実施形態に限定されない。テンショナーは、振り子アームのように、一端が軸支され、他端にローラを有するアームで構成されていてもよい。この他、本開示の技術は、ロータリエンコーダ65,75の構成を限定しない。ロータリエンコーダ65,75は、光学式のロータリエンコーダではなく、磁気方式のロータリエンコーダであってもよい。
印刷コントローラ53、速度コントローラ55、張力コントローラ57は、CPUとASICとの組合せで構成されてもよい。コントローラ50、メインコントローラ51、印刷コントローラ53、速度コントローラ55、及び、張力コントローラ57のそれぞれにおけるCPU及びASICの個数やその有無は、上述した具体例に限定されない。
上記例示的実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記例示的実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
最後に用語間の対応関係を説明する。ロータリエンコーダ65、計測回路67及びロール径推定器150が実行するS240の処理は、回転計測器で実現される処理の一例に対応する。ロータリエンコーダ75、計測回路77及びロール径推定器150が実行するS230の処理は、搬送計測器で実現される処理の一例に対応する。搬送モータ71は、第一モータの一例に対応し、供給モータ61は、第二モータの一例に対応する。
速度コントローラ55の偏差算出器103及びPID制御器105は、第一フィードバック制御要素の一例に対応し、張力コントローラ57の偏差算出器130及びPID制御器140は、第二フィードバック制御要素の一例に対応し、フィードフォワード制御器160は、フィードフォワード制御要素の一例に対応する。
1…画像形成システム、10…ホルダ、10A…回転軸、15…テンショナー、20…搬送ローラ、25…ニップローラ、30…ベルト機構、40…記録ヘッド、50…コントローラ、51…メインコントローラ、51A…プロセッサ、51B…メモリ、53…印刷コントローラ、55…速度コントローラ、57…張力コントローラ、61…供給モータ、63…モータドライバ、65…ロータリエンコーダ、67…計測回路、71…搬送モータ、73…モータドライバ、75…ロータリエンコーダ、77…計測回路、80…位置検出器、101…速度指令器、103…偏差算出器、105…PID制御器、110…張力指令器、120…張力推定器、130…偏差算出器、140…PID制御器、141…比例ゲインアンプ、142…積分ゲインアンプ、143…微分ゲインアンプ、150…ロール径推定器、160…フィードフォワード制御器、161…微分器、163…加速トルク推定器、180…ゲイン設定器、200…張力コントローラ、210…一次遅れフィルタ、220…目標速度生成器、230…偏差算出器、240…加算器、250…供給速度制御器、260…フィードフォワード制御器、270…加算器。

Claims (18)

  1. シートが巻き回されたシートロールを保持するホルダと、
    前記シートロールの回転量を計測する回転計測器と、
    前記ホルダに保持される前記シートロールから引き出された前記シートを搬送する搬送ローラと、
    前記ホルダと前記搬送ローラとの間に設けられ、前記シートロールから前記搬送ローラに引き出された前記シートと接触する可動性のテンショナーと、
    前記テンショナーの位置を検出する位置検出器と、
    前記シートが搬送されるように前記搬送ローラを回転させるための駆動力を生成するモータと、
    前記モータを制御するように構成されるコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、前記モータにより駆動される前記搬送ローラの回転による前記シートの搬送量と、前記回転計測器により計測された前記シートロールの回転量と、前記位置検出器により検出された前記テンショナーの位置とに基づき、前記シートロールの径を推定するシート搬送装置。
  2. 前記搬送ローラの回転による前記シートの搬送量を計測する搬送計測器
    を備え、
    前記コントローラは、前記搬送計測器により計測された前記シートの搬送量と、前記回転計測器により計測された前記シートロールの回転量と、前記位置検出器により検出された前記テンショナーの位置とに基づき、前記シートロールの径を推定する請求項1記載のシート搬送装置。
  3. 前記コントローラは、
    予め設定された目標搬送速度で前記シートが搬送されるように前記モータを制御し、
    前記目標搬送速度に対応する前記シートの搬送量と、前記回転計測器により計測された前記シートロールの回転量と、前記位置検出器により検出された前記テンショナーの位置とに基づき、前記シートロールの径を推定する請求項1記載のシート搬送装置。
  4. 前記搬送ローラとともに前記シートをニップするニップローラを更に備え、
    前記コントローラは、前記シートが前記シートロールから引き出される第一の地点から前記シートが前記搬送ローラと前記ニップローラとによりニップされる第二の地点までの前記シートの搬送経路長、の変化量を前記テンショナーの位置に基づいて推定し、前記搬送ローラの回転による前記シートの搬送量及び前記変化量から判別される前記シートロールからの前記シートの引き出し量と、前記シートロールの回転量と、に基づき、前記シートロールの径を推定する請求項1〜請求項3のいずれか一項記載のシート搬送装置。
  5. 前記コントローラは、前記シートロールの径Rを、推定時刻に対応する期間での前記搬送ローラの回転による前記シートの搬送量Lと、前記期間における前記シートロールの回転量δθと、前記期間における前記搬送経路長の変化量δDと、に基づき、関係式R=(L+δD)/δθに従って推定する請求項4記載のシート搬送装置。
  6. 前記コントローラは、前記テンショナーの位置Xと前記第一の地点から前記第二の地点までの前記シートの搬送経路長Dとの関係を表す式又はテーブルに従って、前記期間における前記搬送経路長の変化量δDを、前記期間の開始時刻tにおける前記テンショナーの位置X(t)から判別される搬送経路長D(X(t))と、前記期間の終了時刻tにおける前記テンショナーの位置X(t)から判別される搬送経路長D(X(t))との差D(X(t))−D(X(t))として算出する請求項5記載のシート搬送装置。
  7. 前記コントローラは、前記シートロールの径Rを繰返し推定し、
    前記期間の開始時刻及び終了時刻は、前回の推定時刻に対応する期間と重複する時間帯を含むように、前記推定時刻の変化に応じて更新され、
    それにより、前記コントローラは、前記前回の推定時刻に対応する期間と重複する時間帯を含む期間での前記搬送量L、前記回転量δθ、及び前記変化量δDに基づき、前記シートロールの径Rを推定する請求項5又は請求項6記載のシート搬送装置。
  8. 前記シート搬送装置は、
    前記搬送ローラを回転駆動するように構成される、前記モータとしての第一モータと、
    前記ホルダに保持された前記シートロールを回転駆動するように構成される第二モータと、
    を備え、
    前記コントローラは、前記第二モータを、推定された前記シートロールの径に基づき制御するように、前記第一モータ及び前記第二モータを制御する請求項1〜請求項7のいずれか一項記載のシート搬送装置。
  9. 前記コントローラは、
    前記シートロールの径を繰返し推定し、前記推定した前記シートロールの径を推定値として記憶し、
    所定条件が満足されている場合には、第一の制御により前記第一モータ及び前記第二モータを制御し、前記所定条件が満足されていない場合には、第二の制御により前記第一モータ及び前記第二モータを制御し、
    前記第一の制御では、前記推定値に基づいて前記シートの張力を制御するように前記第二モータを制御し、前記シートが第一の速度で搬送されるように前記第一モータを制御し、
    前記第二の制御では、前記推定値に基づかずに前記シートの張力を制御するように前記第二モータを制御し、前記シートが前記第一の速度よりも低い第二の速度で搬送されるように前記第一モータを制御する
    請求項8記載のシート搬送装置。
  10. 前記コントローラは、
    前記シートロールの径を繰返し推定し、前記推定した前記シートロールの径を推定値として記憶し、
    更には、記憶されている前記推定値の確度の高低を判別し、
    前記確度が高いと判別した場合には、第一の制御により前記第一モータ及び前記第二モータを制御し、前記確度が低いと判別した場合には、第二の制御により前記第一モータ及び前記第二モータを制御し、
    前記第一の制御では、前記推定値に基づいて前記シートの張力を制御するように前記第二モータを制御し、前記シートが第一の速度で搬送されるように前記第一モータを制御し、
    前記第二の制御では、前記推定値に基づかずに前記シートの張力を制御するように前記第二モータを制御し、前記シートが前記第一の速度よりも低い第二の速度で搬送されるように前記第一モータを制御する
    請求項8記載のシート搬送装置。
  11. 前記コントローラは、
    前記第一の制御では、
    前記搬送ローラの回転運動に関する観測値とその目標値とに基づき、前記第一モータに対する第一の操作量を演算する第一フィードバック制御要素と、
    観測された前記テンショナーの位置と目標張力とに基づき、前記第二モータに対する第二の操作量を演算する第二フィードバック制御要素と、
    前記推定値に基づき、前記第二の操作量に対する補正量を演算するフィードフォワード制御要素と
    を用いて、前記第一モータ及び前記第二モータに対する操作量を決定することにより、前記第一モータ及び前記第二モータを制御し、
    前記第二の制御では、
    前記フィードフォワード制御要素を用いずに、前記第一フィードバック制御要素及び前記第二フィードバック制御要素を用いて、前記第一モータ及び前記第二モータに対する操作量を決定することにより、前記推定値に基づかずに前記第二モータを制御するように、前記第一モータ及び前記第二モータを制御する
    請求項9又は請求項10記載のシート搬送装置。
  12. 前記搬送ローラとともに前記シートをニップするニップローラを更に備え、
    前記搬送ローラよりも前記シートの搬送方向下流には、前記シートに対する所定の処理を実行する処理ヘッドが設けられており、
    前記コントローラは、前記第二の制御では、前記搬送ローラと前記ニップローラによりニップされる前記シートが前記処理ヘッドと対向する位置に搬送される過程で、前記シートが前記第一の速度よりも低い前記第二の速度で搬送されるように、前記第一モータを制御する
    請求項9〜請求項11のいずれか一項記載のシート搬送装置。
  13. 前記コントローラは、
    前記搬送ローラの回転により前記シートを搬送する前に、
    前記シートが所定量前記シートロールから送り出されるように前記第二モータを制御し、当該制御が終了したときの前記テンショナーの位置を原点位置とみなして前記位置検出器が前記原点位置からの相対位置として前記テンショナーの位置を検出するように、前記位置検出器を設定し、
    更には、前記位置検出器により検出される前記テンショナーの位置が前記シートに張力が付加されることにより前記原点位置から移動するまで、前記シートが前記シートロールに巻き戻されるように前記第二モータを制御する
    ように構成され、
    前記所定量は、前記シートの撓みによって前記テンショナーが前記原点位置で静止するまで前記シートロールから前記シートが送り出されるのに十分な量として予め定められた量である
    請求項8〜請求項12のいずれか一項記載のシート搬送装置。
  14. 前記コントローラは、前記シートの搬送量と前記シートロールの回転量と前記テンショナーの位置とに基づいて前記シートロールの径を含む前記シートロールの回転系に関する状態量を、カルマンフィルタを用いて推定することにより、前記シートロールの径を推定する請求項1〜請求項13のいずれか一項記載のシート搬送装置。
  15. 前記カルマンフィルタは、
    前記状態量として、前記シートロールの径Rと、前記シートロールの回転量θと、前記シートロールの角速度ωとを含む前記状態量の時間発展モデルであって、前記シートの厚みμを含む時間発展モデル
    Figure 2021095289
    及び、前記シートの搬送量Lと、前記シートの搬送速度Vと、前記シートロールの回転量θとを含む観測モデルであって、更に前記テンショナーの位置に関係するパラメータMを含む観測モデル
    Figure 2021095289
    に基づく拡張カルマンフィルタであり、
    前記パラメータMは、前記シートが前記シートロールから引き出される第一の地点から前記シートが前記搬送ローラから搬送力を受ける第二の地点までの前記シートの搬送経路長、の変化量であり、前記テンショナーの位置の変化量に基づいて算出される請求項14記載のシート搬送装置。
  16. 前記カルマンフィルタは、
    前記状態量として、前記シートロールの径Rと、前記シートロールの回転量θと、前記シートロールの角速度ωとを含む前記状態量の時間発展モデルであって、前記シートの厚みμを含む時間発展モデル
    Figure 2021095289
    及び、前記シートの搬送量Lと、前記シートの搬送速度Vと、前記シートロールの回転量θとを含む観測モデルであって、更に前記テンショナーの位置に関係するパラメータM及びパラメータζを含む観測モデル
    Figure 2021095289
    に基づく拡張カルマンフィルタであり、
    前記パラメータMは、前記シートが前記シートロールから引き出される第一の地点から前記シートが前記搬送ローラから搬送力を受ける第二の地点までの前記シートの搬送経路長、の変化量であり、前記パラメータζは、前記搬送経路長の変化に起因する前記シートの搬送速度Vと前記シートロールの周速R・ωとの差であり、前記パラメータM及び前記パラメータζは、前記テンショナーの位置の変化量に基づいて算出される請求項14記載のシート搬送装置。
  17. 前記コントローラは、前記状態量のばらつきを定義する状態量ノイズを、前記シートロールの径の推定開始からの第一の期間には前記第一の期間より後の第二の期間よりも大きく設定するように、前記状態量ノイズの設定値を切り替えながら、前記状態量を前記カルマンフィルタを用いて推定するように構成される請求項14〜請求項16のいずれか一項記載のシート搬送装置。
  18. 請求項1〜請求項17のいずれか一項記載のシート搬送装置と、
    前記搬送ローラよりも前記シートの搬送方向下流で、前記シートに画像を形成する処理ヘッドと、
    を備える画像形成システム。
JP2020039178A 2019-12-16 2020-03-06 シート搬送装置及び画像形成システム Active JP7409164B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US17/121,963 US11801696B2 (en) 2019-12-16 2020-12-15 Sheet conveyor and image forming system

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019226414 2019-12-16
JP2019226414 2019-12-16

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021095289A true JP2021095289A (ja) 2021-06-24
JP7409164B2 JP7409164B2 (ja) 2024-01-09

Family

ID=76431231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020039178A Active JP7409164B2 (ja) 2019-12-16 2020-03-06 シート搬送装置及び画像形成システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7409164B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230044428A (ko) * 2020-08-25 2023-04-04 저지앙 웨이파이 패키징 이큅먼트 컴퍼니 리미티드 텐셔닝 기구

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5661261A (en) * 1979-10-17 1981-05-26 Toshiba Corp Automatic controlling apparatus
JPH0428656A (ja) * 1990-05-23 1992-01-31 Brother Ind Ltd 記録紙残量検知装置
JPH11245916A (ja) * 1998-03-05 1999-09-14 Tokyo Autom Mach Works Ltd 包材繰出し装置およびその方法
JP2014076669A (ja) * 2008-03-28 2014-05-01 Seiko Epson Corp 印刷方法および印刷装置
JP2014177318A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Casio Electronics Co Ltd ロール状記録媒体の残量導出装置、ロール状記録媒体の供給装置、ロール状記録媒体の残量導出方法及びプログラム
US20150175374A1 (en) * 2013-12-20 2015-06-25 Seiko Epson Corporation Media conveyance control method and printer

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5661261A (en) * 1979-10-17 1981-05-26 Toshiba Corp Automatic controlling apparatus
JPH0428656A (ja) * 1990-05-23 1992-01-31 Brother Ind Ltd 記録紙残量検知装置
JPH11245916A (ja) * 1998-03-05 1999-09-14 Tokyo Autom Mach Works Ltd 包材繰出し装置およびその方法
JP2014076669A (ja) * 2008-03-28 2014-05-01 Seiko Epson Corp 印刷方法および印刷装置
JP2014177318A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Casio Electronics Co Ltd ロール状記録媒体の残量導出装置、ロール状記録媒体の供給装置、ロール状記録媒体の残量導出方法及びプログラム
US20150175374A1 (en) * 2013-12-20 2015-06-25 Seiko Epson Corporation Media conveyance control method and printer
JP2015117125A (ja) * 2013-12-20 2015-06-25 セイコーエプソン株式会社 媒体搬送制御方法およびプリンター

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230044428A (ko) * 2020-08-25 2023-04-04 저지앙 웨이파이 패키징 이큅먼트 컴퍼니 리미티드 텐셔닝 기구
KR102606528B1 (ko) 2020-08-25 2023-11-24 저지앙 웨이파이 패키징 이큅먼트 컴퍼니 리미티드 텐셔닝 기구

Also Published As

Publication number Publication date
JP7409164B2 (ja) 2024-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4669438B2 (ja) 印刷装置、搬送装置、及び印刷方法
JP6091248B2 (ja) プリンタ
US11801696B2 (en) Sheet conveyor and image forming system
JP5039521B2 (ja) シート状部材搬送装置、画像形成装置
US9044974B1 (en) System and method for online web control in a tandem web printing system
TWI582027B (zh) 輥間搬送控制裝置
US11939179B2 (en) Base material conveying device, printing apparatus, coating apparatus and base material roll diameter obtaining method
US10399370B2 (en) Printing Apparatus
JP7409164B2 (ja) シート搬送装置及び画像形成システム
US20210179380A1 (en) Sheet conveyor and image forming system
CN113387216B (zh) 输送控制装置以及输送控制程序
JP7456202B2 (ja) シート搬送装置及び画像形成システム
US9403653B2 (en) Conveying apparatus, printing apparatus, control method, and sheet feeding method
JP5839981B2 (ja) ロールシート搬送装置及びこれを備えた印刷装置
US11975532B2 (en) Transport device, printing apparatus, and transport controlling method
US9925809B2 (en) Roll-up apparatus
JP6039979B2 (ja) 記録装置、搬送装置及び制御方法
JP2015116798A (ja) 媒体搬送制御方法およびプリンター
JP2011083913A (ja) 印刷装置、モーター制御装置およびモーター制御方法
JP5782844B2 (ja) 搬送装置、印刷装置、及び搬送方法
JP5874205B2 (ja) 搬送装置、印刷装置、及び搬送方法
US10421634B2 (en) Medium feeding apparatus
JP2009242047A (ja) モータ制御装置、流体噴射装置及びモータ制御方法
JP2011213452A (ja) シート搬送装置
JP2020111452A (ja) プリント装置

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20200623

AA91 Notification that invitation to amend document was cancelled

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971091

Effective date: 20200707

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7409164

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150